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2013年9月20日 第5回都市部の高齢化対策に関する検討会 議事録

老健局総務課

○日時

平成25年9月20日(金) 17:00~19:00


○場所

イイノカンファレンスセンター「Room B」


○出席者

大森、大杉、鎌形、高橋、山崎
秋山、岡部、大塔、岡田、中山、西嶋、松雄
(熊坂、馬場園、藻谷 の各委員は欠席)

○議題

報告書(案)のとりまとめについて

○議事

○司会 では、定刻となりましたので、ただいまから「第5回都市部の高齢化対策に関する検討会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりをいただきましてまことにありがとうございます。

 まず、先立ちまして委員の出欠状況について御報告申し上げます。

 本日は熊坂委員、馬場園委員、藻谷委員が御欠席でございます。

 さいたま市の大塔委員におかれましては、所用のため少しおくれるという御連絡をいただいております。

 また、オブザーバーの国土交通省都市計画課の和田課長ですが、所用が入りまして本日は下村企画専門官の代理出席でございますので、よろしくお願いいたします。

 第5回の本検討会のオブザーバーといたしまして、杉並区保健福祉部の田中参事に御出席いただいておりますので御紹介申し上げます。

 続きまして、同じくオブザーバーといたしまして、静岡県の宮城島健康福祉部長にも参加していただいておりますので御紹介申し上げます。

 また、本日はとかしき厚生労働大臣政務官が出席しております。本検討会の終わりに、政務官から御挨拶をいただく予定でございます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りさせていただきました資料でございますが、資料ナンバー1番は本検討会の報告書の案でございまして、「都市部の強みを生かした地域包括ケアシステムの構築」という資料案でございます。

 資料ナンバー2が、本検討会の報告書の参考資料でございます。

 また、本検討会の報告書(案)の概要版もお手元に配らせていただいておりますので、案でございますけれども、よろしくお願いいたします。

 恐れ入りますが、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思いますので、報道関係の皆様方には傍聴席にお移りいただきますようにお願い申し上げます。

 では、以降の議事進行は大森先生にお願いをいたします。先生、よろしくお願いします。

○大森座長 御多用のところ、御参集いただきましてありがとうございます。

 本日、この検討会の取りまとめをさせていただくというお約束でございます。前回の検討会でいろいろな方々から御意見が出まして、それを踏まえまして報告書(案)をまとめてきょうは御提示してございます。一応、委員の皆様方には事前に御確認をいただいていますので、まず事務局から全体の構成がどうなっていて、主としてどういう点について少し手直しをしたかということに力点を置いてまず説明していただきます。

 その後、皆様方の意見の交換の時間を設けたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局お願いします。

○吉田企画官 企画官でございます。御説明を申し上げます。

 資料1を見ていただきたいと思います。ストラクチャーですが、まず題名として「都市部の強みを生かした地域包括ケアシステムの構築」とさせていただいております。

 目次を見ていただきまして、「はじめに」ということで、前回の論点整理でも出させていただきました本検討会の趣旨を書かせていただいております。

 2番で、都市部高齢化対策を考える前提として「都市部を取り巻く状況」を3点整理させていただいております。前回は都市部の地域特性だけを提示させていただいたところ、委員の皆様方から2025年の高齢者像を踏まえる必要がある。また、2025年には医療・介護の提供体制の改革がございますので、それを踏まえる必要があるという御指摘をいただきまして、つけ加えさせていただいております。

 これらの取り巻く状況を踏まえ、取組として「都市部の強みを生かした地域包括ケアシステムの構築」を目指すということで、施策として大きく4点を掲げさせていただいております。特に前回、介護予防の視点が欠けているという厳しい御指摘をいただきました。3番で加えさせていただいております。

 4番で「都市部における施設整備等」で、その工夫、圏域間調整の話等々を書かせていただき、また2025年を視野に入れた中長期の対策が必要ということで、5番にそれを書かせていただきまして、6番で「おわりに」とさせていただいております。

 中身につきましては、前回の論点整理で追加した点、記述を補った点を中心に御説明を簡単にさせていただきます。

 おめくりいただきまして「はじめに」ということで、これは前回の論点整理のとおりでございます。本検討会の趣旨を書かせていただいております。

 2ページから「都市部を取り巻く状況」ということで3点、おめくりいただくと3ページから「都市部の地域特性」、これは前回提示させていただいたものを整理して書かせていただいております。集住であったり、生活インフラが充実している等々の都市部の特性をまとめさせていただいております。

 4ページをごらんいただきますと「2025年の高齢者像」ということで、戦後の変化の象徴と称される「団塊の世代」が75歳以上になり切ります。2025年の高齢者像というのは、従来の高齢者像と大きく異なると考える。「団塊の世代」の特徴・現状・意識について主だったものを整理させていただいております。「高学歴化」「高度経済成長と都市化」「消費文化の享受と多彩な生活スタイル」、おめくりいただきまして「幅のある世帯年収」「高い持家率と住まいへの意識」「在宅医療・介護に対する高いニーズ」「定年後の高い就労意欲」、次のページへいっていただきまして「高い社会活動への参加意識」を整理させていただいております。

 (3)は、「2025年における医療・介護サービス提供体制の姿」でございます。これまでの経緯から述べさせていただきまして、6ページの下でございますが、急性期医療から在宅介護までの一連の流れにおいて“川上、“川下一体の改革が求められているという点を前回の委員の御指摘を踏まえ、修正を加えさせていただいております。

 3番は「都市部の強みを生かした地域包括ケアシステムの構築」ということで、中段を見ていただきたいと思います。2番で整理した、こうした2025年の「高齢者像の変化」と「医療・介護サービス提供体制の姿」とを併せ考えれば、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けられる社会の構築が必要である。特に、都市部は高齢者が狭い地域に集住していることから、高齢者の「住まい」に「介護」・「医療」・「生活支援」・「予防」のサービスを適切に提供し、ケア付きコミュニティを実現することで、施設同様の安心感を確保できると考える。都市部においては以下に述べるように集住、多様な人材、整備された生活インフラ、活発な企業活動等といった都市部の強みを最大限に生かした地域包括ケアシステムを追求すべきである。

 (1)番から、施策でございます。「在宅医療・介護を徹底して追求する」ということで、これは前回も提示した論点を肉づけしておりますので説明を省略させていただき、10ページを見ていただきまして「介護人材確保」ということです。

 前回、人材確保の取り組みを求める意見は強かったわけでございますが、「しかしながら」の段落を見ていただきまして、離職率については事業所のばらつきが大きい。30%を超える事業所がある一方、5%程度のところもあり、まずは事業者の意識改革や自主的取り組みを推進することが重要。

 また、キャリア段位制度はOJTのツールともなり得る旨を加えさせていただき、国は介護報酬改定を通じた処遇改善の取り組みの推進やキャリアパス制度の確立に向けた取り組みが必要であること。また、都道府県については今後必要となる介護職員の数を推計した上で、広域的・総合的な取り組みを進めていくことが必要である。また、中学生や高校生のころから介護分野に関心を持ってもらうよう積極的な働きかけ、潜在的有資格者などの介護人材の掘り起こし等に取り組む旨を記載させていただいております。

 「(2)住まいの新たな展開を図る」ということで、次ページをおめくりいただきまして上から3行目、「すなわち」の部分でございますが、都市部で生活する「団塊の世代」の多様な価値観に対応するような多様な「住まい」「住まい方」が、これまで以上に求められるという旨を記載させていただき、中段の真ん中を見ていただきまして「しかしながら」の段の3行目です。その際は、適切な住み替えという選択が重要となってくる。そこで注目すべきなのは有料老人ホーム、またはサービス付き高齢者向け住宅の存在である。

12ページを見ていただきまして、「医療・介護サービスとの連携」ということで、このサービス付き高齢者向け住宅等については2行目ですが、制度的には医療・介護サービスの提供が義務づけられているものではない。このため、入居する高齢者が自身のニーズ、または期待に沿った住まいを適切に選択することができるよう、どのような医療・介護サービスを具体的に受けることができるかについて情報提供体制の充実を図ることが必要である旨を記載し、また次の段落を見ていただきまして、地方自治体においては必要に応じて事業者に対する指導・監督を行うこと等により、適切なサービス提供体制が確保されるよう努めるべき旨を記載させていただいております。

12ページの下から2番目の段落で、介護保険事業計画と高齢者居住安定化計画の有機的な連携の話を書かせていただいております。

12ページの下に、「サービス付き高齢者向け住宅の住所地特例」の話を盛り込んでおります。多様な「住まい」の供給を一層促進する上で課題となっているのが、高齢者の移動による介護保険の財政の負担のあり方についてということで、次ページを見ていただきまして、現在有料老人ホームは特定施設入所者生活介護の指定を受けている事業所か否かにかかわらず、住所地特例の対象となっている一方で、サービス付き高齢者向け住宅については有料老人ホームに該当している場合であっても住所地特例の適用除外となっている。

