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2013年10月7日 第68回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成25年10月7日(月)16:58~18:44


○場所

厚生労働省 講堂(低層棟2階)
千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館


○議題

高額療養費の見直しについて

○議事

○遠藤部会長

 それでは、まだ定刻に少し時間がございますけれども、皆様御着席ですので、これより「第68回医療保険部会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。

 それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。

 本日は、大谷委員、福田委員、森千年委員、横尾委員、和田委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りしたいと思います。

 大谷委員の代理として児玉参考人、森千年委員の代理として藤原参考人の御出席につき御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日は「高額療養費の見直しについて」を議題とさせていただきます。あわせて、前回の医療保険部会で70から74歳の患者負担の見直しについて、もう少し議論すべきではないかとの御意見がありました。70歳から74歳の患者負担の見直しについては、本年1月9日に当部会における議論の整理の中で一定の取りまとめを行っております。

 その後、政府におかれましては、1月11日に閣議決定された日本経済再生に向けた緊急経済対策で世代間の公平や高齢者に与える影響等について、低所得者対策等とあわせて引き続き検討し、早期に結論を得るとされております。

 さらに、8月の法制上の措置の骨子においては、低所得者の負担に配慮しつつ行う70歳から74歳までの者の一部負担金の取り扱い及びこれとあわせて検討する負担能力に応じた負担の観点からの高額療養費の見直しについて検討することとされております。

 このような一連の経過を見ますと、高額療養費の見直しと70歳から74歳までの者の患者負担の見直しは、関連しているものと理解できますけれども、こうした経緯について、もう一度確認するために事務局より改めて説明をいただいた上に、続いて、高額療養費の見直しについて事務局から説明をいただきたいと思います。

 その上で、70から74歳までの患者負担の見直しについても御意見があれば、適宜お願いしたいと思います。

 また、本日は、委員提出資料として、堀委員より資料が提出されております。

 それでは、事務局から、資料の説明をお願いしたいと思います。お願いします。

○大島課長

 それでは、最初に、70歳から74歳までの患者負担の議論の経過につきまして、もう一度御確認をさせていただきたいと思います。

 参考資料1「議論の整理」という表題が書いてあります。

 ことしの1月に当部会で幾つかの論点につきまして議論の整理をいたしました。その中に、70歳から74歳の患者負担の扱いについても記述がございました。それが1枚目に書いてございます。

 ○の2つ目ですけれども、社会保障・税一体改革大綱の中において、75歳以上、75歳未満の方の患者負担について、1つは、見直しを検討する。

 2つ目は、24年度は予算措置を継続するが、25年度以降は、25年度の予算編成過程で検討するという整理になっておりました。それを踏まえて、その2点について議論したということでございます。

 3つ目の○ですが、最初に見直しを検討するという点については、他の世代との負担の公平性の観点から、早急に法律上の2割負担に戻すべきとの意見が多かった。一方で、負担の増加による受診控えによる症状の悪化等が懸念されるため、現行の措置を維持すべきとの意見もあったということでありました。

25年度予算編成の中でどうするかということでありますが、4つ目の○です。平成25年度以降新たに70歳以上となる者から3割負担が2割負担になることとし、段階的に法律上の負担割合に戻すべきとの意見や、医療保険財政は猶予を許さない厳しい状況であることから、平成25年度から、直ちに70歳から74歳の者を一律2割負担にすべきとの意見があった。また、実施する場合は低所得者等に配慮を行うべきとの意見が多かった。このように、1月に当部会で議論の整理をさせていただいたところでした。

 その直後に行われました1月11日の閣議決定、緊急経済対策の中では、70から74歳の医療費自己負担については、当面1割負担を継続する措置を講ずるが、本措置のあり方については、世代間の公平や高齢者に与える影響等について、低所得者対策等とあわせて引き続き検討し、早期に結論を得るということで、25年度は1割継続にする。しかし、あり方については早期に結論を得るということになっておりました。

 次が6月の、いわゆる骨太方針ですけれども、この中では、先ほどの緊急経済対策の表現をほぼ引き写しまして早期に結論を得るとなっておりました。

 8月の国民会議の報告書、2ページでございますが、この中では○のところの2行目、この特例措置については、世代間の公平を図る観点からやめるべきであり、政府においてはその方向で、6月に閣議決定した経済運営と改革の基本方針のとおり、早期に結論を得るべきである。その際は、低所得者の負担に配慮しつつ、既に特例措置の対象となっている高齢者の自己負担割合は変わることがないよう、新たに70歳になった者から段階的に進めることが適当であるという記述がございます。

 お手元の資料1「高額療養費の見直しについて」の10ページをご覧願います。同じ国民会議の報告書に、70から74歳の記述に続けて、高額療養費の記述があります。アンダーラインのところですけれども、具体的には、高額療養費の所得区分について、よりきめ細やかな対応が可能となるよう細分化し、負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことが必要である。上記のとおり、70から74歳の医療費の自己負担に係る特例措置が見直されるのであれば、自己負担の上限についても、それに合わせた見直しが必要になるということで、ここで70から74の見直しと高額療養費が合わせてという記述がございました。

 この記述を踏まえまして、先ほどの薄いほうの資料に戻っていただきまして、3ページの下のほう、国民会議の報告書に基づく法律上の措置の骨子のところであります。アンダーラインが引いてありますところ、「イ 低所得者の負担に配慮しつつ行う、70歳から74歳までの者の一部負担金の取扱い及びこれと併せて検討する負担能力に応じた負担との観点からの高額療養費の見直し」ということで、国民会議の議論を経て、この2つのテーマをあわせて検討し、結論を得ることになったという状況でございます。

 私からは以上です。

○鳥井課長

 保険課長でございます。続きまして、高額療養費の見直しについて説明させていただきます。

 資料1「高額療養費の見直しについて」という資料を御用意いただければと思います。

 今、総務課長から説明がございましたとおり、今の資料の10ページ目の社会保障制度改革国民会議報告書を踏まえまして、前回の9月10日の当部会におきまして、高額療養費の見直しについて議論をいたしました。

12ページ、そこで出した資料でございます。

 前回の部会におきましては、1つ目の○でございますが、負担能力に応じた負担という観点から、所得区分を細分化して、自己負担額、限度額をきめ細かく設定してはどうか。具体的には、70歳未満につきましては、一般所得者、上位所得者の所得区分の細分化、それぞれの自己負担限度額は、現行と同様に総報酬月額の一定程度という考え方を基本として設定する、70歳以上については、同様に一般所得者、上位所得者の所得区分を細分化し、70歳未満の自己負担限度額との均衡を考慮して設定するという方向性についてお示しし、この方向性そのものについては大きな異論はなかったものと認識しております。

 その際に、次の回に具体的に数字を入れた案を作成し、お示しするということで、今回、案を作成させていただいたのが1ページ目以降でございます。

 まず、現行と比べまして3つの案ということで示させていただいております。

 案1、案2、案3とございまして、それぞれの財政影響額、満年度の影響額を2ページ目に示しております。それを参照しながらごらんになっていただければと思います。

 案1は、国民会議報告書に最も忠実に、最もきめ細やかに所得区分を設定するものでございます。下のほうの赤いところでございますけれども、おおむね310万円以下の層、この限度額を4万4,400円、従前の一般所得者の多数該当と同じ額。これを置かせていただいております。

 白いところでございますけれども、370万~570万円までの層を据え置きとさせていただいております。この370万といいますのは、協会けんぽの平均的な標準報酬月額に対応する総報酬月額の額でございまして、570万といいますのは、従来の上位所得者の下限の770万円と今の370万の中間値でございます。ここまでの額を据え置きといたします。

 赤の下から3番目の310万~370万、ここは8万100円と4万4,400円の中間値である6万2,100円ということできめ細かく設定させていただくということでございます。

 青いところ、570万円以上の層については、200万円ごとに区分をいたしまして、考え方としては現行と全く同様に、一般の限度額については各区分の最低の標準報酬月額に対応する総報酬月額の25%、多数該当の限度額については年間負担額が総報酬額の2カ月分程度となるように設定いたした案でございます。

