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2013年9月30日 第3回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成25年9月30日(月)17:30〜20:00


○場所

厚生労働省 講堂


○出席者

【委員】

森嶌委員長 稲垣委員 桑島委員 曽根委員 竹内委員
田島委員 田代委員 藤原委員 宮田委員 森下委員
山本委員

【事務局】

原局長 (厚生労働省医政局)
神田審議官 (厚生労働省大臣官房)
成田審議官 (厚生労働省大臣官房)
新原審議官 (厚生労働省大臣官房)
宮嵜課長 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
土生課長 (厚生労働省医政局総務課)
佐原医療統括管理官 (厚生労働省医政局総務課)
一瀬課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
城課長 (厚生労働省医政局経済課)
赤川課長 (厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課)
河野治験推進室長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
稲川監視指導室長 (厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課)
近澤薬剤管理官 (厚生労働省保険局医療課)
中山企画官 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)
村田課長 (文部科学省高等教育局医学教育課)
板倉課長 (文部科学省研究振興局ライフサイエンス課)

○議題

1 中間とりまとめ(案)について
2 その他

○配布資料

議事次第 議事次第
座席表 座席表
資料1−1 委員名簿
資料1−2 ヒアリングチーム名簿
資料2 高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について(中間とりまとめ 案)
参考資料1 第2回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会議事録

○議事

○一瀬課長 第3回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会を始めます。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本検討委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。本日、花井委員から御欠席の御連絡を頂いております。

 配布資料の確認です。1枚紙で議事次第と配布資料を記載したものがありますが、それに沿いまして御確認ください。資料1-1「委員名簿」、資料1-2「検討委員名簿」、資料2「中間取りまとめ()」、参考資料1として前回会議議事録がございます。不足や落丁などがありましたら、事務局までお知らせください。

 これより議事に入りますので、審議の円滑な実施のため撮影はここまでとさせていただきます。カメラは御退室をお願いします。以降の議事進行につきましては、森嶌委員長にお願いいたします。

○森嶌委員長 本日はお忙しいところ、またかなり遅い時間で、うんと遅くならないことを望みますが、委員の皆様にはお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本検討委員会は今回の事案につきまして、その事実関係を可能な限り明らかにするということと、今後このような事態が起きないように、再発防止策について検討する、その2つのミッションをもって、8月に設置されております。これまでに2回の検討委員会を開催しました。後で申しますが、非公開のヒアリングを5回開催しておりますが、関係者からのヒアリングや、関係資料の検討をし、精査をしてきたところです。

 今回が検討委員会3回目ということですが、一番最初に大臣から9月末までに取りまとめをしてほしいとの御要請もありました。大臣の要請だから絶対ということではありませんが、当初の予定に従いまして、今回までに明らかになった事実関係及びそれを踏まえた再発防止の対応に関して、一応資料2として、中間的な取りまとめをしています。

 本日は資料2の中間的な取りまとめについて御議論を頂きまして、これを公表することにしたいと考えておりますので、是非本日取りまとめが終わりますように、御協力いただきたいと思います。

 本日の議論の進め方ですが、資料2は結構分量が多くなっています。ただ、これについても、いろいろな委員から、「もっとヒアリングしたことについて書き込むべきでは」というご意見がありましたけれども、できるだけ書き込んではありますが中間取りまとめをまとめるのに必要最小限度の内容に絞り込んだ結果、こういうことになっています。しかし結構分量がありますので、全てをまとめて議論するというのではなく、幾つかに分けて議論を進めたいと思っております。

 そこで、まず資料21ページ「はじめに」から、12ページまでについて、事務局から説明をしていただきまして、それについてコメントを頂き、更に次へ進みたいということでやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

○一瀬課長 資料21ページの第一「はじめに」を御覧ください。我が国の高血圧症の推定患者数は、おおよそ907万人と最も多い疾病の1つであります。高血圧症は、将来の虚血性心疾患や脳卒中発症のリスクを高めるものであり、そのリスクを下げるために、血圧を下げる薬物療法は重要な治療法の1つです。

 このような中、ノバルティスファーマ社の高血圧症治療薬、ディオバンの市販後大規模臨床研究について、その論文内容に疑義があったことから、世界的に権威ある医学雑誌から撤回されました。また、研究データの人為的な操作があったこと、ノバルティス社の社員が研究に関与していたにもかかわらず、ノバルティス社の社員であることを開示していなかったことが明らかになりました。

 今回の事案は、単なるデータ不正処理問題にとどまるものではなく、撤回された論文は日本高血圧学会作成の「高血圧治療ガイドライン」に引用されていることに加え、ノバルティス社がその論文を利用した広告を大々的に行っていたことから、事実と異なる情報が医療現場に広く周知され、ひいては高血圧治療に当たる医師の処方行動に大きな影響をもたらしたと考えられます。ディオバンを服用している患者や国民に不安を生じさせました。

 また、我が国発の医薬品を創出するために不可欠な、質の高い臨床研究を推進している中で、今回の事案によって我が国の臨床研究に対する信頼性は大きく損ねられ、国益の損失にもつながる重大な問題と言わざるを得ません。

 このような状況を踏まえ、厚生労働省は文部科学省とも協力の上、今回の事案について、その事実関係を可能な限り明らかにし、またその再発防止策について検討するため、本委員会を設置しました。ヒアリングや調査など、これまで明らかになった事実関係及びそれらを踏まえた対応と再発防止策を以下のとおり報告します。今後、本委員会は現時点で調査未了の関係大学の調査結果についても、精査、検討します。

3ページ、第二「事案の概要」です。ディオバンのようなARBは比較的新しい薬剤で、ディオバンは平成129月に承認されました。ディオバンはARBとしては2種類目に承認された薬剤で、現在我が国には7種類のARBが先発医薬品として販売されています。

 ディオバン承認後に、平成14年以降、東京慈恵会医科大学、千葉大学、滋賀医科大学、京都府立医科大学、名古屋大学などで、ディオバンと既存の高血圧症治療薬とを比較する臨床研究が、相次いで行われました。その結果、例えば東京慈恵会医科大学と京都府立医科大学の研究では、ディオバンは既存の高血圧症治療薬よりも脳卒中や狭心症の発症について抑制したとして、国際的な医学雑誌などに掲載されました。

 しかしながら、平成24年、論文の内容に疑義が指摘された結果、相次いで関係論文が撤回されました。また、ノバルティス社の元社員が、当時これら研究に大阪市立大学非常勤講師の肩書で関わっていたとの指摘を踏まえ、厚生労働省がノバルティス社や関係大学に調査などを指導しました。

7月末までに公表された調査結果において、京都府立医科大学は、「カルテ情報と論文作成に用いられた解析データ等を比較したところ、血圧値や狭心症等の合併症の発生数等のデータの操作が認められ、本臨床研究で得られた結論には誤りがあった可能性が高い」と発表しました。また、東京慈恵会医科大学は、「カルテ情報と論文作成に用いられた解析データ等を比較したところ、血圧値等のデータ操作が認められ、論文の正当性を判断することができず、信頼性を欠くものと言わざるを得ない」と発表しました。また、ノバルティス社は、「第三者による関係者への聴き取り調査を実施したが、元社員による意図的なデータ操作や改ざんを行ったことを示す証拠は発見できなかった」と発表しました。

5ページ、第三「現時点までの検討委員会の検討結果」の1「検討委員会における調査・ヒアリング実施方法及び結果」です。

(1)検討委員会の開催状況です。第1回は89日、第2回は92日に開催しました。

1回では、ノバルティス社、関係5大学及び大阪府立大学から、その時点の調査概要を御報告いただき、質疑応答などを行いました。第2回では、9月末までの調査やヒアリングの進め方を議論しました。また、ノバルティス社、京都府立医科大学、東京慈恵会医科大学から、今回の事案の企画立案から論文作成に至るまでの経緯や関係者などに関する御報告と質疑応答、今後の再発防止策の対応方策について、議論を行いました。

(2)9月末までの検討の進め方です。本委員会は、9月末を1つの目処に、調査結果を既に公表しているノバルティス社、京都府立医科大学、東京慈恵会医科大学を対象に、調査、ヒアリングを実施し、事実関係や研究に係る構造的欠陥を可能な限り明らかにし、また当面の再発防止策を取りまとめることにしました。

(3)ヒアリングの結果です。ヒアリングは人権に配慮し、非公開で弁護士同席を認め、実施しました。ヒアリングの内容については、後ほど改めて説明しますので割愛いたします。

7ページ、2「今回の事案が起こった背景、原因と問題点」です。調査・ヒアリングの結果からは、会社と大学との間で、説明に一部食い違いが見られますが、現時点での情報を基に、背景・原因・問題点などを整理しました。

(1)臨床研究の企画立案です。ディオバンが承認された当時、高血圧症治療薬の市場獲得競争は激しいものだったと考えられます。どの製薬企業も差別化につながる新たな科学的根拠を得ることができれば、販売競争を優位に進められると考えたことは、十分想定されます。一方、この時期は国内外での種々の大規模臨床研究が開始されていた時期でもあり、功績を上げるために、このような大規模研究を実施したいと考える研究者が現れることは十分にあり得ました。ノバルティス社は、同社から関係大学への奨学寄附金について、今回の研究事案の支援に用いられることを意図及び期待していたと公表資料に記載しています。大学の研究責任者は、「新たな主任教授として着任し、自らの講座立ち上げ当初であったことから、関係者間の結束を強化したいとの考え方に基づき実施した」と説明しています。

 しかし、なぜディオバンを用いる研究を行ったのかの特段の説明はなく、どのような医学的研究課題を解明するために研究を企画立案したのかは明示していません。医学的研究課題の解明に向けられたものとはいえない臨床研究は、本来必要のない臨床研究実施につながる可能性があり、特に被験者保護の観点から問題があります。また、本来の目的が曖昧な状況で研究を実施することにより、医学的研究以外の意図を有する者が関与する隙を与えた可能性があります。

8ページ、(2)臨床研究に対する製薬企業の関与です。ノバルティス社は、「一人の元社員が5つの医師主導の臨床研究に大幅に関与していたことが判明した」と公表しています。一方、「奨学寄附金は社長又は営業本部長の決裁で決定している。元社員の大学への労務提供は、ノバルティス社の営業関係者を通じて手配されている。元社員の大学への労務提供に係る交通費等はノバルティス社が支給している。元社員の上司と経営陣の一部は、元社員の研究への関与の程度について認識していた、ないしは認識して然るべきであった。ノバルティス社は奨学寄附金が今回の研究の支援に用いられることを意図及び期待していた。奨学寄附金が寄付された期間は、それぞれの研究の開始から関係論文の公表までの期間とほぼ同じであった」などの状況が、本委員会の調査及びノバルティス社公表の資料から明らかにされています。

 これらを総合的に判断しますと、元社員が今回の事案に深く関与していた実態が、ノバルティス社にとって最近になって判明したものとは言い難く、また、今回の事案は元社員一個人が関与していたというよりは、実態としてはノバルティス社として今回の事案に関与していたと判断すべきものです。

9ページ、(3)利益相反管理上の問題点です。ノバルティス社からの奨学寄附金は今回の研究の支援を意図したものであり、事実上ノバルティス社は、今回の研究のスポンサーとしての役割を果たしています。また、元社員の当初の所属部署は営業関係の管轄であるなどを踏まえると、ノバルティス社からの長期間にわたる多額の資金提供及び労務提供は、営業を含めた業務の一環として行われたものと考えられます。いずれにせよ、資金提供、労務提供、専門的知識の提供について、透明性が確保されていません。また、社員管理や部門間の情報共有、連携が不十分であり、企業統治が適切に機能していないと思われました。さらに、ノバルティス社は元社員の関与について、「大阪市立大学の肩書を使用していれば許されると思っていた」と述べていますが、同時期にスイス本社が関与した研究については、その公表論文において、適切に利益相反について言及されていることから、スイス本社は利益相反の管理に関する内外でのダブルスタンダードを黙認したか、あるいは日本法人に対するスイス法人の指示が適切でなかったことが考えられます。

 一方、大学においても利益相反の管理がずさんでした。元社員がノバルティス社の社員であることを認識していた可能性が極めて高いにもかかわらず、関連する論文に利益相反に関する適切な記載を行っていません。例えば2006年に、臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドラインが取りまとめられるなど、利益相反管理の重要性が提起された以降においてさえ、利益相反に関して不記載の論文が見受けられます。このほか、研究の途中段階で、プロトコールや患者同意説明に関する文書の変更がなされているにもかかわらず、倫理審査委員会の記録が見当たらず、適切に審議がなされたか不明です。また、利益相反の適切な開示を行うよう、倫理審査委員会が指摘した形跡も確認できません。

 その背景として、研究責任者が利益相反に関する適切な開示の必要性を認識していなかった可能性もありますが、統計解析担当者など、大規模臨床研究に必要な人材を外部からの労務提供に大きく依存するなど、臨床研究に際しての実施体制が脆弱であったことが影響を及ぼした可能性があると考えられました。いずれにせよ、大学及びノバルティス社双方において、利益相反状態を適切に把握し、管理する組織・機能がないと考えられました。

11ページ、(4)データを操作した者とその意図です。データの操作が行われていることは、大学の調査結果により判明しました。大学は、大学側研究者はデータ管理・統計解析業務の十分な知識がなかったこと及び元社員がデータ解析を行った証拠資料が存在することから、元社員によるデータ操作が疑われるといった趣旨を述べています。

これに対しノバルティス社は、社内調査に基づき「元社員がデータ操作に関与した証拠はない」、「会社として元社員がデータ操作を指示した形跡は見られない」と述べています。元社員は、「データ解析を行ったことは事実だが、データ管理には関わっておらず、データ操作などできる立場にはなかった」と述べています。

