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2013年7月24日 第20回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会議事録

○日時

平成25年7月24日(水)12:59~15:25


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

永井部会長、内山部会長代理、祖父江委員、福井委員、藤川委員、斎藤委員、花井委員、本田委員、三好委員

○議事

(以下、議事録)

 

○政策評価官

 それでは定刻になりましたので、第20回厚生労働省独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては大変、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。私、本年、710日付で政策評価官を拝命いたしました原口と申します。以後、よろしくお願いいたします。それでは、本日は新しい任期の元での第1回の会合になりますので、後ほど委員の皆様方に部会長を御選出いただく形になりますが、それまでの間、私が議事進行役を務めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 議事に入ります前に本部会の開催にあたりまして、政策評価審議官の山沖から御挨拶をさせていただきます。

 

○政策評価審議官

 政策評価審議官をしております山沖です。どうぞよろしくお願いします。

 皆様方には御多忙のところ、当初、独立行政法人の評価委員会の委員及び臨時委員に御就任いただきましてありがとうございます。なかなか暑苦しい中ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。また、今日はお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 本年度の独立行政法人の評価に当たり、今週月曜日、722日に開催された本委員会の総会において所要の審議を行わせていただきました。本委員会ではこれから8月下旬にかけて、全部で8部会ございますが、1つは新しくできたということで7部会が実際に活動するということで、総会、部会を併せ全部で25回、69時間と予定されている審議をお願いしています。特に本部会では7回、18回、18時間ということで7部会の中で一番長い時間をかけて御審議をいただくことになっていますが、どうぞよろしくお願いします。

 当部会ではナショナルセンターとして高度な専門医療を調査、研究するとともに当該医療サービス等提供している、本日、御説明をします国立がん研究センターをはじめとして、循環器病研究センター、国際医療研究センター、精神・神経医療研究センター、長寿医療研究センター、成育医療研究センターという6つの独立行政法人について評価していただくことになっています。

 独立行政法人の運営にあたりましては自主性とともに公共性、透明性が求められております。そのため、中期目標、中期計画等を定め、その業務の実績を評価すること。すなわちPDCAサイクルに基づいて不断に見直しを行っていくことが極めて重要です。

 委員、臨時委員の皆様方には厳しいスケジュールの中ではございますが、独立行政法人に対して適正、かつ厳正に御評価いただきますよう、お願い申し上げまして私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官

 それでは委員の皆様方を御紹介いたします。皆様には先に辞令につきましては郵送させいいただいておりますが、厚生労働省独立行政法人委員会委員または臨時委員としまして、本年630日付で厚生労働大臣の任命が発令されています。また、先ほど審議官から御説明がございましたけれども、先の22日に開催された委員会の総会において、お手元の資料1-2ですが、皆様方につきましては高度専門医療研究部会の分属が正式に決定しましたことを御報告申し上げます。

 それでは、お手元の資料1に基づきまして御紹介いたしますので、どうぞ御覧ください。

 新潟県地域医療推進機構副理事長・魚沼基幹病院長の内山聖委員、留任です。名古屋大学大学院医学系研究科教授の祖父江元様、留任です。自治医科大学学長の永井良三様、留任です。聖路加国際病院長の福井次矢様、新任です。公認会計士の藤川裕紀子様、新任です。

 続きまして臨時委員です。ジェイ・ボンド東短証券株式会社代表取締役社長の斎藤聖美様、新任です。NPO法人ネットワーク医療と人権理事の花井十伍様、留任です。読売新聞社社会保障部記者の本田麻由美様、留任です。日本製薬工業協会常務理事の三好敏昭様、留任です。

 なお、斎藤委員は本日、所用で15時前に御退席されますので御了解いただければと思います。

 続きまして、事務局の御紹介をさせていただきます。室長補佐の和田です。

 それでは議事に入らせていただきます。議事(1)部会長の選出、部会長代理の指名です。

 まず最初に部会長の選出をお願いします。選出手続を説明しますのでお手元の資料集の冊子の50ページを御覧ください。厚生労働省独立行政法人評価委員会令の第5条第3項において、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選出する」とされています。委員の皆様方の互選により選任することになっておりますが、いかがでしょうか。祖父江委員、どうぞ。

 

○祖父江委員

 互選ということですので、今までもこの部会長をおやりになっておられまして、その御経験、それから継続性、それから御見識の高さということから、前期に引き続いて永井委員に部会長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○政策評価官

 ただいま、祖父江委員から永井委員を部会長にと御推薦がありましたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

○政策評価官

 ありがとうございます。それでは永井委員に部会長をお願いしたいと思います。以後の議事進行につきましては永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○永井部会長

 それでは部会長を務めさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 最初に部会長代理を指名させていただきます。部会長代理は先ほど御紹介ありました評価委員会で第5条第5項におきまして、「部会長に事故があるときは当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされています。

 したがいまして、私から指名させていただきますが、高度専門医療研究部会でのこれまでの御経験、御見識を踏まえまして、内山委員に本部会の部会長代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

○永井部会長

 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは内山委員に部会長代理をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○内山部会長代理

 よろしくお願いいたします。

 

○永井部会長

 では、議題に入りたいと思います。

 皆様には国立高度専門医療センターの6法人について説明、評価をいただくことになります。ここで各法人の概要につきまして、最初に事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは高度専門医療研究部会所掌の法人について御説明しますので、資料1-3を御覧ください。

 高度専門医療研究部会で評価する法人は全部で6法人あり、いずれも平成224月に独立行政法人となっています。こちらは全て高度、かつ専門的な医療にかかる調査研究、技術の開発、医療の提供、技術者の研修などを行う法人で、研究所と病院などの業務を実施しています。6法人それぞれが特徴のある医療と研究を実施しております。まず1ページ目の国立がん研究センターですが、東京都中央区築地と千葉県柏市に病院及び研究所があり、我が国のがん対策の中核的機関として、がん、その他悪性新生物についての調査・研究等を実施しています。役職員数は平成2541日現在で、役員8名、職員1,696名となっています。

 次に3ページ目の国立循環器病研究センターですが、大阪府吹田市に所在しておりまして、我が国の脳卒中、心臓病、その他の循環器病対策の中核的機関として循環器病についての調査、研究等を実施しています。役職員数は平成2541日現在で役員6名、職員1,119名となっています。

 続きまして5ページ目の国立精神・神経医療研究センターですが、東京都小平市に所在しておりまして、精神・神経疾患対策の中核的機関として精神、神経疾患等についての調査、研究等を実施しています。役職員数は平成2541日現在で役員7名、職員704名となっています。

 続きまして7ページ目の国立国際医療研究センターですが、新宿区戸山と千葉県市川市に所在しておりまして、我が国の医療分野における国際貢献の中核的機関として感染症その他の疾患についての調査、研究等を行っています。また、こちらにつきましては東京都清瀬市に附属の看護大学校を設置しておりまして、そちらの運営も行っています。

 続きまして10ページ目ですが、国立成育医療研究センターで、東京都世田谷区に所在しておりまして、成育医療の中核的機関として、小児医療、母性医療、父性医療及び関連・境界領域を包括する成育医療についての調査、研究等を行っています。役職員数につきましては、役員6名、職員978名となります。

 最後に12ページですが、国立長寿医療研究センターで、こちらは愛知県大府市に所在しておりまして、我が国の長寿医療の中核的機関として加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾患で、高齢者が自立した日常生活を営むために、特に治療を必要とする者に関する調査、研究等を行っています。役職員数は平成2541日現在で役員6名、職員494名となっています。

 それぞれの法人の詳細な業務内容につきましては、個別評価に入る際に法人のから御説明しますが、各法人については個別評価と総合評価といった形でそれぞれ2回、委員の方々からの御意見をいただくことになっています。次の資料1-4になりますが、本日の部会では国立がん研究センターの個別評価について実施していただくことになります。

 それから731日から812日までの間にそれぞれほかのセンターも評価していただきまして、822日、27日に実施されます部会で総合評価を実施することになります。

 なお、評価の進め方の詳細につきましては、後ほど御説明します。以上です。

 

 

○永井部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの事務局の説明に対し、御質問、御意見等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。ございませんでしたら、次の議題に入りたいと思います。

 議題3ですが、独立行政法人の実績評価に当たりまして、新任の委員の方もいらっしゃいますので、評価の流れ及び評価基準について、事務局から御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 個別評価の進め方について御説明します。

 評価の方法につきましては昨年と変わりません。各法人の理事長から法人全体の業務実績について御説明をします。そのあと、評価項目が多数ありますので各個別項目を4つのパートにグループ分けして審議を実施させていただきます。グループ分けにつきましては資料1-5-1以降に記載されています。グループごとに法人から実績と自己評価について説明を行っていただき、その後、質疑応答。それから委員はSDの評定とその評定理由につきまして資料2-5の評定記入用紙に記入する形で進めていきます。

 評価にあたりましては、総務省に設置してある政策評価・独立行政法人、政・独委と呼ばれるものですが、こちらのほうが作成しております「評価の視点」、あるいは今年の520日に政・独委のほうから示されました評価に当たって特に留意すべき事項を踏まえて評価をしていただく必要があります。評価の視点につきましては、こちらの資料集の89ページ、留意事項につきましては95ページに記載されておりますが、高度専門医療研究部会ではこれらに関する法人の実績を資料2-4の業務実績評価別添資料に取りまとめておりまして、この別添資料のチェックポイントについては資料1-5-2にまとめさせていただきましたので評価に当たって参考にしてください。

 また同じく10ページ目の資料1-5-3なのですが、こちらのほうが本年、2月の部会でも御案内させていただきましたが、昨年度の評価委員会で審議していただきました平成23年度の実績評価の結果に対して、本年1月に総務省政・独委から出された二次意見、それからこれに対する対応方針となっています。各法人は、この対応方針を踏まえて御説明しますので、評価の委員の先生方におかれましては御留意の上、評価いただければと思います。

 なお、法人の個別評価が終わりましたら、各委員の御評価を踏まえた評価書の案を起草委員、それから所管課のほうで調整していただいた上で作成していただきます。

 各法人ごとの起草委員につきましては、資料1-6の起草委員一覧に記載されているとおりお願いしたいと思います。

 また、作成していただいた評価書案につきましては、総合評価の部会で各委員に御審議いただくことになります。

 続きまして資料1-7についてですが、こちらが本部会で評価する6法人の平成24年度の自己評定の一覧になっています。その右側の欄に参考までに平成23年度の評定結果を記載しておりますので、こちらも御参照の上、評価していただければと思います。事務局からは以上です。

 

○永井部会長

 ありがとうございます。ただいまの御説明に何か、御質問、御意見はございますでしょうか。

 あと、SABC評価ですが、Sというのは想定外の成果が上がったという基準でよろしいでしょうか。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。中期計画に対して大幅に上回っている場合はS、上回っている場合はAの形になり、想定外の成果も踏まえ、大幅に上回っている場合はSと考えていただければと思います。

 

○永井部会長

 よろしいでしょうか。

 

○政策評価審議官

 その点について、ちょっと1つありますのは、資料1-5-1にありますが、特にSとかDを付ける場合につきましては、極めて分かりやすい理由を書いていただければ、そして他も理由を書いていただければと思いますけれども、その点、ちょっと御注意いただければという形になります。

 

○花井委員

SCですか。

 

○政策評価審議官

SDです。上のほうの点線の四角の所に書いてありますが、その3の所ですね。各委員が評価を記入する際には必ず理由を付すこととし、特にSとかDを付す場合については長期計画を大幅に上回った、または下回ったと判断した根拠を具体的に記載するとなっていますので。

 

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○花井委員

 前年度も議論になったと思うのですけれども、中期計画が今年、4年目になるのですかね。

 

○政策評価審議官

3年目です。

 

○花井委員

3年目ですかね。中期計画が、昨年度でももう中期計画の5年分の成果を全部、上げてしまっているところが散見されていて。

 

○政策評価審議官

 評価をするのは3年目ですね。

 

○花井委員

 そうすると、そこはもう3年以降は全部Sにするのかという議論があって、一方で単年度の目標値があって、その単年度目標値に対する達成度があって、この基準で中期計画だけを基準にするとなると、もう中期計画5年分を3年分で達成してしまって、あとはそれに上回るところに関してはずっとSのままになるのではないかということがちょっと評価する側としては困るところなのですが、そこはどう考えているのですか。

