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平成22年1月27日

医薬食品局 食品安全部 企画情報課 国際食品室

室    長 猿田

担    当 井関、星野(内線 2407、2408)

(代表電話) 03-5253-1111

(夜間直通) 03-3595-2326

報道関係者各位


第42回「コーデックス連絡協議会」の概要について


厚生労働省と農林水産省は、平成22年1月19日(火曜日)に、第42回「コーデックス連絡協議会」を三田共用会議所大会議室において開催しました。主な質疑応答事項及び意見は以下のとおりです。


1 経緯

(1) 厚生労働省及び農林水産省は、コーデックス委員会※の活動及び同委員会での我が国の活動状況を、消費者をはじめとする関係者に対して情報提供するとともに、検討議題に関する意見交換を行うためコーデックス連絡協議会を開催しています。

(2) 今回は、2009年9月から11月にかけて開催された5つの部会の主な検討議題の報告と、2010年2月から5月にかけて開催される、8つの部会の主な検討議題の説明を行い、意見交換を行いました。

※コーデックス委員会(Codex Alimentarius Commission)とは、1963年にFAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で設立した政府間組織であり、消費者の健康を保護し、公正な食品の貿易を保証するために、国際食品規格(コーデックス規格)や基準・実施規範・ガイドラインなどを勧告しています。

2 質疑応答及び意見交換の主な内容

(1)第30回魚類・水産製品部会
・議題7の「くん製魚、風味付けされたくん製魚、乾燥くん製魚の規格原案」に関して、PAH(多環芳香族炭化水素、Polycyclic Aromatic Hydrocarbons)はくん製する過程で付着するものなのかとの質問に対し、PAHはくん製製造に使うチップを燃やすと発生するものであることを説明しました。また、PAHが製品にできるだけ付着しないようにするための方法は、既に策定された実施規範に記述されている旨説明しました。

・くん液に含まれる不純物としてのPAHについて、FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA、The Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives)において基準は設定されているのかという質問に対し、2001年に評価がなされており、ベンツピレンで 2μg/kg を超えないこととされている旨説明しました。

(2)第3回抗菌剤耐性に関する特別部会
・本件に関連して、リスク管理機関として、厚生労働省及び農林水産省が協力して国内における耐性菌の問題に対応して欲しいとの意見がありました。

(3)第15回生鮮果実・野菜部会
・議題3(b)の「リンゴの規格案」に関し、既に国際流通が進んでいる中で国際規格を策定する必要があるのかとの質問に対し、規格策定にあたっては、輸出する立場から、過度な規制によって流通が妨げられないよう対応してきた旨回答しました。

(4)第31回栄養・特殊用途食品部会
・議題4の「栄養表示ガイドラインに則った表示を目的とした栄養参照量(NRV、Nutrient Reference Values)の追加あるいは改訂原案」に関して、NRV策定にあたり、栄養素の生体内での利用効率等栄養学的な体内動態も考慮すべきではないかと指摘されたことに対し、生体内での利用効率を考慮したNRV案となっている旨説明しました。

・議題8の「非感染性の病気のリスクに関連した栄養素の栄養参照量(NRV)に関する討議文書」に関して、非感染性の病気への対策は栄養面のみでよいのか、という質問に対し、生活習慣病対策においては、本作業の根拠となったWHOのガイドラインにもあるとおり、食事だけでなく運動といった観点も重要であることを踏まえて対応している旨説明しました。

(5)第41回食品衛生部会
・議題4の「鶏肉中のカンピロバクター及びサルモネラ属菌の管理のためのガイドライン原案」に関して、EU(欧州連合)域内でと体への活性塩素使用について消費者の間に根強い反対がある背景は何かとの質問に対し、活性塩素使用により塩素に耐性を持つ微生物が出現する可能性を示すとの研究結果が出ている点などを考慮し、塩素使用への反対があるのではないかと考えられる旨説明しました。

(6)第9回乳・乳製品部会
・プロセスチーズの規格について、作業の中止ではなく引き続き議論する余地はあるのかとの質問に対し、長年に渡り議論されてきたが、国際的に流通しているプロセスチーズは多種多様で、各国が合意できる統一的な規格を策定することは極めて困難であり、作業中止もやむを得ないと考えている旨回答しました。

・議題5の「乳・乳製品規格におけるアナトー抽出物の最大使用量」に関して提出されたEUからのコメントの内容について質問があり、EUのコメントは、アナトー色素※※の最大使用量について、可能な限り低くすべきとの観点から提出されたものと認識している旨回答しました。また、日本国内においては、アナトー色素の成分規格の設定について力を入れてほしいとの意見がありました。

※※アナトー色素は、ベニノキの種子の被覆物から得られた、ビキシン及びノルビキシンを主成分とする着色料(食品添加物)です。

(7)第31回分析・サンプリング法部会
・議題3の「バイオテクノロジー応用食品中の特定DNAシークエンス及び特定タンパク質の検出、同定、定量に関する分析法の規準についてのガイドライン原案」の策定について、バイオテクノロジー応用食品特別部会から本部会に検討を委託されたという経緯を踏まえて対応すべきであり、前回会合において合意されたタイトルの変更は行わない方が良いのではないかとの意見に対し、タイトルの変更について議論した電子作業部会の結果も踏まえ、本部会において議論し、決定される事項である旨説明しました。

(8)第42回食品添加物部会
・議題5(b)の「食品添加物に関するコーデックス一般規格(GSFA、Codex General Standard for Food Additives)の添加物条項に対する意見及び情報」について、着色料の加工肉への使用は消費者の優良誤認に繋がる可能性があることから使用を差し控えるのが適当である、使用の必要性について問うなど日本からも意見を述べて欲しいとの意見がありました。

