ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ> チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 第34回議事録(2013年8月26日)




2013年8月26日 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 第34回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成25年8月26日(月)17:00~19:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)


○出席者

秋山 正子 (ケアーズ白十字訪問看護ステーション)
有賀 徹 (昭和大学病院 院長)
井上 智子 (東京医科歯科大学大学院 教授)
大滝 純司 (北海道大学大学院医学研究科・医学部医学教育推進センター 教授)
川上 純一 (浜松医科大学附属病院 教授・薬剤部長)
神野 正博 (社会医療法人財団董仙会 理事長)
小松 浩子 (慶應義塾大学看護医療学部 教授)
真田 弘美 (東京大学大学院医学系研究科 教授)
竹股喜代子 (前 医療法人鉄蕉会 医療管理本部 看護管理部長)
星 北斗 (財団法人星総合病院 理事長)
前原 正明 (防衛医科大学校外科学講座 教授)

○議題

1)「特定行為に係る看護師の研修制度(案)」をふまえた具体的内容の検討
2)その他

○議事

 

○島田看護サービス推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第34回「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」を開催させていただきます。

 委員の先生方におかれましては、御多用中のところを検討会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、本日の委員の出席状況でございますけれども、本日は、英委員、山本委員より御欠席との御連絡をいただいております。そして、秋山委員におかれましては、少しおくれて御到着と御連絡をいただいております。

 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第の下に座席表をお配りしております。

 その下に、資料1「診療の補助における特定行為(案)及び指定研修における行為群(案)に関する意見募集の結果概要」、2ページの資料でございます。

 資料2「診療の補助における特定行為(案)に対するご意見の概要」でございます。

 資料3「指定研修における行為群(案)について」。

 資料4「指定研修について」でございます。

 そして、別とじにしてございますけれども、参考資料1「ご意見提出学会等一覧」でございます。

 参考資料2-1が「診療の補助における特定行為(案)に対するご意見一覧」でございます。

 参考資料2-2「指定研修における行為群(案)に対するご意見一覧」でございます。

 参考資料2-3「診療の補助における特定行為(案)及び指定研修における行為群(案)に関する意見募集のその他のご意見」でございます。

 参考資料3が「診療の補助における特定行為(案)及び指定研修における行為群(案)に関する意見募集にかかる説明会資料」一式でございます。

 参考資料4-1「医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について 別添1 臨床研修の到達目標」についてでございます。

 参考資料4-2「看護師等養成所の運営に関する指導要領について(抜粋) 別表3 看護師教育の基本的考え方、留意点等」でございます。

 参考資料4-3「養成調査試行事業実施課程における科目例」でございます。

 そして、参考資料5「第33回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループにおける委員の主なご意見」でございます。

 資料の不足などがございましたら、途中でも結構ですので、事務局のほうにお申しつけください。

 それでは、有賀座長、議事の進行をお願いいたします。

〇有賀座長 こんにちはというのか、こんばんはというのか、どっちですかね。5時から7時までの会議ということになります。

 東京は少し涼しくなったかなという感じがしますけれども、それでも蒸し蒸ししていますので、夕方ぐらいには疲労こんぱいということになります。最後の力を振り絞ってよろしく御議論を賜りたいと思います。

 議題が、1、2、それから(2)その他とありますが、資料1、2、3、4をそれぞれ見ますと、資料に沿ってという形で議論をしていけるかなと思います。

 ということで、最初に、資料からよろしく御説明ください。

○島田看護サービス推進室長 それでは、資料1を説明させていただきます。

 前回、ワーキンググループで御議論いただきました特定行為(案)、そして指定研修における行為群(案)に対しまして関係学会等から意見募集を行いました。その結果を資料1にお示ししております。

 意見募集の御案内は7月4日からホームページ上に掲載いたしまして、募集期間といたしましては、7月13日から8月5日までを一次締め切りという形で意見を募集しております。

 意見募集の内容といたしましては、診療の補助における特定行為(案)と包括的指示・具体的指示が行われてから診療の補助が行われるまでの流れについてのイメージ、行為名、行為概要の医学的妥当性や包括的指示の有無について意見募集を行っております。

 そして、指定研修における行為群(案)の一覧につきましては、病態確認の類似性等についての意見募集を行っております。

 意見の募集方法としましては、所定の様式にて電子メールで受け付けをいたしておりまして、意見をいただいたところでございます。

 4番目にありますように、この意見募集に先立ちまして、7月10日と11日の2回、この内容についての説明会を実施いたしておりまして、合計83名の参加をいただいているところでございます。

 意見募集の結果でございます。提出いただきました団体数、意見数は、以下に示すとおりでございますけれども、意見の一覧につきましては、本日、参考資料のほうに全ておつけしておりますのと、概要等まとめにつきましては資料の中に盛り込んでいるところでございます。

 続きまして、資料2以降を説明させていただきます。

〇中田医事課長補佐 事務局より、具体的に各学会からどういった意見が来たのかということにつきまして御説明させていただきます。

 まず、参考資料1と参考資料2-1を手元に置いていただきます。参考資料1は、今回、御意見をいただいた学会の一覧でございます。この記載のとおり、さまざまな看護系、医学系の学会から御意見をいただいております。

 お手元にある参考資料2-1というものが具体的な意見を集約化した資料になっております。いただいた400件以上の意見内容につきまして、この資料2-1の一覧にまとめておりますが、この内容をこのまま議論するよりは、事務局である程度カテゴライズして議論していただこうということで、資料2を用意させていただいております。したがいまして、資料2を前提に議論いただいても結構だと思いますが、個別の御意見について疑義があった場合には、参考資料2-1を振り返っていただければと思っております。

 それでは、資料2をごらんいただきたいと思います。各学会のほうからいただきました診療の補助における特定行為(案)に対する意見というものにつきまして、400件以上の御意見があったのですが、私ども事務局のほうでは、ここでカテゴライズしてまとめさせていただいております。

 今回、大きな6つの分類をいたしまして、それぞれごとに意見を集約してみようということで、まず、いただいた意見の大きな1つ目のカテゴライズといたしましては、1番目にありますとおり、医師が実施すべき行為のために特定行為より削除すべきではないか。

 2つ目の御意見といたしましては、難易度やリスクが高いために特定行為より削除してはどうか。

 3番目につきましては、行為そのもののリスクというよりは、行為実施後の緊急時の対応が看護師だけでは困難なために特定行為より削除してはどうか。

 4番目につきましては、行為全体というよりは、行為の対象となる患者の病態や年齢等といったものに応じて特定行為を限定してはどうかというような御意見でした。

 5番目といたしましては、これはもう既に包括的指示のもとで看護師が実施しているので、特定行為より削除してはどうか。

 6番目としては、上記5つのいずれにも分類できないものとして集約化させていただいております。

 ページをおめくりいただきまして、2ページ目をごらんいただきたいと思います。

 事務局のほうで先ほどのカテゴリーごとに関係学会からいただいた意見を集約化させていただいております。個々の御意見につきましては、各委員に事前に資料をお配りして御説明させていただいておりますので、詳細な説明は省略させていただきたいと思いますが、1番目にございますとおり、医師が実施すべき行為のため特定行為より削除ということにつきましては、ここにある意見が挙げられております。

 2番目の難易度・リスクが高いため特定行為より削除ということにつきましては、ここにあるとおりでございます。それぞれの学会が異なる観点での意見を出しておるために行為ごとは各分類で重複しているところはありますが、それはあらかじめ御了承いただければと思っています。

 3番目につきましては、この行為実施後の緊急時の対応が看護師では困難なため特定行為より削除してはどうかということで、ここは特に4つ、経口・経鼻気管挿管チューブの抜管や胸腔ドレーン、心嚢ドレーンの抜去、また一時的ペースメーカーの抜去につきましては、これを実施した後の緊急時の対応が難しいというようなことで御意見をいただいております。

 4番目につきましては、患者の病態や年齢等に応じて特定行為を限定するべきではないかということ。例えば、いただいている意見におきましては、小児に関しては非常に困難な場合があるので、小児を除くべきではないかとか、そういう患者のある特定の病態とか年齢に応じた行為の内容について御意見があったものをまとめております。

 3ページ目でございますが、包括的指示の下で看護師が実施しているということで、3ページ目から4ページ目にある記載については各現場で実施しているのではないかという御意見をいただいております。

 最後5ページ目でございますけれども、これまでの5つの分類いずれにも分類できないものとしてここでまとめております。上2つにつきましては、関係学会に対しまして、参考資料3にもありますとおり、行為名と行為の概要、あとプロトコルについて意見を伺ったわけでございますが、そこに記載の内容が、正しい学術的用語を使ったほうがわかりやすいのではないかということで、そういった意味での訂正・変更の意見がございました。

 また、最後の〇につきましては、行為名や行為の概要に新たな行為を追加してはどうかということで、ここに記載のとおりの行為について御意見があったところでございます。

 簡単でございますけれども、今回、各学会からいただいた意見をこの資料に集約化させていただいております。本日、個々の行為に関する議論というよりは、これらについてどのように作業を進めていくべきなのか、また、本日、御意見がありましたら、事務局のほうでさらに作業準備を進めてまいりたいと思いますので、その方向性について御意見をいただければ大変ありがたいと思っております。

 以上でございます。

〇有賀座長 ありがとうございます。

 今、資料1と資料2を説明いただきました。議題で言いますと、(1)の「1診療の補助における特定行為(案)及び指定研修における行為群(案)に関する意見募集の結果について」の前半の、診療の補助における特定行為(案)に関する意見の募集をした結果についてこのようになった、そういうことを踏まえて、委員の先生方からいろいろな御意見を賜れればということでございます。

 どうぞ。

〇星委員 ありがとうございます。

 これだけの意見が出てくるということは、非常に注目を浴びていることなのだなと思いますし、我々が議論している風景と同じ風景を見ているにもかかわらず、言葉尻についての共通の理解がないために意見が出ているものと、私どもが知らない世界というか、委員では全て網羅できていない世界で意見が出てきているものと分けて考えなければいけないのかなと思います。言葉の修正もそうですし、想定しているものについて相互理解がまだ進んでいないというのが実感です。

 特に対象や年齢云々という話は、何でもかんでもしてもいいと誤解されているように、そもそもの問題として、脈管の何とかだったらどんな年齢層でもどんな病態でも採血できるのだ的なことを想像しているとすれば、我々の説明不足だし、皆さんに理解されていないのは非常に残念に思います。ですから、そのあたりを少し割り引いていろいろ考えていかないと、事務局のほうでもおっしゃっていただいているように、これらの議論一つ一つにマルかバツかみたいな話をする立てつけには私は余り賛成しません。

 ここでしっかりと理解してもらうべきは理解してもらうということを明記したり、具体的な方法を考えるべきだろうと思いますし、また、我々が読み解くときに、これはこういう誤解をしているのですねというようなことでお互いに理解の促進を図る。お互いにというのは、この委員の中でもそうですし、意見をいただいた学会その他にも御説明をしていくというような努力が必要なのだろうと思います。

