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2013年5月31日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会及び薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会・伝達性海綿状脳症対策部会合同会議

医薬食品局食品安全部 企画情報課・基準審査課

○日時

平成25年5月31日(金)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第18~20会議室


○出席者

食品衛生分科会員(敬称略)

安藤 言枝 大野 泰雄 大前 和幸
春日 雅人 岸 玲子 栗山 真理子
河野 康子 古野 純典 西 秀訓
西内 岳 西島 正弘 山内 明子
山本 茂貴 若林 敬二 渡邉 治雄

伝達性海綿状脳症対策部会員(敬称略)

甲斐 諭 河野 康子(食品衛生分科会にも所属)
工藤 操 佐多 徹太郎
山本 茂貴(食品衛生分科会にも所属)

事務局

新村食品安全部長 高島大臣官房審議官
伊原企画情報課長 森口基準審査課長
滝本監視安全課長 道野輸入食品安全対策室長
三木食中毒被害情報管理室長 鷲見国際食品室長
山本課長補佐

○議題

1 議題
 BSE検査の検査対象月齢の引き上げについて

○議事

〇山本補佐 それでは、定刻になりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会及び伝達性海綿状脳症対策部会合同会議」を開催いたします。
 まず、委員の辞職と新委員の就任がございましたので御報告いたします。
 徳留信寛委員が薬事・食品衛生審議会臨時委員を辞任され、5月28日付で古野純典委員が就任、本分科会員に指名されております。
 本日は、石川委員、大澤委員、岸田委員、寺本委員、毛利委員、堀内委員から御欠席との御連絡を頂いております。
 現在の分科会員総数20名のうち、本日は15名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に達しております。
 また、伝達性海綿状脳症対策部会員総数7名のうち、5名の御出席をいただいており、こちらも出席委員が過半数に達しております。よって、本日の合同会議は成立いたしますことを御報告申し上げます。
 それでは、開会に当たりまして、食品安全部長、新村より御挨拶を申し上げます。
〇新村部長 それでは、開会に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、食品衛生分科会と伝達性海綿状脳症対策部会の合同会議として、BSE対策の見直しについて、御議論をいただくこととしております。
 BSE対策につきましては、平成13年9月に国内で初めてBSE感染牛が確認され、翌10月からSRMの除去とともに、全頭を対象とするBSE検査を開始いたしました。これは、当時牛の正確な月齢確認が困難だったという点もございますが、国民の間に強い不安があったことを踏まえたものとされております。
 その後、平成17年には、食品安全委員会の答申を踏まえて、検査対象月齢を20か月超といたし、本年4月からは30か月超としたところですけれども、現在もなお、全国の自治体において全頭検査が継続されているという状況にあります。
 今月13日には、食品安全委員会より国産牛のBSE検査対象月齢を48か月齢超まで引き上げても、人への健康影響は無視できると評価結果が示されました。
 これを踏まえて、本日、検査対象月齢に関する省令の改正案を御提案するものでございます。
 また、国際機関であるOIEにおきましては、今月29日の総会で、日本がBSEのリスクが無視できる国に認定されることになりました。こうした状況を踏まえますと、国産牛肉の全頭検査について見直す時期がきていると考えております。
 一方で、BSEにつきましては、国民の皆様の関心も高い案件ですので、パブリックコメントや説明会の開催などを進めてまいりました。これらにつきましても、後ほど御報告いたしますので、併せて御意見を頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。
 また、合同会議の後には、食品衛生分科会として、農薬の残留基準及び食品添加物の指定等いついて、御議論いただくこととしております。
 これらの議題につきましても、御審議賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
〇山本補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 食品衛生分科会及び伝達性海綿状脳症対策部会員の皆様に「資料1 BSE検査の検査対象月齢の引き上げに関する資料」をお配りしております。また、食品衛生分科会員の皆様に、資料2~5、参考資料1~7の厚いハードファイルをお配りしておりますので、御確認ください。
