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2013年6月26日 第11回 緩和ケア推進検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成25年6月26日
10:00~12:00


○場所

全国都市会館 3階 第2会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)緩和ケアにおける地域連携について
(2)緩和ケアの普及啓発について
(3)検討会の今後の進め方について
(4)その他

○議事

出席構成員:花岡座長、池永構成員、岩瀬構成員、大西構成員、川本構成員、木澤構成員、小松構成員、田村構成員、中川構成員、細川構成員、前川構成員、松本構成員、道永構成員、武藤構成員、林参考人、ハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人 ○岡田がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第11回緩和ケア推進検討会」を開催いたします。  構成員の皆様方の出席状況について御報告いたします。  本日は、小川構成員、加賀谷構成員から御欠席との連絡をいただいております。  また、今回、松月みどり構成員におかれましては、御都合により本検討会の構成員を辞任されました。 これを受けまして、本検討会には、公益社団法人日本看護協会常任理事の川本利恵子構成員に新たに御参画いただいております。  川本構成員、一言御挨拶をよろしいでしょうか。 ○川本構成員 川本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 私、6月から看護協会の理事としてこの仕事にかかわるようになりましたけれども、5月までは九州大学で教員として教鞭を取っておりました。がんのことに関しましては、がんの専門看護師の育成に携わっておりましたし、がんプロフェッショナル養成プランの運営委員としてこういうの仕事もさせていただきました。ので、微力ではございますけれども、頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○岡田がん対策推進官 ありがとうございました。  また、本日は、東京女子医科大学化学療法・緩和ケア科教授の林先生、また、大阪府立成人病センター心診療緩和ケア科副部長・緩和ケアチームリーダーのハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)先生に参考人としてお越しいただいております。  それでは、資料の御確認をよろしくお願いいたします。お手元に配付をしております資料は、座席表、議事次第のほか、資料1、本検討会構成員名簿。 資料2「緩和ケアに関する地域連携について」。 資料3「『新宿オレンジバルーンフェスタ2013』開催の経緯と今後の緩和ケア啓発・地域連携の展望」、こちらは林参考人からの御提出資料でございます。 資料4「厚生労働省委託事業・緩和ケア普及啓発オレンジバルーンプロジェクト」、こちらはハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人からの御提出資料でございます。 資料5「今後の進め方(案)」でございます。 このほか、参考資料1、2、3、4、5をお配りをさせていただいております。 また、構成員の皆様方の机上には、厚生労働省の委託事業といたしまして、がん検診受診率向上を進めるため、がん対策推進企業アクションという国家プロジェクトを推進しておりますけれども、その普及啓発資料として「がん検診のススメ」をお配りさせていただいております。 資料に乱丁、不足等ございましたら、事務局までお申し出ください。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは、撮影のほうは以上をもちまして御遠慮いただければと思います。 以後の進行を花岡座長、よろしくお願いいたします。 ○花岡座長 皆さん、おはようございます。朝早くからありがとうございます。それでは、よろしくお願いしたいと思います。  本日の議題に移りたいと思いますが、今回は、緩和ケアに関する地域連携につきまして、前回の会議で行いました議論を事務局にて整理していただいておりますので、その御説明をいただき、その後、普及啓発の活動を通じまして地域の連携づくりに取り組んでおられる林参考人に御出席いただいておりますので、取り組みを御紹介いただきました上で、まず、地域連携につきましての議論を深めたいと思います。  それでは、事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 よろしくお願いいたします。それでは、資料2を御確認ください。資料2では、「緩和ケアに関する地域連携について」ということで、前回の検討会以降進めてまいりました議論の整理ということでまとめてございます。  緩和ケアに関する地域連携については、本検討会でも、拠点病院に求められる緩和ケアの提供体制の中で検討を行ってきたところです。1ページ目の四角囲みにしている項目が(7)切れ目のない地域連携体制の構築として、拠点病院に求められる緩和ケアの提供体制の取りまとめに記載をしている項目でございます。前回の検討会を用いて、4つの項目の3つ目になりますが、緩和ケアを必要とする患者の退院支援であるとか、外来での在宅支援に当たっては、主治医、緩和ケアチーム、相談支援センターが連携し、早期からの療養場所に関する意思決定支援や退院支援を行うことを取りまとめております。前回の検討会では、この点をもう一歩進めて、具体的施策に関する議論を行っていただきました。  2ページ目を御確認いただきたいのですが、早期からの意思決定支援についてという格好で項目立てをしております。  まず、平成20年の終末期医療に関する調査では、「終末期の療養場所に関する希望」について、自宅で療養して、必要になれば医療機関等を利用したいと回答した者も合わせると、60%以上の国民が自宅で療養したいと回答している。  また、外来通院中のがん患者の中には、通院そのものが負担になっていたり、在宅医療の提供を望んでいたりと、療養のあり方についての意思決定支援を必要としているけれども、対応が実際にはなされていない患者が存在すると考えられる。  現在、拠点病院には相談支援センターが整備をされておりまして、拠点病院の指定要件にて2名の相談員の配置が規定されております。しかし、現状として、がん患者に特化した相談支援を行うことが困難であって、療養のあり方についての意思決定支援を全てのがん患者を対象に行うには、体制か不足していることが指摘されております。  療養のあり方についての意思決定支援に関して、特に治癒不可能となった場合にどのような療養生活を送りたいのかということについて、がん患者とその家族に意思が確認される、意思決定が支援されるといったことが重要であって、医師、看護師、医療ソーシャルワーカー等、多職種のチームで取り組む体制整備が求められる。  また、拠点病院から、がん患者とその家族に対して、在宅医療機関等の他施設に関する情報提供を行う際には、当該在宅医療機関の症例数であるとか、医師数、みとりの件数など、診療実績に関する情報を提示することが望ましい。  一方で、意思決定支援を行う体制を整えたとしても、患者自身の否認があったりして、実際に支援できる対象が限られてくることも想定される。こういった、体制があっても、それにアクセスできないといった課題を解決するために、がん患者を含めた国民に対する情報提供であるとか、教育を推進していく必要があると考えられる。  このような療養場所に関する意思決定支援を全てのがん患者とその家族に対して行う体制の構築については、先行的に取り組んでいる施設等の好事例を共有していくことが重要だと考えられる。  このように、入院医療機関から、いかに意思決定を支援して、希望に沿った療養場所を選択していくかということについて意見をいただいたことに加えて、拠点病院と在宅医療機関との連携のあり方についてというところでは、 拠点病院での治療から在宅療養へ移行した後も、患者とその家族の希望に従って緊急時には入院できる体制を確保する必要がある。  加えて、これまでの拠点病院と在宅医療機関との連携は、主治医と在宅医の間で図られることが多かった。しかし、主治医だけではなくて、拠点病院の緩和ケアチームと在宅医とをつなぐ機能が拠点病院にあることが望ましいのではないか。  また、今後の方向性として、拠点病院を初めとする入院医療機関の緩和ケアチームであるとか、地域の在宅医からなる地域の緩和ケアチームのようなものを構成して、地域における専門的な緩和ケアの提供を行うことが求められるのではないかといったような議論をいただいたかと思います。  以上です。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、林参考人から御発表をお願いいたしたいと思います。 ○林参考人 東京女子医大の林と申します。きょうはこんな機会を与えていただいて、ありがとうございます。  本日、私は、先日、6月8、9日に新宿駅の構内で「オレンジバルーンフェスタ」と称する緩和ケアの啓発イベントを行ったのですけれども、その開催の経緯と、今後、我々が考えている緩和ケアの啓発とか、地域連携の展望についてお話をさせていただけたらと思います。私は大学にはおりますけれども、現場中心の医師として本音を語らせていただければと考えております。  それでは、資料を見ていただけたらと思うのですが、1ページ目、絵がありますが、これは東京都区西部、我々の属する2次医療圏ですけれども、新宿、中野、杉並の3区からなる2次医療圏です。今、持っております「がんコンソーシアム構想」というものを御紹介させていただきます。 従来の大学病院を中心とした段階的な系列構造が、医局制度が廃止されたり、医療環境が変わってきたということで崩壊しつつある中で、今後、来たりくる医療危機がある。それに対して、地域のリソースをフルに使うための包括ケアというのはどこでも叫ばれているとは思いますが、実際に包括ケアをするとなると、例えば、学会に代表されるような学術団体があります。それから、医師会や看護協会などの職能団体等があるのですが、地域全体で医療を考えるような組織がない。それを何とか自分らでつくっていこうというのが、この発想です。我々の2次医療圏は、全国でも珍しく3つの診療連携拠点病院がありまして、認定病院も合わせると4つあります。そういった特殊性を生かしたような地域連携ができないかということで、地域がん包括ケアのための組織づくりが2年ほど前から拠点病院中心に進行しているというバックグラウンドがございました。  次にまいります。そんな中で、平成24年度から、東京都から、緩和ケアの連携推進事業を請け負わないかという御提案をいただきました。これは東京都の独自事業ですが、文言は東京都のまま、「地域拠点病院が中心となり、地域の医療機関や関係団体等の協力を得て、緩和ケア連携推進会議を設置し、二次保健医療圏内における研修会の企画・実施や医療従事者に対する相談支援、地域連携の推進に向けた取組等を行う。」と、これをいただきまして、大変名誉なこととしてお受けしたのですけれども、これは3年事業でして、東京都の13ある2次医療圏のうちの、我々、区西部、それから、北多摩南部という2つの、比較的連携がうまくいっているという地域をモデルケースとして委託されました。 初年度予算は350万程度だったのですが、実際にこれをお受けしたときに、行政からこういう事業をいただいたと大学に戻ってお話をしますと、スタッフの反応は、何のためにやるのかと。病院のためにやるのか、患者のためではないのか、東京都の業績のためかという、どちらかというと反発に近いものを感じました。 実際に、これまで拠点病院としては、我々、精いっぱいやってきたつもりですので、例えば、研修会をやれと言われても、年間に既に50近い研修会、外にオープンしているのがありまして、ほぼ毎週やっているような形で、これ以上まだやれというのかという反応があったり、あるいは連携事業自体のアウト化アウトカムも、どうやって評価するのだと。何をもってこれをやったと評価するのだ、その取り組みはものすごい大変な、OPTIMのような取り組みを我々ができるわけではないという御意見があったりして、どちらかというとモチベーションが下がるような結果になっていきました。 会議自体は、どうすれば最低限度能力で最大限の効果が上げられるかみたいな論議になったりして、欠席をしたり、居眠りをしている、あるいは早退するようなメンバーが出て、座長が指定するメンバーと会話しているような会議になってしまいました。 そこで、何か打開策はないかと。私、座長をかわっていただきまして、自分が座長になって提案したのは、友人でもあるOPTIMの森田先生からいろいろお聞きしているときに、何でもいいから、ともかく全員でやることに意義があると、OPTIMのアウトカム研究よりもプロセス研究のほうが大事だと個人的には思うという御意見をいただいて、非常に同感しまして、それだったら、ブレークスルー、この打開策としてイベント開催を行おうという提案をいたしました。 そこに日付が記してありますけれども、それが1月24日で、どうせならば人のたくさん集まる市民の中に飛び込もうという発想でおりましたので、準備期間が4カ月しかないと。そういう提案をすると、基本、大反対。大学病院の医師とか、医師会の理事とか、大反対で、準備期間がないとか、大学とか医師会の承認に時間がかかるとか、スタッフが集まらないみたいなことを言われた。 ただ、一方で、消極的な賛成として、大学病院でもコメディカル、あるいは地区の薬剤師会、あるいはケアマネジャー、東京都からも、何でもいいからやってくださいという消極的な賛成もあります。そういった意味で、障害になるものを除くと。1週間で3病院の院長の許可をいただく、3地区の医師会長の許可をいただくということで、そこを説得しまして、実行ということになりました。 皆様御存じのOPTIMのプロセス研究の中で、プロジェクトに参加して一番大きかったことというのは、ネットワークがふえ、連携の重要さを実感したと。これは『ランセット』に載るような貴重な研究ですから、この研究内容は正しいと信じていいのではないかと思っています。顔の見える連携をつくってもしようがなくて、顔を通り超えて信頼できる関係をつくることが有意義である。会議を幾ら繰り返しても、結局、出席している方が帰ってから自分の組織に反映することがなかなかできないような状況で、顔が見えても不十分だと。それだったら、できるだけ多くの医療者を巻き込むような、全員参加型のイベントがいいのではないかと言って、当初から100人以上集めるぞということを宣言しました。 次に、そこにキャラクターがあると思うのですが、このポスターは、まず大きく「あなたは“がん”です」と書いてあります。ここであえて「緩和ケア」という言葉は使わずに、一般の人にわかりやすい「がん」というキャッチを使おうということに、みんなで相談してなりました。 啓発というのは、辞書によりますと「人が気づかずにいるところを教え示して、より高い認識に導くこと」とありますので、動員して来ていただくようなことでは余り意味がないのではないか。