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2013年7月25日 第10回肝炎対策推進協議会 議事録

○日時

平成25年7月25日(木)17:00~


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○議事

○井上肝炎対策推進室長 では、定刻となりましたので、ただいまより「第10回肝炎対策推進協議会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。
 本日は、現時点で16名の委員に御参集いただいており、会議の定足数に達しておりますことを御報告いたします。浅倉委員、それから柿嶋委員、小森委員、瀬戸委員におかれましては、御欠席の連絡をいただいております。
 申しわけございません。16名と申しましたが15名でして、溝上委員がおくれてまいられるという予定でございます。
 さて、会議の開催に当たりまして、健康局長の佐藤から御挨拶をさせていただきます。
○佐藤健康局長 皆さん、こんにちは。今、御紹介をいただきました健康局長の佐藤敏信でございます。
 きょうは、お忙しい中、第10回肝炎対策協議会にお集まりいただきまして本当にありがとうございます。平素より、肝炎対策行政に多大なる御尽力をいただいておりますことに、この場をかりて厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 実は、私は、7月2日付で前矢島局長を引き継ぎましてこの職にあります。せっかくの機会ですから、少し私自身のこともお話をさせていただきますと、過去におきまして、私は、もう随分前になりますけれども、感染症課におりましたし、また、その後、大臣官房厚生科学課に移りましてからも、肝炎対策について少し仕事をさせていただいた経験がありまして、全くの門外漢というわけではないのですけれども、実はそれ以降15年に近い歳月がたちました。その間にさまざまな問題や、その間には法律の成立などもありまして、私自身も急いで勉強して、今の実態も含めて勉強して、キャッチアップしなければいけない状況にございます。いずれにしましても、皆様方と一緒に肝炎行政に取り組んでいきたいと思いますので、改めてお願い申し上げる次第でございます。
 さて、私が申し上げるまでもなく、平成22年1月に肝炎対策基本法が成立し、さらに、その翌年の平成23年5月には、委員の皆様の御尽力により肝炎対策の基本指針が策定されました。現在、この基本指針に基づきまして5本柱、すなわち医療費助成、肝炎ウイルス検査の促進、医療提供体制の整備、あるいは正しい知識の普及啓発、そして、研究の推進ということで進めております。きょうは、そうした中で、各自治体の肝炎対策の現状について、また、さらには、国の研究事業や普及啓発事業の実態についても御説明させていただきますし、田中委員ほか1名の御発表も予定しております。
 いずれにしましても、平成26年度の予算要求については、またこの後、皆様から御意見をいただく次第でございます。限られた時間ではございますけれども、忌憚のない御意見をちょうだいすることをお願いいたしまして、簡単でございますが、冒頭の挨拶にかえさせていただきます。どうかよろしくお願いします。
○井上肝炎対策推進室長 さて、5月1日付で委員の交代がございました。御紹介をさせていただきます。
 大久保委員でございます。
 それから、続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
 先ほど御挨拶いたしました健康局長、佐藤でございます。
○佐藤健康局長 よろしくお願いいたします。
○井上肝炎対策推進室長 健康局疾病対策課長、田原でございます。
○田原疾病対策課長 よろしくお願いします。
○井上肝炎対策推進室長 申しおくれましたが、私は、健康局疾病対策課肝炎対策室長の井上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料、まず、「第10回肝炎対策推進協議会 議事次第」がございます。
 それから、議事次第の次には、「第10回肝炎対策推進協議会 資料」という厚いホチキスどめの資料がございます。1枚めくっていただきますと、その中の資料一覧が、資料1から資料6まで、ページ数とともに打ってございます。
 さらには、「第10回肝炎対策推進協議会 参考資料」という、これもホチキスどめの厚い資料がございます。この資料も、1枚めくっていただきますと資料一覧がございまして、参考資料1から参考資料5まで、及び大賀委員提出資料、それから清本委員提出資料とございます。
 それぞれの資料の内容に関しまして、抜け等がございましたら、事務局まで申し出くださいませ。
 なお、資料一覧に掲載しておりますもの以外に、委員の皆様方には、資料1及び資料3の自治体調査結果のバックデータといたしまして、各自治体における肝炎対策の現状に関する調査に係る調査票とその全集計データを配付させていただいております。こちらは大部にわたりますので、恐縮でございますが、本日は委員のみの配付とさせていただいております。なお、後日、厚生労働省ホームページ上におきまして全文を公開する予定としております。
 以上、資料の過不足等がございましたらお申し出いただきたいと思います。何かございますでしょうか。
 それでは、カメラ撮りはここで終了とさせていただきますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
(カメラ退出)
○井上肝炎対策推進室長 では、これより進行は林会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○林会長 それでは、司会を務めさせていただきます。約2時間の会議でございますが、本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事次第に従いまして議事を進めていきたいと思います。
 まず最初の議題でございますが、各自治体における肝炎対策の取組状況等につきまして、事務局より御説明をよろしくお願いいたします。
○井上肝炎対策推進室長 資料1「各自治体における肝炎対策の取組状況」について御説明いたします。これは1ページ目から、全部で18ページ目まで、やや大部の資料でございます。各委員の皆様におかれましては、既におなじみのデータも多いと思いますので、特に、前回の肝炎対策推進協議会において、各委員の皆様方からいただいた意見に基づき作成した資料を中心に御説明をさせていただければと思います。
 まずは、7ページ目をおめくりください。この資料は、健康増進事業の肝炎ウイルス検診の実施率のデータでございます。
 それから、ページをめくりまして、8ページは、個別勧奨の実施率を都道府県別にまとめたものでございます。いずれも、分母が全市町村数、分子が実施市町村数という数でございます。
 それから、引き続きまして、資料の9ページが、個別勧奨における年齢上限をまとめたものでございます。
 10ページが、平成22年度と23年度の受診者数を都道府県別に比較をしたという表でございます。前回の協議会で阿部委員より、受診者が大幅に伸びている県における増加要因を確認してもらいたいという旨の御要望がございました。これらの資料をもって直ちに個別勧奨の効果があったと断定することはできませんが、ことしの肝炎対策ブロック別の担当者会議におきまして、平成23年度の受診者数が大幅に増加している自治体に対して、その理由を聞いたところ、多くの自治体から、個別勧奨の効果だと考えられるとの回答がございました。こうした受診者数の増加と個別勧奨の実施との因果関係につきましては、引き続き検証してまいりたいと考えております。
 引き続きまして、前回、委員の皆様からの御指摘を踏まえて作成した資料を中心に御説明いたします。少しめくっていただきまして、資料の14ページ、15ページでございます。これらは、都道府県に対し、肝炎患者支援手帳の作成部数、それから、主な配布先、主な掲載内容、病診連携に資する工夫点、未作成の理由等についてアンケートを行い、その結果をまとめたものでございます。前回の協議会で阿部委員より、肝炎患者支援手帳の配布の実態を把握整理すべきという御意見をいただきました。それを踏まえての資料でございます。未作成の都道府県は、こちらを参考に手帳の作成を御検討いただき、また、既に作成済みの都道府県も、こちらを参考に手帳の内容を充実していただければと考えているところでございます。
 引き続き、前回の協議会における各委員のコメントを踏まえた資料に関しましてお示しいたしますと、資料の17ページ、18ページは、出張型検診を実施している自治体に対し、実施の方法、工夫点、成果、課題等についてアンケートを行い、その結果を資料にまとめたものでございます。
 本事業は、実施自治体が少ないことから、前回の協議会で阿部委員より、やっているところがどのようにしてやっているのかについて整理をすべきという御意見をいただきました。それを踏まえての資料でございます。事業未実施の自治体に対しましては、こちらを事例に情報提供して事業の実施を促していきたいと考えております。
 以上、前回の御指摘を踏まえたところを中心に御説明いたしましたが、資料全体として、各自治体における肝炎対策の取り組み状況についてまとめたものでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○林会長 どうもありがとうございました。
 前回の御質問に対しまして事務局のほうで今回の資料を作成いただきましたけれども、何か御意見とかございますでしょうか。どうぞ、有川委員。
○有川委員 有川と申しますけれども、前回の協議会のとき、私から、B型肝炎訴訟について資料を出していただきたいと。きょうはまだ説明がなかったですけれども。
○林会長 それは後ほど。
○有川委員 後ほどありますか。
○林会長 はい、ございます。
 それ以外にございますか。どうぞ。
○阿部委員 委員の阿部でございます。
 前回のお願いに対して、このような具体的な調査資料を出していただいて大変ありがたいと思っております。前回の内容では30%ぐらいということでしたけれども、今回の調査では全国で43%ウイルス検診の受診者がふえたということです。それで、前回は恐らく個別勧奨によるものではないかというような御説明があったわけですけれども、私もちょっと分析してみたのですが、今回の10ページの資料に受診の増加率が出ています。その前に個別勧奨の実施率というものが8ページに出ておりますね。その実施率と今回の伸び率を比較してみたのですが、伸び率がベストテンの都道府県とワーストテンの都道府県を比較したんです。そうしたら、勧奨率がベストテンのところは74.1%、これは1万人ぐらいの数の多いところだけを拾いましたけれども、ワーストテンは47.7%ということで、明らかに個別勧奨をやっているところの伸び率が高いということは、私もこれでわかったのですね。
 ただ、こうして見ますと、一概にそうも言えないところがあるのですね。それで実態がどうなのかということですが、私は岩手県の協議会の委員もやっておりますので、2月に岩手県の協議会が開かれる前に各市町村の担当者に電話して個別に話を伺ったのです。それで、実態を見ますと、例えば岩手県は恥ずかしながら非常に伸び率が悪くて、実は14%なんです。だけれども、東北の中では、例えば40歳以上の人口比にすれば非常に高い率で推移して来ているわけです。ところが、これを市町村で比較しますと、全くマイナスのところもあるし、増加率が3倍、4倍になっているところもあるという実態なのです。例えば6万人ぐらいの市でも、40歳はやっているのだけれども、41歳以上についてはゼロのところもあるし、何千人もやっているところもあるというようなことで、全く市町村によってばらつきがあったわけです。
 それで、県の担当者には、それを何とか是正するというか、伸びるように何とか指導してくれないかという話をしましたが明確な回答は得られませんでした。ここは厚生労働省の協議会ですので、全国でなぜこんなに差があってばらばらなのか、今回はいい事例がいっぱい出ていますので、それらをどうやって各市町村レベルまで伝えていくかというところで知恵を出していかなければいけないのではないかと私は思います。
 それで、ちなみに、各市町村でどんなことでこの健康増進事業に基づく肝炎ウイルス検査をやっているかということですけれども、これは御存じだと思うのですけれども、厚生労働省の健康局長さんのお名前で文書を出しています。それで、「肝炎ウイルス検診等実施要領」というものもつくられているのですね。その実施要領を、きょう説明する時間がないのですけれども、例えばその内容を見ますと、まだまだ従来の考え方に基づいた内容の指導を市町村に行っているところがあると感じます。あるいはあやふやな文言というようなところもあります。例えば40歳というのはどこでもやっているんですよ。それはなぜかというと、実施要領の中の対象者という中に1というところがあって、40歳はやりなさいとなっているんですよ。ところが、41歳以上になると、過去に肝機能検査の数値に異常が見られたものとかいろいろ書いているわけです。そうすると、やらないところとやるところが出てきて、うちのほうはこういう考えなんですよというようなこととかですね。