大学の主張は、大規模臨床研究の前提となる統計解析等の能力が自分たちに欠けていたにもかかわらず、臨床研究を行ったことを意味するものです。また、研究は研究責任者の管理下で行われるものであり、データ操作が行われたとすれば、この管理体制に何らかの問題があったためです。大学はデータ操作に関わっていなかったことについての積極的な説明責任を負っているにもかかわらず、十分な説明をしていません。

ノバルティス社は、業務の一環として今回の研究に関与していたと判断すべきこと、研究の結果が営業上裨益することを踏まえますと、積極的な説明責任があると言わざるを得ません。

本委員会では、現時点でデータの操作を誰が、何の目的で行ったのかを全て明らかにすることはできませんでしたが、今回のデータ操作により、結果に対する責任のみならず、我が国の医学界に対する信頼性が低下したことに対する責任は、ノバルティス社と関係大学の双方で負うべきと考えます。

12ページ、(5)臨床研究の質の確保及び被験者保護に関する問題点です。そのほか、以下の問題点が見られました。研究者について、被験者保護や利益相反などの臨床研究の基本的ルールに対する理解が十分であったか。研究組織に対する管理能力が十分であったか。そもそも科学者としての良心に従って研究を行っていたか。倫理審査委員会による審査が何ら歯止めとなっていない、その記録も残されていない。データ検証のための関係資料がすでに廃棄されていた。

○森嶌委員長 ありがとうございました。この後、個人に対するヒアリングの結果などについても、報告をしてもらいますが、今、読んでいただいたところは、それらも含めた検討委員会の評価、事実に対する判断です。12ページまでについて、御意見がございましたらおっしゃっていただきたいと思います。何かございますか。

○藤原委員 10ページですが、2006年の利益相反に関する記載の部分の第2パラグラフです。「2006年に臨床研究利益相反ポリシーがまとめられ」という記載があって、ここでは論文に関して利益相反が記載されていなかったことが指摘されているのですが、前回の2回の検討委員会でも申し上げましたが、平成15730日、臨床研究に関する倫理指針の第1版の中でも、プロトコール、インフォームド・コンセントの中に、臨床研究に係る資金源、起こり得る利害の衝突、研究者等の関連組織との関わりを記載しましょうということは、既に盛り込まれています。慈恵会医大は試験スタートが2001年ぐらいなので対象外なのですが、京都府立は2003年から2004年からスタートしているので、本来であれば、平成15年の臨床研究倫理指針に従って試験の実施計画書とかインフォームド・コンセントに、きちんと記載すべきであったのです。2006年というのは、大分後からになりますが、2003年、平成15年の時点あるいはヘルシンキ宣言は、誰も見ないと言われたら困りますが、2000年のエジンバラ改訂のときに利益相反の規定が入っているのです。それらを、追記したほうがいいのかなと思います。

○森嶌委員長 ここでは、論文のこと、それ以降というのは論文で、このほかのところがプロトコールや何かですが、追記するとすれば、ヘルシンキまで書くわけにはいきませんが、御提案がありましたら。

○藤原委員 後ろのほうにいってみないと、どのように入れたらいいかは分からないので。

○森嶌委員長 恐れ入りますが、御提言されましたので、できれば、この行のここからここに入れたらどうかという具体的な文言は、最後までの間にお考えいただければと思います。ほかにどうぞ。よろしいですか。また後で戻ってきますので、先へ進ませていただきます。

 検討委員会は、公開を原則としているのだけれども、個人を呼んでヒアリングをする場合には、非公開もあり得べしということにしていますが、私の所にマスコミの人から、「何で公開にしないのだ」という質問がありました。これに対して、私は、委員会は刑事裁判所のように、令状をもって強制的に人を呼ぶ権限はないし、個人の場合には、任意で来ていただくこと、協力してもらうということになるし、それよりもっと重要なことは、ヒアリングではその個人に関するプライバシーに関わる事実が出てくる可能性があり、その人のプライバシーという人権の保護ということもあるので、非公開にすることがある。しかし、そこで得られた事実関係については、必ず後で公表するということでお話をしています。

 そして、ヒアリングをした後に事実関係の概要を取りまとめて公表する前提で、5名の方に対して、いずれも非公開でヒアリングをしました。ほとんどの方は弁護士を同伴して来られまして、私どももその同席を事前に承知しています。その結果だと思いますが、全員がヒアリングに出席していただきました。私の感じでは、かなり自由に、フランクにこちらの質問に答えていただけたのではないかと思います。

 そして、先ほど申しましたように、ヒアリング終了後、個人情報保護法の観点などから公開できない事実関係を除きましては、事実関係の概要について公表します。それは資料2の別紙5として、29ページから44ページにまとめています。事務局から、ヒアリングの概要について説明をしてください。

○河野治験推進室長 資料229ページからに基づきまして、説明いたします。お一人目は、東京慈恵会医科大学の研究責任者に対するヒアリングの結果概要です。担当チームは、東京慈恵会医科大学担当チームにより、ヒアリングが行われています。

 研究実施のきっかけとして、講座主任教授に着任したばかりで、講座関係者が1つにまとまる企画があればと考え、このような企画を研究責任者が中心になって発案したとのことです。また、ディオバンを選んだ理由としては、他のARBを持つ製薬企業にも打診したけれども、ノバルティスファーマ社から承諾が得られたためとのことです。

 研究の実施体制については、この講座の関連の中で、PROBE法などの経験を有する方はいらっしゃらないということで、統計専門家については学外の人を探していたところ、ノバルティス社の営業関係者から紹介を受けたとのことです。このノバルティス社の元社員の方が参加する経緯については、当初、統計の関係の方をノバルティス社の営業関係者から紹介を受けていて、2人紹介されたけれども、自分が直接面接をした結果、不十分と考え、断ったと。3人目の方が、ノバルティス社の元社員の方だということです。当初紹介を受けたとき、その元社員の方は大阪市大の名刺を使い、ノバルティス社の社員であることは知らされなかったとのことです。そのため、大阪市大の方と認識していたけれども、1年ぐらいたった後に、その方からのメールの肩書がノバルティス社だったので、その方はノバルティス社の社員だと認識したとのことです。

30ページです。利益相反の関係については、途中からノバルティス社の社員であることが分かったのだけれども、その方が独立解析機関として解析を行うということであったため、利益相反の面で問題だとは考えなかったとのことです。

 研究資金については、この研究責任者の方からノバルティス社に寄付を依頼したことはないということです。寄附金がなくても、講座の資金で賄えるのではないかと考えたということです。

 研究内容についてです。プロトコールの作成について、プロトコール作成に当たり元社員に参加してもらったということです。また、PROBE法を選んだ理由としては、この大学における20数年前から当時の学長の指示により、ダブルブラインド法をやってはならないということになっていたため、PROBE法であれば対応できると考えたということです。倫理審査委員会における今回の事案に対する審議の状況です。大きな指摘はなく、文書で患者からの同意を取るようにという指摘があったということです。統計解析の実施については、学内の研究者に、大規模臨床研究の統計解析の経験者がいらっしゃらないので、学内では統計解析を行っていないということです。

31ページです。データ管理等の外部委託先について、この大学はデータを外部の委託先で集約することになっていますが、このデータ管理等の外部委託先の責任者について、研究責任者によると、「会ったこともないし面識もない。経費は大学のほうで支払った」ということです。

 その他です。学会発表について、発表原稿は自分で作成したけれども、スライドは作り慣れているノバルティス社の関係者に作成・提供してもらったことがあるということです。

32ページ、京都府立医科大学における研究責任者へのヒアリングの概要です。

研究実施のきっかけとしては、1つの目標に向かって関係者が1つにまとまる企画がほしいというようなこと、基礎研究をするための資金が必要だということを考えて、このような企画を研究責任者自らが発案したということです。自分からノバルティス社のプロダクトマネージャーに提案したところ、その日のうちに了承の返事があったということです。

ディオバンを選んだ理由については、海外で心不全の効能・効果を取得していたので選んだということです。

 研究の実施体制については、自分も医局員も、大規模の臨床研究は経験したことがなかったということです。また、実務については医局員に任せていて、進捗状況については、ほとんど報告を受けていない状況であったということです。

 元社員との関係については、研究責任者や医局員も含め、統計に詳しい者が学内にはいなかったということですので、元社員はノバルティス社の営業関係者であるプロダクトマネージャーから紹介を受けたということです。当初は大阪市立大学の非常勤講師として認識していたということと、名刺は数種類持っていたと記憶しているということでした。

33ページです。利益相反の問題意識は、自分自身、今、考えると希薄だったということを述べています。

この試験の実施に当たっての研究資金については、ほかの人の意見も聞いて、必要経費として年間3,000万ぐらいあれば研究費は賄うことができるだろうと考えたと。研究の期間は大体5年間程度必要だと認識していて、その旨をノバルティス社にはっきりと伝えたということです。関連病院に対して直接奨学寄附金を自分の講座から配分するということはしなかったけれども、コンピュータを配布したことはあるということです。

 研究の内容です。プロトコールの作成に当たり、元社員に相当部分を相談して作成したということです。

また、倫理審査委員会における審査においては、患者への説明文書、同意文書について、修辞上の指摘があったくらいだと思うということです。

 統計解析の実施については、統計解析の協力をお願いできる人は学内にはおらず、自分も医局員も統計解析ソフトを持っておらず、統計の知識もないので、統計解析は行っていないということです。

 データ管理等の外部委託先は、先ほどの慈恵会医科大学と同じですが、その委託先は元社員からの紹介で、外部委託先としてお願いしたということです。

34ページ、論文作成については、全ての図表に関して、元社員から提供を受けて作ったということです。また、事務局の医局員は、最近まで最終論文の解析データセットを持っていなかったということです。

 続いて、35ページです。外部データセンターの関係者に対するヒアリングの概要です。この外部データセンターというのは、京都府立医科大学、慈恵会医科大学が、今回の臨床研究の事案に関して、症例の割り付けやデータ集計などを行った外部の方ということです。

 業務と組織については、この外部データセンターの方は工学部を卒業後、製薬企業でMR、コンピュータ関係の業務を行った後に退職して、この事業を行っていて、ソフトウェアの開発などを行っていますが、会社組織ではなく、営業も含めて自分1人でやっているということです。

 ノバルティス社の元社員との関係としましては、各大学で統計解析に携わったとされる元社員の方というのは、自分が製薬企業の神戸営業所勤務時代の直属の上司だったということと、当該元社員に統計解析の仕方について最初に指導したのは自分だとおっしゃっています。元社員による各病院のサポートは、ノバルティス社の仕事として元社員が行っていたと自分は認識しているということです。元社員が大阪市立大学の非常勤講師をしているという話は、論文を見る前に聞いていたけれども、プロトコールに元社員の名前を出すのはまずいのではないかと指摘をした、あるいはサブ解析の結果だけを取り上げて広告に使うのはまずいのではないかという指摘をしたことがあるということでした。

36ページです。業務の受託です。データセンター業務を受託した経緯はどういうことかということです。元社員の方から東京慈恵会医科大学で行われる今回の臨床研究事案について、データセンター業務を外部委託しようとしたのだけれども、他の見積りが非常に高すぎたことから、委託費の妥当性についての相談を元社員から受けた。自分が見積りを出そうかということで、見積りを示したところ採択されたということです。

受託業務の内容は、大学からの依頼は元社員を経由して受けたと述べています。実際には、データクリーニングのようなデータマネジメントは行っておらず、自分はデータには全く触っていないということを述べています。

4番はデータ管理の進め方です。プロトコールの内容について、これは研究者が決めるものだし、データセンターの立場としては、自分は関与していないということを述べています。

業務の内容としては、割り付けのプログラム、あるいはWebで入力されたデータについて、EXCLEで取りまとめて、各大学の事務局に毎月送信していたということです。京都府立医科学に関しては、大学事務局からの指示に基づき、元社員にデータを送ったことはあると述べています。

37ページですが、この事案の関係者との関係です。外部受託した3大学について、東京慈恵会医科大学、京都府立医科大学については、この研究体制できちんと大規模臨床研究ができるのか心配したという言葉がありました。また、名古屋大学については、学内のデータ管理をはじめとする体制がしっかりしていたという印象があったということです。

京都府立医科大学については、2回目のデータ固定直前に、過去の症例も含めてデータ修正のWeb入力が急に増えたという印象があったということを述べています。

 その他として、血圧の薬の違いで心血管イベントに差が生じると考え、研究しようとすること自体おかしな話だと思ったということを述べていました。

 続いて、38ページです。統計解析に関与したとされるノバルティス社の元社員に対するヒアリングの概要です。

38ページの1番目です。その方の経歴は、工学部の応用化学を修了し、今回の臨床研究実施時期には学術企画部門に所属していて、当時この部署は営業の管轄下にあったということです。治験については、主に第2相、第3相試験に関わった経験があるけれども、大規模臨床試験の実施経験はなく、統計解析についてはドクターからの論文査読回答で数多く相談を受ける経験をしているということです。自分の統計に関する知識については、この依頼に繰り返し答えることで蓄積したものであって、誰かに統計学を教えてもらったということはないということでした。

2つの大学の臨床研究に関わることとなったきっかけは、ノバルティス社のプロダクトマネージャーに同行を求められて、研究者を支援してほしいという依頼があったことがきっかけだそうです。東京慈恵会医科大学では、研究責任者にノバルティス社の名刺を渡したということで、京都府立医科大学に関しては、ノバルティス社の社員ということで知り合いだったため、名刺は改めて渡していないということを述べています。

 臨床研究への関与の実態です。39ページです。慈恵会医科大学については、手順書、委員会の運営規定といったものがなく、しっかりした研究というよりは、基本的には自主研究というレベルだったなと思っているということです。依頼があれば、資料の作成も行ったそうです。大学が営業関係者に相談をし、結果的に自分を介して、元同僚が個人でやっていたデータセンターを東京慈恵会医科大学へ紹介したという経緯についても述べています。京都府立医科大学についても、やはり計画性に不安を覚えたが、同じ外部データセンター関係者を自分から紹介したと述べています。

