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2013年8月21日 第8回先進医療技術審査部会

(了)


第8回先進医療技術審査部会

(1) 日 時:平成25年8月21日(水) 16:30~17:45

(2) 場 所:中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号TEL:03-5253-1111)

(3) 出席者:
猿田座長、山口座長代理、一色構成員、伊藤構成員、
金子構成員、佐藤構成員、柴田構成員、関原構成員、
大門構成員、田島構成員、直江構成員
  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
保険局医療課 企画官
保険局医療課 専門官
医薬食品局審査管理課 課長補佐

議 題:
1.新規申請技術の評価結果について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.先進医療の取り下げについて
5.先進医療会議の審査結果について(報告事項)
6.その他

議事録:以下次頁
○猿田座長
 定刻になりましたので、第8回「先進医療技術審査部会」を開催します。本日出席予定の金子先生はまだお見えになっておりませんが始めさせていただきます。本日は、竹内構成員、藤原構成員、三上構成員、山中構成員、山本構成員から欠席の御連絡をいただいております。16名のうち10名においでいただいておりますので、本会議は成立していることをお伝えいたします。
 配布資料と、本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 配布資料の確認をさせていただきます。議事次第から始まり、座席表、開催要綱、構成員及び技術委員名簿です。「新規申請技術の評価結果」として資料1-1から資料1-9があります。「試験実施計画の変更」として資料2-1から資料2-3があります。「協力医療機関の追加」として資料3-1と資料3-2があります。「先進医療Bの取下げ」として資料4-1と資料4-2があります。「先進医療会議の審査結果」として資料5があります。参考資料1と参考資料2があります。最後に追加資料を添えてあります。本日の資料は以上です。不足等がありましたら、事務局までお知らせください。
 利益相反についてです。対象となる医薬品及び医療機器の企業等について資料1-1(11ページ)に記載してある医薬品・医療機器情報を御覧ください。対象となる企業、又は競合企業に関し、事前に確認をさせていただいております。整理番号012の技術については、一色構成員、猿田座長、柴田構成員からは利益相反の届出がありました。参考資料2(147ページ)に付けている「先進医療会議における利益相反の対応について」を適用し、一色構成員におかれましては、当該技術に関する検討において、意見を述べることができますが、議事の取りまとめには加わらないとさせていただきます。猿田座長におかれましては、当該技術に関する検討において、意見を述べ、議事の取りまとめにも加わっていただくことといたします。柴田構成員におかれましては、「当該医療技術の評価の公平性に疑念を生じさせると考えられる構成員等は、座長にその旨を申し出るものとし、当該申請・申出があったときは、当該構成員等は、当該医療技術に関する検討及び事前評価に加わらない」を適用させていただきます。
 整理番号013の技術については、構成員の皆様におかれましては利益相反に該当しないとさせていただきます。なお、事前の届出以外にも、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 該当なしということで進めさせていただきます。今回もタブレットを使用していただきます。届出書類等については、タブレットから閲覧していただきますようお願いいたします。発言者の皆様におかれましては、あらかじめタブレットの何ページと、御発言いただきますと、議事の進行上、助かりますので、御協力をお願いいたします。
○猿田座長
 資料の確認、タブレットの件についてはよろしいでしょうか。よろしいようでしたら、早速議事に入ります。
 「新規申請技術の評価結果」について事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 撮影されている傍聴者はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 資料1-1、11ページを御覧ください。今回の新規技術は2件です。8月の先進医療会議は開催されておらず、会議上は、これらの技術のA、Bの振分けは行われておりませんが、書面によって評価委員によって、これらの技術は先進医療Bに振り分けられていることをあらかじめお知らせいたします。
 今回、先進医療Bとして評価していただくのは、1件目、整理番号012「初発中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する照射前大量メトトレキサート療法後のテモゾロミド併用放射線治療+テモゾロミド維持療法」です。適応症は、初発中枢神経系原発悪性リンパ腫です。申請医療機関は、埼玉医科大学国際医療センターです。審査担当構成員として、主担当が大門構成員、副担当として直江構成員と佐藤構成員にお願いしております。利益相反の関係上、柴田構成員におかれましては、ここで一旦御退席をお願いいたします。
(柴田構成員退席)
○猿田座長
 最初に説明がありましたように、この振分けに関しては、皆様方から書類上で審査をしていただき、全ての方がBに振分けということで、こういう形にさせていただきました。整理番号012の評価結果について、主担当の大門先生からお願いいたします。
○大門構成員
 主担当の大門です。申請技術の名称は、専門官から説明いただいたとおりです。その概要をつかんでいただくには、資料の25ページの1-4の概要図を御覧ください。本資料で示されておりますように、初発中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)の患者さんを対象として、照射前大量メトトレキサート療法+テモゾロミド併用放射線療法+維持テモゾロミド療法が、標準治療である照射前大量メトトレキサート療法+放射線治療に対して優れていることを検証するランダム化比較試験が計画されております。
 次のページはロードマップです。この試験治療が、標準治療よりも優越であれば公知申請を検討することになります。総括の際にも言及するのですが、検討の余地のある点に関して最初に申し上げておきますと、試験治療レジメンのテモゾロミド併用放射線療法について申請医療機関は、神経膠芽腫においてのみ臨床使用実績を有している点です。これらの点を踏まえ、本申請技術の評価は、この度実施体制に関しては直江先生、倫理的視点に関しては佐藤先生、試験実施計画書等に関しては私が担当しております。
 13ページ以降の資料1-2の評価表に各先生の評価結果が記述されております。まず各先生方のコメントを頂戴し、その後で私からのコメントとともに総評を述べます。
○猿田座長
 資料に従って、まず直江先生から、実施体制、その他についてお願いいたします。