 あと大きいのは、いろいろな様式が例示されているわけです。例えば、個別勧奨はこういう様式でしなさいと。ところが、市町村によっては、ウイルス検診だけを1つの様式でやっていないところがほとんどなのですね。そうすると、自分たちのところは個別勧奨の対象にはならないのではないかということで個別勧奨の申請をしていないところもありました。あと、出張型検診というのは、前回も指摘したとおり、1割ぐらいの自治体しかやっておられない。この出張型検診というのは、健康増進事業の出張型検診ですよね。ところが、実施要領には一切その文言がないんですよ。一つも。
 私は県の委員をやっていて実際の議論で感じるのは、各県などでは非常に高いハードルがあるんです。というのは契約、いわゆるここの内容にもあるのですけれども、検査機関に契約とか、検査機関を選定しなければならないのです。そういうものの事務処理が担当課でできなくているわけです。それらが大変でクリアができない。だけれども、やはりこれも実施要領に若干の具体的な内容があれば、私は1割が5割ぐらいになるのではないかと思います。今回、非常にいい施策をやっておられるところがいっぱいあります。ことしの平成25年2月8日で実施要領の一部改正が出ていますけれども、これは、いわゆる検査の内容についての改正なのですけれども、そうではなくて、事務の内容についても次回の改正の際にもう少し踏み込んだ実施要領にしていただければと感じました。
○林会長 ありがとうございました。かなり詳しい解析をしていただきましたけれども、各都道府県の自治体で差がある点は、私も恐らくそうだと思います。その原因はいろいろあるのですけれども、それはなかなか厚生労働省単位でやるのは難しいのですけれども、ただ、今、阿部委員がおっしゃられた、文章を変えるだけで個別勧奨の率が非常に上がるのだと、それはもうできることなので、事務局いかがでしょうか。文章だけだったら別に、出す文章を変えるだけですのでそれほど大変なことではないと思いますが、どういうふうに変えていただいたらいいかというのを、具体的に阿部委員から事務局のほうにお送りいただいてもよろしいですかね。
○阿部委員 そうですね。
○林会長 ここでそのことを今、議論する時間がありませんので、それは、阿部委員から事務局に、ぜひその文章をお出しいただければと思います。事務局もそれでよろしゅうございますか。
 どうぞ。
○大賀委員 関連で。私たちから見ましても、この県別で実施率にすごいばらつきがありますよね。それについては、厚生労働省はどういうふうに受けとめてあるのかというのをお聞きしたいのですけれども。
○林会長 どうぞ。
○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。
 肝炎対策におきましては、治療そのもののみならず、実際、検査の勧奨、それから知識の普及啓蒙、肝炎対策のプログラムそれぞれについて均てん化、どの地域に患者さんがいても、国民の方がいても、同じサービスが受けられるというのが、あるべき姿だと認識しております。
 そうした理解に立てば、都道府県ごとに、あるいは阿部委員が先ほど御指摘なさったように、都道府県ごとよりも、むしろ基礎自治体、市町村ごとに大きなばらつきがあるという現状は、あるべき姿ではない、望ましいものではないと。今後とも取り組みを強めていく必要があると考えております。
○林会長 ほかによろしゅうございますか。どうぞ。
○大久保委員 ありがとうございます。連合の大久保と申します。先ほどは、済みません、御挨拶し損ねましたが、これまで委員を務めておりました遠藤にかわりまして、今回から出席させていただきます。よろしくお願いいたします。
 私は、労働条件・中小労働対策局ということで、実は、春闘ですとか最低賃金などの担当でございます。ですので、正直、肝炎対策というものは全くの、ほとんど門外漢と申し上げてよろしいかと思います。ただ、職場での労働条件の決定にかかわる立場におりますので、そのような立場から、この肝炎対策に何ができるか考えさせていただきたいと思います。その立場から、この資料につきまして幾つかお尋ねしたいことがございますので、お願いいたします。
 まず、4ページに、各都道府県における肝炎対策協議会の設置・開催状況がございます。こちらに委員としての患者の任命状況につきまして、47都道府県のうち、6県でいまだに未定もしくは不要であるという判断をされているということでございます。これにつきましては、私が申し上げるまでもなく、患者の皆様がこの協議会に入ることが非常に大切であるということをまず1点申し上げさせていただきます。
 そしてもう一つ、各都道府県における協議会にも、この厚生労働省における協議会と同様に、労使の立場で参加なさっている委員がいらっしゃるのかどうか、これがもしわかれば御回答願います。と申しますのは、先ほど17ページに御紹介がございました出張型検診、こちらは、職域ごとにも検診の事例があるということでございましたが、このような出張型検診を受け入れるかどうか、非常に各事業場にとっては判断の難しいところだと思いますが、この県の協議会に、例えば労働組合の代表あるいは使用者団体の代表がいれば、そこの団体を通じて、つまり労働組合あるいは使用者側というルートを通じて、このような検診がある、ぜひやってほしいということを紹介もできれば、働きかけもできるかと思います。ですので、この県ごとの協議会への労使の参加について、もし情報があれば御紹介いただきたいですし、もしないということであれば、次回から調査をしていただければと存じます。
 以上です。
○林会長 いかがでしょうか。今すぐわかりませんよね。各都道府県の数字はね。
○井上肝炎対策推進室長 事務局でございます。
 各都道府県それぞれ設置要綱を個別に定めてございますので、今、手元で47都道府県、労使の委員を含む、含まないということに関してどういうルールになっているかということをすぐには、手元にはございません。ただ、今の大久保委員の御指摘を踏まえまして、次回の協議会までに調査が可能かどうか、事務局で検討させていただければと思います。
○林会長 ただ、各事業所での肝炎検査を促進していただきたいというのは、いろいろな場を通じて我々もお願いしております。もちろん厚生労働省からも、経営者側からもお願いしているようですが、実は現在、なかなかうまくいっておりませんで、そこがうまくいくと、恐らく検診のいろいろな率というものはより上がってくるだろうと我々も思っております。
 ほかにどうぞ。
○阿部委員 そうしますと、この肝炎ウイルス検診等の実施要領について、意見をまとめて提出ということでよろしいのでしょうか。
○林会長 ごらんいただいて、文章のこういう点が悪いというか、ここを変えていただくと、それで実質上がるとかというところがありましたら、それをお教えいただくと、対応がとれるものについては対応をとっていただけると思います。
○阿部委員 では、後でお送りしますので、よろしくお願いいたします。
○井上肝炎対策推進室長 承ります。
○林会長 それ以外いかがですか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、次の議題がございますので、次に進めさせていただきたいと思います。次は「各委員からの報告」でございますが、肝炎対策の取り組み、広島県におけるフォローアップシステムということで、田中委員より御発表いただきます。よろしくお願いします。
(PP)
○田中委員 広島大学の田中です。肝炎の疫学の研究にかかわっており、対策も含めた研究を行ってきております。
 きょうは、私のおります広島県で、この4月1日から検査で見つかった人たちのフォローアップシステムを立ち上げましたので、その概要について簡単にお示ししたいと思います。
(PP)
 概要ですけれども、B型肝炎ウイルスが見つかって、C型肝炎ウイルスが見つかりました。日本では1990年代からかなり、測定計が開発されたこともありまして、いろいろな場所で検査が行われております。広島県、佐賀県、岩手県など、先駆的に住民検診において肝炎ウイルス検査が行われておりますし、それに伴って治療もいろいろ行われてきております。医療機関での検査も進んできたわけです。このときに得られました疫学的な情報をもとに、肝炎ウイルスに感染している人と肝がんとの関係、あるいは持続感染者の自然の病態と肝がんになるかどうかというようなこと、それから、治療のこととか、自覚症状がないまま見つかった人の肝臓の状態がどうかというようなことをもとに、国は老人保健法による節目・節目外検診を導入しました。2000年代は、肝炎対策基本法もできましたし、いろいろな場所で検査、治療、対策が進んでいる現状であります。
(PP)
 このように日本で検査が進んできたわけですけれども、大まかに、全国民を検査を受けていない人と受けている人と分けさせていただきますと、検査を受けた人の中で陰性の人はこれでいいわけですけれども、検査で陽性だった人で治療が済んでいる人がいます。
 感染している人をこのように囲ったときに、検査を受けていないで感染している人、検査を受けた人で、患者さんとして通院・入院治療をしていらっしゃる持続感染者の方、それから、検査をして陽性だったにもかかわらず持続的な受診に至っていないで、そのまま放置している人、このような図式になるのではないかと思っております。それから、検査を受けていないという人の中で、先般の厚生労働省の大規模な調査から、検査をしたはずなのに、御自身が検査を受けたという自覚がないために治療に至っていない方もいらっしゃるということが明らかになっています。
 ここの持続感染者というところをちょっと切り出してみますと、感染を知らないままいる人が2005年時点の段階で170万人ぐらいいるということで、今、検査がどんどん進められて、この数は相当少なくなっているものとは思います。患者さんとして通院している方は、適切な治療を受けているかどうかということが問題になっています。
 この3ですけれども、私のほうで問題点としておりますのは、検査をして陽性だったにもかかわらず、医療機関受診に至っていない、治療に至っていない人を放っておいてはいけないのではないかということ。つまり、検診後の医療機関受診率、あるいはその方々の継続受診率、特に肝臓専門医に1年に1回は行っていらっしゃるかというようなことについて、ここが今の日本の問題点ではないかと考えております。
(PP)
 そこで、広島県では、2009年にその問題点をもとに、2002年から始まった節目・節目外検診を受けて陽性だったと通知を受けた人に、広島県では23市町がありますが、そのうち12市町の保健師さんが、保健指導という観点から、その後、医療機関を受診しているかしていないか、医療費助成を受けてきちんと治療されているかどうかという調査を行いました。
 そうしますと、この期間に住民検診、市町の行う肝炎ウイルス検査を受けてB型のキャリアだと判定された人は709名、C型は630名でしたけれども、追跡調査、動向調査に回答していただいたのは、回収率が60%と70%ぐらいでした。その回答していただいた人の中では、専門医療機関あるいはかかりつけ医で受療中の人がB型で6割、C型で8割、今は受療していないけれども、一度受診しましたという人を合わせますと、C型では90%ぐらいが医療機関に行っているという非常に高い医療機関受診率が得られたわけです。
 しかしながら、これは、セレクションバイアスというか、回答された人は、医療機関を受診した人が答えやすいということがありますので、このバイアスを調整して、肝炎ウイルス検査で陽性と判定された人の中で、本当に医療機関に行った人はどの程度かということを推定しますと、B型では50%ではないか、C型では65%ではないかということが広島県の調査からわかったわけです。
(PP)
 それで、C型で、この医療機関に行っていた408名については、インターフェロン治療を4分の1の人が受けていました。受けていない人の理由はさまざまあるのですけれども、インターフェロン治療を受けた4分の1の方の開始した年は、やはり医療費助成が始まってから、治療導入がひろがったということが明らかになっております。
(PP)
 このような状況を踏まえまして、広島県ではフォローアップ事業というものを、検査で陽性だということがわかった人を着実に治療導入に結びつけるためのフォローアップ事業というものをこの4月1日から立ち上げたわけです。この目的としましたら、県市町が行う肝炎ウイルス検査の結果、B型、C型、いずれも陽性と言われた人を、広島県の肝疾患診療・治療ネットワークにおける専門医療機関へつなげる必要があるということから、登録をさせていただいて、その後の治療継続、保健指導などを行うのが目的であります。