 政・独委のほうでは特に何か指摘があったのかどうか、ちょっと教えて欲しいのですけれども。

 

○政策評価審議官

 特には聞いてはおりません。元々、この考え方というのは、昨日はもう1つ別の議論もありまして、例えば本当に単純に計画を上回ったか、上回ってないのかで判断するのかと。例えばABの差などが分かりにくいという話がありまして、要は元々、高めの目標を達成したにもかかわらず、それを達成しただけでBにするのかとか、そういうところもありますが、そこにつきましては基本的には今、申しましたようにSとかDを付けるについては少し慎重に考えていただければと思いますが、ABCはやはり元々の目標がちょっとチャレンジングなものであるとか、そういうものでそれを達成しているのはAにしていただいても構わないのかなと。

 最終的には先生方の御判断になりますし、また、いや、統一してみなさんでこういうふうにしたいというのがあれば別ですが、基本的にはそういう考え方で、元々の目標値計画が普通ぐらいで、それを達成したらB、それでちょっとチャレンジングなものであればA、元々、中期計画で2年目、3年目にそれを達成し終わっているところではそれについて更にプラスアルファがあるかどうかも含めましてA、あるいはSを付けていただくということで、そこはもう中期計画の後、2年間の間でもやっぱりなかなか素晴らしい評価であればそのままSでも構わないと思いますし、もっと達成したら更に次のステップがあってもおかしくないのではないかと御判断されるならAにすることもひとつの考え方だと思います。

 

○花井委員

 大変、分かりやすい説明をありがとうございます。

 

○永井部会長

 よろしいでしょうか。それでは今、事務局からの説明の手順で各法人の実績評価を行っていただきたいと思います。

 では、国立がん研究センターの個別評価に入りたいと思います。最初に堀田理事長から御挨拶と平成24年度における業務実績概要の説明をお願いします。

 

○国立がん研究センター理事長

 本日はどうぞよろしくお願いいたします。国立がん研究センター理事長の堀田でございます。「24年度事業概要」という資料2-2からスタートしたいと思います。シンボルマークのあるページ1です。先ほど概要を少し御説明いただきましたが、昨年、私どもは創立50周年を迎えて、中年になったという具合ですが、独法になってからは3年目を過ぎたところです。業務については、新生物に係る調査・研究、あるいは医療技術の開発、そしてまた情報の提供、研修、政策提言といったことがミッションとなっております。私ども国立がん研究センターとしてはここに掲げた世界最高の医療と研究、患者視点での政策立案を理念として、次の7つの項目すなわち、がんの本態解明研究から国際貢献までを使命としております。

 組織ですが、平成23年度までは、研究所と病院、あるいはがん予防・検診センター、がん対策情報センターの5つの部門がありましたが、これに加えて早期・探索臨床研究センターを新しく独立した組織として位置付けました。これが詳細は後で少し説明しますが大きな組織上の変更点です。

 その他、病院機能としては、東病院と中央病院を合わせると約1,000床のがん専門病院であるということ。入院患者は病院を合わせて約850名、外来患者も両方の病院を合わせると約2,000名という、かなり大規模な病院です。職員数については、常勤は約1,600名、総職員数として2,600名という状況です。

 次ページの事業の体系です。個々の事業の項目については、それぞれの担当から後で説明いたしますが、研究開発、そして医療の提供、あるいは人材育成、均てん化・情報発信といった高度先駆的な医療の開発と普及にかかる問題、それから事業運営に関するものは、大きく2つに分けております。安定的な経済基盤の確立を目指して、収支相償するということが理念になっております。

 次に、資料2-1の「主な取組み」です。4ページからスタートしますが、実は独立行政法人になって、昨年度は3年目です。初期の2年間は、独法に伴っていろいろな組織改革を行いましたが、3年目からはきちんとした整合性のある落ち着いた組織にするということ。それから、今後がん研究センターが10年、20年を展望して新たな方向性を作っていくという、2つの大きな課題があります。1つ目の組織改正ですが、4ページの右側が平成23年度までの体制です。理事長の下、一方向の指示となっていて、案件が下から上がっていくときには企画戦略室という、センター内の情報集約の部門を通して理事長に直接上げるという、横断的な協議機関は一切なく、現場には指示だけが来るという組織形態でした。これはある意味、うまく回るときにはとてもストレートでよろしいのですが、案件が生煮えの状態で理事長の所に上がってきて、そこから指示が下りますので、相互にいろいろな軋轢を生じたり、整合性のつかない事態が多々ありました。それを是正するのに、ほとんど1年をかけたという状況です。それで、現在の状況は「新体制」という左側です。下から上がっていくときに、所属長を含めた各部門、要するに病院なら病院の運営会議、研究所なら研究所の運営会議というところでしっかり議論して、そこから上げていくということにしました。そして、部門間を共有すべき案件については、所属長の集まりである執行役員会を介して、理事長に上がってくる、あるいは理事長から指示を下ろす体制としました。それとは別に、理事長のシンクタンクとして、左側に「企画戦略局」を作りましたが、これは特命事項に対して、理事長に調査結果、あるいは施策の提言をし、理事長はそれを実行に移していくものは移していくというやり方にしました。

5ページですが、事務部門も理事長からそれぞれの担当事務部に直でつながっており、横のつながりがありませんでしたが、これを統括事務部長を置くという形で、事務部門の統括をするようにしました。診療部門についても、理事長が病院長を兼ねておりましたので、各科に直接縦でつながっていたものを横の連絡会議と申しますか、科長会議を作って調整を図るということです。

7ページです。主な組織改正の中で、特に内容が伴うものを、3つを挙げました。1つは早期・探索臨床研究センターです。これは国の早期・探索臨床試験拠点整備事業によって整備しました。これは5年の事業ですが、その後も永続的に行うための組織として独立させて、センター内に位置付けました。もう1つは、先ほど申し上げた企画戦略局です。これは政策提言等を行うために、去年まではバーチャルな組織でしたが、実体的な組織として専従者を配置しました。それから、がん対策情報センターにサバイバーシップ支援研究部、がん政策研究部という新しい時代に即応した研究も伸ばすための部門を新設しました。

 次からはそれの中身です。特に10ページですが、企画戦略局には藤原局長を筆頭に、政策室と広報企画室、それから国際戦略室に、それぞれに専従者を置くというやり方をとりました。

11ページです。がん対策情報センターの中に新たに作ったサバイバーシップ支援研究部と、がん政策科学研究部で、これは外部の著名な研究者を招聘して立ち上げたところです。

 もう1点、昨年私どもがとても精力を使ったのが総人件費改革への対応です。御承知のように、平成21年度、要するに独法になる前に比べて、毎年1%ずつ、5年間で5%の人件費削減をすることがうたわれており、これが未達成であることを何度も何度も、当局から指摘を受けておりました。実際は、医療職についてはニーズに対応するために増員も必要ですが、事務職についてはこれを厳しく指摘されたのです。平成21年度は68名でしたが、平成23年度まではものすごく増えていました。平成24年度末にはは元の人員へ戻さないと、これは言い方が悪いですが、運営費交付金を大幅に削減するということを言われておりました。まずはそれに対応するために、24名の減を図ったのです。このうちの一部は専門職としての給与表を新たに作りました。例えば知財の人であるとか、あるいは理学物理士だとか、医療職ではないけれども専門職の方を給与表を別にして、それを吸収する等々をして、削減目標をを一旦は実現したということです。しかし、これは私どもにとってはとても苦肉の策で、本来、事業が拡大している中で、あるいはがん対策に対する社会的な要請がある中で、事務職がこのように抑えられていること自体が矛盾であると指摘させていただきたいと思います。

13ページです。「今後の国立がんセンターのあり方を考える」ですが、ここから10年、20年を見据えて、今後のがんセンターがどうあるべきかを根本的に問うということで、全職員が対象のシンポジウムを4回組んでおります。この4回目は、今週の金曜日を予定しております。世界の著名ながんセンターの責任者の方に来ていただくことになっています。

16ページです。それぞれの数値目標に対する達成状況がありまます。先ほどちょっと問題になっていた中期計画と年度計画の関係ですが、実は中期計画そのものは途中で変更できないので、それはそのままにしてありますが、年度計画について一部は、余りにも現実離れしているものは変えてあります。1つ目の診療ガイドラインの採用件数ですが、平成23年度に既に中期計画を達成してしまっていますが、これ自体はそんなに毎年どんどん増えていくものではありませんので、14件と横ばいという状況です。それ以外のものはほぼ前年度、あるいは計画、あるいは中期計画を大幅に上回っていると見ていただいて構わないと思います。特に治験とか共同研究といったところは非常に伸びております。これが17ページ、18ページです。

19ページに基礎部門と臨床部門の共同研究がありますが、これは年度計画よりも下がったように見えますが、実際は新規のものだけを比べますと、平成23年度の21件に対して76件ということで、新規のものが大幅に増えています。ということは、継続のものをどんどん処理したということで、むしろこれは成果と見るべきだと思っている次第です。

 もう1つは、20ページの下に、治験申請から症例登録までFirst patient inまでの期間が、平成24年度の実績は平成23年度よりも伸びてしまっている。計画よりはいいのですが、このことについてはFirst patient in、最近はフェーズ1とかFirst in human試験と言われるごくごく早期の試験に特化していますので、そうすると対象が非常に少ないということがあって、どうしてもそれまでの期間が伸びるということと、もう1つは電子解析等をやってから患者登録をするということで伸びる傾向がありますが、実質的には手続上はむしろ減少しております。そのほかの数値は見ていただくとおりで、どれも中期計画も達成しているものが多いという状況です。個々の事項については、これから各担当に説明していただくこととしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 

○永井部会長

 評価を進めてまいりますが、個別評価については、評価シートの個別項目を4つのグループに分けて、グループごとに評価を行ってまいります。先ほど御説明がありましたが、評価の指標として、計画どおりであればB、中期計画を上回っていればA、想定外の要因を加味しており、かつ計画を大幅に上回っていればSということにいたします。

 第1グループ、項目13、研究開発に関することについての評価を行います。法人からの説明を10分、委員の評定・質疑を15分の合計25分となっております。法人からの説明をお願いいたします。

 

○国立がん研究センター研究所長

 私、中釜から説明させていただきます。資料2-23ページ、研究・開発に関する事項ですが、ここでは3つの項目、「臨床を志向した研究・開発の推進」、「病院における研究・開発の推進」及び「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」とあります。ここではNCCのミッションとして、臨床と基礎研究が連携することにより、TR、あるいはリバースTRを強力に推進することが掲げられているわけですが、この3つの項目において、それを具体的な事例として紹介させていただきます。

 資料20ページです。第1項目として、「臨床を志向した研究・開発の推進」においては、大きく6つの体制の整備及び強化、更にその成果が出ていますが、21ページ、大きな体制整備としては、先ほど理事長から説明がありましたが、早期・探索臨床研究センター(EPOC)を組織として具体的に稼働したと。このミッションとしては、First in humanの医師主導治験、あるいは企業治験、それから未承認薬での医師主導治験等を行い、更にトランスレーションリサーチを進めるということですが、組織としては柏、築地、両方のキャンパスに跨がる早期・探索臨床研究センターを設け、フェーズ1を行うグループ、さらには医師主導臨床試験を支援するグループ、更にはトランスレーションのPOCをとるグループ、この大きな3つのグループに分かれて進めております。具体的な成果としては、がんセンターの内部・外部の機関との共同研究により、アカデミア初のシーズとして前臨床段階のものが5件、フェーズ1に入ったものが3件、更にはFirst in human試験が9件等と着実に成果を上げている次第です。

22ページです。このような成果を上げるに当たって研究費の体制整備も重要で、運営費交付金の中の研究費である研究開発費の運営体制についても、体制を整備しました。ここでは外部からの有識者の意見をうまく取り入れながら、全体の運営をより効率的に進めるということで、中央に書いてありますが、運営委員会、ここは外部委員、内部委員のPOPDによって構成されますが、そういう委員会において運営方針の作成指示、中間事後評価への評価等を行う形になっています。この運営委員会とは別個の委員会として評価部会、更には理事長への諮問答申機関として外部諮問委員会、各々異なったメンバーにより構成され、更には外部有識者の意見を取り入れながら体制方針を進めております。

