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2013年8月14日 平成25年度第2回血液事業部会運営委員会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成25年8月14日(水)18:00~20:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

出席委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 田崎 哲典
花井 十伍 ◎牧野 茂義 山口 照英

欠席委員:

なし

参考人:

田所 憲治 (日本赤十字社) 日野 学 (日本赤十字社) 五十嵐 滋 (日本赤十字社)

事務局:

浅沼 一成 (血液対策課長) 野村 由美子 (血液対策企画官) 上田 恵子 (血液対策課長補佐)

○議題

1.血液製剤に関する報告事項について
2.その他

○議事

○上田課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「平成25年度第2回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。

 なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず委員の出欠状況ですが、6名中6名、全員の委員に御出席いただいていることを御報告いたします。

 また、本日は日本赤十字社血液事業本部より、経営会議委員の田所参考人、副本部長の日野参考人、安全管理課長の五十嵐参考人にお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に事務局の紹介をいたします。

 厚生労働省大臣官房審議官、成田でございます。

○成田審議官 成田でございます。よろしくお願いいたします。

○上田課長補佐 また、事務局に異動がございましたので、御紹介いたします。

 加藤にかわりまして、血液対策課課長の浅沼です。

○浅沼課長 浅沼です。よろしくお願いします。

○上田課長補佐 丈達にかわりまして、血液対策企画官の野村でございます。

○野村企画官 よろしくお願いいたします。

○上田課長補佐 カメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。御協力お願いいたします。

○上田課長補佐 それでは、以降の進行につきましては、牧野委員長よりお願いいたします。

○牧野委員長 まず最初に、前回の運営委員会のときに、大平先生に運営委員会の副委員長をお願いする案が出ておりました。前回、大平先生が御欠席であったために、今回、御同意をお願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○大平委員 座ったまま失礼いたします。浅学ですけれども、お引き受けさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○牧野委員長 よろしくお願いします。ありがとうございます。

 それでは、討論に移りたいと思います。

 まず事務局から資料の確認をお願いします。

○上田課長補佐 それでは、資料を確認いたします。

 お手元の資料を見ていただきたいのですが、資料1-1とございます。「献血時のシャーガス病疫学調査における抗体陽性例の対応について」。2枚つづりのものでございます。

 次に資料1-2「シャーガス病に対する安全対策の進捗状況について(速報値)」がございます。こちらも2枚つづりのものがございます。

 資料は以上です。

 過不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。

○牧野委員長 それでは、議題「1.血液製剤に関する報告事項について」の審議に入りたいと思います。

 まずは事務局から説明をお願いします。

○上田課長補佐 よろしくお願いいたします。

 今回ですが、献血時の血液から、初めてシャーガス病の抗体陽性が報告されました。これを受けまして、この事例の詳細、対応につきまして、御報告申し上げます。

 それでは、早速、資料1-1ですが、冒頭に「1.概要」がございます。本事例は、日本赤十字社が輸血によるシャーガス病の感染防止対策の一環として実施しております、シャーガス病疫学調査の中で見つかってきた陽性例でございます。

 事例の詳細を進める前に、シャーガス病とはいかなる病気なのかについて、資料を用意してございますので、1枚めくっていただき、参考資料のところをごらんください。

 シャーガス病ですけれども、原虫でありますトリパノソーマ・クルージという病原体によって引き起こされる疾患でございます。

 写真にありますように、赤血球と同じほどの大きさを持ち、このような形態をした原虫でございます。

 流行地域としては、中南米が知られております。

 また、サシガメというカメムシの一種によって、媒介されることが知られております。

 感染経路ですけれども、述べましたように、写真にございますサシガメの糞便を経由した暴露、母子感染、輸血や臓器移植による感染が知られてございます。しかしながら、サシガメの生息地を考えますと、日本国内でのサシガメによる感染は考えにくいと言われておりまして、国内での感染経路は、現実的には輸血による感染であろうと言われております。

 次に症状を御紹介します。急性期なんですが、感染後数週間経ちますと、発熱、肝脾腫の腫大といった症状が見られます。これらは他の感染症でも認められる、非特異的な症状でございます。

 こうした症状が一過性で去った後、それでもこの原虫は体内に10年から20年ほど潜伏いたします。これらのうちの10%から30%の患者様が、慢性期の症状を起こすことが知られております。慢性期の症状といたしましては、こちらに記載しましたとおり、心疾患、これには不整脈ですとか、心肥大といったものが挙げられます。また、消化器の疾患、巨大結腸などが挙げられますが、こうした症状を呈することが知られております。

 また、一旦こうした症状を呈した患者さんは、重篤になりまして、治療としては、下に示しますように、ベンズニダゾールまたはニフルチモックスといった治療薬が知られておるのですが、これらのお薬については、本邦では未承認であります。また、有効性にはばらつきがございまして、薬剤が有効な期間は、急性期に限られているといったことも知られております。したがいまして、一般的には、症状を来した場合、患者さんの予後が不良な疾患であると言われてございます。

 以上がシャーガス病の概要です。

 資料1-1にお戻りください。

 次にこうしたシャーガス病に対する献血血液の安全対策について、少しだけお話いたします。資料の中ほど、四角で囲みましたところをごらんください。

 1点目、シャーガス病に対する安全対策とございます。これは平成2410月より、献血時において、問診でシャーガス病の流行地域である中南米の出身者や4週間以上の中南米滞在歴のある方を特定し、その献血については、血漿分画製剤用の原料血漿としてのみ使用するといった対策をとっているものでございます。

