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2013年8月2日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録

食品安全部基準審査課

○日時

平成25年8月2日(金)
14:00〜17:00


○場所

専用第14会議室
(中央合同庁舎第5号館22階)


○出席者

委員

山本委員(部会長)、石川委員、石田委員、甲斐委員、木村委員、河野委員、鈴木委員、寺嶋委員、西渕委員、野田委員、林谷委員、堀江委員、松田委員、丸山委員、山下委員

事務局

新村食品安全部長、高島大臣官房審議官、伊原企画情報課長、長谷部基準審査課長、滝本監視安全課長、三木輸入食品安全対策室長、西村食中毒被害情報管理室長、横田補佐、新谷専門官、仲川専門官

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会」を開催させていただきます。
 本日は、御多忙のところを御参集いただき、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、小西委員より御欠席される旨の連絡を受けております。また、石川委員より20分程度遅れるとの連絡をいただいております。また、木村委員がまだ到着されていないようです。連絡は受けていないですけれども、木村委員は遅れているようでございます。
 現時点において、乳肉水産食品部会委員16名中13名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、本日の部会が成立しますことを御報告申し上げます。
 続きまして、本年7月2日付で事務局に人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。
 基準審査課長でございますけれども、森口にかわりまして、長谷部が着任いたしました。
〇基準審査課長 長谷部です。よろしくお願いいたします。
〇事務局 監視安全課食中毒被害情報管理室長でございますけれども、三木にかわりまして西村が着任いたしました。
〇食中毒被害情報管理室長 西村でございます。よろしくお願いいたします。
〇事務局 監視安全課輸入食品安全対策室長でございますが、道野にかわりまして三木が着任いたしました。
〇輸入食品安全対策室長 三木でございます。よろしくお願いいたします。
〇事務局 では、報道の方の冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほどをよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
〇事務局 それでは、山本部会長に議事の進行をお願いしたいと思います。
〇山本部会長 お暑い中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 最初に、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
〇事務局 では、配付資料の確認をさせていただきます。
 まず、1枚目に議事次第がございます。その裏に配付資料の一覧がございます。
 2枚目に部会委員の委員名簿、その裏に座席表がございます。
 それ以降が資料でございます。
 資料1としまして「二枚貝の下痢性貝毒の基準値設定について」。
 資料2としまして、パワーポイント「下痢性貝毒の検査法と国内外の基準値」。
 資料3としまして「生食用として提供される食肉等に関する検討について」。
 それ以降が参考資料でございます。
 参考1としまして「麻痺性貝毒により毒化した貝類の取扱いについて」。
 参考2としまして「二枚貝の貝毒について」ということで、FAO/IOC/WHO合同専門家会議報告書の概要でございます。
 資料3としまして「農林水産省の調査結果(まとめ)」でございます。
 資料4としまして「貝毒監視体制の世界的な動向と日本の現状」。
 参考5としまして「腸管出血性大腸菌感染症報告数(2007-12年)」。
 参考6としまして「牛肝臓の放射線照射による殺菌手法等の研究について」でございます。
 参考4につきましては委員のみの配付でございます。
 本日、お手元にお配りしております資料は以上でございます。不足や落丁等がございましたら、お気づきの際に事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 よろしいですか。
 それでは、審議に入る前に、事務局から、本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について報告をお願いします。
〇事務局 本日の部会におきましては、利益相反の対象となる議題はありませんので、このまま進めさせていただきたいと思います。
〇山本部会長 わかりました。
 それでは、審議に入りたいと思います。
 議題1の「二枚貝の下痢性貝毒について」、審議を行いたいと思います。
 事務局から説明をお願いします。
〇事務局 まず、事務局から資料1に基づいて簡単に説明をして、その後、専門的なことについては、鈴木委員から資料2に基づいて説明をお願いしたいと思います。
 まず、資料1を御覧ください。「二枚貝の下痢性貝毒の基準値設定について」です。
 「1.検討の経緯」でございます。貝が有毒プランクトンを摂取すると、主に中腸腺に毒が蓄積されます。そういった貝類をヒトが摂取すると中毒症状を引き起こすことがあり、その症状により下痢性貝毒や麻痺性貝毒等と呼ばれております。
 下痢性貝毒の主な中毒症状は、消化器系の障害で、下痢や嘔吐、腹痛であり、通常3日以内に回復するとされております。
 下痢性貝毒及び麻痺性貝毒については、我が国では昭和55年7月に規制値を設け、マウス試験法による規制値を超える貝類の販売等を禁止しているところです。このため、近年市販されている貝類による食中毒は報告されておりません。
 下痢性貝毒については、国際的には成分ごとに基準値が設定され、マウス試験法よりも高精度で高感度に検出が可能な機器分析法の導入が進められつつあります。欧州連合においては2011年に機器分析法が導入され、現在はマウス試験法と併用されておりますが、2015年に機器分析法に全面移行する予定であります。また、米国についても、2012年には機器分析法が導入されております。
 これらのことを踏まえて、我が国においても下痢性貝毒について機器分析法への移行及びそれに対応した基準値の設定の必要性について検討するものでございます。
 なお、麻痺性貝毒については、マウス試験法は国際的に妥当性が認められており、現行のマウス試験法でも適切に規制できていることから、引き続き現行どおりの取扱いとしたいと思います。今後、麻痺性貝毒の機器分析法などの研究に進展があれば、機器分析法への移行について検討したいと思います。
 「2.下痢性貝毒に係る我が国の規制状況」についてです。厚生労働省としましては、下痢性貝毒の規制値及び検査法について通知で示しているところです。
 また、農林水産省の通知等により、都道府県等において原因プランクトンや貝類中の毒量のモニタリングが行われており、規制値を超えた場合は自主規制が実施されているところでございます。
 「3.下痢性貝毒の毒性成分について」です。下痢性貝毒は、その化学的性状から脂溶性貝毒とも呼ばれております。脂溶性貝毒には、オカダ酸群、ペクテノトキシン群及びエッソトキシン群などの毒性成分が含まれ、欧州連合などの国によってはアザスピロ酸を含んで分類されることもあります。
 我が国のマウス試験法で検出できる毒性成分は、オカダ酸群、ペクテノトキシン群、エッソトキシン群であります。アザスピロ酸についてもマウス試験法により一部検出可能と考えられておりますが、どの程度適切に検出できているかということは不明となっております。オカダ酸群はヒトへの下痢原性が確認されておりますが、ペクテノトキシン群及びエッソトキシン群については、ヒトへの下痢原性は現在のところ認められていないところです。
 下痢性貝毒の規制値設定の背景に、昭和52年ごろから、我が国沿岸でとれたムラサキイガイによる下痢を主徴とする食中毒が多発したことが背景にあることを踏まえると、規制値を設定した当初はオカダ酸群を対象にしていたと考えられます。なお、ペクテノトキシンとエッソトキシン群というのは、それぞれ昭和58年及び昭和62年に確認されており、また、アザスピロ酸については平成7年に確認されております。
 二枚貝の貝毒に関する国際会議においても、ペクテノトキシン群及びエッソトキシン群については、ヒトへの毒性を示すデータや中毒事例がないほか、動物(経口投与)への毒性も非常に低く、下痢原性を示さないとされております。それを踏まえて、コーデックス委員会においても、ペクテノトキシン群やエッソトキシン群というのは、現在までの科学的知見で判断する限り規制すべきではないとされたところであります。
 「4.我が国における貝毒の汚染実態等」についてです。我が国では、貝毒による食中毒事例というのは近年報告されておりませんが、下痢性貝毒及び麻痺性貝毒の規制値を超える貝毒は、自治体におけるモニタリングにより検出されており、出荷自主規制の対象となっております。
 下のグラフを御覧ください。過去10年間の貝毒による出荷自主規制の件数の推移を示しております。下痢性貝毒については、平成23年では14件、平成24年度では5件、出荷自主規制となっております。
 「(2)下痢性貝毒の組成について」です。我が国を含め、世界的に見ても、下痢性貝毒の検出が報告されているのは二枚貝だけであります。過去に国内の主要生産海域で毒化した二枚貝の毒成分組成を調査した結果、貝の種類によって組成が異なっていることがわかりました。
 表を御覧ください。この表の見方ですが、例えばホタテガイでありますと676検体の平均をとりまして、1つのホタテガイの成分の合計が100%とすると、量的組成というものを毒成分ごとに示しております。オカダ酸群、ペクテノトキシン群、エッソトキシン群にもそれぞれ細かく毒成分というものがありまして、例えはホタテガイでありますと、ペクテノトキシン群のPTX6が50.4%含まれるとなっております。
 一方で、ムラサキイガイになりますと、特に多いのが、オカダ酸群にありますDTX1、エッソトキシン群のYTXも37.9%含まれるということがわかります。
 「(3)その他の貝毒について」です。現在、我が国で規制していない貝毒(アザスピロ酸群、ドウモイ酸、ブレベトキシン群)については、平成20年から22年にわたって主要な生産海域の二枚貝を調査した結果、ほとんどが定量限界未満であったことから、食品衛生上問題になる検体は見られませんでした。また、これらの貝毒を原因とする食中毒は我が国では発生していません。
 「5.諸外国の貝毒の基準値及び試験法」についてです。多くの国で下痢性貝毒については機器分析法を用いており、麻痺性貝毒についてはマウス試験法を用いております。
 下痢性貝毒について御覧ください。CODEX基準はオカダ酸群だけに定められているということがこの表でもわかると思います。
 次のページでございます。「6.対応方針(案)」として示しております。下痢性貝毒のマウス試験法は、我が国で食中毒の発生を防ぐために有効であったと考えられますが、国際的には、より高精度かつ高感度な貝毒の検査法の導入が進められておりまして、我が国においても貝類の安全性をより向上させるために機器分析法の導入が必要と考えられます。
 現行のマウス試験法により毒性を有するとされる成分のうち、ヒトへの毒性が認められるのはオカダ酸群だけです。このため、オカダ酸群について基準値(CODEX基準値)を導入し、機器分析法の対象とする必要があると考えられます。
 一方で、ペクテノトキシン群及びエッソトキシン群については、下痢性貝毒としてのオカダ酸群の基準値を設定し規制することで安全は確保されるため、現時点で基準値を設定する必要性は低いと考えられることから、今後、新たな科学的知見が蓄積され、規制が必要ということになれば、改めて検討したいと思います。
 そのほかの貝毒については、我が国の汚染実態が低いこと、また、世界的にも限定的な発生であることを踏まえ、現時点では基準値を設定する必要はないと考えられます。今後、有毒プランクトンの発生状況等を踏まえ、規制が必要になった場合には検討することとしたいと思います。補足ですが、現在においても、自治体においてプランクトンの定期的な調査を実施されております。また、今後、追加のモニタリングの実施などが必要であれば、農林水産省とも相談して検討していきたいと考えております。
 なお、今後は、国際的な分類や毒性成分の特性から、下痢性貝毒とはオカダ酸群のみを示すものとしたいと思います。
 上記を踏まえ、二枚貝の下痢性貝毒としてオカダ酸群にCodex基準値を導入することについて、食品健康影響評価を食品安全委員会に依頼し、評価結果を受けた後、再度、本部会において検討したいと思います。
 事務局からは以上です。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 事務局からの説明があったのですけれども、鈴木委員に資料2をまとめていただいておりますので、引き続き、鈴木委員よりお願いいたします。
〇鈴木委員 中央水産研究所の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
 座って説明をさせていただきます。
