ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会)> 第66回社会保障審議会医療保険部会議事録(2013年8月9日)




2013年8月9日 第66回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成25年8月9日(金)10:00~11:37


○場所

厚生労働省 講堂(低層棟2階)


○議題

1.次回の診療報酬改定に向けた検討について
2.社会保障制度改革国民会議の報告

○議事

○遠藤部会長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第66回医療保険部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、大谷委員、岡崎委員、齋藤正寧委員、福田委員、横尾委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方について、お諮りいたします。大谷委員の代理として児玉参考人、岡崎委員の代理として村岡参考人、福田委員の代理として近藤参考人の御出席について御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 また、オブザーバーとして、日本商工会議所の大井川さんの御出席について御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○遠藤部会長
 それでは、議事に移らせていただきます。
 初めは、前回に続きまして「次回の診療報酬改定に向けた検討について」を議題といたします。事務局からは、前回、前々回の医療保険部会において委員の皆様からいただいた御意見と、8月2日に行われました医療部会の議論をもとに、現時点での考え方を整理した資料を作成していただいております。なお、この議題に関する参考資料としては、前回、前々回の医療保険部会、8月2日の医療部会の診療報酬改定に関する資料を委員の皆様のお手元のファイルにまとめてありますので、適宜御参照いただければと思います。
 また、本日は、委員提出資料1として小林委員、委員提出資料2として白川委員、委員提出資料3として菅家委員、委員提出資料4として福田委員より資料が提出されております。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○宇都宮課長
 医療課長でございます。
 まず、資料1についてでございますけれども、その前に、8月6日に社会保障制度改革国民会議の報告書が出されたところでございまして、今後、この秋に判断される消費税の引き上げに関連しまして、政府・与党の中で社会保障・税一体改革の具体化の議論が本格化していくところでございます。政府・与党の議論においては、社会保障・税一体改革で消費税引き上げ財源を活用し、充実と重点化・効率化に取り組むこととされている診療報酬における一体改革への対応の検討状況について、今後、説明が求められることが考えられているというところでございます。
 そのため、これまで医療保険部会と医療部会でいただいた御意見をもとに、両部会の基本的な考え方を中間的に整理したものをつくらせていただいた。それを用いて、政府・与党の中の議論のときに説明させていただきたいということでございます。そういうことで、今回、資料1を中間的な整理ということでまとめさせていただいたということでございます。
 この資料1につきまして、参考資料として3つほどございます。参考資料1-1が医療保険部会における各委員の発言要旨。1-2が医療部会における各委員の発言要旨。1-3が、この資料1で整理させていただいたものについて、どういった意見を反映させていただいたかということを表にして書いてございます。詳細につきましては、また後ほど、今の1-1から1-3を御参照いただければと思います。
 それでは、資料1でございます。まとめさせていただいたものを読み上げさせていただきます。
1.基本認識について
(1)社会保障・税一体改革における医療の機能強化と重点化・効率化
ア 我が国の医療については、国民皆保険の下で、医療関係者の献身的な努力により、世界トップレベルの長寿、新生児死亡率や妊産婦死亡率の低さ等を実現してきた。また、医療費の対GDP比は、OECD諸国の中で中位にあり、世界一の高齢化水準に鑑みれば、決して高い水準ではなく、世界に高く評価されるコストパフォーマンスを達成してきた。今後の超高齢社会においても、必要な医療は保険診療で行われるべきという基本理念の下、国民皆保険を堅持し、国民の健康を守っていく必要がある。
イ しかし、今後の更なる高齢化の進展により、医療ニーズが変化しながら増大していく中で、引き続き国民が質の高い医療を受けられるようにするためには、医療提供体制の再構築に取り組み、限られた医療資源を医療ニーズに合わせて効果的にかつ無駄なく活用できるようにすることが必要である。
ウ このため、社会保障・税一体改革においては、消費税率を引き上げ、その財源を活用して、医療サービスの機能強化と、同時に重点化・効率化に取り組むこととされている。具体的には、診療報酬改定、補助金の活用、医療法改正等により、
・急性期病床の位置付けを明確化し、医療資源の集中投入による機能強化を図るなど、医療機関の機能分化・強化と連携を推進
・医療機関の連携、医療・介護連携等により必要なサービスを確保しつつ、一般病床における長期入院の適正化を推進
・在宅医療の拠点となる医療機関の役割を明確化するなど、在宅医療を充実
等に取り組むことが示されている。
エ 団塊の世代が75歳以上となる2025(平成37)年に向けて、急性期から回復期、長期療養、在宅医療まで、患者が状態に合った適切な医療を受けることができるよう、本年8月6日に取りまとめられた社会保障制度改革国民会議の報告書も踏まえ、医療機関の機能分化・強化と連携を進め、急性期病床をはじめとする各病床の役割を明確化した上で機能に応じた充実を行うとともに、急性期を脱した患者の受け皿となる病床、かかりつけ医機能、在宅医療等を充実していかなければならない。
オ 診療報酬改定においては、医療法改正による対応に先駆けて、社会保障・税一体改革で示されている「2025年の医療の姿」を見据えて、平成24年度診療報酬改定を行ったところであり、平成26年度診療報酬改定においても、引き続き、入院医療・外来医療を含めた医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組む必要がある。
 消費税引上げ財源を医療の機能強化に充てるに当たっては、国民の理解が得られるよう、医療の機能強化とともに、医療の効率化に取り組むべきである。

(2)医療機関の機能分化・強化と連携に当たっての留意点
ア 医療機関の機能分化・強化と連携に当たっては、性急な措置によって医療現場が混乱し、患者が必要な医療を受けられない事態が発生しないよう、急性期を脱した患者の受け皿となる病床を整備するとともに、退院した患者を支える在宅医療等を充実させながら、段階的に進める必要がある。
 また、現在別途検討が行われている病床機能報告制度とできる限り整合性が図られるよう、留意しながら検討を進めるべきである。
イ 患者の立場からすれば、どのような状態であっても、状態に応じた適切な医療を受けることができるということが重要なのであり、そのような視点に立って、入院医療、かかりつけ医、在宅医療、歯科医療、薬局、訪問看護、そして介護に至るまで、患者を支える施設等が円滑に連携していなければならない。地域においてこれらの施設等がネットワークを構築し、地域全体で面的に地域の医療需要に応えていく「地域完結型」の医療提供について、それを促進するような評価が必要である。また、このとき、医療従事者の確保が必要であり、医療従事者の負担軽減とともに、チーム医療の推進に引き続き取り組むべきである。
ウ 医療機関の機能分化・強化と連携に当たっては、診療報酬と補助金の活用が考えられる。診療報酬は診療行為や入院等への対価の支払いであり、私的医療機関が多い我が国では、診療報酬により、医療機関の自発的行動や経営努力を促すことが好ましいが、行き過ぎたインセンティブとならないよう注意する必要がある。他方、補助金は地域の実情に応じた活用が可能であるが、対象や金額が限定される傾向がある。診療報酬と補助金の特性を考慮しながら、適切に組み合わせて対応することが適当である。

2.次期診療報酬改定の社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方について
(1)入院医療について
  1 高度急性期・一般急性期について
ア 7対1病床が急速に増え、最も多い病床となっているが、急性期病床に長期療養患者も入院するなど、患者の状態に応じた医療提供、療養環境、医療費負担となっていないという指摘がある。患者が状態に応じて適切な医療を受けられるよう、急性期病床における患者像を適切に評価することが重要である。
イ また、急性期の患者の早期退院・転院や、ADL(日常生活動作)低下等の予防のため、早期からのリハビリテーションや退院・転院支援の充実等も重要である。
ウ このため、高度急性期及び一般急性期を担う病床の機能の明確化とそれらの機能に合わせた評価を行う観点から、急性期病床の患者像の検証を基に、以下の事項について検討を行う必要がある。
・急性期病床の担う機能の明確化を行い、高度急性期及び一般急性期を担う病床の機能強化
・重症度・看護必要度の見直し等による、患者の状態に応じた医療の提供
・入院早期からのリハビリテーションや退院・転院支援の堆進
・退院・転院に係る連携の強化
・急性期病床の平均在院日数の短縮等
  2 長期療養について
ア 長期療養患者については、適切な環境で療養を行うことが重要である。