 なお、原料血漿としてのみ使用ということですが、*にありますように、平成24年度第1回安全技術調査会において、先ほど申しましたシャーガス病の病原体が、血漿分画製剤の製造工程においては不活化されることが期待できる。このことより、原料血漿として使用することに関しては、安全上、問題ないのではないかということが確認されております。

 補足しますと、シャーガス病は、先ほど申し上げたとおり、病原体に感染しているにもかかわらず、無症状で潜伏している期間が長いことから、献血血液によって感染が拡大する可能性を懸念し、これらの認識から、安全対策がこのようにとられてきたということです。

 次にその下、シャーガス病の疫学調査も行っております。これは献血者における感染状況を調査するために、献血時の問診で特定された献血者のうち、同意が得られた方の血液について、感染の有無を抗体検査により調査しているものでございます。始まったのは、平成25年1月、当初、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県といった、東海地方の4県で先行して開始されましたが、同年4月より全国の血液センターで実施しております。こちらのデータについては、後ほど日赤から補足していただく形になると思います。

 これらの疾患の背景、安全対策を踏まえまして、今回の事例の説明に戻りたいと思います。

 2つ目の○の部分をごらんください。今回の陽性例は、こうした安全対策の中で見つかった陽性例でございます。したがいまして、今回の献血については、製剤は出荷不可と判断され、製剤は製造されておりません。したがいまして、今回の献血由来の輸血によるシャーガス病の伝播は生じないと考えております。

 しかしながら、日赤での調査の結果、この陽性者は、本調査の開始以前、具体的には2006年前後からになりますが、複数回献血しておることがわかっております。また、この血液は、赤血球製剤、新鮮凍結血漿製剤の製造、血漿分画製剤用の原料血漿に利用されていたことがわかっております。このうち、赤血球製剤、新鮮凍結血漿製剤については、医療機関に納入されていることも判明しております。

 したがいまして、納入された医療機関を特定し、これらの製剤を投与された患者様、これは製造された製剤数から約10名程度と考えておりますけれども、これらの方々の遡及調査を実施するといった対応をとっているところでございます。

 1つめくっていただいて、ポンチ絵がございます。これが今回の事例の概要と対応をまとめたものでございます。

 中ほどに先ほど申し上げました、シャーガス病への安全対策の実施がございます。平成2410月から、安全対策が開始されております。具体的には、中南米の出身者等の献血は、血漿分画製剤用の原料血漿のみに利用する。先ほど申し上げた内容でございます。

 今回の献血については、右下にございますが、安全対策を講じた後の献血でございますので、原料血液は出荷不可と判断されておりまして、感染の拡大は未然に防がれているといった状況でございます。

 あわせて、この方は疫学調査にもエントリーされておりますので、こちらのほうで抗体を測定し、陽性ということが判明したわけですけれども、これによって、この方は専門医でシャーガス病と診断される可能性が高くなりましたので、適切な医療につなげるような情報提供といったものを、この陽性の結果を通知するとともに、現在、継続的に情報提供しているといった対応をとっております。

 これらを踏まえますと、今回の献血血及び供血者に対する対応というのは、現在のところ、このようになされていると考えております。

 しかしながら、この献血者の方は、安全対策の実施以前に複数回の献血があったことが知られております。図の左のほうになります。シャーガス病の潜伏期を考えますと、ここにもシャーガス病の病原体がいた可能性は否定できないと考えております。しかも、献血由来の原料血液は、赤の四角で囲った部分でございますが、既に血漿分画製剤用の原料血漿、赤血球製剤及び新鮮凍結血漿製剤といったものに使用されていることがわかっております。

 先ほど申し上げたとおり、血漿分画製剤用の原料血漿については、安全性が議論され、感染のおそれのないことが確認されております。しかしながら、赤血球製剤、新鮮凍結血漿製剤といったものに関しては、医療機関の納入も現在のところ判明しておりますので、現在、残っている保管検体というもので、この製剤にシャーガス病が本当にいたかどうかを確認し、さらに実際に投与された患者様の症状ですとか、抗体の陽性ですとか、この方たちの転帰について遡及しているといった状況でございます。

 最後にもう一度、資料1-1にお戻りください。

 一部繰り返しになりますが、対応について申し上げます。

 1点目、当該献血者については、個別に日赤から連絡をいたしまして、感染の事実について説明をするとともに、可能な範囲で治療関係情報等を提供しております。これは、現在、継続的に進んでいる最中です。

 2つ目、引き続き、赤血球製剤、新鮮凍結血漿製剤を投与された患者の遡及調査を実施する。これについては、後ほど日赤から補足をお願いいたします。

 3点目ですけれども、現在もなされておりますが、シャーガス病の感染防止対策については、事務局としましては、血液事業部会の安全技術調査会というものがございますので、早急にそちらで審議していただくのもいいと、現在のところ、案として考えております。

 事務局からは以上です。

○牧野委員長 ありがとうございます。

 本件につきまして、日赤でのシャーガス病の疫学調査の結果、対策の進捗状況、その辺もありますので、引き続き、日赤から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○日本赤十字社 それでは、資料1-2をお願いいたします。「シャーガス病に対する安全対策の進捗状況について(速報値)」でございます。

