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2013年7月25日 平成25年度第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年7月25日(木)18:00〜


○場所

厚生労働省6階 共用8会議室


○議題

【第1部】
○事務局 定刻になりましたので、ただいまより「平成25年度第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」の第1部を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでといたします。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日の委員の出欠ですが、安全対策調査会委員5名全員の出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告申し上げます。
 また、今回、第1部の参考人といたしまして、東京女子医科大学東医療センター検査科准教授の坂本先生、東京医科歯科大学皮膚科教授の横関先生に御出席いただいておりますことを御報告申し上げます。また、第2部の先生方にも御出席いただいておりますが、第2部のときに御紹介させていただきます。
 前回の安全対策調査以降に事務局の人事異動がありましたので、御紹介いたします。審議官の成田です。安全対策課長の森口です。安全対策課の福田です。少し遅れていますが、医薬品医療機器総合機構の安全管理監の山本です。なお、今回の安全対策調査会については、参考人が異なる都合上、第1部として議題1「一般用医薬品のリスク区分について」及び議題2「シタグリプチン重度腎機能障害患者の禁忌解除について」の御審議をいただき、休憩を挟んで参考人に交代いただき、第2部として「陣痛促進剤の安全対策について」の審議を行います。
 本日の審議の前に、傍聴に際しまして、留意事項を申し上げます。開催案内等でお渡ししました「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますよう、お願いいたします。傍聴券を持っていない方や代理人の傍聴は認められません。会議でお示しする事務局の指定した場所以外には立ち入ることができません。会場における議論に対する発言や、賛否の表明、拍手をすることはできません。また、議事進行の妨げにならないように静かにしてください。写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできません。携帯電話など、音の出る機器については、あらかじめ電源を切るかマナーモードに設定してください。傍聴中は飲食や喫煙はできません。危険物を持っている方、酒気を帯びている方、その他会議の開催及び議事進行に当たり秩序維持の妨げとなる方の傍聴はお断りいたします。その他、座長と事務局職員の指示に従ってください。以上の事項に反した場合は退場していただくことがあります。冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 それでは、五十嵐先生、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 それでは、これから始めたいと思います。まず、事務局から第1部の審議参加に関する遵守事項について、御説明をお願いします。
○事務局 議事参加について御報告いたします。本日御出席をいただいた委員及び参考人の方々の過去3年間における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況を御報告いたします。
 本日の議題1に関して、五十嵐委員より、エーザイ株式会社より50万円以下の受取り、グラクソ・スミスクライン株式会社より50万円を超え500万円以下の受取り、柿崎委員より、エーザイ株式会社より50万円を超え500万円以下の受取り、横関参考人より、エーザイ株式会社より50万円以下の受取り、グラクソ・スミスクライン株式会社より50万円を超え500万円以下の受取り、議題2に関して、五十嵐委員より、MSD株式会社より50万円を超え500万円以下の受取り、遠藤委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取り、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取り、柿崎委員より、MSD株式会社より50万円以下の受取り、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取り、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取り、望月委員より、MSD株式会社より50万円以下の受取り、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取り、と申告いただきました。
 五十嵐委員は、議題1及び2に関して、柿崎委員は、議題1に関して議決に御参加いただけません。なお、競合品目、競合企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいております。利益相反については以上のとおりです。
○五十嵐座長 ただいま説明がありました審議参加に関する遵守事項について、御質問、御意見はありますか。
○大野委員 プライベートなことで、私自身ではないのですが、親戚の者がMSDに関与しているということで発言を控えるようにという指示を頂いています。
○五十嵐座長 分かりました。ほかに何かありますか。それでは、特にないようですから、競合品目、競合企業の妥当性を含めて了解を頂いたということにいたします。どうもありがとうございました。
 では、事務局から今日の配布資料の確認をお願いしたいと思います。
○事務局 それでは、次に配布資料の一覧がありますので、そちらで御説明いたします。資料1-1「ビダラビンのリスク区分について」、資料1-2「トロキシピドのリスク区分について」。参考資料1-1「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について」、参考資料1-2「一般用医薬品のリスク区分表」。資料2「医薬品等の安全性に係る調査結果報告書(シタグリプチン錠)」。参考資料2-1「製造販売企業からの要望書」、参考資料2-2「シタグリプチン錠添付文書」。以上です。漏れ、落丁がありましたら、お申し出ください。
○五十嵐座長 ただいまの事務局からの御説明につきまして、御質問、御意見はございますか。
 では、今日の議題「一般用医薬品のリスク区分について」に入りたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、事務局より「一般用医薬品のリスク区分について」、御説明いたします。まず、議題に入る前に、一般用医薬品のリスク区分の変更手順について、簡単に御説明します。参考資料1-1「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について」を御覧ください。この変更手順は、平成21年5月8日に開催された「医薬品等安全対策部会」において、御審議いただき、御了承いただいたものです。
 リスク区分の変更については、1ページの3.に記載があるとおり、医薬品等安全対策部会において、スイッチOTC等の市販後調査の終了に伴うリスク区分の変更等の調査・審議を行うこととされており、その事前整理等を「安全対策調査会」で行うこととされております。
 手順としては、(1)安全対策調査会の調査審議に当たり、必要に応じ、関係学会等の有識者の出席を求め、意見を聴取し、事前整理を行い、その結果、リスク区分等の変更を行う必要があるとされた場合、厚生労働省は、変更案について、パブリックコメントを行う。
 (2)安全対策調査会における事前整理の結果、パブリックコメントの結果等について、医薬品等安全対策部会で調査審議を行い、指定の変更の要否について答申を得る、といった手続をとることとなっています。
 それから、既に御存じかと思いますが、「一般用医薬品のリスク区分」について簡単に御説明いたします。参考資料1-2を御覧ください。第1類医薬品は、「その副作用等により日常生活に支障を来たす程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの」及び「新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの」とされており、薬剤師により販売され、患者に対する情報提供の義務があります。
 第2類医薬品については、「その副作用等により日常生活に支障を来たす程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品(第一類医薬品を除く)であって、厚生労働大臣が指定するもの」とされています。薬剤師、若しくは登録販売者により販売され、情報提供については努力義務という規定になっています。第2類医薬品のうち、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについては、「指定第2類医薬品」とされており、情報提供するための設備から7m以内の範囲に陳列するなどの措置をとることとされていますが、販売は第2類と同様、薬剤師又は登録販売者により行われ、情報提供についても努力義務という規定になっています。
 第3類医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品に分類されないもので、薬剤師又は登録販売者により販売され、通信販売も可能な形になっています。
 続きまして、今回御審議いただく品目の具体の説明に移ります。まず、「ビダラビンのリスク区分」ということで資料1-1を御覧ください。ビダラビンは新一般用医薬品、いわゆるスイッチOTCとして承認を受け、現在、第1類医薬品に区分されていますが、今般、製造販売後調査が終了しましたので、今回リスク区分の検討をお願いするものです。
 薬効群は抗ウイルス薬で、投与経路は外用、販売名はアラセナS他で承認を取っております。効能・効果は「口唇ヘルペスの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)」とされております。なお、口唇ヘルペスの効能を有するスイッチOTCとして既に承認され、製造販売後調査が終了しているアシクロビルについては、製造販売後調査終了後のリスク区分の検討が既にされており、その中では自己治療の範囲であるか否かを見極めて使用するのに判断が難しい医薬品であること、効能に「過去に医師の診断・治療を受けた方に限る」という記載があり、慎重に使用する必要がある薬であること等から、引き続き第1類医薬品とすることが適当であると評価され、製造販売後調査期間終了後1年経過した後も第1類医薬品として指定されております。