 しかしながら、サービス付き高齢者向け住宅のうち、有料老人ホームに該当するものはその94%を占め、入居者の介護ニーズもその他の有料老人ホームと似通った状態になってきていることから、立地自治体の保険財政の悪化を危惧する声が挙がっており、何らかの負担の調整を行う必要が生じている。

 そこで、前回の御議論もありました具体的な調整として2つ、サービス付き高齢者向け住宅を住所地特例の対象に組み入れる方法と、保険者間の財政調整を行う仕組みを新たにつくる方法の2つを提示し、その次の段落、さらにその次の段落で、双方のデメリットを書かせていただいております。「この点」ということで、制度創設時には介護保険3施設を対象としていた住所地特例の対象を、平成18年には有料老人ホーム全体にまで拡大した経緯を踏まえると、有料老人ホームのうちサービス付き高齢者向け住宅に該当する者に住所地特例を適用することが考えられる。この際、地域包括ケアの考え方に従い、住所地特例を適用した場合にも住所地の地域密着型サービス、地域支援事業を使えるようにするなど、現行制度が抱える課題を解決していく必要がある。

 なお、医療保険の住所地特例については、介護保険の対応も踏まえ検討するとともに、入居後に75歳を迎えた場合に国民健康保険の住所地特例が後期高齢者医療に引き継がれないという問題も指摘されており、併せて検討が必要である旨を記載させていただいております。

13ページで、その後は「既存インフラの有効活用」、または次のページで「多世代共生の住まい方」ということで、空き家の利用やグループリビングの話を前回同様盛り込ませていただいております。

15ページを見ていただきまして介護予防の話、前回記述が足りなかった部分でございますが、真ん中あたりでございます。「そのためには」の段落で、高齢者本人へのアプローチだけではなく地域の中に生きがい、役割をもって生活できるような居場所と出番づくり等が必要ではないかという旨を記載させていただき、15ページの下でございますが、都市部には今後多くの退職者が見込まれるという強みがございますので、このような退職者の就労や社会参加を推進すること、地域の課題を解決するためのコミュニティビジネスを起業することを支援することを通じて、介護予防事業や生活支援サービスの担い手になってもらうとともに、こうした社会的役割を持つことでその人自身の生きがい、介護予防にもつながると考えるということを書かせていただいております。

 また、次のページの「さらには」の部分でございます。委員の御指摘もございましたが、40代、50代からの備えが重要でございます。都市部には民間サービスが豊富にございますので、地域の健康意識を高めることが効果的という話、または介護予防については委員から効果の実証的な研究、またはデータの整備が不十分との指摘をいただいております。厚生労働省はデータの提供・公表を行うべき旨を記載させていただいております。

 「(4)多様なサービスを活用して生活を支える」でございますが、その2つ目のパラでございます。都市部における幅広く多様な生活支援ニーズを満たすためには、多種多様な主体がサービスを提供することが必要。それのマネジメントを市区町村が主体的にやること、また都市部には一定の所得、資産を有した「団塊の世代」も多くいます。さまざまな民間サービスが提供されているという特徴もございますので、こうした民間企業の力も最大限活用することが必要な旨を記載し、次のページにいっていただきまして、そのような自助を補完する形で「互助」の取組を推進していくことが必要である。そのために、適切なコーディネーターの配置と市区町村のマネジメント力こそが求められる旨を記載しております。

 また、座長の御指摘もございました「さらに」の部分でございますが、生活支援サービスを充実するためには介護サービス事業者にも積極的に取り組んでもらうことを期待したい旨を記載しております。

 4番、「都市部における施設整備等」でございます。最初のパラグラフは、地域包括ケアをしっかり進めていくということは繰り返し述べてきたとおりであること。しかしながら、在宅での自立生活が困難な場合の施設への入所ニーズにも適切に対応していく必要がある。この点、都市部においては用地の確保が課題となっており、大規模な施設を建設することが困難であること等から、地域密着型の施設の整備を促進するとともに、多様な整備手法の活用を積極的に図るべきである。そして、それでもなお入所ニーズを充足することが困難である場合には、圏域間調整等の工夫についても検討していくことが考えられる旨を記載しております。

 (1)の「施設の整備手法の工夫」は、前回の論点整理でも工夫させていただいた部分でございます。説明は省略しまして、18ページの下から2つ目のパラグラフを見ていただきます。「さらに」の段落でございます。既存施設の建て替えが必要になってくる時期を迎えることにも留意が必要。こうした建て替えがスムーズに進むよう、地方自治体において都市計画、建築等の関係部局との連携のもと、容積率緩和制度の活用などを検討していく必要がある。また、例えば建て替え中の施設の利用者を一時的に受け入れることができる施設を整備すること等についても検討が必要である旨、委員の御指摘を踏まえ、追加しております。

19ページを見ていただきまして、このような現行の整備手法を最大限活用するほか、都市部における施設整備を進めるために必要な制度的対応等があるかどうか、引き続き検討していくべき旨を記載しております。

 「(2)広域型施設の整備数の圏域間調整」でございます。これは前回、提示をしていた部分でございますが、文言を適正化しております。二次医療圏と一致した老人福祉圏域ごとに、広域型施設の必要定員数と新たに整備する整備数を設定しておりますが、この老人福祉圏域内で市区町村による適切なニーズの把握と、都道府県による調整が円滑に行われることで、要介護高齢者が日常生活圏域を超えることはあるものの、住み慣れた地域に近接する地域での施設の入所が可能となる仕組みでございます。

 ただ、この圏域の設定状況を見てみますと、東京都特別区で7圏域、東京都全体で13圏域が設定されておりまして、他の政令都市が一つの市で一つの圏域となっていることと比べると状況が異なっている。東京都特別区においては、他の都市部に比べても極めて狭い面積の中に高い人口密度で密集して、地価も高くて施設整備のための用地を確保することが非常に困難な状況である一方で、交通網が発達し、老人福祉圏域を超えた移動も容易になっております。

 全国に344ある圏域でございますが、東京都特別区の合計面積を超える圏域が210ございますし、東京都全体の合計面積を超える圏域も36ございます。こうした東京都の置かれた特殊事情を踏まえると、施設入所のニーズをまずは老人福祉圏域内での調整によって受けとめるのが現行の仕組みではありますが、その例外として東京都内の老人福祉圏域間で整備数の調整をする方策が考えられる旨を書かせていただいております。

 また、次の段落で、それに当たって運用上、入所しやすくなる形をとることも認めるべき旨を記載し、20ページの上から2つ目、併せて老人福祉圏域の設定方法そのものについても検討すべきであることを記載しております。

 東京都杉並区でございますが、中段でございます。さまざまな取組、地域包括ケアの推進を行ってきておりますが、選択肢の一つとして静岡県南伊豆町に保有する施設の跡地を利用した保養型特養の設置を検討している。これについては、両自治体がかねてより住民同士のつながりが深く、両自治体で自治体間連携が進んでいることを背景に進められているものであるが、東京都と静岡県の介護保険事業支援計画において、杉並区から南伊豆町の特養に入所するニーズを明記した上で調整が図られることが必要。

 今後、具体的な調整を進めていく中で、東日本大震災の教訓を踏まえて地震・津波等の災害の対応に万全を期すとともに、静岡県における当該地域の医療提供体制との整合性などについても検討する必要がある旨を記載しております。

20ページの一番下でございます。本事例と同様の取組が都道府県をまたいで今後実施される場合においても、まずは関係する都道府県間において相手自治体から自身の自治体の施設に入所するニーズを相互に把握した上で、双方の介護保険事業支援計画で明記する形で調整することが必要である。

 この点、例えばかねてより杉並、南伊豆と同じような関係でございますが、住民・地域コミュニティ同士のつながりが存在し、強い連携が進んでいる自治体間であったり、都道府県をまたぎ、帰郷を望む高齢者が具体的に見込まれるといった事情が存在する場合が考えられる旨を記載しております。

 他方で、相方がしっかり明示的になっていない場合でございますが、地方の市町村が不特定多数の都市部からの入所を期待して特養ホームを整備しようとすることについては、都市部の高齢者本人の意思に反して地方の施設入所を強いる形となってしまうおそれがあることに加えて、地域包括ケアシステムの構築を進めているそれぞれの地域において把握される医療・介護サービスの需給に意図しないギャップを生じさせることにもつながりかねないことから、慎重に検討すべきであるということを書かせていただいております。