 下の70歳から74歳というところでありますが、これは70歳になられた方で新たに2割になられる方、及び3割である方という方を対象とした図でございますけれども、これらの方につきましても、同様に所得区分を細分化し、70歳未満と同じ限度額を設定するという考え方でございます。結果といたしまして、青いところ、310万~370万円の層は、現在、2割を前提とした場合の政令本則で定めております6万2,100円という額になり、310万円以下の額は現行の特例措置を据え置きということになります。同じく青いところの570万円以上の層は引き上げとなります。

 満年度の影響額でございますが、2ページ目、案1と書いてあるところでございます。給付費全体で約320億円、保険料への影響が保険者によって異なるわけでございますけれども、トータルでは約130億円の増影響、公費への影響が190億円、これもトータルでそういう形になってございます。

 次に案2でございます。これは案1に比べますと保険料への影響というものにより配慮いたした案でございます。具体的に申しますと、370万以下の層をひとくくりにいたしまして、これを一律に5万7,600円に引き下げてはどうかということ。この5万7,600円というのは、現行の一般所得の限度額の8万100円と低所得者の限度額の3万5,400円の中間値でございます。これにとどめる。

 あわせまして、青いところでございますけれども、案1では現行に比べて高いところが2倍以上といった形になりますので、そこに配慮いたしまして、上位所得者は所得区分を2段階にとどめるということで、引き上げ幅をやや抑制するといった形の案でございます。

7074歳、案2の下のほうにつきましては、同様に70歳未満と平仄を合わせる形で370万以下の所得層の方々のところは刻みを設けません。1割から2割への引き上げということとあわせてということからの負担増に配慮する観点から、特例措置の4万4,400円の維持をいたすという案です。結果といたしまして、570万円以上の層のみが細分化されて70歳未満と同じ限度額を設定するということになります。

 これも影響額が下の2ページ目でございますが、給付費トータルでいいますと、約70億円の給付費増要因ということになりまして、内訳を見ますと、保険料についてはトータルでマイナスの30億円の給付費増、つまり、30億円の保険料減要因、公費で申しますと100億円分の増要因ということになってございます。

 最後に、案3でございますが、これは案2をベースにしたものでございますが、案2で青いところの一番下、従来の一般所得者であるところの570万~770万円の層が負担増にならない、据え置くということにした場合の案でございます。

 この場合、7074歳の3割、2割負担の者につきましては、現行に比べまして急激な負担増を避けるという観点から、70歳未満との均衡という観点から申しまして、これは現行どおり、8万100円で上限という案となってございます。この案で見ますと、2ページ目の案3のところでございますけれども、給付費のトータルで約850億の増要因、保険料で見ますとトータルで600億円の増要因、公費で250億円の増要因という形でございます。

 前回、過去2~3年、この問題について当部会において議論をしておりまして、そのときも幾つか具体的な案を出したという経緯がございますので、それらについて違いがわかるようにということでございましたので、簡単に説明させていただきます。

 資料はございませんが、平成22年につきましては、基本的に案3をベースに、もう少し限度額を低く設定したという案とお考えいただければいいと思います。具体的に申し上げますと、当時お示しいたしましたのは年収300万円以下の者を4万4,400円に引き下げる。上位所得者については2段階区分をして、それぞれ引き上げを行うという案について議論したところでございます。

 平成23年にももう一当たり議論をいたしまして、そのときは引き上げを行わないで引き下げのみを行うという形で議論させていただいたところであります。具体的に申し上げますと、600万円以上のところをほぼ据え置きにいたしまして、300万~600万について6万2,000円、300万以下を4万4,000円。案1の下のほうのような形で、そういう形にしまして、あわせて年間上限額を設定したらどうかという案について議論させていただいたということです。そのときは、したがって相当の給付費増となっておりました。

 昨年は、基本的には年間上限を設定するという案について御議論いただいておりまして、そのときに年収300万円以下の区分を年間上限について設けるという案について議論させていただいたところであります。そういう意味では、年間上限設定がメインの案だったということでございます。

 以上、案を3つ示させていただきましたけれども、いずれの案でも、実施時期につきましては、1ページ目の下のところでありますけれども、見直し案の決定後、システム改修等に期間を要しますので、それを考慮した上で27年1月から実施することを目指すということで考えております。

 3ページ、今の2ページ目は高額療養費単独での財政影響ということでございますけれども、70歳から74歳の自己負担の見直しを財政影響も含めました形でお示しさせていただいております。これにつきましては、先ほどるる総務課長等から御説明させていただきましたとおり、今回の高額療養費の見直しといいますものが70歳から74歳の自己負担見直しと合わせて検討することとされておりますので、そのことを含めて推計させていただいたということでございます。しかも、段階的に行うという前提での試算でございます。

7074歳の自己負担の見直しですが、見直しを行う場合には、給付率が変化するということになりますので、給付率の変化に伴って医療費水準が変化するということが経験的にも知られております。したがいまして、自己負担の見直しを段階的に行った場合に、その影響が医療費水準に対して、したがって給付費ですとか保険料に対して影響が段階的に出てくるということになります。その姿をここにあらわせていただいております。

 案1の場合には、一番左のところでございますけれども、給付費全体としては、平成27年度に90億円の給付費の増となります。28年度から段階的に給付費の増が減っていきまして、マイナスになります。最終的に31年度には1,070億円程度給付費が減るという見込みとしております。保険料で与える影響で見ますと、これも保険者によって異なるわけでございますけれども、すぐにマイナス要因となるところもございますし、平成30年度になりましてマイナス要因となるというところもございます。ただ、移行がほぼ終了する31年で見てみますと、全ての保険者で保険料減が生じるという試算となっております。

 案2の場合でございますけれども、給付費で見ますと平成26年度からマイナスとなりまして、それから段階的にそれがふえていき、31年後には1,310億円のマイナス要因だということで見込んでおります。保険料影響で見ますれば、これも全ての保険者で影響は異なるわけでございますけれども、平成28年度から全ての保険者で保険料減となるという形になってございます。

 案3でございますが、これは給付費につきましては、29年度まではトータルで見ますと増要因になるわけでございますが、30年度からマイナス、31年度に470億円のマイナスということが見込まれます。保険料の影響で見ますれば、これも保険者によってことなりますけれども、平成31年度から全ての保険者で保険料の減となるという形を見込んでおります。

 以上が今回の案でございます。

 あと資料は4ページがそれぞれの所得階層に何人ほどいらっしゃるのかどうかということの大まかな試算でございます。

 5ページ以降につきましては、今、私が説明しましたものが詳細に説明つきで書かれておりますので、御参照いただければと思います。

 説明は以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局から説明のあった案件につきまして、御質問、御意見がございましたら御自由にどうぞ。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員

 商工会議所としては、3つの案の中で言えば案2が妥当と思っておりまして、細分化というのは結構なことでございますけれども、総額はできる限りふやすべきではなく、可能な限り制度内での財政中立を図っていただきたいと思っております。

 仮に案1とか3になると、相当給付増なものですから、財源をどうするか、財源の確保と必ずセットでないと難しいのではないかと考えております。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかに。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員

 前回も申し上げましたとおり、高額療養費の見直しは財源とセットで議論すべきであり、財政中立であることが大前提であります。また、特定の保険者にしわ寄せとならない形で検討いただきたいとお願いいたしましたが、今回御提示いただいた事務局案は、どの案も財政中立とは言いがたい内容であり、極めて問題であります。

 特に、私ども協会けんぽをはじめ、財政力の弱い保険者に重い負担を強いる内容となっており、反対と言わざるを得ません。医療保険者はどこも厳しい財政状況にありますが、特に協会けんぽは、他の保険者と比べて財政基盤が極めて脆弱であり、他の保険者よりも標準報酬が低いにもかかわらず、現在の平均保険料率は10%という極めて高い保険料率であります。