23ページですが、具体的なTRの事案として、ゲノム情報に基づいた個別化医療を積極的に推進するということで、ABCスタディを開始しました。ここでは、手術不能進行がん等に対して、患者の同意が得られた場合に、遺伝子変異の解析を行い、その遺伝子変異の結果、例えばHER2陽性の胃がん、乳がん症例、あるいはEGFR陽性の非小細胞肺がんの陽性例に関しては、それに対応するような治療薬を選択してフェーズ1のスタディに組み入れるような仕組みをとっております。具体的な事例としては50遺伝子のパネルを使ってするわけですが、効果判定はこの遺伝子情報に基づいたリクルートを見て行っています。さらには、治療に抵抗性を示したものに関しても、そういう症例に関しては更に治療後の生検を行うことによって、その原因を追求するような体制を整えております。

24ページですが、このようにTRを推進するに当たっては、様々な製薬企業、あるいは医療機器企業との連携、更には6NCの連携等が必要になってきて、知財の管理、あるいは戦略的なところが重要になってきます。そこで、産学連携戦略や特許戦略等を知的財産室で戦略的に行えるような体制として、技術担当、事務担当、更には法的な相談をする法務担当として顧問弁護士を雇用し、知的財産室の機能強化を行っています。

25ページです。さらには、TRを推進するためには、いわゆるTR支援をするセントラル業務も非常に重要になってきて、データの中央管理、検体の中央管理を一括して支援するような仕組みも、先ほどのEPOCの中に組み込んでおります。

26ページです。その成果としてこの1年間ですが、企業及びアカデミアとの共同研究件数としては、昨年度はトータル188件、共同研究の外部資金の導入としては約2.5億円です。右の図にありますが、職務発明に関しても、2012年ではトータルで218件の職務発明件数を維持していますが、これは昨年より若干減っています。これは内容を整理したことによります。グリーンのラインですが、新規課題に関しては、2012年度は36件と確実に増えてきており、この傾向を続けていきたいと思います。

28ページです。2番目、「病院における研究・開発の推進」のための体制として、治験、あるいは早期臨床試験、あるいは国際共同治験を強力に推進しており、グラフに平成20年度からの推移が示してあります。ブルーが中央、レッドが柏のキャンパスにおける治験件数ですが、いずれも年度ごとに確実に増えており、特に早期臨床試験、あるいは国際共同治験の件数が増えているという実績を積んでおります。

29ページです。さらに、このような医師主導治験、臨床研究を推進するに当たっては、内部監査機能が非常に重要で、医師主導、あるいは先進医療等の治験を十分に監査するための制度として、監査に関するような標準書の作成等を今年度、平成24年度に行っています。さらには、がんセンターは多施設の共同治験も積極的に進めているわけですが、そのARO機能としての監査機能も実施しており、平成24年度はトータル13件、訪問して監査を行うことも行っております。

30ページです。これは再掲になりますが、早期・探索臨床研究センターを非常に強力にセンターとしても推進しているわけで、そのホームページを作成し、更にはこのホームページを介して、コンサルテーションに関する窓口も公開しており、ここで様々な外部の機関、あるいは企業からのコンサルを受ける形にしております。

31ページです。ここでは具体的な各担当領域の特性を踏まえた戦略的な、かつ重点的な研究成果について、かいつまんで紹介させていただきます。

32ページです。これは最近話題になっている印刷工に発症した胆管がんの1例ですが、網羅的な遺伝子解析をした結果、ここに示しますようにホルマリン標本からゲノムDNAを抽出し、全エクソン解析をしますと、トータルで1,500か所の変異が見つかりました。これは通常の固形がんの例に比べると約数十倍の変異数です。非常に変異数の多い原因物質については特定はできないのですが、このようなデータを蓄積することにより、まだまだ分からない環境中のヒト発がんの原因追求を今後も続けていきたいと思います。

33ページです。肺がんの特異な遺伝子変異としてRET遺伝子融合を発見して、これに対する標的治療薬を用いた医師主導治験を開始しているところです。

34ページです。同じく肺腺がんのリスクに関する遺伝要因の解析ですが、ここでは肺腺がん症例6,000例、対象コントロール13,000人を使って、全ゲノムの100万か所に及ぶエスニックス解析を行って、肺がんの発症件数、リスク遺伝子座を同定しました。ここには4つの遺伝子座、更には2つの新しい遺伝子座を書いていますが、これらのリスク要因が同定された。これらのリスク要因を全て持つような患者の場合には、全て正常なアレルを持った人に比べて約6倍という具合に、肺腺がんのリスクが上がると。このような結果を今後、いわゆる予防的なスクリーニングに使っていければということでおります。

35ページは、腎臓がんに関してです。これはなかなか原因遺伝子の同定は難しい領域なのですが、多層オミックスということで、いわゆるゲノム、エピゲノム、トランスクリプトームを総合的に解析することによって、特定のある遺伝子関連のものが異常を起こしているということで、ここではWnt系が腎がんにおいても異常を起こしていることが分かりました。このようなことも治療に反映させていきたいと思います。

36ページには、このようにゲノムの異常が臨床の現場に役立つわけですが、これをもう少し体系的に行う、Clinical sequencingの体制を整えるということで、生検試料から迅速にゲノム異常を同定し、その結果において患者を適切なフェーズ1、臨床試験に組み込むような体制を整えており、実際に稼働しております。

37ページです。これは新しい試みですが、新しい生体を使った分子イメージの技術として、がんの低酸素領域を可視化するようなものとしてPETプローブ、SPECTプローブ、HIF1の活性化したプローブ、このようなものを新たに解析しております。まだ前臨床段階ですが、このようなものも臨床に応用できるようにしていきたいと思います。

38ページです。TRを推進するに当たって重要な研究基盤として、細胞株の樹立も進めております。ここには胆道がん、極めて難治がんであり稀少がんで、治療抵抗を示すがんですが、このような新たな治療戦略の構築のための細胞株の樹立を行っています。14株を使った具体的な例としては、ERCCが陽性例、陰性例を比較すると、陰性例の症例のほうが抗がん剤の効きがいいということも分かってきます。このような資料、研究基盤を使うことによって、今後、更にTRを推進していきたいと思います。

39ページは全がん協の加盟施設を使って、がんの生存率のインタラクティブな提示システム、KapWebを開発しました。24万症例、34部位の患者についてここで示しますが、部位だとか病気を入力することによって、各々のがんの5年生存率がインターネット上で開示できる状況です。

40ページには、がん登録を活用した政策提言の例として、群馬県のモデルケースでありますが、群馬県の地域がん登録データ及び人口動態統計データを、複数の機関で共同研究を行うことによって、その成果として、年齢調整がん死亡率の減少が鈍いとか、早期がん割合が低率とか、そのようなことが分かってきました。こういう成果を踏まえて、測定領域の健診の必要性、こういうものを政策提言として行う。このようなことに取り組んでいます。以上です。

 

○永井部会長

 ただいまの御説明はいかがでしょうか。例年、論文数とか引用数を表にして出していただいていたのですが、今年はそれはないのですか。

 

○国立がん研究センター研究所長

 この資料の1番最後のページ、105ページです。ここに2009年から2012年までの全論文数及びインパクトの高い論文の数、あるいはサイテーションの回数について、データを示しています。

 

○永井部会長

 今の御説明の中で、想定外と言わないまでも、最もインパクトの大きかった研究はどこでしょうか。

 

○国立がん研究センター研究所長

 想定外というのは幾つかあると思うのですが、大きなものとしては、まずEPOCの体制を整えることによって、実際に様々なフェーズ1が走ってきたというのは想定外です。研究成果としては、先ほどの胆管がんの事例のように、これは通常の胆管がんに比べて非常に多くの変異が入ってくる特殊なケースがある。このような事例が、我々はまだ分からない環境中の要因は存在するということを示唆するものですので、こういうものの研究を進めていきたいと考えています。それから、想定外としてはRETの融合遺伝子に関しては具体的に臨床試験に入れたということがあります。

 

 

○永井部会長

 あれは、治療薬もキナーゼ阻害薬はかなり特定のものが有効であると想定されるわけですか。

 

○国立がん研究センター研究所長

 そうですね。ここではRETキナーゼの阻害剤を使っていますが、それがかなり特異的にこの症例には効くということです。

 

○永井部会長

 まだその結果は出ていないのですか。

 

○国立がん研究センター研究所長

 それは今、遺伝子診断に基づいた患者のリクルートを始めるところで、今、症例が蓄積されている段階ですので、まだその結果については出ていません。

 

○国立がん研究センター理事長

 ちょっと追加させていただきますが、このRET遺伝子というのは、非小細胞肺がんの中のわずか1%か2%なのです。だから、100例あっても1例あるかないかという状況ですので、これをスクリーニングを掛けるには全国組織がないと無理だということで、今、全国の100施設に協力を得て、LCスクラムというグループを作りまして、がんセンターで全部解析して、既に今400例ぐらいの解析ができていると思いますが、もう既に10例ぐらいのRET陽性の患者がリクルートされています。

 

○福井委員

 研究をされている先生と臨床をされている先生との間の交流というか、行き来というか、また両方をやっているというか、そういう仕事の体制はどのように。

 

○国立がん研究センター研究所長

 それは、まず情報交換の場としては、センター全体としてリサーチカンファレンスを設けているのですが、具体的な個々の研究テーマに関しても、従来から研究者と医者の間の共同研究があったのです。もう少し体制的に、例えばEPOCを通したフェーズ1にかかわる医者・研究者が一堂に会して、毎週のように議論する場とか、例えば月1回は全体の運営会議を設けていて、お互いの情報を交換しながら、あるいはそこで進めている研究プロジェクトの進捗を提示しながら、お互いに議論する場を設けています。加えて、研究の中にもよりTRに特化したグループは、各々のグループで例えば担当の脳外科とか、緩和医療科とか共同のカンファレンスを設けていて、そのような試みが確実に増えてきているところです。

 

 

○福井委員

 外国と比べると、本当にスタッフが少ないと思っているのですが、患者を受け持ちながら研究をしているという先生もおられるのですか。

 

○国立がん研究センター研究所長

 そうですね。今、体制としては、例えばレジデントの方で、3年のレジデントのうちの1年間は研究できるとか、一部そういう体制をとっていますので、そこは積極的に推進したいと思うのと、更にはそういう方々を研究が継続できるような体制を作っていきたいと考えています。従来のリサーチレジデントの制度のようなものも行っていきたいと思います。今、臨床のスタッフの方でも、先ほど言いました脳腫瘍とか緩和とか大腸がんとか、個別のケースでは行き来をして研究に参画していますが、さすがに臨床分野の先生が自分で手を動かすことはなかなか難しいので、そういった意味でのリバースTRの体制整備強化はもう少し仕組みが必要かということで、現在それは正に進めているところです。

 

○祖父江委員

2つぐらいお聞きしたいのですが、1つは全国がん協会ですか、生存率という、全国をフィールドにした前向きの調査があります。がんセンターというのは全国の動態はセンター的に把握していただきたいということが1つはあるのですが、全国的なコホートというか、そういう非常に広域的なデータと、今、先生がおっしゃったようながんの遺伝子変異はどういう形でリンクされているのか、あるいは今後どういう形でリンクしようとされているのかを1つお聞きします。

 

○国立がん研究センター研究所長

 リンクに関して言うと、これは様々な難しい問題を含めてなのですが、今、我々はがんセンターの中でのバイオバンク、更にはそれを6つのナショナルセンターに広げた6NCのバイオバンク構築を目指しています。それの更なる展開としては、各専門センターごとに診療連携拠点があるので、そういうものとの連携を作っている最中なのです。その際には、やはり病理医の協力とか保管方法、その病院そのもので保管できるのか、できないのか。それはセンターが肩代わりするのか。そういうことを今後は進めていきたいと思うのですが、今は6NCのバイオバンク構築の段階で、一応モデルケースとして進めている段階です。

 

