ホーム> 報道・広報> 報道発表資料> 2010年10月> (独)労働政策研究・研修機構(JILPT)による日系人労働者の就労実態調査結果(速報)の概要について



平成22年10月15日

職業安定局 派遣・有期労働対策部

外国人雇用対策課

課   長 野口 尚

課長補佐 前田 奈歩子

(代表電話) 03-5253-1111(内線 5765)

(直通電話) 03-3502-6273

(独)労働政策研究・研修機構(JILPT)による日系人労働者の就労実態調査結果(速報)の概要について

~「世界同時不況後の産業と人材の活用に関する調査(事業所調査)」及び「外国人労働者の働き方に関する調査(労働者調査)」の結果(速報)の概要について~


 日系人をはじめとする定住外国人労働者については、派遣・請負といった不安定な雇用形態で働く者を中心に、世界的な不況の影響により厳しい雇用調整の対象とされた。依然として厳しい雇用情勢の下、これらの者は日本語能力の不足等により極めて厳しい就職環境にあるが、その多くがこのまま日本に定住を希望する傾向がある。厚生労働省は、リーマンショックの影響が残る現在も就労している日系人労働者の実態を把握することにより、失業中の者を含めた日系人労働者に対する就職支援を実施する基礎資料とするため、独立行政法人労働政策研究・研修機構に対し上記調査の要請を行った。今般、その調査結果が速報として取りまとめられたので、参考配布する。


【調査結果(速報)のポイント】

【1.事業所調査】

(調査の概要)
 外国人が多く居住している地域にある従業員10人以上の民営事業所約2万所を対象にアンケート調査を実施、有効回答を得た2305か所について集計を行った。

( 結  果 )
 外国人を「活用したことがある」のは約2割。
「活用していない(したことがない)」理由の第一位は、「日本人だけで求人数を確保できたから」(58.4%)。また、「外国人労働者を活用している(したことがある)」事業所での仕事内容は「生産工程・労務の仕事」が6割弱である。
 経営方針としては、外国人について「活用の予定がない」が約3分の2。
何らかの形で外国人を活用しようとする事業所は少なく、雇用形態、仕事内容にかかわらず、「活用の予定がない」が、全体の約3分の2を占める。
 雇用した外国人の仕事ぶりに対しては肯定的評価が3分の2。
  実際に雇用した外国人の仕事に対しては、「期待以上」(8.7%)と「期待通り」(56.0%)をあわせると、全体の約3分の2が肯定的に評価をしている。
 外国人を採用する場合は、「仕事上必要な日本語能力を求める」が約8割。
事業所が求める日本語能力は相対的に高く、より正確な意思疎通ができるレベルが求められている。「仕事上必要な日本語(専門用語を含む)が話せる」(32.3%)、「仕事上の指示を理解できる」(47.2%)を合わせると約8割を占める。


【2.日系人労働者調査】

(調査概要)
 事業所調査で対象とした外国人を雇用している事業所を通じて、日系ブラジル人労働者、日系ペルー人労働者を対象としてアンケート調査を実施、有効回答を得た43人分を集計した。

( 結 果 )
 回答者の平均年齢は42歳、配偶者がいる割合が7割強。
回答した日系人労働者の平均年齢は42歳で配偶者がいる割合が7割強、子どもがいる割合は約3割となっている。日本での平均滞在年数は14年、平均就労年数は13年となっている。
 事業所が求める日本語読解能力を有する日系人労働者は約3割。
~企業が求める日本語能力と日系人労働者の日本語能力にギャップ~
日本語能力のうち、特に読解能力において、事業所の過半数が「仕事上必要な日本語を読むことができる」もしくは「漢字を読むことができる」能力を求めているのに対し、日系人労働者のうちこれらの能力を有するのは約3割であり、事業所が求める日本語能力と日系人労働者の日本語能力にはギャップがある。
 仕事内容は前職・現職とも「生産工程・労務の仕事」に従事する者が約6割。
仕事内容は「生産工程・労務の仕事」(38.1%)で最も多い。また、仕事内容を前職と現職で比較した場合、前職・現職とも「生産工程・労務の仕事」となっている者が約6割である。
 就業形態は間接雇用から直接雇用にシフトしているが不安定雇用が5割弱。
前職では「派遣、請負社員」で働いていたものが最も多かったが、このうち現職でも「派遣、請負社員」で働いている者は約6%であり、「パート、アルバイトなど」が5割、「正規従業員」が約3割となっている。就業形態は間接雇用から直接雇用にシフトしているが、総計でみても「パート、アルバイトなど」不安定な就業形態が多い(45.9%)。
 前職と現職を比較すると賃金が減少した者が6割強。
賃金は「20万円以上25万円未満」が最も多く約3割、前職と現職の賃金を比較すると6割強の者の賃金が前職より低下している。
 離職期間は「貯蓄の切り崩し」もしくは「家族の収入」で生活した者が約8割。
離職期間中は、「貯蓄の切り崩し」(45.8%)、「家族の収入」(33.3%)、「失業等給付」(12.5%)などによって生活している。また、離職期間中に資格の取得や能力開発を行った日系人労働者は少ない。
 公的年金に未加入の者が4割以上。
健康保険については6割以上の者が加入しているが、約1割の者は未加入。公的年金については半数以上の者が加入しているが、4割強の者は未加入。

ホーム> 報道・広報> 報道発表資料> 2010年10月> (独)労働政策研究・研修機構(JILPT)による日系人労働者の就労実態調査結果(速報)の概要について

ページの先頭へ戻る