ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金記録問題に関する特別委員会)> 第4回年金記録問題に関する特別委員会議事録(2013年6月20日)




2013年6月20日 第4回年金記録問題に関する特別委員会議事録

○日時

平成25年6月20日(木) 15:00~17:29


○場所

中央合同庁舎第5号館 19階 専用23会議室


○出席者

(委員)

磯村委員長、岩瀬委員、大熊委員、大戸委員、斎藤委員、白石委員、三木委員

(日本年金機構)

水島理事長、薄井副理事長、矢崎理事、松田理事、深田理事 ほか

(厚生労働省)

高倉年金管理審議官、八神事業企画課長、尾崎政策企画官、大西事業管理課長、
新給付事業室長、三木年金課長補佐

○議事

(磯村委員長)
 それでは、第4回の年金記録問題に関する特別委員会を始めたいと思います。本日は金田委員と喜田村委員がご欠席でございます。あとはおそろいでございますので始めたいと思います。

(尾崎政策企画官)
 では初めに、最初の資料の内容、それから本日の議題につきましてご説明をさせていただきたいと思います。1枚おめくりいただきまして議事次第がございます。またその後ろに主な取り組み事項、全体構図がございます。その2枚目と3枚目の後ろの部分をご説明させていただきたいと思います。本日の議題の内容でございます。
 3枚目の全体構図の資料でございますが、第1回の資料以降毎回つけさせていただいておりまして、全体の審議事項における本日の議題の状況がわかるようにしたものでございます。赤い字で書かれている部分が本日の議題ございます。1枚戻っていただきまして議事次第、(1)から(5)まで、このような順番で進めさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 (5)のその他でございますけれども、一番後ろに資料番号なしでつけさせていただいておりますが、昨日国会で法案成立いたしました第3号被保険者の記録不整合問題に関する年金法の一部改正につきまして資料を用意しておりますので、概要をご説明することとしたいと思います。
 それでは、順番にご説明させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 本日は国会も終幕に近く、大臣、副大臣などは、ご参加いただけないということでございますのでよろしくお願いいたします。
 それから本日の議事次第でございますが、ちょっと脈絡のない議題が4つ5つ並んでおりますので、私から前ご説明をさせていただこうかなと思っております。その前講釈の中身でございますが、本日は事務処理誤り特集ということでございまして、例えて言いますと料理が5皿並んでおりますが、そのうちの主食、メインディッシュに相当するものが、この議事次第3番目の、「日本年金機構の事務処理誤りへの対応について」ということになります。
 この事務処理誤りの対応についてという3番目の議事は、実は前の年金記録回復委員会であらかたの方向づけができておりまして、大きく2つあるのですが、今後の再発防止という部分については、大方のご意見がまとまっているかなというところでございます。本日はその細目についてさらに詳しいご説明があるというように聞いております。
 それからもう一つ、この事務処理誤りにつきましては、今まで誤った処理をした事案の是正をどうするかという問題が大きく残っております。この辺についても本日大ざっぱなご説明があるようでございまして、ここの部分は恐らく本日全てのご審議をいただくだけの材料が整っておりませんので、秋以降というようなご説明があるのではないかと思っております。これが主食に相当する事務処理誤りのところでございます。
 それから、この議事次第の(1)に書いてあります「外国人に係る住民基本台帳制度の改正への対応」のところは、前から議題にしなければいけないいうことで取り上げられている話でございまして、外国人の話というのは年金制度上では全く差がないのですが、お名前のコンピュータシステムへの取り込み方などいろいろ悩ましい問題がたくさんございます。例えば私ども日本人でございますと、名前の数が多くても漢字で7文字か8文字が最大でございますけれども、外国人の方の中にはコンピュータのシステムで取り込める20桁以上のアルファベットの文字が、ずらずらと並んで全部を取り込めないという問題が例えば1つございます。こういったことについて、住民基本台帳との関係で一体どうするのかというご審議をいただくということになります。
 それからその次、(2)に書いてございます「届出書等の電子化の推進」でございます。これはかねがねこの場でも何回か出ておりますが、ペーパーレス化によるミスの防止と処理の効率化を目指すものでございまして、これも実は途中までは前の回復委員会である程度のご審議をいただいたことを、ここで引き継いで結論を出すということになっている議題でございます。
 それから3番目でございますが、議題(4)にございます「社会保険労務士アンケートの実施について」、これは本年の4月に私のほうからご提案を申し上げて、社会保険労務士会連合会のご快諾もいただきました事案でございます。あらかたアンケートのとり方がまとまりましたので、本日ここでご了解を得られれば、本日付けで全国社会保険労務士会連合会の金田会長にお渡ししたいと思います。本日は金田委員がご欠席でございますが、あらかじめご了解をいただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 あと議題には書いてございませんけれども、来年3月に予定しておりますこの特別委員会でまとめる予定の報告書でございますが、できれば来月7月のこの委員会の場で、このような格好で報告書をまとめていきたいというような作成方針めいたものを、事務局からお出しいただこうかと思っておりますので、希望的期待をあらかじめ申し上げておきたいと思います。
 以上が前講釈でございます。
 それでは、予定に従いましてよろしくお願いいたします。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 それでは、資料に従いまして説明をさせていただきます。日本年金機構事業企画部の北波と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1をご覧いただきたいと思います。議題1でございますが、外国人に係る住民基本台帳制度の改正への対応と、先ほど委員長からもご紹介がありましたようにこの問題につきましては、1年ぐらい前の記録問題回復委員会でも外国人の住民基本台帳、これについてどのように対応するのかというようなご議論をいただきまして、実際今度の7月から住基ネットに登載されるということでございますので、その対応も含めて今どのような形でやっているのかということを、ご報告したいと考えております。
 1ページでございます。まず全体の状況を最初のパラグラフで書いてございますが、機構での年金記録につきましては、外国人の氏名につきましても仮名で管理をしている状況でございます。本来は言うまでもなく仮名以外の氏名をお持ちであるということでございますが、先ほど委員長からもご指摘がありましたように、入力の桁数につきまして少し制限があるということでございます。それもありますし、また、そもそも仮名以外での管理が難しいということになっております。
 ただ、今般でございますが、外国人が住民基本台帳に登録されることでアルファベットでの住民票の管理という形になりますので、市町村との情報交換という場におきましても、仮名ではなくアルファベットで行うという形になってまいります。そのため、機構におきましても仮名氏名とともに実際パスポートに表示されているアルファベットについての管理を進めていきたいと考えております。
 実際は住民基本台帳、この法律自体は昨年7月から施行になっておりまして、これに伴いましてまずは国民年金から進めようということで、資格取得届などの提出時に市町村からアルファベットの情報をいただくことで、こちらのデータベースに集積をしているという状況でございます。
 今はこういった状況なのですが、今度の7月からは住基ネットでアルファベット氏名の照会等が可能になりますので、日本年金機構でも日本人と同様に住基ネットを活用した情報照会等を進めていきたいと、そのためにも国民年金以外にもアルファベットでの管理を進めていきたいと考えております。
 1枚めくっていただきまして2ページでございます。具体的には現在は国民年金対応ということでエクセルのデータベースという形で管理しておりますが、今回につきましては、サーバーを設けまして実際に照会機能、連動機能も含めました外国人氏名管理システムというものを構築し、そこにまずは国民年金の集積しておりますデータを移行し、また、その際に住基ネットと突合して外国人の方についても、できる限り住民票コードの収録を進めていこうということでございます。
 また、7月以降につきましては、市町村、事業主の協力を得まして資格取得届等の提出の際に、住民票や在留カードに記載されているアルファベット氏名をあわせて提供いただくという取り組みを進めまして、住民票コードの収録を進めていこうと考えております。具体的な対応につきましては、若干重複しますのでピックアップして説明をいたしますが、2ページの下のところの「24年7月~」、これにつきましては、今申し上げました国民年金についての対応を記載しております。
 3ページをご覧いただければと思いますが、昨年7月から始めておりますので約9カ月でございますが、3月末時点でどのぐらいの割合で収録できたかというと、今のところ20%という形でございます。市町村からの協力はおおむね協力いただいているというような状況でございます。
 それから25年7月からは、今も申し上げましたように事業主の方々に対しましても、資格取得届の提出の際にもアルファベット氏名登録申出書を、任意でございますが、ご協力をいただいて提出していただくということを考えております。実際これは義務づけではなくてまさに任意ということでありますが、協力をいただくために、こういう取り組みを始めますということにつきましても、6月の納入告知書に協力依頼の文書を同封しようということで進めております。
 その納入告知書の様式については7ページでございますし、また、ホームページでも「大切なお知らせ」ということで、このような形でのアルファベット氏名登録申出書にご協力いただきたいということで掲載を、5月にさせていただいているところでございます。
 3ページに戻っていただきまして、この申出書を提出いただく際に在留カードのコピーまたは、住民票の写しを添付していただくことでアルファベット表記をきちんと確認して、私どものデータベースに登録するというようなことを考えております。また、漢字氏名、通称名の記載がある方々につきましても、同じくアルファベット氏名に加えまして漢字、通称名も管理をさせていただきたいと考えております。
 4ページをご覧いただければと思いますが、4ページでは、外国人の方につきまして仮名で管理するという場合につきましては、実際は市町村もしくは事業主が仮名を振るというケース、もしくは仮名情報がない場合は日本年金機構が振るというケースも考えられます。当然ながら仮名の振り方にぶれがあるという場合は、別人として取り扱われる可能性があるということであります。今後このアルファベット氏名、これはパスポートからそのまま写してまいりますので、この氏名を活用してこのような重複付番を防止する取り組みを、7月から進めていこうと考えております。
 具体的にですが、実際は仮名氏名の確認に加えまして、それでも突合しない場合につきましては、アルファベット氏名と生年月日と性別であるとか、漢字氏名であるとか通称、こういったものにつきましての突合作業を内部でいたしまして、できる限り幅広に基礎年金番号が既に付されているものがあれば発見し、統合に努めていきたいというふうに考えております。
 5ページでございますが、実際のところは28年以降に個人番号制度が導入されます。それを見据えまして私ども機構といたしましても、なるべく被保険者の方のアルファベット氏名で住民票コードを収録していきたいということで、例えば事業主様からの新規資格取得が出てきたときのアルファベット氏名、こういったものにつきまして住基ネットと突合することによって住民票コードの収録を促進していきたいと、このように考えております。
 手短でございますけれども、資料の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 何かご意見、ご質問ございましたらどうぞ。

(三木委員)
 アルファベットで管理をするということ自体は非常に厳密な方法なので、それは進歩だというようには思います。ただ、例えば数十年後に、アルファベットで登録をしている人もいるけれども、仮名だけで終わった人もいるということもあると思うのです。そういったように厳密に比べるとちょっと違うということが、収録されている形式によって出てくるわけです。それはいわば宙に浮いた記録問題みたいな問題になるわけでして、そういう意味では、今後のオペレーションの中で、一体何をマスターにして管理していくのかということを、非常に明快にしてそれに全部紐づけていくという努力を継続して重ねていかないと、例えば何十年後かでも残れば、それはまた再び宙に浮いた記録問題になりかねないわけです。
 そういう意味では、これを読んだだけではっきりわからないですけれども、マスターが住民基本台帳なら住民基本台帳のアルファベットの表記、それはパスポートとも一致しているということであればそれに全部寄せていくというようなことで、まずはアルファベットを中心にやるのであればそちの方向に進んでいかなければいけないと思います。
 ただ、ここにはアルファベットの収録についても「任意」という言葉があったりするので、そういう意味では、まだこれは当面の整理としてとりあえず回していくという観点ではいいと思うのですが、本来あるべき論としては、マイナンバーなのか住民基本台帳のIDなのかアルファベットなのか生年月日なのかという、とにかくいわゆる3条件、4条件と言われているアイデンティファイする条件を、まず定義しなければならないのです。その定義に沿ってオペレーションをどうつないでいくのか、逆算していかなければいけないというように思います。その上でそれぞれのデータベースの一個一個のフィールドに対しての上書きを、どういうプロセスでやっていくのか、プロシージャーでやっていくのかということをきちんと定義しないと、結局、過去起きてきた宙に浮いた記録問題と同じことが、必ずここでも起きるだろうと思います。
 念のためにもう一回申し上げると一個一個違うのです。仮名の名前は仮名の名前というそういう属性の定義です。それとはまた別にアルファベットの名前はアルファベットの名前ですし、住基のアルファベットの名前は住基のアルファベットの名前だということで、全部それぞれ違うものです。それを一緒だと思い出すと、目検で全部確認しなければいけなくなって何が何だかわからなくなるのです。
 あと、ここには書いてないですけれども、つけ加えると、銀行口座というものもこれはまた別のものです。日本年金機構だと年金の受給の口座と名前を一体的に考えているので、それでますますわけがわからなくなるわけであって、通常の民間企業であれば、申込人と銀行口座は同一名義人であったとしても、別に書く欄が申込書にあって、そこに書いてそれぞれ別物としてきちんと定義されているわけです。
 そういったように全て定義というのは明快に仕上がっていなければいけなくて、それが結論的に将来こうなっていれば絶対大丈夫というところから全て逆算して、データベースの設計や業務フローのオペレーションのプロシージャー自体を定義するということを、やらなければならないということだと思います。
 今この状況というのは当面の整理としてはいいですけれども、今後10年、20年で整理整頓していく中では、全てデータをきれいにしていかなければならない。そのためには今いろいろシステムを改善されたりしているものは、全てきれいになっている条件の要件定義した前提でのフィールドに対して、埋めていくという作業でつないでいかなくてはいけないというようなことだと思います。それを曖昧にしているとまた同じことが起きるので、これは非常に複雑にいろいろなっているので、もう一回ちゃんとエクセルの表にしてどうつなげばいいかというのを、もう一回よく確認してほしいと思います。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 いかがですか。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 三木委員がおっしゃるとおり年金記録を管理する中で、どのような形でご本人様をアイデンティファイしていくか、ここについてきちんとした筋道を通すということは、これは当然の話だと思いますし、私どももそれに努めたいと思っております。
 今回の外国人の対応につきましては、基本的に今も申し上げましたように7月からまずはこの動きを始めさせていただいて、収録率を上げていくということで、その間にいろいろなご意見はあろうかと思いますので、それも踏まえながら一番効率的なことをやっていこうと思います。
 アルファベット氏名につきましては実は先ほども説明しましたが、仮名の場合はアルファベットの氏名をどういうふうに振り仮名をふるか、ここにつきましては、本来外国人の方が持っておられます名前というのは仮名ではございませんので、ぶれが生じるということもございます。
 今回の取り組みにつきましてはまずはパスポート、それをきちんと写してある住民票もしくは在留カード、これらの表記を、英文字アルファベットの半角大文字でございますが、きちんと登録をしていこうということでございますので、外国人につきましては、まずそのアルファベット表記を中心に情報交換であるとか、それから住基ネット等の利用であるとかそういったことはさせていただくと、当然ながらここでは住民票コードの収録作業も行っております。実際、情報連携という形でいろいろな情報をとってくるときには、名前というか住民票コードというもので現在は住基ネットの照会をしておりますので、まずアルファベット氏名、そして住基コードというものがきちんとひもづいて、それが我が方の基礎年金番号ときちんとひもづいていれば、今の段階では、将来的にどのような記録の持ち方をするかということは別にしましても、今の段階ではそれでまずは走らせていただいて、それでぶれがないようにしたいと考えております。