 では「下痢性貝毒の検査法と国内外の基準値」ということで御説明をさせていただきます。その前に、私が所属しております水産総合研究センターについて簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 私が所属しております水産総合研究センターは、もともと農林水産省に所属する国立研究機関でした。しかし、今は、独立行政法人として水産に関する総合的な研究を行っております。私が所属しておりますこの衛生管理グループでは、水産物の安心・安全を最重要課題として位置づけて、そこで消費者、あるいは生産者の皆さんのどちらの視点に偏ることもなく、純粋に科学的な知見を明らかにしていくということを目的に研究を行っているところです。
 私の専門ですけれども、分析科学でございまして、最近では、貝毒の分析法、特に質量分析法、あるいはHPLC法といった機器分析法の研究を行ってまいりました。そして、こうした分析を用いて、貝の中での毒の代謝動態であるとか、減毒機構、蓄積機構といった研究を行っております。
 そうしたこともありまして、今日は、下痢性貝毒の検査法、特に分析法を中心に解説をさせていただきたいと思います。
(PP)
 では、早速お話を始めたいと思います。まず、全体で4つの内容から成っております。
 最初に、二枚貝が毒化する仕組みと我が国の貝毒の監視体制についてお話をさせていただきたいと思います。
(PP)
 これは、主要な貝毒による食中毒の発生状況です。我が国では、下痢性貝毒と麻痺性貝毒が発生しております。この2つの貝毒は、世界的に見ましても最も重要な貝毒として位置づけられております。今日の審議対象となっております下痢性貝毒ですけれども、これは、ヨーロッパの大西洋岸、そして地中海、そしてお隣の韓国、ニュージーランド、北米、南米と世界的に広く問題になっている貝毒です。
(PP)
 貝毒が起きる、貝が毒化する仕組みですけれども、ここで言う麻痺性貝毒、下痢性貝毒、いずれも、もともと貝がつくる毒ではありません。貝は、海水中に浮遊しているプランクトンとか懸濁物といったものを餌として取り込んで生きているわけですけれども、このプランクトンの中に毒をつくるプランクトン、つまり有毒プランクトンがいたときに、この有毒プランクトンを食べて、有毒プランクトンがつくった毒を貝の体内に蓄積して、そして毒化するというメカニズムになります。この毒は貝にとっては毒ではない。そして、非常に少量でヒトに対して中毒症状を起こす。毒化した貝を、味覚であるとか、色とか、そういう外見上で識別することはできない。そこで、毒化した貝をヒトが食べて中毒が起きるというのが貝毒です。
 現在、麻痺性貝毒の原因プランクトンはアレキサンドリウム属、あるいはギムノディニウム属といった有毒プランクトンが知られております。今日の審議対象であります下痢性貝毒の原因プランクトンとはディノフィシス属の有毒プランクトンです。
(PP)
 貝が毒を蓄積する部位ですけれども、中腸腺、一般的にウロと呼ばれる部分で、肝臓と膵臓の機能をあわせ持つような器官ですが、ここに毒が局在しているということが知られています。そして、ほかの部位にはほとんど毒を蓄積しない。そうしたことから、毒化した貝についても、この中腸腺を取り除いて、なおかつ、その他の可食部の安全性が確認されたものに関しては、出荷をすることが認められております。
(PP)
 原因となっている毒なのですけれども、オカダ酸群であるということが知られています。このオカダ酸群というのは、有毒プランクトンのディノフィシス属がつくる毒です。このオカダ酸のほかにいろいろな類縁体がありまして、35位のメチル基、この水素がメチルに置きかわったディノフィシストキシンの1、さらにディノフィシストキシンの7位の水酸基、これに脂肪酸がエステル結合したディノフィシストキシンの3といった類縁体が知られております。このディノフィシストキシンの3、DTX3は、有毒プランクトンがつくったDTX1が貝の中で代謝されて出てくる代謝毒であります。
 中毒症状ですけれども、下痢、吐き気や嘔吐、そして腹痛などが認められています。そのほかに発熱がないといったところから、ビブリオ中毒と区別ができる。そして、これまで下痢性貝毒による死亡事例というのは1件もございません。
(PP)
 このマウス毒性試験は下痢性貝毒の公定法なのですけれども、オカダ酸のほかにさまざまな化合物が検出をされてきます。
 その一つはペクテノトキシン。これは、同じくディノフィシス属有毒プランクトンによってつくられる毒。ペクテノトキシン2がつくられるのですけれども、それが貝の中で代謝をされてペクテノトキシンの1・3・6といった代謝毒に変換されます。
 そのほかに、エッソトキシンといったもの。これはディノフィシス属のプランクトンではなくて、プロトケラチウム属のプランクトンがつくる。そうした化合物も知られています。
(PP)
 これは我が国の貝毒の監視体制を示したものです。まず、生産海域におきまして、有毒プランクトンのモニタリングが各都道府県の水産試験場によって行われます。そして、有毒プランクトンが一定以上出たときに貝が毒化するということが経験上知られておりますので、この有毒プランクトンのモニタリングは貝の毒化を予察するという役割を持ったモニタリングです。
 それと並行して、生産海域、生産地においては、厚生労働省が定めておりますマウス毒性試験という公定法がございますが、この公定法によって貝毒検査が定期的に行われています。そして、毒力が基準値を上回ったときに貝の出荷の自主規制措置が講じられているという検査体制です。そして、出荷を解除する場合には、原則として3週連続基準値を下回った場合に限って再出荷が行われるということになります。そして、こうしたモニタリング体制のもとで市場に流通した貝に関しては、食品衛生法のもとで監視が行われている。こうした監視体制が我が国ではしかれています。
(PP)
 これは、このマウス毒性試験をかなめとした監視体制によって平成23年に出荷自主規制措置が講じられた件数です。今日の審議の対象となっております下痢性貝毒は延べ941日、麻痺性貝毒は2,855日、合わせて3,796日という極めて長期間の出荷自主規制日数ということになります。
 このデータはどういうことをあらわしているかといいますと、我が国で貝が毒化するリスク、危険性は非常に高い。低くはないということが言えると思います。そうした中で、我が国の貝毒の監視体制によって、近年、市場に流通した二枚貝による食中毒は1件も発生していません。したがいまして、我が国の貝毒監視体制というのは、二枚貝の安全性を確保する上で極めて有効に機能していると考えることができ、世界的にも誇るべき監視体制がしかれていると考えることができます。
 (PP)
 次に、監視体制でかなめとなっている公定法のマウス毒性試験と、最近、マウス毒性試験の代替検査法として注目されている機器分析法についてお話をしたいと思います。
(PP)
 このマウス毒性試験というのは、貝から、下痢性貝毒の場合にはアセトンで、麻痺性貝毒の場合には0.1モーラーの塩酸で抽出し、この抽出液をマウスの腹腔内に投与します。そして、このマウスの生死によって毒力を判定するという極めてシンプルな検査法です。
(PP)
 この下痢性貝毒の毒力なのですけれども、マウスユニット(MU)という単位で示されます。この1マウスユニットというのは、体重16〜20グラムのマウスを24時間で殺す毒量というふうに下痢性貝毒では定義がされている。そういう検査法です。
(PP)
 一方、最近注目されている機器分析法についてお話をしたいと思います。
 これは、ホタテガイの中腸腺のLC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析法)という方法で調べたクロマトグラムになります。この分析法は、当センターにおいて2005年に開発して論文として公表した方法です。この方法というのは、現在、世界的に広く使われておりまして、例えば韓国の公定法になっています。また、EUにおいては、最近、2015年を目途に機器分析に置きかわることが決まっているのですけれども、そこで検討されている質量分析法もこの条件に極めて近い方法が採用されております。
 この分析法ですけれども、分析条件としては極めて一般的な条件でありまして、逆相分配型のカラムに水とアセトニトリル、それにモディファイヤーとしてギ酸とギ酸アンモニウムを添加したグラジエント分析と呼ばれる、物性が違ったものを一斉に分析する極めて一般的な分析条件です。この分析条件を採用することによって、このクロマトグラムで見ていただくとわかりますように、DTX1、これはオカダ酸群です。そのほかにオカダ酸、またDTX3、この3つがオカダ酸群。そして、そのほかの脂溶性の化合物、ペクテノトキシンの1、2、6、そしてエッソトキシン、そして45−ヒドロキシエッソトキシンといったエッソトキシン群、そして、そのほかの脂溶性の成分を一斉に分析する条件が確立されています。
(PP)
 この分析法を用いて、国内では数年間にわたって2枚貝の毒組成の調査が行われています。これは、そのデータを全て平均値で出したものです。ホタテガイ(A)から(B)(C)(D)は、主要な我が国の生産海域のデータの平均値になります。そのほかにムラサキイガイやイガイ類といったものの毒組成を調べているのですけれども、先ほど事務局から説明がありましたように、ムラサキイガイにおいては、この赤い色の毒がDTX1、DTX3といったオカダ酸群、下痢原性が認められるオカダ酸群であります。こうしたものが主要毒であるということがわかります。
 一方、ホタテガイですけれども、水色の毒。毒と言っていいのか、化合物。ペクテノトキシンやエッソトキシンといった下痢原性のないその他の化合物によってそのマウス毒力が占められているということがわかります。貝の中で起きている代謝動態、そして蓄積動態の違いによってこうした毒の組成の違いが出てくるといったことも我々の研究によって明らかにされているところです。
(PP)
 次に、マウス毒性試験、公定法の利点と欠点について簡単にお話ししたいと思います。
 まず、マウス毒性試験ですけれども、この方法は、マウスに対して致死毒性のある毒成分を一括して検査することができるということです。それは、ある意味、非常にわかりやすいし、手間もかからないということで、分析科学的には非常に大きなメリットであると考えることができます。そのほかに、高額機械を使用しない。また、検査法としては、マウスの生死で見ますので、煩雑なデータ処理、あるいは計算などが要らないといったことで非常に単純明快な方法です。
 その一方で、欠点としては、検出感度・精度が悪い。感度というのは、非常に低水準、低濃度、あるいは低含量と言ってもいいかもしれません。そうしたものをどれだけ正確にはかることができるかといった、そういう意味での感度です。こうした感度が悪い。そして精度が悪い。この精度というのは、同じ検体を繰り返し分析したときの再現精度という意味なのですけれども、そうした精度も悪い。そういう問題点が指摘されています。
 また、偽陽性反応、偽りの陽性反応があります。つまり、毒が入っていなくても、遊離脂肪酸といった一般的な成分が大量に含まれている場合には、マウスの腹腔内に投与した場合にマウスが死にますので、こうした偽陽性反応といった問題点が指摘されています。
 それとは反対に、偽陰性反応。これは偽りの陰性反応であります。これは、毒が実際に入っていてもマウスが死なない。これは、検査者の投与に問題があったとか、非常にまれではありますけれども、極めて耐性の強いマウスがいた場合とか、そうした場合に偽陰性反応があるということも指摘をされています。
 また、毒性物質の同定が困難。これは、マウスの生死で判断しますので、実際にどの毒がどのぐらい入っているかということは全くわからないという問題があります。
 そして、分析時間が長い。これは、下痢性貝毒の場合、マウスの生死を最低24時間観察しますので、最短で24時間、ある意味、非常に長い分析時間が必要であるという問題があります。
 また、動物の管理や実験に習熟を要するといったところもあります。
 そして、最後には、CODEX分析法の性能基準を満たしていない。現在、CODEXの規格において、下痢性貝毒も含んだ海洋生物毒の検査法の検査法の規格基準、性能基準の検討が行われているところです。この性能基準というのは、検出感度とか精度といったところで基準が設けられているのですけれども、我が国のマウス毒性試験は残念ながらこうしたCODEXの性能基準を満たしていないという問題点があります。
 一方、機器分析法ですけれども、この利点はまさしくマウス毒性試験の欠点の表と裏の関係にあると見ていただいていいと思います。
 ですから、利点としては、検出感度・精度が高い。これは、マウス毒性と比較して検出精度、あるいは感度が高いということになります。
 そして、各成分ごとの定量・定性ができる。つまり、どの毒がどのぐらい入っているかが非常にはっきりとわかるという方法です。
 また、検査時間が短い。先ほどのデータでは25分で1検体の分析ができます。したがって、24時間かかるマウス毒性と比較して非常に短時間で検査結果が出るというメリットがあります。それゆえに、多数検体の処理が可能であるという分析科学的なメリットがあります。
 一方、欠点も当然あるわけであります。規制対象とする標準毒が必要。これは全ての機器分析法において標準物質が必要になります。この標準物質というのは、はかろうとしている化合物の純度がはっきりとわかって、なおかつ、量がはっきりとわかっている物質です。ですから、貝毒をはかろうとするときにはこの標準毒が必要になる。はかろうとする全ての標準毒が必要になります。