 2ページからがアラセナSの製造販売後調査報告書です。3ページに調査結果の概要がありますので御覧ください。まず(1)特別調査についてですが、特別調査は個別に薬局等と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配って、調査を行うものです。調査施設は352施設、調査症例数は3,064例で、このうち報告された副作用が2例、2件、副作用発現率は0.07%でした。内訳はそう痒症2件、これらの副作用の中で重篤と判断されたものはありませんでした。個別の症例一覧を5ページ以降に付けております。
 (2)の一般調査ですが、一般調査は使用者、若しくは薬剤師からの自発報告という形になります。一般調査で報告された副作用は、こちらも2例、2件で、内訳は腫脹、口唇炎各1件でした。これらの副作用の中で重篤と判断された副作用はありませんでした。一般調査の症例一覧は6ページにございます。8ページ以降にアラセナSの添付文書を添付しております。資料の説明は以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○五十嵐座長 ただいまの事務局からの御説明について御質問、御意見はありますか。横関先生、いかがでしょうか。
○横関参考人 東京医科歯科大学の横関です。今、事務局からお話があった内容と基本的に同じような見解です。現在、ビダラビンに関する市販後調査では、重篤な副作用は見付かっておりません。現時点では2例かぶれがあったわけですが、アシクロビルと同様で、過去に医師の診断・治療を受けた方に限る。しかも口唇ヘルペスというのは、なかなか自己診断が難しい病気です。特にかぶれなどとの診断が非常に難しいもので、そういう面で慎重に扱って、第1類医薬品として、このまま継続でよろしいかと考えました。
○五十嵐座長 同効の薬剤と同じように第1類のままにしたほうがいいという御意見ですが、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 御意見がないようですので、事務局の御提案どおり、リスク分類については、第1類の医薬品としてパブリックコメントを求めるということで御異論はありませんか。
○望月委員 リスク分類についての異論ではなく、安全対策調査会で申し上げる必要性があることかどうかは分からないのですが、今回、例えば参考人からも御意見を頂いたように、こうした薬は、専門家がある程度関与した形で使用するかどうかの判断が必要ということで、第1類医薬品に分類のままとするという御提案があって、どの先生からも御異論がないという状況です。実際に第1類医薬品として販売をしていくときに、安全対策調査会が考えているような形で販売をされるということを、きちんと実施していただくという実態が私は必要ではないかと思っております。いろいろな調査結果あるいは昨今のいろいろな議論の中で、第1類医薬品がこちらの調査会の考えているような形で売っていただくということを、きちんと規制当局でも推進していただきたいということを意見として申し述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 貴重な御意見ありがとうございます。事務局、よろしいでしょうか。それでは、ほかに御意見がないようですので、ビダラビンのリスク区分については、第1類医薬品としてパブリックコメントを求めることにしたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、2番目のトロキシピドのリスク区分について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 それでは、トロキシピドのリスク区分についてご説明します。資料1-2を御覧ください。トロキシピドは新一般医薬品、いわゆるスイッチOTCとして承認を受けたもので、現在は第1類医薬品に区分されておりますが、製造販売後調査が終了しましたので、今回リスク区分の検討をお願いするものです。
 薬効群は制酸・健胃・消化・整腸の2以上を標榜するもので、投与経路は内用、販売名はイノセアバランス他で承認を取っています。
 効能・効果は胃痛、胃部不快感、胃部膨満感、胃もたれ、胃重、胸つかえ、胸やけ、げっぷ、はきけ(胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気)、嘔吐、飲み過ぎ、胃酸過多となっています。なお、同様の成分であるソファルコン、テプレノン等は第2類医薬品として指定されております。
 イノセアバランスの製造販売後調査報告書を2ページ以降に付けています。3ページに概要がありますので御覧ください。まず特別調査についてですが、モニター店数は406施設、調査例数は3,103例でした。報告された副作用は7例、9件で、副作用発現率は0.25%でした。内訳は口渇2件、口腔内不快感、悪心、下痢、乳頭痛、腹部膨満、浮腫、倦怠感が各1件でした。報告された副作用の中で重篤と判断された副作用はありませんでした。症例一覧については5ページ以降に付けてあります。
 3ページ中ほどの一般調査の結果ですが、2例、2件の自発報告があり、内訳は息詰まり感、発熱各1件でした。これらの中で重篤と判断された副作用は発熱の1例、1件でした。発現症例の一覧については7ページ以降に付けてあります。9ページ以降に本剤の添付文書を付けております。トロキシピドについて、資料の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 それでは、トロキシピドのリスク区分について、ただいまの御説明について御意見、御質問はございますか。坂本先生はいかがですか。
○坂本参考人 女子医大の坂本です。よろしくお願いします。トロキシピドに関しては、かなり以前から消化器内科の医師が、いわゆる粘膜保護剤として使っている薬です。H2ブロッカーとかPPIが頻用される中で、比較的副作用が少なくて安全に使えるイメージで我々は使っておりまして、現実に重篤な副作用は今のところは経験したことはありません。
 今回の一般調査を見ますと、1例だけ発熱ということで重篤とされておりますが、経過を見ますと、朝10時頃服用されて、11時頃に熱が出て、入院されて軽快されているということで、重篤とは考えますが、経過から見ますと、比較的重症というわけではなく、副作用としては軽いものですし、余り経験しないのではないかと思います。転帰の方も軽快ですので、こちらに関しては、類薬がソファルコン、テプレノンに関しても第2類とされていることから考えますと、当薬も第2類医薬品として分類してよろしいのではないかと考えます。以上です。
○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、坂本先生もおっしゃっておりましたが、事務局の提案どおり、トロキシピドのリスク区分については、第2類医薬品としてパブリックコメントを求めるということで、御異論はありませんか。
 ありがとうございます。それでは御異論ないようですので、リスク区分については、第2類医薬品としてパブリックコメントを求めることにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、3番目の「シタグリプチンの重度腎機能障害患者の禁忌解除について」の御説明を事務局からお願いします。
○事務局 それでは、シタグリプチン重度腎機能障害患者の禁忌解除について説明いたします。資料2、参考資料2-1、2-2を御用意ください。まず参考資料2-1です。この資料はシタグリプチン製剤の製造販売企業であるMSD株式会社及び小野薬品工業株式会社より提出された要望書です。
 シタグリプチンは2型糖尿病の効能・効果を有するDPP-4阻害剤であり、使用上の注意の禁忌の項には「血液透析又は腹膜透析を要する患者を含む重度腎機能障害のある患者」と記載されております。
 禁忌にこのような記載がされた理由は、1ページの1.以降に記載されておりますが、本剤の承認申請時、国内において血液透析又は腹膜透析を要する患者を含む重度腎機能障害患者に対する投与症例がなかったこと、及びこれらの患者における用量調節に必要となる12.5mg錠を製造販売企業が開発していなかったことです。
 この度、本剤の12.5mg錠の医薬品製造販売承認申請がなされたこと、及び本剤の承認以降に国内外の腎機能障害患者における市販後データが蓄積したことを受け、製造販売企業より、本剤の禁忌の見直しについて要望書が提出されました。この要望書を受け、厚生労働省医薬食品局安全対策課より独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、機構という)に対し、血液透析又は腹膜透析を要する患者を含む重度腎機能障害のある患者への本剤の投与に関する調査を依頼しました。
 資料2は機構が作成した「調査結果報告書」です。1ページに今回の調査の経緯があります。1.「国内における状況」については、企業からの要望書と重複しておりますので省略します。2ページの最後の行より、2.「海外における状況」が示されています。米国においては、2006年の承認当時から、重度の腎機能障害患者は禁忌に設定されておらず、用量調節をしたうえで使用可能となっております。
 また、欧州においては、2007年の承認時には、中等度以上の腎機能障害患者に対しては、使用経験が限られているため投与は推奨されないとされていましたが、2012年に、中等度又は重度腎機能障害患者を対象とした海外第3相試験及び透析治療中の末期腎機能障害患者を対象とした海外第3相試験の結果が得られたことから、中等度腎機能障害患者、透析患者を含む重度腎機能障害患者に対しても用量調節をした上で使用可能とされました。14ページの別添1に米国及び欧州の現行の添付文書の記載がまとめられておりますので、適宜御覧ください。
 3ページの中頃から、承認取得者より提出された資料等がまとめられております。1.は、国内で実施された「中等度腎機能障害患者を対象とした特定使用成績調査」です。128例が登録されて、そのうち126例が安全性解析対象とされました。副作用は126例中9例に認められ、その内訳は4ページの表1にまとめられております。
 また、4〜7ページに海外で実施された中等度又は重度腎機能障害患者を対象とした第3相試験のP063試験及び透析治療中の末期腎機能障害患者を対象とした第3相試験のP073試験の2つの試験結果がまとめられております。
