ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会)> 第162回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事(2013年7月24日)




2013年7月24日 第162回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事

○日時

平成25年7月24日(水)9:26~10:51


○場所

於 厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

森田朗会長 印南一路委員 関原健夫委員 牛丸聡委員 西村万里子委員 野口晴子委員
矢内邦夫委員 白川修二委員 花井十伍委員 石山惠司委員
田中伸一委員 伊藤文郎委員
安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員 
万代恭嗣委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
北村善明専門委員 福井トシ子専門委員
<参考人>
コスト調査分科会田中滋分科会長
<事務局>
神田審議官 宇都宮医療課長 佐々木医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会からの報告について
○医療機関の部門別収支に関する調査の今後の取扱いについて

○議事

○森田小委員長
 おはようございます。ただいまから第162回「中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」を開催いたします。
 まず委員の出席状況について御報告いたしますと、本日は、花井圭子委員、藤原専門委員が御欠席です。
 また、保険局長も所用により欠席です。
 次に、厚生労働省におきまして、人事異動がございましたので、事務局より御紹介をお願いいたします。
 医療課長、どうぞ。
○宇都宮医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、御紹介させていただきます。
 大島総務課長でございます。
 秋田調査課長でございます。
 佐々木医療課企画官でございます。
 渡辺医療課医療指導監査室長は、出張により欠席となってございます。
 藤田医療課医療指導管理官でございます。
 以上でございます。
○森田小委員長
 どうもありがとうございました。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 本日は「○診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会からの報告について」と「○医療機関の部門別収支に関する調査の今後の取扱いについて」を議題といたします。両議題は関連しておりますので、一括して審議したいと思います。
 本日は、診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会の田中分科会長にお越しいただいておりますので、まず田中分科会長より資料の御説明をお願いいたします。
 また、事務局から補足があれば、補足の説明をお願いいたします。
 それでは、田中先生、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長
 コスト調査分科会長の田中でございます。
 本日は7月17日の分科会で議論いたしました、医療機関の部門別収支に関する調査について報告いたします。
 初めに本調査のこれまでの経緯について、簡単に説明申し上げます。
 本調査は、病院における診療科別収支を把握する計算手法の確立を目的として、平成15年から調査・研究を始めました。平成19年度には、調査手法がおおむね確立したと評価いただき、平成20年度からは調査手法の簡素化を行いつつ、実施してまいりました。
 中医協診-1、平成24年度調査の報告書(案)をごらんください。
 調査方法は、2ページ以降に示しています。
 調査対象は、DPC対象病院、DPC準備病院、DPC対象病院以外のうち、レセプトデータをレセプト電算処理で提供でき、DPC導入の影響評価に係る調査のEファイル、診療明細情報、Dファイル、包括診療明細情報を提供できる病院です。
 診療科別収支の計算方法は、病院を入院、外来、中央診療、補助・管理の4部門に分けます。そのうち、中央診療部門、補助・管理部門に計上された収益、費用について、入院、外来の各診療科に多段階で配賦していきます。
 次に調査結果の概要について、説明いたします。
 18ページ、19ページをごらんください。3,570の病院に調査・協力依頼を行いました。このうち、調査に応諾いただいた病院は455でした。最終段階までたどり着けた、最終的に回答にたどり着けた病院は226で、この病院のデータを集計しております。
 21ページにお飛びください。計算結果における留意事項について説明いたします。
 平均値の集計に当たっては、収益や収支差額比率等が極端に大きいものや、極端に小さいものは除外しております。
 22ページです。病床規模別、開設者別の病院数や、平均病床数、患者数などを記載してありますが、比較的大きな規模の病院が最終的な答えに到達したことがわかります。
 24ページをごらんください。計算結果の概要であります。
 主要なレセプト診療科別の収支の状況について、入院、外来、入院・外来合計という形でまとめてあります。入院・外来計の収支差額の構成比は、17診療科のうち8診療科がマイナスとなりました。うちマイナスが2桁に達したものが、精神科、皮膚科、産婦人科です。残りの9診療科の収支差額はプラスであり、プラスが2桁に達した科は、心臓血管外科と眼科でありました。
 26ページをごらんください。入院・外来合計の病院数が10以上あった11の診療科別収支について、まとめてあります。入院・外来計の収支差額の構成比は、11診療科群のうち7診療科群がマイナスとなりました。うちマイナスが2桁に達したものは、精神科群、産婦人科群、皮膚科群、麻酔科群です。残りの4診料群はプラスであり、プラスが2桁に達した科は眼科群だけでありました。
 27ページ、28ページをごらんください。全診療科を合計した開設者別、病床規模別、DPC区分別の収支状況を示してあります。
 開設者別では、公立病院が-3%、医療法人が+2%、その他が0%で、全体で-1%となっております。平成24年度の前回調査より改善しています。
 DPCの区分別では、DPC対象病院が0%、準備病院が-9%、その他が-1%となっており、DPC対象病院の収支差が相対的に良好であるとの結果は、前回調査と同様でありました。
 31ページ以降は、資料編です。後にごらんください。
 以上が平成24年度の医療機関別の部門別収支に関する調査の報告でした。
 次に中医協診-2、アンケート調査の報告書案に移ります。
 この調査を行うに当たり、手法を改善する観点から、対象となった病院にアンケート調査を実施しています。
 1ページをごらんください。調査は、部門設定準備調査、レセプト調査の両方の回答が得られた327の病院を対象に実施しております。
 5ページ以降がアンケート結果です。
 ずっと飛んで29ページにまいります。これは中医協調査とは別に、各病院が独自に原価計算を実施しているか否かの状況が示されています。部門別収支に関する調査結果は、比較的大きな病院が対象となっていますが、それらの病院の中で、独自の原価計算を実施しているところは、4割弱にとどまります。
 30ページです。本調査結果の活用予定が掲載されています。半分以上の病院から、中医協調査のデータ、結果を活用する予定はないとの回答が得られており、調査の参加するインセンティブの観点からは、まことに残念な結果でありました。
 31ページをごらんください。調査全体に対する意見です。調査の負担が大きい、調査の簡素化を要望するとの意見が多くありました。
 引き続き、中医協診-3に移ります。中医協診-3は、調査項目の簡素化の検証であります。
 平成24年度調査においては、医師勤務調査が難しいとの回答に対応しました。従来の調査票では、病院以外の業務、当直、臨床研修医の教育・研修、経営会議等の4つの記入をしていました。これらは全体の勤務時間に占める割合が非常に小さいことがわかっているので、今回はその他として一括するようにしました。
 2ページでは、その他の構成比が0.4%で、調査全体にほとんど影響を与えないと分かったので、そのようにしております。