 現在、この標準毒の供給体制というのは、ある意味不十分なのですけれども、農林水産省のプロジェクトというか事業におきまして、私ども水産総合研究センターで下痢性貝毒及び麻痺性貝毒の必要な全ての標準毒をつくっています。これを全国の衛生機関、あるいは大学、あるいは水産試験場といったところに、研究用ということになるのですけれども、無償で配付している。そういう配付体制ができております。
 一方、将来的に公定法になるときには、当然、標準毒が少なくなるということも懸念されます。したがいまして、現在、有毒藻類の大量培養技術、そして、そこから取り出して効率的に生成した毒を化学的にさまざまな類縁体、誘導体に導いていって、そこで必要な毒を全て製造するという研究開発も行っております。それによって、恐らく、将来的には十分供給できるような標準毒が提供できるようになるだろうと考えているところです。
 また、未知毒が検出できないという問題点もあります。これは、機器分析法ですと、はかろうとする対象としている化合物だけをはかる。そのほかの未知毒に関しては最初からはからないということになりますので、万が一、未知毒が入っていたときには、動物試験と違って検出ができないというリスクがあります。しかし、これに関しましても、長いところでは10年以上、あるいは短いところでも数年間にわたるデータの蓄積がございまして、マウス試験と機器分析の比較が数年間にわたるデータでできますので、マウス毒性試験で出ている毒力というのは、ほとんど既存の毒で説明ができる。そういうデータがそろってきています。したがいまして、将来的にどのようになるかというのはわからないのですけれども、未知毒による中毒のリスクというのは、現時点でのデータを解析する限り、非常に低いと考えております。
(PP)
 次に、下痢性貝毒の毒成分、つまり、毒性についてお話をしたいと思います。
(PP)
 これは、下痢性貝毒の毒性を比較したものです。オカダ酸群、そしてそのほかの脂溶性化合物、ペクテノトキシン群、エッソトキシン群といったものが、我が国のマウス毒性試験で検出している陽性反応物質です。ですから、このマウス腹腔内投与においては、この三群が毒性を示すということになります。
 一方、マウスの経口投与。実際にヒトは口から食べ物を食べますので、そうしたときの毒性を見るときにこの経口毒性というのは非常に重要になります。この経口毒性について見ますと、ペクテノトキシン及びエッソトキシンについては経口毒性は認められないという知見が集まっています。
 また、下痢原性。これは食べたときに下痢を起こすかどうかという毒性なのですけれども、これについても、オカダ酸群のみが下痢原性を示す。ペクテノトキシンやエッソトキシンについては下痢原性が認められないという知見が集積されています。
 そして、ここに「ヒト中毒事例なし」と。これは、国際的な専門家会議が開かれておりまして、ここでかつての文献のレビューであるとか中毒の発生状況などを精査して、その結果、少なくともペクテノトキシンやエッソトキシンの単独の毒による中毒事例というのは認められないという国際的な報告書があります。
(PP)
 実際に、下痢性貝毒、オカダ酸群を食べるとどのようになるのか。これは古い論文なのですけれども、1985年の論文です。左側のマウスが陽性検体です。このように腸管が水様便の滞留によって水膨れの状態になります。コントロールではこうしたものが見られないということになります。
 これは、当時の論文で、ペクテノトキシンの1、当時は脂溶性毒と言われていたのですけれども、これに対してはこうした下痢原性が認められないといったことが1985年当時から報告されていました。
(PP)
 また、これは最近の研究ですけれども、ペクテノトキシンを投与したマウスの腸管の重量です。下痢が起きますと、先ほど申し上げましたように、腸が水膨れ状態になりますので、腸管の重量が重くなります。この重さを見ながら下痢原性というものを判断するわけですけれども、このコントロールに比べて、例えばこの7mg/kgはどのぐらいの毒量かといいますと、実際に基準値と同じぐらい毒化した貝を体重60キログラムの人が100グラム、約50年間毎日食べ続ける量に相当します。そうした量を食べても、下痢原性、あるいはその他の顕著な毒性が認められないという結果が報告されています。
 こうした類似した結果というのは、エッソトキシンなどについても同じような研究例がございまして、こうしたことから、最近ではエッソトキシンやペクテノトキシンに関してはヒトへの毒性というのは極めて低いだろうといった結論が出つつあるという状況です。
(PP)
 最後に、下痢性貝毒の国際的な基準値についてお話をしたいと思います。
(PP)
 これは下痢性貝毒の国際的な基準値です。日本、そしてEU、アメリカ、そしてCODEX規格、いろいろあります。それぞれ違いがあるのですけれども、これを同時に説明をすると非常に混乱してしまいますので、時系列的にお話をしたいと思います。
 もともとこの下痢性貝毒というのは日本で発見された貝毒です。当然、基準値というのも日本で初めてつくられました。そのときの基準値が0.05MU/kg。これはある程度の疫学的な調査に基づいて設定された基準値であります。この基準値を我が国ではいまだに採用しているということになります。このマウス毒性試験では、オカダ酸、エッソトキシン、ペクテノトキシン、これらを一括して評価しているという方法です。このマウス毒性試験というのは、かつては世界的にも非常に広く用いられていた公定法でありました。
 一方、このEUの基準値は、今から10年ほど前に設定された基準値です。それ以前は日本と同じような基準値でした。この基準値というのはどういう経緯でできたのかと言いますと、まず、エッソトキシンやペクテノトキシンの経口毒性が非常に低く、リスクも低いだろうということが当時わかってきました。そこで、エッソトキシンやペクテノトキシンの規制を何とか緩和したいということで検討したわけです。ただ、当時は、実用的な検査法としては、マウス毒性試験しかなかった。また、マウス毒性試験でエッソトキシンとオカダ酸、ペクテノトキシンは区別することができた。これは、抽出の仕方とかによってある程度区別ができます。そこで、エッソトキシンに関しては、日本の基準値0.1mg/kgに比べて約10倍緩和した規制を一応設定しました。
 それに対して、このオカダ酸とペクテノトキシンは合わせて0.16mg/kgという基準値なのですけれども、この当時は、オカダ酸とペクテノトキシンを区別することができなかった。それでこれらを合わせた基準値として設定しています。この基準値というのは、我が国のオカダ酸の0.2mg/kg、これは0.05MU/kgに相当するのですけれども、それとほぼ同じ基準値になります。
 その後、国際的な専門家会議を経て、エッソトキシンやペクテノトキシンの評価がある程度確定した。その結果を受けてCODEXの規格ができました。2008年のノルウェーで開催されたCODEXの第29回魚類・水産製品部会においてこの基準値ができたわけです。ここではオカダ酸群のみの基準値が設定されて、ヒトへの毒性が弱い、あるいは無視していいと考えられたエッソトキシン、ペクテノトキシンに関しては基準値が設定されませんでした。
 この流れを受けて、最近、下痢性貝毒の基準値を設定したアメリカでは、CODEX規格と同じようにオカダ酸群のみを規制しています。あるいは、オーストラリア、ニュージーランド、韓国といった、比較的最近、基準値を設定している国は、全てこのCODEX規格に準じた基準値を採用しているという状況です。
 それに対して日本は、今、昔ながらのマウス毒性試験を使い続けている状況です。
(PP)
 次に、下痢性貝毒、マウス毒性試験と機器分析法を同じ検体について比較したときにどういうふうな検出状況になるのかといったことについてお話をしたいと思います。
 これは、数年間、当センターにおいて各都道府県と協力して蓄積をしたホタテガイのマウス毒性試験及び機器分析の比較をしたものです。全部で676検体ございます。この中で、マウス毒性試験の基準値は0.05MU/g(可食部)、この縦の線になります。機器分析でオカダ酸の基準値は、これはCODEXの基準値なのですけれども、0.16μg(マイクログラム)/g、ここの横の線になります。したがいまして、この607検体、左下の四角の中は、公定法のマウス毒性試験及び機器分析法いずれにおいても陰性である、基準値を超えない検体が607検体あります。
 その対角線上の広い四角の中は、公定法及び機器分析法いずれも陽性を示した検体が31検体ということになります。
 次に、ここが非常に重要なところなのですけれども、この左側の上の四角の中は、マウス毒性試験において基準値を下回るにもかかわらず、機器分析法のオカダ酸の検出においては基準値を上回っている検体が約16検体あるということで、現在のマウス毒性試験では、このCODEX規格において基準値を上回っているようなものでも検出感度が低いというところで、なかなか量り切れないという検体です。
 したがいまして、このオカダ酸群の検出という点で考えますと、機器分析法を導入すると明らかに違反検体がふえる。陽性検体がふえるということで、このオカダ酸群に対する安全性は高まると考えることはできます。
 一方、この右側の四角の22検体は、マウス毒性試験で陽性反応を示したにもかかわらず、この機器分析法では基準値を下回る検体が22検体ございます。中身を見てみますと、ペクテノトキシン、そしてエッソトキシンはマウス毒性試験では検出されるものです。ただ、CODEX規格においては現在規制対象外となっている。そういったもので占められている。あるいは、場合によっては、遊離脂肪酸が非常に多く含まれている。こうしたフォルスネガティブの検体であるということがわかりました。
(PP)
 次に、これはムラサキイガイやイガイといったものです。もともと下痢性貝毒で一番問題になるのはホタテガイ。これは、生産海域と有毒プランクトンが出てくる時期といったことから、ホタテガイが一番問題になるのですけれども、海域によってはムラサキイガイやカキといったものを生産している海域もあります。ただ、事例が非常に少ないということで、サンプルの数もホタテガイに比べると少なくなってしまうのです。これは、先ほどの毒の組成でお示ししましたように、オカダ酸群が主要な毒となっています。したがいまして、このオカダ酸群を検出しているマウス毒性試験、そしてLC-MS法で見ると、ある意味、非常にパラレルの関係になってくる。これは、オカダ酸群を検出する方法として、マウス毒性試験とかなり高い相関があることから、この機器分析法が代替検査法として有効に使えるということを裏づけているデータでもあります。
 ホタテガイと同じように、こちらの2検体はマウス毒性試験では陰性だけれども、機器分析では陽性として検出されるもの、またその逆のものといったものも出てきます。
(PP)
 まとめにさせていただきます。
 まず、我が国では、適切な監視体制により、貝毒を原因とする食中毒は未然に防止をされています。しかし、多くの国は、貝毒検査に機器分析法を導入する方向で動いており、我が国としても機器分析の導入に向けた準備が必要な時期になっていると考えております。そして、この機器分析法を導入した場合には、CODEXで規制対象となっているオカダ酸群に関しましては検出率は増加する。そして、二枚貝の安全性は向上するであろうと考えられます。
 その一方で、CODEXでは規制対象にはなっていないけれども、マウス毒性試験として検出されるペクテノトキシンやエッソトキシンは、フォルスネガティブ、フォルスポジティブと考えてもいいと思うのですが、こうしたものによるフォルスポジティブは減っていくということになると思います。
 以上、御清聴ありがとうございました。
○山本部会長 鈴木先生、どうもありがとうございました。
 事務局と鈴木委員のほうから、両方説明がありましたけれども、それらについて、議題1の関係で御意見とか御質問ございましたら、お願いいたします。
 堀江先生。
○堀江委員 分析対象としまして、オカダ酸とディノフィシストキシンの1と3を対象とするということと考えてよろしいのでしょうか。
○鈴木委員 そうです。ディノフィシストキシンの3というのは脂肪酸が結合しているものなのですけれども、これは、脂肪酸の種類だけあると考えていいと思います。パルミチン酸であるとかステアリン酸、そういったさまざまな脂肪酸がくっついている。そうした標準品というのは、当然、世界的に手に入りませんので、現在、EUであるとか、アメリカであるとか、そういう機器分析を使っている国ではこのDTX3に関しては加水分解をして、そしてDTX1というフリーの状態に戻してやって、そして、その後、エステルを含めたものを一括してDTX1及びオカダ酸で分析する。今、そういう分析法を採用しております。
〇堀江委員 そうしますと、定量する場合には、オカダ酸とDTXを標準品で定量して、それを合算してオカダ酸群とすると。
〇鈴木委員 おっしゃるとおりです。
〇堀江委員 その場合に、例えばオカダ酸とDTX1のマウスに対する経口毒性の毒力の比というのは、パラレル、要するに1対1として考えて、単純に加える。
〇鈴木委員 そうです。ほぼ同じ毒力であるということはわかっておりますので。CODEX規格においては、オカダ酸、DTX1及びその他のそれらのエステル群を一括して0.16mg/kgという基準値が採用されております。
〇堀江委員 では、この標準品ですけれども、お話を聞いて十分わかったのですが、安定性というのは、今、無料で配付しているということなのですが、これは冷凍で保存するのですか。それとも5度ぐらいの冷蔵で保存するのですか。
〇鈴木委員 一応、うちのセンターではマイナス20度で保存してくださいと言っているのです。下痢性貝毒というのは、例えば、調理をしても壊れることはない。熱や酸に対して非常に安定ですので、基本的には、化学的には非常に安定な化合物です。