 (3)は「地方への早期からの住み替え」ということで、地域包括ケアの観点からは要介護状態になってから移り住むよりは、健康なうちに移住し、移住先の地で社会的関係を築きながら年を重ねていき、仮に要介護状態となった場合はその地で介護サービス等を利用していく姿がより望ましいという点。

 1段飛ばしていただいて、健康なうちに移住し、健康状態の推移に応じて同一敷地内で移動の心配なしに暮し続けられる地域をつくっていこうとする取り組みがあるが、さまざまな世代が共存する地域づくりは一考に値する。

 地方が都市部からの移住を期待するのであれば、特養ホームのみを整備し入所を求めていくのではなく、自立型の住まいを用意し、医療介護サービスを届けるといった形を目指すのも一つではないかと記載しております。

 5番、「中長期的な視点に立った対策」は、前回提示させていただいた2025年を視野に入れた計画づくり、または好事例の共有化の話を書かせていただいております。

 「おわりに」を見ていただきまして、下から5行目、都市部の高齢化問題を乗り切る“糸口は、これまで進めてきた地域包括ケアシステムの構築、すなわち都市部においては集住といったその強みを生かした地域包括ケアシステムの構築にあるという方向性は共有化できたものと考える。

 最終ページでございます。本取りまとめに盛り込まれたもののうち、各サービスの普及、「市区町村が主体となった在宅医療・介護連携」「サービス付き高齢者向け住宅の住所地特例」「空家を活用した低所得者向け住まいの確保・生活支援の推進」「生活支援・介護予防の基盤整備」「施設の整備手法や整備数の圏域間調整」「中長期的な視点に立った介護保険事業(支援)計画の策定」は、法改正、運用面の見直し、予算の手当といった対応が必要である。

 今後、この取りまとめを受けて介護保険部会、給付費分科会で具体化に向けた議論が進むことを期待したい。地域包括ケアシステムの構築に“特効薬はない。この取りまとめの中でも指摘されたさまざまな課題を一つ一つ着実に克服するとともに、施策・地域資源を総動員して取り組んでいくことが求められるという形で締めております。

 長くなりましたが、以上でございます。

○大森座長 御苦労様でした。

 それでは、本日は6時50分くらいをめどにして議論を重ねたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今、御説明いただきましたように、全体のタイトルというか、そっけなくすれば検討会報告書になるんですけれども、何かそれでは芸がないんじゃないかということで事務局が考えてくださいまして、「都市部の強みを生かした地域包括ケアシステムの構築」となっています。もともと地域包括ケアシステムの最も重要な部分は都市部なので、しかし都市部だけの話ではありませんけれども、ここでは都市部の強みを生かすということをコンセプトにしているという全体のイメージであります。

 何よりも、今回の報告書の当事者は都市部の皆さん方ですので、きょうは恐縮ですけれども、最初の御発言は御出席の自治体の方々からお願いしたいと思っていまして、そちらのほうに座っている名古屋市さんから一言ずつ決意のほどを含めてお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○松雄委員 名古屋市の委員の松雄でございます。

 まず、今回のこの報告書をまとめるに当たりまして、東京都さんを初めとする主要な大都市の仲間入りをさせていただいたことに対しては感謝を申し上げたいと思っております。

 報告書自体につきましては、特に2025年の高齢者像といったことについて明らかにしていただいたことについては、我々としては大変大きいと思っておりまして、こうした高齢者の像を念頭に置きながら施策を進めてまいりたいと思っております。

 それから、とりわけ都市部の強みを生かした地域包括ケアシステムの構築といった形でいろいろな論点を明記していただいたといったことも、地方自治体といたしましては大変これから取り組みたい、取り組みやすいと思っておりまして、全体といたしましてこの報告書に対して異論はございません。このとおりにやってまいりたいと思っております。

 そして、最後でございますけれども、この2ページの「本検討会の趣旨」といったところにも書いてありますように、「都市部における高齢者の急増は、大きな課題ではあるが、対応が不可能な課題ではないと考える」といったこと。そして、「日本の都市部がこの問題に適切に対処できれば、世界の都市部における高齢化対策のモデルになると考える」といった部分につきましては、名古屋市といたしましては全力で取り組みたいと思っておりますので、発言とさせていただきます。ありがとうございました。

○大森座長 ありがとうございました。いい滑り出しだと思いますので、次は大阪市さんお願いします。

○西嶋委員 続けてさせていただきます。大阪市です。

 まず、今回こうして各都市の皆さんが集まった中で私どもも入れていただいて、いろいろ勉強になりました。本当にありがとうございます。

 確かに都市部の全体的な傾向はありながらも都市ごとの大きな課題に違いがあるのかなと思ったりもしております。今回特に私が思いましたのは、これから後期高齢者がふえていく中で、住まいというところを中心に議論をしていただけたと思います。その中で、私ども福祉部局から申し上げますと、住まいということになると介護保険施設では特養や、老健や、介護療養型医療施設になります。今回住まいとして有料老人ホームやサ高住の状況が議論されましたが、どのように介護保険施設との住み分けがされているのか、特に急速に増えてきているサ高住については、どのような方が入っておられ、介護保険サービスを利用されているのか、まだまだ把握し切れていない面もありますが、今回いろいろ出していただいた中で考えていかなければならないかと思っております。

 本当にこうした報告書の中で私ども勉強させていただきました。これを受けていろいろ進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○大森座長 ありがとうございました。

 それでは、東京都さんお願いします。

○中山委員 東京都の中山でございます。

 この会議での議論で、やはり私ども東京都の高齢化の集中度といいますか、これが際立っていろいろ議論になっていますけれども、この報告書のまとめとして都市部の強みをきちんと打ち出して地域包括ケアをやっていくんだという明快なメッセージが出せているというのは大変よろしいかと思います。このタイトルも、こういう形にしていただいたのは非常に結構なことだと思います。

 それから、「生かす」というのは「生」という字がいいのか、「活」がいいのか、私ども東京都では「活」という字を使っているものですから、ここはちょっと御検討いただければと思います。

 それで、いろいろな議論、論点があった中で、「住まい」と「住まい方」、これはやはり大事なキーワードだと思っていますので、こちらについても明快にメッセージを出したというところは大変評価できると思います。

 それから、これは私が繰り返し言っていたんですけれども、地域の資源を総動員する、あるいはコミュニティビジネスといったものを最大限活用という論点で、これから私ども自治体もさまざまな施策をやっていく必要があるだろうと思います。

 それから、施設整備ですね。介護基盤の整備につきましては、さまざまな手法を活用しながらということで、私どもも実務的にいろいろな提案をさせていただいているところもありますけれども、やはり我々自治体は本当に真剣になっていろいろな手法で基盤整備をすべきところをきちんと行っていきたいと思います。

 特養の利用のあり方につきましても、これは東京都の本当に特別な事情みたいなところをきちんと分析していただいておりますが、やはり柔軟な利用の姿、スタイルといったものは私どももいろいろなパターンを検討しておりますし、またはいろいろな形で厚労省さんにも御相談をさせていただきたいと思っております。

 いずれにしましても、きちんとした形で地域包括ケアを実施していくんだという姿、私ども自治体が今からやるべきことをきちんとやっていくという決意をここで述べさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○大森座長 ありがとうございました。

 御提案がありまして、「生かす」を「活かす」にするということですが、「活」のほうがいいですね。これは局長の御意見で決めましょう。「活」のほうがいいですね。

○原老健局長 では、「活」にしましょうか。

○大森座長 企画官、いいですか。

○吉田企画官 はい。

○大森座長 それでは、今の御提案で委員の皆様方よろしいでしょうか。

 「活」のほうに変えましょう。東京都が今オリンピックで沸きかえっていますけれども、地域包括ケアもよろしくお願いしたい。これこそが東京で暮らす人たちの最も大事な部分ですし、今の御決意を承りましたのでよろしくお願いいたします。

 それでは、千葉市さんお願いします。

○岡部委員 千葉市でございます。

 前回の議論でも大森座長を初め、自治体のマネジメント力なり仕事をもっと積極的にしなさいというお叱りを随分受けたような記憶がありまして、この本文の中にもそういう記述が随分いろいろなところにあらわれていると思います。

 私も、その点については幾つか思うところがございます。具体的には、恐らく今まで狭い視野でやっていた老人福祉だけで行政をやるのではなくて、まず周りとしては広い意味での福祉、例えば地域福祉とか、障害者福祉もかかわってくるかと思いますが、さまざまな行政ツールというものをばらばらにやるのではなくて、自治体の中でうまく組み合わせるというか、もしかしたら一体的にやるということもあるのかもしれません。

