ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)> 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録(2013年8月9日)




2013年8月9日 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成25年8月9日(金) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)


○議題

(1)予防接種基本計画の策定について
1.予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する基本的な方向
2.国、地方公共団体その他関係者の予防接種に関する役割分担に関する事項
3.予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に係る目標に関する事項
4.予防接種の適正な実施に関する施策を推進するための基本的事項
(2)報告事項
1.風しん対策について
2.麻しんの予防接種率について(過去5年間)
3.集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会報告について
(3)その他

○議事

○嶋田室長補佐 ただいまより第4回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御出席いただき、まことにありがとうございます。
 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 初めに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、委員10名のうち、池田委員、岡部委員、小森委員、坂元委員、澁谷委員、多屋委員、中野委員、中山委員の8名が出席いただいております。
 また、庵原委員、宮崎委員の2名から欠席の御連絡をいただいております。
 現時点で厚生科学審議会の規定により定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
 それでは、議事に先立ちまして、配付資料を確認させていただきます。
 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、資料1から6まで、また、参考資料1を用意しております。配付資料一覧と照合していただき、不足の資料がありましたら、事務局にお申しつけください。
 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○嶋田室長補佐 引き続き、審議会に関する報告をいたします。
 予防接種・ワクチン分科会審議会参加規程に基づき、各委員からワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、資料申請への関与について申告いただいております。
 本日の議題における不参加の委員はいらっしゃいません。
 ここから先の議事につきましては、岡部部会長にお願いいたします。
○岡部部会長 どうもおはようございます。暑いところをありがとうございました。
 それでは、第4回の予防接種の基本方針部会、よろしくお願いします。
 早速議題に入っていきたいと思うのですけれども、きょうは、今までの何回かの議論をまとめて、項目別のところはもう既に御了解をいただいているので、具体的な内容について事務局のほうでもある程度まとめてきたので、それについて議論をしていきたいと思います。
 基本計画は、御存じのように8項目あるのですが、きょうは前半部の1から4、第2回目が残りの6から8について議論をするというやり方にしていきたいと思います。
 これまでに第二次提言とか、委員の先生方の意見、こういったものをもとにして、きょうのたたき台のようなものがつくられているわけですが、それ以外に何か御意見があれば遠慮なくおっしゃっていただいて、さらに反映していくというふうにしていきたいと思います。
 これから事務局に説明をしていただきますけれども、一応、1から4まで分けられているので、1、2、3、4といった形で予防接種基本計画のそれぞれの項目について議論をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、一番最初は資料1の第1項目ということになりますが、これを事務局、宮本室長から御説明をお願いします。
○宮本予防接種室長 資料1を御用意いただきたいと思います。
 ただいま岡部部会長より御紹介いただきましたとおり、予防接種基本計画につきましては、予防接種法により8つの項目が規定されてございます。
 本日の審議は、そのうち第1から第4に関します部分について、順次御検討いただきたいと思っております。
 おめくりいただきまして、2ページ目に「第1 予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に係るに基本的な方向」に関する骨子といいますか、骨格をまとめております。これは、これまでの御議論、検討を踏まえたものを材料といたしまして、私どものほうでこういった方向ではどうかというところを少しまとめたものでございます。順次読み上げてまいりたいと思います。
 まず、予防接種の便益性とリスクの両面について。これは「便益性」としておりますが、いわゆるリスクとベネフィット、そういった点であろうかと思っております。その両面につきまして、科学的エビデンスをもとに比較衡量しながら、定期接種の是非について検討していくということを盛り込んではどうか。
 そして、科学的なエビデンスとしては3つの項目が考えられるのではないか。
 1つ目は、副反応報告等のワクチンの安全性に関するデータ。
 2つ目としまして、感染症サーベイランス等に基づく有効性に関するデータ。
 3つ目としまして、医療経済分析に基づく費用対効果に関するデータ。
 そういった3つの内容のデータについて分析・評価していくということを盛り込んではどうか。
 このようにしております。
 3つ目としまして、これらの科学的なエビデンスのもとで、分科会等の意見を聞いた上で予防接種に関する施策を評価・検討していくこととしてはどうか。
 4つ目としまして、このような評価・検討を踏まえつつ、基本的な方向性は、「予防接種/ワクチンで防げる病気は、予防接種/ワクチンで防ぐ」というふうにしてはどうか。
 以上でございます。
 この点に限定されず、委員の皆様方の活発な御議論をいただきたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 極めて短いところでおさまっていますけれども、予防接種部会のころからエビデンスに基づいてその判断をしていくということがベースで、もちろん社会的なこと、その他も最終的判断には含まれると思うのですが、基本的にはこういうものについて比較しながら、今後の定期接種をどうするかということを検討することを盛り込んではどうかという、これまでの議論のまとめだと思います。
 御意見がありましたら、お願いします。澁谷委員、続いて小森委員。
○澁谷委員 第1の初めのところ、あるいはひょっとすると第1より前に、もし序文のようなものがあれば、そういうところかなとも思うのですけれども、これまでの感染症対策や予防接種行政の教訓とか反省とか、そういったものから今回この計画というところにつながっているという部分もあると思うので、ここに書かれているのはこれからのものだけなのですが、これまでのことも少し何か触れてはどうでしょうか、という意見です。
○岡部部会長 これは、この文章の「まえがき」というのが出てくるのですか。それとも、ここのところになるのですか。宮本さん、どうぞ。
○宮本予防接種室長 これまでの経緯などをまとめたような部分を最初にある程度記載していくのかなというイメージを持っておりますが、今、御指摘いただきましたようなことを踏まえ対応していきたいと思います。
○岡部部会長 それでは、小森先生、お願いします。
○小森委員 風邪を引いていてこんな声ですが、お許しをいただきたいと思います。
 今の澁谷委員の意見とちょっと似ているところがあるのですけれども、後ほど国の責務というところで別の観点からお話をいたしますが、基本方針ということですから、予防接種は子供さんを中心とした未来を担う国民をしっかりVPDから守り、この国の体制をちゃんとつくっていくということの理念、そのもとに基本計画があるわけですから、そのことについてしっかり記述をしていただきたいということが私のお願いです。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 それも「まえがき」としてしっかりと書いておくということになりますね。
 ほかに。中野委員、どうぞ。
○中野委員 第1のところの1番の項目に「便益性」という言葉が最初に出てくる。「便益性」は、もちろん大切なことだと思いますし、先ほど事務局からもリスクとベネフィットという御説明がございましたので、理解はできるのですけれども、ワクチンで最も大切な「有効性」という一言がどこかにあったほうがいいのではないかと思います。
 その理由は、1980年代後半のヒブワクチン以降は、恐らくそのワクチン接種群と対照群を設定した試験がそのワクチン承認のときに行われていると思います。
それ以前のワクチン、例えば水痘とかムンプスというのは、保育園とか集団で流行があったときにどれぐらい病気を防げるかということで、それぞれ有効性の評価の手法が異なると思うのです。
 もちろん、打って絶対かからないワクチンが一番望ましいわけでございますが、それぞれのワクチンで有効性は異なるので、そのワクチンがどれだけ効くかという正確な情報が、一般の国民の皆様にもわかりやすいような形で提供できるほうが望ましいと考えます。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 坂元委員と池田委員は、今の中野先生の御意見に関係ありますか。
○坂元委員 別です。
○岡部部会長 池田先生もそうですか。
○池田委員 はい。
○岡部部会長 では、坂元先生と池田先生。
○坂元委員 予防接種の便益性とリスクということなのですが、恐らく科学技術が進歩すれば、いろいろな疾患に対して、いろいろな予防接種が開発されてくると思うのです。例えば今、がんワクチンというのも結構話題になっております。
 基本的に予防接種というのは、例えば個人的な利益を優先するのか、集団としてのいわゆる感染症などの疾病防御なのか、そこら辺の観点を少し議論しておかないと、かなり極端なワクチンもいろいろ出てくると思いますので、そういう議論も必要ではないかと思っております。
 以上です。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 池田委員。
○池田委員 確認なのですが、この項目立ては、この順番で必ずしも構成されるということではなく、必要な項目が今、リストとして挙がっているというふうに理解してよろしいですか。
 というのは、最初の○のところは大変重要なことではありますが、定期接種の是非についてのみ検討するのではないというふうに理解しています。後のほうを読んでいきますと、定期接種も含めて広く接種を推進する方法であるとか、任意の予防接種に関する記述もあるので、冒頭にこれがあると、これは定期接種に限定した内容になるというような誤解もちょっと生じるかなと思いました。もちろん、定期接種の是非について検討することがメーンであるとしても、それ以外のものもより広く含まれるので、これをどういうふうに書き込むかということはちょっと検討が必要かと思いました。
 もう一点は、「便益」という言葉についてですが、その後に医療経済の話が書いてあって、定期接種化の是非について検討するときには、これは非常に重要な要素の一つだとは思いますけれども、実は医療経済では、いろんなメリットをお金に換算したはかり方を「便益」と言うことがあるのです。ということなので、「便益」という言葉が誤解を生じる可能性がある。
 「便益とリスク」というのは、1つは漢字で、1つは片仮名なので、バランス的にもちょっとどうかなと思いますので、もしよりよい表現があれば工夫をしたほうがいいかなと思いました。
○岡部部会長 多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 科学的なエビデンスのところで、副反応報告に関する安全性のデータと、感染症サーベイランス等に基づく有効性のデータが今、別々になっているのですが、その病気にかかったときの重症度、特に合併症発生数などについては、ワクチンを受けていなかった場合の情報として重要です。生ワクチンの場合は、ワクチンによる副反応として罹ったときと似た症状が出てくることもあります。安全性情報としての副反応発生状況と、感染症サーベイランスとしての重症者数が、お互いに連携して評価されていくということも重要ではないかなと思います。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 中山委員も何かありましたか。