イ 急性期病床と長期療養を担う病床の機能分化を図り、長期療養患者の受け皿を確保する観点から、いわゆる社会的入院が発生しないように留意しつつ、以下の事項について検討を行う必要がある。
・急性期病床における長期入院患者の評価の適正化
・長期療養を担う病床の急性期等との連携強化、受入体制の充実等
  3 亜急性期等について
ア 超高齢社会では高度急性期医療よりも地域に密着した亜急性期等の医療ニーズが増加すると見込まれる。また、急性期を脱した患者は、できるだけ早く適切な療養環境の下で、集中的なリハビリテーション等を受けることにより、早期の在宅復帰・社会復帰を目指すことが重要である。急性期病床では、急性期を脱した患者の転院先が見つからずに、次の救急患者を受け入れられない状況もある。
イ 医療機能に着目した診療報酬上の評価を行う観点から、回復期リハビリテーション病棟との機能の違いを踏まえつつ、例えば、急性期病床からの患者の受入れ、在宅・生活復帰支援、在宅患者の急変時の受入れなど、亜急性期病床における患者像や捷能を明確化し、亜急性期病床・回復期病床の機能に応じた評価について検討を行う必要がある。
  4 地域特性について
ア 医療資源の少ない地域では、一つの病院が複数の機能を担うことが必要な場合もあり、平成24年度診療報酬改定において、地域に配慮して入院基本料等で一定の要件を緩和した評価が行われたが、そのような地域の実情に配慮した評価のあり方について検討する必要がある。
  5 有床診療所における入院医療について
ア 有床診療所については、病院からの早期退院患者の受入れ機能、在宅患者の急変時の受入れ機能、在宅医療の拠点機能、終末期医療を担う機能、専門医療を担う機能等を有しており、それらの機能に応じた評価について検討を行う必要がある。

(2)外来医療について
ア 高齢化がさらに進展する中で、まずは身近なかかりつけ医を受診し、必要に応じて大病院や専門病院を紹介してもらうとともに、ある程度回復し、又は病状が安定したら、かかりつけ医に逆紹介される体制を整備することが重要である。
イ 複数の慢性疾患を持つ患者に適切な医療を提供しつつ、外来医療の機能分化・連携を更に推進するため、以下の事項について検討を行う必要がある。
・診療所や中小病院におけるかかりつけ医機能の評価
・大病院の専門外来の評価
・大病院の紹介外来を更に推進する方策 等

(3)在宅医療について
ア 一人暮らしや高齢者のみの世帯でも住み慣れた地域にできるだけ長く暮らせるように、地域ごとに地域包括ケアシステムを構築することが重要である。かかりつけ医を中心として、有床診療所や病院、訪問看護ステーション、訪問歯科、薬局等が連携し、地域で急変時の対応や看取りを含めた在宅医療を提供できる体制を構築する必要がある。
イ このため、在宅医療を担う医療機関の量の確保と、患者のニーズに対応した質の高い在宅医療の提供を推進し、地域包括ケアシステムを構築するため、介護報酬との連携に留意しつつ、以下の事項について検討を行う必要がある。
・看取りを含め、在宅療養支援診療所・病院の機能強化
・在宅療養支援診療所・病院以外の医療機関による在宅医療
・24時間対応、看取り・重度化への対応など、機能に応じた訪問看護ステーションの評価、訪問看護ステーションの大規模化の推進
・在宅歯科医療の推進
・在宅薬剤管理指導の推進
・訪問診療の適正化 等

(4)医療機関相互の連携や医療・介護の連携によるネットワークについて
ア 限られた医療資源の下、急性期から在宅医療、介護まで、患者がどのような状態であっても、状態に応じた療養環境で適切な医療を受けることができるよう、地域ごとに「地域完結型」の医療のネットワークを構築する必要がある。こうしたネットワークにおいては患者は状態に応じて適切な医療機関や施設、在宅等のサービスを受けられ、状態の変化によりサービスが変わる場合においても、安心して円滑に次のサービスを受けることができるよう、移動先の紹介・確保、移動元と移動先での情報共有等が行われるようにしなければならない。
イ 診療報酬においては、これまでも、地域連携パスを活用した医療機関の連携、救急医療における後方病床の患者の受入れ、入院中の多職種による退院指導、ケアマネジャーとの連携等の評価を行ってきた。医療機関の機能分化・強化と連携や医療・介護の連携をさらに推進するため、入院医療、かかりつけ医、在宅医療、歯科医療、薬局、訪問者護、介護などのネットワークにおいて、患者を支えるこれらの施設等が協力し、患者の状態に応じた質の高い医療を提供することや、「病院から在宅へ」、「医療から介護へ」の円滑な移行を図ることに対する評価について検討を行う必要がある。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。ただいま、これまで医療保険部会、医療部会で議論されたものを整理したものについて朗読いただいたわけでありますけれども、この議論に移る前に、1つだけ私、間違いがございましたので、訂正させていただきたいと思います。
 委員提出資料の番号でございますけれども、委員提出資料の1は岡崎委員の提出でございまして、委員提出資料2が小林委員、資料3が白川委員、資料4が菅家委員、資料5が福田委員ということでございますので、番号がずれておりました。失礼いたしました。
 それでは、早速、ただいま御報告がありました内容について、御意見、御質問を承りたいと思います。菅家委員、お願いします。
○菅家委員
 基本方針では初めて発言させていただきますが、今、説明された資料の中に「社会保障・税一体改革」という言葉が至るところに散りばめられているのですけれども、そもそもこの社会保障・税一体改革とは一体何を指しているのかということについて、よくわからないというか、何も記されていないわけでございます。私の理解で申し上げますと、昨年2月の政府が閣議決定した社会保障・税一体改革大綱をまずは指すと思っておりまして、その大綱に基づいて法律が提出されて、全てではありませんけれども、与野党の修正によって成立しているものもあるし、そうでないものもあるということだと理解しているということと。
 それから、特に一体改革大綱の中で考えられていた消費税増税のうち、社会保障を持続可能なものにしていくために活用しなければならないと想定されていたものが、総額で2.7兆円ぐらいあって、そのうち少子化等対策と年金についてはそれぞれ法律が成立していて、実行段階に入りつつあるということで、残り約1.4兆円について、医療・介護について純増で投入されるということが想定されている。しかし、その中身については何も決まっていないというのが今日の状態だと理解しているわけであります。
 したがって、まさに国民会議の議論がこの後、行われるわけでありますけれども、国民会議における最大のミッションは私はそこにあったのだろうと理解しているわけでありますが、そのことが国民会議の報告書においてクリアになっているかということについては、甚だ疑問であるということについては後ほど改めて申し上げたいと思います。今の議論の状況というのは、そういうところにあるのだと私としては理解しているということでございまして、先ほど説明のあった一体改革なるものが一体何を指しているのかということについて、まず明らかにすべきだろうと思っております。
 その上で、私、この間の議論で言いますと、基本方針の議論をやっていると理解しておりますので、基本方針について、私どもの考え方を述べたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。社会保障・税一体改革の中身は非常に広範にわたるわけですけれども、その中でどういうことを社会保障・税一体改革として、ここで出しているのかということの御質問ですけれども、医療課長、お願いできますか。
○宇都宮課長
 医療課長でございます。今、まさに御指摘のあったところで、ファイルのほうの前回の医療部会、医療保険部会、どちらでもいいのですけれども、最初に医療部会の資料がありますので。医療部会の資料2、前回説明させていただきました4ページ、5ページ、6ページ、7ページに社会保障・税一体改革の図が示されているところでございます。大綱に基づいて、こういうものを進めていこうということでございます。
 その中の、特に今回については、前回も御説明しましたけれども、来年度から消費税が上がることが見込まれている中で、この一体改革分について、どういった基本方針を立てて報酬の改定をしていくのかということについて御議論いただき、それを中間的に今回整理させていただいたという位置づけでございます。
○遠藤部会長
 菅家委員、お願いします。
○菅家委員
 私は、前回の改定の際の基本的な考え方にもはっきり書いてあるわけでありますけれども、当時で言いますと、まだ大綱ではなくて成案だったわけでありますが、成案に沿って病院・病床機能の分化・強化、連携、在宅医療の充実、重点化・効率化等を着実に推進していく必要がありということと、大綱で掲げられている2025年のイメージを見据えつつ、計画的に実施していくものとして、前回の診療報酬改定の基本的な考え方が整理されているわけでありまして、私はこの整理が正しいと思っております。
 したがって、次回の改定におきましても、この大綱で示された2025年の姿に沿って診療報酬を改定していくと整理されるべきものだと考えているところでございます。したがって、とりたてて社会保障・税一体改革関連云々の基本的考え方という整理については、ちょっと理解できない。その上で、幾つか申し上げたいと思います。
 まず1点目は、医療人材の確保についてでございます。連合で昨年、看護職員の労働実態調査を行いまして、その中でも明らかになったわけでありますけれども、看護職員でやめようと思ったことがあるという方が5割を超えているという実態が明らかになっております。したがって、この医療人材の確保というのは極めて緊急度が高いと考えております。とりわけ救急・周産期、外科等の急性期医療を担う医師、看護職員、コメディカルなどの人材確保を優先的に考える必要があると、まず考えているところでございます。