(PP)
 登録の対象者は、現在は「広島県に居住する者で、原則として県または市が実施した検査で発見されたキャリア」ということになっておりますけれども、これをもっと対象を広げまして、何かのチャンスで肝炎ウイルス検査で陽性と判定された人も、このフォローアップ事業に含めてはどうかという議論が現在行われております。今の時点では、この4月から開始したものでは、市町が実施した肝炎ウイルス検査で陽性と言われたキャリアの人に登録への同意を説明するというシステムになっております。
 登録する内容は、検査の結果、それから医療費助成制度を利用されているかどうかというようなこと、保健指導の内容などを登録することになっています。
(PP)
 絵でお示しします。実は、広島県はこの4月1日から、疾病対策センターを構築しました。その中のヘルスプロモーションの一部として、この肝疾患患者フォローアップシステムを入れ込んだわけです。担当は、この薬務課の情報データベースなのですけれども、住民検診、検査で陽性と判定された方がいらっしゃいましたら、保健所あるいは市町から、説明文書と登録同意書をお送りして説明するという手続をとります。そうしましたら、患者さんは、これを持って、同意書に記入したものと調査票に記入したものを持って、かかりつけ医あるいは肝疾患専門医に行くことになっております。かかりつけ医さんに行かれた方は、ここから肝疾患専門医に行くこともできますし、直接これを県のほうに送ることもできます。ここで患者情報が収集されて、同意書と調査票をデータベースに入れることができるということであります。
 ここに入れられたデータをどうするかということですが、患者情報を県にフィードバックしまして、検査で陽性と判定された人のうち、どの人が行って、どの人が行っていないかということをここで把握できるわけです。そこで保健指導、あるいは行っていない人については受診勧奨を行うことができまして、この保健指導の内容についても、もとの県の薬務課のほうに保健指導の報告を年に1回行うことになっています。
 ここで集まりましたデータを年に1回集積しまして、各種肝疾患患者さんの役に立つような講演会とか治療の情報とか、研究班での内容とかをまとめたものを、年に1回、患者さんのほうに情報提供、メリットとしてお送りすると同時に、受診状況調査というものを行いまして、どのような治療が行われているのか、かかりつけ医さんと専門医の先生に書いていただいて、次の年にデータベースとして登録されるというシステムであります。このデータが集まってきますと、最終的には、この肝疾患連携医の専門医の先生への情報、必要なデータにもなりますし、行政施策への反映もできますし、それが相まって、患者さんへの適切な行政のシステムづくりにもなると考えています。
(PP)
 これが登録同意書で、登録同意者がここに自署するものです。こちらは、かかりつけ医さんが記入するところで、専門医が記入するところが大変なのですけれども、これを書いて県に出してもらいます。そこで、文書料というものが普通発生するのですけれども、かかりつけ医さんが書かれた場合には1,000円、専門医の方が書かれた場合には1,500円を県が負担することにしていますので、その患者さんの負担はないということでスタートしております。
(PP)
 それで、保健指導は、保健所で受けた人は保健所で、市町で受けた人は市町の保健師さんが行うということであります。
(PP)
 こういう支援は、年に1回の情報提供、あるいは保健師による保健指導が受けられる、いろいろな講演会の案内が行くということで、メリットを出しながら情報を共有していきたいということです。もちろん、個人情報の保護については、県の条例で決まっておりますので、きちんと守った上で解析などが行われます。
(PP)
 これは、広島県の肝炎ウイルス検査の状況ですこれはC型です。老人保健事業が始まりまして、節目・節目外検診が大体9万人が検査が済んでおります。健康増進事業に引き継がれまして、大体15万人がC型については検査を受けたことがわかっています。該当人口で割りますと35%ぐらいが済んでいます。ただ、広島県は、先ほどお話ししましたように、老人保健事業の節目・節目外検診が始まる前にパイロットでもう既に5万人が済んでおりまして、これを加えますと、対象人口の中の受検率は43%ぐらいになると計算されています。
(PP)
 これが特定感染症検査事業で、こちらは分母がわかりませんので、県民全体なので、月別の状況についてお示しします。C型とB型を合わせた検査数ですけれども、2008年は多かったのですが、徐々に減り始めております。ただ、ここでちょっとふえているのですが、ことしの3月にテレビと新聞とポスターを使いまして広報を行いました。それから、薬局でチラシを配る、目薬を買いに行っても、肝炎検査を受けましょうというチラシを何万枚も配っていただきまして、ここで増えたかのように見えています。前年もちょっと増えているので4月の検査数データを見ないとわからないのですけれども、増えたのではないかと期待しております。
(PP)
 それから、インターフェロン治療の公費助成の申請数ですが、インターフェロンの申請が開始され、最初はふえたのですが、徐々に減ってきました。全体で1万2,000という発行数になっております。アナログ製剤治療が治療助成になりまして、インターフェロン3剤の併用の許可がおりたのがここで、そのときに急激に高くなっています。内訳を見ますと、インターフェロンについては徐々に減ってきています。アナログ製剤治療が公費助成可能になってからふえましたけれども、この更新分が毎年年度末に来て、インターフェロン3剤がここということです。フォローアップシステムを使うことによって、また検査数と助成数が増えることを期待しています。
(PP)
 最後に、これは研究班で行った調査ですけれども、先ほどの広島県で行った検査を受けて陽性だと言われた人がどのくらいの医療機関受診率かということを、全国で調べてみました。7つの自治体の協力で、7つの自治体が保健指導の一環として、検査で陽性と判定された人の調査を行っていただきました。
 「肝炎ウイルス検査を受けたことがありますか」という当たり前の質問をしたのですけれども、検査を受けて陽性と判定された人が対象にもかかわらず、15%の人が、検査を受けたこと自体を忘れていらっしゃいました。検査を受けたことを覚えていらっしゃった陽性の方でも、検査結果を陰性だと間違って覚えている人が1割もいらしたので、このデータは衝撃でありました。検査を受けて、自分が陽性であるということをわかった人の医療機関受診率は9割ぐらいになるのですけれども、本当は、この方全員が医療機関に行かねばならないので、これを分母にしますと、医療機関受診率は66%ぐらい。これはBとCに分けてありますが、C型では70%、B型では60%ぐらいになっています。検査を受けて陽性だとわかった人は、かかりつけ医や専門医を受診する方がだんだんふえてきておりますけれども、やはりこのようなところで、フォローアップシステムとか肝炎コーディネーターの活用が必要だと思っています。
(PP)
 そこで、広島県では、検査を受けた方に、陽性の方も陰性の方も、これをお配りすることを計画しています。これはカードになっておりまして、陽性か陰性かをここに書くのではなくて、検査をした日を書いてもらって、検査を受けたということを自分で覚えてもらおうということです。今年度、C型肝炎ウイルス検査手順が変更し、要領が少し変わりましたけれども、検査日を覚えましょうということも書いてありますので、これを広島県では配ることを計画しています。
(PP)
 疫学班でまとめております受検率と医療機関受診率ですけれども、対象者がそれぞれ違って、それぞれ検査受検率は違うのですけれども、職域では10%から15%程度。対象者が違いますけれども、ここの対象者あるいは一般住民の聞き取り調査などから30-40%、また、自分が受けたことを認識していない人を含めると6割ぐらいという、幅のある受検率でありました。検査で陽性だと言われた方の医療機関受診率につきましては、先ほどお示ししたデータから6割から7割ぐらいではないかと考えております。
(PP)
 先ほどお示ししましたキャリアの方を、感染を知らないままの方、患者さんとして通院している人、医療機関受診に至っていない人と分けますと、それぞれの課題を肝炎コーディネーターの方とか、フォローアップシステムで補充していけばいいのではないかということで、広島県ではフォローアップシステムをこの4月1日から開始しましたので、簡単に説明申し上げました。
 以上です。
○林会長 どうもありがとうございました。
 広島県ではいろいろな取り組みをされておりますけれども、どうぞ、御質問がございましたら。どうぞ。
○阿部委員 大変すばらしい内容だと思います。それで1つ、ちょっと内容をすっかり見ていないのであれですけれども、今までの陽性者というのは、もう大変な数の方がいらっしゃるわけですけれども、その方のデータベースというのは、この中に入れ込むのでしょうか。
○田中委員 この4月1日から始まったばかりで、初年度ですので、ことし検査を受けて、陽性だと言われた方に対して、同意文書と説明を行って少しずつ登録をしていただく。それが徐々に普及していけば、今までもう既にキャリアだとわかって治療を受けている方も患者団体の方とかも含めて入っていただければいいのではないかと考えております。
○林会長 よろしいですか。
○阿部委員 わかりました。
○林会長 どうぞ。
○大賀委員 広島県のこれを立ち上げるに当たって、薬務課ですか、これは、スタッフの体制は、このために何か充実されたのでしょうか。
○田中委員 どこの県も同じだと思うのですけれども、人手不足で大変でございまして、この準備に1年半ぐらいかかっております。スタッフは、別にこのフォローアップシステムのためにふえてはおりません。確認しますけれども、ふえていないと思います。ただ、他の理由で増員が一人あります、このフォローアップ事業のために増員は、ありません。
○林会長 どうぞ。
○大賀委員 肝臓専門委とかは意識が高いですので、こういうシステムは受け入れがスムーズに行くかもしれませんけれども、一般開業医とかの意識ですね、かなり負担になりますよね。情報、データを。そこらあたりは、例えば県の医師会と協議なさるとか、そういうようなことはあったのですか。
○田中委員 この8月、9月にも集まっていただきまして、フォローアップシステムの説明会を何度となく今から行う予定にしております。
○林会長 特に、文書料を県が出したというのは非常に大きいと思いますね。だから、あれだと、先生方も非常に書きやすくなってくるのではないかと思いますが。
○田中委員 文書料を県が負担したということで、やはりかかりつけ医の先生も、専門医の先生も前向きに協力してくださるということで、医師会が、このフォローアップシステムを受けてくださったということです。
○林会長 ほかはよろしゅうございますでしょうか。どうぞ。
○相澤委員 ジャパンCDCというのは日本医学会で提案しているのですが、広島版のCDCというのは初めて知ったのですが、これは肝炎だけについてのものなのですか。
○田中委員 いいえ、肝炎だけではありません。新型インフルエンザ、SARS、いろいろなサーベイランス事業がありますね。あれをもとにしたいろいろな感染症対策、そして非感染症も含めた疾病対策を行おうということで、広島県が独自につくったシステムです。その中の一部にこのフォローアップシステムを入れていただいたという経緯があります。
○相澤委員 何人ぐらいの職員でやっていますか。
○田中委員 そのセンターですか。県の職員が専任10名以下ぐらいです(兼任を含めると約30人)
○林会長 特に、きょうのデータを拝見して、検査を受けているのだけれども、受けていないという人の割合が、我々の予想よりもはるかに多いというのは私も少し驚きました。肝炎患者さんだと肝炎の病気のことを非常によくおわかりなのですけれども、検査を受けただけぐらいの方だと、余り肝炎のことを御存じありませんから、5年とか、それより先に検査を受けても、余り正確には覚えておられない可能性もあるということは、これから頭に置きながらいろいろな対策を考える必要があるなという気はいたしました。
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、次は溝上委員から、C型肝炎の検査、加療、治療に関する標準ガイドラインの策定のための専門家会議につきまして御報告いただきます。よろしくお願いします。
(PP)
○溝上委員 先日、6月22日から24日にかけてジュネーブでWHOのHCVガイドラインミーティングがありました。最初は、Low income, Middle income国におけるHCVスクリーニングということでしたが、WHOのガイドラインやスクリーニングや治療についてもやるということでびっくりしたという経緯でございます。
(PP)
