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2013年7月31日 第2回 PDCAサイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための研究会議事録

医政局指導課

○日時

平成25年7月31日(水)  14:00~15:30


○場所

全国都市会館地下1階第3会議室


○議題

1.第1回の指摘事項について
2.今次医療計画策定のための資料集の概要について(松田構成員)
3.都道府県に対する研修について(高橋構成員)
4.医療計画のPDCAサイクルの実施に当たっての体制等について
5.その他

○配布資料

資料1  :本日の議論について
資料2  :前回の議論の概要
資料3  :医療計画における人口推計の活用について
資料4  :医療計画に関して都道府県等に対して行われた研修について
資料5  :地域医療再生計画等の評価について
資料6-1:医療計画策定のための資料集の概要(松田構成員提出資料)
資料6-2:福山市民病院:GIS分析(松田構成員提出資料)
資料7  :高橋構成員提出資料
資料8-1:医療計画策定に当たっての体制等
資料8-2:医療計画の推進に係る都道府県調査結果(速報)
参考資料1:人口推計の活用状況 
参考資料2:医療計画の推進に係る都道府県への調査について(調査票)

○議事

○久保木医師確保等地域医療対策室長補佐 それでは定刻になりましたので、第2回「PDCAサイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための研究会」を開催いたします。本日、構成員の先生方には、御多忙のところ御出席を賜り誠にありがとうございます。
 最初に、本日の出席状況ですが、皆様御出席いただいています。議事に入ります前に、事務局に人事異動がありましたので御紹介させていただきます。医政局指導課医師確保等地域医療対策室長の佐々木です。

○佐々木医師確保等地域医療対策室長 構成員の先生方、今日はありがとうございます。前回は着任が間に合いませんでしたので、今回が初の出席となります。前回御議論いただいた際には、広島県庁におりましたので、PDCAの主な作業主体である都道府県をイメージできるかと思います。ここでの議論が今後、都道府県が作業できる、しかも、都道府県職員だけでやる作業ではなく、市町村や医師会をはじめ、現場の人たちが巻き込んで作業が進む。そうして、それぞれの都道府県、市町村の住民に還元できる。そういう最終的なアウトプットを考えています。前回は、PDCAで何を使うかという観点から、このようなデータがあるということを御議論いただきました。今回は、前回を踏まえて、それを都道府県の人たちが使うにはどうするのか、そして、第3回に繋がっていくような議論をお願いしたいと思いますので、尾形座長をはじめ、構成員の先生方には、本日も活発な御議論をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○久保木医師確保等地域医療対策室長補佐 それでは、以降の進行は尾形座長にお願いします。よろしくお願いします。

○尾形座長 大変お暑い中、皆さんお集りいただき、どうもありがとうございます。それでは、早速議事に入ります。まず、資料の確認を事務局からお願いします。

○新谷指導課長補佐 それでは、お手元の資料を御確認ください。議事次第、構成員名簿、座席表に続き、資料1「本日の議論について」、資料2「前回の議論の概要」、資料3「医療計画における人口推計の活用について」、資料4「医療計画に関して、都道府県等に対して行われた研修等について」、資料5「地域医療再生計画等の評価について」、資料6-1「医療計画策定のための資料集の概要(松田構成員提出資料)」、資料6-2「福山市民病院:GIS分析(松田構生員提出資料)」、資料7「高橋構成員提出資料」、資料8-1「医療計画策定に当たっての体制等」、資料8-2「医療計画の推進に係る都道府県調査結果(速報)」となっております。
 また、机上での配付のみとなっていますが、参考資料1「人口推計の活用状況」と参考資料2「医療計画の推進に係る都道府県への調査について(調査表)」です。前回の資料を綴った青いファイルもお手元に御用意していますので、適宜御参照ください。資料に不足等がありましたら、事務局にお申し付けください。

○尾形座長 よろしいでしょうか。それでは議事に入ります。本日の議題は、議事次第にありますように5点あります。「第1回の指摘事項について」、次に「今次医療計画策定のための資料集の概要について」、これは松田構成員から資料を提出していただいています。「都道府県に対する研修について」、これは高橋構成員から資料を提出していただいています。それから、「医療計画のPDCAサイクルの実施に当たっての体制等について」「その他」です。
 それではこの順番で、議題1の「第1回の指摘事項について」ということで、事務局より資料の説明をお願いします。

○新谷指導課長補佐 お手元の資料1から資料5について御説明いたします。資料1「本日の議論について」ですが、前回第1回の御議論を踏まえて、多少バージョンアップをしてお示ししているものです。こうしたことを御議論いただいてはどうかと考えているものです。
 都道府県の医療計画の策定状況について、課題の整理と、その策定状況を踏まえ、今後PDCAサイクルを効果的に機能させるための方策の検討、その中身として、データブックに収載すべきデータや現状分析や目標値の設定の妥当性の評価、施策の進捗評価のあり方や進捗が不十分な場合の対応について、そして、都道府県に対して行うべき研修等の支援について、また、今後の医療計画の見直し等に当たって人口推計をどう活用していくか、という点について御議論いただければと考えています。
 資料2「前回の議論の概要」です。御指摘いただいた内容について記載しています。今回、この指摘事項に沿って資料を用意させていただいています。資料3「医療計画において」は、医療計画の前提条件となる地域の現状として、人口構造や人口動態を記載することが考えられることをお示ししています。資料3は、各県において、人口構造や人口動態に関する記載や分析の状況をまとめたものです。1と2ページ目が人口構造について、3、4ページ目が人口動態についてです。網掛けになっている項目が事務局から通知で、こういったことが考えられるのではないかとお示ししているものになります。
 また、参考資料1として、各都道府県における人口推計の活用状況を実際に医療計画から抜粋したものをお配りしているので、併せて御参照いただければと思います。
 資料4「医療計画に関して都道府県等に対して行われた研修等について」です。今回の医療計画の策定に当たり、医療計画の見直しに関する都道府県職員向け研修会を行っています。厚生労働省にて2日間、こちらに記載したような内容で、実際にコンピュータを用いた演習なども含めて行いました。また、ブロック別の研修会も1日行っています。また、医療計画のためのデータ分析セミナーというものも松田先生に行っていただきました。次のぺージは、参考という形にはなりますが、政策研究大学院大学において医療政策短期特別研修を行っていただいたり、自治大学の研修の中で医療計画についても公表するといったようなことを行っています。
 続いて資料5「地域医療再生計画等の評価について」です。医療計画の進捗評価、計画に記載された施策の進捗評価を今後行っていくことになりますが、その際の参考として、他の計画の評価に関する資料をお示ししているものになります。
 地域医療再生基金とは、地域の医師確保、救急医療の確保など、地域における医療課題の解決を図るために、都道府県に基金を設置しているものです。都道府県が策定する地域医療再生計画、医療の復興計画に基づく事業を支援しています。スライド2ページをご覧ください。評価に当たり、年度ごとに事業の実施状況の報告を、評価シートに記述的に記載し提出いただいています。平成24年度には、都道府県には「S、A、B、C 、D」の5段階評価を自己評価で実施した上で、有識者による評価も行って都道府県にフィードバックするという取組も行っています。また、有識者会議のメンバーによる現地視察といったことも行っています。スライド3ページからは、事業ごとの評価シートの記載例となっています。また、スライド27ページからは、医療費適正化計画の評価の概要について記載しています。これらは中期5年計画です。目標値を設定して、それの中間段階での評価を実施しております。資料の説明は以上です。

○尾形座長 ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明について、御質問、御意見をお願いします。

○高橋構成員 よろしいですか。都道府県に行われた研修とは、全県参加しているものなのですか、それとも希望する都道府県だけだったのでしょうか。

○新谷指導課長補佐 1ページ目に書いてあった上の2つですね。国が行っている研修に関しては全県参加していただいています。

○尾形座長 ほかにいかがでしょうか。

○佐々木医師確保等地域医療対策室長 今の高橋構成員のご質問にも関連するのですが、実際、資料4の○の1つ目、2つ目が全都道府県参加で行われたのに対して、資料3のような結果になっています。松田構成員に伺いたいのですが、大体研修会のときでのリアクションからすれば、資料3の結果は想定の範囲内なのか、それとも、これはもう少し研修会の仕方を変えないといけないという印象なのか。そこを教えていただければと思います。

