ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会保険医療材料専門部会)> 第56回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 議事録(2013年5月15日)




2013年5月15日 第56回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 議事録

○日時

平成25年5月15日(水)11:48~13:00


○場所

於 厚生労働省講堂専用18~20会議室(17階)


○出席者

印南一路部会長 関原健夫委員 森田朗委員
白川修二委員 花井圭子委員 石山惠司委員 伊藤文郎委員
嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
森清一専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮医療課長 井上医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他
<業界団体>
日本医療機器産業連合会 中尾浩治氏 水谷利栄氏 細木活人氏
米国医療機器・IVD工業会 島田隆氏 諸岡健雄氏
欧州ビジネス協会      杉山純男氏

○議題

○医療機器業界からの意見聴取について
○その他

○議事

印南部会長
 ただいまより、第56回「保険医療材料専門部会」を開催いたします。
 まず委員の出欠状況について、御報告します。本日は、石津委員が欠席です。
 また、医療機器業界からの意見聴取に関しまして、日本医療機器産業連合会から、中尾浩治さん、水谷利栄さん、細木活人さん、米国医療機器・IVD工業会から、島田隆さん、諸岡健雄さん、欧州ビジネス協会医療機器委員会から、杉山純男さんに御出席いただいております。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず「○医療機器業界からの意見聴取について」を議題としたいと思いますが、御説明をお願いします。
 なお、質疑、意見交換については、一通りの御説明をいただいた後、まとめ行うこととさせていただきます。
 それでは、30分以内ということで、よろしくお願いいたします。
○日本医療機器産業連合会(中尾)
 中尾でございます。
 医療機器の19団体の連合会、日本医療機器産業連合会の会長を先月から務めることになりましたので、皆様、何とぞよろしくお願いします。荻野会長の後任でございます。
 きょうはこういう機会を得まして、大変感謝申し上げております。
 きょうは、保険材料専門部会において、我々の考えるところを少し述べてみたいと思います。
 スライドに従い、私から全体について、個別事項については、担当の水谷、細木のほうから意見を述べさせたいと思います。
 2ページに「医療機器は医療の進歩に貢献してきた」というページがあります。皆さんは御存じだと思いますけれども、私自身も手術を受けたりして、非常に楽だった、自分の生活がよくなったということを実感しておりますが、私自身だけではなくて、友人、家族、知人等々、今の医療機器の進歩が、いろんな面で貢献をしていると考えています。
 日本の医療は、WHOからの観点でも、非常に質が高いと評価されていますが、我々の医療機器テクノロジーも、その一端を担ってきたと考えております。
 診断においても、より正確、精度が高い、簡便等々の技術の進歩によって、よりよい診断ができている。
 治療につきましては、例えば侵襲性が低い、患者さんの負担、痛み、先ほども日帰りとか入院の話が出ましたけれども、そういう面においても、まさにテクノロジーがあったからこそ、貢献できてきたと考えております。
 4ページ「世界の医療機器市場」を示していますが、これはある会社の予測です。この数字がぴったりあっているかどうかは別にしても、世界の医療機器市場は約30兆円弱と言われていますが、非常に顕著なことは、世界市場はこれからも5~6%程度で伸びるだろうと言われていることです。
 一方、その中にあって、日本の市場は伸びても1~2%、もしくは横ばいであろうと言われています。日本市場だけを見ると、やや難しい市場になりつつあるという傾向があると思います。
 3ページに戻っていただきたいんですけれども、ここではこんなことを考えています。医療機器産業は、日本でこそ育成すべきと考えています。これは決してアベノミクスの第三の矢があったからということではなくて、業界としては、こういうことを常々考えていました。たまたま前政権のときから、ライフイノベーションということで、脚光を浴び、今回も安倍政権のもと、注目を浴びている。第三の矢の1つに入っているということでございますが、幾つか観点があります。
 先ほども言いましたように、世界市場は28兆円といわれていますが、これを世界的に見ますと、人口増加と高齢化の両方が同時に起こっています。ということは、医療需要はこれから伸びる。それから、経済発展がある。言わずもがなですけれども、過去にもありましたが、これからも技術の進歩が続いていくだろうということを考えると、5年、10年ではなくて、多分40年、50年、持続的・長期的にグローバルでは市場が伸びていくということは、統計を見ると言えると考えます。
 この産業は地域集約型です。簡単に言うと、高付加価値ということですが、医薬品、医療機器はそういう位置づけで、欧米では見られていますし、数字を見ても、そうだということが言えると思います。
 また、我々は皆さんが一般的に景気のいいときは、余り見向きもされないんですが、景気の悪いときには、ときどきおたくはいいねと言われます。経済動向に影響されにくい産業だということも、1つあると思います。
 ものづくりは、新聞報道等で毎日出ていますけれども、日本はこの点が非常に強いと考えています。
 それから、先ほど言いました高齢化ですけれども、日本は世界に先行した医療環境です。これがあと30年、40年続くんだと思いますけれども、この環境をマイナスと見るか、プラスと見るか。こういう難しい状況でいろんな技術ができれば、世界にまだまだ発信していける、世界の医療に貢献できると考えます。すなわち、イノベーションが非常に大事だろうと考えております。
 今までデバイスラグにつきましては、行政の皆様、PMDAの皆様の御努力もあって、一定の進捗を見ました。また、改良加算制度の導入等、こういう点については、非常に評価をいたしております。この場をかりて、感謝を申し上げます。
 しかしながら、現在の制度、すなわち、機能区分別の償還制度が導入されて、既に20年経ちます。先ほど言いましたように、20年経った中で、今後もこの制度が市場の変化、技術の変化に対応していけるのかというところは、そろそろ考える時期にきているのではないかと考えております。
 さて、きょうの内容でございますが、イノベーションの評価について、再算定制度について、現行の制度の中で、こういう変更、充実、もしくは改正をしてほしいということで、担当の保険委員会委員長の水谷、細木からそれぞれのプレゼンをお願いしたいと思います。お願いします。
