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2013年6月18日 集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会

健康局

○日時

平成25年6月18日(火) 13:30~15:30


○場所

イイノホール&カンファレンスセンター Room A1,A2(千代田区内幸町2-1-1 飯野ビル 4階)


○議題

(1)概要(案)及び集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の再発防止策について(案)について

○議事

○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第12回「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして御礼申し上げます。
 事務局より、本日の構成員の出欠状況について御報告いたします。
 小林構成員、小森構成員、高橋構成員、新美構成員、花井構成員、八橋構成員から御欠席の御連絡をいただいております。また、丸木構成員から遅れるという旨の御連絡をいただいております。
 撮影についてはこれまでとさせていただきます。
 また、傍聴者におかれましては、座席に配付させていただいております「傍聴される皆様への留意事項」にありますとおり、会議の妨げとならないよう静かにしていただくとともに、遵守できない場合には退場していただくことがありますので御承知おきください。
 ここからは永井座長に議事の進行をお願いいたします。
○永井座長 本日は、検討会としてのまとめ案及び論点について前回の御議論で事務局が修正しておりますので、それについて御議論いただきます。
 本日の議題は、配付している議事次第で御確認ください。
 では、資料の確認を事務局よりお願いします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは、資料の確認をいたします。
 まず、議事次第、構成員名簿、座席表、資料一覧。
 資料1-1、概要(案)、こちらが見え消しのバージョンでございます。
 資料1-2、概要(案)、こちらがそれを反映させたものでございます。
 資料2-1、再発防止策について(案)。こちらが前回からの修正を取り消し線及び下線でお示しさせていただいたもの。
 資料2-2が資料2-1の修正を反映させたものでございます。
 なお、前回までの会議の資料をつづりましたファイルを各構成員の席に置かせていただいております。不足や乱丁等ございましたら、事務局にお申しつけください。
 以上です。
○永井座長 では、議題に入ります。
 本検討会としてまとめ(案)及び論点について、前回御議論いただいた内容について事務局で修正を行っております。前回の御議論では第三者機関以外の部分について修正の御意見がありましたので、まず第三者機関以外の部分の修正について確認いただきたいと思います。該当部について事務局から説明をお願いいたします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは、資料2-1の修正が赤字で御用意させていただいているものを御確認いただければと思います。
 資料の7ページ、原告弁護団から御提示いただきました御意見書に則って、ツベルクリンの告示について記載させていただいたものでございます。
 12ページ、山本構成員、花井構成員から御指摘をいただきまして、誤解を招く表現であるということをもちまして削除させていただいた箇所でございます。
 19ページ、こちらも同様に山本構成員から誤解を招くところを御指摘いただきました。昭和47年以降の検出法が開発されて以降ではないとして、削除させていただいたところでございます。
 35ページ、先ほど19ページで御説明させていただいた部分と同様の修正。そして、37ページにございます記載を前に移させていただきまして、B型肝炎の慢性化、重症化に関する認識について正確さを期すために移動させていただいたというところがございます。
 40ページ、野口構成員から、リスク認識についての御指摘があったこと、国の体制と体質という文言が入るべきであるという御指摘をいただきましたので、修正させていただきました。
 41ページは、前回、花井構成員からインフォームドコンセントの関係で、被接種者に対しての説明を追記させていただいたものでございます。
 42ページ、原告弁護団の御意見書にございまして、最高裁判決の趣旨を明確にすべきというところで追記させていただいたものがございます。
 47ページ、野口構成員から御指摘をいただきまして、省としてこれまでの組織・体制の問題点を洗い出し、十分な改善策を講じることが求められると記載を追加いたしております。
 48ページ、第三者組織の関係でございますので、後ほど御説明をさせていただきます。
