ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医道審議会(医師分科会医師臨床研修部会)> 平成25年度第5回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録(2013年8月8日)




2013年8月8日 平成25年度第5回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録

○日時

平成25年8月8日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第18~20会議室(17階)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館


○議事






平成25年度第5回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会



日時 平成25年8月8日(木)
10:00~
場所 厚生労働省専用第18~20会議室



○臨床研修指導官 ただいまから医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を開催させていただきます。本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして誠にありがとうございます。本日は神野委員から所用により御欠席との御連絡をいただいております。また、文部科学省医学教育課からは平子企画官に御出席いただいております。なお、前回私ども事務局の人事異動についてお伝えさせていただいたところですが、一人欠席者がおりましたので改めまして御紹介させていただきます。医事課長の北澤でございます。
○中島委員 ちょっといいですか。座席表に事務局は役職だけ書いてありますが、その横に名前も書いてください。
○臨床研修指導官 かしこまりました。
○中島委員 年をとると忘れっぽくなりますので。
○臨床研修指導官 かしこまりました。以降の議事運営につきましては、部会長にお願いいたします。桐野先生よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 どうも暑い中、御苦労さまでございます。それでは、始めさせていただきます。まず、資料の確認について事務局からお願いします。
○臨床研修指導官 一番上から議事次第、委員名簿等、清水委員提出資料です。続きまして、事務局提出資料1「医師臨床研修制度の見直しの方向性について(案)」、その資料の別添1「医師臨床研修部会における主な意見」、別添2、「ワーキンググループにおける主な意見」です。続きましてカラー刷りの事務局提出資料2、平成25年臨床研修修了者アンケート調査結果概要、続きまして事務局提出資料3、今後のスケジュール案です。以上です。また、参考資料集といたしまして、別途青い紙ファイルを御用意させていただいておりますので、適宜御利用いだきますようお願いします。不足等ございましたらお申し付けください。
○桐野部会長 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、臨床研修制度の見直しの方向性について審理をしていただく。その他となっております。
 それでは議題の1「臨床研修制度の見直しの方向性について」に入りたいと思います。まずは、関連資料の説明を事務局からお願いいたします。
○医師臨床研修専門官 事務局提出資料2を御覧ください。こちらは臨床研修修了者に対して毎年厚生労働省からアンケート調査を行ってるもので、平成25年、本年の3月に終了した方に対する調査結果がまとまりましたので、御報告をさせていただきます。調査方法といたしましては、本年3月に臨床研修終了予定者7545名に対して全数調査になりますけれども、自記式質問票を送付したものです。回答時期は平成25年3月ということで集計しております。回収率は76%と前年よりは高くなっております。基本属性といたしましては、大学病院が43.5%、臨床研修病院が54.1%、また男女比では女性が32.6%となっております。
 臨床研修の実施状況等についてです。臨床研修を行った病院を選んだ理由を尋ねたところ、大学病院では出身大学である、プログラム等が充実、研修後の進路やキャリアを考えて等の回答。一方臨床研修病院ではプログラムが充実、多くの症例が経験できる、様々な診療科・部門でバランスス良い経験を積める、プライマリ・ケア能力を修得できるなどが多くなっております。これらは例年おおむね同様の傾向となっております。
 3ページ、満足度等です。臨床研修の満足度は5点満点中約4点で、例年大体4点前後を推移してるところです。また、各診療科につきましては、これは診療能力の修得の観点から、研修を行った各診療科の役立った度合を5点満点で評価をしたものです。御覧いただいたとおり診療科によって多少のばらつきが見られているところです。
 続きまして、その下の各診療科の平均研修期間です。参考に昨年度、一昨年度のデータを添えております。本年の結果前研修医の平均のローテート期間ということですが、内科系が最も長く9.5か月、外科系、麻酔科、約2か月、小児科、産婦人科、精神科は約1か月となっております。
 4ページ目、臨床研修前後での将来希望する診療科の変化です。研修前後で希望する診療科には変化が見られておりまして、麻酔科、精神科は増加傾向にあります。ただし他の世代の医師の診療科の状況、これは一番右に「医師・歯科・医師薬剤師調査」からそれぞれ30代前半、30代後半、また全医師に対する主たる診療科として選んだ診療科を記載しておりますが、他の世代と比べての比較も必要であるということを書け添えております。上のほうは、内科から精神科までですが、下のほうは皮膚科からリハビリテーションでして、皮膚科からリハビリテーションに関しましては皮膚科、眼科、放射線科を中心に増加傾向にあります。
 5ページの上ですが、こちらは研修前後の診療科の変化を男女別の割合で見たものです。男女別に見ますと、産婦人科、皮膚科が女性の割合が研修前後とも5割を超えておりまして、高い割合で推移をしております。それから、下は従事したい診療科を選んだ理由・従事したい診療科が変わった理由です。左側が従事したい診療科を選んだ理由ですが、上から上位3つを申し上げますと、やりがいがある、なんとなく相性が合う、学問的に興味があるという回答になっております。一方右側の従事したい診療科が変わった理由、これは全体5735人中の約2300人が研修前後で診療が変わったということで、それらの項目を見ますと、仕事の内容が想像と違った、研修開始前には希望診療科が未定だった、専門性を維持しづらい、適性・才能がないとの理由が挙がっております。
 以降6、7、8、9ページ上までは各診療科、内科、外科、救急、麻酔、小児、産婦人科、精神科に関して、それぞれ、もとの診療科を希望していた方が研修終了後他科に移行した方がどれぐらいるか。又研修後他科からその診療科に希望を変えた方が、どれぐらいいたかという結果をお示しをしております。
 例えば、8ページ目の小児科と産婦人科を御覧いただきますと、小児科では研修後他科へ移行した人数が223人おり、研修後どこに行ったかといいますと、内科が105人、産婦人科が18人です。一方ほかの科を希望していて研修終了後に小児科を希望したという方が、内科系からら23人、外科系から11人、産婦人科から3人等の移行があるということがお分かりいただけるかと思います。一方小児科ですが、「医師・歯科医師・薬剤師調査」の比較を御覧いただきますと、右下に棒グラフで書いておりますが、青いものが研修終了者の割合つまり6.6%でございます。赤が30代前半、緑が30代後半、紫が全医師数の割合で、比較的若手医師において小児科の選択が高く、だんだん下がっていくという傾向があろうかと考えられます。
 9ページ以降は、研修終了後のキャリアパス等についてです。10ページが研修終了後に勤務する病院です。研修終了後に勤務する病院は大学病院が49.9%、大学病院以外の病院で45.7%でそれぞれ約5割となっております。また、研修終了後の入局予定です。こちらは、入局予定している者は全体の約7割を占めておりまして、臨床研修実施場所別で見ると大学病院では約9割、また臨床研修病院では約6割の方が臨床研修後に入局をされている。ただ、これはすぐにということなのか、何年かおいてから入局なのかということまでは、その調査自体では分かり兼ねるところです。
 11ページ、上が医学博士取得の希望です。取得の希望は全体の約4割で、大学病院のほうが若干多い傾向にあります。また、下の大学院進学の時期等ですけれども、医学博士取得の希望を有すると回答した者のみの回答になっておりますが、理想的な大学院進学の時期は「臨床研修終了後に大学院進学」が約7割である一方、約2割が臨床研修期間中の通学が理想ということで、昨年よりも上昇している傾向です。また、大学院の研究分野は基礎系が昨年より若干増えている傾向があります。
 12ページの上は、子育てをしながら勤務を続ける上で必要な条件です。必要だと考えられる条件は、「職場の理解・雰囲気」それから「短時間勤務制度」「当直や時間外勤務の免除」「勤務先に託児施設がある」「配偶者や家族の支援」の順に多くなっております。
 また、12ページ以降は地域枠の状況や、医師不足地域への従事に対する意識等のデータで、こちらは既に5月の部会で一度先生方に御説明を申し上げておりますが、平成25年の研修終了者のアンケートとしては同じでございますので、再掲をしております。説明は以上になります。
○桐野部会長 このアンケートは回収率76%なので、かなり参考になると思います。何か質問や御意見ございますでしょうか。
 それでは、見直しの方向性について再び事務局より資料の説明をお願いします。清水先生からの提出資料については後ほど関連するところで御説明いただきたいと思います。
○医師臨床研修推進室長 それでは事務局提出資料の1、医師臨床研修制度の見直しの方向性につい(案)」を御覧ください。本資料につきましては、各項目ごとに「現状」「論点」「方向性」とありますが、現状と論点については、これまで御審議した資料と同じです。方向性については、本臨床研修部会におきまして、これまで出てきた主な御意見を別添1に項目ごとに羅列しております。これを事務局で集約、整理して並べたものです。方向性とありますが、これまでの御審議でまだ相反する御意見が出ているところもあり、そこのところはそのまま並列的に記載をしているといった性格の資料です。
 順を追って方向性の各項目ごとに御説明いたします。1ページの「基本理念」については、○の1つ目にあるように、医師としての人格をかん養、基本的な診療能力を身に付ける等が盛り込まれた現在の基本理念は重要であり、変更する必要はないではないかとの御意見を頂いております。
 ○の2つ目にあるように、「プライマリ・ケア」の具体的な内容については、言葉自体は医療界で定着しておりますが、解釈が必ずしも統一されていないことから、補足を加えることとしてはどうかという御意見を頂いております。
 到達目標とその評価については、2ページの真ん中辺りに方向性があります。1つ目にあるように、到達目標については、基本理念や社会情勢等を踏まえつつ、現在の項目数、内容等を見直す必要があるのではないか。2つ目として、評価手法については、現在は各病院ごとに異なるため、EPOCの活用を含め、何らかの標準化が必要ではないか。最後に、到達目標やその評価手法については、今回だけの見直しにこだわらず、別途、検討の場を設けて検討してはどうかという御意見を頂いております。
 3番目の臨床研修全体の研修期間については、3ページの上の所を御覧ください。○の1つ目にあるように、臨床研修の基本理念等を踏まえれば、現行どおり2年以上で差し支えないと考えられる。ただし、将来的には卒前教育等の状況等を踏まえ、現在の期間を見直す方向で検討することも考えられるのではないかという御意見を頂いております。
 また、より積極的な御意見としては、2つ目にあるように、期間ありきではなく、到達目標を前提として、それらを適切に達成すれば修了するというような考え方もあるのではないかという意見を頂いております。3つ目として、臨床研修の期間については、様々な御意見があるが、現行でも、診療科の弾力化により、個々の状況に応じた柔軟性あるプログラムの提供も可能になっているということで、現状でいってもいいのではないかという趣旨の御意見を抱いております。