 このように、他の保険者と比べて既に大きな財政力格差が生じている中で、高額療養費の見直しの財源を特に財政力の弱い保険者に強いるという今回の案では、保険者間の財政力格差をさらに拡大させ、現在の逆進的な状況を悪化させるばかりであります。特に、協会けんぽの立場からすれば、2ページ目の財政影響を見る限り、どの案であっても、どの保険者と比べても、協会けんぽは最も多い保険料負担を強いられる案となっております。どうしてこうした案となったのか、全く理解ができません。

 加えて、案3は、右下の表のとおり、70歳から74歳の方の見直しについては全く手つかずの案となっております。厳しい医療保険財政を考えれば、高齢者であっても一定の所得以上の方には応分の負担を求めていかざるを得ないことは言うまでもなく、余りにもバランスに欠けた内容であり、案足り得ていないと考えます。

 また、3ページには、7074歳の窓口負担の見直しに伴う財政効果額が示されており、協会けんぽは平成31年度でマイナス360億円の財政効果となっておりますが、協会けんぽの財政は、本部会で御説明したとおり、もってあと1年程度であり、平成27年度には累積赤字に転じてしまうことは事務局も御存じのはずであります。

 平成27年度以降の協会けんぽの財政問題という目の前の課題に対して具体的な対応策が示されていない一方で、それとは別に、平成31年度という先の財政効果額を期待して協会けんぽの加入者、事業主の皆様に対して新たに相当の負担を強いる案が示されていることは大変遺憾であります。

 平成27年度以降、協会けんぽの財政が立ち行かなくなることは明らかであるにもかかわらず、さらに格差拡大を招く案が示されたわけですが、平成31年度という先の話は別として、今回の事務局案は、いずれも30年度までの協会けんぽの財政をさらに悪化させる内容だと思いますが、この間の財政対策をどう考えているのか、考え方を教えていただきたいと思います。

 加えて、もう一点、事務局に質問いたします。

70から74歳までの窓口負担を段階的に引き上げる場合、受診抑制の影響が生じないというのがこれまでの事務局の見解であり、この場合、波及効果は生じないのではないでしょうか。マイナス360億円という財政効果額は本当に期待できるものか疑問であります。この財政効果額は、どのような考え方の下で試算されたのか、その考え方を確認いたします。

 高額療養費を見直すという目的自体は協会けんぽとしても多くの加入者の利益につながる内容であり、一定の理解はできますが、今回、提出された案は、制度の見直しに伴う影響が余りにも大きく、特定の保険者にしわ寄せにならないような特別の対策をあわせて講じていただかない限り、いずれの案も受け入れられないということであります。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 事務局に2つの質問が出ましたので、お答えいただければと思います。

 事務局、お願いします。

○秋田課長

 調査課長でございます。

 まず、2つ目の御質問で、試算の考え方ということでございます。特に70から74歳の患者負担に伴います受診抑制ということかと思いますけれども、この考え方は、給付率が変化するということで、医療費の水準は給付率の変化に伴って変わるということは経験的に知られているということでございまして、今回の試算につきましては、新たに70歳に到達する方が2割負担になりますけれども、従来、1割負担だったということでございますので、1割負担である場合と比較すれば、相対的に医療費の水準が低くなると見込んだということでございます。

 一人一人の患者負担ということで見ますれば、当然、70歳になる方、3割負担の方が2割負担ということになりますので、そこは負担増にならないようにということで考えているところでございます。

 高額療養費につきましては、自己負担限度額、現役世代よりも低額とするか、据え置くか、入院と外来を合わせた自己負担限度額のほかに、外来にも自己負担限度額を設けているということで配慮を行っているということでございますので、当然必要な医療まで抑制するものではないと考えているところでございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 もう一つ、総務課長、どうぞ。

○大島課長

 今回の高額療養費の見直しの内容は、比較的所得の低い方の所得層の限度額を引き下げる、年齢も70歳未満ということで、結果的には協会けんぽへの保険料影響が一番大きくなるという出方になっているのは御指摘のとおりかと思います。

 協会けんぽのあり方につきましては、このたびの法制上の措置の骨子の中でも暫定措置の期限が参ります27年度以降についてどのようにしていくのか検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということにしております。来年度、この部会においても、この点について十分な御議論をしていただく予定にしておりますが、その際には、今回の高額療養費の見直しの影響、70から74歳の自己負担の引き上げの影響、こういったことも踏まえて検討をさせていただきたいと考えております。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 小林委員、おねがいします。

○小林委員

 質問に対する事務局の説明についてはわかりましたが、繰り返しになりますが、今回提出された案というのは、制度の見直しに伴う影響が余りにも大きいということで、特定の保険者にしわ寄せのならないような特別な対策もあわせて講じられない限り、いずれの案も受け入れられないということを重ねて申し上げたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 それでは、齋藤委員、岩本委員、岡崎委員の順番でお願いしたいと思います。

 齋藤委員、お願いします。

○齋藤委員

 まず、1点目は、小林委員のおっしゃることとほぼ同じでありますけれども、やはり財政中立、各制度にならないとなかなか難しい。ですから、この3案ともそういう点では全く説得力に欠ける。

 もし、このぐらいの格差が出てくるということであれば、国が責任を持って具体的な財源はこういうことですよということを示すお考えがあるのかないのか。単純に、この3つのうちから1つ選べということではないでしょうねということを1点確認したい。

 3ページの将来見通し、平成31年度になりますと、みんなマイナスになりますよと。これはある意味でごまかしの考え方ですね。もともと2割負担すべきものを1割にして、そして、そのつけがいろんな形で各方面に出ておった、これを2割にして、言ってみれば、先ほど受診抑制の話もありましたけれども、2割の本則に戻した。ですから、それなりの効果が出ますよということを一部で言っているようでありますけれども、これは本来的なあるべき姿に変えたまでの話で、今回の改革と全然関係ない形の試算が説得力を持つのかどうか。むしろ何とかごまかそうというような姑息な印象を非常に強く受けるのです。

 こういうことではなくて、やはり真正面からきちんとした考え方を示すべきだろうと。これまでの議論の経過を見れば、12ページ、患者負担の見直しを行う場合には、一般職と者あるいは現役並み所得者の所得区分を細分化することとしてはどうか。また、それぞれ所得区分の自己負担限度額は現行と同様、70歳未満の自己負担限度額との均衡を考慮して設定してはどうかというようなことが書かれておりますから、第3は非常に微妙なところでありますけれども、全く自己負担の限度額については従来と変わらない、本当にこれで説得力を持つのですかという印象を持ちました。このあたりを少し解説いただければと思います。

 被用者保険もそうだと思いますけれども、これはどこも財政は余裕があるということではなくて、どこでも大変厳しい中で低所得者を含め、限度額を引き下げようという趣旨では私どもも反対するものではありませんけれども、この3つだけに限定して本当に論じていいものかどうかという疑問を持たざるを得ない。そういう点で、この試算のごちゃ混ぜのあり方でいいのか、なぜこんなことをしたのかということも含めて説明願えれば大変ありがたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 幾つかの御意見がありまして、事務局に対してもお考えを聞きたいということでありましたけれども、何か事務局はございますか。

○大島課長

 今回、3案示させていただきました。基本的にはこの3案をベースに御議論をいただければありがたいと思っております。例えば案2であれば、かなり財政中立的な内容になっているかと思いますので、この範囲の中でまずは御議論いただければありがたいと思います。

 今回、高額療養費の見直しを行うわけですけれども、高額療養費は本当に大きな医療が必要になったときの支えになる医療保険のかなり根幹的な制度でありまして、一般所得というのは、今、非課税でない方ということで、年収200万ちょっとぐらいの方から一般所得層になりまして、月額8万100円ということになりまして、一般所得の中でも所得の低い方には、もう少し安心を保障する必要があるのではないかということで、今回、高額療養費の見直しをしようとしている趣旨であります。