 まず、P063試験については、中等度又は重度の腎機能障害を有する外国人2型糖尿病患者を対象に本剤の有効性及び安全性を検討する目的で、無作為化実薬対照二重盲検比較試験として実施されました。また、もう1つのP073試験については、透析治療中の末期腎機能障害を有する外国人2型糖尿病患者を対象に本剤の有効性及び安全性を検討する目的で、無作為化実薬対照二重盲検比較試験として実施されました。これらの試験における有害事象の発現及び副作用の発現割合は、それぞれ5ページの表2、及び7ページの表3にまとめられております。低血糖症及び初回承認申請時に懸念されていた心血管系イベントの発現割合も本文中に記載されておりますが、対照群に比べて高いものは特段認められませんでした。
 続きまして、7ページの3.において、腎機能障害合併例における国内自発報告がまとめられています。腎機能障害合併患者に対する本剤の投与例で多く認められた副作用は、低血糖症及び腎機能障害に関連する副作用でした。また、重度腎機能障害合併例での副作用報告が14例報告されていましたが、多く認められた副作用は同様に、低血糖症及び腎機能障害に関連する副作用でした。
 10ページの2.には、日本人重度腎機能障害患者における本剤の薬物動態及び用量について、機構の調査検討の内容がまとめられております。表5は、海外において腎機能障害を有する患者を対象として実施された薬物動態試験であるP008試験を基に、腎機能障害別の薬物動態パラメーターを示した表です。表5より、重度腎機能障害患者、透析患者のAUCは正常の約4倍であったこと。海外第3相試験であるP063試験の結果より、中等度腎機能障害患者に成人通常用量の1/2量及び重度腎機能障害患者に成人通常用量の1/4を投与したときの有効性に大きな差異は認められなかったことの2点から、機構は、日本人重度腎機能障害患者に対しては、1回当たりの投与量を通常用量の1/4量とすることが妥当と考えました。以上の内容等を踏まえた機構の判断について、12ページの4.「調査の結果を踏まえた機構の判断について」にまとめられています。
 初回申請時には中等度腎機能障害患者に本剤を投与した経験は限られており、安全性が確認されていませんでしたが、特定使用成績調査において中等度腎機能障害患者における安全性情報が収集され、その結果、特に安全性上の懸念が認められていないこと。海外で実施された2つの第3相試験、P063試験及びP073試験における有害事象の発現状況について、中等度腎機能障害患者に比べて重度腎機能障害患者で有害事象の発現が増加する傾向や、中等度腎機能障害患者及び重度腎機能障害患者並びに末期腎機能障害患者において、特定の有害事象の発現が増加する傾向は認められておらず、特に安全性上の懸念は認められていないこと。また、初回承認審査時には、腎機能障害合併患者における心血管系イベントの発現について懸念されていましたが、これについても特に懸念は認められていないこと。海外における薬物動態試験において重度腎機能障害患者や透析患者におけるAUCは健康成人の約4倍であり、P063試験においても、中等度腎機能障害患者に成人通常用量の1/2量及び重度腎機能障害患者に成人通常用量の1/4量を投与したときの有効性に大きな差異は認められなかったこと。今般、承認取得者から、12.5mg錠の承認申請がなされ、重度腎機能障害患者に対しても用量調節が可能な製剤が販売される予定であること。
 以上の理由より、本剤の重度腎機能障害患者に対する禁忌を解除し、正常腎機能患者に対する用量の1/4量として、当該患者に対する本剤の投与を行うことは可能であると判断しております。
 11ページに戻ります。本剤の重度腎機能障害患者について禁忌が解除されるに当たり、製造販売企業は重度腎機能障害患者への投与において注意すべき情報及び重度腎機能障害患者における禁忌解除後の副作用の発生状況について、医療関係者への情報提供を行い、更に腎機能障害患者への投与における患者の腎機能障害の程度ごとの安全性及び有効性情報を比較検討する調査も実施することとなっております。以上の調査結果及び機構の検討結果については、機構の専門協議にて支持されました。
 12ページの5.以降にありますように、専門委員からの意見を踏まえ、腎機能の定期的な検査等により、患者の状態を十分観察しながら、慎重に投与すること、及び低血糖の発現に十分注意すること、並びに本剤とSU剤との併用時には低血糖のリスクを軽減するため、SU剤の適切な投与量を検討することについて、製造販売企業は医療現場に対して、再度周知を図り、また、低体重の腎機能障害患者及び著明な蛋白尿や低蛋白血症を呈した腎機能障害患者における投与量の妥当性について、重度腎機能障害患者に対する特定使用成績調査において検討することとされました。具体的な添付文書の改訂案については、17、18ページの別添3に示されております。
 重度腎機能障害患者についての禁忌を削除し、用法・用量関連注意の項にて重度腎機能障害患者に対する用量調節について記載し、また、慎重投与の項に重度腎機能障害患者についての記載を追記するものとなっております。また、腎機能障害患者に対する注意喚起として、参考資料2-2にありますように「重要な基本的注意」の項の(6)にて腎機能障害のある患者では、腎機能を定期的に検査することが望ましい旨、記載されております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ただいまの事務局からの説明について、御質問、御意見はありますか。
○柿崎委員 このほかにもDPP-4阻害剤は出ていますが、腎排泄、胆道排泄があると思います。腎排泄で禁忌になったのはシダクリプチンだけで、ほかの同系統の薬剤は禁忌ではなくて、慎重投与になっているわけですよね。
○事務局 そのとおりでございます。
○五十嵐座長 ほかに御意見、御質問はありますか。特にないでしょうか。それでは事務局の提案どおり禁忌を解除することについて、御異論はありませんか。
 では、御異論がないようですので、シタグリプチン製剤の重度腎機能障害患者の禁忌は解除とすることにいたします。ありがとうございました。
 それでは、今後の事務局の方針についてお話をお願いします。
○事務局 ただいまの御議論を踏まえまして、製造販売会社に対して改訂して差し支えない旨の連絡をさせていただきます。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 では、一応これで第1部は終わったということで、5分間の休憩とさせていただきます。43分ぐらいから始めたいと思いますので、よろしくお願いします。

(休憩)

【第2部】
○事務局 時間になりましたので、ただいまより「平成25年度第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」の第2部を開催させていただきます。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。
 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。安全対策調査会5名全員の御出席をいただいておりますので、会議は成立していることを御報告いたします。なお、石渡産婦人科病院院長の石渡先生、島根大学医学部薬理学講座教授の奥西先生、同愛記念病院産婦人科部長の川端先生、帝京大学医学部脳神経外科主任教授の中込先生、国立大学法人北海道大学大学院医学部研究科教授の水上先生、独立行政法人国立循環器病研究センター副院長の峰松先生、独立行政法人国立国際研究センター産婦人科科長の矢野先生、順天堂大学大学院医学研究科生化学第一講座の横溝先生、以上の先生方に参考人として御出席いただいておりますことを御報告いたします。
 審議の前に、傍聴に関して留意事項を申し上げます。傍聴券を持っていない方や、代理人の傍聴は一切認められません。会場でお示しする事務局の指定した場所以外には立ち入ることはできません。会場における審議に関する発言や賛否の表示、拍手をすることはできません。また、議事進行の妨げにならないように静かにしてください。写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできません。携帯電話など、音の出る機器についてはあらかじめ電源を切るか、マナーモードに設定してください。傍聴中は、飲食や喫煙はできません。危険物を持っている方、酒気を帯びている方、その他会議の開催及び議事進行にあたり、秩序維持の妨げになる方の傍聴はお断りしています。その他、座長と事務局職員の指示に従ってください。以上の事項に反した場合は退場していただくことがあります。冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。
 以降の議事進行は五十嵐先生にお願いいたします。
○五十嵐座長 初めに、事務局から第2部の審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。本日出席されている委員及び参考人の方々の、過去3年間における、関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況を御報告いたします。本日の議題3に関して、矢野参考人より、小野薬品工業より50万円を超え500万円以下の受取り、あすか製薬より50万円以下の受取り、水上参考人より、富士製薬工業株式会社より50万円以下の受取り、と申告いただきました。なお、競合品目、競合企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいております。利益相反についての説明は以上です。
○五十嵐座長 ただいまの、審議参加に関する遵守事項について、御意見、御質問はありますか。特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めて了解をいただいたことにいたします。ありがとうございました。
 本日の配布資料の確認を事務局からお願いいたします。
○事務局 資料配布一覧で御説明いたします。資料3-1「陣痛促進剤の安全対策にかかる経緯について」、資料3-2「医薬品等の安全性に係る調査結果報告書(陣痛促進剤)」、資料3-3「陣痛促進剤による被害を考える会から提出された文献」です。参考資料3-1「出血性脳血管障害について」、参考資料3-2「出血性脳血管障害について(血圧に与える影響)」、参考資料3-3「常位胎盤早期剥離について」、参考資料3-4「子癇について」、参考資料3-5「海外添付文書原本、国内外ガイドライン、調査結果報告書(平成22年5月)、現行添付文書」です。
 なお、資料3-3は大部のため、文献部分は傍聴の方には配布されておりません。後日ホームページに掲載させていただきます。参考資料3-1から参考資料3-5については委員限りの資料です。以上です。足りないものや落丁がありましたらお申し付けください。