 次にいろいろと御意見が出ている基幹型臨床研修病院の指定基準に関連して、まず、研修のプログラムの研修診療科についてです。3ページの下の所に方向性があります。1つ目として、研修プログラムについては、短期間で複数の診療科をローテートするより、専門とする志望科目を決めて、早めに専門的な研修をはじめた方がいいのではないかと。また、これに対して、基本的な診療能力の向上の観点からは、7科目必修に戻すべきではないかとの御意見を頂いております。それに対して、研修診療科についても、必ずしも診療科目を前提に考えるのではなく、基本理念、到達目標を達成することを目的に、適切な臨床判断が可能となる症例を経験するといった考え方が望ましいのではないかとの御意見を頂いております。
 4つ目として、望ましい研修診療科については、平成21年の弾力化に伴う研修医の基本的診療能力について、次回以降の見直しに向け、引き続きデータを蓄積して研修を進めてはどうか。また、それに併せて、弾力化による必修から外れた診療科については、必修という形ではなくても、それらの研修を行うことが望ましいこととしてはどうかという御意見を頂いております。
 4ページ、各研修診療科の研修期間については、先ほどの意見と重なるところもありますが、方向性として、基本的な診療能力や指導医との関係の構築等において、短期間で複数の診療科をローテートすることは望ましくはないのではないかという御意見を頂いております。
 次に必要な症例に関連しての方向性については、5ページの上の所を御覧ください。現在ある年間入院患者数3,000人の基準については、その数的根拠は必ずしも明確ではないものの、症例数についてはある程度は必要であると考えられ、直ちに廃止することは適当ではないのではないかという御意見を頂いております。入院患者数のみで評価するのではなく、訪問調査等により研修の内容や質を評価した上で、柔軟に対応する余地も必要ではないかとの御意見を頂いております。
 3つ目として、現在、研修医を受け入れている臨床研修病院の訪問調査の結果を見ますと、年間入院患者3,000人未満の病院であっても、適切な研修が行われている場合が多い。引き続き、3,000人以上の基準自体は維持しつつも、基準に満たない病院は訪問調査等を踏まえ柔軟に評価すべきではないかという御意見を頂いております。逆に3,000人以上の病院についても、何らかの第三者による評価は必要ではないかという御意見も頂いております。
 次に指導・管理体制についてです。方向性は5ページの下の所にあります。1つ目として、例えば、プログラム責任者講習会の受講を促進するなど、プログラム責任者の育成を強化する必要があるのではないかという御意見を頂いております。2つ目として、少なくとも必修科目の診療科には病院独自に必修としている場合も含めて、指導医が必要ではないかという御意見を頂いております。
 6ページを御覧ください。ここも議論のあるところだと思います。募集定員の設定に関連して、募集定員の設定方法の方向性については、各都道府県の募集定員の上限についてです。1つ目として、前回の見直し後にある激変緩和措置については、都道府県の上限及び各病院のいずれも、予定どおり平成26年3月をもって廃止すべきではないかという御意見を頂いております。
 7ページ、研修医の地域的な適正配置を一層誘導するという観点から、研修希望者数に対する全体の募集定員数を、暫時減らしていく必要があるのではないか。他方、研修希望者と定員との差を余り縮めてしまうと、研修病院間での競争がなくなり、研修の質の低下が危惧されること。またマッチの際に、アンマッチングの数が多くなってくるおそれもあることから、慎重な検討も必要ではないかという御意見を頂いております。3つ目として、現在都道府県の募集定員の上限の設定の際、新たに高齢者の人口とか、人口当たりの医師数などにも配慮する必要があるのではないかという御意見を頂いております。
 臨床研修制度導入後、データで見ますと、研修医数が都市部で減少し、地方で増加する傾向が出ている中、都市部の定員を更に削減することについては、都市部から他県への医師派遣役割なども踏まえ、慎重な対応が必要ではないかという御意見を頂いております。
 次に各研修病院の募集定員の設定に関連しては、特に都市部を中心に、大学病院が都道府県内外に多くの医師を派遣しており、より一層、医師派遣の実績を考慮した定員の設定が求められるのではないかという御意見を頂いております。
 現在、小児科・産科特例プログラムについては、定員20名以上の病院には自動的に2名ずつ加算という形になっております。これについては、小児科・産科医師確保に一定の効果があったものと考えられ、廃止は時期早尚ではないかという御意見を頂いております。他方、小児科・産科については、今、選択必修科目という状況になっておりまして、今後、必修の診療科目をどうするかと併せて検討すべきではないかという御意見も出ております。
 1つの観点として、小児科・産科特例プログラムは、定員に対して、マッチ者数が半分程度であり、実際に研修修了後にも小児科・産科を希望する者は7割程度という状況ですので、その際に必ずしも希望していない者がマッチしている可能性もあることも含めて、検討すべきではないかという御意見を頂いております。
 次に地域枠への対応についてです。方向性については、8ページの真ん中の所です。地域枠については、総論として、地域医療の安定的確保の観点から、臨床研修制度においても一定の配慮を行うことが望ましいのではないかという御意見を頂いております。それと関連して、地域枠と都道府県の募集定員の上限との関係の御意見として、地域枠や医師派遣、産科・小児科等の状況なども踏まえつつ、都道府県が何らかの調整ができるような仕組みも必要ではないかとの御意見を頂いております。
 他方、地域枠とマッチングとの関係については、現在、基本的診療能力向上という、臨床研修本来の理念に鑑みますと、地域枠か一般枠に関わらず、現在も競争に参加していただいているところですが、公平な競争をやはり重視すべきではないか。現在、地域枠を設定している多くの都道府県では、ほとんどフルマッチはない状況ですので、ある病院にはマッチしなくても、都道府県内の他の病院には行ける可能性が高いのではないか。地域枠については、バリエーションごとに厳密に具体的な人数を把握することは難しいと想定される。このような状況を鑑みますと、基本的に地域枠の学生も一般枠と同様、マッチングに参加し、公平な競争のもとで病院を選択する方向が望ましいのではないかという、大まかな御意見になっているところもあります。ただし都道府県で何らかの調査ができるような仕組みは必要ではないかという御意見を頂いております。
 9ページを御覧ください。研修医の処遇等の確保についてです。この方向性については、臨床研修制度の導入後、研修医の処遇は向上し、研修を受ける環境が整いつつあるのではないかと。他方、極端に高額・少額の給与・手当としている病院に対しては、第三者評価等を通じて適切にフィードバックしていくことが望ましいのではないかという御意見を頂いております。
 次に臨床研修病院群の形成に関連してです。方向性については、10ページの上段を御覧ください。病院群の形成を推進するために、例えば、地理的範囲や病院数について、一定の基準を設けるべきではないか。また、様々なバリエーションの症例の経験が可能となるような群の形成について、促していく必要があるのではないか。3つ目も類似の御意見だと思いますが、地域分布や病院の規模というよりも、本来研修の質が確保できるような十分なプログラムや、指導体制が病院群の形成に当たって備わっていることが重要ではないかという御意見もあります。
 第三者評価等で病院群全体の研修内容を適切に評価する等の工夫が求められるのではないかという御意見を頂いております。その第三者評価の関連については、次のところにあります。方向性としては、将来、第三者評価を目指すという形になっておりますが、研修病院の努力目標として位置付けを強化し、将来的には研修病院に第三者評価を義務づける方向とすべきではないかとの御意見を頂いております。
 次に都道府県の役割についてです。方向性については、11ページの上の所を御覧ください。主体的に調整を行っている先進的な都道府県を参考としながら、都道府県における調整の役割などを一層明確に示すことにより、都道府県の全体的な調整能力を強化していく必要があるのではないかという御意見を頂いております。
 制度運用上の問題については、若干、細かくなりますが、方向性については下にあります。基幹型研修病院の指定に係る再申請については、受入実績がないことによる指定の取消直後の再申請については、改めて協力型臨床研修病院として一定の期間の実績を積んだ上で、基幹型臨床研修病院に再申請をしてもらうと。そういった運用が適当ではないか。
 指導医講習会に関連して、指導医講習会の受講というものは、研修の質を確保する上で重要な基準の1つであるため、指定申請の際には講習会をこれから受講するということではなくて、受講済みであるということが必要条件となるのではないかという御意見を頂いております。
 12ページを御覧ください。中断及び再開、終了に関連してです。方向性の1つ目としては、女性医師を中心とした出産育児の支援体制の整備を更に進めるべきではないか。事由によっては、中断を積極的に行う場合を想定し、一定期間後に再び研修に戻ってくることができるような制度設計も考える必要があるのではないか、ということが意見として頂いております。
 13ページ、研修医養成との関係です。この辺りは前回の審議でいろいろな御意見を頂いたところで、多少方向性の数が多くなっております。1つ目として、研究医の養成については、喫緊の課題ですが、臨床研修は臨床医が備えるべき基本的な診療能力の修得が目的であり、極めて優れた研修生をこの制度で養成することは想定していないので、臨床研修における対応としては、慎重な検討が必要ではないか。また、これまでのデータ分析との関連で、基礎医学系の大学入学者に占める医師の割合は、以前から低下傾向にありまして、平成16年度の臨床研修必修化後に急激に下がったものではないので、臨床研修と研究医の養成は分けて考えるべきではないか。それに対して、研究医養成のためには、研究マインドを持ち続けることが重要であり、臨床研修中に研究マインドが薄れないよう、一定の自由度も臨床研修中に必要ではないかという御意見を頂いております。
 臨床研修の到達目標を達成できるという前提ですが、研究志向のある者に対しては、臨床研修とは別に、時間外とか、土日を利用した大学院における研究との両立を認めていくことも適当ではないか。
 先ほどの中断との関連で、積極的に中断を行い、一定期間は基礎研究を行い再び臨床研修に戻ってくるなど、臨床研修と研究をより円滑な形で行き来できるような仕組みも必要ではないか。
 最後に、それとは違った観点で、研究医の養成のためには、臨床研修自体というより、処遇の改善、キャリアパスの確立、臨床研修でキャリアを積む中で、研究の希望を有した者への研究場所の確保など、臨床研修以外での環境整備も必要ではないかという御意見を頂いております。
 関連する医学教育等については、14ページの下の所を御覧ください。卒前教育において、現在も診療参加型の臨床実習が充実され、大学間の取組内容も標準化しつつありますが、そういった状況が整ってくれば、臨床研修に関する期間も含めて、所要の見直しもあり得るのではないか。他方、医師免許の取得前後では、臨床現場における責任が異なってきますので、卒前に医学生を臨床研修を修了した者と同レベルまで育成できるというものではないのではないかという御意見を頂いております。
 最後に、全体に関わるところで、臨床研修のみを切り出して議論することには限界があり、どのような医師を養成すべきかを踏まえた上で、卒前の教育、国家試験、専門研修、生涯教育との連続性について、関係する取組の状況を踏まえ、総合的に検討を続けていくべきではないかという御意見を頂いております。多少長くなりましたが、以上です。
○桐野部会長 これまで御意見を頂いたほとんど全てのことについて、要約をしていただいたと思います。これから御意見を頂くに際して、範囲が非常に広いので、4つぐらいに区切って御議論をいただければと思います。
 1ページから4ページの2)の必要な症例までを、まず最初に御審議いただきたいと思います。実際には、5ページの3)指導・管理体制のところまでを第1区切りとします。その後、順次、次はどこまでとやりますので、まず全体を4つに区切るとして、最初の部分でフリーディスカッションでお願いしたいと思います。