 49ページ、また、被接種者に対して十分な説明を行うことが求められると書かせていただいておりますが、先ほど問題点で花井構成員の御指摘を踏まえて修正した点で再発防止策に関しても反映させたというものでございます。
 49ページのもう一つ、「昨今、国民の意識が高まってきているが」というところでございますが、こちらは原告弁護団の御意見書にございました指摘を踏まえて修正させていただいたものでございます。
 50ページ、52ページについては、「枠組みの充実など」というところの修正を加えさせていただいてございます。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。もし御意見がなければ、この件は了承とさせていただきます。ありがとうございます。
 続いて、第三者機関についてであります。前回の議論で両論併記とすることにつきましては構成員の皆様の御意見が一致したと思いますが、両論併記の記載の最後の部分の文章については、構成員の皆様の意見がまとまりませんでした。
 本日は、前回、構成員の皆様の御意見がまとまらなかった第三者機関の両論併記の最後の部分について御議論いただき、本検討会として取りまとめを行いたいと思います。
 では、修正後の案につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは、先ほどと同じ資料2-1を御確認いただければと思いますが、48ページ、49ページでございます。
 タイトルとして「(2)再発防止策を全うするための組織のあり方の議論」と入れさせていただくとともに、前回御議論いただいてまとまらなかった最後の2行の部分でございます。前回の議論を踏まえまして、事務局のほうで、この3行にさせていただいたところでございます。「これらの議論を踏まえ、本検討会としては、再発防止策を全うするための組織のあり方の議論を続ける機会や場を設ける必要があると考える」という1文を入れさせていただきました。前回、「再発防止策の実現に向けた」という御意見と「再発防止に向けた」というところの御意見で少し議論がまとまらなかったということを踏まえ、また機会や場を設けるという文言についての御意見があったことを踏まえまして、このような書きぶりとさせていただいてございます。
 以上でございます。
○永井座長 ただいまの点、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○奥泉構成員 B型肝炎訴訟弁護団の奥泉です。
 今の点、前回の議論の経過を踏まえてこういう文言にしていただいたということで、私たちとしてはこれで了承したいと思っております。
○永井座長 具体的にはどういうイメージを思い浮かべればよろしいのでしょうか。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 今回の議論を続ける機会や場につきましては、今後とも原告弁護団と御相談していくようなイメージで考えてございます。
○永井座長 この検討会をもう一回やり直すというわけではないのですね。そういう意味ではない。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 そのとおりです。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 全国B型肝炎訴訟原告団の田中です。
 これまでの検討会の論議を踏まえて、被害者の一人として一言述べさせていただきます。
 私は、B型肝炎ウイルスに感染し、肝がんを発症してから人生が一変しました。6回も入退院を繰り返し、生死の境をさまよい、自分がいつ死んでしまうのか、残された家族はどうなってしまうのか、何度も考え、毎日不安でいっぱいでした。
 私が集団予防接種によってB型肝炎ウイルスに感染したと知ったとき、なぜこのようなことが起こったのか、このような被害は二度と起こしてはいけないと思いました。集団予防接種によってB型肝炎ウイルスに感染した被害者は四十数万人とも言われており、既に亡くなられた方もたくさんいらっしゃいます。私はそういう方々の思いを代表するつもりでこの検討会に参加してきました。
 検討委員、研究班員の皆様のおかげで被害実態アンケートが実施され、被害者の悲惨な実態が浮き彫りになったほか、今回の大きな問題は、資料2-2の40ページ、予防原則の徹底が不十分でリスク認識が不足し、また適期に更新されず、行政として対応が適期になされなかった国の体制と体質。こういったことが明らかになりました。今後、国の体制や体質の改善、被害者の実態をさらにヒアリング調査をし、肉体的、精神的、経済的被害、あるいは差別、偏見の実態を真摯に受けとめ、早期に被害回復を求めたいと考えます。
 同じく49ページ、再発防止策については、透明性・公開性を担保しつつ、先進知見、危険性に関する情報・事例を収集・分析し、リスクを適正に認識・管理し、関連機関に伝達する機能の必要性が認められた。
 こういったことは大きな成果ですが、第三者組織の設置については意見が一致できなかったのは残念です。悲惨な経験をした私たち被害者の願いは、B型肝炎といった悲劇を二度と繰り返さないこと、私たちのような苦しみを味わうことのない世の中にすることであり、そのためには第三者組織の設置が必要であると考えます。