 具体的には、介護保険計画はよく言及されていますが、同じ時期に地域福祉計画もこれから見直しということになりますので、恐らく本文の中では地域コミュニティの発達、特に16ページあたりの多様なサービスを活用して生活を支える部分ですね。民間事業者のインフォーマルサービスとかよくいわれますけれども、これの発展なり、それからNPOなり、老人福祉の周りの部分のアクターをどうやって組み合わせるかということを市町村のマネジメントに期待するということですので、この部分については大きな課題だと思っております。千葉市としても、ちょっと広目な対応をしたいと思います。

 その点においては、先ほどちょっと言及がありましたが、例えばサ高住とか有料老人ホームとか、住まいの観点からの取り組みを進めていかなければいけない。この点において必ず障害になりますのは、自治体の中での障害ということですけれども、福祉部局と都市部局なり建設部局との連携というところで、千葉市もそうなのですが、なかなか縦割りのところが破られないという実感があります。この点については変えていかなければいけませんし、自治体はどこも同じだと思いますが、財政難でなかなか人をふやすことができないということで、行政に対する需要はどんどん高まっている中で、リソースを割くのはなかなか難しいのですが、それだけに新しい分野、相乗効果が多く見られる分野に積極的に出ていって、かつ縄張りというか、余りつまらない消極的な権限争いをせずに多くの他部局を巻き込んでまちづくりに参画していくという福祉のあり方というものを探っていかなければいけないかと思っております。

 千葉市としても、団塊の世代としてはいわゆる千葉都民がいっぱい住んでおりますので、そういう方々の活力というか、能力を地域づくりにこれから生かしていくためにどうやれるのかということで、頑張っていきたいと思います。以上です。

○大森座長 指定都市くらい大きいと今の御発言だと局間調整ですけれども、局間連携というか、これは結構難しいんでしょう。国と同じくらい難しいんでしょう。

○岡部委員 そうですね。もう一つあえていいますと、やはり自治体の大きさによってマネジメントの仕方は大きく異なると思います。それで、政令市は図体は大きいですし、例えば区役所との連携とか、かなり特有の、よくも悪くも事情があると思います。そこは私が言うのもおこがましいですが、首長のリーダーシップというのはかなり有効ですし、そこがないとなかなか動かないので、そこに期待したいところではあるのですが、個々の職員も特に若手職員のやる気とかを何とかうまく組み合わせて、少しでもいい方向に進まなければいけないと思います。

○大森座長 余計なことかもしれませんけれども、これは首長さん、市長さんが全体としてこの方向性をしっかりお考えくださって、ちゃんとネットワークをつくれ、まとめろとおっしゃってくれるとやりやすいですね。

 やはり首長さんのリーダーシップは非常に重要なんじゃないかと思いますので、お帰りになりましたら首長さんにじかにレクチャーしていただくといいと思います。これを持ってきたから全部は読むのはお忙しいけれども、これはポイントだとおっしゃってくれれば少しでも進むんじゃないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、横浜市さんお願いします。

○岡田委員 横浜市です。

 まず、報告書をまとめていただいた厚生労働省の皆さん、本当にありがとうございましたと感謝申し上げたいと思います。また、多くの委員の方からさまざまな意見をいただいたことが私にとっても仕事の上での刺激にもなりまして、この検討会に委員として参加させていただき本当にありがとうございました。

 その上で、今回の報告書のタイトルに「地域包括ケアシステムの構築」ということで、地域包括ケアシステムがこれからの超高齢社会の中では基本になるというようなことをまず明示していただいたことがとてもよかったかと思っております。

 また、報告書の中で介護予防の重要性であるとか、横浜市などが取り組んでいる介護支援ボランティアのポイント制度など、さまざまな高齢者の生きがい策も書き込んでいただいたことはとてもよかったと思っております。

 また、いろいろ議論の焦点になっていました「サ高住」の関係ですけれども、この財政負担の軽減については住所地特例の適用をするという方向性が示されましたが、その一方で私どものほうでもいろいろ主張させていただきました財政調整方式についての記載もしていただきまして、そのことには感謝申し上げたいと思います。

 財政調整方式は、一長一短があってなかなかすぐに採用するということは難しい面があるということは承知しておりますけれども、よく御検討いただければありがたいと思っております。

 また、都市部の施設整備に関して、住まいをどうするのかということが幅広く書かれておりまして、その中で特にまとまった土地もない、地価も高い、こういった都市部でどうするのだということに関して、幾つかの工夫という形でさまざまな整備手法の活用というようなことが明示されたのもよかったと思っております。

 特に、都市部の中では建物も自己所有でなければ広域の特養が建たないという部分もあるわけですけれども、都市部に限ってはさらにこの辺のところの緩和策も広く考えられてもいいとも思いますし、特にサテライト特養などの整備に関しては、整備をよりしやすくなるような仕組みもさらに踏み込んで考えるということもこれからは必要になってくるのではないかと思っております。

 最後に、これからの地域の基盤をどうするのかというようなことに関して、高齢者の力を活かしていくという方向が基本的には示されているというところも私はよかったと思っております。そういう点で、やはり地域の中で高齢者がこれからどれだけいろいろな形での力を発揮していく仕掛けや仕組み、場がつくられていくのかということについて横浜市もしっかり検討して、これからの超高齢社会をしっかりと形づくるような仕組みをつくっていきたいと決意を新たにしていきたいと思います。ありがとうございました。

○大森座長 今、大事なことをおっしゃっていまして、サテライト特養のもう少しいろいろ工夫があってもいいんじゃないかという御発言ですけれども、例えばどんなことをお考えですか。

○岡田委員 これは、やはり定員の問題と、そこにかかわる職員の問題というようなことで、そのユニットの仕組みとか、あとは職員の配置のことに絡めて効率的な運営ができるようになるといいという思いはあります。

○大森座長 何か具体的な提案があるんですか。今、サテライトは29人で3ユニットでしょう。今の意味合いは、都市部の場合はもうちょっと拡大してもいいという話でしょう。そういうふうにお考えになっていると推測できるのですが。

○岡田委員 座長のおっしゃるとおりで、サテライト特養の定員をもう少し拡大をすることによって効率的な運営ができる余地があるならば、そういう部分までふやしてもいいのではないかという考えです。

○大森座長 きょうは事務局からこの点のお答えはないんでしょう。ありますか。

○高橋高齢者支援課長 では、コメントだけさせていただきます。高齢者支援課長でございます。

 御案内のように、サテライト型の場合は小規模なものに限ってということで、本体からの支援機能があるということを前提に、栄養士とか機能訓練指導員とか介護支援専門員を置かなくていいというような配置体制を可としているというようなことがございます。

 御指摘の点は、ではどこまで規模が大きくなると本体の支援機能を活用してやっていけるかというようなことで、実際の特養の質の確保がどこまで緩和すれば達成できるかというような御提案かと思いますが、この場でいい、悪いと判断できるようなものではないかと思いますので、今後の課題として受けとめさせていただきたいと思います。

○大森座長 横浜市さん、よろしいですか。

○岡田委員 はい。

○大森座長 ありがとうございました。

 では、さいたま市さんお願いします。

○大塔委員 さいたま市です。

 まず、本日は遅参しましたことをお詫び申し上げます。

 それからもう一点、こうした検討会に参加をさせていただいて、私自身としては出席率が余り芳しくないのですが、大変勉強させていただきましてありがとうございます。

 まず、さいたま市の都市部については高齢化が非常に早いスピードで進んでいるということで、非常に危機感を持っているわけですけれども、そうした中で今回「都市部の強みを生かした」ということでございますが、今までどちらかというと都市部の弱みというか、いわゆる世帯構成の縮小化というようなところで自助能力が低下しているとか、地域コミュニティのいわゆる希薄化が進んでいて共助の仕組みもなかなかつくりにくい状況にあるというようなことがどうしても前面に立って、それをどう解決していくのかというようなところを視点に、いろいろと将来にわたってどうしていくのかというようなことを考えてきたわけですが、さいたま市においてはいわゆる施設系であるとか、有料、サ高住を含めて住宅系についてはそこそこ整備が進んでいっている状況があります。ですから、そういったところで特に困ったということはないわけですが、逆に一方では制度改正を含めて要支援の方、あるいは要介護度の低い方についての在宅での生活をどういうふうに維持していくのかというようなことが大きな問題になってくるだろう。