○山下委員 まず進め方ですが、ページで区切るのではなくて、例えば、必要な症例と指導・管理体制と病院群は全部つながるのです。それぞれで、逐条審議ができないのではないかと私は思うのですが。何か工夫はないでしょうか。
○桐野部会長 何かに従って順序立てていくしかないので、その場合、お互いに関連する項目は当然触れてくると思います。ネット状につながっていますので。それは構いませんのでお願いします。
○山下委員 それを前提にということであれば、まず、いろいろな議論があると思いますが、必要な症例数というのはかなりいろいろな意味で議論になると思います。この必要な症例数を議論する際に、やはり、大事になってくるのが、病院群の形成だと思います。要するに、どういう病院をどういうコンセプトで入れるかという議論をしていただかないと。例えば、3,000で切っていいですか、悪いですかと言われたら、確たるエビデンスがいつも出てこないのです。やはり、質の問題とか、何とかという話になってくるわけです。私は一番大事なのは病院群の形成であって、病院群を形成したときに何を目的に、どういう医師を養成したいのか。そのときにどういう症例を見せたいのかということが、きちんと説明できるような病院群をとにかく作ってくださいと。そのためにこういう症例が必要ですというクライテリアがあるべきであって、外形基準からいってということになると、質の保証がかなり難しくなると思います。はっきり言うと、病院群の形成のクライテリアのほうが大事で、例えば、3,000はミニマムエッセンシャルとしてどうしても残したいというのであれば、それを割り込むことは絶対に駄目というふうにしたほうがいいと思います。それより上のところからまず議論するのが私はいいと思います。
○桐野部会長 必要症例数の話になりましたので、これについていかがですか。この件については、以前にかなりやりましたね。3,000というのは、確たる根拠はなかなか難しいということについては、意見が一致したと思います。しかし、これを全部外してしまって、外形標準を取ってしまうと、逆に今度は研修の質を落としてしまう可能性があることもあったと思います。何か御意見はありますか。
 そのときの御審議の感じというのは、何も設けないというのは、現状の研修基幹病院を選ぶときに、とても実際に難しくなるので、3,000で切る。しかし、逆に今度は3,000以下の病院については、かなり詳しく訪問調査をしていて、一生懸命やっておられる所で3,000以下だった所を、30ぐらいを調べたときに、そこは確かにかなりよくやっておられたというので、オール・オア・ナッシングで切れるわけではなく、何となく境目が不明瞭ですが、3,000ということを一応以前よりやっているので、それより切れる所については訪問調査をする。
 ただ、先生がおっしゃったように、3,000より多ければオーケーというのもおかしな話なので、やはり、今後の努力目標としては、第三者評価を入れておかないと、ちゃんとできないよという議論だったと思いますが。
○中島委員 確たる根拠もない3,000人という数字を、これ以下では絶対駄目と明確に規定すること自体が非常に難しいと思うのです。ですから、今の進め方のほうが、私は妥当ではないかと思います。
○桐野部会長 実際は良い研修をするためには、それぞれの病院が良い研修をしているかどうか調べる以外ない。一定の外形標準をいろいろこしらえて、その数だけで仕切っていくだけでは難しいだろうと思います。
○山下委員 議論が散漫になって本当に申し訳ないです。要するに3,000というのは、いわばカットオフであると。先生がおっしゃったようにいろいろとあると思いますが、とりあえずカットオフを置かないと議論が先に進みませんから、取りあえず3,000を置くと。ただそれのみがあるのではなくて、小川先生が前からおっしゃっているように、その中にいろいろな病院が入っていますよと。しかもそれは北海道と沖縄というものではなくて、北海道と沖縄で意味があればもちろん結構ですが、どういう症例をどういうふうに教育するのかということが、到達目標に書いてありますが、一般的な疾患が診られる診療能力を作るということは、例えば心筋梗塞とか脳卒中、胃がん、大腸がんを見逃がさないということですから、必ずしも軽い病気を診るコモンディジーズというものはものすごく重いものがたくさんあるわけで、非常に重篤な症例から早期の症例を見逃がさないことまで高度な医療を入れ込んでおかなければいけないということになりますと、当然のことながら、病院でいろいろなものを見せなければいけない。ただ、それをある一定の期間の中に全部積め込むとパンクしてしまうことがありますので、細かい内容までをクライテリアで、例えば、こういう重症度ものを何例と言い始めると、これは最限がなくなります。
 私が思うのは、まず、病院群というものをディスカッションして、その中に基幹型病院になるのはこういう条件で、その1つの条件が3,000がカットオフ値ですという議論であればいいと思います。
○小川委員 基幹型病院と協力型病院とあるわけですから、確かに3,000人というのに確たる根拠があるわけではありませんが、基幹型病院には何らかの外形基準は必要だと思うのです。例えば1,500人なり2,000人の患者さんの規模の病院は協力型病院でやればいいわけです。そこは山下先生がおっしゃったように、臨床研修病院群の中で考えて、基幹型に関しては、最低限の基準としてのカット値はどうしても必要になるのではないかと思います。そこを全部何でもいいということになったら、開業の先生まで、全部いいということになってしまいます。1人ドクターがいる病院でもいいよということになってしまうわけです。そこは外形基準はある程度は必要だと私は思います。
○小森委員 もう同じ議論は繰り返したくないのです。桐野部会長の最後のおまとめで基本的に賛成です。将来的にはDPCデータなど、そういった詳細な検討もしつつ、単にコモンディジーズだけではなくて、様々なレベルの様々な症例をしっかり体験するということを、今後検証していくことは極めて重要だと思っています。
○吉岡委員 基本的に桐野部会長のまとめのとおりで結構です。議論の中で第三者による評価というのは絶えず出てきて、これをこの部会としては、将来的に望ましいとするのか、それはもういいとするのかを明確にしておかないと、議論を5年ごとに延ばしていくだけになると思います。
 実際に受ける立場からいくと、これは理想としては第三者評価でしょうが、これだけを特化して第三者評価をするには、特段の労力、お金、時間がかかると思いますから、私はここのところは、今回は要らないと考えます。要は基幹型病院で3,000人以上あれば、それは担保されているであろうという考え方です。もう1つは機能評価は他に幾らでもあるわけで、そういうものの中で臨床研修に関する項目をきちっと評価すればよいと思います。第三者による臨床研修に特化した機能評価というのは、ちょっときついと思います。
○桐野部会長 この問題は3,000人というのは、逆に言えば、研修期間の到達目標にも依存するものであり、その到達目標というものは、次の見直しのときには検討したほうがいいのではないかという意見が相当あったと思うのです。
 そのときに評価について、吉岡先生のおっしゃるのは、現状ではこれだけの第三者評価を全ての病院が受けていくというのは、いろいろな意味でコストが高過ぎると。時間的にも、人的にも、費用的にもコストが高過ぎるということだろうと思うのですが。確かにものすごく厳格な手間のかかる評価を徹底的にやるという考えもありますが、やはりある種の評価というものは必要ではないのでしょうか。どうですか。
○河野委員 今までの御議論は賛成ですが、やはり評価というのは、例えばサイトビジットのようなものでも透明性といいますか、オープンにしていくことが必要でしょう。その病院の研修体制が外形基準の紙だけのレベルではない形で、立入り的な評価を互いにやるようなシステムを組めば、数が多くても、何らかの工夫は可能ではないかと思います。
○桐野部会長 第三者評価の場合、日本臨床研修評価機構みたいなものに限ると言ってしまうと少し言い過ぎだと思います。大学病院の場合と、市中の中ぐらいの病院の場合の評価の在り方は相当違ってくるので、評価の在り方についても到達目標の検討のところで可能であれば少し検討していただいた上で、第三者評価については、もちろん義務とするには明らかに時期尚早ですので、ある程度それを受ける方向を目指すようなことは、今回言っておいたほうがいいのではないかという意見が、前回多かったように思うのですが、それはいかがですか。
○山下委員 難しいですが、全ての病院を公平に一定の基準で、全部合否を判定するというのは、まず不可能だと思います。誰がやるのだという話になります。中島先生も実はここでおっしゃっていたのですが。
 逆に言うと、何らかの情報を、これは地域の厚生局とかいろいろなものだと思いますが、この病院はちょっと問題があるよという所があれば、そこは外形基準を満たしているから、これは手出しが出せないというものではなくて、やはり質を問うということになってくれば、今のルールでも介入できるということになっているとは思いますが、そういうことはきちんと介入して、是正を強く求めることが、これはあり得るということをきちんとここで宣言していただいたほうがいい。要するにどういう権限で、どういう形で、例えば医系技官の方が入っていったときに、外形基準だけを見て、「これはオーケーでしょう」と言われたときに、「まあ、そうですね」と帰ってくるのではなくて、これは質の問題を問うているのだから、こんな教育では駄目ですということを強く言えるようなクライテリアを得るというのは必要なのではないのでしょうか。そうしないと、いつまでたっても外形基準で、今、審査のあれが来ていますが、それを見ると、CPCをやっているとか何とかをやっているという話で、数字でしか見れないのです。
 その内容をプロだったら見れるわけですから、こんな内容では駄目ですよ、こんなものでは教育になっていませんということが、きちんとある一定の根拠を持って、強く指導できるようなものを医系技官の方が、例えば指導するときに持っていけるようなものを作るのは必要ではないかと。実際には、教育に関してはいろいろな情報を多分持っておられると思うのです。ここはもう少し頑張ってもらわないといけないということは、情報として持っておられると思うのです。ただ、それは恣意的にやっては困りますので、ある一定のクライテリアは、数を数えるのではなくて、質を担保するような指導基準も作ってもいいかなと。そのためには先生がおっしゃったように、到達目標を考え直さないと、その教育がちゃんとできていますかという議論に多分なってくると思うので、相当ロングショットな話になってくる可能性はあると思います。
○桐野部会長 到達目標の議論と評価の議論を分けますと、到達目標については、いつまでも見直しが必要、見直しが必要と言っていると、見直されないことになるので、今回はやる時間がなかったことも事実ですが、少なくともその次の会ぐらいまでには、到達目標をきちんと見直すようなものを作って、別途の検討の場を設けてやったらどうかと思います。それは今後厚労省のほうにも考えていただいて、やるということを是非進めていただきたいと思います。
 評価については、確かに1つの評価団体というか基準で、現在の研修基幹病院が全て押し並べて、比較的短期間のうちに受診しなければいけないとなると、現実的にもとても難しいと思います。
 評価機構のほうは、毎年200ずつやっていけばできるということを聞いたことがあるのですが、相当いろいろな意味で無理があるのかなと思います。余り意見を言ってはいけないのかもしれませんが、希望としては、努力目標として評価を受ける。その評価のシステムについても、今後検討していくということを、今回、書き入れてはどうかと思うのですが、いかがですか。
○吉岡委員 部会長の意見に従います。
○桐野部会長 ありがとうございます。
○吉岡委員 現実問題として、ここに出ている協力病院まで、すべからく第三者評価をやるということを考えているのではないという前提でしてください。そうでないと、きれい事だけ言って、5年送りでやっても間に合わないのではないかと思われます。
○桐野部会長 もちろんきれい事では駄目で、実際に現実的にできることを考えないと。そのほか、最初の4分の1の所で、例えば「基本理念」「到達目標とその評価」「全体の研修期間」「研修プログラム」「必要な症例数」、この辺りはいかがですか。