○日本医療機器産業連合会(水谷)
 日本医療機器産業連合会の材料保険委員長の水谷でございます。
 それでは、説明させていただきます。
 6ページの資料は、中医協で既に示されたものです。保険医療材料の評価区分ですが、区分A1は手技料に包括されて評価されるもの、区分A2は特定の診療報酬項目において包括評価されるもの、区分Bは特定保険医療材料として個別に評価されるものの3つがございます。
 また、新しく開発されて保険償還される場合には、区分Cがございます。手技料は既に存在していますが、医療機器としては、新しく償還価格を設定する必要性があるものが区分C1になります。また、区分C2は、手技料も医療機器も新しく設定する必要があるものに分けられております。
 関係6団体からの特定保険医療材料に係るイノベーションの評価についての要望を申し上げるに先立ち、現時点での課題について述べることといたします。
 8ページをごらんください。デバイスラグ及びギャップは、現在進行中の未解決の問題であって、とりわけ革新性の高い医療機器に対する保険上の評価が不十分となっていることが、これらの一因となっているものと認識しております。
 9ページをごらんください。ここに未解決であるデバイスラグ及びギャップの例として挙げられている機器は、主に保険償還における課題から、我が国において、いまだ市場導入されていないものです。こうした革新的な機器が、欧米での承認から長期間を経て、結果として、いまだ我が国で使用できない状態にあることは、大変に不幸なことであり、私ども業界団体として、一層の努力を行うことはもちろんのことですが、それを制度面から御支援いただくための早急な改善が求められているところです。
 10ページをごらんください。2010年時点における私どもの調査によれば、我が国において、使用可能な医療機器の品目数は、欧米に対していまだ大きくおくれをとっています。2008年度から2011年度までに、C1またはC2として決定された価格の外国平均価格比が1を下回った26製品を対象としまして、聞き取り調査を行った結果、我が国への導入ができない理由としては、国内の市場規模が十分でないこと、診療報酬上のイノベーションの評価が十分でないこと、また、相対的に日本での経営コストが高額であることなどが主に挙げられております。
 さらに2011年の同様の調査により、我が国において、使用可能な医療機器の品目数は、中韓とほぼ同様の水準となっていることが示されております。
 また、その一方で、右下の図にお示ししますように、相対的に大きな承認ラグの存在を勘案しましたら、今後、中韓に対しましても、デバイスラグ、ギャップに関して、おくれをとることとなる可能性が危惧されております。
 11ページのグラフは、診療報酬上のイノベーションの評価が必ずしも十分であるとは言えないことについて、2年ごとを1区分としまして、その経時的変化を端的にお示しするものです。
 外国平均価格を1とした場合、C1、C2決定償還価格と外国平均価格の比率の平均は、改定サイクルごとに低下する傾向にあり、とりわけ24年度につきましては、過去最低の0.88となっております。こうした状況から、革新性の高い医療機器に対する評価が、現時点でも十分であるとは言えず、むしろ新しい機器に対する保険償還上の評価は、諸外国との比較において、一層抑制される方向に向かっていることが示されております。
 イノベーションの評価におけるこうした課題の多くは、現状の機能区分制度のあり方と関連づけることができます。12ページにお示ししておりますとおり、製品の特性に応じた市場評価を踏まえ、適切な価格競争を促進するという、現在の機能区分制度の特徴を生かしつつも、同一機能区分内に市場からの評価が大きく異なる製品が混在していることによって、ビジネスの予見性及び持続可能性が低くなっており、結果としまして、機器のさらなる改良改善への継続的な再投資が困難となっております。
 また、市場競争のあり方と医療財政の観点から、製品の性能や質の違いに基づく、本来あるべき市場での競争のあり方をゆがめる場合があること、また、実勢価格が低い製品のみに着目しますれば、これらの償還価格を高止まりさせていることにも等しいことから、早急な制度改善が必要であるものと考えております。
 償還価格の予見可能性が低いこと等により、製品供給の安定性及び多様性が失われつつある一例を次の13ページにお示ししております。この機能区分には、小児、成人用の別、またアプローチ場所の違い等、異なる仕様が求められる製品が混在しております。
 その一方で、償還価格の低下につれ、供給者の市場からの撤退が相次ぎ、結果として、多様な製品の安定的な供給を担保することが徐々に困難となりつつあります。
 14ページをごらんください。より予見可能性の高い償還価格の改定方式を採用することによって、企業が行う機器の改良改善及びイノベーションへの再投資を活発化させ、また、製品の性能や質の違いに基づく、本来あるべき市場での競争をより正しい方向に導き、これを医療財政の観点と両立させる方策について、ここに同一機能区分内に複数の価格帯を設けることを御提案いたします。そもそも機能が異なると考えられる製品につきましては、一層の区分の細分化を行うことが前提となります。
 その上で、細分化を行っても、なお市場からの評価に大きな差がある製品が、同一機能区分内に混在している場合に関しましては、実勢価格帯に応じました複数の償還価格を設定することにより、ビジネスの予見性が高まり、もってイノベーション創出に向けた企業の開発意欲が促進されます。加えて、より実勢価格に応じた償還価格が設定されることにより、医療費がより適正化されるものと考えております。
 15ページは、同一機能区分内に複数の償還価格を設定する場合のイメージをお示ししたものです。仮に償還価格がX円である特定の機能区分のもとに、4つの異なる材料、P、Q、R、Sが存在し、2年に1回の材料基準価格見直しのときに、2つの償還価格帯に分離する場合、例えばP及びQについて、これら両者の実勢価格から導き出されました償還価格Y円、また、R及びSにつきましても、同様に償還価格Z円が付与されることになります。
 実勢価格に応じた償還価格を設定するという現在の制度の基本的な考え方を軸としつつ、実勢価格帯に基づき、同一機能区分内に複数の償還価格を設定する形に改めることにより、前述の目的を達成できるものと考えております。
 実勢価格帯に応じた複数の償還価格を設定する際の考え方について、16ページにより詳細をお示ししております。これは先のケースと同様、図中にP、Q、R、Sの4つの山を示す、異なる4製品からなる機能区分を仮定しまして、2製品対2製品で、財政中立的に価格帯の分離が行われるとした場合の改定時における実勢価格帯に応じた複数償還価格を設定する際の考え方を模式的に示したものです。
 現行制度のもとで、償還価格の改定が行われる場合と比較すると、より付加価値が高い製品が含まれる価格帯につきましては、開発への再投資に資する償還価格となります。もう一方の価格帯につきましては、より実勢価格に見合った償還価格となります。