(磯村委員長)
 三木委員、それで大丈夫ですか。

(三木委員)
 1点だけもう少しつけ加えさせていただくと、非常に重要なのは、住民票なり外国人の方が持たれている在留カードというものと、申告があったアルファベットは、絶対それが一致していることを確認して、ずれていたら必ず突き返すというようにしなければいけないです。
 それが曖昧だと、絶対そこが合っているという確認がない限り、10年後、20年後にデータ突合しようとしたときに間違っている率が、例えば1%でも0.5%でもありますと、結局全部見なければいけなくなります。業務オペレーション上必ず全件チェックされていて確認されているということであれば、そこはクリアしているということでいいですけれども、ちょっとでも泥水がまざると泥水です。そこは絶対にクリーンだと、絶対に真水だということを業務オペレーション上担保するということが、非常に重要だと思います。
 悪い例で言うと、今のアルファベットではない片仮名の外国人の方の名前というものは、非常によくなくて、分からなくて日本年金機構でつけていることもあるというのは、お客様も認識していないので確実に宙に浮いた記録になるわけです。そういう意味では一個一個のオペレーションの強度というのは、ある部分については少なくとも100%真水だというのを担保することができるような業務フローを作っていただきたいと思います。

(磯村委員長)
 よろしいですか。
 どうぞ。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 まず現行、7月から考えているものにつきまして言いますと、添付書類といたしまして、在留カードのコピーまたは住民票の写しを添付していただくということですので、そこで目検ではございますが、同一性を担保したいと考えております。
 既に外国人の方がおられまして、アルファベットではなくて仮名で管理されている方をどうするかという問題は、今後の問題として当然ございます。これにつきましては、被保険者全体についても住基コードとの突き合わせを1回させていただいたのですが、そこでもまだ住基コードと紐づいていない被保険者が、これは日本人の方ですがおられます。それが大体11%か12%ぐらいおられますので、当然ながら今後個人番号というものも入ってまいりますときに、個人番号に基づく符号によって情報連携をしていく、これはこれから具体像をどんどん詰めていく話になりますが、そのときにはきちんとそれによってアイデンティファイするような形をとらなければならないので、実際のところはそこでどこかの段階で1回総ざらいをさせていただいて、それできちんとアイデンティファイする作業をさせていただきたいと思っております。

(三木委員)
 日本人の話も出てきましたから同じことだと思いますけれども、基本的にはアイデンティファイする条件というのは、今からデータをきれいにしていくプロセスの中で順次やっていくことになるはずなので、それは例えばデータベースの設計や業務フローの設計のときにも間違いなく大前提になるわけです。
 そういう意味では年金機構として日本人の場合も外国人の場合も、これは年金機構というかもうちょっと違うレベルでもそうかもしれないです、個人番号の場合でもそうですけれども、何をもってアイデンティファイするのかという定義をしっかり持つということが非常に大事です。
 これは個人番号のほうがどうなっているか正直余りわかっていないところはありますが、例えばネット銀行であったりすれば、自分の固有のIDプラスパスワードもしくは乱数表のカードみたいなもので、アイデンティファイするようになっていてセキュリティーが担保されているわけです。
 それは数字なので人手を介したりしないので、絶対的に間違いなくアイデンティファイできるような仕組みになっているのですけれども、そこが今後、年金機構がどういう仕組みでアイデンティファイするのかというときに、アルファベットの名前でもいいし日本人の名字でもいいですけれども、それと生年月日だと足りないわけです。やはり住所まで入れないと一義性が出ないので、もしかしたらID以外にパスワードみたいなものがあったほうがいいのかもしれないですし、どういうポリシーでアイデンティファイしていくのかということは、実は業務フロー上の設計で影響が大きくて大問題になるわけです。
 それをちゃんと早目に考えて今後のデータのクレンジングをやっていかないと手おくれになってしまうので、ぜひ早急に、年金記録問題に関しての最後のまとめをしていることの中の次の再発防止策で最も大事なことは、アイデンティティーをどうやって確保するかということ、それは数学というかロジカルに決めるということだと思います。

(磯村委員長)
 今のご意見について、何かありますか。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 ご指摘を踏まえて関係部署とも相談しながら、きちっとしたものをできるように検討していきたいと考えています。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(白石委員)
 現在、厚生年金の被保険者等については、住民基本台帳と11%ぐらい合わない方たちのものを見てからみたいな形になるのでしょうか。というのは、資格取得のときに既にアルファベット氏名登録申出書添付という、任意ですけれども、お願いをするわけです。それでしたら、これも事業主の方たちにお願いをしまして氏名変更届に外国人を、会社だとどこの国かというのも全てわかっていますから、その外国人の方たちを雇用している事業主に対して氏名変更届に、アルファベット氏名登録申出書をつけて氏名変更届のお願い文を、納入告知書等でされたらいかがですか。そのほうが早く件数も把握できます。
 やはり延ばしていると、それこそいずれまた宙に浮いた年金問題になりかねないので、対応として姿勢を見せる必要があると思います。できたら6月の納入告知書は届くころですから7月とか遅くても8月ぐらいには入れていただけると、進むのかなと思います。
 あともう一件、この登録申出書というのは、もう既にダウンロードできるのでしょうか。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 7ページをご覧いただければと思うのですが、実際は資格取得届というのは新規の資格取得届だけですので、それ以外にも氏名変更届ですとかそういったときにも出していただきたいということで協力依頼をさせていただいております。ここでも「外国人被保険者のアルファベット氏名登録のお願い」の細かい文章の3行目のところで、「『氏名変更届』等を提出する際は」ということを記載しております。当然この届書につきましては、ダウンロードが可能でございますのでよろしくお願いいたします。
 実際7月から協力していただいて、その推移を見ながら次の手を打つかどうか、どういう形でご相談すればいいかということは、機構の中で考えていきたいと思っております。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(斎藤委員)
 このご案内だけだとよくわからないのが、中国人の場合です。原則としてということなので、中国人は漢字だから別にいいのかと考えてしまいます。きちんと統一した形にするのであれば、漢字の方もアルファベットの表記の届出をという断り書きを入れていただくと助かります。このお知らせだけだと多分私なら、機構に電話して、どうしたらいいですかという相談をするだろうと思います。
 それからもう一つ、先ほど磯村委員長から、外国人の方だと20文字以上になってしまうことがあるということでした。それで数えてみたのですが、アメリカのオバマ大統領なんてとても短い名前のようですが、数えたらブランクを2つ入れると18文字ですので20というのは、かなり短いと思います。たっぷりとフィールドをとっていただいて、途中で切れることのないようにお願いしたいと思います。バラク・フセイン・オバマとミドルネームを入れました。彼はサインするときにフセインというのを最近入れているようでしたので。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 まずはお詫びもかたがたでございますが、この「事業主の皆さまへ」の紙につきまして、もう納入告知書の発送手続をとっておりまして、実際そのような誤解が出ましたら次の対応も考えたいと思いますが、中国籍の方であるとか漢字氏名をお持ちの方につきましても、アルファベットを登録していただきたいということで協力のお願いをしようと考えております。
 それからスペースにつきましては、半角大文字でございますが、100文字とっておりますので普通は大丈夫かなと思います。十分余裕があると思ってその桁数で設定をさせていただいているということでございます。

(磯村委員長)
 今のところは大丈夫ですか。「100文字」という説明ですが。

(日本年金機構矢崎理事)
 要するにオンラインはキャパシティーが決まっているけれども、別サーバーは文字数多くても対応可能ということです。

(磯村委員長)
 そこをもう少しきちんとご説明くださらないと。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 オンラインのほうは仮名で管理ということになりますので、これは仮名なのですが、別の外国人の登録のシステム、外国人のデータベースのシステムは別のサーバーで管理をしていまして、その別のサーバーとそれと記録管理システムとが連携をするという形になっています。それで別のサーバーのところの字数の容量を、100桁という形で設定をさせていただいているということであります。あくまでもメインのシステムを変えるという形ではなくて、そこにサーバーをプラスしまして連携をするという形でアルファベットを登録していくと、こういう形をとっております。

(磯村委員長)
 よろしゅうございますか。
 では、私のほうから2つ3つ、この納入告知書の案内状を見ますと、本文でもありましたが、あくまでも事業主の任意ですよね。もし協力状況が悪くて日本年金機構にクレームがついたら、一体どちらがどういう責任をとるつもりですか。まずこれが1つ。
 それから民間銀行も実は外国人の問題の名前の表記では、随分苦労してきたはずですけれども、何か参考意見はおとりになりましたでしょうか。
 それから3つ目、事業主団体や社会保険労務士会連合会などについて、「こういうふうにしてほしい」などというご意見はお聞きになりましたでしょうか。
 以上3つ、どうぞ。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 まず収録状況がもし進まなかったときはどうするのかということで、収録状況の協力度合いがどのぐらい協力していただけるかということにつきましては、7月過ぎてから実際にじっくり見ていこうと考えております。今回につきましては、まずは協力していただくところから始めるということでございますし、また、届出様式等にもし義務づけるとしたらそれなりの手順等も必要になりますし、そこまでは今の段階ではしないというように考えております。ということでありますので、ご協力の度合い、呼びかけの度合い、こういうところにつきましては、今後の推移を見ながらやっていくことではないかなと思っております。
 また、民間銀行等がどういうご苦労をされてきたかということにつきましては、申しわけないですけれども、そこまでは私たちは照会をしたり、そういったところの情報収集はしておりません。ただ、実際推移が芳しくないといったようなことがございましたら、そういったところにつきましてお知恵を借りるということも、もしありましたら考えてみたいと思っております。
 また、団体等につきまして事前の調整という話でございますが、今回は一斉に収録作業をお願いしますという形ではなくて、まさにこういった届出の契機で協力いただけませんかというスタンスとしておりますので、お叱りを受けるかもしれませんが、今回につきましては特に事前の調整といったものは行っておりません。

(磯村委員長)
 今の、事業主団体その他問い合わせをしていない、照会をしていない、意見も求めていないということは、日本年金機構としての決定なのですか。それで機構として、これまでの状況から見て、事務処理に万全の態勢がとれるとお思いですか。

(日本年金機構矢崎理事)
 今、北波がご説明しましたけれども、まずは新しいことなのでやってみるということですが、再三ご議論をいただいていますように、今後の状況を見ながら事業主の方へどういったお願いをしていくのか、例えば義務づけるということであれば、当然ながら法令上の根拠も必要ですので省令改正も多分必要になります。

(磯村委員長)
 誰も、義務づけろ、とは言っておりません。

(日本年金機構矢崎理事)
 例えばです。そういう場合について言えば、当然年金局とも相談しなければいけませんし、そういうことになれば当然業界団体とも相談していくということになると思います。いずれにしましても今後の状況を見ながら、必要に応じていろいろな、例えば経済団体にもご相談なりお知恵をもらうということはあると思います。
 それから、例えば日本年金機構の場合は住基の情報とぶつけて、住所異動をしたときもワンストップサービスでいくようにということが、将来的な構想になると思います。ただ、銀行は多分そういうことはないと思います。その一方で、先ほどの三木委員が言われたようなアイデンティファイをどうするかということは、多分銀行も同じような課題を持っていると思いますので、そういったところで三木委員が言われたようなアイデンティファイの仕方をどうするのかという点では、いろいろな民間企業の知恵ももらっていくと、そういった構図になるのではないかと思います。

