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2013年7月25日 第64回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成25年7月25日(木)16:00~18:06


○場所

グランドアーク半蔵門 富士西の間(4階)


○議題

1.産科医療補償制度について
2.次回の診療報酬改定に向けた検討について
3.社会保障制度改革国民会議の議論の状況報告

○議事

○遠藤部会長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第64回医療保険部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
 部会の開始前にお知らせがございます。本部会の委員の山下一平委員が去る7月13日に御逝去されました。ここに皆様とともに謹んで黙祷を捧げ、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。恐縮でございますけれども、皆様、御起立をお願いいたしたいと思います。
(黙 祷)
○遠藤部会長
 黙祷を終わります。御着席をお願いします。
 それでは、続きまして、委員の御異動について御紹介させていただきます。齋藤訓子委員が御退任されまして、新たに日本看護協会副会長の菊池令子委員が御就任されております。
 それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、大谷委員、斉藤正寧委員、福田委員、和田委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方について、お諮りしたいと思います。
 福田委員の代理としまして、近藤参考人の御出席につき、御承認いただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 また、オブザーバーとしまして、日本商工会議所の大井川さんの御出席について御承認いただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 また、本日は議題1で、産科医療補償制度について御説明いただくため、日本医療機能評価機構の上田理事及び後理事にお越しいただいております。後ほど御説明いただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、前回の医療保険部会以降、厚生労働省幹部に人事異動がございましたので、事務局より紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○大島課長
 保険局総務課長になりました大島と申します。よろしくお願いします。私のほうから、異動した者を紹介したいと思います。
 右手、保険課長の鳥井です。
 それから、右手、医療課企画官の佐々木です。
 その隣、調査課長の秋田。
 左手に移りまして、医療費適正化対策室長の安藤です。
 それから、ちょっと後ろになりまして、医療課医療指導管理官藤田。
 以上でございます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○遠藤部会長
 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移らせていただきます。初めに「産科医療補償制度について」を議題としたいと思います。
 本日は、産科医療補償制度の運営状況につきまして御説明をいただくため、日本医療機能評価機構の上田理事及び後理事にお越しいただいております。
 それでは、日本医療機能評価機構の上田理事、後理事より御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○上田参考人
 日本医療機能評価機構で産科医療補償制度の事業管理者を務めております上田でございます。よろしくお願いいたします。
 昨年11月の医療保険部会では、産科医療補償制度の見直しについてさまざまな御意見をいただきましたが、剰余金の取り扱いや掛金の水準等の論点については、補償対象者数を明らかにした上で検討を行う必要があることから、補償対象者数の推計結果を待ち、それを踏まえて議論することとしておりました。
 このたび、医学的調査専門委員会における検討の結果が取りまとめられ、一昨日の7月23日に開催された当機構の運営委員会に報告されましたので、本日は、補償対象者数の推計結果を御報告するとともに、今後の見直しの検討の進め方等についての考え方を御説明させていただきます。
 それでは、お手元の参考資料1-1の1ページをお願いいたします。
 1.産科医療補償制度運営委員会における制度見直しの検討状況について御説明いたします。
 最初の○ですが、産科医療補償制度は、早期に創設するために限られたデータをもとに設計されたことから、創設時にまとめられた「産科医療補償制度準備委員会報告書」において、「遅くとも5年後を目途に、本制度の内容について検証し、補償対象者の範囲、補償水準、保険料の変更、組織体制等について、適宜必要な見直しを行う」とされました。
 このため、産科医療補償制度運営委員会において、平成24年2月から制度の見直しに向けた議論を開始し、補償対象範囲、補償水準、掛金の水準、剰余金の使途、原因分析のあり方、調整のあり方、紛争の防止・早期解決に向けた取組み等を見直しに係る検討課題として挙げました。
 このうち、補償対象範囲、補償水準、掛金の水準、剰余金の使途等については、補償対象者数を明らかにした上で議論を行う必要がありますが、本制度の補償申請期限は児の満5歳の誕生日まででありまして、制度創設年である平成21年生まれの児においては平成27年中頃までは補償対象者数は確定いたしません。
 しかしながら、確定前であっても当初の推計値よりも下回ることは明らかであることから推計値を見直すべきとの医療保険部会での御意見等を踏まえまして、補償対象範囲、補償水準、掛金の水準、剰余金の使途等については、平成24年10月に小児神経科医等の専門家から構成される医学的調査専門委員会を設置し、補償対象者数の推計および制度見直しの検討にあたって必要な脳性麻痺発症等に関するデータの収集・分析等を行い具体的な議論を行えるよう整理することといたしました。
 今般、医学的調査専門委員会における分析の結果が医学的調査専門委員会報告書として取りまとめられましたので、本日、御報告させていただく次第であります。
 一番最後の○にありますように、なお、原因分析のあり方、調整のあり方、紛争の防止・早期解決に向けた取り組み等の補償対象者数の推計値等のデータがなくとも検討が可能な課題については、これまで6回にわたって運営委員会において議論が行われ、本年6月10日に中間報告書が取りまとめられております。その概要は、9ページの別紙1に、見直すべきとの結論に至ったものを中心に主な内容を取りまとめております。これらは出産育児一時金に関連しない事項ですので、この場での説明は割愛させていただきますが、本制度の柱の一つである脳性麻痺の原因分析や再発防止に向けた取り組みについて、取りまとめております。
 また、別の資料でございますが、1枚、日本医療機能評価機構追加提出資料として、産科医療補償制度の概要を配付しておりますが、これは制度創設の経緯、補償対象、補償の機能などについて記載しておりますので、御参照ください。
 資料2ページ目以降の内容につきましては、当機構の理事の後より説明申し上げます。○後参考人
 私、日本医療機能評価機構産科医療補償制度の技監を務めております後と申します。2ページ以降の御説明をさせていただきます。
 資料2ページをお願いいたします。補償対象者数の推計の見直し結果でございます。
 その下の1が結論でございます。補償対象者数の推計値は、年間481人、推定区間340人から623人となっております。481人のところに※がついておりますが、※1は、日本全国における、補償対象となる重度脳性麻痺児の年間出生数でございます。※2は、統計学的に見た95%信頼区間でございます。真の値が340人から623人のどこかにあるということが、95%の信頼を持って言える区間になります。
 そして、それ以降、推計値の根拠などを2に書いておりますが、その前に、この推計値を算出いたしました経緯につきましては別紙2にございますので、恐れ入りますが、後ろの13ページをお開きいただきますようにお願いいたします。医学的調査専門委員会報告書の概要でございます。
 1番が目的で、2番の調査の方法をご覧ください。すぐ下の○ですが、沖縄県と栃木県と三重県におきまして、それぞれの調査者により脳性麻痺に係る地域調査を行いました。
 その下の○ですが、沖縄県の調査は、1988年から2009年まで、診療録に基づく綿密な質の高いデータに基づく調査でございます。
 その次の○、栃木県と三重県の調査は2005年から2009年の脳性麻痺児について、身体障害者更生相談所における診断書等に基づく調査、及び2006年から2009年に出生した脳性麻痺児について、医療型障害児入所施設等における診療録にもとづく調査ということになっておりまして、沖縄県と栃木県、三重県の両者で調査の方法論が違うところがポイントでございます。
 3番ですが、補償対象者数の推計です。
 (1)の2つ下の○、「その結果」で始まっている部分ですが、沖縄の調査結果にもとづく推計では、除外基準、これは補償の対象から外す基準ですけれども、そこは医学的判断にかなり幅がありまして、それによって補償対象者を少なく見積もると505名、多く見積もると565名でありました。同じく栃木県では1,003人、多く見積もると1,226人、三重県では941人、多く見積もると1,579人。三重県の一部の施設をもとにした推計は496人ということでありました。
 一番下の○ですが、このように地域によりばらつきが大きい状況でございました。特に、栃木県と三重県の調査による推計値は、身体障害者更生相談所調査におけるデータ収集の限界、14ページに参ります。それから、施設調査との突合、これは、身体障害者更生相談所のデータと施設調査のデータと、同じAさんのものであっても、その突合がうまくいかずに2人とカウントすると人数が増えるという意味でありますが、その突合の限界等の理由で高い数値となったものと考えております。
 次の○ですが、一方、沖縄の調査は、地理的に他県と離れているため県を越えての移動が少ない。県内の小児科医の連携が密である。調査者の長年にわたる取組みにより、脳性麻痺児の把握が十分され、データの母数が多い。施設の診療録をもとに収集された情報であるということから、最も信頼性が高いと考えられました。
 そこで、(2)ですが、医学的調査専門委員会では、沖縄県の調査結果に基づき、補償対象者数を推計することといたしました。
 次の○ですが、1988年から2009年の22年分ありますが、最後の2008年と2009年はすべての脳性麻痺児が把握されていない。また、日が浅いので、脳性麻痺児がふえる可能性もあると考えまして、残り20年間で推計をいたしました。特に、10年を2つに分けまして、後半の10年、1998年から2007年の10年間のデータで算出しております。
 その次の○ですが、98年から2007年に出生した脳性麻痺の全例について、これは実際の審査で行っております一般審査という範疇と個別審査という範疇と、それぞれにきめ細やかな推計を行いまして、沖縄県のデータを人口比で出生数の比で全国のデータに引き延ばすという方法で算出いたしました。
 その下、「また」で始まる部分ですが、その際には誤差が入りますので、推計値の95%信頼区間を算出しております。
 その結果がその次の行ですが、481人、340人から623人という結果でございます。先ほど申しましたとおりでございます。
 ここで、恐れ入りますが、2ページに戻っていただきますように、よろしくお願いいたします。
 ただいま、2のところはほぼ申し上げました。特に2の最後の3行ですが、今回は、調査対象の全例について審査基準への適合性を一般審査と個別審査に分けたということ。あるいは、この5年間の審査の考え方の蓄積を用いて、一例一例精査して算出しております。さらに、統計学的手法も用いております。このように、より精緻な対象者数の推計が行われたと考えております。