○中山委員 私も小森委員や澁谷委員がおっしゃったように、最初の前文のところで、国の方針としてワクチンについてどう考えるのかという理念をしっかりと書き込んでいくことが大事だと思います。
 坂元委員がおっしゃったように、公衆衛生の部分と個人的に病気を防ぎたいから接種するという意味と、ワクチンの目的は今後さらに細分化されていく可能性もあると思いますので、その辺も一度議論しておく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○岡部部会長 ほかにはいかがでしょうか。
 先ほどの多屋委員の副反応と感染症サーベイランスですが、感染症サーベイランスには余り特化しなくてもいいと思うのですけれども、それのデータが大切だということと、よくディジーズ・バードン、疾病負担という言葉を使っていたのですが、これが病気の負担と副反応とのバランスの言葉だと思うので、どこかにそういう言葉も入れ込んでおいていただけたらと思います。
 これは自分でふっと思ったのですが、今、感染症が主体ですけれども、先ほど小森先生もちょっとおっしゃっていましたが、今、HBとHPVががんワクチンということになるわけです。がんに対するワクチン、感染症と離れてそういうものが出てきた場合に、この予防接種法の中に入ってくるものなのかどうか。ここ二、三年ではそういうことはないと思うのですが、そういう議論はどうですか。これは頭の体操的なところもあるけれども、将来的にはこの委員会でもある程度考えなくてはいけないのかもしれない。
 将来の課題としてとっておきますかね。
今のところ感染症として明らかなHBとHPVはこの中に入ってくるわけですけれども、がんだけでなくて、ひょっとすると先天性代謝異常も予防接種で防げるという議論が将来起きてくるだろうということはあると思います。
 いろいろ御意見をいただいていますが、ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、それを後でまとめるようにしておいてください。今の中では項目で1、2、3、4としか出ていないけれども、予防接種の理念であるとか、対象の考え方、公衆衛生対策なのか、個人対策なのか、そういったことについても「まえがき」として触れておく必要があるということについては、きちんとノートをお願いします。
 それでは、第2のほうに行きたいと思います。第2は役割分担というところになりますが、まず事務局のほうから説明をお願いします。
○宮本予防接種室長 3ページ目をごらんいただきたいと思います。
 「第2 国、地方公共団体その他関係者の予防接種に関する役割分担に関する事項」ということで、一から六まで関係者の方にそれぞれ分けまして役割を整理しております。
 【一 国の果たすべき役割】
○ 国の果たすべき役割として、
・予防接種の対象疾病、接種対象者、使用ワクチン、接種回数等の決定
・予防接種に関する啓発及び知識の普及
・予防接種の研究開発の推進
・ワクチンの供給の確保(平時・緊急時の対応)
・予防接種従事者への研修
・予防接種の有効性及び安全性向上のために必要な調査及び研究
  ・健康被害救済の費用負担、審査・認定業務
としてはどうか
 一つ強調しております点としまして、
○ 被接種者、保護者がワクチンの正しい知識の習得・理解するための前提として、予防接種に関する有効性や効果・リスクに関する情報の提供を引き続き行っていくことを盛り込んではどうか
このようにしております。
 【二 都道府県の果たすべき役割】
○ 都道府県の果たすべき役割としまして、
・管内市区町村との広域的な連携や国との調整
・予防接種に関わる医療関係者等の研修
・緊急時のワクチン供給確保や調整
・健康被害救済の費用負担
・予防接種の安全性・有効性向上を図るための調査協力
  ・住民への情報提供
としてはどうか
このようにまとめております。
 【三 市区町村の果たすべき役割】
○ 市区町村の果たすべき役割として、
  ・実施主体としての適正・効率的な定期接種の実施
・健康被害救済の費用負担及び給付業務
・予防接種の安全性・有効性向上を図るための調査協力
・住民への情報提供
としてはどうか
このようにしております。
 【四 医療関係者の果たすべき役割】
○ 医療関係者の果たすべき役割として、
・ワクチンの適正な接種、安全性・有効性等の被接種者への情報提供
・ワクチンの適正な接種のための技術・知識の習得
・入念な予診
・予防接種の安全性・有効性向上を図るための調査協力
としてはどうか
このようにしております。
 【五 ワクチンの製造販売業者、卸売販売業者の果たすべき役割】
 ○ ワクチンの製造販売業者、卸売販売業者の果たすべき役割として、
・安全かつ有効なワクチンの研究開発
・ワクチンの安定的な供給
・副反応情報の収集・報告
としてはどうか
【六 被接種者・保護者の果たすべき役割】としまして、ここは一から五までの関係者とは性格を異にしておるという理解をもとに、
・ワクチンのリスクも含めて正しい知識を持って接種を受ける必要があること、
について御理解をいただくこととしてはどうか
このようにしております。
 以上です。
○岡部部会長 どうもありがとうございました。
 役割分担の幾つかの項目と、それぞれについて果たすべき役割としてあるので、それぞれについて御意見をいただきたいと思うのです。
 最初、国と都道府県と市区町村と医療関係者、ワクチンの製造販売、卸売、被接種者・保護者という分け方のところでは何か御意見がありますか。多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 ここで述べてよいかどうかがわかりませんが、保健所の果たすべき役割とか地方衛生研究所の果たすべき役割というのもあったほうが、具体的になってよいのではないかと感じましたけれども、いかがでしょうか。
○岡部部会長 保健所、地研は、都道府県と市区町村にそれぞれ含まれるのではないでしょうか。
○多屋委員 含まれてしまうのですね。わかりました。
○岡部部会長 ほかにはいかがでしょうか。中山委員、どうぞ。
○中山委員 健康被害救済の費用負担というのが国とあるのですけれども、行政の場合に、全体として必要な予算を確保することが当然必要ですが、健康被害救済のところだけ「費用負担」ということが明示されているのかという質問です。
○岡部部会長 では、事務局のほうからお願いします。
○宮本予防接種室長 それほど私どものほうで十分に整理ができていないところもあって、違和感を抱かれたのかなと思います。全体のでき上がりの中でバランスをとって進めたいと思います。
 私どもの書いた意図としては、それぞれの現状をもとにそれぞれの方の役割を書いておりますので、そういったものを表現しているということで御理解いただければと思います。
○岡部部会長 よろしいですか。
○中山委員 わかりました。
○岡部部会長 健康被害救済に関しては、最終的には国が委員会で決めているということのあらわれかなというふうに思ったのです。
では、費用的なことについては、事務局のほうでも整理をしておいてください。
 ほかにはいかがでしょうか。中野委員、どうぞ。
○中野委員 これまで予防接種のいろんな動きがあったときに、確かに国、都道府県、市区町村から被接種者・保護者まで、いわゆる直接の関係者の役割というのはもちろん大切なのですけれども、大きな動きは、これまでメディアの方々から発せられる情報とか、それに対する国民の世論とか、そういったこともかなり大きく影響してきたと思うのです。ここに特定の何らかの部門というのを項目として盛り込むのは難しいと思うのですが、その他関係する部署とか、関係する機関の役割といったものもなかなか省くことができないことではないかという印象を持っております。
○岡部部会長 ただ、具体的に書くのはなかなか難しいですね。余りきれいには書けないかもしれないけれども、その他にもあるということですかね。
○中野委員 ほかの6つの項目には役割分担の項目が具体的に書いてあるので、これだけに限定されるとつらいかなとちょっと思ったので、発言させていただきました。
○岡部部会長 ほかにはいかがですか。
 では、一応項目としてはこれで。また後で何かいいアイデアが出たらおっしゃっていただきたいと思います。
 3ページの一番最初からいきますけれども、国の果たすべき役割として2つ○があって、あと、ちょんちょんとついていますが、これについて御意見がありましたらお願いします。小森委員、次は澁谷委員。
○小森委員 先ほど申し上げたことと重なるので、前文にどの程度書き込むかということに大きくかかわりますが、VPDから国民を守るということは第一義的に国の仕事であるということをしっかり書き込んでいただきたい。これが1点です。
 第1回のときにお話をしましたが、皆さんのお手元の資料で、大変恐縮ですけれども、ちょっと思い出していただきたいのです。
 第1回の基本方針部会の資料8に「予防接種法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」を衆参両院でつけていただいています。
 前も御説明しましたように、御存じの方に大変御無礼ですが、国権の最高機関である国会において政党を問わず全ての議員がこのような決議をされたということは、極めて重いことであります。
 後でワクチン・ギャップのところはあえてこれを引用してお話をしたいと思いますけれども、まず、3月19日の衆議院厚生労働委員会の2項には、「結果に基づいて必要な法政上、財政上の措置を講ずるように努めること」となっておりますし、参議院厚生労働委員会には、「新規ワクチン等々の位置づけについて、厚生科学審議会の意見を聴いて検討し、その結果に基づいて必要な法政上又は財政の措置を講ずるよう努めること」と書いてあるわけです。
 したがって、先ほどのお話とちょっと関連しますけれども、「必要な財源を確保する」というのは、広く国民で負担をするということでありますが、これは国の責任としてしっかり行うということがここに書いてあるわけです。したがって、そこから逃れてもらっては困るということですので、国が果たすべき役割の項目としてしっかり書き込んでいただきたい。これは意見です。
○岡部部会長 それはちゃんとノートしておいていただけますか。
 予防接種の話のときによく出てくるのですが、一義的には、日本の場合には国が決定をして、それを自治体が実施をするという形なので、基本的な方針は国にあるというところではないかと思います。そこに必要なのが医学的なバックグラウンドという考え方になりますから、そこは書き方を工夫していただければと思います。
 澁谷委員、お願いします。
○澁谷委員 「予防接種の有効性及び安全性向上のために必要な調査及び研究」と書かれていますが、安全性とか有効性といったワクチンの技術的なものだけではなくて、感染症対策として予防接種の評価に関する研究が必要ではないかと思います。
 データが散逸しないように継続的に蓄積をしておくということが、国として非常に重要ではないかと思いますので、そういうアウトカムに関する理念、そういうものも調査・研究ということで一つ起こしてもらえたらと思います。
 もう一点です。積極的に海外の情報を入手する役割、情報の入手と分析ということは、地方にいるとなかなか難しい面があるので、これは厚労省が直接するのか、あるいは国の研究機関がするのかということはあるかと思いますけれども、そういった役割も期待したいと思います。
○岡部部会長 坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 先ほど小森委員がおっしゃったこととも関係しているのですが、それぞれの役割の中に健康被害救済の費用負担云々というのが書かれているのですけれども、市町村、実施主体にとって一番重いのは予防接種の財政負担ということで、これは現実的にはかなり市町村に大きな負担になっております。
 ところが、その財政負担の一番大きな項目がどこにも触れられていないというのは、実施主体としても、誰がお金を出して予防接種を進めていくかということが基本中の基本だと思いますので、責務として書き込むべきではないかと思います。
○岡部部会長 その辺は、ほかにも御意見がありますか。中山委員、どうぞ。
○中山委員 先ほど費用負担のところで質問させていただいたのがまさにそういうところでして、健康被害救済だけ費用負担というのが書かれていて、根本的なところは何も書いていないので、第一義的に財政の確保というのが必要になると思いますし、先ほど小森委員がおっしゃった附帯決議のところでも、第2項に「財政上の措置を講ずるように努めること」とうたわれているわけですから、そこは委員会としてもきちんと言っておく必要があるのではないかと思います。
