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2013年7月18日 平成25年度第4回第医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録

○日時

平成25年7月18日(木)10:00〜12:00


○場所

三田共用会議所 1階 講堂
東京都港区三田二丁目1番8号


○議事







     平成25年度 第4回 医道審議会 医師分科会 医師臨床研修部会



                     日時 平成25年7月18日(木)
                       10:00〜
                    場所 三田共用会議所(講堂)

○臨床研修指導官 定刻より若干早いのですが、皆さんお集まりでございますので、ただいまから医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を開催いたします。本日はご多忙のところ、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。繰り返しになりますが、本日、委員の先生方、全員、御出席でございます。また、文部科学省医学教育課からは平子企画官にお越しいただいております。
 なお、事務局に人事異動がございましたのでご紹介させていただきます。医事課長が、田原から北澤に替わってございますが、本日、急遽、別の用務が入った関係で、大変恐縮ですが欠席させていただいております。医師臨床研修推進室長の田村でございます。
○田村医師臨床研修推進室長 田村と申します。よろしくお願いします。
○臨床研修指導官 以降の議事運営につきましては、部会長にお願いいたします。桐野先生、よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 それではいつものとおり、資料の確認をお願いいたします。
○臨床研修指導官 お手数ですが、お手元の資料の御確認をお願いいたします。上から議事次第、委員名簿等です。事務局提出資料1、研究医養成との関係等に関する論点です。事務局提出資料2、各論点に係る参考資料の概要です。続きまして事務局提出資料3、横向きの資料ですが関係団体等からの要望(提案)の概要です。事務局提出書類4は、今後のスケジュールです。
 なお、いつものとおり先生方には机上にブルーの参考資料集の冊子を置かせていただきます。不足等、ございましたら事務局にお申し付けください。
 部会長、引き続きよろしくお願いいたします。
○桐野部会長 それでは議事に入りたいと思います。
 本日の議題は研究医養成との関係について最初に御意見をいただきたいということで、その次に、その他で部会でこれまで十分に議論されていない論点等がございましたら、その点について1つずつできるところまで御意見をいただくようにしていきたいと思いますが、時間がありましたらその他で御意見をいただきたいこととしては、例えば小児科・産科特例プログラム加算の問題、それからもうひとつは、全体の研修期間2年間、これらは意見も、もう出ているとも言えますけれども、もう一度、ちょっと御意見をいただいておいたほうがいいんじゃないかということです。
 その他、まだ4点ほど、いよいよ報告書をまとめる前に論議していただいたほうがいいかなと思うこともありますが、時間の関係もありますので、その順番でお願いをしたいと思います。
 それでは議題1の研究医養成との関係等について、事務局のほうからまず、資料の説明をお願いします。
○医師臨床研修専門官 それでは事務局提出資料1を御覧ください。研究医養成との関係等に関する論点ですが、本日御議論賜ります研究医養成等の議題につきましては25ページ目からです。大きくゴシック字で以下、「今回の御議論部分」を書いておりますけれども、その下からが研究医養成との関係等です。研究医養成との関係につきましては、現状として、近年、特に基礎系を中心に大学院に進む医学生の割合が減少しており、将来の基礎系の教員確保や医学研究の推進を懸念する声がある。それから大学の医学部定員について、平成22年度から平成25年度の増員の枠組みとして「研究医枠」が設けられている。
 次の26ページですが、一部の大学では臨床研修期間中に大学院における研究も並行して行うなど研究者の養成に取り組んでいるということがあります。論点としては、臨床研修期間中の大学院における研究についてどう考えるか。続きまして、臨床研修期間中の大学院における研究について、どう考えるか。続きまして、臨床研修期間中は基本理念や到達目標を踏まえ、臨床研修に集中すべきであるという見方がある一方で、希望に応じて早期に研究に従事することが可能となるような弾力的な対応が必要であることについて、どう考えるかがあります。
 この論点につきまして、今まで特に本部会において御意見をいただいてはおりませんが、参考までに臨床研修のワーキンググループにおいて、こちらの明朝体で書いておりますような意見がございました。
 簡単に申し上げますと、一番初めのポツですが臨床研修の基本理念を踏まえ、臨床研修中は臨床研修に集中するべきであり、研修期間中の大学院進学は必ずしも適切ではないのではないか。次のポツですが、必修・選択必修科目を適切に行った上で、選択科目の期間に臨床研修を中心に研究などに触れることを許容してもよいのではないか。また、臨床研修の理念は尊重すべきではあるが、基礎系の研究者の確保も喫緊の課題であり、全ての卒業生が臨床研修に専念するのではなく、希望に応じて早期に研究に従事することが可能となるような弾力的な対応が必要ではないか。また、研究者としてのキャリアパスを考慮した際、大学院入学の時期が他学部の者に比べ医学部出身者が遅れてしまうのは得策ではなく、早期から研究マインドに触れることが可能となるように卒前教育、臨床研修において配慮すべきではないかなどの意見があります。
 続きまして、27ページですが、こちらは関連する医学教育等です。現状としては、医学教育に関しては文部科学省において平成12年度に学生が卒業するまでに最低限履修すべき実践的診療能力、(知識・技能・態度)に関する指針、いわゆるモデル・コア・カリキュラムが定められ、平成19年度及び平成22年度の改訂を経て、全ての大学において利用されている。また、平成17年度より学生が臨床実習開始前に備えるべき能力を測定する共通の標準的評価試験である共用試験(CBT・OSCE)が全面導入され、全大学において実施されている。また、現状では大部分の大学において臨床実習は5年次から6年次の夏頃まで実施されているものの、実施期間には大きな幅があり、その内容も様々であるが、医学生が診療にチームの一員として参加していく実習を推進するなど、質・量ともに改善していく動きがある。臨床研修修了後の医師の専門研修については、各学科において主体的に取り組まれている。平成23年10月より厚生労働省において、「専門医の在り方に関する検討会」が開催され、臨床研修修了後の医師の専門研修の在り方と地域の安定的確保について議論されている。1点、補足ですが、このときの文章がちょうどこの資料1が、ワーキンググループを取りまとめる今年の2月でして、まだ専門医の検討会が開催中でありましたのでこういう書きぶりになっておるのですが、専門医の検討会は本年4月に取りまとめを行っておりますので、こちら少し、書きぶりが変わることは御承知おきいただきたいと思います。
 また論点としまして、卒前教育におけるモデル・コア・カリキュラム等との連続性の観点から臨床研修の在り方について、どう考えるか。また専門医の在り方に関する検討の方向性を踏まえ、専門研修との連続性の観点から臨床研修の在り方についてどう考えるか。本部会で今までいただいた主な御意見ですが、現在は医学部でのCBT国家試験及び臨床研修の到達目標の内容が同じで、ある意味、同じ評価が3回行われている。卒前教育との連動、臨床研修後の生涯教育との連動についても議論が必要ではないか。また大学の麻酔科での教育も学生と初期研修医と後期研修医と同じことをするというのが現実であり、もう少し工夫ができるのではないか。研修医の将来へのキャリアへの円滑な接続を図るため、卒前・卒後のシームレスな医師養成を目指し、医学部教育を更に充実させ、募集定員及び研修病院の在り方を見直す必要がある。現在は卒後に一度切れてしまうため、大学病院から地域へ医師派遣し、養成していくという循環型がいいのではないか。国家試験改革は必要であるが、医師として知識を持っておく必要があり、臨床実習は重要であるが、その知識のレベルを落とすと医療のレベルも落ちていくことにならないか、という意見があります。
 また最後、28ページですが、医学部4年終了時に試験を課し、何らかの資格を与えた上で5、6年次に診療参加型臨床実習を行う。6年次の国家試験は5、6年次の実習で習得した医学的知識や技能に基づいた適切な臨床推論を行えるかを評価するものとしてはどうかという意見をいただいています。
 またワーキングでも、かなりこちらの議論もありますので、参考までに意見を下に付しています。
 続きまして、事務局提出資料2ですが、この両面の1枚紙に、臨床研修ワーキンググループの論点整理の参考資料で、本日も紙ファイルの中に参考資料を入れておりますけれども、本日の議題の研修医の養成や医学教育等に関係した部分について、主な調査結果等の概要をまとめさせていただいています。まず、研究医養成との関係につきましては、基礎系の大学院博士課程入学者に占める医師免許取得者の割合が低下している。こちらはちなみに紙ファイルのそれぞれにページ番号を付しておりますので適宜、御参照いただければと思いますが、また、専門医取得への志向に比べ博士号の取得の志向は低調である。また、研究医を目指す学生が、学部から大学院へ途切れなく進むことができるよう、各大学において研究医養成のための取組が進められている。また、医師免許を持つ基礎医学研究者の減少等に対応するために平成22年度から、今、医学部は4年生になっておりますけれども、研究医枠として大学の入学定員の増員を実施している。各大学では、奨学金や学部、大学院を一貫したコースの設定などを通して研究者の養成に取り組んでいることがあります。また、関連する医学教育ですが、学生が卒業までに最低限履修すべき教育内容をまとめた医学教育モデル・コア・カリキュラムについて現在では全ての大学で利用されている。学生が臨床実習開始前に備えるべき能力は、能力を測定する共通の標準的評価試験である共用試験は全大学において実施されている。大半の大学において共用試験は進級要件として利用しているが、合格基準は大学により異なることが課題である。卒業前OSCEを実施する大学も増加する傾向であり、現在、半数以上の大学が卒業前に実施しており、全体の4分の1程度が卒業認定に用いている。臨床実習を5、6年次に実施する病院が多いが、臨床実習の実施週数には大きな幅がある。学生が診療に参加する診療参加型実習、学外の病院での実習など、臨床実習の内容の充実が課題である。全ての大学で診療参加型臨床実習が行われているが、国際的な質保証の養成も踏まえつつ、質的により充実した実習を実施していくことが課題となっている。各大学で地域医療に関する講座等を活用し、地域医療に関する教育が行われている。最後に、専門医の質を高め良質な医療を提供されることを目的に、今後新たな専門医の仕組みが構築され、学会から独立した中立的な第三者機関により、専門医の認定や養成プログラムの評価認定を統一的に行う必要があるということをまとめています。