 次に、3調査対象者数の推計値の見直しでございますが、今回の推計値につきましては、今後の補償対象者の確定件数等の実績と照らしまして、今後も大きく乖離する場合等ありましたら、定期的に確定件数も踏まえた推計値の見直しを行うということも、今後考慮してまいりたいと思います。
 3ページをお願いいたします。太字の3番は、21年生まれの児の申請状況でございます。21年と申しますのは、制度発足初年に当たります。確定件数は205名です。それから、審査中の件数が8名。それから、申請準備中の件数が111名ございます。
 これにつきまして、恐れ入りますが、先ほどの別紙2に関連事項が1つ書かれておりますので、15ページをお願いいたします。(3)は、制度初年、2009年の出生児につきまして、沖縄、栃木、三重県の3県におきまして、まだ対象者が残っているかどうかを調査しておりますので、その結果を申し上げます。
 2つ目の○になりますが、沖縄、栃木、三重県の3県におきまして、対象と認定された件数はトータルで8件です。補償対象と考えられる件数は、少なく見積もると15件、多く見積もると40件ということで、まだこの3地域の状況でありますが、地域には2倍から数倍の補償対象の候補者がいらっしゃるということがわかりました。
 そして、恐れ入ります、資料3ページに戻っていただきますようにお願いいたします。中ほど、2でございます。このように補償対象者数が推計値を下回っているという状況がございまして、その要因につきまして分析しております。
 ○が3つありますけれども、1つ目の○が、医療関係者に補償対象範囲について必ずしも十分に周知されていない。
 2つ目の○で、保護者に本制度について必ずしも十分に認知されていない。
 3つ目が、重症度の判断が困難の理由で、補償申請期限の直前まで申請が控えられているという理由が考えられます。
 そこで、「3上記を踏まえた効果的な周知」を行う必要があると思っております。その下に書いてありますことは、これまでも厚生労働省のお力をかり、また日本医療機能評価機構におきましても周知を図ってきたところでございますが、さらに力を入れる必要があると思います。
 具体的な取り組みですけれども、4ページに参ります。関連団体を挙げておりますが、これらの関連団体に対して、さらに周知を徹底していく。そして、会員の皆様などにお知らせしていただくということを考えております。
 次の○ですけれども、脳性麻痺児の保護者に対しまして、本制度の認知を促すための取組みを考えております。具体的には、肢体不自由児施設とか重症心身障害児施設、それらの団体等に働きかけを行っていくことでありますとか、政府広報あるいは新聞・雑誌等にこの制度についての考え方の記事とか広告等を掲載して、広く周知することを考えております。
 また、私ども評価機構の中に産科医療補償制度申請促進に関する緊急対策会議を設置しまして、補償申請の促進に取り組むことにしております。別紙3は、説明は割愛させていただきますが、緊急対策会議の趣旨とか委員のメンバーでございます。
 それから、4番に参ります。剰余金および掛金の取扱いなど今後の検討の進め方でございます。481人をもとに算出いたしますと、27年中頃以降、毎年120から140億円の剰余金が返戻されることが見込まれております。
 今後の進め方といたしましては、補償対象者数の推計値等に基づき速やかに私どもの制度の運営委員会で議論を行い、9月中を目途にその基本的な考え方をとりまとめ、それをもとに、こちら、社会保障審議会医療保険部会での御議論をお願いしたいと考えております。
 また、運営委員会で剰余金および掛金の取扱いに関する基本的な考え方がとりまとまった後に、27年以降の制度に関し、対象となる脳性麻痺の基準とか補償水準等に関する見直しについて検討を開始し、25年内を目途に結論を得ることとしております。また、医療保険部会におきましても御議論をお願いしたいと考えております。
 この検討項目につきましては、資料上、重立った項目を挙げておりますが、この中では剰余金を返還することになった場合の仕組みの取り扱いとか、運用益の取り扱いなどについても検討する予定にしております。
 5ページに今後のスケジュールをお示しさせていただいております。8月、9月で剰余金、掛金の取扱いについて。特に、9月に基本的な考え方のとりまとめ。9月から11月までが対象となる脳性麻痺の基準・補償水準等の見直しについて、そして11月にはその他の検討課題も議論して、12月にとりまとめということにさせていただきたいと思っております。
 それから、6番の制度運営状況でございますが、これは18ページをお願いいたします。簡単に申し上げます。一番上の表は、制度加入状況で99.8%。それから、真ん中の表は審査の結果です。576件審査して、524件対象となっております。およそ9割強が対象となっております。そして、一番下の表が原因分析の状況です。報告書を277件作成しているというものでございます。
 それから、19ページ、4番が再発防止の状況ということでございます。再発防止のための報告書を3回作成いたしまして、その中に脳性麻痺の発生を防止する。あるいは、それに有用な情報、例えば常位胎盤早期剥離の管理に関することでありますとか、そのような内容の報告書をつくっております。
 5番目が、各保険年度の収支状況でございます。区分と収入保険料と保険金、対象者数も書いております。それから、残りの支払備金、決算見込みをお示しさせていただいております。
 それから、20ページですけれども、本制度に係るアンケートでございます。保護者に対し、制度があってよかったですかとお尋ねしたところ、「よかったと思う」というお答えが9割。
 21ページは、分娩機関に対して聞いたアンケートでございます。制度があって「よかったと思う」というお答えが83%でございます。
 それから、22ページは、原因分析に関するアンケートでございます。上の円グラフが保護者でありまして、「とても良かった」「まあまあ良かった」が61%。分娩機関は、「とても良かった」「まあまあ良かった」で76%となっております。
 それから、23ページ、最終ページですが、産婦人科における訴訟件数の推移でございます。これは、最高裁判所からのデータでございますけれども、制度開始が21年でございまして、それ以降、全体の訴訟件数も棒グラフで減っておりますけれども、産科の訴訟件数もかなり大きく減っております。
 それから、平成19年と20年は制度創設のための準備期間で、制度の周知を図っていた時期でございます。全体として訴訟件数は減少傾向でありますが、特に産科のものを取り出した折れ線グラフはかなり少なくなってきているという状況でございます。
 最後、6ページの御説明をさせていただきます。前回の医療保険部会における質問事項について、御回答を記させていただいております。四角で囲んである問いの部分でございますが、以下の事項について、見直しも含めた今後の検討の進め方及びスケジュールについて教えていただきたいというお尋ねをいただいております。1事務経費から始まって、5までございます。
 答えの1番で、医療保険部会において見直しについての御意見をいただいた事項について、対応可能なものから検討を行いました。1の事務経費につきましては、この文章に保険会社における事務経費と書いておりますけれども、事務経費は運営組織分もございますので、申し訳ございませんが、この「保険会社における」は削除していただきますようにお願いいたします。1の事務経費につきましては、保険会社と運営組織という意味でございます。において、さらなる縮減を検討いたしました結果、平成25年は人件費・物件費で17.2億円、対前年比4.77億円の減。制度変動リスク対策費9.74億円、対前年比5.97億円の減といたしました。これが合計で27億円になっております。
 補足いたしますが、この事務経費につきましては、制度初年が実績ベースで43億円ございました。この43億円を毎年縮減に努めまして、昨年は37億円、そして今年25年は27億円ということで、縮減を図ってきております。
 2番に参ります。このうち、制度変動リスク対策費につきましては、見直しの前提となる補償対象者数の推計のデータが明らかにならない中ではあったものの、3年から4年が経過した状況にあることも踏まえ、厚労省及び保険会社とも御相談の上、仮に500人の見込みとして見直しを行ったものでございます。
 3番ですが、一方、2、3、4、5です。剰余金返還の最低水準、運用益の取扱い、掛金水準、剰余金の取扱いにつきましては、調査専門委員会における補償対象者数の推計に基づき検討を行う必要があること。また、金融庁協議が必要な補償約款や保険契約等の大幅な制度変更と直結することから、厚労省とも御相談の上、推計結果を待ち、その後速やかに制度の運営委員会及び当部会において議論を行っていただくこととしておりました。
 4番でございますが、このたび推計値が示されたことから、早急に議論に着手したいと思います。そして、25年内を目途に検討結果を取りまとめたいと考えております。このスケジュールにつきましては、先ほど5のところで申し上げたとおりでございます。
 7ページ、8ページは、制度の御理解に役立つように参考資料を少しつけておりますが、掛金の水準がこれまで決まってきました経緯でありますとか、剰余金の取扱い、返還時の最低水準。8ページは、運用益とか事務経費について、これまで現在のようなやり方になってきました経緯をお示ししております。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 本日は、所管されております医政局からも御担当の方が来ていただいておりますけれども、何か追加でございますでしょうか。では、佐原管理官、お願いします。
○佐原管理官
 医政局管理官です。簡潔に申し上げたいと思います。この制度は、産科医療の確保を目的としまして、平成18年から検討を始めたものでございます。平成21年の制度発足に先立ちまして、医政局から日本医療機能評価機構に対して民間保険商品の設計を委託した経緯もございまして、本日、医政局からも出席させていただいております。
 制度開始から既に4年が経過しておりまして、この部会におきましてもさまざまな御意見をいただいたことを踏まえまして、ただいま機構から説明がありましたように、5年後の対象者の確定を待たずに対象推計値の見直しを行ったところでございます。この推計値を踏まえまして、見直すべきところは速やかに見直しがなされるよう、本日の御意見も踏まえまして医政局としても対応してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御報告に関連いたしまして、御質問、御意見、どうぞ。では、白川委員、小林委員の順でお願いしたいと思います。
○白川委員

 最初に質問を数点させていただいて、その後、意見を述べさせていただきたいと思っております。
 質問の第1点目でございますが、本年5月だったと思いますけれども、この制度の剰余金をめぐって、1,000名以上の妊産婦と28の分娩機関が国民生活センターに調停を申し出たというのが新聞等で報道されております。調停を申し出た方々の御主張というのは、掛金3万円のうち剰余金が相当あるので、その分、2万円を返却しろというものであると承知しておりますけれども、医療機能評価機構としては、この3万円の掛金あるいは剰余金の帰属はどこにあるのかということについて、どういう見解をお持ちなのかということをお伺いしたいということです。
 2つ目は、今、説明いただいた資料の4ページ、下から3、4行目あたりに、補償対象となる脳性麻痺の基準や補償水準等に関する見直しについて検討を開始すると書かれておりますが、これはどういう問題意識で何をされようとしているのか。特に、補償水準について、どういうことを検討されているのかを教えていただきたいというのが2点目でございます。
 3つ目の質問は、資料の6ページでございますが、この部会で出た質問についての回答ということで提示されておりますけれども、まず答えの1.でございますが、これは昨年の11月か12月かわかりませんが、保険会社と契約をしたときの内容をこういうふうに変えましたということをまとめていらっしゃると思いますが、1つ伺いたいのは、制度変動リスク対策費9.74億円を減らしましたと誇らしげに書いてあるのですけれども、どこにこの制度のリスクがあるのか。今の御説明でも、推計値が正しいかどうか、私はちょっと判断できませんが、正しいとしても、毎年120億円から140億円ぐらいの剰余金が出るという保険制度で、どこにリスクがあるのかということを御説明いただきたい。