○岡部部会長 この附帯決議の文章そのままということになりますね。「新しいワクチンが出てきた場合に、それが必要であるかどうかの検討を行った上で、その結果に基づいて必要な法制上、財政上の措置を講ずるように努める」、これは国のやるべきことではないかというふうに思うので、そこは事務局のほうで整理をお願いします。
 ほかにはいかがですか。多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 国の果たすべき役割の中に、国としての予防接種率の把握ということも必要ではないかと感じます。どれぐらいの人がワクチンを受けているのかです。その人の予防接種歴の把握というのは、また後のほうで出てくると思うのですが、国として、予防接種を受けている人がどれぐらいいるかというのを速やかに把握することで、次なる対策もとれると思うので、そこもぜひ入れていただければと思います。
○岡部部会長 それは、「予防接種の実施状況」といった言葉ではまずいですか。それでもいいですか。「接種率」だけにすると、何か細かいような気がする。
○多屋委員 はい。「国としての予防接種の実施状況」でお願いします。
○岡部部会長 ほかに御意見がありましたら、どうぞ。中野委員、どうぞ。
○中野委員 1項目めの「対象疾病、接種対象者、使用ワクチン」というところですが、対象疾病はもちろん定めていただいて、何が定期接種かということも含めて、大切だと思うのですが、「使用ワクチン」という言葉は、今後いろんな意味を含んでくると思うのです。
 例えば1つの予防する疾病に対して、複数のワクチンが、一部は国内で、海外ではもっと使われています。また、開発項目にも挙がっている混合ワクチンとかが今後開発されてきますと、どのワクチンを使うのか。
前から申し上げているように、予防接種はわかりやすくないと安全対策上も問題があるし、国民の皆様にもわかりにくいところがあるので、ここをどう変更するか、どう変えるかということではないのですが、「使用ワクチン」という言葉は、今後より一層吟味していかなければならないところだと考えています。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 これも自治体側からぜひ言ってほしいということなのですけれども、財政負担のあり方。恐らく国側から言わせると、現在、予防接種の費用の算定根拠の9割を見ているので、理屈上、かなり財政負担をしていますよということだと思うのですが、そもそも算定根拠がもともと幾らなのか全く中身が見えないということです。財政負担に関しては、実施主体の市町村がよくわかる財政負担の透明化を図ってほしいと思います。中身がよく見える形の財政負担をお願いしたいということをぜひこの場で要望いたします。○岡部部会長 ほかにはいかがでしょうか。
 僕からの意見なのですけれども、先ほど中野先生がおっしゃった「接種対象者、使用ワクチン、接種回数」については、接種方法などもその中に入ってくると思うのです。細かいことになるけれども、例えば筋注、皮下注の問題、あるいは接種ルートとか、そんなものが入ってくるので、「接種方法」というのを入れておくといいのではないかなと思います。
 「予防接種の有効性及び安全性向上のために必要な調査及び研究」とあるのですが、後をざっと見てみると、「予防接種の副反応情報の収集・報告」というのは、メーカーのところにしか入ってこなくなってしまうので、これは国がやらなければいけないところに入れるべきではないかと思うのですが、いいでしょうか。
 それに基づいてどういう判断をするかというのも国としての最終役割ですけれども、必要な情報の最後はやはり国がまとめないといけないと思うので、よろしくお願いします。
 池田委員、どうぞ。
○池田委員 先ほどと同じような確認なのですが、「国の果たすべき役割」のところの「予防接種の」というのは、「定期接種となった予防接種の」というふうに理解してよろしいですか。そこに限定した話というふうに理解してよろしいですか。
○岡部部会長 ここはどうですか。
○宮本予防接種室長 予防接種法の枠内で検討いただいている以上、定期接種を念頭に置いて検討いただいているものではございますけれども、そのほか関連する御意見もいただきまして、最終的な取りまとめについては、また検討させていただきたいと思います。
○岡部部会長 総合的なところでは任意接種も扱いながら、当然新しいワクチンをやらなくてはいけないだろう。ただ、予防接種に関して役割分担をしてやっていくとなると、これは定期接種が中心になるのではないかなと思っていたのですが、そんなようなことでよろしいですか。
○池田委員 はい。
○岡部部会長 任意接種も含めて全部国及び地方公共団体の役割というふうにしてしまうと、今度は全部ひっくるめてやらなくてはいけないので、逆に定期と任意というのはどういうものだという話になりますから、今の段階では今のような振り分けが必要ではないかなと思いました。
 小森委員、どうぞ。
○小森委員 ただ、新型インフルのような臨時接種ということもありますので、余り「定期接種」と明確にしてしまうと、幾つか問題があるかな。
○岡部部会長 では、基本的な考え方としてはそうだということで。
 中野委員、どうぞ。
○中野委員 4月から新しくなった副反応報告のファクス書式は、定期と任意ということで、丸を振るようにしていただいてあります。それはとてもすばらしいと思うのです。安全性にかかわるとても大切なことなので、そのようなことは当然国が把握していただくというのが大切だと思います。
○岡部部会長 逆にデータがないと、任意接種のワクチンを定期接種に入れるというエビデンスがとれなくなってしまうというのがありますから、そこのところは十分考慮していただいたほうがいいと思います。
 それでは、今度は都道府県の果たすべき役割及び市区町村ということになるので、澁谷委員あるいは坂元委員の御意見がまず最初に必要だと思うので、澁谷委員、お願いします。
○澁谷委員 まず、都道府県の役割の「予防接種の安全性・有効性向上を図るための調査協力」というのがございます。これは国の調査・研究への協力という意味かなと思ったのですが、都道府県、もちろん保健所も含めて主体的な調査・研究をするべきだと思うので、協力だけでなくて、調査・研究の機能もあると思っています。そこは協力だけではないということを主体的に考えたいと思います。
 地方衛生研究所も、各都道府県では評価や調査・研究、情報発信にとても重要な機関ですので、地方衛生研究所も含めて、やはり都道府県は主体的な調査・研究をすべきだと思っています。そういうふうに記載をお願いできればという希望です。
 次に市区町村の果たすべき役割のところです。これは一人ずつのお子さんのことを考えてみますと、その子特有の情報、例えば未熟児とか小児慢性特定疾患があるということで、他に主治医がいて、別の接種医のところで予防接種をするという場合に、情報が適切に伝達をされないと、その子供には大変な不利益になってしまうわけです。こういった適切に情報が伝達される仕組み、環境整備を市区町村ですべきだろうと思います。
 後ろのほうにも母子健康手帳のことが出てきますが、手帳だけではなくて、システムとしてそれぞれの市町村の中でそういうものを考える役割があると思います。
 以上です。
○岡部部会長 それは市区町村においてなのですか。都道府県と両方にひっかかってくるのですか。都道府県と市区町村が一応分けてあるのです。かなりオーバーラップしているのではないかと思うのです。
○澁谷委員 両方にかかってきますね。
○岡部部会長 坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 都道府県の責務の中で、都道府県の中の基礎自治体、市町村の広域連携という形があるかと思うのですが、この調整の中の最も重要な件でもうちょっと具体的に言うと、予防接種は市町村業務になってしまいますので、市町村を乗り越えてしまう、例えば隣の市町村の医療機関で接種する場合、かなり難しい部分があります。
そういう広域調整については、現実には今、市町村が他の市町村にある病院、医療機関と個別に契約や協定を交わして、受ける体制を整えているということなのですが、それを具体的に都道府県がその事務を今後やってくれるのかどうかということです。
これは非常に大きな問題なので、漠然と書かれても、市町村がそれを期待してしまうと、都道府県にとってはかなり大変な業務になってくるのです。そうすると、都道府県も人員の増員等をしなければいけない。漠然と書くのはいいのだけれども、本当にそれをしていただけるのかどうかという具体的な問題が一つ出てくるということです。
 「緊急時のワクチン供給等」というのは、問屋さんとの交渉。これも現実には市町村等がやっている。都道府県が緊急時にそういう業務を行いますということになってしまうと、これも都道府県としてはかなり大変な業務になってくると思います。
書くということは、趣旨としては構わないのかなと思いますが、これは実際にかなりの実務や業務量を伴う内容なので、この辺のそれぞれの業務に関しては、都道府県と市町村がしっかり話し合っておかないと、こう書いてあるから都道府県の仕事ではないかとなってしまう危険性もあるので、その辺の実務的な打ち合わせも現実には必要かなと思います。
○岡部部会長 一応、項目としては、管内だけでなくて、「広域的な連携」とあるのですが、もうちょっと具体的に書いておいたほうがよろしいですか。
○坂元委員 例えば広域的な連携において市町村と協議会を持つとか、市町村と業務の範囲を定めるというふうにしておかないと、お互いにこれを読んだときに、あ、これは都道府県がやってくれるのだとか、そういう思い込みが生じるというのはいけないので、これに関しては、市町村と都道府県の間でその業務のあり方に関して、きっちり連携会議みたいなものを開くという形の項目があれば、そこでしっかり話し合ってやれば混乱が起きないのかなと思います。
 以上です。
○岡部部会長 それは、ここのポチポチに入れなくても、各論的にそこの説明を入れる中に書いていけばいいということですね。
○坂元委員 はい。
○岡部部会長 そこは書きとめておいていただきたいと思います。
 多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 今の坂元委員のお話を伺っていて思ったのですけれども、今は市区町村と都道府県なのですが、都道府県を越えるということも時にありまして、特に震災のときなどは都道府県をかなり越えての対応でしたので、国のほうで都道府県を越えた場合の調整というのは必要になってくるのかなと思います。
○岡部部会長 坂元先生にもお尋ねしたいのですが、広域的な連携をやるとき、これを都道府県がやるのか、その上の国が調整をとるのかというのは、どちら側なのですか。
○坂元委員 現実の事務を申しますと、川崎市民の多くの方が都内の病院に入院しております。多摩川を越えてすぐですから。そうすると、そのお子さんの予防接種に関しては、現在、川崎市が都内の病院との個別契約という形で、個々に契約してやらせていただいているということなのです。これは特殊な病気を持ったお子さんとか、非常に重度のお子さんということに配慮したものです。
 ただ、これを通院患者まで広げてほしいというふうになると、現実にはものすごい事務量を伴ってしまうので、都道府県の端境にある市町村は、そういう問題に関してはかなり大変になるのかなと思います。
 そうすると、もしやるならば、都道府県を越えた協定というのも実際には。今、実際都道府県の中で完結しないと思うのです。その辺の考え方もしっかりしていかなければならないということで、場合によっては都道府県、国の責務の中に「都道府県間の協定」というのも入れるべきかなという思いもあります。
 以上です。
○岡部部会長 そのところは各論として埋め込んでおいていただければと思います。
そこも議論が必要だろうと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 僕から一言お願いがあったのですけれども、先ほど多屋委員から「保健所、地研」というのが少し言葉として出ていたのですが、このポチポチの中には、先ほど澁谷先生もおっしゃっていた「主体的な調査・研究を保健所や地研が行う」というようなことも一つ入れておいていただく。副反応のチェックに関して、本来ならば公的な研究機関、検査機関である地研がやるといいと思うのですけれども、そういった役割が明確ではないということも今後の課題として入れていきたいと思うので、よろしくお願いします。
 それでかぶってきた市区町村の話になります。これは今の前段で議論した「都道府県の果たすべき役割」と一部オーバーラップをしますが、独立してきちっと書いておいたほうがいいことがあったら、お願いします。
 これも澁谷先生、坂元先生、何か御意見があったら。よろしいですか。
○澁谷委員 はい。
○坂元委員 そうですね。
○岡部部会長 これで全て決まるのではなくて、きょうの議論をもう一回集めて項目立てをして、中に各論的なことを埋め込んでいって、さらに議論を深めていきますから、これでおしまいではないので、そこのところは頭の中に入れておいていただいて、次の議論に回していけばいいと思うのです。