 次に中医協診-4「医療機関の部門別収支に関する調査の今後の取扱いについて」を説明いたします。
 2ページをごらんください。本調査のこれまでの経緯や目的ですが、調査対象、計算手法については、冒頭に申し上げたとおりです。
 3ページをごらんください。この調査に回答するための負担が相当な量になることもあり、回収率・回収数が低く、24年度調査の回答の状況についても、答えた病院数はふえているものの、依頼数がふえているため、有効回答率はさらに低下してしまいました。
 4ページをごらんください。調査に協力いただけなかった約3,000の病院に対して、その理由を尋ねたところ、結果はページ中ほどのグラフのとおり、調査の回答負担が大きいからが大半でありました。
 また、ページの下段は、先ほど御紹介したアンケート調査結果の一部ですが、調査結果の利活用の状況についてお尋ねしたものです。アンケートに回答した病院のほとんど、111病院は、最終的な集計対象となった病院であるにもかかわらず、半数以上が、今後、調査結果を業務運営に利活用する予定はないとのことでした。この結果から、フィードバックされる調査結果が、病院経営に活用できるがゆえに、調査へ参加するというインセンティブが働いているとは言えない状況であることがわかりました。
 5ページから7ページをごらんください。それぞれ入院部門のみ、外来部門のみ、入院・外来計についての調査結果を経年比較した表です。5ページを見ると、入院部門はおおむね黒字、6ページの外来部門は全面的に赤字でした。こうした収支の傾向は、おおむね安定的であり、調査手法としては、安定的で確立されたものと確認できます。
 一方で、一部の診療科については、調査結果に変動が見られます。例えば7ページの右側の表で、眼科を見ると、途中に診療報酬改定を挟まない平成22年度と平成23年度の調査結果が、+20から-7となるような変動が起きています。これはサンプルエラーでしょうが、起きています。
 8ページをごらんください。これは医療経済実態調査における診療所の診療科別の収支状況との比較です。例えば皮膚科をごらんいただくと、左側の病院の部門別収支の調査結果では、大幅な赤字です。これに対し、右側の医療経済実態調査における診療所の収支差は相対的にプラスが大きく出ています。このような違いがありました。
 9ページに移ります。先ほど御紹介した事後アンケートの結果です。この調査とは別に独自の原価計算を実施しているかどうかを尋ねたところ、実施している病院は4割弱、診療科別の原価計算に限れば3割という結果でした。このアンケートは、調査に参加された病院に対して行われ、大多数が規模の大きな病院ですが、大病院でも多くの病院で、部門別原価計算に基づく管理会計は実施されていないとわかりました。ということは、小病院においては、この率はさらに低いと考えられます。部門別収支の調査にスムーズに参加できる体制が整っている病院は、日本では少ないと推測されます。
 10ページです。コスト調査分科会として、この調査に関するこれまで10年間の総括です。先週の分科会における議論において、全委員が同じ意見ではないにしても、おおむね以下の3点に意見を集約できました。
 第1に、この調査の結果は、経年的におおむね安定的であります。病院の収益・費用を診療科別に配賦する手法は確立できたと言えます。調査結果を経営分析に活用しようとする病院も存在しておられます。
 第2に、一方、この調査においては、医師等の勤務時間の把握が求められるなど、調査負担が大きいことから、中小規模の病院も含めた全国の病院の状況を代表するデータの獲得は、困難であるとわかりました。残念ながら、手法としては確立しているとしても、この手法によって全国のデータを把握し、診療報酬改定に結び付けることは困難であると、これまでの取り組みを通じて確認されました。
 第3に、これはもう少しテクニカルな話です。原価計算の単位の話でありまして、診療科別という単位が、原価計算単位として必ずしも適切ではない。したがって、原価計算の手法で得られる診療科別の収支データを、診療報酬改定に結び付けることが困難である点も一連の研究調査のプロセスを経て確認されました。
 11ページに移ります。先週開催されたコスト調査分科会で、委員から出た主な意見を数点紹介いたします。
 1、この調査は計算手法確立の目的は達成したが、改定の基礎資料とするほどのサンプル数確保は難しい。調査を継続するならば、研究費で実施したらどうか。
 2、この調査研究により、原価計算とはいかに手間にかかるか、厳密に実施するには限界があるとわかったことが、逆説的ですが、一つの効果である。
 3、独自の原価計算を実施している病院が少ない。この状況は、部門別原価計算を厳密に実施せずとも経営が成立することを示唆しています。我が国の医療提供体制が社会資本であることをかんがみれば、余りにも細かい部門別経営の原価調査をしなくても、経営が続けられることは、むしろ望ましいと言えるのかもしれない。部門単位で収益や費用をきちんと把握していれば、十分ではないかといった意見もありました。
 最後に調査手法の見直しなどについて、下段ですが、紹介いたします。
 1、調査対象が毎年異なっているが、定点観測に改めなければ、結果評価は難しいのではないか。
 2、DPC調査に見られるように、診療報酬などによる調査に協力することへのインセンティブを講じる必要があるのではないか。
 3、病院独自の手法で計算した数値を集計し、経年変化を観察して、診療報酬改定の検証に活用できないだろうか。
 4、原価計算の単位として、診療科部門別という単位は適切ではない。別な単位を見出して、その単位ごとに原価計算を行う必要があるのではないかといった意見もございました。
 以上で私からの報告を終えることにいたします。ありがとうございました。
○森田小委員長
 どうもありがとうございました。
 それでは、事務局、補足をお願いいたします。
○竹林保険医療企画調査室長
 事務局でございます。
 ただいま田中分科会長から御説明いただきました、中医協診-4の資料でございますけれども、一番最後の12ページ目には、参考までに、これまでの中医協の総会でございますとか、基本問題小委員会において、毎年、部門別収支の報告をしていただいたときに、既にいただいている主な御意見を御紹介させていただいております。
 細かく説明はいたしませんけれども、小委員会でもサンプルバイアスの問題が指摘されたり、あるいは何らかのインセンティブがないと難しいのではないかということは、既に御議論いただいております。
 今、分科会長からいただいた分科会としての総括、前回の分科会での主な意見、あるいはこれまでの総会、基本問題小委員会での御議論を踏まえまして、部門別収支の今後の取り扱い、具体的に申し上げますと、今後も診療報酬の改定につなげるデータを得るために、これを継続していくのかどうかといった部分について、御議論をいただければと存じます。
 あと、中医協診-4参考という資料がございまして、こちらにおきましては、医療機関のコスト調査分科会が平成15年から設置をされておりますけれども、現時点では、部門別収支に関する調査が継続しているだけという状況でございますが、過去においては、幾つかのコスト調査も実施しているということを、参考までにお示ししているものでございます。
 私からの補足は以上でございます。
○森田小委員長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、御発言をお願いいたします。
 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員
 今、田中先生から報告がありました。かなり否定的でショックを受けていますが、少なくとも10年間やってきて、私はそれなりに価値があると思っております。回答率が低いのは、今、医療現場がいろいろな面で負担が多くてできないので、こういう調査へも協力ができるぐらい、もう少し余裕があるべきだと思っています。余裕ができれば、もっと協力してくれると思っています。
 また、これは非常に大変な方法ですが、後の意見では、原価計算の手法によって、診療報酬改定へ結び付けることは困難とありますが、それではほかに方法があるのか、ほかにこのような調査あるいは研究をやっているのかというと、ほとんどされていない中では、これは非常に価値があると思っております。