 資料の不足とか、落丁がございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。
 以後の進行につきましては、岸分科会長にお願いいたします。
〇岸分科会長 それでは、BSE検査の検査対象月齢の引上げについて、審議を行います。
 まず、事務局から御説明をお願いいたします。
〇山本補佐 カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
 報道関係の方は退席をお願いいたします。
(報道関係者退室)
〇道野室長 それでは、資料1に基づきまして、BSE検査の検査対象月齢の引上げにつきまして御説明いたします。
 資料の1ページですが、BSE検査対象月齢の見直しについてということで、本件の経緯につきましては、先生方、皆様御承知のところとは思いますけれども、BSE対策が開始してから10年経過したということと、国際的な状況等を踏まえて、最新の科学的知見に基づき再評価を行うということで、一昨年の12月19日に厚生労働大臣から食品安全委員会委員長に対しまして、BSE対策の見直しについての食品健康影響評価を諮問いたしました。
 特に、国内のBSE検査対象月齢につきましては、昨年の10月22日の評価結果に基づきまして、本年2月1日に対象月齢を20か月齢を超えるものから、30か月齢を超えるものに引き上げの改正を行い、4月1日に施行いたしたところであります。
 今般、食品安全委員会におけるさらなる審議の結果、国内のBSE検査対象月齢に係る「国際的な基準を踏まえてさらに月齢の規制閾値を引き上げた場合のリスク」ということにつきまして、答申がされたということを受けて、今回、この評価結果に基づき対象月齢の見直しを行うというものであります。
 参考資料1に食品健康影響評価の概要ということでございまして、資料の4ページですが、去る5月13日に食品安全委員会から厚生労働大臣宛てに答申がされております。
 5ページを御覧いただきますと、概要を書いた資料でございますけれども、BSEプリオンにつきましては、侵入リスクの低減措置であるとか、飼料規制による国内における増幅リスクの低減措置、それから食肉処理工程における曝露リスクの低減措置といったことを前提に出しまして、既にBSEプリオンによる人でのvCJD発症の可能性は極めて低いということ、さらに、2002年1月生まれの最終発生以降に生まれた牛には、11年にわたりBSE発生は確認されていないということ、11歳未満の出生コホートは、発生の確認のための期間が十分ではないということで、そういったことで当面の間、検証を継続するという、2つの要素を勘案して、食品安全委員会の結論といたしまして、国内措置の検査対象月齢を48か月齢を超えるものに引き上げたとしても、人への健康影響は無視できるという結論になったわけでございます。
 資料の1ページに戻ります。
 BSE検査の対象月齢の見直しということでございまして、この評価結果に基づいて、厚生労働省関係の牛海綿状脳症対策特別措置法の施行規則を改正いたしまして、検査の対象月齢を現行の30か月齢を超えるものから、48か月齢を超えるものに引き上げるという内容です。
 省令の改正案につきましては、参考資料2、8ページです。
 改正の内容としては、規定の数値を30から48に改正するという内容であります。
 この改正に併せまして、当然、と畜場の現場における分別管理という要素が一つ増えるということになります。2月1日に改正、4月1日に施行の中には、検査対象月齢のほかにSRMにつきましても、中枢神経系のものについて、従来全月齢だったものを30カ月と見直しております。
 そういったことで、SRMの管理については、30カ月の区分が既に必要になっておるわけですけれども、さらに検査の必要の有無という観点で48か月齢で区分をするということになります。
 もちろんと畜場それぞれによって、月齢構成はさまざまではありますけれども、そういった区分が適切にできるようにということで、国のほうでガイドラインを従来から出しておるわけですけれども、48か月齢の区分という要素を含めたものを今回、改正して出すというのが参考資料3です。
 4番目です。
 パブリックコメント及び一般への説明会の結果ということでございます。
 まず、参考資料4、14ページでございます。この省令改正のパブリックコメントにつきましては、4月25日から5月24日まで、30日間実施しております。
 寄せられた御意見につきましては、全部で69件の御意見を頂いております。
 内訳につきましては、重複もございますので合計は69に合いませんけれども、14ページ中ほどにありますとおり、省令改正に関する御意見が66件、地方自治体が行う全頭検査の見直しに関する御意見が31件、その他の御意見が41件という内容になっております。
 15ページでありますけれども、省令改正に関する御意見、66件の内訳であります。