 「1.安全対策」ですけれども、先ほど御説明がありましたように、平成241015日採血分より開始をしております。これは全国一斉に開始をしております。

 中南米滞在歴等確認票とございますが、1枚めくっていただきますと、その確認票を載せてございます。真ん中に中南米地域対象国とありますけれども、この国を対象といたしまして、この国で生まれた方、あるいはお母様がこれらの国で生まれた方、これらの国に4週間以上滞在した方ということを、ドナーさんにお聞きしております。

 これに該当する方につきましては、全血、採血、成分採血を問わず、血漿分画製剤用の原料としてのみ利用するということをやっております。

 7月30日現在の実施状況ですけれども、下の表になります。中南米諸国で生まれた、または育った方が1,748名、お母様が中南米諸国で生まれた、または育った方が239名、中南米諸国に通算4週間以上滞在した方が5,248名、計7,235名が安全対策の対象となっております。全献血者に対する比は0.18%でございます。

 次のページをお願いいたします。「2.疫学調査」ですけれども、これも先ほど説明がありましたとおり、平成25年1月8日から東海4県で先行実施、平成25年4月23日から全国で実施をしています。

 検査法としては、ELISA法ですけれども、現在、日本では診断薬として承認がございません。アメリカではFDAが承認しておりますけれども、日本では承認がない検査法になります。

 先ほどの安全対策の対象者に対して、疫学調査をしてよろしいですかと、同意をいただいた上で検査を実施しておりまして、上に挙げました実施期間で、1.中南米諸国で生まれた、または育った方は、安全対策の対象者としては944名おったわけですけれども、同意をいただけ方は705名になります。同様にお母様が中南米諸国で生まれた方は67名、中南米諸国に通算4週間以上滞在した方については1,514名、計2,286名の同意を得まして、ELISEで検査をしております。

 その結果を下に書いてございます。陰性が2,254名、陽性が1名、31名については、この時点で検査が終了していない状況でございました。

 1名の陽性の方の情報ですけれども、中南米滞在歴等確認票の1及び2に該当する、40歳代男性です。1及び2に該当するということは、御自身もお母様も中南米諸国で生まれた、または育った方になります。

 本年6月に献血された血液から、T.cruzi抗体検査陽性及びT.cruziDNAが検出されております。

 献血歴がありまして、そのうち、赤血球製剤が9本、血症製剤、新鮮凍結血漿製剤が2本医療機関に、また、原料血漿7本が分画製剤メーカーに供給されております。

 供給された輸血用血液の保管検体について検査をいたしましたところ、T.cruzi抗体検査はいずれも陽性であったという結果でございました。

 以上です。

○牧野委員長 ありがとうございます。

 今、2つの資料の説明がありましたけれども、委員の先生方から、御意見、御質問がございましたら、お願いします。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 質問だけを先にさせていただきたいんですけれども、この献血者が献血された保管検体のDNAはまだ調べられていないんですか。

○日本赤十字社 DNAは検査をしています。陽性のものと、陰性のものがございました。

○山口委員 かなり低い可能性があるということですね。

○日本赤十字社 低いという可能性と、時期によって、血中に出ていたり、出ていなかったりという可能性があるかと思います。

○山口委員 もう一つ、血小板製剤はつくっていないということですね。

○日本赤十字社 すみません。最後の参考の説明を忘れてしまったので、追加させていただきます。

 英語の表で申しわけございませんが、4ページ目はこれまでに輸血による感染が明らかになったもの、特定されたもの、あるいは疑われるものの症例の一覧でございます。このうち、11番目までが輸血が原因と特定をされておりまして、原因となった血液は、全て血小板製剤でございました。疑われる製剤、あるいは可能性のある製剤が12番以降になりますけれども、この中では血小板と新鮮な全血が疑われている。FFPも一部ありますけれども、疑われているのは血小板と新鮮全血になっています。今、山口委員から御指摘がありましたように、今回のドナーさんからは、赤血球製剤と血漿製剤のみが使用されているという状況です。

○牧野委員長 ほかに御質問ございますか。田崎委員、どうぞ。

○田崎委員 田崎でございます。

 2つ、3つ、基本的な質問ですけれども、母児感染は、産道感染なのか、それとも母乳なのか。母児感染というのは、一般にはどういう経路で考えられているのかということが1つです。

 続けてよろしいですか。

○牧野委員長 その件に関しましては、どうでしょうか。事務局、何か情報はありますか。

○上田課長補佐 手元にデータがございませんので、後ほど確認して、御連絡いたします。

○岡田委員 胎盤だと思います。

○田崎委員 胎盤を介して、原虫が親から赤ちゃんの血流に入ってしまうということなんですね。

○岡田委員 そうです。

○田崎委員 なるほど。

○牧野委員長 母乳はほとんどないということですね。

○岡田委員 すみません。そこはわかりません。

○田崎委員 もう一件ですが、これも既に説明があったんでしょうけれども、東海の愛知、岐阜、三重、静岡で始めた根拠をお示しいただけるのであれば、お願いしたいと思います。