 中医協診-4の資料でございますが、そもそもこの調査、あるいはこの分科会をどうして設立したかということを見ますと、平成15年の閣議決定で、診療報酬体系の見直しに関する基本方針の方向の一つとして、医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価とあります。それが、今、されてきていないのではないか。これを評価するために何か方法がないかということで、今まで調査してきたのではないかと思っています。しかし、この10年間を見ると、当時と診療報酬体系はほとんど変わっておりません。ということでは、この調査が生かせないというのは、今の診療報酬体系に問題があるとも言えるのではないかと思います。
 私たち2号側はよく主張しておりますが、しっかりエビデンスに基づいた診療報酬体系改定ということを申し上げております。それを達成するためには、今、ほかに方法とか研究がされていないということでは、この調査を継続して、直接は無理かもしれませんが、少なくとも配賦方式が確立したというのであれば、今の診療科別がだめであれば、ほかの分け方ではできないかとか、そういう議論をコスト調査分科会でしていただきたいと思います。議論のためには、今の調査を経年的にやるということが、ベースになると思っております。もっと長期的な目で見ていただければと思います。
 繰り返しになりますが、単年度の診療報酬改定にすぐ反映というのは、無理なのはわかります。しかし、長期的に見て診療報酬体系を改善していくためには、有効だと思います。もし田中分科会長から、私の意見に対してコメントがございましたら、お願いいたします。
○森田小委員長
 田中分科会長、お願いいたします。
○田中分科会長
 先生がおっしゃっていることは、基本的に私も同感いたします。要するにデータがとれれば、データがとれる。今、お話がありましたように、事務部門に余裕があるとか、何らかのインセンティブがあるとか、あるいは定点観測にするとか、データがとれれば、この手法を使うことができます。ただし、そのデータをとるための金銭的な余裕とか、事務部門の余裕は、調査の手法を超えた話なので、これは別な観点になります。
 もう一つ、データがとれたとして、今、西澤委員が言われたように、原価計算の単位は患者別でもできますし、DPCの一つひとつの項目別でもできますし、ほかにもあります。単位はどれがいいか。私たちが行えと言われてきた部門別収支は、データがとれれば、それなりに意味があるにしても、診療報酬改定の単位としては、どうもよくないのではないかとわかっています。
 その2つの点、データのとり方ととりやすさ、改めて原価計算の単位を考え直せば、意味があるという点は、分科会長としても同意いたします。
○森田小委員長
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 非常に否定的な意見が多かったということですが、例えば中医協診-4の4ページで、よく見ますと、この調査結果を今後の業務運営に活用する予定はないと、半数以上、53.1%が言っているわけですが、逆にいえば、42.2%は活用する予定がある、あるいはしているということなので、半分近くが活用しているとも言えるわけで、そんなに否定的に決めつけてしまっていいのかという気がいたします。
 それと私が非常に気になったのは、同じく中医協診-4の11ページで、上から5つ目の○です。原価計算を実施している病院が少ないという状況をもって、原価計算を実施しなくても、経営が成り立つのは、むしろ好ましい状況ではないかという言い方をされるのは、非常に心外だと思います。これはイスラムの女性は教育を受ける必要がないと言われているのと同じような感じで、非常にばかにされたような言い方なので、平成15年、10年も前に閣議決定までして、医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価という大きな目標を掲げてスタートしたわけですが、10年経って、コストを考えないでできるのは幸せではないかという言い方で終わるというのは、非常に情けない結論だと思います。これが結論だとは言いませんが、10年経って、その間の医療経営というのは、非常に厳しくなっているわけで、我々もやりたいんだけれども、できないというところがかなりあるわけです。私は前の総会でも意見を言っていますが、できるようにしてほしいというか、していただけたらやりたい、あるいはできるものでやってほしいという、もう少しやり方を含めた見直しの検討をされたらどうかと思います。
 例えば診療科別というのは、確かにいろいろ問題があるかと思うんですけれども、同じく中医協診-4の9ページを見ても、入院・外来別が25%とか、部署別とか、各病棟別、医師別、その他いろんな分け方をして、独自のものをやっているわけです。こういったものをずっと定点観測するとか、あるいは先ほどのお話にもありましたような単位を見直すとか、10年経って先へ進めるならわかるけれども、旧態依然たる経営に戻しなさいみたいな話で、しかも、診療報酬は上げていただけるんですかというと、下げろと一点張りみたいな話で、どうやって経営をしたらいいんだろうか。結局どこをどうしたらいいかわからないから、中小医療病院とか医療機関は、人件費を下げて、何とか経営を成り立たせているんです。そうすると、まずは官民格差が拡大してしまって、我々のところに人が集まらなくなるという悪循環が続いておりますので、これを何とか断ち切りたいという視点で、結果は厳しかったかもしれないけれども、前向きな、次につながるような結論を出していただきたかったし、そういう方向を持っていただければと思います。
○森田小委員長
 白川委員、どうぞ。
○白川委員
 田中分科会長が総括のところでおっしゃったとおり、部門別収支を原価計算する手法を確立したということ、それに参加した42%ぐらいが今後活用したいという回答のようでございますので、この辺については、評価できる結果が出たと思います。
 今、鈴木先生は、病院で原価計算をしないで経営が成立するほうが好ましいという書き方は問題だとおっしゃいましたが、どこの病院も経営の必要性から、何らかの原価計算はされているんだと思います。ただ、部門別収支という話は、ここにも書いてありますし、過去に何人かの先生がおっしゃいましたが、例えば産科の収支が悪いからといって閉鎖するという話にはならない。やはり社会的使命というのが病院にはありますし、あるいは医師の教育・研修の見地からも残さなければいけない。こうしたいろんな要素があって、経営に直接結び付けるというのは難しい。それに、かかるコストは非常に膨大になりますから、コストと効果という関係から見ても、部門別収支までやられている病院は、現実的にはかなり少ないと私も思っております。
 ただ、この手法自体は、分科会で開発をしていただいたわけですが、病院のコンピュータシステムの改修までを含める大規模な投資が必要になるでしょうから、簡単にはいかないと思いますが、それなりの成果を残していただいたし、適宜病院に使っていただければ、それでいいと思います。
 一方、診療報酬への反映が中医協としての本来の目的でありますが、これは何回も申し上げているとおり、コスト分析あるいは原価計算をやって、それを直接診療科別の診療報酬に結び付けることは、はっきり言って不可能だと思っております。そもそも原価計算をやる、コスト調査をやるというのは、企業でいえば2つ目的があるわけで、値段を決める一つの要素になるということ、もう一つは、原価を下げるために、どこに問題があるのかを分析するために、原価計算をやることがあるわけです。
 ところが、病院経営のほうは、例えば人件費が50%を超えている状況ですが、何か削れるのか。患者側にしてみたら、例えば医療材料で質の悪いものを使われたら困りますし、検査機器であっても、レベルの高い検査機器を使っていただくことを希望しますし、原価計算をやった結果、カットしますと簡単に言われても困る。したがって、はっきりいえば、病院経営上の原価計算は、一般的な原価計算の考え方からいうと、半分の機能しかないということになります。
 この辺が、西澤先生を始め2号側の先生と我々の考え方で根本的に違うところでございまして、2号側の先生方は必要なコストを積み上げて、それに見合うだけの診療報酬にしろ、それが理屈としては一番正しいだろうとおっしゃいますが、我々としては、それだったらコストを下げろという話になりますということを申し上げているわけです。
 したがって、何回も申し上げているとおり、ここまでコストを調べるための費用、労力は莫大なものになると思います。たしか分科会の報告書では数億円かかるという話もありましたし、それを診療報酬改定に直接結び付けることについては、多分相当な議論になるので、我々としては、この話に乗れないというのが、基本スタンスでございます。