 あわせて、問の3にある運用益の取扱いについて、今ちょっと早口で御説明いただいたので、私、よく聞き取れなかったのですけれども、推計値が固まらないとどうこうだとか、保険制度、金融庁とのどうこうだということをちらっとおっしゃったのですけれども、よくわからないのです。この質問の意味は、当然、保険会社は運用益を得ているでしょう。それはどこに帰属するのですかという質問です。たしか、この保険制度は20年間の年金でお支払いするという形になっている。最初に600万円、残りは20年間でお支払いする仕組みになっておりますから、そうすると保険会社は、非常に多額の金額を長期間持つことになります。
 これは、膨大な利益を生むと私などは考えるのですけれども、それについてどういうお考えなのかということを伺いたいというのが質問の趣旨でございますので、それについてこの場でお答えいただきたいというのが3点目の質問でございます。

○遠藤部会長
 それでは、その3つについて御返答をお願いします。
○後参考人
 お答えいたします。
 まず、調停の件でございますけれども、この制度は既に御存じのように、分娩機関とか妊産婦に実質的な掛金の負担がないように、あるいは費用の負担がないように設計されております。そこで私どもは、今後剰余が生じた場合には、直ちに妊産婦とか分娩機関に返すということではなく、私どもの運営委員会で適切な使途を議論し、そして、その結果をこちらの医療保険部会に御報告して、また御議論いただくという従来の考え方で進めさせていただきたいと思っております。その旨、国民生活センターにも申し上げているところです。
 2つ目の御質問の、特に補償水準の議論あるいは基準についての議論の具体的内容でございますけれども、補償水準につきましては、私どもの運営委員会でも、特に医療者側の委員だけではなく、患者側で医療機関との紛争で苦しんでこられた方などの委員からも、補償金額を上げてはどうかとか、実際の看護・介護の費用をもう一度精査して補償の拡大を考えてはどうかという御意見があったことは事実でございます。しかしながら、そのようなことは財源との関係がございますので、こちらの医療保険部会でも議論していただきたいと思っております。
 それが補償水準の部分でございますが、ほかに基準といたしまして、この制度の補償対象基準は、出生体重とか出生の週数、それから先天性の異常がある、あるいは新生児期の異常がある、ない、こういう医学的な内容あるいは体重の数字になっておりますけれども、それらのぎりぎりのところには微妙な部分がございます。というのは、基準に入るか入らないのか、非常に悩む事例がございます。1つ例を挙げますと、双子の場合はどうしても体重が低くなりますので、現在の1つだけの体重の基準を当てはめると、双子の場合は不利になるという面についても専門家から指摘がございます。こういう基準について、どのように見直すのが医学的に正しいのかということを検討するということでございます。
 3つ目の御質問の変動リスク対策費のリスクの部分ですけれども、本日の資料8ページに、変動リスク対策費とはどういうものかということをお示しさせていただいております。一番下になります。
 (1)から(3)までございますが、まず(1)としては、医療水準が向上して脳性麻痺児の生存率が向上して、統計データ取得時より上昇するリスク。これは、医療が進歩しておりますので、かつてであれば、新生児期、生まれたばかりのときに非常に重症な状態であった児が生存していくことになりますが、その過程で呼吸管理が難しくて、低酸素脳症になれば重症の脳性麻痺になる可能性がどうしても出てきますので、そのようなことによって高まるリスク。
 (2)が、統計データの母数が少ないために推計値が大幅に外れるリスク。これは、制度発足当初はデータがほとんどない状態でありましたので、このようなリスクを考えました。現在、推計値をこのように公表させていただいたわけですので、このあたりのリスクは少し少なくなっておりますが、先ほどの信頼区間の340から623のどこかに本当に推計値がある、真の値があるだろうということでありますので、どの点をとるかということによりましては、まだ大幅に外れるリスクがあることは事実でございます。
 (3)ですが、長期にわたる補償金支払いに伴う予期できない事務、システムリスク等の予期できないリスクに対応する費用ということで、これは経年的に状況を見ればだんだんリスクが減っていくということはわかってまいりますので、保険会社にも縮減をお願いしたということを先ほど申し上げましたけれども、20年間の支払いでありますので、今後、その支払いに関して、どのようなことが起きるかわからないという面はございますので、それに備えるリスクということでございます。
 特に、(2)につきましては推計値が出ましたので、リスクは少なくなったかと思いますが、(1)と(3)は依然として残っていると考えております。これがリスクがある場所と考えております。
 質問の4番目で、運用益のお尋ねがございました。この制度は保険でございますので、保険会社のほうで運用していると伺っておりますが、もともと予定利率を設定して運用するという商品ではございませんで、一般の保険商品と同様に、長期的に安定的な支払いを行うために運用を行っていると、私ども聞いております。
 その運用益でありますけれども、特にこの制度のための保険について区分して管理していないということでありますので、それが幾らということは申せませんけれども、運用の方法は安定・確実な方法ですので、例えば国債でありますと、利回りは10年物ですと年率0.7%という程度でございます。これらの運用益が発生するわけですけれども、剰余金の返還のときに運用益も同時に返還するという仕組みにはなっておりません。
 これにつきましては、同じ8ページの中ほどに運用益についてというところに記させていただいております。これは、もともと補償対象者数が予測を上回った場合は保険会社の損、下回った場合は保険会社が取るという保険の仕組みとして設計されましたが、その後、保険会社が過大な利益を得てはどうか、問題ではないかという御意見がありましたので、剰余金の返還の仕組みが導入されました。そのようなことがありますので、保険会社としては、これからより正確な推計値で再設計されますけれども、依然として補償対象が推計値を超えた場合の損という場合は、そのリスクが残ったままで、下回った場合は返還するという仕組みになっております。
 この返還の仕組みを導入した時も、そのような性質を厚生労働省とも御相談の上、最終的には運用益は返還しないという仕組みとして作って、そして契約をしております。この運用益の部分も一緒に返還することができるかという点につきましては、これは保険会社という相手もあることですので、そのような仕組みが本当に可能か。それから、民間の保険商品を活用して制度の補償の部分を支える、この仕組みを保険会社が今後もこのような条件で支えてくださるかどうか、よくお話をして、運用益の部分の返還についても検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 白川委員、どうぞ。
○白川委員
 お考えはわかりましたけれども、私どもの意見を何点か述べさせていただきたいと思います。
 以前にも申し上げたとおり、この話は、剰余金が出過ぎるのではないか、あるいは掛金が高過ぎるのではないか、これをなるべく早く見直すべきだというのが私どもの主張でございまして、2年前から申し上げていて、はっきり言ってやっと推計値が出たかということで、半分失望しております。9月にならないと、剰余金と掛金の見直しについての案が出されないということのようでございますが、たしかこの制度が発足した21年当時、5年後には見直そうということが厚労省の見解として出されているということは、来年1月にはこの制度の見直しは実行すべきだと念を押しておきたいと思います。
 それは、1つは、剰余金の処理の問題でございまして、私どもは、剰余金は掛金を出産育児一時金として支出しました保険者に帰属すると思っております。したがいまして、剰余金の処理については、基本的には保険者に返還すべきという意見でございます。ただ、現実的には事務的な問題とか法的な問題も若干あるかもしれませんので、気持ちとしては保険者に返還いただきたいのですけれども、場合によっては将来の保険料に充てるという考え方もあるのかなとは考えております。
 それから、保険料率、掛金につきましては、これは政令で定めるということにたしかなっていると思いますので、これは厚生労働省のほうで、ぜひ来年1月から切り下げをお願いしたい。単純に言いますと、単年度2万円でいいという話ですね。481人という数字が正しいとすれば、大体2万円あればいいということなのでしょうけれども、当然剰余金が絡みますので、それも勘案して、ぜひ政令の改正を来年1月からお願いしたいというのが2つ目です。
 それから、保険会社との契約の関係でございますが、何度も申し上げているとおり、今いろいろなリスクがあるのだとおっしゃいますけれども、私はそれはリスクかと言いたい。保険会社は、掛金を運用して利子利益を得る、運用利益を得るというのは、これは当然と言えば当然かもしれませんけれども、それ以外のリスクを補てんする仕組みとして、余りに手厚い。単純に言うと、保険会社をもうけさせるためにこの制度を運用しているのかと、疑いたくなるぐらいでございます。
 先ほど申し上げた制度のリスクの補てんの約10億円の問題。それから、補償対象者数が300人に満たない場合は実数との差が保険会社の利益になるという最低保障の問題。こういったことはなるべく早く見直しをしていただかないと、言い方は大変失礼ですけれども、先ほど申し上げとおり、保険会社をもうけさせるためにこういう制度をつくっているのかと言いたくなるぐらい、私どもとしてはふんまんやる方ない形になっております。昨年12月の契約見直しのときにも医療機能評価機構に強く申し上げましたけれども、まことにもって不満な契約内容。昨年12月に保険会社と交わした契約について、守秘義務があって、なかなか難しいかもしれませんが、主な内容について資料をこの場にぜひとも出していただきたい。
 特に、経費をどんどん削減してきたのだという御紹介がございましたけれども、どういう項目で経費を削ってきたのかということを、ぜひともこの場でも御説明いただきたいとお願いいたします。

○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 ただいまのお考えについて、機構あるいは医政局で何かコメントがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。はい。
○上田参考人
 これまでもお話しておりますが、当初、なかなかデータがない中で、このような制度設計をしました。ただ、その後、三、四年たちまして、いろいろなことがわかってきましたし、今回、推計値を示しました。したがいまして、こういった推計値をもとに、ただいま白川委員からの御指摘の点につきましては早急に検討して、そしてこの医療保険部会にも報告し、また御審議していただくように我々取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○遠藤部会長
 それでは、お待たせしました。小林委員、どうぞ。
○小林委員
 この産科医療補償制度は、その元を辿れば社会保険料と税金によって成り立っている公的な制度であります。剰余金の取り扱いは当然のこと、補償対象範囲や補償水準、掛金の水準をどうするかということについては、まさに公的な制度をどうするのかということであって、この医療保険部会において議論して結論を得るべき問題であり、財団の一委員会で考え方をまとめるレベルの問題ではありません。これまでも申し上げてまいりましたが、厚生労働省に対しては、この認識で間違いがないか、まず改めて確認させていただきたいと思います。
