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2013年6月26日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成25年6月26日(水)14:00~17:00


○場所

TKP新橋ビジネスセンター ホール3A会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、石井委員、延東委員、尾崎委員、佐藤委員、高橋委員、永山委員、根本委員、宮井委員、由田委員、吉成委員、鰐淵委員

事務局

森口基準審査課長、横田課長補佐、中西課長補佐、小川専門官、仲川専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 農薬対策室 峯戸松専門官、 薬事・安全企画班 山木専門官

○議事

○事務局 ただ今から薬事・食品衛生審議会 食品分科会 農薬・動物用医薬品部会を開催します。
 本日は石井委員、斎藤委員、山内委員より、御欠席との御連絡を頂いておりますが、農薬・動物用医薬品部会委員14名中、現在10名の御出席を頂いており、本日の部会が成立しておりますことを御報告申し上げます。
 また、本日の部会において、新規の承認申請がなされた動物用医薬品の御審議を頂くことにしておりますので、申請者との利害関係について、各委員に対し事前の確認を行いましたところ、該当する委員はおられないということです。併せて御報告させていただきます。
 事務局の担当ですが、動物用医薬品を担当する専門官の仲川が新たに加わりましたので、御紹介させていただきます。以後の進行は大野部会長にお願いいたします。
○大野部会長 雨の中、集まっていただきまして、ありがとうございます。
 議事に入ります。事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日お配りさせていただきました資料は、議事次第、その裏に配布資料一覧です。その次に、委員名簿と、関係省庁の方の出席者の名簿です。その後ろに座席表です。
 その後ろから、本日御審議いただきます品目につきまして、それぞれ資料1-1、資料1-2として、報告書と食品安全評価委員会の評価書について、資料9まで配布させていただいております。
 さらに、委員及び事務局のみ配布させていただいた資料として、本日御審議いただく案件の、食品安全分科会における取扱い原案の横1枚紙がございます。不足等がありましたら、事務局までお願いいたします。
○大野部会長 本日は、平成25年2月20日、同5月14日及び同6月21日付けで、薬事・食品衛生審議会へ諮問された、農薬7剤、動物用医薬品2剤について、御審議を頂きます。なお、報告書(案)作成に当たりましては、先生方に事前に資料を配っていただいて確認して、必要な修正を頂いているところです。どうもありがとうございます。
 議題1の「食品中の残留農薬の基準値設定」ということで、動物用医薬品のアザペロンの審議をお願いいたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1に基づいて説明させていただきます。今般の残留基準の検討については、食品中の動物用医薬品等のポジティブリスト制度導入時に、新たに設定された基準値、いわゆる暫定基準の見直しについて御審議を頂くものです。
 1.概要についてです。本剤はブチロフェノン系の抗精神薬に分類される鎮静薬です。海外では、動物用医薬品として抗攻撃性、抗ストレス、鎮静及び麻酔といった広範囲の用途で、豚に使用されております。国内での使用はなく、また、ヒト用医薬品としての使用はありません。化学名、構造式及び物性については、以下のとおりとなっています。
 次のページで、「適用方法及び用量」です。海外における豚に対する使用方法については、以下の表のとおりとなっています。
 2番目に、2.対象動物における残留試験について、(参考)として示しています。Codex基準を採用するものについては、今まで記載はしていませんでしたが、今回は参考までにJECFAの評価書中の残留試験の概要を示しています。
 分析の概要にありますとおり、対象の化合物となるのは、アザペロン、代謝物の1つであるアザペロール及びその他の代謝物となっています。
 残留試験結果についてですが、本試験においては、豚にトリチウムで標識したアザペロンを常用量の2倍を単回筋肉内投与した後、2時間、24時間、48時間及び72時間後の筋肉、脂肪、肝臓及び腎臓における総残留量、アザペロン及びアザペロールの濃度を示しております。縦軸に組織、横軸に投与後の時間を示していますが、投与後2時間の所を見ていただくと、主に肝臓と腎臓で高濃度に残留していることが分かりますが、24時間後以降、速やかに代謝、排泄されるということが分かると思います。
 3.ADIの評価についてです。食品健康影響評価において、ADIを0.0013mg/kg体重/dayと評価されています。なお、評価に供された遺伝毒性試験のin vitro試験の一部で陽性の結果が得られましたが、小核試験を始めin vivoの試験では陰性の結果が得られたので、アザペロンは生体にとって問題となる遺伝毒性はないと結論されております。
 4.諸外国の状況です。JECFAにおいて評価されており、ADIとして0.006mg/kg体重/dayが設定され、国際基準が設定されております。米国を含む5か国について調査した結果、EU及びオーストラリアにおいて基準値が設定されております。
 5.基準値案として、残留の規制対象として、アザペロンとアザペロールとすることを考えております。豚を用いた残留試験の結果により、主要な残留成分はアザペロンとアザペロールであったこと、また、ほかの代謝物については、主な薬理活性を示さないということから、JECFAにおいてもアザペロン及びアザペロールを規制対象物質とするとしております。基準値案は、別紙1のとおり、JECFAにおいて設定されたMRLを基準値としたいと考えております。
 3番目の暴露評価は、各食品について基準値案の上限までアザペロンが残留していると仮定した場合、国民栄養調査結果における各食品の平均摂取量に基づいて試算される1日当たり摂種する農薬等の量のADIに対する比は、以下のとおりとなっています。一番高い幼小児でも6.9%のADI占有率となっており、国内のADIの許容範囲に収まっているところです。8ページに答申(案)を示しています。事務局からは以上です。御審議のほどお願いいたします。
○大野部会長 新規です。順に御意見を伺っていこうと思います。薬理作用の所ですが、事前に頂いたものから、若干修正させていただきましたが、これについて尾崎先生はいかがでしょうか。
○尾崎委員 私も少し手を入れたのですが、1行目の「抗精神薬に分類される」という言葉は不要だと思います。「ブチロフェノン系の鎮静薬である」で十分だと思います。
○大野部会長 そうですね。最初は「神経遮断性」と書いてあったので、それは少しおかしいなと思ったのです。
○尾崎委員 そうですね。
○大野部会長 私も思ったのは、Gs受容体のアンタゴニストだと思ったら、α受容体のアンタゴニストの作用が強いですね。それで、抗攻撃性、抗ストレス、鎮静、麻酔といった広範囲の用途で豚に使用されているというので、こういうことはあるのでしょうか。アルファブロッカーで、こういう方面に使われるというのは、余り聞いたことがないので。
○尾崎委員 α2アゴニストであったら、そういう使い方はありますが、多分ないと思います。これはGABA受容体か何かに効いているのでは。
○大野部会長 ほかの所にも作用している可能性がありますね。
○尾崎委員 ええ。そのような、あまり特異性のない薬ではないかと思います。
○大野部会長 とりあえず、「抗精神薬に分類される」という所を削除ということにします。ほかの先生はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 次に、化学名、化学構造の辺りについては、吉成先生はいかがでしょうか。
○吉成委員 よろしいと思います。
○大野部会長 体内動態については、吉成先生からいかがでしょうか。
○吉成委員 案にありますように、残留の基準、規制対象がアザペロンとアザペロールとなっています。実際にアザペロンに関しては、in vivoとin vitroの試験が行われているのですが、試験系が違うせいだと思いますが、かなり代謝経路が違います。しかしながら、in vivoの経路では、今回の規制対象として考えられているカルボニル基のところが還元されたアザペロールが、親化合物以外では主要な代謝物となっていますし、アザペロール自身にも薬理活性があるということで、この2つを規制対象とするということで問題ないと思いますし、ほかの問題となるような代謝経路というのも特段見られませんので、この案のとおりでよろしいのではないかと思います。
○大野部会長 代謝のところで、食品安全委員会の報告で気になったところがあります。食品安全委員会の報告の9ページの図1で、アザペロンがidyne環が取れて、代謝物3になって、それが代謝物6になるという方向で書かれているのですが、ほかの報告書の本文とか、基になった報告書を見ると、みんな「アセチル化」と書いてあるのです。そこがこの図と食い違うので、どちらが本当なのかと気になっていたのですが、それについてはいかがでしょうか。
○吉成委員 こちらは触れませんでしたが、大野先生が言われるとおりに、遊離の二級アミンの状態ですと、しばしばアセチル抱合は受けますので、文章の「アセチル化」という言葉が正しくて、図1の構造のほうが間違っているのではないかと思います。実際、この二級アミンに炭素が1つ入って、そこが酸化されて、ホルミル基のような状態になる反応というのはなかなか見られませんので、「アセチル化」というのが正しいのかとは思うのですが、データをたどれるかどうかが分かりませんが、一般的には二級アミンがアセチル化されるほうが、ホルミル化というよりもあり得るのではないかと思います。
○大野部会長 食品安全委員会の報告なので、食品安全委員会で確認していただけますでしょうか。
○事務局 食品安全委員会の図の基になっているJECFAの図も、同じものになっているので、恐らく修正するのは難しいと思うのですが、何か他の情報を持っているかどうか確認したいと思います。
○大野部会長 JECFAの報告書の基になった論文か何かを見ないと確認できないと思うのです。
○事務局 分かりました。その点については情報収集してみたいと思います。
○大野部会長 毒性のところでは、鰐渕委員からいかがでしょうか。
○鰐渕委員 ここに書かれてあるとおりのまとめでいいと思います。一部のin vitro試験で陽性が出ているのですが、十分に検討された上で、さらに小核を含めた遺伝毒性の試験が陰性であるということから、遺伝毒性はないと判断している点。
 もう1つは、安全係数を1,000にしているということは、食品安全委員会のほうにもまとめられているのですが、発がん性試験等を含めた十分な試験がされていないということから、安全係数を1,000にしているということを踏まえて、この毒性学的ADIでいいと思います。
○大野部会長 分析対象物質ですが、3ページの表に載っていますように、アザペロンとアザペロールが主に残留しています。それ以外に、微量の代謝物も存在しているので、全く薬理活性がないというわけではないのですが、親化合物と比べて、抱合すると50分の1ぐらい、アザペロールは10分の1から、場合によっては30分の1ぐらいとなっているのですが、もう1つ50分の1ぐらいの活性を持つのがあるのですが、それは非常に僅かであるということで、測定対象物質はアザペロン(親化合物)と、その代謝物であるアザペロールの2つでよろしいかと思いました。