 なぜならば、当時の厚生省では、先進の知見やリスクの収集・分析、対策もとられず、また誤った通知や、通知すれば終わりというような体制や体質は今でもあるのではないかと感じます。それはB型肝炎訴訟が20年以上も続いたこと、とりわけ18年も続いた第1次訴訟では、その悲劇を終わらすことができず、被害者がさらにふえ、第2次訴訟でやっと和解し、国が責任を認めたことからも感じます。
 また、当時の厚生省の担当者のヒアリングで、知らなかった、慢性化、重症化の認識はなかったという発言がありましたが、同じ組織ではその過ちを正すことはできない、そういったことを強く感じたからです。
 同じく50ページ、被害者として再発防止策を全うするための組織のあり方の議論を続ける機会や場に当事者である被害者を参加させること、また第三者組織の設置の必要性を今後も訴えていきたいと考えます。
 最後に、改めて、検討委員、研究班員、この検討会に御協力をいただいた皆様に感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○梁井構成員 同じく原告団の梁井です。
 私も最後に際してコメントを読ませていただきます。今回、検討会としての提言を出す運びになったことを大変うれしく思っております。活発な議論を重ねていただいた委員の先生方、御尽力いただいた多々羅班長初め研究班の皆様、まずはお礼申し上げます。
 私は検討会だけでなく研究班の委員もさせていただきましたので、多くのヒアリング調査にも同行させていただきました。その中で、以下のことが大変印象に残っています。
 昭和50年代の国の担当者が、注射器を使い回すなど信じられないとおっしゃいました。では、なぜ危険だとわかり切っていた使い回しが放置されているのかと尋ねると、自分たちが研究しているのはウイルスであって手技ではないとおっしゃったのです。注射器の使い回しは危険だとわかっている担当者が予防接種の実態にもう少し関心を持ってくれていたら、または担当者間できちんと危機意識が共有されていたら、もっと早く使い回しが禁止され、少しでも被害者を減らせたかもしれません。被害者の一人として大きな憤りを感じました。
 再発防止を考えるとき、これを研究者、専門家だけに任せるのではなく、多角的な制度検討が必要だという思いを強くしました。また、以前の検討会でもお話ししましたが、保健所長アンケートの自由記載欄で、肝硬変、肝がんが大きい地域の保健所長の方が隣の県とも情報交換して原因を究明しようとしていたが、公衆衛生の権威の方に相談したら、既知のことであり、その原因を追究すると特定の医療機関に収束される。そこまでやらないほうがよいと言われたとありました。
 公衆衛生の権威の方がそのようなお考えでおられたということは、被害者として許せません。このような隠蔽体質が四十数万人とも言われる被害者を生み出したB型肝炎感染拡大の原因にもつながるのではないでしょうか。当然、再発防止のために何をすべきかを議論する場には多角的な意見が必要不可欠ですから、この検討会のように、被害者団体からも多くの委員を選んでいただきたいと思います。
 検討会の最初に述べましたように、私は娘たちに感染させてしまったことで自分を責め、娘たちのために母親としてできることは何でもしようと思って原告団に加わり、恒久対策の充実を訴えてきました。ですが、娘たちが抱える肝炎発症への不安、結婚や出産への躊躇、B型肝炎に感染さえしていなければ味合わなくてよかった苦しみを取り除いてやることはできません。そして、自分のせいで娘たちにそんな思いをさせているという自責の念は消えることはありません。
 私たちの被害が元に戻ることはありませんが、こんな思いは二度とほかの誰にもしてほしくありません。再発防止を議論するとき、まず被害から始めると言われます。私たちの被害があったからこそ次の被害を防ぐことができたと言えるような、真に実効性のある再発防止策を望みます。
 以上です。
○永井座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○垣本構成員 どうも原告団の皆様、貴重な御意見をありがとうございました。
 47ページ「(1)国の姿勢」の「省としてこれまでの組織・体制の問題点を洗い出し、十分な改善策を講じることが求められる」と赤字で書いてあるところでございますけれども、そうすると、結果としては第三者機関とは別に、国としてこういった常設のいろんな情報を収集したり知見を収集したり分析・評価する体制をつくると理解してよろしいのでしょうか。そこのところをお聞きしたいと思ったのです。
○永井座長 事務局、いかがでしょうか。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 まさに、そういう組織・体制の問題点を洗い出して十分な改善策を講じるというために第三者組織の議論もありましたけれども、その中でも資料2-1の50ページなどにも書かせていただいております現行の枠組みの充実をしていくなどが必要であるというところを書かせていただいてございます。体制の充実、こういう今ある審議会の充実、第三者組織の議論を含めた再発防止策というところで御理解いただければと思います。