 また本日、議題その他で、全体的な議論をまた賜ることもありますので、前回出た御意見を中心に少し御説明をさせていただきます。前回の御意見は地域医療の関係を中心にいくつか議題について御議論をいただいたところですが、13ページは、各都道府県、それから全自病や東京医科歯科大学の院長先生にお越しいただきヒアリングなどを行ったところですが、募集定員の設定についての意見をいただいています。13ページの下線を付しているところをちょっと読み上げますと、地域によっては激変緩和措置を廃止した場合の影響が大きい。例えば、京都府では必修化前と比べ、研修数が51%も減少する。大学病院は県内外に多くの医師を派遣しており、激変緩和措置の廃止により、募集定員が減ると、これらの医師派遣能力が低下し、地域医療に影響が出るため、現行の医師派遣加算の算定方法の見直しが必要ではないか。特に都市部の大学では県外や医師不足地域も含め、多数の医師派遣を行っており、募集定員の設定に際してはこのようなことへの再評価が必要ではないか。激変緩和措置の廃止により研修医数が減ることになると、大学の活性化に影響し、未来を担う医療者や医学者、国際的な研究者のレベルを保つことが難しくなるため、特に国際的な医学研究を行う大学の定員には何らかの配慮が必要ではないか。医師不足の県では様々な取組を行っており、例えば大学の県内定着枠やいわゆる地域枠なども含め、今後、県内で臨床研修を開始する者が増加することが見込まれることから、地域に配慮した募集定員の設定が必要ではないか。都市部の大学病院は地方出身者より都市部出身者の割合が多い一方で、研修の一環として研修医を県外や医師不足地域の協力病院へ送り出しており、このような取組への配慮も必要ではないかという御意見をいただいています。
 また15ページにつきましては地域枠への対応への御意見をいただいていますので御紹介させていただきます。下線を付してあるところで、いわゆる地域枠に配慮した募集定員の設定、特に多数の地域枠学生が当該地域で確実に研修を行うことができるように制度設計が必要ではないか。またいわゆる地域枠は各都道府県がそれぞれ独自のルールを設定しているため臨床研修制度の中で全国統一の取り扱いを行うことは困難ではないか、大学医学部の入学定員は地域枠を中心に増加しており、今後、相当数の学生が卒業してくるが、実際の具体的な影響は現時点では不明であるため、随時、その評価を検証し、臨床研修制度との関係も検討していくこととしてはどうかという御意見をいただいています。
 それから16ページですが、前回は処遇等の確保についての御議論を賜りましたが、そちらで出ました意見では研修医の処遇について、臨床研修制度上で具体的に給与を制限することは難しいと思うが、例えば現在、一定額以上の病院へは補助金を一部削減する仕組みがあり、これをもう少し厳しくしてはどうかという意見をいただいています。
 18ページで、臨床研修病院群の形成ですが、大学と臨床研修病院は臨床研修とそれに続く後期研修に関してプログラムを共有できる体制、臨床と研究、臨床と教育を行き来できるような体制を作れるようにすべき。今後、高齢化がますます進み、限られた医療資源を効率的に運用することや、たとえ専門医であっても広い視野を持って関連分野を理解することなどが求められるため、臨床研修の段階から大学病院、地域の中核病院、診療所など様々な経験をすることが非常に重要ではないか。現在はおよそ4分の1程度の医師は大学と関わらず、個人で専門研修を行っていると予想され、また現在の4割が女性医師ということに鑑みれば、個人の立場で一貫してキャリアをやり続けていくことが非常に難しいと思われ、そのためにも病院群の形成が重要であり、大学と地域病院が協力していくことを促す仕組みが必要ではないか。臨床研修病院の中には、例えば大学から指導医を派遣してもらわず、研修医も非入局で採用しながらも大学と情報共有をはじめ、協調してうまくやってやっている病院もあるという御意見をいただいています。
 続きまして20ページで、これは都道府県の役割ですが、一番上にあるとおり、現在でも都道府県には募集定員を調整する役割があるが、実際には大学をはじめ、関係者の信頼関係が十分にないと機能しないため、もう少しその役割を担保する仕組みが必要ないか、地域枠をはじめ、各地域の実情は都道府県において様々なため、現在の地域協議会の権限を強化し、県内における調整機能を高める必要があるのではないかの意見をいただいています。
 続きまして22ページの中断や再開、終了です。前回は妊娠、出産、育児、それからメンタルヘルスに関する御議論を賜ったところですが、中断に関して一般の疾病等と妊娠、出産は別の取り扱いとすべきではないか、また育児のための保育所の問題で中断していることがあるとすればサポート体制が必要ではないか、メンタルヘルスに関して、プログラム責任者をはじめとしたフォロー体制が必要であり、その責務を明示し、その責務をイメージし、そのための講習会等の受講を促す仕組みが必要ではないか。メンタルヘルス等での中断が起こった場合に各地域でその後フォローする病院を指定しておくなどの仕組み作りが必要ではないか等の意見をいただいています。
 以上になります。
○桐野部会長 割に多岐にわたって、まだ検討すべき残っている問題を説明いただきましたけれども、まず研究医養成との関係を議論していただきたいと思います。これについては今までにも、幾つか御意見があったと思います。今日の説明で出てきたいろいろな意見に関して、いかがでしょうか。
○山下委員 基本的にコンセプトを決めなければいけないと思います。これには技術論としては、いろいろなものがあると思うのです。今まで日本の基礎医学の研究が世界に冠たるものは、山中先生のノーベル賞でも分かるように、臨床医が基礎研究をやってきたことによります。もちろん基礎に直接入って素晴らしい方もいらっしゃるとは思いますが、かなりの有名な、世界を本当にリードしているような基礎医学者が臨床医から行ったということ、日本のphysician scientistが世界の基礎医学研究をリードしたということに対応しなければならないと思います。
 今は何が問題かというと、医学部などの方で基礎医学をやっていらっしゃる方はそこそこいらっしゃるのですけれども、MDが行かないというのが問題です。それをどうするかが問題で、それが大きな問題になっているということを御認識いただきたいのです。最初から基礎教育課程の中でアーリーエクスポージャーをして、研究枠を作っていくということも非常にいいことですし、それは絶対やらなければいけないことですが、今までは大学病院の医局に入って講座に入って、いわゆる臨床医学のモチベーション、テーマを持って基礎に行ってものすごい研究をして、そのまま基礎を続けたいという、山中先生や東大の宮園医学部長のような人たちが、世界をリードしてきたのです。今はそれが減っているということを御認識いただきたい。
 そのためにはどうするか。こういうことも確かですけれども、その後に全部つながってくるので、言い出したら大変なことになるのですが、とにかく臨床研修というのを切り出して、それをどうこうするという問題ではなくて、学士レベルの卒前の教育、臨床教育をものすごく充実させて、初期の臨床研修でやることはほとんどやってしまって、卒後は希望に応じてそれぞれの専門領域のマッチングをする、というシステムを作らなければいけないというのが1つです。
 もう1つは、やはり研究マインドを持つということです。それもある時期に研究マインドを持ってもしようがない。ずっと持ち続けるためのモチベーションというのは、前から小川彰先生がおっしゃっているように、大学病院を中心として高度な医学をやりながら、病院で教育をしていくということです。そういうシステムを作らない限り、日本がヨーロッパにもアメリカにも絶対に負けないようなphysician scientistというシステムを持っていたのに、今は崩壊しつつある。そこを絶対に考えていただきたい。
 ですから、1つは大学院とか何とかというよりも、そういうものは全部そのシステムの中に入ってしまえば、大学病院を中心としたネットワークの中で幾らでも吸収できます。初期臨床研修をやりながら研究もやれるし、高度な医療もやれるわけです。ですから、そういうシステムの中に入れていただきたい。もう1つは、自由度をもう少し大きくしていただきたい。この後にまた議論が出てくると思いますが、2年という期間は設定しても、その中で自由度をなるべくどんどんやっていく。2年間、ローテーションをやりたい人はどんどんやっていただければいいし、地域医療に行きたい人はどんどんやっていただければいい。研究医に全部が行く必要はないわけです。先生方のように行政にいく方もいる、基礎研究をやる方もいる、臨床研修をやる方もいる、地域医療をやる方もいる。そういういろいろなバリエーションを、その制度の中に包括できるようなシステムを作っていただきたい。
 期間を短くして、初期の学士教育を充実して研究医を養成するシステムを作りながら、小川先生がおっしゃるような、大学病院を中心としたシステムを加味していただきたいわけです。そういうことで整合性が出て、いろいろな社会的な要望に対応できるような人材を育てていけるシステムにしていただきたい。これがあるからこれを作る、これがあるからこれを作るというシステムにはしていただきたくないということです。
○桐野部会長 神野先生の前に確認したい。先生のお考えは、なるべく早く医師を養成してしまって、基礎医学志望者はなるべく早く基礎医学に送ったほうがいいというのが1つですか。
○山下委員 いや、それは個々であると思います。
○桐野部会長 それから、もう1つの自由度を上げるということについては、既にある程度の許容度が広がっているわけですし、各大学とも、かなりいろいろな工夫をする余地が広がっているのです。しかし、これでもまだ足りないということですか。
○山下委員 足りないと思います。
○神野委員 前にもこの会で申し上げたと思うのですけれども、日本の成長戦略のひとつとして医療分野をあげるならば、これは文科省マターかもしれませんが、基礎医学に行っている方に対する処遇をきちんと改善するということを、国家戦略としてやっていただかないといけないというのが第一です。
 今、山下委員がおっしゃったように、研究医のプログラムという意味では、私は弾力化が多少あってもいいと思います。研究医プログラムという研修プログラムが、大学病院あるいは一般病院も含めてあってもいいのではないかと思います。もう1つは、今コンセプトというお話をされました。現在の2年間の臨床研修のコンセプトは、2年間臨床研修に専念させるというのが、現在のコンセプトです。ですからアルバイトをしてはいけないという話です。「バイトをしてはいけない」と言いながら、一方で社会人大学院があるのだから、大学院で研究しろというのはいかがなものかと。その辺のコンセプトをはっきりしなくてはいけないと思います。もし、その間に日本の今後を憂えて弾力化するならば、研究医プログラムという臨床研修プログラムが、1つあってもいいのではないかと思います。
○桐野部会長 それでは小森先生、河野先生、小川先生ということでお願いします。
○小森委員 26ページのワーキングの一番上のポツですけれども、ワーキングに参加しておられた中で、臨床研修中は臨床研修に集中すべきであって、研修期間中の大学院進学は必ずしも適切ではないのではないかという主張をする委員がいらしたことも事実です。桐野委員長が、既に様々な自由度を上げることで合意していると言われて、基本的に私たちもそのように思っております。たまたま今日、横倉日本医師会会長と山中伸弥教授の対談を3誌に掲載させていただきました。山中伸弥先生は現在の臨床研修制度を評価しつつも、臨床研修を終えた後に研究の道に入るのは明らかに遅いということを、鋭く指摘しておられました。研究、つまり真理を探求しようとする内発的な動機というのは、外で決められた枠組みから起こってくることではなくて、その方々御自身のキャリアの中で突然起こってくることです。そういったことを大切にしてあげるのが、やはり研究という意味では重要です。そういったときにある選択がそこでできるようにしてあげることが、非常に重要です。やはりMDが落ちているというのは、極めて重大な問題だと認識しています。
○河野委員 今までの先生方の御意見は全くそのとおりですが、研究医の育成というのは、日本においてはもう非常に危機的な状況と言っていいくらいです。臨床研修制度が研究医の育成に、かなり大きな影響を与えているというのも事実だと思います。私の回りを見ても、学士入学で入ってくる方なども研修制度に入らざるを得ない。実際にうちの小児科でも、かなり優秀で他大学の理学部を卒業した後、うちの大学に来たのですけれども、臨床研修制度の間に、研究に対するマインドが薄れた印象があります。やはり医療の現場に立ちますと、医師になりたいという意志がある限りにおいて、その興味というのは患者を診ることで、それに対する魅力というのも当然です。そうしますと、タイミングも含めてリサーチマインドというものの指導も、別にしっかり育成していくことが必要だろう。研修制度の自由度というのは、前に比べて大分高まっておりますけれども、現状においては研修制度が医師のリサーチャーの育成という面から言うと、まだまだ十分ではなく、かつ、1つの要因として働いていることは事実だろうと思っています。