 もう一つだけ、出していただいた意見を見て感じたのは、医師がすべきだからだめなのだ、絶対的医行為にかかるからだめなのだというような反論が、医療系、医学系、医者の学会からほとんど出ていないというのが、なるほどそうなのかと思いました。「リスクの高い」云々ということについては個々の議論が必要だと思うのですけれども。

 3番目のところに、これも随分議論したつもりですけれども、実施後に起き得るさまざまな対応が看護師の判断や医師がそばにいないときにはなかなか難しいというようなカテゴリーが出てきていることにちょっと注目をしております。現実に今の現場がどのようになっているのかということについて、もしかしたら、私たち自身ももう少し勉強しなければいけない範囲があるのかなと感じました。

 いずれにしても、非常に膨大な意見を本当に短期間におまとめいただいたのですごいなと思いますが、冒頭申し上げたとおり、やはりちょっと理解が進んでいないところがあるという意味では反省すべき点があるのかなと思いました。

〇有賀座長 いかがですか。

〇竹股委員 私も、このパブリックコメントの各学会の意見を見ましたときに、これはやむを得ないだろうなと思いました。

 と申しますのは、私たち臨床の人間というのは、それぞれがそれぞれの思うままに、医行為の状況を鑑みて、これは危ないという話になるのは当たり前なのです。私どもはこの34回のワーキングでずっと進めてきたのは、さっきの話になりますけれども、A、B、Cというような形で分類をし、絶対的医行為はAというような形で、B行為の中からこれらを選んできたというプロセスがあるのですね。

 多分、その前提に、そのためにきちっとした教育をするのだ、そのままのナースがそのままの延長線でやるのではないのだというようなところの流れがあるから、私も臨床の現場に近い人間として納得できる。その辺のプロセスのところの経緯なり説明なりが十分にわかっていただけなかったのかなと思うのですが、今後、その辺をどうしていくかということだと思います。

〇有賀座長 私もこの議論の中で時々言及したのは、包括的指示と丸投げとは違うと。包括的指示、即、丸投げと思ってしまっている人が全くいないわけではなさそうだなというのは、病院の中を歩いていても、病院の外を歩いていても、そういうふうな観点からの質問を受けることがなかったわけではないので、よきにはからえ的な、丸投げ的な、そのようなこととこの包括的指示は違うという極めて重要な部分については、やはり説明を尽くさないといけないのではないか。

 それから、具体的な指示と包括的な指示も、ふだん、そのようなことを余り意識せずにやり合っているような人たちからすると、それってなあにという話になってしまって、今回の包括的な指示といったときの全体のプロセスの流れについて、こんなふうになってしまったら危ないからやめたほうがいいみたいなことになってしまうのです。だから、今、竹股先生が言われたみたいに、その教育をするということを前提にこの手の話が成り立っている。社会の仕組みのあり方としてこれを定着させるのであればということになるわけなので、そこら辺を丁寧に今後とも議論していかなくてはいけないのではないか。

 例えば、日本救急医学会も意見を出しているわけですけれども、多少、完全お任せ的な状況をつくってしまうかもしれないという誤解をしている嫌いがなきにしもあらず。そのような危ない橋を渡れというのではなくて、危ない橋だったら自分でずっと付き添いながらハンドリングすればいいだけの話であって、そうでないという判断をするとすれば、包括的な指示に従ってかくかくしかじかと。そのような現場の状況を丁寧に考えれば、これはだめ、あれはだめ、いい、だめというような話ではないのではないかと私は思うのです。そこのところがポイントではないかと思います。

 では、順番に。

〇前原委員 たくさんの意見を出していただいて、今、星先生と座長がおっしゃったように、皆さん誤解があるというのは、三十何回やっていてもパブリックにそれだけのステートメントはなかなか伝わっていないのだろうと思うのです。1つ大事なことは、このプロトコル、行為をつくるに当たって、小児であったり、ショックの状態であったり、患者さんの状態がどうだったとかいういろいろな特殊なケースに関して一々書くことはできませんので、代表的な、標準的なものを選んで書いています。

 そのことに関して、今、事務局でまとめていただいたものから見ると、3の行為実施後の緊急時の対応が看護師では困難なため特定行為より削除したほうがいいのではないかというのが麻酔科学会から主に出ています。そのほかの胸腔ドレーン、心嚢ドレーン、一時的ペースメーカーの3つのことに関して言えば、私の専門的なことから言うと、実施した後に急に何か起きるというようなことはまずないと思うのですけれども、この気管チューブの抜管ということに関して言うと、抜管後には緊急に気管のスパスムだとか、喉頭浮腫だとか、そんなことも起こり得ます。そのことを心配していると、抜管して、挿管できなければだめではないかということで、挿管の実施と抜管ということは対であるわけですけれども、要は、その特殊なことを挙げて、これができないのでまずは難しいだろうという懸念が出ている。

 3番のことで言えば、緊急時にそういうことが起きた場合、この行為の中にも「抜管後に気道狭窄や呼吸状態が悪化した場合は、再挿管を実施する」と書いてあるのですが、再挿管するだけではなく、緊急の処置を、医師をコールしてとか、その書き方を少し変えてやれば、この点に関しては十分に乗り切れるのではないか。

 では、挿管のことについては、皆さんの5ページ、6ページですか、行為番号60の「経口・経鼻気管挿管の実施」というところのパブリックコメントでは、麻酔科学会、救急医学会からも出ておりますけれども、挿管困難症というのがあることはあります。もちろん、たくさんの患者さんを診ていればそれはあるのですけれども、そのことに関して挿管をしろと言っているわけではありません。一般的な標準的なものに関して挿管をやるということ。そして、救急医学会からは、そういうことであるのであれば、しっかりとした教育をしてくださいねと。これはもっともなことで、救急医学会でやっているICLSという二次救命処置の講習も受けて、そういう教育をやった上でやっていただければいいのではないかということだと思います。

 この3番のことに関して言うと、緊急時の対応が看護師だけでは困難な場合ということに関して、削除はしないでもいいのではないかと私は思っています。全体的な印象からは、星先生、それから座長のおっしゃることはごもっともだと思っています。

〇有賀座長 具体的な指示を出すにしても、包括的な指示を出すにしても、出し手は医師ですから、難しいと思えば出さなければいいだけの話なのです。本当の臨床の現場というのはそういうものだとは思うのです。

 どうぞ。

〇川上委員 今回、たくさんの御意見が寄せられて、それを資料2の形で6つに分類していただきました。これは本当によくまとめていただいたと感謝申し上げます。

 自分の専門の薬剤の場合、判断の難易度とか、副作用、相互作用等のリスクの観点から考えなければいけないのですけれども、例えば、この分類の5番目に、「実際に看護師が既に実施しているため特定行為より除外すべき」という御意見があります。薬剤については、個々の薬物名ですべての書くことができず、薬効群名で書かれているのですね。抗けいれん剤、抗精神病薬、抗不安薬等、こういった分類には向精神薬も含まれるかと思います。しかし、一部の薬剤について既に実施しているから、もうそのカテゴリー全部を除外しても良いかというと、そういうことはないと思うのです。そのため、除外するかどうかというところは少し慎重にお考えいただきたいと思います。

 それと、その1つ前の「4 患者の病態や年齢等に応じて特定行為を限定する」は一つの考え方かと思うのですけれども、薬剤に関しては、薬効群の中にもいろいろな薬物があって、その薬物ごとにリスクは違うのです。例えば、「ある群は特定行為にしても良いが、この薬物は外すべき」というような、ある程度リスク評価に基づく考え方が少しは縛りとしてあっても良いのかとは思います。今後そういったことも含めて御検討いただければと思います。

〇有賀座長 神野委員。

〇神野委員 皆さんのおっしゃるとおりであります。入れるとか入れないという議論はここでもさんざんやってきたので、今回のこの資料というのは、皆さんおっしゃるように、こういう懸念があったということであって、入れる、入れないの議論はもうなしでよろしいかと思いますし、この懸念に対して丁寧に答えるだけでよろしいかと思います。

 そういった意味で、先ほど来、座長、前原委員もおっしゃったように、包括的指示を出すのは医師ですので、いろいろなところで、危ないと判断したものは出さないというのをきちんと世間様にアピールすればそれでいいのかなと思います。

〇有賀座長 今の川上先生のお話も、要するに医学にしろ薬学にしろ、広い意味で看護学もそうだと思いますけれども、個々の患者さんに対する個別的な対応というのは限りなくあるわけで、そのことを含めて私たちは医療行為をやっているわけです。

 なおかつ、一見簡単そうに見えたところで、行為そのものが極めて単純で、ある意味簡単でどうということはないと思っていても、別の病気がその瞬間に発生することもあるわけです。そのようなものが患者さんに現に進行することを知っていて私たちは医療をしなくてはいけないのです。

 したがって、究極的に大事なことは、そのようなことがあることを前提に病院が医療をしていかなくてはいけないし、本件に関することで言えば、教育ということが極めて重要なコアの部分をなしている。そこでどれだけのことをきちんと勉強していただけるかがほとんど全てを決めていくのではないかという気が私はするのです。

 例えば、大滝先生はどのような感想をお持ちでしたか。教育の話。

〇大滝委員 私も皆さんと共通した認識で、どういうことが誤解されやすいかということがとてもわかりやすく整理されたと思います。

 実際の研修の内容を検討する立場としては、例えば「患者の病態や年齢等に応じて」というところについては、指定研修の共通科目なり行為群の中で、小児は成人と違ってどこが特殊なのか、などについてある程度のところまでは研修して、その上で、それぞれの現場でのプロトコルについては、現場での最終的な研修とチェックの中で確認するということをもう少し強調する必要があると思いました。

〇有賀座長 今までのお話だと、資料2の1番、2番、3番、それから4番もある程度合理的に説明をしながら先へ進んでいくことができそうなのですけれども、5番の、既に包括的な指示でやっているという部分は、どんなふうにやっているか。「包括的な指示」という言葉そのものがこの業界筋ではこのワーキンググループでようやくポピュラーになったと。

 一部、救急隊に関しては、包括的な指示で除細動しましょうというような言葉がターミノロジーとしてはありますのでいいのですけれども、包括的な指示で既に行われているというのは、これを見る限り、どんな状況だと想像したほうがいいのですか。ちょっと意見を言ってください。

〇井上委員 この5番については、提出学会名を見ると、4つか5つぐらいの学会等に絞られてくるのではないかと思うのです。

 1つは、ICU系の人工呼吸器管理がもう既に進んでいること。あとは、在宅でもう既にやっているということ。3つ目は、薬剤は多分、精神科のかなりのところでやられている。この3領域は専門領域ではあるので、これを全体としてどう見るか。そこの領域ではもうかなり当たり前にやられていることを今回はどう扱うか。そこの問題かなと思うのです。