 その中で、当然、財政影響は出てまいります。国費などの公費にも出てまいりますし、保険料にも出てまいります。その中で、今回、70から74歳を2割に戻していく。そのためにも、国民の医療給付の改善になるものとあわせてやることによって理解を得たいということであります。国民会議の報告書もそのことをあわせて議論してはどうか。そして、それを受けた法制上の措置もそれにのっとった規定になっています。70から74歳の方の高額療養費で、本来6万2,100円になるところを4万4,400円にとどめているのが直接関連するところでございますが、70歳未満の方につきましても、同じ医療保険制度の中で給付改善を図る、特に低所得者の方に対して配慮するという内容です。保険者の方の保険料への影響ということも、この点を含めて評価していただければありがたいと考えております。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員

 おっしゃることはわからないではありませんが、やはりそうすると、3つ比べると値段が一番いいという話になってしまうわけですね。そうでしょう。ですから、値段でいきますと言えるのですか。同時に、3案の74歳以上、何で給付をつけないのか。年齢ではなくて、負担能力に応じて負担するのだというような大原則が今回の改正の前提としてあるわけだと私は理解しております。一般の70歳未満の方々と比べて、手をつけない論理性が全然とれないのではないのかと。例えば570万以上あっても、一般所得者のいわば370万~570万の層と同じでいいのでしょうかという単純な疑問です。

○遠藤部会長

 お答えされますか。それでは、事務局、どうぞ。

○大島課長

 案3の70から74歳は、確かにこの絵をごらんになっていただきますと真っ白ということで現行どおりでございます。これは70歳未満と70から74歳以上の2つの表の均衡をとっているということもございまして、370万以上の方というのは、770万まで8万100円となっております。したがいまして、仮に770万以上という線が70から74歳に引かれれば金額を変えるということもあるかもしれませんが、年金で770万収入がある方は事実上ほとんどいらっしゃらないということもありまして、70から74歳の方の取り扱いを変えるのが難しいのかなということで、結果的にこの場合には現行と変わらないという考え方でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 では、どうぞ。

○齋藤委員

 もう一点だけ。今の説明に反論するような形でありますけれども、4ページの資料を見てみてください。現役並みの所得者、年収570万円以上の市町村国保は10万人いることになっていますね。ほかと比べて、これでほとんどいないと言える数字ですか。私は何も高齢者からいっぱい取れと言っているのではないのですけれども、資料の提示の仕方が全然論理的ではない、説得性に欠けるのではないかということを申し上げたいのです。

 ですから、3ページの資料も含めて、本来なら出た影響が元に戻っただけの話をいかにも今回の改定で効果がありましたというような数字のつくり方というのはごまかしになるのではないか。言葉が悪いですけれども、このことを言っているのです。そういうことをきちんと疑問を解きながら納得できるような案をつくるべきではないかと。

 以上であります。

○遠藤部会長

 御意見として承りました。

 お待たせしました。岩本委員、お願いします。

○岩本委員

 財政の数字が出たところで、また理屈っぽい話に戻って恐縮です。高額療養費の見直しをしますと、低所得者の給付が厚くなるということが起こります。その財源を公費でやればすっきり流れる問題が、保険料を使った場合にすっきり流れなくなるというところが問題になってくるのだと思います。

 どういうことかといいますと、保険料で給付の増を賄うとした場合に、それを低所得者の保険料で払うのか、高所得者の保険料で払うのかということで、そもそも政策のやり方というか、理念が違ってくることになります。すなわち、低所得者の給付がふえるものをその人たちが保険料を上げて払うということであれば、これは保険の機能を強化、充実させるということになるわけです。そのかわり、低所得者全体で見た場合に、金額としての負担は減るわけではなくて、給付が手厚くなる分だけ自分たちの負担もふえるということになるわけです。

 高所得者の保険料で支払った場合には、それは所得再分配が起こりますので、全体で見た場合に低所得者の負担軽減というのを高所得者の負担増で賄うということが実現されているとなるわけです。

 それで、きょうの財政シミュレーションで見ればよくわかるのですけれども、現在の医療保険制度のもとでは、こういう高額療養費の見直しで給付の増加が行った場合に、組合健保は公費が入っていませんから全額自分の保険料で調達しますし、協会けんぽは定率の公費の部分を除けば自分たちの保険料でその分を払うということになりますので、協会けんぽが基本的にはこの低所得層に入って高額療養費の給付がふえて、そのかなりの部分を自分たちの保険料で払うという結果が出てくるというは制度上自明な話になります。

 そのことが、国民会議の狙いと合っているかどうかということです。国民会議のほうの文章に戻って見ると、要するに国民会議のほうは低所得者の負担能力に配慮してということで考えられているわけですね。そうすると、低所得者の給付の増というのを自分たちの保険料であげるということになれば、そのことは国民会議で書かれていた改革の狙いにそもそも合致しているのかどうかというところが私としては気にかかるところであります。

 この狙いは、応能負担に相当するようなものを給付のほうにも適用して所得再分配の要素をもう少し入れてこようというのが理念であれば、これは現行の医療保険制度のもとでは、かなりの部分機能しないということがきょうの財政シミュレーションでわかったのではないかと思います。ですから、これを国民会議のほうで改革として示したものに関して、具体的にどう実装するかというところです。もう少し、私としては理屈の面から考え直したほうがいいのかなという気がいたします。

 仮に、保険料を使わずに公費を投入するということで低所得者の給付を賄うということであれば、まさに公費を使ってそれを実現するということになりますので、それはそれですっきりといいますか問題解決しますけれども、保険料を使っていた場合には、少し元に戻って、そもそも誰の保険料をそこに当てるのかというところを考えて、もし高所得者の保険料を充てたいのであれば、そもそも現在の医療保険制度の仕組み自体から考え直さなければいけないことになるかと思います。ただ、それ自体は難しいというか、私は財政調整をそういうようにしたほうがいいというのは持論ですけれども、それは少数の意見ですので、全体の意見の大勢は、そういった財政調整は非常に慎重であるということであります。そうすると、低所得者の保険料で支払うという選択肢にならざるを得ないということです。それは国民会議の理念に正しく応えられているのかというところに立ち戻っていくという気がします。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。非常に理論的な視点からの御指摘だったかと思います。

 それでは、お待たせいたしました。岡崎委員、お願いいたします。

○岡崎委員

 市町村の国保の立場で、幾つか問題点と課題を申し上げたいと思います。

 一般論で原則的に考えますと、消費税は御承知のとおり、低所得者に逆進性が重く働くという税ですので、今回の消費税の導入に合わせて、低所得者へのきめ細やかな新たな政策の展開は一つやっていかなければなりませんし、考えていかなければいけないというのが原則的な部分としてあると思います。それが今回の高額医療の中にも入ってきていると考えます。

 ただ、市町村国保の立場で少し申し上げますと、幾つか課題がございまして、財政中立の話も出ておりますし、例えば市町村国保は全体で全国的に見ましても、平成23年度の決算で大体単年度収支でも3,020億ぐらいの収支赤字ということになっております。

 この部会とは別の場だったと思いますけれども、消費税引き上げに伴いまして診療報酬の引き上げに関して、消費税の引き上げ分が一定織り込まれるということで、診療報酬のほうの委員会で議論されると思います。診療報酬の引き上げ幅はまだ確定しておりませんのでわかりませんけれども、各保険者の支出も、消費税分が薬剤等に織り込まれますので、当然支出が膨らんでいくという課題があります。ということは、市町村国保の赤字はさらに広がっていくということがあります。

 我々は、そのこともあって、これまで閣議の方向性として決められております2,200億を早期に入れてほしいということをずっと申し上げているところでございます。市町村国保の観点で見ますと、例えば3ページの表なども非常に気になるところで、平成31年度から給付が減るということになっておりますが、実際にこうなるのかどうかというのは各保険者も、ある意味バックデータもないし疑心暗鬼なところもあると思いますし、我々も市町村国保で実際こうなるかどうかというのはよくわからないということもあります。先ほどのように、市町村国保は全国で赤字の中で、また消費税が織り込まれて診療報酬が上がったときに、それをまた支払わなければいけないというところの問題がありますし、例えば2730年度の間に、市町村国保で言うと230億ぐらい、さらに保険料が要るということで、実質には収支がつなげないのです。市町村国保は財政的に持たない、つなげないという課題がそれぞれあります。

