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2013年9月4日 第47回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成25年9月4日(水) 14:00~17:00


○場所

全国都市会館「大ホール」


○出席者

山崎、伊藤、井上、内田、大西、岡、勝田、河原、
久保田(代理:酒向参考人)、黒岩(代理:小島参考人)、小林、齋藤(訓)、齋藤(秀)、
鷲見、高杉、土居、内藤、藤原、布施、本間、桝田、山本、結城 の各委員
(岩村、齊藤(正)、林 各委員は欠席)

○議題

1 生活支援、介護予防等について
  ○1 生活支援・介護予防について
  ○2 地域包括支援センターについて
  ○3 地域支援事業について

2 認知症施策の推進について

3 介護人材の確保について

○議事

○吉田企画官 若干おくれている委員もいらっしゃいますが、定刻となりましたので、ただいまから「第47回社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 また、本日御議論いただくテーマ、介護人材の確保に関連がありますことから、社会・援護局からも出席をいただいております。御紹介させていただきます。社会・援護局福祉人材確保対策室長の武内でございます。

○武内社会・援護局福祉人材確保対策室長 武内でございます。よろしくお願いいたします。

○吉田企画官 それでは、カメラ撮影の方々はこれで退室ください。

(カメラ退室)

○吉田企画官 藤原委員、急遽おくれての出席との御連絡をいただいております。

 それでは、以降の議事進行を山崎部会長にお願いいたします。

○山崎部会長 まず、議事に入ります前に、委員の出席状況を確認いたします。

 本日は、岩村部会長代理、久保田委員、黒岩委員、齊藤正身委員、林委員が御欠席です。久保田委員の代理として酒向参考人、黒岩委員の代理といたしまして小島参考人が御出席でございます。お認めいただければと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山崎部会長 はい。

 また、齋藤訓子委員が、御都合により15時から出席との御連絡をいただいております。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。

○朝川振興課長 振興課長です。

 まず、資料1をごらんいただければと思います。「生活支援、介護予防等について」ということでございます。この中に3つのテーマがございまして、さらに1番の生活支援、介護予防の中に、それぞれ関連し合いますが、(1)から(4)の4つの柱がございます。

 1枚おめくりいただいて、1ページ目でございます。まず最初に、生活支援の充実についての論点でございます。

 現状と課題の1つ目の○ですが、1人暮らしの高齢者がふえ、あるいは認知症の高齢者がふえることで、在宅生活を支える上で地域特性に合った生活支援サービスあるいは見守り等のサービスの必要性が高くなってきているというのが1つでございます。

 2つ目は、こうした生活支援のニーズは、多様なニーズがありますので、公的介護サービス以外の柔軟な生活支援サービスを地域にふやしていくことが必要であるということです。

 3つ目の○で、一方、住民の互助活動による生活支援や見守り活動というのは、必ずしも十分とは言えない現状にあるということです。

 論点といたしまして、1つ目の○で、生活支援の基盤整備を行うことが重要ですけれども、まず市町村がその生活支援の基盤整備のための取組を開始することが必要ではないかというのが1つです。

 もう一つは、生活支援サービスを担う事業主体の支援体制の充実・強化を図ることが必要で、具体的には、市町村が中心となって地域のニーズと地域資源のマッチングなどを行うコーディネーターの配置や協議体の設置が効果的であると考えられるがどうかといったところでございます。

 少し詳しく資料を見ていっていただきますが、2ページ目は、関連する国民会議の報告書の該当部分の抜粋でございます。

 さらに3ページ目は、国民会議の報告書以外にも、例えば骨太の方針とか、政府として定めた成長戦略とか、そういう中でも生活支援サービスの充実について触れているところがあるということで、関連部分を抜粋してございます。

 4ページ目以降、具体的に生活支援のニーズについて、関連するデータを見ていっていただければと思います。

 4ページのスライドの上2つは、1人暮らし高齢者がふえ、あるいは認知症高齢者がふえというデータですが、左下、例えば買い物で不便や苦労がある世帯の割合を見ますと、丸を付しております高齢単身世帯、高齢夫婦世帯、不便を感じている世帯は非常に高い割合になっているのが見てとれます。

 右下を見ていただきますと、1人暮らしの高齢者が生活の中で実際困っていることというデータです。上から順番に見ていただきますと、例えば電球の交換、部屋の模様替え、掃除、買い物、散歩、食事、通院、ごみだし、薬をのむ。こうした日常生活上のさまざまなところにニーズがあるのが見てとれるかと思います。地域包括ケアは、1人暮らしの方でも在宅生活を安心して継続できるような地域をつくっていくという考え方でございますが、そのためには公的な介護サービスだけでは必ずしも十分ではなく、こういう比較的細々とした生活支援のニーズを満たすような地域づくりが重要だということが見てとれます。

 さらに1ページおめくりいただきまして、5ページ目の右上のデータを見ますと、これは60歳以上の住民のグループ活動のデータです。平成10年と20年を比較しているものです。この10年、高齢者の社会参加は進んできているというのが、全体としては見てとれると思います。ただ、左側のほうの健康・スポーツ、趣味、地域活動は伸びておりますが、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者を支援するという右側から3つ目の欄は、余り高くないというのが現状だというデータです。

 左下のデータを見ていただきますと、NPO等による生活支援サービスの利用状況です。年齢別で見ますと、一番多いのは80代あたり。さらに、要介護度別で見ますと、自立の方あるいは要支援の方、比較的軽度の方の生活支援のニーズが非常に高いということが見てとれます。

 右下のデータですが、先ほどの4ページ目と似たようなデータですけれども、高齢者の利用しているサービスについて、これは東京都のデータですけれども、多いものから、家事援助、配食、外出支援、通院の付き添い、緊急通報、ゴミ出しといったところにニーズがあるのが見てとれます。

 6ページ目は、こういう生活支援にかかわるサービスをやっていく上で、現状で活用可能な制度を整理したものでございます。

 7ページ目、生活支援サービスを充実していく、あるいは高齢者の社会参加を強化していくといった視点から、概念図を少し整理したものでございます。真ん中の丸のところを見ていただきますと、2つの視点から取り組みを強化したらというものでございます。左側の生活支援サービスのところは、今、見ていただきましたように、生活支援のニーズというのは非常に多様でございますが、ここにありますように、地域サロンの開催、見守り、外出支援、買い物等々といった生活支援のサービスを地域に生み出していく視点と、

 あと、右側の丸にありますように、団塊の世代が引退して地域に戻ってきておりますので、元気な高齢者が多様な社会参加をする機会をふやしていくという視点でございます。

 これが重なり合いますと、元気な高齢者が支援を必要としている高齢者を支えるような地域の循環が生まれていく、そういう地域づくりを目指していったらどうか。そのためには、待っていても必ずしもそういう動きにはつながっていきませんので、市町村を核とした支援体制の強化を図るという視点で取り組んだらどうかという概念図でございます。

 8ページ目をごらんいただきますと、今の話を少し視点を変えて整理し直したものでございます。真ん中に生活支援のサービスの提供イメージという図がございますが、生活支援は非常に多様な領域がございます。家族支援もあれば、家事援助、外出支援、配食、安否確認、いろいろなものがございます。多様な生活支援の類型は、提供されるエリアも少しずつ異なりますし、提供する主体も多様な領域でございます。

 したがって、下のほうに事業主体を書いてございますが、これは民間企業にも担っていただける分野もありますし、NPO、ボランティアといったところに頑張っていただく、地域づくりをして、そういう活動を盛り上げていくという領域でございます。

 そこを市町村が全体としてバックアップするということですが、比較的、これらの活動は個々ばらばらに行われる傾向がございますので、まずは個々の取り組みがばらばらに行われるのではなく、地域全体をマネジメントして、有機的に支援体制が構築される必要があるということ。さらに、多様な活動が地域に生み出されていくような働きかけも必要であるということで、一番下にありますように、コーディネーターの配置とか協議体の設置というところを市町村あるいは中学校区エリアで強化していく。そこの支援を強化したらどうかというものでございます。

 具体的には9ページ目でございますが、制度的にはどう対応するかということですが、上の箱を見ていただきますと、今、見ていただいたような多様な生活支援サービスが利用できるような地域づくりを市町村が支援することについて、制度的な位置づけの強化を図る。

 2つ目の○で、生活支援サービスを担う事業主体の支援体制の充実・強化。この中にコーディネーターの配置などを行うということですが、そういったことについては、市町村が行う地域支援事業の枠組みで行うといったことを考えたらどうかというものでございます。

 右下に3つ箱がございますが、具体的にコーディネーターにやっていただくような業務のイメージは、例えばボランティア、担い手を地域に生み出していくこと。そういった生み出した担い手について、実際の活動に結びつけるようなことをやっていただく。あるいは、多様な担い手を有機的に結びつけるためのネットワーク化などを図っていただく等々、そういった活動を強化して、地域のニーズと資源のマッチングを図っていくイメージでございます。

 以上が(1)の生活支援の充実についてです。

 次に、10ページ目からが予防給付の見直しについてでございます。

 現状と課題の1つ目の○にございますが、現在の予防給付は、サービスの種類・内容・運営基準・単価、それぞれ全国一律で国が定めてございます。一方、先ほど見ていただきましたように、要支援者につきましては生活支援のニーズが高く、その内容は非常に多様なものがあるという状況でございます。そのニーズに応えるためには、既存の介護サービス事業者以外にも、多様な主体、NPO、協同組合、ボランティア、社会福祉法人、さまざまな主体の重層的なサービス提供が望ましいということでございます。

 2つ目の○でございますが、一方で、そういった軽度者の多様なニーズへの対応が期待される候補としましては、家族や地域というのがあるわけですが、現状は家族・地域に十分頼ることがなかなか難しい状況になってきているということで、こういう生活支援のサービス基盤の整備を意識的にやることとあわせて、サービス提供のあり方についても、より効果的なものにしていく必要があるのではないかというのが2つ目です。

 3つ目は、元気な高齢者が積極的に社会参加し、その方たちの一部が生活支援の担い手となって支援が必要な高齢者を支える社会といったことを実現していくことで、高齢者が中心となった地域の支え合いの仕組みの構築も重要でないかということです。

 4つ目は、中長期的に介護保険料の上昇が見込まれておりますので、介護保険制度の持続性を確保していくということも重要な課題でございます。介護保険財源も活用して地域住民も巻き込みながら、要支援者に対するサービス給付を効果的・効率的なものにしていく必要があるということでございます。

 これらを踏まえて、市町村が主体となって、より地域の実情に応じてサービスを提供するために、予防給付について、同じ介護保険の枠組みでございます地域支援事業へ移行することを検討したらどうかということです。その際、地域の実情に応じて柔軟な取組ができて、効果的・効率的な事業を行えるようにするためには、どういったところに配慮すべきかを論点として挙げさせていただいております。

11ページ目は、関連する国民会議の指摘でございます。

12ページ目の下の図を見ていただきますと、上が見直し前、下が見直し後でございます。見直し前は、現行ですけれども、要介護者に対しては介護給付、23年度で7兆円ぐらい。要支援者に対しては予防給付、4,000億円ぐらい。それぞれ個別給付で人員基準・運営基準を設けながらサービスを提供する枠組みとなってございます。

 介護保険制度には、さらにその右側に地域支援事業という枠組みがありまして、事業規模で1,570億円程度でございますが、その中で介護の予防事業とか包括支援センターの運営とか、さまざまな任意事業をやっていただいています。地域支援事業は、少し技術的な話ですが、2つの類型に分かれておりまして、青く網かけしてあるところは、2号の保険料財源も入った形での財源構成になっており、一番右側の白抜きのところは、国・県・市町村、1号保険料という財源で行われているということでございます。

 今回の提案の見直し後の姿は下のほうでございます。介護給付のところはそのままですが、予防給付、要支援者に対するところについて、「新しい総合事業(要支援事業)」と書いてあります。ここを給付から事業の形に見直したらどうかという提案が1つ。もう一つは、今、介護予防事業として行われているもの、地域支援事業で行われているものについて、少し内容を見直して新しい介護予防事業とし、この要支援事業と新しい介護予防事業をあわせて、新しい総合事業という形で組み直したらどうかという提案でございます。この新しい総合事業についての財源構成につきましては、今の予防給付・予防事業と同じ財政構成でどうでしょうかという提案でございます。

 上の箱に4つ○がございますが、3つ目の○までは今、御説明した内容でございまして、4つ目の○を見ていただきますと、事業への移行にあたりましては、既存介護サービス事業者の活用を含め多様な主体による事業の受け皿を地域に整備するため、一定の時間をかけながら地域の実情に合わせて行っていくということでございます。

 1ページおめくりいただいて、13ページ目でございますが、今の要支援事業のところについて、もう少し詳しく見てみたものでございます。要支援事業のイメージというところに1番から6番まで数字が付してあります。

 まず、実施主体は引き続き市町村でございます。こちらは、地域づくりとあわせて、責任を持ってサービス提供体制を構築していただくことが、市町村には期待されるということでございます。

 2番目は、対象者ですが、対象者は要支援者としまして、現行の予防給付を段階的に廃止し、新しい総合事業の中で実施する形に持っていくということでございます。もう少し具体的に言いますと、例えば次の第6期の期間中に、今の介護給付を地域支援事業の枠組みの中の要支援事業に移行していくイメージです。さらに、要支援事業に移行した後も、現に利用されているようなサービスは、引き続きこの事業の対象にするといったことで、段階的な移行を可能にしていこうということでございます。

 3番目、利用手続きにつきましては、現行と基本的には同じような流れで、サービスを利用していただいたらどうかということで、まず要支援認定を受けていただいて、その上でケアマネジメントをしていただいて、それに基づいてサービスを利用していただくということです。

 4つ目は、事業の内容でございますが、現行の予防給付と予防事業を移行しますので、そこで対象となっておりますような予防のサービス、さらには生活支援サービスを一体的・効率的に実施する事業内容にしたらどうかというものです。

 5つ目は、サービスの基準等ということで、柔軟なサービス提供を可能としまして、まずサービスの内容もそうですし、それに応じた人員配置も柔軟に設定できるようにし、単価設定も柔軟にできるようにするということでございます。

 6番の財源のところは、先ほど御説明しましたとおり、今の予防給付と同じでどうかということでございます。

 その下の検討の枠組みの1つ目の○は、先ほども出てきましたが、全国一律の基準等によるのではなくて、市町村の判断で、ボランティア、NPO等を積極的に活用するなど、地域の実情に応じた取組が実施できるような枠組みを検討する。

 2つ目は、住民主体の取組などの基盤整備、地域づくりと言いかえてもよろしいかと思いますが、そういったものが重要となるわけで、そこは地域の状況が異なりますので、既存の介護事業者の活用も含めて、地域の実情に合わせて一定程度時間をかけて移行できるような枠組みを検討する。

 3点目は、全体として市町村における効率的な事業実施で、制度全体の効率化を図るということでございます。その際、先ほど見ていただきましたが、今の予防給付は4,100億円程度の規模がございます。一方、地域支援事業は、現在、介護給付の見込額の3%以内を上限とするということで、市町村ごとに上限が付されてございますが、この3%の上限との関係は、4,000億円の規模の事業が移行してきますので、上限の設定のあり方についても当然見直しが必要であるということでございます。

14ページ目は、現在の地域支援事業の概要でございます。

15ページ目をお開きいただきますと、参考として要支援1から要介護2までの認定調査結果をADLIADLに区分して、状態像がどういう方々なのかというのを見たものでございます。上の四角にありますとおり、要支援者のほとんどは、身の回りの動作は自立しているが、買い物など生活行為の一部がしづらくなっているということが見てとれるかと思います。これは参考です。

 以上が予防給付の見直しについてです。

 次に、17ページ目をお開きいただきまして、要支援未満の方のところですが、(3)介護予防事業の見直しについてです。

 現状と課題でございますが、介護予防事業は平成18年の改正で創設されまして、一部の市町村からは、要介護認定率の伸び率について全国と比べて抑制の効果が示されているという状況でございます。また、後で見ていただきますが、地域組織への社会参加の割合の高い地域ほど、転倒、認知症、うつのリスクが低い傾向が見てとれます。