〇山本部会長 堀江先生、よろしいですか。
 それでは、どうぞ。
〇丸山委員 ちょっと教えていただきたい。
 ムールガイのデータだとLC-MSによるオカダ酸の検出量とマウスユニットの値が非常にパラレルに出ていると思うのですが、ホタテガイの場合、ムールガイに比べると各値がちょっとばらけているような感じがするのです。この辺の原因というのはどういうことが考えられるのでしょうか。
〇鈴木委員 まず、このデータですけれども、機器分析の縦軸はオカダ酸群のデータになります。したがいまして、貝の毒組成が、オカダ酸群が主要な毒成分である場合。これはムールガイなのですけれども、この縦軸というのはオカダ酸群の基準値であります。そして、こちらがマウス毒性試験の基準値です。つまり、毒の中身がほとんどオカダ酸群である場合、そういったときには非常に高い直線性が得られる。
 それに対して、これはホタテガイなのですけれども、この毒組成で見ていただくとわかりますように、実はホタテガイの主要な成分、マウス毒性を示す成分というのは、このペクテノトキシンの6、そしてエッソトキシンということになります。ここで縦軸にオカダ酸群をとってしまいますと、なかなか高い相関性が得られない。この辺というのはペクテノトキシンやエッソトキシンが多く含まれている。そういったものがこの辺に入ってくるということです。
〇丸山委員 わかりました。
〇山本部会長 ほかにございますか。
〇西渕委員 今まで我が国ではとりあえず問題なく監視ができてきたにもかかわらず、国際的な潮流等の理由があって、新しい機器分析法を導入しないといけないということはよくわかります。
 ただ、今まで問題なくやってきた理由の一つとしては、手法が簡単で誰でもできる、きめ細かな配慮ができるということがあったと思うのです。新しい機器分析法だと、LC-MSが必要になる、技術者も必要になる、スタンダードも要る、恐らくGLPのシステムも導入しないといけないとなると、実際にどれぐらいのスケールでできるのかというところが気になって、きめ細かな検査ができるのかなということが危惧されるのですけれども、その点は将来的にいかがでしょうか。各地方自治体で確実にできるかどうかということです。
〇鈴木委員 最近、諸外国、例えばシンガポール、タイといった東南アジア諸国においても既に機器分析法を導入している。我が国においては、質量分析装置、あるいは標準品の供給体制、こうしたもののインフラに関しては恐らく、いまだに世界的に最も進んでいる国だろうと考えております。したがってインフラ的には、ほかの国ができることは当然日本もできると考えております。
〇西渕委員 ありがとうございました。
〇山本部会長 ほかにございますか。
〇野田委員 ちょっと各論的な話になって申しわけないのですけれども、貝の種類によって蓄積する毒の種類が違うということですが、そうすると今後、海域なりを規制するときにどの貝を対象に検査するかによって、陰性・陽性が変わってくると思うのです。貝ごとに検査しなければいけないのか、あるいは最も蓄積しやすい、そこに生息している貝を対象に検査するのか。その辺の細かなところはどのような考えでやっておられるのでしょうか。
〇鈴木委員 現在、下痢性貝毒は、指標としているような貝がありまして、例えばムラサキイガイなどはホタテガイに比べて比較的強く毒化するといったところから、貝の毒化を予察する上でも、そういう指標としている貝を検査対象にしている県もあります。ただ、毒の中身がかなり違いますので、これからは実際に検査をする、その海域で生産している貝を指標として、そして毒化を見ていかなければいけないということになると思います。
〇野田委員 ということは、いろいろな貝がそこでとれる場合には、その全ての貝ごとに検査しなければいけなくなるという考えでよろしいのでしょうか。
〇鈴木委員 はい。当然そうなると思います。
〇野田委員 そうすると、さっきの話とも絡むのですけれども、検査する手間というか費用はかなりかかってこざるを得ないということですか。
〇鈴木委員 多分、我が国において最も下痢性貝毒の影響というか、下痢性貝毒が出ている海域というのは、東北あるいは北海道のホタテガイです。一番重要なのはホタテガイで、ムラサキイガイとか、そのほかの貝というのは、実はあまり影響がないという状況です。
〇山本部会長 事務局、どうぞ。
〇事務局 事務局からも補足させてください。
 食品衛生法にも定められている基準値の検査についての一般的な話になりますけれども、出荷するたびに毎回検査しないといけないというわけではありません。ですので、今でも行われている自治体などのプランクトンの調査だったり、もしくは今回の公定法として定めようと思っている機器分析法ではなくて別の、例えばモニタリング検査などである程度の簡易な検査をして、それで陽性が出たら実際に公定法を用いた検査をしていただいて、基準値を下回るかどうかということを確認いただくということになると思います。
〇山本部会長 よろしいですか。ほかにございますか。
〇丸山委員 オカダ酸群の抽出精製法なのですけれども、マウス毒性試験とLC-MSを使った場合というのは全く異なるものなのでしょうか。
〇鈴木委員 はい。マウス毒性試験の場合には、アセトンで抽出をして、そして水とエーテルで分配して、脂溶性なので、エーテルに入ってきているものをエーテルを取り除いて、そしてツインに溶かして投与する、これが公定法なのですけれども、質量分析法の場合には、脂溶性貝毒というのは、一番いい抽出液というのはメタノールです。ですから、メタノール、あるいは含水メタノールで抽出して、それをそのまま質量分析計に注入する、そういう手順になります。
〇丸山委員 そんなに手間ではないということですね。
〇鈴木委員 どちらかというと、むしろマウス式よりもはるかに楽な検査法になります。
〇丸山委員 回収率というのは大体どのぐらいのものなのでしょうか。
〇鈴木委員 オカダ酸群については、大体90%以上の回収率が得られています。
〇山本部会長 ほかにございますか。
 試験法等については、今後、標準試験法という形で出していかなければいけないのですけれども、諸外国との整合性というか、その辺のことも考えた上で設定していくというのが大事だと思いますので、その辺の検討を、国衛研も含まれていると思いますけれども、一緒になって検討していただきたい。
 もう一点は、標準品の供給体制です。これをしっかりとしていくことができないと、この方向にはいかないので、その辺を今後もちゃんとしていけるようにやっていただきたいということがあると思います。
 それでは、一通り審議をいただいたようですので、議題1についてはこの資料1を御覧いただいて、この「6.対応方針」にありますように、食品安全委員会へ諮問するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
〇山本部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、食品安全委員会への諮問を事務局からよろしくお願いいたします。
 それでは、議題(2)に移りたいと思います。「生食用として提供される食肉等に関する検討について」です。
 本件は、一昨年からの部会において順次検討していくというふうにされていたものです。食品ですので、ゼロリスクはないので、安全と言われている食品も、その食べ方の違いでリスクが変わってくるということですけれども、生で食べるということで、動物の肉以外にも、当然、お刺身として魚を食べているわけですが、その辺のリスクというのも、これまでの生食用の魚の規制のあり方とか、そういうものが入ってきておりますので、随分改善されてきています。
 ただ、生の動物の肉、食肉については、まだこれからいろいろな観点から見ていかないといけない部分は残っているだろうということです。一般の人、消費者にとっても、そういうリスクをきちっと理解した上でどう食していくかというのは非常に大事なことだと思っております。そういうことを考えつつ、この食肉の議論をしていきたいと思います。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
〇事務局 それでは、資料3に基づきまして御説明させていただきます。
 まず「経緯」でございます。生食用の牛の肉と肝臓、あとは馬の肉や肝臓、これらにつきましては、平成10年に衛生基準目標、いわゆるガイドラインを定めまして、都道府県を通じて指導等を行ってきました。それと同時に、政府広報等を通じまして、食肉の生食を控えるよう周知を行ってきたところでございますが、平成23年4月に飲食チェーン店でユッケによる食中毒事件が発生しまし、5人の死亡者と多数の重症者が出たといったことから、当部会において検討いただき、生食用食肉(牛肉)につきましては、同年10月に、食品衛生法に基づく規格基準を策定したところでございます。
 また、牛の肝臓につきましては、先ほど申しました生食用食肉の審議の際に、こちらのほうについても検討したほうがいいのではないかという御意見がございましたことから、研究等を進めましたところ、牛の肝臓の内部から腸管出血性大腸菌が検出された事実がございましたので、業界団体からの意見聴取を行いつつ、食中毒を防ぐ方法がないかという観点からも検討したのですが、現時点ではなかなか見つからないということで、平成24年7月に生食用としての販売を禁止したところです。
 その後、一部地域では豚レバーが生食用として提供されているといった事実があったことから、豚レバーなどは加熱して提供、飲食するよう、関係事業者への指導、消費者への注意喚起を内容とする通知を発出しまして、行政指導を行っているところでございます。
 また、この牛の肉、肝臓ですとか、馬の肉以外の食肉等の生食の取扱いにつきましては、本部会におきまして今後の検討課題とされていたところでございます。また、牛の肝臓につきましては、現在、生食用としての販売を禁止しておりますが、放射線照射による殺菌等の研究が進められておりますので、新たな知見が得られれば、本部会において再検討することとしております。
 「現在の対応状況」でございますけれども、生肉や加熱が不十分な肉の料理による食中毒を防ぐために、生食される食肉や内臓につきましては、現在は以下の方法により対応しているところでございます。
 まず「規格基準」でございます。
 1つ目に、一番厳しくしているのが牛の肝臓ということで、製造、加工、調理の基準におきまして、販売する際には加熱が必要な旨、また、生で販売する場合、焼肉屋さんなどで生で出す、焼き肉用として出す場合もそうですけれども、こういった場合も生食用として販売してはならない旨を規定しております。
 次のページに移りまして、一番上にありますのが生食用食肉(牛肉)のものでございます。こちらも規格基準で、生食用として販売する牛の食肉の成分規格を規定しております。さらに、この加工ですとか調理の基準、保存基準を規定しております。また、別途、消費者庁さんのほうで表示基準を設け、表示内容を規定しています。こういった体制をとっているところでございます。
 続きまして、ガイドライン、通知等で衛生基準の目標を示したものでございます。現在、生食用馬肉をガイドラインでやっておりまして、成分規格目標ですとか、加工、保存、表示等に関する基準の目標を規定しているといったところでございます。
 3番目に「自治体に対して監視指導・注意喚起の通知」。これは、昨年行いました豚のレバーもそうなのですけれども、事業者に対し、食肉等を生食用として提供することを控えるよう指導してくださいと。また、消費者に対しては、食肉等の生食を控えるよう注意喚起をしてくださいといったことを地方自治体のほうに通知しているところでございます。
 続きまして「現在の課題」になります。先ほども申し上げましたとおり、生食用牛レバーの提供は禁止しましたが、今年の3月に開催した本部会でも報告しておりますが、一部地域では豚レバーが生食用として提供されているといった実態がございます。
 また、食中毒事件等の発生を踏まえまして、自治体からは、十分な監視指導を行うために、ほかの食肉についても法的根拠に基づく規制導入をしてくれというふうなことが求められております。
 また一方で、消費者の一部や関係業界からは、食肉等の生食が不可能となるような規定は厳し過ぎるのではないかといった声もございます。このため、食肉等が生食用として喫食されている実態等も踏まえまして、食中毒の発生を防止しつつ食肉等を食べることができるようにするための方策について検討する必要があるのではないかと考えております。
 なお、生食される魚介類につきましては、一般的に死に至る菌による汚染などは少ないと考えられておりますが、平成13年には、それまでにあった規格基準に加えまして、腸炎ビブリオに関する成分規格を設定するなど、衛生指標となる微生物については既に規格基準を策定しておりまして、食中毒のリスクを軽減する対策がとられております。
 「検討の方向性」でございます。まずは「検討の対象」といたしまして、今まで生食用として提供されていなかった食肉等が、規制された食品の代替として生食用として提供される可能性もあるといったことから、既に検討がなされた牛とか馬以外の豚や鳥、その他、鹿、猪といった野生動物の食肉等についても、牛の場合のリスクと比較しつつ検討を進めたいと考えております。
 なお、本年度は、牛の内臓、肝臓についてはもう検討しているのですが、ほかの内臓についても代替品として食べられているというふうなこともございますので、こういったものについて早急に検討が必要なのかなと考えております。