 話が飛びましたが、今回のコスト調査分科会の報告につきましては、今、申し上げたとおり、部門別収支を原価計算する手法としては確立され、一部の病院では、それを実際に使っていただけるということで、評価できますし、そうした点を踏まえれば使命は終えたと思っております。
 それから、もう一つの目的といいますか、本来の目的である診療報酬への反映につきましては、相当難しい。私に言わせれば不可能だと思っておりますので、この辺についても、これ以上、現在のやり方を進めていただく必要はないと思っております。
 現状、例えばDPCでいろんなデータをとっておりますし、収支ではないですが、医政局等でも、いろんなデータを蓄積してきております。それが傾向として、診療報酬改定に全く結び付かないかというと、そんなことはないわけでございまして、例えば小児科が非常に厳しいということで、小児科向けの診療報酬の配分を若干手厚くしたということも最近やっておりますし、精緻な金額ではなくて、傾向を見るという意味では、さまざまなデータの蓄積、診療科別という意味でございますが、今後とも必要だと思っておりますので、それは厚労省全体として、いろんな工夫で継続をしてきたいと考えております。
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員
 今、白川委員からも意見がありましたが、半分ぐらいは同じことを言っていると思います。我々も積み重ねが大事であり、すぐ上げれと言うつもりもなくて、しっかり議論するときに、根拠となるものがないとだめだということで、この方法はいかがですかということです。ですから、場合によっては、これで下げることも当然あり得ると思います。議論するためのベースとなる材料がなさ過ぎるのではないかと思います。そういう意味で、これは一つの形だと思います。
 それと、この調査ですが、各医療機関で自分の病院だけ単独でやっても、それをどう判断するかは難しいのです。数は少ないのですが、今回の調査のアンケートにもいろいろな意見が書いてあります。この調査の結果、データをベンチマークとして利用して、当院の特徴や弱点等を探るために利用したいとか、しているとあります。結局、各医療機関がするときに、ベンチマークとなるものが必要で、そのためにこの調査が必要という声がかなりあります。ですから、今、二百数十病院しか参加がなくて、そのうちの四十何パーセントしか利用していませんが、私たちも努力して回収率を上げて、各医療機関が価値を認めていける方向にもっていきたい。そのためには、せっかく10年間やってきたので、これを何とか続けて、先ほども言いましたが、診療科別以外の方法はないかということも含め、ここから何か導き出せるのではないかと思います。
 もう一つ大事なのは、診療報酬改定に反映というのは、改定時に、すぐに点数どうこうではなくて、診療報酬体系の長期的なスパンでの見直しが必要であり、繰り返しになりますが、平成15年の閣議決定で、医療機関のコストや機能を適切に反映した総合的な評価ということが言われていて、それに基づいてやっているわけです。ですから、診療報酬体系というのは、医療機関のコストや機能を適切に反映しなければならない。しかしながら、今の診療報酬体系はそのようになっているか。なっていないとすれば、閣議決定というのは、非常に重いと思いますので、閣議決定をしっかり遂行するために、我々は診療報酬体系をよりよいものにこれから変えていかなければならない。これは私たち中医協の使命だと思います。その観点から見て、非常に大事ではないかと思っています。
 そういうことで、何とかこの調査は続けていっていただき、いい方向にこれを変えながら、ぜひ進めていきたい。結果的には、医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価がされるような診療報酬体系、閣議決定で言われている目的を達成する方向でぜひやっていきたい、そのように思っております。
○森田小委員長
 ほかにいかがでしょうか。万代委員、どうぞ。
○万代委員
 田中分科会長におかれましては、長い間、御苦労を積み上げた中で、一定の手法を確立されたということで、非常にありがたいと思っております。その結果、診療科別のコストの分析については、我々にとっても、使い勝手のいいものができたんだろうと考えておりますし、私自身につきましては、ぜひこれを活用させていただきたいと思っております。
 そんな中で、漏れ聞くところによりますと、入力とか、事務作業が大変なので、何らかのアプリケーションを開発して、それをコンピュータに組み込むことによって、入力作業を省力化するといったことも考えていると伺いますが、それについてお教えいただければと思っておりますが、いかがでございましょうか。
○森田小委員長
 事務局お答えください。
○竹林保険医療企画調査室長
 事務局でございます。
 今、先生からいただいたような御意見は、これまでも総会、あるいは分科会でも、そういった議論が出てきたことがございます。ただ、この調査の難しさという部分については、調査に回答する入力の手間よりは、入力するための数字を把握すること自体が難しいということで、何かを計算することが難しいということではないものですから、例えば私どもで仮にシステムを開発して配賦するとしても、問題はそのシステムに合わせた数字を出せるように、病院全体のシステムを組みかえていただく、そういった大がかりなことが必要になってくるのではないか。そういった中で、そういったものを配賦することになりますと、官民の役割分担みたいな問題も出てくる部分もありまして、問題の解決になるか、ならないかということと、その他のいろんな懸念があるところでございます。
○万代委員
 10年間の積み上げで手法を確立されて、それなりのコストがかかっているということでございますので、その活用を半分ぐらいの病院がしようということであれば、そこのところは、官民の間の役割分担ということもさることながら、お互いに歩み寄って協力するような形で、このデータを生かすという方向性が必要なのではないかと考えております。それにつきましては、引き続き御検討いただきたいと思っております。
 次によろしいでしょうか。白川委員から御意見がございまして、前半部分を聞いていて、これは大変なことになったと思いましたが、後半は少し緩めていただいて、例えば小児科に対して一定程度の負担を診療報酬に反映させたという御意見なので、後半で大変安心いたしました。コストの積み上げで、コストが積み上がったから診療報酬をよこせというのは、私もおかしな部分があると思います。と申しますと、コスト自体が妥当なものであれば、1号側の皆様もコストの積み上げで診療報酬を決めるということには、納得いただけるだろうと思いますけれども、コスト自体がはっきりしないということで積み上げて、診療報酬でよこせという議論が乱暴ということにつきましては、私も賛成でございます。ただ、診療報酬は一定程度の限度額があるわけですので、一定の額の中で何らかの経営をしていかなければならないのは、病院も一般企業も同じだろうと思います。
 白川委員がおっしゃるように、例えばいい材料を使え、いい機械を使えという中で、コストというものをある程度は反映した形で、病院についても運営をしていくべきだと思っております。人件費率云々はいろいろ議論があると思いますので、そこにつきましては、省略させていただきますけれども、やはり何らかのコストが掛かっていることについては間違いありません。というものがわかる。今まで診療科別につきましては、手法が確立して、データも出たということでございますし、診療報酬に対して、どういう単位が必要かということについては、診療科別だけでいいとは思いませんけれども、診療科別の診療報酬も参考にしつつ、さらに新たな単位、診療報酬の改定に資するような単位を、DPCも相当データがたまっておりますし、そういったお話がございましたら、そういったことも含めて、コストというものを正確に反映していくことが必要だと考えております。
 基本問題小委におきましては、2号側から意見を出させていただいて、開催の頻度が少ないのではないか。我々の希望としては、もう少し開催の頻度をふやしていただきたいということを何回か前に申し上げましたけれども、基本問題小委で基本診療料をどうしていくかということが、我々にとって、病院を運営していく上で、欠くべからざるものであるという認識だと思っておりますので、その点につきましては、田中分科会長のもとで、新たな診療報酬改定に資するような単位の検討とか、そういうことも含めまして、ぜひ続けていただきたいと考えております。
 以上です。
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。白川委員、どうぞ。
○白川委員