 両大学におけるデータの管理について、元社員の方は、研究の終了時に各大学の事務局で作成された保管用のデータ2部のうち、副本として納められたCD-Rを預り、保持していたということです。その副本は、後に返却していること、このデータに直接アクセスする権限はなかったと述べています。

 東京慈会医科大学あるいは京都府立医科大学における最終解析データの作成については、副本について研究者からの依頼に応じて論文作成用に解析を行ったと述べています。解析については、自分のパソコンで行ったということです。こうした支援については、全て1人で対応していて、会社関係者は携わらせていないということでした。

40ページです。東京慈恵会医科大学では、自分が終了時点で作成し、研究者に示したカプランマイヤー曲線とは計算方法も違うものが論文になっていたということで、自分以外に研究者を含めた解析施行者が存在するのではないかということを述べていました。いずれにしろ、研究者から依頼されたからその作業だけを行っていて、データに関して自分が取り扱って改ざんしたことは一切ないと。また、データは外部データセンター関係者から直接はもらっていないということを述べています。

 臨床研究支援とノバルティス社との関係については、会社から業務の出張許可も得ているし、費用も会社が出しているし、定期的なミーティングで上司にも報告していて、会社からの指示と認識している。会社への報告書も提出したけれども、細かいことまでは記載していないということのようです。

 論文作成への関与の部分についてです。まず、東京慈恵会医科大学については、研究者からの依頼を受けて、カプライマイヤー曲線とか、様々な対応をしているということのようです。論文にはそれと異なるものが使用されていて、その後の論文作成内容について自分は承知していないということのようです。論文作成段階になって独立した解析機関が必要だということだがどうしたらいいかと相談されたけれども、それは最初からしておくべきもので、この時点では難しいということを述べたということです。そのほか、大阪市立大学と私の名前が無断で掲載されたことについて、苦情を申し入れたということです。

41ページです。基本的には、何かあればサポートする立場なので、研究者が具体的に困っていると依頼を受ければ、なりゆきでデータの解析もやってあげるしかなかったのだ、というようなことをおっしゃっていました。

 その他として、奨学寄附金が各大学の講座に支払われていることについては、認識はしていたけれども、詳細は承知しておらず、自分から要請することはなかったということです。

大学の非常勤講師については、20021月に大阪市立大学の関係者から依頼を受けて、委嘱を受けたというこです。大学院生に、1回ぐらい講演をしただけだということです。その後、いくつかの大学での客員講師、あるいは非常勤講師の経験があると述べています。

 会社への説明については、今回の件の関与を否定しているかのごとく会社は発表しているけれども、今回の問題が指摘された当初からノバルティス社に対して、各大学の研究にこのような支援を行ってきたということは説明してきたということです。

 ほかの大学への関与については、プロダクトマネージャーの依頼に基づくものが、東京慈恵会医科大学、京都府立医科大学、千葉大学もあったということ。滋賀医科大学について、研究者と接触したことがあるといっても、研究に携わったことはなく、同僚が対応していたということです。名古屋大学については、別の営業関係者から依頼があって、上司に会って、対応したということです。

42ページです。当時マーケティング部門を統括していた元社員に対するヒアリングの概要です。

この方の経歴ですが、2000年からディオバンのマーケティングチームを含むマーケティング部門の統括責任者となったということです。年間に1,000億円の売上げを目指す計画について、自分が組織の中心となって企画したということです。

 各大学に対する研究支援と奨学寄附金の状況についてです。研究責任者からの提案を起点に開始したということです。自分の部下のプロダクトマネージャーから聞いて、許される範囲で支援をする方向で社内で合意されたということです。統計解析に関与した元社員が所属する学術部の通常業務として、この方に支援を要請したこともあるということです。プロトコール、中間解析の助言をした程度の認識で、元社員に会社業務として出張費等を支出したこともあるということです。

43ページです。元社員の方が非常勤講師の肩書があったということは、20073月の論文発表時に知った。論文に社員の名前が載っていたので、非常に驚いたと。大丈夫なのか誰かに聞いたが、大丈夫だという説明を受けた。誰がそのように言ったのかは覚えていないということでした。

 奨学寄附金については、自分の部下のディオバンのチームの企画立案で、この金額は会社としても多額の部類と認識している。本部長、又は社長まで決裁をしていて、奨学寄附金の予算は販売管理費若しくは一般管理費で行っていたということです。大学での研究に使うのだろうという期待はありましたということです。

 京都府立医科大学に対する支援については、研究責任者の要請に基づき支援をしているということ、同じプロダクトマネージャーから話を聞いているということ、学術部の業務として支援しているということを述べています。また、本件については医師主導の研究であって、そこの元社員の方が統計解析を自ら行うことは想定外であったということを述べております。当然、大学側に実施体制があって、大学が行うものと認識していたということです。また、奨学寄附金の額も多く期間も長いということですが、決裁は自分もしていて、更に上の人にも回しているけれども、なぜこの額が妥当になったのか、詳細はよく分からないということでした。

データ管理等の外部委託先のことは、自分も知らないということです。

広告・宣伝についてですが、心血管のイベントを有意に抑えたという今回のデータを素直に受け止め、結果については全く疑いを持たなかったということ、広告・宣伝に際してはプロモーションコードに触れないか確認したし、広告に関する社内委員会でも確認を得たということです。

 次のページです。本論文が発表された時点で、営業本部からは独立したサイエンティフィックアフェアーズ本部が発足していて、学術部はこの本部に所属し、退社するまでその状況は変わっていないということを述べています。

○森嶌委員長 ありがとうございました。先ほどの御説明も含めて、ただいまの御説明について何か御意見はありますか。

○藤原委員 29ページの「研究実施体制」の所で、「ノ社の営業関係者」というのが出てきて、以降も「ノ社の営業関係者であるプロダクトマネージャー」とか、一番最後のほうは、「ノ社のプロダクトマネージャー(B)」とか、単に「プロダクトマネージャー」という記載があるのですが、同一人物であれば同じような記載にしておいたほうがいいと思います。

○森嶌委員長 事務局、いかがですか。

○河野治験推進室長 御指摘を踏まえて修正させていただきます。

○森嶌委員長 私が聞いた限りでは、同じ人の場合もあるけれども、違う人もいましたね。ですから、違う人の場合には違う人であることが分かるようにして下さい。多くは同じ人ですけれども。

○藤原委員 42ページの「A氏の経歴」で、「ディオバンのマーケティングチームを含むマーケティング部門の統括責任者となった。その後、営業本部、社長補佐などを経て」と書いてあって、その当時のノバルティス社についてよく分からないのですが、マーケティング部門と営業部門というのは、別の組織だったかどうかを踏まえて、先ほどの29ページのノ社の営業関係者なのか、マーケティングと営業が同じなのか違うのか判然としなかったのですが、正確な記載にしていただきたい。

○河野治験推進室長 御指摘を踏まえ、分かりやすい表現に替えさせていただきたい思います。

○森嶌委員長 これも、営業部門の中に学術何とかがあったり、それとマーケティングというのは、本当のいわゆる営業と、それから、全体の営業の中に本当のビジネスの部門と、学術関係の部門の両方があって、この人の場合には、そのうちのビジネスの部門だけなのか、あのとき聞いていて大体そんな感じがしているのですが、きちんと峻別して書くようにして下さい。ただ、名称は漠然としていたようです。ほかにどうですか。

○曽根委員 慈恵医大責任者のヒアリング、それから京都府立医大責任者のヒアリング情報から、慈恵医大の場合は、研究資金として寄附金がなくても講座の資金で賄えるのではないかと考え、非常に少ない額で大規模臨床試験が可能という理解、それから、京都府立医大は3億円以上の寄附金をスポンサーから資金提供してもらっているわけですが、3,000万円位しか使っていないとの説明です。12ページの「臨床研究の質の確保」という点は当然、被験者保護に関する問題点と共通します。そこに1つ項目として、「多額の研究資金が提供されていたにもかかわらず、一部しか使われなかった」という記載を追加すべきであると提案します。

○森嶌委員長 恐れ入ります。もう一度、こういう記載をしたほうがいいというのはどこですか。

○曽根委員 12ページの(5)の部分です。多額の研究資金が提供されているにもかかわらず、研究責任者は臨床研究の質の確保に向けた形での使途が不適切であったということを問題点の1つとして加えていただけたらと思います。

○森嶌委員長 今日の最後に変更すべき所は変更いたします。それから、藤原委員の先ほどの10ページの所、これは私は素人なのですが、例えば「一方、大学側においても」の所に、具体的な言葉はまだ詰めていませんが、我が国において、何年頃から既に導入されていたというか問題になっていた利益相反関係という考え方が入っていたけれども、「利益相反関係の管理においても」というのをここに入れるのはどうでしょうか。特に2行目からは、この研究責任者の話になって、そして、そのあと「例えば」という所は、論文の話になってくるものですから、先ほどの藤原委員が指摘された、一般的な話がなかなか入りにくいのです。そこで、「一方」の所の、大学側で、何年頃には利益相反という考え方が我が国には入っていたのではないか、それにもかかわらず、利益相反の管理に関する対応が杜撰であったというところに、利益相反がどれぐらいのときに導入されていたとか、そういう話があったのだということを、ここへ挿入するのはどうでしょうか。

○藤原委員 そこでいいと思います。倫理審査委員会の問題ということで、それが発生しているわけですから。

○森嶌委員長 具体的な文言については、またあとで考えますが。そこですと、言い方はともかく、比較的短い文章で、しかも全体的な話として、ここで押さえておくということになりますので、そうさせていただきたいと思います。

 先ほどの12ページについては、またできれば文章を頂きたいと思いますが、お話は分かりました。

○山本委員 43ページの3行目に「論文に社員の名前が載っていたので大変驚いた」とあるのですが、この方の名前が出るということが利益相反の問題があると認識されていたという、そういうことを意味しているのでしょうか。

○曽根委員 それを今、質問しようと思っていたのです。いわゆる利益相反の定義は、企業が使う法曹界での利益相反の用語と、学術関係・研究者が使う利益相反とは全くと言っていいほど意味合いが違います。今の御質問ですが、「論文に社員の名前が載っていたので驚いた」というのは、研究の信頼性という観点から疑問であったと思います。

○桑島委員 11ページ、(4)の上から5行目で、「大学側から、データ解析を行った証拠資料が存在することから、その者によるデータ操作が疑われるといった趣旨を述べている」とあって、ヒアリングでもそのようなものを出したと思うのですが、その文章が1行も載っていないのです。どこに出したのかさっぱり分からないのです。京都府立医科大学では出したと思うのです。ですから、その文章を出したほうがいいと思います。

○森嶌委員長 ちょっとよく分かりませんでした。すみません。

○桑島委員 11ページの上から5行目に「元社員がデータ解析を行った証拠資料が存在する」と書いてありますね。

○森嶌委員長 上から5行目ですか。これは最初のときのヒアリングというか、最初のときの大学側の。

○桑島委員 大学側も同じように言っているのか、それとも社員の結果を受けて書いているのか、よく分からないのです。慈恵医大なら慈恵医大がこういう証拠を出したのか、ヒアリングでも出したのか。

○曽根委員 これは、京都府立医大がそこまでのデータを出したという発言ではないと思いますが。

○森嶌委員長 大学側では、そういうことを。

○曽根委員 趣旨を述べているということです。要するに京都府立医大、慈恵医大、会社側と元社員という、大きく分けて4者の発言内容がそれぞれが食い違っています。恣意的な操作があったデータ解析を誰がしたかという点の発言が違っているわけです。あくまで述べているという趣旨の記載です。

○森嶌委員長 これは最初のときの公開の席上で、大学側から来た方が、大学の内部的な調査によると、データ解析をした証拠資料が存在するが、そのデータ解析の資料によると、元社員のデータ操作が疑われるというような、そういう趣旨のことを述べているのですが、それでは、それについてどんな証拠があるのかということについて、こちら側で、それについて資料を出してくださいということを言っているのですが、少なくとも、私の所にはその資料はまだ提出されておりません。少なくとも、大学はここに書いてあるように、大学側は元社員のデータ操作が疑われるという趣旨を述べているのですが、しかし、そういう大学側の持っている証拠というのが何かというのは、委員会には出ていません。

○桑島委員 ヒアリングのときに提出した資料はありますよね。

○森嶌委員長 はい。

○桑島委員 それはありますよね。

○森嶌委員長 今回のヒアリングではなくて、もう少し前に公開の場でやったときに、大学側が来られましたね。そのときに大学側が出された書類の中にそういうふうに書いてあるということです。

○桑島委員 そういうことも含めた意味ですか。

○森嶌委員長 そうです。大学がそういう趣旨を述べています。

○桑島委員 では、証拠書類を出したということですか。

○森嶌委員長 証拠書類ではなくて、そういう証拠があるという書類を出しています。証拠書類ではなくて、証拠資料が存在するという、そういう書類を出されたということです。ほかにいかがでしょうか。

○宮田委員 先ほど曽根委員がおっしゃったことに関連するのですが、各大学の調査レポートに書いてありますが、データセンターを管理する仕組みがなかった。12ページの(5)で、臨床研究の質と公正性を確保するための体制整備が十分ではなかったということは記載しておいたほうがいいのではないかと思います。最初の○に関連することが述べられていますが、重複などに配慮した上で書いていただきたいと思います。

○森嶌委員長 対応・対策の所で出てきますが、きちんと書いておくということですね。

○河野治験推進室長 今の御指摘については、10ページの一番下、「いずれにせよ」という所ですが、「大学及びノバルティス社双方において、利益相反状態を適切に把握し、管理する組織・機能がないと考えられた」という記載があります。