○垣本構成員 つまり、情報を収集したり、リスクにかかわらず、副反応とかそういうものの情報が常時来ると思うのですけれども、そういうものを常時受けとって集中的に分析したりする組織が必要ではないかと思ったのです。だから、そういうのは常設の組織をつくるかなと理解したのですけれども、そこまではまだいかないということなのでしょうか。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 その点につきましては、まさに予防接種を担当する部署が情報を集め、それを厚生科学審議会のところにあります審議会で十分に御議論いただくという枠組みを考えてございます。
 ただ、一方で、今回御指摘いただきました第三者組織についても御議論があるというところが今の検討会での御議論です。
○永井座長 その充実というのは、今後増員とか組織の強化ということも念頭に入れておられるということですか。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 そのとおりです。
○永井座長 どうぞ。
○奥泉構成員 奥泉です。
 私も今の点について一言申し上げたいのです。確かに第三者機関、組織については引き続き議論していくということになりましたけれども、今、垣本先生が御指摘になった省としてのこれまでの組織・体制の問題点を洗い出し、十分な改善策を講じることが求められるという言葉は、組織のあり方の議論を置いておいたとしても、国、厚労省としてこれまでの問題点をまずきちんと洗い出した上で、それをどう変えていくのか検討しなければいけないという提言になっていると思うのです。
 ですので、第三者組織の問題は引き続き議論していくとしても、その議論がどうであったとしても、厚労省としてのやるべきことをまずきちんと検討して、その検討の結果をきちんと発表してさらにそれを実行していく。そういう責務が今回の提言によって、この言葉によって課されているのではないかと考えるのですけれども、いかがでしょうか。
○正林結核感染症課長 結核感染症課長です。
 奥泉構成員のおっしゃるとおりでして、ここの部分は、きょう、この場で報告書をいただいたら、関係の省の職員がしっかり読んで、ここに書いてあるとおり、組織・体制の問題点を洗い出して改善策をと、それをしっかり我々としても考えるという意味だと理解しています。
○永井座長 どうぞ。
○梁井構成員 梁井です。
 先ほど現行の枠を充実するということで垣本先生もおっしゃいましたけれども、確かに私どもは第三者機関を新しくつくるという提案をしましたが、なかなかそこまでは合意に至りませんでした。そして、それもかなり難しいことというのもわかっていますし、最初に現行の組織を充実するということから始めようではないかというのは一致したところだと思うのです。それで私の先ほどのコメントにもありましたが、現行の組織というと多分予防接種部会の評価・検討組織だと思うのです。今のところ、メンバーには被害者団体からはお一人も入っていらっしゃいません。
 やはり今までの私たちの真相究明でいろいろな方が参加して見ていかなくてはいけないというのが一つ浮かび上がってきたと思うのです。ですから、増員というお話を今聞きましたけれども、ぜひとも評価検討組織の中には、被害者団体から一名と言わず多く入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○山本構成員 日肝協の山本です。
 検証会議の感想とお願いを少し話させていただきます。
 御存じのように、厚生労働省の対応は非常に遅い歴史であったと思うのです。例えばB型が慢性化するのを把握するのは当初難しかったと思うのですけれども、血清肝炎というのはC型もありますし、肝硬変、肝がんは早くわかったと思います。そのときに注射針・筒の対策、消毒や取りかえ、これをもっと早くできたのではないか。20年とか30年とかおくれているのではないかというのが一つです。
 もう一つは、血液による感染がわかっていましたから、輸血のときは売血制度。これもライシャワー事件が起きて初めて腰を上げたということで、これについても10年ぐらいは遅かったのではないかと思います。
 今、予防注射だけを言っているのですが、針・筒を変えないというのは一般の医療でも同じように行われたわけで、そこでも肝炎の多発地帯は結構出ておりましたから、ここでの対応も20年とか30年とかおくれたのではないか。
 もう一つは、多くの感染者が出ているのは昭和50~60年ぐらいにわかっておりますので、ウイルス検査の導入の平成14年、ここでも10~15年遅れたということで、この問題を国がもっとPRしておれば早く人々が知って多くの人が対応できたのではないかと思います。