 そういった中で御承知のとおり埼玉県、さいたま市もそうですが、非常に医療体制が脆弱であるというようなところで、在宅の生活を支えるための医療との関係をどういうふうに構築していくのかというようなところが大きな課題であるということで、今年度は医療の側面を中心として医療ビジョンの懇話会みたいなものを立ち上げて、その中に介護、福祉も入って、在宅医療を中心としてどういうふうに介護、福祉と連携するかというようなところの話を進めていくわけですが、今回検討されました多様な主体が取り組む地域包括ケアシステムをどういうふうに構築していくのかは大変重要なことだろうと思っておりますが、その中でも特にさいたま市においては医療とどういうふうにかかわっていくのかというところをどう築いていくかというのは大きな課題だろうと感じております。

 今回この検討会に参加させていただきまして、ここに報告書としてまとめていただいた内容については、これからもさいたま市はこれをベースにして取り組みを進めていきたいと考えております。大変長い間、ありがとうございました。

○大森座長 私ごとを言ってはいけないですけれども、私は埼玉に暮らしていますので、さいたま市にはよろしくお願いします。

 今の御指摘だと、在宅医療と介護を、ここでいうと徹底して追求する。徹底して追求するのは、さいたま市さん自身も追求する。それで、ほかの人たちも応援するということではないかと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、世田谷区さんお願いします。

○秋山委員 世田谷区です。

 全体を通して、地域包括ケアシステムの構築ということで、ここをしっかり書いていただいたことは大変ありがたいと思っています。最初は少し心配をしていましたので、これだけしっかり書かれていたことに対して大変うれしく思いました。

 また、介護予防がきちんと入ってきたこと、これが全体的に私としては重要だと思っていたことでしたので、これが触れられているのは、大変ありがたかったです。

 あとは、例えば8ページは定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業の普及とか、特別養護老人ホームの在宅入所相互利用の実施ということについて述べていただいているのですが、先駆的にやってきた世田谷区としては、この2つについてはこれからもしっかりリードできるように取り組んでいかなくてはならないと、決意を新たにいたしました。

 それから、13ページに住所地特例のことが書いてあります。この住所地特例をつくるのはいいことだと思うのですが、住所地特例をつくってサービス付き高齢者向け住宅の入居者の方々に地域密着型サービスを使えるようにしてほしいと思っていますので、課題を解決していく必要があると書いていただいたことについて、これはぜひ実現をしていっていただきたいと思っています。

 これから、地域密着型がどんどんふえそうな勢いだと思っています。例えば、小規模のデイであったりとか、介護予防であったりとか、そういうものが地域密着型になっていくのではないかと思っていますと、この地域密着型サービスが使えなくなるということが大変危惧されますので、ここはぜひ制度の改正があるときにはお願いしたいところだと思っています。合わせて、もちろん書き込んでくださった後期高齢者医療制度のこともそうです。

 それから、14ページの真ん中辺の空き家などの既存施設の改修・改築です。ずっと世田谷区としても悩み続けてきているところなのですが、ここでしっかり「各自治体において、関係部局間の連携を一層強化して取り組むべきである」と書かれてしまいましたというより、書いていただきました。やはり福祉部門と安全性を重要視する都市整備部門との間ではいつも主張が異なっておりますので、この文章を持って区に帰って何か少しずつでも空き家・空き室を使った住まいやグループホームなどができないかどうかということをしっかり検討していく必要があるというふうに決意を新たにしています。

 それから、19ページの一番上に、「このような現行の整備手法を最大限活用するほか、都市部における施設整備を進めるために」ということを書いていただき、大変感謝します。先ほど、横浜市さんのサテライトの話があったのですが、私どものほうもできればサテライト型居住施設の本体施設ですね。本体施設というのは今、特養と老健と病院とか診療所になっているわけですけれども、この本体施設に地域密着型特養、29人以下の特養を入れていただくと、この特養を中心にサテライトができるというようなこともあるのではないか。

 まとまった土地がない都市部としては、そういうことも考えられるのではないかということがありまして、ここにこのような形で書いていただいたことは大変ありがたいと思っています。

 以上です。

○大森座長 今の点は何かレスポンスはありますか。

○高橋高齢者支援課長 横浜市さんとは逆に、本体のほうを小さくするというような御提案かと思います。先ほどもちょっと申しましたが、サテライトの場合は本体施設が支援機能を有するということを前提にしておりますので、その支援機能というところでどこまで緩和していけるかというような大きな提案だと思います。今後の課題として、受けとめさせていただきたいと思います。

○大森座長 今後の課題だそうです。

 恐縮です。自治体の皆さん方から御発言をいただきました。あとは委員の先生方から、強要しませんけれども、最後ですので全員から一言ずつあれば御発言いただければと思っています。

 では、山崎先生からお願いしましょうか。

○山崎委員 後でよろしいですか。

○大森座長 では、高橋さんどうぞ。

○高橋委員 この報告書のポジティブな面は、それぞれの自治体の委員からおっしゃっていただきました。私は、大変危惧しておることの幾つかについて述べさせていただきます。

 地域包括ケアが政治家の皆さんや行政の皆さんの中で神棚に祭り上げられまして、国民会議のいう1970年代モデル、要するに介護、医療、福祉を完結型でやるという方向に実は先祖返りしつつあると思って大変危惧をしております。

 プライバシーを守る多床室という、日本語としてあり得ない概念がどうやらこの世の中に、この制度の中にあらわれようとしております。プライバシーという概念をまじめに考えたことのない人がそういうことを言っているのでありまして、そういうことを含めて言霊の国でありますので、そこら辺はまず警告をしておきたいと思います。

 どういうことかというと、私は個人的に杉並区長や南伊豆町長をそしるつもりは全くございません。ただし、そこで出てくる政策の発想そのものを問いたいのであります。何を申し上げたいかというと、介護保険法1条には要介護、要支援であっても尊厳を守らなければいけないと書いてあります。それは御存じでしょう。それから、居宅処遇原則ということが1997年の制定時から介護保険法に書いてあります。

 そういうことを考えますと、高齢者を単独、一人にして縁もゆかりもないですよ。杉並区と南伊豆町は行政間行政同士の関係はあるかもしれませんし、ぜんそくの子どもたちは南伊豆で楽しい夏を過ごしていたかもしれませんが、高齢者にとってはさまざまな縁(えにし)を全部抜かれて7080の、要介護がこれから3以上になるという提案がありますから、要介護中重度の方々が移住することになります。

 何回も申し上げておりますが、これは定説でございまして、リロケーションショックという認知症の方や要介護の方が重度化することが環境の変化の中で起こるんだということは明らかでございますから、そういうことを政策としてお出しになるということの問題点を私は感じざるを得ません。

 そういう意味で、私は介護保険法1条違反だと思っております。要するに、尊厳というのはその人らしい生活を地域で実現する。これは、要介護であろうが、なかろうがです。

 どうしてそういう発想が出ているか、つらつら考えました。こういう政策をおつくりになる方は、多床室やそういう場所にはお入りにならないであろうということを前提として、お気の毒で現在問題を抱えている要介護のお年寄りたちというよりは、要介護のお年寄りの家族をお救いするんだという善意の発想がこういう政策を生み出したのですが、善意は地獄への道ということを言った有名な思想家があります。そういう意味でいえば、やはりこの問題は地域包括ケアの推進という大きな流れに穴を空けるものだ。そして、この穴が大きくなることを私は大変恐れております。

 なぜならば、私は1号被保険者でございますから、やがてケアが必要になればさまざまなケアを選ばざるを得ない。そのときに、あなたは地震の危険のあるところへ行くかといわれて、ほかに手段はないぞと言われたときにどうするか。そういう手段を選択肢として与えてほしくない。

 もう一つ、そういうことでいえばわざわざきょう静岡からお見えでございますが、私はきょうの朝、南伊豆町のハザードマップを眺め直してまいりました。3メートル程度の津波で、そのほかは5~10メートルと、弓ヶ浜地域では、予想されております。これは国の予想でございます。逆にいうと、我々は介護保険施設についてさまざまな指定基準やそういうものを持っております。これは入所者の安全を守る。それから、適切なケアを受ける場として考えてさまざまな規制が置かれているわけですが、津波で被災するリスクというのは施設のクオリティーを守る上で最小限守るべきことですが、要するに危険のない場所に心身虚弱な人がいるべきであるという通念に背馳する。

 というのは、東日本大震災でも我々は経験しておりますし、もうこれは予見できなかったことだと言い逃れはできないことです。これは、予見できなかったからしようがないという言葉が何度も聞かれましたが、この場合ハザードマップをつらつら拝見しますと、やはり3メートルの津波が予想される場所に幾ら5メートルのものをおつくりになり、4階、5階をおつくりになったとしても東日本大震災で特養や老健、それから療養型病床群で起こったことを考えると、それこそ大変な犠牲を入所されている人たちに強いる。そういう意味では、私は非常に心が痛んでおりまして、将来の犠牲者の方たちに責任を感じます。