○松田構成員 一応、参加した人は全員このソフトが使えるような形で帰ってもらったのですが、既に医療計画の策定作業が始まっていたこともありますので、そこにこれをどのように入れ込むかというところでかなり苦労されていたのではないかとは思います。
 実際にやってみて思ったのですが、都道府県の職員の中で、ITスキルにすごく差があります。エクセルを触るのが初めてという人もいるような状況で、片方では、ある程度アクセスまで使える人が来ているというようにスキルにすごく差がありました。ベースラインのところをエクセルをきちんと使えるぐらいのレベルにそろえておかないと、なかなか難しいと思いました。私たちも悪かったのですが、もう少しシナリオをきちんと書いてあげて、具体的には、医療計画にこのように使うのだと、落とし込むところまで上手く設定してあげたらよかったのではないかと思います。
 今回私たちが提示した資料が初めてのものばかりだったので、いろいろな負荷がかかって使い切れなかったという状況ではないかと思います。今回、それを踏まえて、エクセルが使えなくても、ボタンさえ押せれば、あるいはマウスさえ使えればいいというものを作っていますので、それで今回は対応しようと思っています。大事なことは、このツールを使うことよりも、このツールで出てきた結果をどのように医療計画とか、地域医療ビジョンなどに展開するかという、そこのノウハウだろうと思います。

○尾形座長 関連するのですが、資料4に関して、研修の趣旨はそれぞれあるのだろうと思いますが、少なくとも主催した側はどのレベルの人を対象として考えていたか分かりますか。
 例えば、裏に書いてある政策研究大学院大学は、私も多少かかわったのですが、これは必ずしも第一線の、正にパソコンをいじる人よりもう少し上を考えていたように思います。それぞれの研修のレベル、どのような人を対象として考えていたのかということが分かれば教えていただきたいのと、もう一つは、研修自体の評価をやっているのかということです。その2点です。

○新谷指導課長補佐 前のページにある医療計画の見直しに関する都道府県職員向け研修会とブロツク別の研修会は、実際にパソコンなどを使って作業をする職員を対象として研修を実施しています。その研修の成果がどうであったかということの評価はしていないのですが、その結果が現在策定されている医療計画であります。

○尾形座長 やはり、研修自体の評価というのも必要だと思います。多分、政策研究大学院大学は、1回目のときは少なくともやっているはずです。公表できるものかどうかは別にして、意見を聞いて、それぞれの事業評価みたいなことまで確かやっていたと思います。そういった、今後をいいものにしていくために、研修自体の評価は是非考えていただきたいと思います。これは意見です。ほかにいかがでしょうか。

○新谷指導課長補佐 すみません、前回今村構成員から、人口推計に関する考察、記述が弱いといった御趣旨の発言を頂いていて、今回参考までに、人口推計から実際に記載されている内容も添付しているので、どういったことを念頭に置いていくべきかについても御議論いただけるとよいかと思います。

○今村構成員 その点について、計画を読ませてもらったのですが、最初の導入部分にずいぶんばらつきがあって、人口動態の使い方そのものも都道府県でずいぶん差があるように思いました。将来、自分の県がどれだけ高齢者が増えて、患者さんが増えてくるのかという基本情報を載せていない所がたくさんあって、そのばらつきの大きさは非常に大きいです。ただ、1個ずつ読んでいくと、各都道府県で、全都道府県を並べたときに、自分が最下位なり、ワースト5だったらというようなデータがあれば、それを載せているので、一通りは見てはいるのだと思うのですが、計画上に採用するところでは、ずいぶん差が出ているというのが実感です。
 ただ、計画の基本になるのは、人口とか患者さんの数ですから、そういったところは基本的に計画に載せていくべきだということと、逆にそういった基本集計の部分は最初の段階で数字として提供してあげて、それは書いてくださいという話だと思います。その中で、厚労省からプラスアルファーで出すとすれば、都道府県別の順位がはっきり分かるような資料が一番インパクトがあります。それは出していったほうがいいのではないかと思います。受療率などを見ていると、素の数字を使っている所がほとんどです。年齢調整かけてない数字でやっている所がほとんどです。自分自身が、都道府県の計画を作る際に関与していて思うのですが、年齢調整のやり方などを説明しようとすると、それだけで3、4時間はかかって、その人が納得しても、その人がまた2年ぐらいで異動したら、次の人にまた3、4時間説明をしなければいけないという事態が起こります。年齢調整も単純にできる話なので、そこら辺まで基礎情報として提供してあげたほうが都道府県も使いやすいと思うし、それも是非、基本情報として、最初の部分が参考資料として載せていくように指導されてはいかがかと思いました。

○尾形座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。それでは、私から1点、資料5です。地域医療再生計画等の評価についてお示しいただいていますが、確かに世の中にはいろいろな評価があります。これは次のステップで、次回以降でいいのですが、医療計画の評価は、他のものと比べてどういう位置づけになるのかという辺りを、少し頭の整理をしておいたほうがいいのかと思います。
 例えば、独立行政法人だったら、中期目標や中期計画を立てるところから、外部評価委員会みたいなのが絡んで、年次評価あるいは5年間の評価みたいなのもやるわけですよね。そのようなものと比べたときに、研修会は確かにやっているのですが、計画自体は都道府県が作っていて、その後でまたこういう評価をやろうということですので、ほかの評価と比べたときに、医療計画の評価の位置づけみたいなものを一度議論をして整理してはどうかと思います。次回以降で結構です。これは提案です。
 よろしいでしょうか。またお気づきの点があれば戻っていただくとして、先に進めたいと思います。次は、議題2及び3ですが、前回御指摘のあった事項のうち、都道府県に対して提供している医療計画策定のための資料集や分析ツールについて、松田構成員に資料を御用意いただいているので、松田構成員、どうぞよろしくお願いします。