 改正は、現時点の科学的知見に基づく検討の結果として理解できるというポジティブな御意見のほかに、例えば非定型BSEにつきましては、不明瞭な点が多く、食の安全・安心が確保されていないことから、30か月齢を超える月齢を継続し、検証してから月齢の引上げを行うべき。検査対象月齢の引上げに反対である。それから、下のほうはリスクコミュニケーションをしっかり行ってほしいということ。それから関連の財源確保についての御意見、パブリックコメントの手続等についても御意見がございました。
 回答でありますけれども、今回のBSE対策の見直し全般の趣旨、内容について、御説明をしております。その上で、食品安全委員会の食品健康影響評価に基づいて、そういった科学的知見に基づいた見直しということで進めているということについて説明をしております。
 また、非定型BSEにつきましても、食品安全委員会の評価のほうでと整理されておりますので、それにつきましても引用して説明をしているという内容になっております。
 16ページでございますけれども、さらにリスクコミュニケーションにつきましてですが、先ほど部長の挨拶にもありましたように、ことしのOIE総会において、5月28日というのは現地時間で、日本での公表は日本時間の29日になっておりますけれども、日本をBSEリスクについて無視できる国であるという認定がされたところでありまして、そういった内外で国産牛肉の安全性が確認されているということで、科学的評価に基づく見直しであるということを含めたリスクコミュニケーションに努めてまいりますという内容であります。
 まだ実際の対応といたしまして、既に食品安全委員会で、東京、大阪でリスコミをされ、また、厚生労働省でも今回の改正ということで、東京、神戸でリスコミを開催しております。
 また、地方自治体が開催する説明会にも職員を派遣して、説明を行うということで、現在、25自治体に対しての説明会に職員を派遣している状況でして、国のほうとしても、リスクコミュニケーションに努めてまいっているという内容です。
 それから、2番目の「地方自治体が行う全頭検査見直しに関する御意見」ということでありました。これは31件であります。科学的に安全であれば、検査費用の無駄をなくすために見直すべきであると。ただ、全国一斉の実施が不可欠であり、自治体、業界、国民に対して国の指導力が必要である。全頭検査のコストはわずかであるということで続けるべきであると。国の予算で続けてほしいと。そういった賛否両論です。
 回答でありますけれども、ここでも科学に基づく見直しであるということ、それから先ほどの説明と重なりますけれども、内外でそういった安全性が認められたということを踏まえると、全頭検査を継続するということ自体が国産牛肉の安全性について誤ったメッセージを発信し、また流通に混乱をまねくおそれがあるという懸念がございます。
 一方で、地方自治体からは、全国一斉の全頭検査の見直しということが求められておりまして、国が調整してほしいという要望がございました。
 そういったことで、私どもとしては、全地方自治体が一斉に全頭検査を見直すようにということで、農林水産省と連名で通知を依頼いたしました。
 内容といたしましては、7月1日に一斉にこれまでの全頭検査について見直していただきたいという内容であります。
 それから、17ページの中ほどになりますけれども「その他の御意見」ということでありまして、例えば、非定型BSEについて、さらなる研究・解明を求める御意見、SRM、生体検査といったリスク管理措置を今後とも確実に実施すること。それ以外にも、今回の月齢の見直しそのものは関連がしないものがございますけれども、BSE対策に関連した御意見が参っております。
 資料の2ページの(2)であります。
 「一般への説明会について」ということでして、資料は参考5のほうになります。
 先ほど申し上げたとおり、5月21日と24日にそれぞれ東京と神戸で厚生労働省、関係省庁主催で開催しています。
 資料の参考5には、先ほどパブリックコメントで御説明した内容について、具体的なやりとりがさらにこういった説明会でされたということで、20ページの中ほどより少し下ですが、「3.質疑応答の概要」ということで、具体的なやりとりの概要につきまして、整理をしております。
 検査対象月齢の引き上げについてということで、食品安全委員会からリスク評価結果の内容につきまして、詳細な説明がされております。また、21ページの全頭検査につきましては、一斉に廃止できるのかという御懸念の御意見があり、厚生労働省のほうから全国一斉の見直しについて調整をしているという内容のお答えをしております。
 一方で、全頭検査の見直しについて、慎重に対応するべきという御意見もございました。
 また、さらに情報発信についてということで、検査よりも飼料規制やSRM除去の重要性についてもっとPRするべきである。それから検査をやめることによって、BSEが発生すると消費者等が誤解することのないよう、正確な情報提供に取り組むべきということについても御意見がございました。もちろん、今回の見直しについての丁寧な説明、それから今後とも引き続き、情報を発信していくということにつきまして、お答えをしております。