 若干繰り返しになりますが、私も病院を運営するためのコストを全部無視していいとか、そんな暴言を言っているつもりは全くありませんで、コストを把握する目的は2つあって、病院の収支をいかによくしていくかという経営管理上の目的と、もう一つは、そのためにコストをどうやって下げていくのかというのが、私の主張でございます。それを診療報酬改定に結び付けるというところが、何度も申し上げているとおり、相当の難事で、私に言わせれば不可能だということです。
 コストの把握をベースに病院経営をしていただいて、最終結果というのは、医療経済実態調査の収支という数字であらわれるわけでございますので、我々はそれを見て、病院あるいは診療所がどういう経営状態になっているのかということを把握し、配分を考える。診療科別にどうかというのは、今、診療所で診療科別の損益を見るぐらいしか数字がないですが、病院の診療科別という数字は、今のところ把握できていないというのが実態でございます。
 診療科別に極端に収益が悪い、低い、例を出して恐縮でございますが、診療所のほうを見ますと、眼科は高いとか、産科は低いとか、出るわけです。そういう傾向はわかりますので、傾向の中で、どういう配分をしていくかということを議論していくのが、中医協ではないかというのが私の意見でございまして、眼科はコストが幾らだから幾らだ、産科は幾らだから、診療報酬上幾らにするんだという議論は、現実離れしていると思っておりますので、繰り返しになりますが、申し上げておきたいと思います。
○森田小委員長
 堀委員、手を挙げておられますね。どうぞ。
○堀委員
 歯科から1点だけ意見を申し上げます。要望になりますが、先ほど来話がある小児科は、かつてこの調査の結果経営が非常に厳しいということで、診療報酬改定で配慮があったことに関して、同じようなことを歯科でも思っております。といいますのは、特に病院においては、歯科の採算が非常に悪いということは、しばしば耳にいたしますし、また、それによって、科自体を廃科するという傾向もときどき聞いております。
 難しいことを承知で御要望になるんですが、部門別調査においては、歯科のデータが得られていないということで、これまでも問題提起をいたしました。この調査では、歯科は数が少ないので、有効なデータが得られないという御説明があって、了解しているところですが、きょう出てきました、中医協診-4参考の1枚ものの資料を拝見しますと、この調査にかかわらず、必要に応じて、例えば訪問看護ステーションであるとか、薬局については、単年度調査で対応ができているということで、この辺が歯科ではできないのかという気がいたしております。
 単年度調査でもかなり難しいという御説明は伺っているんですが、現在、全国で歯科のある病院は1,700を超えておりまして、例えば周術期口腔機能管理等において、病院における歯科の役割は、今、クローズアップされてきておりますし、医科歯科連携の重要性も議論されております。その中で、病院の歯科だけのデータがないというのは、いかがなものかという気がいたしておりますので、何とかコスト調査分科会で検討いただきまして、いい調査ができないか御検討いただいて、もし可能であれば、そういったことをお願いしたいということを、要望として申し上げておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 万代委員、先ほど手を上げていらっしゃったようなので、どうぞ。
○万代委員
 時間もありますので、私も余り繰り返しはいたしませんけれども、白川委員がおっしゃるように、これだけのコストがかかったから、それに見合うコストをよこせということは、言っていないということを、冒頭、申し上げたつもりでございます。ただ、西澤委員も言われたように、参考にはなるだろうと思いますので、同じことを言っているように思います。コスト調査を見て、病院が経営の努力をして、それが6月の実態調査に反映されて、それが診療報酬改定の資料の一つになるとおっしゃっていただいているので、コストを考えながら、中医協の場で、診療報酬改定に何らかの資料を参考にしながら決めていくということであれば、同じようなことを言っているように思います。
 繰り返しになりますが、よくわからないコストを積み上げて、これでよこせと言っているつもりはございませんので、その部分は、ぜひ誤解のないようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○森田小委員長
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 以前、白川先生に、病院も企業だったら、コスト分析をするぐらいは当たり前だろうと言われて、そのとき、私は、中小病院では事務の費用を賄うだけのコストは得られないという話をしたような気がするんですが、先ほど実調で見ているからいいのではないかというお話もあったんですが、確かに実調は我々の経営を判断する重要なファクターなんですが、それだけでは、先ほどの11ページの5つ目の○のような、原価計算をしなくても、経営が成り立つほうが好ましいのではないかというところへつながるような部分もあると思います。
 我々はどんぶり勘定の経営をいつまでも続けていくわけにはいかない。昔は余裕があったから、できたかもしれないけれども、今はできないんです。一般の企業もそうかもしれませんけれども、我々も乾いた雑巾をさらに絞れと言われているような経営をしているわけで、そのときにコストをどうしても意識せざるを得ない。しかし、中小病院や中小医療機関は、そういうことが手法としてとれないんです。データを出すほどの余裕がない。これができるような手法を開発してほしい。第2期としてコスト調査分科会にお願いして、全体と部分を見ながら経営するような手法を行き渡らせていけば、10年前に閣議決定までされたものが、生きると思いますので、ぜひそれは御検討いただきたいと思います。
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。嘉山委員、どうぞ。
○嘉山委員
 田中先生、方法論を確立されたということなんですが、大変だったと思います。ただ、皆さんの御意見を聞いていると、中医協のいわゆる値づけには合わないだろうということで、私も先生の意見に賛成です。
 各病院ではこういうことはやっているんです。うちでもある程度の比率を使ってやっています。どういうやり方をすれば、中医協の議論の中で役に立つような、あるいは何が問題で、中医協の議論に役に立たないということが起きているのか、その辺を教えていただけますか。
 例えば放射線科の診断料はどうやって分けるのか。その比率は、各病院で違うようになっていると思います。先生が長年おやりになってきて、こういうところが一番の問題点で、病院によって違う数字が出ていると思うんですけれども、何が一番問題だとお考えですか。今後の参考にしたいと思っているので、教えていただけませんでしょうか。
○森田小委員長
 田中分科会長、お願いいたします。
○田中分科会長
 直接部門でないところの原価をどう配賦するかは、現実の経営では会社ごとに違う、そして、病院ごとに違うはずです。ここでは全国統一の係数を使っています。係数を決めることよりも、先ほど事務局も言っていましたが、係数に割り当てる、例えばドクターがどういう時間別の行為をしているかとか、ナースが時間をどういうふうに使うかは、システムの問題ではなく、実態調査の話ですので、こちらの調査の人員とか、記録をとる人などが、病院では足りないことが大きな理由です。
 繰り返しになりますが、部門別収支とは、企業でも一般に部門長の業績を評価するとか、そういう場合には使いやすいものですが、値づけとはちょっと違います。値づけだと、もう少し小さい単位、プライスの単位ごと、費目としてもう少し細かい単位のほうが、原価計算はしやすいかもしれません。部門別の経営の動向を見るという意味では、この手法でいいのだと思います。
○嘉山委員
 例えば各病院で、先生がおつくりになった手法の係数を少し変えて使えれば、役に立つと考えてよろしいですね。
○田中分科会長
 従事者の方々が、時間調査などに割く時間があれば、それでよろしいと思います。
○森田小委員長
 牛丸委員、どうぞ。
○牛丸委員
 まず田中分科会長及びコスト分科会の皆様、大変長い間、ありがとうございました。平成15年度より、病院における診療科別収支を把握する計算手法の確立を目的として、ずっとやってきて、おおむねそれが確立して、それがここまで継続して、ある程度のものができ上がった。その御尽力に感謝申し上げます。