 2つ目の○は、二次予防事業ということで、今、一次予防事業と二次予防事業を分けてやっており、その二次予防事業の対象者の目標を高齢者人口の5%を目安として取り組んできておりますが、平成23年度、直近の実績でいきますと0.8%と、低調な現状にございます。一方で、一部の市町村では、住民運営の体操の集いなどの活動を地域に展開し、元気高齢者と二次予防対象者を分け隔てなく活動を展開することで、結果としてより多くの二次予防対象者の参加を実現している市町村もございます。

 3つ目の○は、平成24年度から、昨年度から2年間かけまして、今、予防のモデル事業というのを実施しております。その成果として、リハビリテーション専門職などを活かすことにより、利用者の生活や行動に広がりが見られるようになってきているという成果も出てきつつある状況でございます。

 論点としましては、1つ目は、効果的・効率的な介護予防の取組を全国展開する観点から、地域ごとに特徴や課題、取組を客観的かつ容易に把握できるよう、いろいろな情報の見える化を推進するというのが1つ目の論点でございます。

 2つ目は、介護予防事業の内容にかかわるものですが、現状のところで見ていただきましたように、地域に活動的な通いの場を充実させるような取組の方が、結果としてより多くの高齢者の社会参加につながっているという実態を踏まえまして、一次予防と二次予防事業を区別せずに、地域の実情に応じた運用ができるように、介護予防事業を見直したらどうかというのが2つ目の論点です。

 3つ目は、予防モデル事業の成果などを踏まえながら、地域においてリハビリテーション専門職等を活かした自立支援に資する取組を推進する観点から、介護予防事業の機能強化をしたらどうかということでございます。

18ページ目は、今の予防事業の概要で、19ページ目は、予防事業を導入した平成18年の創設のときの説明の資料です。

20ページ目は、今の介護予防の全体像を俯瞰して見た資料でございます。

21ページ以降でございますが、今、全国的に介護予防の取り組みをさまざまされておりますが、幾つか好事例を掲げさせていただいております。

 1つ目の大東市の例、右上の介護予防の取組の変遷の2つ目の○を見ていただくと、大東市では、一次予防、二次予防の対象者の枠組みにとらわれず、自治会、町内会単位で住民主体での活動の場の普及に取り組むということで、さまざまな住民主体の活動をつくっていくということをやっていらっしゃる。

 その中で、右下の箱にありますように、専門職、リハ職、保健師などが体操教室の立ち上げの際に関与したり、3つ目の○にありますように、必要なときに市のリハ職が訪問して、痛みがでない運動法を指導するとか、そういう有効な関与の仕方をしている。その結果、右側の真ん中のほうに数字が書いてございますが、65歳以上高齢者のうち二次予防対象者の参加の割合は2.7%を実現している。

 さらに、左下の折れ線グラフにありますとおり、要介護認定率は比較的低く抑えることができているという成果を出している実例でございます。

 その他、幾つか事例をつけております。22ページ目は総社市、23ページ目は武豊町の例です。武豊町は、一番上の箱にありますとおり、町と大学、社協が一体となって、住民ボランティアに対して支援をし、支援の内容は、サロン立ち上げとかボランティアの育成といった活動ですが、徒歩15分以内にサロンを設置していく。そんなことを取り組んでいらっしゃるということです。

24ページ目は利根町の例で、健康プラザで講習会をしまして、それを修了した高齢者、住民ボランティアをシルバーリハビリ体操指導士として、その人たちが各地域に体操教室を立ち上げていく。そういう地域の中にいろいろな住民主体の活動が連鎖して立ち上がってくるような取り組みをすることによって、認定率もかなり下がっておりますが、右側の真ん中辺にあります介護予防の参加の割合も高い、10%の割合を実績として出しているということでございます。

25ページ、26ページ目は、以前も少し別の文脈で御紹介したかと思いますが、北杜市、佐々町の有効な取り組みの例でございます。

 さらに27ページ目は、全国の調査研究の成果の一つでございますが、右上、左下、右下と、幾つか相関関係を示した図がございますが、スポーツ関係あるいはボランティア関係、趣味関係のグループ等への社会参加の割合が高い地域ほど、転倒や認知症、うつといったリスクの低い傾向が見られる。そういう相関関係が見られるということで、元気な高齢者も含め、いろいろな社会参加ができる機会を地域にふやしていく。そういう取り組みが効果を生んでいるということを示唆するデータでございます。

 次に29ページ目を開いていただきますと、先ほど高齢者人口の5%を目安に二次予防事業に取り組んできていることを申し上げましたが、右下にありますとおり、今の実績は0.8%であるというということでございます。

31ページ目でございますが、現在、介護予防事業については、この表の一番下にありますとおり、約440億円の全国での事業規模でございます。そのうちチェックリストを配布してという二次予防対象者を把握するための費用は、一番上にあります150億円、約3分の1を占めている現状です。その結果、0.8%という低調な参加の状況であるということでございます。

 次に32ページ目、昨年度から取り組んでおります予防のモデル事業の御紹介でございます。こちらは、リハ職も含めて、多職種がケースカンファレンスをまず開きながら、生活行為の改善の見通しをつくっていく。その中で、この図の真ん中に網かけでありますように、予防のサービスとして、通所・訪問のサービスを専門職が展開し、あわせて右側にありますさまざまな生活支援サービスを提供していく。この左側にありますような予防の通所と訪問の活動は、一定の期間を区切りながら行い、将来的には住民主体の参加の場に移行していっていただくような取り組みをやってみているモデル事業でございます。

 もう少し具体的に34ページに生駒市の例をつけておりますが、左下に自立支援の流れということで整理されています。要支援者あるいはその前後の方々を対象にしている事業ですけれども、地域包括支援センターがニーズを把握し、まず訪問をし、その後、リハ職なども入った多職種のケースカンファレンスを開き、目標設定、支援方針を決める。その上で、おおむね3カ月ぐらいをめどに、通所型・訪問型の予防サービスを展開し、そこから先は住民主体の参加の場、通いの場につなげていく。そういう取り組みを、地域に生活支援のサービスを生み出すこととあわせて実施している取り組みでございます。

36ページ目に、今、中途段階ですけれども、その成果の状況を掲げております。

 左上は、このモデル事業に参加する群と比較群と少し分けて、比較できるような形で事業を実施しておりますが、家事、活動、参加、いずれの分野においても、このモデル事業に参加された方は生活や行動に広がりが見られるようになっているという状況でございます。

37ページから39ページ目は、このモデル事業の中でリハ職がケースカンファレンス、あるいは通所事業、訪問事業に効果的にかかわることで、生活、行動に広がりに出てくる。そんな成果が上がってきているということを示した資料でございます。

39ページ目をごらんいただくと、例えば訪問事業の中では、右下のほうにありますが、OTが関与することで、例えば玄関の上がり框が動作の支障になっていることで踏み台を設置するとか、自宅周辺に坂が多いので歩行補助具を変更するというかかわりをリハ専門職がすることで、外出の行動範囲が広がるといった成果を出すような事業でございます。

 次に40ページ目からが、関連して高齢者のリハビリテーションについて少し整理させていただいております。

 現状と課題の1つ目の○でございますが、地域包括ケアシステムの構築に向けて、医療専門職のみならず、全ての従事者と高齢者本人・家族が、リハビリテーションの理念を共有することが重要であるということでございます。

 一旦、42ページ目を開いていただきますと、こちらはICFの機能分類でございます。真ん中に点線枠囲みしたところがございます。人が生きていくための機能全体を「生活機能」としてとらえまして、3つの機能を挙げられています。一番左が心身機能・構造ということで、リハビリテーションとの関係でいきますと、リハビリテーションと言いますと、ここが中心のイメージが持たれますが、単に心身機能・構造に着目した機能回復訓練だけではなくて、真ん中の日常生活の活動とか、右側の家庭・社会への参加といった3つの機能全体を生活機能としてとらえて、リハビリテーションをやっていく。

 その際、本人へのアプローチとともに、居場所づくりとか環境へのアプローチも重要であるという概念でございます。

 関連して43ページ目でございますが、横軸に時間軸をとりまして、縦軸に生活レベルをとっておりますが、比較的早い段階では、心身機能へのアプローチ中心になりますが、それが時間の経過とともに、例えばここにIADLの訓練とありますような活動のアプローチにだんだん重点が移っていき、最終的には住民主体の通いの場への参加とか、参加へのアプローチを強化していく。そういうような全体、時間軸と生活のレベルに合わせてリハビリテーションを展開していく。そんな考え方であるということでございます。

 戻っていただきまして40ページ目でございますが、今、見ていただいたようなことを2つ目の○に整理して書いてございます。

 3つ目の○ですが、現状ではADLが比較的自立している要支援者に対する通所・訪問リハビリテーション、こちらは介護保険のサービスですが、これについては機能回復訓練に偏っている傾向がある。また、要介護度4、5の重度者に対する通所リハビリテーションは、そもそも利用になかなかつながっていない現状があるということです。

 論点としましては、1つ目の○は、リハビリテーションの理念を踏まえながら地域づくりを推進すべきではないか。

 2つ目は、ADLが比較的自立している要支援者に対しては、既存の居宅サービスによるアプローチだけではなくて、地域の多様な主体による様々な活動を創出するアプローチの方が、社会へ参加する機会がふえるのではないか。

 3つ目は、重度の要介護状態であっても、地域から孤立した状態にならないように、通所・訪問リハビリテーションが積極的に働きかけることが重要ではないかということでございます。

 以上が1つ目の柱でございます。

 次に、2番目、地域包括支援センターについてです。

 現状と課題は、今までも御説明してきておりますので、省略しまして、47ページ目でございます。

 論点の1つ目ですが、高齢者の増加、支援が必要な75歳以上高齢者もふえ、認知症高齢者もふえてきております。それに伴って相談件数もふえてきておりますので、業務量に応じて職員体制を適切に配置すべきではないか。

 2つ目は、前回の議論、今回の議論、いずれも地域包括支援センターに関連して、幾つか強化する話、内容を提案しております。例えば地域ケア会議、在宅医療・介護連携、認知症施策の推進といったことがございますので、従来の枠組みによる人員配置などの体制とは別に、人員体制の強化も必要ではないか。

 3つ目は、包括は委託型が70%ございますが、その委託型に対して市町村が提示します委託方針を、より強化した内容を提示するように促す必要があるのではないか。

 4つ目は、包括支援センターの事業内容を評価することになっているわけですが、こちらも効果的な評価の実施を促すことが必要ではないか。

 5つ目は、そもそも包括支援センター自身の認知度向上も重要ではないかということでございます。

 次に、資料、飛びまして58ページ目、大きい3つ目、地域支援事業についてでございます。

 まず、現状と課題でございます。大体、今まで見てきていただいたところですが、2つ目の○に大体の事業規模が書いてございます。国費ベースで623億円、事業費ベースで1,761億円という事業規模になってございます。

 1枚おめくりいただいて、論点ですが、前回の議論と今回の議論、全体を捉えてみますと、ポツが幾つか書いてございますが、この地域支援事業にかかわってこのような充実あるいは見直しの関係があります。医療、介護連携の充実。認知症施策の充実。きょう御説明しました生活支援の充実。予防給付の見直し。介護予防事業の見直し。これら、いずれも地域支援事業にかかわってくるものでございます。

 これに関しまして検討内容としましては、そもそも地域支援事業の柱立てを見直す必要があるであろう。今は、介護予防事業、包括的支援事業、任意事業の3つの柱立てになっていますが、これらを充実する内容なども踏まえて、見直す必要があるということ。

 2つ目は、充実する以上は、そこに伴う財源の確保が必要でございますので、ここをしっかりやっていく必要がある。

 3つ目は、先ほども予防給付のところで少し出てまいりましたが、上限のあり方もおのずと見直していく必要があるということでございます。

 4つ目は、任意事業の見直しと書いてございますが、内容面から規律のあるものにすべきという意見もございますので、そういったことも踏まえながら、任意事業の見直しもあわせて検討していくということでございます。

 資料1については、以上です。

○山崎部会長 どうぞ。

○勝又認知症・虐待防止対策推進室長 資料2の認知症施策の推進について、引き続き御説明させていただきます。

 まず、1ページをごらんいただきまして、現状と課題でございます。

 高齢者人口の約1割が、要介護認定を受けたもののうち認知症日常生活自立度ローマ数字2以上の認知症高齢者で、要介護認定者の約6割となっております。また、今後も認知症高齢者は増加することが予測されておりまして、4ページをごらんいただきたいのですけれども、本年5月に公表されました朝田研究班の報告では、要介護認定を受けているが、認知症日常生活自立度ローマ数字1の者や、要介護認定を受けていない者を合わせた認知症有病者数は、約439万人と推計されております。また、MCI、正常と認知症の中間の有病者の数は、約380万人と推計されているところでございます。

 5ページと6ページをごらんいただきますと、これは以前から出している資料でございますけれども、自立度ローマ数字2以上の方が2010年で280万人。そして、その方々の半数が在宅で生活されておられるということでございます。

 7ページは、介護保険総合データベースで24年度末における65歳以上の要支援・要介護認定者のうち、一次判定時の認定調査結果における認知症高齢者のローマ数字2以上の方の割合を表に示しております。これをごらんいただくと、点線の箱に括っているのですけれども、二次判定における要支援2と要介護1の判定では、認知症高齢者のローマ数字2以上の方は要介護1と判定されることとされておりまして、理論的には要支援2で自立度ローマ数字2以上は存在しないということを記載しています。

 二次判定時に介護認定審査会が判断した自立度自体は記録されておりません。また、二次判定における要支援2と要介護1以外の判定では、自立度の判定をすることになっていないということです。このため、参考値として、一次判定時の認定調査結果における自立度について集計したものであるということでございます。

 次に、1ページに戻っていただきまして、これまでの主な認知症施策は、早期診断・対応の遅れにより認知症状が悪化したり、あるいは地域で可能な限り生活を続けていくための介護サービスの量や質が不足していたりと、さまざまな課題が指摘されてきたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」を実現していくということで、8ページにございますようにオレンジプランを策定いたしまして、これまでのような行動・心理症状により「危機」が発生してからのものではなくて、事前・早期に対応していこうということで、認知症施策推進5か年計画を策定いたしまして、本年4月1日から実施しているところでございます。

 2ページをごらんください。

 論点でございますけれども、認知症に関する取組は、これまでも地域支援事業の一般高齢者対策の一環として行われてきたところですけれども、認知症日常生活自立度ローマ数字2以上の認知症高齢者が要介護等認定者の約6割となっておりまして、介護施策の重要課題となっていることを踏まえますと、認知症施策は全ての市町村において今後重点的に取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。そのため、地域支援事業におきまして認知症施策を充実するべきではないかと考えております。

 特に、論点の上から3つ目の○でございますが、制度改正に関係するものといたしまして、地域包括支援センター等の職員が、認知症の初期の段階で、認知症の人やその家族に対して個別の訪問を行いまして適切な支援を行う仕組みとして、「認知症初期集中支援チーム」を地域支援事業として位置づけるべきではないかということです。

 また、4つ目の○でございますけれども、地域の実情に応じた認知症施策の調整や、医療と介護のネットワークなどを行うために、地域包括支援センター等に「認知症地域支援推進員」を設置することを地域支援事業に位置づけて、体制の強化を図るべきではないかと考えております。

 具体的には、9ページをごらんいただきたいと思います。40歳以上で在宅生活をしておられて、認知症または認知症の疑いがあって、医療・介護サービス利用していない人などに対しまして、医療系専門職、介護系専門職がペアで訪問いたしまして、○3にありますようにアセスメントを行いまして、○4、本人・家族に対して認知症についての理解や医療機関受診の必要性、それから家族への心理的サポートなどを行い、○5で、サポート医である専門医を交えたチーム員会議で支援方針等について検討を行いまして、○6、医療や介護保険サービスに順調につなぐまでの間、このチームが支援していくというものでございます。これらのチームを地域包括支援センター、市町村あるいは診療所・病院等に配置いたしまして、初期の支援を行うというものです。