 22ページは非定型のBSEということでございまして、これにつきましても、食品安全委員会から評価結果の内容につきまして、御説明をしております。
 説明資料の5ページに戻っていただきまして、全頭検査の見直しについてということであります。
 本件につきましては、今まで申し上げた内外でのリスク評価の結果を踏まえると、引き続き全頭検査を継続することについては、やはり国産牛肉の安全性について、誤ったメッセージを発信する。流通に混乱を招く、そういった観点で地方自治体から国の調整について、一斉の全頭検査見直しについて国の調整があったと、先ほど御説明したとおりの状況があるわけでございました。
 そういったことで、具体的には厚生労働省と農林水産省から連名で各都道府県知事に御要請を申し上げております。
 実際に、現状、地方自治体での検討状況でありますけれども、BSE検査を行っている国で検査に必要な検査キットの全額補助を行っている対象自治体が75ございます。
 75地方自治体のうち、70の自治体につきましては、7月1日に全頭検査について見直す、またはその方針で手続中という状況になっております。
 あとの5カ所につきましては、この5カ所のうちの多くは、概ねそういう方針では手続は進んでいるものの、現時点ではまだ検討中というお答え、もしくは現時点では公式な回答はできないということでお答えを頂いている状況です。
 いずれにいたしましても、全頭検査を継続するという方針の自治体は現在のところないというのが実情です。
 今後の予定ですけれども、6月3日に省令改正と、併せて現在20か月齢を超える牛の検査についての補助金を全額補助しているところでありますけれども、これを48か月齢を超えるものと対象を見直します。
 それぞれ省令改正、それから補助金の要綱改正を6月3日に行い、施行は7月1日というのが今後の予定ということになっております。
 以上であります。
〇岸分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、御質問、御意見を頂きたいと思います。
 どうぞ。
〇山内委員 意見を3点と質問を1点したいと思います。
 今回の月齢の変更につきましては、食品安全委員会のリスク評価、OIEの認定、国内での実際の管理措置の状況から、私は問題ないと思っておりますが、3点だけ引き続き注意をしていただきたいと思っております。
 1点目が非定型BSEに関する情報収集等でございます。
 件数も少なく、非常にまれだということですので、リスクが高まるとは思っておりませんけれども、引き続きまだ解明されていない部分もございますので、国民に対しても情報提供をいただく必要があると思いますから、農林水産省、食品安全委員会と協力いただき、引き続き情報収集や調査研究をお願いしたいと思います。
 2点目が、今後のリスク管理にかかわる問題ですが、これから確実に生体牛も含めて、管理を実施していただきたいと思います。このことについて、後で質問をいたします。
 3点目が、丁寧なリスクコミュニケーションを引き続きお願いしたいということでございます。
 御報告のとおり、たくさんやっていただいておりますが、なかなか難しい問題でありますし、引き続き分かりやすいやり方でリスクコミュニケーションをお願いしたいと思います。
 夏に向かいますので、例えば夏休みの子供向けの企画で、簡単にこの間のBSEの状況を振り返りいただき、今後、どうなっていくのか、対策はどうかということを分かりやすく例えばレクチャーしていただいたものをホームページにアップいただくとか、東京でやられた説明会のところには、群馬県の御担当の方がおいでになって、食肉の加工のプロセスについてもきちんとお話をいただいて、説明されたと聞いております。参加した人に聞きましたら、大変分かりやすかったと聞いておりますので、こういった都道府県の御担当の方と一緒になりながら、情報提供をいただければと思います。
 質問ですが、今回のOIEの認定、無視できるリスクの国の認定が出たということですけれども、OIEの考え方によりますと、この無視できるリスクの国である状況をきちんと維持するために、サーベイランスを行うことが必要で、サーベイランスが維持できているかどうかを確認する一定のポイント制があると聞いております。
 今回の、48か月齢以上に変更するということにかかわりまして、日本国内ではOIEの検査の基準に照らして、どの程度クリアできているのか、それから今後、月齢変更後の検査で十分にポイントがクリアできるとお考えかということについてお聞かせいただきたいと思います。なお、OIEでは、牛を4つの分類にしており、BSEの症状がある牛、歩行困難又は緊急にと殺を行った牛、死亡した牛、通常と殺を行った牛の4つのサンプリングで調べておられるようですが、厚生労働省が発表されております取りまとめのところでは、この分類が症状を呈する牛、生後30か月齢超の牛、その他の牛という形で集計されていて、OIEの考え方と少し違いがありますので、厚生労働省が集計されている症状のある牛というのが、OIEが言っていらっしゃる概念と同じかどうかについて、お聞かせいただきたいと思います。