 さらにこの考えを発展させ、新機能C区分として、新たに収載される機器にも適用する場合のイメージを17ページにお示ししております。新機能C区分である新規の収載品Pと同一機能B区分である新規収載品Qがあると仮定した場合、それぞれの実勢価格に基づき、独立した別の価格帯とみなして、償還価格をおのおの改定することにより、P、Q両者にとって、価格の予見性が向上し、もってさらなる新製品の開発・導入の促進につながるものと考えております。
 御説明してまいりました、機能区分内複数価格帯制度の導入によって、現在の機能区分制度の特徴を生かしつつも、18ページにお示しする2つの観点から、制度の改善が図られるものと考えております。
 償還価格の予見可能性と再投資の観点から、製品の特性に応じた市場評価を踏まえ、適切な価格競争を促進するという、現在の機能区分制度の特徴を生かしつつ、より合理的かつ予見性が高い償還価格の改定方式となります。
 また、市場競争のあり方と医療財政の観点からは、実勢価格が極端に低い製品については、他の製品から切り離し、当該製品の実勢価格に応じた、しかるべき水準で償還されることとなります。
 続いて、イノベーションの評価の充実に関しまして、要望いたします。19ページをごらんください。イノベーションの推進は、我が国の医療の発展のみならず、医療機器の産業振興にも資することから、より一層の評価の充実が不可欠であると考えております。
 こうした観点から、先の改定で導入されました、デバイスラグ解消に向けての加算を高く評価するとともに、制度の継続を希望いたします。
 また、補正加算の要件の見直しについては、運用のさらなる改善を希望いたします。
 イノベーションの評価の一環として、新たに財政影響評価に対する加算の導入の検討をお願いしたいと考えております。現状でも区分C1及び区分C2申請に当たりましては、財政影響の試算を行うことが求められておりますが、これらを直接的に保険上の評価につなげる仕組みを、整備することにより、かかる機器への開発のインセンティブを明確にしていただくことを要望いたします。
○日本医療機器産業連合会(細木)
 引き続きまして、日本医療機器産業連合会機器保険委員会の細木から、20ページの御説明させていただきます。
 「4)区分C2の評価基準等にかかる提案」についての内容でございますが、区分C2の中で、特定保険医療材料としては設定せずに、新規技術料のみとして評価されます。スライドの中にもございます、CT、MRIのような医療機器に関して、意見を述べさせていただきます。
 現在、区分C2の定義につきましては、「医療機器の保険適用等に関する取り扱いについての通知におきまして、当該医療機器を用いた技術が算定方法告示において、新たな技術料を設定し、評価すべきもの」という形で定義されております。
 しかし、具体的にどのような要件を満たした医療機器が区分C2に該当するのか、その具体的要件や区分C2の評価基準など、そのルールについて明確になっていないのが現状でございます。その結果として、新規医療機器に関し、企業が改良改善を行ったイノベーションが、診療報酬上で十分に評価されなかった事例が若干散見されております。
 21ページ目をごらんください。「機器のイノベーションが十分評価されなかった事例及び改善のための具体案」をお示しします。
 1つ目は、「小型直線加速器内蔵ロボットアーム型高精度放射線治療装置」の事例でございます。小型加速器ロボットアーム、追尾照射、全方位照射等の改良改善により、病変組織に対し、より高い精度で治療用放射線の照射が可能となりました。その結果、有害事象減少など、医療の質の向上が実現しました。しかし、診療報酬上の評価は、旧型の機器と同じ技術料で決定した事例でございます。これらの事例は、参考資料の26~28ページに詳細記載しておりますので、後で御確認いただければと思います。
 2つ目の事例は、「酸素濃縮装置」の事例でございます。スライドのちょうど中のところでございます。機器の小型化、軽量化、省エネ化、静粛性向上など、改良改善により、在宅医療の質を向上させ、患者様のQOL向上に寄与した装置が、近年、開発されております。しかし、これらがいわゆる診療報酬上の評価で反映されていないのが現状でございます。
 3つ目は、冷凍手術ユニットの事例でございます。右側になります。既存の技術に対し、入院期間の短縮や麻酔の低減効果が見られますが、組み合わせて使用する専用ニードルの診療報酬上の評価が、実際、企業側のほうからは、特定保険医療材料としてという形で出されたんですけれども、結果的には、臨床使用の実態にそぐわない形で、技術料で包括された例でございます。
 提案事項でございますが、下にお示ししましたように、医療機器を用いた技術のうち、現行のC2区分の定義である「新たな技術料を設定し、評価すべきもの」として、医療機器の改良改善に関連して、例えばお示しするような検出率がより改善された、安全性の向上が図られた、低侵襲が明らかである、合併性の減少など、具体的な要件について、通知等において明示していただければと思います。
 技術料で評価される医療機器は、日々改良改善が行われ、これまでも国民の医療の質の向上に貢献してまいりました。今回、御提案した区分C2に該当する具体的要件や評価基準等が整備されることにより、企業にとっては、製品開発のインセンティブとなり、革新的医療機器の開発につながり、また最先端の医療技術が広く普及することで、国民の保健医療水準の向上に寄与するものと確信しております。ぜひ御検討いただければと思います。
○水谷氏
 再算定制度につきましては、23ページにお示ししておりますとおり、さまざまな問題点があります。
 再算定制度は、我が国におきまして、医療機器の市場性の予測可能性を著しく損ねている一方で、制度の導入後、6回の改定を経て、実態として我が国の医療機器の価格を大きく低下させ、その歴史的役割を終えています。
 再算定制度は、国内で発生するコストの変化と関係のない外国為替と連動しており、とりわけ過去2回の改定におきましては、急激な円高と相まって、国内医療機器産業に対する大きな打撃となっているのみならず、外国価格調査への協力に当たっての企業側の負担が大であることから、産業の活力をそぐ結果となっております。
 こうした状況を踏まえまして、私どもは、従前より本制度を廃止していただくことを希望しております。
 24ページをごらんください。先にも申し上げましたが、新規の機能区分、すなわち、外国平均価格を1とした場合のC1、C2決定価格と外国平均価格の比率の平均は、年々低下する傾向にあり、近年は外国価格を大きく下回っております。こうした中で、区分導入時、またその後の改定の際にも、外国平均価格に基づく再算定を既に経ている機能区分について、重ねて外国平均価格に基づく再算定を行うことに関しましては、調査等に係る手間に見合わないだけではなく、急激な為替変動が発生した際には、予見不能な急激な償還価格の切り下げにつながる等の弊害があります。このことについては、前回の改定においても、国内医療機器産業に対する大きな打撃として、痛みをもって経験してきたところです。