 事務局のほうは、今みたいなやり方でいいですね。
○宮本予防接種室長 はい。
○岡部部会長 それでは、「四 医療関係者の果たすべき役割」としてありますけれども、ここは実際的なところもあるので、小森委員、中野委員から先に意見を伺いたいと思います。小森先生、どうぞ。
○小森委員 医療者の責務として、3つ目のポチ「入念な予診」のみならず、接種にかかわるその前後の適切な医学的管理というのは、接種にかかわる医師を中心とする医療関係者の責任だと。よく皆さんが誤解するのは、日本医師会が軽く軽くと。そうではなくて、しっかりと果たすべき役割、医師を中心とした医療関係者が責任を持つということを書いていただいたほうが、私としてはいいと思いますので、これは予診だけではない。
○岡部部会長 前後の医学的管理ですね。
○小森委員 接種にかかわる医学的管理ですかね。
○岡部部会長 では、中野委員、どうぞ。
○中野委員 今の4項目で確かにある程度の範囲まではカバーされていると思うのですけれども、特に最近思うことは、ワクチンの数がふえてきて、起こってはならないことですが、接種間違いとか、空打ちとか、2回打ったとか、ちょっと目立ってきているのです。ですから、「接種現場における適切な医療安全の管理」とか、そういった言葉を一言盛り込んでおいたほうがいいのではないかと思います。
 あと、「技術・知識の習得」と書いてあるのですが、先ほど都道府県と市区町村のところでも少し発言をしようかと思ったのですが、予防接種従事者とか、予防接種に携わる医師の研修というのは、1回受けたらいいというものではないです。常にブラッシュアップしていかないと、毎年制度も変われば、使えるワクチンも変わるわけですので、継続的な研さんというか、研修の継続とか生涯教育というような言葉、どういう言葉が適切かわからないですけれども、それをしなければならないようなことをしっかり書いておいたほうがいいかと思います。
○岡部部会長 そうすると、「都道府県の果たすべき役割」のところに「研修」というのかあるので、これをもうちょっと強化するような形ということですか。
○中野委員 はい。
○岡部部会長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 きょうは製造販売の方が委員の中に入っていないのですけれども、代弁するような形で、「製造販売業者、卸売販売業者の果たすべき役割」についてはいかがでしょうか。坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 今回の一つの例をとりますと、風疹の大流行がありましたが、その際に、ワクチンの供給は、基本的には問屋さんを介して医療機関に配達されます。川崎の場合は市で一括購入しているので市が注文しますが、その問屋さんのメーカーからのワクチンの入手能力にかなり依存しており、緊急時とかいろいろな場合にかなりの地域差が出てくるということなのです。
そこは公平性という観点から、そういう業者さんの力に依存するのではなくて、もうちょっと均一的な供給ができるシステム、仕組みづくりというのを問屋さん、メーカーのほうにも検討していただけたらなと思います。
○岡部部会長 池田委員、どうぞ。
○池田委員 ここの箇所がいいかどうかはちょっとよくわからないのですが、例えばワクチンの価格に関して、国外とのギャップ、内外価格差といったことが時に指摘されますので、そうした価格面、適正な価格にということは、ここに書くのか、あるいは買うほうの側にそういった交渉をすることを書くのかわかりませんが、どこかにあってもいいのかなと思いました。
○岡部部会長 表現はなかなか難しいですね。不当にやっているとは到底思えないのですけれども、買うほうとしては、できれば安いほうがいいわけですし、そこのところは書き方を考えてもらうようにして、どういうふうにするか。
どうぞ。
○池田委員 「適正な価格での提供」とか、「効率的な」とか、そういった言葉がいいのかなと思います。
○岡部部会長 坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 今、池田委員がおっしゃった価格という問題についてですが、国へのお願いは、各市町村が予防接種事業をやって、恐らくどの市町村も実際にやっている費用、つまり、個々の予防接種に関して、かなり価格がばらばらだと思います。例えば政令指定都市で一番高いところと一番安いところでは価格の差が約2倍あります。
政令指定都市は感染症の担当課長会議でお互いに価格の情報を交換して、なるべく均一化を図るという方向で努力はしてのだとはおもいますが、それ以外の市町村になると、そういう手段がないということです。その辺の調査とかそういうものはある程度国にお願いしたいなといけないと思います。そうすれば、どういう価格で実際市町村がやられているかということがわかるという利点と、国が財政負担をするときに、財政の負担率つまり公開されない算定根拠が本当に適正であるかどうかということも国側もわかってくると思います。
 もう一点、この価格に関してなのですが、昨年、たしか国が全国の市町村に実態調査を行ったと思うのです。確か川崎市出にも来たのです。各市町村ごとの計算のやり方が違うので、非常に複雑な調査になって、それをまとめる国としては大変かと思いますが、できるだけ早くあの調査結果を出していただければ、市町村も非常に参考になるのではないかと思います。
 以上です。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 価格の問題は、第4の項目、適正な実施のところにかなり出てきているので、そこで議論をやっていきたい。
最後に小森委員、どうぞ。
○小森委員 今、TPPが話題になっていますけれども、かなり以前から日米構造協議、「協議」という名前、和訳にして政府はごまかしていますが、実は岡部先生がよく御指摘になる「リコメンデーション」という言葉なのです。つまり、米国は日本に対して強い勧告をいつもし続けています。その中に医薬品の適正な価格と。つまり、高くしろと。
 保険診療上の薬剤については別の仕組み、一定の公的な値段にするための仕組みがあります。
予防接種にはこれがないということから、国は、さまざまな観点から、これまで個別に製造販売業者と調整をしてくださっていた。その努力は多とするものでありますけれども、このことについて国際的に非常に強い圧力が我が国にかけられていますし、今後その攻勢は強くなる一方です。
 したがって、坂元委員が言われたように、国内の問題も重要な一点ですが、それ以上に、国を助ける意味でも、国の役割のところに「ワクチンの価格の適正な評価」ということを書いてあげたほうが、厚生労働省はそれを力にして、しっかり交渉する一つの根拠にしていただけると思うので、むしろそういうところに書いていただければと思います。
○岡部部会長 適切な価格の導入というよりは、評価をきちんとやれということで、そこは国の役割としてあるべきだという御意見だと思います。
そこもちょっとノートをしておいていただければと思います。
 先ほどの価格については6ページの第4のところでももう一回ありますので、一応ここで切っておいて、4ページの「六 被接種者・保護者の果たすべき役割」ということになります。これは一般の方という意味合いですが、これについて意見はいかがでしょうか。その情報は国なり地方公共団体が出さなくてはいけないわけで、それを受けていただいて、できるだけ理解していただくように努める、お願いするということになりますけれども、いかがでしょうか。池田委員、どうぞ。
○池田委員 被接種者・保護者が主だとは思うのですが、これはより広く国民が理解していただくのがいいのかなと思います。
○岡部部会長 学校の先生もそうだし、会社のところもそうだというような意味ですね。
○池田委員 はい。
○岡部部会長 むしろ特定しないほうがいいだろうと。
 中野委員、どうぞ。
○中野委員 ワクチンのリスクも含めて正しい知識ということは、もちろんとても大切なことだと思うのですが、今、国とか自治体とか医療関係者の果たすべき役割の中にも、安全性の情報も含めた情報の提供というのを書いてあるのですが、一般の国民の皆様というのは、毎日医療とかワクチンのことを考えているわけではないので、いろんな形で情報が入っても頭の中が整理できないような気がするのです。
 そうであれば、これはリスクだけではなくて、有効性も含めてなのでしょうけれども、今、公的に出ている資料、「予防接種ガイドライン」と一緒に出ている「予防接種と子どもの健康」の中に一部記載がございますが、そういったわかりやすい資料をつくることを前提としてこの言葉があるということを私たちは受けとめておく必要があると思います。
○岡部部会長 そこは各論のところに書いたほうがいいのかもしれませんけれども、前提としては、きちんとした情報があって初めて理解できるわけなので、そこはむしろプロ側のやることであるということですね。
 多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 今の中野先生の御意見に関連するのですが、どちらかというと被接種者・保護者は、ワクチンのリスクについては物すごく情報を収集して取り入れているのですが、ワクチンによって守られている部分というのは十分知られていません。特出しをして「ワクチンのリスクも含めて」というふうにすると、またリスクのほうだけになるものですから、ここに入れるときは、「ワクチンによって得られる効果」というのも一緒に出していただきたいなと思います。
 国民が安心して受けられるワクチンというところで、「安全かつ有効なワクチンの研究開発」というところが製造販売業者様の果たすべき役割のほうには入っているのですが、国の果たすべき役割として国民が安心して受けられるワクチンの供給ということで、感染研では国家検定などを実施しているということもあります。先ほどの国の果たすべき役割の中の「有効性及び安全性向上のために必要な調査及び研究」というところに入っているのかなとも思いましたが、国家検定はここに入れてもいいのか、少し違うような気もしまして、意見として出させていただきたいと思います。
○岡部部会長 製造されたワクチンの適正な管理といったような意味合いですか。
○多屋委員 はい。
○岡部部会長 それは国の役割になりますね。
○多屋委員 はい。国の役割の「安全かつ有効なワクチンの研究開発」の中に含まれていると思っていいのか、もし含まれていないのであれば、そういうことも国が果たすべき役割なのかなと思います。それがあって初めて安心して皆さんが受けてくださるのかなというふうな気がしています。
○岡部部会長 検定の意味を国の役割の中に含めておくということで。
○多屋委員 含まれているのですね。
○岡部部会長 リスクということよりも、一番最初に書いてあるようなリスク、ベネフィット両方とも重要であるということは言わずもがなですが、当然両方書いておくほうがよろしいかと思います。
 それでは、ここら辺のところは一応これで整理をしておくようにして、これで半分なのですけれども、1番目、2番目の議論のところで事務局のほうから発言がありますか。今のところよろしいですか。
○宮本予防接種室長 坂元委員より自治体に対して行いました価格調査の件がございました。今、集計の作業を行っておりますが、なるべく早く進めまして発表してまいりたいと思います。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 それでは、議論を進めていきたいと思います。
 5ページ「第3 予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に係る目標に関する事項」というところで、これは「ワクチン・ギャップの解消」と「接種率の向上」、大きく2つになっていますけれども、これについて御意見をお願いします。澁谷委員、どうぞ。
○澁谷委員 「ワクチン・ギャップの解消」と「接種率の向上」というのは、非常にクリアカットでわかりやすいので、これだけでもいいのかなとも思いますし、一方、施策の総合的な評価とか、あるいはそれらの進行管理をしていくということを考えると、感染症による重い障害が減少したとか、あるいは罹患、感染症自身が減ってきたという評価をすることも実は必要ではないかと思います。
 既存の予防接種の効果と位置づけの見直しを定期的に実施するというのが、計画を進行管理していくということの意味の中には含まれると思いますので、どういう指標がいいのかというのは簡単には言えないのですけれども、例えば感染症による重い障害が減ったとか、あるいは感染症自身が減ったということも含めて、何かもう一つ考えてもいいのかなという気がしました。
○岡部部会長 最初の○のあたりに評価のこともきちんと入れておく。
 最近、感染研が研究班のデータとしてまとめてある、例えばヒブの導入によって極めて罹患率が減ってきたといったことはすごくいい面ですし、そういったところを見ていくということが今後も必要だろうと思います。
 坂元委員、小森委員の順番でお願いします。