 3ページ目に移ります。「検討の内容」でございます。検討対象とする食肉等につきまして、生食用としての提供実態、関係業界におけるリスクの低減の取り組み、汚染実態、食中毒の発生状況、食中毒原因物質自体の危害といったものをもとに、食肉等のリスクの大きさに応じてどのような対応が適当か検討していただきたいと思っております。
 なお、対応方法の検討方法に当たりましては、ガイドラインの徹底ですとか、規格基準といった既存の方法のほか、次に申します新たな手法を含めて、さまざまな観点から総合的に検討していただきたいと思っております。
 なお、これまでにこちらのほうで行いました文献調査なのですけれども、牛の内臓ですとか、豚、鶏等に関する文献調査や厚生労働科学研究などについて収集を行っております。こちらにつきましては、4ページ以降に添付しております。済みません。ちょっと飛ばしますが、4ページの別添のほうに行っていただけますでしょうか。
 現在、事務局のほうで行った文献調査になりますけれども、まず「牛内臓等」ということで「牛のと畜処理における白物内臓摘出時の腸切れに関する調査(厚生科学研究)」でございます。厚生科学研究のほうで818頭について調査したところ、35.6%で腸切れが認められて、それの汚染があったというようなことでございます。その他、O157の汚染状況についてですとか、次のページの文献等になりますが、腸管出血性大腸菌による汚染実態などがあります。
 5ページの下のほうからは、豚肉のE型肝炎ウイルスに関する調査のデータを少し並べてあります。
 7ページからは、豚に関する食中毒菌による汚染実態の文献を並べてあります。
 9ページの下のほうには、豚肉ですと寄生虫という問題もございますので、寄生虫の汚染実態の文献の結果を記載しております。
 10ページから鶏肉でございまして、厚生労働省の市販品の汚染実態調査の結果ですとか、鶏自体の汚染実態、さらには、11ページからは食中毒菌による汚染実態等々を記載しております。これにつきましては、今後、各論で話をしていくときに使用していければと思っております。
 済みません。また戻りまして、3ページの真ん中辺で「(3)新たな手法の検討」でございます。3のとおり、既存の規制措置に対しましてさまざまな意見があるといったことを踏まえて、生食用として提供されている食肉等のリスクや国民の意識などを勘案した上で、食品自体のリスク低減措置以外の手法も含めて検討をお願いしたいと思っております。
 検討の視点ということで例示を出しております。1といたしまして、監視指導を適切に行うために生食用として食肉等を提供している事業者をあらかじめ把握する方法とか、2といたしまして、消費者が理解した上で選択できるような表示の方法ですとか、3といたしまして、こういったことに関しまして国民的理解の向上を図るための方策、このようなことについても検討していただければと思っております。
 最後になりますが、これらの検討につきましては、対象が多岐にわたることから、概ね3年を目途に食肉等の種類ごとに順次検討を進めていきたいと思っております。なお、引き続き、生肉や加熱が不十分な肉の料理による食中毒を防ぐためには、肉の内部まで十分に加熱して食べることが重要であるということを啓発していきたいと考えております。
 以上でございます。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 今日、資料等をぱっと見て、詳細なデータを全部頭の中に入れるというのは難しいかと思いますけれども、今、説明があった件について御意見をいただきたいと思います。
 今回の部会では、今後、どのような方向で検討を進めていったらよいのかということについて、基本的には自由に皆さんの御意見を聞きたいということでございます。
 資料を見ながらのほうが御意見も出やすいかと思いますので「1.経緯」から「3.現在の課題」あたりまででまず御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 河野委員、どうぞ。
〇河野委員 悩ましい問題といいましょうか。ユッケの事件から、生食用の牛肉の提供がかなり厳しくなり、さらに、牛のレバーの生食が今の提供方法ではリスクを低減できないということで禁止になったということ。そのことに関しましては、いろいろ報道もされましたし、一部では、最後、駆け込み需要があったり、代替品として、こんにゃくでできた牛レバーにそっくりの代用品といいましょうか、それがかなり人気になったり、そういうこともありましたけれども、純粋に消費者としますと、これまでの牛のレバーの生食の禁止ということは、規制としてはよかったかなと思っています。
 ちなみに、禁止されて以降、O157の被害というのは出ていないのかなと思うのですけれども、そのあたりも伺いたいと思います。もしそういったことで実際にO157の被害が出ていれば、当然、報道もされるでしょうし、昨年度の規制は厳しかったとは思いますけれども、それまでの状況を考えれば妥当なところだったかなと思っております。
 今後の検討なのですけれども、先ほど牛のレバーにそっくりのこんにゃくが売り出され、その後、なぜか豚のレバーの生食がかなりのところで行われていると。いわゆる80軒ほど報告されて、指導したのだけれども、その中で10軒ほどしかそれに応えていないということを伺いました。
 私の世代からしますと、さまざまな種類がありますけれども、同じ肉を食べるときでも、豚肉はきちんと中まで火を通さなければいけないというのが、食経験というか、食のあり方として、家庭内、それから言葉が違うかもしれませんけれども、一般的な社会常識としてあったのではないかと思っているのです。代替品として豚のレバーの生食が普通に飲食店で行われているということに関しましては、私は非常に驚きました。そのことをよしとして提供していらっしゃる事業者の方の感覚というのはどういうものだろうと思いますし、それから、なぜ牛のレバーの生食が禁止されたのかということに思い至らずに、そこで豚の生レバーを食べる皆さんというか、そういう消費者がいるということに対しても、なかなか理解が困難なところです。
 そこが私が感じるところなのですけれども、ちょっとだけ先に話させていただくと、全て規制が必要なのか、それともある程度自主的判断というか、自立の部分にいくのかということは、この後、いろいろなデータですとか、専門家の先生方の考え方とか、そういったことを伺った上でやはり丁寧に考えていくべきかなと思っています。
 牛の生レバーに関しては、もしO157に汚染されていると死に至るという非常に危険性が高いものだと思いますが、だからといって、豚が危険ではないか。やはりそれなりに危険はあると思いますけれども、死に至るかどうかという危険の度合いからすると、もう少し丁寧に考えてもいいのかなとは思っています。
 もう一点。このあたり、先ほどから申し上げているように、消費者としますと、判断を他者に委ねて自分が考えないのか。例えば賞味期限とか消費期限の問題もよくあります。特に賞味期限の問題などは、数字が書いてあるから、その次の日になったら全部捨ててしまう。本当でしたら、自分の判断で、安全性は十分に保たれていて衛生上もきちんと管理していれば食せるものを、そこ切ってしまう。判断を他者に任せている。
 ただ、一方では、きちんとした情報を提供されれば、消費者も自分で決定する。それは、当然のことながら、情報提供やら、学習やら、いろいろだと思いますけれども、業界の方やら、いろいろなところできちんと情報提供して自己判断をする。自己責任でということもあると思います。ですから、こまれでの経緯と、今日検討しなければならないテーマというところで、消費者として率直な気持ちを申し上げると、現在のところはそんなところでございます。
〇山本部会長 どうもありがとうございました。
 今後の手法というか、規制のあり方についてはまた改めて御意見を伺うことがあろうかと思いますけれども、率直な御意見をいただきました。ありがとうございました。
 ほかにございますか。
〇西渕委員 ただいまの河野委員の御意見に賛成です。
 特異的な点については、1ページの「経緯」の下に※が2つありまして、2つ目に「牛の肝臓については、現在」云々というところがあります。最後に「新たな知見が得られれば、本部会において再度検討することとしている」ということでありますが、これはたしか牛のレバーの前のユッケのときに私がお願いした内容ではなかったかと思うのです。ここに書いてあるのは「牛の肝臓については」ということになっていますが、この考えが生食に幅広く適用されると理解してよろしいのでしょうか。
〇山本部会長 私の理解のほうを先に言ってもよろしいですか。
 実は、先生からの御意見があって、肉全般の生食というか、牛肉の生食についてどうかということだったのですけれども、生の肉のほうについては規格基準という形で法の中に取り込まれてしまっているのですね。そうなると、あの形でやる以外の方法ということになりますと、またこれは法との絡みになるのかなということで、基準の改定というか、そっちが問題になるので、かなり厳格な話。両方ともそうだとは思います。
 ただ、一応、生の肉については食べられる方法を考えていたと。牛レバーのほうは、今は生を全く禁止してしまっているのですね。ですから、ほかに何か新たなやり方が出てきたのであるならば、方法論として、生食禁止というだけではなくて、ほかのやり方での考え方も適用できるのかということで、新たな知見が出てきたら生レバーを考えましょうかという意図だったと思いますが、事務局、追加はありますか。
〇事務局 部会長のおっしゃるとおりで、生食用食肉については、規格基準を満たせば提供できることとなっておりますので、放射線照射等の殺菌方法についての検討というのは、現在では牛の肝臓に限って考えております。
 ただ、生食用食肉につきましては、表面から1センチの部分を60度で2分間、密封したものを加熱するという加工基準がありますが、それと同等以上の殺菌効果がある加熱殺菌方法については今後認めていくことにしています。それについては、本部会で議論していただくというよりは、微生物の先生たちに相談しながら、別途検討して認めていくということになっております。
〇山本部会長 ということですので、肉についても放射線照射が同等の効果があるということであれば、それは検討の余地ありとは思います。リスコミがかなり大変かなという気はいたします。
〇西渕委員 ありがとうございました。
〇山本部会長 ほかにございますか。
 どうぞ。
〇丸山委員 私は、食べ物に関しては、基本的には何を食べてもその人の自由だとは思うのです。ただ、生肉とか生レバーとかに関して言えば、別添の資料を見ると、かなりいろいろな汚染があると思います。そうすると、日本人は多くはゼロリスクを求めると言われていますけれども、やはりそういうことはあり得ないと思いますので、何らかのリスコミであるとか、自己責任で食べてもらうというような、今後そういったようなことを考えていく必要があるのかなと思います。
 私自身も、昔は生レバーを食べたりしたことがあるのですけれども、実際、いろいろ実験をやっていくと、例えばキャンピロバクターの投与実験とか、犬回虫の投与実験とかやると、肝臓に菌とか寄生虫が集まってくるという事実がわかって、食べなくなってくるのですね。ですから、そういうリスコミの重要性。我々は専門家だからわかるのですけれども、一般の方がその辺のところをあまり理解されていないような気がするので、その辺を十分理解していただいて、例えば、提供する場合に、生肉を食べるとこういう危険性がありますけれども、それでもよろしいですかというような一筆をとるか、それは別としても、そういうことをきちんと伝えてやるしかないのかなというような気もするのです。
〇山本部会長 石川委員。
〇石川委員 私は、まず1つは食文化ということと、子供たち、あるいは次世代の人たちへの感染症の教育という点から、伝えたい内容をきちんと明記したほうがいいと思います。
 つまり、牛レバーを食べてはいけないという話が出たときに、前の専門官のときにかなり激しい議論をしまして、基本的には、私たち医師のほうから見て、牛レバーの中にO157がいるわけないだろうというような話をしたわけです。以前から、豚レバーだとかそういったところにはいろいろなものがいると。肉の内部に何かいるということについては、例えば2年前の馬肉の S.fayeri だとか、それはある面でびっくりしたというふうなところもあったわけです。それから、ジビエで、いろいろと肉の中に何かいると。通常は、と畜したときの腸管内の内容物に食肉が汚染するという細菌の経路について、消費者、あるいは子供たちにきちんと教えるべきだと私は思っております。
 例えばキャンピロバクターについては、3年前に、これは公的なポスターだと思うのですけれども、鶏肉の中にキャンピロバクターという表現があったのは間違いだということで議論した覚えがほかのリスクコミュニケーションのところであったと思うのです。鶏肉の表面にというのが正確です。そうすると、あれは、と畜したときの内容物が肉を加工するときの表面につくのだということを、消費者、子供たち、次世代の人たちにもきちんと教えるべきだと。そうすることによって、肉からのいろいろな感染症を防げる可能性が高くなるということです。
 今回、牛レバーについては、何であそこにO157が入っていくのかということについては、と畜した後のごろごろしていく間に門脈から逆流したのかどうなのかというふうなことしか推測できないのです。そういったことも含めて、きちんと消費者に事実を教えるということ。私は医師ですから、そういうことで考えていますけれども、一般の消費者は、何で細菌がついているのかということについては、事実を知らないと思うのです。そこをきちんと知らせて、感染の経路、細菌の経路はこうなのだということを一つ教えることが大事だと思います。