○宮田委員 それに相当する所はそうですが、私が言ったのは、利益相反だけではなく、臨床研究の質と公正性を担保する組織・体制がなかったということです。それを是非(5)に付け加えていただきたいと思います。

○森嶌委員長 ですから、先ほど曽根先生が言われた12ページの所に書き込んでおく。利益相反の問題というか、むしろ、質の問題、質を確保するための仕組みです。

○河野治験推進室長 了解しました。御指摘を踏まえて記載します。

○藤原委員 簡単な誤字等です。37ページの5の上から3つ目の○は何もないので、○の削除をお願いします。それから、40ページの上から2行目の「カプランマイヤー生理曲線」は、普通は「生存曲線」という表現があるのですが、余り使いませんし、下に「カプランマイヤー曲線」とあるので、これを使うといいのではないかと思います。

○森嶌委員長 私は専門家ではないので。どうですか。

○河野治験推進室長 御指摘をありがとうございます。修正いたします。

○森嶌委員長 「生理」というのは消すのですね、はい。それでは、先へ進んでもよろしいですか。それでは次の「対策」のほうへ進ませていただきます。第33の「対応が必要な事実関係と再発防止策」に移ります。13ページから19ページです。事務局、よろしくお願いします。

○一瀬課長 13ページの3「対応が必要な事実関係と再発防止策」を御覧ください。当面の再発防止策として取りまとめました。

まず、(1)信頼回復のための法制度の必要性です。当委員会では、研究の質の担保、被験者保護、研究機関と製薬企業の利益相反管理等の観点から、法制度等の必要性についても検討を行いました。

 現在、我が国では、治験については薬事法に基づき、臨床試験の実施に関する基準、いわゆるGCPの遵守を求めておりますが、治験以外の臨床研究については、薬事法の対象とされず、厚生労働大臣告示の臨床研究倫理指針の遵守を求めるのみです。指針に違反した場合の罰則規定は設けられていません。

 欧米では、臨床研究の中でも、未承認の医薬品を用いた臨床研究については、治験であるか否かを問わず、GCPの遵守を求めているものと比較しますと、我が国での臨床研究の質の担保、被験者保護等に対する現状の法令の位置付けは、臨床研究の研究者に対する拘束力として脆弱です。また、米国の研究公正局や被験者保護局を参考にしつつ、臨床研究実施機関等に対する公的な監視機能の構築や、指針に違反した者を公表してはどうかといった考え方もあります。

 その一方で、臨床研究に対する規制を厳しくした場合の影響についても十分に考慮する必要があります。例えば、全ての臨床研究にGCPの遵守を求めますと、臨床研究実施機関が負担する人件費などのコストは従来以上のものとなり、我が国に必要な臨床研究が実施できなくなるおそれがあります。実際、過去に欧州によってGCPの遵守を新たに求めたところ、遵守を求める前に比べて臨床研究実施件数が減少したとの報告があります。

 また、臨床研究に対する規制の仕組みについては欧米間でも異なっています。米国では新薬の臨床研究実施に際し、治験であるか否かにかかわらず、試験責任者が米国食品医薬局に対し、必要書類とともにあらかじめ届出を行わせる制度、いわゆるIND制度としています。

 欧州では、一般にIND制度に該当する仕組みのほかに、臨床研究全般を包括的に規制する法律が存在します。例えば、今回の事案は、ディオバンの薬事法上の承認後に実施された臨床研究であり、米国では、IND制度の対象外と見られ、仮に我が国で臨床研究を法的に規制するとした場合、どのような仕組みが適切かの検討も必要です。臨床研究にGCPの遵守を求めること、臨床研究を実施する者に対する法的拘束力を確保すること、公的な監視機能を新たに構築することは、臨床研究の質の担保や被験者保護の観点からは有効と考えられますが、臨床研究の実施機関に対する影響を考慮した上で、更に検討をする必要があります。なお、我が国の臨床研究に対する信頼回復のためにも早急な対応が必要であり、そのための法制度に係る検討について、国は来年の秋を目処に検討を進めるべきです。また、仮にIND制度や新たな法的拘束力を設けることが適切であると判断した場合であっても、臨床研究の実施機関における準備期間を十分設けることや、規制により生じる費用の確保についても国として十分に配慮する必要があります。

15ページ(2)臨床研究の質の確保と被験者保護、○1倫理審査委員会の機能強化及び透明性確保について。本来、倫理審査委員会は、倫理的・科学的観点から、個別研究計画の妥当性を検証し、被験者保護を担う重要な機関ですが、今回の事案については、各大学の倫理審査委員会が何ら歯止めとなった形跡が見当たらず、その記録も十分保存されていませんでした。今回の事案を踏まえ、倫理審査委員会を設置する全ての機関においては、対応マニュアルの整備や、必要な知識経験を有する人員が確保されているかなど、倫理審査委員会として必要な体制を有しているか早急に点検すべきです。

 また、倫理審査委員会の更なる機能強化及び独立性確保を図るため、関係者は以下の方策について検討するべきです。国は、他の模範となるような倫理審査委員会の認定などを通じ、倫理審査委員会の全般的な機能の向上を図ること。研究機関は、倫理審査委員会の委員構成として、外部有識者を確保するとともに、審査に当たり、外部有識者を参加させること。研究機関は、他の研究機関と共同で設置した共同倫理審査委員会や、上述の認定倫理審査委員会を活用すること。これらを通じ、倫理審査委員会の集約化を図ること。各研究機関において、利益相反委員会を設置している場合には、倫理審査委員会及び当該利益相反委員会の間で、連携協力を図ること。また、倫理審査委員会及び利益相反委員会は、個別の研究における利益相反の状況を把握し、必要に応じ研究実施体制の第三者性確保を求めるなど、情報開示以外の適切な対応についても講じること。国は、公的な補助を行う際に、今後見直される臨床研究倫理指針について、その遵守を強く求めること。

16ページ○2研究責任者の責務の明確化と教育・研修の徹底です。臨床研究を行う全ての者は、今回の事案を他山の石とし、自らが臨床研究を志した初心を思い返し、また科学者としての良心に従って臨床研究を行うとともに、自らの研究を通じて、患者により良い治療手段を提供するという、本来の目的を自覚しながら臨床研究に当たるべきです。

 国は、臨床研究責任者及び実施機関の長の責務を明確化するとともに、その周知徹底を図るべきです。これまでも臨床研究実施機関の長に対しては、研究に携わる者への教育・研修の機会確保を求めるとともに、研究に携わる者は必要な教育・研修を受けるべきことを求めていますが、今後は更に教育・研修の内容、頻度等について明確化し、教育・研修の徹底を図るべきです。また、大学における医学教育等の中でも、臨床研究の必要性及び配慮すべき倫理性・安全性確保など、臨床研究実施に当たり必要な事項について、学生等への教育機会を適切に設けるべきです。

17ページ○3データ改ざん防止体制の構築です。臨床研究の質の確保の観点から、臨床研究の実施機関は、以下の諸事項についての対応を十分検討すべきです。担当者が内部・外部の者であるかにかかわらず、特定の者に統計解析等の重要業務が偏在することのないよう配慮すること。また、研究チーム内で十分な議論やチェックができるような透明性確保に配慮すること。データ管理センターなど、研究チームとは別途の第三者的組織でデータマネジメントを専属で行う組織を設けるなど、データ管理を適切に行うこと。倫理審査委員会等における審査に際しては、臨床研究開始前に、個々の臨床研究の実施体制についても十分確認し、利益相反上の問題だけでなく、臨床研究の質の確保の観点からも実施体制の妥当性について検討すること。

 また、国は臨床研究実施機関が必要な人材を確保できるよう、臨床研究に係る人材の育成に一層努めるべきです。特に臨床研究中核病院など、臨床研究の実施基盤整備・拠点化を適切に進め、当該病院を中心とした関連医療機関との連携を通じ、臨床研究の質の向上や人材育成を推進していくべきです。

 ○4臨床研究関連資料の保管義務です。国は、臨床研究関連資料の保管責任者を明確化するとともに、保管すべき資料の種類及び保管年数についても明確化し、関係者にその遵守を求めるべきです。また、研究者の異動や退職があることから、異動等に伴い、臨床研究関連資料が移管・廃棄されることのないよう、研究機関においては、このような場合の資料を保管管理する体制、ルールをあらかじめ決めておくべきです。

18ページの(3)研究機関と製薬企業の利益相反の管理体制及び製薬企業のガバナンス。○1研究機関と製薬企業間の透明性確保。今後の製薬企業からの奨学寄附金や労務提供の在り方に関し、奨学寄附金や労務提供を一律に廃止することは困難なことから、研究機関及び学会等の学術団体は、日本医学会が平成23年に公表した「医学研究のCOIマネージメント」に係るガイドラインの資料を十分に理解し適切に対応すべきです。また製薬企業は、その奨学寄附金等の資金提供及び労務や専門的知識の提供を行う場合、利益相反管理の観点から、以下の点について対応すべきです。

 医療用医薬品の取引に付随する寄付についての考え方を定めた「医療用医薬品製造販売業公正競争規約」を遵守すること。日本製薬工業協会が公表した「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」を早急に実施し、奨学寄附金を含めた学術研究助成費等の個別状況を公開すること。また、当ガイドラインにおいては、製薬企業の労務提供等に関する事項が含まれていないことから、これらに関する行動指針を策定し、透明性を図ること。臨床研究の実施機関に対して資金提供を実施する場合、可能な限り委託契約に基づく資金提供を検討すること。奨学寄附金を寄付する場合は、学術研究や教育の充実発展との本来の趣旨に沿うよう、講座単位ではなく、可能な限り学部単位又は大学単位で行うこと。奨学寄附金等の資金提供又は労務提供等に当たっては、営業部門から独立した組織により、利益相反上の問題がないかについて十分確認の上、決定すること。また、奨学寄附を行うに至った経緯など、企画立案から意思決定に至るまでの記録を作成し保管すること。国及び臨床研究の実施機関は、製薬企業の上記取組に対し、可能な限り協力すべきです。

 ○2製薬企業のガバナンスの徹底です。製薬企業は社員・組織に対するガバナンスが十分機能しているか早急に点検し、必要に応じて適切な措置を講ずるべきです。特に利益相反の観点からは、日頃から上司が部下の行動を十分把握できているか、組織間の連携が適切になされているか、内部告発・公益通報などの受付窓口が設置され機能しているかなどについて検証すべきです。また、社内に営業部門とは独立した部署として、利益相反に関する事項を把握し、必要に応じ、改善を指示する部署の設置についても検討すべきです。

○森嶌委員長 この委員会では、事実解明にほとんど力を注いでおりまして、事実解明の過程でこういうことが足りないということは、少なくとも私などは認識いたしましたが、「対策」ということで、これで足りるのかどうかということは必ずしもまだ十分に検討しておりません。これはこの後申しますが、今後検討すべきとは思います。今の説明を受けた限りで、何か御意見はありますか。

○森下委員 15ページの(2)「臨床研究の質の確保と被験者保護」の○1の所で、2段落目の5行目で「今回の事案を踏まえ、倫理審査委員会を設置する全ての機関においては、対応マニュアルの整備や、必要な知識経験を有する人員が確保されているかなど」という形で記載していただいているのですが、その「対応マニュアル」という言葉の使い方が少し微妙かなと思っていまして、むしろ、その人員に求められる役割の明確化というか、この対応マニュアルを作ることで、審査が画一的になってはよくないと考えますので、少し表現の変更を考えていただけたらと思いました。

○森嶌委員長 私の悪い癖で、御提案された方に宿題を出しますが、森下委員のほうでもお考えいただければと思います。

○森下委員 分かりました。

○田代委員 表現として仕方がないのかもしれませんが、1314ページです。先ほど宮田委員から臨床試験の公正性確保について問題があったことを特記すべきだというご指摘がありました。私もそう思うのですが、特にモニタリングやICH-GCPというのは、医薬品の臨床試験の話ですが、それが臨床研究全般の話とごちゃごちゃになっているところがあります。おそらく、報告書としては「臨床研究」という言葉で統一したいということだと思いますが、例えば14ページの真ん中の「また、臨床研究に対する規制の仕組みについて」という所に記載のIND制度なども臨床試験の話ですし、「また、欧州では」という所も「一般にIND制度に該当する仕組みのほかに臨床研究全般を包括的に規制する法律が存在する」という言い方になっていますが、これもやはり「医薬品の臨床研究」、あるいは本来であれば「臨床試験」と言うべきだと思います。この辺りの区分けが曖昧になってしまうと、特に日本の場合は「臨床研究に関する倫理指針」がカバーしている領域が医薬品の臨床試験だけではなく、看護やリハビリテーションなど非常に雑多な研究が全部そこに入ってくるので、問題ではないかと思います。これらの研究に対して全てモニタリングを課すことは世界的にもあり得ないことなので、その辺りの区分けがうまく書けないのかと思うわけです。

 というのも、被験者保護の仕組みは全ての臨床研究い必要ですが、臨床試験で実施する、データの信頼性確保のための様々な方策は、全ての臨床研究では必要ないと思うからです。事実問題としてもこの辺りの区分けについて、外国ではあらゆる臨床研究にこういう法制度がかかっていると解すると後々問題にもなるのではないでしょうか。ですから、例えば「新薬の臨床研究」であれば「臨床試験」のことだと分かりますが、「臨床研究」という言葉ですと、日本語では非常に範囲が広くなってしまうので、少し限定を掛けるような形で書いていただければと思います。

○森嶌委員長 はい。私はそのほうの専門家でないので、事務局、何かありますか。確かに「新薬の」と書いてある所と「臨床研究」というのとあるのですが、たった今ここはこう書き分けるというのではなくても、今、田代委員が御指摘のようなオーバーレギュレーションが起きないように書き分けられそうですか。