○日本赤十字社 この地域は、中南米出身者で定住されている方が多かったということが、メーンの理由だろうと思っています。

○田崎委員 わかりました。

○牧野委員長 ほかにございませんでしょうか。

○田崎委員 もう一つ、抗体を持っているということは、原虫がいると考えてよろしいのか。一般に南米の方です。我々からすると、例えば抗体だけがあって、原虫は既になくなっている人もいるのかもしれない。治療をした場合は、抗体がずっと残っていることがあるのか。

 それから、抗体のタイターは、高いのか、低いのか、感染性を強くさせるのかどうか。例えばサブクラスというか、抗体のクラス、IgMが高い場合には、感染したばかりだ。あるいはIgGの場合には、感染してしばらく経っていて、もう感染はないのではないか。そういうことも含めて、抗体のクラス、感染性、その辺に関しての基礎的な知識をお願いします。

○日本赤十字社 今回の症例の場合は、一番最近の献血でPCRが陽性になっていますので、抗体だけがあるという状況ではなくて、原虫も体内にいる状況だろうと思います。

 それと、このドナーさんは、2006年から我々に献血をしていただいていますけれども、最初から抗体は陽性でございますので、IgGが中心なんだろうと思います。

○田崎委員 そうしますと、IgGですね。

○日本赤十字社 はい。

○田崎委員 カットオフ値というのは、基本的に日本では使われていないということですし、今回1名しか引っかかってこなかったわけですけれども、それは例えばカットオフ値が高いので、引っかかってこないとか、そういう危惧はないわけですね。

○日本赤十字社 カットオフ値の実際の値は持っていないんですけれども、いずれも結構高い値だっただろうと思います。

○牧野委員長 ほかにございますか。花井委員、どうぞ。

○花井委員 事実関係にもう一つ加えてですけれども、先ほどの説明で、私が聞き逃してしまったのかもしれませんが、保管検体のほうでは、PCRは全部陽性にならなかったという説明ですか。そうすると、抗体は上がってきていても、中に断片があるかないかということで、ばらつきが起きているという理解でよろしいんですか。

○日本赤十字社 正確なところはまだわかりませんけれども、DNA量としては、かなり低いんだろうと思っています。検体量で引っかかる場合と、引っかからない場合というのが1つ考えられます。また、原虫は普段は筋肉とか組織に潜んでいますので、その虫が血液中に出てきたり、出なかったりという状況がどうもあるようなので、それでPCRが引っかからなかったという状況も考えられると思います。その両方が考えられる状況です。

○牧野委員長 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員 今回、陽性が判明した献血者は、調査が始まる以前から献血をしているというお話なんですけれども、この方が一番最初に献血された当時は、白血球除去は既に導入されていたんでしょうか。それともされていない時期なんでしょうか。

○日本赤十字社 されていない時期もあります。

○日本赤十字社 日本の血液は、その前から病院レベルではされていたので、されていないということではないと思います。ただし、先ほどの例にありますように、白血球除去された例でも、感染は起きて確認されていますので、完全ではないです。

○岡田委員 最後の資料でも、血小板がリスクとしては一番あると思うんですけれども、Fresh whole bloodという記載もありますので、採血から実際に使われるまでの期間も関係があると思うので、実際、供給された9本というのは、病院に出庫されるまで、どのぐらい期間がかかったのか、資料があれば示していただきたいです。

○日本赤十字社 医療機関へ出庫されたもののうち、一番短いものは4日でした。採血後4日です。あとは、9日目ぐらいまでわかっていたと思います。もちろんFFPを除いてです。

○牧野委員長 ちなみに、今回わかった6月に採血された分の製剤は、出荷不可となったとあるんですが、これは製剤としては、全血で採血したものですか。それとも成分ですか。

○日本赤十字社 採血は全血で採血していますけれども、原料血漿としてのみ使用しますので、分離して、赤血球と血漿の状態になっていたものです。

○牧野委員長 赤血球は廃棄になるんですね。

○日本赤十字社 赤血球は廃棄される前に回収ができましたので、廃棄処理することにはなっていたんですけれども、実際に廃棄する前に回収できましたので、検査等に使用しております。

○牧野委員長 田崎委員、どうぞ。

○田崎委員 ドナーの方は、祖国で献血をした経験があるのかどうか、そういう情報はあるんでしょうか。もし自分の国でやっていて、その時点で、既に抗体陽性だという場合は、当然本人には通知されているんでしょうけれども。

○日本赤十字社 この献血者の方に手紙を送っています。陽性でしたという手紙を送っています。その後、十分に期間を空けまして、電話を差し上げました。電話を差し上げましたところ、我々に登録されている電話番号は、データ通信専用回線ですと返ってきてしまいまして、実際にまだお話ができていない状況です。番号宛てにショートメールを出したりとか、現在、配達証明の手紙を出したりして、何とか連絡をとろうとしている状況です。

○田崎委員 ありがとうございます。

○牧野委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員 2410月以前の話と以降との話で、対策が違ってくると思うんですけれども、以前の問題について、どういう安全対策が確保されたのか、フォローはどういうふうにできるのか。それと今後の医療機関との関係とか、そういうものもあると思いますけれども、供血者の方の安全性について、きちっと確保できるのかどうかという問題と、今後、献血された方について、きちっとしたコンタクトがとれるようにして、その方の健康の問題と、今後、献血が行われないような形の案内をきちっとすることは、対策として、日赤として考えられるのかということです。