(磯村委員長)
 まあ老婆心というか老爺心というか、これまでの機構の事務処理誤りの発生の原因とそれに対する対応力から見ますと、とりあえず進めていくというこの姿勢に、私は非常に疑問を感じます。
 ある程度わかるのだったらわかった時点で、詰めるところは十分詰めてから進めるべきではないかと思います。皆さん方は、全てやってみてから後で考えましょうと言ったって絶対考えないですよ。大部分の方は、特に幹部の方は二、三年したらお変わりになるわけです。そういった状況下で、やってみてしばらくして具合が悪かったら変えますと、責任を持って言えますか。そこのところをひとつよくお考えください。

(日本年金機構矢崎理事)
 当然ながら組織として仕事をしているので、人事異動があっても必要な業務は継続して検討するというのは当然の話であります。

(磯村委員長)
 引き継ぎが十分できておればね。

(日本年金機構矢崎理事)
 それは当然引き継ぎます。要は、限られた時間の中で7月からとにかく実務に乗せなければいけないということで、正直言ってここまでが、我々にとって我々に与えられた時間のキャパシティーの中では限界だったということが率直なところです。ただ、ご議論をいただいているように、これで万全かどうかということはもちろんあります。
 もう一つのきっかけは、個人番号が入ったときにどうするか、これは外国人の方もですが、日本人の方の問題もありますので、そこを一つの時間的なターゲットとして今後進めていく、むしろそこに向かって、それも余り時間があるようでありませんので、そこを詰めていくということが、最大課題であり我々のターゲットだろうと考えています。

(磯村委員長)
 後で後悔をしないように、ひとつ十分ご検討ください。よろしくお願いします。
 どうぞ。

(岩瀬委員)
 段階を追ってやっていくということですけれども、これは最終的に義務化するという計画になっているのですか。

(日本年金機構矢崎理事)
 そこも含めて今後の検討課題だろうと思います。

(岩瀬委員)
 でも、アルファベット表記を入れていくということになれば最終的には、全加入者に協力してもらわないと余り意味がないと思います。だから、今とりあえずやってみて、次にそのやったことから改善点を学んでさらに進めていく、このプロセスは理解できますけれども、そのゴールは、義務化するためにそういった整備だとか、義務化に向けて整えないといけない条件を整えるということがあればわかるけれども、やって何かうまくいかなかったら途中でやめてしまうということも選択肢の中にあるのかどうか教えていただけますか。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 すみません、事業企画部からご説明いたします。
 基本的には収録率が上がらなかったから途中でやめてしまうということは考えておりません。当然ながら情報連携の中で、個人番号も含めて展望したときに、収録率をなるべく上げる。それから今後の個人番号が中心になった世界からいいますと、個人番号が紐づいていなければなかなかうまくいかないということであれば、まずは収録率をどんどん上げていくということは途中でやめるということはいたしません。
 そして義務化をするかどうかという話につきましては、これは制度を所管している厚生労働省とも相談をしながら考えていく必要がございますが、1つは収録率がどのぐらいになるかということで、義務づけなければ動かない状況になるのかどうかなどいろいろな要素があろうかと思います。それも含めてまずは7月から開始させていただいて、推移を見させていただければと思っております。

(磯村委員長)
 よろしいですか。
 本日のところはとりあえずこういったご報告をいただいたので、出てきましたご意見も踏まえて十分事務的に詰めていただきたいと思いますが、どうでしょうか。走り出してから、途中でまた然るべき時期に、どういった状況なのかお話を伺うということにしましょうか。皆さん、いかがでしょうか。
 では、そういうことで適当な時期にひとつご報告をよろしく。走ってつまずいたら、ここがつまずいたということを教えてください。
 それでは、次へまいります。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 それでは、資料2、届出書等の電子化の推進ということで品質管理部の竹村から説明させていただきます。
 めくっていただきまして1ページ目ですけれども、電子申請利用の促進の基本的な考え方ということで、背景及び目的を書かせていただいております。年金記録問題の発生原因の1つとして、事業主や市町村から提出される届出書の情報を電子化する際に、誤読や入力誤りにより正確な情報が登録されなかったことが挙げられております。そうしたことから利用者側であらかじめ電子化された情報を作成していただき、日本年金機構側でこれをそのまま処理することが、相互にとって適正でかつ効率的な事務処理方法と考えています。したがいまして機構としては、利用者側の届出書の電子化の促進を図っていくとともに、日本年金機構側においては業務プロセスの改善、ペーパーレスと書いておりますけれども、こういった内容を目指して取り組みを進めてまいってきております。
 2としまして、届書の電子化の現状について説明したいと思います。現在届出の方法ですけれども、紙申請、電子媒体申請、電子申請の3種類がございまして、大体比率としましては紙が47%、電子媒体が48%、電子申請が5%になっています。
 届出方法別の特徴を表で整理しております。紙申請につきましては特徴とて、手書きまたはワープロ入力で作成していただいています。届出頻度が少なくて届出件数が少ない場合に多く使われていると思っております。留意点としましては、先ほどから申し上げているとおり手書き文字の誤読や入力誤りが発生しやすいということでございます。また、入力漏れ等もございまして返戻も多く発生しております。
 続きまして、電子媒体申請ですけれども、これは昨年フロッピーからCD、DVDに切りかわりました。電子媒体届書作成プログラムを使用して作成していただくということで、自社データをそのまま活用して届出件数が多い場合に便利と考えておりまして、大規模会社の定期的な届け出で利用されております。ただし、対象届書が厚生年金6届、国民年金6届だけに限られておりまして、添付書類は依然として紙で提出していただく必要があるということでございます。
 最後に電子申請ですけれども、これはe-govの電子申請システムから届書を登録・作成していただくということで、電子の申請ということで届出頻度が多い場合に便利でございまして、大規模会社や社労士の方から利用いただいており、最近非常に伸びてきております。一方で、電子証明書やICカードリーダーの準備が必要ということになっています。
 ここで9ページを見ていただけますでしょうか。直近の状況ということで、平成20年度から24年度までの健保、厚年関係主要6届をベースに状況を整理したものです。紙、電子媒体、電子申請と20年から24年までの推移を表しておりまして、平成20年度の紙を見ていただきますと、届出方式別割合ということで50.67%でございまして、半分を超えていたのが平成20年度、21年度で50を切りまして以降、だんだんと紙の比率が減ってきているという傾向ははっきりございます。
 一方で、3つ目の電子申請のほうは、20年度1.09%だったものが平成24年度は4.89%ということで、非常に利用拡大が進んできております。
 電子媒体のほうは逆に率的には上がっておらず安定しています。全体で見ますと紙から電子申請への切りかわりが、少しずつ進んでいる状況が見てとれると考えています。
 めくっていただきまして10ページが、同じく主要6届を適用関係の届書別に分けたものでございます。同じく紙の比率で23年度、24年度と比較した表になっておりますけれども、24年度のところを見ていただきましても資格取得届で紙が約80%、資格喪失届80%、月額変更届、算定基礎届等につきましては50弱ということで、全般的には47.1%ということであり、まだまだ資格取得、資格喪失等については紙が大きく残っています。こうした届出をいかに電子化していくのかという課題があると考えております。
 戻っていただきまして2ページになりまして、現在、先ほど機構側として利用促進のための取り組みをしているということで申し上げました。具体的には昨年はCD、DVDに切りかわっことで、電子申請の利用勧奨のお知らせを納入告知書に封入して4回送らせていただいております。また、12月の賞与期には、同じく賞与支払届の用紙を送付する際に利用勧奨のチラシを同封させていただいております。
 今年につきましては、現在ちょうど算定基礎届の提出時期であり、総合調査を進める時期ということで、総合調査とあわせて電子媒体申請の利用勧奨を行うことで、一定規模以上と書いていますけれども、50人以上の規模の事業所については、利用勧奨の事跡を管理して事後フォローを実施するという形で具体的な行動を進めております。
 続きまして、3番の電子媒体申請に係る改善事項ということで、電子媒体、それから電子申請等でどういう活動をやっているのかというようなことについてご説明したいと思います。サービスの改善ということで、今年度の取り組みですけれども、国民年金の適用関係届の電子媒体化ということで、市町村から提出される国民年金関係主要6届を電子媒体での提出を可能としておりまして、平成25年度に電子媒体化を実施する予定の市町村につきましては、今現在475ということになっております。25年度においては引き続きこの475を増やそうということで取り組んでおります。
 今後の取り組みということでありますけれども、やはり電子申請可能な届書を増やしていくというようなことで、健保、厚年関係で電子媒体につきましては国内で6届のところをあと2つ増やしまして徐々に増やしていこうと取り組んでおります。
 それから業務プロセスの改善ということでは、今後の取り組みということで利用者側、機構側それぞれいろいろなエラーが出ないような警告を出す、注意喚起を行うというような取り組みを実施しているところでございまして、利用者側につきましては25年10月、機構側については26年度実施ということでやっております。
 続きまして、4、電子申請に係る改善事項でありますけれども、改善した事項ということで、これは社会保険労務士会連合会から強く要望をいただいていた内容でございまして、申請は電子で飛ぶけれども、添付書類は別送が必要だったということで、これにつきましては、コピー添付分につきましてファイルで送っていただくことができるように対応しておりまして、24年10月には添付ファイルの300キロバイト以内の容量制限を5メガに変更したということが1つございます。さらに5メガに増やしたものを26年7月に100メガバイトに拡大と、JPEG方式にPDF方式を追加するということの検討を進めております。
 それから26年度の実施予定ですが、対象届書の拡大ということで強く要望があった項目を並べておりますけれども、こういった項目については電子申請の対象届書に追加するということです。
 それから機構内部のほうですけれども、業務プロセスの改善ということで、電子申請の増加にあわせて内部プロセスを見直している内容を説明しています。
 続きまして、5ですけれども、紙届の作成支援プログラムの構築ということで、紙の届出書類については、一定量は必ず出てくるということで、これにつきましてICTを活用して正確な届書を簡単に作成できる方法として、ねんきんネット及び機構のホームページで届書作成支援プログラムを構築して、事務処理の適正化・効率化を図るということを取り組んでおります。
 これは別紙2を参照いだきます。7ページの届書作成支援プログラムを導入した場合の業務処理イメージということで、現行と改善後ということで表しております。現行のほうは手で書いていただいたものを受付処理、バーコードシールを張って、ホスト更新入力をして決裁・通知ということでプロセスが進んでおりますけれども、改善後につきましては、届書入力時に基本情報があらかじめ表示されて、入力項目が妥当かどうかチェックして間違っていればアラームを出すと、添付書類の案内も行うということで、プリンター出力のところを見ていただければ、受付バーコードを印字して届出内容もQRコードで打ち出し、これをプリンターで出力していただいて事務所のほうに送っていただきますと受付審査、入力が非常に簡単に済むということでございます。こういったことが26年度以降で実施できるような形で現在取り組んでおります。
 5ページに戻っていただきます。対象届出は、ここにありますとおり、ねんきんネットで国民年金5届及び年金給付6届と、それからホームページでは厚生年金17届とそれから上記の11届ということで取り組んでおります。
 それから続きまして、6で事務処理に関する将来構想、目指すところでございますけれども、現行の事務処理は今ご説明したとおり紙媒体を基本としております。将来的には紙から、紙が動かない事務処理に変えていきたいと考えておりまして、これにつきまして別紙3をご参照下さい。
 8ページです。現行が25年4月時点、現在は上の流れでございまして、例えばe-gov(電子申請)で入ってきたものは事務センターに直接入ってきますけれども、データを受付して、これを紙出力して紙出力したものを点検・審査し、データ更新してデータ更新したものをまた紙出力してというようなことが、今のプロセスになっています。これは先ほどご説明した中で変えていこうということで、26年度を目指して取り組んでいます。基本的にはいろいろなプロセスはあるのですが、紙でいただいたものをどこかでまた紙を出して審査、処理結果チェックをするようなことが、基本プロセスとなっています。将来構想は下にありますとおり、データで受け付けたものは、そこで紙が動かない仕組みを検討しています。あとは画像化した情報でシステムチェック、審査、処理結果確認、決裁ということで進めていきたいと考えております。
 いろいろな合理化プロセスを取り組んでいますが、最終的にはこういった構想に直結するような形で進めていけばということで、全体的には取り組んでおります。
 以上でございます。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 何かご意見、ご質問は。
 どうぞ。