 特に、今後は症状がある牛ですとか、緊急にと殺をされた牛を見逃さずにきちんと調査をしていくことが必要だと思っておりますが、現状、臨床症状の有無のチェックなど、生きている牛の検査体制は十分なのかどうかも含めて教えていただきたいと思います。
 以上です。
〇岸分科会長 ありがとうございます。
 事務局からお願いします。
〇道野室長 それでは、御質問の部分について、お答えをしたいと思います。
 まず、1つは日本のサーベイランスのOIEルールに基づくポイントが今回の全頭検査の見直しに伴って、今後のOIEのリクワイアメントをクリアできなくなるのか、そうではないのかということだと思います。
 簡単に申しますと、今回、無視できるリスクの国に認定されたということで、年間、必要なポイントというのが約2万1,000ポイントということになります。
 一方で、これまでは年間で日本のサーベイランスというのは15万ポイントぐらいあったわけですけれども、これをと畜場での検査月齢を48か月齢を超えるものに見直した場合、8万5,000ポイントとなります。
 そういったことで、年間当たりで申し上げましたけれども、年間当たりで言っても、4倍ぐらいのポイントはまだ十分稼げるということですので、そういった意味で無視できるリスクの国のステータスを維持するには十分なサーベイランスの実施が可能と農林水産省から出ております。
 ちなみに、これは過去7年間の合計値ですので、積み上げていくわけですけれども、今、申し上げたのは、それを1年当たりに直して御説明をした内容となります。
 それから、厚生労働省で毎月BSE検査につきまして、スクリーニング検査の結果を公表しておりまして、御指摘のとおり、症状を呈する牛という名称にして整理しているわけでございますけれども、これに含まれるのは生後24か月齢以上の牛のうち、生体検査において運動障害、知覚障害、反射・意識障害等の神経症状を疑われたもの及び全身症状を呈する牛としております。
 これは、OIEの臨床症状を有する牛に比べると、少し定義が緩い、広いということでございます。
 そういったことで、このグループの牛については、そういった臨床症状を有する牛にはカウントせずに、ポイントはもう少し低い、緊急と畜牛としてカウントしてOIEには申請しています。要するに、過大な見積もりにならないようにということで、もともと日本でも計算をしてOIEには提出しています。
 また、今後、サーベイランスの体制についてどうかということでありますけれども、今回、農林水産省で実施している24か月齢以上を対象とした死亡牛の検査については、引き続き実施される、変更なしということでございますので、現行のサーベイランス体制については、引き続き維持はされるということになります。
 以上であります。
〇山内委員 ありがとうございます。
〇岸分科会長 そのほかの御意見はいかがでしょうか。
 どうぞ。
〇工藤委員 言葉の意味ですけれども、農水省と厚労省が出しました見直しということなのですけれども、見直しという言葉の中に、これは確実にやめるということなのか、あるいは段階的にやめていくのか、条件付きで続けるのかとか、いろいろな意味がとれるかと思うのですが、どの辺を目指していらっしゃるのでしょうか。
〇道野室長 御質問に合った答えになっているかどうか分かりませんが、もともとBSE対策の見直しということで、全般的な評価をお願いしたということについては、科学的な評価結果に基づいて見直すということでありますので、個別のものについて、一応変更を前提として諮問したということで見直しということで、諮問をしています。
 現段階での見直しという意味においては、答申が出ておって、私どもとしては、評価に基づいた改正をするということですが、今の見直しという意味は、まさに具体的な改正の内容ということでありまして、今回はと畜場での健康牛のBSE検査の検査対象月齢を48か月齢を超えるものに変更するというのが今回の見直しの内容ではあります。
〇工藤委員 一斉にという条件が付いておりますけれども、例えば地方自治体によっては、この条件がなかったら見直しといったことは認められない等。そこら辺はきちんと横並びに、一斉にというところに準ずるのでしょうか。
〇道野室長 先ほど申し上げた75自治体のうちの70の自治体が見直す、もしくはその方針で手続を進めているということでありますけれども、これらの自治体の多くは、全国の地方自治体が一斉に見直すということを前提にして進めていらっしゃるということですので、厚生労働省サイドとしては、75自治体全てが7月1日に一斉に見直せるように引き続き調整をしていくという対応をすることにしております。
〇工藤委員 ありがとうございました。
〇岸分科会長 どうぞ。