 また、今後、こういうケースが出てきた場合、血液事業部会ではなくて、技術調査会とか、そういうところで審議していただくことが大切かと思うんですけれども、検査基準とか、今回、試薬がまだ承認されていないとか、そういうこともありますので、そこの整備を進めていけるのかどうか。そこを事務局と日赤の方にお伺いしたいと思っています。

○牧野委員長 献血者に対してのコンタクトは、先ほどお話されたような状況で、今後も直接コンタクトをとって、情報提供、今後のことについてのアドバイスとか、そういうことは続けていかれるということです。

 それから、今回と同じようなケースが起こったときに、どういう対処をしていくかということです。

 3番目は試薬の問題です。まだ日本での使用が認められていないものに対してのアクションが、何か起こされているかどうかということについて、コメントをお願いします。

○日本赤十字社 今後の安全対策については、今回行っている疫学調査、あるいは今回の事例を含めた検査結果をもって、どうするかということを議論していただくことになるだろうと思います。

 試薬については、現在、研究用として使わせていただいている状況です。実際、日本でどれぐらいの使用があるかということで、メーカー側の判断もあろうかと思います。当面は研究用として使わせていただけるかと思いますけれども、今後のありようについては、いろんなレベルでの協議が必要かと思います。

○牧野委員長 事務局、どうぞ。

○浅沼課長 今の日赤の回答どおりで、私どもも、今回、浮き彫りになった課題につきまして、安全技術調査会できちっと議論していただき、その議論の結果を踏まえて、とるべき措置をやっていこうと思っています。

 未承認の検査薬でございますけれども、実際どういうふうに体外診断薬の薬事承認をとっていくかということは、相手側のメーカーさんがどういう考え方か、あるいは採算なども含めて、いろんな課題があると思います。ただ、今、日赤の説明にもあったとおり、FDAでは承認されている検査薬なので、精度としては、それなりに担保されていると私たち思っていますので、疫学調査については、このまま継続していただくと考えています。

○牧野委員長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 今後の対策にも関係するかもしれませんが、患者さんにはちゃんと伝える、陽性でないかどうか確認する、そういうことだと思います。今回を見ると、リスクはかなり低いのではないかと思いますけれども、そのフォローというのは重要だろう。

 一方で、事実として、日本に外国から来ている人で、患者さんがそもそもいるのか。わずかでしょうけれども、いたりするんだろう。そのときに、そもそも確定診断ができていないということになるんですか。

 それから、治療に関しては、熱帯病治療薬は、未認可ものを研究班で買っているという日本の制度がありますね。そういう形で、もし治療に必要であれば、そういうスキームが使われていると思いますけれども、実態として、治療薬研究班等で、シャーガス病に関連する医薬品を供給したことがあるのかとか、そのときの現実の医療現場で、確定診断はどうされているのかみたいな情報はございますでしょうか。

○牧野委員長 いかがでしょうか。

○浅沼課長 いろんな研究がございまして、ブラジルなどを中心とするコミュニティーに疫学的に専門家の先生方が入って、検査をして、有病率を確認するという研究はあるんですけれども、御指摘のとおり、未承認薬ということもあって、あくまで医師の個人輸入という形で対処しているのではないかと推察されます。

 医療については、シャーガス病の協力医療機関という形で、そういったコミュニティーが多い自治体では、大きな医療機関がバックアップとして対処しているという報告はあるんですけれども、治療薬がどのような形で入れられているのかというのは、今回を機に関係部局と連携をとりながら、確認したいと思います。

○牧野委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 先ほど質問させていただきましたけれども、今回の事象に関しては、2つに分けて考えたほうが良いだろうと思います。

 今回の献血者の方の過去に献血された幾つかの献血血液に関して、特に輸血用の製剤に関しては、リスクがゼロではないということで、受血者にはやはりきちんとした情報の伝達を行わないといけないのではないかという気がします。要するにどれだけのリスクがあるかということと、かなりリスクは低いけれども、ゼロではない。そのためには、ちゃんと検査をしていただかないといけないのではないかと思います。

 もう一つは、この場合、対応が非常に慎重にならざるを得ないのは、前のダニでの出血性のウイルスの場合もそうですけれども、個人情報の保護をきちんとしておかないと、下手をすると、差別につながったりするリスクもありえますので、その辺は十分に注意しながら対応をしていただきたいと思いますし、日赤にもそういう対応をお願いできればと思っております。

 それから、先ほどの検査の必要性ということで、受血された方が、検査でネガティブであれば、先ほどの抗体でも、PCRでもネガティブであればOKであるということで、ある一定期間、例えばネガティブということが担保できるのであれば、非常に安心感を与えるのではないかと思います。

 もう一つは、万が一、ポジティブに出てしまった場合、情報を提供する際に、次のような情報も提供していただきたいと思います。すなわち未承認薬ではありますけれども、海外では承認されているような医薬品がある。幾つか調べてみたのですけれども、小野薬品が開発しているもので、シャーガス病に有効なデータが出ているという論文もありますので、その辺が将来出てくるかもしれない。