○松田構成員 配らせていただいている資料の中に大体書いてあるのですが、実際に動きを見てもらったほうがよろしいと思います。

(パソコンにて資料説明)
○松田構成員 昨年度、石川先生と伏見先生と藤森先生と私で資料集を作りました。それの概要を説明したいと思います。指標ですが、基本的には、今回ナショナルデータベースを使わせていただきました。大分類、中分類、指標という形で作ってきているのですが、基本的には後でお見せするみどり本に沿う形で指標を作っていっています。その理由は、皆さんが慣れているもののほうがいいと思うということで、診療報酬の点数表をベースとして、そこから指標を作っていく。これはレセプトから自動的に作っていくことを考えたので、こういう形で指標を作りました。
 指標はこのような形で、基本診療料ですと、中分類で初・再診療、特定入院料、がんですと、がんの診療体制とか、5大がんと、このような形で指標を作っています。
 医療行為の名称と意味は、とりあえず、医科診療報酬点数表とか診療点数早見表を見ていただければ分かる形でやっています。
 まず、傷病名ですが、私たちはずっとDPCをやっているので、DPCとICD名称とICDコードの関係で傷病を整理する形でやっています。
 どのようなものをつくったのかと言うと、一応3つのものを作りました。1つ目が、二次医療圏別の医療提供状況を都道府県別で見る。これは全保険者のデータを使っています。集計値は、レセプト数、算定医療機関数、県内の平均値、レセプト数が県内平均以上の医療機関数を集計しています。二次医療圏別年齢調整標準化レセプト出現比という概念を作っていますが、これは何かというと、年齢調整をやった指標です。要するに、年齢ごとに全国でどのぐらいのレセプトが発生しているかという率をSMRと同じ方法で、年齢調整をして、当該人口だったらどのぐらい発生するのだろうかを推計し、それを実際の発生数との比で示したものです。
 あと、二次医療圏単位の受療動向としては、これは都道府県別ですが、患者所在地が推定できるデータだけが使えますので後期、長寿と国保と生保、これだけを使って推計しています。後でお見せしたいと思います。
 あと、医療提供状況を全保険者データでやって、これも同じように年齢調整標準化レセプト出現比を考えて作っています。この辺は見ていただけたらいいと思います。
 二次医療圏別の医療提供状況については、210の指標を設定しているわけですが、それについてここに挙げたものを計算する形になっています。実際に見ていただいたほうがいいと思うのです。例えば、これは北海道ですが、全年齢で、ある指標がどのぐらい出ているのかと。例えば、道内合計で、レセプトの総件数が400万件、南渡島で大体33万件、算定医療機関数が2,800、252で、この平均、1医療機関当たりの平均レセプト数を計算して、それより多い医療機関が何機関あるのかを計算する。それから、1医療機関当たりの平均レセプト数を計算する。このような形でやっています。
 表示方法ですが、例えば医療機関数がゼロであると、これは空欄になるのですが、1か2の場合には「-」で示す形で、一応、医療機関も個人情報であるというナショナルデータベースを扱う場合のルールがあるので、このような形で整理をしています。この辺は前提条件です。
 あと、実際に受療動向はこのような形でやっています。受療動向をやるときには、どこに住んでいる人がどこの医療機関にかかっているかをやらないといけませんので、一応、仮定を置きました。国保の場合には、その国保の市町村が患者の住所だという仮定です。例えば、私は国保ではないですが、私が北九州市国保であって、東京出張中に怪我をして虎の門病院にかかったとしても、それは北九州に住んでいる人間がわざわざ虎の門まで来たという形で処理されてしまいますが、それは多分誤差範囲だろうと思うので、一応そういう形で処理をしています。対象としたレセプトの期間は6か月間です。医療機関も全部二次医療機関に割り付け、受療動向を見るということをやりました。
 それがこれですが、実際、動かしたほうがいいと思うので、こういうものを作りました。これは広島県のものです。このツールは各都道府県別に作って、各都道府県の担当者に配布してあります。広島県のことを考える場合には、山口県と岡山県のことも考えなくてはいけませんので、この2つを選んで、例えばがんについて見ます。がんで、中分類で肺がん。そして、ここで肺の悪性腫瘍手術、全年齢で、入院という形でやり、コード抽出とやると、それでマクロが走って、このような感じになります。
 実数でやるよりも、パーセンテージをお見せしますが、どこの医療圏に住んでいる方がどこの医療圏の医療機関にかかっているかを見られるようにしてあります。例えば、広島中央ですと、呉の医療圏に大体40%、60%は広島中央の病院にかかっていることが分かります。備北辺りですと、これはほぼ100%広島でかかっていることがわかります。備北で手術を受けている人は1人もいないということを意味しています。こういう形で傷病別に、どこに住んでいる人がどこでやっているのかと、こういう形で選んでいただければできるようになります。
 このような形です。210の指標ごとに、どこに住んでいる人が、どこでその医療を受けているのかを、流出入を分析できるようにしたものです。
 これがここに示した可視化ツールというものです。今年もまた研究費でこれを申請して、今年度版のものを作るので、それをまた各都道府県に配って、その指標別に、自己完結率がどのぐらい改善しているのかをやっていただいて、PDCAサイクルを追って、評価をする上でのものにしていただければいいと思っています。
 これは基本的には5疾病5事業に対応する形で作っているので、これを使っていただければいいのかと思っています。これは福岡県の例ですが、こうやって、パーセント表示で見られるようになっています。
 この5疾病5事業について、このような自己完結率が、パーセント表示、実数表示で見られるものを作っています。
 あとは、昨年度頂いた意見の中で、がんなどについては、少し広域で見る場合もあるので、例えば福岡だと、北九州広域圏、福岡広域圏、筑後広域圏、筑豊広域圏ぐらいでまた見られる形にしてほしいという意見も頂いています。それは各都道府県の方にヒアリングをさせていただき、圏域の設定を少し考えたいと思っています。
 医療提供状況ですが、これはSMRと同じ形で、年齢調整標準化レセプト出現比をしています。このようなものですが、年齢階級別のレセプト実数を、これは年齢階級別のレセプト数を傷病別に組み入れればいいので、あと年齢階級別の人口を精密にやって、期待数を求める。それで、これは100より大きければ全国よりもたくさんやられていると、100より小さければ全国より少ないという形で評価をするというものです。
 このような形で、例えば初診料とか、DPC入院が多いとか少ないとかやっているわけですが、例えば、当たり前と言えば当たり前ですが、DPC入院などを見ていただくと、北海道は104.8で全国並ですが、青森県はDPC病院が少ないので、60.8ということで、DPC病院に入院されている方が全国平均から見ると40ポイントぐらい少ないと、そのようなことを意味しているものです。
 例えば、SCRをこうやって指標ごとに全部やってみたものです。これはがん関連を全部出しているのですが、例えばがん患者リハビリテーションなどを見ると、岡山県は263、広島県は67、山口県は38、鳥取県は395ということで、岡山県は全国の2.6倍ぐらいをやっている。広島県は逆に半分ぐらいしかやっていない。山口県は3分の1ぐらいしかやっていない。このような形でSCRにすることによって、全国と比較して、年齢を調整してもどのぐらいの状況になっているかを推計できるわけです。
 これだけでは見にくいので、こんな感じですが、これをQ-GISという無料のソフトがあるのですが、それに流し込むことも一応やっています。例えば、これは胃がんの開腹・腹腔鏡手術ですが、薄い黄色が全国平均並ですが、広島は全国平均並です。北と日本海側はもともと胃がんが多い地域だということがあると思うのですが、全国平均から見ると、20~40ポイントぐらい高いことが分かります。南九州は少ない。このような感じです。以前から岩手県は胃がんは少ないと言われている地域ですので、そういう意味でこれまでの知見とよく合うのかと思います。
 先ほどのデータを、地図に落とし込む実習をやったのですが、これがなかなか好評だった反面、自分でやれないという県が多かったので、今年は諦めまして、これは全部こちらで作ろうと思っています。それをPDFにして渡せばいいのかと思っているので、大変ですが、そうするつもりです。
 これを広島県の中で見るようにもできていて、例えば、これは広島県でいうと、広島の西医療圏はすごい胃がんの手術をやっているのですが、広島中央はすごく少ない。このような地域差が出てきます。このような感じで多い、少ないを見ていくことができるようになっています。
 例えばがんの化学療法ですが、入院でやっているのか外来でやっているのかを検討してみます。がんの化学療法は、できれば将来的には外来でやっていただけばいいと思うのですが、入院がすごく多い所では外来が少ないですし、入院が少ない所で外来がすごく多い。こういうデータをもとに、今後化学療法の在り方をどう考えていったらいいのかを、多分医療計画の中で書き込んでいただけるのではないかと思っています。
 地図をもう少し洗練された形でマッピングすると、これは研究班の石川先生がやってくれた仕事ですが、胃がんの手術をやっている病院に何分以内にかかれる所に皆さんが住んでいるかというマッピングができます。濃い緑が15分以内、薄い緑が30分以内、オレンジが60分以内ですが、これを5疾病5事業に関連して地図に落とすことも一応やっています。広島県の場合ですと、97%の方が、60分以内に胃がんをやっているDPC病院にかかることができる地域に住んでいるということですので、多分、胃がんの診療に関してはほぼ問題がないということが言えるのだと思います。
 ところが、これを脳梗塞などでやってみると、例えば岩手県とか秋田県になると、30分以内に脳梗塞をやっている病院にかかることができる人口は、50%を切ってしまいます。ということは、そこに住んでいるだけでt-PAが使えない方がいらっしゃることを意味しているかもしれないので、そういう形で地域における医療へのアクセスの状態を表現してあげることができると思っています。
 傷病別・入外別患者推計ですが、これは研究班の伏見先生が患者調査の個票をずっと分析されていて、あと、私たちがレセプトの分析をしているので、そこから年齢階級別の傷病別、入外患者別の患者数を推計する。あと、社人研が出している5歳階級別人口推計、これを組み合わせることによって、傷病別・入外別の患者数の推計ということは、将来推計をやることができます。
 これは今作っている途中ですので、これも供覧したいと思うのですが、例えば今広島県をやっていたので、これで広島県を選んであげます。こちらから広島の福山・府中にします。ここで一般病床の利用率とか、その他病床の利用率がありますが、これを選択します。これで作業できたので、このボタンを押します。そうすると、福山・府中医療圏の人口推計が出てきます。人口が減っていくわけですが、どこで減っていくのかを、10年ごとの国勢調査のデータでやっているので、これは何をやっているかというと、1990年にいた人が2000年はどうなっているかを見ているのですが、そうするとこの地域の問題点は、大体10代の人たちが出ていって戻ってこないと。あと、高齢者が死んでいくということで、人口が減っていっていることが分かります。
 これが人口推計ですが、ここでこういうふうに人口ピラミッドを調整できるようになっています。これが2010年のピラミッドで、これが2030年ということで、福山の場合はほかの地域に比べるとそれほど高齢者の増加に対する若年者の減りが大きくないことが分かります。
 社会保険表章用の傷病分類をつけているので、入院患者が傷病別にどのぐらい増えてくるかを、2010年を起点として分析できます。これで見ると、福山・府中医療圏の場合には、肺炎の患者が2010年から2030年にかけて大体67%ぐらい増えてくるのが分かります。あと、脳血管障害も大体60%ぐらい増えてくるし、骨折も60%ぐらい増えてきます。それ以外に、がん患者ですと、入院でいうと余り増えないのです。大体20%ぐらいは増えますが、大体それぐらいで頭打ちになってきます。このような感じで、あと入院と外来と、このように分析できるようになっています。パラメーターを設定してシミュレーションしているのですが、このデータから将来的に一般病床・精神病床・結核病床、こういう病床が何床必要になってくるかを、今の傷病構造でいったときにどのぐらいになるのかを推計するようにしています。
 これは入院患者数です。今のままいくとどのぐらい入院患者数が増えてくるのか。それに必要な病床数を病床利用率・稼働率で見るようにしています。でも、このように増やすことができないから、実際に2010年のベッド数で患者に対応するためには、在院日数を何日にしなければいけないかというシミュレーションができるようにしています。
 これもなかなか面白いのですが、まだしっかりきちんとやらなくてはいけないのですが、これから急性期自体はそれほど在院日数を短くできないだろうと思っています。でも、今のベッド数を確保しようとすると、また、これからたくさん増えてくるであろう高齢者のことを考えると、療養病床を今から大体1~2か月ぐらい在院日数を短くしていかないと間に合わないと、そういう結果がでてきます。
 これは医療圏単位ですが、これを一応市町村単位でできるようにしています。例えば、これで福山・府中はどこがありますか。