 それから、食文化ということについては、先ほど、私たちが子供のときは生肉などは食べるものではないのではないか、特にレバーなどは食べるものではないのではないかというふうな文化があったということですけれども、これもリスクコミュニケーションのところでの話があったのですが、日本人というのは牛レバーなどを生食するという風習がいつごろからあったのかということで議論が出てきまして、これはそんな昔からではないと。
 ある面では、大陸の方たちが、と殺した後にすぐ食べるものとしてそういうふうに食べた風習からなったのだということで、日本の文化ではないということですね。それだったら、危険なものだということで、一定の危険性があるのだということで、私は、子供たち、次世代の人にその事実もきちんと伝えながら、なるべく食べないほうがいいのではないかと。危険性があるわけです。どうしても、と畜のところでまじってしまうのだったら、後から資料が出てくると思いますけれども、食べなくてもいいのではいかというふうに思います。
〇山本会長 ありがとうございました。
 一応、レバーの汚染の経路としては、やはりと殺後に入ってくるのだろうと考えております。総胆管の開口部が腸にありますので、そこの筋肉がと殺されることによって緩む。そうすると、と殺後の胃袋とか、そういうところが肝臓とか腸を押しますので、そこから逆流する。逆流した後に、胆のうと総胆管のつながり方がありまして、胆のうにすぐ入ってくれればそこでとまってくれるのですけれども、総胆管が結構真っ直ぐ延びていますので、それが入ってきたときに勢いよく中に押し込まれる形になって、胆のうへ行くものもありますが、一部は肝臓の中に入っている細胆管のほうにずっと広がってしまうということが大きな内部汚染の要因ではないか。推測でしかありませんが、そう考えているところです。
 それが、と殺の方法とかそういうことで先に取り出せるのであればいいのですけれども、今のところ、ちょっとないだろうということで、放射線照射ということまで検討をしているということの一つの理由になるかと思います。
 ほかに。
 寺嶋委員。
〇寺嶋委員 私は、やはり危険なものは食べないというようなコミュニケーションが大事だと思うのです。
 今日の配付資料の中の参考資料5にもありますけれども、生食を結果的に禁じるような方向でしばらく動いた結果、生食肉を原因とした腸管出血性大腸菌感染症が減っていますから、そういう事実を考えると、少なくとも腸管出血性大腸菌感染症に関しては、そういう非常にリスクの高いものを避けることできちんとした効果が上がっていると捉えられると思うのです。
 微生物学者であれば、腸管出血性大腸菌が牛の腸管内にいるというのは明らかなことですので、それをいかにと殺の過程で少なくするかというのは、別の次元で、魚のお刺身をつくるときと同じで、生で食べるのを前提としたと殺の処理を考えるということをしない限り、何分、ああいう巨大な生き物を処分するわけですから、非常に難しいと思うのです。そういう過程が今までと同じであるにもかかわらず、それは生で食べられますというような方法をつくるのはかなり難しいような気がいたします。
 ですので、対策としては、根本のと殺のところからそういう工夫をしない限りはちょっと無理かなと。そうでないと、そういう食品を避けるというようなリスクコミュニケーションなり啓蒙活動をしない限りは、それによる被害は低くならないのではないかと考えます。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
〇山下委員 私は、一消費者の意見のようになるかもしれないですけれども、2011年のO157の死亡事故、生肉の事故があるころまで、どこの居酒屋に行っても、多分、生レバーと生肉はほとんどの店で提供されていました。私の経験では、月に何回か行くのですけれども、みんな食べていました。ですから、生肉とレバーに関しては相当強い業界のマーケティングというのがあって、そういうことになっていたのだと思う。
 禁止されたということで、消費者が食べる機会が減ったということが結果的に感染者を減らすことになった。ですから、今後は生の肉とか内臓肉を食べないという基本的な、社会常識と言われていますけれども、そういったものを広げるということで、一般的には感染するという状況は抑えられるのではないかと思うのです。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 全体的な課題までの部分、そのことについて御意見をいただいたわけですけれども、規制のあり方について、即禁止という方向をすぐに言うということではなく、まず、ちゃんとデータに基づいて検討をやっていこうというところは御了解いただいているのかなという気がいたします。もう一つは、やはりリスコミが重要だということを各委員の先生方からいただいたということだと思います。
 今回は、検討の方向性ということから、どういうものを対象にしたらいいのかとか、検討する内容についてもう少し具体的な御意見をいただければと思うのですけれども、これまで牛の肉と馬の肉、それから牛のレバーについては既に規制が行われています。牛のレバーは、今回、検討対象とはしませんけれども、知見が出てきた場合に新たに議論は再開するということにしておきたいと思います。それ以外のものについて対象とするということでよろしいでしょうかということです。
 ほかに何か、こういうことのほうから順番にやっていったらいいとか、検討の内容につきまして御意見がありましたら、お願いしたいと思います。
 河野委員。
〇河野委員 今回、御提案いただいているように、2ページの一番下に書いてありますけれども、私たちが食べる肉というのは、ジビエまで含めると本当にさまざまあるなと思います。牛は、先ほどから専門家の先生方が、腸管出血性大腸菌の感染が非常に疑われるといいましょうか、肝臓ももちろんですけれども、内臓も、先ほどの後ろの参考資料の最初のところに、と畜場で腸がちぎれてしまうというふうな例も書かれていましたように、まずは、そのあたりから検討を進めていただければと感じているところです。
 もう一点は、私は本当に消費者でございますけれども、社会構造といいましょうか、大分変わってきていますし、家庭内で食のあり方というのを伝えるというのも、今は非常に難しくなっています。個食という、同じ家で暮らしていてもみんなそれぞれ違う時間に違うものを食べるというふうな形で、かつてのようにいろいろな食経験、食の伝承とかが伝わりにくくなっている。あと、食の安全に対する意識というのも非常に変わっているかなと思っています。基本的に、売っているもの、特に飲食店で供されるものは全部安全みたいな、根拠のない信頼みたいなものもありまして、そのあたり、先ほどから先生方がおっしゃってくださっているように、国民全体に対する大きなリスクコミュニケーションが、この食肉の、特に生で食べるということに関しては必要ではないかと感じています。
 リスク評価は、食品安全委員会のほうでやってくださるということで、ここは厚生労働省さんなので、管理措置を決定して、それをしっかり監視するというところだと思うのです。その管理措置の中に、リスクコミュニケーションといいましょうか、私たち消費者との間でこのことをどう捉えるのか。先ほど寺嶋委員も、今のような私たちの理解の度合いであれば禁止せざるを得ないのではないかとおっしゃっていましたけれども、少なくとも、どの程度の危険があって、それに対して私たちはどの程度理解し、自己責任を負うのか。例えば、元気なお父さんは食べても発症しないかもしれないけれども、それで家に帰って小さいお子さんを抱っこした、それから、おばあさんたちに近づいた。それでもしかしたら腸管出血性大腸菌というのは感染するかもしれないとは伺っていますので、そういったことも含めて、この検討会の中でリスクコミュニケーションというふうな視点を持っている方に、ここでの決定をどういうふうに国民と消費者との間、それから業者さんとの間の共通理解に持っていくかというところで、そういう方のお知恵も拝借できればと少し思った次第でございます。
 今、食品安全委員会さんのほうでは、リスクコミュニケーションに非常に力を入れていらっしゃるのですけれども、消費者は、評価と管理措置と監視体制が一緒にならないと、物事の大小をなかなか理解できないところがございますので、そのあたりで、管理措置を検討し、時に、そういった方の知見を入れていただければというふうにお願いしたいところでございます。
〇山本部会長 専門家としては、微生物の専門家とか、そういう方が多く委員に入っておられますので、社会科学的な見地から御意見をいただくようなことというのがこれまで少なかったのかなという気はいたしております。
 事務局、意見はありますか。
〇事務局 そういったことでありましたら、座長と相談させていただきながら、委員の先生の追加、どんな分野の先生がいいのかということも含めて相談させていただければと思います。
〇山本部会長 いろいろな意見があると思うのですけれども、進め方としては、対象になるものが多岐にわたっていますので、できれば次回までにそれぞれの対象となるものを整理していって、まず、ハザード分析といいますか、ハザードアイデンティフィケーションになるのでしょうね。
 そこのところをしっかりして、どういったものが汚染しているかというような原因をきちっとそれぞれのもので分類していかないと、全てO157の対象としているというわけではありませんので、そのところから今度はリスクを評価することになるのですが、これは、食品安全委員会等の関係からいきますと、規格基準にならない場合に諮問することはないということになりますよね。
〇事務局 そういうふうになるかと思います。
〇山本部会長 となりますと、かなりの部分は我々でリスクを考えていかなければいけない部分になってきます。ということで、データがない部分については、つくっていくという言い方は変ですけれども、ちゃんとデータどりを依頼して、していかなければいけないだろうということになりますので、その辺も含めて専門家の先生方の御意見でそれぞれのリスクを考えていくことになるかと思います。それに基づいて、管理の方法論というのがいろいろなやり方が出てくるのだろうと思います。そういう方向ですので、そこのところが順次整理されることがまずは必要なのかとは考えます。
 ほかに何か。
〇石川委員 今年ですけれども、学校保健のほうで、いわゆる感染症の新しいガイドラインを私たちも関与してつくりました。それから、幼稚園、保育園での感染症。予防すべき感染症という名目で新しくつくりました。
 そこで何が一番大事かといったら、やはりどうやってうつるのかということについてきちんと展開した。それは、子供を育てる人たち、先生なり保母さんなりが、どういうふうな経路で入ってくるからどういうことに注意しなければいけないということをきちんと説明した上で防ごうではないかということに力点を置きました。
 今回、この問題についても、先ほど言いましたように、何で細菌がそこにいるのかということをきちんと国民にコミュニケーションをすることが大事だということと、私は、やはり重症度について、例えば数字がいいのかわかりませんけれども、致死率にしても、それから、ホタルイカがなぜ今は生では食べられないのかということについては、あれは、死ぬことはないけれども、かなりの高率で寄生虫がついているわけですから、そういうふうなことで、その重症度といいますか、それについてもきちんと明記した上で、重症度と、どうやって感染してくるのかという経路の問題、この2点を国民にきちんとコミュニケーションするべきだと思います。
 それはここでの役割かどうかわからないですけれども、そうやってやらないと、これは食肉の話ですけれども、この間の浅漬けなどというのはまだ原因がわかっていないわけですから、そういう一つ一つを我々の生活の中で考えながらやっていかないとなくならないと思うのです。
 以上です。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 甲斐委員。
〇甲斐委員 2つあります。
 1つは、先ほど石川委員のほうで子供への教育というようなことをおっしゃっていましたけれども、私も、いわゆる学校の中で食品の安全性についてもうちょっとしっかりとした教育をする場が必要なのではないかと思っております。現実的にどの程度なされているのか私もよくわかりませんけれども、そういう項目をしっかり入れて、子供のうちから教えるということが重要なのではないかと思っております。
 2つ目は、一昨年、昨年と生肉の規制、あるいは生レバーの禁止がされて、今日配られた参考資料5を見ますと、確かに、腸管出血性大腸菌感染症の報告数が2011年、12年と減ってきている。これは本当によかったことだろうと思うのです。私、まだはっきりしたことは言えないのですけれども、現場で検査をしていますと、今年7月ぐらいから随分検出されているようなのですね。感染者が出ているように感じています。今まさにオンゴーイングで、その原因が何にあるのかがよく解析されていませんけれども、次の問題が出てきているように思います。
 先ほど山本委員長がハザードの分析というようなことをおっしゃいましたけれども、今年、いわゆる生肉、生レバー以外の腸管出血性大腸菌の食中毒がどうやって起きているのかということを少し解析していく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 野田委員。
〇野田委員 基本的な方向性については賛成します。