 ちょっと不規則発言をさせていただきますが、区長さんがこの特養に介護が必要になってお入りになると宣言をなさるならば、それだけの決心をなさっているんだと皮肉を言いたくなるほど、あるいはそれを推進しておられる政治家の皆さんも議員の皆さんもお入りになりますと言っていただけば、これは介護保険の精神になります。

 介護保険というのは、国民の連帯で我々が出して自分たちの当事者性というものを想定した、要するに介護が必要になるリスクは全ての被保険者が持っているということを前提にしてつくった制度で、これは措置の仕組みとは全く違うわけです。我々が当事者として将来介護が必要になったときに国民の共同連帯でこういう制度をつくるという想定ですから、この場合、犠牲を強いるような介護施設をつくることはいかがか。

 これは、むしろ当事者よりは国のお立場としてきちんと見解を示し、「慎重に検討を要する」と書いてあるのは政治の言葉でありまして、善処するとか、いろいろな表現もございますが、それについてはこの検討会のメンバーとして私も一端の責任を負わざるを得ませんから、これは追求するとかそういうことではなくて、私自身もこういう方向にさおを差すことができなかったという痛みを持ちながら質問をさせていただきたいのであります。

 そういうことを含めまして、やや長く発言をさせていただいて大変恐縮でございますが、介護保険を1997年に法律をつくって国民の合意でつくったのは、全ての人が介護というサービスを必要とする状態があるということを前提に保険料を納め、そしてさまざまな費用負担をしながら介護を支えていこうという決意をしたにもかかわらず、そういう発想が出てくる。措置の発想だと思っておりますが、気の毒な方をお世話すればいいという発想の思考がちらちらとこういう考えの方の中に出てくることを大変残念に思っております。

 そういうことを含めまして、大都市はこれから非常に困難を抱えておりますが、施設を最後のよりどころにするという思想はそろそろおやめになったほうがいい。この最後のよりどころというのは、1960年代にイギリスのピーター・タウンゼントという研究者が施設の状況を明らかにした詳細な調査の中で、実は最後のよりどころではないという結論を出したんです。

 それ以降、イギリス、ヨーロッパはコミュニティケア、まさに地域包括ケアに道を転換いたしました。そして、そのために国民の負担を求めて、それを可能にする仕組みをつくってまいりましたから、そういうことを含めて人の自立性を奪い、これは介護保険の自立支援という概念に反するものでありますし、管理されていく。そういうような場としての施設のあり方をどう克服するか。だから、私は4人部屋は沙汰の限りだと言っているのですが、そういうことを含めた議論をぜひこれから真剣に続けていただきたいと思います。

 やや長くしゃべってしまいましたが、私の意見とさせていただきたいと思います。

○大森座長 ありがとうございました。慎重に検討すべきだというところは、今のところではない点です。細かい点ですけれども、20ページはもともと高橋先生の御発言があって相当慎重に書いたつもりです。ですから、御心配の向きは十分承知の上でこの文章をつくっているのではないか。

 私もここは気になっている点ですから、相当慎重に書いていまして、決して介護保険法に違反するような文章ではないと私自身は思っているんですけれども、きょうは静岡県から来ていただいていますので、せっかくでございますから静岡県のほうのお考え方を述べていただくことでいかがかと思います。よろしくお願いします。

○宮城島静岡県健康福祉部長 静岡県でございます。

 御存じのとおり、南海トラフ巨大地震ということで、現在の静岡県の海岸については全て10メートルメッシュで、どのくらいの津波がくるかということで、先ほど先生が御紹介のとおりマップをつくってその対策を立てているところでございます。

 それで、こういった巨大地震に対しましてはハードプラスソフトで対応することが大変重要と考えております。静岡県の特別養護老人ホームについては、まず施設整備をするときにこの施設の安全性を確保する。地震、津波に適切に対応できるようにする。具体的にいうと、耐震性を確保する、耐浪性を確保する。また、ここのところについては例えば住まいを少し高目のところにするとか、ハードで安全を確保する。そのときには、当然建築部局、それから防災部局と協議しながら皆さんに安心していただけるような施設をつくっていく。

 もう一つ、ソフトの点というふうなことで、ここのところについては防災対応マニュアルをしっかりつくって避難訓練、避難対策をやっていく。また、実はこの地域においてはもし津波がきたときに避難するところの体制は大変脆弱な部分がございますので、今度つくる特別養護老人ホームが津波のための避難のタワーになることも地元では期待されております。

 いずれにしましても、予見されるということにつきましては今、南海トラフ地震というふうなことで東日本大震災を受けました対応について今、静岡県地震・津波対策アクションプラン2013ということで検討を進められており、今度つくる施設におきましても皆様が安心して生活できるような施設にしたいと考えております。

 私からは、以上でございます。

○大森座長 高橋先生からは、特養のあり方それ自身についての疑義も出ましたので、南伊豆につくる特養についての考え方みたいなものがありますでしょう。それについて、杉並区さんから何かあればコメントいただきたいと思います。

○田中参事 杉並区の田中でございます。本日はありがとうございます。

 基本的な考え方は第2回のときにも少しお話をいたしましたけれども、南伊豆とはいわば親戚づき合いをしているような長い友好関係がございます。こちらは何と言っても自然環境等々、私どもは療養に適したところではないかとは思っています。

 そういった観点から、区有地を活用して、ここには区民の保養施設も隣接してございますので、そこに面会に行っていただく家族が御自身も保養、観光を兼ねながらという新しいスタイルの特養ができないかという構想で始まってございます。

 高橋委員が御心配のとおり、確かにここはハザードマップというお話がありましたけれども、町の湊地区というところの浸水域のいってみれば一番東の外れになってございます。想定浸水深は、国の予測によれば現在3メートルということです。

 その3メートルの津波に打ち勝つ建築ができるか、できないかというのはいろいろ議論があると思いますが、3.11のさまざまな検証に基づいた今、国のいろいろな指針、あるいは技術的な助言等々がございます。

 私どもは、まずはこの地で、先生の御指摘も十分承知してございますので、そういったものがきちんとクリアできるような万全な体制をとれるかどうかということを今、国等の専門的、技術的な助言等をいただきながら本格的にこれから検討していくわけでございますけれども、その前提として町、あるいは県の防災部局、危機管理部局と一緒に手を携えて、まずは土地の状況、被害の状況、予測される状況というものを十分踏まえながら、それに対して現在の科学技術等も踏まえて、どういった安全な建物ができるかといったことを責任を持って検討して、その実現に向けた取り組みを進めていきたいと思ってございます。以上です。

○大森座長 仮に杉並区の方が、これからは特養は要介護3以上と一応重点化していくことになっていますので、相当いろいろな意味で心身に負担というか、ハンディを背負っている方々が行くことになる可能性は十分ありますね。

 しかし、そのときに南伊豆の人々との関係ですね。ここは施設として充実させれば、そこのスタッフがいろいろな意味できちんとしたケアが行われるかもしれませんけれども、それプラス南伊豆の皆さん方がほかの地域にある特養と同じようにいい関係が築けるような話になっていないと、一種の収容をしてしまうようなイメージが非常に強まりますでしょう。そうすると、特養のあり方として、南伊豆の方々とこの特養との関係もどういうふうに考えているかということが重要になるんじゃないかと思うんです。その辺はどんなふうにお考えですか。

○田中参事 そういった視点も実は今、持って検討してございます。町とは今、住民同士の交流、これは39年前からずっと始まっているわけでございますけれども、その入所された、例えば御家族と地域、地元の住民の方々との家族的な交流等々も含めて、要は一言でいえば親戚づき合いをしている中で知らない土地ではないというような関係をきちんとつくりながら、こういった新しい取り組みを進めていきたいと考えてございます。

○大森座長 これで終わりますけれども、高橋先生がおっしゃっているように、そんなふうに特定できないんですが、仮に必要が起こったら区長さんでも、あなたでも、この南伊豆の新しい特養に入っていい。そういうものをつくりたい。そういうふうな発想が大事だと高橋先生はおっしゃっているんです。

 自分のことはさて置いて、誰かが行くという話ではないんじゃないか。自分であってもここに入っていい。そこに入るときはやはりきちんとした個室ユニットじゃないんですかという御指摘だと思うんですけれども、その点はどうですか。

