第18回中央最低賃金審議会議事録


1 日時  平成17年5月13日(金)10:00〜10:35

2 場所  厚生労働省専用第21会議室

 出席者
   【委員】公益委員 今野会長、石岡委員、勝委員、中窪委員

労働者側委員 加藤委員、久保委員、須賀委員、中野委員
 横山委員

使用者側委員 池田委員、内海委員、川本委員、杉山委員
 東條委員、原川委員

   【事務局】 厚生労働省 青木労働基準局長、松井審議官、前田賃金時間課長、
 名須川主任中央賃金指導官、山口副主任中央賃金指導官、
 梶野課長補佐

 議事次第

  平成17年度地域別最低賃金額改定の目安について(諮問)

 配付資料

 No.1 平成17年度地域別最低賃金額改定の目安について(諮問)(写) (PDF:25KB)
 No.2 目安に関する小委員会委員名簿(案)
 No.3 目安に関する今後の中央最低賃金審議会日程(案)
 No.4 規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)
 No.5-1 「最低賃金制度のあり方に関する研究会」報告書
 No.5-2 「最低賃金制度のあり方に関する研究会」報告書の概要等
 (1ページ(PDF:301KB)  2〜3ページ(PDF:222KB))
 No.5-3 「最低賃金制度のあり方に関する研究会」研究会開催要綱等
 No.5-4 参考資料
 (1〜6ページ(PDF:466KB)  7〜13ページ(PDF:387KB)  14〜15ページ(PDF:432KB)
 16〜19ページ(PDF:325KB)  20ページ(PDF:375KB)  21〜23ページ(PDF:418KB)
 24〜27ページ(PDF:417KB)  28〜32ページ(PDF:463KB)  33〜35ページ(PDF:388KB)
 36〜39ページ(PDF:500KB)  40〜46ページ(PDF:507KB)  47〜52ページ(PDF:426KB)
 53〜56ページ(PDF:327KB)  57〜61ページ(PDF:448KB)  62〜69ページ(PDF:476KB)
 70〜75ページ(PDF:448KB)  76〜80ページ(PDF:472KB)  81〜84ページ(PDF:432KB)
 85〜88ページ(PDF:499KB)  89〜94ページ(PDF:472KB)  95〜101ページ(PDF:379KB)
 102〜108ページ(PDF:429KB))
 No.6 今後の最低賃金制度のあり方について(諮問) (PDF:79KB)

(参考)春季賃上げ妥結状況(平成17年)


6 議事内容

○今野会長
 ただ今から、第18回中央最低賃金審議会を開催します。まず、事務局の方に人事異動がありましたので、ご挨拶をお願いします。

○松井審議官
 このたび4月1日付で基準局担当審議官になりました松井です。よろしくお願いします。

○名須川主任賃金指導官
 同じく、4月1日付をもちまして、主任中央賃金指導官を拝命しました名須川と申します。よろしくお願いします。

○今野会長
 今日の議題は、平成17年度地域別最低賃金額改定の目安についてです。事務局で用意をされていますのでお願いします。

○前田賃金時間課長
 大臣の諮問文を局長から手交させていただきます。

(諮問文手交)

○青木労働基準局長
 ただ今平成17年度地域別最低賃金額改定の目安について調査審議を求める旨の大臣の諮問文を手交させていただきました。今年度の目安につきましては、従来どおり7月下旬には地方最低賃金審議会に対して、目安を提示していたただきたいと考えていますので、どうぞよろしくご審議をお願い申し上げます。

○今野会長
 今後の進め方について、ご相談をしたいと思います。中央最低賃金審議会運営規程第3条に、「会長は、審議会の議決により、特定の事案について事実の調査をし、又は細目にわたる審議を行うため、委員を指名して小委員会等を設けることができる」とあります。従前の例にならいまして、本年度も「目安に関する小委員会」で審議を行うこととしたいと考えます。小委員会の委員のリストが配付資料No.2です。このメンバーで進めていきたいと考えていますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(了承)

○今野会長
 それではそうさせていただきます。今度は目安小委員会の委員長選出です。これについては、どういたしましょうか。ご提案があればお願いします。

○中窪委員
 大変ご苦労ですが、会長に小委員会の委員長も兼ねていただくのがいいかと思います。いかがでしょうか。

(了承)

○今野会長
 異議ありませんか。それでは、私が小委員会委員長を兼務させていただきます。各委員の方々には、大変ご苦労をおかけすることがあると思いますが、よろしくお願いします。次に、今後の目安審議の日程について、事務局よりご説明いただきます。

○青木労働基準局長
 その前に、国会にまいりますので、中座させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○前田賃金時間課長
 資料No.3、今後の日程(案)ですが、6月24日に第1回目安に関する小委員会を開催、7月14日に第2回、7月21日に第3回を開き、7月26日に本審議会の答申ということで、取りあえず調整しています。ただ、第1回は、急遽ご都合が悪くなった方がいらっしゃるということで、変更できるかどうかを含めて、今調整をしていますので、できるだけ早い時期に確定させて、また委員の皆様にはご連絡したいと思います。以上です。