 4ページの基準値案の規制対象物質の「アザペロン及びアザペロールとする」という所で、2行目に、「また他の代謝物については薬理活性を示さないことから」と書いてあるのですが、もう1つ薬理活性を持っているものがあると、DMAIの報告書の中に書いてありますので、他の代謝物については薬理活性を示さないということではなくて、「有意な薬理活性」としたほうがよろしいかと思いました。その辺について、先生方はいかがでしょうか。吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 結構です。
○大野部会長 分析法については、いかがでしょうか。
○永山委員 読み直してみますと、「トリチウムで標識したアザペロンを投与後」とあって、「投与後」というのは、実際には動物への投与は分析方法に直接は絡みませんので、例えば「トリチウムで標識したアザペロンを、」と、「、」が入ります。それから、「薄層クロマトグラフ」という機械はないので、「薄層クロマトグラフィーを用いて、」で、読点を打ちまして、「総残留放射活性により、アザペロン及びアザペロールを測定する」としてはいかがかと思うのです。
○大野部会長 ほかの先生はいかがでしょうか。根本先生、いかがでしょうか。
○根本委員 今の永山先生の修正案については、そのとおりでよろしいかと思います。
 ただ、気になるのはアイソトープラベルの試験法ではなくて、できればHPLCを使った方法等も採用されているようですので、そういったものを示していただけると、今後の実際の検査などの場合には有益な情報ではないかと思います。
○大野部会長 残留試験で用いた試験法が、ここに書かれているのですか。
○事務局 そうです。(1)を得るため、分析概要に書いてある分析法の概要というのは、実際に(2)の残留試験結果を得るために用いられた分析法だけを示しています。EUなどでは、根本先生がおっしゃられたように、HPLC法などを分析法として用いているようですので、残留試験結果と特に関連する必要はないということであれば、根本先生の御意見のとおり、HPLC法に関する分析法についても記載してもいいかとは思います。
○佐藤委員 「薄層クロマトグラフィーで分析した」とありますが、総放射能量は薄層クロマトグラフィーでは測れないはずですので、これは削ったほうがいいのではないかと思います。総放射能は、液体シンチレーションカウンターなどでやっていると思います。代謝物は薄層クロマトグラフィーで測定したと思うのですが、「薄層クロマトグラフィーにより総残留放射活性」という文章になっていると少しおかしいですので。
○大野部会長 単に、トリチウムで標識、アザペロン及びアザペロールを測定すると。
○佐藤委員 「薄層クロマトグラフィーで分析し、成分を測定した」という格好でいいのかと思います。
○大野部会長 薄層クロマトグラフィーを用いて測定するということですか。永山先生、いかがでしょうか。
○永山委員 今、佐藤先生がおっしゃられたように、恐らく放射活性そのものは薄層クロマトグラフィーでは測れませんので、これは分離に用いているのだと思います。ですから、確かに先生がおっしゃられたような誤解を生じるといけませんので、抜いて結構だと思います。
○大野部会長 根本先生、よろしいでしょうか。
○根本委員 食品安全委員会報告書の11ページ、この部会報告書の基になったものだと思うのですが、こちらが間違っているのか分かりませんが、「総残留放射活性がTLCにより調べられた」と書いてあるものですから、どうなのかなと。
○大野部会長 そうですね。食品安全委員会の報告書と変わってもいいのですよね。
○永山委員 今いろいろ意見が出ていますが、実際には薄層クロマトグラフィーによって放射活性は調べられませんので、恐らくこれもそれによって分離して、測定したという意味で使われているのだと判断しますが。
○大野部会長 薄層クロマトグラフィーにRIのディテクターを付けておいたのですよね。
○永山委員 そうだと思います。
○大野部会長 この方法については、薄層クロマトグラフィーを用いて、アザペロン及びアザペロールを測定するということで。あと、HPLCを用いて分離、別途測定することについては、載せるとしたら「分析の概要」の中に、もう1つ付けるということですね。
○事務局 ここは(2)の残留試験結果を出すところの試験ですので、これはこのままにさせていただければと思うのです。別途、分析方法等を作る際には、そういう形で情報収集等をさせていただければと思います。
○大野部会長 根本先生、いかがでしょうか。
○根本委員 今のご説明でよろしいと思います。
○大野部会長 それでは、ここの分析表は、あくまでも残留試験に用いたものだけを基にするということにさせていただきます。
 分析結果の所はよろしいでしょうか。何となく、トリチウムで分析した案で大丈夫なのかなという気もしますが。よろしいですか。
 基準値についてはいかがでしょうか。国際的適合性。よろしいですか。
 それでは、全体を通して、先生方から御意見はございますでしょうか。
○根本委員 確認なのですが、8ページの答申(案)の最後で、「今回基準値を設定するアザペロンとは、アザペロン及びアザペロールの和をいう」ということで、各々の濃度を求めて足し算をするという理解でよろしいですか。
○事務局 そのとおりでございます。
○大野部会長 普通はアザペロンの量として記載することがよくありますが、これは別途ということですか。
○事務局 そうです。JECFAでも、アザペロンとアザペロールの和ということになっております。アザペロールをアザペロンに換算して、という記載にはなっておりません。
○大野部会長 事務局から何かありますか。
○事務局 分子量が若干違いますが、そこはppmなので、分析法としては、還元して、まとめて測定する場合もあるでしょうし、別々に測定して和を求める場合もあるかと思いますが、そこはどういう分析法になるかになるのだと思います。
○大野部会長 いずれにしても、アザペロンとアザペロールを別々に計算して、その和としての値だということでよろしいですね。
○永山委員 分析法上、別々に測定して和を取る方法と、前処理や何かで、どちらか一方の物質に変えて、トータル値、総和としての、両方を足した和としての数値で、適用を判断するという両方が考えられます。どちらにしても、両方の和をという数値で判断するということでよろしいわけですか。
○事務局 そのとおりです。
○永山委員 別々に測って足す方法と、試験法上、両方をどちらか一方のものにしてしまって、それをアザペロンの濃度として判断するというのと、試験法がどちらになるかは今は分からないので、どちらにしても、1つのアザペロンの形にしての結果で判断するということですね。
○大野部会長 そうすると、アザペロン・イクイバレントとしての濃度ということになるのですかね。
○永山委員 もしかすると、還元か酸化か分かりませんが、どちらか一方の物質に寄せてしまって測る方法も、もしかしたらそういう方法が採られるかもしれないので、その場合は、それぞれ個々の値を出して足さない、つまり最初のところで片方に寄せてしまう方法もあり得ると。まだ実際には試験法が、そこには、いっていないので分からないのですが、そういう試験法を作成する手段もあるという。
○大野部会長 あり得ますよね。
○永山委員 そのお話という。
○大野部会長 そこをきちんと区別しておかないで、いいのですかね。
○事務局 その場合は、それぞれの量というのは、多分出てこないと思いますので。今回は和という形ですので、その場合はどちらかに寄った形が、既に和の形になっていますので、別々には数字が出ない可能性はあります。
○大野部会長 微妙なところで違うわけですよね。
○事務局 多分Hが2つ付くのですよね。分子式的には、2違うだけだと思うのですが。
○吉成委員 全体の分子量が330ぐらいの中でHが2つの違いですので、0.1%以下になりますので、そこは問題ないのかなと、私は今回は思いました。実際には、アザペロールで計算するときには、多少余裕を持って、1の99%ぐらいで計算しないといけないとは思いますけれども、どちらに寄せて測っても問題ないとは思います。
○大野部会長 では、行政上問題ないということでよろしいでしょうか。
○事務局 はい。
○大野部会長 先生方もよろしいでしょうか。
○基準審査課長 アザペロンとアザペロールと、分子量の差は吉成先生が言われたように1%以下ですが、今回の基準値が1桁ですので、実際に判定するときは基準値の1桁下を四捨五入して判定すると。つまり、1割以下の誤差はそこで切ってしまいますから、分子量の差は全然意味を成してこないので、どちらに寄せようが判定結果としては変わらないという形になると思います。
○大野部会長 今回の資料で、何かないですかね。代謝物も含めているというのは。そういうときにどういう表現を使っているか。
○吉成委員 今まで代謝物が入るときは、注意書きで「代謝物の場合は何とかに換算した値をいう」と書いていますが、今、言われたように分子量が1%以下の違いですので、そういう注意書きはないということの理解でよろしいということですよね。
○大野部会長 皆さん同意してくださったということですので、よろしいかと思います。ほかに何かございますでしょうか。幾つかの修正をしていただきましたが、修正されたものを、この部会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 次の品目、「牛伝染性鼻気管炎・牛ウイルス性下痢-粘膜病2価・牛パラインフルエンザ・牛RSウイルス感染症・牛アデノウイルス感染症混合生ワクチン」について、御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-1を御覧ください。今般の残留基準の検討については、本剤が動物用医薬品として製造販売の承認申請がなされたことに伴い、御審議いただくものです。
 1.概要ですが、用途として、牛伝染性鼻気管炎、牛ウイルス性下痢-粘膜病、牛パラインフルエンザ、牛RSウイルス感染症及び牛アデノウイルス(7型)感染症に対する予防薬となっております。本剤は、豚精巣細胞培養弱毒牛ヘルペスウイルス1・No.758-43株、SK-H-KB細胞培養弱毒牛ウイルス性下痢ウイルス1・No.1255株、SK-H-KB細胞培養弱毒牛ウイルス性下痢ウイルス2・KZ1254株、鶏胚初代細胞培養弱毒牛パラインフルエンザウイルス3・BN-CE株、ハムスター肺由来(HAL)細胞培養弱毒牛RSウイルス・rs-52株及び、やぎ精巣細胞培養弱毒牛アデノウイルス(7型)・TS-GT株を主剤とする混合生ワクチンです。表1に、本剤のウイルス株とバイアル中の含有量が示されております。
 (3)は、適用方法と用量についてです。乾燥ワクチンに添付の溶解用液を加えて溶解し、その2mLを牛の筋肉内に注射するものです。
 諸外国における使用状況です。海外では、本製剤の承認及び使用実績はありません。
 2.食品健康影響評価は、牛伝染性鼻気管炎、牛ウイルス性下痢-粘膜病、牛パラインフルエンザ、牛RSウイルス感染症及び牛アデノウイルス(7型)感染症は、いずれも牛等を主要な宿主とする疾病で、人獣共通感染症とはみなされていないことから、主剤のウイルス株はヒトに対して病原性は示されないとされております。本製剤に使用されている添加剤については、その使用状況、既存の毒性評価及び本製剤の用法・用量を考慮すると、本製剤の含有成分として摂取した場合のヒトへの健康影響は無視できると考えられるとされております。以上のことから、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると考えられると結論づけられております。
 3.基準値の取り扱いについては、上記の評価結果を踏まえて、残留基準を設定しないこととしたいと考えております。