〇河野委員 御説明ありがとうございました。2月の評価と4月の、前回、30か月齢以下のところから、その後、30か月齢のところで切るのはなかなか実質的に難しいということもあって、全頭検査、廃止にはなかなかインセンティブにはならないかなとは考えておりましたが、今回の月齢緩和に関しましては、実証データがありますし、それから実際行った対策を踏まえた結果があるということから、48か月齢以下という月齢緩和への評価、それから改めて示されました管理数値は理解できるところでございます。
 本当に消費者にとってみますと、青天の霹靂と思ったBSE発生でございますけれども、世界各国が対策を進めて、肉骨粉を使わない飼料規制とと畜時のSRM除去という2つの対策を丁寧に確実に行ってきた結果、発生は激減して、日本でも11年間発生がなく、このたび先ほど御紹介があったように、OIE総会で清浄国認定をされたということでございます。
 私がこの件に関して一番思うのは、この10年間の経緯が本当に逐次消費者とさらに生産者そして報道の方も含めてなのですけれども、そういったところに適切に情報提供されていればと改めて思っております。
 この間、先ほどリスコミの御説明もございましたけれども、10年間、リスクコミュニケーションをその都度やられてきましたけれども、肥育農家とか生産の現場にいらっしゃる方々への情報提供というのが余りされていなかったといいましょうか、国民に向けてはかなりリスクコミュニケーションをされたと思うのですけれども、なかなか生産の現場に評価、管理措置がしっかりとした形で伝わっていたのかなというところが気になります。
 行政当局の皆さんが、やはり胸を張って本気で現場へのアプローチを行ったのかというところも気になるところであります。
 地方自治体では、基本的に48か月齢以下をやめるかどうかに関して言いますと、消費者がどう受け取るかということをやはり一番心配されているのです。
 恐らく現場では、学術的根拠のない検査をすることへの抵抗もあったと思いますし、1頭数万円と言われている検査キットや人件費など、全頭検査にかかった費用というものを、別のものに振り向けてということも考えたと思いますけれども、私たち消費者のところでなかなかそのことに理解が行かなかったというところでありまして、今回、本当にしっかりと理解が進んで、7月1日以降、一斉に廃止ということになればとてもいいと思いますけれども、これまでかかった費用、牛が保菌するO157対策とか、生肉、生レバーなどの飲食による食中毒対策等、広く公衆衛生のほうに振り向けていただくという本当に私たちが心配しなければいけないのは何かというところにも、情報提供をしていただければなと思っております。
 食の安全に関しての社会的教育が不足しているということは、私も消費者の一人として非常に心配しているところでありまして、評価は科学的知見に基づくのですけれども、なかなか人の感情というのは、そこにうまく沿っていかないといいましょうか、何となく不安だとか、よく分からないから不安だとか、そういう形になってしまいます。その辺りのところをしっかり勘案していただいて、今後のリスクコミュニケーション、本当にしっかりした管理措置なのですけれども、努めていただければと思っています。
 消費者教育推進法というのが、昨年12月にできまして、消費者も応分にしっかり負担をする。保護されるだけではなくて、自分もしっかり学んで、自分の消費に責任を持つと、今、なっていますので、その辺りも自覚していければいいなと思っております。
 質問が2点、48か月齢以下をいわゆる検査対象から除外すると、実際の検査対象の牛というのはどのぐらいになるかということと、それから基本的には、今まで全頭検査で全部処理されていたので、やはり処理のためのガイドラインというものが作られていると思いますけれども、まだ全部を廃止というわけではないと思いますので、と畜場とか食肉処理場などの、現場に対する今後の方向性というのは、どう伝えていらっしゃるか、その辺りを教えてください。
〇岸分科会長 お願いします。
〇道野室長 御説明します。
 48か月齢を超える牛に検査対象を見直した場合でありますけれども、資料の34ページの上側のグラフになりますけれども、そこの下の部分に書いてございますが、23年度の月齢別のと畜頭数のグラフであります。48か月齢を超える牛というのは、全体の17.1%となります。これが48か月を超えると見直した場合の検査対象の割合とお考えいただければいいかと思います。
 それから、と畜場での分別管理ということであります。これにつきましては、既に4月1日の改正で、特に頭部についてSRMから除外されたということで、一部のと畜場、食肉処理施設では、既に管理をして出荷をしているところもあります。
 今回、先ほど申し上げたとおり48か月齢超という要素が加わると、3区分になるわけで。それを物理的に3区分するのか、それとも区分せずにと畜をして、個体を個体別にどの区分に当たるのかを、タグなどで確認していくという方法、それぞれのと畜場において、非常に48を超えるものが多いところもあれば、ほとんどいないところもありますので、分け方については、各現場で、現在、検討が進められているところであります。今後、対応状況について、以前もSRMの処理については、年2回もしくは年1回調査をしてきたわけでありますけれども、実情について、引き続き把握をして、適切に地方自治体で対応がとられていることを確認しつつ、そういった情報を発信していきたいと考えております。