○小川委員 先ほど山下先生がお話になったことが全てだと思うのです。要するに、日本の生命科学医療の基礎を固めてきてくれたのは、臨床系のモチベーションを持ち、臨床の問題点を持って基礎に行って研究して来た方々に支えられてきたわけです。この間、河野先生が東京大学の医学部部長からいただいたデータでは、東京大学ですら、卒業してすぐに基礎に行く方はゼロです。これは由々しき問題です。実際にそれで日本の研究力が落ちているというデータも、今年の文部科学省の科学技術白書に出ております。臨床系の論文数が10年前までアメリカに次いで2位だったのが、現在ではもう5位です。中国に大いに遅れを取っているという状況にまで行っているわけです。
 臨床研修制度のどこに問題があるかというと、研究に非常に興味を持っている方で、将来、助教、講師、準教授、そして教授になっていける方はよろしいのですけれども、全員が全員そうとは限らない。そうすると、基礎の研究者であったとしても途中で方針転換をして、病院に勤めて開業したい方々もいらっしゃるわけです。その中で臨床研修医制度の一番の根幹にあるのは、臨床研修を修了していなければ院長先生になれないということです。院長先生になれないということは、開業できないということです。開業も一人院長ですから。そういう意味では研究医の問題を考えるときに、本当に臨床研修制度全体の根幹に関わる問題から議論をしていかなければ解決しません。
 もう1つは、事務局にお願いしたいことです。今は医師確保総合対策、あるいは研究医医師確保総合対策という中で、研究医という枠が設けられていますが、その実態はどうなっているのですか。今日でなくても結構ですから、実態をちゃんと把握して、部会の委員の方々にオープンにしていただきたいと思います。
○中島委員 最初に山下先生がおっしゃった、コンセプトをはっきりしましょうということについてです。山中先生においても、もともとは整形外科をやっていたのですが、余りに不器用でモノにならなかったから基礎研究を始めたということです。ですから必ずしも卒業してすぐに初期臨床研修みたいに、各科を回ってからということではないのです。そこを押さえておいていただきたいというのが1つです。
 もう1つは、大学側の組織の柔軟化をまずやられないといけません。どのようなルートを通って、どういうように研究を始めても、ちゃんと基礎の教授になれますというルートを開けることがまず必要です。それをやらないでおいて、大学の基礎研の学科の下から順番に上がっていってということをやっていたら、いつまで経っても良くならないと思います。
 それから、生命科学の基礎を固めたのは、正に臨床マインドを持った基礎研究者だというのは正しいと思うのですけれども、それはいろいろな形で出てくるでしょう。このいろいろな形で出てくる人たちを、ちゃんとした立場に置いてあげられるようなシステムを作る。これが私は一番のコンセプトだと思います。ですから大学の考えているやり方について柔軟性を持たせるかどうかということは、もっと広い視野で見ないといけないと思っております。
○吉岡委員 大学の立場もありますし、文部科学省から直接御発言がないので申し上げます。先ほど御指摘のように、研究医枠で入学した学生はまだ在学中で卒業生は出ていません。これが今どういうように進んでいるのか、今後どう進むのかというのは是非、これから文科省と厚労省できちんと調査をし、経年的にフォローしていただき、我々にも報告いただきたい。これは絶対に必要なことです。
 ここで問題になっているのは、臨床に行っても、基礎に行っても、大学院に進んでも、研究医枠で育てることと医学部全体で研究者をどう育てるかということを、ゴッチャにしてはいけないということです。後のほうの研究者を育てていこうという大きな目的のために、いろいろ試みるけれども、具体的に有効な方策がないので、試策として研究医枠というものが導入されたという経緯だろうと思うのです。ただし、今10数校の大学において研究医枠を行っている中で、いろいろなプログラムがあります。その弱点と利点というものをよく理解しながら、やっていけばよいのです。これらは1つのトライアルであって、ある程度時間をかけて見ないと、いけないと思っています。
 24年度から奈良医大が公立大学で初めて研究医枠を申請・承認の上、実施しています。多くの大学の研究医枠は、入学の時点で採用することになっています。ですから18歳、19歳で、まだ医学の内容も知らない世代が「研究医になります」といっても、極めて難しいというのが実態だと思います。多分、文科省におかれても、この人たちが本当にそのまま卒業し、そのまま研究医になるのかという若干の危惧をお持ちではないかと思います。
 私どものケースは学士入学ではないのです。学士だとtoo lateなのです。基本的には生命医科や理工系の在学生たちで医学部に転科希望者を、人体解剖が始まる直前(2学年後半)に奈良医大に編入学する制度を採りました。まだ私どもも軽々には言えませんけれども、平成24, 25年度で2学年分の4人が入ってきます。極めて優秀で、極めてモチベーションが高く、奈良医大の学生の意識改革が起こるぐらいの感じがしています。彼らは学生中にもちろん基礎医学教室に出入りして研究を開始しますが、2年間の臨床研修については自由です。学生時代から研究が始まっていますから、恐らく大学院は3年間で終わるでしょう。
 もう1つ大事なことは、その大学院は、奈良医大、早稲田大学と関西医大の3つの大学院から選べるわけです。そしてこれを修了した人たちは、間違いなく基礎医学系・医理工系の研究助教という身分で採用することを約束しているのです。恐らくそれぞれの大学で工夫されたプログラムが出ているので、期待をしてこれを育てていくことが求められます。10〜20数校でやり出しており、全国的にそれらを取り入れてやっていくのが、具体的には最も可能性が高いと考えます。研究枠を持った大学の立場として、発言をいたしました。
○清水委員 私も大学を出てからもう10何年も経つのですけれども、リサーチマインドを維持するのも大切ですし、臨床を続けていくものとしても大切だというのは理解できますが、私は、生命科学や基礎研究をやっている研究者と臨床制度とは、やはり分けて考えるべきではないかと思っています。91ページの下側の資料を見ていただくと、基礎医学系大学院の延び率が下がり始めているといったデータが、1988年からしかないので、その前はどうかは分かりませんが、1988年から右肩下がりで下がり続けているわけです。それは2004年から、急に下がっているわけではないと思うのです。
 ということは、それまでの間に基礎研究、生命科学研究を大学や大学院の中でやっていく、基礎研究施設の中でやっていくことの困難さというものが、日本の医学のシステムの中にあったのではないでしょうか。それが改善されていないからだったと思います。例えば、臨床をやっていればできることが基礎医学だとできないということがあります。正に処遇などの問題もあると思います。そういうものを別枠で確保しなければいけないのではないかと思っています。
 私はちゃんとした研究者ではないので、生命科学や基礎研究をやっていらっしゃる方が、2年間の臨床研修の後ではtoo lateであるという意味がよく分からないのです。臨床研修制度を2年間としている理念というものに立ち返りますと、国民が医師というライセンスを与えられている者に等しく持っていてほしい技能や能力を、その2年間に修得してほしいと思っているからこそ、こういう制度ができたと思うのです。それなら研究者である人とそうでない人と違っているということは、私はないのではないかと思います。もし、それが担保できるシステムが作れるのであれば、それは在り得るかもしれませんけれども、基礎研究を始めるにはtoo lateであるから仕組みを変えなければいけないというのは、どうにも次元がことなる問題ではないかと思いましたので発言いたしました。
○山下委員 コンセプトの議論をここで深めていくべきだと思いますので、再度発言させていただきます。小川先生がおっしゃったように、基礎研究者と臨床医というのを、きれいに二分することはできないのです。ある時期に研究をやって、小森先生がおっしゃったように、突然研究をしたくなって行ってしまう、自分はもうこれでいいかなと思って臨床医になる、地域の医療に頑張るという人もいます。要するに、行ったり来たりできるものなのです。ですから、そういうことが可能になるようなシステムを作ってくださいということです。
 もう1つは、臨床医は等しく能力を高めておくというのは最も大事なことです。それは大学の卒前でかなりやれます。ですから、そこでかなりのことをやりましょうと。コア・カリキュラムや国家試験の項目と、現時点での初期臨床研修の到達目標というのは、かなりの部分で合致しています。ですから侵襲的な検査などをある程度初期臨床研修の中でやっているというのは、非常に国民的なコンセンサスとして必要になるかもしれませんけれども、かなりのものが卒前でできます。アメリカでは実際にそういうようにやっているわけです。医学校のうちに全部やって、脳外科へ行ったり眼科に行ったりということで、アメリカのマッチングは専門医を選ぶマッチングなのです。
 もう1つは河野先生がおっしゃったように、やはり早いうちに研究に目覚めさせる、その心が折れないようにするというのは非常に大事なことです。そのためにはどういうことをしなければいけないかというと、「研究しろ、研究しろ」と言っても嫌な人はいっぱいいます。それを「してください」と言っているわけではなくて、きちんとした医師としての勉強をし、医師国家試験を通った時点で自分の専門を持って、それをなるべく早くにやらなければ。そこからスタートする。それに必要な勉強というのは、そこからどんどんやっていく。例えば、私は眼科ですけれども、眼科だけをやっているわけではなくて、糖尿のほうも知らなくてはいけないし、生命倫理も知らなければいけないわけですから、足りなければそれを勉強すればいいのです。そういう広がりの中で勉強して、眼科のある1つのことがだんだんフォーカスしていける。人によってはそれが後になったり先になったりするかもしれない。そういうシステムを作ってくださいと言っているのです。
 研究医枠を作るというのも絶対に否定はしませんけれども、それのみで日本の研究のレベルが上がったり、研究医が増えてくるということは、私はあり得ないと思います。今までそうではなかったのですから。我々が経験しているのは、臨床医が一生懸命勉強をしてある日突然、「これをやらなければこの病気は治らない」と言って帰ってくる。正に小森先生がおっしゃったように、突然研究したくなるということです。そういうように突然研究をしたいときに、自分はやれるのだということができるシステムを作ってくださいというのが1つです。
 もう1つだけ言います。大学のフレキシビリティーはものすごく上がっています。各大学でいろいろ工夫しておられます。我々の大学でも総合医学教育センターというものを作って、いつどのような形でも基礎研究の中に入って、大学院の研究が受けられるようになっていますし、講座が分からない、講座を移さないで研究したいということであれば、それを可能にするようなシステムを作っています。要するに、フレキシビリティーがものすごく上がっているわけです。それをどんどん使ってくださいと。使える状況に、どの大学もみんな工夫しています。奈良医大の工夫もお示しになったわけですから。それが使えるような状況を作ってくださいということです。