むしろ、そこの場所、新宿駅西口広場、ここは日本一乗降客の多い駅で、346万人の乗降客が毎日あり、私の開催したイベントコーナーだけでも34万人ぐらいの方が毎日お通りになる。大学の講堂や市民ホールで行うイベントはさんざんやってまいりましたけれども、啓発という意味では、一般の方がたくさん集まるわけではなくて、むしろ来ていただくようにお願いすることが多いという、何となく寂しい思いをしておりました。それをやっても、一種の自己満足とか、業績づくりになってしまうのではないかという、何となく自責の念がありましたので、どうせならまちに出ようという発想になりまして、通りすがりの人をできるだけ巻き込みたいと思いました。 主催は連携の運営会議なのですが、共催は東京都に全面的にバックアップをしていただきまして、行政とともに進んでいこうと。さらに、こういったイベントをするのに、民間、あるいは企業などの協力も必要です。がん性疼痛緩和推進コンソーシアムというのは麻薬メーカー5社からなる企業団体なのですけれども、そういうところの共催もいただく。それで官民一体でやっていこうと。オレンジバルーンを使わせていただいたのは、もちろん緩和医療学会のオレンジバルーンなのですが、私が教授会で発声をしても、オレンジバルーンがまだ知られていない、ほとんど知っている方がいらっしゃらなかったような状況ですので、これもあえて啓発の必要があると思いました。 企業向けに趣意書もつくったのですが、我々、その趣意書の段階で既に目的を2つ置きました。1つは、都民に対する啓発、普及はもちろんなのですが、私が大きな目的と考えたのは副次目的のほうでして、真に顔の見える関係を構築したい、そのためにやるのだということを最初から強く強調いたしました。 そのためには、下に囲ってありますけれども、単発の思いつきではしようがない。単年度ではなく、継続性のある事業とする。それから、準備や運営のプロセスをできるだけ克明に記録して、詳細なマニュアルをつくる。あるいは写真や映像の画像記録を残す。そして、企画別のチームに分けて、全ての過程を多施設、他職種、他地域のメンバーで行うということで、みんなで経験を共有するというふうにいたしました。 結果として、全てのメンバーが何らかの担当を持ちまして、今後、この事業を広げていくに当たって、例えば、開催希望があった場合にはマニュアルの提供とか、講師の派遣ができるような、そういったグループになっていったと思います。基本的に新宿という点から出発した地域連携を、できれば全国につなげていきたい。当初から単発の自己満足では終わらせないと思っておりました。 次のページはスタッフで、個人名とか所属機関が書いてありますけれども、このように、企画の段階、あるいは広報の段階で縦横を打ちまして、職能別に部会をまたつくりました。縦糸と横糸をつくりまして、それぞれの意見を結集しようと。当初はそういうことで、区西部の緩和ケアのリソースを担う方々がほとんど大集合していただいたということになると思います。 それから、後援に関しましても、日本緩和医療学会を初め、できるだけ多くの賛同を得ることが重要だと思いましたので、短い期間でしたけれども、これだけの後援をいただくことができました。 その次に、写真があると思いますが、1番目の写真は準備の会議です。会議は常に女子医大の会議室で行ったのですけれども、いわゆる一方通行の会議にならないように、最初からこういうアイランド形式をとりました。それから、会議では、当初からニックネームで呼ぶ。決して何とか先生とか、何とか看護師さんとか、職能とかと関係ないようなニックネームで呼ぼうと。私もかずさんと呼ばれていたのです。それで、当初10人ぐらいだったのですけれども、議論が盛り上がってくるにつれ、最終的には50人ぐらい。それでもまぜてくれと言ってくださる方がたくさんいらして、断り切れなくなってきたような状況もありました。この会議は大声が飛び交ったり、罵声が飛び交ったり、けんかをしたりという会議で、夜10時がうちの門限なのですが、毎回10時半になっても帰らない。どちらかというと終わりたくない会議とみんなが言っていて、全員が平等で、職業すらわからない、非常に盛り上がりが見られました。 マスコットは、これもボランティアのイラストレーターの方につくっていただいた、バルーンちゃん、オレンジ君という2人のきょうだいキャラを使いまして、右にあるような配布物を用意しました。 その中で、今回の企画を全部見てもらうためにスタンプラリー形式をとりまして、結果、この配布物スタンプラリーを全部済ますと、最終的に乳酸菌飲料を提供するということで数をカウントいたしまして、2,217人。スタンプラリーを経由しますと、少なくとも30分以上は絶対いていただかなければならないということで、かなり深い啓発ができたのではないかと思っております。 内容としては、そこにあるような講演会、あるいは相談ブース、車椅子で実際に会場をめぐっていただいたりしましたが、一番人気だったのは、お布団が敷いてあってベッドがある、そのコーナーで、みんな仲よく座っておられますけれども、イベント前はほとんど話したことのない方々で、この時点では自分の施設の仲よしのように思いました。 リアルな居室を再現して、これも我々の発案ではなくて、実際には地区の訪問看護師の発案で、我々は持たなかった経験ですが、結果としてこういう需要があると。現場でも皆さんやっているように、この方々は、お客様の対応は座って対応すると、患者目線をその場でも実践しておられました。結果として、笑顔だとか、信頼感とか、親しみ、あるいは優しさや安心感に満ちたような顔で皆さん接していただいて、大成功に終わったなと思っております。 作成物といたしまして、ちょっと特殊というか、意図してつくりましたのは、「みらいアルバム」と称する連携手帳がまずあります。これは、ただのリソースマップをつくって、リソースのリストをつくっても味気ないということで、本人の写真、あるいは勤務場所、職種、職位、連絡先のメルアドなどに加えまして、イベントに対する思いとか、自分がこういう医療に対してどう考えているかを自由表記していただくような形にしまして、名前だけではなくて、人となりもわかるようなアルバムにして、これを参加者全員にお願いしております。現在作成中ですけれども、非常に楽しみです。 それから、運営マニュアルに関しましては、これを見れば全部わかるという運営マニュアルをつくろうと当初から思っておりまして、グッズの発注方法から、コストから、イベントに必要ないろいろな役所の手続云々まで全部含めた、現時点でも64ページぐらいある分厚いマニュアルになります。ただ、こういったマニュアルを用意することで、次につなげていくことができるのではないかと思っております。 実際のアンケートの結果は、スタンプラリーに参加していただいた方が2,217人、ふらりと来て見ていただいた方を入れれば、優に3,000人は超えるのではないかと思います。来場者も、ごらんいただけるように幅広い来場者に来ていただきました。男性は高齢者が多くなっておりますが、女性の方は中壮年が多くなっておりました。 新宿という場でやることで、どんなところから来ていただくのかと思いましたが、我々の2次医療圏から来ていただいた方が半数近くおられまして、その他、他区部、あるいは多摩地区を合わせますと、東京都内からいらっしゃる方が85%ぐらいで、意外に地元の方がいらっしゃっていただいた。 ただ、来場理由に関しては、誰かに誘われたとか、医者に勧められたからということではなくて、自分がかん患者であるとか、がん患者の家族であるとか、あるいは全く関係ないけれども、自分がいつか関係するかもしれないと思っていらしたという方が多かったようです。 こちらは少し強調しておきたいのですけれども、どちらでお知りになりましたかという質問に対して、買い物や散策の途中だったと。本来ならば我々がとても接することのできなかった方々に接することができたというのが我々の誇りでもあります。 そんな中で、参加していただいた方の4分の3ぐらいにはよくわかったと御評価いただきまして、啓発的な意味もあったかと思います。 全国紙のサンケイ新聞と毎日新聞に取り上げていただきまして、かなり大きな取り扱いで、いずれも緩和ケアに関する、あるいは在宅医療に関する一通りの説明をした後にイベントの御紹介をしていただきました。 NHKに関しましては、何とイベントの3日前に急遽取材希望があった。どちらかというと、こういった話題があったので来ていただいたのではないかと思っておりますが、朝の「おはよう日本」という全国放送で、まず緩和ケアということで、アナウンサーがそこにあるような図で我々をよく説明するような、診断されたときからの緩和ケアみたいなことを御紹介いただいた後、イベントの御紹介をいただきました。こちらの反応も非常によく、問い合わせが非常にたくさんございます。 次に、まとめましたが、週末2日間で約2,200人、個別に緩和ケア、それも30分以上の深い啓発ができたと思います。その中で、通りすがりの60%の方が、全く触れることのなかったものに触れたというのはよかったのではないかと考えております。 それから、アンケートを提出いただいた方が、ぜひ来年もやってください、あるいは年に何回かやってくださいということを書いていただいていたのが記憶に残りました。これは、がん医療者の我々の側から市民の生活の場に飛び込んだということが、質の高い啓発効果を生んだのではないかと自負しております。 それから、連携強化という側面に関しては、準備期間が正味3カ月しかなかったので、非常に緊密な連絡や会議が必要でしたが、それが能動的に行われた。ある医師会の理事の方には、生まれて初めて経験した楽しい会議だったと言われました。延べ256人のがん医療者がスタッフとして参加いたしまして、実数でも174人ぐらいだったと思います。そのほかにも、医学生とか看護学生、前期研修医にも動員をかけまして、ぜひ見ろと言ったら、誘った方の何倍かの数が来てくれました。これも未来につながる行為ではないかと思います。当然かもしれませんが、イベントの前後でスタッフ間の連携意識は飛躍的に増大いたしまして、これは実際の医療連携につながるモチベーションになった。あるいは、運営マニュアル、記録動画、スタッフ名簿(みらいアルバム)等を作成いたしましたので、今後、他地区での開催につながるかなと思っております。 結果、スタッフの中に、来年も絶対やろうねというのが大半ですし、次は中野のサンプラザ駅前でやるよという医師会中野区の理事会長がいたり、点で始めた連携を面につなげていくためのノウハウが今回のイベントで蓄積されたのではないかと思っております。 当初、自分でこれを企画したときは、全てを把握して、一生懸命コントロールしなければと思ったのですけれども、すぐに断念いたしまして、思い切って地区の皆様、いろいろな業種の方々に任せてみました。そうしましたら、結果として思いもよらぬ発想とか、意外な指導者の出現がありまして、自分でやるよりはるかによいものになった。これはがんのチーム医療と同じではないかと思っております。 そこに、杉並区の医師会の理事の方、あるいは中野区のケアマネの方の感想がありますが、理事の方は循環器内科が専門でいらっしゃったこともあって、お話をしたときには、最初から非常に及び腰でおられました。医師会の担当がたまたまこういうことをやるので、会長に言われたからやりますけれども、何もわからないし、当日、荷物運びぐらいならやりますよと言っておられた方なのですが、やっているうちにどんどん熱くなられまして、そこに書いてありますが、「参加メンバーの方々の熱い思いをひしひしと感じ、いつの間にかオレンジバルーンの虜になっている自分がいました。素晴らしいイベントだったと思うと同時に、今後も続けてイベントに参加させていただき、がんでお困りの患者さん、ご家族のお力になれればと思います。」と、私が見てもほろっとするようなことを言ってくださいましたし、ケアマネの方は、誘ったときには、これ以上業務量がふえるのは困るとおっしゃっていたのですが、「オレンジバルーンを通して緩和ケアの奥深さと可能性を感じ、心が震えます。これってSocial Innovation 夢は見るもの。希望は創るもの。今後はこのネットワークを活かして、次の何かを企みたいです!」とおっしゃってくれました。 以上、早足で言ってまいりましたけれども、私が強調したいのは、皆様御存じかと思いますが、釈迦に説法で申しわけございませんが、ソーシャルキャピタルです。これだけの社会関係資本を我々は持っているのに、まだ活用できていない。緩和ケアというのは、最先端の機器とか、特殊な技術が絶対必要だというのが他領域に比べて少ない領域で、ケアの要素の高い領域だと思っておりますが、それだけにソーシャルキャピタル形成の効果とか、うまく使っていくことの効果は高いのではないかと考えております。地域がこういう新しいキャピタルを形成して、育てて、蓄積していくことで、結果、迫りくるような医療危機に関して、まだまだたくさん生かし切れていない地域のリソースがあるわけですから、医師会中心の医療がこういうところから今度は出てくるのではないか。今までのような大学病院、拠点病院からトップダウンの事業では限界があって、今後は地域主導の地域がん診療連携拠点病院。これまで拠点病院かやってきたのは、結局、名誉取りのような形で、自分の病院を高めることだけをやってきたと思うのです。ただ、実際には、拠点病院というのは地域がん診療連携拠点病院でありまして、その地域がん診療連携というところにどれだけの拠点病院が努力してきたかということは甚だ疑問に思うところがあります。実際にそういうことを促すような施策を考えていただいて、今後反映させていただけたらと思っております。 以上です。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  ただいまの林参考人に御発表や、資料2にありますような地域連携の取りまとめ案につきまして、御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。  中川構成員、どうぞ。 ○中川構成員 聞いていまして、うらやましいようなイベントで、先ほど事務局からこの冊子の御紹介がありました。これに関係するので、少しお話しさせていただきたいのですが、この冊子の裏にがん対策推進企業アクションと書いてございます。これは健康局からの委託事業で、国家プロジェクトなのですが、4年目になりまして、過去3年は、企業の中でのがん検診を促進する。ですから、がん検診企業アクションという名称で行ってまいりました。今年度からは、もう少し広げよう、就業の問題、緩和ケアの問題、これもあわせて、検診だけにとどまらず、企業でのがん対策全般を推進すると、そういうようなプロジェクトでございます。 この冊子をぱらぱら見ていただくと、そうは言っても、企業でのがん検診ということに力点を置いているのですが、例えば、38ページ、39ページは放射線治療の話、あるいは40、41ページは緩和ケア、さらには、46、47ページのあたりはケアが延命につながるというニューイングランドの2010年の論文ですね。こんなことも書いてございます。 この企業アクションの中では、毎年秋に全国大会というイベントをやっております。この事業のアドバイザリーボードという、事務局をアドバイスする、あるいはサポートするという組織をつくっておりまして、その議長を私がずっとやらせていただいているのですが、このプロジェクトの中で、年に1回、全国大会というものをやっております。