○五十嵐座長 議題3「陣痛促進剤の安全対策について」に入ります。陣痛促進剤のリスク評価については、主に出血性脳血管障害、常位胎盤早期剥離、子癇の3つが検討されておりますので、順番に議論していきます。経緯を含め、出血性脳血管障害について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料3-1から資料3-3により、陣痛促進剤の安全性評価の経緯及び出血性脳血管障害のリスク評価について御説明いたします。資料3-1を御覧ください。陣痛促進剤については、オキシトシン注射剤、ジノプロスト注射剤、ジノプロストン経口剤の3種類があります。参考資料3-5の132ページを御覧ください。これらの製剤の出血性脳血管障害、常位胎盤早期剥離、子癇などの安全性については、症例報告や海外の添付文書の記載状況などについて、平成22年に医薬品・医療機器総合機構(以下機構という)において評価・検討が行われております。その結果、いずれの症例も、薬剤との因果関係は否定的、あるいは情報不足のため判定不能との意見が多数であり、国内外の文献等も含めて得られている情報からは、陣痛促進剤と出血性脳血管障害、常位胎盤早期剥離、子癇との因果関係は明確でないとされております。
 一方、分娩時には重篤な緊急事態が起こることも想定されることから、妊婦の状態を十分に観察するべきとされ、参考資料3-5の145ページにありますが、添付文書に、患者に本剤を用いた分娩誘発、微弱陣痛の治療及び必要性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから本剤を使用すること、また、添付文書の重要な基本的注意に、薬剤の使用の有無にかかわらず、分娩時には母体の生命を脅かす緊急状態が起こることがあるため、本剤を用いた分娩誘発、微弱陣痛の治療に当たっては、分娩監視装置を用いた分娩監視に加えて、定期的にバイタルサインのモニターを行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うことなどを追記する報告書を出しております。
 平成25年7月に、その後に得られた知見や、御提供いただいた症例の詳細などを追加し、再度PMDAで調査報告書を作成しております。それが資料3-2になります。2ページの「機構における調査の概略」を御覧ください。出血性脳血管障害については、産婦人科診療ガイドライン産科編において、分娩に起こる母体生命を脅かす母体緊急重体のうち2番目に頻度の高いものとして、脳内出血を含む高血圧緊急症が挙げられております。
 また、別の海外の産科の教科書においては、スウェーデンのコホート研究で、非妊娠等の女性と比較し、分娩前後では、女性で、脳卒中のリスクは約100倍になる。くも膜下出血は、妊婦1万人当たり1〜5の頻度であることなどとされております。
 海外の添付文書においては、米国のオキシトシン製剤では、くも膜下出血等による母体死亡の報告はある旨記載されておりますが、引用文献等はなく、その根拠については、FDA及び米国の企業に確認いたしましたが明らかでなかったこと。また、英国では添付文書での記載はないということです。PGF2α製剤では、米国及び英国で出血性の脳血管障害に関する注意喚起はされておらず、PGE2製剤は、米国及び英国では発売されておりません。
 国内外の産婦人科診療科ガイドラインにおいては、出血性脳血管障害を引き起こす要因として陣痛促進剤は記載されておりません。3ページです。文献の調査において、医学中央雑誌の検索では、オキシトシンについては2件、PGE2については4件、合計6件が検出されましたが、陣痛促進剤と出血性脳血管障害の関連を述べたものは、平成22年に機構が評価した症例のみでした。
 また、PubMedの検索で国内外の文献を検索したところ、陣痛促進剤と出血性脳血管障害との関連について述べた文献は、平成22年に機構で評価したもの以外では、1991年から1992年における国内外の分娩時死亡例で、脳出血とされる35例のうち、陣痛促進剤の使用は5例であったが、経腟分娩総数及び陣痛促進剤の使用率において、一定の仮定を置いて、3種類の陣痛促進剤と出血性脳卒中のリスクが増大する可能性は低いと関連付けたものでした。製造販売業者からの文献報告においては、いずれも症例報告で、機構の因果関係評価では、因果関係は不明ということです。
 4ページは、平成22年の機構の評価以降の、平成21年12月から平成25年6月までに報告された、出血性脳血管障害は、表1のとおり10症例でした。表1の発現年月を見ると、これらの全ての症例は2001年以前に発生したものです。これらの症例においては、追加的に患者会の方々から情報提供頂いたカルテを含め、専門家より評価をされておりますが、いずれも陣痛促進剤と出血性脳血管障害との機構における因果関係は不明と評価されております。
 5ページは、陣痛促進剤における血圧上昇によって、脳内出血が発現する可能性について調査したものです。参考資料3-5の148ページ以降には、陣痛促進剤の添付文書が記載されております。その血圧の影響については、その他の副作用の所に、オキシトシンは静脈内注射後、一過性の血圧下降、血圧上昇等、PGF2αは血圧上昇・血圧下降、PGE2は血圧上昇と記載されています。
 戻って報告書の5〜6ページです。オキシトシンについては、血圧が上昇するという文献と、血圧が下降するという文献があること。PGF2αでは、教科書的には肺血管及び静脈では強力な収縮物質であり、実験動物では上昇するが、ヒトでは血圧に影響しないとされております。承認申請時に提出された資料によると、イヌにおいて、5〜20μg/kg投与においては、下降の後5〜30mmHgの上昇が認められたものもあった。ネコ、ウサギでは、血圧は変化なし又は下降した。ヒトにおける総投与量520〜1,000μgにおいては、最高収縮期/拡張期血圧は24〜30mmHgの上昇があった。PGE2においては、ヒツジを用いた論文では、PGE2は母体の血圧に影響しなかったとするものがあり、承認申請時の資料では、ラットに3〜300μg/kg静脈注射したところ、用量依存的な血圧下降が認められた。臨床試験では10件の論文のうち、副作用として血圧上昇が2件認められたが、そのうち1件は妊娠中毒症の例で、収縮期/拡張期血圧が200〜100mmHgまで上昇しましたが、一過性の異常と薬剤の因果関係は疑問視されるとされており、もう1例は血圧上昇は軽微だったとされています。
 8ページで、これらの情報に基づいて機構は、国内外の産科の教科書、ガイドラインにおいて、脳内出血を引き起こす要因として、陣痛促進剤が記載されていないこと。文献等の調査で、陣痛促進剤と出血性脳血管障害との関連性について明確に述べているものが確認できないこと。副作用報告において、陣痛促進剤の使用との因果関係は不明であること。陣痛促進剤により血圧が上昇することを示唆する文献でも、脳内出血の発現まで言及したものがなかったことから、重大な副作用として添付文書に注意喚起を記載する根拠は乏しいと判断しております。
 これについて機構の専門委員からは、血管平滑筋では、弛緩性のプロスタグランジン受容体(動脈のみ)、弛緩性のプロスタグランジンE2受容体のサブタイプ2及び4以外の受容体が、どの血管で発現しているかは現時点では不明であること。陣痛促進剤としてプロスタグランジンの投与量は、受容体に交叉反応するよりはるかに低いと思われるとの意見が出されております。
 資料3-3は、「陣痛促進剤による被害を考える会から提出された文献」が取りまとめられております。陣痛促進剤の血圧の影響については、3ページの3-1から3-3辺りが該当するものかと思われます。妊娠ラットなどで血圧の上昇が認められたとする文献です。出血性脳血管障害についての説明は以上です。
○五十嵐座長 ただいまの説明について、御質問、御意見をお願いいたします。
○奥西参考人 教科書とかいろいろな文献を調査して、PGF2αが血圧を上げないと。もちろん下降させるという結論を導いているわけです。資料3-3の278ページの左上のFig.4.というグラフがあります。これは、妊娠ラットでPGF2αをボーラスIVしたときの、一番上が呼吸、次の段が血圧、一番下が胎盤血流です。これを見ると、明らかに血圧のベースが80mmHGぐらいで、スケールが読みきれないのですけれども、恐らく150mmHgか160mmHgぐらいまで、もうちょっと上がっているでしょうか、はっきりと血圧が上がって、しかも少なくとも20分、あるいはそれ以上高血圧が持続しているというデータが出ております。
 これが会の方から提出されているわけですけれども、このデータが今回のサマリーには盛り込まれていないと思うのです。だから、こうやって明瞭にPGF2αが血圧を上昇させるというデータがここにビジュアルに示されています。それが第1点です。
 それから、教科書の所でグッドマン・ギルマンを引用して、PGF2αは、実験動物では血圧を上げるけれども、ヒューマンでは血圧にほとんど影響しないという記述があります。それは、現在の知見からいうと矛盾していると思います。どういうことかというと、PGF2αに対するリセプターというのは、FPというリセプター、サブタイプがAとBがあります。このいずれも細胞内のシグナルは、いわゆるフォソリパーゼCを介して、イノシトリソフォスメイトとジアシルグリセロンを精製して、IP3は細胞内のカルシウム濃度を高める。ジアシルグリセロンはプロテインキナーゼCを活性化する。どちらも細胞に対してはプラスのシグナルである。特に平滑筋の場合には、平滑筋の収縮というシグナルになるわけです。これは例外はなく、F2αに関しては必ず平滑筋は収縮させるだろうということが予測できるし、現実にそういうことを私は滋賀医大の戸田教授の研究室にいたときに、これはヒューマンの血管のストリップを使って、実際にF2αで張力を上げて、その状態でいろいろな薬物の影響を見るという実験をやってきました。例外なくヒューマンの血管、脳血管であれ、腸管膜の動脈であれ、例外なくF2αで収縮が発生するのです。
 ということは、当然in vivoで投与したときに、血圧が上昇するだろうと予測できるわけです。そういうことからして、グッドマン・ギルマンの記述というのはちょっと古いのではないか。最新の知見を踏まえて、もう一度再考したという記述ではどうもなさそうだと思っております。私としては、今回のサマリーの結論を導いているというのは何か早すぎるのではないか、拙速ではないかという気がいたします。
 これは私からの要望といいますか、提案なのですけれども、資料3-3のデータを出している寺木先生が本日は傍聴席にお見えですが、寺木先生の意見陳述、あるいはそのデータのプレゼンテーションをこの委員会の席で是非設けていただいて、もう一度血圧上昇作用に関し、慎重な検討を重ねていただきたいと思います。以上です。
○五十嵐座長 御意見ありがとうございます。それについて何かありますか。