 それと、リスクコミュニケーションが大切だということは、ここの委員の多くの意見だろうと思います。ただ、それは昔から言われてきて、なかなか実現していない現実があるわけです。先ほど河野委員から、ここの場に入っていただくかどうかという御意見があったのです。もちろん、それはそれで重要なことだと思うのですが、検討2の内容等を踏まえて、あるいはリスクコミュニケーションをどのように進めるかということは、今後こういった検討内容を事務局のほうで検討して、それをここで諮問する形をとると考えられているのか。あるいはこういったことを専門に研究する研究班みたいなものを組織して、1年ぐらいで検討して、その結果を受けてというやり方もあると思うのです。
 恐らく、現実の販売形式というのは続くわけですから、とりあえず、とりあえずリスクコミュニケーションをより強化するなどのリスク管理機関としての対策というものをできるだけ早く示していただきたいという気持ちがあります。事務局のほうで検討してここに諮問するという形ですと、どうしても多忙な中、対策が進まないといった懸念もあります。難しいと思うのですけれども、リスクコミュニケーションの専門家等も含めた上で、この目的に沿った研究みたいなことをやる組織をつくるというのも一つの方法としてはあるのではないかと、議論を聞いていて感じました。
〇山本部会長 これまでいろいろな研究班というのがあるわけですね。厚生労働科学研究とかもありますけれども、スパンがちょっと長いということもあって、放射性物質の対策のときなどは、ワーキンググループをこの部会の下につくって動かしていったというような経緯もありますので、その辺もちょっと検討する必要があるのかもしれません。そこで整理したことを皆さんに諮問して、それからこの部会を開催することで最終的な判断を行うというようなことも可能かもしれません。その手法については、私と事務局との間で相談させていただくということでよろしいでしょうか。
 ほかにございますか。
 木村委員。
〇木村委員 検討の方向性ということで先ほど部会長が言われたのが2ページの(1)の部分、本年度は特に牛の内臓について検討するというようなことですよね。
〇山本部会長 そうですね。内臓も含めて。
〇木村委員 その辺も含めて意見ということで言うと、ぜひそれはやっていただくべきだと思います。
 先ほど来出ているリスクコミュニケーション、消費者への情報伝達というのは、その前の牛のレバーのときとか、ユッケのときからも常に出てきている問題ですけれども、それは継続してやっていかなければいけないと思う問題です。一方、本年度どういうアクションをするかということにおいては、この牛の内臓を検討していくということに賛成です。
 その理由としては、先ほど来、教育という問題が出て、私は大学におりますが、大学の授業でこの話をすると必ず出てくる質問があります。牛のユッケの問題。それから、肝臓は厚生労働省が基準値をつくったりしたと。そうすると、ほかの内臓は大丈夫なのですかという質問が必ず来ます。私は理屈で授業をする立場にいますから非常に困ってしまうわけです。
 というのは、その前提として、牛という温血動物の腸の中にはO157は必ずというか、かなりの頻度でいます。それを解体して生で食べるということほど危険なことはないという前提できちっと授業をした上で、そこでユッケの問題、肝臓の問題。肝臓は大腸菌O157が胆管を通じて汚染してしまう問題として説明しているのだけれども、ほかの内臓はどうですかと言われたときに、理屈上、私は答えられない。これは解体時の汚染実態の問題とか、実際に食中毒がどれぐらい起きているかということをサイエンスとして総合的に解析して、当然、厚生労働省はこの辺は検討するでしょうといって説明をするしかないわけです。ですから、私としてはぜひここは検討していただきたいと思います。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 そうしますと、内臓のことは検討していきますが、豚のレバーの問題とかも今後考えなければいけないところもあるのですけれども、新たな規制の方法について、リスコミは一つ大きな方法論としてあるので、ほかにも何か意見。ここに検討の視点としての例示がありますけれども、それ以外にももし御意見等ございましたら。
 松田委員。
〇松田委員 今のお尋ねとはちょっとずれるかもしれませんけれども、事業者に対して自治体の方が監視指導を行っておられる。生食を提供するお店があると、消費者がいろいろ教育を受けてリスクコミュニケーションで理解をしていても、お店で出ているから、きっとここはいいのだろうと思ってしまっている心理もあるかなと。多分、自治体のほうも、一般消費者もそうですけれども、事業者の方がかなり重要なポイントかなと。事業者のほうが、牛肉がだめだから豚で出そうという発想が私は非常に考えにくい。そこが多分、事業者の方に対するコミュニケーションなのか、教育なのかとちょっと思います。
 2ページに、事業者と消費者、並列で3に書いてあります。自治体の方が中心なのでしょうけれども、厚生労働省としても、事業者に対してどのように対応するかという視点も1つあってもいいのかなと。
〇山本部会長 御指摘のとおりだと思いますので、その一つの方法論の中に書いてありますが、把握していくというのも、きちっと指導する上では大事かなと思います。
 ですから、この間、豚の場合、提供している人たちがどれぐらいいるのかという調査をかけてありますけれども、それぞれ生食を提供する業者がどれぐらいいるかというのもきっちり把握した上で規制が行われるだろうと思います。ですから、その辺のところは厚生労働省としても全国の自治体に対して指導していっていただければと思います。
 事務局、御意見ありますか。
〇事務局 提供実態等につきましては、事業者団体ですとか、自治体さんですとか、そういったところからどういったデータが得られるかというのを相談させていただきながら示したいと思っております。
〇山本部会長 ほかに、この3、4のところでございましたら。
 どうぞ。
〇林谷委員 「新たな手法の検討」のところに「消費者が理解した上で選択できるよう」というのがあるのですが、これまでにもたくさん意見が出ているように、牛レバーからの腸管出血性大腸菌感染症では昨年実施した法的な規制はそれなりに効果的だったとので、リスクを低減させるためには法的規制をすれば効果的なのはわかっているのですが、社会的影響などを考えるとなかなかそうはいかないということで、この意味は基本は消費者の自己責任でありますが、食肉のリスクをきちっと表示した上で消費者に選択させるということだと思うのです。
 また、法的なことは、私はよくわからないのですけれども、厚労省のほうで食肉のリスクを決めて、それを市販の食肉に提示した場合に、もし新たな感染が発生した場合、消費者の自己責任ということで済むのでしょうか。厚労省に責任は生じないのでしょうか。その辺の法的なところがよくわからないものですから、もしわかれば教えていただきたい。場合によっては、法律にくわしい方にもこの審議会に来ていただくようなことも考えられるかなと思っているのですが、いかがでしょうか。
〇山本部会長 事務局から。
〇企画情報課長 これはなかなか難しい問題だと思います。ただ、法的に提供することを禁止はしていない、だけれども、ちゃんと情報提供しろというルールが決まっている場合、それをきちんと守っていれば、食品衛生法上は責任は問われないように思います。、民事法上、飲食店の側とお客さんの間で議論が起こる可能性はあろうかと思います。その辺も、この新しい手法を議論する際に、実際のところ、どう考えるかということも一つの論点かとは思います。
〇林谷委員 ありがとうございました。
〇山本部会長 よろしいですか。
 では、西渕委員。
〇西渕委員 今、自己責任ということが出てきましたので、私、ちょっと考えるところがあって意見を述べさせていただきたいと思います。
 今、リスクコミュニケーションというかリスクアセスメントを含めて、世界的には食品の安全性基準については定量的なリスクアセスメントが進行していて、このレベルまではオーケー、ここからはだめというふうなインフェクシャスドーズに基づいて決められているのですけれども、どこで線を引くかということは、サイエンティフィックなエビデンスに基づいてやられるのですけれども、それとはまた別の次元で問題になることがあると思うのです。
 それは、ちょうどWHO/FAOの関係の会議で、腸炎ビブリオの病原性株はどこで線を引くかということを議論していたときに、私はたまたまイラク戦争の例を引いて、ある国はこの戦争に相当数の兵士を導入してピースキーピングをやっていて、何千人もの犠牲者が出てもまだ頑張っている。日本は自衛隊を送り込んでいますけれども、もし一人でも死者が出たら恐らく撤退するでしょう。これは、国民の人命にかかわる価値観の問題が大きな問題ということで、歴史の深い国ほどそういうことが重要になるのではないかということで、参加されている国の皆さんの意見を聞きたいと言ったら、しばらくサイレンスがあって、それ以上議論が進みませんでした。
 要するに、命がかかるかどうかというのが非常に重要なファクターでありまして、その点も含めて、基本的なスタンスをどこに置くか、自己責任を許すとなれば、そこはオーケーというふうな理解になっていくかもしれません。ですから、基本的なスタンスを決めないと、これはどの菌についても同じことだと思うのですけれども、その辺、どなたか御意見があればお聞きしたい。今日は無理かもしれませんけれども、心にとめておく必要があるような気がいたします。
〇山本部会長 常にゼロリスクではないということを言いつつも、議論の方向としてはかなりゼロリスクに近い方向の議論がこれまでもたくさん行われてきたと思います。そうなると、リスクを容認する限度をどこに持ってくるかという今の西渕先生の御意見というのは、我々の判断基準のベースになるところだろうということになります。
 一つの例として、牛の生レバーを禁止したときに、頻度の問題からいくと相当低い可能性があるわけですね。見つかったのは、170検体あって2検体ほどしか内部にはないと。そういったものをなぜ禁止するのかということと、普通の成人の方が食べてそんなに発症するのかということになると、それもどうもなさそうだけれども、死亡するということが、子供さんとか高齢者の方で起こるという事実、ここのところにみんな考えの基準を置いた。要するに、重篤度がどの程度かというところが最終的な判断の基準になったように私は思っております。となると、そういうことが起こらないような状況で提供しなければいけないだろうということで、新たな知見を求めるときもそこのところがないというぐらいまでには改善されないと、解禁もなかなか難しいのかなということがあった。そこも含めて、牛レバーについては放射線照射みたいなことまで検討しているということだと思います。
 それで、私が申し上げたのは、それ以外の部位についてどうなのかということと、ほかの動物についても、持っているハザードが異なってくるとリスクの程度は変わってきますので、我々はその辺をきちっと認識していく必要があるだろうと思います。そういった上で、さらにコミュニケーションというか、ガイドライン的なもので示すのか、その辺はこれからの検討かと思いますけれども、その辺を頭に起きながら検討を続けていけばとは思っております。
 西渕先生のお答えになったかどうかはわかりませんけれども、そんなところかなと思います。
〇西渕委員 これは非常に難しい問題ですので。
〇山本部会長 野田委員、どうぞ。
〇野田委員 今のお話しにも少し関連するのですけれども、事務局に確認したいのは「(4)検討の進め方」の「概ね3年」云々というところに関しては「(2)検討内容」と「(3)新たな手法の検討」の両方を含めて言われているのか。あるいは、(2)だけについて言われているのかというのを確認させていただきたいと思います。
 つまり、(3)についても、先ほどの西渕先生の意見のところも非常に重要なところで、私個人的にはこうするべきだと思うのですけれども、実際にそれをやるとなると、ハードルがかなり高くて、議論がすごく難しい話になってくると思うのです。それを含めて検討されるのだという話だと思うのですけれども、それの今後のタイムスケジュールを聞きたいということです。
〇事務局 「概ね3年」というものにつきましては、新たな手法の検討も含めて、それぞれの肉とか内臓とかがどういった方法がいいだろうかというのを、全てのものを3年ぐらいを目途にやりたいと思っております。
〇山本部会長 よろしいでしょうか。
 全体的なことを通して、御意見は。
〇石川委員 先ほどリスクの重大性ということについてきちんといろいろ知っていただく必要があるのだと思っています。ドイツで起こった流行例は、本当に少数のO157で感染が成立して、それで亡くなる方もいるというふうなことですので、そういう重大なものについては、例えば星5つだとか、そういうふうな表現でも何でもいいです。国民にわかりやすく、これは大変危険だと。ホタルイカは3つぐらいの星だろうと。それから、今、我々の間ではやっているのは、マスだとかサケの刺身で、サナダムシがすごくふえているわけです。あれは、おなかで飼っていればダイエットにいいなどといって飼っている人もいるのですけれども、そうすると星2つだとか。ただ、こういうのがいるのだよときちんと伝える。
 例えば豚のレバーなどというのは、E型肝炎の感染ということについては星4つぐらいは注意喚起しないといけないわけですから、こういう重症度ということについて国民にわかりやすく表示する。それを食べる前に表示するか。例えばメニューのところ。
 先ほど提供者の方も知るべきだと。我々は医者ですから、例えばこの手術をやったら、何人は死ぬけれども、大半は助かりますとか、インフォームドコンセントをやる。それから、薬は能書に副作用がいっぱい書いてある。そういうふうな形で、提示する必要まではないと思うのですけれども、食品を提供する人は、星幾つは危険ですよぐらいは知っているぐらいの知識があってもいいのではないかと思います。