〇有賀座長 何か意見ありますか。

〇秋山委員 7月4日になされた会議のところで、気管カニューレの交換のイメージ図というのが前の30ページに出ているのです。これは一つずつ検討してはいませんけれども、この図で、この真ん中の青い枠の「医師により特定された患者について」の「医師により特定された患者」というところでかなりたくさんのことを包含している。

 そこを踏まえながら、気管カニューレの交換は、確かに在宅分野ではなされてはいるものの、研修が十分に行われないと危険な部分もあり、そういうことでは本当に具体的な指示でする場合と包括的な指示でする場合とは異なり、研修を受けた者がするというのを基本として提示したほうがいいのではないかとは思います。

 ほかの精神科の薬剤投与については、私としては、在宅の場ではまだそれは非常に危ないという気がしておりまして、研修が必要なものだと思います。

〇川上委員 この5番に「『包括的指示』の下で」とあるのですけれども、我々の今の議論は「『プロトコル指示』の下で」と変わっているので、実際にそれらがどの程度のプロトコルに基づいて実施されているのか、という点も検証が必要かなと思います。

 逆に言うと、「プロトコル指示の下で」実施するためには研修が必要であり、すなわち、特定行為に入れておかなければいけないので、そもそものロジックがおかしいように思います。

〇有賀座長 全体のコンテクストというか文脈というか流れからすると、特定行為というふうな形に位置づけて、勉強のプロセスの中に入れ込んでしまって、その入れ込んだものを勉強された方に関しては、全体の流れの中で包括的な指示という方法論に従ってその件を実施していただく。そうではなくて、現場で行われているとすれば、それはここで言う包括的な指示というよりも、むしろ具体的な指示があって、それを忠実にナーシングスタッフがやってくださっていると考えるのが妥当なのではないかと思うのです。

 ですから、今、秋山先生が言われたみたいに、きちっと教育をしながら、そういう意味で、日本国における社会の仕組みとしての包括的な指示のもとでの特定行為の全体のレベルアップという話ではないかと思うのです。

〇星委員 今、座長がおっしゃったとおりだと私も思います。ここで言うのは、我々が今まで議論してきた包括的指示とはちょっと意味合いが違って捉えられているのだろうと思います。現にやられていることに関して言えば、この範囲でこういうことが起きたらこういうふうにしてねということについて言えば、それは既に行われていて、個別の患者さんに対して個別の例を示した上で、ある範囲を示した指示を包括的指示というふうに私は読み解いて、既にやっているではないかと答えているのだろうと想像しています。

 それよりももっと進んでいろいろなことをやっているかどうかはわかりませんが、そう考えるのが自然だろうと思いますし、それについては、研修しなくていいとは言いませんが、ある一定の範囲でそういうことが行われていることを否定するわけではないので、それができなくなるということではありませんよということでいいのだと思います。

 ただし、今、川上委員もおっしゃいましたが、そういうものをトレーニングするプロセスがしっかりと明示されたので、もう一歩進んで、本当の意味での包括的な指示のもとにこういうことをするようになれば、やはりこういう勉強をしてくださいねという説明をすることによって、今やられている人たちがもう一歩進んで勉強して、もう一つ次の山を越えるみたいなことというのはあり得ると思うので、これについて言えば、我々はそのように受けとめて、ネガティブな印象を持たなくていいのではないかと思います。

〇有賀座長 これはこれから先の議論の中にも入ってくると思いますけれども、研修の方法論そのものが現場にいる看護師さんたち、また、医師も含めて、看護師さんと一緒に仕事をしているチーム全体が、ハードルがものすごく高くなってしまって、デッドロックに乗り上げるにも乗り上がらないような状況をもしつくってしまうと、今、星先生が言われたようなことは、話としてはなかなか上手に展開しませんよね。その辺のことと上手にリンクさせながら丁寧に議論していかなくてはいけないのではないかという感じです。

 真田先生、いかがですか。

〇真田委員 5番の今の議論は先生方の言うとおりで、私は、包括指示という概念自体がまだきちっと説明し切れていなかったからこういう提案があったのだと思います。抗けいれん剤、抗精神病薬、抗不安薬、これらの薬剤を考えてみると、やはり3Pができて、かつ、実際に実習ができないと、包括指示のもとで意思決定していくというのは非常に難しいのではないかと思います。多分、個別指示、直接指示ということのもとに今までされてきたと私も解釈いたします。

〇有賀座長 ありがとうございました。

 あと、小松先生にしゃべっていただくと一回り。

〇小松委員 皆さんの御意見に納得でございます。

 特に今回よくわかったのは、私どもがずっと示してきている、要するに、包括的指示、具体的指示が行われているイメージというところがまだ十分には浸透していないということの結論かなと。特に包括的指示は、パー・プロトコルでやっていくということにおいては、例えばさまざまな副作用のグレードとか、そういうことに。そのことが何を意味して、どのように判断してというところが入ってくるわけで、そこがちょっとイメージがついていないのかなと思っています。

〇有賀座長 結局は、そういうイメージをより強固にするためにも教育が大事だという話ですね。

 では、議題(1)の1の前半の、診療の補助における特定行為(案)に関する意見についての先生方の御意見を一回りお聞きしたということで。

 はい。

〇前原委員 1つ個別で申しわけないのですけれども、前回もありましたが、参考資料2-1の28ページ、96の行為、「大動脈バルーンパンピング離脱のための補助頻度の調整」というところです。ここは私の専門的なことなので、皆様にはちょっと申しわけないのですが、前回、抜去まで入れてほしいという話をしたところ、各学会がどうなのだということでパブリックコメントを求めましたら、28ページに書いてあるとおり、救急医学会、あと看護系の研究会以外の胸部外科、心臓血管外科学会、血管外科学会、外科学会等々から、大動脈パルーンパンピングというものはだんだんウィーニングをしていって抜くまでをやっていただきたいということでパブリックコメントが出ているので、皆様よろしければこれを認めていただきたい。

 用語の違うところというので、イントラアオルティックで「大動脈内バルーンパンピング離脱のための一連の管理と抜去」としていただいて、行為概要も「一連の管理と抜去を実施する」としていただければありがたいと思います。

 その抜去のところの止血の処理というのが、今、99%、7フレンチでやっているのが常でございますので、2.3ミリのところを押さえてということに関して、急に何かトラブルが起きたりというようなことはあり得ないでしょうというのが専門家の意見なので、よければそれを認めていただければと思います。

 以上です。

〇星委員 先にいいですか。どさくさに紛れてあれなのですけれども。

 前回の議論で、とりあえず置きましょうということになって、まず、その頻度の調整ということで項目を整理したのですね。ほかにも追加してくれ、ナートも含めろとか、何をしろという話がありますから、きょうは個別の話をしないという約束でやったのですから、前原先生、ルール違反をしないでいただいて。

 もう一つ、3番のところにある抜管の話。その後、挿管の話もあるのですけれども、気管切開が必要なものというのは、ごくごくまれだけれども、あるよねという話がある。これは多分、どういう教育の内容にするのですかというようなことを考えながらやらないと、単純に危ないからだめよという話でもないし、抜管屋をつくるわけでも、挿管屋をつくるわけでもないので、呼吸器の、特に人工呼吸の管理をする人たちについてどうなのだという話。それは在宅であったり、いろいろな場面を想定しながら、どうするのだという話になるので、前原先生、大人になっていただいて。

 今回は、この後の話も、教育の内容からもう一回フィードバックして、そんな中途半端にできるぐらいだったら、こういうことも必要だねとか、これは危ないからやめようねとかいう話。そこまではなかなか厳しいねという話は、多分、教育の内容や研修の仕方やする場所、その他について議論する中でおのずと決まってくると私は思うので、今回そういう提案であります。

 あえて意見を出します。

〇有賀座長 しかし、本当にこの手のことが私たちの仕事の中で展開し始めると、恐らく、そこで待ったがかかるような話は、多分、本件を遂行している現場のナースにとっても、そのナースに包括的指示を与えたドクターから見ても、極めて不自然な状況が起きてくるだろうということをこの専門家の人たちはもう既に先取りしている。

 救急医学会なども、抜いたら危ないとか。今言ったバルーンパンピングを抜いたら危ないですよね。危ないときはやらなければいいだけの話です。やらせなければいいだけの話。そのような意味での全体を立体的に理解するような話も同時にしていかなくてはいけないだろうという話ですね。

 前原先生、よろしいですね。

〇前原委員 星先生と闘うわけではないのですけれども、どさくさに紛れてもいないのですけれども、せっかくパブリックコメントを求めて、その辺を知りたいとおっしゃられたので、今の現状は、バルーンパンピングのことに関して言えば、循環器内科もそのようになっているので、かえってそこに置いておくと、バルーンが動かないでとめておくと血栓ができ不都合となります。

〇有賀座長 先生、もう。

〇前原委員 分かれていますよね。なのでという一連のものにしていただければありがたいということです。

〇有賀座長 先生、教育のプロセスの中で恐らくナンセンスな話は消えなくてはいけないのですから。

〇竹股委員 私もちょっと子供の意見になってしまうのかもしれませんが。

 私は前回にWHO方式のオピオイドを2件。これは、私、かなり心を込めて言ったつもりなのですけれども、抜けていて、よくよく見ると、日本看護協会がパブコメで出しているのですが、多分、これはもともと入れていなかったせいか、ほかの学会の方たちの意見が入っていないのかなという印象を受けたのです。これも早晩いろいろ話し合いをする中で、教育の中で検討され得るということで解釈するのであるのならば、意見にとどめておきたいと思います。

〇有賀座長 多分、在宅の中での話なども十二分に考えていかなければいけないと思いますので、今ここでああだこうだとばしっと決めたところで、現実は現実として走るわけです。言っておられることはよくわかります。

 きょうは英先生は欠席なのですね。いずれ議論する機会はあるだろうと私は思います。

 ということで、別にどさくさでやっているわけではないです。真正面からてくてくと歩いていますので、1の後半の「指定研修における行為群(案)に関する意見の募集」ということで、資料3をお願いします。

〇島田看護サービス推進室長 それでは、説明させていただきます。

 資料3と参考資料2-2をごらんいただければと思います。

 意見募集の対象としまして、指定研修における行為群(案)につきましても御意見をいただいているところでございます。いただいた御意見全てにつきましては、参考資料2-2にまとめてお示ししております。

 2-2のほうに、この行為群からこの行為を移動させたほうがいいといった御意見ですとか、その他御意見をいただいているところでございまして、一覧をおつけしております。その中から本日まず御議論いただきたい点につきまして事務局のほうで資料3のほうにまとめさせていただきました。

 資料3をおめくりいただきまして、中身の2ページと書いてあるところの上のほうでございます。これは前回お示しし、意見募集を行いました内容でございますけれども、まず行為群の設定といたしましては、指定研修は特定行為の範囲に応じた研修内容ということで、指定研修の対象となる行為群に区分するということで提案をさせていただいております。