(三木委員)
 電子化を積極的に進めていくのは、非常に重要な取り組みだというように思いますが、ただ、実際ここのところを足踏みしているというのが、比率から見れば現状なわけです。その理由については、一応この中でも書かれている部分もありますけれども、やはり一番問題になっているのは何かというと、月額変更や算定基礎届では5割ぐらい以下に紙は落ちているわけですけれども、資格取得であったり資格喪失であったりといったものは、8割ぐらい相変わらず紙なわけです。
 これはなぜなのかというのは、紙で1人2人中途で入ったりすると、それを出したほうが楽だということが、もちろん実務としてはあるわけですけれども、そういったものをどうやって解決するのかというところについてきちんと掘り下げていかないと、現状はなかなか変わってこないと思います。
 そのために1つお願いしたいのは、年金機構の中に電子媒体申請、電子申請のためのサポートのコールセンターがあるわけです。そこに1カ月にどのぐらい来ているかわからないですけれども、きっと何千、何万という客様がこれはどうなっているんだっけと、こういう場合はどうしたらいいんだっけというような、非常に困ったというような話がきているはずで、それを解決すれば自ずと解決する問題であろうと思います。
 そういう意味では、こういった推進のための資料を作られるときに本当に有用なものは、お客様のクレームというか困ったという問い合わせなので、それをまずきちんと押さえて、どういう項目が多いのかというあたりからきちんと分析をして、その事実を確認した上で対策をもう一回きっちりと練っていただきたいと思います。
 私が知っている限りにおいて幾つか問題があるわけでして、まず紙の資格取得と喪失が多い理由の1つは、同時に健康保険組合であったり厚生年金基金に出したりするもの紙の届書なので、どうせ紙で書かなければいけないものと、同じ内容をコンピュータで書くと、手間が増えるだけでそんなに得ではないということで、そのあたりをできれば統一化していくようなことを何かやっていかないと、資格取得、喪失届は改善していかないのではないか思います。
 そういう意味では、機構だけの仕事ではなくなりますけれども、お客様の視点に立てば、3枚の届書を、今までは1枚のシートで多分転写でできていたものが、一つだけコンピュータになってもそう意味はないので、コンピュータで3枚出るようにするとか、場合によってはお客様に、どこぞの厚生年金基金だとかどこぞの健康保険組合のフォーマットに吐き出すためのAPIのようなものを、こちらから提供して、健康保険組合や基金から何かもらったらそれをすぐつなげて出るようになりますとか、仕組み的なものはいろいろ考えられると思うので、うまいぐあいに連携して、とにかくデータを吐き出して、こちらが1回入れたものは、1回設定さえすれば100人来ようが何だろうがどんどん入れていけば、どんどんエクセルとかワードとかで吐き出せるように絶対できるはずです。
 そういう仕組みをこちら側でできることはできることだし、連携をしなければいけないことは連携をしなければいけないということで、きちんと作っていかないとなかなか伸びないと思います。基本、月額変更の紙の比率の四十何%ぐらいまでは本来だったら落ちるはずだと思います。少なくとも、そこの人たちはコンピュータを使って何かやっている人たちなので、そういう工夫をしなければいけないと思います。
 あと電子申請については、過去、電子申請のときの容量の問題があって、たくさん送れなくて非常に手間がかかるということが、社会保険労務士の先生からも意見が出ていたりはしていますが、それは改善しているのかもしれないですけれども、きちんと対応しないと、何回も送るのにすごい手間がかかって、ぱっと送れないというような話になっていることを、何とかしなければいけないと思います。
 あと、電子媒体申請のときには外字の問題というのがあるというのは、前々から非常に問題になっているわけですが、外字もさまざまなレベルがあります。そのレベルは住民基本台帳であったりとか日本年金機構のシステムのオンラインであったりとか、いろいろなもので違ったりとか、JISの体系でも決まっていないというか、いろいろなレベルがあるので、必ずしも一概には言えないですけれども、先ほどから少し議論が出ているようなIDの体系の中で、例えば基礎年金番号と生年月日と、その2つが一致したら同じだということにすれば、本来外字であろうが何だろうがこちらが持っている住民基本台帳のものと紐づけて、それを取り込むというポリシーにすれば外字は扱わなくていいのです。
 これは先ほどのこととも重複しますけれども、本質的にはIDというものはIDそのものなのです。アイデンティファイするのではなくてIDそのものは、単なる数字の羅列で、ある情報に対してその数字の羅列が、その一義性を担保するために存在しているだけなので、もしその観点に立てば、外字という問題は実は、そのあるIDに付随している情報の1つがどうだということで、それはほかのものを寄せてしまえばいいだけということで、本来外字の問題で突き返したりしなければいけない問題ではないはずです。
 何をもって本当にアイデンティファイする情報なのかということ本当に真剣に考えれば、そういった情報の一部の欠けているものは本来意味がないものかもしれないので、そこはもう一回、これも先ほどの話と一緒で検討していただいて、外字の問題もできればその中でこなしていただいたほうがいいと思います。
 これに付随してまた1つ、先ほどの件とも関係がありますが、居留カードやパスポートにIDがもともとついていると思います。パスポートのナンバーが国別に違ったりとか、居留カードの体系がどうなっているかはわからないですけれども、そういったものも結局、右と左を目検で突合するというものではなくて、きちんと突合しようとすると、実はナンバーが一番簡単で、例えば今の行政の窓口のわかりやすい例だと、本人確認に一番使われているのは免許証番号だと思います。免許証番号がID代わりになっていて、本人確認のためにも使われているということもあるわけで、免許証番号をとるということがいいかどうか、この場合わからないですけれども、IDということに関しては今あるものとどうつなぐのか、今後本当に発番するパスワードみたいなのが必要なのかどうかということも含めて、もう一回よく知恵を絞って考えていただきたいと思います。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 まずヘルプデスクの電話の状況については把握しております。24年は3万8,000件ほど電話が入っておりまして、どのようなものが多いのかといいますと、ターンアラウンドCDのパスワードがわからない、あるいはターンアラウンドCDを取り込むことができないということがありまして、これについては昨年末にホームページ上の内容については変更を完了しておりますので、この内容でどうなのかということについては、一度ご指摘がありました月額変更とか取得・喪失の分の比率が上がらないということにつきましてアンケートをとって、何が必要なのかということをもう一回確認していきたいと考えています。
 それから健保組合関係のお話ですが、これも初めてのお話ではなくて、何かしなければいけないと思っておりまして、これについては一度健康保険組合に行きまして情報交換をして、何が必要なのかということについて、すぐではないと思いますが、今後に向けて何ができるのかを考えていきたいと思っています。
 電子申請の容量拡大は、社会保険労務士会からの要望を含めて定期的に打ち合わせをしておりますので、今私たちが考えている内容が本当にいいのかどうか、もう一回確認する場にしていきたいと考えています。
 それから外字につきましても、これは今からになりますけれども、直接のお答えになるかどうかはわかりませんが、データエントリー協会に行きますと外字用のプログラムがあるという話もありまして、それがうまく取り込めないかということも今後の検討課題と思っていますので、一回、外字のデータエントリーの具体的な内容について協会の方と意見交換をしてみたいと思っております。もしよければ採用していきたいと私自身は考えていますので、その辺を詰めていきたいと思っています。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(三木委員)
 外字そのものは、取り組む方法として取り込んでしまうこと自体ももちろん意味はあるとは思います。それは結局JISのコード体系で単に記述すればいいだけなので、どんな外字でも究極的には取り込めるには取り込めるわけです。表示できないにしても、こういうJISのコードですということがわかればそれを認識することはできるので。ただ、結局先ほどの話と一緒で、最後に住民基本台帳との突合とか、何かとの突合ということになったときに、年金機構のデータベースだけ外字を持っていても、それが果たして意味があるのかということに結局なってしまうのです。
 そういう意味では本当に外字を深掘りしていくということがいいのか、それとも外字分というものは実は付加情報だけれども、アイデンティファイするための情報じゃないという認識をしてもいいわけです。は今、外字で深みにはまっているのは、アイデンティファイを、3条件の氏名、住所、生年月日、性別でやっているから深みにはまっているわけなので、ぜひそのあたりも真正面に取り組むだけじゃなくて、もう少しロジカルに整頓することで逃げ道がないのかというのも、検討していただいていいかとも思います。

(磯村委員長)
 ご返事はよろしいですか。
 どうぞ。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 いろいろな検討要件があると思いますので、またいろいろと内部的に検討もさせていただきますし、ご意見も伺っていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

(磯村委員長)
 ほかはよろしいですか。
 どうぞ。

(斎藤委員)
 5ページの6、将来構想についてですが、この将来というのは、どのくらい近いあるいは遠い将来なのでしょうか。今まで年金機構を何カ所か訪問しました。どこの事務所でも大体全部紙に落として、紙に赤鉛筆でチェックをするために、膨大な紙と闘いつつ電子申請の処理を行っていらっしゃって、少しも効率化になっていないという現実を拝見しています。先日、墨田の年金事務所も拝見いたしましたが、電子申請をしているのは1社だけであるということを伺いました。まだまだ電子化には至っていないのであるならば、なるべく早く処理の方法自体を変更するようにお願いしたいと思います。
 私の会社では、何とか電子媒体を使って申請をしなければと思い、申請しましたが、担当者は1回で懲り懲り、もう嫌だと言っておりました。今回、月額変更がありましたが、これは紙でご提出いたしました。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 やはり目指すところがないとなかなか前に進みませんので、まずは目指すものをしっかりと構えて、今細部の取り組みをやっております。今回出させていただいたのは、私どもが目指す構想ということでご理解いただければと思います。それに近づけるように一つ一つ詰めていきたいと考えています。

(磯村委員長)
 よろしいですか。何かもう一言。

(斎藤委員)
 何を一言言っていいのかわからないですけれども、今の若い世代は、鉛筆あるいはペンを持って書くという行動をほとんどしないで、大体親指を使って何とかやっちゃう人達になってきています。彼らに対応したシステムにしないと見向きもされなくなることだけは確かです。残された時間というのは余りないと思いますので、なるべく早くご対応いただきたいと思います。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 ありがとうございました。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(三木委員)
 そういう意味では、資料の中でもねんきんネットのことが言及されているわけです。国年に関しては、基本個人ベースということはそうでしょうし、例えば厚生年金にしても、会社に申請するときに、個人ベースできちんとデータをきれいにしておけばいいというようなこともあるかもしれないので、そういう意味では実はねんきんネットは、現在、後追いでやっているわけですけれども、本質的には二十歳で適用になったときにはみんな入るものだという方向づけを、制度として決めるのか、はたまた運用として決めるのか、入るとすごく便利でいいですよということであったりとか、最初手帳が届いたときに一緒に送るとか、後で送るとか別便で送るでもいいと思いますけれども、最初から、制度的になのか運用的になのかわからないですけれども、新しく年金制度に入った人は、基本的にはねんきんネットを使ってやっていくものだというような流れに、大きく入っていくことが、電子化を容易に進めていくためにも非常に重要ではないかと思います。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 ご指摘いただきありがとうございます。
 若い方にねんきんネットを利用していただく、その前にIDをとっていただくということは非常に大事だと思っております。8月からは、実際に年金手帳をお渡しするときに、「ねんきんネットの利用について」という形で情報提供をさせていただいて、そして加入を呼びかけたいと、そのような形で考えております。
 また、4月にもご議論をいただきましたように、魅力あるねんきんネットというものを作る必要がございますので、それにつきましても5次リリースの中で対応して、若い方も利用して、「あっ、こういうものだな」という形ネットにしていきたいと考えております。

(磯村委員長)
 ほかに何かよろしいですか。

(三木委員)
 先ほどの居留カードかパスポートのIDをとるということはどうですか。

(日本年金機構北波事業企画部長)
 実際、外国人の方についての住民票につきましては、在留カード等の番号というものが記載されている例が多いとは思いますが、実際私たちが業務で使うという話になりますとむしろ住民票コードになりますので、居留カードの番号というよりは正確にアルファベットをいただいた上で住基ネットと突合させていただくと、こちらをまずさせていただこうと思っております。

(磯村委員長)
 よろしいですか。

(三木委員)
 住民基本台帳のコードでもいいですけれども、結局、宙に浮いた記録問題も最後はどうなっているかというと、本人の記録と年金機構が持っている記録が一致するかどうかという議論になってきていて、海外の方が例えば10年後か20年後かに戻ってきたときに、果たして日本の住基IDなどを覚えているだろうかと思いますけれども、パスポートであれば容易にわかると思います。その海外の方も多分ずっと持っているわけです。
 そういう意味では、ずっとたどっていくというところということで紐づいているということで、100%そこにずれがないということでオペレーション上も問題ないかもしれないですけれども、可能であれば、できるだけお客さんの手元で普遍的に近く持っていて変わらないものを、押さえておいたほうがいいという側面も一応あるかと。いろいろな事情があるのでこれを絶対やらなければいけないと言う気はないですけれども、業務上は1つ考えられるかというようにも思います。