○押淵委員 4ページの○2の研修診療科の研修期間のことに関連して意見を述べさせていただきます。これまで臨床研修制度が始まってから地域医療の実習、研修に来られた方々を見ておりますと、その経緯の中で、特に地域、離島やへき地等で著名に高齢化が進んでおります。高齢科という診療科はないわけで、高齢者を診る目を養うのは、地域医療の現場であることは間違いない事実だと思いますので、地域医療の研修の期間は是非1カ月以上、できれば3カ月間の地域医療の研修を継続していただきたいという思いでおります。以上です。
○桐野部会長 もっともな御発言だと思います。必修の科目、選択必修の科目は、前回の見直しのときに7科目から3科目必修の、5科目の中から2科目選択必修になったと思います。これについての議論は、やり始めると多分相当大変でどうしますか。もちろん、先生のおっしゃったことは私はよく分かります。
○清水委員 私も地域医療がとっても有意義というのは、うちの研修医を見ていても本当に納得できるところです。今、桐野先生がおっしゃったように、科目数とそれぞれの診療科の期間というのは、やはり目標と連動するのかと思っております。
 例えば、今のフレームからは少し外れてしまいますが、7ページの小児科・産科特例プログラムなどの有効性に関しても、もし小児科・産婦人科が必須科目になれば、特例は不要かもしれないという議論になったりすると思いますので、是非、これは目標の再検討のときに、7診療科に戻すことも前提としてお考えいただけると嬉しいと思います。それだけ切り離して考えるのはなかなか難しいのではないかと思います。
○山下委員 私は基本的に桐野先生のおっしゃったことは一番大事だと思います。到達目標をとにかくきちんと変えないと、これは良い医師を育てるためにどういうことを、今の時点で勉強させるかという根本にかかることなので、それをまず前提にするということです。
 その教育の方法というのはいろいろあると思います。科によって区切るというのは、非常に外形的には分かりやすいのですが、それに馴染む研修医、教育にはバラエティーがものすごく必要だと私は思っております。例えば、内科に6カ月いるから、呼吸器の肺炎だけを診ているということはあり得ないわけで、そこの中にいろいろなものが関わってくる。もちろん精神科的なものも関わってくる。いろいろなケアが関わってくる。そういうことをちゃんとやってくださいよというほうが、それは病院によるし、人によると思います。ですから、そのフレキシビリティーを上げることが必要であって、先生がおっしゃったように、科を、これを入れますか、これは入れませんかということを議論し始めると、もう最限なくいろいろな条件が出てきて、それぞれの個々の病院の条件とか、個々でどういうことを教えたいんだ、ここまで教えたいのにという話になってくると、多分、収拾がつかなくなると思いますので、どこからスタートするかというのは、研修目標をもう一度きちんと見直す。
 そのためにはどういう教育の仕方があるかというのは、医学教育の専門家も、非常に今はいろいろな活動をしておられますので、いわば卒前の教育においても、ただ単にある1つの病気が、高齢にはこういう薬を使えばいいのですよという教育をしては駄目ですと。診療参加型の臨床実習というのは、それに付随するようなことを全部教えなさいと。そうでなければ、臨床医にならないでしょうということを言っているわけですから、当然のことながら、初期臨床研修でもう国家試験の免許を頂いているような人であれば、もっと高度に広がりを持った診療が要求されるわけです。ですから、何科を何箇月ずつ回るというクライテリアではなく、その教育ができるようなプログラムを、余り自由度があると訳が分からなくなりますが、ある程度の緩い基準の中で、しかしきちんと教育ができているということを示してくださいというやり方のほうが、私は現実的だと思いますし、良い医師がつくれると思います。
○小川委員 到達目標と評価ですが、14ページの最後のカラムの3行ですが、これは臨床研修部会ですから、臨床研修をどうするかということを議論する部会であることは確かです。今、山下先生がおっしゃったように、要するにどういう医者を教育するのかという観点での臨床研修です。従って、卒前教育と国家試験と専門研修と生涯教育と連動しなければ、全然意味がないのです。
 例えば、今、医学部教育では、国際標準にしなければいけないというところまで進んでいます。これからの大きく変わっていくわけです。当然のことながら、今やっているような国家試験を通る到達目標と、臨床研修制度を終了する到達目標がほとんど同じでは困ります。到達目標に関しては、医学部教育との連動を考えなければならないと思います。
 教育に関しては、各大学が必ず7年に1回第三者評価を受けなければなりません。このように第三者評価、自己評価は大学病院では当たり前のように行われているわけです。それでは、大学病院以外の基幹の研修病院で評価されなくてもいいのかということはあり得ない話なのです。先ほど桐野部会長がおっしゃったように、そこのところを今回書き入れるということは極めて大事なことだと思います。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。医学教育は確かに国際的な基準を意識せざるを得ない状況になっていまして、国家試験のレベルで各医科大学の医学教育はある程度標準化されていると考えてもいいのですが、今後とも、そこのところがどうなってくるかということを考えながら、初期臨床研修については本当に考えないとならないと思います。
○中島委員 2度目になりますが、特に基本理念、到達目標、その評価については、そもそもの原点、なぜこういうことが議論されるようになったかというところに立ち返って考えないと、議論がうろうろすると思うのです。1つは国民の目から見て、非常に専門医は増えてきたが、全体を診てくれる医師がだんだん減っているのではないかと。このことにマスコミも同調し、様々な事件も起こりましたが、そういうことから始まったと思うのです。その原点を踏まえると、やはり卒業して2年間は、どんな患者さんが来ても一応診ることができる、一応、専門の医師に送ることができる、という医師を育てましょうということで始まったわけですから、この原点だけは確認をしておいて、次の会議を設定することが、今回はいいのではないかと思います。
○桐野部会長 ありがとうございました。それでは、次に進んでよろしいですか。
○河野委員 今までの到達目標と評価方法というのが、これからのいろいろな議論の根本ですよね。これは桐野先生がおっしゃったと思いますが、別途検討する場を設けて、これは別でしっかりやらないといけないのではないかと。それはどういうふうに進んでいるといいますか、今回はどうなっているのですか。それは何か書き込めるのでしょうか。
○桐野部会長 もちろんそれを書き込まないと。
○河野委員 別途の場でやるというのは、具体的に何をどういうふうに進めるのですか。
○桐野部会長 多分、ここの部会の下に例によってワーキンググループのようなものを作って、そこで御検討をいただいた上で、それを上に上げていくという形かと思います。
○河野委員 イメージとしてはそうですが、そういうことの組織を具体的に書き込むことがかなり大事かと思います。
○桐野部会長 書き込んだほうがいいと思います。次は、先ほどの続きで、5ページの、3)指導・管理体制から、7ページの、○2地域枠の対応まで、8ページの一番下までです。内容的には、指導・管理体制、募集定員、地域枠への対応です。ここは相当きちんとやっておかないと。募集定員の設定については、ここで頂いた基本的な考え方を基にして実際の数値を出していくことになります。まず、数値を出してから検討すると混乱しますので、大体これでいいだろうという基本的な考えをお願いした上で、もちろん、数値が出たら終わりということではありませんが、かなりよく御審議を頂いた上で、具体的な数値に落として決めていただくことにしたほうがいいと私は思っています。
○山下委員 確かに、先生がおっしゃったように、今は1.23倍というのを減らしていく必要がありますということで、どこまで減らすのかは出せないとは思いますが、強烈に減らさないと無理だと思います。病院はコンペティションの中にさらされているわけで、努力しますという、それはそれで結構なのですが、当然、研修医のほうもコンペティションの中で頑張らなければ駄目だと思うのです。諸外国でも何でも、自分が研修したい病院に行きたいといって一生懸命勉強するという、そういう発想でやっていただかないと。両方が、我々も努力しますが、研修医も努力しないと。そのための1つの方法は、かなり強烈に、1.1倍という数字がどこかからポッと出ましたが、1.1倍ぐらいには減らす。いきなりは減らさないにしても、やはり数値目標を作って、そこに近付けていくというスキームは絶対に必要だと思いますし、それは明言するべきだと思います。1.0にするかどうかというのはなかなか難しいと思いますし、それはさすがに過酷だとは思いますが、今のような状況は、私は両方とも努力をするというコンセプトからいって、比率は減らすべきだと思います。
○桐野部会長 マッチング倍率の問題だと思います。確か、現状の直近のマッチング倍率は1.237倍だそうです。これを、徐々に絞っていくという言い方はおかしいですが、少し下げていくという方向は必要だろうと思います。どこまで下げるかと言われても分からないのですが。一方で、マッチングのような方法を今後も続けるかどうかという問題もあります。マッチングを全部やめてしまうといのは、これは多分アクセプトされないと思います。そうであれば簡単なのです。マッチング制度は、比較的弱々しいというか、脆弱な制度で、皆があんなものは嫌だと言い始めて続々とそれから脱退するようになればうまくいかないので、そこは慎重にやらないと。つまり、ノーマッチがやたらと出るような方式はどうなのでしょうか。今は4%ぐらいだそうです。
○小川委員 ノーマッチが4%もですか。
○桐野部会長 はい。どこにもマッチしない研修医が。大部分はマッチしている。
○小川委員 ノーマッチの方はどうなるのですか。
○桐野部会長 事務局からお願いします。
○臨床研修指導官 部会長がおっしゃったのは、秋に全国で一斉にやるときにマッチしなかった方が約4%いるということだと思います。病院側も定員まで採用できないから、まだ数が足りない病院もありますし、学生さんも、そのようにどこにも決まらなかった学生さんがいますので、いわゆる二次募集などと呼ばれているかもしれませんが、マッチング以降、独自に皆さんが別途、就職活動などをされて、大多数はそこでまた決まっていくものだと理解しています。
○小川委員 それは定員の枠の中でですか。
○臨床研修指導官 もちろん、定員の枠の中です。病院側も、例えば、募集定員10名の病院でマッチングでは8名しかマッチできなかった病院がたくさんあろうかと思いますので、あと2名分を病院がどう考えるか。もう少し採りたければ、マッチングできなかった学生さんと面接等をされて採用するかどうかの御判断をされるものだと理解しています。
○小川委員 考え方として、地域ごとの定員と病院の定員というのは分けて考えなければいけないのですね。そこが大変ですね。
○桐野部会長 今は、それぞれの県の上限数をどうするかという議論です。
○小川委員 個々の病院ではないと。
○桐野部会長 病院はいろいろなほかのルールで動いていますので。
○小川委員 ですから、地域における定員に関しましては、今までの議論の中で、激変緩和措置は終わりですということは大体決まったと思います。それでも倍率はオーバーしていて、定員のほうがはるかに多いということですから、それをどこまで暫減していくのか、どのぐらいの間隔で暫減していくのかという議論になるのだろうと思います。
○桐野部会長 これは個人的な感じとして申し上げるのですが、1.237を、まず、1.2ぐらいにして、最初にスタートしたらどうかと思うのです。その後、これも全く個人的な感じですが、ノーマッチがやたらと増えて、半分ぐらいがマッチしないというような条件で、半分は二次募集でやるとなると、何が何だか分からなくなってしまう。やはり、ノーマッチは、何%がいいのか私には分かりませんが、現在の4%内外のところで収まっていけると、1.2を1.18とか1.16とか1.14とかに下げていって、1.1でも十分に運営可能であれば、1.1でも構わないのではないかと思います。