○田中参事 まさしく私個人にとっても、あるいはうちの区長はきょう来ていませんけれども、自分自身のことをまず前提に置いて、自分自身あるいは自分の家族が安心して入れるようなものをつくらないと、私ども杉並区としましては区民の安全・安心、生命、財産を守るというのは区の最低限の基本的な責務でございますので、これは入所者であり、あるいは親戚づき合いをしている地元の方々の入所、あるいは地域の方々の安全も全て町、あるいは県と手を携えて、そうした基本的な行政としての責務をきちんと果たすようなものをしっかり検討しながら、整備を進めていきたいと思ってございます。

○大森座長 高橋先生、御不満はあるかもしれませんけれども、一応20ページの文章で本日これで取りまとめたいと私は思っているのですが、この文章自身についてはよろしゅうございましょうか。

 十分御心配はありますし、もし事態が起こって、おまえは責任を取るのかと言われたとき、そこは私が生きていれば何かやります。生きている間はちゃんと私なりに責任を取りますけれども、ここの20ページの文章は相当の決心で私どもは書いていますので、これで収めていただければと思いますが、文章自身はよろしゅうございましょうか。

○高橋委員 私は、あえてリスクは冒していただきたくない。要するに、わかっているんですから、そういうことだけ申し上げます。これ以上話してもしようがありませんからあれですが、既存のものをどうするかというのは部長さんがおっしゃったとおりでございます。

 あえてリスクがわかっていることにリスクを冒す。そういう政治が日本にあるんですか。これは、我々の失敗がそういうことなんですね。歴史的に、単なる特養をつくるという話ではないと私は思っていて、そういう思考様式を私は問うているのでありまして、危険がわかっているのにあえて危険を、最も被害を受けたら弱い立場にある人をカナリアにするわけでしょう。これ以上お話をしても話が進みませんので、この程度の発言で控えさせていただきます。

○大森座長 ありがとうございました。

 では、鎌形さんお願いします。

○鎌形委員 今回、この委員会に参加させていただきましてありがとうございます。

 都市部の高齢化の問題というのは、都市部だけの問題ではなくて、日本全体がこれから成長していく中で非常に重要な問題であろうと思っております。

 その中でいろいろな議論があって、一定の方向性が出て、私自身も異論のないところです、また方針が出たということについて非常によかったと思っております。

 ただ、この方針が出ただけでは全く解決にはならないわけで、今後高齢者が非常にふえて介護サービスが十分に提供できなくなる危機的な状況が2025年に発生する見込みであり、それに対してどういう対策を具体的に打っていくかということがまさにこれからの仕事だと思っております。

 その意味で、最後の22ページに中長期的な視点に立った対策として、2025年を見据えて短期的ではなくて中長期的に高齢者数がどうなるか、サービス量がどうなるか、見通しをきちんと推計して、それを見据えた具体的な対策を検討するということを書いていただいており、このことは極めて重要であると思います。、この検討会の中で2025年という中長期的な推計がほとんど自治体の中でなされていないという話もありましたが、まさにきちんとこれから各自治体で2025年に向けた介護サービスに関する需要と供給量を推計して、ではそれに対してどういう対策を具体的に打っていただきたい。。

 介護サービスは多分、普通にいくと破綻してしまうと思うのですが、それに対して在宅医療から始まって住まいの新しい展開、それから介護予防、多様なサービスを活用すると、大きく4つあるわけですから、それぞれで具体的な数値ももとにしてどういう対策を打って、2025年にきちんとした介護サービスが受けられる社会をつくっていくかということを、ぜひ各自治体で数値に基づいた計画を立てて実行に移していってもらいたいと思います。

 今回参加されている自治体はかなり意識が高くていろいろな対策を既に行っている自治体が多いかと思いますけれども、国(厚労省)には参加されていない大都市圏のほかの自治体の方々にもぜひこの報告書を徹底して、考え方を浸透させていただきたいと思います。

 それから、個別の対策の中で在宅医療、介護が中心になってくると思いますが、これについても各自治体で体制整備などぜひ頑張って推進していただきたいのですが、民間の事業者、あるいは介護を受けるサービスの方々にとっても、進んで在宅医療や在宅介護を提供したり、受けるというインセンティブが働くような制度になっているかという点も非常に重要だと思います。今後いろいろと制度面の検討を行うと思いますが、民間事業者のインセンティブが湧くような仕組みとか、規制の緩和などぜひ国(厚労省)でも検討を引き続きお願いしたいと思います。

 それから、介護予防については、私も発言させていただいて入れていただきましたが、ここも重要だろうと思います。これについても国のほうでもいろいろな対策をこれからぜひ考えていただきたいと思います。

 それから、地域包括ケアシステム以外に最後に、、地方への早期の住み替えというのも入れていただきました。これは、健常者の方々で地方に行きたい方々については積極的にぜひ行ってくださいということだと思います。これは地方にとっても地方の資源、あるいは地方の活性化のためにもなりますし、日本の国土全体を考えて極めて重要であると思います。ぜひ都市部と地方の連携ということで積極的に進めてもらってもいいのではないかと思います。これについてもどのように進めていくかということについて、国交省や総務省も対策を打たれておりますけれども、厚労省の方でも何らかの制度的な支援等について考えていただきたいと思います。以上です。

○大森座長 ありがとうございました。

 では、大杉さんお願いします。

○大杉委員 大杉です。今回この研究会に参加させていただきまして、普段大都市の行政サービスのあり方、あるいは地域づくりという点で研究している者として、常に高齢化、人口減少ということは大きなテーマになっているのですが、改めてその考え方を深めさせていただく機会にもなりました。

 また、この報告書をこういう形で取りまとめて大都市部の行政の職員の方々に、いってみれば言質をとりつけるような報告書までにしてつくり上げられたということも大変意義のあることだと思っております。

 中身としては既にいろいろな御意見が出ているところですが、私の関心から若干触れさせていただきますと、1つは介護予防という観点で地域づくりの観点、ポピュレーションアプローチということで、そのコミュニティのあり方ということに触れていただいたのは非常に重要かと思います。これは御参加いただいた自治体、あるいは今回の研究会の中でプレゼンテーションもあったように、非常にさまざまな取り組みがある。あるいは、そうした萌芽的なものもあろうかと思います。

 そうしたものをうまく引き出していく上でも、これはやはり自治体の役割、サポートというものも非常に重要かと思っておりますので、今後、地域包括支援センターが主軸になってとありますけれども、こうした地域づくりのあり方というものが今後さらに問われていくだろうと思っております。

 それから、今の点と関連するのですが、そうしたさまざまな取り組みというものを最後に22ページ、「好事例の共有等」とありますが、情報共有していくという点が非常に重要かと思っております。特に地域レベルのことを考えてみますと、これもまたそれぞれ都市部の自治体のサポートということが非常に重要になってこようかと思いますので、そうした点についてもぜひ推進していただければと思っています。

 それからまた、広域型施設の整備において圏域間の調整ということで、老人福祉圏域間での整備の調整を初めとして、入所の判定の運用上の措置というようなことがあろうかと思いますけれども、こういった点につきましてもきちんと適正なあり方を担っていくように進めていくべきだと考えておりまして、そうしたことで特に触れられている点は私としては非常にいいかと思っております。

 私からは、以上です。

○大森座長 では、どうぞ。

○山崎委員 先ほどは済みません。山崎です。

 私の申し上げたことも入れていただきましてありがとうございました。これからどういう社会になるのかということを考えたときに、ゼロ歳~15歳、それから15歳~65歳、65歳以上というのは大体人口区分で検討されているのですが、15歳~50歳で区切ったところを見ると、20世紀の初めとこれから2025年以降と、人口の増減はあるんですが、どうも構成は変わらないのではないかということが、日本医大の長谷川敏彦先生と一緒に研究をやっている中で出ておりまして、どうも現在はその次のステップに移行するときのまさしく過渡期である。50歳で見たときに次の2025年、30年以降はそれなりに落ち着いた社会になるので、現在過渡期のときにいろいろなことをやるべきだというのが私どもの研究の中身でありました。

 そういったことを踏まえながら、2点だけ申し上げたいと思います。

 1点は、情報の話です。医療から看護、リハ、介護と至る過程で、実は現在施設別、法人別、用途別で情報がぶつぶつ切られるということがありまして、在宅ケアを進めていくのであればそういった個人の情報というのはある意味、一元化をして進めていっていただきたいというのがまず1点です。

 それから、もう一点は教育です。自立というのがキーワードになってはいますけれども、例えば北欧なり欧米を見ますと、かなり自立ということが大きなキーワードで語られますが、日本の場合には余り小中学校で自立をするとか、20歳を過ぎても家族と暮らすのではなくて一人で自立をしていくんだという教育を必ずしもやっていないのではないか。そういった小中学校の教育も、これからは次の社会をつくっていくときの考え方の基礎をやはりどこかで変えるのであればやっていくべきではないかというのが2点目です。