 また、先ほどご説明しましたように、認知症地域支援推進員は、初期集中支援チームと連携しながら、認知症施策の調整や医療と介護のネットワーク等を行いまして、地域において安心して認知症の方がお過ごしになれるような対応を強化していく必要があるのではないかと考えております。

 そのほかの論点といたしまして、12ページをごらんいただきたいと思います。認知症の人への支援にとどまらず、その家族に対する支援を、認知症カフェの開設を行うなど、地域住民と行うとともに、認知症の普及・啓発を行って理解を深めていっていただくということ。

 それから、1314ページでは、認知症施策を担う医療と介護に働く人々の人材の育成について、さらに向上させていくべきではないか。

 そして、15ページ、16ページでございますけれども、地域包括ケアシステムの構築を図るために、認知症サポーターの方々など、インフォーマルなサービスや他制度も用いて、認知症に優しい街づくりを積極的に行うために、まず関係省庁と連携いたしまして、社会全体で認知症の人を支える取り組みを展開していく必要があると考えております。

 最後に17ページ、認知症に関する予防・診断・治療、ケア技術等の確立に向けた研究等を、これから積極的に進めていくべきではないかということでございます。

 以上です。

○朝川振興課長 引き続いて、資料3について御説明させていただきます。介護人材の確保についてでございます。

 時間の関係もございますので、現状のところは省略させていただいて、3ページ目、論点でございます。

 1つ目の○は、国・都道府県・市町村が役割分担しながら、4つの柱で取組を進めていくということで、4つの柱は後で見ていただきます。

 3つ目から5つ目の○までですけれども、こういう役割分担をしながらですが、都道府県につきましては、今でも介護保険事業支援計画で介護人材確保について記載することになっておりますが、広域的な視点から総合的な取り組みを進めていただくことに際しまして、下から2つ目の○ですけれども、今、都道府県ごとに介護人材の推計を行うことは余りやられてございませんので、一番下にありますように、国もワークシートのようなものを整備しながら、都道府県に介護人材の推計をしていただき、それに基づいて、分析の過程で明らかになってくる課題に応じ具体的な対策を進めていけたらというのが、ここの論点に挙げているところでございます。

 資料、飛んでいただいて8ページ目ですけれども、先ほど4つ柱があると申し上げた1つ目は、参入の促進という視点です。上半分が、現在、いろいろな取組を進めている内容を整理してございまして、下半分、緑から下のところが今後の方向性として、強化、取組をしっかりやっていく方向性を書いております。

 全ては御説明いたしませんが、例えば○1学校、学生、保護者に対する働きかけの強化。○2介護の専門職の領域も重要ですが、少しすそ野を広げることで、生活支援の担い手をふやす取組をしていく必要がある。○3は、例えば情報公表制度というものがありますが、そういったところで介護職員の労働条件の公表などを推奨していく取組を推進していくということでございます。

 2つ目の柱は11ページ目でございますが、キャリアパスの確立ということで、こちらも上半分が現在の取組でございます。例えば、左上にありますとおり、これは順次進めてきておりますが、まずヘルパーの2級研修を見直して、初任者研修と位置づけ直したのを今年度から実施しております。そこから実務者研修を経て介護福祉士になり、さらには今、検討中ですけれども、認定介護福祉士と、キャリアパスの道筋をだんだんつけていくという取組が1つ。

 真ん中は内閣府の取組でございますが、キャリア段位制度も今、動き出しているという現状でございます。

 下半分で強化の方向性としましては、○1、キャリアアップを図っていけるような研修の受講支援。○2、事業運営規模の拡大、あるいは法人の枠を超えた人事交流や研修の実施の推進。○3、○4、介護福祉士制度の改正後の円滑な施行。○5、キャリア段位制度の活用などを通じたOJT研修の促進といったことに取り組んでいくということでございます。

 ここに関連しまして、13ページ目でございますが、人材確保、特に介護福祉士に関連しまして、准介護福祉士についての状況の報告を少しさせていただければと思います。

 現在、准介護福祉士という仕組みが法律上、規定されておりまして、現状のままですと、1番上の箱にありますとおり、養成施設修了者に国家試験の合格が義務づけられます平成27年度以降に、准介護福祉士という方々が発生してくることになっております。

 この背景としましては、2つ目の箱にありますとおり、フィリピンとEPA協定を結ぶときに、国家試験の合格が必要でない、従来の制度を前提にEPA協定を結んでいた。その後、平成19年に国家試験を義務づける改正がされて、その際、フィリピンとの関係で、不合格になった人も日本に在留できるようにするために、1つはそういう趣旨で准介護福祉士制度というものが創設されています。

 ところが、その後、3つ目の箱ですが、フィリピン政府は、就労コースの送り出しに注力して、就学コースについては送り出しを停止しておりまして、フィリピンとの関係では、この准介護福祉士資格の意味は実態上、なくなっている状況でございます。したがって、現状のままだと、27年度以降は日本人にのみ国家試験不合格者になると准介護福祉士になるという、少し変な状況が発生するということでございます。

 このことについては、国会の附帯決議等でも触れられておりまして、2つ目の○にありますが、改正法の附則、国会の附帯決議で、フィリピン政府と早急に調整し、速やかに介護福祉士資格へ統一化することとされています。

 一番下の○にありますとおり、現在、フィリピン政府と交渉中で、両国間で一致ができ次第、准介護福祉士の廃止が可能になる状況にあるという御報告でございます。

 続きまして、1ページおめくりいただいて14ページ目、3つ目の柱は、職場環境の整備・改善ということです。

 取組の方向性としましては、いろいろな福祉機器を利用していただいて職場環境の整備を図る。そういったことに助成金を出していく。あるいは、ロボットの開発を推進する等々でございます。

17ページ目が処遇改善でございます。こちらは、一番下にありますが、介護報酬の改定を通じて、介護職員の更なる処遇改善を図るとともに、事業者による取組の促進策を検討するということでございます。

 あとは、いろいろな都道府県で、もう既にユニークな、前向きな人材確保策の取組がされている例がございますので、参考につけさせていただいております。

 一番最後、27ページ、28ページ目に、人材確保の問題、重要でございますので、今年度の研究事業、老人保健増進等事業の中でも有識者の方に集まっていただいて、介護人材確保の推進についての議論を少ししていただいている途中経過について、概要を整理したものでございます。28ページ目に具体的な議論いただいている内容を整理させていただいております。御参考までにということで、つけさせていただいております。

 以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの資料説明に関しまして、御自由に御発言をお願いいたします。結城委員。

○結城委員 私、発言要旨をまた用意しましたので、それに沿って発言させていただきたいと思います。全体的に今回は、資料1のみ発言させていただきます。

 まず、私の考えを事務局に対して述べたいと思います。ただいま説明があった事務局案では、理論上、御利用者さんの極端なサービス抑制にはつながらないと、私は今のところ考えています。しかし、これは市町村の力量によって格差があり、懸念があります。また、地域格差が生じる懸念が非常にあります。また、何のためにこの制度改革をするのかというところがちょっと疑問があり、制度改革するにはシャドーコストとかイニシャルコストがかなりかかって、お金がないと言いながら、かなりの経費がかかるのではないか。それに対する費用対効果で制度改革する意義があるのかどうかというのは、甚だ疑問です。

 そのため、私としては要支援1のみをまず地域支援事業に移行し、現行どおり要支援2は介護給付で存続すべきと考えます。その後、検証しながらやっていくのも、これは国民会議の案である段階的な移行でも、私は合っているのではないか。その辺を非常に懸念材料として考えています。

 論点を挙げていた予防給付の見直しですけれども、私の意に反して、もし事務局案が遂行していくのであれば、1番目は、これはかなりの大改革になりますので、この辺の市町村の事務経費、パソコン、コンピュータの改良とかもかかると思います。この辺を財源措置する。2つ目は、今回の改革は各市町村の介護保険事業計画委員会とか地方議会が主戦場になると思いますので、早急に通知をする。3番は、経過措置。このことを対応しないと、利用者にすごくデメリットが生じるかと思います。

 3番目の論点は、事務局案でおおむね私は賛同できます。

 4番目は、訪問リハ系の職種が少ないので、この辺の対応が必要かと思います。

 5番目は、かねてから申し上げているように、この論点。これは古い資料ですので、47ページになります。今回、自治体の地域包括支援センターの役割というのが、何でもかんでも地域包括支援センターに来るというのは非常に大変なのかなと思いますので、自治体の直営というのも1つ考えていくべきだと思います。また、包括支援センター職員の力量不足というのも、一部考えられますので、その辺の措置が必要かと思います。

 6番目、ここは非常に大事なのですけれども、短期的には給付削減には理論上なりませんが、この尺度を給付費に対して現行どおりやらないのであれば、例えば高齢化率の上昇を尺度にするのであれば、長期的に見ると軽度者へのサービス削減につながっていくと私は考えます。ただ、今回は事務局案からの青写真を提出しているので、細かいことがわかりませんので、以下の5つの質問をしたいと思います。

 時間もありませんので、1番目は、財源が現行の23年度ベースでいくと、約6,000億円をきちんと保障するのかどうか。ここがサービス削減をされるか、されないかの一番のポイントなので、事務局にお尋ねしたい。

 2番目としては、介護報酬システムを要支援1、2に使うのかどうか。地域支援事業に移行した場合、現行で2次予防事業ですと委託などがありますけれども、この国保連システムというのをきちんと踏襲するのかどうかということをお伺いしたい。

 3番目は、要介護認定に関して、事務局の説明によると、認定は要支援1から要介護5まで7段階あるように私は理解しましたけれども、大幅な改正はしないのかどうか。この辺をお聞きしたい。

 4番目は、市町村に運営基準や人員配置基準。特に生活支援のところに、どこでも市町村がやればオーケーなのかどうかという、この辺の基準について、お伺いしたい。

 5番目は、地域間格差について、どうなるのかという見解をお伺いしたいということで、その辺をよろしくお願いします。

 以上です。

○山崎部会長 では、内田委員から。

○内田委員 要支援1、2を介護保険から切り離しではなかったというのでは、安心した方もいるかもしれないのですが、幾つか不安なところがありますので、それをちょっと申し上げたいと思います。

 まず、やみくもに事業を実施するということはあり得ないので、例えば地域支援事業に移行したときに、御利用者のアセスメントとかプランの作成というのが当然必要になってくると思うのですが、先ほども結城委員からお話出ましたけれども、要支援者の130万とか140万の方を、現在の地域包括支援センターのあの数で十分やっていけるのかどうか。あるいは、中の職員の方たちでやっていけるのかどうか。それは、数とか持っていらっしゃる能力といったことで、やれるかどうかという不安ですね。

 それから、多様な事業主体ということをおっしゃっています。それはすごくよさそうなのですけれども、運営とか人員というものについて基準がないということで、そうすると実施内容はどうやって担保されていくのかということが心配な点です。自立支援という理念が守り通せるのかどうか。市町村の裁量とか柔軟性ということで、それはよいのですけれども、これが大きな格差を生む結果になるのではないかということがあります。

 あと、共助というのはすごくすばらしくて、そういう社会が実現すればいいと思うのですが、そうすると、どこがあるお一人の御利用者に関して、一貫して全体を見ていくのか、責任はどこにあるのかというのがどうなるのだろうという不安もあります。

 それから、重度化を防ぐことがすごく重要なわけで、その介護保険の理念を守った介護サービスというのが必要になる。ですから、単なる生活の継続、つまり表面的には掃除ができないとおっしゃったから、掃除を全部請け負いますといったサービスでは意味がないわけですね。確かに計画を立てながら移行していくと伺っておりますが、とにかく軽々に移行するのはどうかなというのが心配です。

 地域包括支援センターについては、今、申し上げましたとおり、人員とか数とか教育ということについて、十分見直しをしていただきたいというのと。それから、地域包括支援センターに対しての評価というのはどこで行われていくのかということもあります。

 あと、認知症の方の介護に関してなのですが、今でも介護関係者で十分な理解がない、知識がない方々も多いので、そういう方々への教育を充実させていただきたい。それで、認知症の実践者研修なのですが、まだまだ一般介護職が受けられないような状況も生じているところもあるのではないかと思うのです。管理者になるために受けるということで、こちらのほうももっと充実しなければいけないのかなというのと。

 それから、四、五日の研修で認知症介護がわかるか。医学的な知識があったら認知症介護ができるわけではない。御利用者の徹底的な理解というものができるようになってこそだと思いますので、その点などの教育もぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 最後に介護人材のことですが、准介護福祉士の成り立ちについては、日本介護福祉士会としても十分理解しておりますけれども、この制度が介護福祉士の評価を上げるかというと、そんなこともなく、また介護福祉士の資格制度を複雑にするだけというところもありますので、このまま廃止の方向でぜひとも御尽力いただきたいと思っております。

 それと、介護人材の確保についてですが、介護福祉士の資格を持っている方の中で三割四割が介護関連の仕事についていない。あるいは、介護職になったけれども、定着しないといった方々がおっしゃっているのは、労働と給与が見合わないといったところがあります。もちろん、やめるのはそれだけの理由じゃありませんけれども、ぜひとも待遇改善ということ、あるいは教育の充実。

 それと、日本介護福祉士会でもいろいろな団体の御協力、御一緒に認定介護福祉士の制度をつくって、指導とか教育あるいはチームのマネジメントができるような人材を育てて、今後の介護人材を育てることにも当たっていきたいと思いますけれども、それだけでは不十分だと思いますので、ぜひとも行政等のお力もかりたいと思っております。

○山崎部会長 大西委員。

○大西委員 高松市長の大西でございます。

 要支援者に対するサービスのあり方について、いろいろなうわさといいますか、情報が飛び交っていた中で、今回初めて基本的な厚生労働省としての考え方ということで、青写真等が示されたわけでございます。これについて、我々としましても、まさに市町村の役割・責任というものが非常に大きなものがございますので、かなり覚悟を決めながらしっかり議論して、どういう方向が望ましいのか、方向性を出していきたいと思っております。

 個人的に申しますと、今の要支援制度において、高松市でも要支援認定者のうちの3分の1は全くサービス利用をしていないという状況がございます。片方で、そういう方々にはもっと生活支援とか日常的な介護予防みたいなものが必要であると。それがまだ十分に行き届いていないという問題点がございますので、それを一括して地域支援事業という形でくくって、市町村が主体的に地域の実情に合った形で、しかも個々の高齢者のきめ細やかな配慮のもとに、こういう地域支援事業を実施していくという方向性につきましては、総論的に賛成ということでございます。

 ただ、具体的にいろいろ詰めていきますと、市町村の現場でこの制度改正をすぐすんなり受け入れて、実行に移していくというのはなかなか難しいということで、1つはソフトランディングできるような経過的な措置というものが、きちんと行われるべきと思っておりますし、もう一つは、今、予防給付あたりでいろいろな施設の訪問介護とか通所介護等のサービスを受けている人たちが、急にそれが地域に変わって、そういうサービスが受けられないことになりますと困りますので、既存のサービス等の事業所等については、基本的に継続的にそれがサービスが受けられるような仕組みが必要です。

 あるいは、同じサービスを受けるのでも、これまでは介護保険の人員基準とかが決められていましたけれども、施設側である程度弾力的な運用ができるような形にしていただいて、このサービスの効率化とか、より成果が出るようなサービスの組み合わせというものができやすいような形にしていただきたいと思っております。