 2点目は、病院・病床の機能分化、そして医療と介護の連携強化、在宅医療の充実。この考え方については、まさに大綱においても明確に方向性として、目標として示されているものでございまして、この考え方を着実に、計画的に実現していくようなものに資するものとならなければならないと考えているところでございます。
 特に、病院・病床の機能分化と、その受け皿とも言うべき地域包括ケアシステムの確立というものが極めて重要な柱だと思っておりますし、医療機関の連携・強化、あるいは医療と介護の役割分担の明確化と連携。さらには、介護保険制度がつくられたときに社会的入院という言葉が大きく言われたわけでありますけれども、その現実は、介護保険制度が成立している今日なお、そういった課題があると認識しているということでございます。
 3点目といたしまして、認知症対策の促進について挙げたいと思います。既に政府で5カ年計画に基づきまして、さまざまな対策が講じられているわけでありますけれども、そういった取り組みを加速させる診療報酬の改定に資するべきだと考えているところでございます。また、難病対策、精神科の在宅医療の充実などについても考慮すべきと考えております。
 4点目は、患者の視点でありまして、患者から見てわかりやすい、納得のできる安心・安全の医療の実現という課題も重要な課題であり、大綱なり前回の基本方針においても掲げられている内容でございます。
 5点目といたしまして、医療の効率化の推進でありまして、とりわけ後発医薬品の使用促進、レセプトの電算化などについても強調しておきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。既に先ほどの御報告された中に入っているものもあるし、あるいはむしろ強化するべきだというもの、あるいは触れていなかったものについても若干御説明があったということです。
 ほかに何かございますでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 国民会議の報告書については後ほど議論が行われるとのことですが、そこには医療提供体制の改革は、提供者と政策当局との信頼関係が基礎となるべきと書かれてありますが、それが十分と言えないのが現状だと思います。医療機関の機能分化については、急性期の定義をあいまいにしたままで亜急性期を先に定義づけて、多くの急性期病床を無理やり亜急性期病床に移行させようとしているため、現場に混乱と不安が生じています。
 それに対して、昨日、8月8日、日本医師会と四病院団体協議会は、医療提供体制のあり方について合同提言を行いました。その内容につきましては、本日午後2時から開催される医療部会のほうにおいて、日本医師会の中川副会長より説明されることになっておりますが、我が国の急性期医療の多くを担う医療機関の危機感に基づく提言であり、次期診療報酬改定の基本方針にも、同合同提言の内容が反映されることを強く希望いたします。
 厚生労働省は、在宅や施設での急変を全て亜急性期で診るように提案しておりますが、現場では急性期には重症、中等症、軽症があり、サブアキュートは急性期、ポストアキュートは亜急性期とするのが自然な受けとめ方であり、急変時には一旦急性期で受けて、落ち着いたら早期に亜急性期に移すような仕組みづくりをするほうが、スムーズに移行が進むと考えられます。急変時には、若年者は急性期へ、高齢者は亜急性期へという分け方は、新たな差別を生みかねません。重要なのは、通常の高齢者の救急患者がいきなり高度急性期や3次救急に行かないで済むようにする仕組みづくりではないでしょうか。
 入院コストが低い我が国では、7対1から13対1の亜急性期に落とされた病院が以前と同様の機能を維持することは困難であり、身近な救急から撤退する医療機関が続出し、残った病院の負担がさらに重くなって現場が大混乱に陥ることは、絶対に避けなければなりません。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。医療機能の分化の中で、亜急性の考え方、定義について、もう少し考えるべきだということで御提案いただいているということ。これは医療法との関係もありますけれども、そういう視点が重要だということの御指摘だったと思います。
 ほかにございますでしょうか。白川委員、お願いします。
○白川委員
 今回の中間取りまとめ案につきましては、事務局の御苦労もあって、全体的には両部会で出たさまざまな議論をうまくまとめていると。それから、菅家委員もおっしゃったとおり、一体改革の方向、それから、先ほど申し上げた両部会の意見の方向に沿った形であるということで、中身につきましてはこのとおりでよろしいと考えております。ただ、一部、表現上の問題あるいは考え方の問題で、いかがなものかというところがございますので、その点だけ述べさせていただきたいと思います。
 最初に、案の1ページ目の(1)のアの部分でございますが、「医療関係者の献身的な努力」で長寿を達成したのだと書かれております。医療関係者の献身的な努力を否定するものではありませんが、それだけではなく、国民の健康意識の向上とか、さまざまな要因で長寿社会が実現されたと思っておりますので、ここのところの表現をもう少し工夫いただけないか。
 あわせて、3行目から4行目の「OECD諸国の中で中位にあり、世界一の高齢化水準に鑑みれば、決して高い水準ではなく、世界に高く評価されるコストパフォーマンスを達成してきた」というのは、これがどういうニュアンスで書かれているのか、私にはよくわからないのです。確かに医療提供側の発言としては、この種の発言はよくございます。それが世界で高く評価されているのかどうかというのは、よく承知しておりませんが、こういったことをここに入れる必然性というのが、よく理解できないということでございます。
 その他、もう一、二点あるのですが、3ページの中段あたりに「地域特性について」というのがございます。ここに記載されておりますとおり、前回の診療報酬改定において、地域に配慮して入院基本料等で一定の要件の見直しを実施したわけでございますが、「そのような地域の実情に配慮した評価のあり方について検討する」という方向は、前回同様、必要だと思いますが、こういう要件緩和をするということは、患者負担がふえるのだということも考慮して検討しなければなりません。そういう意味では、当該地域に住んでいる患者負担も考慮した上で検討するのだというニュアンスをここに出していくべきではないかなと思っております。
 それから、その下の外来医療でございますが、「かかりつけ医」という言い方は、これも委員の皆さん方でいろいろな言い方があって、非常に難しいと思います。たしか、日本医師会は、「かかりつけ医」という言い方をされておりますし、我々は「総合診療医」という言い方をしております。ですから、「かかりつけ医」と書くよりは、場合によっては「主治医機能」とするなど、ここの表現をちょっと工夫いただけないかと考えております。
 それから、鈴木委員が日本医師会と四病院団体の共同声明の話に触れられました。各団体がいろいろなお考えを示されることを別に否定するわけではございませんが、前回の医療保険部会で申し上げたとおり、患者の負担が適正かどうかということも、病床区分を議論するときにはぜひ忘れないでいただきたいということを、日本医師会並びに四病院団体には、この場をかりてお願いしておきたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。ただいま、御意見、幾つかありましたけれども、事務局で何かコメントございますか。医療課長、お願いします。
○宇都宮課長
 医療課長でございます。最初の1ページ目の(1)のアのOECD諸国等についての表現に関してなのですが、これは後ほど御説明があると思うのですけれども、社会保障制度改革国民会議の報告書の中にもとられている表現、それをそのまま持ってきているような形ですので、その辺のところは御理解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。そのとおりなのですね。この辺は報告書の中に入っていることです。
 ほかにございますでしょうか。小林委員、お願いします。
○小林委員
 議論の整理について、大まかな方向性はこれでいいと思いますが、医療保険部会としての議論を明確にするために、厳しい医療保険財政を踏まえた視点がもう少し盛り込まれるべきではないかと思います。医療費が急増し続ける中で、これ以上の国民負担を回避するためにも、効率化できるものを常に探して、医療費適正化に向けた取り組みを国民にわかりやすく、明確に打ち出していくべきだと思います。例えば前回も申し上げましたが、緩やかな形でのフリーアクセス制限を進めていく方法として、紹介のない病院の外来受診に対する一定額の定額自己負担の導入について検討すべきだと考えます。
 また、ジェネリック医薬品の使用促進について、従来の延長線上のインセンティブ策を超えた、諸外国で行われている制度的な対応についても検討すべきであり、議論の整理については、項目を1つ立てて医療費適正化に関する姿勢を国民に対して明確に打ち出すべきではないかと考えます。
 また、この資料の1ページ目、1.基本認識の(1)の一番下のオにおいて、次期診療報酬改定のことが触れられております。医療の機能強化も大切でありますが、前回も申し上げましたとおり、厳しい医療保険財政を踏まえれば、次期診療報酬改定はこれ以上の国民負担を回避することを基本とすることも、意見として反映すべきだと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 ほかに。それでは、鈴木委員、武久委員の順番でお願いします。