 それを踏まえた上で、意見と質問をさせていただきたいと思います。結果として、今回の調査結果を利用しているかどうかという調査で、53.1%が利用していない、42.2%が利用しているとあって、これは委員から指摘されたように、42.2%をどう見るかというと、確かに利用されているということで、それはそれで意味があると思います。ただ、この分科会がこの手法の確立にずっと苦労されてきたというのは、これを確立することが究極的な目的ではなく、それはあくまでも最終的にというか、最初のところにもありましたように、診療報酬の改定に使えるということがあると思います。どこまで使えるかということで、その手法をずっと確立してきたわけです。先ほどの42.2%の病院は、確立した手法を利用できる。
 それはそれで結構なんですが、中医協の一員として関心があるのは、それを中医協の診療報酬の改定にどれだけ利用できるか、そこにあると思います。今までの御苦労、手法の開発、いろんなことでお金もかかりましたし、事務局の皆さんの負担もそうですし、調査を受けるほうの負担もかなりある。単に費用対効果ということで見てはいけないんでしょうが、それだけの負担、費用をかけて、最終的に診療報酬の改定にどれだけ資することができるか、そこに私としては一番関心があるんです。
 今回の分科会の総括を読ませていただきますと、診療報酬改定に結び付けることは困難であるという文が何回か出てきております。そこで、最後に質問なんですが、先ほど西澤委員から、短期的に1年は無理だろう。しかし、こういうものも、長期的には使えるだろうという御意見がありました。それ以外にも、こういうものがあれば、診療報酬の改定に使えるだろうという御意見も多々ありましたが、分科会長としては、総括に困難という言葉がありますが、長期的にはどうなんでしょうか。使えるんでしょうか。その辺がもしおわかりであれば、何か御意見があれば、お聞かせ願いたいと思います。
○森田小委員長
 田中分科会長、どうぞ。
○田中分科会長
 これは分科会というより、私個人の意見なので、分科会の皆様には御迷惑がかからないことが前提ですが、診療報酬にも、比較的原価計算に向いているタイプの点数項目と、全く向いていない項目があります。企業経営でもそうですし、大学経営でもそうですが、向いている項目について、原価単位をはっきりさせて、そこで改めて我々のつくってきた手法を改善して使っていく。先ほど西澤委員が言われた、診療報酬体系のあり方につながるようなことは、可能ではないかと思っています。だけれども、診療報酬全部について、原価計算が適しているとの見方は、また無理があると思いますので、もう少しテクニカルに、どういう単位という限定が必要だろうと思います。
 それから、牛丸委員が言われた、病院経営で4割はもったいないので、もっと使えるようにするには、中医協とは無関係でしょうが、原価計算の使い方の勉強会、セミナー等によって、普及啓発活動が必要でしょう。
○牛丸委員
 私は中医協の委員ですから、診療報酬の改定にこれがどの程度資するのか、そこが一番の眼目であります。今、お話がありましたように、ある程度という限定されたところであるとは言いながら、一方で、いろんな負担がかかっている。どうであれ、見方として、こういう切り方で、診療科別に数字を出すということは、それはそれで興味深い一つの数字が得られますが、今回の総括の中にも書いてありますように、あくまでも一つのルールというか、分け方として、外から一つのやり方を入れてしまっているわけです。だから、1つ出てくるのはいいんですが、そこを診療報酬の改定に使うことは、いかがなものかという気がするんです。その点はどうお考えですか。
 例えば面積で分けたりします。それは診療科別に分ける。これはこういう分け方、ルールでもって出てくるのは、出てきた数字はそれなりに興味深い。ただ、出てきた数字を見て、それを踏まえて、政策を考えていくということは、果たしてどうなのか。結局、最初のルールというか、そこがどうであるかということの議論をよくしなければいけないと思います。
○森田小委員長
 どうぞ。
○田中分科会長
 おっしゃるとおりであります。これを使うと必ずいいわけではなくて、幾つか候補があり得る。しかし、このデータを使えばこうなるという、参考値として読めばいいと思います。
○牛丸委員
 細かいことを申し上げましたが、私としては、一つの手法が確立されたことは、非常に敬意を表しますが、これを今後続けてやっていくことは、診療報酬の改定にどれだけ資することになるか。ここに関して、それなりの意義があればいいんですけれども、そこがまだわかりませんということで、私の意見を申し上げました。
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 印南委員、どうぞ。
○印南委員
 関連するんですけれども、問題になっているのは、原価計算の単位です。10年間一生懸命やった結果、診療科では、実際の改定に直接生かすのは非常に難しいということです。
 事務局あるいは田中先生に質問なんですけれども、原価計算自体の単位についての研究、詳細な検討というのは、これまで行われているんでしょうか。それ自体が大きなテーマではないか。そこをまずはっきりさせないと、この調査をどういうふうに変えていくかとか、改善していくかとか、そういうことは議論できないと思います。それが過去に行われたかどうか、あるいは今後行う予定があるかどうかをお聞かせください。
○森田小委員長
 それでは、事務局からお答えください。
○竹林保険医療企画調査室長
 過去の経緯が必ずしも詳細にわからない面もございますが、先ほど御紹介しました、中医協診-4参考にございますように、この分科会では、各種のコストの調査をやっていただいております。そのときに、先ほど来議論になっております、原価計算の単位がどうあるべきかという詳細な御議論をいただいたというよりは、幾つか考えられるコストの把握の切り口として、ここにあるようなものが考えられたということで、それについて、御努力をいただいたということだと思っております。診療科別がいいのか、患者別がいいのか、どれが一番いいのかという形で、最初から詰めた議論をしていただいたとは認識はしてございません。
 分科会長から、私が思っていることと違う御記憶などがございましたら、お願いできればと存じます。
○森田小委員長
 田中分科会長、どうぞ。
○田中分科会長
 私どもとしては、どの単位がいいかまでだと、与えられた任務を超えているので、各委員が研究者としての発言はあるかもしれませんが、分科会に対する基本問題小委員会の指令として、原価計算の項目を考えるものはないのだと思います。こういう項目について調べてほしいという指令が中医協診-4参考で、よってこういう項目について調べています。前に入院基本料のところもありましたけれども、むしろこちらで決めていただいて、こういうものについて調査せよと言わないと、それこそ事務局として予算がとれないと思うので、決めていだたいたほうがよろしいかと思います。
○森田小委員長
 印南委員、よろしいですか。
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 議論がある意味堂々めぐりをして、要はこの調査を続けるか、続けないかということで、結論を出さなければいけない。これは事務局よりは田中先生にお伺いするほうがいいかと思うんですけれども、長い間、検討を加えていただいて、精緻化していただいて、前回も方法論としては、ようやく完成したとおっしゃっていただいた手法なんだと思います。
 今の印南先生の御質問は、ある意味、核心に触れる部分が1つあると思います。例えば中医協診-4の8ページを見て、各部門で入院・外来を合わせて、病院は多くの部門に▲がつく。これは我々のイメージとは相当かけ離れた部分があって、だからこそ御意見の中で、原価計算をしなくても、経営が成り立つなら、それでいいのではないかという御意見が出てくるんだと思います。つまり現実と乖離するような数字が出るということで、もう一方の御意見の中には、部門別の収支の原価計算の方法に限界があるという御指摘もあるということになりますと、結局、この方法でやることが、現実をどれぐらいストレートにあらわしているのかというところに、データの乖離があるという認識は、部門会議の中におありになったのかどうかということを1つ教えていただきたいということです。
 先ほどから申し上げておりますように、これは平成15年の閣議決定です。閣議決定はコスト等を反映して、診療報酬にということになっていて、必ずしも部門別収支にまでは踏み込んでいないわけですが、閣議決定の趣旨を生かすためにやった部門別収支の原価計算が、そもそも正しい方法だったのか、あるいは今からでも別の方法があるのかということになると思うんですけれども、このままこの方法でやって、直結しないからやめましょうかということは、閣議決定の否定になるんですが、それも含めて、御意見を一度お伺いさせていただきたいと思います。