〇岸分科会長 よろしゅうございますか。
 本日は、分科会と伝達性海面状脳症対策部会の合同会議でございます。
 本日、たまたま毛利部会長が御欠席ですので、もし伝達性海綿状脳症対策部会の先生方で、さらに意見がございましたら、毛利部会長の代わりという意味もございまして、お伺いしたく存じます。
 いかがでしょうか。
 山本委員、お願いいたします。
〇山本委員 それでは、代理といいますか、代表しているかどうかは分かりませんが、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 今回は、食品安全委員会によって、科学的に評価が行われているということからの科学的根拠に基づいた措置の改正というか、見直しということになります。
 そういうことで、48か月齢超への検査月齢の変更ということに関しましては、我々としては全く問題がないと考えておりますし、これまでの対策が全部なくなってしまうというわけではなくて、飼料規制でありますとか、サーベイランスでありますとか、そういった基本的な対策、それは今後も継続されるということと、それからコホートに関しましては、さらに48か月齢超の部分について、まだ継続的に見ていくということがありますので、その辺で確認・検証作業をとれるのではないかと考えております。
 全体的には、この形で進めていくのがよろしいのではないかなとは考えております。
 以上です。
〇岸分科会長 山本委員、ありがとうございました。
〇佐多委員 それでは1点だけ教えていただきたいのですけれども、48カ月に月齢を引き上げるということに関しては、全く異論はございません。先ほど、BSEの検査のところで、室長からスクリーニング検査が行われていると御発言があったわけですけれども、その言葉をサーベイランスとかに変える御予定はございませんかということで、要するに、スクリーニング検査ということでは実際的にはなっていないということがありますので、はっきりした意味が分かるように、サーベイランスに書いてもいいのではないかという気もいたしますので、その辺のお考えをいただきたいと思います。
〇道野室長 お答えします。まず、スクリーニング検査という言葉が、全頭検査でない以上、適当ではないのではないかという見方もございますし、ただ48カ月を超えるものについては、引き続きスクリーニングという意味合いは維持すると思います。言葉の使い方につきましては、日本国内もそうですけれども、やはり国際的に見たときにどうかということもありますので、農林水産省ともよく相談をした上でどのようにするかというのは検討させていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
〇岸分科会長 そのほかいかがでしょうか。
 古野委員、どうぞ。
〇古野委員 資料を見て分からないのが、7ページで食品安全委員会が作られた結論を得られた根拠の1番目と2番目の中身です。「一部の例外を除き」という文言で、この例外というのは、具体的にどんな例外かということを教えてください。2番目の「ほとんどが、48か月齢以上で検出」ですが、それで約2%で陽性になっているものの月齢はどんな分布になっているのですか。
 結論自体に私は大きな異論はありませんが、ここの漠然としたところが気になります。
〇岸分科会長 事務局のほうからお答えいただきます。
〇道野室長 私のほうで承知している内容についてお答えをして、もしも足りないところがあれば、先生方にお願いしたいと思います。発生確認最低月齢ということで、一部の例外、今回、評価対象5カ国というのは、日本プラス既に諮問している米国とカナダとフランスとオランダということであります。
 その中での一部の例外というのは、日本でも21か月齢だとか、23か月齢という発症例がありました。ただ、それについてはいずれも牛のプリオン遺伝子に組み換えたマウスへの感染実験で感染性が認められなかったという内容もあって、そのリスクについて、それを基に評価されているわけですけれども、一部の例外というのはそういった例のことです。感染性が確認できなかったけれども、陽性例となったもので、月齢の低いものがあったということだと受けとめております
 それから、EUにおけるBSE発生実績からの推定ということでありまして、これはヨーロッパ全体、それからもう一つはフランスのデータを基に、実際にBSE検査で陽性だった牛がどの月齢で認められたかということを評価されたものであります。数がフランスの場合、かなりありますので、そういった意味で信頼性が高いということで選択されたと理解しております。
 ただ、フランスにおいても、ヨーロッパにおいても、飼料規制というのは、2000年以降はトータルフィードバンということですけれども、その前に関しては、動物性タンパク質は反芻獣に与えないという経緯もありますので、恐らく48か月齢以下でBSEを発症した牛、検査陽性になった牛というのは、恐らくそういったものを含めたデータだったのではないかということも含めて整理されたのだと思います。