○鈴木委員
 白川先生からかかりつけ医の話がありましたが、総合診療医というのは実態がありませんから、そういうものを文書にするのはいかがなものかと思いますし、我が国のかかりつけ医機能をさらに充実させる方向でいくのが現実的であり、私は唯一の道であると思っています。これは、後の国民会議の報告書にあるのですが、かかりつけ医機能というのは、まとめの4ページにもありますように、診療所だけではなくて中小病院も有するわけですが、報告書を見ますとかかりつけ医を診療所に限定しておりまして、あたかも総合診療医の地ならしにしようとしているようにも見えますので、我々としてはむしろそこが問題だと思います。
 あくまでも複数の慢性疾患があれば複数のかかりつけ医がいるという現状を反映したものでなければならないと思いますし、かかりつけ医機能の充実ということを基本にすべきだと考えております。
 それから、1ページ目の先ほど話題になった上の部分ですけれども、OECD諸国の中では中位にあるということですが、従来は先進諸国の中では最下位でありという言い方をされてきたと思います。現状でも最下位を争っているという状況ですので、そのぐらい低いということと、世界一の高齢化率を考えたら非常にコストパフォーマンスが高いというのは紛れもない事実ですので、それを記載して何の不自然もないし、さらに高齢化が進む中でもこれを維持していくためにはどうしたらいいかという視点で考えていくことが必要であると思います。
 それから、1ページの下のほうに「急性期を脱した患者の受け皿となる病床」とあります。これは、ポストアキュートという意味で亜急性期病床を捉えるということであれば、それでよろしいと思います。そうなってくると、3ページ目の3の亜急性期等についてのイです。前回も私から、お話させていただきましたけれども、3行目に「在宅患者の急変時に受入れなど」というサブアキュートも入っておりますから、これはサブアキュートは亜急性期と考えていることになり、整合性がとれないと思いますので、引き続き削除したほうがはっきりするのではないかと思います。
 それと、2ページ目の(2)のイの下から3行目の「地域完結型」というのが何回か出てきます。これは報告書にも書いてあるのですが、何を意味するのかはっきりしない部分があると考えられます。我々としては、連携をさらに強化していくことだろうと思うのですけれども、場合によっては、例えば地域における医療機関を一体的に評価するようなことも含むのか、あるいは報告書などを見ますと、医療と介護を一体化するようなことを意味しているのかとも考えられます。その辺がはっきりしないまま議論がどんどん進んでいくという可能性もありますので、その辺をはっきりさせておくことが必要かと思います。
 それと、2ページ目の2ポツの(1)のウの下から3つ目に「入院早期からのリハビリテーション」というのがあります。これは我々も必要だということは理解しておりますけれども、かなりマンパワーがここに割かれる可能性がありますので、現場がかつての7対1看護の争奪戦のようなことになって混乱しないようにという配慮は必要だと思います。
 それから、4ページ目、(3)の在宅医療についてですが、「地域包括ケアシステムを構築することが重要である」ということで、「かかりつけ医を中心として、有床診療所や病院、訪問看護ステーション」等々ありますが、病院というのは中小病院ということだと思うのですが、それでよろしいのかどうかということでございます。
 それから、同じくイの「在宅薬剤管理指導の推進」とあります。これもよろしいかと思いますが、これは調剤薬局だけではなくて、医療機関からの介護保険も含めた在宅薬剤管理指導の推進ということであるべきだと思います。
 また、そこの上のほうにありますが、在支診、在支病以外の医療機関による在宅医療の推進が入ったということは、我々としては評価したいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。鈴木委員、御意見だと思ったのですが、御質問のような文末がありましたので、これは確認する必要はございますか。例えば病院を中小病院としているかどうかという。
○鈴木委員
 お願いいたします。
○遠藤部会長
 では、事務局、幾つか御意見、ありましたので、コメントをお願いしたいと思います。
○宇都宮課長
 医療課長でございます。済みません、どれが質問に当たるのかよくわからなかったのでございますが。
○遠藤部会長
 明確な質問形式だったのが、4ページの有床診療所や病院という、ここで言う病院は、中小病院でいいのかどうかということだと思います。
○宇都宮課長
 具体的なものについては、今後、中医協の中での議論ということになるのでしょうが、これまでの例えば入院分科会などの議論を踏まえると、中小病院というイメージがついているのかなという気がいたします。いずれにしても、今後の議論だと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。よろしゅうございますね。
○鈴木委員
 はい。
○遠藤部会長
 それでは、武久委員、お待たせしました。
○武久委員
 社会保障国民会議の記録にも、資料1にも全く記載されていない重要なポイントがあると思うので、それについてちょっとお聞きしたいと思います。
 2ページ目、3ページ目ですけれども、3ページの一番上に「長期療養患者については、適切な環境で療養を行うことが重要である」と書かれています。2ページの後ろのほうでは、高度急性期、急性期という話が出ていまして、さらに亜急性期と。別の分け方をしますと、一般病床、療養病床という分け方が従来使われていたのですけれども、それは余り適切じゃないということで、病期によって、このように急性期、亜急性期、慢性期的な長期療養と分かれたと思うのですけれども、ここで非常に重要なポイントは、長期になる場合には適切な環境と。
 実は、一般病床は、療養環境としては6.4平方メートルの4人部屋ということに新しい基準ではなっているのですけれども、残念ながら古い基準の4.3平方メートルの10人部屋でも、これは急性期病院としてそのまま認定されております。急性期医療の2週間程度であれば、仮に10人部屋でも辛抱できるのですけれども、一般病床のうちの一つである障害者病棟とか特殊疾患病院というのは超慢性期でありまして、2年、3年、5年、10年と入院なさっている場合がある。しかるに4.3平方メートルの8人部屋でも、6.4平方メートルの4人部屋でも全く同じ診療報酬で、非常に長期に、環境としては劣悪な状況で入院していて、しかも診療報酬は全く一緒である。
 3ページの一番上の「長期療養患者については、適切な環境で療養を行うことが重要である」という点について、現状ではそごがある。この点につきましては、社会保障国民会議の先生方も、現場の事情を非常に詳しい方が少なかったのかもわかりませんが、現場としては、障害者とかの病棟の超慢性期には療養病床等の環境が必須であると思います。その点の視点が全く抜けていると思います。
 また、亜急性期病棟につきましては、先ほど鈴木委員がおっしゃったような意見もございますし、私もそれに特に反対するわけじゃありませんけれども、鈴木委員がおっしゃるようにするということは、急性期を現状のまま推移するということであります。現在でも救急患者さんをなかなか受け入れてくれなくて、言い方は悪いですが、たらい回し的なことで救急車の中で亡くなる。特に高齢患者さんについては2次救急も受け入れるのをためらうことがございまして、非常に困っているという現状があります。
 これが2025年に向けて、死亡する方が1.5倍で、入院患者、特に高齢者の救急がどんどんふえる。今のままでいきますと、現場は非常に困るし、救急のERのようなところに軽症的な救急もどんどん運ばれるようになってくると、これは現実問題として非常に困る。現在でなしに、私が思いますのは、ここに出てきているのは、近い将来、このような方向に変えていくということだろうと理解しておりますので、軽度の慢性期の状態で急速憎悪、また、軽度の救急等については、地域の中である程度分担して急変患者を受け入れないと、現在の救急体制が非常に困ったことになることを前提として、こういう提案がなされていると思いますので、そのように理解してほしいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、森昌平委員、お願いいたします。
○森昌平委員
 先ほど小林委員のほうから後発医薬品の使用促進ということがありました。新たなロードマップが示されましたので、これまで以上に取り組んでいきたいと思っています。そのためには、関係者の理解や協力が必要で、また使いやすい仕組みといいますか、後発医薬品の使用がより進む環境整備が必要になると思います。ただ、小林委員がおっしゃられたように、海外に参考になる事例もあると思いますが、海外とは制度や仕組みが異なります。給付の問題とか、患者さんの意思もあり、そのまま導入することは、非常に難しいこともありますので、その辺は日本の制度、現状等を考慮した上でどのようなものを持ってくれば、いいのかということは慎重に検討しながら、進めていきたいと思っております。
 よろしくお願いします。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 それでは、和田委員、森千年委員という形でお願いしたいと思います。
○和田委員
 先に済みません。病院の機能分化、機能連携ということが今回、非常に大きなトピックになって、必要なことだと私も思っておりますけれども、他方、患者さんのほうは医療的な客観的ニーズを超えた、膨らみのある主観的なニーズをいろいろ持っておられると思います。このような機能分化が現実に進行していけば行くほど、そのハード的な機能分化のシステムが提供しようとするものと、患者さんのニーズに齟齬が生じてくる可能性がどうしてもある。現場では、それがたとえば退院の際のトラブルという形であらわれてくるように思います。