○直江構成員
 今回担当させていただきました直江です。初発中枢神経系原発悪性リンパ腫は、大変少ない悪性腫瘍です。本件はJCOG(Japan Clinicol Oncology Group)という、多施設共同による研究です。JCOGは大変実績もありますし、きちんとした試験事務局、データベースを持っている御存じの組織です。ここに属する脳腫瘍グループが中心となって行う試験です。
 このグループにおいては、支援体制に特に問題はないと考えております。JCOGのホームページによれば、既に何件かの多施設共同研究を行うという実績もあります。本試験においては、脳神経外科のみならず、放射線療法もありますし、病理診断、これは中央診断ですが、治療効果の確認については、それぞれ中央判定を行う体制をきちんと整備していることは評価できる点かと思います。後で議論になる所だと思いますが、多施設です。現在申請している施設と協力施設を合わせると5つです。その他にたくさんの施設が加わる予定ということです。
 当該関わる治療経験がどの程度あるのかについては議論があるところかと思いますが、私の意見を簡単に言っておきます。少なくとも埼玉医科大学と、論文が出ていたのは熊本大学かと思いますが、リンパ腫に関して、テモゾロミドの使用経験もあるということと、プロトコール、安全性等のことを考えると、個人的にはそれほど問題ではないのではないかと考えております。
 医療技術の有用性については、幾つか脳内リンパ腫に対するテモゾロミド併用治療の臨床研究は先行例があって、いずれも有効だということが示されてはいるのですが、エビデンスとしてはまだ確立していない。そういう意味で、今回フェーズ3をやるのは意味があるのだろうと。ただ、今までこのテモゾロミドというのはDNAに傷を付ける、メチル化を入れるという作用機序の抗がん剤です。MGMTというタンパクが発現していると、そのメチル化を取ってしまうということで効かなくなることも知られています。MGMTの評価を同時に進めることによって、特にこれは遺伝子のプロモーターのメチル化のようなのですけれども、これが薬剤の感受性と関わるのではないかという先行事例のたくさんの報告があります。ここは本件とは直接は関係ないかもしれませんが、付随研究等できちっと明らかにして、有用性、感受性をこの研究で明らかにすることはメリットになるのではないかと考えました。
○猿田座長
 細かく御説明いただきましたけれども、体制とすればJCOGのものでしっかりしているということ。脳のグループは、今までに3件の体制の共同研究をやられているということ。この提出された書類は、埼玉医科大学国際医療センターから出ておりますが、ここでも全く同一のやり方ではないのですけれども、かなりの症例が経験されていることもあります。いろいろな展開を見ると、直江先生とすれば、この形でいいだろうということです。議論は後でさせていただくことにして、次に佐藤先生からお願いいたします。
○佐藤構成員
 今回、倫理面からの評価をさせていただきました。説明同意文書については、タブレット端末の342ページ以下にあります。私と、申請医療機関とのやり取りは、紙の資料の19ページ以下にあります。必要に応じてそちらをごらんください。14ページに評価を書いてあります。
 今回の説明文書は、JCOGのものをそのまま使っておりますので、いくつか申請医療機関の名前が入っていない箇所があるのですが、それについては適宜修正することを条件としておきました。なお、プロトコール上、付随研究というのがあり、そのことの説明は同意文書の中では書かれていないのですが、申請医療機関とのやり取りで、付随研究を行う際には別途同意を得るということでしたので、今回は説明の必要はないだろうと判断いたしました。
 もう一点は、補償がないということです。健康被害に対しては医療を提供して、自己負担分は患者負担なのですが、治療性を伴う研究であることから許容されると考えました。患者相談についても適切であろうと思います。
○猿田座長
 後ほど一緒に議論させていただくということで、もう一回、大門先生からまとめをお願いいたします。
○大門構成員
 私は、試験実施計画書等の評価をさせていただきました。14ページに記載されております。ここでお示ししておりますように、実施計画書も洗練されたものであると判断しております。安全性の面については評価項目6及び7について少しコメントを記述いたしました。そこでは、TMZの用法・用量は膠芽腫に対する標準治療での成績を根拠として、それと同様のものが設定されています。このことは、本試験を安全に実施するための論拠を提供し得るものですが、試験で規定されている安全性に関するモニタリング、ストッピング・ルール、有害事象の報告を遵守していただいて、安全性には十分留意し、本試験を実施していただくことが必要であろうと考えます。
 有効性についても、PCNSLが稀少疾患ですし、TMZ以外に有望な薬剤がないという状況、それから奏効割合での評価は困難である状況ですから、検証的な本試験で明らかにされると理解しました。
 15ページの総評についてです。直江先生、佐藤先生の御指摘を受け止めていただくとともに、安全性に留意して実施していただくという要件が満たされたとすれば、本試験そのものの実施体制、倫理的視点、試験計画に問題はなさそうに思います。
 1点検討の余地がある点として、現行の特に数例実績の免除に関する通知に関する点です。当該医療機関では対象疾患、又は臨床像の似たその他の疾患において、試験治療群のレジメンをパーツごとに見ると、臨床使用実績を確かに有しております。これらの実績で、今回の全体としての治療レジメンの臨床使用実績を有しているとみなし得るかどうかについては少し議論したほうがよいかと考えました。ここは、現行のルールをどのように捉えるかによるところだと思います。私個人としては、数例実績ありとみなせると考えておりますが、少し慎重な立場を取って、一旦継続審議という判断をさせていただきました。
○猿田座長
 ただいま御説明いただいたとおりですが、事務局から構成員の先生方のお手元に資料が出ているかと思います。「膠芽腫や臨床研究と類似した中枢性悪性リンパ腫に対するテモゾロミドの使用実績を持って」という書類の一番最後のページに、大門先生からお話がありましたように、申請機関においてどれだけの実績があるかを事務局としてまとめたものがあります。これを見ると、どれだけやったかがよくお分かりいただけると思うので、これを見ていただいてから議論をしていただければと思います。
 この機関における初発中枢神経系原発悪性リンパ腫の治療レジメンに、大量のメトトレキサートをやって、放射線治療とTMZ療法ということが書いてあります。ここの所では、放射線療法だけで、そしてTMZの維持療法を8例やったと。実際これは初発中枢神経系原発悪性リンパ腫ですけれども、ここでやられたのは、再発中枢神経系原発悪性リンパ腫ということで見ると、大量のメトトレキサートと、放射線の所は除いてTMZの維持療法として症例が9例あります。一番たくさんやっているのは、膠芽腫に対して100例以上の経験ですけれども、メトトレキサートを使わないで、放射線+TMZの療法、それから維持療法としてTMZをやったということで、これだけのことがやられています。