 WHOのRegional会議だろうと思っていたのでちょっとびっくりしましたが、ジュネーブだから、夏休みがてらちょうどいいなと思って行こうと思ったのですが、22日に私の施設の市民公開講座がありまして、23日は飛行機がいっぱいで、24日の夜中に行って、ジュネーブに8時20分に着いて、9時から会議で、終わったのが26日の5時半、9時の飛行機で帰国し、なんと2泊4日という状態でした。
(PP)
 さらに、会議の前にメールがじゃんじゃん来まして、何だろうと思って開いてみましたら、100ページを超す資料が送られてきました。これに対して読んでこいということで、こんな分厚いものを持って、飛行機の中で死に物狂いで読んでいったという状態でございます。
(PP)
 昨年は、私は他の用事で、感染研の先生にかわりに行ってもらっていたのです。これが会場のWorld council of Churchです。ここで会議が開かれました。
(PP)
 この写真がガイドラインをつくるために集まった世界各地から集まった参加者です。22名で13カ国から、アフリカ、エチオピアとか、南米のボリビアとか、いわゆる発展途上国からが多いのです。その中で、実は日本とかアメリカは正式のメンバーではないのです。びっくりしたのですけれども、例えば、彼は、Dr. Charles Goreで有名なWorld Hepatitis Allianceのトップでございます。NGOです。昨年、日本にも来ました。それから、この人はProf. Anna Lokといって、アメリカの肝臓学会(ASLD)を代表して来ていました。勿論CDCのメンバーもこの中にいます。 実は彼女が日本人でございまして、オバナ(尾花?)さんという方で、英語とフランス語がぺらぺらで、ここの事務局の、この肝炎の部屋にいて、どうしてこういうことが始まったのかということを聞きましたら、2年前にHIVがうまくいったということで、HIVのチームが解散になったそうです。ただ、そのための人たちが、いろいろなNGOの人たちがこの中にいっぱいいるわけですけれども、もったいないということで、それでHCVになったということです。その会議の費用は日本が出したとかということでした。その意味で、このHCVのガイドラインの作成委員会でも、私とかProf. anna Lokは作成する立場にはなくて、それに対して意見を言うという程度のレベルのところでした。
 ただ、メンバーの中には、一時的なアドバイザーという形で、インターンレベルの人たちがいまして、彼らが、HCVに関する文献を読んで、それをEvidence毎に纏め、その結果から原案を用意しまして、それに対してこのメンバーが、現実に即してやるための意見を言うという形でした。
 それから、Euro WHOがこれを主催し、エイズ、それから結核、マラリアの担当の人たちも参加していました。つまり感染症というものを全体的に見るために参加していまして、そのうち6名、この15名中の6名が最高の決定会議という形でした。(PP)
 それで、この最高決定機関の6名という中に、HIVが2人、それから、Global Hepatitis programと頸静脈麻薬患者を扱うグループとか、そういうところからも参加していました。
 ただ、このProf. Stefan Wiktorという人が取りまとめ役で、いろいろなディスカッションが交錯すると、そこで間に入ってきて、英語でぱぱっとまとめて、きれいな英語にして纏めるという形で進んでいきました。
 私は、国際会議にはいろいろ出ていますが、こういう形は初めてでございまして、WHOのシステムなのでしょうけれども、いつもとは大分違うなと思っています。
(PP)
 これがスケジュールでございます。9時から5時45分まで、この後はレストランで食事ということでしたが、私は時差ボケもあり、もう疲れ果てて帰らせてもらいましたけれども、朝から晩までびっしりでございました。学会とはえらい違うという感じで疲れ果てました。
(PP)
 昼間のランチも、セルフサービスなのですけれども、その間でも、がんがんでうるさいくらいDiscussionしていました。すごいディスカッションの場でした。
 ただ、私の隣に座ったのがエチオピアの人、対面に座った人がアフリカ、それから南米の人たちで、その人たちの話を聞くと、やはりNGOといっても、ある程度のプロみたいな人たちで、感染症に対しては非常に造詣があるし、実際にその地域、その国に適した形でするためにはどうするのだというような話が中心でございます。
(PP)
 それで、出発前に送られてきたのが、この7つのセッションについて話すということでして、PICO-1からPICO-7の課題がありました。PICOというのは、Population Intervention Comparative Outcomeということで、日本語に訳しますと、人口、介入、比較、結果という形になるのですが、この日本語ではちょっとわかりませんから、私は、「各国における集団介入したことによって対費用効果がどうなるか」というように訳しました。
そのPICO-1のディスカッションのテーマは、HCV抗体スクリーニングをどうするのだということ、C型肝炎の症状のある人だけをHCV抗体スクリーニングするのか、どの集団を集中的にやるのか、例えば経静脈麻薬患者を集中的にするのかとか、どの集団にターゲットを決めてやるのかとかということをdiscussionしました。それから、確認試験であるHCV RNAの検査をどうするか?血清を使用したスクリーニングだけですと偽陽性がでますので、そういうときに確認試験であるHCV RNAテストは必要ですが、その検査はどうするか?確認試験用の器械はないのが多い、あってもそのために必要な冷凍庫がない。海外で確認試験をすると、例えばエチオピアでHCV RNAを1検体200ドルかかる。この国の平均月収が50ドル。ところが、HIV RNA測定用のPCRの器械はあるのですが、それは使ってはいけない。何故かというと、それはHIVRNA用に寄付されたものであるからということです。それは、その器械がどこかになくなってしまうとか、ほかのところに行ってしまうとか、そういうことを防ぐためにそうしている。しかし、途中で消えるようなことがあることも意味するのでしょう。とても日本では考えられないような常識があるのです。もっと大事なのは、治療が必要なのか必要でないのか、どうやって分けるのだとか。例えばIL28の遺伝子型を測定すると、それが100ドルかかっても、効かないのにインターフェロンで治療することを考えると絶対安いわけです。しかし、そのIL28遺伝子型を測定するのは、そんな難しいテクニックは必要ないわけで、PCRの器械さえあればできるわけですけれども、それはできないとか、ちょっと日本とは大分違う状況のディスカッションで、ペグインターフェロンとスタンダードで、スタンダードのものは、キューバ製とか、エストニア製のインターフェロンという安いのがあるそうです。それだったら非常に安い。それはどうして使ってはいけないとか、そういうものもリコメンデーションに入れろとか、いや、それは幾ら何でも責任が持てないとか、そういう話にもなるわけですね。
 それから、今はやりの経口2剤についてはどうするのだという話になりました。
(PP)
 以上のように、送られてきた議題に、例えばPICO-1の中でクエスチョンが沢山並びまして、それに対してどうするのだというディスカッションをしました。
(PP)
 例えばPICO-1のテイスティングを訳してわかりやすくすると、C型関連リスクのあるコード、つまりIVDとかそういう人、曝露歴のある人、そういう人たちをやるべきだと。そして、目標を定めて、こういう人だけにやれば安上がりだから、そういう人にやるべきだとか、ほかの人がやった場合にはどうなるのだとか、それをCDCのドキュメントでは全部やれと書いてあるけれども、そんなことができるのか。症状のある人だけをやるのか、症状のない人はやらなくていいのかとかという問題で、これを比較するためにWHOが用意したところは、1994年から今まで、つまり20年間の論文を集めてきまして、それをインターンの人たちが読んで、それをEvidenceに基づき纏めます。それを出すという形でやるわけです。
 ところが、根本的な問題は、HCV抗体は陽性でも、HCV RNAがいない、治ってしまった人も引っかかってくるわけですし、擬陽性もあるわけですけれども、確認試験の方法がないという、そこはどうするのかと聞いてみると、どうしようもないと。それで本当にいいのだろうかと私自身は思ったわけでございます。
(PP)
 例えば子供に対する治療文献、私は、今までたくさんの患者さんを見たけれども、子供が肝硬変、肝がんになったのを見たことはないわけです。そんな子供たちが、GPTが上がるのは、免疫が反応していて、ウイルスを排除していくのだからしなくてもいいと思っていました。ところが、アフリカとか中近東やインドでは、子供のC型肝硬変、肝がんがあるのだそうです。初めて聞きましてびっくりしたのですけれども、そういうものがどういう文献があって、Randamized control studyがどれぐらいあって、さらに、そのevidence levelはどうなのか、そういうところがここに書いてあって、それに対してdiscussionしながらチェックしていくという方法が全部に渡って続いていくわけです。
(PP)
 ペグインターフェロンのevidence levelはどうなのだというのは非常に大事ですが、それをインターンの人たちが文献を数百集めてきて、それを読み込んで、それをサマライズして我々に出してくれる。そして、そこで実際にdiscussionしていくという形で進んでいきました。
(PP)
 例えば、私は子供の治療なんかには、迷いに迷って、そんなのをやらなくてはいけないのだろうかとか、そういう形で非常に判断に苦しむと。私のものがその中に入っているかどうかは知りませんが、とにかくdiscussionには入っていくということで進んでいきました。
 今までHIVで苦労している人たちが参加して、その人が第一線に立っているわけです。その人たちが言うには、例えばその国、私の席の隣でエチオピアから来た人が言うには、エチオピアの政府に、WHOがこうしたからこうしてくれと言っても、なかなかやってくれない。だから、WHOのrecommendationはワンランク上、ツーランク上で、強く言ってくれというわけです。WHOは治療すべきなのだと言っているからやってくれと言わないとできないと彼は言うわけです。
 ところが、WHOは、いやそれでは幾ら何でもいうことで、WHOは、WHOリコメンデーションをとりに行っています。こっちのほうは治療すべきだ、いや、それに対して、治療することを考慮することを勧めるというふうにすべきだ。またその英語の表現をどうするのだ。英語の文章が政治的に要因でどんどん変わっていく。そうすると英国人の英語の強い人が、その文章を少しずつ変えてくれて行きます。それようにして、文案が作られていきました。(PP)
 ただ、国によって事情が余りにも違い過ぎるということが非常に大きな問題でございます。
 ところが、最後の最後になって、WHOで結核のトップの人が、最後に呼ばれてきて、その人が出したのがこれでございます。2012年にWHOは結核に関してはこういう報告をしました。何故なら世界の3大感染症は、結核・マラリア・エイズだからです。肝炎はそのずっと下です。その中で結核のroad mapでは、いろいろな薬が出て来ました。
(PP)
 最終的にはここまで来ていますが、薬剤耐性の問題を彼は非常に強調していました。これはC型、B型も全く同じで、これから大きな問題となるでしょう。結核をB型とかC型に置きかえればいいのです。「結核の治療というのは新しい時代になりましたが「avoids inappropriate use of new drugs」、新しい薬を使うのに不適切な使い方をしてはいかんと。どうしてかというと、耐性が簡単にできるからです。結核の治療というのは、抗結核剤ができてから、以降耐性との戦いであった訳です。その当時は耐性菌のことは何も解らなかったから、仕方ない部分もあったのです。このことは、マラリアも同じです。現在昔の特効薬であったキニーネはもう全然効かなくなってしまった訳です。それから、エイズについても、耐性との問題で、今後も新しい薬がどんどん必要になると思います。つまり感染症の治療は新規薬剤とのイタチごっこという状態になると思われます。だから、C型肝炎もそういうふうになってはいかんということで、それまでできていたものが、もう一遍ヘッドクオーターで回して討議する形になりました。
(PP)
 これはきのうの7時半にWHOのViral hepatitis Global policyという形で、Dr. Stefan Wikorまとめたものがオープンになっています。それがきのうです。ただ、そこではWHOのStrong recommendationという形になっていますので、基本的には大体同じようなrecommendationになるだろうなと思います。
(PP)