○水上参考人 必要であるのは、ヒトにおいて薬用量、実際に厚生労働省が認可している薬のドーズを使った場合に、血圧が上昇するか、妊婦においてするかどうかということであって、動物実験若しくはin vitro実験でのことは、ある意味参考にならない。私が申し上げたいのは、資料3-2の3ページに引用されている文献の2番は私どもが出した論文です。この論文に対して、当時子宮収縮薬の使用頻度が分からないから、実際にこの論文を信用してできるかどうか分からないという批判が、PMDAで作った報告書の中に書かれております。その後、私どもが日本産科婦人科学会に登録された30万名の妊婦さんにおいて、子宮収縮薬は24%に使用されておりました。この文献に載るときの結論は7%以上に使用されていた場合には、子宮収縮薬は脳出血を増加させることはないという結論でした。実際には24%に使われていますので、そういうことはないということです。
 私が危機感を持っているのは、動物実験でこうであったからというような、フィジオロジーベーストメディスン(physiology-based medicine)が、いかに臨床の場において産科医を苦しめているかということを申し上げたいのです。実際にヒトに投与した場合、しかも妊婦に投与した場合にどういう影響を与えるかということは、やはり妊婦でやったデータを信用してもらうしかないということになります。
○五十嵐座長 臨床の方からの反論が出ています。
○奥西参考人 動物実験のデータは、飽くまで動物実験のデータだと。ヒトにそのまま当てはまるものではないと。これは私も長年薬理学を研究していて重々承知しております。ただ、ヒトというのは、ものすごくヘテロな集団です。現在の実験動物というのは非常に均衡形で、ホモジニアスな集団だと。だから、そこで得られたデータが、もし仮に種差があまり見られないとしても、均衡形で得られたデータが、ヘテロなヒトの集団にどれだけ当てはまるかという、そういう疑義が生じるというのはよく分かります。
 ただ、それは逆に裏を返せば、ヒューマンというのは非常にヘテロな集団ですから、だからこそ感受性というのはものすごく個体差があるというのもまた事実です。そうすると、そういうかなり大規模な集団での統計データというものと、それから実際の個別の症例というのが、必ずしも1対1に相関してこない場合もあると思うのです。一番大事なのは、実際に事故が起こった患者さんのケースについてどうなのかという解析が必要だと思うのです。
○水上参考人 反論させていただきます。個別の症例においての解析は、実際にその方にその薬剤がそれを引き起こしたかどうかということは、サイエンティフィックにはほとんど不可能に近いです。だから、そのために、その頻度、使用した方と使用していない方での頻度を比較するということを、我々は臨床疫学としてやっているわけです。それで実際問題としては、副作用のない薬はありません。その有用性、すなわちその薬によって利益を受ける、その利益と不利益のバランスにおいて、薬剤の有用性は決定されると理解しています。
 例えば、年間日本で110万人弱のお産があります。そして25万人から30万人の方が子宮収縮剤を使用しています。米国では40%の方が使用しています。イギリスでは50%近くの方が使用しています。そのように広く使用されている薬が、実際に今のところどこのガイドラインにも、またそれを積極的に脳内出血を引き起こすというデータが得られていないということは、利益のほうが不利益を上回っていると考えるのが普通の考え方だと思います。
○奥西参考人 私は、その統計解析の詳細を存じ上げません。例えば、それは使用の有無というだけでグループ分けされているのでしょうか。例えば実際の投与量で群分けはされているでしょうか。
○水上参考人 いや、もちろんそんな詳細な検討はできません。限りのあるデータソースですから。
○奥西参考人 そうですよね。先生がおっしゃる集団、マスでのデータ解析しか臨床の場合には利用できる手段がないのだと、その点はよく分かります。ただ、よくよく個別のケースを検討してみれば、やはり投与したドーズとアウトカムとの間の相関というのが起こり得る、あり得るのではないかという気はします。
○水上参考人 先生がおっしゃられたことは想像ですよね。
○奥西参考人 いや、あのー。
○水上参考人 我々は、実際に患者さんに投与していて、先生のように言われる方が、今まで言われたオーソリティベーストメディスンで、どれほど産婦人科医が、恐らくそのことと関連のなかったことで責任があるということを言われて、産科医を苦しめたか先生は御存じですか。その辺は実際にヒトの妊婦に投与して、果たしてそれが引き起こしたという証拠があるのであれば、私どもはそのことに対してはきちっとします。しかし、年間25万人以上に使用されている薬剤です。それで、実際に日本で脳卒中の確率というのは、日本産科婦人科学会と日本脳外科学会、脳卒中学会で調べていますが、ちょっと開きがありまして年間80人から150人です。実際に子宮収縮剤が使用されるような分娩中に起こっているのはその3分の1ぐらいです。そのような事実がある所に、動物実験でこのようになるから、ヒトでも起こるはずだという理屈を持ってきて、その薬の使用を制限するというのはどういうことなのでしょうか。
○奥西参考人 これは、かなり根本的なサイエンスということに関する、基本的な議論になってしまうと思うのです。マウスのデータで、特に積極的な因果関係を見いだすデータはないという場合であっても、少なくとも収縮剤の使用と、実際に起こった有害事象が、因果関係が否定できるというところまではいかないと思うのです。
 安全性というものの考え方として、その因果関係は不明という表現をしきりに使われていますけれども、それはサイエンスの面からいうと、不適切な表現だと思うのです。因果関係が証明できないという場合でも、因果関係を否定はできないというのも事実です。薬の安全性というのは、いわゆる犯罪の疑わしきは罰せずというのではなくて、それの真逆で、疑わしい場合はその可能性を否定はできないという表現をするのが最適ではないかと思うのです。だから、因果関係は不明であるということイコール因果関係はないという解釈ではなくて。
○水上参考人 疫学調査のデータはそれを否定するものなのです。ですから、使用していたヒトの中で、決して頻度が高くない、後で子癇と常位胎盤早期剥離について出てきますが、その中では30万の日本産科婦人科学会に登録された症例では、子宮収縮薬を投与されていた症例のほうが、その2つの頻度は低いのです。常位胎盤早期剥離と子癇の発症頻度は、子宮収縮薬が使用されていた症例では低いのです。
○五十嵐座長 その議論はまた後でしていただきたいと思います。現時点では、出血性脳血管障害について御議論いただきたいと思います。
○水上参考人 はい。
○大野委員 今の議論で、陣痛促進剤が3種類あるわけです。その3種類を十把一絡げに議論しているところが食い違っていると思うのです。奥西先生は、PGF2αのことを多分中心にお話をされているのではないかと思うのです。
○奥西参考人 そこを中心に考えています。
○大野委員 水上先生は、陣痛促進薬全般について統計解析してということですね。
○水上参考人 もちろん使用された薬剤は分かっています。例えば、どういうことをしなければいけないかというと、5年分ぐらいの日本の全例の調査をしてやっと、もしかしたら差が出るか出ないかという程度の、ものすごい微細なことを議論しているわけです。
○大野委員 そこの解析は非常に難しいのだと思うのです。私が申し上げたいのは、3つについて全部まとめて評価するのは難しいのではないかと思うのです。ここで特に問題になっているのは、PGF2αの問題だと思っているのです。血圧が上昇する可能性があるということを奥西先生は言われているわけです。今回この承認申請時の資料を読ませていただきました。
 参考資料3-2の268ページから何ページかにわたって13人でしょうか、出産の前と後で心電図を測っているデータが記載されています。そのときの報告だと、余り心血管系に対する影響はないという結論だったと思っています。ハートレートを見ると、PGF2α投与開始前と後でハートレートが下がっているように読めるのです。この図から計算したので正確ではないのですけれども、場合によっては3割ぐらいハートレートが下がっている。
 基礎的な面だと、心臓に対する直接作用という面だと、PGF2αはハートレートに影響しないというのが申請時の資料に載っています。それは、ウサギの心臓ですけれども、心臓に直接作用がなくて、それでハートレートが下がっているということになると、血圧が上がって、その反射としてハートレートが下がったのか。基礎の薬理面からだとそう考えてしまうのです。実際にそういう状況のときに、血圧を測るというのは非常に難しいとは思いますけれども、少なくともこれだけ見ると、投与直後だと血圧が上がっている可能性がある。
 332ページ辺りから、もう1つ臨床試験のデータが載っているのですが、そちらでは「影響がない」とはっきり書いてあります。これは、心電図から見てもそのように読めるのですけれども、これは投与直後の結果ではなくて、時間がたってから心電図を測っているのです。だから、投与直後の変化は取られていないのです。可能性としては、PGF2αによる血圧上昇というのは否定できないのかと思っています。
 ただ、その血圧がどのぐらい上昇したら脳血管障害を起こすような、そういうクリティカルなものがというのは全然分からないです。
○中込参考人 私は脳外科医なので実際に手術をしていますので、その辺のお話をさせていただきます。F2αですけれども、私も医者になってしばらくそういう実験をやっていました。確かに収縮作用はあるので、血圧が上がることはいいと思います。それではどのぐらい上がるかということですが、それは濃度の問題で、低い濃度だとそれほど作用はないかもしれないです。種によっては、収縮と弛緩を繰り返してしまうこともあるので、ずうっと収縮が続くわけではないようです。
 正常の脳血管、細動脈でも構いませんけれども、いわゆる脳出血のときに破れるような血管は、記憶によれば、昔の生理学の教科書には書いてあったと思うのですが、間違っているかもしれません。少なくとも数百ぐらいのmmHgに耐えられるということが生理の教科書に書いてありましたが、峰松先生それで間違いないですか。少なくとも数百ぐらいのmmHgぐらいの血圧には耐えるのです。したがって10mmHgや20mmHg上がったからって、実際にどうということは普通はないと思います。
 実際に我々は手術をするのですが、大体手術中は、脳の動脈瘤でも腫瘍でも構いませんけれども、出血を避けるために90とか100mmHg、せいぜい110mmHgぐらいで麻酔を掛けて手術をしています。手術が終わると、痛みとかでだんだん上がってきますけれども、人によっては160〜170mmHgはすぐになります。そういう人がみんな出血を起こすかというと絶対にありません。たまに200mmHgを超えることがありますけれども、そういうことでもありません。つまり、正常な血管であれば、そう問題はないのではないか。