(磯村委員長)
 特にご返事はよろしいですか。
 ほかはよろしいですか。
 私のほうから1つだけ、これはお願いでございます。先ほどもお二方からいろいろホームページのことも含めて出ておりましたが、たまたま三木委員と斎藤委員は事業主でいらっしゃいます。こういうところの委員をしてくださっているおかげでしょうか、非常に社会保険についてはご理解がある事業主ですが、それでは、一般にこういったところとご縁のない事業主の方は、どこまで社会保険のことを御存じかどうか、皆さんは何かお調べになったことはありますか。
 実は私の関係している会社は従業員が約40人ですが、申しわけないですが、社会保険のことはほとんど日々頭の中にございません。もちろん知識もございません。これは仕方がない。実はこういった届出書の電子化とか、あるいは前にも議論がありました例えば諸届の漏れや誤り、こういったことについては、確かに事業主が直接手を下すわけではないですけれども、一言、事業主が社会保険の担当者に、「こういう点の誤りが多いらしい、漏れが多いらしいから気をつけろ」とおっしゃってくださることで、随分違ってくるのではないかなと思っておりまして、自分の関係している会社でテストをしました。結構、なるほどと言ってやってくださいました。こちらにいらっしゃる事業主の方も多分やってくださっているだろうと思います。
 そういう事業主に対する理解・協力を求める何か資料があるのかホームページを見てみました。ホームページのトップページには事業主の方へという項目あります。そこをクリックしてみました。今のような事業主に対するご理解をいただくこと、事業主にチェックをしていただくべきことなどが入っているだろうかと思って楽しみにずっと見ましたけれども、全く入っておりません。何が出てくるかというと、いきなり電子媒体申請、電子申請という内容が出てきます。これでは、せっかくこういったものでいろいろご苦労を皆さん方がなさっても、先ほどの外国人の問題も含めて、事業主の方が、やはり一言社会保険の担当者に、こういう点は気をつけろよと、あるいは常時目を光らせてくださる、こういった部分が、私はこれから必要ではないかと思いますので、ホームページについての「事業主の皆さまへ」と書いたところの中身を、ぜひひとつ大幅に見直していただいて、事業主の方へのご協力・ご理解をいただけるような内容にしていただきたいと思うのが私のお願いですが、ここにいらっしゃる事業主の方はいかがでございましょうか。
 どうぞ。

(斎藤委員)
 よろしいですか。零細企業ですと事業主は忙しいので、ホームページで社会保険の云々(うんぬん)というものを多分チェックしないと思います。ほかの方法を考えなければいけないなと思います。毎月支払い報告に納入されているチラシは、結構みんなそれなりに見ているので、書き方の工夫をすると随分効果があるのではないかという気がいたします。
 それと担当者がこういうときにどうするのだろうかと、これは何だろうかといったときにすぐに見られるようなFAQのページを充実していただきたい。そのほうが「事業主の皆さまへ」よりは、多分利用していただけるのではないかと思います。

(磯村委員長)
 なるほど。ありがとうございました。
 そういうご意見もありますので、その辺も含めてぜひよろしくお願いします。
 どうぞ。

(日本年金機構薄井副理事長)
 ホームページの事業主というのは、2つ意味があって経営者という意味の事業主、今、磯村委員長がおっしゃったのはそういうことですが、あとは事業所の担当者という両方なのです。どちらかというと現在のホームページは担当者向けで、しかもかなりテクニカルだということだと思いますから、経営陣の方が、手続を全部見るということではないですけれども、よく社会保険をご理解いただくということも大事だと思いますし、一方で、担当者がやるときにわかりやすくということも大事なので、ホームページなりあるいは納入告知書に入れる書類とか、いろいろ工夫をしていくということで、いただいたことを踏まえながらいろいろ検討していきたいと思っております。

(磯村委員長)
 はい、わかりました。
 ほかに、本件よろしゅうございましょうか。
 では、お進めいただいて、できましたら適当な時期を見てここまで進んだということを、ぜひお聞かせくださるようにお願いします。よろしくお願いいたします。
 では、次へまいります。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 それでは続きまして、資料3、事務処理誤りへの対応について説明させていただきます。内容はここにありますとおり事務処理誤りの現状、それから再発防止に向けた取り組み、判明後の対応、それから公表方法の検討という4項目でございます。
 まずめくっていただきまして事務処理誤りの現状ということでございます。機構発足以来22年1月から25年3月の公表分を取りまとめたものがこの内容でございまして、年度合計、一番上のところが公表したものを足したものでございます。21年は3カ月でしたので284件、22年2,375、23年2,075、24年2,128件、それぞれ公表しております。その下段で日本年金機構発足以降発生分ということで、社会保険庁の分を除きましたものがこの内容になっております。同じく127、1,572、1,493、1,398ということです。ちなみに一番下の段にBということで届書等処理件数ということで、大体年間1億6,000万件程度の届書をいただいているということでございます。事務処理誤りの公表には事件・事故というものが入っておりますけれども、非常に見づらくなりますので参考ということで別掲とさせていただいております。
 上の年度合計の部分を制度別、それから事務処理誤り別に分けたものが2ページの表になっております。それぞれマトリックスで表現しておりますけれども、確認・決定誤りの例えば年金給付が1,901ということで一番多い項目ということでございまして、それぞれの事業別あるいは事務処理誤り別でどういったものが多いのかというようなことを、酌み取れるような表になっております。
 続きまして、ローマ数字2としまして3ページですけれども、事務処理誤りの再発防止に向けた取り組みということでございます。これは22年7月、日本年金機構発足の年でございますけれども、発生が非常に多いということで、現場第一線の職員から改善提案、受付処理の進捗管理等についていろいろな意見をいただきまして、それをとりまとめたものを作成いたしました。再発防止策を作成したということでございます。システム開発を要せずマニュアル改正等により実施可能な施策、あるいはシステム開発を要する施策ということで取り組んでまいりました。
 24年12月には22年7月に策定したものがほぼ完了したということで、さらなる再発防止策ということで改訂版を作成いたしました。これもマニュアル改正等による実施可能な施策、あるいはシステム開発を要する施策というようなことでありますが、見ていただいてもなかなかわかりづらいので、めくっていただきまして6ページに、再発防止のための取り組みの現状と今後講じる新たな対策の要約ということでまとめさせていただいております。縦に誤り区分、いわゆる確認・決定誤り、説明誤り、記録訂正誤りの対応の例えばシステムで対応した内容、あるいはPCツールの活用、事務所での環境整備、マニュアル整備というようなことで項目別にまとめたものでございます。
 ちなみにPCツールの活用というのは、現場でさまざまなツールを展開しているものを集めまして、全国展開にふさわしいものがあればそれを展開していったという中身でございます。システム対応は本部のシステム部で対応していった内容ということでございます。
 簡単に一部紹介しますと、確認・決定誤り、システム対応の一番上の項目にあります旧三共済・農林共済の誤裁定防止ということでございますけれども、これは旧三共済とか農林共済の関係のデータが年金機構に集約されていなかった関係で、非常に重複裁定や誤裁定が多かったということでございまして、この変更内容は、1度裁定された記録がありますと、その記録を使って裁定をすると、裁定が完全に事故として裁定できなくなるというシステム開発になっております。この対応が昨年5月に完了いたしまして、それ以降、事務処理誤りの報告につきましては過払い等については発生していないということが確認できております。
 それからPCツールの活用のところで2以上事業所勤務者の保険料計算ツールの提供とあります。これは現場で、九州のある事務所で使っていたツールを、非常に内容的に優れておりましたので、これをベースに全国展開していったということでございまして、引き続きこの内容をホストコンピューターでの対応をしていくというような改善を進めていっております。
 それから同じく事務処理誤り区分の2つ目の、書類管理誤りの一番上の受付進捗システムという内容につきましては、処理遅延等が多かったものにつきまして書類にバーコードを張って管理して、どこに書類があるかということを管理する仕組みを導入したものでございます。
 続きまして、事務処理誤り判明後の対応等ということで7ページに入っていきたいと思います。対策は先ほど説明した内容ですけれども、判明後の対応が重要というようなことで取りまとめさせていただいております。まず基本方針としまして、機構として事務処理誤りが判明した場合、機構はそれを速やかに解決し、被保険者、年金受給者の権利・義務が正しく実施される状況に回復することに努めるということで対応させていただいております。あわせて初期対応が重要でございまして、本人面談等による事実確認と誠意ある対応を行うということで進めております。
 具体的にどういう内容を取り組んできたのかということでございますけれども、現在の法令、取り扱いの範囲で救済可能な以下のようなケースについては、必要な救済措置を講じているということで、マル1といたしまして脱退手当金受領後、新たな記録が判明して、任意加入等一定の基準に入るケースということについては年金局から通知が出ております。具体的には、年金相談時において、今後任意加入を行っても受給資格を満たさないと判断し脱退手当金を受領した方が、その後、新たな年金記録が判明し、任意加入をしていれば受給資格を満たしていたケースについては、仮に正しい年金記録がわかっていたならば、脱退手当金受領ではなく任意加入により年金につなげると考えられることから、一定の基準を満たす場合に限り脱退手当金の返還及び、遡って任意加入して保険料を納付することにより年金受給権につなげる決定を行うことができる通知です。
 2番としましては、年金給付に関する事務処理誤りの取り扱いで、これも年金局から通知が出ておりまして、「厚生年金保険給付及び国民年金の給付を受ける権利に係る消滅時効の援用の取扱いについて」に示された基準を参考に判断することで、事務処理誤りによる不利益については救済がされております。
 一方、次の丸ですけれども、現在の法令の範囲内で救済困難、あるいは判断が難しいケースであって、お客様から対応の要望がある以下のものということで、先ほどのマル1で救済できないものがマル1になっております。マル2につきましては時効中断のない国民年金保険料の時効後納付ということで、機構側に瑕疵(かし)がある納付書の送付遅れ、送付漏れ等によって発生した時効によって納付ができないというものであります。3番としましては類型化できる特定のケースということで、付加保険料その他の内容がございまして、別紙1で後ほど説明したいと思います。
 3としましては、事務処理誤り事案の中で年金が過払いとなるものについての対応で、過去の誤裁定による年金受給権の取り消しとか、あるいは過払いによる返還をお願いするケースがございまして、これにつきましては、過去のいろいろな事例を参考にさせていただきまして文書あるいは訪問によりルール化を行いまして、現場に周知・徹底を行っております。基本的には資力に合わせて返還いただけるような形でいろいろなルール化をしておりまして、5年の履行期限を最長10年まで延ばすことができるとか、あるいは返金額についても、11分の1から99分の1まで変更ができるということで具体化させていただいております。
 今後の対応の検討ということでございますけれども、今申し上げましたとおり、解決できたもの、あるいは課題が残っているものもございます。課題が残っているものにつきましては、厚生労働省と日本年金機構は、被保険者、待機者、年金受給者等に瑕疵がなく日本年金機構側に瑕疵がある場合において、お客様の救済に必要な法令改正等を含めて必要な根拠・基準の作成を検討していくということで、今後進めてまいります。
 別紙1でございます。11ページになります。事務処理誤り判明後の対応ということで、表で整理をさせていただいたものでございまして、まず一番上に、お客様から対応について要望があり救済ができていない事案の類型でございまして、過去の誤判断・説明誤りによる加入機会の逸失のケースということで、これは先ほど脱退手当金に関する説明をさせていただいた内容であります。
 最初の判断時点、裁定時点で資格期間が不足している旨の説明があれば、高齢任意加入など別の対応策を講ずることができたにもかかわらず、誤判断・説明誤りによりその機会を逸失したという内容でございまして、現行取り扱いは年金局の通知で救われたものがありますけれども、それ以外のものについては救済できないという内容になっております。類似事例としましてはここに書いてありますような、年金相談の際に合算対象期間の説明があれば任意加入により受給要件を満たすことができたが、その説明がなく、高齢任意加入で保険料納付をしていないというようなケースが当たると思われます。
 次のページ、12ページですけれども、事務処理誤りにより保険料納付機会の逸失のケースということでございまして、これはお客様に瑕疵がなく事務処理誤りにより本来は納付できた保険料が、時効完成により納付機会を逸失したということでございます。現在の取り扱いは、徴収権に係る時効の取り扱いについては時効の援用を要せずということで、事務処理誤りを理由として保険料の収納はできないこととなっております。国民年金の保険料は、国民年金法の規定によって徴収時効は2年と規定しておりますけれども、下に国税徴収の例によって徴収すると規定されており、国税徴収の例による範囲で納付期限の延長が可能か検討しているということでございます。
 その下の3番ですけれども、その他の類型化できる特定のケースということで、付加保険料、前納保険料、口座振替、追納保険料等でさまざまな誤りが報告されておりまして、この内容につきましては今のところ機構本部での個別協議により対応しておりますけれども、この内容につきましても、上と同様に国税徴収の例による範囲で対応が可能かどうかということで検討しております。
 一方で、3番、9ページ、3ですけれども、事務処理誤り関係の訴訟が幾つかございまして、再発防止策ということでまとめたものでございます。これは平成21年1月から23年12月の間に提訴があった事務処理誤り関連の訴訟事件で完結分になっております。国で27件、日本年金機構で6件ということでございまして、却下及び棄却、一部認容、和解というようなことになっております。
 別紙2で訴訟事件の概要ということで取りまとめておりまして、15ページですけれども、1ページ、2ページ、3ページとございまして、それぞれ15ページから18ページまでは国の分で、19ページが日本年金機構ということになっておりまして、対策・対応ということで、それぞれの場合につきまして年金相談時のものが多いということで、記録の確認手順あるいは点検シートといったことで、訴訟の原因となった内容について対策・対応をとるということで取りまとめさせていただいております。
 最後に、事務処理誤り公表方法の検討ということで10ページですけれども、事務処理誤り公表の現状ということで添付書類につけておりますけれども、これは参考資料としてつけておりますのが、平成25年4月分の事務処理誤り公表分ということで1度見ていただければと思いますけれども、今説明した内容を月次ベースでそれぞれ分類して報告している内容でございまして、最後の2ページが具体的なそれぞれの件名について事象概要、原因というところを説明させていただいております。
 個別報道ということでは、非常に大きな影響があるものについては個別に公表しておりますけれども、月次のものは今説明したようなホームページで公表させていただいております。これにつきましてはこういった内容が、事務処理誤り防止にもっと役に立つという内容があるのではないかというようなご指摘もいただいております。2としまして月次の報道発表については、以下の方策が可能かどうか今後さらに検討するというようにしております。件数や推移についてできる限り見やすい形に変えていったらどうかということ、あるいは公表頻度も見直したらどうかということでございます。事務処理誤りの対応や事務処理誤り防止の観点がもっと重要であろうということから、事務処理誤り等の原因別の類型区分、あるいは類型の概要、件数の公表等のあり方について見直していきたいと考えております。
 事務処理誤りの対応ということについては、以上で説明とさせていただきたいと思います。ご審議お願いいたします。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 何かご意見、ご質問ございますか。
 どうぞ。