 確かに1ページの表の中で案1、2、3の中で、今区分をはめようとしております一般所得のところの幅は確かに幅が広過ぎるので、もう一段階、区分を考えていくということは発想としては当然あり得るのですが、ここで気になるのは、570万から770万ぐらいのところの引き上げですが、実質、例えば地方都市、人口30万~40万ぐらいの地方都市の国保の算定の中では、所得層が500万ぐらいで保険料の最高限度額の77万に行き届いているという状況が実態上あります。

 そうすると、所得階層で約500万の階層が国保の最高限度額の77万払って、この層は国民年金の層なので、別途に国民年金が大体36万ぐらい払っているということは、国保料と国民年金で年間110万ぐらい保険料を負担しているということの実態があります。例えば、570万~770万の層を引き上げていいのかどうかというのはいろいろ課題があるかなとは実態上は見えるところです。

 もう一つ、課題として、70歳から74歳のところの区分の中に新しい区分を入れますと、発想としてはわからなくもないのですが、平成29年度から市町村国保を都道府県国保に一本化していくという話があります。そうすると、平成29年度に向けまして、市町村国保から都道府県国保に向けてのシステムはかなり複雑なシステムを組んでいかなければならないところへ、これがうまくはまるかどうかという技術的な問題もあろうかと思います。

 幾つかきょうの資料の中では課題がたくさんございますし、各保険者から見ますと、財政中立になっていない部分をどうするのだという大きな問題もありますので、もう少し精査していかないと我々も結論が出せないという状況だと思います。保険者ごと、課題、それぞれありますので、もう少し分析しないと難しいかなというのがきょうの率直なところです。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。これは御意見として承るということでよろしゅうございますね。

 ほかに。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 高額療養費の見直しというのは、70から74歳の患者負担の見直しとセットで考えるということでございました。我々としては、70から74歳の自己負担の引き上げということには従来から慎重ではありましたが、どうしてもそれが行われるということであれば、十分な低所得者対策をとっていくべきだとお話しさせていただいております。

 それがすなわち高額療養費の見直しということでございますので、そういった観点から、70から74歳の方の負担を高額療養費のほうでは据え置き、かつ低所得者の方には引き下げ。しかも、高所得の方にはもう少し御負担いただきながら、一般所得の上のほうの方、先ほどもお話がありましたけれども、結構いろんな負担をしながら、子育ても行っているような世代とも思われますので、今回消費税の引き上げということもありますし、そういったところへの配慮も考えますと、我々としては案3がよろしいのではないかと考えております。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 樋口委員、白川委員の順番でお願いします。

○樋口委員

 ありがとうございます。70歳から74歳への2割へということは、もう皆様も御存じでございますように、今、3割で69歳だった人が70歳になるとき2割になるということでございまして、すでに70から74歳の人の負担が決してふえるわけではない。

 世代間の公平から言いまして、私はきっちりと実現しなければならないと思っておりましたけれども、と同時に、一方で年寄は、特に女性は貧乏なのです。低所得への対策はぜひとも、これはまた私だけではなく皆様御発言なさったと思いますけれども、ここまで来ましたら、低所得者対策というのはどういうことかということを具体的に教えていただきたいのです。これで見ますと、住民税非課税7074歳、21.1%プラスもう少し高い方で9.8%入れますと、いわゆる住民税非課税に準ずる人が200万人、比率では30%ということになりますが、この方を全部1割特例にするということなのか、特別な配慮ということの具体案を教えていただきたいのです。ここまでくればもうその時期と存じます。

 もう一つ、言わせていただきますと、1ページです。高額療養費の見直し案、各保険者の先生方からいろんな御意見がございまして、どの案の内容が国民とくに高齢者から見ていいのか悪いのか、私はよくわかりません。どうぞ保険者の方々と御議論の上、お決めいただきたいと思いますけれども、一般に制度を決めるという点でいいますと、私は第1案を見ていて目がくらくらしてしまいました。こんなに細かく所得を刻んで、一体本当に高齢者を含めて所得の捕捉ができるのだろうかと。考えますと、行政の提供する政策というものが国民当時者にわかりやすいようにと考えますと、シンプルイズベストだと思っております。こんなように細かくて本当に所得の捕捉や追跡ができて事務経費はそれなりに安く済むと思ってらっしゃるのでしょうか。でも、これはこれだけの問題ではなくて、あらゆる制度についてお願いしたいことでございます。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 事務局に対するお尋ねはあったという。

○樋口委員

 後でいいです。

○遠藤部会長

 後で結構ですか。

 それでは、白川委員、お願いいたします。

○白川委員

 御意見を申し上げる前に、2つほど事務局に質問させていただきたいのです。

 1つ目は、2ページの案1、案2、案3の財政影響のところでございますが、これの見方です。ここで給付費とありますのは、それぞれの保険者が事故の加入者のために負担する給付費という意味だと思いますが、保険料のほうは、被用者保険でいいますと、高齢者医療への拠出金等がありますので、それの影響も織り込んだという見方でよろしいのかどうかというのが一つ。

 2つ目は、3ページの平成31年度までの財政影響でございますが、高額療養費自体は年々増加するという過去の経験があるわけですけれども、その増加分は見込んでいない。現状の数字が後の資料1の19ページ、20ページにございますけれども、これは平成22年度の高額療養費の支給額が20ページに出ておりますけれども、これをベースに27年度分を計算し、それを固定した形で31年度まで伸ばしたと考えてよろしいのか。その2点について質問をさせていただきたいと思います。

○遠藤部会長

 シミュレーションの中身でございます。

 では、調査課長、お願いします。

○秋田課長

 調査課長でございます。

 1点目の御質問でございますけれども、2ページの給付費と書いてあるものと保険料と書いてあるものの取り扱いの違いということかと思います。御指摘のとおり、給付費のほうは、当該保険者で発生した給付。保険料のほうは、支援金等ございますので、それも加味したものということになってございますので、合計が合わないケースもございます。

 2点目の御質問でございます。高額療養費、固定しているのかということでございますけれども、私どももこの試算をするときに、まず給付率を計算させていただきまして、その給付率をもとに高額療養費の影響を出してございます。したがいまして、医療費分の増については、将来に向かってふえていくという試算をしているという形でございます。

○遠藤部会長

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 済みません、よく理解できなかったのですが、高額療養費自体もふえるという計算で出されているということでよろしいのですか。

○秋田課長

 給付率を高額療養費の限度額が変わったときに変化するというような前提で試算をしてございます。したがいまして、将来、医療費が年間約3%ちょっとぐらいで延びていくという前提でございますけれども、それに応じて高額療養費もふえていくというような形の試算になってございます。

○白川委員

 わかりました。では、意見を述べさせていただきたいのですけれども、1ページに案が3つ示されておりますけれども、基本的には低所得の方々の負担を軽減しようとすれば、上位所得の方々の負担をふやすしかないという帰結になるわけですけれども、さっと見た感じだけで非常に恐縮でございますが、1ページの左に現行がございますけれども、今、一般所得の方々、8万100円に対して上位所得は15万、2倍ぐらいの区分になっているのです。案1、案2、案3を見ますと、どこを基準にするかいろいろありますけれども、ピンクの5万7,600円ぐらいを基準にしますと、案2でいけば5倍。現在、長く高額療養費を受けてらっしゃる方もいらっしゃいますので、そうなると、ある日突然15万円から25万円に変わるというこことになります。それに対して、例えば案2の次の770万~1,160万のところにいきますと、1万7,000円ぐらいの負担増。こういうバランスも考えるべきではないかと。

 と申しますのは、前回も岩村先生がおっしゃいましたけれども、上位所得の方は保険料負担が大きい。ただ、給付の段になると、給付が少ないという矛盾があるわけでございまして、その辺に対する一定の配慮もしていくべきではないかと考えております。今、保険課長から所得区分の考え方は御説明いただいたので一定の理解はしておりますけれども、現行とのつなぎということもぜひ配慮すべきかと考えております。