 今回、意見募集をしております対象の行為群としましては、患者さんの病態確認の内容の類似性という観点で行為群をまとめたものをお示ししているところでございます。

 そして、下のほうに書いてございますその指定基準との関係から考えますと、研修機関の指定については行為群単位で可能としてはどうかということで、研修機関の裁量で行為群を組み合わせて研修を提供すると考えてはいかがかという案をお示ししているところでございます。

 そして、各行為につきましては、超急性期領域から在宅領域まで幅広く実施される特定行為につきましては、その研修の中で幅広い領域で実施するということを前提として研修を行っていただくということを考えてはいかがかということ。

 それから、受講生が、その指定研修機関が提供する複数の行為群の一部の行為群のみ受講可能としてはどうかという案で意見を募集させていただいているところでございます。

 3ページにお示ししておりますのが、現行お示ししております行為群の一覧でございます。

 おめくりいただきまして、4ページに、本日御検討いただきたい内容についておまとめしてございます。

 意見募集でいただきました御意見を見ますと、その行為群を重ねたり、行為を移動したりという意見の前に、行為群の設定そのものについての御意見をいただいているところでございます。意見募集から御意見をまとめてみますと、大きく2つに分けられるかと考えております。

 囲んでおります上のほうでございますが、行為群を柔軟に組み合わせて研修を実施できる仕組みが適当であるという御意見でございます。具体的には、領域全体ではなく、その一部の行為群のみの研修を提供する研修機関として認められるような柔軟性が望ましいという御意見ですとか、インスリン投与量調節といった行為が行為群となっておりますけれども、こういった対象患者が多い行為は、多様な行為と組み合わせて研修可能とすることが現状に即しているといったような御意見をいただいております。

 一方で、看護師の活動領域ごとの研修とする仕組みが適当であるとする御意見をいただいておりまして、研修修了看護師の活動領域を考えると、細分化し過ぎないほうがよいという御意見ですとか、研修修了看護師の現場での役割が明確となるよう、患者さんの病態や看護の目的に即した領域にするといった指定を行うことが望ましいという御意見をいただいております。

 こういった御意見を踏まえますと、矢印の下でございますけれども、現場の実情から考えますと、研修を必要とする行為の範囲は多様ということで、少数、必要というところもあれば、幅広くというところもあるという実態かと思いますので、研修を受ける最小単位を行為群としまして、指定研修機関がニーズを踏まえながら行為群を選択することができる指定基準としてはいかがかと考えております。

 そして、指定研修修了看護師の医療現場における役割を明確にするといったことも重要かと考えますので、指定基準で領域を示すのではなく、各指定研修機関がどのような現場の領域での活動を念頭に置いた研修を提供するのか、受講者に対して事前に提示していただくということで足りるのではないかという案をお示ししております。

 本日、この点につきまして御検討いただきたいと考えておりますが、その下、5ページ以降は、今申し上げました行為群を選択することによって、例えば、超急性期領域で選択する例をイメージとしてお示ししておりますし、6ページには慢性期領域、7ページには長期療養、在宅領域における研修例をイメージとしてお示ししております。それぞれの研修の例、枠組みの上のほうに「当該指定研修のねらい」ということで、この研修機関がこのような内容の行為群での研修を設定した場合に、こうした活動を行う看護師の育成を目指すということをそれぞれの指定研修機関でお示しいただくということで、ここを修了した看護師の現場での活動イメージというものをお示しすることができるのではないかと考えているところでございます。

 8ページには、これも以前お示ししておりますものですが、指定研修機関の研修実施方法についてのイメージ、9ページには、研修を修了した看護師の看護師籍への登録イメージをお示ししております。

 資料の御説明は以上でございます。

〇有賀座長 ありがとうございます。

 例えば、5ページの「超急性期領域で幅広く特定行為を実施することを通して」云々という茶色い囲みと「ICUなど超急性期領域で行う行為の研修の一部を提供しようとする指定医療機関」というので茶色とブルーがあって、これは意見募集における御意見の、四角で囲んだ上と下をイメージすることができるような絵柄ということでよろしゅうございますか。

〇島田看護サービス推進室長 5ページ、6ページ、7ページは、あくまでも研修機関が行為群を自由に選択して実施していただく例ということで、上のほうの茶色の囲みでお示ししております内容は、どちらかというと、多くの行為群を研修の内容として含めて提供しようとする機関の例であります。水色のほうは、より限定というか特化した内容を研修するという例をお示ししております。

 意見募集でいただいた内容としましては、これを領域という形で、例えば慢性期領域での行為内容はこれというふうに示した上で、それを指定基準としてはいかがかという案でございましたので、どちらかというと、このオレンジで示したような内容をもって基準ということで示してはどうかといったような御意見をいただいているところでございます。

〇有賀座長 つまり、4ページの「検討の方向性について」の「意見募集におけるご意見より」と書いた四角い囲みの「行為群を柔軟に組み合わせて研修を実施できる仕組みが適当であるとする意見」と「看護師の活動領域ごとの研修とする仕組みが適当であるとする意見」があって、その後、矢印があるのですけれども、今言った意見の下のほうの意見、領域ごとの研修とする仕組みがいいのではないかという人から見れば、このオレンジだか茶色だかの部分がそれに相当するのかなと思ったのです。そのように思ったことそのものは間違いではないのですね。

〇島田看護サービス推進室長 はい。そういった御意見もありました。あと、この行為群にかかわらず、違う行為のくくりで領域を設定してはどうかという御意見もいただいています。

〇有賀座長 ということで、それらを勉強するときには、既に議論されたように、8ページや9ページのあのころのあの議論を思い出してねというふうなことでありました。

 いかがですか。

〇星委員 この資料のできが余りよくないというのが、多分、我々の理解をさらに難しくしているのだと思うのですが、簡単な話、私たちは、それぞれの特定行為という、危ないといいますか、いろいろなことを勉強しないとなかなか難しいという行為について抽出をして、それらの現場で使われる使われ方はさまざまあるけれども、一応行為というものに着目して整理をしました。したがって、行為と教育内容というのは一応パラレルにつながるということになっている。したがって、こういうことに施設として認定するし、カリキュラムの内容や、その人が合格した場合に行為群として整理しましょうという話が、我々がずっと歩んできた道だろうと思います。

 当然のことながら、途中で、スーパー看護師さんなみたいな、この領域だったら何でもできるというような人たちをつくろうという話があったのですが、それはそれとして、つまり、今回示された行為群を全部できる人を目指すという学校やそういうカリキュラムがあってもいいけれども、それがなければ認定しないとか認めないということではないよということをずっと議論してきたと思うので、それから逸脱しなければ問題はないのだろうと私は思います。

 ただし、例えば動脈採血だけする人というのを想像したときに、そういうのが頻繁に必要で、ここだけちゃんとやっておきたいねというときに、どのぐらいの中身で、どのぐらいのことをやって、どこでやるかという話と、何でもかんでもやれるというか、例えば14行為群が全部できるような人をつくろうと思ったところ、どのぐらいの期間をやるのかというイメージが余り湧かないので、この青いのと赤いのが何となく対比されているのだか対比されていないのだかよくわからないという構造になっているのです。

 もっと単純に整理すると、まとめるとかばらすとかいう話は別として、ある行為群の勉強をするときに、その中にも使われ方が幾つかあります。慢性期での活用方法と急性期や周手術期での活用方法というのは実は違うものも含まれていますが、これは行為群について切り出しているので、その行為群の特徴を持ちつつ最低限の勉強をしてくださいねと。与えられたほうも、当然のことながら、例えば採血ができたり、あらゆる領域で何かができる、あらゆる活動の場面でできるというふうには理解しないようにしましょうねという話なのだろうと思います。ですから、これと、領域ごとにやりましょうという話は、一見矛盾しているように見えますけれども、そういう理解をすればいいのかなと私は思って見ています。

 例えば、ある人が在宅を意識した中である行為群について学びました。その人は、その行為群について学んでいるので、ICUに移って同じ行為群をいきなりやれるかというと、多分そうではない。行為群についての理解はしていますが、活用現場での違いがあるので、その違いについては改めて追加的な研修を必要としますというところまで教育の中に仕込んでおく必要があるのだろうと思います。

 そうなると、結局、認証して、書くときの書き方が非常に難しくなるということが前にも話題になりました。例えば「脈管系何々、動脈系何とかを修了した。ただし、在宅分野での何とかに限る」という書き方になるのか。あるいはどこでもやれるようにするとすれば、これはこれでまた非常に問題で非常に難しいことになります。ですから、行為群として切り分けて、入り口を入りました、実際に使われる現場があります、その現場への適用をどのようにするのかという議論をこれからしていくことになるのだろうと思います。ですから、教えるほうも教わるほうも、どっちにしてもある種の制約があるということです。

 例えば何とか行為群を急性期で学んだからといって、その行為群を使うあらゆる場面ができるわけではない。どっちもそうなのです。だとすると、どのように切り分けて、そのときにある制限、つまり、それは教える側も教わる側もある制限を自分たちに課すということを制度の中に盛り込まないとなかなか出口がないのかなというのが今回のこの話の肝だと思うのです。

 その入り口の議論を間違うと出口を間違えそうなので、入り口の議論を間違えないようにもう一回言うと、危険な行為があります、それについて研修が必要です、その研修については一定のレベルに達するものをやりましょう、そしてそういうことが包括的な指示で行えるようにしましょうというのが入り口であって、ある領域で特別に活躍できる特定の看護師さんをつくろうというところからは離れているということを認知した上でこの議論を進めていくべきだろうと私は思っています。

〇神野委員 この行為群の話と同様に、ほかのところでは病床機能分化の話題がいっぱい出ているわけですけれども、今、これだけ高齢者がふえていると、大学病院でも超急性期だけではなくて急性期もあるし、回復期もある。下手すると、慢性期も大学病院は診ている可能性がある。1つの病院の中でごちゃごちゃにいろいろなものを診ているわけです。恐らく看護の世界も、私は超急性期だけですとか、慢性期だけですというわけにはなかなかいかないというのがこれからの流れではないかと思います。それが大前提。

 今までの議論の中で、1階部分である座学とか勉強するところがありますが、これはどれも共通でしたね。次に出てくるのかもしれないけれども、そこの1階部分は、急性期から在宅、慢性期までをきちんとしたカリキュラムでやるべきと思います。

 2階部分は、先ほど病院の中でもいろいろな病棟機能、病床機能があると同様に、ある程度モジュール的なものがあるべきなのかと私は思います。そのモジュールの組み合わせで、教育機関が、うちは急性期のICUの特定行為を勉強させる機関だとするならば、このモジュールとこのモジュールとこのモジュールが必要だから、私たちはそこを教育しますと。あるいは私たちのところは在宅で一人前になっていただくのを教育するところだから、このモジュールとこのモジュール。それは各教育機関が特徴を出す。特徴のあるところには自然と人が集まるだろうし、特徴のないところは淘汰されていくだろうと思えてならない。なので、ちょっと後の話になるかもしれないけれども、基礎部分というのをきちんとやった上で、モジュールの組み合わせでいいのではないかと私は思います。