○森田小委員長
 分科会長、どうぞ。
○田中分科会長
 分科会長も10年経つと終わりだと思っているので、何を言ってもいいという気になってきました。
○安達委員
 それは存じております。
○田中分科会長
 現実を反映しているかと言われますと、対象となった病院、データを最後まで出せた大型の公立病院の現実を反映していると思います。それが日本の病院全体の代表の姿になっているかといえば、なっていない。これは手法の問題ではなくて、サンプルバイアスの問題です。サンプルとなった病院については、これが実態だと思います。そういう理解でよろしいでしょうか。
 それから、部門別収支については、先ほど言いましたように、病院に使い方のセミナーでもして、使っていただくことで、国として、部門別収支についてはいいのではないか。これは全く個人的な見解です。
 ほかの単位でやったらどうかは、基本問題小委員会でお決めいただければ、よろしいのではないでしょうか。
○森田小委員長
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 ありがとうございます。
 関連して1つだけ意見を申し上げますが、同じ8ページの表です。今、田中先生におっしゃっていただいた、答えたサンプルのバイアスの問題は、私もそれは思います。大病院の中でも、特に公立系の病院が主な対象ですから、公立病院の収支が悪いということは、皆さん周知の事実です。そのデータと比べて、横に一般診療所のデータを出されて、数字ではパーセントですから、実際には金額ではありません。つまり目安でいえば、入院・外来を合わせて、医療費全体の70%は病院が使っています。診療所は30%という中でのパーセンテージの数字ではあるんですけれども、片方に病院の▲が並んで、右側に診療所のプラスの収支が並ぶ。強いて言えば、公立病院にという収支の悪い病院が、基本的にバイアスのかかったデータだということは、そのとおりなんですけれども、その辺は強調していただくとしても、どうしてわざわざここで並べてお使いいただいたんでしょうか。これは田中委員長のお考えでしょうか、それとも事務局の考えでしょうか。これは指摘しておかないと、誤解を生むことになりかねない、ひとり歩きしかねないデータである。しばしばこういうデータがひとり歩きすることがございますので、あえてお伺いいたします。
○森田小委員長
 これは、事務局、お答えいただけますか。
○竹林保険医療企画調査室長
 御指摘のとおり、そもそも病院と診療所ということで、役割が違うということもあると思いますので、単純な比較は難しいということは、私どもも認識しております。
 ただ、この資料を出させていただいた意味というのは、そうは言いながら、診療報酬改定にこうしたデータを御活用いただくという観点で見たときに、同じ診療科でもこういう乖離があるということで、どのようにこのデータを改定に結び付けるかという観点で、お取り扱いいただくのかと考えますと、難しいということの一つの例として、お示しをさせていただいたということでございます。
○安達委員
 よくわからなかったんですが、改定に使うのは難しいと言われたんですか。
○竹林保険医療企画調査室長
 個別の診療科ごとに見てまいりますと、難しい面もあるということです。
○安達委員
 難しいなら、どうして病院調査の中に、わざわざ一般小児診療所のデータを入れられたんですか。入れるんだったら、こちらのデータはバイアスがかかっている、もともと収支が悪いことは、公然の周知の事実であるだろう。公立病院が主体のデータなんだということまではっきり言っていただかなければ、病院調査の中に、どうしてこれがわざわざ必要なんですか。ということは、難しいのではなくて、改定の資料として、使おうという意図がないということをはっきりおっしゃっていただけますか。
○竹林保険医療企画調査室長
 どういうデータを改定に御活用いただくかというのは、事務局だけで決める話ではないわけでございますけれども、今、先生から御指摘がございましたように、部門別収支のデータについては、比較的規模の大きな病院の回答が多いということで、それはサンプルバイアスの問題等がございます。そういうことも含めて、そもそも単純に比較するのは難しいということなんですが、単純に比較するのが難しいということ自体、診療報酬の改定の議論に活用いただくのは、少し難しいということになるのではないかといった考えで、お示しをさせていただいたということでございます。
○安達委員
 それはそれで確認していただくとして、最後に田中先生にこの2つのデータの見方について教えていただきたいと思います。医療経済実態調査と部門別収支の原価計算に基づく収支差額というのは、計算方法が随分違います。公立病院の収支が悪いことは、周知の事実だということは何度も申し上げましたが、それにしても、公立病院の実態をあらわしている病院の収支差額のデータ、部門別の原価計算でやられたデータです。一方は、医療経済実態調査によるデータで、手法の違いというものは、このデータの違いに対して、どういう影響を与えると一般的には考えてよろしいでしょうか。
○森田小委員長
 田中分科会長、お願いします。
○田中分科会長
 診療所という組織と病院という組織では、中央診療部門などの大きさが全く違うので、原価を割り振る作業は、診療所ではそもそも余り意味がなくて、診療所単体のある診療科の収支だと思います。だから、原価計算の話ではないのです。
 私がこのデータをつけるのを認めた意味は、事務局からも説明がありましたように、診療科別で見て、傾向はおおむね毎年安定しているけれども、一部変動がある。その例として出しただけであって、診療所がもうかっていて、病院がもうかっていないことを強調する意図は全くございません。
○安達委員
 ありがとうございます。
 それは確認しておきたいと思いますが、8ページの○のところには、病院では大きく赤字でも、診療所では大きく黒字となる診療科もあるというまとめの文章になっておりますので、これは誤解を招くということを、事務局にはもう一度確認をして、強調させていただきます。
○森田小委員長
 よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、ほかにいかがでございましょうか。関原委員、どうぞ。
○関原委員
 時間がありますので、教えていただきたい。大病院の話です。中医協診-4の9ページに、診療科別の原価計算に限れば、大病院であっても、ほとんどの病院は管理会計を実施していないと書いてありますが、本当にそういうことなんですか。例えば大学病院にしろ、万代先生の病院にしろ、ある程度の規模のところは、管理会計は必ずやっていると思っていましたが、これを見ると、やっていませんとなっているんです。こういうことであるとお感じになりますか。
○森田小委員長
 万代委員、どうぞ。
○万代委員
 個々の病院の例で申し上げれば、私の病院では、管理者の間では、管理会計の手法を使った診療科別の原価計算はしております。分科会でされた手法とは違うものでやっています。ですから、両方見比べて、こんな感じだということでやってはおりますが、ここに大部分と書かれてしまって、管理会計をやっているか、やっていないかというアンケートをとった上での大部分どうかということについては、疑問だと思いながら、これは見ておりました。

○関原委員
 嘉山先生、大学病院をずっとごらんになって、管理会計をやっておられないような病院はありますか。
○嘉山委員
 私は文科省関係の病院長と厚労省関係の病院長を両方やりましたけれども、官庁並みには管理会計をやっているとお答えしたいと思います。
○関原委員
 もともとアンケートに答えるところが非常に少なくて、その中でこういう数字が出てきていますが、いい、悪いでなくて、何となく全体の説明に納得がいかないのです。今どき大病院はどこの病院でも診療科別の管理会計をやっていて、採算の悪い診療科については、何か工夫がないかとか、皆さんそれぞれ努力をしておられるし、その理由の一つとして、低い診療報酬があるかも知れないことを含めて、いろんな分析が行われていると思うので、ここに私自身は違和感を感じたという意見です。