○吉岡委員 桐野先生から数字が出ましたので私も発言したいと思います。まず、激変緩和策をやめることになった場合の影響について、幾つかの所から強い声が出ています。しかし、私も緩和案はやめたほうがいいと考えています。マッチングについては、非マッチ者が増えることはできれば抑えたい。また、地域枠うんぬんについても、かなり微妙な問題が各都道府県である。そういうことから考えて、仮に全体の募集定員の削減をかなりドラスティックにやってしまうと、一体何がどれだけ影響して変化したのかが判らなくなります。例えば5年先でどんな策をもってこれを調整していくのかが全く分からなくなってしまう危険性がある。そういうことから考えますと、1つか2つは、守るとかやめるということをきっちりとやった上で考えて行くべきと思います。全体の募集定員の削減をそれほど大きくしてはまずいだろうと考えます。
○桐野部会長 これは、いよいよ計算式を出すときに考えていただかなければいけないだろうと思いますが、今の1.237というのは、結構、余裕があるのです。人気のある病院には人が集まるかもしれないけれども、残念ながら、そうでない所は相当空いてしまうというような状況です。これを1.0にすると、これは相当変てこなことになる。実験してみないと分かりませんが、この実験をするわけにはいきませんので、やはり慎重に、ノーマッチが余りひどいことにならないように、様子を見ながら下げていくというのがいいのではないかと私は思いますが、どうでしょうか。
○小森委員 基本的な考え方としては了解しています。激変緩和措置の廃止については基本的には私も賛成ですし、地域枠等の入学定員を増やしましたから、やむなくこの差が縮まってまいります。その意味で段階的に、1.18にして、という目標設定でやってしまうと、かえって問題もあるのではないかと考えています。激変緩和措置をやめるという大前提の下で、プラス、何らかの修正の指数のようなものが必要ではないのかどうか。特に、この20年間で人口構成等が極端に変化しますので、そのことは、事務局は大変だと思いますが、何らかのシミュレーションを立てた上で議論していただくのがいいのではないかと思います。
○桐野部会長 初期臨床研修はベストの研修ができるシステムが一番良いのですが、だからと言って、地域医療に何の配慮もしない医師分布でいいのだということではないと思います。その辺をバランスよくできる方法をお考えいただきたい。ここは、募集定員の問題、地域枠の問題がありますので、少し時間を掛けてでも議論いただきたいと思います。
 マッチングについては、頂いた御意見では、現状よりは少し絞る方向で考えてはどうかということでよろしいでしょうか。
○中島委員 冗談を申し上げます。アベノミクスで2%のインフレと言っていますので、できれば、1.217を目指すというようなことを言ってもいいのではないでしょうか。1.2を当面の目標にするというのは良いと思います。
○桐野部会長 結局のところ、激変緩和を中止した場合に変化の幅が大きいのは都市なのです。京都、東京辺りが相当変化します。それを、逆の方向に激変させてしまうということは、例えば、この前、京都の先生がいろいろとおっしゃっていましたが、京都は都市部もあれば相当な農村部もあって、それを激変緩和じゃない、逆方向激変をしてしまうと、かなりの混乱を起こすとは間違いないと思うのです。ただ、今度のことをやれば、京都は初期臨床研修が始まったときの研修医数の恐らく半分になると予測できます。それは、人口割り、養成医師数割りは当然だと言えばそうなのですが、それではちょっと済まない。ただし、基本的な考えは激変緩和は中止、マッチ数は絞っていくということでやっていくのではないかと思いますが。
○中島委員 要するに、激変緩和を緩和できるような計算式を考えろということですよね。
○桐野部会長 その計算式が極めてアンフェアではいけないので、誰が見ても明瞭なものでないといけませんね。
○中島委員 そうですね。
○小川委員 ちょっと話が戻ってしまったのではないかと思います。要するに、激変緩和措置をやめるというのが、この部会でのコンセンサスだと私は思っていたのです。
○桐野部会長 もちろん。
○小川委員 ですよね。今、中島先生のおっしゃっている話だと、激変緩和措置を継続すると聞こえるのです。
○中島委員 やめるのですよ、一応。
○小川委員 やめるわけでしょう。
○中島委員 はい。
○小川委員 やめる中で、もう少し激変緩和できないかと言われては困るのです。
○中島委員 ですから、地域枠との関係になってくる。
○桐野部会長 少なくとも、私が申し上げた意味は、激変緩和はなしです。マッチ数を今の1.237を即1.1にするというのでは、今度は逆激変になってしまうので、そこは、もちろん絞る方向だけれども、じわじわとやってはどうかということです。
○小川委員 それであれば全然問題はないと思います。
○桐野部会長 そのときに、例えば象徴的には京都ですが、京都は余りにも減らしてしまうということのない数式でやる、ということですね。ただ、激変緩和というのは、前年度の9割、9割、9割で、段々落ちてきていますから、最初のとおりの数ではありません。逆に言えば、緩和されながら本来の姿に徐々に毎年近づいていますので、できるのではないかと思います。
○小川委員 京都の話を蒸し返して申し訳ありませんが、京都は全国の中で10万人当たりの医師数は極めて多いほうなのです。ですから、基本的にお医者さんはいらっしゃる地域である。そこにまた何かするようなことが必要なのかどうかということだろうと思います。
○山下委員 以前に事務局の資料で頂いたものですと、先生のおっしゃるように、都市部がガーッと、激変緩和で、まずそこでどういう動きになるかということを見られると思います。ただ、それでは少し不足だとは思いますが。問題は、本日のアンケートでもそうですし、以前の資料の中にもありますが、今度は3年目でまた大きく動くのです。そうすると、地域医療うんぬんという話になると、その地域で高度な医療をやっていただければいいのですが、その動きを勘案しろと言っているのではありませんが、実はそれほど変わらないようなイメージも持っているのです。
 1.27を1.0にドンッと持ってくると大混乱が起こって無茶苦茶なことになるというのは、正に先生がおっしゃるとおりだと思います。大学にしても県にしても、例えば愛知県ですと、研修病院がバラバラで、2年たったところでまた入ってくる。研修というものと自分が専門にしていく勉強をしていくところが相当乖離している県もあるのです。ですから、一律には言えないと思います。それを言い出したら、多分、計算もできなければ、あれも設定できないと思います。結論は先生がおっしゃったとおりでいいと思います。やはり、これはロードマップを作って、検証するポイントを作りながら減らしていくのが1つ。それと、検証のポイントは、初期臨床研修をどこでやりましたかではなくて、本日の資料の中にもありましたが、その後どう動いてどこに行ったのかということをきちんとフォローして、いろいろなことをデータとして取っていただきたい。それによって、いろいろなアイディアやルールが出てくるような気がします。
○小川委員 忘れないうちに、事務局に教えていただきたいのです。定員が増える分の卒業生が来春から出てきます。現時点で研修医の予算というものがありますが、研修医の予算は定員が増えてくるのに連動して増やしていただけるのでしょうね。
○桐野部会長 事務局からお願いします。
○臨床研修指導官 なかなか難しい御質問です。私どもの予算上の積算においては、研修医数を基に積算をしていますが、政府全体の財政事情がありまして、財政当局との交渉にもなろうかと思いますので、引き続き努力してまいりたいと思います。
○小川委員 というのは、せっかく文部科学省あるいは各大学が努力をして、少ない教員の中で定員を増やして一生懸命教育して、定員が増えてきているわけです。卒業生が増えたのに、研修医の予算が付かないから、国家試験を難しくして今までどおりの卒業生しか出ないのだったら、定員を増やしている意味がない。その辺の一番根本的なところはどうなのでしょうか。要するに、片や、文部科学省として定員を増やしてきた、これは政府が増やしてきたのですが、増やしてきた分の国家試験の合格率が同じだと考えると、当然のことながら、研修医に回る人は増える。そこの予算が措置されないと変な話になってしまうと思います。
○医師臨床研修推進室長 これまでも毎年予算が厳しかったので、増えてきた研修医に対応する指導医の処遇に関わるようなところは予算を確保しつつ、プログラムを作る事務費など、いろいろなところでは、ノウハウも出てきたから少しずつ要望よりも少なくなっても何とか対応できるのではないかということで対応してきました。そのような方向で、来年の予算についても頑張りたいと事務局では思っています。
○小川委員 今年の春の卒業生までは卒業生の定員がずっと変わらなかったのです。卒業生が増えてくるのは来春からです。来春は大した数ではありませんが、再来春辺りになると急に増えて、最終的には2,000人近く卒業生が増えることになる。それをきちんとお医者さんにしないと、定員を増やした意味がなくなってしまうわけです。是非その辺を。これからの問題です。今年までの問題ではないのです。
○医師臨床研修推進室長 再来年の増えるときに向けては、どのようにしていくのか検討していきたいと思っています。
○桐野部会長 研修医の増については、それに対する予算措置をお願いしたいということですね。
○小川委員 そういうことです。
○桐野部会長 それは当部会としても是非お願いしたいと思います。募集定員の設定方法について、これまで、何と何をファクターに考えるのかは、県の人口、県の医師養成数、それから、地理的要素というのは離島や県の面積ですね。そのほかに、人口当たりの医師数や高齢者人口の割合なども配慮してはどうかということでした。そのようなファクターを基数にして、各県の基本的な上限数を計算します。その計算したものに対して、実際に卒業生の予定者数がマッチングに加わります。その総数の1.1倍となると、間にギャップが少しあります。そのギャップ、1,000名、1,000何百名ぐらいの部分をまた分けないといけない。その方法についても考えてやると、各県ごとに何名、何名というのが出ます。基本的にそういうやり方でよいということになると、いよいよ計算式を出すときには、事務方から、これとこれとこれを足してこうなりますということを説明していただいた上で、その次の回ぐらいにエイヤッと数値を出して見ていただく、そのようなことになると思います。
 では、地域枠に行きましょう。
○小川委員 地域枠に関しましては、以前に事務局に質問させていただきました。7ページの下のほうに、地域枠のバリエーションの例が載っていますが、この実数は出ているのでしょうか。それがないと、どういうバリエーションで、どういう地域枠だったらどのようにするという決め方をしないと、地域枠として一概に「地域枠」という言葉だけ踊っていますが、地域枠の中にも、ほとんど県がお金を出して面倒を見てくれている地域枠からお金も一切出ていない地域枠まで様々あるのです。その辺の実態が分からないと、どういう地域枠はどうしようという議論ができないのではないかと思います。
○桐野部会長 地域枠の実態について、分かる範囲でお願いします。
○医師臨床研修専門官 地域枠については、先生の御指摘のとおり、非常に種類が多く、別途の調査も、今後の検討すべきテーマだと思っています。既存のものである程度それが見えるものとしましては、本日の事務局提出資料2の最後から2ページ目、地域枠の分類です。これは研修医2年目の方です。13ページの上を御覧ください。増減は多少あると思いますが、入学枠では地域枠の入学者が全体の1.8%、奨学金を受給している方が全体の7.3%です。ベン図のとおり、両方に重複する方々がいらっしゃいまして、その方々が55人という状況になっています。
 奨学金に関しては、支給元は都道府県が6割です。一方、市町村、大学、大学院、医療機関からもかなりの数があります。それから、卒後の地域医療への従事の要件については、奨学金の免除要件で、臨床研修期間中に免除要件がある方は全体の54%です。裏返せば、42%強は臨床研修中以外、例えば卒後15年間の中で9年間を地域医療に従事するなど、いろいろな要件があります。その辺りで正確な数を把握するのが難しくなっています。