 しかしながら、今度出てきているレジメンとは、少し違うところがあり、対象症例が違うこと、また治療のレジメンが少し違うところがあり、ここがちょっと問題かということです。このあたりを先生方に御理解いただいて、あとは各委員の先生から御説明いただいたことを含めて御議論いただければと思います。一番問題点のところは、先行研究の所が少しずつ違うということです。しかしながら、この疾患は非常に稀な疾患であるということと、御存じのとおり悪性のこの形のものは非常に進行が早いということです。そういう点で早く処置をしなければいけない疾患であるということもあります。稀な疾患であり、しかもこういう形のものですから、これをどう考えて進めていったらいいかということで、是非御議論いただきたいと思います。直江先生、結局そういうことですね。
○直江構成員
 はい。
○猿田座長
 直江先生、それはあれだということですね。
○直江構成員
 確認なのですが、埼玉医大で先行例が、未治療の中枢神経系のリンパ腫に対しては8例となっています。本日、たまたまにわか勉強で、西川先生ですか、埼玉医大のペーパーを見たら、未治療のリンパ腫の症例で14例の症例の報告が出ているのですが、違いは何からきていますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 猿田座長から御説明いただいた資料の一番最後のページで、左から2つ目のコラムで先行研究8例と記載してあります。これは、この大量MTX治療、そして2番目に放射線治療、更にTMZ維持療法をしたのが8例です。直江構成員から御指摘があった14例は、少しプロトコールが変わるのかと解釈しています。実際はもう少しされているのだけれども、机上配布資料の25ページのプロトコールで実施したのが8例と御理解いただければと思います。
○猿田座長
 そうですね、ちょっとずつ違うのです。
○医政局研究開発振興課専門官
 少しずつ違うみたいです。
○直江構成員
 テモゾロミドだけを使ったということでいうと14例だけれども、他の先行治療が違うという理解ですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 そうです。本試験の治療レジメンは3つの相に分かれます。第1相の大量MTXを実施して、第2相の放射線治療、ここではテモゾロミドは使っていないのですけれども、第3相のTMZ維持療法を2年間するというレジメンを完全に実施しているのが8例と御理解いただければと思います。
○直江構成員
 こういう稀な疾患で、単施設で10何例集めるのは大変だと思うのです。これが本当に130例を集めて、その有効性を検証しようというスタディは多施設でないととても無理だと思います。だから、全ての施設に、この必要要件を求めるのかどうかというのはちょっと厳しいのかなということです。JCOGという組織は事務局がかなりしっかりしていて、このために、たまたまにわかに集められた組織ではないことからすると、認めてもいいのかなと思います。
○猿田座長
 非常に稀な疾患ですから、たくさんの施設でやらなければいけないだろうということです。ともかく提案していただいた埼玉医大ではこれだけのことは一応やってこられたということです。ちょっとずつ治療のレジメンは違いますけれども、例えば再発中枢性のものでは、9例に対しては放射線治療をやっていないけれども、TMZの治療はこれだけ検討してあるということです。膠芽腫に関しては組織が違いますけれども、多数の検討成績がある。この申請機関では、随分症例をこなしています。先ほどありましたように、日本では熊本の方で結構多く検討例が出ています。欧米でも類似した形での主な例が出ているということです。
○山口座長代理
 私は専門ではないのですけれども、非常に稀少な疾患で、しかも予後がものすごく悪い病気なので、恐らく患者さんはものすごく期待して待っていると思うのです。この分野で、これに興味を持っている人はそんなにたくさんはいないのではないかと思うのです。継続審議でもいいのですけれども、なるべく短く結論を出してあげて、早く前へ進むようにしてあげたほうがいいのではないかというのが私の意見です。
○猿田座長
 他の先生方から御意見はありませんか。
○伊藤構成員
 組織もしっかりしていますし、大変素晴らしい研究だろうと思うのです。ただ、ここでこういう形を認めることになると、保険診療では通っていない、こういうプロトコールが全てこの場に上がってくるのかなと思います。そのときに、どういう基準で認めていくのかということをはっきりさせないと、たくさん上がってくるとちょっと大変だと思います。
 もう1つは、テモゾロミドそのものは、ある企業が無償提供されています。それを用いて公知申請をするとなると、本来は治験をやるべきものを、治験をやらずに済ませるというルートができますが、本当に大丈夫なのか。ルール違反みたいな形を、ここでオーソライズするということがいいのかということだけはもう一度、再度確認させていただきます。
○猿田座長
 伊藤先生が御指摘になったことは、この委員会としても非常に重要で、こういうことが他にまた出てくる可能性は当然あります。この実例においてどう考えるかということと、規約上の問題がどうしても私は引っかかるのです。その辺りについて事務局の方はどうですか、何か特別な御意見はありますか。
○保険局医療課企画官
 お話を聞いていて、従来の高度先進医療時代から含め、当該医療機関の実績に対しては相当厳密に運用しているのが実態かと思います。今回実施する例について、当該医療機関の経験と完全に一致しているというものではないということかと承っております。ただ、稀少ながんの種類であるなどの場合には、判断は早くするべきではないかという御指摘もあります、また、この会議では最先端の技術の御議論をいただいておりますので、何らかの指針というか基準が必要ではないかと思います。そういうものを作った上で、もう一度これを御審議いただかないと、どんどんこういう申請が来て、この会議では捌ききれないような量になってしまうかもしれません。また、医療機関からみても、どういうのが通って、どういうのが通らないのか、わからないまま、受理されないようなものを準備することになりますし、何らかの基準を準備していく作業が要るのではないかと感じております。
○猿田座長
 特に大切なのは、このような重篤な疾患で、しかも稀な疾患であって、今までのいろいろな報告を見ますと、実際に医学的に見ると、この治療法は効果的に思えるのです。ですから、患者さんのためには少しでも早く届けてあげたいというのが、ここにいる先生方が思っておられることと思うのです。一方で伊藤先生がおっしゃったように規約の問題がありますから、これをもし継続審議とした場合、できるだけ早く結論を国としても出していただきたいのが私たちの願いです。その辺はどうですか、時間がかかりますか。
○保険局医療課企画官
 その基準を作っていくことについては、保険診療とつながっておりますので、中医協での議論も必要かと思います。本日先生方にお尋ねしたいことは、この審議にかかっている技術は、当該医療機関が経験のある技術と同一とみなせるのかということも御議論があるのだと理解しております。その点に関して、どの程度であれば同一とみなしても問題がないのかというところを、本日もう少し御議論いただければいいかと思います。
○猿田座長