 その上で、産科医療補償制度は公的な制度でありますので、制度の透明性の確保、費用負担者を含む関係者の納得を得ることが重要です。この観点からすると、昨年来の医療保険部会における財団の説明は全く不十分であり、極めて不誠実な対応だと言わざるを得ません。幾つか質問いたしますので、ぜひ私たちが理解、納得できるような御回答をお願いしたいと思います。
 白川委員の御意見とほとんど重なりますが、まず剰余金の取り扱いについてです。剰余金の原資というのは、繰り返し申し上げますように、社会保険料と税金であり、一般論としては、制度開始当初にはいわば概算で掛金を設定することはやむを得ないと思いますが、その結果、剰余が出るということであれば、しっかり精算を行うのはしごく当然であると考えます。本来であれば、直ちに保険者に返していただくことが筋ですが、現実的に考えれば、今後の掛金の引き下げに充てる以外の選択肢はあり得ません。
 1年に百数十億円もの剰余金が積み上がるということであれば、27年度以降の制度の見直しと区分して、一刻も早く掛金の引き下げを行うべきだと考えますが、いかがですか。
 また、財団では、剰余金の使途を含めて、27年度以降の制度の見直しを行う考えが示されておりますが、財団内で議論するとしても、その議論の幅はおのずと限られるはずではないかと考えます。本日の資料では、財団として補償水準等に関する見直しを検討するとありますが、財団では補償水準等といった制度の基本的な部分を改めようと考えているのか、あるいはそうではないのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
 次に、運用益について、これも白川委員から御意見がありましたが、資料には毎年120億円から140億円の剰余金が保険会社から運営組織に戻されることが見込まれるとあります。この剰余金にかかる運用益は一体幾ら発生しているのか。あるいは、制度発足から現在までにどのぐらい運用益が発生し、運用益を現在、誰がどのように管理、整理しているのか、これまでもお聞きしてまいりましたが、先ほど御説明いただきましたが、その内容については、私共はとても理解できません。また、本日、突然こういった事実が明らかにされること自体がおかしいことではないかと思っております。
 最後に、保険会社との契約内容の見直しについてです。今年1月の契約更改に当たって約10億円の事務経費の見直しを図ったとあります。先ほどの説明ですと保険会社だけでなくて、財団の事務経費も含まれているということでありますが、この医療保険部会で問題提起がなければ、約10億円というのは引き続き漫然と保険会社に支払いを続けていた不要な経費であったということです。繰り返しになりますが、本制度の原資は社会保険料と税金という公費であって、国民負担あるいは保険者負担によって成り立つ制度であります。
 こうした公費が、これまで保険会社の利益になっていたという事実について、財団だけではなくて、制度設計した厚生労働省はどのように考えているのか、この点について所管部局としてどう考えているのか確認したいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 まずは、当部会がこの制度に対しての決定権限がどこまであるのかということの確認が御質問としてありましたので、これは保険局にお聞きしたほうがよろしいかと思います。それでは、総務課長、お願いします。
○大島課長
 これは、昨年も二度、この場で確認させていただいたと思いますが、当部会において最終的な決定権がございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、これは機構あるいは医政局に対する御質問、御意見があったわけですけれども、どちらからでも結構でございます。では、機構、お願いいたします。
○後参考人
 まず、1つ目の御質問ですけれども、剰余金の取り扱いでございます。実質原資が保険料である、出産育児一時金であるということは、もちろんそうでございますので、この剰余金がいかに大事かということは、私どももよく承知しております。この剰余金が発生しました場合の取り扱いにつきましては、制度発足当初から制度の充実に資するように適切な使途を公開の運営委員会で検討するということといたしておりますと同時に、その議論は、こちらの医療保険部会でも御議論いただきまして、関係の方の御納得がいただけないと新しい制度には移行できないと思っておりますので、十分御理解いただけるように御議論をお願いしたいと考えております。
 それから、掛金の引き下げにつきましては、剰余が発生したりいたしますと、今後議論の課題に上がってくると思っております。仮に掛金を引き下げるということでまとまりましたときには、その引き下げを速やかにいたしたいと思っております。
 ただ、それを実行いたします前には、制度創設時に私どもが経験したことでありますけれども、全国の分娩100万のうちの半分を行っている診療所などは、組織も非常に小さいですので、こういった事務変更に対して非常に脆弱だという面がございます。周知期間をよく設けて行っていきたい、速やかに行っていきたいと考えております。この点につきましては、日本産婦人科医会から、くれぐれも混乱がないようにスムーズな制度移行をお願いすると言われております。
 それから、補償水準の見直しですけれども、この制度は、もともと平成18年の自民党の検討会で示された枠組みにありますように、重度脳性麻痺に対する補償制度でありますので、これを大きく超えて何か変更するということでは毛頭ございません。
 あとは、先ほどちょっと申しましたけれども、いろいろな点で不合理・不都合な点が医学的にも指摘されているということでありますとか、医療者や患者の立場の方々からも、補償水準について、もう少し何とかできないものかという御意見もあるのも事実でございます。これらの議論はいたしますけれども、またこれもこちらの医療保険部会に御報告あるいは御議論をお願いしたいと思っております。
 それから、運用益ですけれども、先ほども少し触れましたけれども、この制度の保険のために、それだけの区分会計を用いて行っているというものではない、そういう商品ではないと保険会社から伺っております。したがって、剰余金が幾らであるということは、保険会社に伺っても本当に示せないということでありますが、運用の方法は安定的な確実な運用ということですので、先ほど仮に10年国債であれば年率0.7%と申しましたが、そのぐらいの運用ということが一つのイメージとなろうかと思います。
 ただ、この運用益が幾らになるというイメージが全くつかめないままでは、不信感もなかなか払拭できないと思いますので、今後はそれがイメージできる方法はないものか。これは、保険会社とも検討させていただきたいと思っております。
 それから、事務経費につきましては、縮減を図っておりますが、今後また、どのような項目が減っているかということをお示ししたいと思っております。
 そのぐらいでしょうか。失礼しました。
○遠藤部会長
 小林委員、大体よろしゅうございますか。
○小林委員
 結構です。ありがとうございます。
○遠藤部会長
 ほかに何か御意見、御質問ございますでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 我々としましては、掛金や剰余金の見直しに全面的に反対するものではありません。しかし、本制度は産科医療の危機的状況を打開するべく、民間保険を立ち上げる仕組みでしか同制度は実現しないことが判明した中で、民間損保会社の協力を得るために対象を限定し、補償金額を抑えて発足した経緯がありますので、今後、掛金、剰余金の見直しを行うということであれば、それにあわせて対象範囲や補償金額の見直しも行うべきと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 では、白川委員を先に、その後、菅家委員の順番で。
○白川委員
 ただいまの鈴木委員の御発言に対して、ちょっと反論させていただきたいと思います。そもそも私ども、加入者の方々からいただいた保険料は、疾病の治療に対して使うというのが原則でございまして、こういった脳性麻痺で出産というのは大変お気の毒で、大変だということは重々承知の上で申し上げるのですけれども、補償金に保険金を使うというのは、はっきり言うと本筋ではないと認識しております。
 ただ、この制度、皆さん方も御存じのとおり、発足した21年あるいは検討された20年当時は、産科の医師が訴訟等でかなり苦しめられていらっしゃる。したがって、産科を志望する若手の医師が減ってきているという状況があったということを理解して、社会保険料の使い道としては若干邪道ではありますけれども、こういう補償制度をつくることに賛成したわけでございまして、あくまでこの産科補償制度は特例なのだという前提で、これからは議論していくべきだということを申し上げておきたいと思います。

○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 お待たせしました。菅家委員、お願いします。
○菅家委員
 これまで小林委員からも言われたとおり、この制度は強制加入であるとか保険料が医療保険・社会保険から出されているということを考えますと、公的な制度であることは間違いないわけであります。そういう意味で、制度発足のときの経緯の資料がきょう、保険局から出ておりますけれども、当時、医政局が民間団体である評価機構に制度の検討を委託するというところから議論が出発しているわけです。私は、そこにまず大きな問題があると思っておりまして、このような公的な制度を民間機関に制度設計を委託するということ自身が、そもそもの出発点としてはおかしかったのではないかと思います。そうは言っても、もう発足してしまったわけでありますので、あれなのでありますけれどもね。
 今、白川委員がおっしゃったとおり、当時の産科医療をめぐる危機的な状況を緊急的に避難するといった要請が、多分あったと理解しておりますけれども、少なくとも今、制度が動いているわけでありますので、そういう意味では緊急避難的な状況からは脱しているわけでありますから、制度を所管する医政局として、この制度のあり方について、もう一度、一から何らかの検討を加えて、あるいは今、立ち上がっているこの制度について修正するなりということについて、もう少しきちんとした責任ある対応をすべきではないかなと思っております。それについて、小林委員からも意見がありましたけれども、お答えになっていないので、お答えいただければと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、医政局、御担当者、お願いします。
○大坪室長
 医政局総務課医療安全推進室の大坪と申します。先ほどからいただいています制度の発足当時の趣旨ですけれども、おっしゃっていただいたように、分娩に係る医療事故の訴訟、リスクの緊急的な回避ということで、この制度は民間保険を活用して迅速に立ち上げるということで行っているわけです。当時、全く数字がわからない中で少し余裕を持たせたような形で、保険会社がなかなか引き受けていただけないといった状況の中で受けていただくために、いろいろなところに、保険者の方から見たらいろいろと益があるのではないかという御指摘もあろうかと思います。
 私ども医政局といたしましては、この制度の趣旨がたがうようなものの方向性での拡大とか見直しということは考えておりませんで、その制度の趣旨、本来あるべき分娩に係る医療事故、脳性麻痺に係る事故という中で、例えば先ほど後理事がおっしゃったように、これまで4年間運営された中で、要件というものが医学的に合わないところがあるといった範疇の話だと理解しておりますので、そこは保険者の方が御心配されているような違う制度の趣旨を踏まえたような話になるものではないと理解しております。
○遠藤部会長
 菅家委員、よろしいですか。
○菅家委員
 つまり、制度について見直しをする考えはないということなのでしょうか。
○大坪室長
 見直しをする考えではなくて、実際これまで4年運用してきた中で、医学的な観点から不合理な部分があれば、しかるべきただすような方向になるものはあるのだろうと思っています。
 まず、この掛金に関しまして申し上げれば、500から800でももつように、この掛金が決まっておりますので、そこに対して、今回、推計値を前倒しで機構のほうで見直しをされたと。そこを踏まえまして、まず掛金をどうするかという議論はなされるのだろうと思っております。