 したがって、ハードウエア的な機能分化を推進していくことと同時に、そこを現実に円滑に進めていくためのソフトウエア的な側面への配慮ということが必要になってくるかと思います。例えば、現在でも医療対話推進者のような人材について診療報酬で手当てすることも行われていると思います。案の一番最後のところにも含まれていることかと思いますけれども、このようなソフトウエア的な側面への配慮の必要性ということを補足的な意見として申し述べさせていただきました。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。機能の分化をするのであれば、その連携ということを十分に考えなければいけないという御指摘だったと思います。
 では、森千年委員、お願いします。
○森千年委員
 前回も私のほうからお話させていただきましたけれども、基本認識として、社会保障関連費用が非常に増大する中で、消費税の引き上げ財源によって医療・介護の機能強化を図ると同時に、重点化・効率化を着実に進める必要があると考えております。特に、将来的に持続可能な社会保障制度を維持するという観点からも、まずは給付の効率化・重点化、療養の範囲の適正化といったものの検討に注力することが必要だと考えています。その上で、一部表現上の問題も含め、2点ほど御指摘させていただきたいと思います。前回もお話しましたけれども、医療の重点化・効率化を進める上では、医療情報のICT化が重要だと考えております。そういった観点から、最終ページ、4ページの(4)のアに「医療情報のICT化とネットワークを進め」という文言をどこかに挿入することを検討いただければと思います。
 このほか、前後しますけれども、2ページ目、(2)のアですが、「段階的に」という表現がございます。これは、現場の混乱を避けることも重要なことでありますので、段階的にということも理解できますけれども、一方で、2025年の姿として描かれた医療体制の方向へ向けて、着実に改革を推進していく必要があると考えておりますので、「段階的かつ着実に」というかたちで表現上の工夫をいただければと考えております。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 それでは、樋口委員、お願いします。
○樋口委員
 2ページの(2)のイで、「患者の立場からすれば」と書き出していただいたのは大変ありがたいことでございます。病院の機能分化ということは、急性期病院が多過ぎるということは確かにございますでしょうから、財政面からも分化していただくことは結構なのですけれども、一番最後に、4ページの(4)、「患者がどのような状態であっても、状態に応じた療養環境で」云々というところです。ここでも「地域完結型」と出てくるのですが、こういう機能分化した病院を、結果としては、特に高齢者の場合はわたり歩かされることになると思うのです。
 病院の機能分化という視点からだけ考えずに、そこにいる一続きの人生を生きている、それも人生の終末期に近い高齢者に対して、1人の人間が移動していくときに必要な情報提供とか、その間の手続の簡素化。1カ所行くたびに、また長々と問診をとられてということがないような、適切な療養環境が得られるような仕組みをぜひつくっていただきたいということが1つです。
 それから、前回にちょっと舌足らずで申し上げましたけれども、「地域完結型」ということを鈴木委員がおっしゃいましたように、これはきちんと定義していただきたい。というのは、介護保険から始まって地域包括システムとか地域包括センターという言葉がかなり普及しております。そうなったときの地域というのは、国民会議にもよく出てまいりますけれども、人口1万から2万、中学校区ということのようですが、それで医療が完結するとはとても思えませんし、地域という言葉があまりにも多様に、あいまいに使われておりますので、この場合の地域は何を指していうのか。
 私は、これだけ読んで、例えばこれが高齢者対象ならば、2ページの(2)のイの書き方でいいのかなと思いましたけれども、これはあらゆる年代の医療のはずでございますから、地域完結型ということのイメージをお示しいただきたいと思いました。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。前半におっしゃられたことは、多くの委員の方々もおっしゃっておられることで、機能分化を進めると、患者さんの負担が余り生じないような連携をよく考える必要があるということが複数の委員から出ております。ありがとうございました。
 後段のお話は、「地域完結型」。これは、国民会議の報告書の中に出ているわけでありますけれども、どういうことなのか、具体的なイメージがあるのか、ないのか、それを含めてはっきりとしてほしい。これは、ほかの委員からも出てきた話だと思います。
 これについて、何かコメントはございますか。医療課長、お願いします。
○宇都宮課長
 医療課長でございます。今、遠藤部会長からもお話ありましたように、この地域完結型という表現、国民会議の報告書のほうで出てまいりまして、具体的には参考資料2「社会保障制度改革国民会議報告書」の21ページにございます。何カ所か出てきているのですけれども、この2つ目の段落の真ん中、「QOL」という字が目立つと思うのですが、そのちょっと下ぐらいです。「すなわち、医療はかつての『病院完結型』から、患者の住み慣れた地域や自宅での生活のための医療、地域全体で治し、支える『地域完結型』の医療、実のところ、医療と介護、さらには住まいや自立した生活の支援までもが切れ目なくつながる医療に変わらざるを得ない」。
 このイメージというのは、地域包括ケアの地域とイメージがかなり重なってきているのではないかと考えますが、診療報酬で実際どのようにしていくかというのは、また今後の具体的な議論の中でということだと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。国民会議の議論の中でも、この地域完結型というのは具体的に何を意味するのかということが細かく議論されておりません。ただ、この文脈の中で見れば、病院完結型との対比という形で書かれているだけの話ということであります。
 ほかにございますか。それでは、村岡参考人、お願いいたします。
○村岡参考人
 それでは、特に地域特性や有床診療所における入院医療に関連して発言させていただきます。
 これまで本市の岡崎市長も、地域特性、療養病床のあり方等について意見を述べさせていただいたところなのですが、特に高知県のような中山間を抱えて、高知県は医療機関が多いのですが、一方で僻地や医療過疎が進んでいるという実態がございます。
 有床診療所も中山間の中で貴重な医療資源として活用しているのですが、前回の診療報酬改定の際に、有床診療所への管理栄養士の配置ということが義務化されるということになっています。先日、地元の新聞にも載っておったのですが、98ぐらいの診療所があるなかで、回答したのが45ということですが、現在、管理栄養士が確保できていない施設が26ある。コメディカルの地域偏在というのもありますから、地元に有資格者がいないという実態もございます。そこで、管理栄養士が確保できない場合には、26の診療所のうち14の診療所は、そのときには病床閉鎖しなければならないという回答になっております。
 医療の質を高めていくという意味での診療報酬の改定というのは、非常に意義があると思うのですが、地域実態を考慮していないと、本来目的としたものと結果が合わないということも起こり得るのではないかと考えております。そういう意味では、3ページの5に書かれております有床診療所の入院医療について、その機能に応じた評価というところもありますけれども、一方、中山間の中では、その機能を損なわない評価ということも必要ではないかと考えておりますので、それぞれの地域の特性や実態というものを踏まえた診療報酬の改定というのが、今後のあり方として必要ではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。地域によって医療資源が偏在しているので、個々の医療機関の努力ではなかなか達成できないという事情もあるということで、平成22年に地域の特性に応じて診療報酬を少し変えるべきだという議論が行われて、24年から一部導入されているという経緯がございますので、それを今後、引き続き議論するという御意見だと理解させていただきます。
 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。本日、さまざまな御意見をいただきました。冒頭、医療課長から報告がありましたように、今後、政府・与党の議論の中で、この部会として基本的な考え方として、どういうものかということを聞かれる可能性もあるということでありますので、そういう趣旨で整理していただきたいと考えております。
 本日、いろいろな御意見が出ましたので、またそれらを踏まえながら、医療部会でも議論が行われますので、それも踏まえながら修文していただきたいと思います。また、それによって変更したものにつきましては、適宜、委員の皆様には御報告いたしたいと思っております。本部会におきましては、次回以降も引き続き、診療報酬に関しての基本方針の議論をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。はい。
 次に、「社会保障制度改革国民会議の報告」を議題としたいと思います。
 事務局から国民会議の報告書の説明をお願いします。総務課長、お願いします。
○大島課長
 総務課長でございます。参考資料2「社会保障制度改革国民会議報告書」、8月6日付のものでございます。かなり大部にわたりますが、ポイントを絞りまして簡単に御紹介したいと思います。