 そこには、Global policy report on the prevention and control of viral hepatitis、ウイルス肝炎の予防とコントロールのグローバルのレポートとしてあります。
そして、これから大きく変わるというようなことはないと思います。
 私個人にとっても、今まで国際学会には嫌というほど出席していますが、ワールドワイドの行政という点から見たときにはこれほど難しいものはないということと、もう一つは、ウイルス性肝炎に関しては、予防も治療も行政も日本はいかに恵まれているかということを実感した次第です。
○林会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問がございましたらどうぞ。
○溝上委員 来る途中、乗ったタクシーが追突されまして、おくれて申しわけありませんでした。
○林会長 御質問はよろしゅうございますでしょうか。国際的にはいろいろな問題を含んでいますので、大変な問題だと我々も思っています。WHOは最近非常に力を入れてきておりますので、これからいろいろな会議が開催されると思っております。
 よろしゅうございますでしょうか。
 そうしたら、どうもありがとうございました。
 では、続きまして次の議題でございますが、肝炎関係研究事業について、事務局より御説明いただけますでしょうか。
○井上肝炎対策推進室長 事務局、肝炎対策推進室長でございます。
 資料4、通し番号で39ページからでございますが、肝炎関連の研究事業の一覧を整理いたしました。39ページから43ページまでの資料でございます。
 肝炎関連の研究というのは肝炎対策の研究事業の柱の一つでございまして、国民のニーズの高いB型肝炎、C型肝炎、それから肝硬変、肝がん等に関する研究を総合的に推進しているところでございます。大きくは、この39ページにございます3つの事業で研究を進めている形でございます。それぞれ焦点が若干違ってきているという形でございます。
 特に、今回のこの協議会、それから行政に関心が深い2番、3番の研究事業につきましては、40ページから43ページまで一覧表としてまとめてございます。
 資料の説明は以上でございます。
○林会長 御質問ございましたらどうぞ。よろしゅうございますでしょうか。どうぞ。
○大賀委員 患者サイドが新薬にすごく期待が大きいのです。もう御存じだろうと思うのですけれども。それで、C型のインターフェロンの新薬開発、委員の先生でもいいのですけれども、最新情報を教えていただければと思います。
 それともう一つ、テラプレビルの3剤併用について死亡例が出たとお聞きしているのです。厚生労働省のほうがどういう把握をしていらっしゃるかというのをちょっとお聞きしたいのですけれども。
○林会長 委員の先生でお答えは。
○大賀委員 後でいいですか。
○林会長 知っている範囲でお答えはいたします。
 抗ウイルス薬のプロテアーゼ阻害剤のシメプレビルというものが現在申請中で、優先審査中でございます。恐らく秋に承認されるだろうと思われております。それ以外については、来年度に入りますと新規の薬剤で申請を予定している薬剤が数剤ございます。それはちょっと正式に申請されませんと私の口から言うのも何なので、臨床試験が終わり次第、次々申請がなされていくだろうと思います。
 それから、2つ目のテラプレビルの御質問ですけれども、これはもう副作用については厚生労働省に報告されているので、当然のことながら、全て厚生労働省は把握していると思います。先ほどの死亡例ですけれども、もちろんテラプレビル3剤使った後に死亡例は出ております。ただし、それが薬剤と直接関係あるかについては、その当該の製薬メーカーが検討されて、恐らく厚生労働省に報告が行くのではないかと思っています。その死亡例というのは、薬剤と直接関係があるかないかで、もちろん投与中に亡くなられる方がおられますので、そこら辺の判断は難しいので、そこは今、私から御説明するのは適当ではないと思いますので、また何らかの機会で厚生労働省から御報告していただければいいのではないかと思います。
 事務局、何かございますか。どうぞ、お願いします。
○大賀委員 先ほどの質問に対して、厚生労働省はどういう把握をして、対処をされたのであれば、その対処内容をですね。といいますのも、私たちに患者からすごく質問が多いのです。テラプレビルを先生から勧められていますけれども、受けるべきか、受けないほうがいいかという質問が多いものですから、ちょっとその情報を知りたくて質問しているわけです。
○林会長 恐らくその情報を今おられる方にお聞きするのは、ちょっと局が違うので、お薬の副作用については機構のほうに全部副作用報告が行っておりますので、恐らく直接事務局はそのことについては把握されておられないだろうと思います。副作用報告が全てここに来るわけではないと思います。
○大賀委員 わかりますけれども、せっかく発言されようとされているから。
○林会長 どうぞ。
○井上肝炎対策推進室長 肝炎対策推進室長でございます。決して発言しようとしたわけではございませんが、目が合ったものですから発言させていただきます。
 今、林会長からコメントがございましたように、一般論で申しますと、医薬品は、今、御質問のテラプレビルに限らず、さまざまな医薬品、その薬の投与と因果関係があるかないかということにかかわらず、重篤な有害事象が起こったもの、医薬品の投与と関係があるかないかわからないけれども、患者さんに結果として重篤な有害事象があったものは、各医療機関あるいは製薬企業から、厚生労働省の担当部局に報告されるというシステムが整っております。
 こうした中で報告されるものは多数ございまして、その中で、実際にそうした因果関係があるかないかわからないけれども、有害事象として報告されたものが、果たして薬による因果関係があるのかどうかということは、それぞれ科学的な検証をされるという形でございます。
 今、御指摘のテラプレビルに関しましても、私どもの部局には、まだ因果関係がある問題として報告は受けておりません。ただ、今の大賀委員の御指摘を受けまして、私どものほうでも、担当部局との間で連絡調整をとりまして情報の収集に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○林会長 よろしいですか。
 それ以外に御質問ございますでしょうか。どうぞ。
○阿部委員 委員の阿部です。
 我々は患者ですので、患者団体として、指針をつくるときに一番何を重要視したかというと、肝硬変、肝がんの患者の方が非常に大変な状況にあるということで、日肝協のアンケートや、前回の第9回の協議会の八橋先生のアンケートでも一番の切実な要望になっています。それで、何とか肝硬変、肝がんの患者の方に医療費支援とかいろいろな支援をお願いしたいと言ってきました。
○林会長 ちょっと恐れ入ります、このことで御質問を。
○阿部委員 はい。それで、今回その中で、指針にもあるように、「肝硬変及び肝がん患者に対する更なる支援の在り方」ということで、それで一番最後のところに、「生活実態等に関する現状を把握するための調査研究を行う。」というところがあるわけですけれども、それに対して、実用化研究事業、八橋先生の前回の説明でもそうなのですが、ちょっとそのニュアンスが、相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究ということで、若干方向が違うような感じがするのですが、これと、いわゆる行政研究というのはイコールということで、そのためにこの研究をされているということでよろしいのでしょうか。
○林会長 前回、中間報告をしていただいた部分でございますね。あの部分の内容と今回のタイトルがマッチしているかどうかで、このタイトル名で、前回御報告いただいたものをきちんと研究していただけるのかどうかということのお問い合わせですかね。
○阿部委員 内容は、肝硬変、肝がん等の病態別の実態を把握するための調査研究ということで行政研究の中に入っているわけですけれども、それとこれがイコール、そのためにこの八橋先生が研究を進めておられるということでよろしいということですね。
○林会長 どうぞ。
○井上肝炎対策推進室長 事務局、肝炎対策推進室長でございます。
 私どもも、今、阿部委員がおっしゃった趣旨のとおりであると理解しておりますが、この点につきましては、研究者とも我々は連絡をとりまして、こうした協議会における各委員のコメント趣旨を踏まえて、さらに研究を進めていただくようにお願いすることとしたいと思います。
○林会長 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、先に進ませていただきたいと思います。
 続きまして、今年度の普及啓発事業につきまして、事務局に御説明いただきます。
○井上肝炎対策推進室長 事務局、肝炎対策推進室長でございます。
 資料は、そのまま引き続きのページでございますが、資料番号5、通しページで言うところの44ページから始まる資料でございます。今年度の普及啓発事業の概要に関しましての御報告でございます。
 今度の週末が世界肝炎デー、日本肝炎デーでございますので、その前後、先週の週末、それから今週の週末、さまざまな催しがございます。
 まず、概要の説明で、44ページは、先週の週末、これは世界肝炎デーの1週間前のプレイベントでございますが、肝炎に関する正しい情報の発信という形で東京と大阪でイベントを開催いたしました。概要が44ページ、それから45ページにお示ししているとおりでございます。東京においては、感染者でもあられます石川ひとみさんにトークショーをしていただいているという形でございます。
 それから、次の28日の日曜日が、第2回の日本肝炎デー、世界肝炎デーでございます。今度の週末でございますが、この日における記念イベントに関しましては、46ページにお示ししたような形で予定しております。
 さらには、48ページでございますが、新たな取り組みといたしまして、ラジオにおいて肝炎の知識を一般の市民にお届けするというプログラムをあす7月26日の放送よりスタートいたします。先週録画撮りがございまして、熊田委員が録画撮りで、実際の知識の普及のために、専門家としてさまざまな形で発信をしていただいた形でございます。それがあしたから放送がスタートするということでございます。
 それから、49ページ、これは、公共広告機構で肝臓に対する知識の啓蒙普及、それから、視聴者に対し肝炎検査を促す、そうしたテレビのコマーシャルが始まっているという形でございます。
 以上、今年度の普及啓発事業のうちの幾つか主要なものに関しましての御報告でございます。
 以上でございます。
○林会長 何か御質問ございますでしょうか。ことしも今週末にございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 では、次でございますけれども、平成26年度の予算要求等に係る件でございます。ちょうどこの時期にこの委員会を開催させていただいておりまして、その年度の予算要求にできるだけ委員の皆さん方のいろいろな御意見を反映させたいということで例年行っております。今年度の予算要求等に係ることにつきまして、事務局より御説明、よろしくお願いいたします。
○井上肝炎対策推進室長 事務局、肝炎対策推進室長でございます。
 本協議会の開催前に、事前に委員の皆様から、平成26年度予算要求等についての御意見を募集しておりました。資料6、通し番号50ページから始まる資料が、今回、委員の皆様からいただいた御意見となります。昨年同様、各委員の皆様からの意見をもとに、平成26年度の予算要求に対して、本会の会長名で、厚生労働大臣宛ての意見書をまとめるということを考えております。そうした形で御了解いただけるかどうか御検討をお願いいたします。
 以上でございます。
○林会長 そういうことで、例年どおり進めさせていただいてもよろしゅうございますでしょうか。
 どうぞ。
○有川委員 その予算要求に対する協議会としての案が示されないので、お任せするといっても任せようがない。内容がわからない。
○林会長 いつも、まとめた案については各委員にお送りさせていただいております。
○有川委員 来ていますか。
○林会長 はい、お送りさせていただいております。
○阿部委員 よろしいですか。事務局から6月に、予算要求にかかわる要望についてということで、患者委員の要望を取りまとめてほしいということで御依頼がありましたので、私は、各委員にメールでお願いして、要望をまとめてお送りしたわけです。やはり去年も同じことをやったのですが、最終の段階までいろいろ経緯があって、実際提出した項目がカットになったり、あるいは内容が変わったりということがありますので、そこのところが、やはり各委員からは見えないというところがあると思うわけです。
 それで、やはりスケジュールをもうちょっときちっと決めていただくとか、あるいは、今回、要望を7人の患者委員で出しておるわけですけれども、それぞれに思いがあってこの要望書をつくっているわけなのですけれども、やはりそういうものをこの場でお話をさせていただくとか必要ではないかと思います。