 こういうように国の対応が非常に遅かったということとか訴訟がないとなかなか対応していただけなかったという現実がありますので、厚生労働省の対応だけでは不十分で、第三者機関をつくっていただきたいというのが1点です。
 次に、第三者機関の中身ですけれども、原因というのは血液によるウイルス感染です。これは予防接種だけではなくてHIVの問題もありますし、輸血、売血制度の問題もあります。今言いましたように針・筒を変えないというのは予防接種だけではなくて一般医療にもありますということで、第三者機関は予防接種だけに限定するのではなくて、健康と生命に関連するものにつきましてはぜひ対象にしていただきたいのが2点目です。
 今、梁井構成員の話にも出ましたけれども、第三者機関というのは問題が起きた被害者を委員に入れていただきたいということと、その前に、こういう問題が起きていますということを上に上げるルートをぜひつくっていただきたいということでございます。
 B型とC型は御存じのように350万人の感染者がおりますし、私の算定するところでは百数十万人がもう亡くなっています。現在も100人以上の方が毎日亡くなっているという悲惨な状況ですので、ぜひ対応をお願いしたいということです。
 最後にお願いは、再発防止策の文書を読んでいただきましたらわかりますように、求められるとか望まれるとか必要があるとか、そういう言葉の締めくくりになっておりますので、ぜひ5W1Hと申しますか、誰が、いつ、どのようにするのだということを早急にしていただきたいと思います。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 荒井構成員、どうぞ。
○荒井構成員 第三者機関的な組織をどうするかということについての議論は大体収束に至るような印象を受けておりまして、これまで前回を含めて大変な議論の末にいいところにまとまりつつあるなということで、とりわけ研究班が短期間の間に非常にいい報告書の方向に持ってこられたということに私は敬意を表したいと思います。
 全体として今後の再発防止策を全うするための組織のあり方の議論にかかわるわけですが、一番肝心なところは、今回の問題に限らないで、企業、行政を含めて、いわゆるコンプライアンスの問題でも、どんなに注意をしていても起こる危険、起こりがちだという問題を抱えていると思うのです。そういう意味で資料2-1の見え消しで言いますと、51ページ、国の姿勢のところでリスク認識の継続性を担保するためにどういうことを考えていくべきか、ここのところが一番大事なところだと思います。
 リスク認識の継続性担保ということを最大限念頭に置いて、今後取り組んでいただく必要があるだろうと思います。第三者機関という点については、繰り返しになりますけれども、現実的にはなかなか難しいだろうと。御指摘のところをなるべく実際上の人選でありますとか、どういうことをテーマにやっていくかということの中で踏まえていただければいいのではないかと思いますので、それが1回切りで終わらないといいますか、今回の報告書について言えば、報告書がいわばスタートのようなもので、これで終わったということではないのだということをとりわけ厚生労働省のほうに十分御認識をいただいて、今後ずっとそれを続けていただくということを特にお願いをいたしたいと思います。
○永井座長 奥泉構成員、どうぞ。
○奥泉構成員 奥泉です。
 もう一点、厚労省の職員や自治体の職員、あるいは医療従事者の方々に対して教育の問題について1点確認的にお話をさせていただきたいと思うのです。
 どんな制度をつくったとしても、そこの方々がどんな意識でいるか、どんな魂を持っているかというところが大事だと思います。取りまとめにおいては、先進知見の集積や研さん、あるいは問題事例の把握、感染症の正確な知識の習得等について、国や自治体、医療従事者の責務としてまとめられています。
 この研さんや知識の習得の前提として、集団予防接種等でB型肝炎ウイルスの感染が発生、拡大した事実の周知徹底が当然含まれているということを改めて指摘したいと思います。現在ではディスポの使用等によって新たな感染事例の発生はないと考えられますけれども、公衆衛生行政にかかわる全ての関係者に対して、今後同じような問題を起こさないための大きな教訓として、B型肝炎感染の拡大の事実。本来国民の健康を守るために行われた予防接種行政、厚生行政によって感染を発生させて拡大させたという痛恨の事実を伝え続ける必要があると考えます。
 今回の取りまとめにこの趣旨が当然含まれているものと考えておりますので、念のために発言させていただきました。
○永井座長 ありがとうございます。
 ほかによろしいですか。
 どうぞ。
○丸木構成員 丸木と申します。
 前回、欠席して議論に加われなかったのですけれども、第三者機関につきましては、趣旨については反対するものではないのですが、実現性を考えると、これを前面に出すというよりも、それ以前にここに指摘されているような、これまでのB型肝炎の感染拡大について反省すべき点が幾つか指摘されています。今、奥泉構成員がおっしゃったように、これはB型肝炎の予防接種だけの問題ではなくて、厚生行政全般に共通する課題ではないかと思います。国の誤りを検証し示すことをスタートにして、国のほうでここに書かれている透明性、公開性を確保した予防接種制度を検討する組織をどう充実させていくか、その実現性をいかに担保していくか。もちろん、被害者の方をメンバーに入れるというのも一つの手法でしょうし、これまでと一味違った組織を希望してやみません。