 4ページは、答申(案)となっております。事務局からは以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 食品安全委員会の報告では、本剤を適切に使用されるかにおいては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるということで、答申(案)としては食品規格を設定しないということですが、先生方の御意見はありますか。延東先生、よろしいでしょうか。
○延東委員 はい。
○大野部会長 少し気になったところは、人獣共通感染症ではないということですが、これは生ワクチンだということで、人獣共通の疾病ではないということが重要になると思います。このウイルスの培養そのものは、牛の細胞だけではなくて、そのほかの鶏なども使って培養していますよね。感染しても、病気は起こさないということもよくあるのですかね。
○延東委員 私は、魚のほうでしかよく分からないのですが、多分そういうのは余り聞かないと思います。
○大野部会長 調べたら、SK-H-KB細胞というのは、ヒト型の染色体を持っているということが書いてありました。
○延東委員 それぞれ、体温が違いますので、ウイルスということになりますと、かなり厳しく温度設定をしてやらないと培養などはできない状況になりますよね。ですから、ここにあるように、ヒトには余り関係がないということであれば、妥当なことだと思いますが。
○大野部会長 尾崎先生、いかがですか。
○尾崎委員 私も、問題ないと思います。
○大野部会長 食品安全委員会でも、そのように判断されています。食品安全委員会にも、その関係の専門家がおられますので、私もよろしいかなと思いましたが、先生方よろしいでしょうか。それでは、これについては食品規格を設定しないという報告を、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大野部会長 では、そのようにさせていただきます。
 次は、農薬です。まず、クロチアニジンについて審議をお願いします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 3剤目、クロチアニジンです。資料3-1を御覧ください。今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたことに伴う基準値設定です。なお、前回は平成20年12月の部会で審議が行われております。今回は、4回目の審議になります。
 本剤は、ネオニコチノイド系殺虫剤で、作用機序は、主にニコチン性アセチルコリン受容体に対するアゴニスト作用によるものと考えられております。化学名及び構造式等については、記載のとおりです。
 2.適用の範囲及び使用方法です。今回、適用拡大申請がなされた作物名等について、四角で囲んで示しております。
 15ページに移り、3.作物残留試験です。分析対象の化合物として、クロチアニジン、親化合物のみについて分析が行われております。作物残留試験結果については、19ページからの別紙1に記載しております。
 続いて、4.畜産物への推定残留量です。後ほど説明いたしますが、クロチアニジンは同じく殺虫剤として農薬登録がなされているチアメトキサムの代謝物でもあるため、Codexではチアメトキサム由来のクロチアニジンについても考慮して基準値を設定しており、今回クロチアニジンを投与した場合と、チアメトキサムを投与した場合について、15から16ページに掛けて表1及び表2に、残留試験を記載しております。これら残留試験結果と最大理論的飼料由来負荷(MTDB)により推定した各組織の推定残留量については、16ページの表3-1、表3-2に示しております。
 続いて、17ページ、5.食品安全委員会によるADIの評価です。ADIは、0.097mg/kg体重/dayという評価になっております。この値については、前回の部会で御審議いただいたときと変更はありません。
 6.諸外国における状況ですが、2010年にJMPRでの毒性評価がなされており、ADIが設定されております。国際基準は、とうもろこし等に設定されております。諸外国においても、記載のとおり基準値が設定されている状況です。
 これらを踏まえて、7.基準値案です。残留の規制対象をクロチアニジン(親化合物のみ)とする案としております。ただし、先ほど少し説明をいたしましたが、クロチアニジンはチアメトキサムの代謝物でもありますので、我が国ではクロチアニジンとチアメトキサムが同一の作物に使用が認められており、クロチアニジンの規制対象をクロチアニジンとチアメトキサム使用由来によるクロチアニジンの和とすることとしました。
 なお、食品安全委員会による食品健康影響評価においても、農産物中及び畜産物中の暴露評価対象物質としてクロチアニジン(親化合物のみ)を設定しております。
 基準値案ですが、24ページからの別紙2を御覧ください。クロチアニジン使用によるクロチアニジンの作物残留試験成績と、チアメトキサム使用によるクロチアニジンの作物残留試験成績がある場合、双方ともに同一作物に使用された場合の最大残留量を考慮して基準値を設定しておりますので、並べて記載しております。基準値設定の考え方としては、クロチアニジンの作物残留試験の代表値と、チアメトキサム由来クロチアニジンの代表値の和を根拠としまして、基準値案を設定しております。具体的に1例申し上げますと、とうもろこしについてクロチアニジンの作物残留試験成績等の所に、0.01と記載してあるのですが、この残留試験結果とチアメトキサムの欄に記載しておりますチアメトキサム由来クロチアニジンの作物残留試験成績等の代表値0.005の和から求めた基準値が、とうもろこしの横に記載しております基準値案になります。このようにして、クロチアニジンの登録の有無の欄に、申請の「申」の文字が記載されている作物については、今回基準値を設定しております。これらの基準値案により、暴露評価を行ったのが、26ページの別紙の3です。TMDI試算により、一番高い幼小児で63%のADI占有率となっております。31ページからは、答申(案)となります。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 これは4回目ですが、一通り御審議をお願いしたいと思います。既に、以前に御審議をいただいているところですが、化学名、化学構造のところは、変更ないでしょうか。
○吉成委員 はい。
○大野部会長 薬理作用のところは、よろしいでしょうか。
○尾崎委員 はい。
○大野部会長 適用方法のところは、宮井先生いかがでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 代謝のところで、何か追加の御意見はありますか。いろいろと代謝物が出てきていますが、特に今までの基準を超えるようなものはなかったかなと思っています。毒性のところで、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 大丈夫です。3回目ですので。
○大野部会長 対象物質についても、特に変えなくてはいけないような状況ではないと思ったところです。分析法、分析結果は、いかがでしょうか。よろしいですか。基準値について、詳しく説明いただきましたが、その設定方法と値についていかがでしょうか。
○鰐渕委員 例えば、とうもろこしのところを見ますと、国際基準値が0.05なのですが、今回とうもろこしは基準値を0.1ということで、それを上回っているのですが、この辺りはいいのですか。
○大野部会長 いかがでしょうか。
○事務局 クロチアニジンについては、Codex基準はとうもろこしの場合、0.02となっております。チアメトキサムに記載されてある0.05というのは、チアメトキサムのCodex基準になります。今回、国内の使用方法に基づく作物残留試験に基づいて基準値を設定しておりますので、Codex基準よりも少し高くなる値となっております。Codex基準については、国際基準の欄に全て記載することとしております。国内の作物残留試験よりもCodex基準が高い場合は、こちらの基準値を、輸入されてくる食品のことも考えて設定することになるかと思います。
○大野座長 鰐渕先生、よろしいですか。
○根本委員 24ページの別紙2の中で、「ほうれんそう」と「未成熟えんどう」と、「未成熟いんげん」についてなのですが、これらのクロチニアジンの作物残留試験は、申請の範囲内で試験が行われていないということで、GAPに従ったデータではないと思われるのですが、いかがでしょうか。そのようなことと理解したのですが、もしそうであると、国際基準がどちらも0.01で足して0.02だったりするにしても、場合によっては50倍から100倍という基準値になると。「ほうれんそう」についても、5倍を超えて8倍ぐらいになるような高めの基準になってしまうように思います。特に、「ほうれんそう」なども、TMD試算はまだ少し余裕があるのですが、結構「ほうれんそう」で大きな数字が出てしまったりするので、適切なのかがよく分からないのですが、その辺りを教えていただきたいと思います。
○大野部会長 申請の範囲内で試験が行われていないというのは、本来の使用方法で使われていなかったという意味ですかね。
○事務局 今回は、国内登録がある使用方法と全く同じ使用方法で作物残留試験が行われた結果というわけではありません。幾つか、国内登録で認められた使用方法に基づく作物残留試験成績よりも過剰に処理されたものに基づいて基準値を設定している食品はあるのですが、今御指摘がありましたように「ほうれんそう」「えんどう」「いんげん」に加え、作物残留試験成績等の所に(#)で示している「わけぎ」や「その他のなす科野菜」の「ししとう」等も、少し使用方法よりも過剰に処理した試験結果に基づいて算出されております。これらについては、いずれも作物残留試験成績を行った当時、登録予定だった作残で、このように使用する予定で申請は出されたのですが、最終的に作残を行ったものについては、今のところ登録が取れていないということで、こういった使用方法と作物残留試験とのずれが生じている結果になっております。
 例えば、少しずれがある「その他のなす科野菜」の「ししとう」の作物残留試験を見ていただきたいのですが、21ページの真ん中辺りになります。登録のある使用方法は、16%水和剤を散布するという使用方法なのですが、これに定植時に0.5%粒剤を用いた作物残留試験成績に基づいて、「その他のなす科野菜」に基準値を設定しております。
○農林水産省 農林水産省から、補足で説明いたします。委員のおっしゃるとおり、通常登録する内容に従った形で作物残留試験をするのですが、これは申請が古いこともあり、今のように厳しくやっていなかった時期であることが、1つの理由としてあります。今、事務局から説明されたように、「ししとう」などについては定植時や播種時の処理といいまして、要は苗を植えるときや種を蒔く頃の処理だけが過剰だと。あとの散布については、通常どおりの試験をしていますので、かなり初期の使用が過剰というだけですので、残留濃度に大きな影響はないだろうと。他の作物で定植時だけの処理をしたデータなどがありますので、それが多少オンされたとしても、トータルの残留量としては大きな影響はないだろうという評価をして構わないと考えております。
 「ほうれんそう」については、確かに少し濃度が高いのですが、こちらについては申請予定ということで、6年以上前の申請になるのですが、当時はそのような形の申請を認めておりました。要は、後追いで濃い濃度の使用方法を登録する予定で申請することを認めておりましたので、このような形のデータを付けさせていただいております。こちらについて、先ほどは申請されたとのお話でしたが、申請の予定がありまして、現在、残留試験として記載されているような使用方法が登録されて現実にそのように使われていくものと、御理解いただいて構わないと思います。
○大野部会長 使用方法や使用濃度や使用量は、将来登録予定のものとは、かなり差があるのですか。国際現行基準や国際基準と比べて、非常に大きな差があるということですね。
○農林水産省 作物にもよると思いますが。