○林会長 もちろんそのことは。先ほどの御質問はそうではなく、最終的にまとめたものについて報告がないという御質問ではなかったかと思うのですが、そうではないのですか。この件でよろしいですか。私がさっき聞いたのは、各委員の人から御意見をいただいて案をつくったものを、もう一度、各委員の方にお返しさせていただいているのですが、それが来ていないというお話があると今お聞きしたのですが。今はこれの話でございますか。それは、私どもは関係していなくて、患者さんの団体の間の話し合いなので、そのことについては我々はノータッチなので、何とも我々はお答えができない。
○阿部委員 去年も最終で、私たちも、どうしてもこれだけはお願いしたいというものも、今回のように、この要望書をまず1回目提出しましたよね。
○大賀委員 資料50ページと言ったほうがいいですよ。
○阿部委員 そうですか。50ページにあるのですけれども、そこからまたさらに内容を絞って、それで、これだけはどうしても患者委員としてお願いしたいのだという案をつくって、それで事務局に送って、それでまた、なおかつ絞られているわけですね。ですからそこの経緯が、私も、もちろん各委員には全部その都度送っておりますし、同じ患者委員の方々には、ここの部分は残念ながら大臣の要望書には入りませんでしたという形でお送りしていますが、やはり実際全国の委員が、メールの中でやりとりしているだけなので、何かそこがいまいちしっくりしていないのかなと私は思います。
○林会長 ただ、前回も要望書を会長名で厚生労働省に対して要望書を出したものが、最終の予算案でどうなったかについて、各項目については、昨年は事務局でコメントを書いていただいておりました。昨年度も、なぜそうなったかということについては、理由を明記していたはずです。
○阿部委員 それがありましたでしょうか。
○林会長 ありました。
○阿部委員 その結果が来なかったような気がします。
○林会長 理由を私が書いて、ちょっと確認をとらせていただいて最終的に御返事させていただきますけれども、理由を書いていたと思います。
○阿部委員 この協議会の資料にはないですよね。
○林会長 協議会の資料では出しておりません。この場には出ておりません。
○阿部委員 出ていないですものね。
○林会長 はい。
○有川委員 済みません、有川ですけれども、患者委員から出したこの意見について、要求について、最終予算要求として出す場合に、なぜこの項目が採用されなかったとか、そういう点については、きちんと意見を付して私たちに返していただきたいと思うのですけれども、そこら辺はどうでしょうか。
○林会長 それは、今申し上げたように、昨年はそのことのコメントが、たしか事務局で書いてあったと思います。それは最終的に確認させていただきます。
 ただ、とりあえず、このことについては、議論はまずこれはよろしいですね。御意見はお聞きしますけれども、この案の作成については、これは我々が関与しているわけではないので、患者さん方の委員の間でお決めいただいたことなので、それについては我々は関与できませんので、それはそれでよろしいですね。
○阿部委員 よろしいです。
○林会長 まず、これに対する意見をお聞きします。順番がありますので、まず、これに対する何か発言がございましたらおっしゃってください。
○阿部委員 では、私から。去年も若干内容が変更になったのですが、先ほど申しましたように、特にも肝硬変、肝がんの患者の方の医療費助成については、そういう制度を創設していただきたいということで、この1番の医療費助成については、皆さんから大きな要望がございます。
 それとあと、B型については、次のアナログ剤による、これは私が説明したほうがいいのかな。3番目ですけれども、B型肝炎の核酸アナログ剤による治療期間が長く、患者負担が大きいことから、医療費助成限度額を引き下げてくださいと。これも去年も要望しましたけれども、これは最終で切られております。
 それから、その下のB型肝炎の核酸アナログ剤治療前の検査費用を医療費助成制度の対象としてください。
 その次は、ちょっとここの内容が、この医療費助成に入るかどうかあれですけれども、この医療費助成の制度の周知徹底を国が責任を持って行ってくださいということでございます。
 それから、全部は説明しません。どうしてもここのところは入れていただきたいというところだけお話ししますが、次のページの3の肝炎ウイルス検査の、ポツしかないので、4番目ですけれども、先ほど一番前に個別勧奨の未実施、年齢制限を設けている自治体が多数ありますということで、個別勧奨の実施と年齢制限を撤廃するよう要請してくださいということで、ここはきちっと実施要領などにも書いていただければと思います。それで、個別勧奨メニューをおくれて開始した自治体は5年間できるよう取り計らってください。これは前回、私が質問したのですが、事務局でも内容がちょっとわかったのかなという感じがしましたのですけれども、やはり、例えば今年度から始めましたとか、来年度から始めますというような、おくれてきているところがあるのですね。そういうところが、やはりどの程度、今後この個別勧奨が続けられるのか私もわからないですけれども、例えば5年間だとすれば、もうちょっと続けて、今まで実施しなかった自治体については、個別勧奨を継続して特別枠で見ていただけるほうがいいのではないかということです。
 それから、昨年カットされましたけれども、医療提供体制の確保ということで、一番下ですが、基本指針には、「肝炎患者等が働きながら継続的に治療を受けることができる環境づくりに向けて必要な働きかけを行う」とされており、治療に伴う休暇、休業補償などについて関係者等が協議する場を設置するなどの予算措置をしてくださいということで、これも重要なことだったのですけれども、残念ながら昨年は切られております。
 それから、身体障害者についてはちょっと天野委員からお話を。
○林会長 どうぞ。
○天野委員 日肝協の天野でございます。
 この身体障害者福祉制度に関することについては、前回の協議会でもちょっとお話、疑問点を呈したのですけれども、平成20年10月から7回にわたって議論された肝機能障害の評価に関する検討会というものがありまして、その議事録を読ませていただきました。この検討会には、こちらにいらっしゃる林先生、それから田中先生、前回、研究報告、中間報告をしてくださいました八橋先生も構成員として参加されていらっしゃいました。その議事録の中で八橋先生が、「肝硬変の患者数は約30万人前後ではないかと言われていて、チャイルドCの肝硬変患者の人数は数万人と推定される」とおっしゃっています。
 前回、第9回の協議会でも、八橋先生が、肝硬変患者のうちチャイルドCの頻度は約10%と言われているとおっしゃっていますので、約30万人いると推定されているその10%、約3万人が認定されるだろうと予測されたのだと思うのですけれども、実際はどれくらいの人数が認定されているかといいますと、第8回協議会で資料として示された平成22年度1年間の1級から4級まで含めた総数が5,876人です。そのうち肝移植者が半数以上を占めるということが第5回の協議会で、これは平成22年度前半期ですね、4月から9月のデータですけれども、その中で、肝移植者が半数以上を占めていたということで、それを1年間にも適用しますと、重症度判定がチャイルドCで認定された方は3,000人以下ということになります。そうしますと、検討会で予測されていたこの約3万人という数の10%以下しか認定されていないということになります。
 この第9回協議会での八橋先生の御報告の中で、肝硬変患者1,043人について調べていらっしゃるのですけれども、手帳を持っている方は16人とありました。1,043分の16、つまり1.5%しか認定されていないということになります。この実際の認定者数は、検討会で予測されていた数より非常に少ないのではないかと思うのですけれども、このことについてどのように考えていらっしゃるでしょうか伺いたいのですが、林先生、田中先生、検討会にお出になって、どんなふうに感じていらっしゃいますでしょうか。
○林会長 では、田中さん、お答えを。
○田中委員 ちょっと記憶をたどっておりますけれども、今、認定されているのが5,800人ぐらいということですが、申請者はどれぐらいでしょうか。八橋先生のお話は、日本全体で30万人ぐらいでしょうと。その中で10%ぐらいと言われたのですが、全員申請したらそれぐらいの人数になるということだったと思うのですけれども、今回の6,000人というのも、全員が申請されているわけではないと思うのですね。なので、私もキャリア数とか患者数とかいろいろ推計しますけれども、キャリア数はこれぐらいいらっしゃると思っても、実際病院に行っている人はすごく少なかったり、申請をする人は非常に少なかったりするので、天野さんの意図がちょっとよくわかりませんけれども、3万人いるはずなのに5,000人は少ないではないかという議論には、ならないのかなと思っています。まだ、天野さんのおっしゃっている質問に対してちょっと答えられませんけれども、また考えます。
○林会長 まず1点ですが、実はその会議でも実際の数字をどう見積もるかについては物すごく難しかったのです。実際あの時点で、恐らく患者数の推定ができないだろうということで、ただ、この身体障害者福祉制度というのは、肝炎患者さんだけではなくて、ほかの中の一部なので、ほかの委員の方に納得をいただく必要がございます。そういうことで、一応その時点の推定数を無理やり出したということで、我々も、その時点で疫学的にその数字が正確な数字とは全然思っておりませんでした。
 だから、今の天野委員の御意見が、恐らく、実際の該当者に対して申請患者数が圧倒的に少ないので、それに対する対策を講じてほしいという御意見ではないかとお聞きしたのですが、それで理解はよろしいでしょうか。
○天野委員 それもあるのですけれども、1.5%というのは本当に非常に少ないと思うのですけれども、肝硬変のこの検討会で検討されたときに、やはり認定基準がなければ認定できないわけですね。それで、認定基準をどうするかということについてかなり、実際にデータが、確実な肝硬変の患者の人数がどれくらいか、それからチャイルドCの方がどれくらいかという、実際の本当の数がわかっていないので、推定でお話をされていられたような気がするのですね。
○林会長 当然そのときは全然わかりません。だから、これはもう最大限予測をした上でしか数字を出せませんでした。ただし、数字がなくて他領域の先生方に認めていただくということは無理ですので、我々としても一応その時点でわかる類推をしただけですので、正確な数字とは、その時点で我々は全然思っておりませんでした。
○天野委員 非代償性肝硬変、肝硬変分類なのですけれども、主人が長年肝硬変でしたので、本を読みましたり、それから専門医の先生方の講演会を聴講したりして勉強させていただきました。それで、先生方がおっしゃるには、症状がない初期の肝硬変を代償性肝硬変、そして症状が出てくると非代償性肝硬変と言って、非代償期になりますと肝臓はもとに戻ることはないと考えてよい、つまり症状が固定しているということだと私は理解したのですね。
 そうしますと、その症状についてですけれども、前回の八橋先生の御報告を見ますと、肝硬変と診断された1,043人のうち、吐血したことがあるという方が13.2%あります。そして、食道静脈瘤でEVLを受けたことがある方が61.1%もいらっしゃる。そして、腹水がたまったことがある方は25.6%、そして、肝性脳症で意識がなくなったことがあるという方が8.9%もいらっしゃいます。こういう結果が出ているのですけれども、これだけ多くの方に症状が出て苦しまれていますのに、手帳を持っている方が1.5%しかないのですね。これはちょっと本当に少ないのではないかという気がして。
 八橋先生の御報告というのは、実際に患者さんから集められた患者さんの実態をあらわした貴重なデータだと思います。この結果、こんなに症状が出ている、つまり私の理解ですと、非代償性の時期に入っている患者さんがこれだけいらっしゃるということなのですけれども、この八橋先生の結果を障害認定基準の見直しにぜひ反映させていただけないかと思うのですけれども、よろしくお願いいたします。
○林会長 そういう御意見ですね。
 どうぞ。
○大賀委員 それに関連して。先ほどからの意見を、林先生がおっしゃったように、ある意味データ的なものを示さないと新しい制度はつくれないという現状があったと思うのです。だから、責めているわけではないのですよ、全然。
 身障手帳問題が出ましたので、参考資料の49ページをちょっと見てほしいのですけれども、私のところに継続的に相談されたお二方を紹介しております。