 例えば動脈硬化があるとか、微小血管に動脈瘤(Micro Aneurysm)ができていたり、壊死があったりといった病的なものがあるとか、別のメカニズムがあればそれは破綻することがあるけれども、正常な血管である限り、そんなに破れやすいものではないのではないかというのが、脳外科医としての私の経験です。峰松先生お願いします。
○峰松参考人 先ほどお話のあった産婦人科学会と脳外科学会との共同の調査というのは、国立循環器病研究センターが事務局になって、今必死に集めているところです。いろいろ疑問点を解決するために行われているのですが、この頭蓋内出血はそんなに頻度が多くなく、因果関係に白黒付けるのは難しい。
 国立循環器病研究センターの入院症例を調べた研究があり、論文として公表予定になっています。国立循環器病研究センターは急性期の脳卒中患者が年間1,000例以上入院する国内有数の施設です。そういった施設でも、28年間で妊娠・出産に関係して発症した脳出血入院例は14例、くも膜下出血5例です。かなり詳しく原因を調べましたが、脳出血の14例中13例には何らかの基礎疾患がありました。
 動静脈奇形、もやもや病、妊娠高血圧症候群がほとんどです。1例だけ原因がよく分からないのがありました。先ほどお話があったように、背景に何かあって、それが妊娠のときのいろいろな状況、血圧上昇は1つの要素だと思うのですが、それがトリガーになって破れるというメカニズムを考えています。
 更に、それに陣痛促進薬がどのように関与しているかというのを臨床的に分析するのは非常に難しい。少なくともデータ上は、頻度に余り差がない。我々のデータでも、「そういう薬を使っているほど多かった」というデータは出ていないのです。あったか、なかったかということを分析すると、関係ありそうだというデータは今のところ出てきていない。先ほど言われた全国的な調査が進めば、結論が出てくるかもしれないと思っています。
○五十嵐座長 横溝先生はいかがですか。
○横溝参考人 順天堂大学医学部で、プロスタグランジン受容体の分子生物学を研究している関係で少しコメントさせていただきます。今問題になっているFPという、PGF2α受容体は、細胞膜を貫通するタンパク質です。遺伝子はどの細胞にもあるのですが、タンパク質として発現するためには、メッセンジャーRNAが作られて、それがタンパク質の翻訳される必要があります。
 FPについて気を付けなければいけないことは、FP受容体の遺伝子は、特定の状況下で急激に発現上昇することがあるということです。例えば、一番よく解析されているのはマウスです。マウスで卵巣を摘出して、女性ホルモンがない状態にする。正確に言うとプロゲステロンという女性ホルモンがなくなると、発現量が100倍ぐらいに上昇します。ただ、これは飽くまでもマウスの子宮の受容体の話です。
 実は、今問題になっているヒトの血管平滑筋に、FPの受容体がどの状況で、どのぐらい発現しているかという研究はほとんど行われていないのが現状だと思います。ですから、現実的な評価はかなり難しいですけれども、血圧上昇に関して個人差が出る1つの原因は、個体によって血管内皮に発現するFP受容体の量が、恐らく状況によっても、分娩の前後でも大きく変わることが原因だと思います。これに関しては、テーラーメイド医療のような形でモニタリングすることはかなり困難だと思います。
 先ほどからいろいろな動物の実験データの話がありましたが、他の動物で非妊娠時に行われた薬理学的な実験は、恐らく参考にならないと私は考えます。ただし、FP受容体が非常にたくさん血管平滑筋に発現している患者さんがおられたときに、陣痛促進剤として使う用量のPGF2αを投与したときに、脳外科の先生がおっしゃったように、血管の破綻を期たすほどの血圧上昇が起こるかどうかということに関して私自身はコメントできかねるところがあります。それに関して、個々人のデータを取ることができない以上は、先ほどから何名かの先生がおっしゃっている、いわゆるマスデータの解析で、リスクベネフィットをシーソーに掛けて判断するのがいいのではないかと考えます。
○石渡参考人 私も臨床の立場からです。妊産婦の死亡については登録をしていただいて、ほぼ全例の妊産婦死亡が産婦人科医会あるいは池田班に上がってきています。その中で、脳出血による死亡はおよそ10%ぐらいです。先ほど委員の先生からお話がありましたように、その中には分娩のときではなくて、例えばもやもや病であるとか、脳動脈瘤であるとか、あるいは妊娠高血圧症候群であるとか、そういうものに合併していることが多いです。
 例えば、子宮収縮剤を使ったから脳出血が起きているというはっきりしたエビデンスはないのです。ただ、もう少し症例を集めていかないと何とも言えません。現時点においては、子宮収縮剤と脳出血の関係は、症例数は少ないですけれども、あるという印象は全然持っておりません。
○五十嵐座長 貴重な御意見をありがとうございました。
○矢野参考人 奥西先生にお聞きします。奥西先生が言っておられる動物実験の論文を読んでみると、静脈投与実験に使っている濃度は、我々が使っている濃度よりも10倍から100倍ぐらい高いと思うのです。それに基づく見解は如何なものかと思うのですが、どうでしょうか。
○奥西参考人 マウス実験ではそうだということです。それは、飽くまでも血管にトーンを持たせるために、そういうドーズを使っています。
○矢野参考人 かなり高濃度ですよね。
○奥西参考人 そうです。それはそれでそのままin vivoに適用できるとは私も思いません。ただ、定性的に言えば、F2αというのは血管を収縮させるというのはレセプターの面から見てもそうです。そういう性質を持っているのは間違いないだろうと、これは否定できないと思います。
○矢野参考人 そのような濃度を我々が使うことはないです。
○奥西参考人 でも、それがベースになっているわけですよね。生理学、あるいは病態生理学を考える上で。ですから、それを全く否定するわけにはいかない。先ほど横溝先生からもコメントがありましたが、FPレセプターの発現レベルといいますか、発現量といいますか、それは相当個体差があるのではないかと思います。
 in vivoの場合に難しいのは、実際にF2αで血圧が下降するというフェーズも観察されていますので、これをどう考えるかということなのです。これは私の推測ですけれども、FPレセプターを介して、例えば血管内皮細胞の細胞内カルシウム濃度が上がる。そうすると、そこからNOが放出されて、それが血管平滑筋をリラックスさせるというような、そういうセカンダリー、あるいはターシャリーというか、もっと複雑な現象が生体の中では起こっていると思うのです。だから、そういうのをトータルして考えなければいけないと思うのです。
 ただし、そういう複雑なネットワークというのも個体差が非常に大きいし、個人の動脈硬化、まだ潜在的かもしれませんけれども、ヒトの動脈硬化というのは20歳過ぎると進行しているのだというデータがあります。そういうことからすると、20代あるいは30代初めであっても、個体によって随分血管の状態は違うだろうと思うのです。だから、余りマスのデータだけに頼りすぎると、個別の症例検討を疎かにするおそれがあるのではないか。そこが私の懸念するところなのです。
○五十嵐座長 委員の方からどなたか御意見はありますか。
○望月委員 今の御質問で、私も何となくお答えを頂いたような気がするのでが、やはり、ワンショットで入れる場合と、臨床で使うように薄い濃度を持続的にずうっと点滴で入れていく場合と、血圧に対する影響も違うのではないかと思いながら、先ほどの動物実験のデータをお聞きしていました。恐らくボーラスで入れて、一過性に急激に血圧が上がるというようなことでしょうか。その辺をちょっと教えてください。
○奥西参考人 私自身は、F2αを実際に動物でインフュージョンして血圧をモニターする、という実験はやっておりません。先ほど紹介したラットのデータは、ノーマルラットではなくて、プレグナントラットです。プレグナントラットでボーラスをやるとこういう結果になったということです。
 寺木先生のデータによると、F2αの半減期は17分だと。普通は、もっとそのオータ……というとショートライブだと、大体常識的にそう考えられていると思うのです。私自身もそのように考えておりました。ただ、寺木先生のデータを拝見すると、F2αは半減期が17分と結構長いのです。それで、持続的にインフュージョンして、割合短時間のうちにドーズアッブしていくと、その血管収縮作用は結構累積的になってくる可能性はあると私は考えています。
○五十嵐座長 ただいまの議論は、ずうっとプロスタグランジンのF2αに限ったお話でした。その他のオキシトシン、プロスタグランジンE2について特別御意見はありますか。
○奥西参考人 オキシトシンに関しても、実際に血圧は上がるというデータがあります。これもリセプターということを考えれば、極めて妥当な結果だろうと思うのです。皆様御存じのように、オキシトシンというのはマゾプレッシンとアミノ酸残基が2か所しか違わない。しかも、結合するリセプターがマゾプレッシンと同じV1、V2ということまで分かっているわけです。そうすると、特にV1というレセプターにクロスリアクトするということであれば、血管収縮、血圧上昇ということは十分あり得るのではないかと思っています。これは、基礎的な分子薬理の方面からです。
○五十嵐座長 プロスタグランジンE2についてはどうですか。
○奥西参考人 E2に関しては私もよく分からないというのが実際のところです。リセプターのサブタイプが多いです。それぞれにクロスリアクトする。そのリセプターの後に続くシグナルが、平滑筋の収縮の方向に向かうものと、平滑筋を弛緩させる方向に向かうものと、真逆のリセプターをE2がどちらも刺激し得る。そうなると、単純な予想は成り立たない気がします。実際にE2に対するリスポンスというのは、かなり多層性といいますか、マルチベーシックといいますか、そういう現象が観察されています。だから、E2に関してはなかなかはっきりしたことを申し上げにくいと思っています。
○矢野参考人 私は、以前にPGの基礎実験をよくしていました。PGE2は血管拡張の作用があり、NOを産生していると思います。ただ、血圧とは余り関係ないかと思っています。子宮筋の収縮は非常にいいと思うのです、成熟とか。だから、血管にはどうでしょうか、拡張のほうが多いかと思っているのです。
○五十嵐座長 オキシトシンに関しては、血圧は上がるという。
○矢野参考人 オキシトシンは、上がる可能性はあると思うのですけれども、実際に私は今までに使ってきて、上がった人はほとんどいませんでした。上がった人は、石渡先生がおっしゃっていたように、ベースに妊娠高血圧症があったり、40歳近い妊婦さんだったり、要するに35歳以上の人です。結構リスクのある、血管病変が底辺にあるのではないかと思われる人しか上がらないと思うのです。それも使い方であり、適正に使えば安全な薬だと思っています。