 膠芽腫とリンパ腫とでやっていますけれども、病理的な組織像の違いが一番の違いかと思います。先進医療で重要なことは、まず、安全性の問題です。安全性に関して、外国のデータ、日本の熊本のデータを見ても、思ったほどこの薬は障害が少ないのです。骨髄に対する影響はありますけれども、比較的少ないという点は評価できると思います。
 問題となるのは規約です。これが類を作ってはいけないと。ただ、今回の場合はこれだけの3つのデータが出てきているわけです。これだけ検討してあれば、先生方にとってはかなりしっかり検討されていると思われます。組織像は違いますので、効果には多少違いがあるかもしれません。あるいは、初発と再発例では病気のステージが違いますから、効果に違いがおこるということもありますが、しっかりとした施設で検討されていますから、その点は技術的には、かなり検討されていると思うのです。どうぞ御意見を。
○伊藤構成員
 変なことを言ってしまったのでお答えしますと、これを見る限り安全性の部分の懸念はないと思います。有効性に差が出るかどうかというのは、第3相試験の形を取っているので、これではっきりした結論が出せるという意味では正しいと思います。
 ただ一方で、今までの高度医療の枠組みでない形、すなわち、高度医療の枠組みとして技術的にある程度の実績があって、それを広げていくということではない、いわゆる研究段階の試験が保険診療の一歩手前であると考えられる先進医療の所に出てきているところに、多分、本質的な問題があるのだろうと思っております。
○猿田座長
 おっしゃるとおりです。
○山口座長代理
 伊藤先生がおっしゃるのは正に正論だと思うのです。ただ、このようにものすごく稀少なもので、なかなかスタディが難しくて、進めることが難しいところを評価できないと、ここの委員会の意味がないというか、そういうもの全部を門前払いにしてしまうと拾えなくなってしまうのではないかと思うのです。
 例えば、ものすごく難治性のものであって症例数がものすごく少ないとか、幾つかの条件を付けてやれば拾えるのではないかと思うのです。むしろ前向きにやってあげたほうがいいのではないかというのが私の感想です。
○猿田座長
 要するに、患者さんに対してもメリットをもたらすということではそのとおりです。もしよければ、私としては少しでも早く結論を出してもらうということで、「継続審議」なのか「条件付き適」にするのか、そこのところはどっちかで、伊藤先生、条件付きのほうが早いのですか。
○伊藤構成員
 こういう研究は山口先生がおっしゃられたとおり、稀少疾病でもありますし、プロトコールもしっかりしているので、個人的には認めてもいいと思うのです。ただ、これが野放図に一般のものにまで広がっていって、全ての研究で適応外のものが全部ここに出てくるという話だけは避けなければいけない。どこで線を引くのかというのは難しいと思っただけです。
○猿田座長
 そこが先進医療の一番重要なところです。ともかくこの委員会としては、国としての今のところの結論をいただくことにして、私は「条件付き」ぐらいにすれば少しでも早くいけるのかと思うのですが、それはまずいですか、継続審議のほうがいいですか。医療関係のほうの考え方とすれば、それほど問題ないだろうと。ただ、規約上の問題ですので、そこはどうかお決めいただければと思います。
○保険局医療課企画官
 本会議の主たる事務局ではないのですが、コメントを申し上げますと、この施設自体は特定機能病院ではないと理解しております。この関係者自体の専門的な力量ということではないのですが、施設ということを考えた場合に、従来から中医協で議論している臨床研究中核病院であるとか、特定機能病院という所のグループには該当しないことになります。そして、いろいろな見方で議論していかなければいけない重要なものであることは理解しておりますが、今の保険併用療法の概念からすると、該当するかどうかというのは判断しかねるところもあります。本日お聞きした話はいろいろな御提案というか、条件のヒントなども幾つか頂いたと思っておりますので、そういうことを正式なルートで議論した上で、他の医療機関にとっても、こういう場合なら認められるということを明らかにしていく。個別審査でいくと、ケース・バイ・ケースということになって分かりにくいところもあるので、そのようにしたほうが制度としてはいいのかなと思います。確かにお待ちになっている患者さんのこともあるのですが、先進医療会議の主たる事務局である医療課としてはそういうコメントです。
○猿田座長
 ありがとうございました。そういう形にするなら、早急にその辺りも議論していただくということで、「継続審議」にしておいたほうがよろしいということでしょうか。難しいところだと思います。私としては、早くそういったところの結論を出していただき、患者さんのことを考えてもらいたいと思います。
○医政局研究開発振興課長
 医療課からも話があったのですが、私のほうとしても、できるだけ早くこういう治療法をお届けできればいいというのは、同じ考え方です。
 ただ、お手元に配っている追加資料の中に、「当該施設において数例以上の臨床使用実績がある」という項目で、その意味するところが恐らく安全性と有効性を確保できればいいという意味で書いているのではないかと解釈しております。それが明らかになっていなくて共通認識されていない部分があるのではないかと思っていますので、そもそも、この「当該施設」という言葉が出てきたのは、平成24年が最初のようなのです。それ以前は特段なかったようですので、意味合いとしては安全性と有効性の確保ということで、過去に実績がなくても、類似の実績であったり、現代の医学の知識において推測できるということも踏まえた意味合いで認められると解釈できるのであれば、それでもいいのではないかと思っているのですが、それをきちんとコンセンサスを頂かないことには、そのまま運用するのは不安かなという思いがあります。
○猿田座長
 私が思うのは、今日の構成員の方々の医学的な見地からいうと、今、おっしゃった安全性の面はこれだけの症例の検討があれば大丈夫だと思います。有効性に関しては、組織や病気のステージは違いますが、かなりの効果は得られそうだというところまでは言えるのです。
○山口座長代理
 例えば外科だったら、非常に稀少な疾患で難しい手術であれば、普通はいろいろな所では行わず、恐らく数箇所に集まって行う状況なのです。これを見ているといろいろな所でやっていて、技術的には難しいところはないのではないかと思ったのです。それが証拠に、どこででもやっているではないかと思うのですが、その辺りについて直江先生に御意見を伺いたいのですが。
○直江構成員
 往々にして、これが欧米で有効だというペーパーが出た場合、既に実地医療としていろいろな所でやられているということがあります。今まで先行例があって、後追いのような形で、あれは未承認ではないか、もうエビデンスがあるではないかという話になって、後追いのような形になってくるので、そもそも先進医療はどういうものを認めていくのかというときに、恐らく稀少疾患であったり、難治性で患者が亡くなってしまうような疾患で、ただ、本当にこの治療が欧米でもエビデンスになっていない、明らかにこれを加えることによって攻め様が変わるほどのことは、まだフェースではないという段階で、日本が世界に先駆けてやろうと思うと、こういう所に出してくるか、医師主導の大掛かりな治験をやるか、どちらかしかないという状況の中で、JCOGの判断として先進医療でいくとなったのかなと思います。