○坂元委員 「接種率の向上」と、4ページの「被接種者・保護者の果たすべき役割」ということで、これはむしろ「国民」としたほうがいいのではないかという意見が出たのですが、非常に難しいところだと思います。自治体がいつも悩むのは勧奨接種ということで、多くの人に受けてくださいというふうにお勧めしますが、もちろん強制ではないということで、このバランスをどうとるかということです。
 もし勧奨接種という建前をするならば、国民側が予防接種のリスクと有効性を理解した上で、できるだけ接種を受けてくださいという項目を入れないと、自治体としては非常に変な話になってしまうということです。
 接種率向上というのは、誰が接種率向上をするのか。あくまでも行政側なのか。国民側は接種率向上に協力するべきなのか。これはかなり根本的な議論なのですが、いつもいろいろなワクチン接種のときに実際自治体の現場では悩みなのです。
 例えば今回の風疹の流行に関しても、自治体は過去いろいろな施策をやって接種率の向上に努めてきた。しかし、どれだけやっても受けていただけない一定の群がいて、それが集積すると流行が発生する。多分これの繰り返しになってくるので、ここら辺の議論というのは非常にしにくい議論かとは思いますが、避けて通れないのではないかという気がします。
○岡部部会長 多分そこは全体的な公衆衛生上のバランスも考えなくてはいけないので、余り接種率の向上だけを目標にしてしまうと行け行けドンドンになって、逆に思わぬ副反応が出てくるということもあるので、もちろん接種率の向上をして病気を抑えるわけですけれども、ほかのところにも出てきているように、それによって消失するディジーズ・バードンと安全性についてもきちんと見ていくということが前提になると思いますので、そこも各論の中に入れておいていただければと思います。
 1、2両方について御意見がありましたら。小森先生、どうぞ。
○小森委員 いま一度先ほど申し上げました第1回の資料8、附帯決議をごらんいただきたいと思います。
 資料8の衆議院の附帯決議は、1項に「平成25年度末までに」、2項には「速やかに」と書いてあるのです。つまり、ワクチン・ギャップの解消には速やかに国が当たるべきであるということが書いてあります。
 1項は、その上に「財源を確保した上で」という文章があるのです。私も随分関係しました。
2ページ以降を見ていただきたいのですけれども、参議院の1項には「平成25年度末までに」、2項には「ロタについては早期に」、3項にも「速やかに」と書いてあるのです。急げということを何度にもわたって書いてあります。
 そのことをしっかり踏まえて文章にしていただきたいということと同時に、参議院の1項については、「結論を得るよう努めること」という努力規定が省かれています。「結論を得ること」となっています。
 さらに、衆議院でつけられました「財源を確保した上で」という言葉が取れています。これは実は非常に重い意味があるのです。これは、国の責務として速やかにこれを行うべきであるということを国権の最高機関が示したものであります。したがって、そのことを強く書いていただく。
 その上で、ワクチン・ギャップの解消は目的ではないです。当面のステップであって、ワクチンについては先進国でなければならないので、この基本方針に「ワクチン・ギャップの解消」というのは、ステップとしてはいいですが、いかがかなということをちょっとつけ加えておきます。
○岡部部会長 そうすると、3番目としては「ワクチン・ギャップの解消」が1つあって、これが当面5年の目標なのですけれども、「接種率の向上」。3番目としては「ワクチン先進国入りを目指して」ぐらいで。
○小森委員 ちょっと言葉はあれですけど。
○岡部部会長 でも、ワクチン・ギャップが解消されて、それでよしということではなく、あるいはそれの維持であり、新しいものに対してきちんと評価・検討しながら、導入するかどうかについての検討を続けて行う、そういう意味合いはこの中に書いておいていただいたほうがいいのではないかと思います。そのようにまとめておきたいと思います。
 それでは、中野委員。
○中野委員 小森委員の意見とほとんど同じところもあるのですが、私は、1番目の○と3番目○の言葉は、基本計画の言葉としては似ているけれども、3番では「計画的な推進に係る目標に関する事項」と具体的なことがせっかく書いてあるので、ワクチン・ギャップの解消というのは、2013年4月の予防接種法改正の大きな目的の一つだと思っていますが、まだワクチン・ギャップは改正されていないと思います。
 小森委員が附帯決議の重要性を何度か繰り返し強調していただきましたけれども、衆議院議員の附帯決議に4つのワクチンの名前が具体的に書いてございます。あと、参院の附帯決議にはロタのことも出てまいります。これらワクチンの具体的なことをワクチン名、疾病名として盛り込まないと、これは5年に一度改定を考えるわけですが、その具体的なものがないと、その年その年、さらには5年間というものが見えてこないので、ぜひ具体的にワクチン・ギャップの解消ということに関して盛り込んでいただきたいと思います。
○岡部部会長 ここの中には具体的な名称、ある特定の疾患というのは書いていないのですね。予防接種の全般的な事柄なので、余り特定のことを盛り込んではどうかなとは思っているのですけれども、どうですか。
○中野委員 内容的にワクチン・ギャップの解消ということで、予防接種法として考えるべき新たな疾病となると、附帯決議に盛り込まれたワクチン名が入ってくるのではないかと思います。既に部会でも議論が進んでいるわけですから、それは進行していくでしょうけれども、それを見詰めていかないといけないのではないかと考えています。
○岡部部会長 表のほうにばんと出ていくわけではなくて、そこのところは各論を書いていく間に工夫をして記していくということになると思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、もうちょっと進めていきたいと思います。「第4 予防接種の適正な実施に関する施策を推進するための基本的事項」として、先ほどもちょっと議論に入った費用の問題、健康被害救済制度、接種記録の整備といったことが書いてありますが、これはいかがでしょうか。どうぞ。
○宮本予防接種室長 私どものほうから一つ関連しまして、参考資料1「社会保障・税番号制度ついて」紹介させていただければと思います。
○岡部部会長 では、そこに入る前に参考資料1についてお願いします。
○西川課長補佐 それでは、参考資料1、今まで見ていただきました資料1の次に入れさせていただいているもので、タイトルが「社会保障・税番号制度ついて」というものでございます。
これから議論していただきます基本計画の第4というところに接種記録を盛り込むということとしておりますので、これの参考として、ことしの5月に公布されましたいわゆるマイナンバー法と呼ばれております番号制度が導入されていくということでございまして、これの検討状況について御説明をしたいと思います。
 それとあわせて、この番号制度が予防接種に関してどのようなことが可能となるのか、その未来予想図についてごらんいただくというふうに考えております。
 資料の1ページ目の下段のほうが番号制度の全体ということになっております。基本理念、個人番号、個人番号カード、個人情報の保護、その他をまとめてございます。
 まず基本理念ですが、この番号制度の導入によって公平・公正な社会、あるいは社会保障がきめ細やかに、かつ的確に行われること。行政に過誤や無駄のないこと。国民にとって利便性が高くなる。こういったものを目指すということになっております。
 この番号制度において根幹をなすのが個人番号というものでございます。こちらは今、ございます住民票コードを変換してつくられる12桁のカードで、これが国民お一人お一人に通知されるというものになっております。これは生まれてから亡くなるまで変わらない番号ということになっております。
 そして、この番号制度が使われる分野というのが3つ限定されております。社会保障制度、税制、災害対策、この3つということになっております。
 個人番号の利用範囲というのは、法律によって限定的になっております。
 さらに、個人番号については、希望者の方には写真入りのIDのカード、今、厚労省の職員がぶら下げている社員証のようなものをイメージしていただければと思います。
 個人情報の提供というのは原則的に禁止されておるのですけれども、限定的に利用できる行政の分野、業務というものが規定されております。
 将来的にはマイポータルというものが導入されるということが予定されています。
 めくっていただきまして、次のページに具体的なスケジュールが書かれております。
 一番上の「制度構築」というところをごらんいただけますでしょうか。ことしの5月31日に関連法津が公布されまして、先ほど御紹介した個人番号の通知というものが、平成27年の年内に始まるということになっております。これに合わせて政省令の整備を進めていくということになっております。
 先ほど特に利用範囲とか使える個人情報が限定されると申し上げましたが、これを規定する省令については年内に制定するということが予定されています。
 さらに、個人番号のカードというものは、平成28年から交付されるということになっております。
 マイポータルというものの運用が開始されるのが平成29年、4年後ということになっております。
 前置きが長くなりましたけれども、それでは予防接種に関してはどのように番号法上、規定されているかということです。
 利用範囲というものが第9条に記載されておるのですが、ここに別表第1というのがございまして、93の事務が列挙されています。その中で予防接種法に基づく接種の実施、給付の支給、実費の徴収に関しては利用できるということになってございます。
 下に別表第2とありますけれども、原則的には提供が制限されている個人情報なのですが、行政機関同士の情報連携をする場合、別表第2に載せられている業務に関して、あるいは個人情報に関しては連携させることができる。
 具体的には115の事務、あるいは個人情報が書かれておるのですが、予防接種に関しては、給付に関する事務というものが市町村間で情報連携できるということになっております。これは他の制度との並びもありまして、給付に関する状況を共有できるということになってございます。
 次のページに行っていただけますでしょうか。
 それでは、その番号制度で実現が想定されるというものは何かということです。
 1番目です。接種勧奨や接種記録、救済関係の業務、この事務について情報管理・検索が容易になる。予防接種を受ける側とすれば、逆に引っ越した場合にあっても、この接種記録や健康被害救済の関係の事務、あるいは申請の手続が楽になるということでございます。
 2番目は別表第2の関係です。これに関して市町村のほうで確認作業が省力化されるということになります。逆に申請者の立場に立てば、たくさんの書類を出さなければいけなかったところが簡略化されるということが期待されます。
 平成29年、4年後に運用、稼働が開始されるマイポータルという仕組みを考えておりまして、1つ目の○に書かせていただいた(1)、(2)、(3)、(4)、4つのサービスというものが自宅のパソコン、あるいはスマートフォンなどを通じて簡単にできるということになります。
 (1)情報提供の記録表示は、御自身の個人情報をいつ誰が何の理由、どういう目的で情報提供したのか、御自身で確認できる。
 (2)自己情報表示は、行政機関が持っている個人情報はどのようなものがあるのかということを確認できるというものになります。予防接種に関して、予防接種の履歴や、次に打つべきワクチンは何かということが一目でわかるというものです。
 (3)プッシュ型サービスというものは、一人一人に合った行政機関からお知らせを表示する。こちらも、いつまでにどのワクチンを打ったらいいのかといったものを行政のほうから個々人の方に合わせて通知ができるのではないか、こういうことが期待されています。
 (4)ワンストップサービスは、一部電子化が進んでいるところではできているのかもしれませんけれども、さらに手続が楽になるであろうということでございます。
 最後のページに行っていただきまして、「今後の課題」です。
 予防接種記録について、現行法令上どのようになっているかというおさらいにもなるのですが、「市町村長などは、予防接種を行ったときは記録を作成し、記録を接種時から5年間保存しなければならない」、これが予防接種法の施行令、あるいは施行規則に書かれておりまして、具体的に記録が必要なものは(1)から(7)までのものということになっております。
 過去に一部の自治体さんにヒアリングを行ったところ、接種の台帳の記録・保存の方法というのは、自治体によってまちまちという状況だと。電子化を進められているところもあれば、電子化と紙を併用してやられているところ、あるいは紙とファイルで保存されているところ、こういった状況だというふうに聞いています。
 したがいまして、番号制度が始まるまでにどのように接種記録を管理していくか、これを自治体の方、関係者の皆さんにお話を聞きながら考えていかなければならないと考えております。