 もう一つは、白川先生がおっしゃっていたこともよくわかるんですが、コストの話です。日本のいわゆる公定価格、例えば電気にしろ、ガスにしろ、私鉄にしろ、料金が公的に決められるところは、コストをよく見た上で、料金を決めているわけです。ところが、先ほど一般の企業のお話をされましたが、一般の企業はもちろんコスト管理を必死にやりますが、値段というのは、マーケットが決めているから、幾らコストがかかりましたといって、値段が半分になったりもするわけです。医療の話というのは、公定価格だから、コストを非常に厳密管理・分析した上で、プライジングを考えるのが当たり前で、それはほかの産業とは違うと思います。医療に於けるコストもそういうふうに考えて、しかるべきではないかと思います。意見です。
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 嘉山先生、手を上げていらっしゃったようですが、いいですか。
○嘉山委員
 大学とかそういうところは、教育が入ってくるので、会社のような管理会計ができないところもあるんです。私が官庁並みと言ったのは、そういう意味です。そこは御理解願いたいと思います。
○森田小委員長
 重要な問題ですけれども、ほかにいかがでしょうか。白川委員、どうぞ。
○白川委員
 関原先生の意見は、一般社会であれば、企業ごとにコストの把握をするという手法をやっているわけですが、医療の場合は、おっしゃるとおり、各病院ごとにコストを把握し、経営をするという話と、診療報酬自体は公定価格ですから、それとの折り合いをどうするんだということだと思います。それは当たり前のことでございますが、だから、コストは把握しなくていいんだというつもりは全くございません。コストは当然把握すべきだと思います。しかも、全体として、これだけ医療費が伸びる中で、なるべくコストを下げる方向で、分析した結果を使うべきだと思っております。
 ただ、それを部門別だとか、あるいは診療報酬の項目ごとだとか、非常に細かい単位まで落として分析をすることと、全体としてのコストを考えることは、診療報酬の改定率だとか、配分という話になるわけですが、それと直接的に結び付けることは、現実的にはかなり困難なことであろう。だから、余り細かいところまで入っていくと、かえって、全体のコスト配分との関係がつかめなくなるというスタンスで、意見を申し上げていると御理解いただければと思います。
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 大分時間も押してまいりましたが、まだ御発言のない方、特に1号側は余り御発言がないですが、よろしいでしょうか。
 きょう、この論点といいますのは、この調査を継続するかどうかということが焦点になっております。
 野口さん、どうぞ。
○野口委員
 1点だけ田中先生に御質問なんですけれども、これは可能性の話なんですが、例えば日本の三大疾病という形で、がん、心臓系の病気、そういうふうに疾病ごとにコスト計算される可能性はございますでしょうか。御質問です。
○田中分科会長
 疾病の治療にということですか。
○野口委員
 例えば先ほどから原価計算の単位をどうするかという議論があったと思うんですけれども、あくまでも可能性の問題として、疾病ごとにコストを計算する、原価を計算するということは可能でしょうか。
○田中分科会長
 治療方法が標準化されていない以上、疾病という単位ではできないと思います。先ほど言ったDPCのように、中身が標準化されていればできると思いますが、疾病の治療方法が病院ごとに違うとすれば、あるいは病気のステージも違うとすれば、疾病ごとは無理だと思います。
○森田小委員長
 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。医療課長、どうぞ。
○宇都宮医療課長
 医療課長でございます。
 先ほどから何回か平成15年3月28日の閣議決定のお話が出てございました。その中で、医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価ということで、この分科会ができたというお話がございましたけれども、御存じのように、同時に平成15年度からDPCの制度が始まりまして、この中で、最近、基礎係数ですとか、あるいは機能評価係数ですとか、このアプローチとはまた違った形で、こういったものについても、議論というか、制度化されてきているということも一つあると思います。それだけ御指摘させていただきます。
○森田小委員長
 ありがとうございます。
 それに関連して、私から個人的に質問させていただきたいんですけれども、先ほど出ましたように、閣議決定ではコストをきちんと分析して計算しろという話ですが、先ほど田中先生がおっしゃいましたけれども、基本問題小委では、そのときにいわゆる診療科別にコストを計算しろというお願いをしたということなんですが、そこのところは、なぜそこに限定されてしまったのか。先ほどから議論が出ていますけれども、原価計算の単位として、なぜそれだけを選択したのかというのは、わかるんでしょうか。
 すぐに回答するのは難しいようにも思います。それならば結構です。また後で調べていただきたいと思います。
 先ほどから申し上げましたように、本日はこの調査を継続するかどうかということを御議論いただいているわけですけれども、今のところ、今後の取り扱いについての意見はまとまる方向にはないように思います。
 きょう出た議論としましては、少なくとも収益・費用を診療科別に配賦していくという手法自体は、確立されているわけですけれども、これはそれぞれの病院が経営を分析するために使えるツールである。使われている比率が高いか、低いかという議論はありましたけれども、使えるツールとしては確立された。しかしながら、今の診療科別の単位ということも含めてですけれども、診療報酬の点数を決めるための資料としては、十分な精度をもったものにはできなかったということです。
 実際にこれを使うためには、もう一つ、きちんとしたサンプルが全体を代表しているような構造でなければ、データとしても使えないということだと理解しておりますけれども、最初に西澤委員から出た御意見としましては、全くないところで、この議論ができるのかどうか、何らかの参考データが要るのではないかというご意見が出たと思います。それに対しまして、そもそもバイアスがかかったデータを参考に、どういうふうに使えるのかという議論もあると思っております。そういう意味でいいますと、診療報酬の改定にこれを使うことについては、御意見が分かれたと思います。
 もう一つ申し上げますと、こうした手法をさらに使えるものにするために、精度を高めていくということについては、それほど反対のご意見はなかったかと思いますけれども、それを中医協の分科会として実施するかどうかというのは、もう一つの問題になろうかと思っております。
 いずれにしましても、論点が幾つか絡んでいるといいますか、重なっているような気がいたしますので、本日の議論はこれぐらいにさせていただきまして、今後の進め方につきましては、本日の御発言を含めて、私のほうで事務局とも相談しながら整理をして、また御提案をさせていただきたいと思っております。
 調査結果そのものについては、メンバーは皆さん一緒なんですけれども、この後の総会で報告することになっています。総会につきましては、調査の結果のみを報告させていただくことにして、これを継続するかどうかということについては、ペンディングのまま報告をすることにさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 この議論は重要ですが、これ以上この議論を続けても、結論には至らないと思いますので、本日のところは、こういう形で締めくくらせていただきます。
 田中分科会長におかれましては、長い間、御報告どうもありがとうございました。
 本日の基本問題小委員会での議題は以上でございます。
 次回の日程等については、事務局、お願いいたします。
○宇都宮医療課長
 次回の日程は未定でございます。決まり次第、御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○森田小委員長
 ありがとうございました。
 それでは、本日の「診療報酬基本問題小委員会」はこれで閉会といたします。
 今、大体10時50分ぐらいだと思いますので、11時から「総会」を開催いたします。それまで暫時休憩といたします。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線3288)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会)> 第162回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事(2013年7月24日)

ページの先頭へ戻る