 1人目は、もう一昨年亡くなられたのですが、77歳で亡くなられたのですけれども、C型肝臓がん、6回治療を受けられて、最後は、もうこのように手書きの手紙を、苦しい胸のうちを本当に吐露しながら無念の思いで最後、亡くなっていかれた方です。私も本当につらい思いでずっと相談に乗っていたのですけれども、この資料の53ページをちょっと見てほしいのです。申しわけありません。
 53ページ、これは最後に娘さんから我が家にファクスが流れてきたのです。お父さんがいよいよもう昏睡状態に入って、主治医から、もう家族を呼んだほうがいいよと言われて、どこにまた自分の気持ちを話したらいいかわからないという娘さんから私に、「もう父の命の時間がありません」というファクスが流れてきて、私がすぐ電話して、いろいろ話したのですけれども、それから2日後に77歳で亡くなられました。ぜひ、後で手紙の内容を読んでいただきたいと思います。
 それから、次の54ページ、萩原さんという、これは元プロのテニスのコーチをしていた方です。元気だったのですけれども、体調を壊して受診すると、いきなりもう肝臓がんという、何の前兆もなく肝臓がんで、今まで10回の治療を受けられた方です。次のページ、55ページにありますように、非常にまめな方で記録を綿密にとってあります。何回目は幾ら払った、1円単位まで書かれているのですけれども、これまで10回の治療で155万円の支払いをされています。
 57ページに、患者からの気持ちを最後に書いておられます。治療費への支援、経済的に生活面ですごく困っていますというお手紙で締めくくられていますけれども、そういったところで、患者からの立場としては、やはりこのお二方とも身障手帳を申請されたのですけれども、主治医の先生から、あなたはまだそのレベルではありませんということで申請はできなかった方です。そういう状況を踏まえまして、ぜひ、やはり身障手帳の認定基準も、できてまだ間もないという認識でしょうけれども、患者サイドから言いますと、願いとしては、ぜひ早い機会に見直してほしいというのが強い願いです。そういったところをぜひ先生方、あるいは行政のほうにも御理解していただければという強い気持ちでいるところです。
 以上です。
○林会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。
○武田委員 患者の武田と申します。
 やはり私個人的にも、年金をもうもらうような年になりまして、仕事はしていますけれども、年金がだんだんと下がっていくということを厚生労働省でもおっしゃっておりますね。年金は下がるけれども、治療費は上がる。いつも言っていることなのですけれども、やはり後期高齢者でも1割から2割になろうかという審議もいろいろされているようなのですけれども、やはり肝硬変、肝がんになったときに、この人たちの資料を見ましてもたくさんのお金が要る。そのようなお金を都合できる人が何人いらっしゃるかということになると、私自身でも怖い話ですし、やはり肝硬変、肝がん患者のための治療費助成というのは、ぜひお願いしたいと思います。
 新薬も開発されているのですごく楽しみにしているのですけれども、それを使うまでもなく肝がんになった方などということになると、やはり現実にお金が要ることですし、ましてや、その患者さん自体が、やはり60代以上の方がたくさんいらっしゃるということであれば、やはりお金持ちしか長らえることはできない、貧乏人は早く死ねということと同じだと思うのですけれども、そのことを考えていただいて、高齢者の方は、今後本当に大変な暮らしになるというのが今の実感です。ですので、ぜひ考えていただきたいと思っております。
 以上です。
○林会長 ありがとうございます。
 ほかに。どうぞ。
○有川委員 この要望は、私たち患者の立場から、全部切実なものなのですけれども、やはり先ほど阿部さんや大賀さんから言われた4点ですか、重点的な、本当にこれだけは省いてほしくないという考え方なので、ぜひとも委員長のほうで意見を取りまとめる場合に、この趣旨は生かしていただきたい。必ず消さないようにしていただきたいと思います。
○林会長 ほかにどうでしょうか。どうぞ。これは我々、消しているわけではなくて、事務局でまとめていただいたものを各委員に全部お送りした上で、同意を得た上で決めています。少なくとも同意は得ております。それは確認しております。ただ、その理由を書いた文書を渡しているかどうかわかりませんが、少なくとも、要望書の欄については、各委員の同意を得た上で最終案に決めさせていただいておりますので、実は事務局で勝手に文書を削ったということではないということは、十分御理解いただきたいと思います。このままの文書の形では要望書にならないので、書き方はもちろん変えておりますので、それについては、各委員にお配りした上で、それぞれの委員の意見をお聞きした上で最終案を決めて、各委員の同意を得た上で最終案を決めさせていただきます。そこは確実です。その理由について、先ほどのように、記載したかどうかについては、私も不確かなので、また調べさせていただきます。だから、少なくとも会長と事務局で、出していただいた要望書の文章を全部削ったというのではないということについては、十分御理解をいただければと思っております。
 どうぞ。
○阿部委員 私が患者委員の皆さんの窓口みたいな形でやっていましたが、理由を付した内容ではなかったと思います。
○林会長 ただ、何回もあって、事務局と恐らく御相談になったと思われますので、その間の相談については文章化されていない可能性はございます。
○阿部委員 ぜひ今回は、どうしてもこれは入れられないというような内容は、理由とかそういうものはお示ししていただきたいと思います。我々も、患者委員の中で、やはり一応話し合いなり何かする予定にしておりますので、ぜひそこはお願いしたいと思います。
○林会長 どうぞ。
○天野委員 認定基準のことなのですけれども、東京都の肝炎対策指針というものがございまして、熊田先生は御存じだと思うのですけれども、その中で認定基準について、認定基準が厳し過ぎて実態に即していないので、全国の自治体とも連携をとって認定を見直すように求めていくという項目が、協議会の指針の中に入っているのです。それだけ、東京都からもそういう意見が出ているので、認定基準を見直すような委員会といいますか、検討の場を設けていただきたいと思うのですね。
 それで、検討の場を設けていただく際に、患者からも意見を聞いていただきたいので、患者も中に入れていただいた検討会というものをつくっていただきたいと前回も申しましたけれども、これを再度お願いいたします。
○林会長 はい。
 ほかに。どうぞ。
○清本委員 清本です。
 セレクティブワクチンの59ページのユニバーサル導入に関する見解とちょっとリンクするのですけれども、予算のほうにも、こちらの母子感染事業ですとか、61ページにあります同居家族へのワクチン接種など、そういったものも予算のほうに要望として入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 また、1の医療費助成についてもですけれども、先ほど田中先生が、キャリアであることが判明した方がなかなか受診しないという話がありましたけれども、僕自身も、18歳のときにキャリアであることが判明したけれども受診しなかった理由というのが、やはりお金がないからだったのですね。それで、30歳まで余りきちんと治療を受けていなかったので肝硬変まで悪化してしまった経緯がありますので、やはり今、助成されても月1万円というのは、大体アナログ製剤は高額ですから、毎回1万円はかかってしまうのですね。ですので、このアナログ製剤の助成を、もっとずっと続けなければいけない治療方法ですから、上限が5,000円なり、もっと低く、安くなるように予算のほうをつけていただきたいと思います。
 核酸アナログ製剤というのは、もちろんそれを服用している人でがんになってしまう人もいるのですけれども、僕自身はかなりいい薬だと思うので、がん予防にもつながりますし、その治療を続けながら働くこともできるのですね。ここに予算をつけることによって、将来のがんの予防になるのであれば、長い目で見ればトータル的な予算が削れると思いますので、ぜひともここの部分は残してください。よろしくお願いします。
○林会長 ほかにいかが、よろしいですか。
○大賀委員 1つ事務局にお聞きしたいのですけれども、日肝協が一昨年お願いした国会請願、採択されたのですが、それに対して処理要領という形で厚生労働省側の対応の仕方が私の手元にあるのですけれども、その中では、こういうくだりがあります。「肝炎対策推進協議会における議論等を踏まえ、肝硬変及び肝がん患者に対する支援の在り方について検討してまいりたい。」、それが、請願が採択されたことに対しての行政側の対応ということになっているはずなのですが、ぜひ、ここに「肝炎対策推進協議会における議論等を踏まえ」とありますし、推進協議会の中でなくてもいいのですが、認定基準とかといったものを議論する、患者も加わって議論する、そういう場をぜひ設けてほしいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○井上肝炎対策推進室長 肝炎対策推進室長、事務局でございます。
 ただいま、この議事の5番目、来年度の予算要求に係る各委員からの意見につきまして、2つの観点から、今の大賀委員の意見も含め御意見をいただいたと理解しております。1つは、この資料の50ページから52ページにあります個々の内容に関して、それぞれの内容がいかに重要であるかということについて御意見をいただきました。それから、2つ目は、これを実際に事務局が林会長と相談をしながら、実際の要望書にまとめ上げていくプロセスに関して、しかるべき透明性を保ったプロセスを維持してほしいという御要望をいただきました。
 最後の大賀委員からの国会請願に関するコメントを含めまして、いただいた内容そのものに関する意見、それから、これを実際の予算要求に係るこの会の要望としてまとめていきますプロセスに関しまして、ただいまいただいた御意見を踏まえながら進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○林会長 それでは、要望書の中身をおっしゃっていただければ。あとのことは、またその後に申し上げますが、よろしゅうございますでしょうか。
 なければ、これでまとめに入りたいと思いますが、今、申し上げましたように、今、皆さんの御意見をお聞きしましたので、その案とこの要望書とそれ以外の方の御意見がありましたら、それをもとに事務局でまた要望書の原案をおつくりいただきます。だから、それはいつも委員の先生方にお示しして、その意見を聞いた上で最終的に決めておりますので、もちろんまとめたものを各委員の先生方にお送りさせていただきますので、それに問題があれば、そのときに御指摘いただければいいと思います。要望書は、別に予算要求をこうする、私に裁量権があるわけではありませんので、この肝炎協議会として厚生労働省に対してこういうことをやっていただきたいという要望書でございますので、委員の先生方全部にお配りして、コメントがございましたら、それを事務局におっしゃっていただけたらと思います。それで、前年と同じように最終案をまとめさせていただいたものをこの会の要望書として厚生労働省側にお願いするということになります。
 予算要求して、実現するかについては、私が関与できることではございませんので、それは事務局と先の話になりますので、最終的な予算要求と、その要求の案件がずれるということについては、これはもう御了解いただきたいと思います。厚生労働省も幾ら頑張っていただいても、もちろん財務省で認めていただけないこともございますし、その点は十分御理解をいただければいいと思いますが、要望書については、この会から厚生労働省にお願いすることでございますので、別に事務局でまとめていただいたものを各委員の皆様にお配りいたしますので、その時点でいろいろなコメントをおっしゃっていただければいいと思います。ただ、いろいろな整合性の問題がありますので、各委員の言ったことが100%認められることはないということについては、ちょっと御理解いただきたいと思います。そのコメントについては、できるだけ事務局から、その理由については明示するようにお願いしようと思っております。それでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○林会長 それがだめだと言うのだったら、患者さんの代表でまとめていただいたものを直接厚生労働省に出していただいたら、私はもう関与する必要がございませんので、私は非常に肩の荷がおりますので、できたらそうしていただくと私は非常に助かると思っております。その点については十分御理解をいただかないと、これは全然先に進まないと我々も思っておりますので、その点は十分御理解いただければと思います。
 ただ、事務局も、例年非常に頑張っていただいているのです。頑張っていただいておりますが、厚生労働省内での同意をとる必要がございますし、財務省の同意をとる必要もございますので、こちらでお願いしたことが全て実現するというわけではないということについては、十分御理解を賜ればと思っております。