(大戸委員)
 私は相談を受けたときに、電話での相談ではっきりとはわからなかったのですが、過払いをしていたので戻してくれというような通知が入ってきたという話だったのです。というのはその方は、遺族厚生年金をもらっており、自分が65歳になり今度国民年金と自分の厚生年金をもらっていたとのことで、何でそのようになったのか私もそこまではわからないですけれども、両方もらえていたみたいな形です。
 私はそこで1人1年金で両方の年金をもらうことはできないという説明をして、恐らく年金事務所では、いろいろなもらい方があって一番多いもらい方を薦めてくれたはずなので、それ以上の自分の年金が払われている分は、過払いだから返してくれということだと思いますということをお話ししたのですが、一般の人には、年金機構から来た文章の内容が伝わりにくいのです。どういうような文章なのか私も見ていないので申し上げられないですが、もうちょっと砕けて、あなたの年金はこの部分が多いので、こちらが間違って払いましたからこれは返してくださいというような書き方をしていただいたらいいかなと感じました。

(磯村委員長)
 なるほど。
 どうぞ。

(日本年金機構松田理事)
 具体的なケースがどういう事例なのかわかりませんけれど、いずれにしましても過払いがあった際に返納を求めるということを、文書等を出して事務所等で対応していますけれども、今ご指摘がありましたように仮に文書を送ってそれを見てもよくわからないということは、余りよろしくないわけでありますので、少しご指摘も踏まえまして確認をしてみたいと思います。いずれにしろわかりやすくするというのは大事なことだと思いますので、検討してみたいと思います。

(大戸委員)
 やっぱり減らされると、返せということに対してすごく不満を持っていますので、その返せというのは、本当に返さなきゃいけないものなのだという砕けた説明が欲しいと思いますのでよろしくお願いいたします。

(日本年金機構松田理事)
 確かにご指摘のとおり、過払いのケースは、返してくださいということをやるということで、非常に慎重なというか、ご理解をいただきながら返していただくということで、我々としても非常に丁寧にやるべき案件だと理解をしておりますので、ご指摘の点を踏まえて確認・検討はしてみたいと思います。

(大戸委員)
 お願いします。

(磯村委員長)
 よろしいですか。
 今の話は多分、年金機構共通の文書ではなくて各年金事務所で個別に作っている通知ではないのですか。どうですか。

(日本年金機構松田理事)
 どういうケースかわかりませんが、個別にトラブルになって、事務所で例えば事務所長名で出しているというケースも確かにあります。その辺がどうなっているのか、もう少し情報があればいただいた上で確認はしてみたいと思います。

(磯村委員長)
 過払い全般について一遍見てください。

(日本年金機構松田理事)
 はい、わかりました。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(白石委員)
 事務処理誤りの内訳表、2ページですけれども、誤りでも定型的業務と非定型的業務があるので、このうち定型的業務で事務処理誤りがあるということは基本ができていないという部分になります。やはりこれを見ますと誤送付とか入力ミスは先ほどから出ていますけれども、特に郵便物の誤送、これは私も何度か経験しています。全然知らないお客様のデータが入っています。これはやはり個人データです。ですから、やはりそういった意識がどれぐらいあるかによって対応策は変わってくると思います。基本的な定型業務には基本的にミスはなし、これは普通、一般常識だと私は思っております。
 その辺についてここで見ますと、22年1月から25年3月までの集計ですので、実際そういう誤りがあれば現場でも多分指導しているはずです。そうすると当初の混乱期からだんだん落ちついてきているということも含めれば、件数は減ってきて当然だと思っています。できましたらデータは、年度別で出していただけると減ってきているということもわかって改善している、機構で、また年金事務所で一生懸命減らす努力をしているということも見えます。ただこれだけ見ると、やはりそういう姿勢が見えないという部分を1つ感じました。
 それと、定型業務がきちんと改善されれば非定型的業務にその注意力を注げるので、そちらもおのずと件数が減ってくるのかなという部分がありますので、その辺の表のつくり方、それと今後、非定型業務への教育の仕方とか、できたらここでは今後の対策の要約は入っていますけれども、具体的にどういう教育をしているのか、いずれ数カ月後にでも出していただけると助かります。
 以上です。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 非定型業務、簡単な作業が、なぜこんなに誤りが多いのかということで、例えば封筒につきましても、全ての封筒を窓あきにして誤送付がないようにしようとか、お送りする資料に番号を全て打って、何枚送ったのかについても見えるようにしていこうというようなことで、普通に作業をしておけばミスをしないという仕組みを、少しでも構築していこうということで努力していっております。それが成果につながるような格好で努めていきたいというふうに考えておりますし、今ご指摘のとおり変化している量、状況が見えるような格好での説明も必要だと思いますので、今後それについては検討させていただきます。

(磯村委員長)
 よろしいですか。
 ほかに。 どうぞ。

(斎藤委員)
 今、8ページのところを見ています。過払いというお話が出たので見ていて思ったのですが、指示依頼として、こういったものを出して周知・徹底を行いましたというようなことが書かれています。「2012-245」というのは2012年度の245番目のものであり、もう一つのほうは違うカテゴリーの133番目の指示依頼だと思いますけれども、ということは膨大な文書が現場に行っているのだと思います。周知・徹底というのは、単に書類を出せば周知・徹底されるわけではなくて、受け取る側のほうとしては、また何か来たぐらいのこととしか受け止めないのではないかという気がしてなりません。
 どうすればそれを実際に読んでもらって理解してもらって、気をつけなくてはという認知をしてもらえるかということのためには、もう一つ何か工夫が必要ではないでしょうか。よくあるのは、こちらのほうは書類を出して指示したから、わかって当然と思い、書類を出したところで自分の任務は終わったと考えてしまうことです。これは民間の企業でもよくあることです。そういうところがあるのではないかと、この文章を読んでいて気になりましたので、どういう形で周知・徹底をなさっているのかお話しいただけたらと思います。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構松田理事)
 今ご指摘のありました資料8ページの12月5日付の指示依頼、これは「給付指」、それから「記対指」と書いてあります。これは要するに2012年の発番の順で書いてありまして、これは実は給付部と記録対策部が連名で出した指示依頼、これはそういうことだとご理解いただきたいと思います。
 この指示依頼ですけれども、具体的には今まで必ずしも給付の関係、特に誤裁定があったときにどういう手順で対応するのかということが、必ずしも明確になっていなかったので整理しています。これは事務処理の要領というか手引き的な形で整理したものを作っておりまして、具体的にはまずはどういう誤裁定の類型があるのかということを整理しながら、実際に返納を求める場合に年金事務所がどういう対応をするのか、こういった手順、業務についての具体的な流れなり、どういうところに留意しながらやるべきなのかということを整理したものです。今までそういったものが明確に文書として整理されていなかったものを、24年12月の指示依頼で全国に周知したと、これはこういう位置づけのものであるということです。
 確かに過払いの場合に先ほどもご指摘がありましたけれども、いずれにしろ文書などを出して、また、ご本人様ともいろいろ対応しながらやるということで、それはまさに丁寧に説明しながらやっていくということでありまして、この指示依頼の中にも留意事項として書いてありますけれども、いずれにしろそういった点について留意しながらやっていただくように、本部からも周知をしているということです。ですから確かに文書を出せばよしということではありませんけれども、まずは基本的な手順なりどういう対応をするのかを整理して、全国に周知をしているというふうにご理解いただければと思います。

(日本年金機構矢崎理事)
 若干補足させていただきますと、ご指摘は、百何番とか二百何番とかこんなに指示が来てそれがこなせるかということだと思います。そういった観点で私どもが地方に指示を出すときには、重要度を区分していまして、本件については重要度「高」という形で出しています。
 それから、本件についてはかなり大きな問題ですので、事前に各地方とブロック本部を通じて何回かこういうやり方でいいかというようなやりとりもしていますので、いきなり通知を出したわけではありませんので、そういった手順なり通知の仕方はしているということであります。

(磯村委員長)
 よろしいですか。
 どうぞ。

(斎藤委員)
 過払いに限ったことではなくて文書一般についてですが、何かお出しになって重要度「高」の場合には、例えば週に1回勉強会をする時間を常にとって、これはこういうことだから気をつけようというような時間をとるとか、何かいろいろ工夫をしていただけたらなと思います。

(日本年金機構矢崎理事)
 これはもちろん現場の状況にもよりますけれども、例えば朝の時間に、事務所によって状況は違うかもしれませんが、お客さんが来る8時半前に毎日順番に15分間で重要なテーマについて研修するとか、そういった工夫はしていますので、当然こういった大きな問題はそういう中でもやってはいるだろうと思います。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(三木委員)
 今、間違いを減らす方策をいろいろとられているということは必要なことだと思います。ただ、今現在でも間違いは起きているということでもありますし、また、国民の付託というかマスコミの皆さんからも、基本的には日本年金機構は一個たりとも間違ってはいけないわけです。そういうことは許されないという前提で考えると、実際起きていることとのギャップはかなり大きいはずです。
 基本的には、先ほどから出ているような日本データエントリー協会などが出している資料では、平均値でベリファイで2回入力しても1万字打てば大体5文字ぐらい間違うとなっています。5文字以下ですけれども、間違うのです。先ほどから出ているように、資格取得や資格喪失だけでも500万ずつ届出していて1,000万あるわけです。1届に100文字ずつ打っているというように仮定したならば、それだけで10億文字打っているわけです。人間が日本年金機構でその2つの届書だけで10億字打つと基本的には50万字間違うわけです。人間のやることなので絶対に間違っているはずです。本質的には1文字も間違ってはいけないのに50万字ぐらい間違ってもおかしくないような運用なのです。それは別に年金機構が悪いわけではなくて、人間が2人で打っても間違うというものだから人間は間違うのです。
 その前提に立ったならば、やはり基本的には、今、民間の保険会社にしろ通信キャリアにしろ、紙のデータを手打ちで入力して、それをそのお客様に確認することなくデータベースに入れるということはないです。基本的には入力したものを1回打ち出してお客様にサインをもらって、この内容でデータベースに入れていいですかというプロセスを踏むようになっているわけです。それをやっていないところはほとんどないです。その時点でそのデータは、お客様も確認した絶対に正のデータというもので、そういったデータしかデータベースに入力されないわけです。
 そういう意味では、まだまだいろいろな業務フローを直していく中で絶対的に認識していただかなくてはいけないことは、データベースに格納したときには絶対に間違ってはいけない、ちょっとでも間違っていたらそれは泥水なので、データベースをまた突合するときに人間が何か不思議な判断をするというようなことが起きて、結果また間違うのです。工数が非常にかかるわけです。
 そういった意味では絶対的に水際でやっていただきたいと、先ほどの資料2に出ているとおりで、別紙3にある業務フローを見ると、今だと紙で年金事務所が受け取ったものというのは年金事務所で1回、事務センターで点検・審査で2回、パンチ入力には回数が書いていないですけれども、ここで2回オペレーターが打って、1人で全てチェックして、3回見ているんです。最終的に処理結果チェックを2回で8回見ています。
 8回見ているものの、ほとんど本当に必要なデータを見ているわけではなくて、本人確認のための住所、氏名、年齢、生年月日などを見ていて、本当に必要なデータの部分は多分20%以下だと思います。標準報酬だとか資格取得年月日などの限られたデータを見ているのに、違うことをずっといじくり回しているのです。そういう意味では、こういったものも全てきれいなデータベースに入力して、人間が突合すれば間違うので、機械がやれば間違わないわけです。
 あと、いろいろな額試算なんかについてもそうですけれども、職人しかできないというのはデータが汚いからできないだけであって、算式というものは、人間がコンピュータのかわりにできることなんてあり得るわけがないです。人間ができないことだからコンピュータができるわけであって、職人しかできないというのはデータベースが汚いからできないだけです。とにかくデータベースをきれいなものにして、人間が目で突合したりとかそういったことをしないでいいように徹底してやるというようなことです。
 それは逆に言えば、今は刷新であったりとかシステム改修であったりとかいろいろなこともありますけれども、究極的には一切機構内では紙は使わないということです。紙で来たものは入り口のカウンターで全部PDFにとったら、一切紙の現物は動かないという体制にしていかなければいけないというようなことだと思います。
 このあたりに関しては結局、さ末なところで一個一個の業務フローの積み上げのときにイレギュラーを作っていくと回らないので、これは機構としてというか厚生労働省としてというようなことでも、システムとオペレーションの絶対的な運用の原則として、水際で絶対に正しいデータしか入れないし、紙で回すものはないようにオートメーション化するというようなことについて、明快な方針としてどこかで決めて、それに合っていないようなシステムやオペレーションは許容しないということを、どこかで決めていくことは、絶対に必要なことだと思います。
 若干付随して言うと、そういった業務をしたときに何を人間はしなければいけないかというと、コンサルティングセールスみたいな生命保険会社の外交マンみたいなコンサルテーションというようなことをするという対人的なことを、人間がむしろ付加価値をやっていくということに多分なるわけであって、そういうときにも基本的には人間は間違うので、システムを使ってそういった生命保険会社も、こういう条件だったらこうですよということを、これまではプリントアウトしてそれを見ながら説明していくようなことであって、実は人間というのはインターフェースでしかないので、計算や何かいろいろ判断も基本は機械がやると、そういうものはオペレーションサポートシステムという概念ですけれども、顧客の記録の、例えばコールセンターに問い合わせをしていて、こういう条件でこうというものを援助させる一環で、対エンドユーザー向けの、ねんきんネットも同じような仕組みになるはずなんですけれども、基本同じ仕組みの上で何かについて試して計算したりすると額試算ができるとかいうものを、共通のプラットフォームとして提供して、それをわかりやすく説明してあげるとか、いろいろ組み合わせを作ってあげるとか、そういうことを人間がするようにして、とにかく相談でも間違わないし、それをプリントアウトして説明したということで、これとこれを印刷して渡したというものを出せばこれが説明内容ですということで、間違った説明も起きないし、後々言った言わないも起きないというように、そういうようにシステムはなっていかなければいけないと思います。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ。何か反論なりご意見なりありますか。