 だから、こういう3つぐらいの対策をきちんと立てた上で、情報提供、検査の依頼などをしていただくのが、まず1つではないかと思います。

 もう一つ、今後の検査体制に関しては、例えば前にも安全技術調査会で問題になりましたけれども、ポジティブ抗原の供与というか、その辺はどこに求めるのか。例えばブラジルの赤十字などでは検査をしているはずだと思いますので、その辺とのタイアップなどを図っていただいて、安全技術調査会で議論していただければと思います。また検査でネガティブであれば、リエントリーのことも含めて議論していけばいいと思います。

○牧野委員長 ほかにございますか。花井委員、どうぞ。

○花井委員 今後の対応は具体的に安全技術調査会等々で議論してほしいんですが、その前提として、資料1-2の2ページにある先行調査は、1、2だけでいえば772件やっているということだと思うんですけれども、そうすると、1ページの安全対策では、全体で5,248で、1と2だけだと1,987人ということで、そうすると、幾つか抗体検査していない検体があると、この問診によって決まって、1、2に該当する人たちの未検索検体が残っていることになると思います。そういう理解です。そうだとすれば、この検体について抗体検査をするということは、考えられるんですか。

○日本赤十字社 まず1つは、同意をいただいた方から別の検体をいただいていますので、同意をいただいていない方には検体がない状況です。同意を得られなかったので、検査をすることはそもそもできないと考えます。

○花井委員 血漿分画用に供給した分について、検体は残っていないんですか。抗体検査せずして、1、2、3に該当する分は、血漿分画用にいっているんですね。血漿分画に送った分の検体は残っていないんですか。これはないんですか。

○日本赤十字社 保管検体という意味ではもちろんございますけれども、そもそもシャーガス病の抗体を検査させてくださいという同意を得て検査をしますので、この方たちについては、同意が得られていないということなので、検査できないということです。

○花井委員 わかりました。すみません。

○岡田委員 そのことについてですけれども、資料1-2の2ページ、実際68%の方は抗体の検査を受けているんですが、残りの人たちは同意が得られないということで、検査ができない。検査できなくても、分画用として使われているということで、その理由としては、今は研究段階ということで、同意が必要だということなので、この同意が必要なく検査できるようにするというのが必要だと思います。どういうプロセスを経れば、そうできるのかというのは、わかりません。

○山口委員 今、全部の検体をやっていることになるのでしょうか?もし同意が得られれば、対象者は最初に限定された方ですね。資料1-2の3ページにある、該当される方だけなので、全体にこれを検査するわけにはいかないです。岡田先生の意見は、この条件に当てはまる人は、全て検査をしますということですね。

○岡田委員 実際、米国とかカナダでは、セレクティッド・スクリーニングといって、中南米出身の方のみの検査をやっています。

○牧野委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員 今、議論されていることに関連するかもしれないんですけれども、1つは献血者の方にコンタクトがとりづらいところがあるということで、これは今までもずっと課題になっていて、遡及調査もそうですけれども、こうした潜伏期間が長い寄生虫が熱帯病として出てくる中で、研究的な対応策として、言葉は安易かもしれないですが、公共の福祉のために、いろいろ協力してもらう方策というのは、今後つくっていかないと、またこういう問題が起きたときに、献血者の方と接触する機会がなかったら、結局それがいつまでも尾を引くという形になるというのは、輸血や献血の信頼性を損なう問題なのではないかと思います。

 もう一つは、こうした問題が起きる可能性があるときの備え、リスク回避として、研究の検査、全例検査、そういうものがきちんとできるような方策というのは、本来リスク管理として必要なのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○浅沼課長 私からお答えします。

 今の御指摘は、私どもも同じようなことを考えております。例えば安全対策として考えれば、ラテンアメリカ人のコミュニティーの方々、そのものの献血を中止という形もなくはないでしょうけれども、果たしてそこまでやっていいものかどうなのか。

 また、シャーガス病という病気は、事務局から御説明させていただいたとおり、決定的な治療法がなく、最終的には全ての方がそうなるわけではないんですけれども、心臓の病気になったりとか、あるいは巨大結腸になったり、対処療法でやらなければいけない。医療機関も、今の日本では、限られたところでしか対処ができないこともあって、告示するという話のところで、今回、日赤さんがやるんですけれども、どこまでドナーさんに説明できるのかということ。

 さらには血液の安全性確保という観点の中において、検査をするんですが、例えばこれからの未来の方々は、安全対策が効いてくるわけなのでいいんですが、過去の患者さん、過去に献血した人を中心に、検査をすべきかどうかといつた課題がいろいろあると思います。それを整理して、現在、行っています遡及調査の結果も横目で見ながら、安全技術調査会を開いて検討したいと思っています。

 いずれにしても、きょうお伝えしている事実は判明しているわけなので、これを踏まえて、何かしら考え方を、もう一度、整理しなければいけないということは明らかですので、それは早急にやらせていただきたいと思っています。

○牧野委員長 花井委員、どうぞ。

○花井委員 今の話なんですけれども、疫学研究というベースでやると、無断検査で伝えるなんてことはあり得ないというルールだと思うんですが、一方で、先ほど岡田委員が言ったように、プロダクトとしての血漿分画製剤の原料の調査でもあるわけです。つまりそれは何のために使うかというと、その中にどれだけの陽性率があるのかというチェックであれば、完全に匿名化してしまって、そこは疫学調査とは別に、プールに入れた血漿の原料の薬事法上の安全調査にして、完全に匿名化した形で、それを行うのであれば、薬事の規制の中でできる可能性があるのではないかと思います。もちろんそれがわかってしまったら、本当はさかのぼれるんだから、患者さんに黙っておくのかということはあるけれども、無断検査はあり得ないから、それはできないと思うんですけれども、薬事上の原料規制という問題と、いわゆる疫学研究という2つのレギュレーションについて、整理、検討していただけますでしょうか。匿名化すればできるのではないかと、直感的には思うんですけれども、よろしくお願いします。