○遠藤部会長
 それでは、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員
 制度の細かいところのしがらみは取り払って、基本的な考え方を考えていきますと、保険会社は場合によっては損する可能性もあるという意味の保険には全然なっていなくて、非常に多くの支払いが起こっても払えるという前提で掛金が払われているわけですから、保険会社に関しては損失が発生する可能性はほぼないという意味で、保険にはなっていないと思います。
 それで、よく考えてみると、支払っているのは医療保険という保険制度です。医療保険が民間保険に保険をかけるということ自体が、そもそも考え方としては変で、医療保険は自分で保険ができるはずです。実際、そうなっているわけなので、保険会社が損をしない形で掛金を払って、剰余が出れば自分たちに戻ってくれば、保険会社はノーリスク、全てのリスクは医療保険が負う形になるということです。
 さまざまなしがらみで、医療保険が自分でリスクを背負えないので民間の保険会社を使っているということであれば、多目に掛金を最初に払って、剰余は保険のほうに戻ってくるということで、もともと医療保険が自分で保険をかけることが実質的にできるという考え方になると思っておりました。これは、最初に制度を創設したときに剰余金の扱いはどうなるのだという議論があったのですけれども、そのときに私は、保険会社から剰余金を戻したほうがいいと発言したと記憶しておりますけれども、そういう考え方に基づいて発言したつもりです。
 制度設計をする中で、その剰余金が簡単に保険者のほうに戻ってこないという事態が生じることは全く想定外でありまして、そういうことは、私は全く筋が通らないと思っております。剰余金の使途については、これは保険者のほうに帰属して戻すというのが筋であって、それ以外の考え方はないと思っております。実際の制度設計ではどうするかという問題ですけれども、現実に則して可能な手段としましては、先ほどから指摘ありましたけれども、掛金を一旦下げるということですね。
 掛金を下げると保険会社にロスが出る可能性がありますので、その場合は剰余金を上乗せして、掛金を少し多目にあげて、また剰余が発生すると思うのですけれども、戻ってくると。そういう仕組みで掛金を例えば2万円にしておいて、剰余金を上積みして、一旦掛金を保険会社に渡して、剰余金はまた戻ってくる。剰余金がぐるぐる回っている状態をとりあえずつくればいいのではないかと思っております。
 これは、意見でございます。
○遠藤部会長
 どうもありがとうございます。
 ほかにまだ御意見あるかと思いますけれども、少し課題が残っておりますので、これにつきましては、本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
 今後でございますけれども、まずは先ほど機構のほうから出していただきました検討スケジュールでは、9月に剰余金及び掛金の取り扱いについての基本的な考え方がまとまるということであります。また、年末には補償水準等々についての方向性がまとまるということでありますので、先ほど、最終決定権は当部会にあるということが確認されましたので、まずは9月あるいは年末について、当部会でまた御議論いただくことは確実なわけであります。
 ただ、そのときに、特に9月の段階で、今いろいろと御質問があった中で、必ずしも十分に答えていないなと私も考えるところも多々ございますので、仕組みあるいは実際のお金の流れといったことができるだけわかるような資料を提出していただいて、丁寧な御説明をしていただきたいと思いますけれども、御質問いただいた方々、そういう段取りでよろしゅうございますか。したがって、次回は9月ということで、基本的な考え方が出てきた中で、それをベースにしながら議論するという扱いにしようかと思っておりますけれども、特段の反対はございますか。よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長
 では、そういうスケジュール感でやりたいと思いますので、資料の作成をひとつよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、上田理事、後理事におかれましては、本日は本当に長い間ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移ります。「次回の診療報酬改定に向けた検討について」を議題といたします。
 事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。医療課長、お願いいたします。
○宇都宮課長
 医療課長でございます。それでは、次回の診療報酬改定に向けた検討について御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1、平成26年度診療報酬改定のスケジュール(案)をごらんいただきたいと思います。
 診療報酬改定につきましては、社会保障審議会において、その改定の基本方針というものを議論・策定していただき、また年末の予算編成過程において、内閣で診療報酬の改定率を決定する。これを踏まえて、中医協、中央社会保険医療協議会で具体的な改定案というものをつくっていくという段取りになってございます。昨年の平成24年度の診療報酬改定におきましても、7月から医療保険部会で、この改定に向けた検討を行ったところでございまして、その意味では、今回の改定についても同様に来年の改定に向けた検討をお願いしたいということでございます。
 ただし、来年度の26年度改定におきましては、消費税率8%への引き上げというものが9月か10月ぐらいに判断されることが見込まれる中、この資料1にも書いてございますが、社会保障制度改革国民会議において御議論がされているところでございます。社会保障・税一体改革で示された2025年度の医療の姿というものを念頭に、急性期を初めとする医療機能の強化、あるいは病院・病床機能の役割分担、これは後ほど御説明いたしますが、そういったもの。それから、地域包括ケアシステムの構築などについて議論が行われている。それを受けて、中央社会保険医療協議会のほうで既に議論を前倒しで開始しているところでございます。
 こういったことから、医療保険部会においては、まず社会保障・税一体改革関連の議論を先行してお願いしたいと思ってございます。もちろん、それ以外の、今、申し上げた以外の通常の来年度の改定に向けての事項についても、秋以降、医療保険部会で引き続き議論をお願いしたいということでございまして、全体としては、この資料1にあるようなスケジュールでお願いしたいということでございます。
 続いて、資料2をごらんいただきたいと思います。これは、今、申し上げました前倒しで中医協で議論がなされているということでございますが、そちらのほうの資料をかいつまんで示させていただいて、大体どんな議論がされてきたかということを御説明したいと思います。
 おめくりいただきまして、スライド3番ですけれども、医療・介護機能の再編ということで、これは一体改革の中でも示されたものでありまして、左側にありますような一般病床・療養病床という区分がございますけれども、これをさらに機能分化・強化を進めて、右側のほうにありますような高度急性期のような急性期を充実した部分と、下の受け皿のほうの充実を進めていくということでございます。
 その下の4枚目でございますが、改革の方向性として、ちょっと暗くなって見えにくいのですけれども、2015年度の所要額というものが書いてございますけれども、大体2.7兆円程度。これが左側の充実分の3.8兆円程度と、右側のほうの重点化・効率化、マイナスの1.2兆円。その差し引きで2.7兆円程度というものが示されてございますが、この中で、医療・介護につきましては、小さい字でございますが、そちらに書かれているような診療報酬・介護報酬の体系的見直しと基盤整備。ここに先ほど申しました病院・病床機能の分化・強化と連携・在宅医療の充実といったもので8,800億円程度等々、書かれてございます。
 一方、右側の重点化・効率化としては、平均在院日数の減少等4,400億円程度と書いてございますが、こういった充実と効率化を一体的に進めていこうということが示されているということでございます。
 続いて、5ページ、6ページ目、社会保障・税一体改革大綱の抜粋でございます。この中で、今、申しましたようなことが具体的に、例えば(1)医療サービス提供体制の制度改革として、急性期をはじめとする医療機能の強化云々といったことが書かれている。特に下線の部分が関連する部分ということで、後でごらんいただければと思います。これが7ページ目までございます。
 そして、8ページ目が昨年の改定の基本方針のポイントでございまして、9ページ目に具体的な基本方針、社会保障審議会医療保険部会と医療部会の連名でおつくりいただいた基本方針の抜粋がこちらに示されているということでございます。
 そして、10ページ目は、具体的な改定についての中医協による答申書でございます。
 次の11ページから14ページまでが、この答申書についている附帯意見で、こういった18項目が次の改定に向けての課題・宿題的なものとして示されてございます。
 続いて、15ページ目から、まず入院医療についてということでございます。入院医療については、大きく1から5の課題について御議論いただきましたが、前倒し的に早く議論が進んだということでございまして、フリートーキングの形で議論していただいているところでございます。
 17ページ目ですけれども、病院の機能に応じた分類、これはイメージ図でございます。
 18ページ目左側が現在の看護配置の病床数の状況でございまして、7対1が約33万床ある。それに対して、13対1がその10分の1程度しかないという現状でございますが、2025年、平成37年のイメージのように、どのように変えていくのかということだと思います。
 次の19ページ目でございますが、今の非常にふえた7対1の増加の状況でございます。
 そして、20ページ目が100床当たり従事者数と平均在院日数が示されてございますが、従事者数が増加するほど在院日数が短くなるような相関が見られるということでございまして、21ページ目は、それが諸外国でもある程度共通している。白黒なのでちょっとわかりにくいのですけれども、全体として見ると、二重線の矢印のように一定の傾向が見られるのではないかということでございます。
 22ページ目は、一般病棟用の重症度・看護必要度の評価票で、こういったものを使って7対1、10対1等の要件にしているということでございます。
 23ページ目ですが、在宅復帰ということについてですけれども、これまで高度急性期あるいは急性期、左上のほうにございます。ここを過ぎたものが亜急性期・回復期のほうへ流れるような流れを考えてきたわけでございますが、そもそもそういったことだけではなくて、直接在宅に復帰するということもあるのではないか。つまり、どういう段階からでも在宅復帰ということは考える必要があるのではないかということでございます。
 24ページ目は、急性期病院で、ちょっとわかりにくいのですが、左のグラフが入院前に比べて退院するときにADLが大分落ちるというデータでございまして、右側のほうは、それに対しまして早期のリハビリなどの介入をすると、余り落ちないというものが示されているということでございます。
 25ページからは、長期入院の話がございまして、26ページ目は、いわゆる特定除外制度についての24年改定における対応でございます。
 その具体的なものが27ページ、28ページに書いてございますが、90日を超えた方について、このどちらかを選択するという方策がとられたということでございます。
 29ページから亜急性期の話がございます。
 まず、30ページの図でございますけれども、これは大体現状の人口構造でございまして、こういった生産年齢人口に対する医療というのは、現在、普通提供されている治す医療、救う医療ということでございます。