○五十嵐座長 他にはいかがですか。
○水上参考人 先ほど申し上げた、私どもが作成した論文の2ページですが、その内容を見ると実際に脳に基礎疾患として、例えば脳動静脈奇形とかそういうことがない方で、ストロークのために死亡された妊婦さんを見ると、8割は妊娠高血圧腎症、もしくはヘルプ症候群をもっている患者さんです。しかも話を複雑にしているのは、皆さんは、その人たちは血圧が上がって出血されたのだろうと思っているかもしれませんが、それの証明がないのです。出血すると血圧は上がります。その前に血圧が正常であることが確認されている方が多いのです。
 皆さんが思い描いているストーリーは、子宮収縮を投与したら、それは高血圧を引き起こす可能性があるのだと、高血圧を引き起こしたら、もしかしたら脳血管の破綻が起こるだろうと、頭の中で考えたストーリーを構築されていますが、それの証明がないのです。妊娠高血圧腎症というのはどういう病気かということを簡単に言うと、全身の血管の病気です。血管内皮障害によって、血管透過性亢進が起こって、そのためにむくみが出ます。
 妊娠中の血管というのは、先生方が考えておられるのとは全く違います。それがなぜ分かるかというと、アンジオテンシン痛に対する反応性がすごく落ちているのです。わざわざ落ちているのです。それと、人間の妊娠中は、循環血液量が何と4割以上増えるのです。体重は2割しか増えないのです、妊婦さんは。循環血液量は4割増えます。そのために、なるべく圧を上げないためにそういう工夫が行われています。妊娠している状態は、妊娠していない状態とは全く違った環境にあることをまず御理解いただかなければならないです。また、動物のモデルは参考にならないことも御理解いただかなければいけないです。
○五十嵐座長 他に御意見はいかがですか。
○大野委員 オキシトシンとプロスタグランジンE2の陣痛促進薬としての適用は欧米でも認められて使われています。欧米では、特にそれによる脳血管障害というのは大きな問題にはなっていないということで、私は比較的楽観視しています。F2αについては、医薬品機構の報告書の中で、使用されているかどうか確認されていないということなのですが、それは販売されているのですか、それとも承認されているのかどうか。承認されていないのだったら、欧米ではPGF2αの陣痛促進薬としての使用の問題点というのは、使用されていなければ、そういうのは出てこないわけです。その点に関する情報が不足しているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○矢野参考人 水上先生が正しいかと思うのですけれども、欧米ではPGは余り使いません。使われていないと思います。アメリカなどでは、ほとんどオキシトシンだけではないかと思います。
○大野委員 F2αは認可されていないのですか。
○矢野参考人 認可は分からないのですけれども、余り使わないです。
○水上参考人 普通、F2αはほとんど使われていないのではないかと思います。
○矢野参考人 まず、アメリカでは教科書にも載っていないです。
○大野委員 そうなると、日本でのF2αのデータは極めて重要だと思うのです。
○水上参考人 おっしゃるとおりです。今すぐには出ないのですが、私が調べた限りでは、F2αが脳内出血を引き起こすということを抽出することはできませんでした。これは、全く中立な立場に立ってみてです。
○五十嵐座長 統計的に見てということですか。
○水上参考人 はい、統計的に見てです。起こったとしても、ものすごい希なことなので、10年ぐらいかけてやらないと駄目なことなのかもしれません。
○五十嵐座長 そういうことで、他に御意見、御質問はありますか。よろしいようでしたら、そろそろ取りまとめをしたいと思います。今までの御意見をまとめると、特にプロスタグランジンF2αについて動物実験では血圧を上げる可能性がある。しかし、統計学的に調べてみても、このプロスタグランジンF2αを使ったグループで、明らかに出血性脳血管障害が増えたというデータは今のところは頻度が少ないためか、まだ分からないという状況です。オキシトシンに関しても、確かに理論的には血圧が上がる可能性はあるのだけれども、しかし現実に使って見ている先生方の印象からは、血圧が上がることは余りないのではないかということだと思います。プロスタグランジンE2に関しては、むしろ血圧が下がることが実際には多いのではないかという御意見でした。
 その3つの添付文書を改訂するかどうかということの現時点での判断をしなければいけないのですが、これについての御意見はいかがでしょうか。3つに分けたほうがいいと思うのです。まずはオキシトシンに関してはどうでしょうか。添付文書の改訂が必要でしょうか、あるいは注意喚起をあえてする必要があるでしょうか。これについて御意見を頂きたいと思います。
○水上参考人 現在は、子宮収縮薬全般について、そういう有害事象が起こる可能性があるので十分注意するように、バイタルサイン等に注意するようにと書いてあります。
○五十嵐座長 平成22年に。
○水上参考人 平成22年の改訂でです。分娩というのは命をかけた行為ですよということで、薬を使用するときにはどんな薬剤であっても注意しなさいという意味で残してもいいと思うのです。しかし、個別に、これは特にあれだからとか、特別な注意喚起を更に上乗せする必要はないと思います。せっかく作られた平成22年度のものも削除しないでこのままでもよろしいのではないかと私は思います。
○五十嵐座長 削除することは最初から考えていないです。添付文書をあえて改訂したり、注意喚起をあえてするかどうかということなのです。それはしないで、今までどおり平成22年の改訂のままでしばらく行こうという御意見と考えてよろしいですね。
○水上参考人 はい、そうです。
○大野委員 私も注意喚起に関して、オキシトシンについては今までと同じでよろしいと思います。その理由としては、今回示していただいた事故例が、先ほど説明がありましたように10年以上前のものであって、最近は特に出ていないということですので、今特にやらなくてはいけないということはないのではないかと思います。
○五十嵐座長 他の委員の方も同じような意見ですか。それでは、オキシトシンに関しては今までどおりでいこうということでよろしいですね。それでは、本日一番議論の多かったプロスタグランジンF2αについてはどうでしょうか。
○奥西参考人 添付文書を拝見していると、妊娠、分娩そのものがそういうリスクを伴うものであって、それに対しての配慮を求めているのが添付文書の内容だと思うのです。動物実験のプレグナントラットでのデータではこれだけ明らかに出ているわけです。それと、基礎的な薬理学の知見を考慮すると、何らかのリスクを高めるおそれは否定できないと思うのです。因果関係は不明であると。それはそういう1つの表現なのですけれども、やはり安全率を掛けて、因果関係を否定できないという正確な表現に改めていただきたいと私は思います。
○五十嵐座長 御意見はよく分かるのですが、添付文書の改訂が必要なのかどうか、あるいは改めて注意喚起を更にすべきなのかどうか、その点についてはいかがですか。
○奥西参考人 やはり、そういうリスクの可能性がまだ否定されていないわけですから、そのことを今後も検討を続けていく、という慎重な姿勢は必要だと思います。
○五十嵐座長 そうすると、添付文書の注意喚起、あるいは改訂ということではなくて、動物実験等で、血圧が上がる可能性は否定できないので、これからも注意していくという、そういう文章を一言どこかに入れていただきたいという感じですか。
○奥西参考人 少なくともそういうことだけでも。
○五十嵐座長 これについてはどうでしょうか。今の御意見だと、添付文書で注意喚起、あるいは改訂をすることはしないけれども、動物実験等で血圧が上がるデータがあるので、引き続きこれに注意していく必要があるということですが、これについて委員の先生方はいかがですか。
○水上参考人 それは、平成22年度の改訂で入ったのですよね。
○五十嵐座長 そうです。
○水上参考人 それが入ったのですよね。
○五十嵐座長 入っています。更にそれ以外に入れるということですか。
○奥西参考人 今の表現だと、ちょっとそこのアピール力が弱いかなという、これは私の感じ方ですけれども。
○五十嵐座長 参考資料3-5の159ページに、プロスタグランジンF2α製剤の添付文書がありますので、これを御覧いただきたいのですが。160ページの使用上の注意の静脈内注射投与の所に、(1)慎重投与の3)高血圧症のある患者「血圧上昇作用がある」。その上は、心疾患のある患者「血管収縮作用により心機能を悪化させるおそれがある」。こんな注意は既に書かれてはいます。奥西先生、これ以上に何か具体的にどのような文言を入れたほうがいいということですか。
○奥西参考人 特に添付文書の投与量、投与速度といいますか、それがしばしばそれを超えて使用されるケースがある。それで、学会のガイドラインもそのようになっておりますので、その点の更なる注意喚起というか。
○遠藤委員 総合機構の最後の報告書の総合評価の所に。
○五十嵐座長 資料3-2ですか。
○遠藤委員 資料3-2の15ページの一番最後の所に、「適正使用が確保されるよう情報提供を続けることが重要である」と書かれているので、ここの所を徹底していただければいいのではないでしょうか。奥西先生のおっしゃる内容であれば、ここの所をしっかりとやってもらえばよいのではないでしょうか。先生のおっしゃるようなことは、添付文書にほとんど書かれています。書かれているからいいというわけではなくて、それを関係のドクターなどにきっちり分かっていただく努力を続ける必要はあるのではないかと思うので、ここの所をしっかりやっていただければ、先生の御心配な所はある程度解決の方向に向かうのではないでしょうか。
○五十嵐座長 石渡先生はどうですか。
○石渡参考人 私も全く同感です。あえて添付文書を改訂したり、あるいは追加・補充する必要は今はその段階ではないと思います。
○五十嵐座長 他にはいかがですか。委員の先生方はよろしいですか。奥西先生がおっしゃっていることは重々よく分かるのですが、添付文書の160ページの「使用上の注意」の所の全体を見ることによって、先生のおっしゃっていることはかなりカバーできるのではないかという御意見なのです。そういうことでよろしいでしょうか。ですから、あえて注意喚起をしたり、あるいは添付文書の改訂を行うことはしないということで、委員の先生方もよろしいですか。