 逆に言うと、ここでそういう道を閉ざしてしまうと、そういう医師主導の臨床研究組織としては、どういう研究ができるのだと追い込まれてしまうのかなという気もします。難しいところだと思います。
○猿田座長
 私はこれまで高度先進医療、先進医療、高度医療などいろいろやってきましたが、時代とともに確かに考え方が変わってきています。
 今日のこの問題も、かなり議論させていただきましたが、これ以上議論をしていても時間もございませんので、そういうところで御判断いただくということで、「継続審議」とさせていただいてよろしいでしょうか。
○保険局医療課企画官
 先ほどの研究開発振興課長からの追加資料の2ポツです。今日は具体的な事例の御検討を頂いて継続審議になっておりますので、プロセスとしては「先進医療会議」に、こういう議論があったということを何らかの形で御紹介させていただき、技術の承認の審査が9月にありますので、内容が煮詰まれば、それと併せて中医協に御報告することも可能かと思いますので、本日、先生方からの御指摘はきちんと受け止めて、先進医療会議でまた御相談できればと思っています。
○猿田座長
 それではこの案件は継続審議とさせていただきます。ありがとうございました。柴田先生にお入りいただきます。
(柴田構成員着席)
○猿田座長
 次に事務局から何かございますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 御議論いただいた件については、先進医療会議や中医協等で御議論いただくこととしまして、この会ではその情報提供をさせていただいて、迅速に行われるように情報共有させていただきたいと思います。
○猿田座長
 続いて、2番目の議題に移ります。事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料1-1、11ページです。2つ目の医療技術は、整理番号013、「標準的治療に抵抗性または標準的治療が確立されていない腹部・骨盤部腫瘍に対する経皮的凍結治療」です。適応症は、組織学的あるいは臨床経過と画像所見より診断された腹部・骨盤部の最大径1センチ以上かつ4センチ以下の腎腫瘍を除く腫瘍性病変となっています。
 申請医療機関は、独立行政法人国立がん研究センター中央病院です。審査担当構成員は、主担当が伊藤構成員、副担当が竹内構成員、田島構成員です。
○猿田座長
 この件に関しては、伊藤先生から、まず総括的にいかがでしょうか。
○伊藤構成員
 この治療についての評価は、副担当として、竹内先生、田島先生に御覧いただきました。全体的な技術ですが、いわゆるクライオセラピーと言われている、凍結して解凍することにより、がん細胞を壊死に陥らせ、治療するという方法です。この方法は腎腫瘍については既に確立され、保険診療になっています。
 このテーマの「標準的治療に抵抗性または標準的治療が確立されていない」というのを、どのように取るのかが悩みどころです。この治療については、主に資料として出ているのは文献1、最初に読ませていただいた段階では、ここにあるような軟部組織への転移、骨転移というような局所のコントロールをするのが大変なものに対して適応するのかと読んでいましたが、クライオセラピーそのものはそれだけでなく、アメリカの泌尿器科学会では、前立腺がんの標準的な治療としてガイドラインまで出ているものです。それだけでなく、肝臓のRFAなどとの住み分けはどのような形にするのかというような、よく分からないところもあり、ほかの治療が適応にならないものという理解をするのであれば、文献1に相当するような、局所のコントロールだけのものになるのでしょうが、一方で、ほかに子宮筋腫も含めていろいろな治療にも適応があって、「標準的治療に抵抗性又は」という文章のくだりの解釈が、頂いた資料の中からは見にくいというのが、正直な感想です。
 ただ、実施される方々、体制については、問題はないものだと思っています。そういった前提の上で、竹内先生、田島先生の御意見を頂いて、最後に全体的な意見を述べさせていただきます。
○猿田座長
 田島先生からお願いします。
○田島構成員
 同意に係る手続、同意文書には、所要事項が網羅されていましたので、「適」の評価としています。
 ただし、細かい点ではありますが、説明文書に訂正をするほうが望ましいと思われる事項が3点ありましたので、コメント欄に記載しました。
 1点目は、説明文書の9項の副作用発現頻度に関する説明です。3種類の記載をされているのですが、1つ目は、括弧書きで「10人中何人」と人数を記載したタイプです。2つ目は、「稀」と記載したタイプです。3つ目は、「稀だが報告のある副作用」の項目を立て、その下に列記したものです。これらの区別が不明確なので、どういう分類になっているのかを明確にされたほうがいいと思いました。
 2点目は、説明文書12項の記述で、試験に参加しない場合の治療についてです。「あなたにとって最もよいと考える方法で治療を行います」と記載されていますが、申請者に確認したところ、最もよいと考えられる方法というのは緩和治療ということでしたので、そうであれば、この中に標準的治療が含まれていないことが明確になるように記載したほうがいいと考えました。
 3点目は、説明文書17項の試験参加中の費用についてです。「約65万円の自己負担費用」と記載されていますが、1回で治療が完了せず、更に治療を追加して行う場合があります。その場合には更に同額の追加負担を求められると考えられますので、約65万円の自己負担費用については、1回当たりの費用であることを明記したほうがいいと思いました。
 次に、補償内容は「補償がない」ということですが、これは標準的治療が確立されていない腫瘍についての治療ですので、やむを得ないと思いまして「適」の評価にいたしました。
○猿田座長
 65万円のことは問題ですかね。
○田島構成員
 総額65万円と理解されると、そうでない場合があり得ると判断しましたので、そのように考えました。
○猿田座長
 竹内先生の分は、事務局からお願いします。
○医政局先進医療専門官
 竹内先生は海外出張で御欠席ですので、竹内先生の評価について事務局から説明させていただきます。竹内先生には、30ページの試験実施計画等の評価を御担当いただきました。6番から16番までを評価いただき、いずれも「適」でしたが、9番、10番については、「不適」ではないのですが、確認を取っていただきたいということで、実施条件欄に指摘事項として記載していただいています。
 読み上げます。9番、「凍結-解凍」の繰返しが認められていますが、施設間での判断基準が相違した場合には、問題が生じますので、「凍結-解凍」を繰り返す場合には、中央判断での一元化を進めてはいかがでしょうかというようなコメントです。
 タブレットの489ページを御覧いただきますと、その旨が書かれています。治療計画の所で、「1回の手技で標的病変全体の治療が完了できない場合は、うんぬん」とあるのですが、「1回」というのが、この治療は凍結-解凍を1セットとして、それを2回繰り返します。これを1回と呼んでいるのか、凍結-解凍の1シリーズを1回と呼んでいて、1回目と2回目の間に、「標的病変全体の治療が完了できない場合は」と、いずれにも読み取れるということを御指摘されていまして、この辺を明確にしていただきたいという御指摘でした。