 一番下の枠囲みです。この番号制度では、当初は医療情報については対象外ということになっておりまして、具体的に申し上げると、予防接種の記録と、その方がどのような病気にかかって、どのような治療を受けたか、どのようなお薬を受けられているかといったものを連携させて考えるということが直ちにはできない、そのような状況になっておりまして、医療に関する個人情報を番号法でどのように位置づけるか、考えていくかということは、3年後をめどに検討を進めるということになってございます。
 私からの説明は以上です。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 第4の基本的事項の「三 接種記録の整備」というところにかかわってくることなので、総合的にはやりますけれども、とりあえず今ありましたマイナンバー制度について、御質問や何かがあればお願いします。澁谷委員、どうぞ。
○澁谷委員 質問ということではないのですが、今おっしゃっていただいたように、医療の情報が連携できないということだと、当面は別立ての連携をさせる仕組みを考えないと、先ほどのような疾患を持ったお子さん、あるいは未熟児のような場合というのは少々難しいのかなということを思います。
 三のところの一番最初の○にある予防接種記録の整備について全般的に考えると、ここには「接種率の向上」ということが特に書いてあるのですが、それよりも前に、接種事故を防止するということについて、記録があるということは非常に重要でして、まずそれを言わないといけないのではないかなと思います。
○岡部部会長 今の接種事故の防止のためにも役立てるということですね。
 多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 予防接種歴が引っ越してしまうとわからなくなってしまうとか、予防接種を受けた人がすぐには自分の接種歴を把握できないというのは、何十年来の悲願のようなものでしたので、「医療情報」というふうにひとくくりにされるのでなく、マイナンバー法案が通ったということで、「予防接種の記録」というものはぜひ盛り込んでいただきたいと思います。行政だけでなくて、個人にとっても大きなメリットになると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○岡部部会長 予防接種にかかわる必要な事項についてということで、これは個人の医療、健康に関する情報ということではないのだということですね。
○多屋委員 そうですね。
○岡部部会長 必要な情報になってくると思うので、そこら辺について、事務局側から何か答えがありますか。
○西川課長補佐 予防接種に関する情報に関しては、これは対象になるのではないかと思っております。
 一方で、各医療機関で把握している国民一人一人の疾病の記録、あるいは治療の記録を直ちに結びつけて何かをするということができないということであります。
 接種を受ける側にとって必要な情報をできるだけ利用できるという形であれば、この制度もよくなると思うのです。
 坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 いわゆる予防接種の記録をマイナンバー化していって統一化するというのは、非常にいいことだなと思います。予防接種台帳もそれぞれの自治体がつくっていますが、自治体を超えてしまうとお互いに中身を照合し合うわけではないので、移動してしまうと全くわからなくなってしまうということで、ぜひ進めてほしいということ。
 若干お願いとして、自治体の窓口によく相談に来られる場合、今、これだけ国際社会になっていますので、海外へ行ったり来たりするときに、この予防接種の記録に海外での接種というものの反映とか、海外に行くときに、各自治体に英語の接種済証みたいなものが要求されるので、できれば海外でも示せるような形を工夫していただくといいと思います。今の時代、海外から入ってこられる方もたくさんいる、出ていく方もたくさんいるということで、せっかくつくるならば国際的にも使える形を工夫されたらいいのかなというのはお願い、意見でございます。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょう。中野委員、どうぞ。
○中野委員 先ほど坂元委員が海外渡航者のことをお話しされましたけれども、海外へ出かける方のワクチン、トラベラーズワクチンの観点から考えても、今、例えば破傷風を過去に何回打ったとか、日本脳炎を何回打ったという情報が全然入手できないのです。
 ですから、御説明いただいた個人の医療・健康に関する情報は対象外ということは、もちろん認識しておりますので、予防接種に関する御本人の記録というのは、その方の将来にすごく役に立つと思うのです。必要なワクチンを打てるということ。場合によっては余分なワクチンを打たなくてもいいかもしれないです。破傷風の接種歴がきちんとあったら、余分な回数を打たなくてもいいと思います。
 もう一点、ワクチンの長期予後として副反応が起こるということがわかったとき、直前のワクチン歴はわかっても、5年とか10年たったワクチン歴というのは、場合によっては入手できないことがありますけれども、個人の情報としてそれが残っていれば、これは国民の利益にも還元できることなので、医療情報が対象外ということは理解した上で、ぜひ予防接種の情報というのは各個人のメリットになるように残しておいていただきたいと思います。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見はよろしいでしょうか。
 それでは、マイナンバーと接種記録の整備については今の意見で取りまとめるようにして、費用の適正化についてはいかがでしょうか。6ページの「一 予防接種に係る費用の適正化」。坂元委員、何か御意見がありましたら。
○坂元委員 ここにも書かれていますように、価格決定のプロセスとか、個々の自治体が実際どの程度の費用でやっているのか、そういう調査とか公表をしていただければ適正化につながるのではないかと思いますので、そこをどこがやるかということはあると思いますが、ある程度国のほうでそういうことを定期的にやっていただければと思います。
○岡部部会長 池田先生、先ほどの発言と絡んでここの項目のところはいかがですか。
○池田委員 基本的にはこのような内容で結構だと思うのですが、「適正化」という言葉がいろんな意味で使われて、「技術を適正に評価する」と言うと、むしろ価値のあるものは高く評価してくださいというふうに聞こえますし、「医療費の適正化」と言うと、どちらかというと抑制的なほうなので、何か難しいなと思います。例えば「合理的な価格」であるとか。
「適正化」という言葉は慎重に使ったほうがいいかなと思います。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 では、それは用語として工夫をしておくようにお願いします。「合理的な価格」という一つの意見がありました。
 ほかはよろしいですか。
 もしそうであれば、健康被害救済制度は、予防接種法の中には組み込まれているわけですけれども、判断や何かをするところは別にあります。しかし、健康被害救済制度について、重要な制度であることをきちんと盛り込んではどうかということが、3つの○に含まれていますが、これについてはいかがでしょうか。小森委員、どうぞ。
○小森委員 以前の会でも発言をいたしましたが、今、健康被害救済制度においては、定期接種とそれ以外の接種によって救済制度が大きく異なっていますし、定期接種における救済制度の額についても十分であるというふうには思っておりません。
 したがって、健康被害救済制度のあり方について議論をし、所要の結論を得るということを書いていただきたいと思います。
 私も被害の審査委員会の委員をさせていただいておりますが、現状の中では、委員の福祉マインドの中で極めて適切に運用されていると理解をしておりますが、とはいえ、副反応等については疑わしい、しかし因果関係は不明確であるという方々をどのように救済していくかということについては、今、さまざまな問題で国民的な議論になっている現状を踏まえて、いま一度議論をしていただく必要があると思いますので、何らかの形でこの基本計画にそういったことを書き込んでいただければいいのではないかなという提言です。
○岡部部会長 多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 健康被害救済制度のところです。救済・給付ということがメーンに記載されていると思いますが、予防接種の健康被害がどういう原因で起こったのかということを究明する、原因を探索する部署が今、明確になっていないので、以前の部会でもあったと思うのですが、予防接種後副反応報告として届けられた症状について考えられる病原体の検出とか、そういった検討については、地方衛生研究所なり国立感染症研究所で実施できるような仕組みができるといいのではないかなと思います。
○岡部部会長 それは、先ほどの自治体とあそこの役割で保健所と地方衛生研究所での役割を書くというところでどうですか。
○多屋委員 はい。あそこで感染症のサーベイランスとか情報といったところを盛り込んでいただいていたと思うのですが、副反応の原因究明というところはぜひお願いします。
○岡部部会長 前の段階ですけれども、そこで明確にしておくということ。
 制度として、これはどういう姿勢で行われているかといったことが、ここの制度の「まえがき」で必要ではないかと思います。
 今のやり方、小森先生が福祉マインドとおっしゃっていましたが、基本的には徹底的に明確な因果関係をここで議論するのではなくて、確かに不明確な場合があるけれども、その場合は補償ではなくて救済。それによって、医学的な議論とは別の部分での医療費とか、そういうものについて確保しておくというのが真意なわけですが、うっかりすると、それが裁判上の問題であったり、ちょっと違うところの議論になってしまうので、どうしてこの被害救済制度が行われているかということは、この中にきちんと書いておいていただければと思います。
 中山委員、お願いします。
○中山委員 これも前に申し上げましたけれども、健康被害救済制度というのは、予防接種を国としてきちんと進めていく上では欠かせない制度であると思っています。
 ここで議論するのが今、時期的にどうかというのはちょっと別なのですが、例えば産科医療補償制度というのがありまして、あれは無過失補償制度なのですけれども、重度脳性麻痺児が出生した場合には一定の補償をする。原因分析委員会が重度脳性麻痺の発症の原因を分析するという制度が数年前にできています。そういうことも別途検討していってもいいのではないかなと思います。
 ここで重要な制度であるということを盛り込んではどうだろうというのは、まさにそのとおりですが、これをさらに充実させていくということも必要ではないかと思っていますので、その辺の観点も入れていただければと思います。
○岡部部会長 今、御紹介いただいた3番目のものは、ある一定程度の重度の症状があらわれた場合には、そこの因果関係を問わずというような形ですか。
○中山委員 そうです。無過失補償なのです。
○岡部部会長 そういう考え方も取り入れるべきである。そこについて徹底的な議論を始めてしまうと、どちらだかわからなくなってしまう。さりとて救済の対象になるものは全部予防接種が悪かったのですよという意味ではないということですね。
○中山委員 はい。
○岡部部会長 これは今後の制度を考えるところなのですけれども、小森委員、どうぞ。
○小森委員 中山委員の御意見に反対するわけではないのですが、産科医療補償制度はちょっと仕組みが違っていまして、その問題について補償するという手だてが基本的にない。
 しかしながら、そういった子供さんの親御さんに対する救済の制度がない、あるいは訴訟とか和解という制度しかなかったものですから、それが一定程度は医療行為等の評価にかかわらず起こるということの中で、さまざまなところがいろんな形で拠出をし、基金をつくって、保険会社にそれを運用させてとか、その上で医療安全に資する、そして適正な医療の運営及び国民の安心につながる、こういうことで新しくつくられた制度ですので、前半のところを学ばれると、これは国家として責任を持って行っている予防接種の救済制度とは根本的に違いますから、中山先生の言われる、その都度その事例について科学的に検証し、次につなげていくという部分だけとるという意味では賛成をいたしますが、「産科医療補償制度に学ぶ」という文章が入ってしまうと、逆に後退する部分が起こります。
○岡部部会長 どうぞ。
○中山委員 別に今すぐそれに学んで取り入れろというのでなくて、そういう制度も現実にあるわけですから、そういう制度を取り入れられるのかどうかを考え方として研究していってもいいのではないかという趣旨です。