○佐々木医師確保等地域医療対策室長 神石高原町で。

○松田構成員 では、そこにしましょうか。神石高原町、34、これを選択して、確定とやってあげて、これを分析とやります。これも同じようにこうやってやると、これが神石高原町の人口推計ですが、現時点で1万人ぐらいだと思うのですが、これが5,000人ぐらいまで落ちてきます。でも、明らかに10代がどんどん抜けていって、高齢者がどんどん少なくなるパターンです。でも、こういう所は高齢化も進みきっているので、入院患者も減ってきます。外来患者も一直線で落ちてくるということです。こういう所は、必要なベッド数もどんどん減っていってしまう感じです。逆にここは、やはりそうですね、今のベッド数を維持しようとすると、在院日数を延ばさなくてはいけないという変な結果が出てきてしまいます。
 多分ここまで作ってあげれば、市町村の人もマウスでいじるだけですので、大丈夫かと思います。だから、あとはそういうシナリオをどういうふうに書いてあげるかをやればいいのではないかと思っています。このようなものを現在作っています。
 あと、お手元の資料の中に6-2だと思うのですが、これも石川先生が作ってくれたものですが、DPCのデータを公開データだけでこういう形で展開しています。例えば、これは福山市民病院ですが、福山市民病院の診療圏をこうやって分析することができます。これは併せて見ていただければ、こういうデータと併せて、御自分の所の、医療機関が自分の診療圏を考えながら、これからこれをどう考えていったらいいかがシミュレーションできるようになっています。
 先ほどのソフトですが、これは今は二次医療圏単位、市町村単位ですが、医療機関のデータをこれに当てはめれば、自分自身でシミュレーションできるわけです。だから、同じデータソースに基づいて二次医療計画と市町村の医療ビジョンと、各医療施設の今後をどうしたらいいかを考えるためのツールができるという形になるので、そうするともう少し医療機関の方にも医療計画を考えながら、御自分の所の将来を考えていただくためのものができるのではないかと思っています。まだ、患者の流出入とか、いろいろなパラメーターも推計しなければいけないと思っているのですが、一応年内にはこれを完成させたいと思っています。

○尾形座長 引き続き議題3に移ります。今回都道府県に対して行う研修について、議論の参考とするため、高橋先生が行っている研修について御紹介いただくことになりました。それでは、高橋先生お願いいたします。

○高橋構成員 資料7は、佐々木室長とお会いしたときにこの話が出たので、うちの大学院で昨日やった演習が近いからといって、これがありましたのでパッと紙を渡したのが、国の委員会の資料になっていたのでびっくりしました。
 これは、どういうことをしたかというと、我々の大学院は各病院から派遣されていて、DPCデータ等を使って、病院の運営をどうするか、企画をどうするかを教えている大学院をやっています。そこで先週の金曜日にやったものです。千葉県チームに書いてあるこの名前は、千葉県の病院から来ている学生の名前であり、神奈川県の病院から来ている学生ということで、県の職員というような人たちではありません。要は、自分たちの地域が今のまま進むとどうなるかを考えようということで、宿題を出したのですけれども、院長を巻き込んで8月10日ぐらいまでにこれを出すようにという、宿題そのものだと思って聞いてください。
 手順としては、まず高機能病床18万床、一般病床36万床、亜急26万床、療養病床28万床が現在の人口割で、都道府県や各医療圏に割り振れたと仮定する。高機能病床は三次医療圏で考えるのだろうから、鳥取県は日本で一番人口が少なく、医療圏が3個しかないので、鳥取が分かりやすいので鳥取の例を出します。人口割でいうと2個になるだろうと。40~50万人だとすると2個だろうと。そうすると、病院のリストをじっと見ると、米子にある鳥取大学と、鳥取県立中央病院になるだろう。それで高機能病床として、取りあえずその2つの病床を書いておく。それで、人口割で割り振った場合の高機能病床と比べて、鳥取はどれぐらい多いかという形で目安を付けていくということをまずやっていきます。
 一般病床というか急性期病床ですが、国の研修というか、公的の所ではやりにくいと思うのです。我々の所は大学の講義ですので、病院のリストを見て、DPC病院は急性期病床になるだろうと仮定して、あとは全県の病院のリストを見て、これは非DPC病院だけれども、急性期のお手挙げをしたら上がってくるだろうという所を選び出させるという形で、各県の結構現状を知っている学生がいるので、そこの感覚で急性期病床を選び出します。それで、現在のその病院の一般病床数を、急性期病床数と仮定して、鳥取県に人口割で割り振られるだろう急性期病床数と比べてどれだけ差があるかということを出させる。
 亜急性に関しては、これも非DPC一般病床と、療養から上がってくるだろうという仮定で、非DPC病床数を取りあえず当てておく。それで現在の状況とどれぐらいミスマッチがあるかを出させるということがここの目的になっています。
 3番は、高機能病床のシミュレーションというか、選び出しで、人口40~50万人に1個と仮定し、三次医療圏のレベルを選び出す。大学病院で、その次は全身麻酔数、最低2,000ぐらいはないと中核病院とは言えないだろうということで、まだはっきりは決めていないのですけれども、神奈川の場合は18~20個ぐらいを選ぶ形になりますので、まず大学病院を選んで、全身麻酔数とか地域性を選んで、どの辺が候補かと。それで先ほど言ったリストから、現在のDPCの病床数を出して、合計値と神奈川に割り振られるだろう件数を比較するという形です。
 4番は、都道府県の一般病床と書いてあるのは急性期病院、名前がどうなるかよく分からないので、こういう形にしておいたのですが、急性期的な病床をDPC病床と、先ほど言いましたように病院の名前を見て、これは急性期に上がってきそうだという所を出すという形で、まず割り振りをやっていきます。それから、亜急性もやっていく形になります。
 その後に、自分の二次医療圏にその数字を割り振って、それでどれだけ差があって、ここの中で自分たちの病院の戦略、あるいはどこの病院がどういうふうに動くとあるべき姿に近付くかということを検討して出してきなさいという演習問題を出したということです。これをそのままやるというのは非常にきついところがあるわけですが、やはりこういう計画を作る人は、自分であるべき姿を持っていないと議論も進められないと思うので、こういうビジョンを持つ、担当者に持たせるという形の場合は、これに近いような演習というか作業をする必要があるのではないかという例でお出ししました。