○清水委員 研究のことから離れてしまうのですけれども、卒前に今の臨床研修医のレベルまで達することは可能だという、今の山下先生の御意見に対してです。私は、それは違うのではないかと思っています。やはり免許を持って責任があってやることと、そうでないことの差があると思うのです。東北大学の金塚先生がそのテーマのリサーチをされています。これは文科省のデータだったと思うのですけれども、今日はそれが手元にないので、探して次回にお出しできるかと思います。卒前の臨床実習が全然役に立たないというわけではないのです。ちゃんとした実習を積めば、卒後臨床研修の質をもっと高くすることはできると思いますが、卒前に全部同じことができるというのは違うのではないかと思っています。
○小川委員 そのことに関して反論したいのです。先生、もうそういう時代ではないのですよ。大学も昔は「診療参加型の教育にしましょう」と言って一生懸命やってきたけれども、なかなかうまくできなくて見学型にしかならなかった。現在は全国医学部長病院長会議の中で、CBTという知識の部分を組み合わせた方々に関して、スチューデント・ドクターというデグリーを与えて、最終的にはこれを国家資格にしていただきたいと思っています。そのようにしてやれば、今、初期臨床研修制度の中でやっているようなままごとのようなことは、ほとんど大学の教育の中に組み込まれることは可能です。日本の国がこれだけ苦しい思いをしているのに、なぜ皆さんがどんどんどんどんデグリーを頂くのを遅く遅く遅く遅くして、日本の国の力にならないような方向に議論をするのかというのが、私は分からないのです。
 大学にもっとフレキシビリティーを持ってもらいたいという、中島先生の話について、山下先生は「フレキシビリティーはあります」とおっしゃいました。学生に対しても基礎配属までやっているわけですから、そういう意味ではかなりフレキシビリティーはあるわけです。ただ、やはり臨床研修制度があって、これを修了しないと院長先生になれない、開業できないというのは、基礎を目指す方々にとってはものすごくデメリットなのです。自分が教授になれれば、それは大変結構だけれども、ものすごく頑張ったけれども、刀折れ矢尽きて講師のままで終わりそうだ、あるいは研究のアイデアが尽きたということであれば、臨床のほうに戻りたいという方々もいらっしゃるわけです。そういう者に対して院長先生になれないということは、大変なデメリットなのです。
 例えば、大学の中で基礎配属をやって生命科学にものすごい興味を持って、あるいはiPS細胞にものすごい興味を持って、そこをやりたいと思っている学生が卒業して、「やっぱり臨床研修制度に乗って2年間はやりたくないよな」と言って、2年間そちらのほうでぼーっとしているうちに、じゃあ、もうiPSはいいわということになってしまうわけです。そういうことがあるということを重々お考えいただきたいと思っています。
 もう1つは26ページの論点の「ワーキンググループでの主な意見」の1ポツ目です。これは私はものすごく腹立たしいです。「臨床研修の基本理念を踏まえ集中すべきであり、臨床研修期間中の大学院進学は必ずしも適切ではない」と、今時言っている委員がいるということ自体が驚きです。実は平成16年に臨床研修制度が始まるときに、厚生労働省と大論争をしました。それは社会人大学院を作ってもいいかということでした。厚生労働省は「駄目」と言ったのです。「なんで駄目なんですか」と言ったら、要するにこの項目なのです。臨床研修中は臨床研修に集中すべきだから、そちらをやらせて、研究などとんでもないという話なのです。
 ところが厚生労働省は別な言葉で、臨床研修医の就業時間を9時〜5時であると明確に言ったわけです。そうすると、5時になって駅前のノバに行って英語を勉強するのもいいでしょう。駅前のフィットネスクラブに行って水泳をやるのもいいでしょう。銀座に行って酒を飲むのもいいでしょう。しかし銀座に行って酒を飲むのだったら、夜中に大学に来て基礎の研究室に入り浸って勉強してもらったほうがレベルも高いし、質のいい医者ができるに決まっています。そういうことで一応お認めいただいて、今は一部の大学で社会人大学院を作って、そういうことをやっているわけです。これはある意味、大学がサービスをしてフレキシビリティーを増やしているということです。かつ、ややこしい法律と規則の隙間をぬって、いろいろなアイデアを駆使してやっていることですから、これに対して文句を言われたのでは立つ瀬がないです。
○桐野部会長 いろいろな議論が出ているのですけれども、基礎医学の研究者の問題はそれほど単純ではないのです。例えば、私がいた東大では1980年代から、もう既に減っているのです。初期臨床研修制度の開始自体は直接は関係ありません。その頃言われていたことは、1980年代の後半に基礎医学と臨床医学は離婚同居状態になったということです。その前の時代、大学にいる臨床医は多くの場合、基礎医学にも行って勉強をして、場合によってはそこで論文を書いて博士として認めてもらったりしていたのです。それは『白い巨塔』の財前と里見が、一緒に机を並べたのと同じです。ただ、1980年代後半に分子生物学が主流になると、基礎医学の方法論上の独占がなくなってしまったので、内科系を中心に、もう基礎には行かなくてもいいという風潮がかなり強くなって、基礎医学は基礎医学、臨床は臨床という感じに分かれてしまったというのが1つです。
 もう1つは、基礎医学系の処遇については、ほとんど改善されていません。分子生物学的なことを非常に強力に推進する教室では労働集約的になりますので、ポジションについては、教室に50人も若手がいることになります。その50人からプロモーションをするというのは、大変なコンペティションなわけです。そういうコンペティションに勝たないといけないというし烈なことになってしまう。かつ、それで任用が任期制、任期制になってしまったこともあって、非常につらい立場に置かれるのです。
 山下先生が言われたように、昔は比較的のんびりした気持ちで基礎医学に行って、もちろん基礎医学でモノになろうという意図が最初からあったわけでなく、勉強しているうちに面白くなって、それに没頭しているうちにミイラ取りがミイラになってしまったような感じになっていた。そういう流れに関して言えば昔の状況は、優れた基礎医学者を作るシステムとしては大変優れていると思うのです。
 ただ、一方で臨床研修制度というのは、極めて例外的な優れた人を作ることを目指したものでも何でもなく、臨床医として必要な基礎的な、基本的な診療能力を獲得させて、底上げをきちんとしようということです。臨床はそれだけレベルが上がってきているので、それをきちんとやっておかないと、今後医療として成立しませんよという考えだったと思うのです。
 その2つを急にうまくやれと言われても、矛盾していますから難しいですよね。ですから大学における基礎医学をやる人の教育については、本当にもうちょっと考えないと、このまま山中伸弥を生めないどころではなくて、担当する教育者が得られない。アメリカも同様の状況になっています。特に解剖などは教育者を得られないのです。しかしアメリカは輸入すればいいのです。インドから優秀な解剖学者がやって来ます。日本はそんなことができないから、やはり自分で養成していかなければいけない。そういう意味でこの部会だけではできないけれども、研究者の養成と初期臨床研修制度の底上げ的な制度というのは、違うシステムで保証していかないと、とてもではないけれども。
○山下委員 私もその議論に全く反対しないし、正にそのとおりだと思うのです。清水先生の御質問の金森教授のことですが、私は「ここで研究医のことを言っているから、臨床医を作るという議論から少し懸け離れた議論をしている」ように聞こえますが、それは違いますと言いたいのです。私が山形に行って何が大事だったかというと、「地域にきちんとした臨床がやれる臨床医を早くたくさんちょうだい」と言われていることです。ということは、初期臨床研修は学生のうちにやって、内科医、外科医、精神科医など、それぞれの分野できちんとしたことができるような医師をいっぱい作って、地域に優れた臨床医を送り出すシステムに変えてくださいと言っているのです。同じことです。その選択肢の中に研究医が1つ入っていればいいということなのです。
 いろいろな研修の仕方がありますけれども、今の法体系の中で、医行為がどこまで許されるかということは、かなりグレーな部分があります。ですから文科省と厚労省にここにいていただくわけですから、それはちゃんとしてくださいと。研修医としてここまではやってもいいけれども、ここから先は駄目というように、ちゃんと線を引いてくださいと言っているのです。ここから線を引いてここから駄目だったら、それは初期臨床研修のこの中に入れてくれればいい。ただ、それは全部のところで、5年、6年と参加型臨床と同じことをやらなくてもいいでしょう。「促成栽培をします」と言っているわけではなくて、アメリカでもやれることが、日本の優秀な学生にできないわけがないのですから、学生のうちにちゃんとできることは全部勉強させて、総合力を付けて、卒業したら臨床でも基礎でも何でもやろうというシステムをやって、社会に貢献しましょうと言っているわけです。
 もう1つは、桐野先生もおっしゃったように、時代がものすごく変わりました。医療というのはやれること、やらなければいけないことがどんどん増えてきて、難しいことがいっぱい増えてきました。また、病院の経営ということも考える時代になりました。そうすると、そういうルーチンの中で、臨床医の中でなかなか仕事ができなくなっているのは確かです。基礎研究に行って研究をメインにしようといったときに、そこに必ず穴が開きます。ですから、そういうことをちゃんとサポートできるようなシステムを作らないと、昔に戻せというのは、絶対に無理だと思います。それをきちんとサポートするようなシステムを作ってくださいということです。
 そのためには初期臨床研修の期間の自由度を増せば、そこで人は確実に増えるわけです。要するに初期臨床研修に張り付けている人間が、いろいろな分野に散らばりますから、そういうことをやれば、少なくとも短期的にはいいかもしれません。長期的には戦略として臨床医を育てる、基礎研究者を育てる、社会学者を育てる、行政官を育てるというのは、非常に幅広いシステムを作らなければいけないと思うのです。
○中島委員 ほとんど部会長がお話しくださったので、言うことはないのですが、1つだけ言っておきたいのは、大学のフレキシビリティーが格段に上がってきたということは、私は全く否定していません。岡山を見ていても随分上がっています。ですが、これは卒後医師臨床研修が始まってから始まったことです。そこが問題なのです。それ以前からそういう努力が積み重ねられていないと駄目だったのですが、できていなかった。
 もう1つは、現在、大学の変化というのは発展途上である。ですから、この発展の仕方をきちんと見極めた上でどうすべきかを考えるべきであって、現在、このことについて私は余り深刻に考える必要はないと思います。
○神野委員 先ほど来のフレキシビリティーで中島委員がおっしゃった話ですが、今、将来研修医、研究医になる方は大学にいなければいけないのかという話があって、それこそアメリカの話をいうならば、いわゆる市中病院で、ずっと臨床をやっていて、研究マインドを持った時点で、大学が受け入れていただけるというシステムがきちんとある。ただ、今、実際に研究医の方々で大学院教育から行く方、それから、大学の基礎系から行く方がいらっしゃるけれども、ずっと一般病院でそれなりにやっていて、10年、15年選手になって、研究マインドを持ってきたので、それについて探究したいという方には、行けるかといったら、まだまだ日本では行けないのではないかと思うので、その辺りのところも、是非、大学のほうで変わっていただくような仕組みが必要で。もし、あるのならばごめんなさい。しかし、いろいろな人の実例を頭に浮かべるのですが、なかなか難しいのかなと。もちろん山中先生はそうかもしれませんが。山中先生も大学院教育ですよね。
○吉岡委員 大学の立場から言いますと、研究を目指す人たちが卒後10年〜15年後から研究を開始するのではtoo lateです。ですから、研究者として本当に勝負する人は早く開始しなければならない。例外を除いてこれは絶対的だと思います。
 2つ目は、どの時期からでも研究医になれるというルートは大事だと思います。その人たちを、80大学のほとんどはvery welcomeなのです。