矢島健康局長にも昨年度来ていただいて、初回は大臣にも来ていただきました。が、全く人が集まらない。これは2,200の2桁ぐらい下ですね、事実上。それはずっと私がやってきたわけですから、私は責任を感じて、林先生のやり方を学びたいなと心の底から思っています。 具体的にお尋ねしたいのは、新宿西口でやられたわけですね。我々、いろいろなところでやってきたのです。新宿西口というのはどうすれば借りられるのでしょうか。 ○林参考人 この提案をしたときに、我々の特殊性というのは東京という人口密集地で、それだったら、一番混んでいるところととっさに考えたのですね。新宿駅を利用している中で、いつも物産展などをやっているスペースがありまして、あそこだと思って、申し込むと、1日120万円ぐらいかかるのですけれども、そこは東京都に頑張っていただきまして、東京都から申し込むと20万円になったのです。そういう違いもありまして、やはり、ああいった公共のスペースは。 ○中川構成員 国から申し込んだら120万円なのでしょうか。まだことしのイベントスペースが決まっていないので。 ○林参考人 いえ、あのスペースが妙に人気でして、なぜ4カ月の準備期間になってしまったかというと、1年先まで、そこしかあいていなかったのです。キャンセルがあって、そこだけあいていたということで、そこでやるしかなかったというのがあります。 ○中川構成員 よくわかりました。 きょうは東京都のがん対策の方々も来られていますが、なぜ東京の西だけなのでしょうか。武藤先生や私が東でまた先生と御一緒にやれるチャンスがないのか、今度、東京都の協議会で質問したいと思います。  以上です。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  細川構成員、どうぞ。 ○細川構成員 林先生、どうもありがとうございました。  実は、麻酔の領域におきましても、20年、30年前には、麻酔というのも、外科医が注射一本打てば麻酔がかかるというようないうようにしか一般には認識されておりませんでした。しかし、麻酔についての啓発も全く先生と同じで、市民講座とかで待っていても誰も来ない。そこでもう20年近く前になりますか、先生と同じ場所、新宿に麻酔科医も出ていきまして、全く同じような構成であの広場に模擬手術室をつくりまして、花岡座長も同じ麻酔科で、当時一緒にやっていたのですけれども、2日間で3,750名の参加をいただきました。スタッフは地域でなく全国から集まってもらいましたが、先生のおっしゃるように非常に盛り上がりました。各方面で麻酔に理解のない医療者や患者さんへの説明等に苦労している麻酔科たちがお互い顔を見合わせて協力して麻酔の啓発・広報をすることができたということで、大好評でした。それから5年間、広島、京都、大阪、札幌、福岡へと全国行脚をやりました。先生の行われたイベントと同じようなものを10年前からすでにやられているような都道府県は結構あります。また地域連携も都道府県でコンソーシアムを作り、五大がんのパスや緩和ケアパス、看護師教育など、薬剤師会での教育などを整備しているところがたくさんあります。実は最も進んでいると思っていた東京でこういうイベントが初めてなされたとお聞きしてちょっと驚いています。 京都府では4年前に府の条例で定められた“がん医療戦略推進会議”という名前で、医療者全体を含んだ対がん活動のためのコンソーシアム組織が整備されており、その中に院内がん登録部会、相談支援部会、研修部会、緩和ケア部会、外来化学療法部会、地域連携部会というのが整備されています。正に先生がおっしゃったように、横断的に都道府県がん連携拠点病院、地域がん診療拠点病院、国公立病院会、私立病院会、医師会、看護協会、在宅ケア診療所、訪問看護ステーション、ケアマネージャー、ソーシャルワーカー、薬剤師会、調剤薬局会、ホスピスもその中に入っておりまして、緩和ケア部会が今回のような業務を担当しており、府内共通の緩和ケアパスの運用もすでに始まっています。実は私も昨年から、この緩和ケア推進検討会の会議に出るようになりましたが、それまではどこの都道府県でも京都と同じようなことはとっくに行われると思っていたので、東京ですらまだまだ、多くの地方の県でもということを知りまして、驚いている次第です、先生と同じような発想で、東京都は非常に規模が大きいので、多分、西部地区だけで、京都府に相当するぐらいだと思うのですけれども、こういった組織構築やイベントを、都議会等々をバックにして、先生が音頭を取られ、どんどん整備いただければと思います。今日はありがとうございました。 感じで認識されておりまして、全く先生と同じで、市民講座とかで待っていても誰も来ないので、先生と同じ場所に、新宿に出ていきまして、全く同じ構成で手術室をつくりまして、花岡座長が同じ麻酔科で、当時一緒にやっていたのですけれども、2日間で3,750名の参加をいただきまして、先生のおっしゃるように非常に盛り上がったこと、それから、各方面で苦労している麻酔科たちがお互い顔を見合わせることができたということで、それから5年間、全国行脚をやりました。毎年3~4回、各地方会の開設に合わせて。ぜひ続けていただきたいと思いますけれども、実は、こういったことが既に当たり前にやられているような都道府県、例えば、京都などはもう5~6回やっているのですけれども、東京でこういうことが初めてなされたような雰囲気にちょっと驚いている面が1つあります。  それから、もう一点、コンソーシアムをつくられたということなのですけれども、これも実は京都府におきましては既に条例で決まっておりまして、がん医療戦略推進会議という名前で、全くこれと同じコンソーシアム組織ができておりまして、その中に院内がん登録部会、相談支援部会、研修部会、緩和ケア部会、外来化学療法部会というのができておりまして、その中の緩和ケア部会、先生が今おっしゃっていたような地域連携の中の緩和ケアを担当する部会で運営するということが、もうこれで4年ぐらいになるのですけれども、やられていまして、実は私、この会議に出るようになってちょっと驚いたのですけれども、全然やられていない都道府県があるのですねという感じで驚いている次第で、コンソーシアム的な、名前はいろいろあると思うのですけれども、こういった組織とかが普通に行われているものだと思いましたので、こういったことをこれから地域にどんどん落としていって、先生と同じような発想でやっていただける方、それから、東京都は非常に規模が大きいので、多分、西部が京都府に相当するぐらいだと思うのですけれども、こういった組織を、都議会等々をバックにしてぜひつくっていただければと思います。きょうはありがとうございました。 ○林参考人 ありがとうございました。  東京の特性としては、大学病院を中心としたヒエラルキーが今でも地方は比較的残っていると思うのですけれども、東京は、自分が一番と思っているような人たちが多くて、全然まとまらないのは事実なのです。 それから、コンソーシアムの構想は、どちらかというと、もっともっと現場に近い感覚でおります。やはり構成員が、大学の我々みたいな人間であったり、あるいは学会の先生が入ったりということではなくて、現場のケアマネとか、メディカル・ソーシャル・ワーカーとか、そういった方々が中心。今回もイベントに一番力になったのはその方々で、私、緩和ケアというのは緩和医療とはちょっと分けて考える必要があるのではないかと。緩和ケアというのはくくりが大きくて、緩和医療というのはその一部ではないか。緩和ケアにいるのは、割と医師以外の業種ではないかと強く考えておりまして、そういった方々中心の、こういった地域ケアの集団というのを、今、意図しております。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  ほかにはいかがでございましょうか。小松構成員、どうぞ。 ○小松構成員 林先生のプレゼンテーションを聞きながら、本当にとても感激しました。先生のお話を聞いていて、医療圏ではなくて、生活圏の中での緩和ケアということがすごく大事だということを改めて感じることができましたし、生活圏の中での緩和ケアというものが発展していくことが大事なことではないかなということで、先生がマニュアルで、どういうふうにこういう企画をすればいいかということも残していただくことが大事なのですが、要するに、私たち医療者だけではなくて、ほかの人たちの働きがよかったとかいうところの集積が、ピープル・センタード・ケアという形になっていくと思うので、そこの部分をおまとめいただいて、私たちにまた還元していただけると非常にありがたいかなと思っています。どうやったらそういう力が起こっていくのかということは、マニュアルの中では残せない部分かなと思います。 ○林参考人 まず、会議形態からあだ名にしたというのが大きいかなとは思うのですね。その瞬間から、どこの地区のどんな職業の人かわからなくて、私は最終的に看護師なのかケアマネなのかわからない方がたくさんいらっしゃいましたし、ケアマネだと思ってしゃべっていたら女医だったりした。目的が何であるかということに職業は関係ないと思いますし、おっしゃるように生活圏でというのが非常に大事だと思いまして、今回、たまたまこの仲間と話しているときに、今度はみんなでがん教育とかやらないという発想が出てきたりするのですね。その発想というのは、ソーシャルキャピタルが確固たるものができ上がったのではないかと考えていて、そういった概念で進んでいくと、トップダウンではない形の、顔の見える連携をつくりなさいというのは15年ぐらい前に会議で言われたと思うのですね。ただ、実際にできたかというと、できていないと思います。それは、幾ら会議でみんなが集まっても、特殊な人たちが集まって、その人たちが帰って終わりみたいなことが多かったので、それがない形の、日本人が得意とする分野、昔からムラ社会とは言われましたけれども、ただ、ムラ社会のいいところみたいな形を、市民だけではなくて、医療者が一緒になった形のコミュニティーみたいなもので医療が実現できたらいいのではないかと考えます。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  田村構成員、どうぞ。 ○田村構成員 わくわくするようなお話ありがとうございました。私はお話を伺っていて、今、支援をする側にいると、いろいろなリソースが本当に枯渇してきている。経済的な部分も含めてですけれども。おっしゃるように、ソーシャルキャピタルというところに緩和ケアの全体性という糸口から、つくっていったり、耕していったりする、いっぱいの切り口を持っているケアだと思うのですね。そこに存在しているものをうまくつなぐことでこんなに生き生きできるというところを顕在化させたというアクションがすごく私はすばらしいと思いますし、先生がおっしゃっていたように、緩和ケアという切り口を持てば、いろいろなところでこういうアクションができるのではないかと私自身は考えました。ありがとうございます。 ○林参考人 ありがとうございます。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  ほかには。松本構成員、どうぞ。 ○松本構成員 林先生、どうもありがとうございました。1つ教えていただきたいことがあります。先ほど事務局から提示された資料2の拠点病院と在宅の連携についてのあり方という文書の中に、2つ目の○と3つ目の○ですけれども、主治医だけでなく、拠点の緩和ケアチームと在宅医とをつなぐ機能が拠点病院にあることが望ましいとか、その次のところで、地域緩和ケアチームを構成して、地域における専門的な緩和ケアの提供を行うことが求められると書いてありまして、これが実現することが私たち患者にとってはとても望ましいと思うのですけれども、例えば、先生がお取り組みになったことが、事務局から出されている、望ましいと言われることに、何か具体的に落とし込めていくことができないのかな、そのアイデアをいただけないかなと思いました。残念ながら私が住んでいる愛媛では、まだ先生のようなお取り組みは乏しいように思っておりますので、全国あまねくそういうことができるようになるためにはどうすればいいのか、何かサジェスチョンをいただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○林参考人 私も大学の医者ですので、当初は、5年前、6年前、拠点病院をとれと院長に言われて動き始めました。そういう中で、こういった一定の要件とかを満たすためにやってくる努力と、今回のような自発的な努力というのは、全くモチベーションと効率の点で異なりまして、今回のような強固なソーシャルキャピタルというのはトップダウンでは絶対つくり得なかったと思うのですね。むしろ、そういったところに政策なり施策があれば、そこから生まれるものは、すごく割り切って経済で考えても、波及効果というのは投資の何倍も返ってくるのではないか。例えば、がんの連携手帳などというのを現場で運用しろと、半ば強要されておりますけれども、正直、使い物にならないです、印象としては。それを使っていることが苦痛であり、手間をふやすだけです。ただ、今回、この連携ができた時点で、例えば、杉並区の訪問看護師が私に直接電話してくるのですね。こんな患者がいるのだけれども、とってもらえませんか、ああ、いいよで終わります。私も逆に、前だったらとても紹介できない方を、悪いけれども、お願いできませんか、すごく困っていらっしゃるのだけれどもという話を平然とできるようになって、そういったことのほうが、いろいろシステムをつくって、書類を構築して、制度をつくってというよりははるかに有機的で効率がいいのではないかと私は考えます。 ○花岡座長 よろしゅうございますか。道永構成員、どうぞ。 ○道永構成員 林先生、本当にありがとうございました。医師会サイドとしては、非常に背中を押されたような気がします。医師会というのはネットワークがあります。もちろん地域の先生方と、あと、民間病院とがあるのですが、大学病院はハードルが高いのが現状です。それを大学病院のほうから医師会を巻き込んでくださったということがすごい業績だと思いました。あの西口の場所は、新宿区医師会も看護協会も利用していると思いますけれども、あそこでいろいろとイベントをしまして、非常に効果があるのですね。ぜひこの企画は続けていただきたいと思います。ありがとうございました。林先生、本当にありがとうございました。医師会サイドとしては、非常に背中を押されたような気がします。医師会というのはネットワークがありまして、もちろん地域の先生方と、あと、民間病院とがあるのですが、大学病院はハードルが高くて、それを大学病院のほうから医師会を巻き込んでくださったということがすごい業績だと思いました。あの西口の場所は、新宿区医師会も看護協会もそうだと思いますけれども、あそこでいろいろとイベントをしまして、非常に効果があるのですね。ぜひこの企画は続けていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○林参考人 ありがとうございます。医師会の先生方は、先ほど1人御紹介しましたけれども、自分がこうやって仲よくなってみて、医師会のポテンシャルが本当にすごいなというのがわかりまして、今まで医師会と大学などの関係は無機的過ぎたなと強く思います。 ○花岡座長 ありがとうございました。  前川構成員、どうぞ。 ○前川構成員 林先生、ありがとうございました。