○尾形座長 ただいまの松田先生、高橋先生の説明について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○高橋構成員 松田先生に伺います。病床数の推計数が出ていましたが、それはどういう計算式というか、どういう形で出されているのですか。

○松田構成員 私たちはレセプトの分析もやっているので、傷病ごとにどこの病床にいるのかを大体計算しています。

○高橋構成員 これは、全国レベルで同じようなものを当て付けているのですか。

○松田構成員 今は全国レベルでやっていますけれども、これ自体は患者調査のデータを使ってやっているので地域別になります。ただ、将来的にはナショナルデータベースから市町村レベル、それから二次医療圏レベルというのを、社会保険表章用の分類別の患者数を施設類型別に出していただければ、そのデータをこのロジックに流し込むと、各市町村別に今の条件を踏まえた上での分析、シミュレーションができるようになっています。
 私たちの計算ロジック自体は患者調査でもいけるし、各病院のデータでもいけるし、あとはレセプトデータを集計した人もできるようにインターフェースを作っています。一番いいのは、ナショナルデータベースを集計していただいて、それを使ってやるのが一番いいのではないかと思っています。

○高橋構成員 ということは、病床が多い地域は入院の比率が高くなるけれども、それはそのまま温存される形になるのですか。

○松田構成員 そこはパラメーターの設定で、そこをいじれるようにしています。要するに、傷病別にこのぐらいは急性期病床に行くべきだ、療養病床へ行くべきだというように設定してもらえればそれでいけます。

○高橋構成員 そこで調整する形なのですね。

○松田構成員 そこで調整するようにしています。パラメーターをどのように設定するかというのも、これから少し詰めていかなければいけないのですけれども、そこをいじれるようにしておかないと、各地域の状況に応じてやっていかないと駄目だと思うのです。

○高橋構成員 そこで地域性があるだろう、ということを認めているわけですね。

○松田構成員 もちろんそうです。高齢者が増えてくることを考えると、当然介護のほうの利用可能なリソースがどのぐらいあるかによって全然違ってくる。その辺を勘案しながらこれを作っていく形にしたいと思っています。

○今村構成員 松田先生の資料集についてなのですが、これは私の目から見ても、ものすごく面白く、こんなことが分かるのかというのが正直なところです。でも、これを都道府県の方が見たら、私が見て面白いと思うぐらいですから、分からないのではないかというのが正直なところなのです。都道府県でこれの計画を作る職員の皆さんは、診療報酬のレセプトを見たことのない人が多いと思うのです。DPCのデータはどういうデータで、この分析結果が何を意味しているのかが分からない人が多いのではないかというのを感じました。DPCは、病院で働いている人は。

○松田構成員 ナショナルデータベース、……ソフトですよね。

○今村構成員 ナショナルデータベースのほうでも、外来診療料と再診料との差は、働いている人でないと分からないと思います。足すことの意味もなかなか分かりにくいと思うのです。ある程度レセプトのことについて知っている人だと、これはものすごく面白いことができるし、それを分かっている県の職員だったら、これをものすごく使って計画を作ったと思うのです。その段階で、「レセプトって何ですか」という状態の人が見たら、これはかなりしんどかったかなと感じます。もうちょっと、レセプトそのものを解説してあげることを。

○松田構成員 レセプトを使っていますけれども、レセプトを指標にしているわけではないのです。

○今村構成員 分かりました。

○松田構成員 一番大事なことは先生のおっしゃるとおりだと思うのです。都道府県の担当者のレベルを上げる作業というのを、毎回毎回やっていったとしても、それはかなり難しいだろうと思っています。これは文章が公表されるときには少し変えますけれども。理由が、2年に1回人が替わってしまう状況で、プロフェッショナルが育ちにくいのです。
 これからこれをやっていくために必要なことは、せっかく1県1医大あるわけですから、そこの医学部の社会学系の教室がきちんとこういうものをコミットしていって、医師会の先生方もきちんとコミットしていって、それで都道府県の人たちが医療計画を作る作業を支援する体制を各都道府県内で作らなければいけないのではないかと思います。
 福岡県には、尾形先生が昨年度までいらっしゃいましたけれども、尾形先生と私が入って、それから医師会の先生も入って、都道府県の担当者も入れて、そういう支援をするというサポートをする体制をずっとやってきています。各都道府県でそれをやっていただかないと、これはどこまで行っても先に進めないと思うのです。あとは、これに都市計画をやっているような研究者に入っていただいてやっていかないと、やはり難しいというのを実感しています。ここに掲げている説明会以外に、福岡県では5回ぐらい担当者を集めてやっています。医師会の先生方にも集まってもらっているのですが、それでも先に進まないのです。やはり、私たちがもう少し積極的に入っていかないと難しいと思っています。
 フランスでも医療計画を作っていたのですが、今は地方医療庁といいますけれども、そこに専属のスタッフがいて、各地域に地方の厚生局みたいな所があって、そこでずうっとこういうデータを作ってくれています。こういうものを作るためのスタッフがかなり充実していることがあるので、いろいろ良い計画を作れるのです。日本の場合は、厚労省が一生懸命頑張ってガイドラインを作っても、2年に1回都道府県の担当者が替わってしまうので、いつまでたっても、都道府県で専門職が育たない。ここを改善しないとなかなか難しいのではないかというのが正直感じているところです。

○今村構成員 松田先生のおっしゃるとおりだと思います。実際に都道府県でこれを理解できるレベルにまで達した人は、大体次の年には異動するのが現状です。それで次の方に1から説明していくと、同じだけの時間がかかる。当然厚生局の人間も、大学の人間も関与するべきだと思うのです。余りこういうことに経験のない人に対して説明していくと、非常に口うるさく感じられて、担当者2人のうちの1人は「先生あっての」と言って協力体制なのですが、2人に1人の方は「そんな口うるさい人は要りません」ということで、どちらかというと「来ないでください」という形になっていくのが現状だと思うのです。
 先生にこれだけやっていただいているのならば、ある程度分析を研究班か厚労省でやったものを、若干の解説を付けて投げる。最低限それを見たら分かるものがあって、深読みする人はされるようにソフトを使えるようにしてあげる、というふうにしていくことが大切だと思うのです。国の方も、せっかくここまで来ているわけですから、最初の段階で、初期の情報提供の資料を充実させる。ある程度同じルールにのっとれば機械的にできると思いますので、そのルール作りは松田先生がされている理論は素晴らしいと思うので、こういう考え方で分厚い資料を作って配布するということがまずは必要なのかと感じました。