〇星委員 神野先生、ちょっといいですか。

 今、2階建てと言ったけれども、私は3階建てではないかと思うのです。話は一緒なのですが、その領域と行為群と基礎的な話というのを3段階に考えて、まず、自分たちが包括的な指示である危険な行為をするというのは何たることかという話は基本的に理解する必要があって、自分たちが扱う領域におけるさまざまな病態その他についてどうなのかということを理解した上で、自分が実際に使う機会や実際に使う現場でどういうふうにするのか。

 その先はOJTがプラスアルファなので、例えば慢性期でそこまでやったとすれば、急性期のことをやるとすれば、1階建てと2階建てのところができているので、3階部分はOJTでいいよねという理解も可能だと私は思っているのです。神野先生は2階建てと言ったけれども、もしかすると3階建てで考えて、それぞれの中身を検討していくとすきっとするような気もしますが、何かごにょごにょするような気もします。

〇有賀座長 だけれども、1階の部分がとても大事だよねという話はもう星先生も神野先生も言っておられるわけで、もし私がここに座っていないでそっちのほうに座っていたら、場合によっては、1階の部分をばちっとやれば、あとは結構そこそこうまくいくのではないかというふうな比較的派手なことを言ってしまう可能性があるのです。座長ですので言いませんが。

 どうぞ。

〇前原委員 私は座長の意見と全く同意見でございます。

 座長の代弁をするわけではないですけれども、その1階部分は、神野先生、星先生がおっしゃるとおりで私はいいと思いますし、ここへ来てようやく合意が見られたかという感じもします。1階部分のところを、基礎の、いわゆる一つの行為しかしていないから、その行為のことについて勉強すればいいのだというものはもうなくなって、このことはコンセンサスが得られていると思うのですけれども、いわゆる3Pと言われている病態生理だとか、身体の診断学だとか、解剖学、薬理というものを1階部分である程度しっかりと、そして、2階部分では領域になるのでしょうし、3階では、星先生がおっしゃるようにOJTだと思います。

 例えば抜管、挿管にしても、幾ら、やり方、ハウツー、背景の理論、呼吸器の理論、呼吸とは何ぞやというようなことを教わったとしてもできはしないわけです。医者もそうですので、それは3階部分のOJTで、何回やってうまくいった、そうしたらやっていただくというようなところでチェックがかかってくるのだろうと思います。ぜひともそういうふうなことで、基礎の1階部分というのは非常に大事だろうと思います。

〇神野委員 このOJTが3階なのか2階なのかという話ですけれども。

〇前原委員 2、3階でいいのではないですか。

〇神野委員 私は、もしかしたら一緒かなと。領域の2階部分のところにOJTも入ってくるのではないかという気がするのです。

〇星委員 2階か3階かは、どっちでもいいといえばどっちでもいい話なのですけれども、前原委員がおっしゃるように、1階のところを余り重たくして、余りヘビーにしてしまうと、少なくとも私が想像している、多くの人たちに受講の機会が与えられて、そういうトレーニングを積む入り口として、余りハードルの高いことをみんなが想像してしまうとかなり難しいのですね。

 私があえて3階に分けたのはそういう意味でありまして、最初のところは、まさに3Pと言われるところも、何も全身くまなくどうのこうのというのではなくて、基本的な概念として、自分たちが包括的な指示で、ある危険な行為を行うというのはどういう意味があるのかというようなことについてしっかりと理解する。あるいは法律的な理解も必要なのかもしれません。

 そういう意味で、1階の部分だけが余り大きくて、あとは、それこそ座長が言うように、ちょいちょいとやればOJTでいいよというような中身にしようとすると、その数をふやしていったり、実際に活躍の現場をふやそうというもくろみとは相反して、入り口になかなか食いついてくれないということがある。せっかくつくるのですから、やはり食ってもらわなければいけない。

 そういう意味で言うと、その配分は非常に難しいと思うのです。しかしながら、最終的なでき上がりの姿とすれば、動脈採血だけする人も、挿管だけする人も、基本的に押さえていなければいけない部分というのはあって、挿管だけするにしても、せめて呼吸器のこう、こう、こういう分野について知っておいてもらわなければいけないという話になってくるのだろうと思うのです。

 だから、何とかだけする人をつくることも排除しないし、それを組み合わせてできる人をつくることも排除しないという意味において、カリキュラムのつくり方、教育の仕方、あるいは2階建て、3階建てという議論は非常に重要な意味を持っていると思うので、神野先生がおっしゃったように、どういう組み立ててでやるのかという話を始めないと、これはなかなか進まないような気もします。

〇有賀座長 先ほど私が8ページ、9ページを思い出しながらと言ったのは、今、星先生が言われたことそのものなのです。かえった卵が働いている現場に行って質疑応答したときのことを今また思い出すのですけれども、ある行為が医学的に極めて奥が深い。したがって、そう簡単にはやれないし、やらない。勉強はしたのだけれども、なかなかやらないということも結構あったということを、勉強された、卵からかえった鶏の、昔で言う特定看護師さんが言っているわけですから、その程度には勉強していただく。

 つまり、さっきの挿管とか抜管で言えば、どうしてこれを包括的な指示のもとで私たちのところに来ないのかということが即わかる。つまり、そういう意味での医師の判断基準というか、そのようなことを共有できる程度には勉強していただくというふうなことがあって初めて特定行為についてやれる、やれないという話になるのではないかと思うのです。

 究極的に言えば、神野先生がおっしゃるみたいに、OJTの積み上げでしか本件について一定の水準のところにはいかないと思われますので、OJTの位置づけをどこら辺まで下げてくるかによって、1階と2階なのか、1・2・3なのかという話になるのかもしれません。いずれにしても、1が超頭でっかちではどうにもなりませんけれども、1さえきちっと押さえておけば、あとの応用は相当程度いけるというふうな感触が私自身のイメージであることは間違いない。やはりそこが基本ではないかと思います。

 どうぞ。

〇竹股委員 途中で話を。

 今のお話は、どちらかというと、どういう群にするのかという話なので、そちらにちょっと戻させていただくのですけれども、私は、この話についてはどうしてもイメージが合わないというか、違うのです。

 前回申し上げたので、もう一度繰り返しになりますが、そもそも今回のこの話し合いというのは、もう3年以上かかっていますけれども、現場にとっても、多分、患者様にとっても、とてもわかりづらい状況になっているのですね。と私は思っています。私も現場の人と話す機会がありますが、説明してもよくわからないのです。多分、何時間も資料をもって話さなければわからないぐらいのわかりづらさ。

 そういうことがまず前提なのですけれども、そうしたときに、この行為群でフレキシブルにやるというのは、確かに、説明としては一見わかりやすいのです。この行為があって、この行為を学ぶ。いろいろな学び方がある。そして、自由に選ぶ。というのはわかりやすいのですけれども、これがもし現場レベルの実践レベルになったときに、こんなにわかりづらいことはないだろうと思えてならないのです。

 それはもう何遍も言っていますけれども、Aのナース、Bのナース、Cのナース、その人たちがそれぞれ何を学んできたのか、どこまでやれるようになったのかが限りなくわからなくなってしまう。つまり、それは行為を中心にして行うからそういう話になるのです。そうしたときに、運用的に現場でどのようにやれるのか。私は、看護管理者として師長クラスのレベルで考えても、安全管理、活用管理が大変難しいなと思っています。これは、看護職ではなくて医療の現場の先生方もそうですし、患者様やその御家族もわかりづらいと思います。これが1点。

 もう一つの側面は、今度は、ナースたちがこの行為一つ一つを学ぶために本当にモチベーションを上げて研修に行けるのかということなのです。看護職は、基本的には学び方が医師モデルだと思います。領域でも群でもいいのですけれども、その中で、ここのところにこういう範囲の患者様に対してこういう看護をする中で、この医行為が入れば、患者様の医療により貢献できるだろうというような、その延長線の中で学びたい、あるいは管理者も学ばせたいというふうなモチベーションがつくのであって、行為そのものを学びに行きますというのは、そういうナースが全くいないとは言いませんが、私が知っている範囲での看護職も管理者もそういう行為群だけを学びに行くようなイメージはモチベーションを上げないと思っています。

〇有賀座長 だから、看護師さんたちのモチベーションというのは、看護師さんにとっての特定行為についての位置づけという意味においては、一定の理解を聞きながらわかりますけれども、要は患者さんのためにやっているわけですので、そこである幾つかの細かな行為を勉強する。

 先ほど、インスリンでしたか、そのような結構たくさんの患者さんがいて、その部分を核にしながら勉強したいというふうな人がもしいたとすると、そのような方法論を残しておくということは論理的にあっていいわけです。だから、このような大きな固まりとして、こういう領域、ああいう領域というふうにして勉強するという方法論もあってもいいのですけれども、スポット的に勉強したいという人がいたときに、そのことを排除するということにはしないほうがいいのではないかというのが星先生の意見だと私は思います。

 そのような人たちがいそうだと思う現場もあることを知っていて、星先生は言っているわけですね。

〇星委員 はい。まさに座長がおっしゃっていただいたとおりです。例えば呼吸管理とかでもいいし、インスリンでもいいのです。

 インスリンの現場というのは、いろいろなところがあるでしょう。ICUの中でもあるでしょう。オペ室でももちろんあるかもしれません。在宅でもあるでしょう。普通の外来の中にもあるかもしれませんし、救急、緊急事態の中にもあるかもしれません。そのときに、私はインスリンのコントロールしかできませんという看護師さんを別につくろうとしているわけではなくて、危ないと言われている行為のうち、インスリンの投与量とか種類とか、血糖のコントロールなどについて一定の理解をしている、そして、先ほど言った第一段階のところをきちんと理解している人が、どの現場に行こうとも、そういう観点から、危険とされる血糖のコントロールをインスリンを使ってやるという行為を包括的な指示を受けてできるという人をつくってはならない、あるいはその人たちにモチベーションがないという話は、にわかに信じがたいと思うのです。

 呼吸管理とて同じです。在宅で呼吸管理をしている人たちから、オペ室の一時的な呼吸管理をする人、あるいはALSのような人たちについて、在宅にいたり、施設にいり、病院に来たりという人たちが、そのときごとに違った環境の中で呼吸管理をしていくことについて、その呼吸管理についてよくわかっているという看護師さんに包括的な指示のもとに危険な行為をしてもらうというのがどうして理解してもらえないのか。私にはそれが理解できないです。