 それから、生活支援サービスの充実ということで、いろいろボランティアとかNPO法人というものの活用というのが挙げられておりますけれども、市町村によりまして、地域によりまして、そういう団体がうまく育っているところと育っていないところ。また、新たに参入してくるにしても、とてもじゃないけれども、採算等が成り立たないようなところにはなかなか難しいということもございますので、そういう受け皿づくりみたいなものにつきましても、国のほうの指導なり、何らかの支援措置といったものをぜひお願いしたいと思っておるところでございます。

 それから、予防給付なり、新しい地域支援事業を展開するに当たって、何と申しましても、基本になりますのはそれを裏づけする財源ということになります。先ほど結城先生のほうから出ておりましたけれども、資料1の12ページで、予防給付と介護予防事業、それから包括的支援事業をあわせて、新しい地域支援事業ということがあるわけですけれども、少なくともこれまで予防給付で確保されていた、23年度ベースで言いますと4,100億円。それから、地域支援事業で確保された1,570億円、合わせて6,000億円弱。この程度の予算規模というのは、確実に最低限確保された上で、それぞれ市町村がその地域の実情に応じて事業を展開することを、ぜひ確約をお願いしたいということでございます。

 それとあわせまして、これも結城先生のほうから出ていましたけれども、制度改正にあわせまして、電算システムの変更とか、大きな事務コストが出てまいります。それは国全体の制度改正に伴う必要な事務コストということでございますので、これまでと同様にきちんとした国のほうの財源措置をお願いしたいと思っておるところでございます。

 今回の方向性を受けまして、より具体的な内容をまたいろいろお聞きしながら、我々全国市長会としても覚悟を持って、この事業に新たに取り組まなければならないことになりますので、議論していって、いろいろ御意見等もこれから出してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○山崎部会長 岡委員。

○岡委員 事務局に2点、御質問がございます。

 まず1点目ですが、資料1の12ページ、介護予防給付の地域支援事業への移行についてです。資料の上段、四角囲みの3つ目の○に、移行後の事業も介護保険制度内でのサービスの提供であり、財源構成も変わらないとの記載がございます。今回の枠組みの変更、給付立てから事業立てに変更することにつきましては、より柔軟なサービスの提供だけではなくて、報道等にありますように、ある程度の予防給付の抑制とか事業支出の削減などの財源効果をも期待したものだと理解しておりましたが、いかがでございましょうか。資料中にも効率的な事業という表現もございます。枠組みの変更に伴う財源効果と、その見通しについて、お伺いしたいと思っております。

 もう一点、認知症施策についてですが、資料2の8、9、10のあたりです。認知症初期集中支援チームの設置など、平成27年度以降の制度化を検討するとのことですが、こうしたモデル事業を継続事業として制度化することにつきましては、介護保険制度の財源でどこまで賄うべきものなのか、慎重に議論すべきと思います。認知症の初期支援は大変重要なものであり、国策とも言えるものです。したがって、推進すべきことについては何も申し上げません。ごもっともなことだと思いますが、その財源まで全て介護保険に求めることは疑問であり、本件について事務局の考え方をお伺いしたいと思っております。

 以上でございます。

○山崎部会長 勝田委員。

○勝田委員 認知症施策の推進と地域支援事業について発言します。

 9月21日は、世界アルツハイマーデーです。全世界で認知症を正しく理解するため、啓発を中心としてさまざまな取り組みがされます。家族の会でも、全国での街頭行動や啓発講演会を開催しています。資料18にあるように、世界では、北欧を中心として認知症国家戦略を強く打ち出しています。日本においても、認知症施策5か年計画が策定され、本年度より取り組みが始まり、私たちとしてはとても心強く、着実に推進されることを願っています。特に、早期診断・早期対応が重要であり、認知症初期集中支援チームを中心に認知症の専門医療機関の整備を積極的に行い、早期診断を行い、切れ目のない支援を図るべきとしています。大いに歓迎するものです。

 4ページの資料では、認知症の有病率は65歳以上の15%であり、正常と認知症の中間状態の有病率推定値は13%と報告されています。65歳以上高齢者は2,874万人です。65歳以上の4人に1人は認知症になるということです。特に初期対応の必要な380万人については、放置すれば5年以内に半数が認知症に移行すると言われています。その点から言いますと、今回提案されている要支援を介護給付から地域支援事業に移行することについて、強い不安と懸念を持ちます。

 何よりも、市町村が地域の実情に合わせて、効果的・効率的に事業を行うことで、多様なサービスが受けられて充実するという考え方には賛同できません。なぜ今、介護保険の中で、要支援1,2を地域支援事業とするのか。介護保険の給付で継続することを私たちは強く求めます。特に若年認知症についてもそのことが言われます。

 これは、私たちの福岡の会員から寄せられたお便りですが、「認知症は初期・軽度では、本人に病識があり、不安・混乱に陥ります。同時に、家族も不可解な言動に翻弄されたあげく、病気とわかっても全てを病気と受け入れることができず、苦悩し、途方に暮れます。この時期に必要な支援が受けられないと、家族に余裕がなく、本人を責めたり、間違った対応をしてトラブルが拡大し、本人は病状を悪化させます」という、今回の報道に対して、とても不安が強いということでお便りが寄せられています。介護予防給付から地域支援事業へ移行が進んで、人員基準や運営基準なし、事業内容は市町村の裁量とありますが、これで本当に特に認知症の大変な状態、初期の状態に対応できるのでしょうか。私たちは、とても心配しています。

2013年7月のシルバー産業新聞の調査によりますと、106区市町村のうち、この移行について困難であり、課題があるとしたのは71市町村で67%です。移行できるとしたのは、わずか1市町村でしかありません。

17ページの現状と課題について、2次予防の参加目標は高齢者の5%の目安に対して、23年度中の実績はわずか0.8%にすぎません。こういう状態の中で要支援の方々を、もし介護保険の給付から外して、人員基準や運営基準なしの中で本当に対応できるのでしょうか。NPOやボランティアの活用ということはわかります。しかし、認知症の場合、初期であればこそ大変な状況にあります。専門的な職種の方のケアこそ、軽度の状態を維持することができると考えます。私たち当事者団体としては、初期の段階こそ、しっかりした専門職がケアする介護保険でやるべきだと考えています。

 今日の資料の中で7ページですが、65歳以上の要支援・要介護認定者のうち、1次判定で自立度ローマ数字2以上。これは、今までは認知症があって自立度ローマ数字2以上の場合は要介護1とされていますが、現実的に1次判定時といえ、15.7%の方が要支援にとどまっています。

 これは現場に聞いても、それから電話相談でも、いつも相談がある件なのですが、本来ならば自立度ローマ数字2で認知症があれば要介護度1という要介護認定そのものがどうなっているのかということも、これは1次判定だから、かかりつけ医の意見書などで上がっているのだと言われますが、実際問題はこのような現状にあります。こういう中で、私たちとしては、人員基準や運営基準のないNPOなどにそのまま委ねるということは、到底認められません。

 また、介護人材の確保について、本来ならば介護給付費分科会で論議することかと思いますが、この中で示されている介護職員の賃金は、いまだにほかの産業の平均賃金より低い傾向にあることが如実ですし、昨年の改正時には処遇改善交付金から処遇改善加算ということで加算になりました。ところが、このときに、この加算についても2014年で廃止するということが、たしか確認されています。それでは、介護職をしっかり確保するために、処遇的にはどのように考えておられるのでしょうか、事務方の意見を求めたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 河原委員にお願いします。その後、事務局でお答えをお願いします。

○河原委員 私どものほうからは、介護人材確保の資料3、それから資料1の生活支援、介護予防等について意見をさせていただきます。

 私どものクラフトユニオンでも、予防給付から地域支援事業への移行についてということで、7月から8月にかけてネットを利用いたしましてアンケートをいたしました。組合員もさまざまな職種の方がいらっしゃいますけれども、449名の声が寄せられたところでございます。予防給付から地域支援事業ということで、予防給付から外すべきではないという回答が52%でした。それから、予防給付の適用から外してよいが16%、どちらとも言えないが32%でした。記述欄が非常に多くて、このテーマについて非常に関心と意見が多い、という感じがいたしました。記述は全て読ませていただきました。

 私なりに分析しますと、大要は次のようになるかと思います。まず、給付から外すべきでないとの意見は、大方、重度化への心配です。それから、市町村の方に申しわけないのですけれども、地域支援事業への不安です。今やっているサービスがあるかどうかすら知らないし、物すごく不安だということで、外すべきではない。特に、独居の方と認知症の方への対応に対しては、非常に不安がっておりました。

 一方、外してよい、移行していいのだという意見は、そもそも予防給付の使われ方への疑問です。一例が、私どもがよく言っております家政婦さん扱い、あるいはこの方は自立しているのではないか、という疑問、きょう、乱暴なことは言いませんけれども、ルール、マナー、首を傾げるような使われ方はいっぱいございます。どちらとも言えない、この32%の方は、認定そのものに対する不信です。特に、要介護1と要支援2の境界線ということでございました。

 こういったことを受けて、資料1の12ページの移行(案)、13ページの要支援事業(案)については、現場の意見を私は尊重もしたいですし、働く者の心配を解消しつつ、2点申し上げたいと思います。

 まず、今、出ました介護給付と予防給付の境界となる認定そのもののあり方について、利用者の状況を適切に、的確に反映できるように、さらに認定する人によって、あるいは認定する地域によってばらつきが出ないように、いま一度、このやり方が正しいのかどうか、内容はいいのかどうか、検証していただきたい。これが組合員の本当の意見だと私は思います。

 2つ目は、介護専門職の活用。地域支援事業に移行することで、予防サービスと生活サービスが混在します。一体的・効率的な実施、あるいは柔軟なサービス提供とあり、新しい要支援事業の売りだとは思いますが、サービスの内容は明らかに違います。予防サービスは、食事のバランスへの気遣いや体調の変化、それから認知症の初期症状の方の対応など、専門職の知識と技能が絶対必要です。決してボランティアや互助精神に頼った仕事にしてはいけない。ということで、32ページのモデル事業にございますように、真に自立支援のためのサービス提供は、介護の専門職が携わるべきだと思います。

 そうした采配を可能にするのが、私、初めてコーディネーターという言葉を見ましたけれども、9ページにあるコーディネーター。このコーディネーターの方は、予防サービスと生活サービスの立て分けがしっかりとできる、マネジメント能力の強い、求めることばかりでございますけれども、専門職とすべきだと思います。コーディネートの考え方、私はいいのではないかと思います。

 それから、地域支援事業に移行するに当たっては、一定時間かけて行うと、12ページに記載がございます。この一定程度について、一部のメディアが第6期事業計画の3年間だと報道しておりましたけれども、3年間は、私は力み過ぎだと思います。あくまでも介護予防や認知症の対応が決して後退しないことを見定めてから、またこれは組合の言い方ですが、介護に従事する労働者の急激な雇用変化が起こります。こういったことにも十分留意してから移行していただきたいと思います。

13ページの下の記載にある、地域支援事業における事業費の上限設定の見直し。今回の移行の目的は、当初私は給付抑制と聞いておりましたけれども、こういった考え方があるのであれば、目的は給付の抑制の視点ではなく、社会保障の充実と機能強化だと。地域の機能強化という視点であるとするならば、この上限設定の見直しは、私は必ずすべきだと思います。これは、はっきり打ち出すべきだと思います。

 それから、介護人材の確保について。私は、資料3につきましては、その視点や方向性がわかりやすく論点整理された戦略資料だと思います。それぞれの立場の方が目標や戦術を描けると私は思っております。私たちが今までが主張してきた意見も反映させていただいた内容もあり、感謝いたしております。

 1つ、きょう、援護局の方が来ていらっしゃいますが、老健局のマターではないのですけれども、人材確保の視点から介護福祉士の試験地のことです。現状をちょっと見ましたら、筆記試験が32都道府県、実技試験が12都道府県では、利便性にまだまだ難があると思います。これは私たちも過去に要請して、少しずつふえておりますけれども、今、言った3212都道府県では、受験しようにもなかなか受けにくいということがございますので、関係者の御苦労もあるかと思いますけれども、さらにふやす努力・促進していただきたいなと思います。

 資料3で気になるのは、介護人材が介護職員に限定されているところです。何回も言いますが、介護はチームワークで行われております。介護人材という言葉は、広く介護従事者を想定させるようにして頂きたいと思います。特に、介護人材の推計時のワークシートと書いてありますけれども、こういったところにも、必ずチームワークでしている、多くの方たちが携わっているという推計で数字を掌握されるようにお願いしたいと思います。

 また、資料3の17ページ、処遇改善に向けた取組を強化していく方向性。この中に、施設長や人事労務管理者に対する研修の実施、私どもの主張どおりです。本当にこのとおりです。今、資質だけに頼っているマネジメント能力を、プロフェッショナルの育成の視点から、私は強化すべきだと思います。

 それから、取組の促進策の中に賃金表の整備というのも入れていただきたい。私たちの調査では、どのように働けば賃金が上がっていくのか、昇給基準がわからない、ガラス張りになっていない事業者が結構ございます。ということで、取組の促進策の検討の中には、自分でも簡単に計算できる昇給基準表の作成といった指導もしていただけないかなと思います。

 最後です。都道府県における取組事例がいっぱい出ておりました。中には行政がここまで仕掛けていいのかなというところもございましたが、懸命に頑張っている姿がよくわかりました。ぜひ見える化も促進していただきたいし、こういったものは使用前・使用後のデータも必要だと思いますので、時間がかかるかもしれませんけれども、ぜひそういったデータ化もよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 では、事務局からお願いします。

○朝川振興課長 結城委員から紙でいただいているものを、まずお答えさせていただきます。

 事務局への質問、Q1の財源規模の話についてでございます。こちらは、先ほど大西委員からも指摘いただいておりますが、予防給付のところで、23年度ですけれども、4,000億円ぐらいあって、地域支援事業で1,570億円ですから、足すと約6,000億円ということで書いていただいているのだと思います。

 まず、予防給付の4,000億円というのは、今、実際にサービスを利用している人がいらっしゃって、それにかかっている費用でございますので、こういった人々がサービスを利用できなくなることはいけないことですので、そこは必要な予算の確保がされないといけないと思っています。したがって、この規模の財源の確保にしっかり努めていく必要があると考えています。

 Q2につきましては、給付から事業に移行すると、サービスの提供の仕方が変わるので、いろいろな給付の流れ、お金の流れも変わってくるのではないかという御質問です。まず、例えば地域で既に展開されているサロンのようなものを考えると、これは国保連のシステムに乗せるというよりも、事業者に委託するという形なので、そういう国保連のシステムに乗らないようなサービスもありますから、多様なサービスをこれから想定していきますと、いろいろな形を考えなければいけないと考えています。

 したがって、一番最後に書いていただいているように、委託契約を模索しているのかということについては、委託契約でやるものも当然あるということです。しかしながら、今、予防給付で展開されているような、例えば訪問介護サービスのようなものが事業に移行していったときに、これを全て委託契約でやることになりますと、市町村の事務が回っていかないことが想定されます。

 現在でも、前回の制度改正で新しく制度化されています総合事業という枠組みがございますが、その総合事業でも市町村の判断で国保連のシステムを活用することができる仕組みになっておりますので、今回、新しい総合事業を制度化していくに当たっても、そういう国保連のシステムは活用可能なように、より具体的な制度設計をしていくもりでございます。というのがQ2に対するものです。

 Q3、要介護認定の要支援1から要介護5の区分の変更は、今回の予防給付の見直しで考えてはいないということでございます。

 Q4は、基準とかについて市町村に委ねていくという点について、これは複数の委員から御意見をいただいていて、問5とも関連しますが、地域間格差の懸念とも重なり合っている御懸念のところだと思います。

 このことにつきましては、今回提案している趣旨が、地域でよりきめ細やかな、軽度者については特にですけれども、生活支援というのは多様な支援が必要だというところから問題を発想しておりまして、サービスのあり方をもっとよくしていこうと考えています。