○松田構成員 それが今年の宿題なのですね。

○今村構成員 そうなのですね。

○新谷指導課長補佐 はい。その方向で進めていて、前回の資料6に付けていたデータブックを今年度に作って、本検討会の報告書及びガイドラインと一緒に配布するということ。今後はデータベースという形でデータを蓄積していきたいと考えて、松田先生にお願いしているところです。

○高橋構成員 前回も少しお話したのですけれども、私どもが作った二次医療圏データベースが、8月の頭ぐらいに日医総研から、各二次医療圏ごとの評価という形で、どういう二次医療圏で今後人口がこう変わるから、こういう方向で急性期の病床を亜急性に転換しないといけないという、コメント付きのレポートを出します。今は、二次医療圏データベースが出て、マクロに読み込ませると、テーブルがあって、テーブルが二次医療圏ごとに人口10万人当たりの医師数は何人で、偏差値がどれだけであるというところまでは作ってあります。来期に関しては、そのテーブルから数字を拾っていって、自動的に各二次医療圏の面積がどれだけで、人口がどれだけで、人口密度がどれだけで、医師数がこれだけで、偏差値がどれだけだというのを、ズラズラと自動文章にして、それで偏差値を組み合わせて、ここは医者が多くて、看護師が少ない医療圏であるというように、自動作成システムにしようと思っています。
 この考え方は、松田先生が作ったものを、同じ形で表にマクロで下ろすところまでされると思うのです。そこから先は、今度は普通の人が読んでも分かる文章にしないと、表を見ているだけではなかなか進まない感じがあるので、そこからコメント・システムまで一気に作ったらいいのではないかというのが私からの提案です。イメージできますか。

○高橋構成員 だから、ロジックの作り方はそんなに難しくないので、そこの解説まで付けて、ガイドブックが渡されると、上の表ではなくて、そっちのほうに頼ってしまうところがあるけれども、今村先生の言われている不安もある程度解消されると思います。そちらのほうが現実的に全国均一で、分からずに放り出されるのではなくて、そこからベースで進むし、読む人は上のほうのデータに返って、自分で考えて作っていくのではないかと思うのです。それを作るのはそんなに費用はかからなくて、日医のものは20~30万円で作れますと言っています。松田先生のデータの内容を私は見たわけではないけれども、同じ理屈で、少なくとも先ほど言った福山の医療圏だったら、この疾患に関してはこうで、この疾患はこうだという形で文章化することは確実にできるし、それをやることによって理解度がすごく上がるのではないかと思います。

○今村構成員 高橋先生のおっしゃっていることは非常に前向きなことだと思うのです。その客観的事実に対してコメントを書いていくのは賛成です。高橋先生が二次医療圏別に分析されたデータを全部見させてもらいました。あれは、それぞれの二次医療圏の状態をある程度分かった人が編集をかけていますよね。

○高橋構成員 うんっ。

○今村構成員 客観的なデータだけではなくて、ある程度状況を理解して書いているように私には見えたのですけれども。

○高橋構成員 最初のときは、ほとんど全県の知合いに電話を掛けて裏を取って、1つ目は作りました。

○今村構成員 やはりそうですよね。その地域の実情がうまく地雷というか、絶対に誤解してはいけない所が外されているので、非常に精度の高いものになっていると思うのです。客観的に見た数字だけをずらっと並べていくと、うちの事情が分かっていない人間がコメントしているという形になってしまって、丸ごとの信頼性が失われてしまう可能性が高いのです。ですから、誰かそのコメントを編集するというステップがないと、客観的な事実を列挙するだけではダメかと思います。

○高橋構成員 そこをベースにして、松田先生が言われるようにその県の担当者を支えるような人たちがモデファイしていく。データをそのまま読めと渡すよりも、何らかのそういうコメントが付いていたほうが、かなり前進できるのではないかという気がいたします。

○今村構成員 コメントは付けたほうがいいと思うし、先生がおっしゃられるように、ある程度自動的に、客観的事実で付けられたほうがいいと思います。ただ、その中に地雷的な、全てを駄目にしてしまうような指摘が入ってしまうと、丸ごと信頼性を失ってしまう危険性があって、それをどうはねるかというのが、システムで作るところから超えて、最後にチェックする作業がないと、非常にしんどいのではないかと感じます。

○高橋構成員 確かにそれはあります。最終的には日医のものも自分が作ったものを、またチェックしないといけないと思っています。

○今村構成員 それをチェックできる人がいれば、それほど心強いことはないと思うので、そこと抱き合わせで考えていく必要があるかと思います。

○尾形座長 今のお話と、先ほどの松田先生のお話で非常に印象的だったのは、大学を含めてその地域の資源を活用したほうがいいというのはそのとおりだろうと思うのです。その場合にどうなのでしょうか、先ほど私が質問したのは、研修で誰を対象にしたかといったときに、実務家というか、本当に作業をする人が対象になって、それはそれでいいと思うのです。恐らくその人だけだと動かないです。先ほど松田先生がおっしゃったとおりで。ある意味では課長クラスぐらいの人が、こういうことまでできるのだというのを、自分でできる必要はないのですけれども理解してもらって、それでどういうシステムでそれをやったらいいのか、地域の資源をどのように活用したらいいのかというところを考えていただくのは大事ではないかと思うのです。
 そういう意味では、研修の対象をもう一回考えてみたほうがいいのかなと。実際に手を動かす人だけではなくて、外部の資源を含め、そういうシステムを作れる立場にある人に理解してもらうことが大事ではないかと思います。

○松田構成員 そういうことを、最初の所でPDCAサイクルを回すという話を先生から伺って、それを踏まえて前年度は作ったつもりだったのです。私たちはどういうやり方をやったかというと、一応福岡県をモデルにしました。こういう指標を作って、事実関係を全部記述して、それで何をやったかというと、医師会の医療計画担当の委員会があるので、そこで説明をさせていただきました。そこから、各医師会にその資料を全部回していただきました。それで医師会の先生方にこれにどうするかという意見を出してもらって、それをまとめる形で医療計画の委員会のほうに、県の協議会のほうに医師会の意見書という形で出す、そういうステップが必要だろうと思うのです。
 このデータを自動的に判定していろいろやる、というのは1つのアイディアとしてあるとは思うのです。ただ、日本みたいにプライベートの病院が多い所で、たとえ医療計画であったとしても、こうしなさいとは言えない。このまま行くとどうなるかを示した上で、これからどう変わっていくかを示した上で、それに対して医療提供者自身がどうしたらいいのかということを考えていただくことをやっていく。そのプロセスを、この医療計画を策定する過程に取り込まないと、いつまでたっても医療計画は立てるだけのものになってしまいます。医療計画に書かれている内容が、その地域における医療機関の先生たちにとって、自分たちが行くべき方向を示す指針になっている。その指針をもとに考えることができるものになっていかないと、なかなか先に進めないと思うのです。そこをどのように体系化していくかということが今度は必要なのかと。
 そういう意味で言うと、昨年度は都道府県の担当者だけに研修会をやったのですけれども、これが例えば病院会であるとか、今回は在宅医療も入りましたけれども、医師会も当然重要になってくるわけで、そういう所の関係者を交えながら作っていく作業をしなければいけない。外国の話ばかりで申し訳ないのですけれども、フランスの場合にはそういう形でやっています。まずデータを作っていって、それを基にして各医療機関と地方医療庁が、これからどのようにやっていくのか、複数年にわたって自分たちの医療機能を作っていくという契約を結ぶのです。そういう仕組みは日本の場合は民間病院が多いので難しいと思うのです。でも、擬似的にそれに近いようなものを入れていって、この医療計画そのものが行動計画になっていくという、正にこの研究班の前の研究班で尾形先生が出された報告書でPDCAサイクルを回していくかが書かれていますが、それをどのように具体化していくかということが大事だと思うのです。都道府県レベル、医療圏レベル、各医療機関レベル、そのための指標集というか、指針になるような医療計画にしていかないといけないのだろうと思います。
 そういう意味でいうと、今の医療計画で1つ欠けているのは、進捗状況が全然分からない。やはり、作られた医療計画に書かれている指標が、年度ごとにどのように動いていっているのかということを、それはナショナルデータベースから作れるものは作っていって、見えるような仕組みにする。そうやって書かれていることがどのようになっているかということを、この地域の関係者がリアルタイムで分かるような形にしていくことを工夫していかないといけないのではないかと思います。