 私は、領域ごとにやりたいという話を否定しているわけではないのです。領域ごとにやるという選択は、まさに教える側、教わる側が領域ごとのそういうものを打ち出して、あるいは売り物にして、うちに来ると、3年がかりだけれども、これとあれとそれとこれができる、この分野におけるいろいろなことができる人になりますよ。それにはこの行為、この行為、この行為が含まれていますよということ。私は、それをやってはいけない、そんなものはけしからんと言っているつもりは全くない。

 今、座長がおっしゃったように、その両方の切り口があって、私は行為群に分けて入った、しかしながら、その行為群だけではその場面が全てにマッチするわけではないという話も先ほどした。だからこそ、深みを持ってやりましょう、あるいはある一定のところで実施をするけれども、ほかの分野というか、その領域でやるときにはそれをベースにもう一歩進んでいきましょうというようなことについて提案をしているのであって、そもそも私たちは行為群の話で話をしてきたのに、行為群ではけしからんと言われてしまうと、一体何のために議論をしてきたのかなと私は思います。

〇神野委員 今回のページにも、必要とする行為範囲は多様であると載っていますけれども、まさに多様なのです。その中で、繰り返しますけれども、1階部分はしっかりしましょうよと。ですから、多少オールマイティー的なところがある。2階部分のところで、例えば、私は急性期をやりたいので、急性期に必要な行為群が幾つかあるようなカリキュラムを受けますという方もいらっしゃるでしょう。ある方は、仕事をやりながらだから、ことしは1つだけ、来年はもう一つ、再来年はもう一つといったような、大学の単位ではないですけれども、1つずつ取っていくというような選択の道もあるでしょう。

 これを1つの病期単位みたいな形で言ってしまうと、こうでなくてはなりませんというカリキュラムができてこないわけであります。そういった意味では、行為群、モジュールをいろいろ組み合わせるのは、教育機関とそれを受けるナースとの間の話し合いであってもいいと思うし、私のところの指定教育機関はこういったナースを目指すために1階部分と2階部分でこれとこれとこれの群行為があります、こちらの指定機関はまた別な群行為の組み合わせがある。それはお互いに切磋琢磨して、どっちが人気があるかやればいいのではないかと思います。

〇有賀座長 人気かどうかは知りませんが、先生の言う人気は重要ですよね。

〇真田委員 今、先生方が多様なとおっしゃるところで、これは現実に組み合わせを考えると、156通りぐらいの組み合わせの学校ができてしまうわけですね。今、1つだけとるという選択にすると。それに対して、自分が好きな群を選べるということになってくると、名は体をあらわすというのですけれども、例えば、ICUで超急性期のところで行為を勉強してきましたといったときに、その人たちがどんな行為ができるかということはみんなばらばらになってしまうわけですね。患者さんにとっては、この人は何ができるのかということがわからない。非常に不安な状況が臨床現場に起こってくると思うのです。

 看護協会がお出しになっている参考資料2-2の15ページをぜひ見ていただきたいのですけれども、この人は何ができるのかということがある程度わかる範囲の名称の領域で、これくらいの縛りはあって、この人は周手術期のことができるのだ、創傷のことができるのだと、誰が見てもどういう行為ができる、どういうナースを育てたいというのが学校側の目標であって、それに合意していただいた者がこちらで単位を取っていただく。そして、患者さんには非常にわかりやすい、どこの病院へ行ってもこの看護師は何ができるかということが明らかであるということ、それが非常に重要ではないかと思っております。

〇神野委員 今、この15ページを見せていただくと、真田委員は、創傷管理は療養でいいのですか。緩和ケアは療養でいいのですか。

〇真田委員 いや、療養1、2、3に関して。

〇神野委員 もし、看護協会がこれから指定研修機関を受けるなら、看護協会のカリキュラムとして、うちはこうやるのですとおっしゃっていただけばいい。でも、ほかのところはほかの組み合わせがあってもいいのではないですか。

〇真田委員 私自身は、これをそのまま皆さんがアグリーするとか、そういう意味ではなくて、行う教育と受ける側の内容、それから、それを提供される患者さんの立場になってくると、これは3つ同じであって、それでないと臨床が混乱するのではないでしょうかと言っているわけで、誰もが好きなカリキュラムを組める、誰もが好きな単位をとれる、これだと1万種類できるのです。

〇星委員 1万種類でも2万種類でもあっていいと私は思うのです。問題は、何もこの領域に特化した人たちを自由に回遊させようというのが私どもの目的ではないのです。そこを間違ってもらっては困るわけです。そもそもの我々の議論は、そこはもう話がついているものだと思ったのに、またこの話をされると、もう一回最初からやり直そうかという話になってしまうと思うのです。

 私どもはいろいろな議論をしてきました。さまざまな議論をして、オールマイティーをつくらない。何でもかんでもできるという人をつくる話ではないのです。話とすれば、現実にさまざま行われている医行為のうち危険な行為がありますね、それも個別の指示で行われるのではなくて、包括的な指示、ある種の判断や評価をしながらやるとすれば、それなりの技術研修、あるいは知識の研修は必要ですねという話から、我々はここに到達して、やっとこれだけの行為群に行為を絞り込み、そして行為群という考え方で整理をしたところなのですね。私から言わせれば、それを今度つまみ食いをして、もう一回再配列をして、これは何とか領域ですという話をされるのは、入り口で違った議論をして、出口でまたもとの議論に戻っているようにしか私には見えません。

 少なくとも、受け手の云々という話は違うのです。どの人たちがどうではなくて、それぞれの医療現場で、個別の患者さんに対して、お医者さんがこの指定研修を受けてきた人たちにどこまで包括的な指示でやらせるのかということだけが問われているのであって、この研修を行った人が、患者さんから見て、あれもこれもそれもできる人だなということを理解してもらおうなどということは少しも思っていないわけです。少しも思っていないし、そんなことはしませんよと話をしてきたのに、ここに来てまたその話をするとなれば、ちょっとルール違反だと私は思うのです。私たちは、こういうことをやろうということを否定はしていません。

 ですから、自分たちはこういうことができる人たちを育てたいからこういう教育をしますというのは、それは否定していないのに、我々がそもそもしてきた議論、つまり、指定研修が必要な危ない行為があって、それは単純に直接的な指示ではなくて、具体的な指示ではなくて、包括的な指示で行えるようにするためにこういうことをしましょうというところを何で否定されるのか、私にはわかりません。

〇真田委員 私は、星先生に申し上げたいのは、記憶を戻せば、この急性期1、急性期2、療養、この3領域を大きく分けること自体に問題があるとおっしゃったと思います。

〇星委員 いや、違います。

〇真田委員 聞いてください。

 そして、私たちは、行為群自体を、この行為群をどう組み合わせるのか、それが領域だというお話をして、できるだけ小さい領域があれば、そこで研修ができるのではないかというところまでは。

 では、議事録をさかのぼってください。このお話は看護のほうから何人かいたしました。

 続けます。

 それで、そのときに、では、パブコメを求めましょうという話まで行っていると思っているので、決して話を戻してはいません。

〇有賀座長 正直に言いますと、群というのがあって、もともと行為一つ一つから出発していますから、話の成り行きとしては、星先生の理解はそれはそれでよくわかる。私自身のことを正直に言うと、それだけで現場の景色が浮かぶかというと、そのワンポイントだけのナースが本当にいるのかといえば、実は余りいそうもなかろうという意味においては、日本看護協会のほうの、左側の急性期の1とか2とかは別にして、領域ごとにこのような行為が整理されますというふうなこと。

17ページに星取表みたいなものがあるではないですか。このようなものを、前、厚生労働省の方がおつくりになったことがあったのですね。そういう意味では、このような領域で頑張ろうという人はこんなことを勉強するのかなと、そのような理解は十分できるのです。そこから先、これでなければいけないという話になっていたかどうかという話は実は別なのですね。

〇星委員 はい。ですから、私はそのことを言っているのです。私はあなた方を否定しないのに、何で私だけ否定されるのか、私には理解できないのですけれども、私たちがしてきた議論は、危ない行為の洗い出しをしました。危ない行為の洗い出しをして、それについて包括的な指示でできるかどうかということを議論して、こういう行為を抽出しました。その行為はさまざまな使われ方があることは百も承知です。その上で、その行為について似たような行為をまとめましょうというので行為群の考え方が出ました。そして、先ほど言ったように、行為それぞれに利用される現場が違っているのは当然ですから、行為群についても活用される現場が違っているのは当然です。

 しかしながら、同じ行為群に示されること、あるいは行為と言ってもいいかもしれません。というのは、基本的に理解をするべき範囲というのは一定だと私は思っています。つまり、応用する範囲、あるいは使う場所、場面、風景は違っているかもしれません。しかし、ある場面では呼吸器の理解をしなくてよくて呼吸管理ができている、ある場面では喉頭の構造を知らないで抜管ができる、そんなことはあり得ないわけで、そういう意味で言えば、基本的な考え方からすれば、我々は何も間違ったこともしていないし、議論としてそういう議論を積み重ねてきたと私は思っています。

 ここに来てまた領域の話が出た。だから、こういう組み合わせでこういうところで使えるような人たちを自分たちが育てますということについて私は否定をしないと言っています。ただし、何とか領域の何とか看護師みたいなことは言わないでほしいとは言いますけれども、あくまでその行為の研修を修了したということを、どこに書くかは別として、書きましょうということで我々は最終的に相互理解というか、まあ、しようがないなと。私は積極的にそれを推したわけではありませんけれども、そこはいいでしょうという話をして、今、我々はここにいるのです。

 ですから、別に大きな領域群に分けるのがいいとか、分けてはいけないとかというのではなくて、小さな領域だろうが、大領域だろうが、全部だろうが、それは構わないのです。それは、自分たちが目指す看護師さんの活躍する現場、あるいは魅力的な研修としてどういうものを組み立てるかというのは、やってくださいと言っています。ただし、その免状に書き記すのは、行為群でしか書きませんよという話を我々はしてきたはずです。ですから、何とか領域の何とか何とかと。それこそ、何とか領域の何とかかんとかと言っても、何を学んできたかわからないです。脈管の採血とこれができるようになりました、抜管と挿管ができるようになりましたと。それで何か問題があるのですか。

〇真田委員 やはりケアの中では行為の連続性がございますね。

〇星委員 もちろん、そうですよ。

〇真田委員 ですから、先生がおっしゃるように、Aという1つだけの行為ができる。そして、24時間生活の支援、あるいは在宅では療養支援もするナースにとって、一定の技術が一定の連続性でできる。私は挿管してもいいですが、循環管理ができませんとか、そのようなナースであってはいけないのですか。

〇星委員 そもそもの話が間違っているからそういう話になるのです。私たちは、研修なしに実施することが危険な行為、包括的な指示ですることに危険が伴う行為について、看護師さんに一定の研修をしてもらいましょうということで、今ここで共通の理解をして、ここで議論していると思いますので、そういう看護師さんをつくるという話はしていません。そういう看護師をつくるという話から離れて、行為をずうっとやってきたのです。時々、そっちに行きます。