 もう1つ、違う切り口の資料として、紙ファイルの248ページを御覧ください。このデータは、私どもが都道府県に対して昨年8月に全数調査をしたものです。若干の誤差はあろうかと思いますが、都道府県の回答をベースにしています。貸与実績として、都道府県が奨学金を貸与している者が、当時の6年生が225人。平成25年に入っていますので、この方は今は研修医1年目になっています。当時の5年生が今の6年生というように1学年上がりますが、貸与実績は御覧のとおりです。また、「うち定員増に関わる」と都道府県が回答した者が御覧のとおりの数字になっていて、低学年になればなるほど数値が上がっています。
○桐野部会長 ここまでしか分からないということですね。
○小川委員 そうですね。今の事務局提出資料2の13ページの地域枠というのは、定員増と連動していない頃の地域枠ですね。もう卒業生ですから。
○医師臨床研修専門官 そうです。定員増とは直接の関係はありません。
○小川委員 この後に、地域枠を条件として定員増が行われてきた。
○医師臨床研修専門官 そうです。
○小川委員 緊急医師確保総合対策や医師確保総合対策で地域枠が増えてきたということですね。ですから、7ページにある地域枠のバリエーションは、少し見ただけでこれだけのバリエーションがあるのです。この中でどういう方々を、マッチングでどういうルールにしていくか、切り分けをするのはかなり大変ですね。
○桐野部会長 これまでの御意見では、それをやると本当に複雑怪奇になるということが1つ。もう1つは、マッチングについては他の学生と同様に公平にやっても余り実害がないという御意見だったと思います。マッチングというシステムがあるために、本来、地域枠学生として入ったことが全くできないことはないだろうということでした。
 ただ、マッチングについては各県にとってはかなり微妙な問題があって神経を尖らせているところもあります。地域枠の学生がアンマッチになってしまう、そんなことはないと思いますが、その県のどのような研修病院でも研修を受けられない状況になってしまうようなことは、想定できないけれども、いろいろなことがあり得る。それなので、医師不足や医師偏在解消などを目的にして、そういう趣旨であるならば、都道府県に多少、定員の範囲内で調整する権限を与える。例えばある県の県立病院の定員が8名のところを、県が臨時に、県全体の上限を超えない範囲で1名、県の権限として付けられるようなことはあってもいいのか、余り良くないのかどうか分かりません。
○清水委員 桐野先生がおっしゃったのは、8ページの一番下の「都道府県が何らかの調整ができるような仕組み」というのは、そういうニュアンスということですね。
○桐野部会長 そうではないかと思います。ただ、余りにもこれを拡大してしまうと、実際に上限もなければ何もないことに、ノールールの世界になるので、やはり節度を持って使っていただくということではないかと思います。
○小川委員 それ以前にですね、地域枠の学生は、地域枠なのだからその県の中でマッチしなさいというルールにするかどうかなのです。
○桐野部会長 それは、どうなのでしょうか。
○小川委員 例えば、岩手県の地域枠の学生が臨床研修を東京の病院でやることも想定されるのです、その辺のルールをきちんと作っておかないと。
○桐野部会長 それは十分想定されます。ただ、例えば県が地域枠で指定した学生が嫌だと思って東京の病院に行くことが許されるかどうかの問題です。許されないのではないですか。
○中島委員 この地域枠の学生さんというのは、地域医療の安定的確保という観点でできて、そういう目的で入られた学生さんです。キャリアプランというか、それは今から作ろうとしているのです。言ってみれば、どうなるのか分からないところへ地域医療ということだけで入られているわけです。しかも、各都道府県でその様態は様々である。これをどうするかという主導権は都道府県に与える。しかし、都道府県に丸投げしますとバラバラになって無茶苦茶になりますから、原則はここで定める。このようにするのが基本的にはいいのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。
○河野委員 地域枠での入学者で奨学金は受給しない人についてお聞きします。13ページの下の3では、奨学金の免除要件について、地域での従事義務の有無で分かれていますが、これは、地域枠で入学して奨学金を受給していない人については、そういったデューティはないと理解してよろしいのですか。そうすると、「地域枠」という言葉の意味それ自体が違ってきてしまって、そうなると、奨学金を受けた人、受けていない人になってしまうので、そこをまずお聞きしたいのです。
○医師臨床研修専門官 こちらのデータは、御指摘のとおり、奨学金をもらっている方が前提のデータです。正確な数は分からないのですが、こちらのベン図で言いますと、地域枠の入学者であって奨学金を受給していない方が46人いらっしゃいますが、この中でも何名かは地域への従事要件として、入学するときに大学が定める選抜枠で、何県に何年従事することと決まっている者もあったように記憶しています。それは後日、御案内させていただきたいと思います。
○河野委員 そうすると、先ほどから使っている「地域枠」という言葉で、地域へのデューティが被さるという認識でいいということですね。それから、地域枠は必ずしも初期研修ではなくて、デューティはもっと長いですね。それを考えると、初期研修だけでその地域での縛りを掛けるというのは、今の議論を見てもなかなか難しい。地域にとってはその後でしっかり根付いてほしいというのが本音でしょうから、それを加味すれば、先ほどから桐野先生がおっしゃっているような、少しの按配で十分に吸収できるのではないかという気はします。
○清水委員 私も今の御意見に賛成です。うちに来る学生、静岡県の学生などにも聞いてみても、自分は地域枠だし、奨学金をもらっているから、このようにするのだということは学生たちはよく理解していると思います。ほとんどの地域枠は3年目以降のデューティが多いと思います。本日厚生労働省から頂いた皆さんの資料でも、一定期間従事する条件について、学生たちはきちんと心得て返事しています。先ほどの桐野先生の「万が一」ということもあるかもしれませんが、そういう場合に備えて、通常はマッチングで採用しておいて、万が一が生じたときに、裁量権を県に与えるとか奨学金を出すほうに与えるということは、微調整という意味で付けておいてもよいのではないかと思います。
○桐野部会長 マッチングという制度は、ただ配るというのではなくて、その個々人に適切な研修を受けさせるというシステムです。もしその研修医が約束を違えて虚偽の申請によって別の所に行くということであれば、それは教育的にも医師としていかがなものかと思います。ですから、マッチング協議会がどう考えるかですが、そういうクレームがあった研修医に関してはマッチングを無効にするようなことも考えられると思います。
○吉岡委員 この辺は文部科学省の立場からも御発言を願いたいと思います。私どもは、地域医療を義務とする奨学金枠を設定するとき、あるいは、それ以外のいろいろな枠を設定するときに、それは飽くまで入学の時点なり契約の時点でそうであっても、最終的にそれでなければならないと100%縛ることはできない、と文部科学省はおっしゃっていると思います。これは既に、防衛大学校でも自治医大でも起こっていることです。必ず起こりうるし、起こった場合のペナルティがもしあるとしても、それはここで議論すべきことではないと思います。
 もう1つ、地域枠のことです。ありとあらゆるパターンがあります。千差万別なので、これを、大枠ここで何かを規定してみても、多分、合わないことが現実に出てくることが予想されます。私がかつて言ったように、微調整については都道府県の協議会等の中で設定することを、一定程度認めておくことがよいと考えます。予め一定の線まで引くことは不可能だと私は思っています。
○押淵委員 長崎のほうの事情等を加味して発言させていただきます。医学生の頃の教育の在り方にかなり関連しているように思われます。各県に1医大構想の中で各県が医大を持っているわけですから、各県の医大・医学部がいかに地域の医療に目を向けているかの証左が、地域枠の方々が将来どのような歩みをするのかにつながっていくと思います。私どもの地域であれば、医学生の頃から、夏休み等のゼミナール等で教育の現場を地域に移して、地域に対する理解を深めさせながら、地域枠の学生の皆さんたち、自治医科大学の学生や、あるいは、以前から奨学金を頂いて医学部を卒業する学生がおりましたので、そういった方々に、いわば倫理の面から教育のシステムを作り上げていっています。その実績がいろいろな所にリフレクトされていくのではないかと思います。先ほど先生がおっしゃいましたように、地域医療協議会での評価を、また大学に反映させていくという仕組みを持っていたほうが、より合理的ではないかと思っています。
○小川委員 例えば、こういうことを原則論として書き込めないのでしょうか。「地域枠で卒業した学生は原則としてその地域のマッチングで研修を行う。」なぜこういうことを申し上げるかと言いますと、地域枠の種類によって全然違うのですが、義務年限について、臨床研修医のときには義務年限に入れないという決め方と義務年限に入るという考え方と様々で、それは各県の決め方ですからいろいろあるのです。将来その県で義務履行する方々が、研修制度を東京などでやることが妥当なのかということなのです。原則論でしか言えません。様々ある地域枠を全部引っ括めるしかないのですが、原則論としてそのようなことが書き込めるかどうかということです。
○吉岡委員 奈良県の事情を知っているので申しますが、地域枠でも特段の義務がないという地域枠はあるのです。ですから、それはこの部会で決めることはできません。逆に、県費奨学生のように、義務を課した場合には契約があってそれが前提になっていますから、ここで決めるよりもその契約が基本的には優先すると私は思います。私はここでは原則も決められないと思います。それを決めたら大混乱が起こると思います。
○小森委員 小川先生のお気持ちと言いますか、岩手の実情で御発言は理解できるのですが、吉岡先生のおっしゃるとおりだと思います。現実に今、そのことで大混乱が起きているという現状があるのであれば、いろいろなことで考える必要があると思いますが、臨床研修部会で「原則」という言葉があったとしても、それを書き込むことには違和感を感じます。
○桐野部会長 小川先生、いかがですか。
○小川委員 もちろん、吉岡先生のおっしゃる意味も良く分かります。なぜこういう議論が出てくるのかというと、「地域枠」という言葉は、皆さんで同じく使っていますが、吉岡先生のおっしゃっている「地域枠」と私が言っている岩手県の「地域枠」とでは全然違うのです。違うものが様々含まれているのです。ですから、全くお金を支給しないけれども入学のときに地域枠で入学させましたという方もいらっしゃるし、また、例えば自治医大のように、自治医大は確か1学生に6,000万円か7,000万円出しているのです。それを返してもらうならば、義務履行しなくてもいいのです。義務履行するために、岩手県で自治医大に行った連中は戻ってくるのです。先ほど問題になっていたのは、義務履行が終わった後に、その県に定着をするかしないかという問題がもう1つあるのです。これに関して、最近の自治医大のデータは出していませんが、1番定着率が良かったのは新潟県で、2番目が岩手県なのです。その他の県に関しては、義務履行が終わった後、ほとんどその県にはいないという状況もあります。そこのところとはまた違うのですが、今は確か臨床研修病院は岩手県の自治医大卒業生は、全員が岩手県の臨床研修病院で研修しているはずです。ですから、原則というものが入ってもおかしくないのではないかと思います。原則ですから、そのルールによって違うと思います。
○中島委員 そのこともあって、各都道府県が微調整というのではなくて、より主権を持つ、主たる権限を都道府県が持たないと、地域枠の学生についてはきちんと決められないのです、何も。持つけれども、やはり、その都道府県が地域医療に向かっていくような方向性は、この会できちんと示しておかないといけないだろうということだと思います。
○桐野部会長 時間が大分迫ってきていますが、30分だけは延長させていただいて残りをやりたいと思います。