・議題9(a)の「JECFA評価の優先リストへの追加及び変更に関する提案」について、添加物を含む食品由来のアルミニウムの国内における摂取量がどのくらいかとの質問に対し、限られた情報ではあるが食品添加物の生産流通実態調査やマーケットバスケット調査の結果等を踏まえると、食品由来の摂取量はJECFAが設定した暫定耐容週間摂取量(PTWI、Provisional Tolerable Weekly Intake)の約7割程度と推定される旨回答しました。また、日本から提出を予定しているアルミニウム含有食品添加物のデータとはどのようなものかとの質問に対し、JECFAからリクエストのあった生物学的利用能と2世代繁殖毒性試験の試験データである旨回答しました。

・議題9(b)の「JECFAでの再評価のメカニズムに関する討議文書」について、本メカニズムは有益であり、是非この作業を進めて欲しいとの要望がありました。

・議題10の「コーデックス個別食品規格の添加物条項の不整合に関する課題の特定と勧告に関する討議文書」について、GSFAにおける検討では添加物の使用範囲が拡大される恐れがあるため、個別食品規格で定められた食品添加物条項を尊重すべきとの意見に対し、討議文書では、個別食品規格の担当部会に対しGSFAと個別食品規格の整合について検討を依頼するとの提案がなされている旨説明しました。

(9)第42回残留農薬部会
・日本からは一次加工食品の残留データを提供しているのかとの質問に対し、我が国の農薬登録制度においても、加工試験の導入について検討をはじめているが、搾汁や搾油といった加工形態に関しては、各国どこでも特段の違いはなく、一方、我が国特有の加工について調査検討中であることから、現時点で提出していない旨回答しました。

・議題8の「ストックホルム条約に規定されている残留性有機汚染物質(POPs、Persistent Organic Pollutants)の外因性最大残留許容量(EMRL、Extraneous Maximum Residue Limits)及びコーデックス残留農薬部会の付託事項(TOR、Terms of Reference)に関する討議資料」に関して、我が国においても、以前POPs物質は使用されており、1970年代に失効した後は、土壌中に残存しているものと考えられるが、これらについてのモニタリングデータを提供しているのかとの質問に対し、我が国において近年検出された残留データは、地域等が限られており、基準値の検討に当たって科学的に適用不可能と考えることから、提出を見送った旨回答しました。

・議題9の「OECD(経済協力開発機構)において開発中のMRL(最大残留許容量、Maximum Residue Limits)評価の計算方法に関する討議資料」に関して、OECDの計算方法とはどのようなもので、国際的に通用しているTMDI(理論最大一日摂取量、Theoretical Maximum Daily Intake)やEDI(推定一日摂取量、Estimated Daily Intake)とADI(一日摂取許容量、Acceptable Daily Intake)との比を求める方法とどう違うのかという質問に対し、本計算方法は、農薬の残留データを統計的に解析してMRL値を推定する方法であり、データとしてどのような範囲のものを適用すべきか等が検討途中であることを説明しました。

(10)第4回汚染物質部会
・議題「食品及び飼料中のメラミンの最大基準値原案」に関し、国際的には、メラミンの定量分析法の検討が十分ではないことも考慮すべきとの意見が出されました。また、日本においては、意図的なメラミン添加は、未指定添加物の使用ということで、食品衛生法10条違反として規制されているが、そもそも添加物とは有用性があることが原則であり、他国ではメラミンを食品添加物として取り扱っている例はない、という意見がありました。

・食品中の汚染物質の最大基準値についての対応の基本的考え方に関し、閾値のない遺伝毒性のある発がん物質や催奇形性がある物質については、「合理的に達成可能な範囲でできる限り低くする“As low as reasonably achievable(ALARA)の原則”」での対応では不十分であり、食品から排除すべきとの方針で対応すべきであるという意見がありましたが、一方で、汚染物質は非意図的に食品中に存在するものであることから、できる限り低減するとの基本的な考え方は妥当なものであり、意図的に使用する農薬や添加物とは考え方が異なるべきであるという意見もありました。最大基準値設定におけるALARAの原則の適用にあたっては、消費者の健康保護が大前提であることを説明しました。

(11)その他
・本連絡協議会への消費者庁の参加を求める要望が改めてあり、厚生労働省及び農林水産省から消費者庁へ出席の検討を依頼し、

i)食品表示に係る制度設計やコーデックス委員会における我が国の対処方針の決定等に当たり、消費者委員会の御意見を伺う必要があり、連絡協議会に参加する場合には、連絡協議会と消費者委員会の関係について整理する必要が生じること、

ii)消費者委員会においては、食品表示制度についての議論を行う食品表示部会の設置作業が進められており、同部会が設置され次第、本件について相談の上結論を出す予定である

と伺っている旨報告しました。

・連絡協議会での説明の仕方について、議論の背景や各国の立場の違いなどできる範囲で説明に加えてほしいとの意見が出されました。

・今回のコーデックス連絡協議会では、扱う議題内容が多く十分に議論ができなかったとの意見がありました。また、開催回数を減らすのであれば、十分な討議ができるよう何らかの代替案を検討して欲しいとの意見がありました。これに対して、回数を減らして効率的に開催して欲しいとする委員もいることを紹介しました。

お問い合わせ先
厚生労働省食品安全部企画情報課国際食品室
国際食品室長 猿田 克年 
担当:井関、星野(電話:03-5253-1111 内線2407、2408)
農林水産省消費・安全局消費・安全政策課
調査官 山田 英也
担当:小出(電話:03-3502-8111 内線4471)
   ((直)03-3502-8732)
(注:資料配布は厚生労働省のみ)

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