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

 全国の統計に関して、今、統計としては拠点病院が全国に397ありまして、そこのデータを集めて院内がん登録を行っております。がん登録がちょうど始まりまして、今年度、3年生存率まで出るようなところまで来ております。後ほど詳しく説明しますが、今、拠点病院で大体、全国のがんの65分ぐらいをカバーしているぐらいまで来ております。地域がん登録と院内がん登録を合わせた形で、全国のがんの罹患などの情報を集約しているところです。

 

○祖父江委員

 もう1点いいですか。先ほど理事長が御説明された内容にちょっとかかわるのですが、総人件費改革の所で、業務とか事業、あるいは研究をどんどん発展的に拡大していくことが、ナショナルセンターの非常に重要な任務だと思うのですが、それにもかかわらず人件費というか、減らしていかなければいけないという、そういう非常に矛盾した状況があります。それを今おっしゃっておられると思うのですが、例えば国立大学法人などでは、黒になっている所についてですが、病院の医療費などを人件費などに回して、拡大施策をとっているということがあります。先ほども外国に比べると非常に人の規模が小さいというところを、何とか補っていこうという方策をいろいろ工夫されているのですが、国の大方針があるとは思うのですが、その辺は何かお考えはありますか。大体スクラップ・アンド・ビルドで、なかなか展開できないという限界があると思うのですが、その辺は何かお考えはありますか。

 

○国立がん研究センター理事長

 実に御指摘のとおりでありまして、実際にいろいろな業務や事業は展開して拡大しているのに、事務はそうはいかないというのがありますが、例えば病院職員として、病院の収支の中で採用できるというようにしていただければ、我々はとてもやりやすいのですが、現状はそうなっておりません。がんセンター全体の予算の中で、人件費率が、事務系についてはほかの研究所も含めて管理されているという状況です。

 

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 そもそも総人件費改革は、医師とかコメディカル、全て含めて人件費を圧縮せよということでしたので、私どもとしてはそもそもそれはこれからパフォーマンスを維持・発展させていく上ではとても難しいのではないかということで、医師、あるいはコメディカルの皆さんについてはですね。現時点での方針で言えば、収益につながる限りは増やしていこうという内部的な方針ではあります。ただ、なかなか事務職員、あるいは非収益部門、研究所とか、情報センターといった所については長く収益につながるものでもありませんので、そう簡単に増やすわけにはいきませんし、正に事務職員については増やすべからずといった指導がありますので、なかなか苦慮しているところです。整理するとそういうことになると思います。

 

○内山部会長代理

 組織の改革ということで、理事長が提案からいろいろな形でかかわってくるということですが、例えば研究面については、がんセンターぐらいの規模になりますと、かなり各方面で優秀な人材は引き抜かれたり、引き抜かれて評判が上がると、更にまた違うプロモーションがかかったりすると思います。そのような場合に、研究の一貫性はどのように担保されるのか。それとも個々の研究者に任されるのか。全体として、どのような流れに持っていくのか。業務についても、収益が上がった部分を人件費に回す、ドクターに回す、あるいは医療機器の更新に充てる、そういった決定は病院の中でどのようになされているのでしょうか。

 

○国立がん研究センター研究所長

 研究に関して言うと、大学と違って、先ほど冒頭に理事長が説明されたように、センターとしてのミッションが大きくあり、ミッションからトップダウンの形で研究課題項目が設定されるところが、全てではないですが、そこが大学と違うところです。ミッションを達成するために設定された研究課題項目を継続していくような、そこが大きな仕組みだと思います。そこを常にセンターの中では進捗管理をしながら、もちろん研究費の採択状況で、厚生労働省の研究方針によっても多少変わってきますが、そういうところでは大学に比べて継続性を維持していきやすい体制にあるのかなと思います。

 

○国立がん研究センター理事長

 今の話で、理事長の専決事項に組織と人事と金銭面、これは最終的には理事長の責任の範囲内においてやるというように独法はなっています。ただし、それは私が一方的にというわけではなくて、いろいろな所からきちんと意見が吸い上げられる装置を作ったというのが、去年1年間やってきたことです。

 

○藤川委員

Sを付けていらっしゃるということで、素晴らしい研究なのだとは思うのですが、全くの素人なものですから、今の御説明を聞いても、残念ながらなぜSなのかというところがなかなか分からない。しかし、独立行政法人の評価をなぜするかといえば、税金を使ってやる意味があるからというところ、それを説得するためだと思っておりますので、素人の私にもSを付けたくなるような何か御説明を1ついただきたいということです。

 それから、22ページの研究開発の体制の所で、課題設定に関して評価部会等をやられるということですが、ここは研究に関するグループの評価ということですので、重要な研究を選ぶ体制というか、研究するべきテーマはいろいろあるのだけれども、いかに世に役立つための研究を選んでいるかということに関して、どのような工夫をされているのかという点を教えていただきたいです。

 もう1つ、各論になりますが、理事長に先ほど御説明いただいた資料2-14ページの組織改革の点で、いろいろ双方向的な議論がされるようになったという御説明だったと思うのです。各部門運営会議と執行役員会、どちらも部門間とか部門内とか、意見調整、情報共有をされるということなのですが、会がいっぱいできてしまうと、調整が逆に難しくなるという部分もあると思うのですが、その辺りでどのような工夫をされているのかという、その3つについて御説明をいただきたいと思います。

 

○国立がん研究センター研究所長

 最初の質問で、研究成果としてSである理由なのですが、一言でいうと、がんというのは非常に複雑です。個々人でがんの中身、様子、顔色は変わってきます。それを理解するには、DNAをシークエンスする、ここは非常に重要です。それを臨床に反映するには、非常に短時間にそれをしなければいけない。しかも、微量のサンプルからしなければいけないということで、まずそういうことができる体制をとるということ。さらには、技術的な改善です。2週間とか3週間レベルで患者に返せるような体制を作らないといけない。これは一言で言葉で言うよりも、かなり難しいです。さらにそれに協力するような病院及び研究者の体制を整える必要がある。そういう体制を整えた上で、具体的な成果として、肺腺がんの2%ですが、その中では特徴的な遺伝子変異を持った腺がんの症例があって、その症例には特異で薬が効くだろうということで、こういう体制を作り、更にそれを肺がんだけではなくて、様々ながんで適用できるような仕組みを作ったということが1つです。

 がんの原因について、タバコとか、様々分かっていますが、まだまだ分からないものが半分以上あります。そういうものに関して、原因を解明することによって、将来的に今後増え続けるであろうがんの患者を予防することが重要になってきますが、その予防のためには原因を知る必要があります。その成果として、1つ胆管がんの例を挙げましたが、我々が想定している以上に、非常に特徴的な異常があることが、先ほどゲノムのシークエンススクリーニングで分かってきました。こういうことが想定外の成果として今後にいかせるものだろうと考えます。

 いかにして役立つものを決めているのか。これはなかなか難しい質問ですが、基礎研究が実際に臨床の現場に役立つというところ、それがスムーズに流れるように、まず体制を作る必要があるだろうと思います。そのために、従来、基礎研究と臨床は、死の谷という大きな谷があったわけですが、それをつなげるものとしてEPOCを作りました。これによって、流れがスムーズに行くような仕組みができて、実際にその仕組みを使うことによって、First in humanの試験とかアカデミア初のシーズの治験、これが実際に想定外に多く稼働し始めています。これが具体的な成果としてあり、そういうものを見ながら役立つものを決めていくということだろうと思います。

 

○国立がん研究センター理事長

 今のに補足というか、私のほうの説明をさせていただくと、21ページのEPOCなのですが、ここにフェーズ1と書いてあるのが、臨床の一番最初の段階なのです。ヒトに初めて投与するとか、日本人で初めてとかというのがここに来るわけですが、これは日本初の創薬をするというのが、昨年の医療イノベーション5か年戦略で立てられて、その中に抗がん剤を5年間で5つ、日本全体で臨床につなげる、治験に持っていくというのが目標で立てられました。しかし、がんセンターでも既に日本全体の目標を突破しています。ただ、これが本当に薬になるかどうかはまた別の問題で、途中でアボーションしているのがたくさんありますが、少なくともこれは完全に行政側でも想定外だと思います。

 先ほどの組織の問題ですが、確かに会議体を少し増やしましたので、その点は従来に比べると一人一人にかかる時間は少し多くなったかもしれません。しかし、従来は情報が分からない。どこで何が決まったか分からないという不安の中で暮らしたということから比べれば、情報がきちんと共有できるという点はメリットだし、会議を長く続けないということで、1時間以内に終わるというのが原則にしております。

 

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 若干補足をさせていただきますと、各部門の運営会議、横割になった執行役員会とありますが、現在それぞれ月に1回やるような体制になっておりまして、基本的には各部門の運営会議で、執行役員会で、いわば幹部全体で討議をしていただきたいようなことを挙げてもらう。各運営会議で提案を決めて、それをしっかり上に上げていくという仕組みになっております。ただ、こういった組織で縦と横の会議を作りますと、確かにおっしゃるようにかえって面倒な点も出てきますが、今、私、特任補佐、ここにおります統括事務長と企画戦略局長は全ての運営会議に出席しており、適宜、執行役員会に掛かる前に、ほかの部門と何か共有しておかなければいけないところとか、協議しておかなければいけないところは、ある意味では部門間を走り回って調整をする、工夫という意味ではそういうこともしております。

 

○永井部会長

 時間になりましたので、次へ進ませていただきます。適宜お聞きになりながら、評価シートに御記入ください。第2グループ、項目4からの医療の提供に関する事項について、説明10分、質疑15分、合計25分でお願いいたします。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 「医療の提供に関する事項」について、中央病院長の荒井から御説明させていただきます。よろしくお願いします。まず資料の2-24ページを御覧ください。そこに大きく概略が、3段に分かれて書かれています。まず、この3つの柱ということで、それぞれ概要を御説明させていただきますと、初めが「高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供」ということ。それから、2つ目が「患者の視点に立った良質かつ安全な医療の提供」。そして3番目が、「その他医療政策の一環として、センターで実施すべき医療の提供」ということで分かれています。

 もっと平たく申し上げますと、まず上段の所はいわゆるカッティングエイジな、最先端の部分の、あと新規の診断治療法を開発するという部分で、これは先ほど研究所長のほうから説明がありました、EPOC、早期・探索臨床研究センターとかなり重複するところがあります。

2つ目。これは、ただ、この文言だけですと、いい医療を提供していればいいかというように取られがちかもしれませんが、当然、がん研究を行う中央がんセンターとしては、これについてはいわゆる最先端の、発見する、治す治療ではなく、そこからこぼれた、治らなかった場合も含めて、いわゆる緩和の領域まで含めて、ペイシェントケア、患者さんのケアという観点から何をしたらいいかというと、これも実はただ行うことではなくて、行ってこれを評価して、要するに新しい、より良いペイシェントケアを開発するということで、そこでいいものが見つかれば、これを全国に広めていくということで、取り組んでいます。

3番目はこの2つに該当しない、まだ段階としては新たな取組と言ってよいかもしれないが、まずはがんセンターとしてできること、そして気がついたことに関して取り組んでみて、この中から当然内容としては、やはり評価ということを常に意識していますので、もしいいものがあればそれについて、更に上段のほうに上がれる形で、それをきちんと広げる形をどうしたらいいかという、俗に言う均てん化という形も踏まえてやっていくという、この3本の柱で動いています。

 それでは一番上段の高度先駆的な医療、いわゆる一番最先端の所ですが、これについては資料の42ページを御覧ください。まず、現在新しい治療が開発されますと、それが一般診療でできる、いわゆる標準的治療になる過程では、必ず評価、エバリエーションが行われますが、1つは企業が行う治験等がありますが、そのほかには医師主導治験、あるいはかつての高度先進医療、あるいは先進医療Bといった形での取り組みが必要になってまいります。

 当然、いくつかの事務的な作業、手続等が必要ですので、これについては、最近では早期・探索臨床研究センターとタイアップをして、これをこなしていくという形で、そこに現在がんセンターでのみ行っているもの、21種類を挙げています。この詳細については、今は時間の都合で省かせていただきますが、例えば44ページ、目の網膜芽細胞腫という、これは子供さんがなる病気ですが、発生頻度が非常に低いということで、約半数を超える患者さんががんセンターを受診して、がんセンターで治療をさせていただいています。