 2つ目の指摘です。タブレットの560ページです。11.2.の目標症例数設定根拠のところで、第1パラグラフの中段に「帰無仮説H0:P=0.34」と記載されているのですが、これは「対立仮説」なのではないかを確認してくださいということでした。
 また、第2パラグラフに関しても、「対立仮説H1:P=0.75、帰無仮説H0:P=0.45」とありますが、ここも「何パーセントのリスク低下を見込んでうんぬん」と記載すべきではないかということを確認してくださいということで、マイナーコメントとして9番、10番を御指摘いただきました。
○猿田座長
 伊藤先生、全体的なコメントをいただけますか。
○伊藤構成員
 もう1点は、標的病変が1個以上あって、ほかの病変が8週間以上実施できないという計画書になっているので、疾病の治癒が期待できない、対症的な治療をする患者に65万の負担を求めるのはどうかなと思いました。あとは皆さんの御判断かなと思っています。
 評価表に書かせていただいたとおりで、本来こういった申請書に、例えば前立腺がんとか、凍結療法についてのオーバービューから書いてほしかったと思っています。自分でClinical KeyとかUp-To-Dateを調べると、この治療法そのものは海外で多く使われていて、この技術の有用性そのものについて否定するものでもないし、申請者の技術的な側面を否定するものでもないということです。ここにも出ていますが、文献1に出ているような軟部組織転移や骨転移とか、ほかの治療法ではコントロールできないものを対象にして、この技術を使うということであれば、大変すばらしい技術だと思います。
 ただ、それがこのプロトコール上、制限するように見えていないのが大変残念だなと思いました。取りまとめはそういう状況です。
○猿田座長
 幾つか問題はありますが、随分細い針を使っていますし、出血の問題が一番ですが、その点では痛みは少ないということで、利点は多いですね。
 それでは、どなたか、この治療法に対しての御説明に何か御意見ございますか。
○山口座長代理
 外科の立場から問題が幾つかあると思います。488ページを見ると、「組織学的あるいは臨床経過と画像所見から悪性腫瘍と診断する」と書かれています。これは、組織学的に診断された場合には問題ないと思うのですが、例えば1センチの腫瘍を画像診断で悪性腫瘍と診断できる正診率というのは必ずしも高くないです。もし試験的にやるのであれば、組織学的に明らかなものしか、私はやってはいけないと思います。
 というのは、例えば消えてしまった後に、それが何であったのか分からないで、その予後がどうだったかを比較できるはずがないのです。つまり、この治療法が有効だったかどうかを、これだけの症例で証明しようと思ったら、よほどきっちりとした疾患に絞って行わないと、有効性は証明できないと思います。何が起きたのか分からないので。
しかも、きちんと取れば、1センチとか2センチの腫瘍は治りますから、そういうところで、やたらに危険性を冒すというのは危険ではないかと、外科的な立場からは少し疑問に思います。
 まとめると、histologyは確認すべきではないか。それに従って、その疾患の予後も分かりますから、それによって治療法の有効性の判定が初めてできるのではないかと思います。
○猿田座長
 問題は適応のところですね。そこはどうしたらいいですか。
○山口座長代理
 絞るべきだと思います。これだと何でもできるようになってしまって、やって消えたけれども何であったか分からないが、よかったとか。陽性だったかもしれないという話になってしまうとまずいです。
○猿田座長
 これは腎臓に対しては適応が取れて、保険診療でやっていますから。
○伊藤構成員
 個人的には、そこの部分の適応を、きちんと分かりやすい形に書いていただいた上で、皆さんに御意見を頂くほうが正しいのではないかと思います。
○猿田座長
 一応、「条件付き適」にしておいて、そこをクリアにしていただきましょうか。そのほうがすっきりしますか。どうでしょうか。何でもかんでもという感じを受けてしまうものですから。
○保険局医療課専門官
 包括化推進専門官です。今、適応ということだったので、医療課で幾つか、例えば肝腫瘍で既に保険適用されている技術を認識しています。例えばRFAですが、「RFAで根治が可能なものであっても、今回の技術で対象とする」という記述がありまして、保険診療で既にRFAで根治が可能なものに対して、先進医療Bで有効性が明らかでないものの治療を許容していることに関して、御整理を頂きたいというところです。そこが明確になっていて許可をするのであれば、なぜ保険診療で根治が必ず期待できるようなところに対して、先進医療Bをやるのかというところは、明確にお示しいただいたほうが、先進医療会議で社会的妥当性を審議しやすいというところがございます。
○伊藤構成員
 一応、それは確認はしております。普通のものではなく、肝表面近くの場所で、疼痛が非常に強いものについては、こちらのほうがメリットがあるので、適応になるのではないかということだろうと思っています。それ以上、RFAで技術的に確立しているものを、先進医療として適応を広げるという話ではないという回答だと認識していました。
○保険局医療課専門官
 疼痛と根治性がどういう関係になっているのかが、我々としては説明しやすいようにしていただけると、非常に助かります。
○猿田座長
 今の点も含めてですが、「条件付き適」にしておいて、もう1回適応のところを申請機関からやっていただくことが大切だと思います。私も読ませていただきましたが、表面に近い所の肝臓に対するものは書いていますものね。
○関原構成員
 私もこの文書を見まして、先ほど田島先生のお話にあったのですが、この治療を受けなければ緩和治療だということは、「標準治療は無理なので、この治療を受けなかったらあなたはもう駄目だ」という話とイコールだと思うのです。ところが、1センチで1つだということなら、勿論場所によりますが、手術で取れるケースもあります。
 つまり、この治療は本当に何なのか、あるいは患者に対してこの治療を選択肢として提供するのか、選択でなくて、これ以外にないのだと選択を迫る話なのか、基本的なところがこの説明では理解できないと思うのです。
 先生方がおっしゃるように、どのような患者を対象にして、しかも、ほかに治療法がないとしたら、わずかに22例しか試験をやらない。しかも、3年間、6施設で22例です。根治しない癌というのは腹部などにたくさんあるわけです。その中で、わずか22だけを取り出してやるという理由も含めて分かりにくいと思いました。
○医政局研究開発振興課専門官
 申請者らのお考えをここでお伝えします。資料1-8、38ページです。ロードマップを御覧ください。本先進医療を通じて、少し適応が広いかもしれませんが、第1相、第2相試験で、今回、安全性を検討して有効であった母集団を対象に治験を実施することとしています。実際、ロードマップの治験のところに「先進医療の試験結果に基づいて絞り込んだ対象症例に対する経皮的凍結治療を行う」という記載があり、先進医療の位置付けとしては探索的な位置付けであるということです。
○関原構成員