 以上です。
○永井座長 多田羅構成員、どうぞ。
○多田羅構成員 私、研究班を分担させていただいて、非常に貴重な研究をさせていただきましたことをお礼申し上げたいと思います。
 いろんな日本の公衆衛生の課題、あるいは残した結果を勉強させていただきました。そういうことから、この検討会では、基本として予防接種等によるB型肝炎感染被害の再発を防止するという観点から、特に国の姿勢、国のあり方、国の管理の方向が基本として議論されたかと思います。第三者機関についても議論されているわけでございますが、しかし、私自身、公衆衛生という部門でこれまで勉強してきた人間としては、そういう国の姿勢、国の管理ということもございますが、何よりも日常性、日常的な形の中で常にそういう被害をうむ事態が防止される体制が整っているということが重要なわけで、起こった結果に対して国が管理するというのでは手遅れでございます。
 ですから、何よりも大事なのは、日常的な形の中で予防がどのように行われるのか、全国津々浦々の市町村、保健所においてどのような実態が今の日本の社会の中で備わっているのかということが一番大事なことでございます。
 そういう意味で、国の姿勢というのはむしろそれに対してサポートし、あるいは結果に対して処理するという役割になってしまうわけで、現実には地方自治体の実態が非常に大事になります。その点、資料2-1の53ページに「市町村は」ということと「保健所は」ということで項目を挙げていただいていることについては非常に評価させていただきたいと思います。そういう意味で国の姿勢ということで議論されているわけですけれども、ここに市町村が取り組む枠組みの充実が求められるということも述べられておりますし、保健所が適正な地域管理を実施することが求められるとされておりますわけですので、ぜひともこうして求められている施策が実態化されるよう、国から強い支援、場合によっては指示、通知というものを、この検討会の経過を踏まえて早急に出していただきたいと思います。特に既に風疹あるいはその他の予防接種に関して現実の課題に当面しております。そういう課題に対して、現場の市町村、保健所がどのように考え、自分の問題として取り組んでいくかということが一番大事なのです。この53ページに挙げておられる「求められる」ということに対する国の姿勢を早急に保健所あるいは市町村に対して示していただきたいと思います。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 位田構成員、どうぞ。
○位田構成員 私は前回要務で欠席をいたしましたが、意見を出させていただきました。
 長い間、研究班には非常に充実した研究をしていただいて、また、この検討会でも非常に熱のこもった議論がなされて、結果的に両論併記という形ですけれども、まとまったということにおいて何とか一つの方向性が出せたかなと思っております。
 問題は、制度・体制・組織、そういったものをつくったというだけでは、ある意味では仏をつくって魂入れずだと思うのです。基本的に私の意見の中にも書かせていただきましたけれども、こういったことが起こったということを厚生労働省の組織構成員全員が肝に銘じていただいて、今後、一人一人の厚生省の方々が意識、認識を常に新たにしていっていただきたいと思いますし、そのときには厚生省というのは、冒頭のところで国民の健康を守るという趣旨の文章が入っていますけれども、国の側に寄り添うというよりは、やはり一人一人の国民の側に寄り添って行政を行っていただきたいとお願いしたいと思います。同時に、私は、国民自身もこういった問題に常に敏感になる意識を持っていただきたい。国民の側が厚生労働省の行政に対してウォッチする。国と国民とが一緒になってこういった問題が起こらないようにし、もしくは起こったときには適切な、かつ効果的な解決を図るという方向で進めていく必要があるのではないかと感じました。
 以上です。
○永井座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 今の話は非常にもっともな話でいいと思うのですが、何回か前の検証委員会のときに、行政の職員の数が非常に少ないということで本当にできるのかなという話が出ましたね。もう一つ、人事異動のサイクルが非常に短い。3年とか4年で変わられるということで、これは事なかれ主義にならないのかなという懸念があるのですけれども、そういうのも克服をしていただかないと今言われたようなことがなかなかできないのではないかと思いますので、そういうこともぜひ国では御検討していただいたほうがいいのでないかと思います。
○永井座長 どうぞ。