今、お聞きしていて、市民、国民の生活の場に飛び込むことの大切さをすごく感じました。今まで私は余りこういうことを知らなくて、首都圏が多いのでしょうか、地方にはほとんどなくて、これが全国に広がる1つのきっかけになればいいなと思います。  それと、医療者間の連携とおっしゃいましたけれども、医療者の連携は意外となくて、さっき先生がみんな自分が一番と思っているとおっしゃいましたけれども、そういうのがありますので、医療者間の連携ができるということで、あだ名で呼んだということで、いいなと思います。ぜひ全国に広がることを願っております。ありがとうございました。 ○林参考人 ありがとうございます。 ○花岡座長 ありがとうございます。  ほかにはいかがでございましょうか。推進官、どうぞ。 ○岡田がん対策推進官 お話ありがとうございました。ちょっと教えていただきたいのですけれども、先生の御発表の資料で総括されているのが、ソーシャルキャピタルということで地域連携が深まっていくのではないかというお話ですね。ソーシャルキャピタルも、もともとの本質的なところからして、行政とか政策というところとどうかみ合うのかというか、全国展開ということを考えた場合、先ほど松本構成員からもお話ありましたけれども、私ども行政の立場からすると、ぜひ何かヒントをいただければと思うのです。 ○林参考人 最後のスライドにパットナムの言葉を書いてありますが、「ソーシャルキャピタルは公共政策の代用品ではなく、効果的な公共政策の実施に必要な資本であると同時に、これまでの公共政策の結果でもある。」と、まさに私はそのとおりだと思うのですね。そこでも逆に厚労省に考えていただかなければならない部分だと思うのですね。決して今までのがだめだったとか、いいとか言うつもりはなくて、今回はたまたまこのイベントを通してでしたけれども、ソーシャルキャピタルを醸成するというのはどうしたらいいかという議論が今までほとんど行われていないと思いますし、そういう組織すらない。我々がコンソーシアムと言ったのはそういうところで、学会は学会でみんな盛り上がって仲よくなって、いろいろなことを決めたり、いろいろな方針をつくったり、勉強したりしていますし、医師会や看護協会も自分らだけでやっておられますけれども、ソーシャルキャピタルを醸成するような地域の単位がない。そういう意味の誘導みたいな、政策みたいなものがあったら大分違うのではないかと私は思いました。 ○花岡座長 よろしゅうございますか。  最も基本的なのですけれども、「緩和ケア」という言葉自身の理解というのはいかがでしょう。 ○林参考人 皆様に楯突くつもりはないのですけれども、やはり私は緩和ケアだと思っています。もちろん、新しい薬の使い方とか、特殊な技術とか、学会レベルで考えていただかなければならないようなことは緩和医療だとは思いますが、がん患者を取り巻く状況というのはケアでなければ対応し切れないと思いますので、包括的なものが緩和ケアであると個人的には考えます。 ○花岡座長 あと、麻薬に対するアレルギーですね。麻薬というイメージはいかがでございますか。 ○林参考人 そこは患者とのコミュニケーション次第だと思います。それは、今、緩和医療学会などで行っていただいている地味な研修会とかで徐々に変わってきつつはあるとは思いますが、例えば、それを市民公開講座とかで伝えられるかといったら、絶対伝えられないのが実感です。今までさんざんやってきましたから。やはり、こちち側から何かアクションを起こす。今回たまたま盛り上がったからNHKで放送してくださいましたけれども、結果として何百万人の人が見ていただいて、ものすごい大きな啓発になったと思うのですね。こちらからそういうふうに、大学などが、聞きたければ来いよというような感覚ではもういけないと思うのです。むしろ患者社会の中に飛び込んでいって、小学校に行ったって、中学校に行ったって、教育なども必要だと思います。そういうところで我々は幾らでも活動できると思いますし、啓発という意味では、お金のかからないソーシャルキャピタルで日本のがん医療をよくするようなリソースはいっぱいあります。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  よろしゅうございますか。それでは、「緩和ケアにおける地域連携について」の議論はここまでとしたいと思います。事務局にて本日の議論を敷衍させまして、資料を作成していただきたいと思います。  続きまして「緩和ケアの普及啓発」の議論に移りたいと思いますが、日本緩和医療学会より普及啓発を担当しておられますハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人に来ていただいておりますので、御発表いただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。 ○ハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人  よろしくお願いします。お手元の配付資料の4番になります。厚生労働省委託事業といたしまして、日本緩和医療学会では、緩和ケア普及啓発事業(通称オレンジバルーンプロジェクト)という名称で事業展開をさせていただいております。担当をしておりますハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)と申します。よろしくお願いいたします。  2ページ目になりますが、2007年4月から、このオレンジバルーンプロジェクトは活動しております。日本緩和医療学会が委託を受けまして、現在は委託事業委員会の中で、緩和ケア普及啓発WPGという7人のメンバーで活動しております。また、緩和ケア普及啓発事業関連団体協議会という組織を立ち上げ、2007年からは緩和ケアに関連する4団体に参加していただき、2009年度からは日本緩和医療薬学会、日本サイコオンコロジー学会、2012年度から、治療系の学会として、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本放射線腫瘍学会、日本ペインクリニック学会、そして今年度からは日本麻酔科学会にも加わっていただきました。年2回、緩和ケアの普及啓発に関する協議会を開催し、今後どのような方向性で普及啓発を実施していくかを検討しております。  3ページ目になります。このオレンジバルーンプロジェクトのロゴマークは商標登録されております。オレンジ色という温かい色で、全ての苦痛症状をほんわりとやわらげたいという思いがあることと、バルーンに描かれたような笑顔といいますか、そのような表情に患者さんと一緒になりたいという思いでつくらせていただいております。  4ページ目以降は、過去の事業展開のプロセスを書いております。2007年度が1年目になりますが、当初は一般市民全体を対象としております。まず、組織体制づくりから始めまして、先ほどのロゴマークの制作、さらに普及啓発用のグッズ・制作物を作成しております。また、ホームページの開設から活動を始めております。  2年目は、緩和ケアチームの広報であったり、市民公開講座などのイベントを開催したり、新聞への折り込み広告、あるいはラジオの放映等のメディア活動を行っております。  5ページ目、3年目になりますが、2009年度は、継続事業といたしましてグッズをさらに追加して作成したことが挙げられます。また、新聞の全国紙に広報広告を出したり、緩和ケアチームの広報リーフレット等も制作するような活動を行っております。さらに、緩和ケア研修事業(PEACEプロジェクト)のスライドにも普及啓発活動の重要性についてのスライドを追加するなどの活動を行っております。  2010年度は、一般市民全体から、がん患者及びそのご家族にも対象を広げまして、グッズの制作であったり、緩和ケアチームの広報、あるいは市民公開講座等のイベント、さらに新聞の全国紙の広報等を行ってまいりました。  6ページ目です。2011年度は5年目ですが、同様に、グッズの追加制作、市民公開講座等のイベント開催、新聞の全国紙への広告、あと、緩和ケアに関する動画も作成し、それをホームページ上で閲覧できたり、あるいはダウンロードして外来等で放映してもらえるものとして作成しました。また、緩和ケアの相談カードを作成して、全国の拠点病院等に配布しております。  2012年度からは私が担当するようになりましたが、6年目を迎えまして、医療従事者にも対象を広げる体制にしております。医療従事者を通じて、がん患者さんやご家族、さらには一般市民に緩和ケアの普及啓発をしていただくという形にしております。同様に市民公開講座であったり、シンポジウムを開催し、その開催報告を全国紙あるいは地方紙に掲載して広報するような形で広げております。また、NHK出版『きょうの健康』等にも広報記事を掲載したり、あるいはSNSを利用するような広報活動にも拡充していく活動をしてまいりました。2012年度からは治療系の学会にも加わっていただき、一緒に緩和ケアの普及啓発について検討しているという体制になっております。  少し詳細になりますが、7ページ目に市民公開講座の様子を書かせていただいております。過去5年、平成20年度から24年度で、市民公開講座等の市民向けのイベントに参加された累計数が約10万人となっております。  また、次のページに広報ブースの様子がありますが、そちらに来ていただいた方は5年間で約8万5,000人でした。  広報ブースは写真のような形式で、いろいろなグッズが並べてあるのですけれども、それを持って帰ってもらったり、あるいはブースで直接質問を受けて説明するというような活動をしております。主に関連11団体の学術大会の開催時には、このような広報ブースを設けまして、学会会員に対して緩和ケアの普及をしたり、当初は市民公開講座等でもこのような広報ブースを設けまして、一般市民にも説明する、啓発するという活動を、並行してまいりました。  9ページ目には、制作物の一覧になります。左上がポスター、左下が相談カードです。緩和ケアの6つのポイントが記載されており、いつでも緩和ケアは受けられるもので、お気軽にご相談くださいということを書いた相談カードは全国の外来で配れるように配布、あるいは申請してもらってお渡しするというような活動をしております。右上はピンバッジ、あるいは携帯電話のストラップ・クリーナー、このようなグッズを配布しております。台紙には、「おぼえてください、『緩和ケア』。」と、ホームページのURLを書かせてもらっております。風船はイベント等で配布してまいりました。  配布状況ですが、10ページになりますが、2008年から2012年までの累計数になりますが、合計140万個を配布しております。発送件数は、全国で2,255施設に配布しております。  11ページの医療従事者用「緩和ケア」説明ツールというのは、昨年度の活動ですが、特に医療従事者向けに、がんと診断されたときからの緩和ケアを盛り込んだプレゼンテーション用のスライドとDVDを作成しております。「Smart Brief2013」という名前で作成しておりまして、全国の拠点病院に配布させていただきました。  12ページになりますが、メディアによる広報です。これは平成24年度の活動を挙げているのですが、市民公開講座の開催記事を産経新聞に載せたり、配信記事の一例として、北國新聞というところに「診断時からの緩和ケア」という記事が載りました。それから、NHK出版の『きょうの健康』に「がんと診断されたらはじめる緩和ケア」ということで、広報記事を掲載したような活動、また新聞の全国紙にも今まで2年間、広報記事を掲載した活動をしております。  4番目は、13ページ目になりますが、ホームページ等です。これは「緩和ケア.net」というホームページを公式ホームページとしまして、そこに緩和ケアに関する医療情報を盛り込みまして、患者家族等の一般の方向けの情報、また、医療従事者関係者向けの情報と分けて掲載しております。ホームページでは、オレンジバルーンプロジェクトに参加希望の申請を受け、ロゴマークやグッズを提供して、全国で広報活動をしていただき、後ほど、その活動報告を提出していただいて、ホームページに載せるという形にしています。また、昨年度からはフェイスブックも始めておりますが、ホームぺーじの年間総アクセス数が36万6,000件となっております。  14ページは、オレンジバルーンプロジェクトの中でいくつかの調査をしておりまして、これは一例ですが、2011年度に面談による聞き取り調査で、緩和ケアに対する正しい認知形成のためのバリアというものを調査しております。その中で5つのバリアが上がってまいりまして、1つ目は、「緩和ケア」は死期が差し迫っている患者のものであって、自分には関係はない。この調査の対象は一般市民ということになります。 2つ目は、緩和ケアを治療と並行して受けることで、どういうメリットがあるのかわからないというバリア。 3つ目は、「痛い」と医師・看護師・家族に伝えることに対して抵抗があるというバリアがある。 4つ目、5つ目はお薬のことですが、薬の摂取量がふえることに対して抵抗がある。 緩和ケアで使われる医療用麻薬に対して抵抗があるというような緩和ケアに対する正しい認知形成のためのバリアがあることがわかりまして、それに対して、どう解決するかということを、プロジェクトとして検討してまいりました。 1つ目は、緩和ケアというのはがん治療の一環であることの周知が必要である。 2つ目は、行動の利益、緩和ケアを治療と同時に並行して受けることで、身体的・精神的にどうなるかというのを周知していかなければならない。 3つ目は、「痛い」と訴えることに対しては、医師からの支持・保証が必要である。 4番、5番に関しては、医療用麻薬の正しい知識の啓発が必要であるというような分析をしております。 16ページには、これはperception flow図ですが、現状はそのような5つの問題点がありますので、流れとしましては、緩和ケアは早期から関係はあるということ。緩和ケアを受けることで身体的・精神的にメリットがあることを理解していること。医師や看護師に痛みを伝えることは当然のことで、我慢する必要はないこと。薬及び医療用麻薬を正しく認知しており、使用に抵抗がないという流れで、正しい緩和ケアの認知ができるのではないかということをプロジェクトとして検討してまいりました。 今後の展開になります。そのようなバリアをクリアしていくという戦略になりますが、平成25年度以降の戦略としまして、対象、ターゲットを誰にするのか、また、目標、何を伝えたいのか、何を伝えるのかということ、そして、それをどうやってお伝えするのかということに切り分けて戦略を練っております。 一般市民に対してが最終目標だと思いますが、「緩和ケア」という言葉自体が正しく伝わる。そのためにどうしたらいいのかということで、新しいわかりやすい「説明文」をつくる必要があるのではないか。あるいはメディアであったり、ホームページを活用して広報していく必要がある。あるいは市民公開講座や先ほど林参考人からありましたようなイベント等になるかと思います。 患者さんやご家族に伝えたいこととしまして、つらさを訴えてよいこと、治療中から緩和ケアが利用できることをお伝えしたい。そのために院内で流すようなDVDをつくったり、ポスターやリーフレットを通じて「つらさを訴えて下さい。」ということをダイレクトに伝える必要があるのではないかということです。 