○河野委員 繰り返しになってしまうのですが、そのとおりです。ただ、先ほどからの発言の中に1つだけ気になるのは、今、研究レベルが非常に高くなっています、外の病院で何年間やっていて、研究してみようかなというので、研究を始めるというのは、現実的には大変でしょうね。昔よりは、研究での専門性、技術、考え方は進歩しています一方で、大学側は、それを含めてでも受け入れ体制はできている。今、研究医というのは大学にとって極めて重要なというか、不足していますから、どんな形にせよ受け入れますし。
 それから、実際にもう1つ、先ほど中島先生のお話を勘違いしていなければ、とにかく基礎の教授になるのも、今は基礎の教室から教授になる人が多くなくなってきているないのではないかと思います。ただ、私が危惧するのは、臨床系から基礎の教授になっていた人たちの時代というのは、臨床における研究レベルが非常に高かったのです。それが今、どんどん落ちてきていますから、そういうような将来の教員、基礎のリーダーとなる人のソースが基礎系、臨床系含めて枯渇してきていることも非常に問題です。ですから、早急に体制を整えなければならない。
 また、先ほど桐野先生がおっしゃられた研修体制だけでは全然ないと。それはもちろん私もそう思います。ただ、1つのタイミングというのは非常に重要だと、自分のことを振り返っても思うのですが。やはり何らかの基礎研究者を育てるコースを意図的に考える必要があるのではないかとは思います。
○桐野部会長 いかがでしょうか。ここの部会での議論というのは、初期臨床研修制度の枠の中で、研究医の養成をどう考えるかということなのですが、本質的には山下先生がおっしゃったようなところに帰着する問題だろうと思うのです。
 それから、基礎研究者の養成というのは、ではちょっと道を作ろうかと言ったらうまくいく問題でも何でもなくて、合理的に何かこうやればこうなるというものでは全くない。どうなるか分からないというのが基本だと思うのです。そのためには、やはり大学側が相当、研究者の養成(教育者の養成と言ってもいいけれども)に相当苦労しておられるし、今後とも大問題なので、やはりそれに対する配慮というか、そういうものをある程度していかないと、このまま臨床研修制度のみで押していけば日本の医学は安泰であるとまでは言えないような感じもします。  それから、基礎研究者の養成については、どういうことを考えるかというのは、今までの議論では、初期臨床研修制度自体は完結した1つのシステムで、到達目標も定められているので、一応それをやっていただいた上で、それの枠の外で一生懸命頑張って、例えば夜とか、そういうところで頑張ってスタートして、そのあと、初期臨床研修システムが終わったあとで基礎医学に進む、本格的にやるというのもあるのではないかというので、今のところはその考えなのです。ただ、それ以上に、この制度で何かするというのは、とても難しい。それから、例えば小川先生にもちょっと伺いたいことで、私もどうかなとは思うのですが、確かに、基礎医学に行って一定の研究をした上で、例えば、お父さんがたまたま病気になってしまって跡を継がなければいけない人が出たとします。ですが、ずっと基礎医学をやってきた。初期臨床研修制度は中途半端になってしまった。今の医学の要求レベルから言えば、その人は、一度中断ということで、少なくとも1年間ぐらいは年上でちょっとやりにくいかもしれないけれども、初期臨床研究制度の後半をもう一遍やるというようなことでは駄目なのですか
○小川委員 いや、先生のおっしゃっているのはそのとおりで、その部分は実は、この制度設計をするときに考えたのです。ですから、今まで、大学を卒業してすぐに臨床研修制度には乗らないで、基礎の講座に配属をして研究をしたいという人は、それでいいのではないかと。それで、例えば10年経って、ある程度めどが立った段階で臨床に帰らなければいけないという段階で、臨床研修制度に乗って2年間やって修了すればいいのではないかということは、議論の中に入ったのです。ところが、実際に、卒業生がそういうシステムを使ったかというと、1人も使っていないと思います。結局は全員、本当は基礎に行きたいと思っている人も、やはりそうなることを考えると、まず、とりあえず臨床研修制度に乗ってやっているうちに、2年間、非常にいい給料で、そして、甘やかされて、その中で基礎の教室に戻っていくのは到底嫌だよと言って、そして、本来であれば基礎に行く数だった人たちが行かなくなってしまったというのが実状なのです。ですから、ここが問題なのです。
○桐野部会長 今の患者側から見た要求レベルからいって、卒業して基礎医学をやってきて、一生懸命頑張ってこられたけれども、いろいろな事情で、また臨床に戻りたいと。私は、そういう事情であるから何らトレーニングなしにやってもいいのだということは、ちょっと許し難い。したがって、そういう考えというのは、大学における単位制みたいなものなのです。単位をこれだけ取ればオーケーだということで、単位をある程度取っていて、それが何年間有効などというものを作っておいて、それで、後半の単位を取ればいいというようなことに帰着するのではないかと思うのです。中断の問題は余りたくさん議論されていないですよね。多分、これは将来の問題で、今、結論までいくのは難しいと思いますが、やはり大学から見れば、研究医の養成は本当に喫緊の課題であるということを、ここで認識したということについて確認することはよいと思うのですが、しかし、現状の初期臨床研修制度を全部バイパスしても、これを終わったことにするということには今のところはならないので、中断というシステムを使うか、それとも、本当に頑張っていただいて、2年間をとにかく修了させて、初期臨床研修制度を修了ということにしていただくように、上手なプログラムを作っていただくかということだと思うのですけれども。これ以上の議論になると、初期臨床研修制度自体、本体のところの議論になる。本体の議論は、全ての臨床医が備えるべき基本的診療能力の獲得であると。極めて優れた山中伸弥先生みたいな人をこれで作れるというのは、全く想定していないのです。
 今、ちょっと強引にある程度まとめましたが、これではいかんということであれば。小川先生、いかがでしょうか。
○小川委員 ですから、別に山中伸弥先生を作るためにやっているわけではないのだけれども。伸弥先生の研究室にも臨床から来たり、あるいは臨床に戻っていく方々も当然いらっしゃるわけです。その中で、確かにちょっと気になるのは、あとで議論があるのかもしれませんが、座長の御発言は、要するに臨床研修制度は、このまま未来永劫続くものだから、だから、この枠組みの中で議論しましょうと言っているように聞こえるのです。それでいいのでしょうか。
○桐野部会長 それは、将来の問題として年限2年間の問題とか、まだ定着していない問題があります。一方の意見は、2年間ぐらいは基本的診療能力の獲得に必要だという意見であり、もう一方は、学部教育の充実によって1年に短縮できるのではないかという議論であり、この両者は結論に至っていないと私は思います。
○山下委員 中断とか言いますと、バリエーションがものすごく多過ぎて、包括的な議論にはならないのですけれども。先ほど中島先生から大学はしっかりせいと言われましたので、しっかりしますというお話をさせていただきますと、結局、いろいろなニーズに応えて、教育ができるというシステムは、実は大学しかないです。どんな状況であっても、免許だけは持っていてもらわないと困るのですが、今どこまでいっているのですかと。「全然やっていません」「1年で1か所やりました」。ほぼnothingです。「ある程度やって行って帰ってきました」「ちょっとは残っています」。そういうもののカスタムメイドの教育ができるようなシステムを、実は結構持っているのです。うちも持っています。それぞれでいわゆるリフレッシュ教育の教育センターを持っています。そういうので、何とか来ていただいています。そこで教育をして、さらに人によっては半年で進んで2年になる人もいます。そういうようなことで、大学というのは、学士を送り出して免許を取ったらさよならではなくて、やはり私学と言えども国民の税金で作っている学校ですから、生涯面倒をみなさいと。我々も面倒をみますと言っていますので、是非使っていただきたい。
 そういうシステムの中に入れ込んでいけば、要するに、小川先生と同じことを言っていると思いますが、初期臨床研修だけを切り出すと先に進まないのです。ですから、例えば医行為に関しても、1991年の転向政策の臨床実習検討委員会というところで、こういう医行為だったらいいですよというのを言っているのですが、これが極めて文学的な表現なのです。「侵襲性のそれほど高くない一定のものに限られる」と。「それほど高くない」のはどこですか。結局、我々は法律を守ってやらなければいけませんから、そういうものをきちんと決めていきましょうと。ある程度の前倒しなどはいろいろあると思いますが、要するに、そういう追記をしてあげれば、卒前研究もちゃんとできますし、ただ、そこで終わりではなくて、生涯にわたって教育ができるシステムを、我々も提起をしなさいと言っていただければ我々もやりますから。まあ、実はやりつつあるのですが。
 今、大学に勉強に行きたいと言ったら断わる人は誰もいませんから。臨床であろうと基礎であろうと、必ずやります。そういうシステムの中に入れ込んでいく。結局、初期臨床研修というのは部会長が一番最初におっしゃっていた、卒前から卒後、それから専門医研修、その大きな流れの中の一部分の一過性のものであるという発想で作らないと、中断の問題は無理なのです。妊娠したらどうですかという話になってくるわけで。結局、この人をお医者さんとして世の中に送り出して本当に大丈夫なのですかという議論をしなければいけない。その中の1つのシステムが初期臨床研修を使える分だけ使いましょうと。
 ですが、そこに入りきれない人がいっぱい出てきて、研究医を養成するのは明らかに、部会長がおっしゃったように二律背反なのです。それをどうやって両立させましょうということを考えているわけで、そこだけを議論していては絶対に無理なのです。長い年月の中で、これを勉強する、これを研究するということにしないと。そういうのをフレキシビリティーというのはそれの問題なのです。ですから、フレキシビリティーが足りないと申し上げたのは、それが全然足りないから、みんなそれに縛られてしまっていると私は思います。それは、クオリティコントロールするところをきちんと置いておかないと、ぐちゃぐちやになります。私はそういうふうに考えています。
○桐野部会長 随分長くなってしまいましたが。
○山下委員 申し訳ないです。
○桐野部会長 いやいや、構わないですよ。この議論を、ある程度意見としてはまとめていかなくてはいけないのですが、研究医の養成というのは、大学にとってかなり重要な課題であり、かつ、容易ではない状態であるということをきちんと認識した上で、やはり、それが出来る方法もありとして組み込んでいかないと難しいと。
 それから、吉岡先生がちょっとおっしゃいましたけれども、最初のときからおまえは研究医になるのだ、おまえは臨床家になるのだということで、仕分けをして養成すればうまくいくというほど単純ではないと思うのです。そこも難しくて、予測できない世界に突入させるわけですから、結局、教えているほうだって分からないというのが実際の姿だろうと思いますので、そこは、この初期臨床研修制度ほど、制度として合理的に設計することはとても難しい世界です。ですから、そこについては山下先生がある程度のフレキシビリティーが必要で、それは現状の初期臨床研修制度のフレキシビリティーでは足りないと。しかし、足りないのであったら、それを全部なしとしてしまったら、初期臨床研修制度自体が消滅しますよ。そうすると、卒業後に臨床研修が必要であるということはもう明白であり、法律でも定められていて、それがどのような要件を満たせば初期臨床研修を終わったことにするかということも、一応、ここでずっとやってきて、上の会でちゃんとオーソライズしてやっているわけです。それについては、あれを全部やろうとすると、もう基礎研究などの余地はゼロだということであれば難しいけれども、かなりフレキシビリティーを持たせた状態では、ある程度はプログラム可能になっていると私は思うのですが、その点についてはどうですか。とても駄目ですか。