○浅沼課長 事務局です。

 今、花井委員が御指摘のとおり、いろんなアイデアがあると思います。ただ、今回、私どもが一番重視しているのは、過去の献血の血液が血液製剤になって、一部の血液製剤ではシャーガス病の感染リスクがある。それをきちっと追っていかなければいけないというのが、一義的に重要だと思っています。ただ、それを行うためには、現在、献血している方々、ラテンアメリカ関係の方々の状況がわからないと、お一人お一人同定して、その方が過去にどんな献血をしてきたかという、献血歴を確認しないといけないと思っているので、そこのところをどうするか。場合によっては、ちゃんと同意をとった上で、検査をお願いして、遡及できるような形をとるのかどうか。

 あとは、花井委員が御指摘のとおり、もう少しラフな形で、実態もわからないといけませんから、どういう形で確認するかということも、要するに1つの方法だけではなくて、幾つかの手で、総合対策としてやっていくという考え方もあると思います。

 いずれにしましても、安全技術調査会の専門家の先生方と議論した上で、よりよい方策を考えたいと思います。

○牧野委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 血液製剤の安全性確保の観点から、全ての検査をするのが一番望ましいというのは、間違えないと思うのですけれども、3割の方が検査を拒否されているというのは、それなりの意思があるんだろうと思います。

 もう一つは、それでだめだと言っているわけではないのですけれども、例えばその中には、検査結果を知りたくないという方もいらっしゃるんだろうと思います。HTLV-Iのときも、検査結果を知らせてほしいですか、ほしくないですかということを前もってお聞きし、ほしくない人には、検査結果を教えないという選択肢ももちろんあるんだろうと思います。ですから、その辺のいろんな対策、もしくはコンセンサスを得ながら、いろんな対策を考えていく必要があるのではないかと思います。

○岡田委員 今回1名で陽性で、そのほかの2,254名の方は陰性なわけです。その人たちの善意を生かしたいと思うと、それなりの検査で、陰性、陽性を分けて、陰性の人は通常の輸血用の血液として十分使えるのではないかということで、どうしても選択は必要だと思います。

 あと、これは中南米滞在歴もしくは生まれた方なので、日本で住んでいる限りにおいては、輸血とか臓器移植をしない限り感染することがないので、一度、陰性が確認されていれば、中南米に検査後に行かない限りは、感染することはないので、1回だけ検査すればOKということなので、最初は負担があるかもしれませんけれども、それ以後は大幅に減るのではないかと思います。

○牧野委員長 その辺りの考え、方針というのは、日赤のほうは、検査を始めまして、間がないわけですけれども、今後データを集めていきながら、考慮するということだろうとは思いますが、何か御意見はありますでしょうか。

○日本赤十字社 問題点や考えるべき点は、今、いろいろ御示唆いただいたと思います。献血者の視点と受血者の視点という両方から、大変有用な御指摘をいただいたと思いますので、今回さらに疫学調査を進める。そして、遡及調査も行う中で、血液の安全性を高めながら、同時に血液もきちっと確保できる、その両方の視点を持った対策を考えていきたいと思っています。

○牧野委員長 ほかにございますでしょうか。

 今後の方向としまして、今回のケースの遡及調査は行うこととする。委員の方々の意見としましても遡及調査をして、血液が入った患者さんの状況、抗体が陽性なのかどうなのかということを確認するということに関しては、特に問題なく進めていくということでよろしいでしょうか。

○日本赤十字社 実際にはもう進めておりまして、全ての医療機関とコンタクトがとれています。まだ訪問できていない医療機関も残っておりますけれども、既に患者さんが亡くなられている例も、何例が報告を受けています。実際に遡及調査は開始をしております。

○牧野委員長 確認ですけれども、3つの項目に当たる方々の疫学調査に関しましても、さらに調査を続けていって、データを積み重ねていき、その上で、さらに検査を詳しくやっていくのか、可能な限り全例調査にもっていくのか、どのような方法にするのがよいかということを含めて、現在の対策を継続することに関しましても、特に継続ということでよろしいでしょうか。

○日本赤十字社 現状の対策は、引き続けてやっていきます。

○牧野委員長 ほかにございませんか。大平委員、どうぞ。

○大平委員 こうした公開の席でのお話なんですけれども、中南米の方に関しての要らぬ心配、不安、社会的な影響は、ぜひ収めていただけるように、いろいろ配慮をお願いしたいと思います。

 それから、献血された方は未確認の状態で、余り情報がない中で、こうした議論が行われたわけですけれども、そういった形で、公開のところでいろいろ発表されるときに、十分人権的な配慮とか、留意をしていただけるように、お願いしたいと思いました。