 そのときに、訪問のサービスあるいは通所のサービスも、いろいろな形のものがあり得ますので、それについて地域の実情を無視した形で国が一律の基準をつくるというのは、なかなか難しい。それは、サービスの内容が多様になってきますので、それについて一律の基準を国がはめていくのは難しいという根本的な問題がありますので、市町村が事業を決めていくに際して、サービスの内容に応じた基準をしっかり設定していただく、そこが基本ではないか。

 これはサービスのあり方を見直していきますので、それに伴って、基準についても緩やかにしていくということを提案させていただいているということを、ぜひ御理解いただければと思います。

 しかしながら、地域の実情に応じたサービスにならないようなものが、もしサービスとしてあれば、例えば医療系のサービスが該当するかもしれませんが、一定のものについて、運営基準とか人員基準という考え方を整理しなければいけない可能性はございますので、この人員基準・運営基準を最終的にどうしていくかというのは、具体的な制度設計にかかわる内容ですので、より詳細な制度設計はこれから考えていこうと思っております。基本的な考え方は、サービスの内容は多様になるのだから、それを一律に基準に当てはめることはなかなか難しい。したがって、それは地域の実情に応じて考えていただくのが基本であるという考え方で提案させていただいているところでございます。

 問5についても同様なのですけれども、市町村の地域の実情に応じて適切なサービス提供体制を構築していっていただく。ここが今回の予防給付の見直しの、あるいは生活支援の充実の肝のところでございますので、市町村がちゃんと地域マネジメントを強化するために積極的に取り組めるように、国として財政的・技術的な支援をしていくのは当然ですけれども、そこを地域の実情に応じて考えていっていただくところが、非常に重要なところであるということでございます。

 次に、内田委員から、やみくもに給付から事業に移行するのではなくということで、多分、その例としておっしゃっているのだと思いますが、ケアプランの作成、ケアマネジメント、要支援者が130万人とかいう規模でいる中でできないのではないかという御指摘があったかと思います。

 ここについては、今でも平成18年の改正以降、要支援者のケアマネジメントについては、原則、地域包括支援センターが行うこととされていて、その一部をさらに委託することができることになっているわけでございます。そこのあり方を変えようという提案ではございません。引き続き地域包括支援センターを中心にケアマネジメントしていただいてということでございますので、実務面で移行に伴う問題が発生しないようにできる限り留意いたしますけれども、そこのところで大きく変わることは余り想定していないということでございます。

 それに関連して、大西委員からいろいろな現場で難しい局面が出てくるだろうから、ソフトランディングあるいはその経過措置をしっかり考えてほしいということについては、当然、現場の皆様方と意見交換しながら考えていきたいと思っています。

 2つ目が、既存サービスがしっかり受けられるようにという御指摘もいただいております。今サービスを受けていらっしゃる方が制度変更前後でサービスが受けられなくなることを想定して、制度改正をしようとしているものではございませんので、おっしゃった趣旨がちゃんと現場レベルでも実現されるように制度を設計していきたいと思います。

 3つ目、生活支援の充実について。これは、受け皿づくりは大変な側面もあるので、支援するべきであるという御意見をいただいております。ここは、財源の確保を我々もこれからしっかりさせていただいて、支援を強化していきたいと思っております。6,000億円の話は先ほど申し上げました。

 あと、制度移行に伴って、電算処理システムを含め、いろいろな事務処理コストが市町村に発生するはずだという御指摘をいただいております。これも制度改正に伴ういろいろなシステム改修が必要になってくる部分については、財源措置をしっかり検討していきたいと思います。

 岡委員から、予防給付の見直しについて、財政効果を期待しているかどうかの点について御質問をいただいております。これは、国民会議でも御議論いただいた結果、提案されている予防給付の見直しでございます。その中では、きょうの資料10ページの現状と課題の4つ目の○で書かせていただいておりますが、長期的な介護保険制度の持続可能性ということも重要な課題でございまして、予防給付の見直しがこういった視点を抜きに行われるものではないということはたしかだと思います。

 まず、私どもが考えておりますのは、要支援者を中心とした軽度者のサービスのあり方として、今の定型的なサービスだけで済ますのではなく、より生活の実態に合わせた、きめ細かいサービスが展開できるように、あるいは地域づくりがしやすいような事業の形に制度を見直すというのが第一義的な趣旨でございます。その際に、しっかり財政効果も出していくことはあわせて考えていかなければいけない。そのように考えております。

 あと、勝田委員から、この事業を見直すことによって、認知症の初期対応が少しおろそかになるのではないか、十分できなくなるのではないかという御趣旨の御意見をいただいております。ここは、先ほど認知症施策の充実のところでも申し上げましたが、専門職による施策は、並行してしっかり財源を確保して充実するということで、まずは対応するというのが1つでございます。

 もう一つは、これは河原委員からの指摘とも関連しますが、サービスの流れは、今までどおり認定を受けていただいた後、ケアマネジメントをしてサービスを利用していただくということでございますので、そのケアマネジメントの過程で、その人にふさわしいサービスは何なのかということをしっかり考える過程が入りますので、そこの過程で専門職がかかわるべきところはしっかりかかわっていただく。そういうサービスの組み立てをしていただくことは、今までと変わりませんし、そこは別途ケアマネジメントの強化といったところで強化していきますので、そこがおろそかにならないようなことは考えていきたいと思っております。

 あと、河原委員から、3年間の移行期間は短いのではないかというような御指摘があったかと思います。ここは、資料の説明の過程でも少し申し上げましたが、移行については、給付を事業に見直すというのは、いきなり27年度に全部の市町村で一遍にやってくださいというと、それは市町村のほうが事務に恐らく耐えられないと思いますので、そこは3年間ぐらいの時間の猶予が必要だと思っております。

 しかし、経過的な取り扱いがそれで終わるということではなくて、事業の形に移行した後も既存のサービスはしっかり利用できるようにしていく必要があると思っていますし、それは先ほど申し上げたように、ケアマネジメントでしっかりやっていく部分もありますので、移行の期間は、この給付から事業に移行する3年間なら3年間という期間だけの話では決してないということを御理解いただければと思います。

 以上であります。

○山崎部会長 お答えいただけますか。

○迫井老人保健課長 勝田委員から処遇改善加算に関する御質問がございました。次期介護報酬改定時の議論ではあるがという話でございましたが、まさにそのとおりでございます。平成24年のいわゆる同時改定、介護報酬改定におきまして、処遇改善交付金相当分を介護報酬に円滑に移行するという経過的な取り扱いがなされ、この改定のときの御議論で、加算を創設するとともに、次期介護報酬改定においては、各サービスの基本サービス費において適切に評価を行うこととされたことは、そのとおりでございます。いずれにいたしましても、この件につきましては平成27年度以降の取り扱いということで、介護給付費分科会において御議論していただくと捉えております。

○勝又認知症・虐待防止対策推進室長 認知症施策に関してですが、先ほど内田委員からの認知症関連の研修に関してですけれども、前委員の田中委員からも御指摘ございました。オレンジプランでは、リーダー研修や指導者養成研修の目標値を設定しておりまして、都道府県でそれぞれ行う研修については、目標値を定めていなかったのですけれども、田中委員からの御指摘も踏まえて、都道府県に対して介護に関連する認知症の研修についての目標値を設定するよう事務連絡で通知して対応しています。

 もう一つは、今までは都道府県で研修を実施していたのですけれども、今度、オレンジプランで市町村に対してメニュー事業で、それぞれ多職種共同で認知症の研修をやるということで予算をつけさせていただいているところでございますので、そういった対応をしていただきたいと考えています。

 もう一点、岡委員からの御質問でございますけれども、認知症の初期集中支援チームは初期の対応が最も重要なことと考えておりまして、継続的に実施していくということでは、財源確保として介護保険の中でやっていくことが必要なのではないかと考えておりますのと、認知症施策全般では33億円の予算で、診断に関すること、研修に関すること、キャリアパスに関すること等については、一般財源でも対応させていただいているところでございます。

○高橋総務課長 もう一点、私のほうから、総務課長でございます。

 この地域支援事業への給付の移行についての財政効果の御質問がありましたけれども、基本的には生活支援とか介護予防の充実を図っていく。そのためにより効果的な、効率的なやり方は何かという課題設定だと思っておりまして、短期的に大きな急変があるわけではありません。しかしながら、委員御指摘のように、効率的・効果的に行われるようになれば、将来にわたって財政効果というのは生じるものと理解しております。

 よろしくお願い申し上げます。

○武内社会・援護局福祉人材確保対策室長 人材確保について補足させていただきます。

 まず、内田委員から2点ございまして、1点は、准介護福祉士の廃止につきまして、これが介護福祉士の評価を上げるものではないということで、廃止に向けてということでございます。これについては、今、フィリピン政府とも調整しておりますので、御意向を踏まえまして努力させていただきたいと思います。

 2点目の資質の向上につきましても、これは介護福祉士自体の社会的評価が上がるとともに、それが人材確保に回っていくような循環をつくっていくために、きょう御紹介しましたような4つの観点から、継続的に取り組みをさせていただきたいと思います。

 河原委員から3点御質問をいただきました。

 1点目は、試験環境といいますか、試験の利便性をもっと向上してほしいという点でございます。こちらも、近年、30カ所から32都道府県に増加してきておりますけれども、今後も費用対効果に配慮しながら、なるべくこれをふやす方向で考えてまいりたいと思っております。

 2点目、介護人材の需給推計についてのワークシートの検討について、介護のチームとして考えていくことを考慮してほしいということでございますが、こちらについても25年、26年にかけてワークシートの検討を進めていっておりますので、この中でどういうふうに工夫できるのか、十分に考えさせていただきたいと思います。

 3点目、介護従事者に対するマネジメントをしっかり強化していく。賃金表の整備などの御指摘をいただきました。この点については非常に重要な御指摘だと思っておりまして、きょうお示しした資料の中でも、○4の処遇改善の中で、今後の方向性として、施設長や人事労務管理者などに対する研修の実施という方向性を書かせていただいておりますが、これをより効果的なものにどういうふうに具体化していくか、十分に考えてまいりたいと思っております。

○山崎部会長 齋藤訓子委員。

○齋藤(訓)委員 3点申し上げたいと思います。

 予防等の事業につきまして、本日の資料を見ていますと、地域包括支援センターに体力がないと、展開がなかなか難しいということだと思います。ですので、論点に挙がっていますように、人員体制の強化については大賛成です。要は、市町村が委託するにしても、丸投げはしないということと、いつでも情報が共有できるような連携・協力体制があるということが重要だと思っておりますが、本日の資料の56ページだと、地域包括支援センターの評価をまだ行っていないところが大半を占めるという状況です。

 やはり業務の実施状況については、年度ごとにきちんと評価を行ってフィードバックしていくということが重要だと思いますので、どんな方針でやるかということは前回の改正で取り入れられたところでございますけれども、今回は評価についても、各年度ごとにちゃんとやりましょうということをぜひ仕組みの中に入れていってはどうかなと思います。

 それから、認知症の施策については、方向性については非常に重要だと思っておりますけれども、支え手の知識・技術の向上が不可欠だと思いますので、特に研修体制につきましては十分な予算を確保の上、あまねく認知症にかかわる人たちの技術が向上できるようにお願いしたいと思います。私ども、看護協会といたしましても、県看護協会等を通じて、この研修には協力していきたいと思っておりますので、必要な財源はぜひ確保していただきたいと思います。

 それから、最後の人材確保につきましては、いつも申し上げていますが、この資料だと、いわゆる介護職員である介護福祉士とかヘルパーにどうしても力点が置かれがちです。けれども、これから医療の提供体制も変わってまいりまして、病院の在院日数もすごく短くなってきて、医療と介護を行き来するような人たちが地域に増えてくることを考えますと、先ほど河原委員が仰ったように、いわゆるチームケアでやるわけですから、介護の現場には看護職員もいたり、リハビリの人も当然入らなければいけないわけです。

 ですので、京都の例にありますように、介護・福祉領域で働く看護人材をどうやって確保していくのかということにつきまして、きちんと協議会を持って検討し、需給の実態を把握しながら施策を立てていくという仕組みをつくっていただければと思っております。私どものところでは、介護施設等で働くナースたちの委員会を発足して、いろいろな声が挙がってきますけれども、どこでも介護系は看護師が足りない、募集しても来ないと言っております。特に訪問看護に関しては、人材不足は猶予がない状況でございますので、介護領域の需給の中で多職種というか、こういったエリアで働く医療従事者の需給もぜひ推計し、検討していただきたいと思っております。

○山崎部会長 齊藤委員。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 先ほど事務局のほうから、予防給付の6,000億円は削らないというお話がありまして、ひとまず安心いたしました。ただ、では、この予防給付を地域支援事業に移行する意義がどこにあるのかということを改めて考えますと、これも事務局がおっしゃっているように、多様な取り組み主体が入る。それによって、従来以上にきめ細かなサービス提供が地域の実情に応じて進むであろう。しかも、それが継続して支援できるものになる可能性があるということが、まず見通しとしてみんなが共有できるのかというのが1点だと思います。

 もう一点は、これは長期的にとおっしゃいましたけれども、費用の低コスト化が図られるかということも大きな課題だということでありますが、事務局からそんなに急いでいないという話があるとすれば、当面の中で何が優先されるべきかを少し整理して議論する必要があるのではないかと考えます。

 今回の提案は、保険財源は活用するということでありますから、国に画一的な制度が1つある。一方、それにプラスして、新たに市町村独自のきめ細かな、ある意味では市町村版の介護保険制度をつくるというイメージになるのだろうと思います。これは市町村の覚悟が相当必要だなと思います。その意味で、先ほど大西委員がその覚悟のほどを示されたわけでありますけれども、市町村の要望をしっかりと受けとめて、納得・合意の上でスタートするということでなければならないということを、申し上げておきたいと思います。

 2つ目には、介護予防事業の見直しに関することでありますが、廃用症候群の原因を取り除くために、多職種、特にリハ職の適切な関与と目標設定が大事で、さらには行き場をつくることの重要性については、賛同いたします。取り組み事例もいろいろ出ておりますが、拝見させていただきますと、一般高齢者の参加で10%、特定高齢者の参加で、多いところで6%台という示し方がされております。

 しかも、つまびらかにはわかりませんけれども、出ている資料で内容的なことを拝見いたしますと、例えば自立的な体操は多いところで週1回程度。この程度の頻度で、果たして要介護認定率が下がるほどの効果があるのかというのは、疑問であります。ただ、専門職からボランティアまで多様な人材がかかわって、行き場づくりを広げて、それが結果として介護予防につながるであろうという期待は込めていきたいと思いますから、方向性については賛同いたします。

 それから、1次、2次と高齢者をより分けずに進めたいという考え方は、同じように賛同いたしますし、専門職が寄り添っていただいて、高齢者や住民による自主的な集いの場づくり、それから体を動かすという運動の場づくりを拡大することが、極めて大事なことだと思っております。今回、予防のモデル事業の中で、多職種、特にリハ職の介入が好結果につながっているというデータが示されておりまして、今後にとって大変明るい材料だろうと思います。

 きょう御欠席されておりますけれども、本来であれば齊藤正身委員に、かかわった立場からの意見をぜひお伺いできればと思っておりました。次の機会に御期待申し上げたいと思います。

 最後に、地域包括支援センターに関することであります。きょう、お示しいただいた資料の53ページであります。地域包括支援センターが抱える課題として、自由記述がここに示されているわけであります。これ全体を通して、センターが抱える課題の多さ、悲鳴を上げている状況がこの自由記述の中で見てとれるわけであります。先ほど来から各委員がおっしゃっておられますけれども、何でもセンターに任せているのではないか。行政のバックアップが足りない。協力が弱い。特に全体的には、実態としては業務がケアマネジメントに偏っているということは、今の支援センターの実態をあらわしていることだろうと思います。

 その上で、委託が多いということも結城委員が指摘されておられますけれども、これらを含めて、センターに丸投げしやすい条件が今、そろっているのではないかという気もいたしますから、よくその辺を検証していただきながら、まずはとりあえず行政とセンターの役割をもう少しはっきりとしていくことが、当面大事な視点ではないかなと思っております。