○山下委員 結局、今の医師の、これだけは持っていてねという能力に関しては、コア・カリと国家試験の項目と、臨床研修の到達目標の3つあるのです。それを全部クリアしなさいと言われているのです。私は同じことを繰り返すのは考え直すべきだと思っています。ですから、ある一定の年齢の間にそれをきちんと、ただ、清水先生がおっしゃったように、侵襲的に国民の理解を得られないなどといった場合、脊椎穿刺のようなものに関しては、侵襲的なもの、例えばこれはやりましょうと検討すればよいのです。ですから、ある一定期間の前に、こういうものを勉強してねと、お医者さんはこういうことをやらなければ駄目ですよということを言っていれば、それが、ある期間の中に、どこで何をやっても構わないのですが、それにより柔軟な教育ができます。ですから2年間の中にこれをやってくださいというのが、国家試験に出るような感じで、医籍登録が、研修を終わった時点でもう1回あるわけです。ですから、そこが1つのバリアーになっていて、この間にこれをしなさいと言われていると、小川彰先生がさっきおっしゃったそれに、全然対応できないのです。やはり桐野先生もおっしゃったように、さすがに何もできない人が患者の前に立つと、足が震えますから、もう無理に決まっているのです。ですから、あなたはちゃんとお勉強していないでしょうということを、ちゃんと生涯にわたってチェックし勉強できるようなシステムが必要。例えば、山形大学医学部のリフレッシュ教育です。つまり、どういう医師がどういう時期に教育を受けなければならないかというグランドデザインの中で動けば、初期臨床研修の中だけで議論をしようとすると、非常にいろいろなファクターが入ってきて、私も無理だと思います。やはり、例えばアメリカでもそういう基礎研究をやっていて、いきなり臨床に帰ってくる人もいるでしょうけれども、それをどういうふうにしているかというと、やはり、日本よりかなり厳しいチェックがあるわけで、日本でそれをやるかどうかはかなりデリケートな問題でなかなか難しいと思いますけれども、いろいろな勉強を、患者さんの前に立つという、命を預るわけですからちゃんとしてくださいねというのを担保するシステムと、それをきちんと認めるシステムの両方を持つ。
 小川彰先生がおっしゃったように、やはりある程度のフレキシビリティーを認めないと、この時期こういうプログラムなので、これはやってくださいねというと、多分ほとんどの人が受けると思うのです。これは実際問題として初期臨床研修をたくさんの人が受けているわけですし、そういうところで、こういうことができるようになりましたというレポートもあるわけですから。ただ、それを何のためにやっているか、どっちのほうに行ってもいいですよというフレキシビリティーの中で位置付けていないものだから、それに合わない人がどんどん落ちていることが1つ。
 もう1つは、先ほどの議論のように、これはミニマムエッセンシャルですよというのが我々のイメージなのですけれども、これができればいいですよになってしまっているのです。そうすると、臨床医としてもそれより高みを目指さない人が多くなり過ぎてしまっている。これは要するに、心臓の手術ができないとか胃がんの手術ができないというだけではなくて、本当に日常の診療で困るような医師がこれから出てきたら大変なことになりますから、臨床に関しても、もう少し高みを目指させなければいけない。それを制度で縛るというよりは教育の中に入れ込んでいく必要があると思うので、ですから、ミニマムエッセンシャルのつもりでやったものが目標になって、しかも、それができればいいということになっているという状況を、ある程度打破するようなコンセプトを出していかないと、研究も大事ですが、地域の医療や高度な医療を支える臨床医がいなくなるような気がします。そっちのほうが国民にとっては目の前に治せる人がいなくなるのは、ものすごく大きなダメージだと思いますので、それをやっていただきたいということです。
○桐野部会長 ちょっと時間が超過してきたので、研究医に関してはいろいろな御意見を頂いて、やはりこの問題は易しくない、相当腰を据えて考えないと難しいということはよく分かりました。
○文部科学省医学教育課企画官 文科省の平子ですが、研究医という話題で、臨床の研究医と基礎の研究医とあると思うのですが、今、議論がたくさんある中で、桐野先生のほうから整理していただいたように、臨床研修の枠内だけで解決できる問題でない部分も多々あると思っています。今回、特に先ほど来御指摘がありましたように、大学のほうでの卒前教育についてもCBTというコンピュータのテストや、あるいはOSCEという臨床能力の評価といったことについても、かなり平準化と申しますか、各大学での取組は進んできていると思っています。ただ、まだ、御案内のとおり一定の水準で、これ以上ということで、大学間の合意、あるいは先生方の合意が得られているわけではありませんので、そういったところの進展も踏まえて、どの程度卒前のところで、高度なというか、今、卒後の初期臨床研修で対応できている部分が対応できるのかどうか。また、CBTのレベルについても、私も実際のレベルというのはお聞きした話によりますが、今、国家試験で行われているものよりは、やはり学部レベルというところで少し簡単だということもありますので、そういった点についても今後考えながら検討していく課題かと思います。
 また、研究者の確保という意味では、大学の使命として、社会に貢献する人材という点での地域社会という点と、我が国を引っ張っていく高度専門的な人材という2つの側面がありますので、こういった点に対応できるような取組を各種行っておりますが、まだまだ足りないという御指摘だと思いますので、そういった点については、私どものほうでも検討を進めてまいりたいと思います。コメントは以上です。
○桐野部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
○文部科学省医学教育課企画官 もう1つ、一番大事なことを言い忘れたのですが、臨床研修制度に関わったところで言いますと、今、研修専念義務のところを、実際には柔軟に運用していただいていると理解はしているのですが、ただ、はっきりと文章にしていただいて、どの大学にも周知してという形ではないと思いますので、少なくともそういった形で明確化をしていただくということは、是非お願いできたらと思います。
○桐野部会長 それでは、関連する医学教育も議論し出すとちょっと時間がかかるとは思いますが、やはり一度やっておかないといけないので、これについては先ほど説明していただきましたが、論点については何ページでしたか。
○臨床研修指導官 事務局提出資料1の27ページです。
○桐野部会長 27ページですね。27ページ以降に書いてありますが、これは今の研究医養成のところでも相当出てきた問題です。何か御意見はありますか。
○山下委員 文科省の平子先生がおっしゃった、そのことに関して是非、今後、我々大学側としても進めていきたいし、それはもう本当に大事なことだと思っています。先生も御存じのように、CBTが今年から加えられて、来年から全国医学部長病院長会議でクオリティコントロールをします。国民に対しての説明責任として、この人が臨床実習に行くときにちゃんと勉強していますよというクオリティケーションをしておかなければいけないので、それを、いわば個々の大学が恣意的にやるのではなくて全部でやりましょうということで、参加型の臨床実習を国民の皆さんに理解してくださいよと、そうしないと、お医者さんは育ちませんよというような自助努力とアピールということでやろうとしているのですが、結局、根本としては、卒前にどこまでやらせるか、どこまで勉強させていってどこまで到達させて、そしてそこに医師の国家試験というものもありますから、国家試験で何を課すのかというようなことと、教育の内容、それから、試験のシステムというのは、ものすごく大きく変わっているわけです。ですから文科省、厚労省に是非その辺りの国家試験の改革をしていただきたい。そうすると、例えば国家試験をどういうふうにするかによって、その国家試験のために勉強している努力をどういう方向に向けてあげるかということが変わってくるわけです。簡単にしてくれと言っているわけではなくて、例えば臨床推論なら臨床推論がきちんとできるような、少なくとも侵襲的な治療や検査ができないまでも、それができるようにしてくださいということであれば、臨床推論がきちんとできるような教育をします。それは現場でやります。そうすると、参加型の臨床実習を充実させる。しかもそこにギャップを、まあ実質問題で、やはり国家試験は難しいですから勉強しないといけない。そうするとやはり座学中心のところに、ある程度戻らざるを得ないというところを臨床実習をずっと続けることによって、初期臨床研修の最初の半年間は、とにかく物理的に、現時点のシステムでも卒前にもってくる。やはりクオリティコントロールをどうするか、OSCEで皆が認めるようなレベルにどうやってクオリティコントロールするかという問題はもちろん出てくると思います。
 ですから、国家試験の改革を、例えばCBTがアメリカのように3つのステップの1つにするというようなことで、いろいろな工夫をすることによって、やはりクオリティケーションをどうするかという問題が出てくる。そうすると、それを引き取って初期臨床研修の内容をどうするかというのが出てくると思いますので、全体の流れの中で、卒前教育と初期臨床研修の到達目標は全部連続しているものだと思っています。
○小森委員 学部教育と国家試験のあり方についてもさんざん議論されてきたことですので、重複は避けたいと思います。ただ、今回の議論は、平成27年度から開始される初期臨床研修制度の議論ということですので、基本的なフレームワークは時間的な意味からも、この枠は基本的には守っていくということだと思いますが、今、全国医学部長病院長会議等でも、スチューデント・ドクターということを踏まえて議論されています。CBTを平準化して、その程度を精度管理した上で学生医として実習させる、というようなことを既に施行を始めておられて、明年度から実施をされると聞いています。また、医師国家試験の改善検討委員会で一定の結論が出ているわけです。医政局長がおられますが、医師国家試験も5年後見直しということで、医師国試に関する検討部会も改めて恐らく明年度開催されることになるのだろうと思っていますが、その方向性が十分に果たされていない。ここも、もう相当議論が煮詰ってきています。
 それから、専門医に関しては、この4月22日に最終報告書が出た上で、第三者機関について、既に準備委員会、組織委員会を組織された中で議論が始まっているということですから、そういったことを踏まえて、初期臨床研修制度については、極めて近い将来に総合的に勘案する必要があると。こういう触り方ぐらいになるのではないかと。私がまとめても仕方ないのですが、そんな印象です。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。この問題は、今、小森先生がまとめていただきましたが、そういうことに尽きると思います。これは、もう前からどうも話題になっていることですけれども。何か追加はございますか。
○小川委員 文部科学省のほうにちょっとお願いをしたいのですが、実は、臨床研修制度の初期の5年の見直しのときに「臨床研修制度の在り方に関する検討会」というものがあって、その中でかなり議論されて、そして臨床研修病院群という概念もそのときにできたわけです。これを受けて、「臨床研修制度の見直し等を踏まえた医学教育の改善について」を、文部科学省で平成21年度5月1日の「医学教育カリキュラム検討会」で取りまとめをしたのです。これが行政的にはほとんど動いていないのです。実はこの中に入っているのは、基本的診療能力、確実な将来のキャリアモデルの明確化とか、地域の医療を担う意欲、使命感の向上、あるいは基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養、学習成果を生かす多面的な評価システムの確立ということです。