 2つ目は、御質問させていただいたとおり、被用者保険にとってみると、高齢者医療への拠出がこれによって影響を受けるわけでございまして、しかも年々高額療養費は件数、金額ともにふえるという傾向、これは多分当分の間は続くのであろうなと想定されます。これが与える財政への影響というのは相当大きいものでございまして、我々は前から申し上げているとおり、これを高額療養費の問題だけにすると協会けんぽさんがおっしゃったし、私も感じておりますけれども、今の保険者の財政の中でまた負担増かと、これを事業主なり加入者にお願いしなければいけない。理由はというと、理由はまた低所得者に対する、あるいは高齢者医療制度に対する拠出金がふえるからですという説明をせざるを得ないというのは余りに苦しい状況でございますので、前からお願いしていますとおり、高齢者医療制度の負担をどうするのだということに立ち返って、これもその一部といいますか、かなり影響を受ける部分でございますので、そういうことをぜひ早急に御検討いただければとお願いいたします。

 今回、閣議決定された骨子の中で、低所得者に対する配慮というのが保険料でも書かれていたと思いますけれども、消費税が逆進性ということで、どういう措置がとられるのか、まだ政府では決められていないようですけれども、低所得者対策としてパッケージで何をやるのか、どれぐらい負担軽減を図るのかというのは、ぜひこれは厚生労働省だけの問題ではないというのは重々承知しておりますけれども、どこかで国民に対して説明をする必要があるのではないかと考えておりますので、他省あるいは内閣官房とも御相談いただいて、そういう思想みたいなものがなしで、細切れでこれだけでどうだと言われても、我々はなかなか判断に苦しむということをあえて申し上げたいと思います。

 全体としては、冒頭申し上げたとおり、低所得の方々の負担を減らすために上位所得の方の負担をふやすというのは一定程度やむを得ないと考えますけれども、何人かの委員の方々がおっしゃったとおり、保険者への財政影響というのを今の制度で減らすのはなかなか難しい、全ての保険者の財政影響がゼロになるというのは、今の制度では難しいと思いますので、特にそれを救うための仕組み、それは税の投入ということもあるのでしょうけれども、私はあえて申し上げたいのは、高齢者医療制度のほうの改革を先にやっていただきたいということが私の意見でございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、菅家委員、お願いいたします。菅家委員の次に武久委員ということでお願いします。

○菅家委員

 私も今回の高額療養費の見直しの目的が、説明を聞けば聞くほどよくわからなくなっているというのが結論でございまして、そもそも見直しをどの文脈で捉えなければならないのかということについて、もう少しはっきりと目的を示し、それに沿った案となるようにしないと、この3つの案、それぞれどれがいいかと言われてもなかなか判断ができないというのが率直なところでございます。

 まず、考えなければいけないのは、社会保障・税一体改革という大きな改革の文脈の中で高額療養費の見直しも捉えるべきではないのかなと思っております。そういう観点から見ますと、やはり所得再分配機能を強化していくということでございますので、そういう意味では、特に消費税の増税ということを考えますと、低所得者対策ということは避けて通れない課題だと思っております。そういう文脈で捉えるならば、案1、案2、案3、それぞれでそうなっていないと言わざるを得ません。

 さらに申し上げますと、3ページの資料で70から74歳、1~2割を含む財政影響の試算が載っておりますけれども、給付費と保険料の31年度までの変化につきましては示されておりませんけれども、では、公費は一体どういう変化をこの中で生じるのかということについては、資料は載っていないわけです。その辺は一体どういうことなのかということと、最終的に資料3を見ますと、31年度におきましては、いずれの案も給付費が減り、保険料の負担が減るということになっているわけですけれども、減る分は一体誰が負担することになるのでしょうか。少し説明をしていただければならない。

 つまり、最終的に制度改革によって一体誰がどういう負担をするのかということについて、より具体的に明らかにしていただかなければ、社会保障・税一体改革の大きな文脈の中で理解することはできないと考えておりますので、まず、その目的がきちんとわかるようにしていただきたいということと、その目的に沿った案となるものを示していただきたいと、それに尽きると思います。

○遠藤部会長

 御意見としては承りました。よろしゅうございますね。

 それでは、武久委員、お願いします。

○武久委員

 教えていただきたいのですが、3ページの一番下の70から74歳、2割負担になったときに990億円がマイナス、要するに減るということですね。69歳で病気の方のことを考えてみますと、先ほど誰か言ったように3割払っているわけですけれども、70歳になったときから1割が2割になる。個人にとっては3割から2割になるわけであって、現在、70歳の人は1割が2割になるわけではないと対処していただいているわけですから、そうすると、これだけ減るかなということ。

 もう一つ、高額療養費のほうで、8万100円だったのが5万7,600円になる人が、高齢者だけで見ても約半分の対象者が少なくて済む、2万3,000何ぼか少なくなっていくということを考えますと、受診抑制が起こるのかと私は医療の現場にいると思うのです。これは消費税が8%、10%を全部織り込んでいるのか、単純に70から74歳が2割になるということに対する試算で、高額の療養費のことは考慮していないのか、その辺のところを事務局に御説明いただけたらありがたいと思います。

○遠藤部会長

 では、調査課長、お願いします。

○秋田課長

 御質問の点でございますけれども、繰り返しになるかもしれませんけれども、70から74歳の患者負担につきましては、新しく70歳になる方は2割負担という前提でございますけれども、従来1割負担ということでございましたので、1割負担の場合に比べれば2割負担のほうが相対的に医療費は低くなるのではないかと見ているものでございます。

 もう一点の御質問は何でしたか。

○遠藤部会長

 もう一度お願いします。

○武久委員

 今のはわかりましたけれども、先ほど言ったように、69歳の私が70歳になったときには1割減るわけですね。だから、ざっという計算でいいのかということと、先ほどの質問は、高額療養費を低所得者とされた場合に、そういう影響も入れているのか、消費税のことも計算に入れているのかということをお伺いしたいのです。

○秋田課長

 失礼しました。消費税の導入の効果ということについては、試算に入っておりません。高額療養費の限度額を引き下げた影響については、先ほど申し上げましたけれども、一旦、限度額が変わったときの給付率というものを計算いたしまして、それをもとに財政影響を計算しているのですけれども、その際に仮に給付率がこれまでより上がるという部分については、医療費の波及増を見込んでおりますので、そういう意味では試算に織り込んでいるということになるかと思います。

○遠藤部会長

 武久委員、どうぞ。

○武久委員

 単純に考えて、1割から2割にふえるから70から74歳で受診抑制が990億円出るのだという試算の仕方が、私は現場から考えると受診抑制は減らないのではないかと思うのですけれども、私だけでしょうか。

○遠藤部会長

 それは質問ですか、御意見ということでよろしゅうございますか。

○武久委員

 計算の仕方。

○遠藤部会長

 では、調査課長、こういう御疑問を持っておられるということなので。

○秋田課長

 お答えになるかどうかわからないのですけれども、患者負担を引き上げた場合、あるいは引き下げた場合、両方考えますと、例えば3割から2割にする場合、1割から2割にする場合というのがあるかと思いますけれども、例えば3割から2割にする場合は、非常に心理的な影響が強くて受診抑制が働くということをお考えなのかもしれないのですけれども、やはり中長期的な視点から見ますと、患者さんの負担は2割ということですから、1割から2割にふえる場合、3割から2割に減る場合、同じ2割の水準であれば、同じぐらいの水準の医療費になるだろうと考えて試算しているところでございます。

○遠藤部会長

 武久委員、どうぞ。

○武久委員

 これは31年度ですから、今から5年間ということで徐々に74歳になっていくわけですけれども、幸いなことに、現在、73歳になる人が2割になるわけではないわけですね。そうすると、徐々に2割の人がふえていくわけですから、この5年間に990億、大方1,000億も受診抑制が起こるとは、とてもではないけれども、現場では考えられないのです。計算式がどういう計算式でやったのか。私は余り算数は強いほうではないのですけれども、教えていただけたらと思います。

○遠藤部会長

 計算式をといってもあれですけれども、もう一度、考え方の基本みたいなところを御説明いただければよろしいのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