 33ページをおめくりいただけますでしょうか。医療・保険制度改革ということで、医療・介護の中の医療保険部分がここから始まります。その前までは、今までに御議論がありました医療提供体制のほうの記述がございまして、総合診療医のこととか医療と介護の連携、あるいは医療の中での連携といったことの記述がございますが、そこは割愛させていただきます。
 医療保険制度改革ということで、最初は、財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保ということで、真ん中よりちょっと下ですけれども、国民皆保険制度を守るためには、現在の市町村国保の赤字の原因や運営上の課題を、現場の実態を踏まえつつ分析した上で、国保が抱える財政的な構造問題や保険者の在り方に関する課題を解決しなければならないということで、その下ですが、財政運営の責任を都道府県にも持たせることが不可欠だとございます。
 その下ですが、国保の財政的な構造問題問題の解決が図られることが、国保の保険者を都道府県に移行する前提条件となる。その財源については、後期高齢者支援金に対する負担方法を全面総報酬割にすることにより生ずる財源をも考慮に入れるべきであるといった記述がございます。
 次のページ、5行目、国保の運営について、都道府県・市町村・被用者保険の関係者が協議する仕組みを構築しておくことも必要であろう。
 それから、真ん中よりちょっと上ですが、国保の低所得者に対する保険料軽減の拡充を図る。ちょっと下、低所得者が多く加入する国保に対する財政支援の拡充措置といった記述がございます。
 真ん中よりちょっと下ですけれども、国保の保険料の賦課限度額を引き上げるべき。被用者保険においても、標準報酬月額上限の引上げを検討すべき。
 下の段落ですが、後期高齢者支援金に対する負担方法について、ちょっと飛びまして、2015年(平成27)年度からは被用者保険者間の負担の按分方法を全面的に総報酬割とし、保険料格差も相当に縮小するという記述がございます。
 次のページ、35ページですが、その際、協会けんぽの支援金負担への国庫補助が不要となる。これは、社会保障機能強化策全体の財源として有効に活用し、国民に還元すべき。こうした財源面での貢献は、国民健康保険の財政上の構造的な問題を解決することとした上での保険者の都道府県への円滑な意見を実現するために不可欠である。
 また、健保法の一部改正法附則においては、高齢者の医療に要する費用の負担の在り方についての検討の状況等を勘案し、協会けんぽの国庫補助率について検討する旨の規定が付されており、これにのっとって、高齢者の医療に要する費用の負担の在り方を含めた検討を行う必要がある。
 ちょっと下ですが、その他被用者保険における共同事業の拡大に取り組むことも検討が必要。
 所得の高い国民健康保険組合に対する定率補助もかねて廃止の方針が示されており、廃止に向けた取組を進める必要がある。
 それから、後期高齢者医療制度につきましては、現在では十分定着していると考えられる。実際状況等を踏まえ、必要な改善を行っていくという記述があります。
 (2)医療給付の重点化・効率化(療養の範囲の適正化等)の下のほう、紹介状のない患者の大病院の外来受診について、一定の定額自己負担を求めるような仕組みを検討すべきであるといった記述がございます。
 36ページ、入院療養における給食給付等の自己負担の在り方について、入院医療と在宅医療との公平を図る観点から見直すことも検討すべきである。
 それから、70~74歳の医療費の自己負担について、特例措置について、世代間の公平を図る観点から止めるべきでありという記述がございまして、引き続いて、低所得者の負担に配慮しつつ、既に特例措置の対象となっている高齢者の自己負担割合は変わることがないよう、新たに70歳になった者から段階的に進めることが適当である。
 高額療養費については、ちょっと飛びまして、所得の区分について、よりきめ細やかな対応が可能となるよう細分化し、負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことが必要である。
 その次の段落ですが、後発医薬品の使用促進など既往の給付の重点化・効率化策も引き続き取り組む必要があるといった記述がございます。
 これを踏まえまして、今後、8月21日までに法制上の措置を政府においてとるということが、一番近いスケジュールとしては予定されております。
 説明は以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。医療・介護分野の改革の中で、当部会と関係がある領域について御報告をいただいたわけでありますけれども、御意見、御質問、ございますでしょうか。それでは、柴田委員、白川委員、お願いいたします。
○柴田委員
 まだその時期じゃないと事務局から言われるかもしれませんけれども、国民会議で指摘された事項を具体的に今後検討していかなきゃいけないと思うのですけれども、それのスケジュール感というのを、今、言えないなら、また次回でもいいですが、伺いたい。
 例えば国保の関係ですと、次期医療計画の策定前に都道府県単位化の話も出ていますから、何となく読めるといえば読めるのだろうと思うのですけれども、一番心配しているのは、混乱といいますか、後期高齢者医療制度を入れたときもそうですけれども、みんなにわかってもらうことと、保険者のほうでもちゃんと準備しておく。準備をする中には、システムの準備とか、いろいろあるわけです。そういう意味でも、早く情報をとって、早く形をつくっていかなきゃいけないわけですけれども、日程感というものが非常に大事なものですから、今、言えるのであれば言っていただきたいし、また追々、具体的にできるということであれば、またそのときでも構いませんけれども、お話いただければと思います。
○小林委員
 関連しまして。
○遠藤部会長
 では、小林委員、お願いします。
○小林委員
 今、柴田委員からお話がありましたように、医療保険部会として報告書を受け、これから議論することになると思いますが、今後どういうスケジュール感を持って、何を議論していく予定であるかを整理すべきではないかと思います。具体的には、年内までに何を議論していくのかといった、議論していく優先項目のスケジュールを整理すべきであり、事務局におかれましては、次回の部会までに整理し、資料を御提出いただけたらと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。お二方から今後のスケジュールの話と、当部会で議論する内容について、もし現在、お答えできるのであればお答えしてほしいということです。いかがでしょうか。
○大島課長
 8月21日までに、この報告書を踏まえました法制上の措置を定めることになります。それにつきまして、9月9日に医療保険部会を予定しておりますので、その内容を御報告させていただきたいと思っております。その段階で、法制上の措置についてのスケジュールというのはある程度含まれると思います。年内に何をどうしていくかにつきましては、その段階までにこの部会のスケジュールまで示すことは、まだそこまで至っていないかもしれませんが、いずれにしましても、医療保険部会で秋から年末にかけまして、どういったことをやっていくべきかということは、なるべく早い段階で案を示させていただきたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。そういう段取りということでよろしゅうございますか。
 では、柴田委員、お願いします。
○柴田委員
 そのときでも構いませんけれども、例えばこの国民会議の報告書の27ページに、国保の保険者については、国と地方団体との十分な協議が必要となるということも書いてあります。要するに、この議論というのは、医療保険部会だけじゃなくて、多分ほかの場でもやるのだろうと思うのですけれども、そういうことも含めて、次回にはお示しいただくといいかなと思っております。よろしくお願いします。
○遠藤部会長
 よろしくお願いいたします。
 それでは、白川委員、鈴木委員の順番でお願いいたします。
○白川委員
 ありがとうございます。この報告書につきましては、既に安倍総理にお渡しになったということでございますが、私どもとしても意見を本日の委員提出資料3にまとめさせていただきました。今までも縷々私どもの意見を申し上げましたので、1項目ずつ説明するつもりはないのですけれども、全体としては、私どもは国民会議の報告書については納得できるものではないと申し上げておきたいと思います。
 税と社会保険の機能をどうするかとか、負担と給付の関係はどうなのかとか、いろいろ言いたいことはございますけれども、1点だけ、4つ目の段落に、後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入によって削減される国庫財源を、被用者保険ではなく国保の財政補てんのために転用するといった方策に対する私どもの考え方が書かれております。私も国民会議の議論を見ておりましたけれども、委員の中で何名かの委員の方から、このことに関して委員間の意見の一致を見ていないので修正すべきだという御意見があったということが事実でございますが、現実的には、先ほど総務課長がおっしゃったような方向で報告書は書かれたということでございます。
 このことについて、私どもとして、絶対許容できない、断固反対ということを強く申し上げておきます。どういう構図になっているか、皆様方、おわかりでございましょうけれども、言っておきますと、現在、国保は赤字を市民税・住民税を使って補てんされている。3,000億円強だと伺っておりますけれども、それを都道府県化するに当たって国税で補てんしよう。住民税から国税に変えようという話でございます。