そして、今回、主なターゲットになってくるのですが、医療従事者、いわゆるがん治療医であったり、それを周りで支えるメディカルスタッフということです。委託事業としましては、「診断時からの緩和ケア」をお伝えしたいですので、その概念や内容、そして、患者がつらさを訴えたときに、そのつらさの受けとめ方とか、そういったことをお伝えしたい。医療系雑誌等への特集記事であったり、そういったことを詳しく書いた資材を配布、そして医療従事者の研修教育、あるいは医療従事者向けのシンポジウムが必要ではないかということになります。 日本緩和医療学会員を分けて書きましたが、緩和医療学会員に対しても普及しなければいけない。それは、医療従事者、周りのがん治療医に、診断時からの緩和ケアをどういう風に伝えていったらいいのかということも検討しておりまして、やはりシンポジウムや勉強会などの開催になろうかと思います。 それから、がん関連団体、あるいは患者会の方や企業の方にも「診断時からの緩和ケア」を伝えなければいけない。広報ブースであったり、関連団体との合同シンポジウムや勉強会等の開催が必要ではないか。我々が直接患者会や企業へ出向いて、そういった説明をする必要があるのではないか。 あと、行政もターゲットになろうかと思います。がん医療における緩和ケアの重要性を伝えなければいけない。その中で、現状、どういった問題点があるのか、制度としての問題点があるのかを考えて伝えていかなければいけないという戦略を練っております。 ただ、過去5年間、一般市民がを対象に活動してまいりましたが、かなり総花的といいますか、広く浅く伝わっているということが、なかなか普及啓発が広がらない1つの問題点ではないかという検討もしております。限られた予算と人的リソースということを考えますと、より対象を明確化した、めり張りのある普及啓発活動が必要であると考えております。今回、もちろん市民の方や患者・家族も同時にするのですが、特に医療従事者、がん治療医に「診断時からの緩和ケア」ということと、つらさを受けとめることの大切さをまず伝えなければいけないのではないかと戦略を練っております。 最後の21枚目のスライドになりますが、その中でどのような方向性でということになりますが、全体としましては、緩和ケアについての新しい「説明文」を作成したり、普及啓発のツールを作成する。医療従事者向けには、全国各地でシンポジウムを開催したり、医療系の雑誌やメディアとの連携を行って普及していく。 それから、関連団体の学術大会で広報ブースを出展したり、あるいは合同シンポジウム等を開催して、直接治療系の学会員の方に伝えていく必要があるということ。 3つ目は、PEACE研修会の修了者用に、今、私がつけているオレンジバルーンのバッジとは別に新たなバッジを作成して、患者家族が緩和ケアについて誰に相談したらよいのかということをより明らかにする必要があるかと思います。また、バッジを付けている側にも普及啓発の意識を持ってもらえるような活動といいますか、バッジを作成することによって、実施する必要があると考えています。 あと、関連団体や拠点病院を通じたツール等の周知やホームページの充実等が必要と思います。 市民に向けた活動としましては、市民公開講座であったり、イベントを開催していく。さらに全国の医療従事者を通じて、我々が作成したツールを用いた普及啓発を市民に向けても続けていく必要があると思いますし、ホームページの充実等も継続していく必要があると考えております。 以上でございます。ありがとうございます。 よろしくお願いします。手元の配付資料の4番になるかと思います。厚生労働省の委託事業といたしまして、日本緩和医療学会として、緩和ケア普及啓発事業、通称オレンジバルーンプロジェクトという名称でやらせていただいています。担当をしておりますハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)と申します。よろしくお願いします。  2ページ目になりますが、2007年の4月から、このオレンジバルーンプロジェクトは活動しております。日本緩和医療学会が委託を受けまして、現在は委託事業の委員会の中で、緩和ケア普及啓発WPGという7人のメンバーで活動しております。緩和ケア普及啓発事業関連団体協議会というのがありまして、2007年からは緩和ケアに関連する4団体に参加していただきまして、2009年度からは日本緩和医療薬学会、日本サイコオンコロジー学会、2012年から、治療系の学会で、日本がん治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本放射線腫瘍学会、日本ペインクリニック学会、そして今年度からは日本麻酔科学会にも加わっていただきまして、年2回、緩和ケアの普及啓発に関する協議会を開催して、どのような方向性でやっていくかということを検討しております。  3ページになりますが、このオレンジバルーンプロジェクトのロゴマークが商標登録されているのですけれども、オレンジという温かい色ということで、全ての苦痛症状をほんわりとやわらげたいという思いがあることと、あと、バルーンに描かれましたような笑顔といいますか、表情に患者と一緒になりたいという思いでつくらせていただいております。  4ページ目以降は、過去の事業展開のプロセスを書いております。2007年度が1年目になりますが、当初は一般市民全体を対象としております。まず、組織体制づくりから始めまして、先ほどのロゴマークの政策、それから、普及啓発のグッズ、制作物をつくっております。あと、ホームページの開設から始めております。  2年目は、緩和ケアチームの広報であったり、市民公開講座などのイベントを開催したり、新聞への折り込み広告、あるいはラジオの放映等の活動を行ってきております。  5ページ目、3年目になるのですけれども、2009年度は、継続としましてグッズをさらに追加してつくったということです。あと、全国紙に広報広告を出したということであったり、緩和ケアチームのリーフレット等も制作するような形でやっております。あと、緩和ケア研修事業、PEACEのスライドにも啓発の重要性についてのスライドを追加したりしているという活動をやっております。  2010年度は、一般市民全体から、がん患者及びその御家族にも対象を広げまして、グッズの制作であったり、チームの広報、あるいは市民公開講座のイベント、あと全国紙の広報等をやってまいりました。  6ページ目ですけれども、2011年度、5年目ですが、これも同様に、グッズの追加制作、市民公開講座のイベント開催、全国紙への広告、あと、緩和ケアに関する動画も作成しまして、それをホームページ上で閲覧できたり、あるいはダウンロードして外来等で放映してもらえるものも作成したり、緩和ケアの情報カードラックという相談カードのようなものも作成して、全国の拠点病院等に配布しております。  2012年度からは私が担当するようになったのですけれども、6年目を迎えまして、医療従事者も対象に広げる形にしております。医療従事者を通じて、がん患者や、その御家族、さらには一般市民に緩和ケアの普及啓発をしていただくという形にしております。同様に市民公開講座であったり、シンポジウムを開催して、その開催報告を全国、あるいは地方紙に掲載して広報するような形で広げております。また、NHK出版の『きょうの健康』等にも広報記事を掲載したり、あるいはSNSを利用するような広報活動も拡充しているような活動をしてまいりました。2012年度からは治療系の学会にも加わっていただきまして、一緒に緩和ケアの普及啓発について検討しているという体制になっております。  少し詳細になりますが、7ページに市民公開講座の様子を書かせていただいております。過去5年、20年度から24年度で、市民公開講座等の市民向けのイベントに参加された累計数が約10万人となっております。  また、次のページに広報ブースの様子があるのですけれども、そちらに来ていただいている方は5年間で大体8万5,000人ぐらいになってまいりました。  ブースはそのような形で、いろいろなグッズがあるのですけれども、そこへ持っていってもらったり、あるいはそこで直接質問を受けて説明をするというような活動をしております。主に関連11団体の学術大会の開催時にこのようなブースを設けまして、そこの学会会員に対して緩和ケアの普及をしたり、当初は市民公開講座等でこういうブースを設けまして、一般市民の方々にも説明する、啓発するという活動を、両方してまいりました。  9ページ目には、その制作物になりますが、ポスターを作成しております。左下が相談カードで、緩和ケアの6つのポイントとか、そういったこと。あと、いつでも緩和ケアは受けられるということで、お気軽に御相談くださいということを書いた相談カードを全国の外来で配れるように配布、あるいは申請してもらってお渡しするというような活動をしております。右上は制作物になりますが、ピンバッジ、あるいはケータイのストラップ・クリーナー、こういうグッズを配布して、「おぼえてください、『緩和ケア』。」というのと、ホームページのバナーを、URLを書かせてもらっております。風船の裏表になるのですが、本当の風船なのですけれども、同じような形で、これはイベント等で配布させてもらってきました。  配布状況ですけれども、10ページになりますが、2008年から2012年までの累計の数になりますが、右のグラフになりますが、140万個、合計で配布しております。発送件数は、全国で2,255施設に配布してきたということです。  11ページの医療従事者用「緩和ケア」説明ツールというのは、昨年度の活動なのですが、特に医療従事者向けに、がんと診断されたときからの緩和ケアを盛り込んだプレゼンテーション用のスライド、あるいはDVDを作成しております。「Smart Brief2013」という名前で作成しておりまして、全国の拠点病院に配布させていただきました。  12ページになりますが、メディアの広報です。これは24年度の活動のことを挙げておるのですけれども、緩和ケアの市民公開講座の開催記事をサンケイ新聞に載せたり、あるいはサンケイ新聞から全国に配信記事の一例として、北國新聞というところに「診断時からの緩和ケア」という記事が載った。それから、NHK出版の『きょうの健康』に「がんと診断されたらはじめる緩和ケア」ということで、広報記事を掲載させてもらったというような活動。あるいは全国紙にも今まで2年間、記事を掲載したり、そういうような活動をしております。  4番目は、13ページ目になりますけれども、ホームページ等です。これは「緩和ケア.net」というホームページを公式ホームページとしまして、そこに緩和ケアに関する医療情報を盛り込みまして、患者、御家族等の一般の方向けの情報、それから、医療従事者、関係者向けの情報と分けて掲載させていただきました。その中で、このオレンジバルーンプロジェクトに参加申請を受けまして、このロゴマークをお渡しして、あるいはグッズを提供して、全国で広報活動をしていただいて、後ほど、その活動報告をしていただいて、それをまたホームページに載せるという形にしています。昨年度からはフェイスブック等も始めています。年間アクセス数が36万6,000件という形になっています。  14ページは、オレンジバルーンプロジェクトの中でいろいろな調査もしておりまして、これは一例ですけれども、2011年度に面談の聞き取り調査で、緩和ケアに対する正しい認知形成のためのバリアというのを調査しております。その中で5つのバリアが上がってまいりまして、1つ目は、「緩和ケア」は死期が差し迫っている患者のものであって、自分には関係はない。これは対象は一般市民ということになります。 2番目は、緩和ケアを治療と並行して受けることで、どういうメリットがあるのかわからないというバリア。 3つ目は、「痛い」と医師・看護師・家族に伝えることに対して抵抗があるというバリアがある。 4つ目、5つ目はお薬のことですが、薬の摂取量がふえることに対して抵抗がある。 緩和ケアで使われる医療用麻薬に対して抵抗があるというような緩和ケアに対する正しい認知形成のためのバリアがあることがわかりまして、それに対して、課題ということになるかと思うのですけれども、どう解決するかというのも、プロジェクトとしては検討してまいりました。 1つ目は、緩和ケアというのはがん治療の一環であることの周知が必要である。 2つ目は、行動の利益、緩和ケアを治療と同時に並行して受けることで、身体的・精神的にどうなるかというのを周知していかなければならない。 「痛い」と訴えることに対しては、医師からの支持・保証が必要である。 4番、5番に関しては、医療用麻薬の正しい知識の啓発が必要であるというような分析はしております。 16ページには、これはperception flowですけれども、現状はそのような5つの問題点がありますので、流れとしましては、緩和ケアは早期から必要なら関係はあるということ。あと、緩和ケアを受けることで身体的・精神的にメリットがあることを理解していること。あと、医師や看護師に痛みを伝えることは当然のことで、我慢する必要はないこと。あるいは薬及び医療用麻薬を正しく認知しており、使用に抵抗がないという流れで、正しい緩和ケアの認知ができるのではないかということで、こういうプロジェクトとしての流れは検討してまいりました。 今後の展開なのですが、そのようなバリアをクリアしていくという戦略なのですが、平成25年度以降の戦略としまして、対象、ターゲットを誰にするのか、あるいは目標、何を伝えたいのか、何を伝えるのかということ、それから、それをどうやってお伝えするのかということに切り分けて戦略を練っていっております。 一般市民に対しては、最終目標だと思いますが、「緩和ケア」という言葉自体も伝わる。そのためにどうしたらいいかということで、新しい、わかりやすい「説明文」をつくっていく必要があるのではないか。あるいはメディアであったり、ホームページを活用して広報していく必要がある。あるいは市民公開講座。先ほど林先生からありましたようなイベント等になるかと思います。 患者や御家族に伝えたいこととしまして、つらさを訴えてよいこと、治療中から緩和ケアが利用できることをお伝えしたい。そのために院内で流すようなDVDをつくったり、ポスターやリーフレットを通じて「つらさを訴えて下さい。」ということをダイレクトに伝える必要があるのではないかということです。 そして、今回、主なターゲットになってくるのですけれども、医療従事者、いわゆるがん治療医であったり、それを周りで支えるメディカルスタッフということですけれども、委託事業としては、がんと診断されたときから、「診断時からの緩和ケア」ということをお伝えしたいですので、その概念や内容、そして、患者がつらさを訴えたときに、そのつらさの受けとめ方とか、そういったことをお伝えしたいということで、医療系雑誌等への特集記事であったり、そういったことを詳しく書いた資材を配布、そして医療従事者の研修教育、あるいは医療従事者向けのシンポジウムが必要ではないかということです。 緩和医療学会を分けて書いたのですけれども、緩和医療学会の会員に対しても普及しなければいけない。それは、医療従事者、周りのがん治療医に診断時からの緩和ケアをどういうふうに伝えていったらいいのかということも検討しておりまして、やはりシンポジウムや勉強会などの開催になろうかと思います。 それから、周りの関連団体、あるいは患者会の方や企業の方にも「診断時からの緩和ケア」を伝えなければいけない。