 プロスタグランジンのE2に関しては、特に議論はなかったのですけれども、これについてはあえて改訂する必要はないということでよろしいでしょうか。まだ不満な点はあるかもしれませんが、この3つの薬剤に関しては、あえて添付文書を改訂したり、あるいは注意喚起をあえてすることは、今回は見合わせると。その代わり、160ページの3)にあるような、平成22年に出された注意喚起に関して、使用上の注意についてはこれを徹底するようなことはこれからも必要であるという、そういう結論にしたいと思いますがよろしいでしょうか。
 それでは、次に常位胎盤早期剥離について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは常位胎盤早期剥離について説明いたします。資料3-2の9ページから記載があります。時間の都合上、端折らせていただきます。海外の添付文書の状況では、英国ではオーバードーズの項に、子宮過剰収縮の結果、胎盤早期剥離などが報告されていると記載されています。
 11ページです。総合機構の前回以降の報告については表2にあります3報告がありました。こちらについては一番新しいので2005年の症例となっています。
 12ページ、調査結果です。常位胎盤早期剥離は、妊娠中に希に生じること。国内外のガイドラインで、常位胎盤早期剥離を引き起こす要因として陣痛促進剤が記載されていないこと。文献等の調査において関連が明確に述べられているものが確認できないこと。いずれの副作用報告においても関連の因果関係が不明であること、ということで添付文書に注意喚起をすることの根拠は乏しいとの結論付けです。
○五十嵐座長 ありがとうございました。常位胎盤早期剥離についてそれぞれ3つの薬剤があるわけですが、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○水上参考人 常位胎盤早期剥離についてこの子宮収縮薬が発症頻度を増加させるかどうかの調査をしました。先ほど申し上げましたように、日本産科婦人科学会に2005年から2009年までに登録された30万名弱の妊婦さんの投与状況とその予後について検討されたものです。それによりますと、常位胎盤早期剥離は約1%、0.9%、100人に1人の方に起こります。そのときの子宮収縮剤の使用頻度は、先ほど申し上げたとおり約24%です。その子宮収縮薬を使用していた方の間での常位胎盤早期剥離の頻度はむしろ低いものでした。ということで、子宮収縮薬が常位胎盤早期剥離の頻度を有意に増加させる、若しくは増加させるという事実はないのではないかと私は思っています。
○五十嵐座長 いまの御発言に質問ですが、それぞれ3つの薬剤、別々の検討もされていらっしゃるのですか。
○水上参考人 検討しています。
○五十嵐座長 それでもやはり差がないということですね。
○水上参考人 いずれもそれを有意に増加させるものはありませんでした。
○五十嵐座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。特に御意見はございませんか。よろしいですか。それでは、安全性については問題ないということで、報告された症例や文献等から、現在のところは常位胎盤早期剥離をこの3つの薬剤が起こすという可能性については特に問題がないけれども、もちろん引き続き報告状況、あるいは報告内容に十分注意して、これからもしていくということで。
○奥西参考人 ちょっとよろしいですか。この早期剥離に関しても寺木先生のデータで、実際に胎盤の血流を動物実験ですが測定なさった。それで子宮収縮剤と早期剥離の間に有意の相関があるということを証明なさっているのです。世界の文献、ほかの施設からの研究発表はどうもなさそうで、寺木先生が独自の測定技術を用いて胎盤早期剥離と子宮収縮薬の関係を証明なさったと。特にそのメカニズムとして胎盤のセロトニンがキーファクターとしてかかわっているということを証明なさっているのです。この研究もこの場でプレゼンテーションしていただいて、それをもう一度委員の皆さんにも検討していただくことが必要ではないかと私は思います。
○五十嵐座長 参考資料3-3に常位胎盤早期剥離についてあるのですが、この中のどの文献ですか。
○奥西参考人 通し番号が載っていないのですが、資料3-3の真ん中辺りに、日本産科婦人科学会雑誌24巻3号の207〜214ページに、これは実験動物ではなくヒトですが、臨床材料を用いて「摘出人胎盤血管におよぼすserotoninおよび関連物質の影響」という論文を発表なさっています。このペーパー以外にも実験動物で証明をなさったものもあるのですが、これは特にヒューマンのマテリアルを使って証明されているということで、非常に貴重な論文だと思っています。
○水上参考人 先生が今御指摘になった論文は、子宮収縮薬を投与すると胎盤の血流が減るということを示した論文ではありませんか。常位胎盤早期剥離が起こったという論文とは違うのではないでしょうか。子宮収縮が起これば胎盤の血流は必ず減少します。
○奥西参考人 そのことがセロトニンの活性化といいますか。
○水上参考人 セロトニンを介する。
○奥西参考人 介して完全に胎盤の血管を収縮してしまう。いわゆるイスケミアという状態を引き起こします。
○水上参考人 それは分かります。しかし、常位胎盤早期剥離がなぜ起こるかというのは、現在でも分かっていないのです。動物実験モデルが作られたという話も私は聞いておりません。
○奥西参考人 子宮収縮薬でもって子宮と胎盤との間にずれが起こった場合に、こういうセロトニンシステムが活性化されてという。
○水上参考人 それは分娩後に胎盤が自然剥離する際のメカニズムとも通じていますので、過剰な子宮収縮が起これば当然そういったことが起こる可能性があります。そして、我々の分娩後の胎盤は子宮壁から剥がれて娩出されるのです。ですから問題は、我々が薬用量として使う子宮収縮薬が実際に我々が問題としているような常位胎盤早期剥離の頻度を上昇させるかどうかということが一番問題なのです。子宮が収縮すれば胎盤は剥離するのです。
 ですから、問題は剥離したらまずいときに、実際に我々が使用する子宮収縮薬が常位胎盤早期剥離を引き起こすか否かなのです。だけどそれは分かりませんので、頻度を比べるしかないのです。ところが頻度を比べたら増えないのです。
○石渡参考人 また臨床の方からなのですが、今、脳性麻痺のいわゆる保障制度がありまして、その中でいろいろな事例が上がってきています。188例の分析の中で56例が常位胎盤早期剥離、そのうちの80%は既に常位胎盤早期剥離が起こってそれから病院に来ている事例も多いわけで、必ずしもその子宮収縮薬と全く関係がないという状況です。
 子宮収縮剤を使われたのは6例あります。その中で明らかに子宮収縮薬が常位胎盤早期剥離を起こしたという事例はないです。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。奥西さん何かありますか。
○奥西参考人 いいです。
○五十嵐座長 よろしいですか。そうしますと、やはり現時点では少なくとも3つの薬剤が常位胎盤早期剥離を起こしたということを明らかに示す事実は今のところないのではないかと考えてよろしいでしょうか。そうすると、安全性についてやはり問題は今のところはないが、しかしこれからも引き続き注意が必要であるということでよろしいでしょうか。ではそのようにしたいと思います。
 続きまして最後の子癇について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料3-2の13ページから子癇の記載があります。これについても最後の15ページにあるまとめだけを御紹介します。機構は以下の理由により、添付文書に注意喚起を追記する根拠に乏しいと判断した。国内外のガイドラインにおいて、分娩時に子癇を引き起こす要因として陣痛促進剤が記載されていないこと。文献等の調査において、陣痛促進剤と子癇との関連性について明確に述べられているものが確認できないこと。いずれの副作用報告においても陣痛促進剤と子癇の因果関係は不明であることとされています。
 また、その後の総合評価については、分娩促進時には、陣痛促進剤使用の有無にかかわらず、出血性脳血管障害、常位胎盤早期剥離、子癇や子宮破裂、羊水塞栓等の重篤な転帰をたどるおそれがある事象が発現する可能性がある。このような緊急状態においては、早期診断と迅速な処置が重要であり、陣痛促進剤の添付文書の「重要な基本的注意」に、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切に処置を行う旨の注意喚起、注意事項の追記を行っているが、今回の調査結果でも妥当と判断される。出血性脳血管障害、常位胎盤早期剥離、子癇の副作用として報告された症例には、子癇の1例を除き、この措置以前の発現例であり、報告された症例の中には点滴の開始速度や陣痛促進剤投与時の分娩鉗子が適切でなく、母体や胎児の状態悪化への対応の遅れ等が要因で発現した症例が見受けられることから、引き続き添付文書に記載されている注意事項を遵守して、適正使用が確保される情報提供を続けることが重要と記載されています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について、御質問、御意見はいかがでしょうか。石渡先生、子癇について何か御意見はありますか。
○石渡参考人 特に私は今データを持っておりません。
○五十嵐座長 水上先生はいかがですか。
○水上参考人 先ほどの続きですが、日本産科婦人科学会に登録された約30万弱の症例での子癇の発症頻度と、子宮縮剤使用3種薬剤との関連について検討しました。いずれの薬剤も使用していない方の子癇頻度を上回るものではなく、むしろ低いという結果でした。子宮収縮薬が子癇を増加させるという事実はありません。
○五十嵐座長 統計的にはないということですが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、現時点では少なくとも安全性については大きな問題はないだろうと結論してよろしいでしょうか。もちろんこれについても引き続き注意喚起をしながら、いろいろな報告に注意していくことが必要だと思います。この子癇についてもあえて添付文書を改訂したりあるいは注意喚起を新たにやることは今回はしないことにしたいと思いますがよろしいでしょうか。ありがとうございます。以上、この子癇についても終了したいと思います。この陣痛促進剤の全体を通して何か特別に御意見はありますでしょうか。よろしいですか。それではこれで陣痛促進剤の議論について終了したいと思います。事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。本日は遅くまで活発に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

(了)
<医薬食品局安全対策課>

(電話・代表)03−5253−1111

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