 調査課長、どうぞ。

○秋田課長

 給付率の変化に応じて医療費が変わる。給付率が違えば医療費の水準が変わるというようなことを前提にして試算してございます。したがいまして、2割負担であるという状況よりは、1割負担であるという状況のほうが医療費は高くなるだろう。逆もそうですけれども、そういった考え方になっております。

 したがいまして、計算式のほうもそちらを前提に給付率に応じまして医療費の水準が変化するというような形の前提で試算しているところでございます。

○遠藤部会長

 武久委員、どうぞ。

○武久委員

10年後ならわかるのですけれども、5年後というのは徐々になっていきますね。それがすぽんとこういう値になるのかどうかがわからない。

○遠藤部会長

 調査課長、どうぞ。

○秋田課長

 いきなりこういう数字になるわけではございませんで、徐々に2割負担になる方、そちらの方についてという形になっておりますので、年間に直しますと伸び率としてもそんなに高いものではございません。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、堀委員、お願いいたします。

○堀委員

 まず、意見と御質問です。

70から74歳の窓口負担につきましては、きょうの御説明で議論の整理の理解はできましたし、日本歯科医師会は一貫して現在の凍結措置を支持してまいりましたが、このスケジュール感でそこの是非に拘泥して議論をとめる気は全くありませんので、きょう、御提出させていただきました参考資料をもって意見とさせていただきたいと思っております。

 かねてから、私ども医療提供者側として主張していたのは、70から74歳の年代というのが健康寿命の延伸に極めて重要な時期であるということが一番大きな観点でありました。そのことを示す資料を幾つか添付してございますが、まず、我が国においては、健康寿命が男女ともこの期間に尽きてしまうということを示してございます。

 特に歯科におきましては、質が高い生活を送るという観点で20本の歯を残そうという8020運動を推進しましたが、残念ながら、70から74歳の間で20本を切ってしまうという現実もあるということと、特に窓口負担率の変化が歯科においては患者さんの受診動向に大きく影響するということを、東日本大震災の後の窓口負担金免除の措置の下での受診動向を示すデータをつけてお示ししております。

 こういったことを踏まえまして、凍結措置を引き続き維持していただきたいということが一番の眼目でございますが、本則どおりに引き上げを行うといった場合には、ここに示されたような問題、先ほどあったような低所得者対策であるとか、受診抑制に関する対策をしっかりと講じた上でお願いしたいということで、委員の皆様には、これをお読み取りいただきたいということが意見でございます。

 質問ですが、きょうの資料1のほうですが、前回のこの部会におきましては、細分化した場合のシステム改修のコストの問題であるとか、例えば患者さん側にしてみると、これを受ける場合には、償還払いと現物給付があって、特に現物給付の場合のいわゆる証明書的な発行のあたりでかなり煩雑になるのではないかということが議論になったと思いますが、そういったことがわかるような、特に案1と案3を比べてその辺の影響はどのくらいあるのかということも前回は問われていたと思うのですが、御説明があればお聞きしたいと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、事務経費に関連して何かコメントございますか。お願いします。

○鳥井課長

 事務経費につきましては、確かに所得区分が細分化されるというところから、保険者ですとか、審査支払機関、医療機関におきましても、それに応じたシステムの改修ということは必要になろうと考えております。

 私どもが把握できる範囲で少し調べてみたところでは、例えば健保組合につきましては大きな組合で単一組合で約1億円を要する見込みでありますとか、市町村国保においては政令市規模では5,000万を超える程度の経費がかかりますとか、そういったことで考えております。これにつきましては改修をお願いしたいと考えております。

○遠藤部会長

 堀委員、どうぞ。

○堀委員

 保険者のほうの経費は、余り私からどうこうはありませんが、患者さん側の手続的なものについての影響はどうでしょうか。

○遠藤部会長

 お願いします。

○大島課長

 限度額認定証を持って高額療養費を受けることになりますが、所得区分が短くなれば、それに伴う限度額認定証の発行回数はふえていくことが想定されますので、事務負担は案1のほうが多いと考えられます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 堀委員、よろしいですか。

○堀委員

 もし可能であれば、少し資料の整理ができるのであれば提示していただいて、仕組みのことも、今、言った認定証、そのあたりもお示しいただければと思います。今後の議論の場で結構ですので。

○遠藤部会長

 それでは、先ほどの順番で、菊池委員から藤原参考人、森委員という順番にさせていただきたいと思います。

 では、菊池委員、どうぞ。

○菊池委員

 高額療養費制度は、大きなけがや病気の際に医療費の支払いへの大きな不安に対して安心感が持てる有効な医療制度として非常に重要と考えています。

 消費税も上がる予定ですし、所得の低い方の支払いの上限を下げるということと、また、70歳から74歳の方の自己負担が1割から2割になっていくということで、医療費支払いへの不安感をできるだけなくしていくという観点から、案3がいいのではないかと考えます。ただし、財政影響の御説明を受けましたら、一方で給付費が増え、保険者の特に協会けんぽと国保の支出が大きくなり、保険料アップにつながるということで、厳しいところはますます厳しい財政状況になるということがありますので、これにつきましては、財政的な支援なり何らかの別の対策が必要ではないかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、藤原参考人からお願いします。

○藤原参考人

 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。

 1点目は、70から74歳の方の自己負担割合を2割に戻すという話でございますが、これは冒頭に事務局から御説明があったように、他の世代との負担の公平性の観点から戻すのだということでした。これまでの議論の中ではできれば早急に戻すべきというのが大勢の意見であり、私もそのように考えております。

 それと、70から74歳の自己負担の本則化と高額療養費制度の見直しという直接関係のないものをセットで議論しようとしていること自体、納得しておらず、違和感があるなと思っております。もし仮に今のようなセットで議論するとしても、この自己負担を70から74歳の方の自己負担を2割に上げることと、高額療養費の見直しの変更案がどう関連するかということの説明が必要になってくると思うのですが、きょう示されました3案とも、負担が配慮される、上限が配慮されているのは70歳未満のところでございまして、70から74歳のところは特にそれはないという案ですので、その説明になっているのかなと非常に疑問に思います。それが1点目でございます。

 2点目は、案3について、先ほどの齋藤委員と同じ意見でございます。年齢別の負担構成はやめようというのが今回の大きな方向性だと思います。その際に、70から74歳の区分が全然見直されないということは、国民会議の基本的な考え方から大きくそれるものだと思いますので、案3は検討の俎上から外すべきではないかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、森昌平委員、お願いいたします。

○森昌平委員

 前回のこの部会で、高額療養費制度の充実も今回の見直しの視点に入っているとのことでしたが、近年、薬物治療が高度化して、高額な薬剤を長期にわたって服用する患者さんがふえています。

 そういう高額な薬剤を長期にわたって服用するということは、長期にわたって重い負担になりますが、今の制度では自己負担限度額が月単位になっているため、年間医療費が同じでも高額療養費制度が支給されない場合があります。そのようなことを考えますと、公平性の点から、年間単位での限度額も併せて考えることも一つではないかと思います。

○遠藤部会長

 年間上限の議論ではありますけれども、一時期、当部会でも議論しましたが、これについてどういうように考えたらよいかという御質問だと思います。いかがでしょうか。

○鳥井課長

 年間での負担上限を設けることが検討されてもよいのではないかということでございますけれども、御指摘のとおり、昨年来、議論いたしておりますように、社会保障・税一体改革大綱におきましては年間の負担上限を設けることにつきまして抜本的な見直しまでの間に高額な医療費負担を少しでも改善するための措置として位置づけられて提案されていたところでございます。

 今回の見直しといいますのは、その後の国民会議報告書を踏まえて所得区分を細分化して、負担能力に応じた見直しということでかなり抜本的なものであるということでございますので、したがいまして、抜本的な見直しまでの間の年間負担上限の設定ということについては、今回は優先順位からいきまして検討を行っていないということでございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 それでは、まず、児玉参考人、川尻委員という形でお願いいたします。