 以上、申し上げます。

○山崎部会長 鷲見委員。

○鷲見委員 3点申し上げたいと思います。

 まず、生活支援、介護予防にとって何が必要かという議論がまず先にあった上で、先ほど来皆様からの御意見がたくさんあるとは思うのですが、市町村規模や状況に応じたものが示されるほうが、現場は混乱しませんし、実際には段階的な運用で、まずは利用者、現場の混乱を回避できるように強く求めたいと思います。

 また、予防については、予防重視型のシステム導入に当たりましては、特に生活支援サービスにおいて、過度な支援が本人の能力低下につながっているといった議論があったはずだと思います。そういう中にあって、我々は時には厳しく、または時には励まして、専門職がその専門知識を用いて支援してきたと思います。15ページのグラフにもありますように、要支援1と要支援2の方の状態像というのは、かなりの違いが見受けられます。支援内容が違うので、やはり十分な注意が必要だろうと考えます。

 また、ケアマネジメントをどのようにしていくか内容をもう少し具体的に明らかにする必要があると考えます。今後、誰がそこを担うのか。特に、今回のようにきめ細やかで力量を必要とするケアマネジメントが必須となると、そこに対しての専門職の配置は必至だと思いますので、介護支援専門員が関与すべきだと考えます。

 また、給付から事業に移る場合、このつなぎ方を確実なものにしないと、ここのつながりも難しくなるので、ケアマネジメントの継続性が問われることがないようにお願いしたいと考えています。

 最後に、認知症についてですが、初期対応、それからインフォーマルな部分、今回はここがかなり具体的に記載されていると思います。本体給付部分は、どこを担うのかというのが、もう少し具体的に記されていくことが大事だろうと思います。可及的速やかに市民の互助や共助によって、地域で認知症の高齢者を支えていくという体制が必要だと思います。

 認知症の方々が地域で見守られながら生活していくのには、インフォーマルな資源なしでは難しいと考えます。我々、介護支援専門員というのは、認知症の方が出かけていったしまった場合は、周囲を巻き込んで探すこともしますし、救急車に乗って対応することもあります。それは、我々の業務の範疇どうかかという話ではなくて、今、この場面において何をすべきかという話です。しかし、こういった行動があって初めて、人々の生活は成り立つと思います。

 ですから、現場にいる専門職の方々がもう一回り大きな仕事の仕方をしていって、重なり合うような場面をたくさんつくっていかないと、この地域包括ケアシステムというものにはすき間が出てきてしまうと思います。今後、我々専門職は、仕事のあり方というものも考えていく必要があると考えます。

 以上です。

○山崎部会長 小島参考人。

○小島参考人 私、都道府県の立場から幾つか意見を申し上げたいと思います。

 まず、予防給付の見直しでございますが、予防給付を市町村事業に移行するということは、今後の介護人材の確保が厳しい状況を考えれば、多様な社会資源を活用して、それを市町村の裁量に基づいてコーディネートしていくのは大事な視点なのかな。ただ、先ほども大西委員からも確認されたように、既存のサービス事業を締め出すわけではなくて、それを活用しつつということと、段階的に移行していくという視点は、どうしても重要なのではないかということで、その辺は大いに賛同できる内容ではないかなと思っております。

 とりわけ、例えばデイサービス事業を1つ見ても、実際にやっている事業者の方は、どの人が要介護で、どの人が要支援か、余りよくわかっていないでワーカーさんはやっていらっしゃる。こういうものは、本来の介護予防給付とは違うのではないかという疑問を従前から持っていたわけでございますので、そうした部分をいずれは別の次元、特に要支援者に対しては、生活機能のリハ中心としたものをやっていくのだというプログラムの提供なども必要じゃないかなと考えております。

 また、市町村格差というお話がいろいろ出てまいりましたので、私ども県も当然後方支援ということでバックアップはとらせていただくわけでございますけれども、例えば地域支援事業の中に、幾つかの市町村が共同事業として取り組めるようなものができるという規定もあってもいいのかな。あるいは都道府県と連携して、都道府県が市町村から逆委託する方法もありますので、そういった意味で地域支援事業の中で都道府県事業として、例えば広域行政が担う普及・啓発とか人材の育成の分野については、都道府県が出ていってもいいのではないか。そんなことも考えましたので、そういったところも御検討いただければと思っております。

 次、介護予防事業の見直しの関係でございますけれども、1次予防と2次予防、特に2次予防の事業対象者を一生懸命把握するわけですけれども、その実施する人が、先ほどのデータにもありましたように0.8%。これは、私ども神奈川県でも同じような状況でございまして、一部の市町村では1次予防事業と2次予防事業、境なくやっている市町村もございますので、こういった境をなくすことには賛成でございます。

 一方では、今までハイリスク高齢者に対して、運動器、口腔器、栄養など課題別のアプローチをしてきた部分については、かなり効果も出てございますので、そういった事業実施というのは今後も継続すべきだろうと思いますし、また事業実施後の評価も加えて、エビデンスとして蓄積する必要があるのではないかなと考えてございます。

 次に、地域包括支援センターでございますが、これは結城委員の御指摘も、私もすごくごもっともだなと思っております。ただ、市町村立でということになると、市町村のほうではそういった人材をなかなか確保できないといった事情で委託している関係もございますので、今回、地域包括支援センターの役割がさらに増してくる。そうした中で、人員体制の強化ということが課題になってまいりますが、果たして3職種の配置そのものが確保できるのかというと、これは難しいのかな。

 そうした中で、現在、市町村では、サブセンターとかブランチの設置によって、今の地域包括支援センターの設置数を補完しているという現状もございます。さらに、認知症の支援推進員とかコーディネーターの配置とか、いろいろありますけれども、そうしたものを全ての地域包括支援センターに備えるのではなくて、在宅介護支援センター時代にあったような基幹型とか地域型というような、機能を分けて考えていったほうがいいのではないかと考えてございます。

 最後に、認知症施策について申し上げたいと思います。認知症については、今回、オレンジプランが提起されました。本年度から取り組むということで、さまざまな施策が展開される予定になってございまして、内容的には我々も賛同するところでありますが、認知症の初期集中支援チームとか支援推進員の配置といったことがうたわれているのですが、こういう人材がどこにいるのか。この人材の養成を誰がするのかといった部分が明確でないのと、現実に財源確保もきちんとされていないように思っております。

 一例を申し上げれば、全国でこれまで150カ所あった認知症疾患医療センターの事業経費について、今回、25年度に入って、かなりの都道府県でも設置が増えたのだと思います。そういった関係もありまして、今年7月に示された内示額というのが、去年の半額で運営しろと。こういう話というのは、年度に入ってから示されたのでは、全て対応が難しいということもありまして、今の状況では国の減らした部分を地方が肩がわりをしなきゃいけないのかということにもなります。

 国の台所事情が厳しいのもわかります。でも、地方財政も厳しいわけでございますので、そうした内示額というのは、単価を改定するのであれば早目に示していただき、地方団体とは十分協議していただいた上で決めていただきたい。認知症施策を一生懸命やるといっても、そういうところが少し疑念が我々のほうにも起こってくるということでありますので、この辺は厚生労働省としても対応をお願いしたいなと思います。

 以上でございます。

○山崎部会長 内藤委員、お願いします。

○内藤委員 3つの点について、発言させていただきます。

 今回、高齢者のリハビリテーションということで、これから地域全体の健康寿命あるいは高齢者の社会参加ということを含めて、42ページにICFの表を取り入れていただいて、大変にありがたく思っております。我々もこのICFに基づいて、地域のリハビリテーションのアセスメント、あるいはケアプランの実行、リハビリテーションの提供という格好で、介護情報の見える化を進めております。R4システムという市販のソフトに、この間の研究事業で積み上げてきましたけれども、今後、いずれの方法にしても、地域におけるマネジメントが地域ケア会議というところでどういう見える化を図っていくのかということが非常に大きな課題だろうと思いますので、その点について、ひとつ検討していただきたいということが1つ。

 それから、認知症の施策についてですけれども、認知症の方については、やはり環境要因というのが非常に大きい。生活の場で必要な医療、あるいはさまざまなサービスが受けられるような、そういう意味では医療や介護サービスにつなげる初期集中支援チームというのも大切だと思いますけれども、サービスにつながった後も多職種の訪問事業ということをぜひ実現できるような方向性をとっていただければありがたいと思っております。

 それから、3つ目、介護人材の確保の件ですけれども、我々は非常に危機感を持っております。これは、首都圏だけではなくて、地方だけではなくて、本当にあらゆる職種において人材確保が困難になってきていると感じております。そういう意味で、今回の資料で9ページに、介護サービスは成長産業と書いてありますけれども、このまま例えば介護保険財源を前提にして人材確保していくという格好で可能なのだろうか。本当に成長産業になり得るのだろうか。私は、できれば介護保険部会として、人材確保を、あるいは介護サービスは成長産業なのだということをアピールして、国の政策として推進してほしい。そのぐらいのことがないと介護人材の確保は困難なのではないかと、現場としては感じております。

○山崎部会長 では、土居委員を最後にして、事務局からお答えいただきます。

○土居委員 ありがとうございます。前回欠席いたしましたので、前回の社会保障制度改革国民会議の報告書に関して、一言だけ感想を申し上げてから、きょうの話にコメントさせていただきたいと思います。

 社会保障制度改革国民会議の報告書を読ませていただきまして、我が国の社会保障制度の持続可能性を担保するためにも、現状から変えるべきものは変えるということを勇気を持って報告書に盛り込んだという点では、非常に高く評価しておりまして、この部会においても、現状をそのまま放置していたのでは、介護保険制度も持続可能でないということを考えますと、現状から変えることを恐れてはいけないと私は思います。もちろん、現状を変えることになると、何か切り捨てられるかのような見方もあるかもしれませんが、私はそういうことにはならないように議論ができるのではないかと思っております。

 それで、資料1、12ページにあります新しい地域支援事業に関する事務局の提案でありますけれども、私はこの方向でよいと思っております。特に、市町村に委ねることに対する御懸念が各委員からも示されておりますけれども、もちろん財源をめぐる地域間格差というところは、きちんとそれは埋めるものは埋めるということで、財源不足で地域間格差が起こるということにならないようにすることは重要であります。

 けれども、この時点で市町村において力量に差があることから、市町村間での差が生じるのではないかという御懸念は、あえてそこは当面は多少考慮せざるを得ないけれども、むしろ市町村の能力を高めるためにも、勇気を持って市町村に委ねて、市町村の能力を育んでいくということを地域として取り組んでいくことが私は重要だと、これは以前の部会にも申し上げたとおりであります。市町村の能力を地域ぐるみで育んでいくという姿勢が私は必要で、そのためにも新しい地域支援事業という枠組みはなじむものなのではないかと考えております。

 特に、地域支援事業に移行すると切り捨てられるという見方も世の中にあるわけですけれども、私は決してそうならないようにできるのではないか。まさに介護を受ける方々は、その地域に暮らしておられるわけでありまして、その地域においてまさに民主主義の力で市町村の運営にも声を挙げて、意見を聞き入れてもらうという枠組みが、我が国は民主主義国家でありますからあるわけで、そういうところは蔑ろにするべきではないと思います。そういう意味では、市町村に移行したらといって、直ちに切り捨てられるというものでは私は決してないと思います。

 それから、1次予防事業、2次予防事業の区別をなくすという形での介護予防事業の見直しということについても、これは17ページにもありますけれども、私はこの方向性でよいと思っております。特に、介護予防事業は重要でありますけれども、誰をターゲットにするかということは、これからさらにもっと精査していく必要があって、まず第1弾として、今の枠組みから変えることは非常に重要な第一歩になるのではないかと思っております。

 それから、地域支援事業の上限額に関連するところでありますけれども、私はこれについては、緩いと第2号保険料や公費、つまり税財源の投入が過剰にふえてしまう懸念があると思います。そういう意味では、介護の質の低下をもたらさないことを条件に、地域支援事業の上限額はしっかりとたがをはめていくことをしないと、これが青天井でありますと、保険料の引き上げ、公費投入の増加という悪影響をもたらす。結局のところは、誰のためになるのかということになりかねません。そういう意味では、介護の質を低下させないことを条件に、地域支援事業の上限額をしっかり設けることが重要になってくると思います。

 最後に、介護人材の確保ということでありますけれども、今後の高齢化をにらみますと、当然のことながら人材確保は重要な課題と私自身も思います。ただ、介護福祉士を初め、公的に認められている資格を持っている者が、必ずしも介護福祉分野で仕事をしないこと自体を過度に愁う必要は私はないのではないかと思っております。例えば公認会計士の資格を持っておられる方が、全員公認会計士ないしは会計士事務所の仕事をしておられるかというと、必ずしもそうではなくて、さまざまな部署でお仕事をなさっておられるという事例もあります。

 例えがいいかどうかわかりませんが、自衛隊の予備役のような方もいらっしゃることを考えると、介護福祉士の資格をお持ちになられながらも、その刹那では必ずしも介護福祉分野でお仕事をなさっておられないかもしれないけれども、その能力をお持ちであるので、しかるべき時期にはまた介護福祉分野でお仕事をなされることが、社会全体として人事のローテーションといいましょうか、人材の交流が行われることを通じて、幅広く介護人材が確保されていくものになるのかなと思います。

 それから、介護職員の待遇改善というのは、引き続き重要ではあると思いますが、もう少し客観的に議論ができる場があってもいいのではないか。もちろん、職員の方からの生の声ということで言うと、賃金が低いという声が出てくると思いますけれども、介護保険というのは公的な仕組みであって、介護報酬が公的に決められている以上、自由にその値段が決められるわけではないわけであります。

 そういたしますと、もちろん一つの打開策としては、保険と保険外のサービスを混ぜて、いわゆる混合介護と言われますけれども、そういうところで自由に値付けができる保険外のサービスも混ぜることで、介護職員の方々の待遇改善につなげる道も一つの道としてはありますけれども、では、介護報酬について、どういう値付けがいいのかということについては、もう少し客観的な情報があってもいいのかな。経済学の考え方を少し御披露させていただくと、まずサービスをお受けになられる方が、このサービスに対して、お幾らならば払ってもよいと思うかという支払い意思額、ウィリングネス・ツー・ペイというものをアンケート調査なりで調べること。

 それから、介護職員の側には、どれぐらいの賃金であれば働きたいと思うかという供給側、需要側、それぞれの両者の働きたい、ないしは、それぐらいなら払いたいという情報を何らかの形で集めて、それの両者をにらみながら適切に介護報酬を決めていくという道も、実験的な手法ではありますけれども、それぞれの声を聞きながら対応することも一つの方法なのではないかと思います。

 以上です。

○山崎部会長 事務局からお願いいたします。

○朝川振興課長 まず、齋藤委員から、地域包括支援センターについて、評価が年度ごとにもう少ししっかり行われる仕組みを入れていってほうがいいという御指摘をいただきました。この評価は、もう少ししっかりやっていただくことがいいと思っていますので、具体策を少し検討していきたいと思っております。

 それから、齊藤秀樹委員からいただいている御意見で、予防給付の見直しに関連して、何を急いでやるのか、力点をしっかり明確化してやっていったほうがいいのではないかという御趣旨だったと思いますが、パーツ、パーツで説明していきますので、全体像がなかなか伝わりにくいところがあるかと思いますので、工夫していきたいと思っております。

 前回の説明では、在宅医療・介護連携の強化とか、地域ケア会議の強化、今回で言うと、生活支援の充実、認知症施策の強化といったところは、全て強化していこうという話でございまして、特に予防給付の見直しとの関連では、生活支援の強化というのは基盤整備を結構集中的にやっていかなければいけないと思っていますので、そういうところもトータルで皆さんに理解していただけるようなことを考えていく必要があると感じました。