○大野部会長 「ほうれんそう」のことですが。余り差がない所は、許容できるのではないかと思うのですが。
○農林水産省 「ほうれんそう」の所は、今「申」という字だけ書いてありますので、今回新たにということだと思います。海外の基準と大きな差があるというのは、Codexの基準をつくる際に参照した使い方と、日本での使用方法が大きく違う場合は当然、残留濃度も大きく変わってきます。例えば、この「ほうれんそう」の使用方法の収穫前日数よりずっと長い日数を海外では取っている場合、例えば日本では7日だが海外では30日であった場合、残留濃度は全然違ってきますので、撒く濃度も違うかもしれませんし、そういうことで当然、国によって基準は違ってくるということになると思います。
○大野部会長 21ページの「ほうれんそう」の所の使用方法ですと、6kg/10aの播種時に播溝処理すると。それプラス、2,000倍に希釈したものを、10R当たり200L散布するということです。一方、6ページの「ほうれんそう」の4,000倍となっていますが、これと比較すればいいのですか。大きな差がなければ、実際に今許可されているものと試験したものとで大きな差があったら、そのデータは採用できないと思うのですが。
○農林水産省 「ほうれんそう」ですと、2,000倍の所が斜体になっていますので、こちらが実際の登録が4,000倍の希釈で使うということで、今、申請がきています。一応こちらについては、2,000倍で登録を取る予定が今後ありますので、それを踏まえてメーカーでこの試験をされたと聞いております。
○大野部会長 分かりました。実際に許認可されたものとデータを取ったときの濃度とは、大体2倍の差があるということでよろしいですか。
○農林水産省 そうです。
○大野部会長 2倍ぐらいの差ですと、このデータもある程度参考になるかなと私は思ったのですが、いかがですか。
○農林水産省 それと将来、この2,000倍の使用方法で登録される予定があることをもって、これを受け付けておりますので、これが全く架空の試験ではないという前提で評価いただければと思います。
○大野部会長 そういうことです。将来承認される予定があるということと、現実に既に評価されている濃度と試験した濃度とで、2倍というのを大きいと取るか小さいと取るかはありますが、少なくとも2倍の濃度を得られたデータに基づいて設定した値が40、国際基準の2と比べても非常に大きな差があるということで、国際基準を取ったときのデータとは、試験条件にかなり差があると思います。繰り返しになりますが、実際に許認可された濃度と試験した濃度で余り差がないというようなところで、このデータを採用して、40と基準値の案を設定したということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大野部会長 それでは、基準値についてはそういうことで、国際的整合性についても含めて議論していただいたところがあると思いますが、今までのところで先生方何か御意見はありますか。それでは、この案については修正はなかったと思いますが、事務局案をこの部会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。
 次の品目、ジフェノコナゾールについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 4剤目はジフェノコナゾールです。資料4-1を御覧ください。今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたこと、及び関連企業からインポートトレランス申請がなされたこと、また、ポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値(いわゆる暫定基準)の見直しについて御審議いただくものです。
 1.概要ですが、本剤はトリアゾール系の殺菌剤であり、糸状菌の細胞膜のエルゴステロール生合成阻害により殺菌作用を示すと考えられております。化学名及び構造式等については、記載のとおりです。
 2.適用の範囲及び使用方法ですが、今回適用拡大申請がなされた作物名、使用時期について四角で囲んで示しております。また、インポートトレランス申請がなされた基準値を設定する作物について、使用方法を6ページにお示ししております。
 7ページは、3.作物残留試験です。分析対象の化合物としてジフェノコナゾール、代謝物J、代謝物K及び代謝物Lについて分析が行われております。分析方法は記載のとおりです。また、作物残留試験結果については、12ページからの別紙1-1が国内で、1-2から1-5が海外の作物残留試験結果となります。
 4.畜産物への推定残留量ですが、各組織の最大残留量について、乳牛の試験結果は8ページの表1、鶏の試験結果は9ページの表2に記載しております。これらの残留試験結果と最大理論的飼料由来負荷(MTDB)により推定した各組織の推定残留量について、10ページの表3-1、表3-2にそれぞれジフェノコナゾール及び代謝物Dの合計量として示しております。
 5.ADIの評価ですが、ADIは0.0096mg/kg体重/dayという評価です。マウスの18か月発がん試験において、肝細胞腺腫及び肝細胞癌が認められましたが、これらの腫瘍の発生機序については、遺伝毒性によるものとは考え難く、評価に当たり閾値を設定することは可能であると考えられたと食品安全委員会における評価書に記載されております。
 なお、評価に供された遺伝毒性試験のin vitro試験の一部で陽性の結果が得られておりますが、小核試験を始めin vivo試験では陰性の結果が得られておりますので、ジフェノコナゾールは生体にとって問題となる遺伝毒性はないと、同じく食品安全委員会の評価書で結論づけられております。
 6.諸外国における状況は、2007年JMPRにおいて毒性評価が行われ、ADIが設定されております。国際基準はバナナ等に設定されており、各国の基準値についても記載のとおり設定されております。
 これらを踏まえて、7.基準値案ですが、残留の規制対象を、農産物にあってはジフェノコナゾール、親化合物のみとし、畜産物にあってはジフェノコナゾール及び代謝物Dとする案としております。食品安全委員会においても、農産物中の暴露評価対象物質をジフェノコナゾール、畜産物中の暴露評価対象物質をジフェノコナゾール及び代謝物Dを設定しております。基準値案は、20ページからの別紙2となります。国内及び海外の作物残留試験成績に基づき、基準値を設定しております。これらの基準値案により暴露評価を行ったのが22ページの別紙3です。EDI 試算により、一番高い幼小児で55.9%のADI占有率となっております。最後のページは答申(案)となっております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 これは完全に新規ということですね。化学名、化学構造といった辺り、吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 特にありません。
○大野部会長 薬理作用については、いかがでしょうか。
○尾崎委員 特にありません。
○大野部会長 適用方法といった辺りについては、いかがでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 今までのところで、何か御意見があればお願いいたします。それでは、体内動態、代謝物といった辺りについてはいかがでしょうか。
○吉成委員 この剤は動植物で若干異なる代謝を受けますけれども、今回、測定されている代謝物DあるいはJが親化合物以外では主要な代謝物になります。このD、Jは共に動植物で共通する代謝物ですが、7ページに記載のJの構造は、今回のジフェノコナゾールに特異的な代謝物というわけではなく、トリアゾール系の骨格ですので、他の剤から出るということと薬理効果、毒性なども親化合物より全くないということで、作残試験で、ある程度動物で検出されるDというものを畜産物に含めて、植物ではDはほとんど残らず、そのあとJの化合物、さらに植物特異的な反応でアミノ酸抱合を受けたものが出てくるのですが、そちらは問題ないということで、農産物は親化合物のみで、特に問題はないのかなと思います。
○大野部会長 代謝についてはそういうことで、私も吉成先生と同じ考えですけれども、植物体内での残留試験において、J、K、Lしか測っていないですよね。なぜ、Dを測らなかったのかなと思ったのですけれども、その辺何か分かりますでしょうか。
○吉成委員 どうして測らなかったのか分からないですけれども、Dは植物でグルコースの配糖体になって、別の代謝物として出ていきますので、そちらを測っても良かったとは思うのですが問題となるような代謝物ではないという判断で測定しなかったのではないかと思っております。Dはそのような形では、恐らく余り残らないという判断だったのではないかと思います。
○大野部会長 代謝試験で「トマト」や「ばれいしょ」ではそれほど残っていないのですが、「小麦」で13%ぐらい残っていて、親化合物とほとんど同じぐらい残っているのです。食品安全委員会の報告書の25ページの下から7行目、D/Cということで、一緒に測ったということだと思うのですけれども、「穀粒」に13%含まれているのです。「小麦」だけなので、最初は気にしていなかったのですが、EDI比でやると、50何パーセント(幼小児)というところまでいっているので、ちょっと気になったのです。Dが特に毒性が弱いなどということでもあれば、よろしいかなと思っていたのですけれども、特にそのようなデータがなくて、消す理由がなかったのです。急性毒性ですと、代謝物DはLD50が2,310mg/kgで、親化合物は1,400mg/kgで差があるように見えますが、この辺は大差ないところかなと思ったのです。鰐渕先生、いかがですか。代謝物Dを親化合物と比べて、慢性毒性とかそういった意味で、いかがかなと思ったのですけれども。
○鰐渕委員 代謝物に関する安全性の評価というのは、食品安全委員会の評価書で、「トリアゾール共通代謝物」というものの評価がされています。そちらのほうで見ていても、特段、発がん性を含めたところで問題となるようなことはないような感じといいますか、それ以上に遺伝毒性が認められなかったことも含めて、十分評価できるのではないかと思います。
○大野部会長 トリアゾールは問題ないと思うのですが、それに由来する代謝物も含めて、Dはそうではなくて、違うので、どう解釈したらいいのかなと思ったのです。22ページの小麦での推定摂取量が8.2で、これは親化合物のジフェノコナゾールです。トータルでは84.7と推定されていて、EDI比で幼小児では55.9%となっています。もし、小麦のところがDも含めて1割ぐらい増えるとすると、60ぐらいになるので、ちょっと気になったのです。
○吉成委員 先生がおっしゃるとおり、難しいです。構造からDの代謝物が親化合物のジフェノコナゾールと同じ程度薬理効果を持っているかというのは、何とも言えないのですが、ほかの植物の代謝経路を見る限りは、Dは残らずに、配糖体あるいはトリアゾール環とフェニル基のところが切れるというのが、実際に小麦でも、食品安全委員会の資料の25ページの小麦の所の3段目ぐらいに、「フェニル基とトリアゾール環が脱離し」とありますので、D体から更に代謝が進むという判断がなされているのではないかと、個人的にはそのように思っていましたので、小麦だけDが残っているところは気にしておりませんで、植物では一般的に配糖体への代謝とトリアゾールの分解と理解しておりました。