 したがって、BSE発生実績の中で、もう飼料規制が適切に行われているという状況下においては、基本的には48か月齢以上で検出されるということが検討され、整理されたものだと受けとめております。
〇古野委員 了解です。
〇岸分科会長 そのほかいかがでしょうか。
 それでは、本件、ほぼ意見も出尽くしたかとも思いますので、最後に私から少し発言させていただきます。
 私は、今回、飼料規制とSRM除去が適切に行われることを前提にして、と畜場におけるBSE対策の対象月齢を48か月を超えるということに見直しするということ。そのための措置法(の施行規則)の改正を7月1日からされるということで、そのことに関しましては妥当だと考えておりますし、また、地方自治体が一斉にこれまでの全頭検査からこの分科会の審議に基づきまして、エビデンスベーストの政策を国、自治体としてとっていかれるということについて、私も分科会長としても妥当だと思っているのですが、幾つかの非常に大事なことが今回のBSEに関しましては過去にあると思うのです。皆様はお忘れでないと思いますけれども、BSE対策の途中で、そのマネジメントといいますか、スクリーニングに携わった獣医さんが自殺されたということも覚えておられる委員もおられるかと思います。
 私は、そこを非常に重大に思っておりますのと、もう一つは、普段ですと、厚生労働省のパブコメは、この審議会の議論あるいは食品安全委員会の答申を後にされるのを少し前倒ししてされました。その資料の14~17ページ辺りを見ますと、地方自治体が議会がある時期に合わせてなされたということで、これも私も一定の理解をしているものでございます。
 ただし、仔細にパブリックコメントの中身を拝見しますと、かなりいろいろ考えさせられる面もございます。
 特に、私、1番は全体の意見、2番は地方自治体の全頭見直しに関する意見、3番目はそのほかの意見なのですが、例えばSRMの除去、生体検査といったリスク管理措置を今後とも確実に実施するようにということ。あるいは輸入規制に関しましては、また別途意見があります。特に原料産地表示については、外食、加工食品等も含めて適用することが必要なのではないかという意見もあるし、また米国産のいわゆる成長ホルモン剤の使用履歴などについても7件意見がございます。このようなパブコメがあったということと、私、パブリックヘルスを専門にしておりますので、また地方自治体の委員等も実際にしております。 そこでそういうことをいろいろ考えますと、BSE対策のこれまでの貴重な日本の歴史を踏まえまして、今後パブコメの扱いというものを、それをどうして重要に考えたほうがいいかということを少し申し上げたいと思うのですね。
 地方自治体と国の間で、もし少し対応が異なった経過があったとしますと、結局やはり国民に一番近いところにあるのがやはり自治体だと思います。
 ですから、人々のパブリックオピニオンといいますか、それとやはり乖離がしないということを自治体はかなり気にされると思いますので、今後もせっかくのこの審議会としては、貴重なパブコメを集めますので、(それぞれの)パブコメの中身につきまして、本日も実際に、報告事項で最後のところに案件の処理状況を報告としてあるのですが、ここに出されてありますのは、単に結果のまとめ「意見ありなし」だけでございます。
 私は、やはりこれでは審議会のメンバーとしては足りず、もう少し(具体的に)中身こそ重要なのではないかと思うのです。その辺につきまして、過去10年の(BSE対策の)歴史を考えますと、ぜひもう少し丁寧なパブリックコメントの取扱いをお願いしたいです。それが今後、厚生労働省と国民との間の一層の信頼感を、また自治体との対策を考えるうえでの齟齬をなくす上で非常に重要だと思います。
 この辺をぜひ今後、(改善を)お願いしたいと思っているところでございます。
 少し長くなりましたが、非常に歴史のある、またいろいろな私どもが学ぶべきことが多い件だと思いますので、改めて少し申し上げさせていただきました。
 私の発言も踏まえた上で、ほかにもし御意見がないようでしたら、分科会及び部会として、これで了承ということにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
〇岸分科会長 ありがとうございました。
 それでは、食品衛生分科会と伝達性海綿状脳症対策部会の合同会議につきまして、これで終了させていただきます。
 伝達性海綿状脳症対策部会の先生方、どうもありがとうございました。

(伝達性海綿状脳症対策部会員等退席)


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課 仲川(内線:2489)
電話: 03(5253)1111

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