 説明書にはそんなことは書いていないわけです。患者の同意書については書いていなくて、同意を求めることが私は分からなかったのです。
○保険局医療課企画官
 今のお話をお聞きしていますと、本技術の位置付けは、保険収載との関係性から考えると、パイロットスタディとは言いませんが、かなりチャレンジのレベルの話のような印象を持ちます。
 「条件付き適」ということであれば、先進医療会議に上がって審議をすることになると思うのですが、その場合、先ほどの適応疾患の絞り込みを先進医療会議でやることになるので、それは役割分担からしていかがなものかという印象を持っています。
○猿田座長
 「継続審議」にしておいたほうがいいということですね。
○保険局医療課企画官
 はい。
○猿田座長
 分かりました。一番重要なのは絞り込みのところですから、「継続審議」ということで、そこの絞り込みをしっかりやっていただく形にさせていただきます。伊藤先生、何かコメントございますか。
○伊藤構成員
 結構です。
○猿田座長
 2つとも「継続審議」になってしまいましたが。
 続いて、3つ目の御説明を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 次は資料2-1、41ページを御覧ください。試験実施計画の変更について、3つの申請が来ておりますので御紹介させていただきます。
 1つ目は資料2-1、41ページ、大臣告示番号021、先進医療名はこちらに示しているとおりです。適応症は「再発卵巣がん、卵管がん又は原発性腹膜がん」となっております。試験の概要もこちらに記載しているとおりで、現在の進捗状況は42ページに記載しております。申請者から申請のあった主な変更内容については43ページに記載しております。
 主な変更内容ですが、変更前ではパクリタキセル、カルボプラチン、ベバシズマブの3剤を使用するのですが、変更後の治療としては、それに加えて又はとして、ゲムシタビン、カルボプラチン、ベバシズマブを併せて使用可能にしてほしいということです。ただし、44ページにありますが、これは海外との国際共同試験になります。海外ではこのプロトコールでやりますが、日本においては44ページの下から3行目、安全性、有効性を保証するデータがないため、本試験において日本ではゲムシタビンは使用不可とした。したがって、この試験実施計画の変更による先進医療及び日本の被験者の試験治療への影響はないということです。以上です。
○猿田座長
 これは、わざわざお断りいただいて、これは国際試験をやっているのですね。しかしながら、ここのところは日本では許可されていませんから、必要でもプロトコール全体としてはそういう形になって、日本ではそれに従うということです。
(各構成員了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして次をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 2点目の変更申請です。45ページを御覧ください。先進医療告示番号030「重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植」です。試験の概要は記載のとおりです。現在の登録状況は46ページにあります。申請者らが希望する変更内容については、46ページの下に書いております。大きく2点変更申請がなされています。1点目は、脳死ドナーからの膵臓移植と膵島移植の同時同意取得を認めてほしいということです。2点目が、脳死ドナーからの臓器摘出後の膵島提供の同意取得です。
 1点目ですが、これまで脳死ドナーが現れた場合は、膵臓移植に同意を取って同時に同意取得をすることができなかったのですが、47ページの変更申請の理由にあるように、ドナーの意思を尊重するには、臓器の医学的適応や御家族の心身の負担等を考慮した上で、膵臓移植と膵島移植の両方の承諾を得るような場合も想定すべきだと判断して、この申請に至りました。それが1点目です。
 2点目は、脳死ドナーからの臓器摘出後の膵島移植の同意取得です。膵臓移植と膵島移植の同意取得が同時にできなかった場合に、一旦膵臓移植の目的で摘出した膵臓であって、結果的に膵臓移植に用いられない場合、臓器の医学的適応や御家族の心身の負担等を考慮した上で、臓器摘出後に膵島移植への同意が得られた場合には、膵臓を膵島移植のために用いることができることとしていただきたいという申請です。これは臓器対策室にも確認しておりまして、問題ないということなのですが、この場で御審議いただけたらと思います。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。この問題もたびたび出てきまして、なかなか膵島移植の症例が出てこないということで、少しでもそれができる形でと。脳死の問題がありましたが、この同意の問題を、今、御説明いただいたような形でやっていきたいということで許可も得られたというので、この委員会としてもよろしいですか。特に柴田先生と田島先生に見ていただきましたね。よろしいですか。
○柴田構成員
 はい。
(各構成員了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。
 それでは、これもそういう形でお認めいただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局から3つ目の変更申請についてです。49ページを御覧ください。先進医療告示番号033「術後のホルモン療法及びS-1内服投与の併用療法」です。変更申請の理由については、50ページに書いております。今回カプセル剤、顆粒に加えて、ティーエスワンの口腔内崩壊錠が薬事承認されましたので、本試験においても使用することを許容いただきたいという申請が主な変更理由です。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。これは新しい薬として、口腔内崩壊錠が出てきたということで、それを認めてよろしいですよね。
(各構成員了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、これもお認めいただいたということにさせていただきます。
 それでは、次は協力機関について、よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 それでは、資料3-1、51ページを御覧ください。これまで大臣告示されている3つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料3-1に、3つの技術と申請医療機関が記載されております。さらに、一番右側に追加協力医療機関の申請が記載されております。
 事務局において、協力医療機関として提出のあった先進医療実施届出書等を確認した結果、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていると判断したことから、協力医療機関の追加として御了承を頂ければと存じます。特に御意見がなければ追加の手続を進めたいと思います。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。51ページに追加協力機関が書いてありますが、事務局から各機関に関しての評価をしていただいて大丈夫だろうと思います。いずれも、しっかりした所だと思いますので。お認めいただけますでしょうか。