 小麦1の試験をどの程度考慮すべきかというのは、ちょっと分からないことと、この試験の報告書だけですと、どの程度E体なり、配糖体のほうを測っているのか、本当にC、Dのみを測っているのかという試験方法も分かりませんので、仮にどこかで配糖体が切れて、配糖体である代謝物Eも混合して測っているのであれば、Dが出てくるというのは何ら問題ないと思います。ただ、これだけではDを外す理由にもなりませんし、Dを入れる理由とまでも言えないのかなと思っております。もう1つ、隣の小麦2という試験もありますが、そちらではDが問題になるような記載がありませんので、1の試験で特異的に高かった可能性も否定できないからだと思います。
○佐藤委員 食安委の報告を見ますと、小麦は穀粒でD/Cが13%TRRとあります。これですとよく分からないのですが、Cが10%を超えたわけではなくて、DとCのトータルで10%を超えたという記述かなと理解しております。ただ、確かに、「ばれいしょ穀粒」では、食安委の報告ではDの配糖体Eが15%あったということですから、本来は残留分析をやっていれば良かったのでしょうが、10%を超えるぐらいですから、親に比べると少ないのかなという感じはしています。確かに、作残をやっておりませんから分かりませんけれども、親と同等に出るとは思えない気がします。また、補足ですが、いずれの代謝試験でも、主要成分は親ということで記載してあります。
○大野部会長 食品安全委員会の資料の25ページ、小麦の1の試験の、D/Cというのはどのように測ったのか。実際のところCのほうが多いのか、Dのほうが多いのか、大部分がDなのか、それが分からないので、資料で確認していただいたらどうかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○吉成委員 DとCについては、D体はアルコールになっているのですが、ケトンになっているのがC体ですので、恐らく測定のときにどちらか、先ほどもありましたが、OHを酸化するのか、還元するのか、どちらに合わせているか分かりませんけれども、まとめて測ってしまって、恐らく資料ではDとCに分離できていないのではないかと思います。
○事務局 小麦の話ではないのですが、参考までに申し上げます。参考として代謝物の作物残留試験を、てんさい、リンゴ、日本梨については行っておりまして、企業から提出された抄録に加えて、食品安全委員会の評価書の70ページにも記載されております。代謝物Dについては、親化合物のジフェノコナゾールに比べて、ほぼ定量限界以下になっていて、残留量はかなり少ない。小麦については行われていないのですが、JMPR、米国、EUの規制対象についても、農産物については親化合物のみとしていることも踏まえて、農産物については親化合物とする案でもいいのではないかということで報告させていただいております。
○大野部会長 最初読んだとき、私もそう思ったのですが、EDI比でかなりのところまでいっているということがあって、普通のTMDI試算だけで済むような量だったら、一部の農産物だけということでいいのではないかと思うのですが、EDI比で50何パーセントまでいっている。また、小麦の摂取量が、小麦を介した親化合物の摂取量が全体の1割ぐらいいっているので、小麦にどれだけ含まれているかということをチェックしておかないと、場合によっては、このエリアを超える可能性もあるのではないかと、それがちょっと気になったのです。今回は十分に読みこなしてきたとは言えないところもありますので、できればペンディングにさせていただいて、原本をもう少し読んで、全体的に考えさせていただいて判断できたらと思うのですが、いかがでしょうか。
○事務局 分かりました。そのようにさせていただきます。
○大野部会長 Dを入れるか、入れないかについては、もう一度議論していただきたいと思います。次の分析法、分析結果といった辺りについては、いかがでしょうか。よろしいですか。
○大野部会長 毒性の全体について、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 本体自身に対しては、マウスで肝腫瘍の増加があるのですが、遺伝毒性試験に関しては陰性と判断されておりますので、閾値は設定できますから、この形でいいと思います。
○大野部会長 安全性については、特に問題ない、分析についても、特に問題はないと。基準値、国際的整合性については、Dを入れるか、入れないかについて、もう一度審議していただいた後に再確認ということにさせていただきたいと思います。ジフェノコナゾールについては、動物については代謝物Dを含めてやるということで、特に問題ないと思いますが、農産物について代謝物Dを含めるか、含めないかについては、再度審議していただくことといたします。
(異議なし)
○大野部会長 それでは、次の品目のビフェナゼートについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬「ビフェナゼート」について説明いたします。資料5-1を御覧ください。今回、御審議いただくビフェナゼートについては、IT申請に基づき、ラズベリー等への基準値設定依頼がなされたことに伴い、御審議いただくものです。当部会での審議は、今回が5回目となります。
 1.概要についてですが、本剤はヒドラジン骨格を有する殺ダニ剤です。作用機序は不明ですが、ハダニやサビダニに対し速効的な効果を示すとされております。化学名及び構造式については記載のとおりです。
 2.適用の範囲及び使用方法ですが、国内の使用方法について変更はありません。
 3ページ、3.作物残留試験ですが、分析対象の化合物はビフェナゼートと代謝物Bとなっております。分析法の概要については、記載のとおりです。これらの方法に基づき、実施された作物残留試験結果については、8ページの別紙1に記載しております。なお、今回の審議対象ではありませんが、前回の部会以降、新たに実施された作物残留試験については網掛けしてお示しております。
 4ページは、4.畜産物への推定残留量についてです。分析対象の化合物はビフェナゼート、代謝物B、代謝物E及び代謝物Uです。分析法の概要については、記載のとおりです。JMPRの評価書に記載されている動物飼養試験の結果を5ページ表1に、その結果に基づき算出した畜産物の推定残留量を表2に記載しております。
 また、5.ADIの評価ですが、食品安全委員会では、イヌの1年間慢性毒性試験、及びラットの2年間慢性毒性試験/発がん性併合試験の無毒性量を基に、ADIを0.01mg/kg体重/dayと設定しております。
 6.諸外国における状況については、2006年にJMPRにおける毒性評価が行われADIが設定されております。国際基準は「大豆」「ブラックベリー」等に設定されております。米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調査した結果、米国において「綿実」「ブラックベリー」等に、カナダにおいては「ピーマン」「ぶどう」等に、オーストラリアにおいては「アーモンド」「あんず」等において、EUにおいては「いちご」「ブラックベリー」等に基準値が設定されております。
 次に、7.基準値案です。先に10ページの別紙2を御覧ください。登録の有無の列に「IT」と記載している「ラズベリー」「ブラックベリー」「その他のベリー類(果実)」については、今回、米国の基準値を参照するよう申請がなされたものですが、米国で設定された基準値よりも、国際基準のほうが高い値を設定しておりましたので、その値を採用する案としております。また、Codex基準を採用して基準値を設定するものについては、四角で囲んで示しております。その中で、10ページの表の真ん中よりやや上、「未成熟えんどう」「未成熟いんげん」「えだまめ」については、国際基準が7ppmと設定されております。これはCodexにおいては、「さや付き豆」のグループに7ppmという基準が設定されており、本来ならば、「さや付き豆」のグループに含まれる作物としては「未成熟四角豆」「未成熟そら豆」「未成熟ルーピン豆」等があり、これらの作物は日本の食品分類で、「その他野菜」に分類されます。本来、Codex基準の7ppmを参照して、「その他野菜」にも7ppmを設定するのですが、暴露評価を行った結果、「その他野菜」に7ppmの基準値を設定すると、EDI比で8割を超えることから、今回は「その他野菜」には7ppmの基準値を設定しない案とさせていただきました。
 次に、11ページの表の下を御覧ください。四角で囲み忘れたのですけれども、「牛の脂肪」の基準値については、Codex基準が0.05ppmに下方修正されていたため、今回はその基準値を採用し、同様に0.05ppmに下方修正する案としております。こちらの記載については、四角で囲んだものを修正したものといたします。また、表の一番下の「干しぶどう」の基準値は、Codex基準は2ppmですが、国内の作物残留試験に基づいて設定した「ぶどう」の基準値は3ppmとなっております。国内で生産されたぶどうを用いて干しぶどうを作った場合、Codex基準の2ppmを超過するおそれがあることから、国内のぶどうの作残データにCodexが用いている加工係数3.2を掛けた数値を基に、10ppmの基準値を設定する案としております。
 6ページに戻りまして、(1)残留の規制対象についてです。現在、ビフェナゼートの規制対象は、畜産物の脂肪においてはビフェナゼート及び代謝物B、脂肪以外の組織についてはビフェナゼート、代謝物B、代謝物E及び代謝物Uとしておりました。今回、部会審議に当たり、改めてCodexにおけるビフェナゼートの規制対象物質を確認したところ、全ての食品で親と代謝物Bが規制対象となっておりました。畜産物の基準は国際基準を採用していること、また、家畜の飼養試験においても、代謝物E及び代謝物Uはいずれの組織からも検出されていないことから、今回、畜産物の規制対象物質を農産物と同様、ビフェナゼート及び代謝物Bへと変更する案といたしました。以上の結果から、暴露評価を行った結果が7ページの表となります。EDI試算により、一番高い幼小児で58.7%のADI占有率となっております。詳細については、別紙3を御覧ください。最後のページが答申(案)です。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 聞き漏らしたか、聞き違えたのか分からないのですが、「ぶどう」について基準値案を10としたと聞こえたのですけれども、書類には3となっています。「ぶどう」の基準値案を10とおっしゃいませんでしたか。
○基準審査課長 「干しぶどう」ですね。「干しぶどう」の基準値案が10です。
○大野部会長 「干しぶどう」については、この表に入っていないのですか。
○基準審査課長 それについては11ページの表に。
○大野部会長 見えませんでした、分かりました。品目については5回目ですが、今の説明も踏まえて、御審議をお願いいたします。まず、化学名、化学構造について新たに気付かれたところはありますでしょうか。また、薬理作用についてはいかがでしょうか。
○尾崎委員 作用機序は不明ということですが、ダニの症状についての記載ぐらいは、多分、文献にあるのではないかと思いますので、製造業者に確かめて追記したほうがいいのではないかと思います。
○吉成委員 CASの途中の括弧の中の、4-mephoxy[1.1]とありますが、これはピリオドでなくてコンマの「1,1」ですね。
○大野部会長 そうですね。薬理作用のところで、「ハダニやサビダニに対し、速効的な効果」とありますけれども、薬理作用的な呼吸を抑制するとか、そういったものがあったらいいということですかね。
○尾崎委員 はい。
○大野部会長 そういうのは可能でしょうか。
○事務局 こちらは初回の評価書にも記載している内容ですけれども、再度、申請者に確認しまして、可能な限り分かりやすい表記に変えさせていただきたいと思います。
○大野部会長 よろしくお願いいたします。適用方法のところで、宮井先生、いかがでしょうか。
○宮井委員 問題ないと思います。