 もう一つは医学教育なのですが、医学教育も全く見たこともない病気をいっぱい教え込まれているという話を医学生などに聞くとされていて、これだけ超高齢社会になっていくともっと老人病というか、慢性の支えていく医療というものを医学教育の中でもっと重要視をしてやっていただきたいというのが2点です。情報と教育について2点です。

2020年、東京で先ほどオリンピックの話が出ました。まさしく団塊の世代は70歳~75歳くらいの人たちがいる社会になりますので、そのときにオリンピックということも含めて、アジアに向けて超高齢社会の解決はこういう形で日本はやってきたんだというようなことを、ぜひ解決を含めた発信ができたらいいなというのが私の希望であります。

 以上であります。

○大森座長 今、教育のことが出て、私はちょっと気がついたのですが、10ページの「介護人材確保」のところで、介護人材の確保ではないんだけれども、地域で例えば認知症の人の徘徊などについて小学生というのは重要なんです。中高生からではなくて、登校下校時に例えば徘徊しているお年寄りと小学生が出会うチャンスが地域は多いんです。

 だから、中学生からではなくて、認知症みたいなことを考えると緩やかでもサポーター的な感覚を持っている小学生が下校時にいるということが地域にとって大事なんですね。そこで、小学生も入れておいたらどうかとちらっと思ったんです。細かい点ですけれども、意外と大事なことかと思います。

 一当たり、皆さん方の御意見を伺いましたが、どうぞ。

○高橋委員 まず、10ページの「介護人材確保」の6行目に「介護職員の職学」と書いてあるけれども、これは多分ミスプリで、職務能力ですね。それは御訂正いただいたほうがいいと思います。

 一言だけ、ちょっと申し上げたいと思います。住所地特例の問題で先ほど原局長がおっしゃったとおりのことなのですが、改めて申し上げておいたほうがよろしいかと思います。私は、住所地特例という特例を導入したときの責任者の方に確認をさせていただきましたが、あれは措置制度に基づく広域施設利用についてさまざまな、これは既に指摘されたと問題があるので導入して、これは例外的な措置と考えていた。これは確認をいたしました。

 平成18年に有料老人ホームに拡大したとき、きちんとした議論がなかったというふうに記憶しております。きちんとした議論のなかったものを、そのまま特例を本則にしてしまうようなやり方はよくない。なぜかというと、要するに我が市民であって市民でない人たち、介護についてはそういう人を抱え込むということになるわけです。これは、憲法上の居所の自由までいきます。我々は居所の自由を認められているにもかかわらず、移った自治体でそのほかの市民と同じ扱いを受けないということを認容するということになるんです。

 そういう意味でいえば、むしろ給付と負担とおっしゃっていますが、私は介護保険の精神に実は反するものだ。介護保険は短期保険ですから、そういうふうに思っておりまして、そういうことを含めて将来、それこそ人々が自由に流動するということがあるとしたら、高齢者の社会減と社会増を調整するような仕組みを導入せざるを得ない。

 それから、サービス付きは要介護1、2、3の軽度の人が極めて多いので、大変不利な扱いにされる可能性が今の財政至上主義の自治体の行動様式を考えるとありますので、そこら辺のことを含めて御検討いただきたい。これは、介護保険が私たちのケアを平等に支えるような仕組みをつくるための基本的な条件を、特例という名前によって奪う。シチズンシップ、市民権という概念がございますが、そういう概念に極めて抵触するものだ。私は、単なる財政論とかということではなくて、原則論として心配をしております。

○大森座長 これは、将来いろいろ検討するということになるでしょう。どうですか。

○高橋総務課長 総務課長です。

 御指摘のように、この住所地特例は地域包括ケアシステムのまさに例外であり、地域住民に対するサービスを地域の自治体が確保するということについての例外措置であります。一方で、財政調整方式についても給付と負担の一致という社会保険の基本的な枠組みの例外でありまして、なかなか仕組みが難しい。そういう点で、非常にこの住所地特例というものを行っているというのは、御指摘のように苦渋の選択である中で現在行われているところです。

 その中でも、その弊害を少しでも除去できるような工夫として、住所地の地域支援事業を住所地特例被保険者にも同じように提供できるようにするとか、住所地の地域密着型のサービスも分け隔てなく同じように使えるようにするとか、そこのところの制度論は介護保険部会に移行してしっかりとした議論をして、少しでも御懸念が除去できるようなものを検討していきたいと思います。

○大森座長 一当たり終わりましたが、何かほかにつけ加えることはございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。

 てにをはとか、今のように若干の文字の訂正があるかと思います。それは恐縮ですけれども、お任せいただいてよろしゅうございましょうか。大筋として今回皆さん方にお諮り申し上げている、この報告書で局長にお出ししてよろしゅうございましょうか。若干、文字面を直すことがあるかもしれませんが、とりあえず皆様方の御了解を得たというふうにさせていただきますけれども、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大森座長 高橋先生も、お出しすることはよろしゅうございましょうか。

○高橋委員 座長一任ということで。

○大森座長 ありがとうございます。

 それでは、一応私どもの検討会としては以上でございます。いろいろな自治体の皆様方にも御苦労をかけましたし、多様な御意見を委員の先生方からお出しいただきまして、何とか一応の形として局長にお出しすることができるんじゃないかと思います。

 皆さん方がおっしゃっていますように、これを受けていただいて国ができることをスピード感をもって推進していただきたいということで、皆さん方に御礼申し上げまして、一応私としての任務は終わりでございます。

 では、事務方にお返しいたします。

○司会 ありがとうございました。

 それでは、最後にとかしき政務官より御挨拶がございます。

○とかしき政務官 本日はありがとうございました。

 杉並区の南伊豆の特養整備の問題をきっかけにこの検討会は始まりまして、本日を含めまして約5回ということで、本当に熱心に御議論いただきましてありがとうございました。私も、最終日のまとめのところに参加させていただきましたことを本当にうれしく思っております。

 私ごとではございますが、私は杉並区の区議会議員をしておりまして今、国会議員になっております。ですから、杉並区の状態というのは私もよくわかっておりまして、私も杉並区が多分こういう決断をした背景を何となくわかっておりまして、非常に高齢化が進んでいて、私も議員をしておりましたときに、特養に入りたいけれども入れないというような御要望は、私の受けた陳情のうちの8割くらいはそんな陳情でございましたし、手を差し伸べないと家族が崩壊してしまうような状況も何度も拝見させていただきました。

 その中で、杉並区にとって南伊豆のところは本当に財政難のときでもなかなか手放さないで最後の最後まで宝物のように置いてあった場所でありまして、区民にとっては非常に憩いの場所であります。私も小学校のときにずっと南伊豆の臨海学校のほうにも参りましたけれども、杉並区民にとっては本当にいい場所であります。

 ですから、そういう意味では地域間、自治体間の関係もありますので、特養の施設としてはいいのではないかとは思いますが、ただ、問題点がないわけでもなく、いろいろな課題も抱えた中での政策であります。ある意味、先進事例でありますので、これからしっかりと進めていく上で課題をあぶり出して、ほかの地域にまた生かしていただけるような、そしてこの方法が本当にいいのかどうか。その辺もしっかり検討しながら進めていくことが重要ではないかと思います。

 そして、私は今は大阪のほうの選挙区でございますので、東京と大阪と両方の都市部で高齢社会の実態を見ておりますと、やはり都市部の高齢社会の問題点を解決していくには家族から、そして地域がいかに力を上げていくのか。ここが結構重要ではないかと思います。

 そういうことで、都市部の人たちの高齢社会を支えていくために、今回は都市部の地域特性を上手に生かしていこう。2025年の高齢者像をどういうふうに見ていこうかとか、そして2025年に向けて医療や介護の提供の体制の姿とか、こういった方向性を示していただきましたことは本当にすばらしいことだと思いますし、あとは自治体の皆様に検討していただき、国のほうもしっかり応援させていただく体制を整えていきたいと思っております。

 きょう、おまとめいただきました報告書を踏まえまして日本の介護制度にこれからきっちりと対応させていただいて、世界に向けて日本のような国になりたいと、せっかく長寿国を実現しているわけでありますから、日本のように年を重ねていくすばらしい国になりたいと思っていただける高齢化社会を実現できるように、これからも力を尽くしていきたいと思います。

 きょう御検討いただきました委員の先生方にも、これからも変わらぬお力添えをいただきますことをお願い申し上げて、お礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

○司会 ありがとうございました。

 では、都市部の高齢化対策に関する検討会に御協力いただきました全ての皆様に感謝申し上げまして、本検討会を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。


(了)

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