○岡部部会長 トータルの費用としては、日本の救済制度は決して安くはないというか、世界的にもかなり高い位置にあると思うのです。全部やると物すごく莫大な税金が使われるということがあるので、そういったバランスについても、この制度の中で今後課題として議論していく必要が続けてあるだろうと思います。
 坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 健康被害の救済制度について、一般国民に広く周知するということをもし考えるとするならば、一つの方法としては、予防接種を受ける際の問診票はある程度基本のひな形があって、最終的にはそれぞれの実施主体の市町村に任されているのですが、その中に例えば救済制度があることを御存じですか、イエス、ノーということを入れれば、受ける方はそれがあるということを承知して受けているということなので、ある意味では説明と同意という形の中でかなりしっかりしたものになるので、もし可能であればそういう部分の検討も必要かなと思います。
○岡部部会長 ありがとうございました。
 これも意見として、今後ドラフトをしていくときの参考にしていきたいと思います。
 今のところの最終的な議論はまた別のところでやるにして、少し議論を移していきたいと思います。
 というのは、幾つかの報告事項がありますので、それについてこの会で伺うということがあります。
 一番最初、この報告事項では風疹の対策とはしかの予防接種率とHB肝炎の問題がありますので、それぞれについての報告事項ということで、最初は最近非常に問題になっておりました風疹の状況についての説明をお願いします。
 事務局、難波江補佐、お願いします。
○難波江課長補佐 お手元の資料2をごらんください。「風しんの流行状況及び風しんワクチンの需給状況について」でございます。
 これまで何度かこちらでも御報告させていただいていたかと思いますが、下が今週火曜日に感染研から公表されました「風しん患者報告数」でございます。第30週は154ということで、患者は減少傾向にあるという状況です。ただ、昨年夏の同時期の報告よりは若干高い数となっているというものでございます。
 次のページ上段が過去5週の都道府県別の報告数でございまして、多くの自治体で減ってきているという状況でございます。
 下が任意接種の状況でございます。
 今回新たに7月の任意接種者数の推定が出まして、約15万回ということでございました。5月が32万回、6月が36万回ということで、このペースが続くと、この夏には枯渇するおそれがあるということで、情報提供などをさせていただいたところでございますが、7月は15万回ということでございました。
 7月31日時点での医療機関を除くメーカーや卸などにある全国の在庫は67万本という状況でございました。
 次のページの上段が8月1日時点での需給シミュレーションでございます。先ほど申したとおり、35万回ペースが続くと8月には枯渇するおそれがあったわけでございますが、関係者の御努力や任意接種者数の減少などに伴いまして、この夏の枯渇というのは、30万回ペースが続いても避けられる見通しとなっております。
 一番下がまとめでございます。先ほど申したとおり回避できる見込みでございますが、ただ、先ほど坂元委員がおっしゃられたとおり、地域的な遍在などでワクチンが十分に行き渡っていないというところもございますので、引き続きこういった優先接種対象者などを示しまして、可能な範囲での理解と協力を求めているところでございます。
 以上でございます。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 これでほっとした気持ちは実際あるのですけれども、しかし、そのままではいけないというもの、風疹に対する特定感染症予防指針というものの設定がありますので、これは引き続き中長期的な意味で風疹対策に取り組んでいきたい、あるいはいっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 風疹に関して、報告事項ではありますが、コメントか御質問、あるいは何か追加ということがありましたら。多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 流行のピークが5月ぐらいであったということで、皆さん、非常に安心されているというふうに見受けられるのですけれども、風疹の流行は今までも2年から3年連続して起こっていることが多かったものですから、今年を2年目としますと、来年起こらないという保証はどこにもないので、これで安心してしまうことなく、前回の部会でも、任意接種として250万人分ぐらいの方が受けられるように今、一生懸命製造業者様がつくってくださっているということですので、今月は15万回ということで、このままもっともっと減っていきますと、今度は逆に余ってしまうことになってしまうので、せっかくつくられたワクチンを有効に使っていただいて、まだ感受性者は数百万人残っているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 これで終わったわけではないということをぜひ強調しておきたいと思います。
 それでは、はしかのほうに移っていきたいと思います。
 はしかについては、予防接種率、過去5年間、特に3期、4期の限定的な期間での予防接種ということも含めて、それのサマリーができ上がってきています。これは感染症研究所の多屋先生、お願いします。
○多屋委員 お手元の資料、かなり大きくコピーをしていただきまして、ありがとうございました。
 まず、2007年の朝日新聞に取り上げていただいたはしかの猛威から6年たって、はしかの状況が大きく変わりました。
 これを受けて、第3期、第4期の中1・高3相当年齢の2回目が始まったのですけれども、実はこれがあったおかげで今の風疹の流行が大人中心になっているということをぜひ皆さんに知っていただきたいと思います。もしこれがなかったら、恐らく今年、中学、高校、大学で風疹が大きな流行をしていたのではないか。この成果であると考えています。
 次のページが対象の方の生年月日ですが、その結果を5ページ目に書いています。1歳は何と97.5%という非常に高い接種率になりました。95%以上が目標ですが、それを3年連続達成している以上に、97.5という数字は、本当に多くの方々の努力のたまものではないかなと思っています。高く評価されると思います。
 2期もあともう一息で95%の目標に達しますが、1期と2期がそれぞれ95%以上達成するというのが目標ですので、ここは引き続き接種を受けていただけるよう、積極的勧奨が行われるといいなと思います。
 しかし、2期は2006年度からですけれども、随分上がってきています。
 3期と4期につきましても、最終年度の5年目は、中1相当が88.8%、高校3年生相当が83.3%と95%以上の目標には到達しませんでしたが、以前、中学生の子供たちが風疹ワクチンを接種していた時期は、1割にも満たないといった接種率の時代があった中、八、九割の接種率というのは、多くの方々の努力の成果ではないかなと思っています。そのおかげで風疹の流行が子今、供に起こっていないのだと思います。
メディアの方からの取材で、なぜ風疹は大人で流行するのかという質問に答えることが多くなっていますが、これはまさしく1期、2期、3期、4期の麻疹・風疹混合ワクチンを原則とする予防接種の成果だと思っています。
 次は日本地図です。これはぱっと見てわかっていただきやすいようにうちの佐藤研究員がつくってくれたのですが、真っ赤な色になっているのが目標の95%以上達成というものです。
 1期は、震災の影響で23年度は福島県のほうで接種率の把握がなかなか難しかったということがあって、黄色になっていますが、24年度はこのような状況になっています。
 ここは基本的な部分で95%以上、すなわち真っ赤になることが目標です。
 第2期につきましても、7年目になりますが、鹿児島県のみ8割台ですが、それ以外の都道府県では全て9割以上を達成しています。
 3期はその次のページですけれども、ここもかなり赤い系統の色、いわゆる9割を超えている都道府県がふえてまいりまして、これについては大きな成果だと考えています。
 4期は、残念ながら一部低くなってしまったところがあるのですが、こういうところでは感受性者がどうしても蓄積しているということになりますので、今後何らかの対策を御検討いただければ、ありがたいなと思います。
 その次の表は、都道府県別に麻疹含有ワクチンの接種率を1番から47番までの表にしていますが、1期は差が余りありませんので、どこも非常に高い接種率になっています。ここは95%以上を目標にできればと思います。
 2期も、半分以上ということにはなりませんでしたけれども、16都道府県では95%以上を達成されています。
 3期と4期については、その表に示すとおりで、都道府県別です。今、全ての市区町村の結果が厚生労働省のホームページに掲載されています。御自身のお住まいの市はどうなのかというのも全部わかるので、ぜひホームページをごらんいただきたいと思います。
 その次のページは、感染研のホームページにも記載させてもらっているのですが、これを5年間合計しますと、麻疹は2,038万2,917人の方がワクチンを受けてくださいました。
 風疹については若干多くて、風疹単味を受けている人がなぜか4期で多くて、恐らく、はしかは確実にかかったからということで、風疹単味を選ばれたのかもしれませんが、2,039万541人が接種をされていました。
 未接種者ということで見ると、麻疹についてはこの5年間で、本来ならば市区町村の公費負担で受けられる期間を逃してしまっている方が269万689人いらっしゃいます。この中には任意で受けられた方や、かかった方もいらっしゃるとは思いますけれども、受けそびれたという方は、今後任意の接種もぜひ御検討いただきたいと思います。
 その次が風疹で、麻疹より若干少ないということ、先ほどの理由になります。
 19ページは、私がことしの春から取材を受けさせていただく中で、NHKの方が風疹の部分を作ってくださいました(21ページ)ので、麻疹についてはどうかと考え、この表だとわかりやすいかなと思って、うちでつくったものです。
 ことしの4月1日現在、40歳6カ月以上の方は、恐らく定期の予防接種のチャンスを持っていらっしゃらない方で、それ以降の方が1回あるいは2回のチャンスを持っていらっしゃいます。1回だと不十分な点もありますので、ぜひ風疹対策と一緒に麻疹も考えていただきたい。混合ワクチンでの接種が進められているのは、そういう理由かと思います。
 その次は、以前雑誌にまとめたものがありまして、自分はどういう制度の時期に過ごしていたのかというのがわかってもらいやすいかなと思ってつくったものです。横が年齢で、縦が年度になります。この年度のときには何歳から何歳までが定期接種だったのだなというのがわかる表です。
 その次がNHKの方がつくってくださった風疹ワクチンの定期接種の状況で、結構よく使われているかなと思います。
 その次は、過去の制度と年齢を縦軸と横軸にした風疹バージョンです。
 その結果として麻疹の患者さんは激減しまして、今は100人ぐらいの数となっています。これはまさしくワクチンの成果にほかならないと思います。
 年齢別では、10代はピンク系の色にしているのですが、2008年、10代が多くを占めていた麻疹の流行ですが、今は10代がほとんどなくなりまして、ことしは20歳以上が75%という状況になっています。
 その次は風疹ですが、先ほどの厚生労働省からのお話にもありましたので、詳しいことは述べません。今、30週が出ていますけれども、毎週火曜日の朝、新しい情報を速報として更新しますので、ぜひホームページのほうをごらんいただければと思います。
 最後に、27ページのグラフです。皆さん、わかりやすいと言ってくださるのですが、ことしの風疹の流行を見ながら、年齢と定期接種の制度がこんなにぴったり一致するのだということがわかりますので、やはり定期の予防接種の大切さというのを痛感しています。1期、2期、3期、4期と書いてあるところがそれ以上のところよりもぐっと患者さんが少ないのは、まさしくワクチンの成果ではないかと思います。
 「まとめ」については、それぞれの数字を簡単にまとめたものなので、またお時間のあるときにごらんいただければと思います。
 以上です。
○岡部部会長 どうもありがとうございました。
風疹については先ほどディスカッションがありましたけれども、はしかのほうは、私もWHOの会議に出ていて、各国から日本は5年間かけて落としたということについて非常に評価を得られていますし、日本のほうでも国内の麻疹対策会議でなくて、麻疹の排除の評価委員会といった形のものがつくられて、もちろん手を抜くわけにはいかないですが、今後日本の麻疹排除が本当にできているかどうかということを検証していくことになると思います。
 しかし、多屋先生もちょっとおっしゃっていたけれども、これは、各方面の努力とか御理解とか、保護者の方も、はしかというものに対して非常に理解をしていただいた結果であろうと思います。この場をかりてこの委員会としても多くの方に感謝の意を表したいと思います。