そういうふうな広報ブースであったり、関連団体と合同のシンポジウムや勉強会等の開催が必要ではないか。それから、我々が直接患者会や企業へ出向いて、そういった説明をする必要があるのではないか。 あと、行政もターゲットになろうかと思います。がん医療における緩和ケアの重要性を伝えなければいけない。その中で、現状、どういった問題点があるのか、制度としての問題点があるのかを考えて伝えていかなければいけないという戦略は練っております。 ただ、過去5年間、一般市民が中心にやってきたのですけれども、かなり総花的といいますか、広く浅く伝わっているということが、なかなか普及啓発の広がらない1つの問題点ではないかという検討もしておりまして、限られた予算と人的リソースということを考えますと、より対象を明確化した、めり張りのある普及啓発活動が必要であるかと考えております。今回、もちろん市民の方や患者・家族も同時にするのですが、特に医療従事者、がん治療医に「診断時からの緩和ケア」ということと、つらさを受けとめることの大切さをまず伝えなければいけないのではないかと戦略を練っております。 最後の21枚目のスライドになりますが、その中でどういうふうな方向性をということになりますが、全体としましては、緩和ケアについての新しい「説明文」を作成したり、普及啓発のツールを作成する。医療従事者向けには、全国各地でシンポジウムを開催したり、医療系の雑誌やメディアとの連携を行って普及していく。 それから、関連団体の学術大会で広報ブースを出展したり、あるいは合同シンポジウム等を開催して、直接治療系の学会員の方に伝えていく必要があるということ。 3つ目は、PEACEの研修会の修了者用に、私がつけているオレンジバルーンのバッジとは別にバッジを作成して、患者や御家族が緩和ケアについて誰に相談したらよいのかというのを明らかにする必要があるかと思います。また、つけている側も、意識を持って受けとめられるような、そういった普及啓発活動といいますか、バッジを作成することによって、やる必要もあるのではないかと考えています。 あと、関連団体、拠点病院を通じたツール等の周知やホームページの充実等を必要かと思います。 あと、市民に向けた活動としましては、市民公開講座であったり、こういうイベントを開催していく。それから、全国の医療従事者を通じて、我々が作成したツールを用いた普及啓発を市民に向けても続けていく必要があるかと思いますし、ホームページの充実等も継続していく必要があるかと考えております。 以上でございます。ありがとうございます。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  林先生、いかがでございましょうか。普及啓発の観点からのコメントは何かございますでしょうか。 ○林参考人 お聞きしていて、こんなことをしましたという御報告はいただいても、それはどちらかというと拠点病院の申請とか、がんプロの報告書みたいに感じるのですが、実際にどういうふうに患者に役立ったかというのが知りたいなと思ったのと、あと、確かに予算も人的リソースも限られているという中で、対象を明確化されるということなのですけれども、どちらかというと啓発というのは紙やメディアではなくて、人から人に行うものだと私は思うのですよ。そうすると、まだまだ使われていない人的リソースを開発するのをゆだねるほうが、例えば、紙やメディア、今回、何かグッズをと言ったら、100個しかありませんと言われたのですけれども、いろいろな医師会とか、いろいろな病院で、うちに余っているのがいっぱいあるよと言われて、結局はそれはちゃんと配布されていなかったということだと思うのですね。いろいろな病院から持ち寄っていただいたりして。別に学会が悪いと言っているのではなくて、それが有効活用されていない、実際に本当に役に立っているかの検証ができていないところは1つ考える必要があるかなとは思いました。地域の看護師でも、薬剤師でも、開業医の先生でも、ケアマネの方々でも、そういった方々1人1人に、患者に向かって発言して啓発していただけるという方向性を考えたほうが合理的なのではないかと思いました。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  それでは、ただいま林参考人の御発表やコメントを踏まえまして、普及啓発についての委託事業でございますオレンジバルーンプロジェクトをいかに進めていくかということについての具体的な御意見をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。  どうぞ、中川構成員。 ○中川構成員 今のお話を聞いていて私が思ったのは、福島第一原発の後の福島の住民の方とのリスクコミュニケーションということなのですね。私、あの事故が起こって、福島支援にもかかわっておりまして、とりわけ飯舘村には月に一、二度伺って、これは文部科学省からも予算をいただいて、研究班としても行っていますし、ボランティアとしても行っていますが、その中で、当然のことながら、住民の方々は非常に怒りや不信や、そういう思いを持っています。とりわけ飯舘などは原発立地としてのメリットは全く受けない中でああいったことになりましたから。  実は、緩和ケアもそういった、原発と比較するということではなくて、あるいは放射線と比較するということではなくて、例えば、「緩和」という言葉など聞きたくないという患者がたくさんいるということは過去においてもお話ししました。それは死という問題に直結するからでありまして、日本人の死生観の問題にも絡むのですが、それはさておき、そういう受け入れがたいというものをどのように向き合っていただくか。受け入れるということではなくて。そこは、当初、我々も住民の方にいわゆる科学的な説明をしてきました。例えば、100ミリシーベルトまでは広島、長崎でもがんの増加は見られません、あるいは100ミリシーベルトは受動喫煙程度ですよと、それは科学的にはファクトなのです。あるいは私が先ほど触れたように、早期からの緩和的な介入をすることによって生存期間が3カ月弱延びる、それもファクトです。ですけれども、それは受け入れられないのですね。 そこは緩和ケアも、あるいは原発事故も同様なところがありまして、そういう意味で、林参考人のお話の中で、実は我々が福島で行おうとしているのがまさに、当事者を巻き込んだ、つまり、住民の苦悩など、あるいはそれを取り巻くさまざまなボランティア、何というのですかね、はき出してもらうというような、上から行くのではなくて、そういったプロセスが緩和ケアの啓発にも必要だろうなということを、今、強く痛感して、そういったやり方をとっていく必要がある。 そういう意味では、松本構成員、前川構成員のような、あるいは他職種の方々、それから、林参考人がケアの重要性に触れておられたのもそうで、原発の問題など、あるいは福島支援は全くケアなのですね。そして、ケアということは、実は医療を超えた問題で、例えば、親子の間のケアとか、あるいは恋人同士のケアとか、皆、同じですね。そういう意味では、ケアというのは非常に間口が広いもので、そこに患者を中心に多くの方が入ってくるということが、多分、緩和ケアの啓発、これはリスクコミュニケーション的な面があるのですが、それにつながるのではないかと思いました。ですから、恐らく緩和医療学会でも、リスクコミュニケーション的な発想を取り入れて、そういった専門家がたくさんいるのですね。原発の問題でも、専門家に教えていただきながらやっていますので、そういう視点を取り入れるべきかなと思いました。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  ほかには。前川構成員、どうぞ。 ○前川構成員 患者の立場からこの御発表を聞きまして、横に細川先生がいらっしゃるのでおとなしく言いますけれども、学会の御努力がすごくよくわかります。でも、この努力と、市民、患者に対して、結果が結びついていないような気がします。私たちは病院でよくチラシとかを見ますが、見ても頭に入らないのですね。頭に入らなくて、素通りしてしまうということがあります。これは立場の違いで、仕方がないことかと思いますけれども、患者の立場として、そういうふうに思います。  それと、20ページ、緩和ケア普及啓発活動の戦略として、2番目に、患者・家族、つらさを訴えてよいこと、治療中から緩和ケアが利用できることと書いてあります。こういうのを見て、チラシでも見たりして、患者というのは期待をします。あっ、こういうふうにしていただけるのだと期待するのですけれども、実際に相談したり、主治医に話したりしても、医療者がこのことを理解して、それに応えることができているだろうか。ということは、期待が裏切られる場合もあると思います。そこのあたりの、普及啓発と現実の問題を今後うまく患者の期待に応えていただけるようにしていただけますか。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  細川先生、どうぞ。 ○細川構成員  構成員としてと緩和医療学会の理事長としての立場からの発言になると思うのですが、実は、今のハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人からのお話は、過去のことも話されました。先ほど林参考人からも話が出ましたけれども、緩和ケアを実務で行っている多くの日本のスタッフがOBPのことをほとんど知らなかったということ、これは私の所属している大学、その周辺でも全く一緒でございまして、過去のオレンジバルーンプロジェクトについては、普及・啓発事業としは完成の域にはとても達していないと考えております。 そのため、厚労省の担当者の方々には御迷惑かけたのですが、昨秋より、今まで計画されていた内容の大幅な変更を行い、今年度からは、さらに足もとつまり、患者、家族、市民を見据えた、つまり緩和ケアというのは患者のものだ現場が大事だという初心にもう一度戻りまして、そういったところから積み上げていくような啓発事業、普及啓発を考え実行するということを開始しました。 今冬、大阪でやりました市民講座におきましては、会場から例年になく患者さんと御家族の発言、ご質問、ご意見がたくさんございまして、これは今回の講演の発表の内容の結果でもあるのですが、そういった直の声を聞くことが出来たことは非常に大事だということ、それはこの事業OBPに参加している緩和ケア学会の人たちにも理解していただけたと思います。結果的にはもう少し先になると思うのですけれども、もう少し時間をいただきまして、OBP:オレンジバルーンプロジェクトというものが名前だけではなく、実質も含めまして緩和ケアの普及・啓発に貢献できるようにしていきます。 ただ、今、前川構成員がおっしゃったようなことは、緩和ケアだけではなく、医療全般というか、社会全般のことだと思うのですけれども、やはり全て人がやることなので、一言で言えば、いい先生もいれば、いい先生でない方もいらっしゃるというところにかかってきます。ただ、いい先生になれるのに知識がないとか、テクニック、コミュニケーション技術を含めてマスターできていない方も多いので、そういった方はどんどん吸い上げていくという形での研修を今後も進めていきたいと考えております。 林先生、お願いですが、先ほどの『新宿オレンジバルーンフェスタ2013』で使用されたグッズのオレンジちゃんもバルーンちゃんもとってもかわいく素晴らしかったのですけれども、来年もオレンジバルーンという言葉を緩和ケアの普及活動に使われるのであれば、実は同じ東京の多くの学会員の方も心配されていたのですが、同じ言葉で違うキャラでは混乱を招くので、ぜひ正規のオレンジバルーンも使っていただけるようにと思うのですが、如何でしょうか。構成員としてと、それから、緩和医療学会の理事長としての発言になると思うのですけれども、実は、今のハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人からのお話は、過去のことを中心に話をしました。先ほど林参考人からも話が出ましたけれども、スタッフがOBPのことをほとんど知らなかったということ、これは私の所属している大学、その周辺でも全く一緒でございまして、過去のオレンジバルーンプロジェクトについては、むしろうまくいっていなかったと考えております。 それによりまして、昨年の秋ぐらいからいろいろと、厚労省の方々には御迷惑かけたのですけれども、今まで計画されていた内容の変更なども行いまして、次年度に向かって、もう少し足もとを見据えた、本来、緩和ケアというのは患者のものだという発想にもう一度戻りまして、そういったところから積み上げていくような啓発事業、普及啓発を考えていくということをやり始めたわけです。 ことし大阪でやりました市民講座におきましては、会場から例年になく発言がたくさんございまして、これは発表の内容にもよると思うのですけれども、そういった直の声を聞くことが非常に大事だということも、この事業に参加している緩和ケア学会の人たちも大分理解していただいたところもございます。ですので、結果的にはもう少し先になると思うのですけれども、もう少し時間をいただきまして、オレンジバルーンプロジェクトというものが名前だけではなく、実質も含めまして普及していくようにしたい。 ただ、今、前川構成員がおっしゃったようなことは、緩和ケアだけではなく、医療全般というか、社会全般のことだと思うのですけれども、やはり全て人がやることなので、一言で言えば、いい先生もいれば、いい先生でない方もいらっしゃるというところにかかってきます。ただ、いい先生になれるのに知識がないとか、テクニック、コミュニケーション技術を含めてマスターできていない方も多いので、そういった方はどんどん吸い上げていくという形での研修を今後も進めていきたいと考えております。 林先生、申しわけないのですけれども、先ほどのグッズのオレンジちゃんもバルーンちゃんもかわいかったのですけれども、来年からぜひ正規のオレンジバルーンも使っていただけるようにとお願いしたいのですけれども、よろしいでしょうか。 ○林参考人 当初、それを考えたときに、非常に申しわけないですが、誰一人賛成しなかったのですね。別にデザインがどうこうということではないのですけれども、自分たちの気持ちを伝えたいキャラはこれではないと。あのキャラも、イラストレーターにはつくっもらいましたが、何度も修正して、みんなの気持ちを込めたキャラで、非常に申しわけないですけれども、それを変えるつもりはありません。 ○細川構成員 良くわかりました。 わかりました。ありがとうございました。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  武藤構成員、どうぞ。 ○武藤構成員  どうもありがとうございます。こういった活動は大変重要だということを理解した上で、効果の評価について考える必要があると思います。もちろん、何をしたか、それに対する人々の声はどうであったか、メディアでの紹介例などは取りまとめておられると思います。それらをより有効に活用するためにも、これらの活動の成果とはなにか、それはどのように測る(評価する)のか、ということを予め設計し、客観的に効果検証し「いったいその活動がどのような効果であったのか」を、定性・定量的に検証すべきであると思います。そのような試みで、限られた財源と資源をより効果的に活用し、有益な施策を推進していくことが重要であると思います。  