 ということで、これについては、ここには書いてありませんが、ルテニウムという小線源を使って、視力は維持できないのですが、眼球を摘出しないで治療を行える方法として、そういった小線源治療、あるいはここで書いてあるような選択的な抗がん剤の、眼動脈、眼の動脈への注入等を行っているということが書いてあります。

 少し飛ばさせていただきますが、46ページ、消化管の早期のがんについては、粘膜、あるいは粘膜下層を取ってしまうということは、これは全国でも行われていますが、特に難しい症例に関して、麻酔科医と連携して行うということを、右の綴じ込みで見にくいのですが、年間で約100例行っています。

47ページの下ですが、先進医療、これは先進医療のBですが、ここでは上に5つ、下に2つと、病院ごとに分けて書いてありますが、実際には臨床試験という形で行われますので、登録が終わればそこで1回止まります。

 そして、ここに書いてあるもの以外でも、既に今年、乳がんに対するラジオ波が承認されて、いよいよ走り出しますし、凍結治療といったものも、既に申請が行われているということで、かなり流動的なので、これはある一断面というように御理解いただければよろしいかと思います。

 次に48ページ、これは先ほど研究所長から御説明させていただきました医師主導試験ということで、EPOCとかなり重複しています。そこの右の下段の所に書いてありますように、ここでは11の医師主導治験が書かれていますし、その左上、印刷が悪くて申し訳ないのですが、こういったきちんとした体制で治験を行っていく上では、そこに書きました、かなり複雑な、しっかりと組織がないとできないということで、こういった組織を、このEPOCを軸にして使うことで、こういった試験を進めている次第です。

 次は14ページに戻っていただきまして、先ほど申し上げたペイシェントケアについての、単に行うわけではなくて、これを開発という観点から進めて、研究していくということについて、御説明させていただきます。これについては52ページを御覧ください。まずサポーティブケアセンターということで、ここは上段の右側に現状、左側に目的と書いてあります。要するに患者さんを治療して、投げ出すという言葉は悪いのですが、その後のきちんとしたサポートができていないという現状に鑑みて、退院後のケアを地域と連携してやっていこうということ。がんセンターは築地と千葉県の柏、2箇所に病院がありますが、これは地域的には全く性格が異なる所ということで、主にこういった取組は地域と連携してまいりますので、東病院を中心に行っています。

 次の53ページ、ここはCLIBMプログラムと書いてありますが、目的という所で御覧いただきたいのですが、これは子供さんが患者さんではなくて、親ががんの患者さんの、子供さんのケアということで、既にアメリカではかなり大きく展開が行われていると聞いていますが、こういった子供さんを一定期間集めて、何回かのグループトークを行いまして、そこでどちらかというと子供さんから、いろいろな表現をするということを覚えていただいて、胸の中に溜まったものを出していただく。そして、そういう仲間がいっぱいいるということを知っていただくという過程を通じて、将来的には予後の悪い御両親等を持たれた子供さんに対するサポートを行うということに取り組んでいます。53ページの右側に書いてありますが、ここに書いてありますように、子供さんから見れば同じような境遇の友達がたくさんいるので驚いた、というような意見を伺っています。

53ページの裏側ですが、これはアピアランス支援センターと申しまして、いわゆるがんの治療に関わる外見の変化で、この外見の変化は決して馬鹿にできないものであって、例えば髪の毛が抜ける、爪の色が変わるといったことで、実際に社会に復帰したとしても、なかなか仕事に戻れないということがありますので、これをサポートすることを、アピアランス支援センターというものを作りまして、ここで実際の対応以外に、研究あるいはそこでいいものが見つかれば全国に展開していくという姿勢で、これを進めています。

 少し飛ばさせていただきまして、55ページです。これは看護部を中心にやっていますが、実際には抗がん剤治療等で様々な副作用等が生じます。それについては専門的な本もあれば、医師としての対応もあるわけですが、患者さん御自身にどのようにしたら、少しでもその苦痛が軽く過ごせるかということで、例えば口内炎が出来たときに、どのような食生活がいいのかとか、爪の色が変わったらどうすればいいか、肌が黒ずむときはどうすればいいかということを、実際にこうすると少しでもいいですよということを紹介するという、これは継続的に行っていますし、現在まで年に1回のペースでイベントを開いて、今回も先月ありましたが、500名以上の方が来られて、そこで御紹介をさせていただいています。

 最後に「その他の医療政策の一環としての、センターが実施すべき医療の提供」ということで、これは先ほどの4ページの3段目に当たります、がんを取り扱っていますので、新たな取組をするチャンスも多いという観点から、率先して取り組んで、これがどうかということを今後評価していこうといったものです。

 まず初めに57ページですが、現在の日本は超高齢化で、がん患者さん自身の平均年齢もものすごく上がっていますし、長生きされる方が多いものですから、2次がんの発生、あるいは多重がんという問題があります。更にそういう方々が御家庭で生活するということも踏まえて、そういった患者さんを、ただがんだけ治せればいいという医師ではとても対応できませんので、総合内科を作りまして、その中には糖尿病の専門家、循環器の専門家、腎臓病の専門家、救急救命の専門家、歯科の専門家が入りまして、そういった総合体制で、常にそこからのサポートではなくて、むしろがんを専門に扱う人間が、総合内科の知識も共有する、覚えるといった観点から、お互いに教え合って、そういった体制で治療を行っています。

 それから次の58ページですが、がん救急科ということで、左下のグリーンの所に括ってあります。やや専門的にはなりますが、高カルシウム血症、腫瘍崩壊症候群、あるいは通常の科学療法で出てくるような顆粒球の減少、更には麻痺につながる脊髄の圧迫骨折ですとか、上大静脈症候群といった、がんの治療に関わって起こってくる、それも緊急に対応しないと、非常にミゼラブルな結果につながるもの。そして、頻度があまり高くないために、基本的には標準的治療が確立していない領域を中心的にやっていくということで、がん救急科を創設して、現在はここでの病態に対する研究を進めています。

 そして59ページ、歯科との連携ですが、これは既にがん治療における歯科の重要性、口腔内ケアの重要性ということが謳われていますが、最近では咬合、噛み合わせがメンタルの状態にまで影響するということが言われていますので、これは日本歯科学会とも連携して、こういった活動を続けていますし、後で説明のある情報センターのほうから、こういったパネルという形で、外部に対する発信も行っています。

 最後に緩和ケアの取組を御紹介させていただきます。これは60ページに書いてありますが、そこに中央病院、東病院、そして合計と書いてありますが、御覧のように2009年以降、年を追うごとに、徐々にではありますが、確実に緩和ケアチームが診療に関わる部分が増えてきています。右側の円グラフは、赤い部分がいわゆる緩和ケア、ターミナルの状態になってから開始する方は、今は4分の1で、残りの75%の方は、もう治療の途中から緩和ケアグループが介入して、一緒に治療を行っていくという体制をとっています。

 更に左下ですが、中央病院の場合には回ってくるレジデント全てに、在宅での緩和医療の研修というのを義務づけていまして、どのような専門職を目指してくるレジデントも、一度は必ず、一応2週間なのですが、在宅の緩和の研修に、地元の先生の御協力をいただいて、自宅まで訪問してやるという、そういった接する場を設けるようにしています。

 更には関連の医療機関等との連携促進を図るということで、年間でいきますと合計で1,000名以上の、医療関係の方々との連携を通じて、緩和だけは、病院だけでは決してできませんので、病院で始めて、地域と連携をとりながら進めるという体制で行っています。大変飛ばしてしまいましたが、概要は以上です。

 

○永井部会長

 ありがとうございます。それでは、御質問をお願いします。

 

○斎藤委員

 すみません、教えていただきたいのですが、サポーティブケアセンターを設立なさった。それから、いろいろな新しい取り組みをなさったということですが、それは昨年度に企画をして、実施までこぎつけたのか。あるいは、その前からなのか。その場合、いつぐらいから企画をしていたのか、その辺りの時間軸を教えていただけますか。

 

○国立がん研究センター理事長

 サポーティブケアセンターについては、昨年度の終わりです。ですから、全く新しいものです。これは通常の緩和ケアチームが、入院患者や外来に対応するだけではなくて、地域に出ていくというのが特徴でして、そういう地域との連携をしていくという意味では、そして診断から一貫して、これはまだ実はモデルケースとして、肺がんの内科の患者さんだけを、今のところ対象としています。これをモデルケースにして、うまくいけばもっと広げていくということで、いきなり全方向にやってしまうと、とてもスタッフが足りませんし、そこまでは今はいっていません。あくまでモデルで、これをモデルとして展開していくということです。

 

○斎藤委員

 生活の工夫カードは。

 

 

○国立がん研究センター中央病院長

 生活の工夫カードもまず第1期と申しまして、最初に作ったものを昨年、一度展開しました。たまたまこれは、がんセンター創立50周年のときと重なったものですから、その1つのイベントとして行ったのですが、大変好評ということで、その後もひっきりなしに情報を提供してほしいということがあったものですから、現在はホームページに載せるとともに、更にその内容について、いただいた御意見を参考に改良を加えたものを、逐次出しています。

 

○本田委員

3つほどあるのですが、1つは「高度先駆的な医療の提供」の所で、がんセンターのみで受けられる治療はこれだけあるとか、7種類の先進医療を提供しているとか、いろいろやっていらっしゃるというのは分かるのですが、これがどれぐらいすごいのかというのが、私は素人ですので、これがどれぐらい、ほかの医療機関に比べてすごいことなのかというのを、もう少し教えていただきたいということが1つ。

 もう1つは先ほどの御質問にもあったように、このサポーティブケアセンターとか、恐らくアピアランス支援センターというのは、全くこれからのものだと思うので、大変期待しているのですが、例えばせっかくここに書いていらっしゃるので、がんの親を持つ子供さんへのCLIBMプログラム。ほかの医療機関でもいろいろやっていると思いますが、例えばこういうものとか、がん患者家族総合支援センターとか、せっかくこういうのをやっていらっしゃるので、やったことでこれだけ新しい治験が出ているとか、やったことでこういう広がりがあるとか、何かやっているということだけではなくて、もう少し評価をするのにほしい情報、もう少しアピール点をいただけないかということが1つ。

 最後にこれはすごく単純なことで恐縮なのですが、がん救急科の創設というのは大変興味深いなと思ったのですが、これは広く一般に、そういう患者さんを受け入れていることなのですか。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 ありがとうございます。まず、どのぐらいすごいか。これは大変難しい御質問をいただいてしまったのですが、先進医療のBというものについては、決してがんセンターに限らず、各大学と各地方のがんセンターからも提案が出ています。

 ただ近年、特に先進医療Bになりましてから、きちんと走らせるには手続的には、かなりハードルが高くなっているということがありまして、更に医師主導治験というものについては、決して医師が主導すれば簡単にできるというものではなくて、かなりがっちりしたバックアップ体制があって初めてできるということで、いわゆる事務的な仕事等も相当多いというように御理解いただきたい。

 ですから、特に医師主導治験については、これだけの数を同時に走らせて、なおかつ現在も次から次へと新しいものを出しているということに関しては、十分すごい内容と御理解いただいてよろしいのではないかと思っています。

 

○本田委員

 例えば他の大学病院とか、分野が違うので、がんの分野でということだと思うのですが、これだけの数を走らせている所はそうないという理解でよろしいのですか。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 申し訳ありません。今は正確に、ほかと比べていくつ、ほかの平均がいくつと申し上げるデータを持っていないのですが、圧倒的に多いです。

 それから、2番目のサポートの所に関して、評価がどうかということですが、これは先ほど理事長からのお話にもありまして、アピアランスセンターも実は本格稼働はしていません。去年、準備をどんどんしていまして、本格的な稼働は今年度に入ってからなものですから、当然評価させていただくつもりなのですが、現時点でまだ評価の結果ということをお示しできないです。