(日本年金機構矢崎理事)
 確かに原則的にペーパーレス化を目指して、それから紙で動かさないということは先ほど説明しましたし、4月にも私からお答えしたことが、やはり向かうべき方向だと思います。
 ただ、若干違和感を覚えますのは、年金相談も機械化で全部できるかということは、私は非常に疑問でして、要するに我が国の年金制度は複雑なんです。それからお客さんの言い方も、論理立って秩序立って全てのデータをお話しされるわけではないわけです。断片的に自分の思いなり状況なりを話されるわけです。実際にブースに立つとわかりますけれども、年金相談というのは、多分お医者さんが診断することに一種似ているのだと思います。診断システムというものがありますけれども、そこまで機械で本当にできるのかなということは正直に思いました。
 ただ、基本的に相談もシステムまでいかないにしても、なるべくマニュアル化していくということも必要ですし、それから事務フローについては、おっしゃるように方針を決めてペーパーレスなり電子化を徹底させ、電子で来たものを紙で出してまた見るというような一種逆説的な事務フローはやめていくということは、おっしゃるとおりだと思います。

(磯村委員長)
 よろしいですか。
 ほかに。どうぞ。

(大熊委員)
 事務処理誤りという誤りは、それぞれ何で誤りだということがわかったのかということが書いていないですけれども、それからこの事務処理誤りは、全体の中のどのくらいを占めているのかということを類推することはできるのでしょうか。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 まず全体ですけれども、1ページの表で例えば22年度の項目を見ていただきますと2,375件あって、日本年金機構で発生したものは1,500ということで、社会保険庁が800ということであります。ですからある程度時間がたって出てくるという内容もありますので、必ずしも全てこれで終わっているとは言えないとは考えています。
 一方で、届書処理件数は22年度年間で1億6,000万扱っておりますので、1億6,000万と1,572あるいは2,375が対する数字かというようなことで、データ的にはそういった内容であります。
 それから事務処理誤りという内容は、要するに法令に沿って正しく処理をされたということであれば問題ないということで、例えば届書をいただいて処理を遅らせたと、書類を放置すれば当然事務処理誤りですし、いただいた数字を誤って入力することも事務処理誤りということで、少なくともご本人様が申し出されたとおりに処理されていないという、届け出があったもの自体が問題なければ、当方の責任ということで事務処理誤りとして認定していくということでございます。

(磯村委員長)
 おわかりいただけましたか。

(大熊委員)
 はい。ご本人から誤りを指摘される場合もあるだろうし、機構の中で発見することもあるだろうし、その見つかり方ということも大事じゃないかなと思います。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 それは事務処理誤りの報告の中に内部発見、外部発見ということで区分しております。添付の参考資料の5ページの6番、事務処理誤り等の判明契機ということで、336件のうち日本年金機構内部で判明したのは176件52.4%、外部からの通報で判明したのが38.4%ということで、これにつきましては分析しております。

(大熊委員)
 何で間違っちゃったかとか、どういうわけで見つかったのかということも、きっちり分類したほうがいいかなと思いました。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構薄井副理事長)
 今、大熊委員がおっしゃられるとおりですけれども、本当は例えば6ページ、7ページ、参考資料のほうに個別事例がついています。そこに事象と原因と書いていまして、割と似たようなタイプで同じようなミスが行われているとしたら、それを防ぐためにはどうしたらいいか、例えば比較的最近私が見ていて多いのは加給年金の計算が間違っている。結構古いものもありますけれども、そういうものはここのポイントを押さえれば防げるのではないかとか、そういった分析をして工夫をしていきたいということでございます。
 ここには6例ほどしかないですけれども、毎月発表しているものはかなり件数がありますので、発表の数というよりは、むしろそこを分析してどう再発防止なりチェックの仕掛けに生かしていくかというのを、もう少し力を入れていかなければいけないのではないかということを、今、機構内で議論しております。

(大熊委員)
 そのようなこと、数字より中身だということを言いたかったので、わかっていただいてありがとうございます。

(磯村委員長)
 よろしいですか。
 どうぞ。

(岩瀬委員)
 9ページの表についてお聞きしたいのですけれども、表というか再発防止策の中で、訴訟事例集を作成して研修材料としたとお書きになっていますが、この研修材料を作るのは上記の表の33件をベースに作ったということでしょうか。まずそれをお尋ねしたいのですけれど。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 訴訟事例に対する研修資料につきましては、和解事例、敗訴等を含めて現在作っておりますので、ご指摘のとおり幅広く捉まえまして、いろいろな事象がどういう契機で発生してどういう対策が要るということで、研修資料については作成中でございます。

(岩瀬委員)
 まだ作成もされているのでしょうが、ここに出ている研修材料として既に配布している資料に関しては、33件の訴訟事案をベースに作ったということですか。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 そういうことです。

(岩瀬委員)
 今、また新たに作られているというものがこの33件、資料が保存されている限りにおいて全部掘り起こして研修材料を作っているということですか。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 基本的には類似したケース等ありますので、ある程度類型化しての対応ということになります。新たな類型が出てくれば増やしていくことになります。

(岩瀬委員)
 類型化をして同じようなミスが起こらないようにするというような考え方はわかるんですけれども、単にクレームというか文句を、訂正を求めるということではなくて裁判まで持っていくというのは、相当すごいエネルギーが要ると思います。だから、過去裁判事例というのは可能な限り全件チェックした上で、どこに問題があったかを把握するということは、事故なりトラブルの再発防止をすることについて意味があると思うのですけれども、そこまではやらないということですか。類型化できるものだけをとるという、その類型化ということもよくわからないですけれど。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(日本年金機構竹村品質管理部長)
 裁判事例は全て個別内容であると、ご指摘はそのとおりだと思います。ただ、契機としてなぜそれが起こったのかということは、例えば本人確認を誤ったとかいった点でいきますと、ある程度事務処理誤りが起こった原因というものは類型化できますので、それをまとめるのがこの資料の内容になっております。

(岩瀬委員)
 ということは、少なくとも機構が保存している、あるいは年金局で保存している裁判事例を全部洗い出してデータベース化して、そこから再発防止策を検討すべきではないかと思うのですけれども、そういったデータは作っていないのでしょうか。もしくはこれから作るのであれば和解事案も含めて委員会に出していただきたいと、我々も再発防止案を検討したい。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(大西事業管理課長)
 おっしゃるご趣旨はわかっておりますが、データベース化につきましては、可能な限りこれまでの訴訟事例を取り込んでいく形で作成していきたいと思っておりますが、過去のもの全てというわけにもなかなかいかないかと。そこは作業量との兼ね合いで考えていって、可能な限りたくさん事例を拾って、それを研修の材料にも使っていただくし、その他いろいろ活用していただくということです。ただ、申しわけございませんが、1つは年金制度も制度の中身が変わってきているということと、あるいはそれに基づいて基礎年金番号があった時代とない時代とで、事務処理のやり方なども変わってきていると思いますので、例えば昭和の1桁台に起こった裁判まで拾ってくる必要はないかもしれないという意味で、全部拾えるかどうかは少し自信がありませんが、可能な限りたくさん事例を拾って、研修などに使っていただきたいと思っております。

(磯村委員長)
 どうぞ。

(岩瀬委員)
 もちろん過去の裁判を全部拾えというのは無理だと思っていますので、可能な限りでいいですけれども、作業量もあるでしょうから、そういったものをなるべく研修材料に生かしていただきたいし、この委員会での検討材料という形で出していただきたい。和解事案はいろいろ問題があるとは思いますけれども、委員限りという形で出していただきたいというお願いです。

(大西事業管理課長)
 かしこまりました。

(磯村委員長)
 これは粗ごなしの勉強会のときも、本日はご欠席の喜田村委員からそういったご依頼がございました。その辺も含めてご検討をよろしくお願いいたします。
 それでは、私から、喜田村委員が本日はご欠席ですが、前回、国税通則法の資料、別紙の参考資料14ページにあります国税通則法の上から3行目の、「届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限まで」と、単なる徴収だけではなく、納付という言葉が国税徴収法に入っていることについて、これを年金のこれから検討しようとする国税徴収の例によるものの中に、どう取り込むのかという意味のご質問があったと思いますが、それについてのご説明がなかったですけれども、無理ですか。

(大西事業管理課長)
 すみません、まだ検討中でございます。

(磯村委員長)
 では、検討中なら検討中と一言おっしゃってください。それでは、これは後回しになるわけですね。
 それから、この資料の前半6ページまでは再発防止策ということで、大体こういった方向でこれからも粛々と実行していただくということで、委員の皆さん、よろしいでしょうか。
 7ページ以降の判明後の対応というところが、まだこれからの検討事項が随分たくさん入っているわけです。今の研修材料を作るとか、あるいは11ページのあたりは、まだどうしようという方向だけで結論が出ていないわけです。こういった判明後の対応については、公表方法の検討という10ページも含めて、秋に何か結論をご報告いただけますか。その辺の目途はどうですか。

(尾崎政策企画官)
 特別委員会の審議・運営事項の話ですから事務局からお答えいたします。
 この事務処理誤りにつきましては、まず今回は第1弾ということであり、改めて再発防止と今後の対応についてご議論いただきたいということです。次の審議時期は、秋頃ということで、いずれにしても今年度中に報告書をまとめていただくということですから、できるだけ早く事務局で整理をします。事前に喜田村委員、ほかの委員からもいろいろご指摘をいただいています。そういったものを整理できる、ここでお示しできるという段階になった時点で、できるだけ早く、と考えています。

(磯村委員長)
 秋と秋頃と、ちょっと違うのですかね。秋頃のほうが、幅が広いわけですか。

(尾崎政策企画官)
 秋頃を目途に準備を進めるよう指示しますので。

(磯村委員長)
 少し幅広目に秋頃ということですが、よろしいですか。12月は秋とは言いませんね。10月とか11月という感じですね。そういったことでございますので、それを期待して、判明後の対応と公表方法の検討の部分だけを後送りということで、ご了承いただきたいと思います。では、そういった方向で、前半のほうは実行をよろしくお願いいたします。
 では、次の議題をよろしくお願いします。