もう一つは、新宿のケースは少し別かもしれませんが、やはり興味のある方が参加されているということで、バイアスがかかったサンプルになってしまっているのではないかという印象を持っています。興味がなく、当事者意識・参加意識が低い人たちの存在も認識して、どのようにアプローチすべきかを考え、施策化する必要があります。  最後に、「がんと診断された時からの緩和ケア」ということを考えますと、医療従事者に対する教育がより重要であると感じます。1億人の国民の方たちへの直接の啓発やケアはもちろん大切なのですが、その方々と直接対面していく医師や医療従事者への「がんではないか、もしくはがんになって来院された当初から」緩和ケアを提供する教育は大変重要であることは、これまでの議論でも確認したとおりです。再度重要性を確認させていただきました。  以上です。どうもありがとうございます。こういった活動はものすごい大事だということを理解した上で、どうやって効果を評価していくのかということが、もちろん、何をしたということは書かれておられると思いますし、実際の行為、例えば、新宿のイベントもそうだと思いますが、人々の声ですとか、あとはメディアということもあろうかと思いますが、それも含めて、やはりある程度、評価の軸を決めていかないと、確かにお金もリソースもない中で、幾らやっていても、結果に結びつくのかというような話もありましたので、このあたりをきちんと議論をしていくべきなのではないかと思っています。  もう一つは、新宿のケースは少し別かもしれませんが、やはり興味のある方が参加されているということで、いわゆる一般の人の代表というか、バイアスがかかったサンプルになってしまっているという面もありますので、全く興味がないというか、自分のことと思っていない人たちに本当にアプローチできているのかという、そういった疑問があります。  最後に、最初のときからの緩和ケアということを考えますと、医療従事者に対する教育がより重要なのかなという気がいたしまして、1億人の国民の方たちにいろいろとケアすることも大事なのですが、患者様が、がんではないか、もしくはがんになって来られたときに、きちんとそこからケアができるように、医師の教育もやっていく。これはもちろんなされていると思いますが、今、先生もお話ありましたように、いろいろな先生がいらっしゃるのも事実ですから、がんとかかわった人たちが本当にきちんとした緩和ケアを受けられるところが、ある意味、効率という言葉で言ってよいのかわかりませんが、きちんとお金をかけるところでもあるのかなと思いました。  以上です。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  田村構成員、どうぞ。 ○田村構成員 ありがとうございます。啓発というと、大きなマスを想定していくという感じではあるのですけれども、緩和なんてばかにするなということをおっしゃる人と毎日向き合っていて、情報がその方に届いていないということをいつも思うのです。そのときに、先ほど林先生がおっしゃった、患者にかかわっているスタッフ1人1人が、本当にその人にきちんと緩和を伝えられるというか、あと、伝えたときに、この人が伝えてくれていることだと、聞いてもいいというか、受け入れがたいことに向き合うということの橋を渡せるようなスタッフをつくっていくというか、医療にいる人をそういうふうにするということが、1つ1つの接点において着実に啓発されていくのではないかというのを、いろいろな医療者とのやりとりを経て、いろいろな受けとめを持ってきた方と毎日お話を、相談を受けていると、その辺を痛感するのですね。それをどんなふうな形で地道につくっていくかというところが本当の啓発なのではないかと思います。 ○花岡座長 ありがとうございます。  小松構成員、どうぞ。 ○小松構成員 非常に積み重なってきた活動かなと思っていて、私も日本看護学会のメンバーですので、一緒にやってきていて、市民公開講座等々行っておりますが、やはり課題もあるかなと思っております。教育に関しては、私ども、大学で、3学合同といって、医学部、看護医療学部、薬学部というふうにチーム医療を考える教育をたくさんやっているので、そういうところでこういう啓発的なことを入れていったらどうかなと。少しターゲットを絞りながら、効果というのは非常に難しいので、やはり種をまきながらやっていくという部分も必要かなと思って、そこのところも焦点化も少ししたらいいかなというのと、あと、組織として、林参考人がおっしゃったように、人的な資源というのがもっと広がったほうがいいかなと思っていて、今、医療系の学会だけですけれども、福祉とか、少し領域を広げていきながら、あるいは当事者の視点という意味合いで、考えるところ、アイデアを出すところも患者会等々にお声をかけて入っていってつくっていくことも、セカンドステージということですので、あってもいいのかなと思いました。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  川本構成員、どうぞ。 ○川本構成員 このたび今回から参加さ入らせていただきましたので、普及活動の経緯とか、よくわかりました。ありがとうございました。  最初に診断からということで普及活動に力を入れていらっしゃるということですが、診断する場に一番身近におりますのは看護職だと思っております。ただ、看護職も、いろいろな疾患等を勉強しなければいけませんし、がんの緩和ケアに関しましても、最近、かなり変わってきて、いろいろな状況の変化の中で、知識が追いついていかないようなところもございますので、。やはり継続教育といいますか、そういうところをどうすべきかということで、私たちもその辺のところ点に力を入れながら今後は頑張っていきたいなと、改めて感じました。そういうことで寄り添っていけるのではないかと思いますし、失望させない最初の取り組みといいますか、出会いができるようにというものをぜひ考えていきたいなたいと思いました。どうもありがとうございました。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  松本構成員、どうぞ。 ○松本構成員 先ほど武藤構成員が御発言になった中に、評価というものについて考えていくべきではないかという御発言がありましたけれども、この評価ということについてお尋ねさせてください。武藤構成員にお答えいただくのがいいのか、ハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人にお答えいただくのがいいのかわかりませんけれども、OBPについて、何らかの評価について、これまで検討なされたことがあるのかということを教えていただけますか。 ○花岡座長 ハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人、どうぞ。 ○ハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人 2008年度と2010年度に、一般市民に対する郵送調査を実施しております。認識度調査ですね。過去2回実施しております。 ○花岡座長 それで、いかがでございますか、結果的に。 ○ハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人 調査の一部分ですが、「緩和ケア」という言葉の認知についてという質問に関してですが、言葉を知っていて、その内容も知っているということにつきましては、第1回目の2008年度の調査では、23.1%の方がその言葉を知っている、2回目の調査では19.9%の方が言葉を知っていて、その内容も知っているという結果がでております。そのような過去の調査データがあります。「緩和ケア」という言葉の認知についてということですけれども、言葉を知っていて、その内容も知っているということですけれども、第1回目の2008年度の調査では、23.1%の方がその言葉を知っている、2回目の調査では19.9%の方が言葉を知っていて、その内容も知っているという結果とか、そういったデータはあります。 ○花岡座長 これはソースは違うのですか。対象。 ○ハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人 対象は一緒です。 ○花岡座長 そうすると、パーセントが下がっているのですか。 ○ハマ(さんずい、「うかんむり」に「屓」)参考人 そうですね。1回目より2回目のほうが下がっています。対象は全く一緒ではないですけれども、調査方法がは一緒です。 ○花岡座長 対象は一緒ではないですね。  中川構成員、どうぞ。 ○中川構成員 先ほどの武藤構成員の御発言に関連するのですが、1つ、アウトカムのところですね。指標というのが必要だと、それは全くそのとおりで、それは、もちろん「緩和ケア」という言葉の認知度ということもあるかもしれませんが、一義的には緩和ケアの質ですね。それについては、がん対策推進協議会の中でも、今、QOL指標というのを議論しています。それについては、私を含めて協議会の委員の中でもさまざまな意見があるのですけれども、これは事務局側に、特に岡田推進官にお尋ねしますが、今後、あの問題はどうしていかれるおつもりですか。QOL指標の扱いですね。 ○岡田がん対策推進官 QOL指標については、協議会の中で御意見をいただきながら検討していく予定にしていまして、前回いただいた御意見もありますので、またパイロット調査というものをやらせていただいて、その結果を踏まえて、どういった指標をまず設定していくかというふうに進めていきたいと思います。 ○中川構成員 協議会の中でも申し上げましたが、もう少し緩和ケア的な部分が入っていくべきではないかと、私は個人的にはそう思っています。  もう一つ、武藤構成員がおっしゃっていた、どのあたりをターゲットにして啓発、あるいは教育をしていくかということに関して、もちろん医療者は非常に重要なのですね。ただ、私、緩和ケアをやってきましたが、放射線治療がメーンフィールドでございまして、これまた非常に日本はおくれてきたのですね。日本ですと、がん患者の延べ4人に1人から、最近、3人に1人ぐらいになってきましたけれども、アメリカだと3人に2人ですから、欧米の半分なのですね。しかも10年で倍増してきているということは、昔はもっと少なかったのです。これをいかに国民なり、患者なりに啓発していくかというのも非常に大きなミッションだったのですが、そこで当初やっていたのは、もちろん医療者に対して、とりわけ意思決定者である外科の先生にもっと放射線治療を知ってもらう。ところが、それは全く無効でした。それはそうですね。外科の先生方は手術をしたいのですから。トヨタのセールスマンに日産車を勧めろということですよ。それは無理なのですね。 要するに、車を買いたい方が、トヨタ以外にも車は売っているぞということを知ってもらうことが先決で、ですから、結果的には、市民ないし患者に、手術以外にも選択肢があるということをお伝えするのが最も成功したと私は思っています。ですから、両方とも要るのですね。ですので、林先生がなさっているような取り組みも結果的にはよくて、市民がケアに関心がない国では、緩和医療、あるいは緩和ケアがよくなるはずはないのです。逆に言うと、緩和ケアがよくなったということは、この国のケアのあり方、つまり、人間の質が高まるということなのですね。ですから、この領域の話は非常に重要で、やりがいがある啓発なのだろうというふうに常々思っています。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  武藤構成員、どうぞ。 ○武藤構成員  ありがとうございました。今回、林参考人の話を伺って、一般の方が新宿でいろいろな新しい知識を得たということは改めて活動の意義を感じましたが、さらに言えば、ソーシャルキャピタルへ着眼することは大変重要であると思っています。私どもも震災後、被災地石巻での医療や被災者支援活動、コミュニティ再構築に取り組む中で実感しております。例えば、医療や介護従事者や、保健師などの行政機関の方々などが、共通の意識を持ち、うまく連携関係を構築したときには、その人たちが新しい力となって、ネットワーク外の関係者や住民の方々へ伝えていきます。さながら伝道師のようになって広がり、その輪が大きくなっていくという循環です。もちろん市民講座をやることも大事なのですけれども、伝道師のネットワークで、前述の手法ではアプローチできない方たちに草の根的にアプローチをできるということもわかりました。資料を読ませていただくと、皆さんがすごくモチベートされているので、多分、そのエネルギーはどんどんと外に向かって、いい形で広まっていくのだろうなと思いました。市民への啓発とあわせて、おっしゃったようなネットワークをつくるような仕掛けがあると、二次的、三次的に広がっていく相乗的な効果が生まれるように思いました。すでにお考えであり、アクションを起こされているかもしれませんが、私の経験からお話させて頂きました。どうもありがとうございます。 ありがとうございました。今回、林参考人の話を伺って、もちろん一般の方が新宿でいろいろな新しい知識を得たということも大きいと思うのですけれども、おっしゃったソーシャルキャピタルの面というのはすごく大事なのだろうなと思っています。私どもも石巻で被災者の方の支援をしていますけれども、もともとある、例えば、ケアマネジャーや、医師や、行政の方々などが本当にうまく連携をしていったときに、その人たちがまた新しい伝道師のようになって広がっていく。もちろん市民講座をやることも大事なのですけれども、伝道師のネットワークができることで、今までアプローチできない方たちにすごくアプローチをできるのだなということもわかりましたし、資料を読ませていただくと、皆さんがすごくモチベートされているので、多分、そのエネルギーはどんどんと外に向かって、いい形で広まっていくのだろうなと思いました。もちろん市民への啓蒙ということとあわせて、おっしゃったようなネットワークをつくるような仕掛けがあると、二次的、三次的に広がっていく相乗的な効果が生まれるように思いました。どうもありがとうございます。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  林参考人、どうぞ。 ○林参考人 今、言っていただいたことは非常に重要だと思っていまして、今回、新宿でやったら、次は中野でやりたいという、次の私があらわれていただいて、それが広がっていくということがすごく重要だと思うのですね。モチベーションは人間を動かすもの、例えば、医療費を1.2倍、1.5倍上げようと思ったら、すごい大変なことですけれども、モチベーションを1.2倍上げるというのは、ちょっとしたことで変わってくる。そうすると、一気に変わってくる。御紹介申し上げた杉並区の理事の方などは、本当に及び腰だったのが、どんどん、どんどん、いろいろなことを、今度は教育までやるぞと言ってくださったりして、そういう波及効果はものすごくあると思うのですね。ですから、点だったものをいかに面につなげるかという努力にもうちょっと傾注していく必要があるかなと感じます。 ○花岡座長 どうもありがとうございます。  川本構成員、何かございますか。 ○川本構成員 教育をのほうにこれから頑張っていきたいなと思っているのですけれども、そのときにモチベーションというのはすごく大事な点だと私も思っております。