○山下委員 吉岡先生がおっしゃったように、どこでというまではルールとして決められないと思います。ここで決めるべきことは、地域枠の人はマッチングの範囲に入っていますというところまでは、ここで決めなければいけない。そこまで決めて、あとは、例えば岩手県などでは、県内にいなさいという契約文書が入っているのではないかと思うのです。そうすると、そのルールに従えば、当然、岩手県のマッチングに入ってくると思うので、私はそれでいいと思います。論点は、地域枠の人を都道府県の自由な裁量で、「県立中央病院にこの4人は張り付ける」などと言ってしまうと、県立中央病院に行きたいと思って一生懸命頑張っている人たちの枠が減るのですから、それはかわいそうではないかと、そういう議論だったと思います。マッチングの範囲の中に入るということを決めておけばいいのではないかと思います。
○桐野部会長 吉岡先生におっしゃっていただいたのは、ある程度の微調整をできるようにするという道を開けておかないと、地域枠についていろいろな心配を呼び起こしてしまうのではないかと思います。地域枠の議論はこの程度にさせていただきます。
 次に、9ページの「研修医の処遇等の確保」から、「その他」として「臨床研修病院群の形成」「第三者評価」「都道府県の役割」、11ページの一番下の「制度運用上の問題」まで、既に議論が出てきたこともありますが、ここに関して御意見があればお願いします。
○山下委員 先生がおっしゃったように、もう議論をしているので、くどいと言われるかもしれません。今回の改定で一番大事なのは、前から小川先生がおっしゃっている、臨床研修病院群をどうするかということについて、はっきりとしたビジョンを示すべきだと思います。いろいろな地域にいろいろな病院を置いて、それを連合して、これで勉強できますよという議論もあるかもしれませんが、もう一歩踏み込む。臨床研修病院群を形成する意味は、良いお医者さんを作るために、いろいろな病気をいろいろな場面で、地域の拠点の病院もそうですし、大学病院のような所も、満遍なく入って、そこで何を教えるか、なぜこれが必要かを、もう少し踏み込んで書かせる。書いてあるかもしれませんが、それに関してこちらでチェックできるような機構を作らないと。これはもう強力に方向性を示さないと、これはいつまでたっても進んでいかないと思います。今回の一番の力点はここだと思うのです。これによって、自由度をどうするとか、到達目標をどうするというのは、これに全部掛かっていると私は思っています。これに関しては、きちんとしたビジョンを示すべきであって、こういうことを「でもいい」ではなくて「highly recommend」ぐらいのことは方向性として示すべきだと思います。
○小川委員 今の山下先生のお考えでよろしいのだと思います。「現状」の2つ目の○にありますように、「臨床研修病院群の構成は同一の二次医療圏又は同一の都道府県内にあることが望ましい」という文言があるにもかかわらずなのです。あるにもかかわらず、北は北海道から南は沖縄まで、非常に非現実的な臨床研修病院群を作っている臨床研修病院群もある。ですから、この辺のきっちりしたものは書き込んでおかなければならない。例えば、二次医療圏あるいは同一都道府県を超えて臨床研修病院群を作るときには、その妥当な理由があることが必要です。例えば岩手県でも、青森県の一部や秋田県の一部は、実質、ほとんど岩手県の二次医療圏に入っている、だけれど、県が違うのでということがあります。そういうものは当然あり得る話なのです。岩手県のように広い所ではなく、ほかの県に関しましてはもっと面積も狭いですから、そうすると、二次医療圏が他の県と跨がっていることはあり得る話です。それはあってもおかしくないのですが、非現実的な臨床研修群があるということは事実なのです。
○桐野部会長 今の病院群についてはいかがですか。
○河野委員 私も賛成です。今もいろいろと審査がきていますが、あれを見ても、確かに北海道から沖縄まである。今度、審査のときに伺おうと思っていたのは実際の実績です。本当にそのような必然性があるのか。少なくとも私たちに配られている評価するための情報にないのです。数も非常に多い。あれだけの数であれだけ分散していて、本当に実績として上げられるのだろうかという疑問があります。その辺の指針、ここの数や地理的範囲、病院数等の一定の基準など、やはり病院群としての考え方をここがビジョンとして出すべきだろうということには賛成です。
○押淵委員 小川委員のお話と関連します。確かに、県境の患者さんたちの動向が診療の形態を規定するところがあります。そういった患者の動向等を加味した診療圏域が望ましいのではないかと思っています。
○小森委員 この議論の中で、地域医療をどのように確保していくのかという観点で考えるべきです。皆さん触れられませんが、特定の特殊な全国チェーンを組んでいるような所で、病院の恣意的なものが入って移動するという、これを排除しようということだと思うのです。一方で、地域医療の観点から、へき地や島しょ地域を経験し、それを地域医療として認める。こういうものを発展的に前向きに肯定的に捉えていますので、その辺の書きぶりなのだと思います。
○清水委員 病院群の考え方について言いますと、何でもかんでも病院群の中に入ってしまう。例えばうちの場合では、前にも申しましたが、県を越えて遠い所の地域医療で教育病院になっていただいたりしています。やはり、内容なのではないかと思います。先ほどの人数と同じですが、ここに書かれている「二次医療圏又は同一の都道府県内にあることが望ましい」のだけれども、それを越えている場合に、例えば評価によって質を問うようなことがあったら良いのではないかと思うのです。いかがでしょうか。
 ○小川委員 清水先生のお話は非常に重要なところです。これは臨床研修プログラムと連動していなければ意味がないのです。ただ病院を集めて病院群を作りましたと言っても仕様がないのです。例えばコモンディジーズをやるときにはコモンディジーズをやる病院としてこういう病院を設定しているとか、ある程度の高度な医療をやることを想定してこの病院を設定しているとか、そういう、プログラムとの整合性があった上での臨床研修病院群だと思います。
○山下委員 清水先生、小川先生と同じことを何度も言うなということかもしれません。本当に大事なことなのでやっていただきたいと思います。本日の事務局提出資料の一番最後の所にあるとおり、これは終わった人のことですが、地域医療に従事しますかというと「条件が合えば従事したい」というのです。条件の3番目に「診療に関して相談できる上級医や他科の医師がいる」ということがあります。臨床研修中に地域の病院に行ったときに、当然、大学病院や拠点病院とは違う設備で違うスタッフでやるのですが、そのときでも、医療圏の中で皆で助け合っているのだということをそこで見せておかないと、教育は教育、医療は医療というわけにはいかないと思います。そういうものを見ていれば、私がこの県に入ってこの病院で勤務しても、必ず後ろにいろいろなことを一生懸命に教えてくれる又はサポートしてくれる医師がいるのだということを、身をもって体験している臨床研修は非常に大事だと思います。
 小川先生がおっしゃったように、なぜここの病院が入っていてそこに回す必要があるのか、コモンディジーズでもいいし、地域の医療でもいいし、高齢化社会に対応する医療でも、全部、構わないのです。ただ、やはりネットワークを作ってやらないと。ただ病院が並んでいるだけではなくて、お互いに人が行き来し合う、情報が行き来し合う、サポートがあるということも含めて。そういうかなり濃密な医療のネットワークを形成していることを根底のコンセプトに入れていただきたいと思います。そうしないと、地域が人が足りないから応援の医師を頂戴ねというような、教育とはかけ離れたことになる。そういう所に行ってしまうと、今度は初期臨床研修が終わった後に、地域の病院に行こうという気にならないと思うのです。そういう所できちんと教育をして、勉強しかついろいろなことを経験できたことがあるので、地域に行ったときに、私はまたあの病院に行って医師として勤務していいです、ということが出てくるのではないかと思います。これは非常に大事なクライテリアになると思います。
○桐野部会長 ほとんどの先生が同じような意見でした。これを表現しないといけませんが、本日全部やることは無理なので、どのような文言で表現するのかを含めて、次回以降○中島委員 全体的に賛成なのですが、書くときに余りガチガチに書かないように、これが大事なのです。本当に一生懸命に地域医療をやりたい、専門的な医療に習熟したい、このような人たちがいると同時に、真面目でない医師もいるのです。こういう人をどうするかです。この人たちも何とか活かしてやろうと思うのか、殺してしまえと思って制度を作るのかで全然変わってくるのです。そこのところを是非よろしくお願いいたします。不真面目な中島の発言です。
○桐野部会長 次は12ページから最後までです。これも結構時間がかかります。12ページ中断及び再開、修了から最後までですが、ここでちょっと、清水委員から提出資料がありますので、時間がなくなってすみません。説明をお願いいたします。
○清水委員 今日の資料の3ページ目から、東北大学の医学教育推進センター金塚完先生ですか、お名前をちょっと失礼してしまいましたが、これと同じ内容で医学教育学会でお話をされて、多分学術振興会の科研費の報告書だと思いますけれども、お出しいただいた資料です。前回、卒前のクラークシップというか、「診療実習で十分ではないのではないか」という私の発言に関連する資料です。詳しいことは御覧いただきたいと思います。10ページの「臨床実習での学生による医行為の実施状況」の所からです。おそらく前川レポートの水準1、2、3にのっとってどのようなものを、参加型臨床実習で実際に参加してやってきた結果だと思います。水準1はほとんど診療録の記載はオーケーですが、診察とか、特に検査、治療のほうは、実際に自分が参加してやったものは非常に少ないというデータで、13ページの調査では2年の研修を経た研修医に対して行っていますので、その医師たちがどのようなことを卒前にやっておくべきかに答えた内容は、やはり50%以上の項目をとっているものが、実際に研修医になってからもやっているようなことではないかと、そういう項目が入っていると思います。
 私が考えるに、この間小川先生がおっしゃいましたが、分野別認証に連動して参加型臨床実習の時間を広げたり、やれることを増やそうと、この前川レポートの中身を変えようという動きもあるやに聞かせていただいています。医行為の内容がものすごくこれから変わってくると思いますが、是非それはやっていただきたいと思います。これは平成21年のレポートですが、今現在うちに来ている学生さんたちを見てもまだ研修医との差は歴然としてありますので、学生のときに免許を持っていなくてトレーニングする内容と、研修医になって免許を得て責任を持ちながらやる内容と、更にそれが指導医になっていって、学生や研修医を教えることを積み重ねていくことによって、技術や技能が重層化していくようなことではないかと思っていますので、このデータで、期間を短かくするとか、卒前にやっておけば卒後の研修は、もう少し簡略化できるのではないかということは、私としてはどうかなと思っておる次第です。
○山下委員 その議論は私がこれから言うことと全然矛盾しないと思います。これは今の法制度の下でやればこうなるという現状です。ですからルールを替えればいくらでもできます。もう1つ例えば、いろいろな手技が、1回やったからあなたはできるでしょうということはあり得ないです。要するに、初期臨床研修と学生で違う目的をもってやればいいだけの話であって、初期臨床研修が前にやったからいいといっているわけではないのです。我々がやらなければいけないのは、地域であっても専門であっても、とにかく高いレベルの医療をやれる人、そのためには目的を持った臨床研修をしないと、全部をのべつ幕なしに全部をやろうというのは学生でいいではないかという話をしているわけです。
 例えばそれがあまり狭い範囲にあると困るから、いろいろなプログラムでいろいろなことをやりましょうと、今、若いお医者さんと接しているといろいろな人がいまして、いろんなことを全部勉強したい、どうぞ、なのです。自分はもう心臓外科医になると決めているから、それに関連したことを勉強したい。ただ、それをものすごく狭くすると困るからということで、中島先生がおっしゃったように、もっと広くお勉強してね、精神科もちゃんとお勉強するのですよと、患者は悩んでいるのですよと、そのようなことが言えるようなお医者さんにしようということであって、技術などに関して、私は否定するものでもなんでもないですが、この前中島先生が、大学はもっとしっかりしろと言われたので、それをまた言いますけれども、しっかりやっています。