 あと、実はこういった取組は、決してがんセンターが突出しているわけではなくて、ほかのがんセンターも一生懸命、あるいは一般の病院もやっていますので、実はそことは決して排他的ではなくて、むしろ情報共有して、一緒にいいものを作っていこうと。それで雛形が出来たら、それはがんセンターの役目として、こういう雛形をみんなで使おうということを発信していくのが、がんセンターの仕事だという理解で、一応、今この領域に関しては大体トップグループとして、一番数を集めて行っているというように、御理解いただければよろしいです。

 評価の結果については、現時点では申し訳ありませんが、時期尚早でございません。

 

○本田委員

 がんの親のCLIBMについては。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 これは、アメリカではかなり評価が出ているのですが、日本で本格的に始めたのは我々が最初です。これはきちんとしたデータがありましたら、これも是非ほかのがんを扱う医療機関には、早々に紹介をして、連携して取り組んでいただければと思っています。

 ただ、日本ではまだきちんとした取組をやった所がなかったものですから、まず日本の患者さんと、例えばアメリカの子供さんにいいものが、日本の子供さんにいいかというのは、これは文化の背景、宗教の背景もありますので、そういったことはきちんとある程度日本で検証しなくてはいけないということで、まずうちで取組を始めたというように、御理解をいただければと思います。

 

○本田委員

 そうですか。私は取材で、結構あちこちでいっぱい聞いているのですが、がんセンターさんが割と早く始めた。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 第1陣で始めたのは、うちです。それから、3番目のがん救急ですが、これは本当にこういった目のつけ方で、オンコロジックエマージェンシーと申しますが、がんの患者さんが治療中に、あるいは治療に関連して、急に容態が悪くなって、原因は分かったけれども、あっという間に亡くなってしまうということで、通常、この領域の患者さん、この病態の患者さんというのは、大部分がかなり早期に亡くなってしまうということで、きちんとした治療法が確立していない。

 そして、臨床家が御自分の経験等に基づいて対応して、中にはうまくいくこともあるというレベルなのですが、これをがん救急という、1つのオンコロジックエマージェンシーの治療を専門に扱うという概念を立ち上げて、こういったものを集めて、それに対する対策を含めて、対応を確立していこうということで動き出しました。

 現在、これはまだ、決してがんセンターでもこれに該当する患者さんが毎日のように出るわけではありませんので、そういった患者さんに対して細かく対応を行って、検討も進めています。

 

○本田委員

 これは国立がんセンターの患者さんのみですか。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 現時点では国立がんセンターのみです。ただし、その中の一部に、例えばIVRという言葉がありますけれど、そういった放射線の画像診断装置を使って行う治療で、特にがんセンターが専門にやっているものに関しては、本当に一部ですが、近隣の施設に御紹介をして、具合が悪い患者さんですから、九州から来ていただくわけにはいきませんので、主に関東近隣の患者さんに関しては、必要があればこちらに患者さんを移送していただいて、治療をするということで、今後その方向は広げていきたいと考えています。

 

○永井部会長

101ページに患者満足度調査が出ていますが、診療サービス面で、診療待ち時間、診療時間、支払いまでの待ち時間、看護師の説明の分かりやすさ、これが東病院も中央病院も、いずれも低いのです。これの原因を分析して、対応はとっていらっしゃるのでしょうか。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 診療待ち時間については、常にこれは問題視していまして、先に来ていただく時間を、拝見する時間まで狭くするというような対応はしていますが、現時点で根本的な解決に至っていません。実は弱点としまして、現時点の来られる患者数、担当する医者の数に比べて、病院としての診察室の数などが、結構ぎりぎりな状態なものですから、そこを今工夫して、なかなか拡張はできないのですが、極力中をブロックに分けて、それぞれのブロックがたくさんの患者さんを一遍に抱え込んで、お待たせしないような工夫はしていますが、なかなか改善に至っていないというのが正直なところです。

 

○永井部会長

11枠にはしているのですか。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 もちろんです。

 

○永井部会長

 あと、支払いまでの時間とか、看護師さんの説明とかまで書いてあるのですが、その辺はどうなのでしょうか。全体に東病院のほうが、点が低いですね。何か理由があるのでしょうか。

 

○国立がん研究センター統括事務部長

 東病院のほうは、外来の患者数が1.5倍近く増えていまして、その結果がこのように現れていると、今は理解しています。また、病院長がおっしゃったようにいろいろな工夫を重ねて、こういう問題ができるだけ解消していくように、委員会を通じて議論しているところです。

 

○国立がん研究センター理事長

 追加させていただくと、東病院は20年前に出来たのですが、そのときの想定は、外来患者数は350名ということで建築しています。今は900名来ていますので、そもそもパンク状態なのです。できるだけ近隣の所に御紹介はしているのですが、がん患者さんはやはり離れたくないというのが結構ありまして、そこで今は外来の増築工事に取りかかるところです。

 

○永井部会長

 そうすると、むしろ地域連携とか、そちらを充実しないといけないということですね。

 

○国立がん研究センター理事長

 もともと東病院は、地域をとても重視していまして、総合患者支援センターも医師会と共同でやっていますし、そういう点はやっているのですが、絶対的に千葉県柏地区というのは高齢者がどんどん増えて、がん患者も増えている地域、全国のモデル的な高齢者急速増加地域ですので、それに対応しきれていないというのが現状です。

 

○福井委員

 先ほどの救急の所、それからがん以外の病態、関係への対応の所ですが、オンコロジックエマージェンシーだけを見たいということは不可能なわけですよね。患者さんはいろいろな症状を訴えてくるわけですので、ですからそのほかの救急的な病態にも、ちゃんと対応できる、そういう体制だということなのでしょうか。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 基本的には御指摘のように、がん救急のグループというのは総合内科の医師で、決してそこの医師が全てを診るわけではなくて、あくまで元の科がありますので、肺がんで上大静脈症候群が起こった場合というのは、肺がんの専門家が、いろいろな循環器とか、そういった救急の医師と連携して治療を行いますので、決してこのグループが単独で、こういう患者さんだけを集めて治療を行っているわけではなくて、こういう患者さんの発生がなければ、普段は腎不全を見ている先生方が、こういった症例の発生とともに、その診療科と合体して動くという体制で稼働しています。

 

○福井委員

 いや、反対でして、オンコロジックエマージェンシー以外の病気にもちゃんと対応できる体制でやられているのでしょうか、ということです。

 

○国立がん研究センター理事長

 とりあえずは、我々は総合病院ではないので、がん専門病院なので、ある意味片手落ちというか、全てを診れるわけではないので、それが逆にがん難民を生んできたという歴史もあるわけです。

 したがって、院内で対応できる範囲というのも決めて、ここまでは少なくとも院内で対応して、それ以外はちゃんとしかるべき総合病院にお願いするという連携を図っていくべきだと思っていまして、そこへつなぐまでの間というように御理解いただきたいと思います。

 

○祖父江委員

1つだけ、クイッククエスチョンをさせていただけますか。ミッションの一番上の所に予防ということが書いてあります。この予防に対して、これは政策提言とか何かと絡んでくるのだと思うのですが、どういうことを。あまりここには触れられていないのですが。

 

○国立がん研究センター理事長

 基本的には予防検診センターで、予防はコホート研究としての、リスクのファクターを検出していって、それで生活習慣を改めるとか、あるいは検診率を高めるというところが主なのですが、今後は科学予防という、もう少し介入的な予防も視野には入れていますが、それをやるには相当大規模な臨床試験をやらなければいけないので、今は考慮中というところかと思います。

 

○国立がん研究センター研究所長

 まさに今理事長が説明したように、予防に関して疫学的な研究を通して、リスク要因を抽出し、それに対してそういうものの摂取を避けようとか、そういう提言をしていて、情報を発信しています。

 ただ、より積極的に予防介入していくためのストラテジーは、今まさに組み立てようとしているのですが、よほど大規模で、あるテーマを絞ってやる必要があると考えています。

 加えてゲノム情報も取り入れながら、やはりハイリスクをまずは当面置くのかなということも、今議論をしています。

 

○三好委員

 評価に関連して、もちろんがんセンターですので、最先端のお仕事をされているということを理解しておりますが、ほとんど自己評価はSになっています。どこがSにピックアップできるかという判断材料にしたいと思いますので、例えば44ページ、網膜芽細胞腫に対する選択的眼動脈注入、なかなか難しい名前なのですが、これが実施件数、平成24年度117件。これは、例えば前年度は何件で、例えば新しくこういう方法を開発したので、今年はこうなったとか、そういうことがあればまた判断しやすいのですが、これによって症例が治癒したとか、治癒の率が上がったとか、それも1つの判断になります。その次の46ページ、EST、年間100例というのもありますが、これは前年度に比べ、新しい方法が開発されてここまで上がってきたとか、その辺の流れが分からないと、昨年も100例、今年も100例だと、それが最先端の技術であることは、もちろん理解している上でなのですが、そのような情報で、Sの判断にしたいと思いますので、是非よろしくお願いします。

 

○政策評価審議官

 今の点について、追加資料などを御提出されるということになれば、うちのほうに出していただければ、先生方に後ほどEメールとかその他でお送りします。

 

○国立がん研究センター中央病院長

 ありがとうございます。ただちに資料を作って、提出させていただきます。

 

○国立がん研究センターがん対策情報センター

 第3グループ、「人材育成、医療の均てん化、情報収集・発信、政策提言について」、がん対策情報センターの若尾が説明させていただきます。

 資料2-12ページです。今までの研究所あるいは病院の部分は、ベースラインの活動が分かりやすいですが、今回の人材育成、情報収集、情報発信などについては、どういうことをベースラインとしてやっているのかというところから、まず簡単に御説明いたします。真ん中に「国立がん研究センター、がん対策情報センター」とありますが、がんセンターでは最先端の研究、最先端の医療を行うだけではなく、全国からの情報を集めています。その1つとしては、地方自治体から地域がん登録の情報、全国に397か所の拠点病院がありますが、そちらから院内がん登録のデータを集めています。それと同時に、地方自治体に対して、研修を開いたりあるいは拠点病院の連絡協議会を開き、都道府県拠点を対象にしていますので、51か所の都道府県拠点病院と連絡協議会を開いて、がん対策について検討などを行っています。重要なのが、我々医療者だけの意見ではなく、患者あるいは御家族の方の意見を聴くということで、患者市民パネルとして、100名の方に定期的に集まっていただいて、様々な意見を頂いたり、我々の作り出す情報に対してのレビューなどに協力していただいています。

 それと同時に、がんセンターから下向きの青い矢印がありますが、人材育成では、全国の拠点病院に対して、医師・看護師などの医療従事者、拠点病院に設置されている相談支援センターの相談員あるいはがん登録の実務者などに対し、指導者研修を23コース、34回、808名、基礎中級者研修を10コース、40回、4,000名の研修を行っています。それに加え、難しい病理診断などを遠隔システムを使って、病理診断のコンサルテーションを450件、画像診断のコンサルテーションも91件行っています。

23ページです。まず、研修です。当初、中期計画では16種類の研修ということだったのですが、少ないということで、年度計画は20種類にして、それでも平成24年度には23種類実施しました。その下の「研修プログラム」の受講者数ですが、指導者研修の期間内に4,500人ということで、昨年度は808名の指導者研修を実施し、着実に受講者数を伸ばしているところです。

24ページの下の「病理診断コンサルテーション」も、中期計画では250件だったのですが、昨年度は非常に大変な状況だったのですが、400件ほど行ったということで、年度計画も300件だったのですが、さらに増やして430件の実績を残しているところです。

 資料2-261ページで、7、人材育成についてです。62ページは新たな連携大学院制度の開始ということで、東京医科歯科大学との連携大学院です。今までの連携大学院とは違う形で、医科歯科大学の大学院の中に、NCC腫瘍医科学分野というのが設置され、がんセンターのスタッフが教授会のメンバーとして参加し、がんセンターの研究センターに直接受入れをして、職員が教官として学生を直接指導するような、新しい形の連携大学院の制度が開始されました。

63ページは、地方自治体のがん検診の担当者などを対象とした講習会です。がん検診の受診率向上がうたわれていますが、さらに受診率向上だけではなく、大事なステップとして、検診の精度管理もしっかりと行う必要があります。こちらでは、各自治体のステイクホルダーを対象とした検診の精度管理に関する講習会を展開しています。平成23年から始めまして、平成252月まで、がん種を変えて、複数回の講習会を開催しています。