○大野部会長 代謝とか測定対象物質といった辺りは、何かありますでしょうか。よろしいですか。ちょっと見直してみたのですが、農産物ではDを加えなくてもいいのではないかなと思ったのです。代謝試験でDが含まれているのはごく僅かですし、実際に作残試験をやると悪かったり、りんごだけで10%以上のDが出ていたのですが、作残試験をやると、りんごでは0だったということで、親化合物だけでいいのかなと思ったのです。ただ、8ページ以降に載っている実際の作残試験の結果を見ると、全部Dを含めて測定しているので、併せて基準値も決めざるを得ないかなと思いました。先ほど説明があったように、「乳牛」での残留でも、ビフェナゼートと代謝物Bだけでするということでよろしいかと思いました。分析方法、分析結果について、新たに何かありますでしょうか。よろしいですか。それでは、基準値と国際的整合性といった辺りについては、いかがですか。よろしいですか。安全性のところで、鰐渕先生から何かありますか。
○鰐渕委員 特にありません。
○大野部会長 それでは、化学名のところの変更、用途の所に書かれている作用については、追加の情報が入りましたら追加するということで、それは簡潔でよろしいですね。簡潔に書けるようでしたら、追加して書くことといたしまして、そのように修正したものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
○吉成委員 今日の1剤目のアザペロンとアザペロールのところで、分子量2ぐらいは記載しなくても問題ないのではないかということがあったのですが、実際には代謝物Bというのはヒドラジン骨格が還元されているか、酸化されているかだけの問題です。今回のビフェナゼートの答申(案)には、「ビフェナゼート及び代謝物Bをビフェナゼート含量に換算したものの和とする」という記載があるのですが、ビフェナゼートも分子量は300ぐらいで実際には2違うわけです。先ほどのものは300で、数字が2違うというのがあったのですけれども、どうでしょうか。
○大野部会長 どこに書いてあったか気が付かなかったのですけれども、ここに書いてあったのですね。
○吉成委員 今まではビフェナゼートのように換算するというのが書いてあったのですが、分子量の違いを余り意識したことはなかったのですが、アザペロンのときには、分子量が違わないから、それでいいかという判断をしたのですけれども、このBは実際に分子量がほとんど変わらない。測定方法に依存するのか、分子量で画一的に決めてしまっていいのかについて、事務局からコメントを頂ければと思います。
○大野部会長 内容としては、今回のビフェナゼートについて書かれている表現のほうが正確だと思いますし、今までも代謝物を含めるときは、このように書いてきたのです。
○永山委員 アザペロンについては先ほどいろいろありましたけれども、実際にはどちらに寄せて測っても、後で補正しますので、数値としては別々に測って足しても、どちらかで測って補正してどちらかに統一しても、数値としては同じになると思うのです。ただ、バランスというか、どちらかに寄せて測ってしまうと、それぞれがどれだけ入っているかというのは分からないわけです。ただ、最終的にアザペロンならアザペロンとしての数字というのは、別々に測って片側を補正したアザペロンに持ってきても、どちらかに寄せてやっても、そこのところで補正はかからないですか。
○事務局 ちょっと違う話になりますけれども、ビフェナゼートの場合、もともとは代謝物E、Uは動物のほうに入っていたということですので、そうなるとEやUは半分ぐらいの分子量になりますから、さすがにそれは換算しないと駄目だろうと思われます。本来、親化合物と代謝物Bだけであれば、換算しても、計算上は数字は多分ほとんど変わらないと思います。
○永山委員 ただ、「何とかとして」やったときには、そこで換算が入るのではないかと思ったのですが、私の勘違いでしょうか。
○事務局 アザペロンの場合は、特にその記載はないのです。
○永山委員 「何とかとして」というのを入れるか、入れないかの違いは出てくる可能性はあるのですが。先ほど「寄せても」と言ったのは、そういう意味でお聞きしたつもりだったのです。例えば、アザペロンとしての結果ということでの比較でしょうかというのは、そういう意味で聞いたつもりだったのです。
○大野部会長 失礼いたしました、私が理解していなかったようです。
○永山委員 言葉足らずで申し訳ありませんでした。ですから、何とかとしてということになれば、恐らく基準値としては比較できると思うのです。ただ、今のようにというか、どのような形にせよ、「何とかとして」という形にすれば、どこで換算をするかという話になります。それをきちんと明記していただければ、よろしいかなと思います。
○大野部会長 今までの代謝物を含めて基準値として決めたときの表現を確認していただいて、それで統一するということでいかがでしょうか。
○事務局 各個の例を確認させていただいて、また大野部会長と御相談させていただきます。
○大野部会長 お願いいたします。それでは、用途のところについての表現は、私と尾崎先生が確認するということで、よろしいでしょうか。また、代謝物の表現については、横田さんが過去のを調べてくださるということですので、それを確認して、同じような表現にするということにいたします。以上、御審議をありがとうございました。申請したものをもって、この部会の報告とさせていただきます。
(異議なし)
○大野部会長 それでは、次の品目「フルベンジアミド」の御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 5品目めの「フルベンジアミド」についてです。資料6-1「部会報告書案」を御覧ください。フルベンジアミドは、適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたこと、及び関連企業からインポートトレランス(Import Tolerance)の設定要請があったものです。なお、今回で4回目の審議となり、部会報告書案の主な内容については既に御審議いただいていますので、今回は追加変更箇所を中心に説明させていただきます。
 改めて、1.概要です。本剤は鱗翅目昆虫の筋肉細胞小胞体のカルシウムイオンチャネルを持続的に活性化し、体収縮を引き起こすことにより殺虫作用を示すと考えられています。化学名、構造式等につきましては、記載のとおりです。
 続いて、2.適用の範囲及び使用方法についてです。今回、適用拡大申請がありましたのは、4~6ページに、作物名を枠囲みで示した、「とうもろこし」「そば」等です。なお、インポートトレランスの設定要請がありましたのは、その他のナッツ類に係る残留への基準値設定です。これについては、海外での使用方法について変更はありません。
 続いて、3.作物残留試験について、10ページを御覧ください。フルベンジアミド代謝物B及び代謝物Cを分析対象化合物として分析が行われています。分析の方法は記載のとおりですが、適用拡大申請に伴い、新たに提出された国内の作物残留試験ではフルベンジアミドのみ分析していますので、その試験方法を追記しています。なお、提出された作物残留試験の結果は、15ページ以降の別紙1-1に網掛けにて示しています。
 4.畜産物への推定残留量については、分析対象の化合物として、フルベンジアミドのほかに、代謝物Pについて分析が行われています。分析法の概要は11ページ下に記載のとおりです。12ページに、乳牛における残留試験の結果得られた各組織の最大残留量を表1に記載しています。これらの結果と、最大理論的飼料由来負荷(MTDB)により推定した各組織の推定残留量を表2に示しています。
 続いて、5.ADIの評価です。こちらについては、前回の部会報告から変更はありません。
 6.諸外国における状況について、改めて確認しますと2010年にJMPRにおける毒性評価が行われ、ADIが設定されています。国際基準は、レタス、トマト、仁果類、ナッツ類等について設定されています。米国、カナダ、欧州、オーストラリア及びニュージーランドについて調査した結果、米国においては、「うり」等、オーストラリアにおいてはキャベツ、トマト等に基準値が設定されている状況です。
 7.基準値案についてです。残留の規制対象については、前回の部会審議の結論から変更はありませんが、今回新たに畜産物の基準値を設定していますので、その理由を追記しています。なお、畜産物についても規制対象はフルベンジアミド(親化合物のみ)となっています。国際基準におきましても、規制対象物質は親化合物のみと設定されています。
 以上を踏まえて、基準値案について、22、23ページの別紙2を御覧ください。新たに提出された作物残留試験成績等、海外の基準値や国際基準に基づき、基準値を設定しています。これらの基準値案により暴露評価を行ったものを、24、25ページの別紙3に記載しています。EDI試算法により、一番高い幼小児で79.0%のADI占有率となっています。
 結果を表としてまとめた14ページの記載の数値に誤記がありました。正確には25ページの値ですので、訂正させていただきたいと思います。
 最後のページが答申(案)です。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 先ほど、メモを読み間違えましたので、修正させていただきます。ビフェナゼートの所で、「りんご」で代謝物Bが10%を超えていると申しましたが、これは間違いで、「はつかだいこん」でした。ほかは同じです。失礼しました。
 では、フルベンジアミドについて御審議をお願いいたします。今の修正は、14ページの、国民平均が47.3%で、幼小児が79.0%。妊婦で31.7%、これは同じですね。高齢者では52.1%。それに修正するということですね。
○事務局 はい。
○大野部会長 これは4回目ということです。化学名、化学構造について何か新たに気が付いた所はございますでしょうか。薬理作用についてはいかがでしょうか。よろしいですか。適用方法の所では、宮井先生、いかがでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。代謝、測定対象物質など、その辺りで何かございますか。
○吉成委員 御説明があったように、畜産物でPが測定されていますが、実際これは、加水分解物とその後の脱水反応で、恐らく自然に体内で出来ているものだと思います。検出量も少ないので、含めないでも問題ないのではないかと思います。農産物のほうでは特に問題ありません。
○大野部会長 ありがとうございます。私も同じように考えていました。安全性の所について何か御意見ございますでしょうか。
○鰐渕委員 特にございません。
○大野部会長 ありがとうございます。分析法、分析結果の辺りはいかがでしょうか。よろしいですか。ほかの先生もよろしいでしょうか。基準値、国際的整合性についてはいかがでしょうか。基準値は、EDI比で80%以上になると調整するわけですが、これは幼小児で79%だということで、ぎりぎりですけれども。これについてはよろしいでしょうか。
○永山委員 1点だけ確認させていただいてよろしいでしょうか。
○大野部会長 お願いします。
○永山委員 EDIがかなり際どいものですから。
○大野部会長 そうですね。
○永山委員 もう少し余裕があれば、今までは、これで余りお聞きしなかったのですが。例えば、作残データで全て0.01未満という結果が得られていて基準値が0.05になっている、「とうもろこし」もそうですし、「ばれいしょ」「さといも」類も皆そうです。ほかに、申請された「メロン類(果実)」も0.01未満ですが、現行0.02を0.05に上げたということです。この辺は、作残で0.01未満であっても、やはり0.05、今まではそういう形できているのですが、これだけEDIが際どくなってくると、もう少し低めでもいいのではないかと思ったりもします。その辺はいかがでしょうか。
○大野部会長 いかがでしょうか。メロンでしたか。