○児玉参考人

 森委員もおっしゃってくださいましたが、長期にわたって高額な医療費を払う患者さんがふえています。低所得者の人への配慮ということでしたが、今回、多数該当に当たる金額を見ますと、低所得者の人であっても全く減っていません。この4万4,000円か4万4,400円を払い続けることは大変な状況でありますので、多数該当の金額に関しても、もう少し案を出していただきたいと思います。

 そして、長期にわたる期間が1年だけで終わるわけではなくて、20年、30年と4万4,000円を払い続けるという方もいらっしゃいますので、段階的な引き下げ等もぜひ案として出していただき、検討いただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 では、川尻委員、お願いします。

○川尻委員

 ありがとうございます。私は意見として述べさせていただきたいと思います。

 まず、高齢者の特性から見まして、やはり病気にかかることによって多方面にわたっての診療を受ける。さらにそれが長期化していくというような状況の中で、高齢者の負担というのはふえていくと考えております。

 したがいまして、これらの問題の中で、皆さん方には大変御苦労といいますか、御尽力をいただいているわけでございますが、ここで高齢者の立場ということで申し上げさせていただければ、やはりそういった皆さん方もおっしゃっているように、低所得の方々に対しては、もう皆さんの御理解をいただいているわけですが、高齢者全体を考えていく中では、やはり診療の抑制につながってはいけないというようなことも踏まえていく中で、ぜひそういったことを考え合わせた上で、今後の議論をしていただければと思っております。これはあくまでも意見として申し上げておきたいと思います。ありがとうございます。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございました。

 ほかにございますか。

 武久委員、どうぞ。

○武久委員

 なかなか議論があれですが、要するに70歳、74歳、75歳と切ったらそうなるのですけれども、1人の患者さんから言うと69歳から病気がちでずっと病院なりにかかっていると、3割だったのが2割なってラッキーと。4年間行って、今度は75歳になったら1割になったと考えるのです。そうすると、受診抑制は起こりにくいのではないかと思うのです。そういうことではないと思うのですけれども、2ページの先ほど小林委員が言ったように、協会けんぽだけがプラスだと、三百何十億、どの案でも結構余分に要る。それと3ページの協会けんぽの360億の受診抑制をすると、受診抑制が出るからこれでいいではないかと、うがった見方をするとそんなように感じてしまうのです。どうも高齢者の意識としては、そういう意識ではないかと思うのです。

 ただ、高額療養費のところで確かに70歳以上のところは全然触っていない。これは受診抑制のことがもしあれだったら、ここは少し触っていただいたほうが、低所得者に対しては4万4,000何ぼが3万台になるとか、何か案を考えていただけたら、さらにありがたいかなと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 総務課長、どうぞ。

○大島課長

 今のに少しだけ補足させていただきますと、今3割の方が5年後は2割ですけれども、1割の世界が仮にあったとした場合、1割の世界の額と2割の世界の額を比べますと、受診抑制という言葉は余りよくないのかもしれませんけれども、医療費の使い方ということを考えますと、恐らく1割のほうが高くなるのではなかろうかということで、財政影響の試算を行っています。受診抑制という言葉づかいがやや違和感をお覚えのところなのかなと思いました。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見ございますか。よろしゅうございますか。

 岡崎委員、どうぞ。

○岡崎委員

 余りお時間はとらせませんけれども、私の記憶している限り、今回の高額療養費の見直しの議論というのは確か3回目ぐらい。3回目というのは、2年か3年前に1回あって、それからもう一回あって、今回もう一回出てきているということで、今回、特に消費税8%を導入するということを政府としても最終的に決めましたので、消費税の逆進性、そして低所得者対策ということを考えると、今回、何らかの成案にこぎつけたいというところは一定あろうと思います。ただ、なかなかそこまで行きつかないのは、それぞれの財政中立という言葉が今日もかなり出ていますけれども、それぞれの保険料で全部やってしまうということになると、いつもそこで堂々巡りになって決着がつかないということがこれまでの議論であります。

 先ほど少し保険料でやらなければいけないのか、もしくは税を低所得者に対して入れてやるべきかというお話も出ていましたけれども、きょう、多分成案としてはまだまとまらないと思うのですけれども、もう少し議論しながら、できれば今回どこに決着がつくかわかりませんけれども、成案を目指していくべきではないかということは一定思うところでございます。また論議が要るかなとは思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 貴重な御意見、ありがとうございました。何人かの委員も同様な御趣旨のことをおっしゃっておられたと認識しておりますので、重要な御指摘だったと思います。

 ほかにございますか。よろしゅうございますか。

 先ほど岡崎委員から御発言がありましたように、高額療養費制度の見直しについては何回か議論をしてきたわけでありますけれども、なかなか実現に至らなかったわけでありますが、今回はようやくそれが実現するのかなというところに来ているわけであります。ただし、具体的な中身につきましては、さまざまな御指摘があったということが現実だと思っております。

 今後のやり方でございますけれども、さまざまな御意見はございましたことは承知しておりますけれども、特に公費の使い方という点で予算編成と非常に強く関係してくるものですから、皆様方の御意見、非常に尊重させていただいて、真摯に受けとめて、それを反映しながら事務局に予算編成に対応していただくという形でさせていただきたいと思うのですけれども、いかがでございましょうか。

 今までのお話の中ではもう少し議論をというようなお話もありましたけれども、基本的には公費がかかる話なので予算編成との関連なしで議論できませんから、できるだけ皆様の御意見は真摯に対応するように事務局にお願いしたいということでいかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員

 ただ、議論が練り切れていない。スケジュールから言えばわからないわけでもないですけれども、やはりもう少し議論を詰めるべきではないですか。最終的にどうしてもそうだといえばそれはそれでいいのですけれども、結局高齢者の70歳以上の本則も予算編成過程で政治的な判断で1割に落として、その影響がずっと出てきている。今回、本当にそれを元に戻すのですか。これも戻そうという方向性出ているにしても決定していない。高額療養費と70歳以上の医療費が混同して議論しているとなかなかどうもよく見えないなというところがありますので、どうしてもというのならば、それはそれでやむを得ないにしても、もう少し議論を尽くしてほしいなということだけ申し上げておきます。

○遠藤部会長

 価値ある議論になるだろうと私も思っておりますけれども、しかし、収れんするかどうかはなかなか難しいというということも一方であると思いますので、それらも踏まえて、先ほど私が申し上げました対応にさせていただくということではいかがでございましょうか。

 その過程において、あるいは結果になるのかもしれませんけれども、事務局から適宜当部会に御報告いただくということにしたいと思いますが、事務局、何かコメントはございますか。

○大島課長

70から74歳の2割負担の話があっての上での高額療養費の見直しでありますので、70から74歳の2割負担の話をきちんと進めていく過程の中で高額療養費を最終的にどういうような形にしていくのか、予算編成の中で調整させていただきたいと思います。その際には、きょういただいた御意見を当然頭に置いて、対応をしていきたいと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 そういう意味で、予算編成と非常に強く関連するものであるということもありますので、そのような先ほど申し上げましたような対応にさせていただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。

 樋口委員、どうぞ。

○樋口委員

 先ほど菅家委員が言われたことはとても大事だと思います。消費税が上がる中で低所得対策、特に高齢者の低所得対策というものを具体的にパッケージにして政策として国民にお見せくださることがとても大事だと思っておりますので、よろしくお願いします。

○遠藤部会長

 低所得者対策について、きちんとした形で説明してほしいというのは複数の委員からも出ておりますので、そういう御指摘があったということは御記憶に強くとどめておいていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、いろいろと御不満もおありになるかと思いますけれども、そのように対応させていただきたいと思いますので、事務局におかれましては、そういう厳しい御質問、御意見があったということも踏まえながら対応いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、とりあえず本日用意いたしました案件はこれまででございますけれども、何かございますか。よろしゅうございますか。

 まだ少し時間がございますけれども、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。

 次回の開催につきましては、追って事務局から御連絡をすることとしたいと思います。

 本日は、御多忙の中、お集まりいただきまして、本当にどうもありがとうございました。


(了)

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