○河野治験推進室長 御指摘のところについては、14ページの2段落目の部分だと思いますが、基本的に、ここは欧米での規制の状況をを書いているので、更に分かりやすくということであれば、その工夫はしたいと思っています。

 今後の日本の規制の在り方については、今、田代先生がおっしゃっていただいたとおりに、全部に網を掛けるのがいいのか、あるいは新薬、新医療機器に限定を掛けたほうがいいのかなど、今後、そういうことをよく考えた上で法制度を作っていく必要があるのではないかというようなまとめ方になっていますので、このような記載になっていますが、さらに、こういう記載がいいという御提案がありましたら教えていただければと思っております。

○森嶌委員長 普通に読むと、このINDというのは新薬の話なのですが、その後にいくと「臨床研究全般を包括的に規制する法律が存在する」ということがあり、新薬の規制はあるのだけれども、そうでなくてもっと広いのもあるよという話で、最後のほうに「仮に我が国で臨床研究を法的に規制するとした場合、どのような仕組みが適切なのか」と出てくるのですが、つまり、薬だけにするのか、それとももっと広くするのか。先ほど田代委員がおっしゃったように医療というか看護のほうまでやるのか。それについて適切な検討も必要であるというので、必ずしも新薬の話だけではないというような書き方です。素直に読むとそうだと私は思うのです。田代委員、いかがですか。

○田代委員 そうですね。新薬というよりは、私の理解では、医薬品の臨床試験です。

○森嶌委員長 ええ。

○田代委員 医薬品の臨床試験は、新薬以外のものでも薬事制度の中に含む形でほかの国では行われていて、日本の場合は治験だけが入っているので、そこは当然カバーしていないと問題が起こってしまうと思います。しかし、臨床研究と言ってしまうと、医薬品の臨床試験以外にも手術等の非常に広い領域を含むわけです。ですので、もし2段目の所に海外の状況を書かれるということであれば、先ほど少し指摘した欧州の所に関しては、せめて「医薬品の臨床研究全般を包括的に」と、「医薬品の」という言葉を付けて頂ければ、多少の限定はできます。ですから、どの範囲のことを言っているのかということは少し言っていただいたほうがいいのではないかと思います。

○曽根委員 「臨床研究の」というのは、非常に広く取られがちです。ここで言う臨床研究は多岐にわたりますが、侵襲性のある介入型の臨床研究です。欧米流にトライアルという言葉で言えば分かり易いのですが、日本の場合は治験は別として、臨床試験、臨床研究という言葉で使われるので具体性に乏しい。そういう意味では、承認薬を用いた臨床研究は、侵襲性のある介入試験ということを明記されたほうがいいのではないか。

 それから、研究不正を防止する対策の検討には、医薬品だけではなく、医療機器類も含めた形で防止策を検討していくべきだと思います。要するに、被験者保護という立場、それから、臨床試験の質、信頼性を確保するという視点から対応策を討議して提案すべきであると思います。

○森嶌委員長 事務局からどうぞ。

○河野治験推進室長 ただいまの田代先生の御指摘を踏まえて、14ページの2段落目について、「一般にIND制度に該当する仕組み」という所のほかに、例えば「被験者保護という観点で臨床研究全般を包括的に規制する法律が存在する」という形での記載ぶりであれば、より明確になると思いますが、いかがでしょうか。

○田代委員 それでしたら構いませんが、やはりここの文脈としては、IND制度とつながっていますから、被験者保護だけではなく、医薬品の臨床試験のことを指しているのではないかと思います。ここで念頭に置かれているのは、EU臨床試験指令だと思いますが、これは別に被験者保護だけを念頭に置いているものではないはずです。ただ今のような言い方であれば、事実として間違っているものではないと思います。

○藤原委員 田代委員のところとの関連で、全ての報告書全体の「臨床研究」を「臨床試験」に変えてしまって、あとは「臨床研究に関する倫理指針」のところだけ「臨床研究」にしておくほうが、筋がきれいであるように思います。先ほど曽根委員もおっしゃいましたけれども、日本以外の国だとクリニカルリサーチとクリニカルトライアルで、欧州だと医療機器を使うのはクリニカルスタディと言っています。外国の皆さんは結構、単語としてきちんと使い分けていらっしゃるのです。日本はずっと臨床試験と臨床研究を区別せずに使ってきた歴史があるので、今回の報告書は「臨床研究」となってしまっているのですが、今回のディオバンは明らかに臨床試験に問題があるので、全体的に「臨床研究」を「臨床試験」として読み替えても余り違和感はありません。もっと広めに包括的に捉えたいところだけ臨床研究に替えるのであれば、過剰な規制につながらないですっきりするかなと思います。

○森嶌委員長 今の藤原委員の御意見は、ここには「臨床研究」と書いてありますが、全体としては「臨床試験」と書いて、より広い議論のところだけを「臨床研究」と書くという御提案ですね。

○河野治験推進室長 委員からも指摘がありますので、どのような修正ができるか、この「臨床研究」「臨床試験」という言葉のところだけに限ってですが、最後は事務局で考えまして、藤原先生、委員長にも御相談したいと思います。

○森嶌委員長 はい。今の段階で私は「ではそういうふうにいたします」とは言えません。私は素人であるということもあるのですが、これについては、それこそドラフトの段階から何回か読んで、分からないことがたくさんあるのですが、今の段階で「試験」にすれば藤原先生の試験をパスするとは必ずしも思わないのですけれども、また事務局と一緒にやってみます。ほかにいかがでしょうか。

○曽根委員 16ページの上から4行目、エの所です。「各研究機関において利益相反委員会を設置している場合には」と書いてありますが、今、大学であれば100%近く利益相反指針を策定して委員会が動いております。そういう意味で、「している場合は」というと、していなかったら管理しなくてもいいのではという意味になるので、「委員会を設置し、倫理審査委員会及び」というように、「している場合には」を消していただきたい。それが第1点です。

 第2点が、18ページです。(3)「研究機関と製薬企業の利益相反の管理体制及び製薬企業のガバナンス」という表記で、これに関して文章の中で、先ほども言いましたように、企業との連携により臨床研究を実施する研究者を対象に研究機関の長のもとに利益相反管理が行われるわけであり、製薬企業の関係者が行うわけではありません。そういう意味で、スポンサーや、あるいはいろいろな支援をしていただくのは企業ですが、この(3)の「研究機関の利益相反の管理体制及び」は、製薬企業の場合、当然、コンプライアンスを重要視していただいて、派遣した大学所属の研究者(正規雇用者)や従業員による労務提供に対してガバナンスをしっかりしていただくという書き方にすべきではないかと思います。製薬企業は、アカデミアが意味する利益相反管理をしておりません。製薬企業が出している透明性ガイドラインの中に利益相反という言葉は1つも使っておりません。そういう意味で、利益相反という用語の使い方を明確にして頂きたい。今回のこのレポートについては、高血圧症治療薬の臨床研究事案ということですので、研究者の利益相反管理体制については研究機関の長が責務として行うべきであり、利益相反委員会が担当することになります。これについては、文科省検討班(2006年)の利益相反の指針策定ガイドラインや日本医学会のCOIマネージメントガイドライン(2011年)、厚労科研の申請者に関しても利益相反マネージメントの当事者はアカデミアサイドとなっています。大学・研究機関は、特に研究者の利益相反状態の開示、その審査を行っておりますので、本委員会での利益相反管理という用語の使い方については整合性を図るべきだと希望します。

○森嶌委員長 法律学会と医学会と、それから多分、今のお話では、製薬業界と学会とでは、例えば「利益相反」という言葉の使い方も違っています。ここでは、18ページの、医学会の「医学研究のCOIマネージメントに係るうんぬん」とありますから、その次に書いてある「製薬業界の」と書いて「利益相反管理」というのは、それとのコンテクストで読めという御意見ですね。医学会の「利益相反」はこれでも、製薬業界の場合はこういうものというふうに、いちいち定義を書き替えるということではなくてもよろしいですね。それはあくまでも学会が言っている意味、学会の旅費からの御意見ということでよろしいですね。

○曽根委員 今、討議しているのは厚労省の検討委員会です。厚労省サイドから利益相反の定義が既にされておりますので、それに準じて解釈をすべきであって、生命科学研究にかかる利益相反管理について混乱しないように配慮すべきと思います。

○森嶌委員長 その前の所にも何ページか、利益相反という言葉がありますが、私はそういうものと理解しています。これは法律家の使う利益相反とはかなり違うのですが、そういうものとして認識しております。

○宮田委員 16ページの上の段のオ、「国は、公的な補助を行う際に、今後見直される臨床研究倫理指針について、その遵守を強く求めること」という所は、倫理委員会では書いてあるのですが、利益相反のマネージメントに関しても、国はやはり強く求めることを書くべきではないかと思っています。というのは、厚労科研費では利益相反のマネージメントをしていない機関は、その資金提供の対象にならないのですけれども、ほかの各省庁の臨床試験や臨床研究に関するファンドは、必ずしもそういう強制条項がないのです。ですから、そういう意味では、必ずしも強制しろとは言いません。強く求めるというような表現を、倫理委員会では書いてありますよね。是非ここにも、オのような表現で、利益相反マネージメントの体制の充実を強く求めるべきだとの主張を盛り込むべきだと思います。

○森嶌委員長 今おっしゃっているのは16ページのオの所ですか。

○宮田委員 19ページです。

○森嶌委員長 失礼しました。

○宮田委員 ○1のイ、ウ、エと書いていますが、この下にオを作ろうということです。

○河野治験推進室長 19ページのア、イ、ウ、エについては、製薬企業に対する取組を求めているということで整理されていますので、もし宮田委員からの御指摘を盛り込むとしたら、その下の「国及び臨床研究の実施機関は協力すべきである」という、その下の所に、そのような趣旨も盛り込むということでいかがでしょうか。

○宮田委員 そのほうがいいと思います。○1というのは、実は「研究機関と製薬企業間の透明性確保」というタイトルなのです。双方でやらなければいけないのです。今回の記述に関しては製薬企業のところだけしか書いていない。今言ったような整理で、この「国及び臨床研究の実施機関は、製薬企業の上記取組に対し可能な限り協力すべきである」という文章も入れていただいて、その下に追加していただくときれいだと思います。

○森嶌委員長 これはこの問題ではなくて、一般に規制緩和や、国は余計なことをやるなと言っているときに、このオを入れて、国は製薬企業に対して遵守を強く求めるというと、まあ、求めるぐらいですからいいようなものですが、そうではなくて、むしろ国及び臨床研究の実施機関は、こういうことをやるときに、製薬企業と一緒になってちゃんとやれというスタイルにしないと、少なくとも法律家から言うと、ここだけ何で国が自由であるべき私企業に対して大きな顔をできるのだ、その法的根拠は何だなどと言われると、つまらないところでつまらないことになりますので、結果的には同じことになると思うのですが、書き方としてはそういう書き方で。

○宮田委員 理解はしましたが、この場合、私が言ったのは別に、企業に限らず、むしろ研究機関のほうです。

○森嶌委員長 ですから、今、室長が言ったように、この下の所に、企業も含めて一緒にと。

○宮田委員 それならいいのですが、ただし、利益相反のマネージメントのところはできていますけれども、本当に実行力を備えた組織運営がされているのか疑念がありますよね。ここで、やはり1つ、ある意味言及をしたいなと思います。

○森嶌委員長 これも前にヒアリングのときに言いましたように、書けばできるというものではないので、その意味では、今後この委員会をまだやるつもりではおりますが、国もそうですし、研究機関もそうですが、書いたからみんなちゃんとやるというものではありませんので、やはりそれをどう実施するかをきっちりとした仕組みを作っていかないと、法律が出来てもうまく機能しないという先例はたくさんありますので、こう書いたらそれをどう動かすかということを考えていかなければいけません。なかなか難しいのですが。

○曽根委員 関連しますが、やはり明確に書かないと事は動かない。私は宮田委員の御提案はもっともと思いますし、今回の事案については、臨床試験の実施そのものの問題もあるし、それから、データ収集保管と統計解釈の問題、さらに、論文発表にもう1つ問題があります。要するに、防止策・改善策の一つとして、倫理審査、利益相反マネージメントをしっかりやるべきだという提案は是非とも入れるべきだと思います。

○森嶌委員長 私は、提案をしなくてもいいと申し上げているのではなくて、書くというのはいいのですが、書いたらそれで「良かったなあ」といって忘れてしまったら駄目だよということを申し上げたのです。

 ほかにございますか。

○藤原委員 3つあります。まず、2つの言葉の問題です。13ページと14ページなのですが、13ページの下から3行目「治験以外の臨床研究については、薬事法の対象とされていない」ということなのですが、ここは、「治験以外の臨床試験については、未承認の医薬品を用いる試験であっても薬事法の対象とされていない」と変えていただきたい。

14ページの真ん中辺りで、「米国ではIND制度(Investigational New Drug)」とあるのですが、ちょっと続きが悪いので、「米国ではIND制度がある」で括弧して(Investigational New Drug)で、「新薬」ではなくて、「未承認薬の臨床試験実施に際して」と。「治験であるか否かにかかわらず」とありますが、アメリカには治験という制度はないので、「承認申請目的であるか否かにかかわらず、試験責任者がFDAに対して必要書類とともにあらかじめ届出を行う制度」と。さらに、これはいつも申し上げているのですが、アメリカにはINDエグゼンプションと言って、IND以外でやってもいいよという仕組みがきちんとあって、1つ文章を付け加えてほしくて、この括弧の中ですけれども、「適応外薬を用いる臨床試験の場合は、IND制度の対象となる場合と、ならない場合がある」というINDエグゼンプションを意識した記載をしていただければと思います。