〇山本部会長 ありがとうございます。
 どうぞ。
〇石田委員 今までの議論の中で、教育等が重要だといったようなお話ですとか、今のお話も本当に重要なことなのですけれども、実際の国民の今の食生活を考えると、家庭で調理をしなくなってまいりまして、外食や中食に依存している比率が非常に高い中で、自分で安全に食事を整えるプロセスに関する知識や実践力が全体的に低下してきています。今の議論と実際の国民の食生活の乖離が非常に大きいと感じます。身を守るために自分たちが食事をどう整え、つくるのかといったようなことに対する基本的なところの啓蒙啓発を同時にやっていかなければ結びついていかない。
 今、こちらで議論しているようなお話が、国民の実際の生活の中に結びついていかないような気がするのです。食品衛生の基本を学校教育の中で、例えば家庭科といったような教育の中でしっかりやっていくのか、保健の授業の中でしっかりやっていくのか。家庭科なども、危ないものはむしろやらない、生野菜などは取扱わないような調理教育をやるというような傾向もありますので、そういったことを考えると、根本的なところをもう少し国民に理解させる、あるいは実践できるような力を普及・啓発するのを同時進行しておかなければ、こういった問題はなかなか解決していかないのかなと思います。
〇山本部会長 ありがとうございます。
 貴重な御意見ですが、厚生労働省として関与できるかというところはなかなか難しいところがあると思います。そういうことを知った上で、我々の情報提供の仕方というのを工夫するということだと思いますので、今後、事務局のほうのリスコミ資料のつくり方とか、そういうところの参考にはさせていただけると思います。ありがとうございました。
 ほかに。
〇基準審査課長 先ほどの議論をお伺いしまして、リスコミが大事だ、学校教育も大事だという御意見、大分いただいております。部会長が言われたとおり、厚生労働省だけではすぐできない部分がございますが、本日の御意見も、例えば、学校教育ですと文部科学省ですし、食品に対して表示が必要ということになりますと、消費者庁になりますので、そちらのほうにも本日の御意見も伝えながら、必要な相談等をしてまいりたいと思います。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 今日の御意見ということで少しまとめをしておきたいと思うのです。
 それぞれのリスクを十分に理解する、リスクの大きさに応じた対応をしっかり検討する必要があるだろうと思います。これらのリスクを判断できるデータの整理とか、そういったものを実際にどの形でやるのかはちょっと検討させていただきたい。ワーキンググループをつくるのか、それとも研究班みたいなものを別途設けるのかということの手法についてはちょっと考えさせてください。
 それ以外に、どういう提供のされ方をしているかということの業界とのヒアリング等も含めて調査をしていくということが必要だろうと思います。さらに、消費者がリスクを理解するためにどういう情報提供のあり方が必要なのかということについても、ここの委員だけではなくて、少し委員を加えるのか、もしくは参考人として加わっていただくとか、いろいろなパターンがあると思います。今後どういう人をふやすのかは、私と事務局との間で検討させていただく。
 そういうところを含めて今後検討していって、3年後を目途に最終的にはこういうものについてこういう対応の仕方、この食品についてはこういう対応の仕方というようなことで、それぞれ対象とするものについての一括の対応ではなくて、かなり柔軟な対応をしていく必要があるのかなとは考えております。
 今日のところは、皆さん方のお考え、それから今後の議論の進め方というところで御意見をいただきまして、次回までにそれぞれのデータ等の整理をしながら、また御検討いただくことにしたいと思います。
 これでよろしいですか。事務局はほかに何かございますか。
 生食のリスクの問題は、こうやって検討している間にも当然ありますので、豚肉は十分加熱するようにとか、そういった啓発活動というのは事務局からも当然続けていただきたいとは思っております。
 よろしいでしょうか。
 では、これについてはこれで終了します。
 議題(3)の「その他」です。その他、何かございますか。
〇事務局 1点だけ報告させていただきます。
 参考6、一番最後に1枚紙をつけておりますので御覧ください。
 先ほど来からお話も出ておりました牛の肝臓の放射線による殺菌、24年度の研究結果の概要ですけれども、御報告させていただきます。
 まず「放射線照射による殺菌効果の開発及び安全性に関する検討」ということで、文献調査も行いましたが、世界中を見ても牛の肝臓に放射線照射を実施するという研究はなかったものですから、実際に照射してみたということでございます。牛の肝臓の冷蔵ですとか冷凍の違い、あとは「包装条件下」となっていますけれども、脱気して包装するか、含気したまま包装するか、こういった条件で、どれぐらいの放射線を当てれば殺菌効果があるという照射の条件が昨年度わかりました。その結果、脱気包装した場合は、脱気しない場合に比べて大きな線量が必要であった、また、冷蔵よりも冷凍のほうが大きな線量が必要であった、そういったことがわかりました。
 品質に与える影響ですけれども、冷蔵の場合は3キログレイ、冷凍の場合は5キログレイ照射した結果、牛の肝臓の栄養成分につきましては、冷凍照射では変化が少なかったのですけれども、冷蔵だとビタミンが多少減少するなど、栄養成分の変化は冷凍に比べて大きかった。ただ、そんなに劇的に変わるというものではございませんでした。また、照射による有害物質生成の指標となる脂質酸化指標については、冷蔵照射でやや大きくなる傾向が認められたということでございます。
 また、実際に放射線を照射するのとは別に、殺菌効果判定の手法についても同時に検討しておりまして、人工的に牛の肝臓内部に菌を汚染させて、殺菌効果を評価するためのモデル食品の作成といったものを行いまして、殺菌効果の判定手法の評価といったものも放射線殺菌の評価に利用できる方法を見つけているというところでございます。
 ただし、こういったことをするには、食品安全委員会のリスク評価に耐え得るような殺菌効果と、さらには有害物質の生成について、より詳細な安全な検討が必要なものですから、今年度以降も殺菌効果に影響を及ぼす要因の解析ですとか、実際、照射量はどれぐらいがいいのか、そういったことについて研究を進めております。
 以上でございます。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 これに関して、何か御質問ございますか。
〇林谷委員 放射線処理により病原体を殺した食品というのは、日本にはほとんどないと思いますが、放射線処理が牛レバーで病原体に対し殺菌効果があり、また、栄養学的にも特に影響がないとしたら、将来的にはこれからリスク評価していく他食肉とかにも応用を考えているのでしょうか。それとも、牛のレバーだけに限って行われている実験なのでしょうか。教えていただきたい。
〇事務局 現在の研究については、牛のレバーに限ってという形でやっております。もしかしたら、有害物質ができるとしたら、その生成物も物によって違うでしょうし、そういったものについては、今回の研究では、例えば普通の肉とかいったものは対象とはしていないので、今は、禁止してしまったレバーをどうしようかという形で研究を進めさせていただいております。
〇丸山委員 これは対象となる菌は、腸管出血性大腸菌を対象として、その殺菌効果を見ているのでしょうか。
〇事務局 現在はそのようにしております。
〇山本部会長 ほかによろしいですか。
 どうぞ。
〇河野委員 こういった手法も必要とするほど、牛のレバーを生で食べたいということなのかと考えた次第でございます。この研究に経費がどの程度使われて、何年かかって放射線照射による殺菌で牛の生レバーが食べられることが、国民にとって、消費者にとって本当に前向きな方向なのかなというのはちょっと考えさせられるところでございます。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
〇石川委員 日本医師会の中で、国民生活安全委員会というのがありまして、いろいろなものが国民の生活に対して安全かどうかというのをやったのですけれども、これは国の仕事かなというふうな感じの作業だと思うのです。どちらかというと、放射線で煮るみたいな感じのことだと思うのです。
 これは、脱気をしたのと脱気をしていないというものの御説明をおとといいただいたわけですけれども、今、消費者の方からありましたが、そういうことをやってまで食べられるようにするというのは本当に国の仕事かなというふうな感じがあります。国民生活安全委員会でも同じようなことをやっていると言ったら、お医者さんで構成している委員会ですけれども、皆さん同じような意見がありました。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 一つの方法論があるということで、検討はしてみるということだったわけですけれども、確かに、コストとの関係も考慮していく必要はあるかと思います。生で食べるということだけではなくて、放射線というか、O157そのものの制御のあり方というのはいろいろなポイントで考えなければいけないことだと思います。
 その一つが、たまたま生レバーに対する放射線照射。それ以外にも、農家の段階でどうなのかとか、と畜する段階でそういうものがきれいにできるのかとかいう検討は今後も続けていかなければいけないのだろうと思いますので、その辺についても、厚生労働省として、と畜場の衛生管理とかいったところもさらに検討を進めていっていただければと思います。
 野田委員、どうぞ。
〇野田委員 今、お二人から、これは国の仕事かなという意見があったのですけれども、個人的には、日本人は放射線へのアレルギーが結構強い国民だと思うのですが、新たな食品の殺菌方法として放射線が認知されるかどうかというのは、今後すごく大きな問題だと思うのです。
 生レバーだけではなしに、生で食べるものには、野菜などほかにたくさんあって、それらの安全性は必ずしも担保されていないわけです。それらを放射線を使って殺菌することに関してアレルギーが少しでも減れば、今後そういった手法も導入できる方向が見えるかもしれないという意味からも、個人的にはこの方法の研究はとりあえず進めていっていただきたいなと思っています。
〇山本部会長 寺嶋委員、どうぞ。
〇寺嶋委員 部会長のほうから、リスクを低減させるということで、農家の段階からというお話がちょっとありました。最初のときにちょっと申し上げたのですけれども、一つの例として腸管出血性大腸菌の保持ということでお話をさせていただいているのですが、そういうものがある動物を生で食肉として食べるということを考えるのであるとすると、農家の段階では恐らく管轄がちょっと違うということが出てくるのでしょうけれども、と殺というところから、一応厚労省の管轄下に入ると思うのです。
 そうすると、単純に食肉の衛生管理だけではなくて、腸管内容で汚染されてくるわけですから、それがなくなる、低減するような何らかの方法を考えて、解体の段階からやっていかないと、そこまでは今までと同じだけれども、その後にどうにか処理をして生で食べられるような工夫をするというのは、私、いい方は悪いですがちょっと小手先のような感じがするのです。ですので、大もとのところに正面から取り組むようなファクターがないと、放射線が悪いというわけではないのですが、根本的な解決にならないような気がします。そういうところも視点に入れて、少しずつ将来に向けて検討していくべきではないかと考えています。
 以上です。
〇山本部会長 と畜場の関係だと、監視安全課長からちょっと御意見をいただけますか。
〇監視安全課長 重要な御指摘だと考えております。日本のと畜場は、諸外国に比べると、残念ながら、まだ衛生管理が非常に劣っている。小さなと畜場も多いというような状況もありますし、まずは、汚染の基点となるようなところをできるだけ少なくしていくというような努力が必要かなと考えております。諸外国では、そういったと畜場にHACCPがもう既に義務づけられているというような状況からすると、我が国のと畜場における衛生管理も一日も早くそういったレベルまで追いついていきたいなと考えておるところでございます。
 また、農場とのリンクも一方で重要になってくるかと思いますので、農場段階からこういった病原菌が含まれていない家畜、できるだけそういったクリーンな農場を広げていくというような努力も必要かと思いますので、そのあたりは農林水産省とも連携しながら対策を進めていきたいと考えております。
〇山本部会長 ありがとうございました。
 ぜひ、その検討を進めていただければと思います。
 ほかに、特に全般について意見はございませんでしょうか。
 それでは、次回の予定について事務局からお願いします。
〇事務局 次回の本部会の日程については、御審議いただく項目がまとまり次第、改めて調整させていただきますので、よろしくお願いします。
〇山本部会長 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。
 どうもありがとうございました。


(了)
医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係 仲川: (03-5253-1111 内線2489)

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