 これは非常に大事なのですけれども、次の31ページ目。やがてこれが、こういった逆三角形型の人口構造になることが予想されているところでありまして、この場合、治す、救うというのはもちろん一番大事でありますけれども、癒すとか、抱えて生きるとか、場合によっては看取るということも医療として考えていく必要があるのではないかという図でございます。
 32ページは、先ほどと同じでございますが、亜急性期のところをどうするかということでございます。
 33ページ、34ページは、治療室単位、病室・病床単位で評価している特定入院料ということで、34ページの黒枠で囲っているところが亜急性期入院医療管理料も含めて、治療室単位ではなく、病室・病床単位の評価ということが示されてございます。
 35ページからは地域特性の話でございますけれども、36ページ目、患者流出割合が低く、かつ医師数、病床数、病院数が少ない2次医療圏というものがあって、こういうところでは、限られた医療資源で、患者の状態に応じたさまざまな医療が一体的に提供されているということでございます。
 37ページ目でございますが、こういった医療資源の限られた地域、右側の図では不採算地区ということで示されてございますけれども、こういったところでは看護配置が比較的低い。13対1や15対1の病院の割合が高くなるということでございますけれども、38ページをごらんいただきますと、左側の図で、不採算地区のほうが、例えば15対1を比べますと在院日数が全体に短くなっている。右側のほうのグラフでも在院日数が短い割合が多いということで、こういった医療資源の少ない地域では、15対1といっても結構急性期的な患者さんも診ていらっしゃるのではないかということでございます。
 39ページからは、有床診の話でございまして、40ページ目は、こういった有床診の主な機能が示されてございます。
 41ページ目は、有床診の夜間救急の対応の状況というものが示されてございます。
 42ページ目は、後方病床としての受入状況が示されてございます。
 43ページ目、今、ごらんいただきましたような、それぞれの課題と論点ということで示されてございます。
 続いて、外来医療についてでございますが、45ページ目、年齢別の平均傷病数と通院者率ということで、高齢になるほど平均傷病数及び通院者率が増加するということが示されてございます。
 46ページ目は、75歳以上の場合のほうが複数の医療機関を受診している割合が高いということが示されてございます。
 47ページ目は、こういった外来について、診察前の待ち時間が大病院のほうが長くなる傾向がある。つまり、大病院のほうが外来患者が集中しているような傾向があるということでございます。
 48ページ目は、医療機関一日あたりの入院外医療費。横軸がその医療費でございますけれども、病院のほうが専門外来などが多ければ入院外医療費が高くなるのではないかという仮定のもとに、こういうデータをとったわけでございますが、実際には6,000円未満の比較的安い施設が24%を占めるということでございます。
 続いて、49ページ目でございますが、これは医師に対する調査で、患者に協力してほしいことがあると答えた医師のうち、非常に多かったのが「軽症の場合は、近隣の診療所を受診してほしい」、あるいは「休日・夜間の受診は避けてほしい」というものであったということ。
 その下、50ページ目でございますが、かかりつけ医師を必要とする割合が大体8割いますが、特に高齢になるほどかかりつけの医師がいる割合が多いということが示されてございます。
 続いて、51ページ目でございますが、外来医療の役割分担のイメージとしては、地域の拠点となるような病院では、入院、専門外来が中心となって、一方、診療所等は外来、それから主治医機能の強化ということでございます。
 こういったことが52ページ目にイメージ図として示されてございます。
 53ページ目が、こういった主治医機能の強化の課題と論点ということで、複数の慢性疾患を有するような患者が、高齢化が進んでふえてくる中で、適切な専門医療機関等と連携することで、継続的かつ全人的な医療を行うことを総合的に評価することについて、どのように考えるかということです。
 それから、その下、外来医療全般についての課題と論点でございます。
 続いて、55ページ目から在宅医療でございます。
 56ページ目は、人口の変化。先ほどもお示ししましたような変化がこれから予想されているところでございます。
 そういう中で、高齢化が非常に進んでくるとともに、57ページですが、認知症の高齢者が非常に増加する。下のほうの表は以前の推計で、上の表が昨年夏に発行されたものですが、これまでに比べて、さらに認知症の増加が著しいということが推計されている。
 そういう中で、58ページですが、特に単独世帯や夫婦のみの世帯の割合の増加。平成37年には、3分の2はそういった世帯になるということが予想されているわけでございまして、こういったことに伴って、移動範囲の狭い高齢者がふえる。地域の重要性も非常に増してくるということが予想されているところでございます。
 59ページでございますが、特に高齢化がどこで進むか。地方については、既に高齢化が進んでいるので、今後はゆっくり進むことが予想されているのですが、特に大都市及びその周辺で一気に高齢化が進むことが予想されているということでございます。
 こういった中で、60ページの地域包括ケアシステムの概念が示されて、こういったものを2025年に構築していこうという目標が立てられているところでございます。この地域包括ケアシステムの要素として5つ示されてございますが、特に5高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備ということと関連して、61ページ目でございますが、サービス付き高齢者向け住宅という制度ができまして、これが62ページにありますように、非常に増加してきているということでございます。
 63ページ目、こういった在宅の重要性ということが出てきているわけですが、在宅療養支援診療所の届出は非常にふえている一方で、右側のグラフにありますように、強化型であっても自宅死亡なし、つまり看取りをしていない、あるいは担当患者がいないところも一部あるということでございます。
 64ページ目は、こういった在宅療養支援診療所が地域によって非常にばらつきがあるということでございます。
 65ページ目、訪問看護の利用者数が非常に増加しているということ。
 それから、66ページ目、事業所数としては、ステーションはやや増加してございますが、医療機関の事業所は減少しているという傾向があるということでございます。
 67ページ目、訪問看護ステーションについて、左側の円グラフでございますが、5人未満の非常に小さいステーションが多いということ。小さいほど看取りなどの件数も少ない傾向があるということでございます。
 68ページ目は、在宅療養支援歯科診療所でございますが、少しずつ増加しているということでございます。それでも、まだ全歯科診療所の7%にとどまっているということでございます。
 69ページ目は、在宅の薬剤師の状況でございますが、チーム医療の検討会の報告書に、下線のついているところでございますけれども、薬剤師がまだ十分に活用されていないということが報告されているということでございます。
 こういった在宅を進める一方で、70ページにございますように、患者の囲い込み、あるいは過剰診療と思われるような不適切な事例も見られるということでございます。
 71ページでございますが、こういったことを踏まえて在宅医療の適切な推進に向けて、どういうことをしていくかという課題が示されているということでございます。
 72ページ目は、これら入院、外来、在宅を全体としてまとめたものでございます。
 73から76ページまでは、今までの課題と論点の部分だけ再掲として抜き出したものでございます。
 説明は、以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。平成18年の改定以降、診療報酬改定の基本方針は医療保険部会と医療部会、共同で決めるということでございますので、今年度もその時期になったということでありますけれども、ただいま医療課長から御報告がありましたように、社会保障と税一体改革の中で示されているビジョンというものをベースにしたような形で、少し先行して議論していただきたいということであったと思います。それに関連したさまざまな資料が提出されたわけであります。
 本日、初めでございますので、フリーディスカッションという形でよろしいかと思いますので、御意見ある方はぜひ。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 今後の超高齢社会では、高度急性期医療よりも地域に密着した医療のニーズが増加します。その担い手は、かかりつけ医機能を持つ200床未満の中小病院、有床診療所、専門医が開業するために設備が整っていて、質が高い医療が提供できる診療所です。前々回の改定は急性期の大病院中心であり、前回はやや改善されましたが、いまだに診療報酬は急性期の大病院中心の考え方から脱却されていません。次回改定こそは、大病院に患者が集中しないようにするためにも、これからの超高齢社会を乗り切るために地域に密着した医療の大幅な充実を図るべきです。
 これまで中小病院、有床診療所、診療所の医療費は、長年、低く抑制されてきたために、税金も投入される公的大病院との格差が増大しています。短期的な医療費の抑制を目的とするのではなく、大胆な改定財源を投入して、この格差を是正しない限り、患者の行動を変えることはできません。
 そのために必要なものの一つは、かかりつけ医機能の充実です。日本医師会はかかりつけ医を、何でも相談できる上、最新の医学情報を熟知して、必要なときには専門医・専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療・保健・福祉を担う総合的な能力を有する医師と定義しています。日本医師会では、この7月28日に第1回在宅医リーダー研修会を開催した上で、今年度中に全都道府県で在宅医療の研修会を実施していただき、かかりつけ医が在宅医療の中心となれるよう研修を行いますが、こうしたかかりつけ医機能の評価が必要です。その際、我が国のかかりつけ医は、複数の疾患があれば複数いることから、過去の失敗を繰り返さないためにも、こうした現状を踏まえたものでなければなりません。
 また、超高齢化社会に向けて、できるだけ長く、住みなれた地域で暮らせるように、医師会と行政が協力して介護などと連携しながら、地域ごとに地域性に応じた地域包括ケアシステムを構築していく必要があります。そこで、かかりつけ医が看取りまで含めた在宅医療を安心して行えるようにするためには、それを支える、いつでも身近に入院できる中小病院や有床診療所の存在が不可欠であり、そうした中小病院や有床診療所の評価も必要です。一方、最近在宅で見られるようになってきた不適切事例を排除するためには、医師会と行政が協力してコントロールすることが必要です。
 さらに、急性期の患者ができるだけ早期に退院したり、次のステージの病床に移れるように、廃用症候群予防のための早期のリハビリや退院支援の充実も必要です。
 社会保障・税一体改革では、医療サービスの充実のために消費税財源を充てることとされています。平成26年度には、消費税率の8%への引き上げが行われることから、消費税引き上げの財源のメーンを、次回診療報酬改定に充てて医療サービスの充実を図るべきです。しかし、一体改革は2025年に向けたものであり、それを財源があるからといって次回改定で一気に進めるような性急なやり方をすれば、現場は大混乱し、かえって反発を招くだけになるので、絶対に避けるべきです。現場での取り組みを応援するような改定が必要です。
 以上です。
○遠藤部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、菊池委員、それから武久委員、お願いします。
○菊池委員
 4点申し上げます。
 まず1点目は、在宅医療を推進する訪問看護の評価についてでございます。社会保障・税一体改革では、在宅医療の推進が掲げられ、訪問看護の需要は51万人に上るとされております。在宅で最期まで療養生活を続けられるよう、訪問看護を推進していく必要があります。特に、24時間対応や看取り、重度化への対応が必要で、それらを安定的に行える訪問看護ステーションが重要であり、看取りへの対応などの機能に応じて訪問看護ステーションの評価を行う必要があります。また、全国に6,000カ所以上あるステーションのうち、約半数は看護職員5人未満の小規模のステーションになっております。