 また、仮に本制度を当面継続せざるを得ない場合であっても、日本の医療機器市場の活力をそぐような制度変更を行わないように希望いたします。具体的には、米国、連合王国、ドイツ、フランスの4カ国のみ、また、平成24年度以降に収載されました医療機器に関しましては、これらに豪州を加えた5カ国のみの単純平均を比較対象とすることを維持し、価格調整のための比較水準は1.5倍を維持、さらに希少または同一機能区分内で唯一の製品である場合等には、外国価格調査の対象から除外する等、安定供給の確保のための適切な措置が実施されることを強く要望いたします。
 以上です。
○米国医療機器・IVD工業会(島田)
 私は米国医療機器・IVD工業会の島田でございますが、ポイントは以上のとおりでございます。けれども、せんだって来の中医協の今後の検討の進め方にさまざまな検討項目が盛られておりますが、今回、いろいろな国内外の業界団体が統一して意見をまとめてまいったわけでございます。この御意見をぜひともよく反映していただいて、御検討を進めていただきたいと思っております。
 重ねまして、きょう、このような場をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。通常の検討どおりのスケジュールでいきますと、秋ごろに改めて今後の検討があろうかと思いますので、重ねてその場で私どものいろいろな見解・御意見を申し上げたいと思いますので、ぜひともその場を賜りますよう、お願い申し上げておきます。
○印南部会長
 ありがとうございました。
 それでは、何か御質問、御意見があれば、お願いします。
 なお、時間が限られておりますので、恐縮ですが、発言の冒頭で、御質問なのか、御意見なのか、明確にしていただきたいということです。
 それから、医療機器の業界団体からの御発言につきましても、原則お一人の方にお願いしたいと思います。こういう言い方は恐縮ですが、簡潔に御回答いただきたいと考えております。
 それでは、何かございますか。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員
 主に意見でございますが、質問の場合には、そのように言わせていただきます。
 まず10ページの右のグラフでございますが、日本に導入できない理由ということですが、これを見ると、不十分な市場規模とか、高額な薬事関連コスト、こういったものが6割ということで、魅力的ではない診療報酬というのは15%です。そんなに高くはないと思いますし、高額な日本での経営コストというのは、企業側の問題ですので、これはまた別の話だという気がいたします。
 11ページでございますが、これも徐々に平均値が下がっているということですが、これは円高の影響もあるのではないかと思うのですけれども、これは質問ですが、円高の影響はどうなのかということを教えていただければと思います。
 13ページでございますが、このグラフも右肩下がりに下がっているということなのですが、これも我々から見ると、当初21社あったのが8社になったということで、むしろ最初が多過ぎたので、適正化されたのではないかという気もいたしますが、業界の方はどのようにお考えなのでしょうか。
 14ページの機能区分内複数価格帯制度ですが、これも図を見ると、いかにももっとものようなのですが、基本的には財政中立でよろしいのかということを確認させていただきたいと思います。それにしても、価格帯を幾つに分けるつもりなのでしょうか。複数としか書いてありませんから、どんどん分けていくと、結局、機能区分で分けると言いながら、価格で分けることになってしまうのではないかという気がいたします。
 22ページからの再算定制度ですが、これはやはり必要ではないかと思います。円高で大変だったということですが、今、円安でございますので、円安だったら続けてもいいのかということにもなりますし、外国価格調整への協力に当たっての負担が大変だということですけれども、これは実勢価格を調べるわけではなくて、リストプライスですので、そんなに大変なのかという気がいたします。これを廃止というのは論外だろうと思いますし、1.5倍を維持せよということですが、これはさらに徐々に縮小することがよいのではないかと思います。
 具体的な例として挙げていらっしゃる、27ページの酸素濃縮装置ですが、これもこれだけ改善したのに、それが評価されていないということなのですが、確かに写真を見ると、我々も使っていますから、改善されているのはわかるのですが、ただ、台数がCOPDの増加で大幅にふえていると思います。普通の電化製品などを見ても、当初は高いけれども、むしろたくさん売れるようになれば、競争がありますから、製品が改良されて、値段は安くなると思いますので、そういう意味では、改良したから高くしろというのは、当たらないのではないかということです。これはかなり普及しているので、台数がどのぐらい伸びているのか教えていただければと思います。
 以上、意見と質問です。
○印南部会長
 非常にたくさんありますので、1つずつお願いします。
 先ほど花井委員から手が挙がっておりましたけれども、同じものがもしあれば、同時にお願いします。
 それでは、鈴木委員の御質問に対して、お願いします。
○中尾氏
 質問が幾つかあるので、一つひとつ担当が違いますので、分担して回答させていただきます。
 先ほどの価格が下がってきてどうのこうの、為替、再算定制度ですけれども、難しいのは、今、確かに円安ですけれども、円高がああいうふうに急速に動いて、それで全部を計算されると、産業はついていけません。これは医療産業だけではなくて、日本全体がそうだと思います。ここは考えるべきだろうと考えます。
 次をお願いします。
○島田氏
 それでは、幾つかお話申し上げたいと思います。
 まず10ページのところでございますけれども、高額な日本での経営コストは、メーカーの責任だというお話がございました。もちろんそういう部分もあるんですけれども、それだけではなくて、諸外国と比べまして、日本での病院の集中度が低うございまして、例えばさまざまな手技・手術をやるとした場合、欧米ですと、恐らく1,000症例、2,000症例やるようなところが多いのが、日本でいいますと、年間数十症例しかやらないとか、数百症例です。したがいまして、そういう病院が多数に散らばっているということで、集中度が低いという実態がございます。
 それに対しまして、私どものデバイスあるいは機器の適正使用をしていただくために、さまざまな説明をするとか、サポートをすることが必要になってまいります。、それに伴うサービスコストと申しましょうか、それが諸外国と比べて非常に大きくなっていることは間違いありません。
 もう一つは、高額な事業関連コストでございますけれども、薬事関連のコストがございまして、これはただいま薬事法が改正される方向に動いているやに伺っておりますが、そういうことが、いろいろな事業コストの低下につながることを期待しております。