○牧野委員長 今回の献血者の方の個人情報というのは、非常に注意しないといけないところだと思います。

 事務局、どうぞ。

○浅沼課長 大平委員、御指摘どうもありがとうございます。

 7割のぐらいの方は検査を受けてもらっていますから、あとの3割ぐらいの方々になるべく検査を受けてもらうように、日赤を通じてお願いしていくことになりますけれども、裏づけとなるのは、万が一、陽性だった場合、日本の中において、きちっと医療ができるんだ。もちろん根治療法はないかもしれませんけれども、対処療法として、ずっと観察をして、健康状態をチェックして、いざというときは対処できるんだということを、ラテンアメリカのコミュニティーの方々に理解してもらわないといけないと思っています。

 これは先ほど申し上げたとおり、幾つかの医療機関でシャーガスの受診ができるところもありますし、それを下支えしているのが、いろんなNPOだったり、NGOだったりということもございますので、もう少し踏み込んだ形で、こうしたところとも連携しながら、献血だけではなくて、日本に滞在されたり、あるいは関係する中南米関係の方々に、できる限りシャーガス病に対する理解を深めていただくという努力は、厚労省として考えていかなければいけないと思っています。

○牧野委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 1点確認なのですけれども、今回リスクは非常に低いとは思っているんですが、検査していただいて、ポジティブになってしまった場合、この治療というのは、どういう対応ができるのか。要するに副作用基金から出るのか、その辺の説明をお願いします。

○浅沼課長 感染被害救済の対象としてなり得ると思っています。もちろん手順は踏みますが、薬食審のほうで対応していただいて、今、申し上げたとおり、日本でシャーガス病に感染するルートというのは、基本的に血液ルートしかないので、恐らく対象になると考えております。

○牧野委員長 ほかにございますか。田崎委員、どうぞ。

○田崎委員 医療機関におけるインフォームドコンセントのことで、我々が輸血をするときには、100%インフォームドコンセントを得て、輸血をすることになりますが、通常インフォームドコンセントの用紙には、ウイルスの感染症とか、いろんなものがリスクとしてある。かつ、今の技術では、未知のウイルスとか、防ぎ得ない問題が潜んでいるという一文があるんです。ですから、例えば国として、都道府県の知事宛てに、インフォームドコンセントを各病院でしっかり持ってやってくださいとか、ただ単にインフォームドコンセントを形式的にやるのではなくて、実際こういう事例がありましたので、患者さんに輸血をするときには、そういう問題が潜んでいるということを、何らかの形で伝える。まだ情報がない中で、センセーショナルに言うのも危険だと思うんですけれども、各病院で、もう一度、原点に立ち戻って、輸血の安全性を考えて、輸血をしてほしいということを、何かの形でお示しいただいてもいいと思いました。

○牧野委員長 事務局、どうぞ。

○浅沼課長 御指摘ありがとうございました。血液法の趣旨が、今、先生の御指摘だと思います。もちろんゼロリスクにもっていくことは、科学的にも大変だとは思いますけれども、リスクを少しでも減らすことを目指すのが、私どもの使命だと思っています。

 シャーガス病対策も平成24年から導入しまして、今まで日赤も含めて頑張ってきたんですけれども、わかったことに対しては、きちんと対応していく。未知なるウイルス、感染症というのは、未来についてわからないところもありますけれども、それがわかってきたところで、必ず手を打っていくということを繰り返すしかないと思っています。よろしくお願いします。

○牧野委員長 まさに安全で安心な輸血を目指すということだろうと思います。

 ほかにございませんでしょうか。

 現状としましては、中南米におけるシャーガス病の子供などの抗体陽性者というのは、恐らく以前からするとかなり減ってきていて、サシガメの原因となるような昆虫なども、環境がかなり変わってきて、減ってきているという現状がありますので、献血の3つの条件に入る3番目の中南米に4週間以上滞在したという方々の感染というのは、実際はかなり少ないと考えられるわけで、今回こういう形で検査を進めていく中で、例えば4週間以上滞在という“4週間”という期間とか、こういう方々を献血から外すということ自体がどうかとか、今後、検討していく内容かと思います。

 ほかにございませんでしょうか。

 日赤、よろしいでしょうか。

 今回の原因となりました献血者の方の個人情報なり、健康被害、治療法を含めた情報提供という問題、血液製剤の安全性をさらに高めていくための検査法を進めていく重要性もあったと思います。

 それから、現在、検査法の確立というか、試薬の承認も1つの課題だと思います。今回、輸血による感染症として、シャーガス病が明るみに出たわけですけれども、このことに関しましては、今後、安全技術調査会などでも話し合って、より安全な血液製剤を目指すということを話し合っていくきっかけになると思います。

 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、本日の結論としましては、日赤のほうで、今回の原因となりました血液製剤の遡及調査を継続して追って、結果を報告していただきたいと思います。

 それから、過去の献血に対する安全性の確認のためにも、シャーガス病に対する検査方法をさらに強化していく必要があるとか、そういうことに関しまして、近く安全技術調査会で議論していただくと、運営委員会では結論したいと思っております。

 ほかに何か御意見はございませんでしょうか。

 それでは、議題1は以上で「2.その他」ということで、何かございますでしょうか。

 ちょっと早いのですけれども、特になければ、本日の議題はこれで終了したいと思います。

 次回の日程につきましては、後日、事務局から連絡いただけるということで、お願いします。

 本日は御多忙中のところ、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局血液対策課:上田(内線:2905)・野田(内線:2914)

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