○丸井構成員 あまり出席できずに申しわけありませんでした。研究班が非常に緻密な研究をしていただいたこと、この検討会の議事録などで一応フォローさせていただいておりました。今回のような形で報告ができるのは非常によかったと思っております。
 その中で、先ほども言葉として挙げられましたけれども、例えば2-1の40ページの「(1)国の姿勢」というところでリスク認識というお話もありましたが、その前に予防原則があります。これについて、予防接種の予防は、英語で言いますとpreventionですね。そして、ここで言う予防原則は英語で言うと恐らくprecautionary principleのことだと思います。英語で言う予防、preventionは、特定の病気を防ぐというのが予防ということで、ある意味では相手が見えている。これが予防です。
 ここで言われている「予防原則」はそうではなくて、何が起こるかわからないけれども、これをすると何か変だという感じです。それがここで言うリスク認識とつながると思います。このままやっていると何が起こるかは具体的にわからないけれども、つまり、そういう意味では戦う相手がはっきりしないけれども、何か気持ち悪い、何か起こる可能性があるかもしれないということでやめておこうではないかということです。例えばヨーロッパではアメリカからの遺伝子組み換え食品を輸入しないことになっています。それは何か具体的な被害があるからではなく、何かが起こるかもしれないから、その前で踏みとどまろうというのがprecautionary principle。これはある方は予防原則ではなく「予警主義」と訳されていて、あらかじめ警戒が必要だという意味で、予防接種で使う予防とここで言う予防原則とは質が違うと思います。
 今回のように実際に被害の方が出た後という話ではなく、そういう意味での予防は特定の被害を予防するのではなくて、何が起こるかわからないけれども、つまり、広く見ておいて一歩手前で踏みとどまるというところが行政に求められているという意味でもあると思います。言葉にこだわるわけではありませんけれども、40ページで「予防原則」というのをぜひ行政の中に織り込んでいただく。英語が入る必要はありませんけれども、これはpreventionではなくprecautionary principleなのだということをもう一度確認しておいて、そうすると、行政が今までできなかったけれども、これからできるかもしれない。そういう方向に行く役に立つかもしれないと思いましたので、一言述べさせていただきました。
○永井座長 事務局、今の点はいかがですか。予防原則という言葉、あるいは予警主義、予警という言葉が今使われているかどうかです。
○丸井構成員 予警というのは余り一般的ではないのですが、私はいい日本語だと実は思っています。予防原則というとどうしてもpreventionと同じになってしまうので、もちろん、ここではこれで構わないのですけれども、予防接種はある特定の疾患を予防するために行われるものですね。ですから、特定のというのがいつも頭にあるのですが、ここで言うprecautionは何が起こるかわからないという意味で、その前ということなので、より本来の行政に近い仕事になるのではないかと思いました。
○永井座長 そのprecautionという言葉が行政の中でどう使われているか、もしおわかりでしたら御意見いただけますか。このあたりは一緒にやっているわけですか。
○正林結核感染症課長 役所の中で、英語で会話をしないものですから、余り意識して使ったことはございませんが、丸井先生の思いは何となく理解できます。
○荒井構成員 言葉を適切に今の丸井先生のお話で置きかえることはできないのですけれども、法律の世界では予見可能性という言葉を使います。いろんな事情があるもとで、これを予見することができたかできないかということで、こういう損害賠償のケースではいろいろあると思うのです。今のお話を伺っていて、奥泉先生、いかがですか。予見すべきところを予見しなければいけないという話につながるような気がいたしまして、言葉として適切なものはないのですけれども、お持ちはよくわかる気はいたしますが、いかがでしょうか。
○奥泉構成員 私も大変勉強になりまして、ただ、先生がおっしゃった予見可能性という言葉になると、もう少し問題が明らかになってきているという感じがして、その前のもう一歩手前の問題をきちっとしなければいけないというのが丸井先生のお話のような感じをいたしました。
○位田構成員 私は国際法がもともと専門ですが、「予防原則」というのは環境の問題でしばしば使われる言葉で、丸井構成員がおっしゃったようにprecautionary principleというのは予防原則と一般に訳されています。preventionは「防止」という言葉、「予防」ではなくて、むしろ、おっしゃるとおり何か起こることがわかっているからそれを防止する、preventするという意味です。私はむしろ、preventionは防止であって、precautionは予防であって、。その予防原則というのは、例えば法に従って合法的な行為をやっていても、場合によっては被害が起こるかもしれない。今おっしゃったように、普通にやっていても何か問題が起こるかもしれない。本来ならば起こらないはずなのだけれども、起こってしまうことに常に注意をする、留意するというのが予防原則の中に入っていると思いますので、今、丸井構成員のおっしゃったことはそのとおりだと思っております。