 これは新しい機器、あるいは機械の御承認をいただく手間暇にかかわるコストもさることながら、同時に安全管理、ビジランス等の体制、QMSを含めまして、その体制が、諸外国と比べますと、日本の場合、非常にコストがかかる体制になっている。そういうレギュレーションのあり方に絡まるコストもございまして、これは日本で事業をやっております内資、外資を問わず、企業としては、コントロールできないところでございます。そういうことがコスト高の要因になっているということは、ぜひとも御理解を賜りたいと思っております。
 それから、円高が反映しているかということですが、当然反映はしております。ただ、相対的に見まして、諸外国の価格と比べて、1.1だったものが、だんだん下がってきて0.88になってきていることは間違いないので、それは御了承を賜りたい。
 13ページでございますが、確かに鈴木先生がおっしゃいますように、21社から8社になったので、むしろ適正ではないかという見方も御見識としてあろうかと思います。ただ、同じ単一の品目で、同じ種類のものを8社がつくっているわけではなくて、ここにありますように、小児用、成人用、あるいはさまざまな部位ですとか、アプリケーション用に伴って、いろいろつくり分けておりますので、製品の種類が非常に多うございます。したがいまして、大きなロットになるものは、さほど大きなリスクはないのかもしれませんが、非常に細かい用途のものに関していうと、そういうものをつくるところがなくなってしまうというリスクがふえるわけです。今日現在、この領域でいうと、まだ8社あるわけですが、この傾向が仮に続いたとしますと、そういうリスクが今後ふえることは間違えないので、それは御承知おきいただければありがたいと思います。
 新規の区分に関する御提案に関しては、私どもが想定しておりますのは、当然のことながら、財政中立ということを前提にして考えております。同じような価格帯で売られているものは、単一の区分ですが、そうでないものは、違った扱いのほうがより妥当ではなかろうかという趣旨でございます。必ずしもそれを5つ、10つに分けろと申し上げているわけではなくて、とりあえず2区分にすることが大事ではないかというのが、現時点で私どもが想定しておるところでございます。
○細木氏
 一番最後にありました、酸素濃縮装置の台数の増加の件でございますけれども、今、手元に資料がございませんが、先生がおっしゃるように、COPDの患者様の増加とともに、かなり装置の台数が増加しているというのは、事実でございます。今、手元に資料がございませんので、お答えすることはできません。
 ただ、事例2の御案内の趣旨としましては、29ページのスライドの特定保険医療材料の改良加算要件の中で、例えば一番下のトの部分には、医療材料におきましては、構造等の工夫により、類似機能区分に属する既収載品に比して、操作性等が向上し、患者にとって在宅での療養が安全かつ容易であることが、客観的に示さていることという項目がございます。こういった機器におきましても、鈴木先生がおっしゃるように、いろいろな形で台数がふえておりますが、企業側からも、より患者様にとって、在宅での安全かつ容易でという部分の尺度というか、項目があれば、そういったものをクリアしながら、新しい機器、またいいものを開発する1つのインセンティブにつながるということをお示しした事例でございます。現状は既存品と同じく、A2とか、そちらの区分で出されております。
 以上です。
○印南部会長
 鈴木委員、よろしいでしょうか。
○鈴木委員
 はい。
○印南部会長
 再算定制度については、どうですか。よろしいですか。
○鈴木委員
 私の質問に対して、特に反論などはございませんでしょうか。
○印南部会長
 いかがでしょうか。再算定については、鈴木委員からの御意見だったんですけれども、それに対する反論等がありますでしょうかということです。
○島田氏
 1つは、従来、内外価格差ということから出発しているわけですけれども、きょうは医機連として出てきておりますので、国内のメーカーさんにも当てはまるという観点からいいます。海外に一部輸出していらっしゃいますが、基本的に国内で事業を推進しておられて、国内で開発をして、国内で生産をして、国内で売っているものの値段が、為替の動向で大きく変わるということは、まさしく事業の予見性を著しく損なうものであり、かつ収益には間違えなくネガティブなインパクトであったことは、過去において間違いありません。、そういう制度が今の安倍政権で言っておりますような、医療機器を中心とした業界でイノベーションをつくって、業界を育成していこうという観点からいいますと、どちらかといえば、阻害要因になるだろうと思われます。そういう観点からも、余り望ましくないのではないかと思っております。
 それと、為替の問題に関しましては、実勢価格を比べるものに比べれば、手間暇はましですけれども、さはさりながら、国別に具体的な商品がどういうふうなリストプライスになっていて、商品の仕様がどうなのかということも含めて、実際に調査をしていくには、それなりの手間暇がかかります。そこのところは、委員は大したことないだろうという御見解かもしれませんが、それなりの手間暇をかけていることは間違えございませんので、そこは御理解賜れればありがたいということでございます。
 私どもからの要望としては、今のところ、内外価格差が1.5倍ということで行政をされておるわけでございますが、仮にこれが維持されるとした場合も、このレベルを維持していただきたいと思っております。
○印南部会長
 どうぞ。
○中尾氏
 今、島田さんから大体話が出たと思いますけれども、特に為替はどうしようもないと思います。きょうは百何円か忘れましたけれども、下がったものをもう一回上げるのか。それも難しいんだろうと思います。この制度は、全体感としては、ほぼ役目を終えたのではないかと考えております。これはもう少し調査が要るかもしれませんけれども、これからもこれを追及していくんだということになって、為替が全部効くんだということになると、なかなか難しいものがある。先ほども言いましたように、我々の業界だけではなくて、為替はすべての業界に効いていますから、ある程度このレベルがあれば、この制度を入れてよかった、その効果はあった。しかしながら、状況としては、そろそろ変わっているのではないかと考えています。
○島田氏
 加えて、かねてより申し上げておるところでございますが、結果として、価格調整のほうは、実際の市場の競争に伴う実勢に従って調整をするという、Rゾーンの仕組みは当然残りますので、それがあれば十分な市場対応ができるのではないかというのが、私どもの考えでございます。
○印南部会長
 よろしいですか。
 その前に、花井委員から挙がっていました。花井委員、お願いいたします。
○花井圭子委員
 私は1つだけ質問したいと思います。どなたでも御回答いただければと思いますが、イノベーションの評価ということがたくさん出てまいります。イノベーションと言った場合、何をイノベーションと言うのか。そういう評価の基準は、業界としてお持ちなんでしょうか。
○印南部会長
 お願いします。
○島田氏