 実は、各大学と全国医学部長病院長会議は、これの提言を受けて随分、グランドデザインも変えましたし、臨床研修制度の先ほどお話のあったスチューデント・ドクターの制度の問題も随分変えてきたわけです。さらに、今年になって追い討ちをかけるように、今度は、世界の医学教育のところから、日本の医学部教育はレベルが低いみたいなことを言われて、それに合わせましょうということになって、またハードルが上がったのです。ですから、是非その辺りのことを文部科学省として、平成21年度にきっちりとした報告書が上かっておりますので、これを実現化できるようにお願いできれば、かなり、いろいろな意味で進むのではないかと私は思います。
○文部科学省医学教育課企画官 その点についてですが、まず、コア・モデル・カリキュラムの改定というのが平成22年に受けて行われていることが1つです。また、御指摘いただいたWATのグローバルスタンダードの問題については、現在、幾つかの大学に集まっていただいて、トライアル的に先行実施していただいております。昨年度は東京女子医大がトライアルとして受けていただいて、今年度は確か東京医科歯科とどこかだったと思いますけれども、そういった形でのトライアルを進めながら、私どもとしても対応できるような形で、皆様方と検討を進めてまいりたいと思っております。
○桐野部会長 それでは、研究医養成と医学教育に関する審議はこのぐらいにさせていただきまして、ここで、関係者団体から要望書が来ておりますので、これについて事務局から説明をお願いいたします。
○臨床研修指導官 事務局提出資料3です。厚生労働省に都道府県を始めとする自治体あるいは医療関係団体等から、臨床研修制度に関する要望、提案を頂いております。これを臨床研修制度の各項目ごとにまとめ直したものです。本日は時間も押しておりますので、中身は1つひとつ御紹介いたしませんが、是非御一読頂ければと思います。1件だけ御説明いたします。5ページ、通し番号91番の兵庫県からです。以下は構造改革特区として提案とあります。本部会とは直接的には関係はありませんが、構造改革特区制度を通じて、兵庫県が記載のような提案をしております。臨床研修の募集定員に関する提案です。これは特区制度の事務局の内閣官房と兵庫県と私ども厚生労働省を通じてやり取りをしております。厚生労働省としては当募集定員も含めた臨床研修制度自体は、現在まさに当部会で見直しについて御審議を頂いているところですので、個別の特区制度というよりは、部会で御審議賜わった方向性を持って、日本全体の臨床研修制度としての見直しとして、対応していきたいと考えております。こういうことがあるということは御承知おきしていただければ幸いでございます。以上です。
○桐野部会長 今の兵庫県の問題について、意見の交換をお願いします。
○小森委員 いわゆる特区についてさまざまな議論がありますが、今回の兵庫県の臨床研修制度の定員の枠組みを特区制度によって特段の増加をするというのは、大変恐縮ですが、これは各都道府県のエゴという話でして、クオリティコントロール、公平性等々の観点から、これはやはり認めるべきではないと思っています。
○神野委員 基本的には同じです。ほかの所でも確か前回の京都のお話もありましたし、今の激変緩和措置をやめたあとのいろいろな問題が出ているのではないかなと思います。データを見れば気づくと思いますが、恐らく兵庫県の場合も神戸など南の山陽地域には大学病院以外、臨床研修指定病院も含めて医師がたくさんいらして、今兵庫県の北部は少ない。そこに特化したところの話だと思います。それは今回の議論の下線にもありましたが、地域医療対策協議会でしたか、これが各県でおやりになるとするならば、地域内の偏在はまずそこで御議論いただければよろしいのではないかなと思います。
○押淵委員 今の御意見に関連するのですが、長崎県のような離島の多い地域では人口比あるいは地域の広さでは測り得ない医師の問題があるので、臨床研修医制度だけで医師の偏在等を是正するのは難しいと思いますから、この件については受け入れ難いと思っています。
○桐野部会長 ではこの点については、大体意見が今のように出ましたということで、兵庫県からの要望の問題については御三方より御意見を頂きましたので、次にこれまでにまだ十分に御議論を頂いていないと思われる項目について、残りの30分ぐらいの時間をかけて少し御審議を頂いてはどうかと思います。
 まず、小児科・産科特例プログラムをやらなければいけない。これは確か20名以上を募集する病院は2名以上の小児科・産科の枠を設けるとのことだったと思うのですが、これに関して以前に、この制度は一応の役割は終了したと思われるので、もうよろしいのではないかということであったと思うのですが、本当にそれでよいのかどうかについて御意見を伺いたいのですが。研修医が20名以上でこの特例プログラムを設けている病院の数は全部でいくつか分かりますか。今すぐは分からないですか。
○臨床研修指導官 補足説明申し上げます。まず事務局提出資料1です。12ページ上段2つ目の○で、現状として今部会長がおっしゃいましたが、募集定員が20名以上の病院は別途小児科・産科のプログラムを設けることとされております。四角の枠内の論点の一番下のポツです。小児科・産科特例プログラム加算についてどう考えるか。14ページ一番上のポツで部会の前のワーキンググループで当特例プログラムについての御意見がありました。「小児科・産科特例プログラムは定員に対してマッチ者数が半分強程度であり、研修修了後に7割程度しか小児科・産科を希望しておらず、また小児科・産科を必ずしも希望していない者がマッチしている可能性もあることから、今後は病院に義務づける必要はないのではないか」ということです。ちなみに今、部会長がおっしゃったとおり、こちらの参考資料ですが、大きなページ数で51ページです。下のポンチ絵です。小児科・産科プログラムについてとあります。平成22年度開始プログラムですが、プログラム数は直接ここに書いてありませんが、定員数は小児科であれば163名、産科であれば144名とあります。下段はアンケート調査からですが、臨床研修修了後の診療科の希望を聞いた、小児科・産科に特化して抜き出したものです。小児科プログラムは修了後に小児科を希望する者については、37名ということで全体の中の7割強、産科については69.2%が現状です。御審議をお願いします。
○桐野部会長 これを見ると22年度の実績でいくと、このプログラムを通して、小児科に行ったと思われる方が37名。産科・産婦人科に行ったと思われる方が27名という実績である。それから周産期プログラムで7名ということで、このプログラムを中止するのは非常に無理と思うような数ではないけれども、これを今回の特例的なものをやめていいかどうかということなのですが。小森先生、お願いします。
○小森委員 1つの観点は、このプログラムがどれくらい効果があったかという観点、もう1つは特に産科です。産科の現状をどのように考えるのかと思っています。産婦人科を専攻なさる方々、産婦人科学会に入会される方が必ずしも少ないということではないけれども、その多くが婦人科として育っていかれるという現状の中で、我が国の産科医療機関がやはり極めて問題であるという認識を持っています。この現状を重く見ると、軽々にこのプログラムを廃止ということについては、私どもとしては急ぎ過ぎと、こういうことです。
○河野委員 小児科医が直接発言していいかはありますが、この制度が小児科医の増員といいますか、志望者数の増加には効果はあったと、現場の感覚としては持っています。お話があった産科の問題はどこを目標とするのかはなかなか難しいところですが、恐らく現場の感覚ではまだ数は十分ではない。そう考えると、効果もあり、そして現状も踏まえると今の段階で廃止するのは少し評価等々の時期が早いのではないかと思います。
○清水委員 制度、この小児科・産科特例プログラムを廃止するかどうかという点で、少し気になるのは、平成22年度の見直し以降産科・小児科が必修診療科ではないですよね。仮に産科・小児科が前のようにもう一度必修に戻ったら、今のような問題が解決できるかのようなデータがあるのかなと気になります。というのは42ページ、臨床研修前後で将来希望する診療科の変化の表ですが、例えば小児科はもともと希望していた方116人がほかの診療科に行き、新たに小児科を希望した人が56名です。このデータが今のようなプログラムの中で得られたデータなのかどうか。それ以前の方たちではどうなのかのようなものがあったら、今のことの答えは少し出るのかなと思ったので発言しました。
○桐野部会長 そのほかはいかがでしょうか。この前に頂いたものと少し趣が違う御意見なのですが、やはりこの2つの特例を本会においてやめるという判断をするのは、少し早いのではないか。根拠がはっきりしないということもあるのです。この問題については、何らかの指標、評価をして、もうここでそろそろこういう特例的なものはいいだろうということであれば、その段階でこれを廃止することは、まだ最終的な報告書案といっているわけではないので、そういう意見もあることを含めなければならないと思います。一応そういうことにしておいて、今後最終的には報告書案、結論のところで審議したいと思います。
○中島委員 この特例、特別枠についての議論は7科を必修に戻すかどうかということと一緒に議論しないと、難しいと思います。
○桐野部会長 分かりました。つまりそれが戻る場合において清水先生も言われましたが、どうするかが成り立つ議論であって、今回は少し難しいのではないかと。そう理解されるのですね。続いて、研修期間2年間というのが前々からあり、学部教育の充実により短縮できるのではないかという意見もあったということに一応なっておりますが、現状は2年間を堅持し、その間のプログラムの弾力化は前回決められたとおりであるというようなはことだと思います。
○臨床研修指導官 関係する資料を御説明します。事務局提出資料1の5ページです。3)臨床研修全体の研修期間。現状は医師法において「2年以上」と研修期間は規定されています。論点、現在の臨床研修の研修期間(2年以上)についてどう考えるか。ワーキンググループでは幾つか御意見が出ており、1つ目のポツ「卒前教育とも関係してくるが、現状では、臨床研修の期間は基本理念等に照らすと2年間が適当ではないか」。2つ目のポツ「将来的には、卒前教育が充実すれば、臨床研修期間を例えば1年に短縮することもあり得るのではないか」。以上です。お願いいたします。
○桐野部会長 医師法の中に書いてある以上、そう軽々に動かせる問題ではないと。だからそういう意見もあったということ以上のことは、今回は難しいと思います。
○小川委員 実はこの問題は重要な問題だと思っています。というのは先ほども申し上げましたが、この数年間、医学部教育は全国医学部長病院長会議を中心にして、ものすごく変わっています。先ほどお話にあったように、外圧もありまして、国際基準に合致しなければならないということですから、かなり教育レベルも上げていかなければならない。今、全国医学部長病院長会議で大いに議論しているのは十数年前、20年くらい前になりますか、前川基準があり、臨床実習をする学生の医行為の水準があったのですが、その診療参加型臨床実習のために、医学生の医行為の水準を上げましょうということで整理をしているところです。医師養成のプログラムデザインについてももう既に報告済みのことです。そうするとちょっと分からなくなったのですが、後で整理をしていただきたいのですが、この医道審議会医師臨床部会の権限とミッションはどこまでなのですか。要するに例えば2年にする、1年にするあるいはプログラムをどうする。あるいは先ほど言った中断をどうするという非常に各論的なことをずっと議論しておりますが、例えば外側から見ると今度は医学教育が大きく変わってきて、このままいくと前から申し上げておりますが、知識の部分に関してはCBTで終わっている。4年生、5年生の臨床実習が今度は診療参加型の臨床実習で終わっている。そうなってくるとほとんど初期臨床研修と大学が行う臨床実習がバッティングする形になってくる。そうすると同じことを2回やらせるのかということになります。初期臨床研修制度を卒前・卒後、生涯教育の中でどのように位置づけるのかこの制度の必要性の議論は今回もないです。今回見直しが終われば10年この制度は続けたことになります。従って、この次はこの10年間の総括をして、初期臨床研修制度の必要不要の議論をするときに、この審議会でやる議論なのか、それともこういう極めて医師の生涯学習に関係する全体像の問題ですから、それは審議会でやるべき問題ではないのだということなのか。調べましたが、厚生労働省設置法というのがあり、その第6条に本省にこの審議会等を置くということで、この審議会が置かれている。しかしこの審議会のミッションについては一切書かれていない。何をするのか、どこまで権限があるのかに関して一切触れられておりません。