(各構成員了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、これもお認めいただいたということにさせていただきます。
 それでは、その次ですね。事務局からよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料4-1、57ページを御覧ください。先進医療Bの取下げについてです。前回の第7回の先進医療技術審査部会において、平成19年度以前から実施している技術について進捗状況をお伝えしましたが、そのうち資料4-1にある告示番号001、007、013、014について、全て予定症例に到達したため、取下げの申請がありました。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。これは前から問題になっていますし、しっかりと区切りをしていこうということで、今お話がありましたように、001、007、013、014に関しては終了したということで、お認めいただくということでよろしいですか。
(各構成員了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、これもお認めいただいたということにさせていただきます。
 それから、次は先進医療Bに係る継続審議です。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料4-2、59ページを御覧ください。先進医療Bは、旧高度医療評価制度の会議で「継続審議」となった案件ですが、それの申請書の取下げについて申請者から申請が来ております。整理番号040、先進医療名は記載のとおりです。取下げ理由が次のページに記載されておりますので、読み上げさせていただきます。WT1の抗原発現について、2回にわたって高度医療評価会議において審議をいただいて、最終的に「条件付き適」との御判断をいただきました。第3パラグラフからで、「研究事務局でWT1の発現解析の専門家との協議を数回にわたり実施し、WT1抗原発現の判定の実行可能性について検討いたしました。その結果、大変残念ではありますが、現時点ではWT1抗原の発現解析についてはバリデーションの標準化が確立しておらず、その結果を持って試験継続の判定が可能といえるほどの十分な評価は不可能との結論に至りました。そのため、条件付き承認の条件が十分に満たせないと申請者は判断して、本件について先進医療の取下げという結論に至ったということです。
○猿田座長
 ありがとうございました。これも先生方は覚えていらっしゃるかと思いますが、WT1の発現に関して非常に議論された問題です。結局、今御説明いただいたような形で、しっかりしたことができないということで取下げということですが、よろしいですね。
(各構成員了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。それではこれもお認めいただいたということにさせていただきます。
 それでは次をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料4-2、59ページをもう一度御覧ください。もう1件の取下げについてです。整理番号047、先進医療名はこちらに記載している技術です。申請医療機関は「大阪大学医学部附属病院」です。取下げの理由ですが、本技術は第33回高度医療評価会議において「適」との御判断をいただき、先進医療会議での評価をいただく直前に本技術類似のステントグラフトが薬事承認されました。このことを持って先進医療会議において、本技術の先進性が失われたこととなり、技術審査部会において再審議、すなわち差し戻しとなりました。このことを申請者と企業が協議した結果、先進医療ではなく治験を実施することで薬事承認を取得することを決定いたしました。このような経緯から取下げとなりました。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。これは北村先生に議論していただいたと思いますが、これは結局、治験のほうに行くという形ですので、取下げということでよろしいですね。
(各構成員了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、そういう形で取下げとさせていただきます。
 続きまして、今度は先進医療会議の審査結果です。これも事務局から御説明いただけますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料5、77ページを御覧ください。第8回の先進医療会議が平成25年の7月19日に開催されましたが、その会議において2つの技術、「早期乳がんに対するラジオ波熱焼灼療法」と「成人T細胞白血病・リンパ腫に対するインターフェロンα/ジドブジン併用療法」が審議されまして、いずれも「適」との御判断をいただき、8月に大臣告示されましたことを御報告申し上げます。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。これに関してどなたか御意見ございますか。伊藤先生よろしいですか。そういった形で先進医療として通させていただくということでよろしいですね。
(各構成員了承)
○猿田座長
 ありがとうございました。一応、今日議論するところは、この辺りのところでしょうか。タブレットはどうですか。何かトラブルはありませんでしたか。しばらくこの形でやっていくということですよね。だんだん慣れてこられればと思いますが。よろしいでしょうか。
 そうすると、実は今日審議しました2つのことに関しては、いずれも非常に重要な問題で、本部とも相談していただいて、結論を出していただきたいと思います。ともかく大切なことは、患者さんのことを思って、できるだけ早く結論を出していくことが大切ですので、その点どうかよろしくお願いいたします。
 委員の先生方、ほかに何かございますか。今日は2つとも「継続審議」という形になってしまいましたが、なかなかここだけでは決め難いこともありますから、そういう形にさせていただきました。それでは、もし御意見がなければ、今後の予定をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 次回の9月開催は、12日(木)とさせていただきます。時間は16時30分開始です。場所については別途御連絡させていただきます。また本日の議事録については、作成でき次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。以上です。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方、お忙しいところ、また天候の悪いところをありがとうございました。これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

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