 しかし、危険な行為をどうするのか、どういう研修をしてどういうことができるようにするのかということを議論している。この領域でこれもできて、あれもできて、それもできるような看護師さんをつくりたければつくればいいのです。だけれども、我々が議論してきたことと話が違うということを申し上げているのです。

〇真田委員 先生方の立場では、確かにそれは便利な仕事になるかもしれません。でも、患者さんの立場を考えて、患者さん自身が、この看護師さんがそばにいて、これはできます、できませんというようなことが起こってはいけないのではないでしょうか。

 私、ほかの方の御意見を聞きたいと思います。

〇星委員 これは余り興奮してもしようがないのですけれども。

 何ができるかできないかということについて言えば、申しわけないですが、それは看護師さんが決める話ではありません。そもそも私たちが議論したのは、この患者さんについて、危険が伴う行為のうち、包括的な指示で、これとこれは看護師さんにしてもらおうといって指示を出すのです。その看護師さんが包括的な指示を受けて、その現場の全てができるなどと誰も言っていないし、患者さんにそんな間違った期待をさせてはいけないのです。そのことを申し上げています。

〇前原委員 議論がかみ合っていないみたいですけれども、この34回の長い歴史の中で、同床異夢と言っては失礼かもしれないですが、考え方が違うというのがあって、ようやくここまで来たということは、星先生がおっしゃるような見方、行為から入ったというのと、私と随分対立しましたけれども、最初のころは、ジェネラリスト、研修医の3年目か4年目みたいな新しい職種をつくるのだということから、それはそうではないということにだんだんなって、3月29日の報告書でそのようになりました。それは理解しています。

 その中で、今、真田委員がおっしゃったように、現場がどうなるのか、患者さんにどうなるのか。医療の質を上げるためには、星先生もそう思っていらっしゃらないと思いますけれども、ただこの行為ができるだけでいいのだということではなくて、その背景にある基礎の1階部分が必要だと先生がおっしゃっているとおり、その部分をしっかりした上で、2階部分、3階部分でやる。そのことに関してはコンセンサスが得られていると思うのです。

 ただ、3月29日の時点では、私が言っているのは、オオトリ、コトリという、名前を出してはいけないけれども、幅広い、こちらは認めない、こちらを認める、こちらだけは認めない、ハードルを高くするとか、低くするとかということではなくて、先生がおっしゃったように、今の現場でNの数をふやさなければいけないだろうし、今の医療をもっとよくしなければいけないとすれば、今の医療をもっとよくしなければいけないとすれば、幅広いカリキュラムがあっていいでしょうということには皆さんアグリーしていると思うのです。

 星先生がおっしゃるように、ある程度の行為ができる高めのカリキュラムもあるだろうし、それ以外の呼吸器、それからICUだけということも認めてもいいのではないかということはコンセンサスが得られていると思うのです。私の考え方とすれば、神野先生のおっしゃるとおりで、多分、そういういろいろなカリキュラムの中で自然淘汰されてくるのだろう。現場でどういう人が必要なのだというところで、それがアウトカムとして出て働いたところで、こういう人がこういうカリキュラムがいいよね、こういうところには志願者もふえてくるだろうし、そうでないところはそうなる。そういうことに関しては何も対立しているところではなくて、その考え方が、行為から始まって、行為、何なのだと。その理論を真田委員がひっくり返しているということにはならないと私は思います。全然違うことだと思います。

〇神野委員 もう行かなければいけないので、済みませんけれども、最後に。

 今、15ページの看護協会の案で、また認定看護師救急領域とか、そんなのではないですよね。大丈夫ですよね。特定看護師救急領域とか、特定看護師集中ケア領域とか、専門看護師何とか領域ではなくて。例えば日本看護協会が考える救急は、この12個の領域を明記するものを救急と考えるのでいいし、ほかの教育機関は、うちは15だとか、うちは5だとか、うちは3だとか、それを出せばいい。それで勝負すればいいということではないですか。

 ということで、失礼します。

〇有賀座長 だから、私が先ほど正直に言ったのは、一つ一つの行為をばらばらで頭の中で整理しようと思うと、整理することは極めて難しい。だけれども、日本看護協会のような形で出してくれると、位置づけとしての理解はできる。あと、教育をどうするかという話は今後の問題になります。

 神野先生は行ってしまいましたけれども、ことしはこれ、来年はこれ、3年目はこれ、4年目はこれとかいって、10年かけていろいろなことができるような看護師さんが、場合によっては、星先生のところで育てていってもいいわけですね。そのようなことで究極的に、日本看護協会が言っている一番右の緩和の部分の■の部分は、何年かして満たされてしまったというふうな話があってもいいわけです。そういうふうな意味で、行為群と領域のことを整理する上では、いろいろな意見が出てきて、私たちの理解を深めることができたというところなのではないかと私は思います。

 あと、もう一つ議題がありますから、短く。

〇井上委員 真田先生の御意見に賛成できるか、反対意見になるか分かりませんが、前回の33回のときには、領域1、2、3しか出てこなくて、ほとんど全員の委員が広過ぎるという意見だったと思うのです。

 その次に今回の看護協会案が出たら、多分私は賛成したと思うのですが、きょうの資料3の行為群のこちらが出たら、私はこちらを賛成したいのです。というのは、17ページのところに星取表みたいなものがあって、救急はこうだと規定されてしまうと、私のところはクリティカルケアの専門看護師をやっているのですけれども、もう既に合わないものが幾つもあるのです。クリティカルの中でも、循環器の人もあれば、やけどの人もいるということ。これは確かに一つのモデルになって、これが非常によければいろいろなところがまねすると思うのです。

 ただ、私はこの行為群を見て、さて、うちの専門看護師教育に足すにはどれなのか、どういう受験者が多いのか。熱傷が専門の人は、多分、特定行為は学べないで、デブリードメントとかそういうのは就職してからそこで新たに研修してもらうしかない。そのようにならざるを得ない。幅広く対応することができる。行為群だから、それこそ処置屋ということにはならない。やはりそこは教育者の側の理念であり、もちろん、どういう人をつくりたいという人物像というのは裏にあると思うので、それはそれこそ各教育機関に委ねて、いいものをつくればそれは普及するのではないかと思います。ただ、これしかだめと言われると非常に困るというのは現実としてあります。

〇真田委員 私はこれしかだめだと申し上げているのではなくて、賛成、反対の前に、この行為群が大きく3つに分けられて領域できたときに、もう少し小さな領域が必要ではないかというお話をしたとき、その後すぐパブリックコメントになっているので、これに関しては、今の井上先生のお話は時期が遅すぎたということはないと思っています。

 ただ、今のいろいろな領域に振ってある、これはまた幾らでも変えられると思うのですが、言いたいことは、教育側にしても、臨床側にしても、あくまでもこれを同じ名前で、例えば先ほどの私が危険だなと思うのは、超急性領域と名前をつけて教育して、そして、内容、組み合わせが違う。組み合わせが違うところへ持ってきて、そして実際にとっているのは、例えば呼吸器と静脈系ですと言われたときに、どのようなナースが臨床で自分のオートノミーを持って特定行為ができるのか、それが患者さんにとって本当に安全・安楽なのかということに関してはやはり疑問を持つ。これを申し上げたくてお願いしたわけでございます。

〇有賀座長 ここであっという間にまとまるというほど話がイージーではないことは、皆さん、相当程度におわかりいただいたと。それはそれで、先にまた議論する機会があると思います。きょうは、その次の「2指定研修について」というのがありますので、資料4を説明してください。

〇島田看護サービス推進室長 それでは、資料4、指定研修につきまして説明をさせていただきたいと思います。

 指定研修の検討につきましては、せんだって座長より、大滝委員を中心にまずは御検討をということで、大滝委員を初め、井上委員、小松委員、真田委員、竹股委員、前原委員に御協力をいただいて、資料4の今時点の検討プロセスに至っているというところでございます。

 お開きいただいて2ページでございますけれども、まず、指定研修を検討する前段といたしまして、どういった方が指定研修を受けるのかということを共通認識ということで設定してはどうかということで御検討いただいております。ただ、上のほうの※印に書いてございますが、指定研修受講者の要件を制度として決めるものではございませんで、あくまでも前提として共通認識を得るということで、想定される研修受講者の像というものを御検討いただいております。

 枠の中でございますけれども、想定される受講者としては、医療現場の状況によるため一律に示すことは難しいが、おおむね3~5年の実務経験を有する看護師を想定ということで御検討いただいております。そのおおむね3~5年の実務経験を有する看護師はどういう方かといいますと、2つほど挙げておりますが、所属する職場において日常的に行う看護実践を、根拠に基づく知識と実践的経験を応用し、自律的に行うことができる者であって、チーム医療の一員として十分に機能しており、キーパーソンとして機能するにはさらなる能力の向上を要する者ということが想定されるのではないかということでございます。

 その下のほうの点線には、大滝委員を中心とした御検討の中で出てきた御意見をお示ししているところでございます。御参照いただければと思います。

 そして、こうした研修受講者を念頭に置きまして、どういった指定研修を考えるかということで、まず、指定研修の基本理念を御検討いただいております。3ページの青の囲みの中でございますが、基本理念といたしましては、指定研修は、看護師が、患者・国民や医師その他の医療スタッフから期待される役割を十分に担うため、チーム医療のキーパーソンとして高度な臨床実践能力を発揮できるよう、実践と振り返りを繰り返しながら自己研さんを継続する基盤を構築するものでなければならないという内容を御検討いただいております。

 なお書きですけれども「なお、この研修を修了した看護師は、特定行為と療養上の世話を合わせた高度な臨床実践能力を発揮することが期待されている」としております。

 囲みの下でございますが、※印で、基本理念の中に「チーム医療のキーパーソン」という用語が出ておりますので、その引用部分、どこから引用しているかということを説明しておりまして、平成22年3月の「チーム医療の推進について」の報告書の中で、看護師はチーム医療のキーパーソンとして期待が大きいと指摘されておりますところから引いてきている文言でございます。

 おめくりいただいて、4ページでございます。では、こうした基本理念のもと、どういった指定研修の内容とするかというところを御検討いただいておりますけれども、4ページには、指定研修における教育内容のイメージを示しております。これは、先ほど来、共通部分ということでお話が出ておりましたけれども、左側に示しておりますように、特定行為を包括的指示のもとで実施するために必要な共通の知識・技能という部分と、研修する行為群の内容に応じた組み合わせで研修を実施するということを念頭に置いております。特定行為と行為群につきましてはまだ御議論があるところですので、今回、まずは、左側にお示ししております共通の知識・技能部分について御検討を進めていただいております。