○永山委員 「メロン類(果実)」では、申請があったということで、0.02を0.05に上げています。そのときの作残データも0.01未満です。「いも類」と言いますか、「ばれいしょ」類も全部0.01未満で、基準値は、今までも0.05だったので0.05になるかもしれないのですが。ただ、この0.05というのが余りにもEDIが際どくなってきたときに、作残データの未満の所で0.05という基準値を置くことに対して、もう少し低くするなど、そういうことがあり得るのかどうか。その辺の確認をしたかったのです。
○農林水産省 農林水産省から補足させていただいてよろしいでしょうか。
○大野部会長 はい。
○農林水産省 確かに、おっしゃるように、定量限界未満だけの作残試験結果の場合、この0.05にする必要があるのかという御議論はあると思います。海外ではもっと例数がたくさんありまして、その場合、例えば定量限界未満ばかりの試験成績の場合は、そのままその数字を基準値にすることはあります。国内はこれまで2例だけしか取っておりませんでしたので、定量限界未満の数字が並んだ場合でも、一定のマージンを取って基準値を作っていただくように我々からお願いしておりました。例数が増えてたくさんの作残試験成績で評価をしていただく場合は、そういうことも考えられると思います。また、EDIの評価の際には、基準に0.05という数字を入れていても、実際の計算には0.01を使っていただいています。こちらも、例えば0.01がそのまま基準になったような場合には、海外ではここを0にして計算していることがあります。実際の使い方などからも評価して、これは残らないであろうということであれば0として評価することも可能です。今後、例数が増えれば、そういったことも考えていただくこともあるのではないかと思います。現行ではこのような形にさせていただいています。
 もう1つ、海外と違う点を申し上げます。グループでMRLを使って作っている場合などは、海外ではそのまま代表値をそれぞれ入れてしまいますので、個々の作物の作残がない場合に基準値を使って計算するということはしません。そういった点も、試算が大きくなっている点ではないかと思います。例えば、幼小児の暴露量で4分の1ぐらいを占めているのは「その他の野菜」ですが、これはそのまま基準値で計算されていると思います。このような所で、実際にはもう少し余裕があるのではないかと、全ての作物に基準値いっぱいまで残留することはありませんので、実際にはもう少し余裕があると見ていただいていいのではないかと考えています。
○大野部会長 このような形で、意見を頂いて議論し、そういう説明を受けたということでよろしいでしょうか。ほかに御意見はございますでしょうか。それでは、フルベンジアミドについては、事務局の案をこの部会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 次の品目です。同じく農薬で、アラクロールについて御審議をお願いいたします。事務局から説明してください。
○事務局 7剤目のアラクロールについてです。今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたことに伴い、御審議いただくものです。こちらは、前回、平成24年7月25日に御審議いただきまして、今回は2回目の部会審議となります。
 まず、1.概要です。アラクロールは酸アミド系の除草剤であり、超長鎖脂肪酸の合成阻害により、成長部位での正常な細胞分裂を妨げることによって植物を枯死させると考えられています。構造式及び化学名等は下記のとおりです。
 2.適用の範囲及び使用方法についてです。今回、適用拡大申請の対象となっている「えだまめ」及び「ブロッコリー」は2、3ページに四角で括って記しています。
 3.作物残留試験について、4ページを御覧ください。今回の分析対象はアラクロール、DEA系代謝物及びHEEA系代謝物です。分析法は記載のとおりで、前回の部会審議から記載に変更はありません。試験結果は、別紙1-2に記しています。今回、提出された「ブロッコリー」と「えだまめ」に対する作物残留試験結果を網掛けにしています。
 5ページからの、4.魚介類への推定残留量、及び、5.畜産物への推定残留量についても、前回の部会審議から変更ありませんので割愛させていただきます。
 次に、食品安全委員会での評価結果について、報告書案の8ページに記しています。こちらも前回の部会審議から変更ありません。ADI:0.01mg/kg体重/dayと評価をいただいています。
 8ページの下部、7.諸外国における状況です。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されていません。外国については、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調査した結果、米国において小麦、畜産物等に、カナダにおいて「そらまめ」「ばれいしょ」等に、EUにおいて「とうもろこし」「えんどう」等に基準値が設定されています。
 以上を踏まえて、8.基準値案です。規制対象は、9ページのとおり、前回の部会審議から変更なく、農産物及び魚介類についてはアラクロールとし、畜産物についてはアラクロール及び加水分解により生じるDEA又はHEEAへ変換される代謝物としています。
 なお、食品安全委員会による食品健康影響評価においては、農産物、畜産物及び魚介類中の暴露評価対象物質としてアラクロール(親化合物のみ)を設定しています。
 基準値案については、13ページの別紙2を御覧ください。「ブロッコリー」「えだまめ」について、作物残留試験結果を基に基準値を設定し、0.02という案を示しています。これらの基準値案により暴露評価を行ったものが別紙3で、表としては10ページにまとめています。TMDI試算として、一番高い幼小児において63.9%が算出されています。
 最後のページが答申(案)です。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○大野部会長 これは2回目です。化学名、化学構造、その辺りについて御意見ございますでしょうか。吉成先生、よろしいですか。
○吉成委員 はい。
○大野部会長 用途とその薬理作用、その辺はいかがでしょうか。よろしいですか。適用方法の所はいかがでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 代謝と、それから、測定対象物質、その辺りについていかがですか。吉成先生、ありますか。
○吉成委員 畜産物で、DEAとHEEAという、この物だけではない特徴的な構造のものを入れています。代謝経路が非常に複雑で、全てのものを測定対象としてやるということが難しいので、共通して出てくるこの2つを入れるということで、仕方がないと言うか、問題ないのではないかと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。私も同様です。作残試験でも、「いちご」で、親化合物とDEA系化合物を合計すると、若干残留していたのではないかと思いますが、適正に使用されたときの作物残留試験では未検出であったこととありますので、農産物については親化合物でよろしいと思いました。ほかの動物、乳牛や鶏など、その辺での判断についても、事務局に示したものと同じです。今までのところで御意見はございますでしょうか。安全性のところについて、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 ラットで発がん性が認められる部分もあり、in vitoroの遺伝毒性試験を行って、いろいろ検索されている中で、幾つかのものに対しては陽性を示すものもありますが、トータルに評価して問題ないとされています。食品安全委員会の評価書を読ませていただきましたが、全体的に見て、ADIの評価という所にまとめてある書き方でよろしいのではないかと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。ADIの評価の所で、太字で書いてある説明が、当初の案から若干変わっていませんか。変わっていませんね。では、説明もこれでよろしいですか。分析法、分析結果、その辺りについてはいかがでしょうか。
○根本委員 6ページに、畜水産物の評価をしたときの分析法があります。定義が加水分解をして、DEAやHEEAを生成するものということですが、この文章では、ただ水蒸気蒸留しただけなので、加水分解という操作をしていないのか、あるいは記載が漏れているのか、その辺が気になっています。
○事務局 元の報告書では加水分解をしていることは明記されているのですが、こちらには明記されていませんでしたので、重要なポイントとして追記させていただいてもよろしいでしょうか。
○根本委員 ありがとうございます。
○大野部会長 では、その部分は、加水分解したものについて測るということですね。その辺の内容を明記してくださるようお願いいたします。永山先生、いかがでしょうか。
○永山委員 私からは語句だけです。4ページの、これは全部規定濃度で書いてありますが、今は規定を使わなくなってきているので、できればモル濃度に変えればいいのではないかと思います。ただ、数字を、2倍、2分の1でしたか、硫酸。
○根本委員 硫酸はこれを2倍です。
○永山委員 2倍ですね、8モルです。モル濃度にして、mol/Lですね、今の報告であれば、その単位にしたほうがよろしいのではないかと思います。
○事務局 では、現在の記載に改めさせていただきます。
○大野部会長 よろしくお願いいたします。ほかにいかがですか。分析法、分析結果について、コメントはございますでしょうか。それでは、基準値と国際的整合性、その辺りはいかがでしょうか。今回は「ブロッコリー」と「えだまめ」について追加されただけですけれども。特に、よろしいですか。全体を通して、ほかに御意見ございますでしょうか。
○事務局 すみません。1点だけ修正させていただきます。申し訳ありません。9ページの暴露評価の表中の数値です。こちらは別紙3-1を反映していたのですが、代謝物を含めた暴露評価は別紙3-2です。先ほど、最も高い値が小児の6.5%(TMDI試算)と申しましたが、正しくは63.9%となっていますので、こちらを修正させてください。
○大野部会長 別紙3-2を見ないといけなかったのですね。すると、国民平均の値も全部変えるということですね。
○事務局 9ページにあるのは、アラクロール本体だけを見たときの暴露評価で、次の10ページに、アラクロール、プラスその代謝物を全部含めたものがあります。
○大野部会長 そうですね。分かりました。
○事務局 本来、基準値案では、農産物及び魚介類はアラクロール本体、畜産物にあってはその代謝物の含めた形でやっています。農産物や魚介類も全部、代謝物を含めた暴露評価をして、多めに見積もっても10ページのような形になるという見方をしていただきたいと思います。
○大野部会長 分かりました。皆さん、よろしいでしょうか。
○根本委員 基本的なことで恐縮です。18ページの答申案で、ハチミツにも基準値が設置されることがよくあるのですが、ハチミツは「その他の食品」として捉えるのか、あるいは「畜産物」として捉えるのかを教えていただけますか。一律基準で規制されると思うのです。
○事務局 ハチミツは、通常、畜産物で捉えるものと認識しています。
○根本委員 それであれば結構です。ときどき、聞く方によって答えが変わることがあるものですから。
○事務局 申し訳ございません。
○大野部会長 これには載っていないので、一律基準でよろしいのですね。ほかにございますでしょうか。それでは、このアラクロールについては、表記について若干修正がありましたが、修正していただいたものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 次の品目です。ピリダリルについて御審議をお願いいたします。事務局から説明してください。