 それでは、時間の関係もあるので次に動きたいと思います。
 次は、B型肝炎のことについての説明があります。
 集団予防接種によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会というものが開かれておりまして、そのきっかけになっているのは、かつて集団接種、手技の問題で、きちんと針を消毒していなかったとか、そういうことがきっかけであろうと思われるようなB型肝炎の発生について、国がそれについて敗訴したということがあり、その再発防止に関する検討会というものが設けられました。
 私も委員の中に入っているのですけれども、特に予防接種に関してはかなり改善されているとは思うのですが、今後もそこに手を緩めることなく、きちんとした安全性向上に関する提言などがありますので、その意味で、今回の基本的な計画の中にも、国はきちんとそういう研修をやっていくこと、あるいは医療従事者はそういう研修を受けて安全な予防接種をやるということが盛り込まれてきております。
 これの全体の説明について、小澤室長、B型肝炎担当のほうから御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○小澤B型肝炎訴訟対策室長 健康局B型肝炎訴訟対策室長の小澤でございます。
 本日は、「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」において、平成25年6月18日に取りまとめられた提言につきまして、この場をおかりしまして御報告させていただきます。
 この提言は、集団予防接種等の際の注射針・注射筒の連続使用によるB型肝炎感染拡大からの問題点を抽出いたしまして、こうした事案を二度と起こさないよう、再発防止のための予防接種行政の見直しについて提言をしております。
 この提言は、先日8月2日に開催された全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団と厚生労働大臣の定期協議において、この提言を踏まえた厚生労働省としての具体的取り組みを検討している旨、表明がありました。
 この提言及び具体的取り組みは、予防接種の安全性確保を初めとした多くのものにかかわる問題であるため、今般、本部会において報告させていただくこととしました。本日はどうぞよろしくお願いします。
 時間も限られていますので、駆け足で手短に説明させていただきます。
 まず、お手元の資料4をお願いいたします。
 岡部部会長のほうから冒頭御指摘のありました経緯につきまして、こちらに記載させていただいております。
 「先行訴訟」とありますが、B型肝炎訴訟につきましては、平成18年6月に最高裁判決で国が損害賠償責任を認められました。
 この後、平成23年6月28日に与野党からの一定の理解を得まして、原告団・弁護団と厚生労働大臣との間で「基本合意書」の締結、「政府基本方針」の表明ということで、受け入れの方針が受け入れられまして、最終的には基本方針の閣議決定、あるいはこの後、述べます「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」というのが施行されました。
 その下の資料が特別措置法の概要でございます。
 これにつきましては、「基本合意書」で定められました和解対象者、あるいは和解金の内容を踏まえまして、その内容を法律に記載したものでございます。
 もう一つの内容としては、この支給事務を社会保険診療報酬支払基金に行わせるということをこの法律で記載しているということになります。
 裏へ行きまして、2ページをお願いいたします。
 「『集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会』(仮称)について」です。
 この検討会は昨年5月31日に第1回が開催されましたので、その際の資料でこの経緯を説明させていただきます。
 これにつきましては、先ほどの「基本合意書」に基づきまして、「集団予防接種によるB型肝炎感染拡大の検証」「感染症および予防接種等の関連する行政施策の課題の探究」「これらを踏まえた再発防止策の検討」を行うということで開催されました。
 これは昨年5月31日に第1回が開催されまして、最終的には本年6月18日に提言が取りまとめられました。
 形態としては、厚生労働大臣主催の検討会を置きまして、その中には、本日この場におられます岡部先生、小森先生、澁谷先生にも御出席いただきました。座長は、自治医科大学学長の永井先生になります。
  この検討の基礎として研究班をいわば第三者組織的に設けまして、ここで例えば文献調査、あるいはアンケート調査、関係者へのヒアリング、そういったものを実施して、その調査結果を踏まえまして、今回政策提言が取りまとめられたものでございます。
 資料5をお願いいたします。
 資料6のほうは提言の全体版になりますが、きょうは時間が限られていますので、資料5のほうでこの提言の概要をかいつまんで説明させていただきます。
 まず、問題点として最初に指摘していますのは1番の部分でございます。
調査結果から抽出された問題点として、まずは国の姿勢の問題ということで、2つ目の○にありますように、結果が重大であるが発生頻度が低いと考えられるリスクの把握と対応に不十分なところがあった、あるいは予防原則の徹底が不十分であったということが指摘され、行政としての対応が適宜なされなかったということを指摘されております。
 (2)のところに行きまして、「自治体職員や医療従事者はリスク認識を適期に更新しなければ国民の生命と健康に多大な影響を及ぼす業務に携わっているという意識を持ち、能動的に取り組む必要があった」といったことを初めとした問題点を指摘しております。
 資料5の1ページの右側になります。
 例えば「先進知見の収集と対応」の部分の冒頭のところで、「国において、先進知見、事例、実態の収集・把握・分析・評価・伝達等が十分に成されていなかった」といったことを初めとして問題点を指摘しております。
 2ページの「(4)現場への周知・指導の徹底」のところでは、冒頭のところで「注射針・注射筒の交換について適切な時期に適切な方法で指導・周知を行っていれば、回避可能であった」。ただ、そうした国からの情報伝達、あるいは逆に例えば市町村からの情報伝達、あるいは行政機関からの連携も不十分であったということをここで指摘しております。
 その上で、「2.再発防止について (1)国の姿勢について」ということで、ここは先ほど指摘された問題点の逆で、例えば厚生労働行政の基本的な使命を指摘した上で、発生頻度が低いが重大と考えられるリスクに対応、予防原則の徹底といったことを指摘しております。
 「(2)再発防止策を全うするための組織のあり方の議論」として、これは第三者組織を設置するべきという意見と、現状の予防接種制度評価・検討組織を充実していくという議論を両論併記しております。
 「(3)自治体、医療従事者及び国民の姿勢」ということで、先ほど問題点のところで指摘したことの逆で、「情報・知見を収集して具体的な対応を検討するための枠組みの充実や国との連携充実に努めることが望まれる」ということを初めとして、対策を指摘しています。
 (4)のところで具体的な対応として、最初の○です。先進知見を国の予防接種担当部署がさまざまな機関と連携して収集すること、予防接種制度評価・検討組織でリスク認識を適期に更新して評価・検討すること、あるいは制度の見直しを行うことを提言しています。
 具体的な対策として、予防接種を担当する部署の充実、あるいは感染研・地衛研等の関係機関の体制充実、国との連携強化といったことを指摘しております。
 組織横断的な事例把握、あるいは知見の共有ということも指摘しております。
 3ページの右側のところへ行きまして、副反応報告の徹底、予防接種時の事故についての把握、こうしたことについても指摘しております。
 こうした副反応報告につきましては、予防接種制度評価・検討組織においてリスク認識を適期に更新するといったことも指摘しております。
 「(5)現場への周知・指導の徹底」というところで、国は、現場への技術的助言の徹底のため、きめ細かな取り組みを求めていく。
 4ページのところに行きまして、市町村あるいは保健所についての役割も指摘しております。
 国が先進的な取り組みを集めて周知することも指摘しております。
 医療従事者につきましても、あらゆる教育・研修の機会を捉えて、予防接種の効果、あるいは安全性の確保に関する知見、感染症に関する正確な知識を身につけ、その後も刷新し続けることができる環境を整えるということを指摘しております。
 最後に、国は、集団予防接種等での注射針・注射筒の連続使用によるB型肝炎感染拡大の被害者の肉体的・精神的・経済的負担及び社会的差別・偏見の実態を受け止め、早期の被害回復の実現に努力すべきである。また、B型肝炎ウイルスの拡大防止とB型肝炎対策に引き続き取り組むことについて指摘しております。
 内容としては以上でございます。
 現在、この提言を踏まえまして、再発防止に関する具体的な取り組みについて事務方で検討を進めておりますので、またの機会に報告させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○岡部部会長 どうもありがとうございました。
 現在において、針をかえないとか、アルコール消毒だけで済ませているなどということはあり得ないわけですけれども、過去にはそういう事例があって、それに対する検証、それから後戻りをしてはいけないし、さらなる安全性ということが盛り込まれているのがこの委員会の骨子でした。
 時間も足りないので、ちょっと早口で申しわけなかったのですが、こういう経過が行われていたということもこの委員会のほうでは承知しておく必要があろうかと思います。
 もし御意見、御質問、あるいは澁谷先生は委員で出られたので、何か追加事項がありましたら。
○澁谷委員 こういった再発防止のための報告が出ているわけですから、これをまず関係者によく周知をするということが必要ではないかと思っておりますし、私たちもこの検証をさせていただく中で大変いろいろなことを学ばせていただきました。
 今回のこの様な予防接種の計画づくりをするという国の大きな動きの中で、このことの教訓や反省、そういうものをどこかに盛り込んでいただけたらと思います。
○岡部部会長 ありがとうございます。
 そのほか御意見、御質問。坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 1点だけ文言についてですけれども、4ページの2つ目の○の「不確実なリスク」というのは、どういうふうに解釈したらいいのか。つまり、臨床治験で十分データがそろっていないととるべきなのか、相手側にこの予防接種のリスクが十分伝わっていないというふうにとるのか、この解釈について教えていただければと思います。
○岡部部会長 事務局のほうから何か御意見ありますか。
○小澤B型肝炎訴訟対策室長 「不確実なリスク」というのは、B型肝炎感染拡大の経緯というのが、集団予防接種等により感染が拡大していくということが順次わかってきたということなので、どこかの時点で対応すべきだった。今回の報告書では、より早い段階でそれに対応すべきだったということが調査結果でわかってきております。先ほど予防原則ということを申し上げましたが、ある程度不確実な段階であっても、予防原則に立って必要な対応をとるべきということから、こういった文言を使っています。
○岡部部会長 殊にそういうものがわかったときにどういうアクションをとるかということが随分議論されまして、情報の共有とか、その対応策について速やかにとるということがこの中の検討事項でもありました。
 それでは、いろいろ御意見をいただきましたけれども、B型肝炎につきましては、事務局から説明があったように、この提言を踏まえた具体的な取り組みということが行われていますので、この委員会でそれについての報告も後で受ける必要があると思うので、よろしくお願いいたします。
 きょうは1から4までやったわけですから、次回は残った部分の5から8を今と同じような形式でやって、最終的にそれをまとめた形での各論についての議論にも入っていくと思います。
 この後、9月にも会議を予定してありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうは、数分過ぎましたが、これでおしまいということにして、その他について事務局のほうからアナウンスがありましたらお願いします。
○嶋田室長補佐 次回の開催につきましては、9月6日金曜日を予定しております。時間と場所につきましては、追って御連絡申し上げます。
 本日はどうもありがとうございました。
○岡部部会長 では、どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)> 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録(2013年8月9日)

ページの先頭へ戻る