○森嶌委員長 私はちょっと今のはフォローできませんが、事務局はよろしいですか。

○河野治験推進室長 御指摘を踏まえて修正いたします。

○藤原委員 もう1つあるのですが。

○森嶌委員長 もう1つですか。

○藤原委員 はい。1516ページなのですが、15ページの○1のイで、「倫理審査委員会の委員構成として外部有識者を確保」してうんぬんと書いてあるのですが、既に今の臨床研究に関する倫理指針は、ほかの倫理指針もそうですが、外部委員は必須事項として入っていて、更に外部委員をどうするのかよく分からないので、ここまで書かなくてもいいのではないかということ。

○森嶌委員長 ここまで書かなくてもいいというのは、どういうことですか。

○藤原委員 既に実施されている指針によって外部委員が入っていらっしゃると認識しているので、次のステップとしてはどこまでを考えてらっしゃるのかなと。とりあえず、これを書いていると分からなくなると思います。

○森嶌委員長 そうすると、このイは無くてよろしいというのですか。

○藤原委員 無くてもいいのではないかという認識と、今既に機能しているのではないかと思いました。

 それから、オの所もそうなのですが、臨床研究倫理指針の本体には書いてあるのですが、前回の平成20年のときに、局長通知として出ていて、その中に、「関係者及び関係機関から交付される研究費についても、今後、指針の遵守が交付要件となることから、指針の違反があった場合については、各研究費の交付に関わる規制等により、研究者等に対して罰則等が課せられることになるものである」と書いてあって、ここで研究費が差止めになる可能性がありますよというような記載があって、そうすると、このオの所に関しては、局長通知を更に厳しくするような記載に変わるのかどうか。含みがあるのかとは理解されます。現行でも厳しく運用されていますよと言っていることが、ちょっと気になりました。

○森嶌委員長 イについて申せば、これは全然別の話ですが、現在、一般の会社では、一定の大きな会社では、外部の取締役が入るはずなのですが、実際には会社全体の2%や3%ぐらいに外部取締役が選任されているだけです。大きな会社、例えばトヨタなどにはいますが、ほとんどの会社には、大会社にも外部取締役は入っていないのです。先ほども言いましたが、法律で書いたら入るというわけではないのです。

○河野治験推進室長 15ページのイの趣旨を説明したいと思います。藤原委員が御指摘のとおりに、既に倫理審査委員会の委員構成としては外部有識者を確保しなさいという趣旨は書いてありますが、個別の審査において、必ず外部有識者が参加している状況で審査してほしいという趣旨で、ここは記載しておりますが、いかがでしょうか。

○森嶌委員長 つまり、ちゃんとそういう実体を備えなさいということですね。私が言ったのもそういうことなのですが、株式会社について、大きな会社は外部の取締役が入るはずになっているのが、実際になんとかかんとか言って外部から取締役を入れていないのが現状です。別に罰則があるわけでもありませんから。その意味では、今、室長が言われたような書き方は、藤原委員が言われたこととは反しない。むしろ、それを実体化する、具体化するということになると思います。逆に言うと、余りそれをやると困る大学も出てくるのでしょうか。

○藤原委員 今の事務局の説明で、このように書かれた趣旨がよく分かりました。

○森嶌委員長 はい。

○藤原委員 委員を採用するときに外部委員をちゃんと入れなさいというようなことで、そういう理解をしました。

○森下委員 この報告書で、今後に向けて再発防止や臨床研究の指針について述べてくださっているのですが、1つ気になるのが、実際に今回のディオバンの臨床研究に参加した被験者に対しての何か説明責任というか、そういうものを一文入れていたほうがいいのではないか。今回はデータの操作が行われ、直接被験者の方々には身体的・精神的に何かあったかということは無かったかもしれないのですが、社会的にここまで大きな問題になっていますし、1つの試験で3,000名の患者様が何らかの形で協力してくださっているということに関しては、今回関係した企業であるとか、大学機関に関しては、この結果を必ず何らかの形で被験者の方々に説明する必要があると思います。ホームページへの掲載でもいいですし、もう既に実行しておられるかも分からないのですが、報告書の中には改めて一文書いたほうがいい気がするのですが。

○森嶌委員長 再発防止策というよりも、今回の事案に対する対応というところだと思いますけれども。何か事務局からありますか。

○河野治験推進室長 御指摘ありがとうございます。その一方で、カルテ等の必要なデータがもう既に廃棄されている実態があって、それがどこまで個別に被験者の方に伝わるかという問題もあると思いますので、その辺りについての状況も含めて理解していただければいいと思います。

○森下委員 ありがとうございます。そのような状況もあるのも承知していますので、せめて関連するホームページに、今回の一連のことを掲載するとか、それで、問合せ先を明確に書いておくとか、そのような対応を行うことでも被験者保護にはつながるのではないかと思います。

○森嶌委員長 臨床試験の場合、試験の対象となる患者の人権の問題もありますが、森下委員の御提言によると、今度は新たにかつて参加した患者のプライバシーの問題があります。今現在、カルテが無くなっているという問題もありますが、仮に、カルテがあるとして、かつて臨床試験に参加した患者に通知をして説明をするのでしょうか。それとも、一般的に「こういうことがありましたが、申し訳ありません」というので済むのでしょうか。ちょっと私もまだよく考えていませんので、森下委員の話に対してよく分かりませんが、かなりいろいろな問題がありはしないかという感じが、直感的にはします。まだよく考えていません。

○河野治験推進室長 森下委員からの御指摘ですが、例えば19ページに○3を設けて、被験者さんに対しての問合せ窓口などを適切に設けて問合せに対応するようにといった趣旨を、さらに追記するというような記載ぶりを設けてはいかがでしょうか。

○森下委員 結構かと思います。ありがとうございます。

○森嶌委員長 それならばいいと思うのですが、積極的に患者に対してかつでの患者を掘り起こしていくのではなくて、国から、被験者のほうから何かあったときにちゃんと応えられるようになっているということならば、被験者のプライバシーも守られることになりますし、それならば問題ないかと思います。これもまだ十分考えていませんが。

○河野治験推進室長 今の記載について、場所がどこが適切かという点については、もう一度考え直す必要があると思いますので、場所をどこに設けるかについては、また、委員長にも相談したいと思っております。

○宮田委員 今のに関連してです。私も森下先生の話は、個別にどう対応するかというよりも、被験者は参加した臨床研究が一体どうなったかを知ることが重要だと、実は思っています。今一生懸命やられているのは、臨床試験のデータベースへの登録なのですが。

○森嶌委員長 何でしょう。

○宮田委員 臨床試験のデータベースというものがあって、こういう臨床試験をしますということで、公開をするようになっています。海外などでは非常に普及しているのですが、日本ではまだまだそこの公開・登録が不十分だと思うのです。公開される内容も必ずしも患者さんの疑問にある程度応えられるものかという疑問がありますので、ここで、もし書くとしたら、臨床研究あるいは臨床試験の結果、及び臨床試験をやっているということに対するデータ登録と公開というものを、もっと一層充実するというところが非常に重要になってくると思うのです。そうすると、参加した人たちも、自分たちが関心を持って、その臨床研究がどう進んだのかと、逆に言えば監視することもできる。そういった仕組みを作ることが、先生がおっしゃったとおり、海外でやっているような実行性のある仕組みを、やはり作る必要がある。

  やはり被験者さんも、一方的な被害者ではなくて、積極的な参加者になるということを考えると、その臨床研究がどうなったかを知る権利が実はあるのではないかと思っています。今のところ残念ながら、臨床研究の全てが成功するわけではないので、論文となって全部発表されるわけではありません。そういう意味では、今、この臨床試験のデータベース登録というものを、きちんと励行していただいて、できるだけプライバシーのところは外しますが、発表できる成果について、失敗したときも含めてですが、発表すべきだと思っています。

○森嶌委員長 その点についてはいかがですか。

○桑島委員 今お話のように、海外では、国際医学編集者会議:ICMJEInternational Committee of Medical Journal Editors)において、後付解析やバイアスを回避するために、大規模臨床試験の詳細なプロトコールの事前登録を2004年に義務づけています。登録していなければ、主要ジャーナルは掲載しないというシステムです。日本ではそういう仕組みがきっちり機能していないわけです。少なくとも今は、学会がそのような役割を果たすべきだと思うのです。登録するだけではなくて、後付解析やバイアスを避けるための監視システムの構築が重要だと思います。

○森嶌委員長 そうですね。伺った限りでは、それは非常に合理的というか、いいと思います。学会でですね。

○稲垣委員 今のお話の試験情報の登録についてですが、製薬団体連合会において、フェーズ2からフェーズ4の臨床試験については、試験開始前、若干開始後というときもあるかもしれませんが、試験情報についての公開、Web上に公開するということ。また、その試験結果についても、終了後にWebに試験結果のレベルではという話が、登録するようにという形でも、既に業界については動いています。アメリカの臨床試験についても、多分、申請を出す場合は申請情報の登録は求められているかと思うのですが、数的にも実施されているという理解を持ったのですが。

 ただもう1つ、個別の試験については、結果については、被験者の皆様に希望すれば結果を伝えるというような形で現在動いている状況になるかと思います。ですから、その個別の試験の結果については、受けた施設に言っていただいて、結果を知りたいということであれば、その結果は開示されると思います。

○森嶌委員長 今おっしゃっているのは、治験のほうですか。

○稲垣委員 治験です。

○河野治験推進室長 今の御指摘を踏まえまして、18ページですが、(2)「臨床研究の質の確保と被験者保護」といった項目がありますが、ここに○5を設けて、1つは、今回の事案に関連して、被験者が問合せできるような窓口を関係大学のほうで設置するといったような趣旨と、あとは、データベースについての充実といったことを今後求めるといった趣旨を記載しようかと思いますが、いかがでしょうか。

○桑島委員 ガイドラインではなくて、学会自体がきちんと機能すべきだと思います。この前も高血圧学会で話題になったのですが、一体誰が臨床試験を監視するのかという問題があります。そうするとやはり学会がきちんとして、登録から、登録後、経過、それから結果発表というところまできちんと監視するような仕組みをつくるべきだと思います。

○藤原委員 学会はCOIの対応を余りやっていない所も多いですし、学会に臨床試験登録をさせるというのは世界を見ても類がない。むしろ今、既存の仕組みの中で、日本であれば臨床試験はUMINというのが登録サイトとしてはあって、研究者はどんどん登録しています。海外で言えばNLMThe National Library of Medicine)、アメリカの国立図書館の中に、そういう臨床試験登録を受け付ける所があって、国際的学術雑誌に投稿しようとすると、UMINあるいはその米国のサイトの臨床試験登録ナンバーを登録しておかないと、投稿できないことが多いです。

 今回のディオバンは両方とも米国での臨床試験登録はしてあるのですが、それとは別に、アメリカの研究でHealth Affairsに出ていましたが、臨床試験登録がアメリカでは法制化されているにもかかわらず、実際には3割ぐらいしか登録されていなくて、余りちゃんとやられていませんという論文報告がありました。ここに書くのであれば、現行の仕組みの臨床試験登録をもう少しちゃんとやりましょうというぐらいにしか。

○桑島委員 登録だけやりましたというだけでは意味がないのです。そういう意味で日本では監視システムが機能しなかったのです。ですから、それを機能するようなシステムが必要だと思います。

○藤原委員 高血圧学会のガイドライン作成委員のCOIのところはちゃんと監視されているのですか。また、高血圧学会に臨床試験の中身をチェックしなさいと言われても、多分困ると思うのですが。

○桑島委員 必ずしも学会でなくてもいいのです。それを登録してきちんと監視できるものがあればいいと思います。

○藤原委員 先生のおっしゃるとおりです。UMINとかに臨床試験登録されていれば、何名登録されました、いつ終わりましたというのは分かります。しかし、試験結果がどこまで書けるか、それをどこまで求めるかというのは、かなり難しいと思います。ただ、臨床試験が走っているということと終わったということがしっかり分かるというのは、患者にとっては非常にメリットがあるのではないでしょうか。

○桑島委員 日本の雑誌でのそういうシステムはどうなのですか。

○藤原委員 ICMJEの求めている投稿要件で、そういうメジャージャーナルは投稿要件として入っていますけれども、日本の雑誌はそこまでやれていないのと、あと、フェーズ1や早期の開発については臨床試験の登録番号を要求していない雑誌もあります。また、知財に配慮して登録しなさいというようになっているので。全部が全部登録しているわけではないという現状はあります。今回のような大きな試験の場合には割と登録は励行されています。

○森嶌委員長 いつもと相変わらず時間超過になっていますが、先ほどから私が申していますように、ただ何となく臨床試験について登録し、患者に分かる、被験者に分かる、ようにすべきだというのでは、結局実効性をもちませんので、学会か、今ある所で登録するかは別として、それをより強化するとか、で被験者により分かるような、知り得るような体制を強化するとか、書き方は事務局と相談させていただきますが、そういう形で18ページに書き込ませていただくということにさせていただきます。

 まだ残っていますので、ほかになければ先へ進ませていただきます。また、元に戻ってきますが。

 それでは、次へまいります。第34「その他の重要課題」と第4「むすびに」に移ります。

○一瀬課長 20ページ、4「その他の重要課題」です。本検討委員会の調査をとおして、ディオバンの広告、関連学会によるガイドライン作成及び今回の事案による医療保険財政上の課題等が見いだされたことから、これらについて本委員会とは別に、国は更に詳細に調査を行うとともに、必要に応じ厳しい対応を講じるべきです。

(1)薬事法に基づく対応の必要性です。ノバルティス社の人的・金銭的関与の状況などから、今回の事案については、元社員一個人の関与にとどまらず、実態としては会社として関与していたと判断すべきものです。したがって、データが操作され誤った結論を導いた論文を用いてディオバンの広告を行った同社は、データ操作そのものに関与したかどうかは現時点では不明であるものの、善意の第三者的立場で当該論文を用いたとは言えないことに留意が必要です。