 それは問題が2つございまして、消費税財源を引き上げることを前提にすれば、その財源を使って手当てしますというなら、まだわかりますけれども、そうではない。その分を、今、協会けんぽさんに入れている公費を引き揚げて充てますという話になっている。言ってみれば、その分は健保組合と共済組合が負担増になるわけですから、今、住民税で手当てしている分を健保組合と共済で持てという話で、全く筋が通らない。
 なぜこんなに声を荒らげているかといいますと、皆さん方、おわかりのとおり、健保組合というのは1人当たりの医療費が非常に低い。それから、平均で言えば保険料率が低いということになっています。これは標準報酬が高いからだろうという意見もありますけれども、一方では、保険料あるいは医療費を抑えるための努力をしているわけでございます。したがって、給付額が低いから保険料が低くて済むという関係になっているわけでございます。今やろうとしていることは、簡単に言うと、あなたは病院に行かなくて医療給付費はほとんどかからないけれども、保険料だけ負担を増やすよと言っている話なのです。ですから、私どもは怒っている。それは、保険の理念から言っておかしいだろうと。
 保険というのは、給付と負担のバランスで成り立っているわけでございますので、その基本理念を覆すような話を国民会議がしているということで、我々としては絶対に認めるわけにいかない。これは強く申し上げておきます。その他、いろいろ言いたいこともありますが、このぐらいにしておきたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
 国民会議の報告書についてでございますが、先ほども少し発言させていただきましたけれども、24ページの、改革の方向性、基本的な考え方というところで、「提供体制の改革は、提供者と政策当局との信頼関係こそが基礎になるべきである」とあり、その以下の文章も含めて、我々現場の考え方、気持ちを理解していただいている内容になっておりますので、ぜひこれを踏まえて行ってほしいと思います。
 それから、さき程も発言しました、かかりつけ医のところですけれども、診療報酬ではかかりつけ医機能の充実ということになっているのですが、これを見ますと、随所に、例えば22ページの上から3つ目の段落、救急医、専門医、かかりつけ医(診療所の医師)と、かかりつけ医を診療所の医師に限定してみたり、あるいは31ページ、(6)医療の在り方の上のほうに「総合診療医」というのが出ていまして、その下のところに「もちろん、そのような医師の養成と並行して、自らの健康状態を把握した身近な医師に日頃から相談・受診しやすい体制を構築していく必要がある」という記載があって、先ほども言いましたように、あたかもかかりつけ医の充実というのは総合診療医の地ならしみたいに書かれているような気もします。
 それは我々は違うと思いますし、もしそういうものが前提だったら、我々も見方を考え直さなければいけないということもありますので、これは実際どんな議論だったのでしょうか。総合診療医をかなり強く主張されている委員の方もいらっしゃったようですけれども、我々は外国なども調べた上で、あくまで我が国の歴史的な経緯も踏まえれば、今のかかりつけ医機能を充実させる方向が唯一の道だと思っております。これについて、例えば遠藤先生は委員としてお出になったのですけれども、どんな議論だったかのということをぜひお聞かせいただきたいと思います。
 それから、28ページで、医療法人制度・社会福祉法人制度の見直しというところです。ここに「医療法人等が容易に再編・統合できるよう制度の見直し」とか「ホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことができる道を開くための制度改正の検討」という記載がありますが、これはかなり大きな話だと思いますし、地域によっては非常に大きな影響を与えるものだと思います。これは今後、どのように議論が行われていくのか、わかる範囲で教えていただければと思います。
 あとは、地域完結という言葉が何度か出てきておりますが、先ほど地域というのは地域包括ケアの地域と一緒だというお話もありました。読み方によって、連携を強化するのか、仕組みを一体的にしていくのか、あるいは医療と介護の一体化なのか、その辺がちょっとはっきりしませんので、どういう意味だったのか。病院完結型から地域完結型、単なる対比で言っているのか、どういう意味で使われていたのか、おわかりになれば教えていただければと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 私に対するお尋ねだったのですけれども、私も不確かな記憶でお答えするのも適当でないと思いますので、全てこれは議事録ができておりますし、それからインターネットで見ることもできるということでありますので、関連する部分について議事録を少しまとめて、次回でも御指摘について出していきたいと思っております。そういう対応でよろしいですか。
○鈴木委員
 はい。
○遠藤部会長
 それでは、近藤参考人、お願いします。
○近藤参考人
 全国知事会のほうでも、今回の報告書を受けまして意見書を出しておりますので、若干触れさせていただきたいと思います。提出資料5番でございます。先ほど、今後、報告書をもとに、政府におきまして法制上の措置の閣議決定、それからプログラム法案の提出といったいろいろな作業が進められることを踏まえまして、知事会として社会保障常任委員会委員長名で、意見書を各関係する大臣あて、提出したものでございます。
 さらに議論すべきと考えている論点、2つございますが、このうち国保について申し上げたいと思います。
 1つ目は、構造的な問題の抜本的な解決ということについてでございます。これまで当部会でも申し上げてきたことでございますが、国が責任を持って国保の赤字を解消するための財源を確保するように求めるものでございます。
なお、報告書にも記載がございますが、後期高齢者支援金の総報酬割導入について言及をさせていただいておりますが、これは国の厳しい財政状況の中、地方が求める財源確保の手段として、現時点で明らかにされている唯一の手段であるということを踏まえたものでございまして、先ほど白川委員がおっしゃった消費税財源といったことを完全否定するようなものではございませんので、何とぞ御理解いただきたいと考えてございます。
 あわせて、医療保険制度改革はこれで終わりではございませんので、将来的に全ての医療保険制度が全国レベルで一元化されるよう、具体的な道筋の明確化を求めたものでございます。
 2つ目は、国保の運営主体のあり方でございます。もちろん構造的な問題の抜本的な解決が前提条件となるということは言わずもがなでございますけれども、報告書を見ますと、市町村から都道府県に保険者を移すといった表現が使われてございます。あくまで都道府県と市町村が役割と責任を分担し、共同して運営を行っていく。そして、分権的な仕組みとするということが、まさに制度の持続可能性を担保する上で重要であるという基本認識に立ちまして、制度の骨格となる事項につきまして、まだ明らかにされておりませんので、法律上の取り扱いも含めまして、今後地方との間で十分に検討していただきたいという趣旨でございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、菅家委員、小林委員の順番でお願いしたいと思います。
○菅家委員
 資料を提出させていただいております。委員提出資料4を御参照いただければと思います。特に、医療保険部会にかかわるところを中心にコメントさせていただければと思います。
 まず、1ポツに書いてございますけれども、消費税の負担増を医療・介護にどのように還元するか。私、会議の冒頭で申し上げましたけれども、1.4兆円という数字が政府からこれまで説明されているわけでありますけれども、その使い道について明らかにするということが国民会議の大きなミッションだと思っておりますけれども、それについては具体的な提起が一切ないということであります。したがって、役割を果たしていないのではないかということでございます。
 それから、2ポツに総論部分についての評価を書かせていただいておりまして、前回も申し上げましたけれども、国民皆保険・皆年金の意義、非正規労働者への社会保険の適用拡大、高齢者中心から全世代対象の社会保障への転換、医療分野における「年齢別」から「負担能力別」への負担の見直し、医療と介護の「総合合算制度」の創設といった方向性が出されているわけでありまして、これについては連合としては評価しているということでございますが、この総論で掲げられている理念・方向性が、各論において具体的に言及されていない。あるいは、総論で書いてあることと全く違うことが書かれているところが問題だと思っております。
 とりわけ年齢別の制度である後期高齢者医療制度を肯定することにつきましては、まさに年齢別から負担能力別といった方向性とは全く違う考え方でありますので、その点について批判したいということでございます。
 3ポツで医療分野にかかわっての記述をしてございまして、まず提供体制にかかわりましては、医療機関の偏在是正、あるいは機能分化と連携の推進のために、都道府県の権限・役割の拡大、そのための基金の創設といった考え方が出されているわけでありまして、これについては評価するということでございます。
 それから、医療保険制度につきまして、特に今回の報告書で国民健康保険制度の都道府県化が打ち出されているわけでありますけれども、報告書にも書かれておりますし、先ほど知事会のコメントでもありましたとおり、国民健康保険制度の持つ赤字構造の改善ということが重要である。もちろん社会保険の原則に基づいて都道府県化するという大数の原則を採用することについては異論はありませんけれども、この国保の赤字構造をどう変えていくのかということが重要であって、それについては具体的なことは何も書かれていない。要するに、財政基盤を安定化するということだけが書かれているわけでありまして、それでは誰も納得しないのではないかと思っております。