 単一の物差しであるわけではないんです。といいますのは、循環器系で開発するものと、呼吸器系のもの、あるいは内分泌系のもので、当然物が違いますので、同じ物差しではかることは難しい。ただ、画期的に侵襲性を下げるとか、あるいは回復期間が短くなるとか、入院期間を短くできるとか、操作性が非常によくなるという観点でのことがございます。それは個々の商品によりますので、一概にこの3つの要因をそろえればということではないんですが、それは個々の製品ごとにおのずと出てくるものでございまして、昨今でいいますと、侵襲性、あるいは患者にとってのクオリティー・オブ・ライフをどう向上させるかということが、大変大きな要因だと思っております。
○印南部会長
 よろしいですか。
○花井圭子委員
 はい。
○印南部会長
 どうぞ。
○中尾氏
 おっしゃったとおりで、どこまで基準があるのかというのは、非常に難しい話だと思います。山と谷はどこで線を引くのかということと、似たようなところがあると思います。先ほども話に出てきましたように、現在は侵襲性が低いだとか、入院しなくてもいいとか、痛みが少ないとか、患者さんにとっては、非常にメリットがあると思います。ですから、そういうものをどう評価するか。これはぜひ継続議論をしながら、ある一定の線を引いていきたいと考えます。非常に難しい問題で、我々も悩んでおります。よろしくお願いします。
○印南部会長
 それでは、嘉山委員、お願いします。
○嘉山委員
 切り口を変えて質問したいんですけれども、教えてもらいたいこととして、最初に国内の医療機器の国内外の会社が占める占有率がどのぐらいなのか。今回わざと表を出していないのか、よくわからないんですけれども、先ほどからいろんな話の中に出てきていることに関係するので、それを教えてもらいたいと思います。
 2番目は、私自身は外科医ですから、工学系と一緒にやってこなければ、絶対に医療の進歩がないというのは、十分にわかっています。特に脳外科はその恩恵を受けている一番の科です。ただ、そのときに、医療材料としては、今、会長がおっしゃったように、2つございます。エンドポイントとして、我々が手術をやっていてすごいと思うイノベーションは、命が延びるというのが一番大きいんです。放射線の機械にしても、今までと全然違う。エンドポイントが上がるというのは、今、花井さんがおっしゃったように、イノベーションの最高の位置につけないといけないと思います。
 もう一つは、利便性・安全性、あるいは患者のクオリティーにかかわるものです。ただし、エンドポイントには余り関係がない。我々外科医が使っていて、大きく分けると、この2つなんです。現場の看護師さんなどが使っていて、いいと思うのは、利便性だとか、そういう問題なんです。
 私が知りたいのは、私もある機械の開拓を始めたので、彼らとも付き合って、大型のことをやり始めているので、イノベーションはエンドポイントが変わるようなところに大きくつけないと、本当のイノベーションはできないんです。
 もう一つ、我々がテルモだと言うと、問題があるんですが、注射器だとか、ああいうもので、日常、便利になったと言うんだけれども、エンドポイントに直接関係ないものが、日本は少し高いというのが感じとしてある。そういうデータが、今回ここに出ていないので、これから中医協で、例えばマスとして、日常的に大量に使っているんだけれども、その値段がどうなのか。
 もう一つは、イノベーションとして、どんとやるようなものに、この制度を変えていかなければいけないのかというのが、このデータから見えないんです。先ほど花井委員からも出たイノベーションのカテゴリーとグレーディングは、きょう、工業会が提案されたように絶対に必要なことなので、中医協のここの会議でやるか、あるいは部会でやって決めないとならないし、我々も賛成はします。
 結局、これは私と安達先生が提案した対費用効果のところに当然いくわけですけれども、この場合、薬と機械で大きく違うのは、薬の場合は、こういって、ちょっと下がると、1万人に差があるんですが、機械の場合は1台で全然違うんです。その辺が薬とは見方が違う、対費用効果で違ってくるということを頭に入れて、制度設計をしなければいけないのではないかと思うんですが、そういうことに関するお考えがあったら、お聞きしたいと思います。
 まず小さいもので、何となく高い感じがしているんです。要するにこれが2,000円もするのかという機械を、日常的に我々はたくさん使っているわけです。それと比べると、例えばMRIの7.0はちょっと安いという感じが、反対にしたりするので、その辺のデータがあったら教えてもらいたいです。
○印南部会長
 今、御意見混じりで、3つほど質問が出ていました。最初は製品別の国内外の企業の市場占有率、2番目にお話のあったのは、日常的によく使っているものの値段の実感、3番目が費用対効果についての御意見だと思うんですが、それぞれについて、簡潔に御意見をいただければと思います。
○島田氏
 厳密なデータはないんですけれども、国内企業、海外企業と分けたとして、さはさりながら、国内企業でも工場を国外にお持ちのところがありますので、輸出入とは必ずしも一緒ではありません。それでいいますと、恐らく50対50とか、ひょっとしたら60対40で外資系のほうが多いのかもれません。半々ぐらいかもしれません。それがシェアの感じでございます。
 本題からずれるかもしれせんが、結構おもしろいのは、輸出入問題に関していいますと、外国系のメーカーでも、日本国内から随分部品は調達しておりますので、日本国内から調達した部品を世界中で売っていますから、それも含めて、輸出入格差を比べますと、そんなに入超ではない。
 私は外資系に勤めておるわけですけれども、逆の立場でいいますと、実はそういう部品を含めて、日本のメーカーにはそういうものをつくる能力が結構あるんだ。問題はそれをうまく組み合わせて、使えるデバイス、機械につくり上げる力が、残念ながら今までなかった。これからそれをどう育成していくかという観点で、より前向き・積極的に議論をしていくと、大変大きな成果が出るのではないかと思っています。とりあえず今日現在のシェアでいえば、そんな感じだと思っております。
○中尾氏
 それでは、幾つかお答えします。
 今の輸出入の話は、よく入超6,000億と言われているんですけれども、私もこの立場になって、数字を見せてと言って、見てみたら、今、横ばい傾向です。昔は少なかったんですが、ずっとふえて、これがどんどんふえるという傾向ではありません。
 もう一つは、先ほども出てきましたけれども、テルモだけではないんですが、我々も海外でつくって、海外で売っているんです。為替の関係で、本当だったら、日本でつくって輸出できたものを、今、為替の状況で、日本のメーカーといえども海外でつくって、すなわち、ふえていた輸出が減っているという事情があります。ですから、実際の6,000億はまだまだ小さいと思います。
 2番目と3番目を一緒くたにするわけではなくて、先生のポイントは、我々も十分に承知しています。イノベーションがライフの寿命に影響するかどうか。非常に難しいところだと思います。ただ、こんなことが言えるのではないでしょうか。例えば精度の高い診断器具、MRIでも、CTでも、PET-CTでも何でもいいんですけれども、早期に見つかることが、結果として、治療成績にはいい。ですから、直接処理よりも、間接がかなり多い。