 小川先生がおっしゃった、国際認証評価、外圧でどうこうというものではなくて、やはり初期臨床研修をにらみながら、学生の間にもちゃんと国際標準になるような医学教育をしようよと。全部で80大学でお互いにインスペクションをし合いながら、ピアレビューをしながら、そういう教育をちゃんとやっていきましょうと。そのためには、これは全部小川先生がおっしゃっていますが、国試を変えるとか、臨床実習をもう少し、どのような法的な根拠をもってやらせるか、それによって先生がおっしゃるとおりで、初期臨床研修になってからやっていることはたくさんですが、それも最初の1年間にかなりのことをやっているわけです。そうすると6年生と初期臨床研修生は1年しか違わないのですね。それをその半年前にもってくることが不可能とは私は思わないです。ルールと法整備と目的の明確な設定をしてあげれば、十分できるし、大切な手技に関しては何度でも勉強させればいいわけですから。問題はどういう目的のためにそういうカリキュラムを設定しているかが問題であって、技術に関しては先生がおっしゃったように、これは非常に貴重な情報なので、これをみんなが見て、これではまだ足りないのでもう少し我々が、大学はしっかりしろという中島先生の御意見そのもので、初期臨床研修の云々をやるなら、大学はもうちょっとしっかりせよという、励ましのデータだと思います。
○小川委員 今、現在の教育では全く議論の余地なく、この様な状況だと思います。それで、これでよいはずはなく、全国医学部長病院長会議が中心になって、厚生労働省医政局医事課と、文部科学省高等教育局のほうと相談をさせていただいて、CBTの認証制度の試行事業が来年から実施されることになっています。CBTをクリアした人に認証を与える。スチューデントドクターとして従来の、この見学型ではなくて、参加型の臨床実習をやっていただく、試行が来年からやっと始まることになりましたので、これから変わっていくのではないかなと思います。
○清水委員 私もそのように思っております。変わったあとにこういうデータをちゃんと取って、実績とその評価をしていただいたら、また変わってくるかもしれないので、お願いしたいと思います。
○桐野部会長 それでは、最後の部分、12、13、14ページを、今、清水委員から発表がありました医学教育との関連についても結構ですし、全体を通して御意見をいただければと思います。特に中断についてはいろいろ問題があるかとは思います。
○山下委員 先生が前からおっしゃっている、それから今日の厚労省の説明にもありましたけれども、この中断というのが、例えば育児出産とか、いろいろなことで病気したとか、そのようなものを一応想定していますけれども、研究員をつくると言ったときに、確か「意図的な中断」という言葉をどこかで使われたと思うのです。そういうものも認めるというのは、はっきり言って明言したほうがいいのではないかと思います。ルール的に、そうすると自由度を増すことができます。例えば基礎研究に行きました、それで帰ってきて、やっぱりお医者さんをしたいというときは、少し勉強していただかないと患者さんがかわいそうですから、それはプログラムとしてちゃんとどうするかを決める必要があると思います。「意図的な中断」というのが、文言として入っていればそういうのをプランの中に入れ込む人も出てくると思うので、それは認めるという方向はいかがでしょうか。
○桐野部会長 確認しますが、今、「中断」というのは、本当にもう辞めるような中断であって、例えばそこの上司と全く合わないとかということがあって、別の所でまた再開するというようなことを想定されているのですね。
○臨床医師臨床研修専門官 原則、別の病院で再開を、原則ですけれども、するということになっています。
○桐野部会長 それは今、山下先生が言われた方式と合わない。前から思っているのですが、中断というのは何となくこう、例えば研修休止とか、何という名前がいいか分からないけれども、休学の向こうを張って言えば休修となるのか、変だなという気もします。そういう制度が組み入れられて、もちろん、あとのほうはしなくていいというわけではないけれども、きちんとやりさえすれば、また戻れるというようなことを考えてもいいかなという感じもありますけれども、いかがですか。
 何らかの形で報告書に組み入れるということでいいですか。中断については、現状よりは少し、もっと現実的な中断ができるようにするということですね。
○桐野部会長 長期履修制度。
○小川委員 それが臨床研修にマッチするかどうかは別です。
○桐野部会長 要するに2年間ではなく、もう少し時間をかけて。
○小川委員 もっと時間をかけて。
○桐野部会長 だけど、それを設計し始めるとまた大変ですね。
○小川委員 いやいや、そういうことができると思います。
○桐野部会長 できる程度に留めておかないと。
○小川委員 もちろん。
○桐野部会長 だから○○大学のある研修医が実は、相当研究にも興味があって、2年目の所で研究を1年間やっているうちに面白くなって、そのまま行けばいいけれども、いろいろな事情でまたちょっと帰りたいというようなことも許すと、そういうことですね。
○小川委員 そういうことです。
○桐野部会長 その間隔を何年までとか、それを言い始めると段々難しくなってきます。
○小川委員 それは言わなくてもいいと思います。そういうことができるということでよろしいと思います。
○桐野部会長 比較的緩いルール。
○小川委員 ええ。
○桐野部会長 それでは、それも次回以降に、文章になったものを御審議いただくということでいいですか。
○中島委員 私が女性のことを言うのもおかしいですけれども。出産育児が90日ですね。それできちんとやっている人はもちろんたくさんいらっしゃいます。だけど、それは本当に予定どおりきちんといかないと駄目です。出産とか育児はきちんといかないのが普通ではないですか。だからもう少しゆとりをもった表現をしてあげる必要があるというのが1つです。
 もう1つは、男女共同参画といっているこの時代に、配偶者が休みを取れないというのがちょっとおかしくて、それをどう表現するのかがまた難しい。またいっぱい休み出したら困るし、そうかと言って全然書かないのもおかしいし、大変悩んでいます。よろしくお願いします。
○桐野部会長 最近の傾向では、出産育児に関して女性だけに限らないという立場ですね。
○中島委員 そうです。
○清水委員 おっしゃるとおりで、多分研修医の間に出産を決断する場合には、未修了になることは覚悟して産まれる方が多いのではないかと思います。この間お願いしました、未修了はあり得るかと思うのです、休日数の点だけですので。中断になってしまう理由が何かあるのかと思って、それをデータを出していただきましたか、お願いしたと思うのですが、施設は問題なのではなくて、育児関係の問題で、そこの病院では継続できないとかという理由が多いと思います。それが今日のお出しいただいたデータで、女性医師の所の、文化というか、環境の所で協力をいただきたいという、「職場の理解・雰囲気」の所ですね。24年に同じ設問がないので、比較ができないのですが、これが一番というのはそういう問題ではないのかと理解しています。
 医学教育学会等で、私もメンバーで入っていますけれども、女性医師がキャリアを持続するためにどういうことが必要であるかは、まだ大学を卒業して以降だけでは多分不十分だと思いますので、卒前からの何らかの対策が必要ではないかと、今検討中ではありますけれども、そういうことも含めて、これからの課題ではないかと思っています。
○桐野部会長 中断に関しては今のように、少し。
○小森委員 何度も同じことを言っているので恐縮です。今少し触れられたように、それから事務局から示された女性医師のビヘイビアーのお話がありました。外科系の問題を含めて、女性のもっているパワーがいろいろな分野で開花していただくためにも、特段の文章の配慮と、特に臨床研修病院の指定要件等についても十分そのことを書き込んでいただきたいと、あえて申し上げます。いつも同じことで申し訳ありません。
○桐野部会長 それは是非書き込む方向で、これも次回、実際の文章は御検討いただきたいと思います。
 それから研究医の件については、この前随分御意見をいただいたのですが、これについても今の中断の問題とも連動するし、いろいろなことと連動するのですが、研究医の養成も重要なことですので、どう表現するかはちょっと何とも言い難いですけれども。これについて、もしこれだけは、こういう言い方は是非入れてほしいということであれば。例えば、臨床研修と研究の場と、ある程度行き来できるような、つまり中断の問題だと思いますが、そういう工夫が必要かと思いました。
○山下委員 かなり公的な文章になりますので、研究医が養成するためにいろいろなプログラムを弾力的に考える。中断の問題とかもありますが、そういうのはちゃんと推奨するというか、少なくとも国の姿勢としてきちんと認めていますよというのを、大きくアピールしていただいたほうがいい。例えば大学とかで制度設計をするときに追い風になるのではないかと思います。岡山大学とか非常に先進的にやっておられるというのも、文科省が我々にアピールしていただいていて、いろいろな工夫を皆し始めています。それはそういうものだと。これは大学だけがやるものではなくて、先生がおっしゃったように、いろいろな市中病院でいろいろな患者を診て、これを勉強してみたいというような、そういうところから優れた基礎医学者が出てくる可能性もあるわけですから、そういうプログラムを市中病院でももちろん持って結構ですよと、姿勢だけはちゃんと示していていただくとありがたいです。
○桐野部会長 ほかにありますか。表現が難しいですね。どんどん崩してしまうような表現でも難しいですから、上手に表現しないと。当然、先生がおっしゃったような必要度は、多分相当あると思いますけれども、そこをどう表現するか。どうでもいいという話になるとまずいと思います。
○中島委員 13ページの下の方向性の、○の4つ目は、「時間外や土日等を利用した大学院における研究との両立を認める」と、この「土日や時間外」は大学病院はオーケーなのですか。
○桐野部会長 夜間開校方式とか、いろいろありますので。
○中島委員 いい加減ですね。もう少しちゃんとしてほしいと思います。
○小川委員 先生、いい加減じゃないですよ。
○中島委員 すみません、申し訳ない。
○医師臨床研修専門官 こちらの例は、先ほど山下先生も御指摘された岡山大学などがやっておられるARTプログラムなどを。
○中島委員 ええ、よく知っています。
○吉岡委員 研究とか勉強ということでは、前も言いましたけれども大学は随分フレシキビリティーをもってやっていますので、あえてこういうことを書かなくてもウェルカムだし、そういうことは可能ですし、そういう人こそ意欲をもっていますから大丈夫です。やらない人に門戸を広げる必要は全くないので、ここは言葉としては多分厚労省は書けないし、書かないほうがいいと思います。
○中島委員 書かなくても、やる人はやりますよ。
○吉岡委員 私もそう思います。ただ、両立できる可能性があるということについての言及、これは大事だと思います。
○桐野部会長 そうですね。そろそろ時間がまいりましたので、本日はここまでにして、いろいろと相当突っ込んだ議論をしていただけたように思います。
 それでは、事務局からお願いいたします。
○医師臨床研修推進室長 本日は長時間、全体に渡っての御議論をありがとうございました。表現ぶりをどうするかというところはまだまだあるかと思いまが、おおよそ、部会としての方向性が見えてきたかという感じがしていますので、次回の会議では事務局で素案を準備して、更に突っ込んだ議論をしていっていただければというように考えております。
 次回の臨床研修制度の見直しの審議については、9月の上旬ぐらいを目処に日程を調整中ですので、詳細が決まりましたら追って御案内をさせていただきたいと思います。
○桐野部会長 間に1回、実務的な部会があります。
○医師臨床研修推進室長 はい、それは例年の指定とか、取消しの関係になります。
○桐野部会長 よろしいでしょうか。本日の医師臨床研修部会はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局医事課
医師臨床研修推進室

直通電話: 03-3595-2275

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医道審議会(医師分科会医師臨床研修部会)> 平成25年度第5回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録(2013年8月8日)

ページの先頭へ戻る