 こちらの資料ではありませんが、精度管理をやっている自治体の件数が、平成19年度から比べ、平成24年度時点で10%増えています。今までは、精度管理にはなかなか目が向けられていなかったのですが、50%前後だったものが60%ぐらいに増えてきているということで、これは想定外の効果だと考えています。64ページは、先ほどの拠点病院等に関する研修なので、割愛いたします。

64-2ページは、がんセンターが中央病院で受け入れているレジデントの数です。こちらについても、従来の3年の正規レジデントに加え、短期レジデントの受入期間の自由度を増やしまして、さらに多くのレジデントの受入れを実施しているところです。

65ページは、8番目の項目の「医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項」です。資料66ページです。先ほどの拠点病院の相談支援センターに対するフォーラムという形で、従来は全国一括で行ったり、あるいは県単位のフォーラムの支援などを行っていたのですが、県によって非常に格差がありまして、特に拠点病院の少ない県などで、県内で行っても余り成果が上がらないということで、ブロック単位でのフォーラムを平成24年度から開始しました。平成24年度には、九州・沖縄ブロック、中国・四国ブロックの2か所で実施しています。周囲の都道府県とミックスすることで、ボリュームが増え、同じような状況の拠点病院などと情報交換ができると。何よりも、近隣の都道府県の取組の情報を共有することで、自分たちのできていない点などを共有し、それを進めることができます。

 実際に九州ブロックで開催した結果、今まで相談支援の部会が設置されていなかった宮崎県において、このブロックフォーラムの開催3か月後に、相談支援部会が設置されたという事例もありまして、これは想定外の効果だと考えています。

 次に、67ページです。都道府県拠点の連絡協議会については、各拠点病院の問題、課題などの共有をしておりますが、平成24年度は従来の臨床試験部会あるいはがん登録部会に続いて、情報提供・相談支援部会を設置しました。設置して、相談支援センター、情報提供の充実が国の大きな課題となっておりますが、現場から、どうすればいいかという意見などを取りまとめ、アンケートを取りまして、それを国のがん対策推進協議会、あるいはがん診療提供体制の在り方に関する検討会に提言するための資料作りを、平成24年度内は行いました。

68ページです。院内がん登録については、拠点病院では従来から行っていたのですが、平成24年度は、新たに拠点病院以外の施設からの、がん登録のデータの収集を行いました。これを行うに当たっては、都道府県に推薦を求め、最終的に156施設から9万件のデータを収集しています。従来の拠点病院から集めているデータと合わせて、トータルで67万件のデータを集めたという状況です。

69ページです。予後調査の支援事業の報告書を刊行しました。院内がん登録で、特に、予後のデータを解析するに当たって非常に重要なものなのですが、今は制度の壁などがありまして、なかなかスムーズにいかない状況です。その実態を明らかにした調査を行っています。これは厚生労働省の委託事業として行ったのですが、市区町村の約半数については、有償でないと対応しないという状況で、今の状況では予後調査が十分にできないことが分かっております。

70ページです。各都道府県が発信しているがん情報について、各都道府県のホームページ等を調べて、その状況を一覧表にしたものです。各都道府県では、様々な取組で、がん情報の発信が行われているのですが、縦割りの中で、バラバラなページが、バラバラな状態で出されている状況で、横並びでの比較ができない状態でしたので、このような横並びの比較ができる形にしました。その結果、これも各都道府県の県庁担当者が、自分たちの県でできている所、できていない所が可視化され、当初始めたときに比べて、現在では各県のページから発信されている情報が、非常に充実してきています。これも想定外と考えています。

71ページは臨床試験の情報です。これについても、どの医療機関でどういう試験をしているかが全く分からない状況で、従来は医療者向けの情報として、臨床試験一覧をUMINのデータベース、日本医師会の治験促進センター、あるいはJAPICのデータベースから抽出し、がんの臨床試験の情報を発信していたのですが、今年の3月に、一般の方でも簡単に検索できるような仕組みを作りまして、部位と都道府県を入れて、さらに試験状況を入れて、病院のリストから、病院の窓口まで引けるようなシステムを作っています。

72ページの3番目、政策提言に関する事項です。73ページは、先ほど理事長から説明がありましたので、割愛します。

74ページです。6NCによる共同調査研究の合同会議を設置しました。これは、今まで6NCのまとまった活動というのが、先ほど御紹介のあったバイオバンク以外ではなかったのですが、たばこにつきましては、循環器、がん、あるいは高齢者など、多くのNCで関連するということで、各6NCの専門性をいかした、たばこ政策への技術的支援と情報共有を行うということで、合同会議を設置して、活動を開始しています。

75ページは、がん登録法制化に向けての体制検討・提言です。先ほど御紹介したのは、院内がん登録ですが、そのほかに、今までは都道府県の自主的な努力義務として、地域がん登録が行われておりました。今まで国立がん研究センターでは、地域がん登録の標準化について自治体等にアドバイスすると共に、標準システムの提供などを行ってまいりまして、ようやく昨年度、全47都道府県で地域がん登録が実施されるところまできました。これも長年の目標が達成されたのですが、さらにその後、今、超党派の国会議連により、がん登録法の作成に向けた取組がされております。その取組の技術的支援を、国立がん研究センターで行っているところです。今までの地域がん登録に代えまして、全国がん登録のデータベースを作成し、我が国のがんの罹患状況のしっかりとしたデータを出すことを想定しています。

76ページも、たばこ関係です。たばこについての情報発信をするために、ソーシャルネットワークのYouStreamなどを用いて、リアルタイムでアップデートされた情報を、どんどん発信していくという取組を開始しております。

77ページは、国際がんゲノムコンソーシアムへの参加です。世界各国が参加しているプロジェクトに、理研と国立がん研究センターが、肝がんのゲノム解析の部分で参加して、その情報を提供しているところです。

78ページは、タイのマヒドン大学とのコラボです。昨年度に御紹介したとおり、マヒドン大学と提携をしていまして、今までは単に提携していただけだったのですが、ジョイントカンファレンスを、同じく提携している順天堂大学と三者で実施したという状況です。

 

○永井部会長

 御質問、御意見をお願いいたします。

 

○花井委員

 情報発信ということで、非常に充実してきたと思います。特に、治験情報を検索できるというのは、ずっと願いだったのですが、なかなか実現されなくて、整備されたのは非常にいいかなと思います。

 例えばこのほかに、もちろんシンポジウムなどもあるのですが、ガイドラインというか、例えばがんの化学療法チーム医療のガイドラインとか、地域連携のガイドラインとか、そういったものも取り組まれているのかというのが1つです。

 それから、東病院と中央病院の話があったのですが、紹介、逆紹介というのはあると思うのですが、急性期医療機関でも、このようなナショセンの場合は全国から来る例もあろうかと思いますし、場合によっては緩和ケアでということもあろうかと思うのですが、そういうところも重要かと思います。そのデータはどこかに載っているのであれば参照するのですが、なければ教えていただきたいと思います。

 

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

 ガイドラインについては、基本的にがん研究センターとしての取組としては、ガイドラインは学会等が作成していますので、そちらに研究者として参加して、ガイドラインの作成に協力しているという状況です。

 それとは違った次元での研究班の活動なのですが、今、様々なガイドラインが各学会で作られているのですが、学会が独自に作っている状況をうまく調整するような活動ができないかというのを、研究班で組織を作って、試行しているところです。それによって、更新が遅れているガイドラインについてサポートしたり、アドバイスしたりすることができないかということを検討しております。

 地域連携については、今、397の拠点病院の状況については、厚生労働省が現況報告書という形で、毎年データを、連携先の医療機関あるいは連携の数などを集めていまして、その情報を「がん情報サービス」というホームページから発信しています。横並びに全体の検索等はできないのですが、それぞれの病院に入っていただきますと、その病院の状況については情報提供をしているという状況です。こちらは、さらに臨床試験と同じような形で検策するような仕組みは、今後必要になってくると考えています。

 

○福井委員

 海外からの研修生の受入れとか、英語でのホームページの提供とか、そういう国際性については、何か成果はありますか。

 

○国立がん研究センター統括事務部長

 資料には付けていませんでしたが、調べてみましたら、平成24年の1月から12月の間に外国人籍の研修医として、103名の方を引き受けていました。

 

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

 英語のホームページについてですが、今の時点ですと充実していると言えるものではありませんので、英語のページについてはアエラレポートをベースとして、鋭意作成中です。半年以内にはアップデートしたものを公開できると思います。

 

○国立がん研究センター統括事務部長

 紹介率の話がありましたが、中央の紹介率が98.4、東で96.3です。逆紹介率は中央で51.8、東で66.6となっています。紹介率は多いのですが、逆紹介については、地域に帰る場所を探すのが大変だというのが実態になっています。

 

○内山部会長代理

 連携大学院についてです。これまでも連携大学院はあったと思いますが、今回改めて取り上げたというのは、NCCでカリキュラムも作って、全部一貫して内部でやるということなのですか。

 

○国立がん研究センター研究所長

 東京医科歯科大学のケースですか。

 

○内山部会長代理

 はい。

 

○国立がん研究センター研究所長

東京医科歯科大学の大学院の中に、1つ講座を設けています。医科歯科の大学院を受験する方が、NCC医学分野という分野名で、そこに応募できるのです。そこに、専属の連携教員として6名を置いています。そこには、がんセンターの中で行われているアクティビティが、ある程度網羅できる形で提案してありまして、学生が選べる形になっています。

 選んだ方々は、実際の実習の場は、がんセンターの中で研究を行うということです。講義に関しては、主には大学で受ける形になっています。

 そのほかに、いわゆる大学院生を受け入れる、連携大学院という形は結構取っていまして、トータルでは14か所ぐらいです。

 

○本田委員

1つは、相談支援の件です。いろいろな形で相談員のレベルアップをされているということは分かったのですが、実際に使われていないということがずっと言われていましたが、そういう状況は改善されてきたのか、若しくはそれに対してどのような対応をしていらっしゃるのでしょうか。

 あと、患者市民パネルの活動について、従来できた当初は冊子を作るのに御意見を頂くとか、そういうことだったと思うのですが、情報対策センター自体の活動そのものを様々なところに関わるような方向のことを議論されていたかと思うのですが、その後は何か変わったのでしょうか。

 

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

1点目の相談支援センターの利用ですが、今年の1月に実施された内閣府の世論調査のデータで、「相談支援センターを利用したことがある」と答えた方が2.1%でした。ただし、2年前に行われたものが1.1%で、増えていないように見えるのですが、実数とすると100万人に相当しますので、わずかですが増えてきていると考えています。

 それと、先ほど説明を抜かしてしまったのですが、資料2-13ページです。2ページには情報を集める側が出ていて、3ページには情報を出す側のことを書いています。ホームページからの情報、あるいは冊子からの情報などに加えて、最近は民間企業の協力による情報提供なども力を入れています。これは資金的なものと、今まで我々が使えなかったルートを使って、多くの相談支援センター、あるいはがん情報サービスなどの情報提供を、様々のルートからの情報提供を拡大している状況の中で、今後相談支援センターについても認知度が上がっていくのではないかと考えています。

 それと、先ほどの情報提供相談支援部会での議論としては、相談支援センターは、今の拠点病院の指定要件では名前は何でもいいということだったのですが、やはり名前がバラバラだと覚えも悪いだろうということで、「がん相談支援センター」と「がん」を付けた形での名前の統一と、さらにロゴマークも作成しまして、それをみんなで使おうと呼び掛けているところです。

2番目のパネルについては、パネルの検討会は年2回と個別のワーキンググループを作ってやっているのですが、その中で、がん対策情報センターでやってほしいこと、あるいは相談支援センター周知のためにできること、がん登録で心配なことなど、テーマを決めて、様々な御意見を頂き、それを活動にいかしています。

 

○祖父江委員

 全国のデータベース化というのは、思いのほか進んでいてびっくりしました。ただ、拝聴していますと、院内がん登録データのもの、予後調査、各都道府県との関係で集めているもの、がん登録の法制化に向けた集約化と、多岐にわたるものが並行して動いている感じがするのです。ですから、時系列を入れた総合的な体制作りというのは、今後どのように考えておられるのでしょうか。