 訪問看護ステーションが看取りなどの対応をきちんと果たせるようになるためには、訪問看護ステーションの大規模化を促す方策を検討して、地域の在宅医療を面で支える仕組みをつくっていくべきです。さらには、病床の機能分化が進むと、地域に医療依存度の高い重症者など多様な患者さんたちが戻ってくることになるため、そうした患者さんへの対応が求められるようになることから、医療依存度の高い重症者の訪問看護への対応が適切に評価される仕組みや、医療機関と訪問看護ステーション間で、連携により専門的なケアを提供できる人材の活用が推進できる仕組みが必要だと考えます。
 2点目は、急性期病床の機能分化に資する評価についてです。機能分化・強化を推進する上では、患者の状態像に応じて適切な医療を提供する必要があり、現行の重症度・看護必要度を見直し、急性期病床における患者像を適切に評価することが重要です。重症度・看護必要度の高い患者割合が多い病棟については、高度急性期病棟として整備していくことが病院の体制として望ましいと考えます。
 3点目は、リハビリテーションについてですが、患者の高齢化が進む中で、入院早期から退院後の生活を見据えて身体機能の低下を防ぎ、日常生活動作を回復するための支援が必要です。多くの職種との協働により、在宅復帰の促進、入院時早期からの生活支援に軸を置くリハビリテーションを推進していくべきと考えます。
 最後に、以上、述べたような体制を実現していく上で前提となるのは、医療従事者の確保だと考えます。社会保障・税一体改革では、2025年に必要となるマンパワーが推計されておりますが、看護職の場合には必要数が200万人と推計されており、年間3.6万人の増加が必要となります。医療・介護提供体制を持続可能なものとするためには看護職の確保が重要であり、さらなる離職防止と定着対策が必要です。そのために、産休などの法定休暇の取得を前提とした余裕を持った看護配置と、一人一人の夜勤交代制勤務のあり方を改善して勤務環境を整えることが必要です。看護職を含め、医師やその他の医療従事者が長く働き続けられるような勤務環境の整備を、前回改定に続いて重点的に進めていくことが必要と考えます。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 それでは、武久委員、お願いいたします。
○武久委員
 ちょっとこの10年を振り返って考えてみたらどうかと思うのですけれども、この10年間に前の小泉政権のときに約8%の医療費と介護費用の減額が起こったわけですね。それが少し改善したといっても、まだ1%も改善していない。要するに、10年前に比べると、まだ7%、診療費や介護費用は下がっているという現状です。思い出すと、2,000億円を毎年削減する。ただし、1年間に1兆円も拡大する社会保障費をそのまま座視するわけにはいかない。
 我々、日本の成長、アベノミクスになって飛躍的に成長して、お金がどんどん出てくるかどうかは知りませんけれども、1兆円ずつふえていくことが正しいかどうかということを我々も考えないといけない。すなわち、医療提供側としても効率化ができるようなところは、みずからそういうふうに協力するという姿勢も私は必要じゃないかと思います。
 一般的に、急性期医療・慢性期医療と言いながら、急性期と言われている一般病床のほうが療養病床より何倍もあるということ自体は、これはすなわち先ほど課長が御説明されたように、特定除外、要するに急性期病院にたくさんの慢性期患者が入っている。看護師や医師がたくさんいるところに、軽い状態の人や長い状態の人が入っているという非効率さというのは改善していかなければいけない。常識的に考えれば、入院期間の短い急性期病床が長い病床より少ないのは当然のことでありますがそうはなっていない。その中で、我々はマイナス7%という医療費や介護費用に対して少し上げていただきたいと、当然要求するわけでございますけれども、みずからもその辺のところは協力しないといけない。
 しかるに、拡大する社会保障費をカバーするために消費税を上げると言っていたのが、いつの間にか消費税の一部しか社会保障費には使われないという風潮が出てきております。
 また、今、菊池委員もおっしゃいましたけれども、できるだけ疾病の早期にリハビリをするほうがいいのはわかっていますけれども、一度よくなったものがまた悪くなったり、6カ月で完全に回復するわけではありませんから、慢性期のリハビリというのも当然必要であって、それをすることによって在宅や軽い人がたくさん出てきます。
 ところが、よくなりそうもない人に対するリハビリは要らないのではないかという査定をする口実に使っている場合もあります。これは極言すると、よくなりそうにない患者さんは治療しなくていいということになって、これは非常に恐ろしい主張だと思います。我々も協力しながら、この急性期の病床7対1が莫大にふえたという現状が何とかソフトランディングしていくように、皆さんの協力をよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。堀委員、どうぞ。
○堀委員
 歯科医療を提供する者として、次の改定を踏まえて、どうやった役割や責任を担っていきたいかということで総論的にお話申し上げたいと思います。
 超高齢社会において求められている医療の形は、従来の治す医療から、治し、支える医療になってきていると理解しております。日本歯科医師会はそういったことを踏まえまして、80歳になっても20本以上の歯を保つという8020運動を推進しました。8020達成者が50%を超える社会を8020健康長寿社会として、その実現を目指しているところであります。これは、歯を残すということが長寿社会において国民の生活の質を良好に保つ。もっと言えば、例えば歯が残っているほど生存期間が長い、あるいは認知症の発生リスクが少なくなるといったこともエビデンスがございます。こういったエビデンスに基づく運動であります。こういった視点で、次の歯科における診療報酬改定の議論をお願いしたいと思っております。
 また、従来、歯科医療は、う蝕、歯周病を中心とした医療でございましたが、そういったものにかかわらず、今、口腔の機能に着目した歯科医療についても、そのあり方の整理、取り組みを始めているところであります。そこには、在宅歯科医療あるいは高齢者歯科医療、周術期歯科医療等が含まれておりますが、その分野におきましては医科歯科連携の難しさ、さらには病診連携の難しさ、多職種連携の難しさ等、課題か多くございまして、まだ取り組みは緒についた段階であると理解しておりますので、次の改定ではこういった諸課題が解決される方向の対応を議論していただきたいと思っております。
 寝たきりであっても、健康であっても、個人個人の状態に応じて、そしゃく・嚥下等の口腔機能の維持・向上等に着目して、生活の質に配慮した歯科医療の提供は極めて重要と思っております。そういった意味で、次期診療報酬改定においては、そのような視点から対応していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ほかにございますか。森昌平委員、お願いします。
○森昌平委員
 それでは、薬局の立場からです。
 先ほど事務局の資料2の69枚目で、在宅医療において薬局のほうがまだまだ活用されていないというお話がありました。今、在宅医療の推進に向けて受け入れ体制ということで、1つは、量的なものを確保すること。もう一点、質の高い在宅医療。私どもで言うと、訪問薬剤管理指導を実施するということで体制整備を行っています。今、保険薬局が全国で5万4,000軒あって、その8割が在宅訪問薬剤管理士の届出をしているのですけれども、実際の訪問薬剤管理指導の実績がある薬局はまだまだ少ない。薬剤師が十分に活用されていない状況にあります。今後は、より積極的な在宅医療への参加と活用が課題の一つになります。
 2つ目が訪問薬剤管理指導の充実なのですけれども、先ほどかかりつけ医という話がありましたけれども、訪問薬剤管理指導を充実するたには、かかりつけ薬局・薬剤師機能を強化して、地域の特性に合わせた24時間の相談体制や調剤体制の整備をしていきたいと思っています。そういう中で、慢性疾患の患者さんが増加して、特に長期処方がふえています。長期処方の患者さんについても、かかりつけ薬局・薬剤師の機能を生かしながら、患者個々に応じた調剤や薬剤の交付、そして管理を行っていきたいと思います。
 特に、管理という点では、残薬の確認・管理に関しては、医薬品の適正使用を推進するとともに、薬の無駄を省き、医療費の節約にも貢献できます。そういう意味で、今後の調剤報酬改定においては、かかりつけ薬局・薬剤師機能の強化についての評価をひとつお願いしたいと思います。
 それから、在宅という点では、連携が非常に重要になってきております。地域において地域連携クリニカルパスの利用が進んでいますけれども、入院前の薬剤、入院中の薬剤の連携をとるというのは非常に重要なことで、入院前の薬剤に関しては薬局の薬剤師から、入院中に使用した薬剤に関しては病院薬剤師からの情報提供によって、きちんと連携をする。そして、質の高い、切れ目のない業務を行っていきたいと思います。
 最後ですが、病院薬剤師の話が出ました。病院薬剤師、現在、持参薬の確認・管理やハイリスク薬の管理、また病棟での服薬指導、モニタリング等、安全性・有効性の確保。それから、勤務医等の負担軽減に努めています。引き続き、病棟における薬剤師業務に関しての評価もお願いしたいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 では、岡崎委員。
○岡崎委員
 少し一般論になるかもしれませんけれども、かつての診療報酬改定の中でも、私は高知市でございますので、療養病床の病院が非常に多かったこともありまして、数年前ですか、療養病床の診療報酬部分が非常に見直しをされて、かなり低額に置かれたことも大きな問題になった時期もございます。
 それで、我々一般的な地方都市で申し上げますと、例えば療養病床の診療報酬が余りに低くなり過ぎますと、廃業が当然出てきます。現実に既に療養病床の中で廃業に至った病院もございますので、現在のところはそれぞれの受け入れ先の病院がまだあるので、入院患者さんを引き継いでいますけれども、療養病床が経営困難になると、廃業が進み、そうすると患者は自宅に帰らなければいけないことになります。地方都市の場合は中山間地域が非常に多いので、中山間の傾斜がきつい斜面の家屋とかでは、自宅療養はまず困難であります。
 それで、療養病床のバランスという問題はもちろんございますけれども、余りに低く報酬が抑え込まれますと、これからますます廃業が出てくるので、かつて言われたように医療難民が出てくるところがあります。診療報酬は、いろいろなバランスの上に成り立っていますので、そういうところも少し配慮しながら考えていただかないと、現実に自宅へ帰っても、家庭のほうもなかなか受け入れはできません。しかも、地方都市の急傾斜、もしくは傾斜のあるところでは、車いすでの移動もなかなか困難ですので、現実的にかなり難しい部分があるということを御指摘申し上げておきます。
 あとは、診療報酬の議論ですので、予防の部分としての論議は余りないかもしれませんけれども、事前に早期チェックと早目の予防、それに対する対応ということを常に考えておかないと、医療費はどうしても自然に伸びていきます。そういう意味で、国保の中央会におきましても、ことし11月からレセプトをもとにしました個々のデータベース化の稼働を始めますので、まだ試行錯誤ではございますけれども、レセプトの中で拾える情報を拾いあげながら、次の予防にどうやってつなげていくかというのをデータベースでやろうとしておりますので、こういう取り組みも着実に進めていかなければいけないということを申し上げておきたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 お待たせしました。白川委員、お願いします。
○白川委員