 薬事法66条には、「何人も医薬品の誇大広告等をしてはならない」と規定しているところ、今回の事案に関する広告は、結果的に誇大広告に該当するおそれがあることから、国は、立入検査等の権限を有する者による詳細な実態解明を進め、関係者の薬事法上の違法性を十分検証し、厳しい対応を図るべきものと考えます。

 また、専門誌等のマスメディアにおいても、結果的に今回の事案に関連する企画広告が医療現場等に与えた影響は少なからずあることを十分認識すべきであり、今後の広告の在り方等について十分検討するべきと考えます。

(2)学会ガイドラインについてです。今般の事案に係る論文は、特定非営利活動法人日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」に引用されています。当該学会は、ガイドライン関連論文を引用した経緯や利益相反管理について検証すべきであり、各学会においても、ガイドライン作成時の利益相反の管理を適切に実施すべきです。

(3)今回の事案による医療保険財政への影響です。今回の事案に係る臨床研究については、薬事法上の治験ではないため、ディオバンの薬価収載時及び、その後の価格見直しにそのデータは使用されておらず、薬価設定の価格自体に直接の影響を及ぼしていませんが、当該臨床研究の結果に基づくノバルティス社の広告及び関係学会のガイドラインにより、高血圧治療に当たる医師の処方行動が変更されたとの指摘があります。今回の事案に係る臨床研究による医療保険財政への影響の評価等について、中央社会保険医療協議会において検討すべきと考えます。

(4)非常勤講師の委嘱のあり方です。大学等においては、非常勤講師の勤務実態等を確認の上、漫然と委嘱を継続することのないようにすべきです。また、非常勤講師委嘱に当たっては、プロジェクト内容を記録し保管すべきです。

(5)主な臨床研究実施機関による自主点険の結果です。今回の事案等を受け、厚生労働省及び文部科学省は、連名で823日に「医療機関・研究機関による臨床研究の適切な実施に係る自主点険の実施及び報告のお願いについて」を発出し、我が国で臨床研究を実施する主な機関117か所に対して、自主点険の実施及びその結果報告を求めました。今後とも臨床研究を実施する研究機関においては、臨床研究倫理指針等に則り研究が実施されているか、適時適切に自主点険を実施すべきです。研究機関からの報告結果については後ほど説明をいたします。

23ページ、第四「むすびに」です。我が国政府は、本年614日に日本再興戦略を閣議決定し、日本経済を再生し、そして更なる高みへと飛躍させ、成長軌動に乗せるための成長戦略を発表しました。その中で、必要な世界最先端の医療等が受けられる社会を実現するために、医療分野の研究開発の指令塔機能、「日本版NIH」の創設とともに、質の高い臨床研究・治験が確実に実施される仕組みを構築していくことを明記しています。

 その一方で、本年9月、英国医学誌Lancetは、平成19年に同誌が掲載した、東京慈恵会医科大学の事案に係る論文について、正式に取り消すことを公表しました。そのほか、これまでにも様々な学会誌で、今回の事案に係る論文の信憑性などの理由で取り下げがなされ、一連の事案に関しては、海外においても複数の報道がなされています。今回の事案は、我が国の臨床研究に対する海外からの信用をも失うものであり、新たな研究開発にも影響を及ぼしかねません。また、我が国の科学者であるだけの理由で論文採用に当たってのハードルが高くなることがあれば、我が国の科学技術全般にも影響を及ぼすものです。

 今回の事案は、先人が様々な実績を積み重ねて築いてきた我が国の臨床研究に対する信頼を損なうものです。このような事態を招いたことに対する研究責任者及び大学並びにノバルティス社の責任は非常に重く、十分な反省と、再発防止に向けた真摯な対応が求められます。また、信頼回復のためには、臨床研究に関わる全ての関係者が真剣にこの事案と向き合い、愚直に再発防止策を実行しつつ、有用な研究成果を積み重ねていくほかないと考えます。

 本委員会としては、今後とも引き続き調査を進めることにしていますが、我が国の臨床研究に対する信頼回復のため、大学等の研究機関、製薬企業、学界、行政等、研究に関わる全ての関係者・関係機関が早急に対応を開始することを望みます。以上です。

○森嶌委員長 それでは時間の関係もあるので、別紙6の自主点検についても行っていただけますか。

○河野治験推進室長 自主点検の結果概要については資料2の別紙6として、45ページに付けておりますので、これに沿って御説明いたします。厚生労働省では文部科学省と協力の上、附属病院を置く国公立・私立大学や、特定機能病院等の臨床研究を実施する主な117機関を対象に、今年823日付で自主点検の依頼を行っております。その後、927日時点での報告状況です。

1番として、自主点検の対象機関はここに挙げられているとおり、117機関を対象としております。

自主点検の対象となる臨床研究については、平成214月以降に開始した侵襲性のある介入研究を対象とさせていただいております。

自主点検の内容は、(1)対象の臨床研究に関するデータのねつ造・改ざん等のデータの信頼性に関する疑念、(2)臨床研究に関する倫理指針の遵守状況、(3)利益相反に関する管理が適切に実施されているか、といった点での自主点検をお願いしております。

4番が自主点検の結果です。回答は全ての医療機関、117機関から来ており、対象となる侵襲性のある介入研究は、平成214月以降で24,000件余りでした。そのうち不適切な事案のあった臨床研究は118件あります。

内容ですが、データの信頼性を損なった臨床研究として報告があったものは、昨年、元東邦大学の麻酔科の医師が論文のねつ造を行ったとして、日本麻酔科学会が2012年の6月に調査結果を公表している件がございます。これについて東邦大学から改めて報告があったという1件がありました。倫理指針を遵守されていなかった研究としては、103件ありました。具体的な内容の主なものとしては、症例登録前にデータベースへの登録が行われていなかったものが18件、研究機関の長への年1回の進捗状況の報告や、終了時の報告を忘れていたものが80件で、こういったところが出されました。利益相反の管理状況に不備があった研究は14件あり、利益相反のマネージメント委員会への報告を忘れていたという報告がありました。

 これらのほかに1医療機関から、109件について症例登録前にデータベースへの登録が行われていなかった疑いで、その医療機関について現在、中で精査中であるという報告がなされました。これらについても927日付の集計を取りまとめたものですので、今後、私どもとしても更に精査した上で、結果についてはホームページ上で公表したいと考えております。

○森嶌委員長 ただいまの結果も含めて、その他の重要事項、課題、結びについて、あるいは今までを振り返って、全体を含めて御意見がありましたらどうぞ。

○曽根委員 製薬協の稲垣委員にお聞きしたい。製薬企業に対して産学連携に関する金銭関係の透明性が求められており、医師個人と医療機関を対象に企業から支払われる金額、件数などが公表されておりますが、いわゆる医学専門雑誌・商業誌などのメディアに対する支払額の詳細はは公表されていません。商業誌では最新の医療情報が適正に、中立的な立場で報道されているのか、疑わざるを得ない場合があります。企業がスポンサーとなっている場合、バイアスのかかった医療情報とか、根拠に基づかない情報が誇大に宣伝される可能性があり、その結果誤った医療が行われ、最終的には患者さんが犠牲になりますし、医療費の無駄が生じます。そういう意味で、対象者を医師や医療関係の研究者だけではなく、雑誌社とか、出版社も含めて製薬企業との金銭関係を公表すべきと思いますが、いかがでしょうか。企業と雑誌社との透明性を確保して、雑誌社がどれだけ企業からランニングコストを提供されているかというのは、読者側からすれば客観的に判断するバロメーターになるし、雑誌社も中立的な立場で報道あるいは広報しようという意識が働きます。

○稲垣委員 透明性の観点というのは、非常に重要だと思っております。特に影響力のある雑誌に対する利益供与という意味合いで、広告料という形で明確にすべきではないかという御発言ではないかと理解いたしましたが、透明性の観点が重要であると。ただ、その一方で一般的に雑誌社と言った場合、学術誌から新聞からいわゆる広告まで、結構幅広いものがございます。ですから、その全てを開示するのが適切かどうかというのは疑問を持っております。

 そうした場合にどこの雑誌社、どこの医師あるいは関係者の処方行動等に影響する範囲なのかという話も出てくるかと思います。今の透明性ガイドラインについて、検討の必要があるという話、特に今回の話の中でも、実は金銭的な話ばかりではなく、労務提供についてもうんぬんというところが、確か19ページに記載があったかと思います。そのような点については、業界の中でも考えていく必要があるのではないかという話は出ております。その一連の話の中で、ほかに影響のある所はどこかというのは、我々の中でも考えているところです。今回の検討会議の中での報告書をどうするかという意味合いで言えば、透明性ガイドラインについては、単なる金銭的な話だけではなく、あるいはもっと開示していくという話だけではなくという、19ページの延長線上として、一応考えてはいきたいということになるかとは思っております。

○曽根委員 1つの議論の視点ですが、講演料・執筆料については来年度から、製薬協の会員企業は、医師の一人一人が1件につき何円かまで全部公開になるのです。そういった点で、社会から見て企業と医師との関係だけでなく、企業といわゆる商業雑誌社との金銭関係も公表すべきです。医学・医療情報を扱い雑誌社は製薬企業からの資金に依存しています。そういう意味でも、企業からの支払額はどのような形であれ、全て公開すべきだと思います。宮田委員、いかがですか。

○宮田委員 私は別に広告にはタッチしていないのです。基本的に言えば、編集と広告というのは壁があって、人材交流もありませんし、情報交流もないということを、まず御理解していただいた上で、是非、この議論をしたいと思います。今おっしゃったようなことは是非、稲垣さんに御検討いただいて、お金の流れも含めて、どうすればみんなが安心して新薬の開発や、新薬の研究などに疑念を持たないようにする方法を作り得るか、検討していただきたいと思います。私どもからすれば、製薬企業はお客様になってしまうのです。ですから、それはまずお客様のほうで検討していただくのが筋だろうと思っています。

 私たちの報告が、結果的に今回はねつ造があったということだと思います。誤った情報を提供したことになり、結果責任があると思っています。当然のことながら科学研究というのは、別にねつ造ではなくても、今は真実だと思われていたものが、何年か後には反証されてしまう可能性があります。そういう科学研究に基づいた広告というものは、一体どういう在り方が適切なのかというのは、我々もこれから考えていかなければいけないとは思っております。

○桑島委員 我々医師の立場からお話させていただきます。今は宣伝広告が非常に課題になっていると思うのです。今度の事案も誇大広告がかなりあって、それが処方行動に影響を与えたということは間違いないと思います。いわゆる雑誌社でも、いろいろな団体があるのです。特に問題なのは、いわゆる無料配布雑誌です。これは広告で持っていますから。やはり広告にある程度のモラルに沿った規制はあるべきでしょう。一般の人たちには目に触れることはないと思うのですけれども、医師の読む雑誌での広告は、処方行動に影響します。特に無料配布のジャーナルなどでの企業広告は、どうしても偏った報道になってしまうのではないかと私は思います。

○稲垣委員 それは規制と言うより、何が重要で、利益供与を公開して影響がどう出ているかというところを明らかにするというのが、多分曽根委員がおっしゃった御趣旨だと私は思っているのです。ただ逆にレベルという話の中では、それだけの媒体について受け取った側がどういうレベルのものかを考えておくかというのは出てくるかなと思っています。その辺も含めて、いろいろ考えるところはあるかなということで、今は考えています。

○桑島委員 いろいろな団体がありますからね。特に無料配布というのは、否応なしに送ってくるわけです。ネットですと配信停止が簡単ですが、無料配布雑誌の場合は否応なしに無制限なのです。それはやはりある程度の配布される側の自衛策というものが、私は必要ではないかと思います。それから、広告が雑誌全体の50%を超えていないかについて一時期調べたことがあります。すると広告が50%を超えている雑誌も一部にはありました。そういうジャーナル間の規制というのも、ある程度は見直したほうがいいのではないかと私は思います。

○宮田委員 確かにそういう考え方もあると思いますけれども、それは雑誌のビジネスモデルに関わることです。読者がどういうように受けとめて、読者がどういうように判断するかということを、我々は考えたいと思います。私たちの雑誌というのは、広告も重要な情報だと思っているので、望むらくはねつ造に基づいた広告などは決して掲載したくないと思っているのです。しかし、果たして掲載をお願いするときに、一体どこまで我々が検証できるのかも含めて、我々は自分たちのことを点検していかなければいけないと思っています。

○田代委員 もちろん優先順位があると思うのです。私は19ページに書いてある、製薬企業の労務提供に関する指針や取組を、まず真っ先に作って頂きたいのです。それは今回のディオバンのケースの最大の反省点です。お金以外に、実際に製薬企業の社員の方がいろいろな形で入り込んでいて、しかもそれが営業と結び付いているわけですから。これに関しては、1社だけでは到底対応できないわけで、製薬企業間できちんとルールを設けて頂きたい。

 少なくとも私がお願いしたいのは、倫理審査委員会のプロトコールが上がってくるときに、企業の方が関わったことがはっきり分かる形にして頂きたいということです。今色々な所で行われている販売促進のための臨床試験が、もしこれを契機に減らないのであれば、この検討会を開いた意味はないと思います。そこに関して一番重要なのは、製薬企業からの労務提供について、はっきりとした透明性を確保することだと思います。この点については是非お願いしたいのです。

○藤原委員 私も田代委員の意見に賛成です。前回の委員会でも申し上げましたけれども、日本以外の国だと、広告の事前チェック、規制の努力はしています。しかし広告を規制すると、私は何か社会主義みたいな感じがしています。受け取る側の医師が、プロフェッショナルとして雑誌を見れば、その広告が怪しいとか、この雑誌はこの程度かなというのは分かりますよね。見て判断するのが本来の医者のあるべき姿だと私は思っているのです。それをあえて広告の規制するのであれば、エキセントリックにいくのだったら、事前に規制する。アメリカでもフランスでもイギリスでもそうですが、事前に医師に対する広告媒体などを全部チェックしてから出すということになっていますので、それは今の日本の段階からすると優先順位が低い。むしろ現実に問題になっているのは、労務提供のほうが全然問題で、そちらを製薬企業として監視していただく体制を、しっかりとお願いしていただきたいと思います。