先生が100人近い方のをモチベーション下げずにやっていかれたのは、私は逆に4カ月というよふうに限定されていたからかなという気持ちもするのですが、その辺の期間の問題とか、はどうですか。また100人近い方たちのモチベーションを下げないでそこを維持できたというところ点で、難しいとは思うのですがけれども、コツみたいなところ、先生がこれだったなということがあれば教えていただきたいのです。 ○林参考人 要は、我々が認知していないリソースだったということだと思うのですよ。最初、自分でいろいろ把握しようとして、無理だと思って、いろいろな人に割り振ってみたということを言いましたけれども、普通にケアマネの人1人に責任者になってくれ、全部やってくださいと言ってしまっているわけですけれども、そういうのはちょっと不安もあったりしますが、実はその人たちがものすごいいいことをやってくださる。実際に掘り起こされていないリソースがたくさんあって、そこをちゃんと掘り起こしてあげることで主体性が出てきて、みんなが主役であると、自分のイベントであることを意識した。その辺の当事者意識ではないかなと思います。こういった啓発活動は当事者意識がないと絶対広がっていかなくて、だから、当事者意識にするための啓発が必要で、今、おっしゃった、まさに伝道師をつくることだと思うのですね。伝道師が1人でもふえるような方向に、こういう協議会や学会なども動いていただくと、ちょっと変わるかなと。物を配っただけでは何も変わらないと思います。 ○花岡座長 よろしゅうございますか。  池永構成員。 ○池永構成員 林参考人から本当にいろいろなことを教えていただきましたが、「緩和ケア」という言葉だけを伝えるのではないということ。なおかつ大事なのは、つらさを訴えることができる、また、訴える先を市民の方、患者の方がわかるということ、なおかつ訴えを受けとめることができる我々でないといけないということ。もちろん、普及啓発の中で、訴えることができる、訴えてほしい、また、訴えることは可能なのだということを伝えるという働きの一方で、オレンジバルーンフェスタでもありましたとおり、ネットワークづくり、訴えを受けとめることができるのを連動させてやっていかないといけないということが、お2人からいただいたメッセージなのではないかと思っています。普及啓発と、あとネットワークをつくることによって地域連携を深めていく。訴えていただく側と、訴えを受けとめる側をしっかりとアウトカムにして進めていくということが、今後、普及啓発と地域連携とネットワークづくりにおいて大変大事なことなのだなと感じました。ありがとうございました。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  ほかにはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。  それでは、次の議題に進めたいと思います。事務局から資料5の「今後の進め方(案)」につきまして説明をお願いしたいと思います。これにつきましては、昨年9月に行った中間取りまとめ以降の検討会での議論を踏まえまして、今後の進め方について議論するための資料として作成していただいております。お願いいたします。 ○事務局 それでは、資料5を御確認ください。「今後の進め方(案)」といたしまして、これまでの議論の整理と今後の進め方という形で記載をしております。  これまでの議論ですが、昨年9月に基本的緩和ケアに求められる方策と緩和ケアセンターの整備ということで中間取りまとめを定めました。その後、緩和ケアセンターの具体的推進方策であったり、拠点病院に求められる緩和ケアの提供体制、そして緩和ケアに関する研修体制というところで個別の取りまとめを行ってきたところです。その後、続いて、地域連携や普及啓発についても議論を行っているところです。  裏のページを見ていただきたいのですが、今後の進め方として3点、提案させていただきたいと思います。 まず、本日、第11回の緩和ケア推進検討会を開催しておりますが、昨年9月の中間取りまとめ以降、各個別の議論を行ってきたというところがありますので、こういったところを具体的施策へ反映させることも見据えて、改めて次回の検討会等を用いて中間的な取りまとめを行うこととしてはどうかというのが、まず1点目でございます。  そして、左側の緩和ケア推進検討会というところを見ていただきたいのですが、これまで議論を行ってきたこと、検討してきたことを受けて、いろいろな施策を拠点病院を中心として出してきた経緯がございますが、そういったものが実際の医療現場でどのように進められているかを把握して、まだ残されている課題を抽出することを目的として、検討会のもとにワーキンググループを設置して、拠点病院の実地調査を行ってはどうかと考えております。  また、右側の研究班と記載をしているところでございますが、現在「がん診療体制のあり方に関する検討会」で、がん診療提供体制におけるPDCAサイクルをどう確保するか、確保することを目的として、国と都道府県が役割を分担して、拠点病院の実地調査を行うことが必要ではないかということが議論をされているところでございます。拠点病院における緩和ケアのPDCAサイクルの構築へ向けて、最適な具体的手法を明らかにすることを目的として研究班を設置して、この検討項目に掲げているような項目に関する検討を開始してはどうかということを考えております。そして、この検討会ワーキングと研究班が互いに連携をして、例えば、実地調査におけるチェック項目を研究班で検討するであったり、現場の現状について研究班に還元するであったり、そういった連携を持ちつつ進めてはどうかということを提案させていただきたいと思います。  以上です。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  では、提示がございました今後の進め方につきましての御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。  松本構成員、どうぞ。 ○松本構成員 ありがとうございました。今の御提案を拝見しますと、研究班でチェック項目などをつくり、ワーキンググループが実際に行ってチェックをするということで進めていかれるのだと思うのですけれども、そうすると、この検討会はどうなるのだろうというか、研究班とワーキングだけで何かが進んでいってしまうのだろうかということを思うのですが、そのあたり、全体で見ていくというのはどういうふうになるのでしょうか。 ○事務局 裏のポンチ絵の緩和ケア推進検討会の縦の軸で見ていただければと思うのですが、ワーキングというのはあくまでも検討会のもとに設置をするもので、これまで検討会は今回で11回の議論を重ねてきて、基本計画に掲げられているような項目について議論を行ってきたということがございます。そういったことを受けて、残された課題としてどういうことがあるかというのをワーキングで抽出をする。それを検討会にまた持ち帰って、実地調査の報告というのも、検討会へという言葉が資料にあればもっとわかりやすかったかもしれませんが、検討会へ報告をして、検討会で続いて議論をしていくための課題を洗い出していくというふうな整理で考えております。 ○花岡座長 松本構成員、よろしゅうございますか。 ○松本構成員 はい。 ○花岡座長 ほかにはいかがでございましょうか。  今後の進め方としては、この案をもとに動きたいと思いますが、よろしゅうございますか。 特に御意見ないようでございますので、御意見ありがとうございました。それでは、この件につきましては、座長一任とさせていただきまして、次回の検討会で報告させていただくことにしたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○花岡座長 どうもありがとうございました。  それでは、時間も迫っておりますので、今回の議論はここまでにしたいと思います。次回の検討会までに、これまでの議論を踏まえまして、事務局にて中間取りまとめに関する資料を作成していただきたいと思います。また、今回検討会の資料につきましては、極力早目に、事務局より構成員の先生方に事前に提示していただくようにお願いしたいと思います。  そのほか、事務局から連絡事項ございますでしょうか。 ○細川構成員 その他の項目でよろしいですか。 ○花岡座長 どうぞ。 ○細川構成員  先ほどアウトカムの問題が非常に重要だという御意見が出されました。正直に言いますと、オレンジバルーンにかなり力を入れてやってきたつもりなのですけれども、出されたアンケートで、逆に認知率が下がっていたという結果で、正直がっかりいたしました。何か非常にすばらしいと思ってやっていても、実際に結果としてそれがどう出てくるかというアウトカムの判定、評価は、困難なものがあります。逆にこのようなアウトカムをはかる指標というものが、かなり精密なもの、つまり、日本国内の一部の研究者とか、一部のグループによるものではなく、研究として世間に出した場合、今後、世界的にも評価のツールとして使えるようなコンセンサスと学問的に練られたものなければ意味がないと思います。 厚労省も既にそういうことは以前から、考え実行しておられまして、3年前の指定研究によりまして、“がん患者の緩和ケアの質の指標に関しての研究”を既にやってきておられます。 そのときに厚労省から求められた内容というのは(1)がん患者の生活の質が総合的に正しく評価可能であることと、(2)毎年実施可能であること。つまり、ある程度の費用でできるということ、それから、(3)全国の代表性があること、でありまして、そういったものを用いた受療行動調査のサンプリングが行われ、実は、既に論文として出されております。 こういったアウトカム調査を継続してやっていくことになりますと、厚労省の指導、行政指導ということが実際に必要になると思います。そういった中で、緩和ケアの普及により実際にがんの痛みを持っている患者さんにどのようにアウトカムがなされているかということについての調査は正に必要と考えます。緩和ケアの臨床をやっておられる医療者には自明のことですが、痛みだけを抽出することで緩和ケアを評価するということは無理なことで、同じように痛みの患者を治療するペインクリニックや痛みの研究の世界では、極めて主観性の高い痛みを客観的に評価したいという思いは、何十年、何百年も続いているのですが、結果的にはいまだにうまくいっていません。 そういった中で、現在、世界のこういった部門の専門家、緩和ケアの専門家たちのコンセンサスとして求められていることとして、(1)患者自身が痛みの強さの評価をすること、(2)その評価の方法が信頼できることが国際的に確認されていること、(3)サンプリングが常に代表性のあるサンプリング、つまり、全国の代表性のあるサンプリングであることと規定されております。こういったことを踏まえた研究でなければとても世界に発信はできないわけです。実は、緩和医療学会の前理事会におきまして、これを検討していく研究班をワーキンググループで組織することが決まりました。かなり経費もかかることですので、何らかの科学研究費等々でやっていく形になると思うのですけれども、話を進めております。ただ、コンセンサスはあるものの、現在、それと全く同じサンプリングで行われたアウトカム評価は全世界的にはまだほとんど出されていないので、比較はすぐには困難と考えられます。しかし、いずれ各国、各地域からそのようなデータが出てきたときに備え、研究を進めておけば、そこで初めて本邦における緩和ケアというものの現状が世界的にどのようなものかを印象ではなく客観的に把握できると思います。このため、何かの折には御協力をお願いすることがあると思いますので、そのときはどうぞよろしくお願いいたします。先ほどアウトカムの問題が非常に出されました。正直に言いますと、オレンジバルーンにかなり力を入れてやってきたつもりなのですけれども、出されたアンケートで、逆に認知率が下がっていたということで、がっくりしたものがあります。ですから、非常にすばらしいとやっていても、実際に結果としてそれがどう出てくるかというところはなかなか難しいところがあるということは、逆に言えば、そういったアウトカムをはかる指標というものが、かなり精密なもの、つまり、日本国内とか、一部だけではなく、もし出した場合、今後、世界的にも評価のツールとして使えるようなものでなければいけないという観点はあったわけでありまして、実は、厚労省のほうも既にそういうことは考えておられまして、3年前の指定研究によりまして、がん患者の緩和ケアの質の指標に関しての研究を既にやってきております。 そのときに厚労省から求められた内容というのは、がん患者の生活の質が総合的に正しく評価可能であることと、毎年実施可能であること。つまり、ある程度の費用でできるということ、それから、全国の代表性があることになりまして、そういったものを用いた受療行動調査のサンプリングを行いながら、実は、こういったものも既に論文として出されているわけであります。 ただ、こういったものを継続してやっていくことになりますと、厚労省指導、行政指導ということが実際にあると思うのですね。そういった中で、がんの痛みを持っている患者がどのようにアウトカムがなされているかということについて、何をもってかという話になるのですが、実際には痛みだけを抽出することは緩和ケアでは難しいことと、ペインクリニック、つまり、痛みの研究の世界では、極めて主観性の高い痛みを客観的に評価したいという意見は、何百年たったのですけれども、結果的にはいまだにうまくいっていないところがあります。 そういった中で、現在、世界のこういった部門の専門家、緩和ケアの専門家ですけれども、求められることは、患者自身が痛みの強さの評価をすること、その評価の方法が信頼できることが国際的に確認されていること、サンプリングが常に代表性のあるサンプリング、つまり、全国の代表性のあるサンプリングであることが規定されております。こういったことを踏まえまして、実は、緩和医療学会の昨秋の理事会におきまして、これを検討していく研究班をワーキンググループで組織いたしまして、かなり経費もかかることですので、いずれ科学研究費等々でやっていく形になると思うのですけれども、そういったものを一度出す。ただ、それを出しても、現在、それと全く同じサンプリングといいますか、アウトカムが、全世界的にはまだ出されていないのですけれども、いずれ出てきたときに、同じような評価の対象に、土俵に上がりまして、そこで初めて本邦における緩和ケアというものの現状をもう一度把握できるようにということをやりたいと考えておりますので、また何かの折には御協力をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。 事務局のほうはよろしゅうございますか。どうぞ。 ○岡田がん対策推進官 次回、第12回緩和ケア推進検討会の日程につきましては、皆様方の御都合を伺い、速やかに御連絡をさせていただきます。  事務局からは以上でございます。 ○花岡座長 どうもありがとうございました。  それでは、時間が少し早目でございますけれども、本日の検討会を終了したいと思います。構成員の皆様、参考人の皆様、長時間にわたり、まことにありがとうございました。


(了)

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