○事務局 資料8-1を御覧ください。「ピリダリル」について報告いたします。今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたことを踏まえ、この部会で御審議をいただくものです。部会としては今回で6回目、前回は2011年11月に報告しています。
 1.概要です。本剤は殺虫剤です。作用機序、化学名、構造式及び物性等は記載のとおりです。ビフェナゼートのときにも少し触れましたが、「詳細な作用機構は明らかになっていないが」とありますので、この点は、もう少し詳しく書けないかを企業に確認させていただきます。
 次のページは、2.適用の範囲及び使用方法についてです。今回、適用拡大申請がなされたものを四角で囲んでいます。
 4ページは、3.作物残留試験についてです。分析対象の化合物をピリダリルとし、分析法の概要は記載のとおりです。結果については、7ページからの別紙1です。今回、新たに残留基準を追加した作物の成績はセルの色を変えてお示ししています。
 4.魚介類への推定残留量ついては、前回の御審議と変更はありません。
 5.ADIの評価についてです。食品安全委員会は、0.028mg/kg体重/dayと評価しており、こちらは前回と変更ありません。また、ピリダリルは生体にとって問題となる遺伝毒性はないと結論されています。
 6.諸外国における使用状況です。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されていません。米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調査した結果、米国においてキャベツ、ブロッコリー等に、EUにおいてトマト、メロン類果実等に基準値が設定されています。
 7.基準値案です。前回同様、残留の規制対象は、ピリダリル(親化合物のみ)とする案としています。また、食品安全委員会による食品健康影響評価においても、農産物及び魚介類中の暴露評価対象物質として、ピリダリルを設定しています。基準値案は、9ページからの別紙2のとおりです。「登録の有無」に、申請の「申」の字を入れてある所が今回の適用拡大申請があった食品です。
 これらの基準値案から再度、暴露評価を行ったものが、10ページの別紙3です。TMDI比で一番高い幼小児が71.8%のADI占有率となっています。前回は61.2%でしたので、約10%増えています。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 説明がありましたように、これは6回目の審議ですが、チェックしていきます。化学名、構造式、物性、その辺りについて吉成先生、ございますでしょうか。
○吉成委員 特にございません。
○大野部会長 薬理作用については、もう少し詳しく書けるかどうか調べてくださるということですが、それでよろしいでしょうか。
○尾崎委員 結構です。
○大野部会長 代謝の所で、何か追加はございますでしょうか。よろしいですか。私も特に追加はございません。適用方法について新たに加わった所で、何かございますでしょうか。
○宮井委員 よろしいです。
○大野部会長 毒性の所について何か御意見はございますでしょうか。
○鰐渕委員 この書きぶりで結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。魚介類への推定残留量の所で、高橋先生、何かございますか。よろしいでしょうか。
○高橋委員 結構です。
○大野部会長 ありがとうございます。分析法と分析結果、この辺りについてはいかがでしょうか。特にありませんか。基準値と国際的整合性についてはいかがでしょうか。新たに加わったものについては特に問題ございませんでしょうか。それでは、全体を通して何か御意見ございますでしょうか。では、これについては、用途の所の殺虫剤の説明について詳しく書けるようであれば書くということで、内容については私と尾崎先生が確認するということでお任せ願いたいのですが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○大野部会長 ありがとうございます。では、尾崎先生、チェックをよろしくお願いいたします。それでは、ピリダリルの案については、若干修正があるかもしれませんが、それでこの部会の報告とさせていただきたいと思います。
 それから、本日の最後の品目です。「シエノピラフェン」について御審議をお願いいたします。事務局から説明してください。
○事務局 資料9-1を御覧ください。シエノピラフェンについて報告いたします。今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請で、「はすいも」で「その他の野菜」における基準設定の依頼が農林水産省からなされたことに伴い、当部会で御審議いただくものです。
 まず、1.概要です。シエノピラフェンは殺ダニ剤です。作用機序、化学名、構造式、物性は御覧のとおりです。
 2.適用の範囲及び使用方法については、今回、適用拡大申請があったものを四角で囲っています。
 3ページの3.作物残留試験を御覧ください。分析対象の化合物は、シエノピラフェン、代謝物B、C、D、Eとしていますが、「はすいも」は親化合物のシエノピラフェンのみ分析を実施しています。作物残留試験の結果は、7ページからの別紙1です。今回、新たに残留試験を追記した作物の成績はセルの色を変えてお示しています。
 5ページは、4.ADIの評価です。食品安全委員会は、0.05mg/kg体重/dayと評価しており、こちらも前回と同じ報告です。毒性についてはゴシック体で記載のあるとおりです。ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験において、子宮内膜腺がんの発生頻度の増加が認められたものの、肝臓でのエストロゲン代謝活性化に伴うものと判断され、閾値が設定できると判断されています。
 5.諸外国における状況です。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されていません。米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調査した結果、いずれの国及び地域においても基準値は設定されていませんでした。
 6.基準値案です。残留の規制対象を前回同様、シエノピラフェン(親化合物のみ)とする案としています。なお、食品安全委員会における食品健康影響評価においても、農産物中の暴露評価対象物質としてシエノピラフェン(親化合物のみ)を設定しています。基準値案は、9ページの別紙2のとおりです。適用拡大申請のあった「はすいも」の作残試験を基に、「その他の野菜」で0.7ppmの基準値を設定する案としています。
 これらの基準値案により再度、暴露評価を行ったものが、10ページの別紙3です。一番高い幼小児で30.0%のTMDI試算となっています。前回の報告は29.1%でした。事務局からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 これは5回目の審議で、今回は「はすいも」について追加の拡大申請ということです。では、特に問題がないかどうか1つずつチェックしたいと思います。化学名、構造式、物性についてはいかがでしょうか。用途と薬理作用についての説明の所はいかがでしょうか。よろしいですか。適用方法の所はよろしいでしょうか。代謝と分析対象物質の辺りについても、今回は特にこれについて測られていませんが、何か御意見はございますでしょうか。
○吉成委員 結構です。
○大野部会長 私も今のままで結構だと思いました。安全性の面について、鰐渕先生、何か御意見ございますでしょうか。
○鰐渕委員 この書きぶりで結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。分析法、分析結果、その辺りではいかがでしょうか。
○永山委員 大変細かいことで恐縮です。4ページの「分析法の概要」の代謝物Eの所です。「試料からリン酸酸性下の含水アセトニトリル」と、ここだけが「の」が入っているので、この「の」は削除していただきたいと思います。統一するということです。
○事務局 はい、承知しました。
○大野部会長 ありがとうございます。分析結果について、よろしいですか。基準値と国際的整合性についてはいかがでしょうか。よろしいですか。では、全体を通して御意見ございますでしょうか。それでは、1文字削除されましたが、それをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。本日御審議していただく予定のものは終了いたしました。本日の審議結果の食品衛生分科会での取扱いについて、事務局から説明してください。
○事務局 本日、お配りいたしています平成22年3月3日に了解されました「食品衛生分科会における確認事項」に基づき、用意いたしました案を御覧ください。本日の部会で御審議いただきまして、ペンディングになった1品目、ジフェノコナゾールを除く農薬6剤、動物用医薬品2剤についての食品衛生分科会での審議又は報告の取扱いにつきまして、原案を用意いたしました。
 1つ目、アザペロンにつきましては、既に設定されている残留基準の一部改正に該当しますので、区分3として分科会の報告とさせていただきたいと思います。2つ目、アラクロール、クロチアニジン、シエノピラフェン、ビフェナゼート、ピリダリル及びフルベンジアミドにつきましては、既に設定されている農薬基準の一部改正のうち、いずれも食品安全委員会での評価結果に変更がないものに該当しますので、区分4として、分科会は文書による報告とさせていただきたいと思います。最後に、牛伝染性鼻気管炎・牛ウイルス性下痢-粘膜病2価・牛パラインフルエンザ・牛RSウイルス感染症・牛アデノウイルス感染症混合生ワクチンにつきましては、残留基準を設定しないこととする可否に該当することから、区分5としまして、文書配布による報告とさせていただきたいと思います。
○大野部会長 分科会での取扱いについて説明していただきましたが、これについての御質問、御意見ございますでしょうか。特にないようでしたら、そのような扱いで分科会長の承認を得たいと思います。
(異議なし)
○大野部会長 それでは、今後の手続について、事務局から説明してください。
○事務局 本日御審議いただきました物のうち、1品目を除き、農薬6剤、動物用医薬品2剤につきましては、食品安全委員会からの通知を受けております。何品目か修正等があり、本日あるいは後日に御確認いただくものがありますが、それをもって部会報告書とさせていただきたいと思います。今後の手続については、パブリックコメント・WTO通報、消費者庁協議等、必要な手続を進める予定としています。
○大野部会長 そのほか、報告事項はございますか。
○事務局 ほかにはございません。
○大野部会長 では、ジフェノコナゾールについては継続審議ということで、先生方に資料を詳しく見直してもらう所もあると思いますので、企業から頂いた資料を、戻してしまった先生にはもう一度配布してください。よろしくお願いいたします。ほかに、先生方から何か御意見、御要望はございますでしょうか。では、次回の予定について説明をお願いいたします。
○事務局 次回の開催日程は平成25年7月23日(火)午後を予定しています。出欠については後日確認させていただきます。また、詳細については追って連絡いたします。
○大野部会長 以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきます。御協力どうもありがとうございました。



(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係
(03-5253-1111 内線2921)

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