 もう1つ医道審議会令も見てみましたが、こういう審議会を作るのだというのはあるのですが、では審議会の目的はどこにあり、どこまで権限があるのだというのはないのです。そうすると今まで気がつかないで、委員として疑義を寄せたのは恥しいわけですが、だとするともっと大きな医学生涯学習という枠組の中で、初期臨床研修そして学部の教育がどんどん変わってきていて、ほとんど臨床実習が初期臨床研修と同じになってくるのであれば、初期臨床研修はやめて、もう後期臨床研修にしましょうなど。そういうような議論はここでできるのですか。
○臨床研修指導官 大変失礼しました。審議会に関係する所掌の規定は改めて御説明したいと思いますが、正確な文言ではないかもしれませんが、当部会では臨床研修制度に関する事という所掌事務ですので、例えば先生がおっしゃったように臨床研修制度はもうやめようという場合は、当然この部会でも御審議を賜る必要があると思っております。ただ先生がおっしゃるとおり、それは臨床研修制度だけの話ではないと思いますので、その前後も含めた全体の話になると、場合によっては縦割りで恐縮ですが他のいろいろな関係する審議会、部会等もありますので、あるいは文科省とも関係すると思いますので、そういう各種会議と連携しながらということにはなろうかと思います。臨床研修制度に関しては当部会で御審議、御報告、御提言頂く権限はあると考えております。
○小川委員 5年前に5年後に見直しをするときには臨床研修制度の在り方に関する検討会、その前にはビジョン会議というのがあり、そして文部科学省と厚生労働省と連携してやったという経緯があって、それは大臣指導でこういう会をやりなさいと。これはアドホックでやったわけです。それを受けて今度は文部科学省としては臨床研修制度が見直されたので、では大学の教育はどうあるべきかをカリキュラム検討会で、文部科学省医学教育カリキュラム検討会で取りまとめたことがあります。そういうアドホックの別途委員会を日本の医療教育制度全体の問題だから、別途作らなければならないということなのかどうかも含めて、お伺いできればと思います。
○臨床研修指導官 私からお答えできることかどうか分かりませんが、先生がおっしゃるとおり、審議会等はそれぞれ所掌事務が決まってまいりますので、それを超えるような大きな話になったときに、また別途新しい会議などを作るということはあり得る話だと思います。現在の審議会等々では個別に詳細に所掌事務が決まってきますので、複数の会議にまたがってということになってしまうと思います。場合によっては先生がおっしゃったように、前回の見直しの議論のときのようなこともあり得る話だとは思っております。
○桐野部会長 いろいろな医学教育のあり方がものすごく変わって、それで問題が全体の議論になったときは、多分ここだけでやるのは恐らく無理で、それに対する厚労省の特別な検討委員会のようなもの、あるいは文科省、厚労省の合同の検討委員会で卒後と卒前の接続の問題を含めたいろいろな組み直しの議論があると思うのです。極めて近々に必要であるのか、それとももう少しいいのかは私には分からないです。先生の印象としてはそういうことも検討すべき時期がくるのではないかという、そういうお考えですね。
○小川委員 10年というのは一区切り、生命科学を現場から見れば10年というと、もう常識が非常識に変わってくるぐらいの時間のスパンですから、そうすると初期臨床研修制度も平成16年に始まって、今日、今議論しているのは次の10年目の見直しの議論をしているわけですが、総論的なやめるやめないということをここで議論するのであれば、これは不可能だと私は思っています。ただ10年経ったのだったら、この審議会で10年目の見直しをして、新しいスタイルになったときに、今度はまた5年後にマイナーチェンジをするのではなく、もう10年経ったのですから、制度そのものあるいは医学教育から生涯学習まで含めたきちっとした日本の医師を作る仕組みを大所高所から議論する場所を是非設定していただきたいと思っています。
○中島委員 小川先生のおっしゃることはよく分かるし、そのとおりだと思うのですが、ただ10年というと実際はまだ10年経っていなくて、この制度で卒業していって、研修した人たちがまだ一人前になろうかなるまいかという時期なのです。その人たちの行く末をきちっと見極めてやろうと思えば、やはり15年は少なくてもかかると思っていたほうがいいのではないかと思います。
○山下委員 実際にこの議論は絶対にするべきであって、小川先生がおっしゃったように、これはアンタッチャブルだとしたら、それで議論は終わってしまうのです。だから審議会としてはきちんと議論した上で何が必要かを答申すべきだと思います。この記述は桐野先生が班長として臨床研修が終わった後の先生方に聞いているのですが、2年は必要ないという人がいっぱいいるのです。ほとんどが2年は要らないと言っています。そういうようなことは結局、確かに10年経たなければ終わってどうこうは分かりませんが、そういうような意見があったということは、本当に2年が必要ですかという議論をしなくてはいけないです。
 もう1つは、2年を設定するということは吝かではないですが、それが先ほどの研究医の議論で散々出てきましたが、卒後本当に直後にこれを事実上これをしないとどうにもならないという状況を作ってしまったが故に、フレキシビリティーがなくなって、後でこういうような例えば到達目標、これだけその間にいろいろと積み上げていったら、例えば皮膚科をやっていたけれども、基礎研究でかなりやっていましたというような初期臨床としては制度には入っていないけれども、実際にそれは担保が取れるのであれば。そういう積み上げで何年かのうちに到達目標をクリアしていますよと、もし証明できれば、それでその分を減らせるなど。そういうようなフレキシビリティー、自由に選んで、自分でキャリアを選んだ中でやれるというようなことがもしできたら、そういうようにすべきだと思います。現実問題1年短縮することができるのではないかという意見も書いてありますので、実際にはそうだと思います。問題は言い出せば処遇の問題、キャリアの問題、研究医の問題、専門医にどのようにしてつなげるのなどの話になって、全部がここにかかってくるので、この議論だけというのはできませんが、やはりすべきであろうと思います。それから例えば基本的に2年という中で全部をローテートしたい人はたくさんいると思うのです。それはそれで構いません。要するに全部を1年にしろなど、そういうことを言っているのではなく、問題は自由に選べるようにしてくださいという議論であって、2年がいいか1年半がいいか1年がいいかという議論とは少し違うような気がしています。要するにそれを先ほど言った質を担保にしながらフレキシビリティーを導入するかというのはかなり知恵が必要になってくると思いますが、2年は議論すべきというのが1つ、2年は現時点では必要ないというのが私の意見です。
○桐野部会長 この議論はどのような医師を養成するのが将来日本のために良いかに絡んできます。1種類というのはなかなか難しいですが、極めて優れたスペシャリストを養成するという観点とジェネラリストをたくさん作るという観点では相当違ってくるということです。だからどのような医師を今後養成するかという議論にかかってくるのです。
 もう1つは、どの程度の早さで医師は養成するべきかは、多分大学の先生方にもいろいろな意見があって、例えば日本は24歳で一応の出来上がり。しかしアメリカは26歳で出来上がり。どちらがいいかというのはさて置いて、24歳でも遅すぎるという意見であれば、もっと早くするという意見なのかということです。24歳で卒業したときはもうバリバリの臨床家として立つぐらいだったら、もう高校に医学科を作ってやらないといけないという議論になってしまうのです。国際的にはやはり24歳か26歳ぐらいで一応の免許を与えて、本格的にトレーニングを開始するというのは、今のところは一応は主流だと思います。その議論をやはりどこかできちっとした上で、これを2年に短縮できるのかどうかはやっておかないと、これは研究医の養成などとは関係なく、相当大きな議論になると思います。この件についても多分議論は尽きないと思いますが、議論だけしていても小川先生が言われるように、ここはではどのような影響力を持つのかという問題については、これは少し難しくて、大きな2年を1年にするかどうかという議論は、例えば全国医学部長病院長会議が相当強くそれを要望する。それから医師会及び病院会もその辺りを相当強く主張するというようなことになれば、当然国としてもそういう議論を相当真剣にして、比較的早い段階に変えるということになると思うのです。一方で2年間でなければならないという方々も相当たくさんいらっしゃいます。むしろ現状ではそのほうがマジョリティではないかと私は思います。
 そうするとそこを今後どのようにやっていくかという議論をどこかでしないといけないです。今のところはその矛盾に関しては2年間なのだけれども、後半の1年間にフレキシビリティーを持たせて、特に大学ではさまざまなプログラムを提供可能にしているというところで、一応落ち着いているわけです。だんだん時間がなくなり、時間で終わらせるのももったいないのですが、そういう意見であったということはどこかに記述するということでよろしいですか。
 もう時間がないので、こんな大きなことをやると終わらなくなってしまうのですが、今後もしまだやるとすれば、必修と選択必修の診療科の問題です。これはまた大変で、恐らく見直しを平成22年度にやったときのことのある程度の評価はあり、見直し後に一部到達目標が十分でない所があるという経過もあるし、それをどう評価するかはなかなか難しいので、今また変えるということは難しいという印象を持っているのです。これは今日はやりません。
 それから基幹型病院の指定基準で、研修医一人当たりの症例数の考慮はやっていません。それから指導・管理体制。その他としてプライマリ・ケアという用語の問題が少し曖昧になったままになっています。それについては省令はでは使われていないけれども、法律の中の説明文としてはプライマリ・ケアという言葉が入っていたというように思いますが、これもどうするか。
○医師臨床研修専門官 そのプライマリ・ケアという言葉は法律や症例では出てこないのですが、施行通知になると初めてプライマリ・ケアという言葉が出てきて、そこの部分が3回ほど前に御議論頂いたところです。
○桐野部会長 そういうことが今後まだ残っているということで、しかし今後は報告書の文案を中心に議論をして頂くことになり、実際の各県の枠の問題についても相当突っ込んだ具体的な御議論を頂くことになると思います。
 それでは時間もなくなってきましたので、次回以降の件について、事務局よりお願いします。
○臨床研修指導官 今、部会長からお話がありましたとおり、次回以降は取りまとめに向けた御審議をお願いできればと思います。なお次回は8月を予定しております。詳細が決まりましたら、また追って御連絡差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。それでは本日の医師研修部会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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直通電話: 03−3595−2275

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