○尾形座長 まだいろいろ御議論もあろうかと思いますが、時間の関係もありますので先に進みます。議題4の医療計画のPDCAサイクルの実施に当たっての体制等に移ります。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○新谷指導課長補佐 資料8-1と資料8-2、参考資料2が調査票になりますので、こちらを用いて御説明いたします。資料8-1は医療計画策定に当たっての体制等ということです。ただいまの御議論の中でも、医療計画を作っていく段階、地域の資源を分析する段階で、地域の医療提供者や医師会などがしっかり関与していくような体制を作ることが重要である、という御指摘を頂いております。実際に今回の今次の医療計画の策定に当たって、都道府県内でどういう体制で医療計画の策定が行われていたかについてアンケートを行っておりますので、その結果を速報としてお示ししております。
 2ページですが、地域では医療計画の策定に当たって、医療審議会の意見を聴くことになっております。医療審議会の開催回数の分布が左に示してあります。医療計画の策定に当たっては、必要に応じて圏域ごとに各医療機能を担う関係者が、具体的な連携等について協議する場である圏域連携会議を設置することとしております。圏域連携会議の開催実績のある都道府県は29府県でした。圏域内の病院の圏域連携会議への参加状況が右下の表に示してあります。最大の所では全病院が参加して圏域連携会議を開催している二次医療圏もありましたが、大体中央値で17.1%の病院が参加して圏域連携会議を行っている状況です。
 3ページは、医療計画の策定に当たっては、5疾病5事業及び在宅医療のそれぞれについて協議するために作業部会を設置して作業を進めることとしています。47都道府県中43都道府県で作業部会が設置されている状況です。作業部会の担当する内容別に見ると、医療計画全体に関する作業部会を設置している都道府県が32、5疾病に関する作業部会を設置している都道府県が15、5事業に関する作業部会を設置している都道府県が11という状況です。それぞれの作業部会の分類別の設置数は右の図に示しているとおりです。
 4ページも、同じく作業部会の設置状況で、作業部会にどういう構成員が含まれているかが左側の図です。右側は、作業部会ごとの大体の開催回数の分布です。設置された作業部会は全部で153部会でしたが、それの約9割が構成員として地域の医師会などの医療関係団体や、医師・歯科医師・薬剤師・看護師などの診療従事者を含んでおり、6割程度が都道府県・市町村、学識関係者といった方々を含んでいました。
 5ページは、医療計画の作成体制です。実際に都道府県の県内でどういう体制で作られているかというものです。都道府県で医療計画の策定を担う職員の数については右上の表になりますが、都道府県の医療計画の策定を担った職員の数は、5名以内が一番多かったという現状です。ただ、各保健所の職員も含めて65名近くの職員を入れていただいた都道府県も見られています。左下の表ですが、ほとんどの都道府県において素案の作成は都道府県の担当者が行っている状況です。先ほども、2年ごとの異動の話がありましたが、異動がある中で都道府県の担当者が実際に素案策定を担っている現状です。ただ、一方で、作業部会の構成員が素案の作成を行っている都道府県も14都道府県で見られています。医療計画の内容に関する実質的な議論は作業部会において行われる場合が最も多かったという結果です。
 7ページは、前期医療計画の評価の状況です。8ページは、目標を達成するための施策の記載状況です。9ページは、個々の医療機関が担っている医療機能の現状の分析です。左側が、医療機関が担う医療機能の現状の分析について、県内全ての病院について行っていると回答した都道府県が47都道府県中21都道府県ということで最も多く見られています。その医療機関が担う医療機能の分析に当たって、最も参考になった項目を右にお示ししています。これは回答した都道府県が5以上の項目について記載しておりますけれども、手術件数、放射線治療の件数などが挙げられていました。こちらの詳細な項目については資料8-2に表が付けてあります。
 10ページ目からは12月に行っていますので少し古いものでしたが、前回の議論の中で、市町村との連携、介護との連携などが重要だという御指摘も頂いておりましたので、資料として提示させていただきました。医療計画を定めたり変更したりする場合には、あらかじめ市町村の意見を聴くことを求めております。調査時点で市町村への意見の聴取をどういう方法で行っていったかというのが左側の図です。右側が、意見を聴いた市町村です。
 11ページは、関係者からの意見聴取の状況です。左側が医療関係者からの意見聴取です。回答を得られた42都道府県のうち39都道府県では、都道府県医師会や歯科医師会、21都道府県では郡市医師会から関係者の意見聴取を行っていました。一方で介護関係者からの意見聴取に関しては、ケアマネジャーなどから意見聴取を行っている都道府県は23都道府県、それ以外の方々について行っている都道府県は少ないという状況です。
 下は、介護保険事業支援計画との連携です。医療計画の策定に当たっては介護保険事業支援計画などの他の計画と連携を図ることを求めておりますが、実際に整合性がどういう形で図られているか。市町村介護保険事業計画を参考としたかという問に関しては、ほとんどの都道府県が参考にしていないという状況でした。
 資料8-2は、資料8-1の前段でも御紹介いたしました、都道府県に対する調査結果の速報値です。1から、全体の医療計画の策定体制についてということで調査が始まっています。参考資料2に調査票を付けてありますので、こちらと対応している形でお聴きしております。9ページ目からが、最も医療提供体制の分析に有用だと考えられた指標とその理由ということで、疾病事業ごとに有用だと考えられた指標をお示しいただいております。
 資料の28ページからが、国が示した指標のうち、地域の医療提供体制の分析に活用できないと考えられた指標とその理由ということで指標を挙げていただいて、理由などの記載をしていただいています。資料の44ページからが、医療計画に記載した目標値です。実際に指標であるもの、そうでないものも含めてどういったものが医療計画の目標値として挙げられているかを、疾病事業別に記載しているものです。資料の66ページからが、医療機関の機能を分析するために活用したデータと収集方法です。73ページからが、個々の医療機関の医療機能の分析に当たって、最も参考となった項目とその理由を記載していただいている集計表です。資料の説明は以上です。

○尾形座長 ただいまの説明について御質問、御意見をお願いいたします。

○今村構成員 資料8-1の一番最後のスライドで、介護保険事業計画を参考にしていない、ほとんど参考にしていないというのは、なかなか恐ろしいことだと思うのです。先ほどの議論の中にもありましたけれども、患者さんが増えていけば、平均在院日数を短くして早く退院してもらう。退院すると在宅か福祉へ行ってもらうということなのですが、その受皿があるのかということを全然考えずに作られてしまっているというのは大変由々しきことだと思うのです。
 福祉のほうの計画の作り方を見ると、現状の要介護認定率と入所者率だけをベースに作っていますので、医療側から患者さんがあふれてくるという想定では全くなく作られています。そう考えたときに、向こうも在宅を増やすと考えていますが、医療からあふれてきた人も在宅で増やすということで耐えきれるかということです。実際に年を取られた方が増えてきますから、重度の人たちがどんどん在宅にあふれてくる状態が発生してきます。そのときに、在宅の医療なり、在宅での介護保険が本当に耐えきれるかといったら、耐えきれないのではないかということが一番危惧しているところなのです。
 実際に医療計画を県で作っていても、確かに医療計画としては今の病床でやっていけるように、平均在院日数を短くしていきましょうという話になるのですが、現実に福祉のほうでそれを受けられるのですかといったら、とても受けられませんと。訪問看護ステーションにしても、医療計画ではどんどん医療の世界に看護師さんを集めることを頑張ってやるわけです。そうすると、福祉のほうの訪問看護ステーションの看護師さんは全然集まらない。その中で、どんどん福祉のほうに重度の人を回していこうという計画が立てられてしまっている。
 各論になると、訪問看護ステーションも、病院もやっている所が計画を作り始めると、完全矛盾に陥っていきます。その問題が地域医療計画を実行する段階になって大きな問題にもなっていると思います。進行管理すればするほどその問題ははっきりと見えてくるので、なかなか各都道府県も積極的にならないところがあるのではないかと思うのです。これは、最低限国レベルではある程度介護と医療とどちらで、あふれてくる患者さんを受け取るのかということを整理してもらわないと、それぞれ都道府県で整理してくださいと言っても、総数で合わないものを、都道府県で合わせるのは難しいと思うのです。そこが、この資料を見ていて一番心配になったところです。