 社会保障・税一体改革で、2025年に向けた方向性が示されておりまして、私もぜひともこの方向で進めるべきだと基本的には思っております。国民の1人としては、医療提供体制がますます充実してくるというのは非常にありがたい話ではあるのですが、一方では、このまま年2%から3%で医療費が伸び続きますと、医療財政は破綻すると。幾ら消費税を上げても追いつかないというのは、もう目に見えておりますので、充実と同時に効率化を進めなければいけないというのが私どもの基本認識でございます。
 効率化といっても、国民一人一人が医療費は有限であるという認識のもとに、無駄を省くという国民の意識改革も必要と思いますが、あわせて医療提供体制を効率的なものに変えていくという努力は、これは医療側、それから我々医療を受ける側がともに知恵を出し合って進めていかないといけないと認識しております。
 具体的に申し上げますと、資料2のスライド4に、社会保障の充実と重点化・効率化ということで、幾つか制度面の改革が記載されておりますが、重点化・効率化は、0.7兆円程度の規模で、項目が幾つか書いてあります。ただ、このままですと、まさに絵に描いた餅という感じがしますので、厚労省には、ぜひこれを具体的な工程表に落とし込む作業をお願いしたいということが1点目でございます。
 それから、先ほど武久先生も指摘されましたが、まず入院関係で言いますと、急性期の7対1病床が余りに多過ぎるという現実がございます。要するに、患者の状態に見合った医療が行われているのか、つまり、いまの入院基本料は看護配置に見合った診療報酬の点数設定になっておりますが、看護必要度に見合った形になっているのかは、まことに疑問でございまして、何人かの先生がおっしゃったとおり、高度急性期とか亜急性期・回復期等に一般病床を機能区分していき、必要な数をバランスよく配分していくという改革を、入院についてはやっていかなければいけないと思っております。
 それから、外来でございますが、これは鈴木先生も指摘されたとおり、かかりつけ医機能というものをさらに充実していく必要があると認識しております。先ほどのプレゼンテーションの中にもありましたとおり、軽症の方々が直接大病院に行くのは医療資源の無駄遣いと言うと語弊がございますが、非効率な使い方だと認識しております。診療所あるいは小規模な病院でかかりつけ医機能を担っていただいて、その後、必要に応じてしかるべき専門病院、大病院等に紹介いただき、そちらである程度回復をしたら、逆紹介で、今度は診療所等で、その後の回復を見届ける仕組みに早く変えていかないと、医療資源がうまく回らないと感じております。
 もう一つ、在宅医療は進めていくべきだと私も思っておりますが、単に自宅に帰るということだけではなくて、介護施設や有料老人ホーム等の施設も含め、地域全体でどう在宅医療を支えるかを考えなければいけないと思っておりますし、地域包括ケアという考え方も賛成でございます。ただ、これを診療報酬あるいは介護報酬だけで進めるというのは、なかなか財政的に無理だと思っておりますので、ぜひ補助金等を併用して計画的に進めるべきと考えております。
社会保障審議会もいろいろな部会に分かれておりますし、厚生労働省も分野別に担当部局が違いますから、横断的な検討がなかなかできない仕組みになっている点はちょっと引っかかるところです。厚労省には、地域に応じた地域包括ケアシステムが構築されるような工夫をしていただくことを要望したいと思います。

○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 予定した時間をかなりあれしているのでございますけれども、樋口委員、簡潔にお願いできれば。
○樋口委員

 医療費の抑制というのが最大命題であるということはよくわかるのですけれども、このところの厚労行政は、在宅へ在宅へという流れで、家族の変化というものをどのぐらい計算に入れていらっしゃるのか。高齢者がいる世帯の既に54%は、ひとり暮らしと老夫婦でございます。それから、地域特性、今、岡崎市長さんからお話がありましたけれども、坂道ばかりの地域特性もある。
 健康保険の歴史ももう50年ございます。この50年の積み重ねの中で、長野県のように突出して訪問看護師が多くて、ひとり暮らしでも在宅ができるようになっている地域も一部にございますし、地域包括ケアシステムというのは、私の理解では、老健局の介護保険部門からボールが投げられて、それを医療の側がキャッチしているという順序じゃないかと思いますけれども、果たして介護のほうから出されたシステムの上に、圏域の違う医療がどういうぐあいにうまく乗ってくれるのか、なかなかイメージがわかないのです。ぜひその辺を、医療難民が出ないようにお願いいたしたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。介護へのシフトということに対しての問題点・課題を御指摘いただきました。
 まだまだ御意見あるかと思いますけれども、当然のことながら、この基本方針の決定は今後も引き続き続けるわけでございますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 司会の不手際でかなり時間がオーバーしておりますけれども、本日はもう一つ課題がございまして、最後の課題に移りたいと思います。それでは、「社会保障制度改革国民会議の議論の状況報告」、報告になるわけでありますけれども、事務局、資料の説明をお願いしたいと思います。
○大島課長
 お手元に参考資料3がございます。3つ、参考資料3と振ってあるのですが、横の1枚紙をご覧願います。5月に医療保険部会を3回開催しまして、4月にまとめられました「国民会議での議論の整理」に関する議論の整理をしていただきました。5月29日付けでまとめられました。それ以降の社会保障改革国民会議の動きをこの1枚の紙に表にしてあります。6月から7月にかけまして、都合5回の会議が開かれています。
 そのうち6月10日、第14回の国民会議では、医療・介護に関する2巡目の議論が行われました。そこには、5月29日に取りまとめました当部会の主な議論の整理を遠藤部会長から御報告いただいております。その後、第16回の6月24日の国民会議では、報告書の取りまとめに向けた起草検討委員の選任が行われ、その次の17日、直近になりますが、7月12日の国民会議では、報告書の取りまとめに向けた議論が始まりました。次回は29日ということでありまして、以降、8月の取りまとめに向け、審議が重ねられるものと聞いております。
 なお、14回の国民会議、17回の国民会議では、医療・介護についての議論が行われておりますので、そのときの配付資料をご参考まで机の上に配付させていただいております。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。ただいま御報告のあったようなスケジュールで進んでおるわけであります。
 予定した時間、もうほとんどないわけでございますが、何か御意見があればと思います。
 小林委員、どうぞ。
○小林委員
 まず、遠藤部会長には、前回の医療保険部会で整理した「医療保険部会における主な議論」を通じて、私共が国民会議の議論に対して抱いている考えや懸念を御発言いただきましたことについて、お礼を申し上げたいと思います。しかし、実際にはその後も議論が深まったとは言えず、被用者保険や高齢者医療制度のあり方等の課題については、議論は余りなく、相変わらず国民健康保険の都道府県単位化等の議論に終始しており、極めて残念であります。8月21日という国民会議設置期限を前に、いよいよ議論を取りまとめていかなければならない時期でありますが、今のような議論では極めて不十分であると言わざるを得ません。
 繰り返しになりますが、協会けんぽの財政は、現在の制度のままでは、2年後の平成27年度には準備金は枯渇して、平成29年度には兆円単位の累積赤字に至ることが明らかであります。この2年間で、協会をはじめ、被用者保険全体の持続可能性を維持するための制度改正を何としても実現させる必要があります。協会けんぽにとっては、今回の国民会議の議論が最後のチャンスと考えておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 なお、後期高齢者医療支援金等の拠出金負担に関する全面総報酬割の導入は、被用者保険内の負担の公平性を実現するためであって、財源が浮くということであれば、それは被用者保険グループ内の負担の調整によって生じる財源です。国保の財政基盤強化のために用いることは筋違いであり、反対であります。遠藤部会長におかれましては、国民会議の委員として取りまとめにしっかり反映させていただきたいと強くお願い申し上げます。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。それでは、岡崎委員、どうぞ。
○岡崎委員
 1点だけ、今後のスケジュールを少し確認させていただきたいのですが、国民会議の報告書を政府に報告して、政府としては8月21日までに一定の方策を出すということに確かなっているはずなので、そうしますと、国民会議のほうの報告が出るタイミングは大体8月初旬だと考えるわけです。大体その辺のスケジュール感ですね。要は、国民会議から政府に報告書が出てくるタイミングが大体いつごろになるのかという、スケジュール的なところを確認させていただきたい。
○遠藤部会長
 事務局でお答えいただけますか。
○大島課長
 国民会議事務局のほうから正式に聞いているわけではありませんが、今、岡崎委員、おっしゃられましたように、法制上の措置を含めて8月21日ということが社会保障改革推進法に書いてありますので、国民会議の設置期限は8月21日ではありますが、そこの報告は法制上の措置の取りまとめに間に合うように、若干早目に取りまとめが行われるのではないかと考えております。具体的な日程までは承知しておりません。
○岡崎委員
 普通に考えますと、8月中旬ぐらいまでに出てこないと間に合わないと考えます。そのあたりまでが、遅くともリミットだという感じですね。
○大島課長
 相場感としては、そういう感じではないかと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 では、白川委員、最後ということでお願いいたします。
○白川委員
 では手短に。先ほど小林委員から御発言ありましたとおり、遠藤部会長におかれましては、国民会議で非常にバランスのいいと言ったら大変失礼ですけれども、私にとっては非常に公平な御発言をしていただいたということで、感謝申し上げたいと思います。ただ、全体としては、被用者保険についてきちんと見解を述べられたのは遠藤部会長ぐらいで、ほかの関心はもっと別のところにあるという印象を受けました。私は、この場では余り健保組合、健保組合と言わないつもりだったのですけれども、健保組合のケの字も出ないというあきれた国民会議だと言わざるを得ません。
 特に、総報酬割で浮いた財源を国保に投入すべきだという意見の先生方も何人かいらっしゃいましたけれども、その負担は健保組合、共済組合が負担増になるのだということを、あえて言わないのか、知らないのか、よくわかりませんが、全く無視した発言ということで、非常に憤慨しております。遠藤部会長は、もちろん御承知で、バランスのとれた御発言をしていると思いますけれども、最終の報告書でも、ぜひ我々被用者保険の気持ちというものを織り込んでいただくように、重ねてお願い申し上げます。

○遠藤部会長
 ありがとうございました。まだいろいろと御意見もあることかと思いますけれども、次回のこの医療保険部会が開かれる間に、もう一回国民会議があるというスケジューリングでございますので、事務局とちょっと相談いたしますけれども、それも含めて、また御報告する形になるかなと思いますので、そのときにまた御意見をいただければと思います。
 ということで、定刻になりましたので、本日はこれで終了させていただきたいと思います。
 次回でございますけれども、8月1日木曜日の10時から、グランドアーク半蔵門、ここで開催するということでございます。
 それでは、これで医療保険部会を終了したいと思います。本日は、御多忙の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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