 それと、現場の市町村の皆様を初め、現場の方の合意の上で進めていくことが重要だというのは、そのとおりでございますので、しっかり対応していきたいと思います。

 さらに、行政と地域包括支援センターの役割分担が、まだ不明確なところがあるだろうから、もう少しはっきりさせたほうがいいというところは、今回も少し提示させていただいていますが、前回の改正で基本方針をしっかり提示する、というのも入れていただいておりますが、運用面での定着がまだ十分していないと思いますので、その辺の強化もしながら役割分担は考えていきたいと思います。

 さらに、鷲見委員から、現場が混乱しないようという御指摘と、それに関連して、サービスあるいは事業の流れが、きょうお示しした資料では必ずしも十分お示しできておりませんので、そういったものをはっきり示して議論すべきだという御意見だったと思います。その際には、ケアマネジメントの継続性ということもしっかり踏まえるようにという御指摘があったと思いますので、実際どういうふうにサービス、事業が流れていくのかといったことも重要な視点だと理解しております。

 さらに、小島参考人からいただいた意見の中で、地域支援事業に関連して、例えば共同事業とか県と連携した形とか、そういう御示唆をいただきました。今後、検討を深める過程で、県は広域な行政主体として非常に重要な役割を持っていると思いますので、県のかかわりもうまく組み込んでいけたらと思います。

 あと、いろいろな強化をするけれども、一律に地域包括支援センターを強化するのではなくて、少し機能を分けて考えていったほうがいいという御指摘をいただきました。これはそのとおりでございまして、私ども、意識しながらやっていこうと思っています。例えば、きょうの資料1の47ページの論点の2つ目の○の2行目では、読まなかったのですけれども、センター間の役割分担や連携を強化しながら体制を強化するということで、充実する政策を全ての地域包括支援センターで一律にやっていくということではなく、少し強弱もつけながらやっていく必要があると思っております。それと、生活支援の充実のところで提案させていただいておりますコーディネーターのような機能は、必ずしも地域包括支援センターだけが担い手と考えているわけでもありませんで、その地域で最もふさわしい主体。例えば、地域でNPOが活発なところであればNPOにやっていただくのでもいいですし、小規模多機能にやっていただくのでもいいですし、それはいろいろな主体を念頭に置きながらやっていきたいと思っております。

○勝又認知症・虐待防止対策推進室長 小島参考人からのお話ですが、認知症施策を進めるに当たりましては、人材の育成や確保、それから財源の確保が非常に重要なことであると思っております。先ほど一例として挙げられました認知症疾患医療センターですけれども、これまで認知症疾患医療センターの設置については非常に消極的でしたが、急に設置するということで要望がすごく多くあり、今年度については予算の範囲内で金額を調整せざるを得なかったところは、御理解いただきたいと考えております。

 来年度につきましては、認知症疾患医療センターの予算の増額をしていただきたいということで予算要求もしています。また基幹型、地域型、そして新たに診療所型というものを導入してやっていくということで考えておりまして、それらの基準やあり方については、現在の疾患医療センターの評価等も行いながら、しっかりと検討していきたいと考えております。

 以上です。

○迫井老人保健課長 老人保健課長でございます。

 齊藤秀樹委員、それから内藤委員からリハビリに関する言及をいただきました。今日、齊藤正身委員、御出席になっておりません。本日は、生活支援とか介護予防の関係で、前倒し的に高齢者のリハビリについて資料を御説明申し上げましたけれども、改めまして、今後のサービス各論のところで高齢者リハビリに関する考え方とかを議論していただくつもりでおります。その中で、齊藤正身委員からも一定のコメントなり御意見をいただきたいと考えております。

 それから、内藤委員から、特にICFを使った評価に関するような御指摘も、おっしゃるとおりでございまして、私ども、今後、予算要求させていただこうと思っておりますけれども、介護情報の「見える化」の中で、そういった地域のリハビリのあり方とか、さまざまな情報についても、集積して提示できるような工夫をさせていただきたいと思っております。

○武内社会・援護局福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室ですが、まず齋藤委員から、介護の人材確保に関して、看護の皆様も射程に入れて考えていくべきだという御指摘については、非常に重要な御指摘でありますので、きょう御紹介させていただいた京都府の事例などもよく勉強させていただいて、地域の実情に応じた医療・介護職の確保について考えてまいりたいと思います。

 それから、内藤委員から御指摘のありました、成長産業としての介護の可能性について、この点も非常に重要な観点ですので、これから介護人材を志す人々に魅力づけていく際には、介護には将来、いろいろな可能性があるということを1つ重要なメッセージにしていくことが重要と考えております。

 それから、土居委員から御指摘のありました、人材として、ある程度社会全体にプールされて、それがしかるべき時期に戻ってくるローテーションの流れをつくっていくことが大事ではないかということは、まさにその点もおっしゃるとおりでありまして、すそ野を広げて募集していく。あと、そういった志を持っている方がスムーズに復職してこれるようなことも大事だと思いますので、現在、福祉人材センターでも、離職されて潜在しているスタッフの方々を見つけ出して、もう一回復職にどうつなげるかという取り組みをしておりますので、そういうものもしっかりやってまいりたいと思います。

○山崎部会長 きょう、5時まででございますから、御協力、お願いします。

 では、こちらから。井上委員。

○井上委員 ありがとうございます。かなり具体的な緻密な議論のところで、私の発言は、次元の異なる発言になるかと思いますがお許しください。

 最初の生活支援、介護予防についての6ページの元気高齢者というのは、具体的にどういうものなのでしょうかというのがまず1点、伺いたい事項です。と申しますのは、先ほど委員の方からも出ましたが、次のページのICFでは健康状態という概念で示されていて、この概念との整合性が気になるところです。この概念は心身機能、活動、参加、環境因子、個人因子という要素で構成されておりますが、その次ページを見ますと、これが順番に機能回復があって、その次にADL訓練があって、次にIADL訓練があって、次に参加の動機付けと段階的になっていますが、果たしてICFはこういうふうに段階的に見るものなのかどうか非常に疑問に感じました。

 と言いますのは、元気高齢者と言った場合に、機能障害があっても仕事ができる人がいるわけですね。そういう人は元気高齢者と言わないのか。ここでいう元気な人たちという概念は、どういう意味でおっしゃっているのか。機能が損なわれていても、機能に障害があってもサポートしたり環境を整えることによって仕事ができる。そういう人たちも元気高齢者と言っていいのではないか。そういう意味では、ICFというのは非常によくできていると思うのです。ですから、私などは介護人材を養成しておりますが、ICFの概念に基づいてケアのあり方を教育しております。

 そうすると、段階的に示されたICFの図の最初の段階に位置づけられている機能回復訓練は、ある意味、やれなければ、もしくはやりたくなければ無理してやらなくていい。機能回復訓練を一生懸命やらなくても、その人がしっかりと自分の人生観を持って生きていければいいと指導しております。それは間違いなのでしょうか。

 それを踏まえて、次の介護の人材確保というところにいきますと、賃金が低いとか、いろいろなものが出てきております。でも、一番大きな問題は、介護職に私は夢がないことだと思うのです。この部分に、「介護職のメリットをアピールしていく」みたいなものがありましたね。先ほど成長産業であるということを打ち出していけるのではないかというご発言もありました。これはとてもすばらしいことだと思うのです。成長産業である。そして、将来に夢が持てる。一方、マイナスイメージとしては、安定していないというのがありましたね。では、どういうところに力を入れれば成長産業になり得るのか。それを明確にしていくべきだろうと思っております。

 先ほどのICFと合わせて考えると、成長産業とは若干別の次元ですが、前回のところでは、医療との連携の促進というものが大きくありましたけれども、医療と介護の連携と言ったときに、必ず医療主導という言葉が使われておりました。医療主導で、介護は必ず下位にいます。

○山崎部会長 短目に。

○井上委員 申し訳ありません、急ぎ終わります。

 医療主導は当然だと思うのです。だけれども、介護で一番魅力というのは、先ほどのICFを基盤にしたケアをやっている。ということは、その人の健康を中心に据えている、その人の全人格を見ている、全人生を見ている。医療の方にはそこを評価していただきたい。介護職の言うことを聞いていただきたい。これで対等な連携になるかどうかはわかりませんけれども、少なくとも尊敬を払ってもらえる仕事であるということを一つの魅力にしていただきたいと思います。これにもう一つ、成長産業としての要素が加われば、もっと強固なものになるであろうと思っています。

 もしよければ、介護職を目指す学生を獲得するためにも、メリットとは何かということを教えていただきたい。元気高齢者とは一体どんな人を言っているのか、健康な人とは違うのかということをお答えいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○山崎部会長 では、伊藤委員。

○伊藤委員 では、意見だけですので、質問はありません。

 生活支援の充実につきましては、異論ございません。地域であらゆる人が支え合うということで、その中には高齢者あるいは障害者を含んで活躍の場というものがあって、当然と考えております。

 しかし、世帯構成の変化とか地域社会の力が落ちているという問題意識のもとに、今、議論しているわけですけれども、そういう中で、きょうも4ページに、自治会活動に参加するのが困難というのが高齢者の悩みの中に入っていて、それだけ地域活動というのが難しいということを逆にあらわしていたりする中で、インフォーマルなサービスの基盤をつくっていくというのは、それはとても重要なことと思います。

 ただ、そういったインフォーマルなサービスが全国的に普及し、活動の状況を確認する中で、それを今のフォーマルなサービスを担うだけの力量といいますか、全国でそういう担い手としてよいのかといったことで検討すべきだと、そういう手順であるべきなのだと私は考えます。そういう中で、あわせて予防給付の見直しというのが提起されているわけですけれども、そういう観点で言えば、いささか乱暴というか、拙速と考えます。

 この2006年4月の新予防給付の導入ということについての総括が、今回の議論の中で十分されていると思えなくて、多様なニーズに対応できていないというのが大きな理由で、きょうも説明されていると思います。多様なニーズに対応できていないのかと言えば、好事例がたくさん提供されていて、介護予防事業の形でいろいろな地域で活動されているという紹介もあるので、どれだけ対応ができていないのかというのも十分理解できていないところがあります。そういう中で、個別給付を含め、地域支援事業の形に変えていくことについては、やはり不安が私どもの中にも大きくあります。

 きょうの認知症の資料の中にも、要支援者の日常生活自立度ローマ数字2以上が16%ぐらいある形になっていますし、利用者そのものもそうですし、家族介護者の立場からしても、認知症の症状があるような家族について、どういうように今後対応していけばいいのかということも、不安の大きな理由になります。

 また、例えば個別給付は今後も提供されるというケアプランがつくられるような人にあっても、地域のサロンとか、そういう形に置きかわっていく中で、訪問とか通所のサービス利用者が地域で減っていくことによって、本当に担い手たるサービス事業者がその地域で継続的に提供してくれるのかという不安もあります。そういった地域の資源の差というものにも、大きな心配があります。

 それから、人材の話ですけれども、人材については、情報公表制度のことは6月にペーパーでも出しましたので、基本情報に入れていただいて、事業者の公表の義務づけはぜひやっていただきたいと思います。

 それから、処遇改善については介護報酬で対応するという話が、前回、事務局から複数回にわたって説明がありましたけれども、介護労働安定センターの介護労働実態調査が最近出ましたけれども、3カ年を見てみましても、今の介護報酬では十分に賃金を払えないという回答は51から減っているのですけれども、人件費をふやすかという回答については、33%から31%に減っているのですね。逆に、人件費を減らしますよと言っているのは、5%から5.4%にふえている。

 幾らふやしても、こういう形になってしまうと、十分に従業員に、介護人材に処遇が回っていかない。十分な政策効果が上がらないことにもなりますので、正当な賃金水準というものを、産業別最低賃金という方法もありますし、積極的に活用することを国として、ぜひ環境整備に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 山本委員。

○山本委員 きょう、厚労省のほうから御案内いただきましたとおり、また各委員からも発言がありましたとおり、財政的な措置がある程度してもらえるということであれば、それは非常にうれしい、喜ばしいことだということで、少し安心したところであります。

 それから、要支援1・2について地域支援事業、市町村に移行していくということであれば、これまでの歴史的な経過もありますとおり、措置制度への逆戻り。すなわち市町村が全て決めてしまうということにならないように、契約制度へ移行した結果の、利用者の自由な選択という権利が冒されないようなことを十分念頭に置いて、政策運営していっていただきたい。

 地域支援事業に移行していくに当たって、これまで地域支援事業を利用していた利用者に加え、さらに要支援1、2の方たちがこれに加わっていくことになりますので、そのときに区分支給限度額への悪影響を及ぼすことのないように、十分調整をお願いしたいし、そういった措置を検討すべきだと考えます。

 それから、これまでいろいろな政策が打たれ、例えば地域住民がボランティアあるいは地域支援事業に似たような形で、自主的にいろいろな活動を地域で行ってきています。市町村が新たに地域住民の既存の活動と似たような事業を展開するときに、既存の活動を行っている地域住民が引っ込んでいってしまうことが、ままあるかと思います。そういう意味で、既存の地域住民による活動を育む、育てる。その主体性を奪わないような形での地域支援事業への移行という配慮が必要なのではないかと思います。

 なお、介護保険法の中で、介護保険事業を行うものは法人だという事業者指定の原則があります。この法人という規定について、例えば現在、自治会等が行っているいろいろな活動がありますが、これが地域支援事業に該当するというとき、この法人規定との関係も十分調整願いたい。任意団体がやっている地域住民主体の事業を育てていただきたいという要望です。

 それから、簡単に申し上げますが、今、初任者研修という制度で、ヘルパーの2級がそちらに移行したような形になっているわけですが、地域支援事業をこれから光を当て多様な主体でといったときに、我々として過去、非常に残念だと思ったのは、国民一人一人が、社会全体で介護を支えていくという理念があり、この理念に対しヘルパー養成が非常に機能していたわけです。家庭内介護やボランティアが介護に参加する際の基礎知識として、ヘルパーの資格を持って、家庭内介護あるいは地域への支援に繰り出していった。

 我々は、ヘルパーの制度がなくなったときに非常に残念に思いました。初任者研修は、あくまでも専門職の登竜門という位置づけなので、同じような研修内容であっても大分意味合いが違う。これから一層の住民の力を必要とするということであれば、そういった研修、一般の人が参加できるような、過去のヘルパー制度のようなもの。あるいは、段位制度を利用して、何か名称を与えるとか、何か工夫の余地があるかもしれませんが、そんなこともあわせて検討していただけたらいいなと思っております。

 最後ですが、サービスを提供する事業者として、処遇あるいは人材の確保は非常に困難な面があります。とりわけ看護師の確保が、どこの事業所でも非常に困っている現状があります。我々事業者としても、人材の確保ということから考えると、まず離職者を出さないことが一番手だということからして、事業者自身も給与表あるいは就業規則の整備等で事業環境改善に取り組んでいます。

 さらにリハの専門職、PTOTSTあるいは管理栄養士といった人たちの確保がこれから更に求められていくのであれば、制度的な何らかの措置、我々事業者が雇用しやすいような措置を今後検討していただきたいと思います。

 また、障害者との関係は、地域支援事業のところはどういったことになるのか、今、わかっていることがあればお教え願いたいと思います。

○山崎部会長 桝田委員。

○桝田委員 まず、市町村のほうに介護予防の予防給付が行った場合のスキームの問題なのですけれども、生活支援のサービスがなければ、その地域で暮らしていけないというのは当たり前のことなので、ここを拡充するというのは当然必要なのですけれども、予防給付と一体的にする場合の考え方。もともとの予防給付という部分は、3カ月ないし6カ月間、トレーニング等を行って改善等が見られたら、そこで一旦卒業するというスキームが最初つくられた。ところが、現実に使われているのは、利用者の方は一度サービスを受け始めると、ずっと続けたいというので、予防給付をずっと受けられているという実態がある。