 私どもといたしましては、国保の赤字構造の最大の要因というのは、退職高齢者の問題であり、非正規労働者の問題だと考えておりまして、本来、健康保険法が対象とすべき人たちが国民健康保険制度のほうに入っているという、そこが一番の問題だと思っておりまして、そこを解決しない限りは国保の赤字構造は変わらないと考えておりますので、そこに改革のメスを入れるべきだと考えているところでございます。
 それから、高齢者医療制度への支援金・納付金について、これは全く納得できないところでありますし、とりわけ後期高齢者医療制度につきましては、5年たって定着しているから、これを基本にしていいのだという記述があったわけでありますけれども、年数がたっているから定着しているなどというのは、まさに暴論であって、学者・研究者の作文とは到底思えないと、この点を考えているところでございます。この後期高齢者医療制度を初めとする高齢者医療制度の抜本改革については、何ら言及されていないことについては問題だと考えているところでございます。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 小林委員、お待たせしました。
○小林委員
 私どもも委員提出資料2を提出させていただいております。まず最初に、国民会議報告書の取りまとめに当たり、遠藤部会長には本部会と国民会議の橋渡しをはじめ、御尽力いただきましたことに感謝申し上げます。
 協会けんぽの財政基盤の強化については、先ほど総務課長から御説明いただきましたとおり、参考資料2の報告書の35ページ、上から2段落目、「また」以下の文章ですが、「健康保険法等の一部改正の附則においては、協会けんぽの国庫補助率について検討する旨の規定が付されており、これにのっとって、高齢者の医療に要する費用の負担の在り方を含めた検討を行う必要がある」と記載されております。
 協会けんぽとしては、これまで国民会議にも出席し、本部会を通じても、被用者保険を持続可能な制度とするためには、一刻も早く協会けんぽの財政基盤を強化する必要があり、国民会議にはその具体的道筋をつけていただきたいこと、また、国民会議の議論が私ども協会けんぽにとって最後のチャンスであるということを強く訴えてまいりました。しかし、報告書の内容は、既に法律に規定されている検討規定を確認したにすぎず、報告書の取りまとめに御尽力いただいた遠藤部会長には恐縮ではありますが、報告書に対する協会けんぽとしての受けとめは、本日の提出資料にあるとおり、報告書は具体性の乏しい不十分な内容であり、極めて残念と言わざるを得ません。
 これまでも繰り返し申し上げてまいりましたとおり、協会けんぽの平均保険料率は既に10%に達しており、これ以上の保険料率の引き上げは限界にあります。このような他の保険者と比べて著しく高い保険料率であるにもかかわらず、現在の赤字財政構造のままでは、29年度には兆円規模の累積赤字に至る見通しであり、協会けんぽの財政基盤の強化は待ったなしの状況であることは明らかであります。
 8月21日までの間に法制上の措置が講じられる予定と思いますが、健康保険法改正の国会審議で採択されました附帯決議では、協会けんぽの財政基盤強化に関して、「協会けんぽの国庫補助率について、健康保険法本則を踏まえて検討し、必要な措置を講ずる」とあり、政府は、この国会の決議を十分尊重して、法制上の尊重には協会けんぽの財政基盤強化のための具体的方向性を示していただくよう、改めて強く要請いたします。
 また、後期高齢者支援金の拠出金負担に関する全面総報酬割について、これまで繰り返し申し上げておりますように、国保の財政基盤強化のために用いるのは筋違いであり、そのような考えには反対であることを改めて申し添えます。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。それでは、堀委員、お願いします。
○堀委員
 報告書の2ページ、2の(1)に自助・共助・公助の組み合わせということが書かれておりまして、私どもとしましては、3党合意に自助・共助・公助という文言が入っていた時からこの順番がどうなのかということは気にしておりました。当初は、最適な組み合わせということが、今回の報告書では、「『公助』は自助・共助を補完する」となっておりまして、そこにあるとおり、よく見ればわかるのですが、非常に混乱しやすいといいますか。この補完するというのは、皆保険制度、保険制度、年金制度に対応できないような、特別な困窮者についての対応について、公助は自助、共助を補完するという位置づけになっております。
 そのように理解しておりますし、昭和25年の勧告書もそのように記載していると理解しているのですが、印象としては、社会保障制度全体において、国の責任というものがやや後退したかのように読める、誤解されるところがあるということで、国民会議でもこのところは当然そういった趣旨ではないと理解しておりますが、書きぶりがそうなっている。
 例えば1950年勧告では、総説におきまして、こういった社会保障制度の責任は国にある。国が責任を果たす以上、他方、国民も社会連帯の精神に立って社会的な義務を果たすとなっております。今回、消費税増税もありますし、また、医療費がOECDにおいて中位にあるということも書かれておりますので、国の責任というのがこの表現で誤解を受けないように、ぜひお願いしたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。総論部分ですので、この部分の起草を行った私の責任ということになるわけでございます。
 ほかにございますでしょうか。大井川さん。
○大井川オブザーバー
 前回の会議でも申し上げましたけれども、一連の御発言がございましたように、全面総報酬割の導入に伴い、浮いた税財源を国保の赤字補てんに投入するという考え方につきましては、白川委員、小林委員同様に反対ということで、改めて申し上げたいと思います。
 それで、国民会議の報告書の33ページの中ほどに、先ほど総務課長からも御説明がございました「市町村国保の赤字の原因や運営上の課題を、現場の実態を踏まえつつ分析した上で」というような書き方があります。まず、これが非常に重要な部分であると考えております。この部分の踏み込みが足らないまま、まずは総報酬割を導入して税財源を浮かすという流れになることは、これは順番が逆ではないかと考えております。もちろん、赤字の要因につきましては、先ほど菅家委員からも御発言がありましたように、すでにいろいろ指摘されている部分はあるかと思います。
 しかし、被用者保険の負担が上がれば上がるほど、これは国民会議でも発言があったように、逆に雇用調整等が働いて、被用者が国保のほうにむしろ動いてしまう。逆の現象も起こり得るのではないかと思っておりますので、この部分につきましては、改めて踏み込んだ議論をお願いしたいと思っております。
 また、これとは別に、もしおわかりであればということで、事務局に御質問させていただきたいのですけれども、中期財政計画の骨子が公表されて、その中に経済財政諮問会議では、秋以降に社会保障の重点化・効率化について、具体的に踏み込んだ議論を集中して行うという記載がございました。そうしますと、21日に出されます大綱と言われるものとの関係は一体どういうことになるのか。この審議会で決めていく内容については、あくまで大綱を受けたものと理解していたのですが、一方でそういった動きがございます。これについて、もし今回は無理でも、次回、御説明いただけるのであれば、説明をいただきたいと思っております。
 特に、医療費を総額抑制していくような内容も書いてあります。以前の小泉内閣のときのキャップ制のようなことかと認識され得るような記載もございましたので、ぜひ御説明をお願いできればと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。後段は、事務局に対する質問だったわけですけれども、現状でわからない部分も多いかと思いますけれども、何かコメント、ございますでしょうか。
○大島課長
 前回の経済財政諮問会議の資料等を拝見しておりますが、各省がどう対応するかということにつきましては、まだ今後の課題、今の段階ではどういう対処という方針を決めている状況ではございません。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。そういうのが現状であるということです。
 前半お話いただいたのは、国保の赤字の構造の分析ということは、優先課題としてやるべきであるという御主張だったと思います。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、事務局は幾つか宿題が出ているわけでありますけれども、何か事務局からコメント、ございますか、特段ありませんか。
○大島課長
 きょういただきました宿題、先ほどの議事録等を準備して、できれば次回、御報告させていただきたいと思います。
○遠藤部会長
 よろしくお願いいたします。
 それでは、本日は非常に重要な御指摘をいただきました。ありがとうございました。まだ終了時間まで大分時間がございますけれども、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。
 次回でございますが、9月9日月曜日14時からグランドアーク半蔵門にて開催する予定でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。これにて終了したいと思います。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会)> 第66回社会保障審議会医療保険部会議事録(2013年8月9日)

ページの先頭へ戻る