 その内容が5ページでございまして、この共通部分の到達目標を上のほうにおまとめいただいております。

 6点ほどございまして、臨床的に重要な病態の変化や疾患を包括的にいち早くアセスメントする基本的な能力を身につけるという目標。そして、臨床的に重要な病態や疾患、診断を予測し、必要な治療の理解とケアを導くための基本的な臨床推論能力と問題解決能力を身につけるという目標。3つ目が、みずからの看護実践を見直しつつ標準化する能力を身につける。4つ目が、複雑かつ困難な臨床状況において卓越した看護を実践する基盤を築く。そして、問題解決に向けて多職種と効果的に協働する能力を身につける。そして最後が、臨床状況に応じて患者の安心に配慮しつつ、必要な特定行為を安全に実践する能力を身につける。

 こういったことを到達目標と掲げていただきまして、括弧内に斜め文字で示しておりますけれども、こういった内容を学んでいただくことでこういった能力を身につけていただくことができるのではないかというふうに議論を進めていただいております。

 そして、具体的な教育内容と学ぶべき事項でございます。その下にお示ししておりますように、教育内容といたしましては、病態生理、臨床推論、フィジカルアセスメント、臨床薬理学、疾病・臨床病態概論、医療安全学、特定行為実践、こういった内容について学んでいただいてはどうかということで、具体的に、左側に書いてございますこれらの教育内容を、学ぶべき事項として記載されておりますような内容を学ぶことによって研修を行っていただくということでいかがかというところでございます。

 注意書きに幾つか示しておりますけれども、先生方の間でもまだ御検討いただく点が残っておりまして、例えば、病態生理は基礎教育のほうで行うことなので必須でなくてよいのではないかというような御意見ですとか、臨床推論については、特定行為実践の中で学んではいかがかといったような御意見もいただいているところでございます。

 6ページには、これまでの検討プロセスの中でいただいた御意見をおまとめしているところでございます。

 大滝委員、補足の説明などがありましたら、よろしくお願いいたします。

〇大滝委員 ありがとうございます。幾つか追加させていただきます。

 まず、指定研修の基本理念という案についてです。これは、決してこの研修制度の目的と相反するものではなく、この教育カリキュラムを考えていく上で、どういった教育方針でやるのかをわかりやすく提示したほうがいろいろな混乱が起きにくいのではないかということで、皆さんで相談して挙げてみたものです。

 このひな形といいますか、御存じのように、今の医師の新医師臨床研修制度でも、基本理念がうたわれています。その内容についてはいろいろな意見があると思いますが、議論する際にそこに立ち戻り、現場でのカリキュラムづくりなどが行われていることを踏まえまして、こういったものがあったほうがいいのではないかということで御議論いただいたものです。

 特に強調したいのは、先ほど来、話題になっていますように、何か特殊な新たな職種をつくるのではなく、いわゆるミニドクターをつくるのでもなく、看護を高めるためのものであるということです。それから、実践と振り返りを繰り返すこと、資格を取ってしまえば何をしてもいいのではなく、実践しながらまた学び続けることを念頭に置いた制度であることを強調する内容になっております。

 それから、5ページの指定研修の到達目標についてです。目標の立て方は教育関係の組織でも一様ではなく、いろいろな方法が用いられています。例えば何かを経験することを目標にするとか、いろいろな書き方があるのです。今回は特に行為を中心とした実践能力を身につけることと、それの基本になる知識も習得することが目的になっていますので、最近よく用いられる目標の立て方で言いますと、いわゆるコンピテンシー、ある程度具体的な行動特性のまとまりを幾つか並べて、そういった行動ができるようになることを目指す、という形で合意を得たいと、皆さんにお願いいたしまして、御議論いただいて、今のところこうなっています。

 ただし、先ほどの御説明にもありましたように、学ぶべき細かな事項、それから全体のボリュームがどれくらいになるか。特に共通部分は全員が履修することですので、このボリュームについてはいろいろ議論があるところだと私も認識しておりまして、それについてはある程度の幅がある意見が今出てきておりまして、今後さらに議論を続ける必要があるかと思います。

 まだ検討会のほうでも具体的に詰めてはいませんけれども、私の個人的な意見も含めて申し上げますと、今後は特にこの共通部分の履修にはe-ラーニングをどのように取り入れるかということも具体的に検討していくと、より合意点が見出しやすいのではないかと思っています。それから、医療のほかの部分もそうですが、教育は常に見直しをしていくことが必要です。医師の卒後研修も5年ごとの見直しが制度の中に取り入れられておりますので、この到達目標などについては、できれば今後見直しを繰り返すということを制度に入れていくことが合意をつくる上でも重要だろうと思います。

 以上です。

〇有賀座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

〇星委員 大滝先生の手にかかるとこのようになるのだなという感じですけれども、1つ文句があります。文句というか。

 2ページ目のところの「経験年数による看護師の成熟度合いには地域差などの環境による差がある」というのは「地域差」という言葉は余り正しくないと思います。高度な医療をやっているからといって立派だとは限りませんし、医療の中身でも規定されないし、地域でもないのです。その病院がどんな考え方を持って看護師の教育をしているのかというのに大きく影響されるということについては否定しませんが、地域差を代表例として環境の違いを挙げられるのは、田舎にいる私としては非常に悔しいので、ここはあえて大滝委員に言っておきます。

 その上で、この3年~5年という話は議論するべき一つのポイントだと思っています。そのポイントは、3年~5年という年数で示すのがいいのか。今、私が申し上げたように、実は大学病院のICUにいたから何かすごくよくて、田舎の病院にいたからだめというのではないのだろうと思いますし、どの程度のことを期待するのかということを具体的に記してやることと、それぞれのプログラム、それぞれの募集をする指定教育機関が、卒業したてでも、自分たちはそれにプラスして、つまり実践能力のこういう教育への移行部分もちゃんとやりますよというようなことを否定する必要はないのかなと思います。

 ですから、どこから先をこの教育と位置づけるかという話は別で、入り口を決めてしまうことよりも、むしろ出口を決めて、その入り口についてはそれぞれの指定教育機関がいろいろな多様性を持って取り組んでいいのかと思います。ただし、標準的なスタイルとすれば、少なくとも今回示しているこの標準的なカリキュラムは、あくまでこういう人たちが入学してくることを前提にしているので、そうでない人たちがやるならば、それにプレのものがあっていいのではないかという形で整理されてほしいなと思います。というのは、短期で早くに身につけたいという人たちに道を開くというのはあってもいいのだろうなと私は思います。

 それと、先ほど申し上げた4ページには、私がさっき議論したようなことが載っているので、多分そうなのだろうなと私は理解していますし、これまでこれ以外のものを見ていないので、多分これは、先ほどの行為や領域の議論をするときに非常に重要なものだろうと思っています。

 最後にもう一点、ちょっと戻りますけれども、基本理念の中に医療安全の話がもう少し入ってきてもいいのかなと。というのは、特定行為そのものが危険な行為だというのはあえて言う必要はないのですが、さまざまに高度化している医療の世界で、安全に診療が行えるように資するのだということが少し入ってくれるほうが、看護の受け手も、それから教育をする側も、そして学ぶ人たちにとってもインパクトがあると思います。

 この下の、だんだん小さくなってしまう字のところにも重要なファクターというか重要な要素が隠れているので、ぜひこれは、一文に書かなくてもいいので、大滝委員の文才に期待しますが、今申し上げた医療安全の話とこの下に書かれている要素を本文のほうに書き込んで、下の※印とか「なお」とかいうのが消えてしまわないような教育理念というのを、大変でしょうけれども、苦労してでもきちんと書いていただくことが先ほど来の議論にもつながると思うのです。目指すべきはこういうことだよ、いろいろなアプローチがあるよという話をするにしても、この教育の基本の理念を示すことには賛成ですし、そういう努力というか、そういう工夫を期待したいと思います。

〇大滝委員 ありがとうございます。

 今の件について、一言よろしいですか。

〇有賀座長 地域差についても。

〇大滝委員 はい。地域差については、私個人的には星委員のおっしゃるとおりで、これを一つの代表例として出すのはいろいろな受けとめ方があるのだなということで、考慮する必要があると思います。

 それから、3年~5年については、先ほども説明のところでありましたように、制度的にもそれを明確に打ち出すということはできないという前提です。議論する上で、先ほどおっしゃったように、どういった研修者を念頭に置いてスタンダードをつくるのか明示したのです。実はこれを3~5とするのにもかなり議論がありました。星委員の御意見には私も賛成です。入り口ではなく出口を決めるという方針については、先ほど申しました今回の目標の立て方もそれに沿ったものだと認識しております。

 それから、安全、安楽などについてどのように入れるかについても議論をしているところですので、また御意見を参考に検討していきたいと思います。

 以上です。

〇有賀座長 ほかに御意見いかがでしょうか。一緒に議論された方たちで、ちょっとプラスアルファで発言しておいたほうがいいなどということがあってもいいのではないかと思いますけれども、前原先生、いかがですか。いいですか。

 この経験年数による看護師さんの成熟度合いには、地域差などの環境というか、むしろ地域差というより個人のキャリアパス、そういう意味での濃淡がありますね。現場から少し遠ざからなければいけないようなこともないわけではありませんものね。そのようなことではないかと私は思ったのです。長野県と福島県を比べてどっちがどうなどという話はあり得ませんから。

 御意見、いかがでしょうか。

 臨床研修の基本理念のところには、基本的な診療能力を身につけるということが書いてあって、多分、後ろのほうに、医療安全などについての勉強もきちっとしてねということが。例えば医療の社会性みたいなところに倫理のことがあったり、それから、安全管理というのが構造目標の4番にありますので、そのような形で組み入れていくというふうな肉のつけ方も多分あっていいのではないかと思いますが、臨床研修に比べると注目度合いの多いテーマなので、星先生が言われたような観点からの文言もあったほうがいいかもしれません。

 大滝先生や事務局に少しお任せして、次の機会にと思います。

 とりあえず、この前のテーマのときの白熱度合いに比べると、少しカテコラミンが出切ってしまったのかなという感じがしないでもないです。何といっても、始まりが5時ですから、きょうのところはこれぐらいにさせていただいて、引き続き、きょうの話を踏まえて先へ進む。きょうはこの指定研修の話が後に出てきていますけれども、実はどれが前で後でという話ではなくて、全部がごろごろごろっと一緒に走らなくてはいけない。車の両輪という言い方をよくしますけれども、何両編成かの電車が一緒にばあっと走らなくてはいけないことになりますので、そういう意味では、資料4までの話をした上で、有機的な議論が次にまた進んでいくといいかなというような感想を持ちました。

 最後にこれを言っておかないと嫌だということはないですか。

 では、あと3分ですので、事務局から締めの発言をよろしく。

〇島田看護サービス推進室長 次回以降の日程につきましては別途連絡させていただきます。ありがとうございました。

 以上でございます。

〇有賀座長 では、もうこれでおしまいでいいですか。

 では、ちょっぴり時間を残してこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局看護課看護サービス推進室

看護サービス推進専門官 荒木: 03-5253-1111(代表)(内線4174)
03-3595-2206(直通)

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