 

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

 がん登録と言いましても、地域がん登録はあらゆる医療機関から出すものですので、登録する項目は非常に限定されたものです。それに対して、院内がん登録は拠点病院などの、がんをやっている医療機関なので、ステージの情報とか、ある程度詳しい情報が取れますので、それらを統合するというよりは、別の役割を持っていると考えています。

 地域がん登録は悉皆性を見る、地域のがんの状況を見るためのもので、院内がん登録は、その施設のがんの状況を見るものということで、統合するというよりは、情報の共通部分は連携することにより効率化する必要はあるのですが、別のものとして使っていくことを考えています。

 予後調査については、今後法制化することにより、今まで非常にやりにくかった予後調査が、今までよりはスムーズにできるのではないかと考えています。予後情報も、全国がん登録で集めた予後情報を、拠点病院あるいは都道府県に還元することを考えています。その辺は効率化できるのではないかと思います。

 

○祖父江委員

 法制化というと、今おっしゃった幾つかのものが、法制化によって何が変わるか。

 

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

 今の法制化の骨子案で検討されているのは、バラバラで行っていた地域がん登録、都道府県が自主的にやっていたものを、国が援助した形で全国で実施するというのが中心になっています。その中で、予後の情報もしっかりと調査するということです。

 もう1つは、その法制化の枠の中で、院内がん登録についても、しっかりと支援すると触れられていますので、その辺の連携は、例えば予後の情報を流すなどで、活用できるのではないかと考えています。

 

○国立がん研究センター理事長

 補足します。例えば5年生存率を国全体で出そうと思うと、最低90%の補足率がないと、正確なデータとしては使えません。できれば95%の補足率がほしいです。

 そうしますと、先ほどのように、自治体が住民票などを対応してくれなければ、とてもうまくいきません。今ですと、7割ぐらいしかいかないという状況なので、これをどうしたら90数パーセントに持っていけるかという問題になります。

 

○永井部会長

 最後に第4グループ「効率的業務運営等について」ですが、御説明をお願いします。

 

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 資料2-26ページに、大きな評価項目を5つ掲げています。「効率的な業務運営体制」「効率的な収支改善、電子化の推進」「法令遵守等内部統制の適切な構築」「予算収支計画及び資金計画」「その他」です。それぞれについて、80ページ以降で説明させていただきます。

 「効率的な業務運営体制」です。81ページは事務職員のスキルアップということで、SD(Staff Development)研修をしています。平成24年度は5回ほど実施しました。82ページは理事長からも説明がありましたが、統括事務部長を置き、事務部門全体の動きの効率化を図っています。83ページは外部委託です。平成24年度は、健康診断業務の全面委託化を図り、業務の効率化に努めています。受診率が99%まで改善されました。

84ページは「効率化による収支改善、電子化の推進」です。85ページは平成24年度の決算です。結果的には、センター全体で、2億の黒字を計上することができています。収益の内訳は、運営費交付金が8億円ほど減らされる中、かなり苦戦を強いられましたが、診療報酬の改定もあり、入院収益が伸びたこと、外来で多くの患者を受け入れ、外来収益が6.3億円増の収益を計上しました。患者が増えるということは、診療体制を拡充しなければいけませんので、人件費、給与費の増は計上されていますが、全体収益と費用の収支差は、センター全体として2億の黒字ということです。

17ページに数値目標があります。中期計画自体がそうですが、毎年、収支相償うようなところを目標にしています。平成24年度計画ではそこを目標としていましたが、率で申しますと、100.8%で、100%を上回る数字を残せました。

 先ほど収入増の要因を幾つか申し上げましたが、経費減の観点に立ったときに、平成24年度は、預託在庫型のSPDの導入を行い、材料費を減らしています。88ページですが、ボイラーは10トンのものを4機置いていたのですが、2トンを14機と単位を小さくして、最小容量で更新する体制ができました。それから、吸収式の冷凍機をターボ冷凍機1台と、高効率の吸収式に切り換えたり、常用発電機を導入し、排熱を冷凍機の運転に利用するといった節減努力をして、2,000万円余りの節減を上げています。こういったことで、費用の縮減も努力したつもりです。

17ページです。その結果、一般管理費ですが、中期計画で平成21年度比で15.0%の縮減のところ、平成23年度も16%の縮減となっていますが、さらに17.3%まで縮減を行いました。

89ページは内部統制に関する事項です。90ページですが、かなり多くの研究費を扱っていますので、研究費関係の管理が、私どものセンターにとっては1つの大きな課題になっています。昨年度は現行組織再編をしまして、適正経理管理室を設けています。こういった体制で相談窓口も設けながら、適正な経理を行っていく体制を作っています。ここを中心にして、91ページのような研究費の不正使用防止計画を作り、具体的な行動計画も作って対応しています。

92ページです。同じようなコンプライアンスの意味では、随意契約の適正化ということで契約監視委員会を作り、定期的な点検をしています。100万円未満の小額のもの、緊急性のあるものは対象外にしていますが、それ以外の随意契約については、全て契約事由の妥当性について契約審査委員会で事前審査をしますし、前回1社応札であったり、落札率が100%であった契約については、契約監視委員会で審査をする等の努力をしています。

93ページは、それぞれの所管業務に関する自己評価を行うため、こういった自己評価チェックリストを平成24年度に導入しています。こういったことも効果が上がるよう頑張っていきたいと思っています。

94ページから、自己収入の増加に関する事項等です。95ページに外部資金の獲得状況があります。平成24年度は平成23年度に比して、厚労科研費の獲得金額がかなり落ちました。1つは、厚労科研費のがんに向けた部分の総額がかなり減少した煽りを受けまして、それが総額の減少を生んでいる状況です。96ページの長期借入金については、こういった努力により縮減しています。

97ページから「その他」です。98ページ以降、3点ほど掲げています。98ページは診療部門の組織改革、99ページは今後のがんセンターのあり方を考えるということで、シンポジウムを既に3回、今週末に4回目を予定しています。100ページは、創立50周年記念イベントとして、「がんの今と、これから」ということで、1,600名ほどの参加を頂き、盛況にイベントを行いました。

 

○永井部会長

 いかがでしょうか。

 

○藤川委員

 預託在庫型SPDの導入については、効果がどの程度あるのかが分からなかったので、教えていただけますか。

 

○国立がん研究センター統括事務部長

 平成23年度の調達価格に対して3.87%のコスト削減です。全体の診療材料費が年間に約31億円程度なので、1.2億円ぐらいが節約できています。

 

○花井委員

17ページの一般管理費の削減率です。平成23年度は16%、平成24年度は17.3%となっていますが、対前年ですか、平成21年度基準ですか。

 

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 平成21年度基準です。

 

○永井部会長

 メディアで研究費の問題が取り上げられましたが、あれは昨年度の問題としてはどういう位置付けになるのでしょうか。

 

○国立がん研究センター理事長

 そのものの発生は平成19年度で、平成20年度にいろいろな対策を打ちまして、検収制度を完備したので、それ以前の預金の問題ということです。

 ただ、それで完璧かというのは、防止対策をもっと強めていくというか。

 

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 理事長のおっしゃるとおりで、あの件はかなりの金額の私的流用があったということで、当該医師を解雇しました。その後、同様の事案がないかの調査は行っているところです。

 

○永井部会長

 教育体制、再発防止策は、十分に講じられているということでしょうか。

 

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 あの事案で申し上げますと、平成20年度前のことですので、平成20年度から、事務方による納品時の検品検収体制を敷いています。あの件について言えば、検品体制ができた後には起こり得ないようなやり方でしたので、仕組みとして防止策はとられていると考えています。

 

○福井委員

 寄附金が少ないように思うのですが、寄附金を頂いているような対応を取られて、これだけの額なのでしょうか。

 

○国立がん研究センター理事長

 正直言って、何もやっておりません。と申しますのは、隣に、がん研究振興財団がありまして、今までは財団に入れていただくということで、がんセンター自体は寄附金を受け取らないという趣旨でやってきました。それが独法になってから解除にはなりましたが、特別に寄附金を集めることはしていません。今後は、そういうこともすべきかなと思っています。

 

○福井委員

 是非されるといいなと思います。すごく感謝している患者はたくさんいると思うのです。一言いうだけで頂ける可能性が。

 

○国立がん研究センター理事長

 あと、企業からの少額寄附金は一切受けていません。

 

○福井委員

 患者のパンフレットにも書いていないのですね。

 

○国立がん研究センター理事長

 いや、がんセンターのホームページに、「御寄附をお願いします」というバナーは付けてありますが、余り効果はないようです。

 

○福井委員

 せめて、パンフレットを入院患者に持って行ってもらえるように、外来患者にも、ピックアップできるような体制を是非とられるといいなと思います。

 

○国立がん研究センター理事長

 先生の所は、むしろそれで潤っているようなところがありますから。

 

○藤川委員

 最初の入院の説明のときに、「御寄附もありますよ」と言われたらどうですか。寄附される方は増えるのではないかと思います。悪い意味ではなく、本当にやることに意味があると思いますし、そこで検体の話も、組織の提供の話もされると思うのですが、有意義だと思うので、やるべきだと思います。

 

○国立がん研究センター理事長

 従来は、寄附してもいいよというスタンスですので、余りお願いはしていなかったもので。

 

○祖父江委員

 企業からのものは受け取っておられないというお話だったのですが、企業との研究のやり取りはあると思いますが、寄附金としてはそういうことはないということですが、企業との関係でのお金のやり取りはどういうことになりますか。

 

○国立がん研究センター理事長

 共同研究と委託研究以外はありません。

 

○祖父江委員

 それはポリシー上、そうなっているのですか。

 

○国立がん研究センター理事長

 そうですね。がんセンターは、一方では国からの公的資金が投入されているということと、がんセンターというのは、がんの領域でいろいろな意味でオピニオンリーダーになりますので、適切な渉外関係を保つためには、受け取らないというポリシーでやってきました。

 

 

○国立がん研究センター監事

 今年度からこの会に参加させていただいておりますので、一言申し上げさせていただきます。

 非常勤監事としまして、平成24年度は、延べ82日ほどの日数を費やしまして、理事会、執行役員会など、主要な会議に出席するとか、未収金、公的研究費の管理といった個別の事項についても、監査をしました。

 その結果については、監査意見としては、お手元の財務諸表の33ページに記載していますので、よろしくお願いします。さらに、内部統制については、資料2-4の添付資料の48ページ以降の「監事監査」に、詳しく記載しています。これらの点については、特に付け加えることはありません。問題なく適正に行われていると判断しています。

 せっかくの機会ですから、感想を申し上げさせていただきます。最初に堀田理事長の概況の話にもありましたが、当センターも独立行政法人化以降、大変業様が拡大していますし、さらに月次の決算、予算の管理、研究費の事務委任を受けるというようなことで、業務が拡大してきているにもかかわらず、事務職員の定数枠を独立行政法人化前の段階に据置くことを、大変強く求められていまして、特に常勤職員への、今のような業務の増大に伴う負担が大変大きくなっているように、拝見してきています。

 内部統制にもかかわることですが、適切な人材配置をして、業務に当たっていただくことが、内部統制を有効に、あるいは運営を充実させていく上には必須だと考えます。

 したがいまして、当然、人を多く採用することに伴い、収支の悪化は避けなければいけませんが、ある程度の収支が許すのであれば、是非理事長の裁量で、適切な人材を配置するような方法を講じていただくことが必要ではないかと思っています。

 

○永井部会長

 それはいろいろ議論のあるところで、いつも話題になるところなのですが、引き続き検討していきたいと思います。事務局から連絡事項をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日お配りしている資料ですが、かなり分量もありますので郵送を御希望される場合は、会議終了後に事務局にお申し付けください。また、評定記入用紙の提出が難しい場合については、後日郵送で提出されるか、メールで電子媒体をお送りしますので、後日、メールでの返信も可能となっています。その場合には、81()までに、事務局に提出をお願いします。

 次回は731()10時から国立成育医療研究センターの個別評価です。場所は労働委員会会館講堂の7階で、この建物ではありませんのでご注意ください。会場は資料1-4の裏面に掲載しています。

 

○永井部会長

 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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