○尾形座長 私も同感です。逆に言うと、介護保険事業支援計画とは整合性を図っていると言っているのですけれども、どういうことをやっているのでしょうか、その辺は何か聞いていますか。介護保険事業支援計画というのは県の計画ですよね。県レベルでは何か整合性を図っているけれども、市町村のほうのは全然見ていないということがあり得るのかどうかはよく分からないのですが、その辺は何か情報はありますか。

○新谷指導課長補佐 実際にこの理由までヒアリングをしていることはないのですけれども、右側の「介護保険事業計画を参考としたか」の「3.その他」の所に、都道府県内の介護担当部局から情報収集をしているのでという回答がありました。実際に直接市町村の立てた介護保険事業計画を読むというわけではなくて、都道府県の介護担当部局を通じて出た意見を反映していく作業をされているように思われました。

○今村構成員 県レベルで集計する段階では辻褄が合うように作っているのだと思うのですけれども、市町村で実際に作っている段階では、とてもではないけれども介護保険だけでは対応できないという数字が出てきていると思うのです。その葛藤は県の総数はともかく、市町村としてはもっとたくさん作らなければという参酌標準以上のものをやっている所があると思います。それが実際の医療のほうでやろうとしていることと整合性が取れているか、というところを見るということが一番必要なのではないかと思うのです。
 福祉のほうはトップダウンで、施設はこれだけ、介護保険の費用はこれだけと決まってきますから、それだけ見たら整合性が取れているように見えるのですけれども、実際に市町村で計画を作っていくと、それでは収まらないことがはっきり分かると思うのです。そこを医療計画を作る人たちもよく考えて作る必要があると思うし、それを余り認識していない可能性さえもあります。そこは危惧を感じました。

○松田構成員 技術的には介護のレセプトと医科のレセプトと連結して分析できるようになっています。実際に私たちは福岡県でやっているし、今度国保中央会がそれのデータベースを作ってきますから、高齢者に限られてしまいますけれども、その資料をうまく使うことによってその整合性は取れるのだろうと思っています。大事なことは、今あるデータをどうやって使いやすいものにしていくかということに関して、厚労省だけに任せていても、厚労省も人が足りないと思うのです。その辺をうまく厚労省側としても、厚労科学研究の中に入れ込んでいただいて、現場の研究者もそれのお手伝いができるような形で医療計画というよりも、医療介護計画が作れるような情報基盤を作っていく工夫をしていただければいいのだろうと思います。
 レセプトが、入院に関しては99%、外来・診療所に関しても95%を超しています。介護保険はほぼ100%電子レセプトです。それを繋いで分析すること自体はそんなに難しくもなくなっています。ただ、それを個人ベースでやろうとすると、いろいろとプライバシーの問題とか、情報の守秘義務の問題が出てくると思いますので、そこをうまくアグリゲートして何かデータを作って、それを市町村の人というか都道府県で考えるためのデータベースを作る作業をやればいいのかと今は思っています。もう技術的にはできるので、あとは国で方針さえ決めてくれて、そこをこういうふうにやってくださいという手続さえやってくれれば十分できると思います。

○尾形座長 国保のデータベース(KDB)はいつから動き出すのか御存じですか。

○松田構成員 一応この秋からです。

○尾形座長 あれは、国保中央会ですか。

○松田構成員 国保中央会です。

○今村構成員 データの現在の状況の分析は、くっ付けるとよく分かると思います。それが年齢構成が変わっていくとどうなるかというのは、それをベースに予測すると非常に精度の高いものになると思うのです。ただ、今はその概数で考えても、純粋に増えていっている患者さんをどこで見るのかということの議論がもともとされていない現状があります。その部分に正面から数字を作っていって、ぶつけていくことはやっていかないといけないと思います。今まではその数字を作ることさえもはばかってきたところがあるし、都道府県で自分の県だけはそれを表に出しますかといったら、なかなかそれも出しきれていない状況があります。
 何年か前に、奈良県がそれを実際に数字を出したら、地域医療計画に従えないという形になって、長い間計画を作れなかったことがあって、そういうことをするはめになってしまいました。それをして解決するのかといったら、なかなかそうでもないという状況があります。その数字は難しい数字ではあるのですけれども出して考えていけるような状況を作っていかないと、現場の進行管理の段階でものすごくひずみが出てくると思います。

○尾形座長 そろそろ時間ですがよろしいですか。

○今村構成員 すみません、先ほどは総論の話で、各論で、この地域医療計画の項目の資料はなかなか素晴らしい資料だと思います。これを見ていて思ったのですけれども、各県が1県も採用していない項目というのは、今後本当に指標として有用なのかを議論する必要があると思うのです。1県も採用しなかった所はどこかという、何かというのはお示しいただきたいと思います。採用していない理由の所をずっと読んでいくと、なるほどなと思う所もたくさんあって、その理由が理にかなっているものは、国から提示するにしては無理があるのだと思いますので、そういうことを取捨選択していくことも必要かと思います。
 全部読んでいくと、都道府県の担当者は、衛生系の自分の所でやっている患者調査とか、人口動態は割と詳しいのですけれども、救急のデータとか、救急車の発動台数のデータは多分詳しくないのです。そんなデータは継続的には取れませんとか、そんなデータがあるはずがありませんと書いてあるのですが、現実には存在していて、継続的に取っていることがたくさんあります。せっかく提示していても、夢のような数字を提示されていると思われている節があって、そこのデータは、このデータをこんなふうにすれば出てくる数字なのだ、ということの説明が十分行きわたっていなかったのかという面もあります。
 この提示する必要のない項目を選んでいくと同時に、不評だった項目がなぜ不評だったかというところを見ていただいて、担当者の誤解によるものは是非解いていく努力をしたほうがいいのではないかと思いました。

○尾形座長 おっしゃるように、これは大変貴重な資料なので、今後是非分析して、いろいろ教訓を引き出したいと思います。予定の時間になりましたので、本日の議論はここまでといたします。事務局から何かありますか。

○久保木医師確保等地域医療対策室長補佐 次回は、都道府県からヒアリングをしたいと考えております。ヒアリングで、話を聴きたい都道府県や、聴きたい内容などがありましたら、都道府県への依頼の参考とさせていただきたいと思いますので、御意見を頂ければと思います。

○尾形座長 次回は、都道府県のヒアリングということですけれども、対象とする都道府県あるいはヒアリングの内容について何か御意見があれば承っておきます。何県ぐらいですか。

○佐々木医師確保等地域医療対策室長 3、4県ぐらいです。

○尾形座長 またお気付きの点があれば事務局の方に言っていただくということでよろしくお願いいたします。

○佐々木医師確保等地域医療対策室長 特にこの都道府県がとか、どの視点・論点からこの都道府県について聴きたいというのも併せてお聞かせいただければ、それを調整したいと思います。

○尾形座長 それでは、よろしくお願いいたします。最後に、事務局から次回の日程について連絡をお願いいたします。

○久保木医師確保等地域医療対策室長補佐 次回第3回は、8月29日(木)の14時からを予定しております。場所は、厚生労働省内の19階の共用第9会議室です。よろしくお願いいたします。

○尾形座長 それでは、本日の研究会はこれにて終了いたします。長時間にわたっての御審議をどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局指導課 医師確保等地域医療対策室
03-5253-1111(内線2557)

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