 それから、低侵襲というと、痛み等々が少ないということもあるんですけれども、例えばステントグラフトでもいいし、冠動脈のバルーンとか、ステントの手技は、高齢の方にできる。今までだとそれがなかった。そうなると、開胸手術をする。開胸手術は高齢の方にできなかった。これはあると思います。低侵襲というと、何となく傷が少ないということだけに思われがちなんですが、高齢者の方の医療を助けている、今までできなかったことができるということがあると思います。
 今の痛みの話なんですけれども、個人的には痛みのないほうがいいと思います。
 今の寿命が延びるか、延びないかというのは、先ほど白内障の話がありましたけれども、白内障は確かに寿命には関係ないです。でも、生活の質はがらっと変わってしまいます。あんなに簡単な手術で、あんなに変わるというのは、テクノロジーのおかげです。私はお金を払ってでも個人的に受けたいと思います。そういう面もあると思います。
 ここは難しいところだと思いますので、まだまだ継続の議論が要ると考えています。
○嘉山委員
 もちろんダイレクト・エフェクトで命が延びるという機械はないですから、今、会長がおっしゃったとおりです。ですから、ユースフルライフの期間が延びれば、エンドポイントと近いんです。そういうことは、外科医は非常に高く買います。
 そうではなくて、私がお話したのは、注射器なら注射器としての原理は100年前と変わっていないんだけれども、材質がちょっと変わっていて、こんなに高いかというものがあるんです。ですから、そういうものの比率は、医療費の中でどれぐらいを占めていて、それをもうちょっと下げる工夫ができないのか。下げられないのであれば、下げられない理由、エビデンスを出していただければ、我々もここで値づけをするときに、参考にできると思っています。そのことをちょっと教えていただきたいんです。
○中尾氏
 総括的にこうで、コストはこうだというのは、今、この場では言いにくいんですが、私もヨーロッパで仕事をしたり、アメリカで仕事をしていますけれども、高いものから安いものまでいろいろあります。業界の立場がありますので、割り引いて聞いてほしいんですけれども、相対的に言うと、材料も全部入れて、日本の医療のほうが安いと考えています。
○嘉山委員
 もちろん日本の医療は、世界最低で安いです。それは当然で、これは天才的な官僚がつくった制度ですので、日本は世界で一番安い医療費です。
 この前、外科系の団体に発表しましたけれども、例えば肝移植をやった場合、医療費の中で4割が糸代なんです。そういう現状を見ると、我々は実際に患者さんに接して、医療技術をサプライしているほうとしては、何となく違和感があるんです。その辺のことを説明していただけないかと思います。
○印南部会長
 時間も押してきておりますので、今の御質問に対して、簡潔にお願いします。
 もう一つは、最後の質問です。費用対効果についての御意見に対して、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○中尾氏
 費用対効果のことは、イノベーションにも続く話だと思っていますので、これは継続議論をさせていただきたいと思っております。
 それから、先生の今の臨床の話は、個別になりますので、その辺りについて、個別にこんな問題があるんだということであれば、またテーブルに出して、我々はいつでも議論をさせてもらいたいと思います。
○島田氏
 多少領域限定があったのであれですけれども、一般論として申し上げさせていただきます。医療機器の場合、製造コストだけを見ていますと、もっと安くつくれるはずではないかという議論があるんですが、開発費が相当大きくかかります。開発の努力をして、うまくいかなくて、再度トライするというコストがありますので、そこのところも含めたコストになっています。そういう意味合いで、自動車とかほかのものとは違いますので、そこは御承知おきいただければと思います。
○印南部会長
 よろしいでしょうか。
 それで
は、白川委員、お願いします。
○白川委員

 業界の意見ですから、言い分はわかりましたと言うしかないのですが、資料を拝見いたしまして、嘉山先生も意見をおっしゃいましたが、全体としてどうなのかということがないものですから、私どもからすると非常にわかりにくい。例えばデバイスラグ、ギャップの例で、個別にこういう例があると言われても、そうですかとしか言いようがない。
 今、700ぐらいの機能区分があり、その中で、同一機能区分内に複数の償還価格を設定してくれという要望ですが、全体の実態がどうなっているのかは、私どもにはわかりません。700程度の機能区分のうち、1つしか製品のないものもあれば、複数のものもあると思うのですが、それがどうなっているかが、この資料にはありません。
 それから、イメージとして4つの製品が入っている場合とありますが、700の機能区分の中で、4つ以上入っているのは幾つあるのかもわからない。マクロの実態も踏まえて、具体的な提案をいただかないと、これで議論しろと言われても、我々としては議論できない。秋にもう一度プレゼンテーションをいただくようでございますので、その際にはぜひそういう観点で、資料を出していただき、それに基づく説明をお願いいたします。
 要は全体として見た場合、いわゆる公定価格と市場経済とのバランスを、時代の変化や為替の影響等を踏まえて少し変えていかなければいけないという意見だと感じました。それはそうかもしれません。ただ、どなたかが財政中立とおっしゃいましたが、我々としては、制度を変えることによって、保険者の負担が増えるということは、許容できない話でございますので、嘉山先生がおっしゃるとおり、例えばここは譲るかわりにこちらは上げるというトレードオフの提案をいただかないと困ります。この資料では、財政影響はわからないし、何をどうしたらいいかもよくわからない。現状のバランスを変えるのだとしても、基本的には財政中立であるということの意見を頂戴しないと、我々としては困るということを申し上げたいと思います。

○印南部会長
 今のは御意見だと思いますが、何かあれば、御発言してください。どうぞ。
○島田氏
 トータルの実態がよくわからない。それはおっしゃるとおりだと思うんですけれども、これは私どもにも見えていない話でございまして、ここは恐らく厚労省の方々と御一緒に知恵を合わせながら、やっていくしかない部分だと思います。何ができるかよくわかりませんが、秋までにいろいろ考えさせていただければと思っています。
 それから、トレードオフの議論もわかるんですけれども、これは先ほどの話と絡まりますが、全体像をきちっと押さえてからでないと、なかなか言いにくいところがあります。基本姿勢としては、そういうことを当然考える余地があるんですけれども、それは宿題として考えたいと思います。
○印南部会長
 ほかにございますか。伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員