 今回の32ページの予防の強化事業をごらんいただきますと、卒業のイメージをつくられている。当然のこと。市町村に移行する場合に、この卒業の部分をちゃんと入れるというのを前提で今、考えているのかどうか。考えているのであれば、そこは最初から説明して、利用者の方に納得していただかないと、市町村が悪者になってしまうということが起こってしまいます。どういう形をとるのか、そこが非常に難しい問題で、今のままなし崩しで市町村に移るのは、極端に言うと市町村の事務経費だけが膨らんでしまって、何の効果もない。今までと同じことが起こってしまうというのでは、余り意味がないと思うのです。

 それで、予防給付と生活支援の部分を一体的に出すという形、地域包括支援センターの介護予防プランがかなり複雑になってくる。そうすると、地域包括の予防プラン、今でもみんなお荷物的に思っていますね。本来業務ではない。自分たちの包括センターのいろいろな使命の部分を必死にやりたいけれども、その予防プランのために時間をとられ過ぎるので、外部のほうにかなり委託を出しています。ところが、その金額が4,120円の単価でそのまま出すと、みんな受けるのは嫌がっています。

 実際問題として、ケアマネさんの能力のある、かなり技量のある方に、この4,120円で介護予防プランをつくってもらうことは不可能です。ここの部分を考えないとうまく動かない。この予防プランは、特にインフォーマルサービスをどう組み合わせていくかというのが大きな課題になっていきますので、そこをどうしていくのかをお示し願えたらと思います。

 もう一つ、31ページに出ていますけれども、2次予防の実態把握で150億円。それ以外の部分はそんなに費用はかかっていない。ということは、調査をするのにお金はかかったけれども、打つ手は打っていないということになります。同じように、今、わからなくなっているのは、介護保険全体の要介護認定絡みの問題ですね。審査会の費用、調査の費用。日本全体で一体幾ら費用がかかっているのか。多分、もう1,000億円近い金額がかかっていると思います。その分を少し調べていただきたい。その中で無駄になる部分を削っていく努力も要るのではないか。

 きょう、お返事は多分いただけないと思いますけれども、お願いいたします。

○山崎部会長 本間委員。

○本間委員 3点ほど、質問ではなくて意見になります。

 最初に、認知症対策ですが、ここで示されている事柄は、今までとは違って、予防的な視点が含まれているということと、今までよりも個人に対する視点があるということで、評価できるのではないかと思います。

 現在でも、特に初期の認知症の人たちの生活を支える対応は十分に機能できていないわけです。そういう現状がありますが、例えば今回進められようとしている認知症初期集中支援チームという試みは非常に評価できるのではないかと思います。地域包括を強化するという視点も含まれていると思います。それから、認知症地域支援推進員ということも地域包括の強化につながりますし、地域包括の負担をより減らすということも、運用の方法次第によってはできるのではないかと思います。それが1点目です。

 それから、生活支援を拡充していくときに、先ほどの事務局からの説明の表の中に、独居の高齢者が困っていることのリストを示した横棒の図があったと思います。しかし、独居の認知症の高齢者が困っていることは、本人は訴えませんから、図の中には困っている事柄というのはあらわれてきません。例えば、服薬管理ができる、できないというのは、本人は全てできると言います。できると言わないまでも、かなり過小評価をする場合が多いわけですね。それから、食事の摂取にしても、ちゃんと食べています。でも、ほとんど食べていなかったりするということもあるわけです。

 そういう意味での生活支援が、軽度の認知症、特に、独居の場合本質的な支援をするという意味になるということを、ぜひこれは確認しておきたいと思います。そのことが2点目です。

 3点目、最後ですけれども、介護人材の育成という点で、これは育成ということには直接含まれないのかもしれませんけれども、介護能力をどうやって評価するのか、どうやってそれを高めていくのかということに関しての記述が余りなかったような気がいたします。介護能力の評価方法がすでに共通のコンセンサスになっているかどうかよくわかりませんが、介護能力の評価ができていると、アンケート調査結果で30%強の人たちは答えていますけれども、逆に言うと60%以上はできていないという回答になるわけで、もう少しそういう部分に関しての議論というのもできればいいと思いました。

 以上です。

○山崎部会長 とりあえず、ここで事務局からお答えいただきます。

○朝川振興課長 まず、井上委員から元気高齢者についての御指摘をいただいています。言葉として直接出てくるのは、資料1の6ページ目の真ん中辺ですが、7ページを見ていただきますと、特に右側は高齢者が社会参加をし、できれば生活支援の担い手にという概念図です。ここで意識しておりますのは、委員御指摘いただきましたように、何らかの機能の障害を抱えていらっしゃる方も含めて、こういう担い手に回っていただくようなことも含めて、社会参加していただくことが広がっていけばいいという考え方でございます。

 特に、いろいろな予防事業に取り組む中では、今まで支援を受ける立場であった人が、その立場を理解しながらサロン活動に入っていくとか、今度は支え手側に回るような地域の取り組みというのはたくさんございますので、まさに元気高齢者というところには、そういうことも含んで考えています。

 あと、それとの関係で、ICFとの関係で整理がよくないのではないかという御指摘をいただいております。多分43ページのことを念頭におっしゃっていると思いますが、そこは次回、少し整理して、もう一度御説明させていただけたらと思います。

 あと、人材確保のところでメリットに関しましては、これはたくさんあると思いますが、例えば比較的安定した職場であるとか、そもそも対人サービスとして自己実現を図れる職場であるとか、いろいろなことがあると思います。さらに、何よりも重要なことは、業界全体として行政と一緒になって、何を若い人にメリットを伝えていくのか考えるといったことも重要な視点ではないかと思います。

 あと、伊藤委員から、これは意見だということでしたけれども、予防給付の見直しが少し乱暴に議論され始めているのではないかという御意見をいただいておりますが、乱暴な結果にならないように、私どももしっかり円滑に導入できるようなことをこれから考えていきたいと思っております。

 あと、山本委員から幾つか御指摘、御質問いただいております。措置に逆行しないように選択がちゃんと尊重されるようにとか、区分支給限度額がうまくいかなくならないようにとか、自治会活動がちゃんと入れるようにとか、障害者施策との関係をどうするか。御指摘のところはしっかり踏まえながら、あとは具体的な制度設計の中でしっかり検討していきたいと思っています。

 あと、初任者研修に関連しまして、ヘルパー制度がなくなってしまったのでという御指摘をいただいております。ヘルパー制度自身は、まだしっかり生きておりまして、中核のものとしてありますが、多分おっしゃりたかったことは、今までの2級の研修よりも初任者研修のハードルが少し高くなっている。これが一般的な受けとめ方ですよということだと思います。その際に、もう少し入りやすいような環境づくりをしてほしいという御意見だったと思います。

 その点はそのとおりだと思っておりまして、必ずしも介護の専門職として働く人ばかりでないですし、最初から専門職として働くとは限りませんので、入りやすい環境づくりというのも必要だと考えています。

 あと、桝田委員から、予防のところのケアマネジメントの単価が低い。これでインフォーマルサービスも含めて、しっかりとしたケアマネジメントができるのかという御指摘もいただいております。今後、特に要支援者のところは、従来にも増してインフォーマルサービスをいかに組み込んでいくかということが重要な視点になりますので、そこは運用面でしっかり考えていく課題だと考えています。

○山崎部会長 それでは、時間は若干延びると思いますが、簡潔にお願いいたします。

 布施委員から。

○布施委員 ありがとうございます。2点申し上げます。

 1点目は、生活支援、介護予防についてでございますけれども、介護予防給付を地域支援事業に移していくことについては、賛同いたします。ただ、移しましたけれども、費用や効果も従来と変わらないということでは、全く意味はないわけでございます。市町村で知恵を出していただいて、ボランティアやNPOの地域の資源を活用していただいて、費用を抑える、効果を高めるという仕組みをつくり上げることが重要かと思っております。そのためにも、先ほど小島参考人からお話がありましたけれども、市町村のばらつきを防ぐためにも、都道府県の支援もお願いしたいと思います。また、土居委員の御意見のとおり、地域支援事業の上限設定をどうするかということは、極めて重要と思っております。

 2点目ですけれども、介護人材の確保については、介護職員の処遇改善が大きなポイントになるかと思います。ちょっと資料は古いのですけれども、平成23年度の介護事業経営実態調査によりますと、収支差率は平成20年に比較して大きく改善しているわけでございます。2桁に近い数字を出しているかと思います。また、介護給付費分科会に今年3月に提出されました平成24年の介護従事者の処遇調査を見てみますと、給与は23年に比較して全体で2.5%、6,100円ふえていますけれども、ほかの産業とか医療・福祉分野と比較しますと、まだ実額は低いということでございます。介護事業者の経営実態が改善しているということも踏まえまして、介護事業者のさらなる自助努力を求めていくことをぜひ優先すべきと考えます。

 以上でございます。

○山崎部会長 藤原委員、お願いします。

○藤原委員 保険者として大変心配されることがあります。

 1つは、市町村を核とした生活支援体制ですが、この充実・強化についてコーディネーターの配置や協議体の設置等があるわけであります。これを充実・強化するためには、地域支援事業に位置づけることかと思います。そうなってきますと、平成27年度の第6期計画から全市町村で実施が義務づけられることになります。実施まで十分な期間がない中で、特に人材の確保等、大変な問題がありますので、実際に全市町村で実施が可能なのか、大変疑問に思うところがあります。市町村で体制整備されるまで、十分な実施期間や猶予期間があればいいのではないかということが考えられます。

 また、予防給付の見直しであります。天文学的にふえていく介護給付費、それに伴う保険料の高騰ということでありまして、この解消のためには介護予防給付の効率化というのは重要なことかと思います。しかし、今回の提案は、人員基準や運営基準、また単価設定など全国一律から、ボランティアやNPO等を活用することによりまして、地域の実情に応じた取り組みが可能になるということで、それはいいかと思いますが、その結果として、事業費も下がるのではないかという狙いも、多分あろうかと思います。

 しかし、結果として事業費が下がらなかった場合、非常に現時点では不明でありまして、この辺が問題かと思います。万が一、事業費が下がらなかった市町村が出た場合、国の予算額を超えた部分は全額市町村の負担になるわけでありまして、この辺に保険者として非常に強い懸念を持っております。我々は、この分野が非常に大事で、地域支援事業をしっかりやることによって要介護への重度化をおくらせるということで、全体的には要介護のほうで相当軽減させなければいけないと思っています。ですから、ここで余りけちってしまうと、もっと傷が大きくなる可能性がありますので、その辺もしっかり検討して制度設計をぜひしていただきたいと思います。

 以上が、今、町村が大変心配しているところでありますので、よろしくお願いします。

○山崎部会長 酒向参考人。

○酒向参考人 ありがとうございます。

 今回、12ページで新しい総合事業ということで御提案いただきますとともに、これにつきましては、財源構成は変わらず2号保険料も引き続き入るという御提案をいただいておるところでございます。今回の提案については、全体として高齢化社会に対応したまちづくりに向けて、自治体さんが税財源で実施していただくべき事業と、保険料も入れてやっていく事業と、もう少し整理していただきたいと思っているところでございます。いろいろな事業について事例が示されておりますけれども、集いの場や見守りといった高齢化社会に向けた街づくりそのもの、社会基盤にかかわるものまでなぜ2号の保険料を投入するのかということにつきまして、理屈を整理して御議論いただきたいと思っております。

59ページに今後の地域支援事業についての論点が示されておりますが、何を根拠に2号保険料の負担を求めるのかということについて、もう少し納得感がある御説明をお願いできればと思っております。基本的には、予防事業について2号保険料を入れているのは、自立支援に資するということを根拠としている訳でございまして、少なくとも効果検証ができないようなものについて、我々が負担することについては疑問を感じておるところでございます。

 以上です。

○山崎部会長 小林委員。

○小林委員 地域支援事業についてです。資料1の14ページ、60ページの地域支援事業の概要の右下の円グラフに財源構成が示されておりますとおり、介護予防事業等に、2号被保険者の保険料が全体の29%充てられております。本来保険料というのは、全国一律の保険給付に対して充てるべきものであります。これまで繰り返し申し上げておりますとおり、地域支援事業は市町村の裁量でその内容が決められる仕組みであり、まさに市町村の事業である以上、2号被保険者の保険料を財源として充てるべきではないと考えます。

 資料の12ページに介護予防給付の地域支援事業への移行(案)が示されており、移行後の事業について財源構成は変わらないとありますが、この点は問題であると考えます。市町村の裁量が認められたままで、地域支援事業の内容を拡充する一方で、2号被保険者の保険料が引き続き充てられ、現役世代にさらに負担を強いるのは理屈が合いません。財源構成は当然見直し、2号被保険者の保険料は財源から外すべきであり、この案については、私どもは反対いたします。

 また、地域支援事業への移行に当たっては、必要性の高い介護サービスに重点化していくという観点から、介護予防、生活支援でも効果が認められないものは、保険給付の対象から外していくことも視野に検討すべきではないかと思います。

 以上です。

○山崎部会長 最後になるかと思いますが、高杉委員。

○高杉委員 予防給付から支援事業費化されたことはいいことだと思うのですけれども、私も全国を回っていろいろな質問を受けます。事実を伝えることを一生懸命努力しますけれども、ここで議論されることは追認なのでしょうか。それとも、マスコミにリークされたことを我々がここで初めて認めていくのでしょうか。この委員会の存在価値がどうもよくわからない。逆に言ったら、これだけ議論があるのなら、皆さん、きょうの結城委員みたいに事前に書類で出すとか、あるいは討論をもっと圧縮してやってほしいですけれども、そういう提案もしたいと思います。そうでないと意見が言えない。あるいは、自分の意見をある程度前に出して、そしてもっと議論を集約化してほしいなとお願いします。

 それから、きょうの議論もきちんとまとめて見せてもらうとか。事務局にぜひお願いします。

○山崎部会長 事務局からお願いいたします。

○朝川振興課長 簡単に。

 藤原委員から2点ほど御心配の御意見をいただいております。いずれも市町村にしっかりやっていただくことが重要だと思っておりますので、市町村とよく相談させていただきながら、制度設計はしていきたい。猶予期間あるいは財源の心配のお話を具体的にはいただきましたが、そういったところはしっかり対応していきたいと思っております。

 あと、複数の委員から予防給付の見直しに関連して、2号保険料の取り扱いについて御意見をいただいておりますが、今日も予防の関係のところの資料に幾つも事例を出しておりますとおり、こういういろいろな住民主体の取り組みが地域で活発になることによって、要介護認定率自体が非常に顕著に落ちていく実例もございます。したがって、今回、こういう事業を多様に展開し、全体として費用を効率的なものにしていこうという考え方で今回提案させていただいておりますので、そこのところは費用負担者にもできるだけ御理解いただきながら、制度改革をさせていただければと考えております。

○高橋総務課長 高杉委員から、今後の議論の進め方について御意見ございました。まさに御指摘のとおりでありまして、この介護保険制度の見直しにつきましては、総論的に国民会議とか「法制上の措置」の骨子で非常に概括的な記載にとどまっております。具体的な制度設計は、この部会で御提案させていただき、御意見いただきながら、ここで議論していきたいと思ってございます。議論の進め方につきましても、いただいた意見を整理させていただいて、若干、前回、今回、数回分、まとめて、これまでいただいた御意見を整理しながら御議論が深められるようにしてまいりたいと思っております。

○山崎部会長 少々時間を延長しましたが、最後は協力いただきまして、どうもありがとうございました。

 それから、ただいま御意見にもありましたが、できるだけ皆さんに公平に御発言だきたいと思います。場合によれば、結城委員のように事前に意見を出していただくほうが効率的な進め方になるのかと思います。

 それでは、本日はこれまでといたします。今後の予定につきまして、事務局からお願いいたします。

○高橋総務課長 ありがとうございました。

 次回の本部会につきましては、9月18日水曜日9時から12時まで、会場は本日と同じ全国都市会館大ホールを予定しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○山崎部会長 それでは、終了いたします。どうもお疲れさまでした。


(了)

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