(尾崎政策企画官)
 続きまして、社会保険労務士の方へのご意見の拝聴ということで資料4-1と4-2を見ていただければと思います。
 資料4-1、これにつきましては最初の1枚目にございますとおり、できましたら本日付で委員長から、全国社会保険労務士会連合会会長宛てにお願いの文書をお送りしたいということでございます。
 資料4-2というのは、このお願いを受けまして全国社会保険労務士会連合会のほうから会員の方々に、こういった形でお知らせ、募集をするということで、各会員の方々にお願いをするという形でいきたいというようになっています。
 資料4-1、4-2ともに、時間の関係もございますので主なものだけ事務局で読み上げさせていただきたいと思います。1ページ目の資料4-1でございますが、「日頃は」というところの後、「さて」それから「この年金記録問題」と、ここは委員会のミッションやこれまでの取り組みについて書いたものでございますので省略をさせていただきまして、真ん中以下の「この間」というところでございます。
 「この間、年金記録問題が世の耳目を集めてから約6年、有識者による各種の委員会において、背景分析や実態調査に加え、年金記録の回復と再発防止に向けた種々の具体的な提言もなされてきてはおりますが、なお対応すべき課題も幾つか残されているように思われます」と、幾つか残されているということで、「そこで今回」プロである社会保険労務士の皆様方に、今後の委員会の審議材料といたしたくお願いに及ぶ次第でございますということで、(1)から(4)までこういったご意見についてぜひお聞かせいただきたいと、こういうことでございます。
 (1)でございますけれども、年金記録問題の再発防止についてのご提案がありませんかということ、それから2つ目は、年金事務所でさまざまお客様とやりとりをしているかと思いますが、納得度についてのご質問と、それからその際相変わらず発見が困難な記録としてよく指摘される戦時中・終戦直後の被用者の年金記録、ほかにどのような種類の記録が発見困難だったかということを現場の方々にお聞かせいただくと。
 次のページでございますが、(3)で、日ごろ年金相談に社会保険労務士の方々は応じておられますから、そういった立場からこれは問題だとお感じになったことを、広く事例や問題点の概要を教えていただきたいと。
 それから(4)、最後でございますが、一言この際と、あるいはこれまでの年金記録問題への取り組み状況全般のご意見についていろいろお聞かせいただきたい、こういうことでございます。
 7月頃にアンケートをお願いして、8月上旬頃までに、できましたら委員会に出していただきたいということが書かれておりまして、「また」というところで、社会保険労務士の方々には実は、前の年金記録回復委員会におきまして1度、年金記録回復基準についてご意見をいただいております。それを参考資料の2ということでつけておりますので、これを紹介してということでございます。
 資料の4-1を金田会長宛てに出させていただいた後、資料4-2ということでございまして、こちらも主要な部分だけ読ませていただきたいと思います。追って白石委員からの補足のご説明等があると聞いております。
 最初に経緯、協力要請がありましたという後、募集要領ということでございまして、募集するご意見、情報ということで(1)、(2)で書かれてございます。社労士として対応したもの、年金事務所相談員として対応したもの等の関与した立場で、具体的な記載をお願いしますということでございます。
 次のページでございまして、2ページは応募方法が書かれてございまして、募集期限が7月31日と、4番でございますけれども、お寄せいただいたご意見、情報につきましては、連合会のほうで集約をしてこの特別委員会に提出していただいて、ご議論をいただくということでございます。それから連合会で事実確認をするといったようなことなども書かれてございますし、個人情報についても(4)で書かれてございます。
 3ページ目でございますが、1、2、3、4、ということでご意見、情報をいただきたい事項ということで、先ほど資料4-1で(1)から(4)までご質問をしておりますけれども、若干文言が一部違うものはありますが、おおむねほぼ同じような内容のご質問。3につきましては四角にございますような事例も書かれてございます。
 こういったことをしまして最後のページでございますけれども、ご所属の社労士会、お名前、電話番号、メールアドレス、それからお立場について印をつけていただくと、このようなことになってございます。
 7月までに提出していただきまして、8月以降、委員長、それから委員の皆様方にもご相談する、あるいは日本年金機構とも十分事実関係を含めて連携をしながらできるだけ早く整理をして、委員会の場に出していきたいと、このように考えてございます。
 以上でございます。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 本日は連合会の会長をしていらっしゃる金田委員がご欠席なので、そのかわりに連合会の理事をしていらっしゃる白石委員、何か一言ございましたら。

(白石委員)
 会長の金田よりこの件につきましては了解した旨、言づかってきております。私たち社会保険労務士は、ご協力できる限り精いっぱい頑張りますのでよろしくお願いします。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。心強いご発言をいただき、よろしくお願いいたします。
 ほかに本件は何かご意見、ご質問ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、本日このような形で金田会長にお渡ししたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

(尾崎政策企画官)
 最後でございます。その他ということで、法律の内容につきまして年金課のほうから説明いたします。

(三木年金課長補佐)
 年金課課長補佐の三木と申します。私のほうから一番下の資料、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律と、こちらは昨日成立しました法律ですけれども、これについて説明させていただきます。この法律は厚生年金基金の見直しなども内容として含まれていますけれども、本日は第3号被保険者の記録不整合問題への対応の部分について説明させていただきます。
 1ページは、これは法律全体の概要ですけれども、こちらは飛ばさせていただいて2ページをご覧ください。2ページ、第3号被保険者記録不整合問題とその対応の全体像ということでして、皆様ご案内のことかとは思いますけれども、この不整合問題とは何かというところから若干説明させていただきますと、典型的なケースとしては右上の図のようなケースですけれども、夫がサラリーマンで妻が専業主婦の家庭、こちらは夫がサラリーマンであれば厚生年金に加入して2号被保険者となると、妻は2号の配偶者ということで3号ということで、自身では保険料を負担せずに将来基礎年金の給付を受けられるということになります。ただ、この夫が転職などでサラリーマンでなくなる時期があると、その場合にサラリーマンでなくなるので夫は1号ということになりまして、国民年金保険料を払うということになります。そのとき同時に妻も2号の配偶者というステータスではなくなるので、こちらも3号から1号に変わります。1号として保険料を払わないといけないということが原則になります。
 ただ、この奥様のほうは3号から1号へ切りかわるときにご自身で届け出をしていただくという義務がありますけれども、この義務を忘れてしまって、年金記録上ずっと3号が継続しているという記録になってしまっているケースがあると、本来1号なのに3号と記録されてしまっているというところを不整合期間と呼んでおります。このようなケースがありまして、中には不整合期間に基づいて既に年金受給者となっていて、本来より高い年金額が支給されているというケースもあると、そういうことがこの不整合問題であります。
 この不整合問題について民主党政権のときに見つかったものですけれども、当初これの解決方法として、この不整合期間を基本的には3号と認めようという運用3号取り扱いということで、これを解決しようとしました。ただ、こちらは平成23年1月から始めたのですが、その年の通常国会で批判が相次いで、課長通知に基づいて国民の権利義務にかかわるようなことをやるとは何事かとか、きちんと届け出をした人との不公平性などがありまして批判が相次ぎまして、運用3号は3月に廃止しました。
 23年11月に民主党で主婦年金追納法案というのを出しましたけれども、こちらは社会保障・税一体改革の法案の審議などが優先されまして、審議されないまま廃案となりました。今回の法案というのは、その主婦年金追納法案の内容を基本的に同じ内容として出し直しをしたというものでございます。
 こちらの内容ですけれども、下半分をごらんください。まず左上に不整合期間が未訂正で現在受給者であると、納付実績に見合った額より高い年金額をもらっているという方がいます。こちらはやはり年金なので納付実績に合わせた年金額とすることが原則であるということにしておりまして、こちらの法案の内容では、法案の内容と書いてある3つの四角の真ん中のところに不整合期間の追納を可能にすると、納めていただいてこれを納付済みの期間にして、納付実績と受給額を合わせるということにしております。こちらは3年間の時限措置としております。もしこの3年間の間に追納をしていただかなかった場合には、その右の四角に書いてありますけれども、追納期間終了後に追納されなかった部分については減額をするということにしております。
 また、追納期間終了後に期間を直すことによって、中には25年の受給資格期間を満たさなくなってしまって無年金になってしまうような人がいるので、その無年金というのを防止するために、法案の内容の一番左に書いてありますけれども、不整合期間を「カラ期間」とすると、少なくとも受給資格期間には反映するということをしておりまして、無年金となることを防ぐということにしております。
 現在未訂正の受給者の方にそのような措置をとるので、例えばこれまで不整合期間を訂正した人、あるいは現役の方、今被保険者で不整合期間未訂正の方、訂正済みの方にも、同じように追納できるということにしまして、あるいは「カラ期間」にすると、不整合期間は「カラ期間」として受給資格期間としてカウントするという措置をとっております。また、不整合記録の再発を防止する、第3号被保険者でなくなった旨の情報を事業主経由で入手するなどの措置を講じております。
 そちらが法案の内容でございまして、3ページは施行のスケジュールですけれども、そちらは民主党のときに提出いたしました主婦年金追納法案から内容は基本的に同じですが、施行スケジュールについては若干見直して、なるべく早目に施行できるようにしたということでございます。4ページはこれまでの経緯を参考としてつけております。
 私からの説明は以上です。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 本件は質問をされても少し困るのですけれども、ございましたら。よろしいですか。
 本日のところは、昨日通過したばかりの法律でございますので、事務局もまだ大変だろうと思いますが、少し落ちつきましたら、この主婦年金の関係は報告書にもいろいろ書かなければならない事項もたくさんございますので、例えば一時スタートしてストップさせられた運用3号と、この現在の法案との比較ですとか、あるいは機構において運用3号を2カ月間取り扱った実績が、その後うまく是正されているのかどうかとか、あるいは別途、10年後納制度というのがありますが、それとこの10年の追納との関係はどうするのかなどなど、実務的な話もいろいろあろうかと思いますので、そういったことも含めて、時期が来ましたらこの場で教えてください。よろしくお願いいたします。
 これで予定の議事は終わったわけです。本日は盛り沢山でございまして時間が超過しましたが、何かありますか。
 どうぞ。

(岩瀬委員)
 これは年金局にお尋ねしたいのですけれど、本日の議事とは全く関係なくて、機構の今後のあり方についてお尋ねしたいのですが、機構のあり方をどうするかということを、3年を目途に見直すというのが法律にあったのではなかったですか。それはいつ誰が見直すのかということと、見直した結果をどのように世の中に対して公表していくのか、その辺を教えていただけませんでしょうか。

(磯村委員長)
 これはどなたが。
 どうぞ。

(高倉年金管理審議官)
 今ご指摘の日本年金機構法が成立したときの見直し規定を踏まえた見直しを、どのようにしていくのかという点でございますけれども、まず1つには、今、社会保障審議会の下のもう一つ業務部門の関係でございます部会でございますが、日本年金機構の評価部会におきましての3年間の実績のレビューといったものを始めているわけでございます。そのプロセスの議論というものが、3年間の歩みを見直していく、検討していくということにもつながるものだと考えておりますが、実はその場だけではなく、ほかにもいろいろな議論が動いております。
 例えば国民年金あるいは国民年金の納付率の向上に向けた検討、あわせて厚生年金の適用徴収のあり方を充実していくべきと、そういった厚生年金の適用、国民年金の納付率改善といったようなテーマに関しまして現在進行形で、官房副長官をヘッドとし各関係省の政務官がメンバーとしてレビューをするという、どのように充実していくべきかという方策を検討していただいておりますけれども、その中でもこの3年間のあり方といったようなものについてもいろいろな議論がなされて、その上でまた次の方向性も出てくると思っておりますが、そういった中心として全体的にレビューしていくような場としては評価部会、そしてまた、分野を絞った形ですけれども、議論するような場もある。そういったところでの審議をよく踏まえまして厚生労働省において検討していくということが基本であろうと考えております。
 具体的にどういう形でやっていくかというところは、これからの検討というように現時点では頭の整理をしているところでございます。

(磯村委員長)
 よろしいですか。

(岩瀬委員)
 ということは、そういった評価部会なり官房副長官をヘッドとしたチームの検討結果というものを、厚労省が受けて年金局で最終的な結論を出すということになるわけですか。

(高倉年金管理審議官)
 もちろん一義的に事務局として検討していくのは年金局でございますが、当然ながら大変大事なことでございますので、政務三役によくご相談をしながら、どういう形で結論を出していくのかということはこれから検討していくということが、現時点の頭の整理でございます。
 手元に、一生懸命そういったことを考えて整理していたものについては、本日ここでご質問をいただくとは伺っていなかったものですから、万が一若干言葉遣い等不適切なところがありましたら、またご相談して訂正させていただきますが、基本的にはそういうことで評価部会の作業がかなり重いのかなという、それを踏まえながら考えていきたいということでございます。

(磯村委員長)
 そうですか。よろしいですか。

(岩瀬委員)
 もう一点だけ。
 最終的な結論とはいつ、今年度中に出すということですか。

(高倉年金管理審議官)
 すみません、今は手元にないもので。

(岩瀬委員)
 わかりました。すみません。

(磯村委員長)
 何か質問の事前通告が要るみたいで、そんなわけではないですか。

(高倉年金管理審議官)
 恐縮です。私自身の記憶力不足の問題でございますので、お詫び申し上げます。

(磯村委員長)
 そうですか。

(岩瀬委員)
 わかりました。十分です。

(高倉年金管理審議官)
 要は規定に間に合うように検討していくということでございます。

(磯村委員長)
 附則の2条を読みますと、3年をめどにと、たしか書いてあります機構の職員の方はやはり気になると思うんですよね。なるべく早目に見直した結果、その辺をはっきりどこかの時点でおっしゃっていただかないと大変でしょう。よろしくお願いします。
 こんなことでよろしいですか。
 何か次回のことは。

(尾崎政策企画官)
 最後に、私から次回の委員会につきましてご報告をさせていただきたいと思います。次回第5回でございますが、来月24日水曜日、15時からを予定しております。場所、議題等につきましては後ほど担当からご連絡をさせていただきたいと思いますが、次回につきましては幾つかある議題のうち2つほどご紹介をしたいと思います。
 1つは、これまでの年金記録問題などの進捗状況を整理した第2次の中間報告というものをまとめて、ご審議をいただきたいということを予定しております。第1次につきましては昨年7月、昨年と同じ時期になりますが、年金記録回復委員会で報告しご審議をしていただいたという経緯がございます。
 それからもう一つでございますけれども、本日冒頭でご説明させていただきました全体構図の資料にもありますとおり、委員会の報告書につきまして来月以降、委員の皆様方とともに作業をしていくということになりますので、その作業方法や作業スケジュールなどにつきまして事務局で用意をしてご審議いただくと、このようなことを考えておりますのでよろしくお願いいたします。

(磯村委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、30分ほど時間を超過いたしましたが、本日の議事はこれでお開きにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 どうもご協力ありがとうございました。事務局もありがとうございました。


(了)

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