 日本において経営コストがかかる原因として、以前は日本独特の商習慣があり、医療機関から新規購入に当たり多くの説明責任を求められたり、機器の使用に当たって同席を求められたりすることがあると陳述されておりました。今回は薬事法という形に変わっておりますけれども、以前、問題にされておりました、日本独特の商習慣によるということは、解消されているのかということが1つ質問です。
 2つ目は、24ページです。今回オーストラリアを新たな比較国として入れたわけですが、もともとこれは外れ値が大変多くて、果たして単純平均が参考になるのかということを申し上げてまいりまして、これは単純平均に戻せというけれども、これはなかなか難しいのではないか。平均というなら、やはり外れ値を除いた平均をとり、しかるべき措置をするべきだということで、今回、オーストラリアを導入したわけでありますが、この意見はなかなか難しいということを申し上げておきます。
 以上です。
○印南部会長
 最初の部分は質問だと思いますが、それに対して、お願いします。
○中尾氏
 効率、すなわち説明のこともありますし、あとは流通のこともあります。もちろん何年前かということはあるんですけれども、多少は変わってきていますが、大きくはまだ変わっていないと思います。道半ばではないかと考えています。
○印南部会長
 それでは、石山委員、お願いします。
○石山委員
 時間が押しているので、意見を申し上げたいんですけれども、2010年、2012年、改良加算だとか、新規保険収載の迅速化では、政策が打たれています。今回はこれをやってほしいという話がメーンのようですが、特にここ数年で行われた省としての政策がありますね。それを皆さん方の業界のほうから見て、こういう効果があったとか、これをやってほしいということはありますか。これは革命を起こそうという話ですから、極端なんです。改革などの段階で、こういうことをやってほしいとか、結果としてどうだったということを、先ほど白川委員から全体的な話がありましたが、これも全体的な話なんですが、そういう資料をぜひ提示していただきたいと思っております。
 以上です。
○水谷氏
 今の質問に対して、いいですか。
○印南部会長
 今のは御意見だと思います。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員
 中尾会長さんに確認したいんですけれども、費用対効果という話が出ましたが、医療機器に関して、費用対効果の評価を導入することには賛成ですか、反対ですか、確認をさせていただきたいと思います。
○中尾氏
 費用対効果の「効果」のところは、私が誤解しているとあれですけれども、クオリーの話がありますけれども、あれは医療機器にはそぐわない。そういうスペシフィックな、特定の定義ではなくて、一般論としては、やはりイノベーションと同じように評価が必要だろうと思います。ライフだけの評価というのは、我々はなかなか難しいと思っています。先ほど嘉山先生がおっしゃられましたように、これをやったらぼんと命が長くなるというのは、医療機器はなかなかないです。しかしながら、先ほど言いましたように、診断が早くなる、簡便になる、その結果として、早期に治療ができる云々かんぬんはあります。そういうふうに考えております。
○印南部会長
 ほかにございませんでしょうか。どうぞ。
○森専門委員
 先ほど伊藤委員から日本の商習慣という御質問があったと思うんですけれども、私は流通を代表して、この会に出ておりますが、数年前から、日本の医療機器の流通の実態、日本の医療制度、国民皆保険、いわゆるフリーアクセスの中での流通の実態がどうなっているかということをまとめつつありますので、もしそういう時間をいただければ、改めて資料を提示しながら、説明させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○印南部会長
 それでは、最後の質問ないし御意見ということで、関原委員、お願いします。
○関原委員
 中尾会長にお尋ねいたします。
 3ページの資料があります。これは基本的な問題ですが、■が4つあって、現状認識についてはわからないんですが、結局これだけの環境がありながら、イノベーションの評価が低いから日本ではだめなんです。イノベーションの評価をすれば、日本が世界に伍して、どんどん医療機器というのは強くなっていくのか。逆に島田さん初め皆さんがおっしゃったのは、外資系企業の人によって、イノベーションの評価をしろと言っているんだけれども、評価を上げた結果、実は外資系の人ばかりが集まって、タイトルは「医療機器は日本でこそ育成すべき」と力説しておられるんですが、これは平仄が合う話なんでしょうか。
○中尾氏
 基本の話だと思います。■を書いた理由は、かなりの条件が、日本では好条件だろうと思っています。評価も必要だろうと思います。ただ、評価をやれば、十分条件として産業が自動的にうまくいくのか。これは必ずしも直線でくっ付く話ではないと思います。
 ここにはイノベーションマインド、イノベーションをどうやってやるかという話が、もう一つ要ると思います。その話は、今、菅官房長官のところの健康医療戦略室、文科省、経産省と議論している最中でございます。先ほど外資とおっしゃいましたけれども、大きなところは、アメリカのメーカーなんです。この産業に中国とか、そういった発展途上国が目をつけています。どうやってイノベーションを起こすかということで、ここで話をすると皆さんのお時間をとるのであれですが、今、この話をしている最中でございまして、単純に必要条件だけではなくて、十分条件をどうするかという話を、今、検討している最中でございます。
○印南部会長
 いろいろと御意見が出ておりますけれども、時間の関係で、本日の議論はこの辺りとしたいと思います。
 それでは「○その他」として、事務局から資料が提出されておりますので、説明をお願いします。井上企画官、どうぞ。
○井上医療課企画官
 医療課企画官です。
 中医協材-1の資料、1枚紙におきまして、保険医療材料制度改革に向けた今後の予定の案をお示しいたします。
 以上でございます。
○印南部会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明について、何か御質問等はありますでしょうか。
 それでは、ほかに御質問等がないようでしたら、本件につきましては、この辺りで終了したいと思います。
 次回の日程について、事務局から何かありますでしょうか。
○井上医療課企画官
 次回の日程は未定でございますが、定まりした次第、御報告いたします。
 以上でございます。
○印南部会長
 本日は、御多忙のところ、日本医療機器産業連合会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会の皆さんにおかれましては、長時間御出席をいただき、ありがとうございました。
 それでは、本日の「保険医療材料専門部会」は、これにて閉会といたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線3277)

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