 もう1点お願いするとすれば、私ども研究者が臨床試験で製薬企業から医薬品をもらってやる場合には、メーカー公取協のチェックを受けます。メーカー公取協のホームページに行って見ても、どういう判断で医薬品を研究者に提供するかという規定は、詳しく書いていないのです。申請するとメーカー公取協で審査しました、提供できますという回答がくるだけなのです。サンシャイン条項で我々の講演料まで全部開示するのだったら、メーカー公取協の審査の仕組みとか審査の方法などをあらかじめ見せていただくと、どういうスタイルで、医薬品の供給が受けられるというのが理解できると思います。労務提供の開示と、メーカー公取協をはじめとする、いろいろな内部規程の公開をお願いしたいと思います。

○森下委員 先生方が行うことですので、利益相反にしても労務提供にしても、それを依頼してくる企業とそれを断る双方のバランス感覚が、すごく大切だと思うのです。別紙6でも付けてくださっていましたけれども、臨床研究に関する倫理指針が制定されて10年がたとうとしていますが、これだけまだ不遵守が多いというのをどう考えるかと。

 事務局も16ページに文章を書いてくださっていますけれども、本当に研究者が研究者としてちゃんと動けるために、私もCRCとして多忙な臨床医にきちんとこの指針を理解してもらうために、支援していく方法を改めて考えたいと思います。平成20年の倫理指針の改定から、研究者等の教育も十分に取り組んできてはいますが、現実的にこの指針違反の数が示されているということを真摯に受けとめないといけないなと思いました。

○森嶌委員長 これ自体はまとめに入りませんけれども、今のそれぞれの御意見は、これからまた検討していく過程で、いろいろな形で入れていかなければなりません。また、ここに「何々をすること」と書いてありますけれども、先ほどから申しすように、書いたら実現するものではありません。やはりフォローアップをしながら、どうやったらそれが実現していくかというのは、私はどちらかと言えば、医療側にイニシアチブがあると思うのです。医療側の先生方は、自分たちの問題ではないとお思いかもしれませんけれども、製薬会社等との関係でも、医療側のほうが圧倒的に強いわけですから、医療側のほうが姿勢を正されれば製薬会社も対応せざるを得ません。資金のほうは製薬会社が強いかもしれません。しかし医療側がきちんと対応されると、企業の側も対応せざるを得なくなってくるのではないかということを改めて申し上げたいと思います。

10年前の話のヒアリングですから、断定するわけにはいきませんが、私は、10年前の話が今回ガラリと変わっているとは思いません。大分変わってきたとは思います、やはり全体の構造から見て、ガラリと変わっているわけではありません。「再発防止策として何々すること」「国は何々すること」と書いてありますが、「何々すること」と実際にできることとは、必ずしも一致するわけではありません。その点で、今日、中間取りまとめをするにあたって、良いことを言ったからこれでいいだろうというのではなくて、むしろ今日の提言は出発点というように、委員の皆さんにお考えいただきたいと思います。その意味であと10分ぐらいの間で、今日の中間取りまとめには入らないけれども、これから検討するにあたって、こういう趣旨のことは入れておくべきだということがありましたら、どうぞ御意見をいただきたいと思います。

○宮田委員 曽根委員に伺いたい。委受託金で企業が臨床研究を支援すべきだという項目がありますけれども、それだけで本当に我が国の臨床試験が成り立つものなのでしょうか。もっと国民のために必要な臨床試験のファンドを確保することを考えないと。企業は結局、自分たちの利益を一番重視しますので、委受託研究で縛ってしまうと、今まで自由な立場で行われていた臨床研究が、なかなかファンドが集まらないのではないかと心配しています。

○曽根委員 医薬品も医療機器も同じですが、臨床開発をして患者さんのもとに届けるには、企業と医師の連携活動が必須です。今までの産学連携のやり方として、寄附金主体の提供ではどうしてもアカデミアへの金銭関係がしっかりと見えない。今回の臨床研究事案では、研究に使われると期待しての多額の寄附金提供は、スポンサーという位置付けになるのではと思います。むしろ、スポンサーとして明確化するためには、委託・受託の形で契約し、助成金を提供すべきです。当然、製薬企業の透明性指針の中にも全ての額が開示されるように対応すべきです。私は、項目Aの研究費開発費などについても、どこの誰にという所まで公表すべきと製薬企業に要求しています。あらゆる産学連携活動にかかる金銭関係が公表されれば、健全な形での産学連携、臨床研究の推進ができるのではないかと思っています。

 もう1つ、私が今回ヒアリングを通して感じたのは、医療現場にいる研究者の倫理観の乏しさ、臨床研究をしていく上での企業との金銭関係については、透明性確保という視点から軽視しているか、あるいは隠したがっているという傾向があったと感じています。臨床研究をする上で当然企業との金銭関係、特に、どの企業がスポンサーになっているかという事実を、公表していくことが重要だと思うのです。そのためには医療現場、特に大学とか高度研究機関の医師、研究者が、その自覚を持たなければいけない。

 そこで1つお願いしたいのは。平成18年度に文科省検討班で利益相反の指針策定ガイドライン作りを各大学が取り組んでほしいということでガイドラインを作ったのです。その後、平成20年に厚労省が厚労科研費を受ける研究者を対象に利益相反指針を公表したことは、非常に大きなインパクトがあったと思います。その後、日本医学会が利益相反マネージメントのガイドラインを公表し、118分科会に指針策定による利益相反マネージメントの取り組みを推奨しております。今回のディオバン臨床研究事案は国公私立大学を舞台に行われた訳で、産学連携を推進する環境がアカデミアサイドに備わっていないというのが現状です。今回、文科省の医学教育課長とライフサイエンス課長が来られていますので、そこで是非お願いしたいのは、今の時点では医師主導の臨床研究、医学研究については、倫理審査とともに利益相反状態の開示・審査、マネージメントを行うべき時期に来ていると思います。これを契機に、研究の質と信頼性確保するために倫理指針、利益相反指針の遵守を周知徹底させる取り組みを是非やっていただきたい。ディオバン臨床研究に見られる研究不正はオンリーワンの事例ではなく、氷山の一角ではないかと思いますので、そういった意味でも是非、国を挙げて防止策、改善策を制度面、人材育成の面、助成金制度などの面から検討していただきたいと希望します。

○宮田委員 曽根委員、どうもありがとうございました。私は例えばARB同士のヘッド・トゥ・ヘッドの臨床試験とか、分子標的薬と同じ標的に対するヘッド・トゥ・ヘッドの臨床試験というのは、決して医薬品企業はサポートしないと思うのです。そういう意味では国民に必要な臨床試験というのは絶対にあるので、国だけとは言いませんけれども、もう少し企業色が薄まったような、臨床試験を支援するようなファンドの創設を検討しないと、中立公正な臨床試験が必要になったときに、いつも全部スポンサー付きであるというのは、必ずしも健全ではないと思います。

○森嶌委員長 何か御意見があればまた伺いますが、ここで必要なことだけを申し上げます。何を訂正するかについて、項目だけを読み上げようと思ったのですが、私の手元にあるだけでも10幾つあります。先ほど私がその都度、これについてはこういうことだとか、事務局のほうで検討してというように言いましたので、私を信頼しろと言うわけではありませんけれども、それぞれの委員からの御提案と言うのでしょうか、御意見に対して私のほうで、このような趣旨だとか、事務局対応をしてとか、場合によってはその場で、こういうように直しますということを申し上げましたので、それに沿って訂正して最終のものにいたします。その上で委員全員に回して、最終的なものにさせていただきます。それは早急にいたします。それが1つです。

 では今後、この委員会はどうなるかということです。これについては大々的ではありませんけれども、確か2ページに書いてあります。2ページの終わりのほうに、「本検討委員会としては今後、今回の事案に関してまだ詳細な調査結果を公表していない他の関係大学の調査結果等についても精査するとともに」という内容です。今回は調査結果が出ている2つの大学をやりましたけれども、まだ出ていないものがあります。その事実について調べると同時に、更なる再発防止等の必要性についても、これまで事務局を中心に、何が再発防止策か検討して参りましたが、必ずしも十分に検討されたとはいえませんので、今日、いろいろな御指摘を受けたところを受けて、さらに検討していく必要があるのではないかと考えています。

 厚生労働省としては、来年の今ぐらいまでには、法案を出すかどうかも含めて、どういうことをすべきかということについて、検討委員会としてまとめる方向を考えておられるようです。もっともその前に、我々のほうでやることはやったから、後は厚生労働省でおやりなさいということになるのかどうかは分かりませんけれども、少なくとも来年の秋ぐらいまでには、厚生労働省としての結論を出したいとお考えのようです。我々としても、残っている関係大学で事案調査をすることと、それとの関係も含めて、自主点検の中身なども検討しながら、再発防止はどうあるべきかという問題について、更に検討することにしたいと思います。

 ただ、現時点では関係大学からいつ頃自立的調査結果が出てくるのか、確か名古屋大学でしたか、11月などと言っていましたので、日程等については引き続き検討いたします。日程等は追って事務局のほうから、先生方の御都合を伺って決めていきたいと思っております。中間取りまとめということですので、この報告書が出たらこれで終わりということではありません。今後とも御協力をお願いしたいと思います。ヒアリングを5回やっていますが、3回の検討委員会を開く合間で大変な大仕事をしていただいたわけでございます。今日の中間取りまとめについてもいろいろと、これはこうします、ああします、後は私にお任せくださいということでやっておりまして、強行軍であることをお許し下さい。いずれにしましても、3回にわたって委員の皆様に大変御協力いただきましたことについて、感謝申し上げます。

○桑島委員 残る関係大学についてはヒアリングをするけれども、少なくとも京都と慈恵に関しては、ちょっと矛盾点も多いのですが、これまでのヒアリングでキーパーソンの存在が明らかになっています。今後のヒアリングでは、そこまではやらなくてよろしいのですか。

○森嶌委員長 これも必要があればです。私の感じでは、やっても結果は似たようなものではないかと思います。大学側は、あれはありません、残っていませんということですし、関係者は、私は知りませんとか、もうお辞めになっていたり、ということですので。もちろん、桑島先生と後ほど御相談しますが、これだけの委員が何回も集まってやっていただいて事実解明をすることに、どれだけの効果があるのか疑問に思います。

 この問題は、やはり構造的なものですから、これは1つのケーススタディであって、1つのケースをどこまでやるかというのは、製薬業界と大学との全体の構造的な関係を解明しながら、これからどういう対策を立てていけばいいか、防止策を立てていけばいいかという観点でやるべきで、個別の大学の問題、あるいは、ここで言えばノバルティス社ですけれども、個別の大学や会社の問題に対する行政的な処分や今後の対応については、文科省とか厚生労働省が行政的な権限をもって調査をなさって、行政処分なりしかるべき処分をなさることだろうと思います。それが役所の仕事だろうと思います。

 これはまだ事務局と相談していませんから、勝手なことを言ってはいけないのかもしれませんけれども、今の時点では、私はある程度のところまで、やることはやっているのではないかと思います。もしもこれではなくて、この点はもう少し調べられるのではないか、構造的な問題を調べる上でも、更にこういうところを調べれば問題点が出てくるのではないかという課題がありましたら、別に桑島委員だけでなく、ほかの方も事務局に言っていただければ、私どもに言っていただければ検討したいと思います。

○桑島委員 この委員会としてやるべきことはやっているということに対して、私は不完全だと思っているのです。大学へのヒアリングで、やはりキーパーソンの存在が明らかになったわけですからその点の追求は行うべきです。しかも、このどこを見ても矛盾点がある。むしろ矛盾点が明らかになったわけですから、私はやはり審査しますということは、やるべきことはやったほうがいいと思います。

○森嶌委員長 御意見は十分に伺って、今後やっていくときに。その意味では、この2つの大学はもうやりませんとか、ノバルティス社についてはもうおしまいですということではありませんが、一応中間取りまとめをしたというように御理解いただきたいと思います。

○桑島委員 誇大広告の件と保険診療の問題は、別の委員会を立ち上げるのですか。それとも、この委員会の中でですか。

○森嶌委員長 今日、そんな話も出ましたね。検討はしたいと思っております。それだけ別の委員会を立ち上げるよりは、この委員会で検討していったほうがいいと私は思っていますけれども、その点についてはまだです。ともかく短い時間で、特にヒアリングなどでも918日からでしたか。私はこれができてから、毎日のようにドカドカとメールが来て、それを見たりしていましたから、広告までとても頭が回らないという状態でした。決してそれを排除しているわけではありませんけれども、そこまでやっていると、今日に間に合わなかったというのが正直な話です。

 ほかに何かございますか。別に私がこの検討委員会を主催しているわけではありませんので、事務局あるいは厚生労働省のほうからしかるべき御挨拶があると思います。これは課長がおっしゃるのですか。それとも、もっと偉い人が何かおっしゃるのですか。

○一瀬課長 事務局から事務連絡をいたします。本日の御議論を踏まえて、中間取りまとめについては必要な修正を事務局でやらせていただき、委員長御確認の上、皆様に回覧させていただきたいと思っております。また、これまで厚生労働省のWebサイトに掲載されている資料のうち、第2回の曽根委員の資料と宮田委員の利益相反の申出については、直近の状況に差し替えたいという申出がありましたので、Webサイトの差し替えの手続を取らせていただきます。本日の議事録については作成し次第、委員の皆様に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 皆様、大変御苦労いただき、長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございました。中間取りまとめについては、一応先ほど申し上げたような処理をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<問い合わせ先>

医政局研究開発振興課担当:高江、本間

電話: 03−5253−1111(内線2542、2590)

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