○垣本構成員 お聞きしたいのですが、proactiveという言葉もあると思うのです。そして、事故防止のためにはproactiveな行動をしなくてはいけないということも一方では使うのですけれども、先生の言葉を借りると、proactiveという言葉は使わない、ちょっと違ってくるのでしょうか。
○丸井構成員 そうですね。prevention、precautionとは別の使い方でproactiveというのは出てくると思います。precautionは先ほど私が一言言いましたけれども、たとえば原則としてヨーロッパではアメリカの遺伝子組み換えの食品は輸入しないということです。これは経済の争いになっているのですけれども、アメリカは別に何の被害もないではないかと、考えられないではないかと、体に影響はないだろうと主張します。ところが、ヨーロッパ大陸としては、何かあるかもしれないから自分のところは輸入しない。逆に言えば、経済的な、あるいは政治的なアクションをそういう理由でもってとめているという別の側面はあるのですけれども、そこの考え方です。アメリカ側は一体何が起こるのだ、という主張をするわけですが、ヨーロッパ側は別にこれが具体的に起こるというわけではないけれども、何か起こりそうだからとめたいと、それがprecautionです。
○永井座長 考え方とか姿勢の問題ですね。
○丸井構成員 ですから、先ほどのように予防原則という言葉は別に構わないのですけれども、そこで言うことはpreventionではないということを頭に置いておく必要があると思いました。
○永井座長 よくリスクマネジメントで百聞は一見にしかずではなくて、我々は見る前に信じないといけない、Seeing is believingではないのだということです。We have to believe before seeing itとチェルノブイリの事故の後に書かれていた本があります。その辺の予見というのか予防、precautionということが行政に求められるということではないかと思うのです。
 議論が広がりましたけれども、よろしいでしょうか。ほかに御意見はございませんでしょうか。もし御異議ございませんでしたら、本日の資料2-2の内容をもちまして本検討会のまとめとさせていただきますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○永井座長 ありがとうございます。
 では、きょうは局長さんにお見えいただいております。一言、御挨拶をおねがいいたします。
○矢島健康局長 健康局長の矢島でございます。
 本日のこの検討会で、検証会議における議論をおまとめいただきました。私から一言お礼の挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。
 平成23年6月に締結をされました基本合意書に基づき、この検討会に集団予防接種等の際の注射器等の連続使用によるB型肝炎ウイルスの感染拡大の真相究明、検証、再発防止策の検討をお願いしておりましたが、構成員の皆様方には、検証会議が昨年の5月31日に開催されて1年と3週間になります。長い期間にわたりまして御議論をいただき、大変ありがとうございました。また、本検討会を取りまとめいただいた座長の永井先生、研究班の代表者として実態調査を行っていただいた多々羅構成員には、重ねてお礼を申し上げさせていただきます。
 さらに、B型肝炎の被害者の御本人、御遺族の方々、医療従事者の方、自治体、保健所を初め、ヒアリングやアンケート調査、研究班の検証作業などさまざまな面で御協力をいただいた方々に改めて厚くお礼を申し上げます。
 厚生労働省といたしましては、被害者の方々の肉体的、精神的、経済的負担及び社会的差別、偏見の実態を重く受けとめ、同様な事態を二度と引き起こさないよう、御提言をいただきました再発防止策の実現に向けて、必要な予算や定員の要求等に取り組んでいくことといたしております。
 今後ともB型肝炎訴訟の着実な和解と肝炎対策の推進につきまして、何とぞよろしく御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○永井座長 あと事務局から連絡事項はありますか。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 きょう御了解いただきました資料2-2につきまして、日付等を入れた報告書の最終版につきましては、追って御送付をさせていただければと思います。
 以上でございます。
○永井座長 では、これで検討会を終了させていただきます。
 長い間、構成員の皆様、ありがとうございました。


(了)

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