 よろしゅうございますでしょうか。そういうプロセスで進めさせていただくということで、少なくとも要望書の中で抜けているとおっしゃっていただきました、それが抜けた理由については、事務局から理由を明示させていただくと。それも文書にしたほうがいいですね。また、こういうことが来年も起こりますので、できたら文書で御返事をさせていただいたほうがいいと思いますので、文書で御返事をさせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○林会長 そうしたら、ことしもどうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、その他の議題でございますが、大賀委員、先ほどの件ですかね。ありがとうございました。
○大賀委員 1つ要望があるのですが、先ほど溝上先生が100ページを飛行機の中で読んだとかというような、もう大変疲労されたみたいですけれども、私たちもくたくたになっております。中田係長に本当にお世話になっているのですけれども、御苦労されている状況がひしひしとわかります。前日まで係長とキャッチボールです。要は、資料のまとめが多分遅いのだろうと思うのですけれども、本当にもうちょっと、1週間ぐらい前には資料を文書として印刷して送ってほしいというのが、私個人の気持ちです。私のパソコンは古いものですから、開けない、もう本当に数本しか開けずに、中田係長に一部ファクスで送っていただいたり、そういう細かな、忙しい方にそこまで私たちはお願いしなければいけないのが現状なのですけれども。そして、最後の資料をメールで受け取ったのは一昨日の晩ですよ。それはとてもじゃないが読めないです。飛行機の中で私は一生懸命読んできましたけれども、そういうのは避けたいですね。ぜひ資料は早目にまとめて、事情があるかとは思うのですけれども、結果が全てです。
 以上、ぜひよろしく。
○林会長 はい。あと清本委員、先ほどの件ですか。別ですね。
○清本委員 清本です。
 59ページからのユニバーサルワクチン導入に関する見解なのですけれども、B型肝炎に関してです。我々が予防接種による注射器の使い回しで被害を受けたという団体もあり、そこら辺の予防接種に関していろいろ議論を踏んできました。現状のB型肝炎の感染率が不明というところもあって、今、ユニバーサルワクチンにする必要があるのかどうかを、まず、導入の是非を議論するに当たって、世界標準の5歳児のキャリア率をまず把握することが必要ではないかということです。それによって、そのユニバーサルワクチンが必要なのか、必要でないのかを検討する間にも、セレクティブワクチネーションで、先ほど言いましたように、母子感染事業の徹底強化、または同居家族へのワクチン接種など、そういったものを強化することによって、B型肝炎の感染というのは十分予防できるのではないかと考えておりますので、そういった意見です。
○林会長 ありがとうございます。事務局、それについて、それでよろしゅうございますか。
 どうぞ。
○脇田委員 今の小児におけるHVS抗原の保有率ですけれども、我々感染研でもこの問題は非常に重要な問題だということで、WHOの西太平洋地域でも、5歳児におけるB型肝炎の陽性率がいまいちよくわかっていない。日本が一番よくわかっていないということで調査をしまして、今のところ、2,000例の4歳児から9歳児の小児の検査をしまして、6例陽性ということで、0.3%の陽性率ということになっています。
 この検査を始める前は0.1%以下ではないかということを予測して検査を始めたのですが、この使用した検体は、流行予測事業ということで、さまざまな、風疹とか麻疹とかといった、子供たちの感染状況の調査に使う検体を使わせていただきまして調べました。ですので、予想よりもやや高いのではないかというような結果を得ております。ですから、セレクティブワクチネーションももちろん徹底するのは重要なのですけれども、ユニバーサルワクチネーションの必要性もやはり考えていかなければいけないのではないかという見解に今のところ立っております。
○林会長 そういう御要望があったということだけ、担当課にお伝えいただければと思います。
 どうぞ。
○井上肝炎対策推進室長 清本委員からこのユニバーサルワクチン導入に関する資料の提出、ありがとうございます。現在、B型肝炎ワクチンの定期予防接種化につきましては、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会におきまして検討されているところでございます。今回いただきました御意見は、私ども事務局からも担当課に申し伝えるようにいたします。
○林会長 ありがとうございました。
○溝上委員 それに関してよろしいですか。
 そのワクチン予防接種・分科会の参考人として呼ばれて行ってきました。はしかとか、風疹とか、水疱瘡とか、そういうものとHBワクチンとの絡みで、いろいろ意見を述べさせて戴きました。そのときの雰囲気では、分科会の先生方にHBワクチンの必要性がなかなか認めてもらえない雰囲気でした。定期接種化は必要だ、だけれども、対費用効果という面からポジティブなデータが今のところ日本ではないということになっているようです。そういう雰囲気でした。
 それから、今の脇田先生の一番新しい例ですけれども、これは田中純子先生の2005年の論文ですけれども、例えば5歳以下は0.017%で地域により大きく異なっています。したがって、現時点での感染率もまだはっきりしていない。この論文と今回のものとは10倍違うわけですね。
○脇田委員 ただ、地域が違う。
○溝上委員 そういうことがありますから、やはり地域が違う、あれも違うということで、本当にどれくらいあるかということをやらないと、なかなか現時点では解っていないということが大きな問題でございます。やはり対費用効果を見るときに、現在の感染率が本当にどれくらいいるのだということすら、余りにもきれいになり過ぎてしまって、解らないというのが現状だということは御理解いただかないと、なかなか進まないと思いました。
○林会長 どうぞ。
○脇田委員 もう一つ、B型の問題点としては、20代以上の方の感染率がよくわからないというところなのですけれども、前回の肝臓学会で鳥取市立病院の検診の受検者3,600名のデータが出ているのですね。それで20代から30代で、HBs抗体陽性者が17%あるという報告がされています。ですから、これもかなり衝撃的なデータですので、我々のところでも、20代以降の方々の実際の被感染者率、それをきちんと把握したいということで、こちらも研究を今、計画しているところです。
○林会長 どうぞ。
○清本委員 いろいろありがとうございます。ユニバーサルワクチンに関してはいろいろ議論しなければいけないところだと思うのですけれども、セレクティブワクチンに関しては、費用対効果も含めてなかなか有効なことだと思うので、そちらのほうは予算措置などを考えていただけると思いますので、よろしくお願いします。
○林会長 それでは、少し時間が過ぎましたが、どうぞ。
○阿部委員 先ほど大賀委員がお話しした内容をちょっと確認したいのですが、実は、国会請願の処理をした内容なのですが、先ほど大賀委員が説明しましたけれども、それは、その前提があって、国は肝炎から進行した肝硬変及び肝がん患者に対するさらなる支援のあり方について検討する上での情報を収集するため、肝硬変、肝がん患者に対する肝炎医療や生活実態等に関する現状を把握するための調査研究を行うと。その実態調査を受けて、推進協議会で支援のあり方を検討してまいりたいということを回答なさっているわけです。
 それで、中間報告といえども、調査結果が出ておりますので、やはりこの協議会でやるのか、あるいは何か別なものをつくるのか、その辺を含めて早急にこの検討の場をつくっていただきたいと思うのですが、事務局、いかがでしょうか。
○林会長 どうぞ。
○井上肝炎対策推進室長 事務局、肝炎対策推進室長でございます。
 今、阿部委員、それから先ほどの大賀委員からの御指摘、私ども事務局としても伺いました。前回はまだ中間報告という、研究の最終的な報告が出ていない状況で、私どもこの協議会で報告を受けたという形でございます。研究年度が平成25年度までということで、今年度の末には研究結果がまとまるということを踏まえ、次回の協議会において、最終的な報告書がどれぐらい完成版として出ているのか、研究者の先生方とも相談しながら、より最終報告に近いものをもとに、この場で議論ができるように検討させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○林会長 今と違うことですか。どうぞ。
○有川委員 有川ですけれども、今回、参考資料としてB型肝炎訴訟について数字を出していただいて、ありがとうございます。それで、2点ほどあるのですけれども、1つは、要望として、B型肝炎訴訟にかかわって、疾病別に和解金が違いますね。これからは、それについての明細も出していただきたい。それからもう一つ、ことしの3月15日に肝炎情報センターの主催で肝疾患相談センター相談員向け研修会というものが行われて、そこで厚生労働省の松田さんという方が、B型肝炎訴訟についての説明をされているのですね。それで、徳島県では、肝疾患相談室という名前になっているのですけれども、そこには何人かがB型肝炎訴訟についての質問をされているので、そういう点で言うと、このB型肝炎訴訟についての説明があったということは非常にいいことだったと思うのですけれども、それに関連して県のほうに聞いてみましたところ、それを受けて、例えば、専門医療機関の担当者に対して、B型肝炎訴訟についての説明会なんかをしたのかとお伺いしたところ、そういうことはやっていないということなのですね。今、提訴者数が大変少ない状況で、もっともっと対策を強めることが、肝炎対策推進協議会での1つの役割でないかと思いますので、これについても厚生労働省から何らかの形でB型肝炎訴訟についての説明会、専門家ないし、B型肝炎ウイルスの検査をしている医療機関に対しても、そういうところの担当者についても、きちんとB型肝炎訴訟について理解できるような措置を講じてほしいと要望したいと思います。
○林会長 どうぞ。
○溝上委員 その件に関して、肝炎情報センターを管轄しています溝上でございます。
 一応ホームページに、そのときの内容についてはインターネットでしっかりと見られるようになっております。それが1つでございます。
 それから、そういう新しいこと、それから、ここで出てきたようなこと、それから、患者様の希望に沿った形でできるだけ新しい情報を中心に各都道府県の行政の方とか専門医の方に年2回集まって貰って講習会をやっており皆様に周知徹底できるような形で進めております。
 インターネットで、簡単に見られるようになっていますので、ぜひ見ていただければと思います。よろしくお願いします。
○林会長 事務局。
○井上肝炎対策推進室長 補足して申し上げます。事務局の肝炎対策推進室長でございます。
 私から御報告がおくれていて申しわけなかったのですが、前回の協議会で有川委員から指摘を受けていた事項がございました。何かと申しますと、B型肝炎訴訟における提訴者数、和解者数の推移に関して、資料を出すようにということでございました。これに関しましては、御報告がおくれましたが、今回、参考資料と記してありますものの通し番号の47ページ、48ページ、参考資料番号5番というところで、前回の有川委員の御指摘を踏まえました資料を提出いたしましたということの御報告でございます。
 この資料を踏まえた上で、さらに今回、有川委員からの御指摘は、B型、C型をまとめた資料ではなくて、さらにこれをブレークダウンした資料が提示できないかという御指摘だったと理解しています。それが技術的にできるかどうか、今、即答できませんが、できるかどうか検討の上で、次回の協議会で準備できるのであればさせていただければと考えております。
 以上でございます。
○林会長 ありがとうございました。
 それでは、少し時間が過ぎましたので、これで本日の会は閉会させていただきたいと思います。
 本日は、本当に遅くまでいろいろな御議論をしていただきまして本当にありがとうございました。先ほど申し上げましたように、今回の会議で、あと、予算の要求事業等でまとめがございますので、また事務局から、各委員の先生方には要望書のまとめをお送りさせていただきますので、ぜひ御協力のほど、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の会をこれで閉会にさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局疾病対策課肝炎対策推進室 中田
電話: 03-5253-1111(内線2948)

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