○今野会長
 ほかの日程は大丈夫ですか。

○前田賃金時間課長
 第2回、第3回以降は、今のところ変更の予定はありません。第1回についてのみ、変更するかどうかを含めて、調整させていただきます。

○今野会長
 ただ今の件について、ご質問がありましたら、また目安の審議に関してご質問、ご意見がありましたら、出していただけたらと思います。

○中野委員
 昨年12月に目安制度のあり方に関する全員協議会報告が出されました。その中で金額水準について、明確な結論を得るには至らなかったのですが、最低賃金の金額審議にあたっては、引き続き各種資料を総合的に勘案し、最低賃金の機能が適切に発揮されるよう審議することが必要であると報告がなされたと記憶しています。この点からいくつかのご要望を申し上げます。
 これまで、最低賃金の決定要因は生計費あるいは類似労働者の賃金、事業の支払能力などと並列的に並んでいまして、それぞれの要素に比重はないと私も考えていました。しかし、現行最低賃金制度については、労働協約の拡張適用や、労使の申出による調査審議方式、あるいは地域別最低賃金のように行政当 局の諮問によるものなど、様々な形があります。これらの方式のすべてが先ほど申し上げました三要素によって決定されるわけですが、それぞれの方式によって三要素のウエイトが少しずつ違うのではないか。例えば、労働協約の拡張方式ですと、当然のこととしてそれは労働協約に結ばれた金額水準になるでしょうし、あるいはソーシャル・ミニマムである地域別最低賃金については、やはり生計費を重視した考え方で水準確定がなされなければならないのではないかと思い始めました。そういう立場で考えますときに、私のこういう解釈がそうなのか、どうなのか、そのことも含めて一度法解釈についてきちんとした考え方をお聞きしたいのが1点です。
 2点目はEUやOECDでは、金額水準を出すときに、一般労働者の平均賃金の60%、50%を低所得者ラインのように定義をしていまして、その低所得者比率を調査しているようであります。日本をみますと、1980年代の比率が11.9%であったものが、1990年代の中盤になると、13.7%に上昇し、2000年には15.3%にさらに上昇しています。したがって、低所得者比率が上昇している実態や、国際的に考えられている低所得者比率を含めて、審議の参考にすべきではないかと思っていますので、その辺りも審議の際にはきちんとデータとしてお出しいただきたいと思います。
 また、生活保護費の問題についても、いろいろ地域によっては議論があります。現在、水準均衡方式で生活保護費の水準が決定されると承知をしていますが、その水準の求め方についても、どのようなことが生計費を満足させるために十分なのかという議論も、今後していかなければならないと思います。そういった資料もできればお出しいただきたいと思います。
 なお、最低賃金を巡っては、国際的にはイギリスのブレア首相が今回のイギリス総選挙で最低賃金を4.85ポンドから5.05ポンドに上げるという公約までしているような重要な課題になっていると思っていますし、イギリスは昨年も4.5ポンドから4.85ポンドに引き上げたという実態もあります。グローバル化する社会の中で、そういう国際的な情勢も踏まえて、審議がなされるべきだと考えていますので、そういう資料もお出しいただきたいと思っています。特に、アメリカにおいても最低賃金の引上げ法案が提出されたという情勢も聞いています。その動向は上院では否決されたと聞いていますけれども、そういう情勢もきちんと把握しながら、日本の最低賃金水準がどのようにあるべきかとの議論をしていかなければならないとも考えていますので、よろしくお取り計らいいただきたいと思います。以上です。

○今野会長
 今、中野委員は4点ほどおっしゃられたと思います。これについてはご要望として今日は承っておけばよろしいのですか。

○中野委員
 結構です。

○今野会長
 ほかにご意見はあるでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、先ほど事務局から提案あるいは示していただきました審議日程でいきたいと思いますので、今後よろしくお願いいたします。そのほか、事務局からありますでしょうか。

○前田賃金時間課長
 報告案件として、資料No.4「規制改革・民間開放推進3か年計画」です。今年3月25日に改定されまして、閣議決定されています。その中で、産業別最低賃金制度の見直しについてです。昨年の3か年計画におきまして、産業別最低賃金について、そのあり方を速やかに検討することとされていました。今回、改定された3か年計画におきましても、平成16年9月以降、研究会で検討が行われているのですが、引き続き意見集約に向けて検討を進めるということで決定されていますので、ご報告させていただきます。この産業別最低賃金制度を含む最低賃金制度のあり方につきましては、昨年9月から学識経験者による「最低賃金制度のあり方に関する研究会」において検討が行われたところでして、今年の3月31日に報告が取りまとめられています。
 資料No.5の内容を説明します。資料No.5−2「研究会報告のポイント」をご覧いただきます。最低賃金制度のあり方について、産業別最低賃金の見直しが指摘されていたということ、さらに様々な最低賃金制度を取り巻く状況変化の中で、最低賃金制度が一層的確に機能していくように現行制度を検証して、あるべき姿を検討しようということで、この研究会で検討が行われたということです。
 まず左上、「最低賃金制度の意義・役割」です。最低賃金制度に求められる第一義的役割は、すべての労働者を不当に低い賃金から保護する安全網としての「一般的最低賃金」としての役割ということで整理されています。公正な賃金決定の役割を最低賃金制度に担わせるとしても、それはあくまで第二義的、副次的なものであるという整理がされています。そういった意義・役割に照らして、現行制度について、どういう問題があるかということをまとめているのが 真ん中の箇所です。まず、産業別最低賃金につきましては、実態として今基幹的労働者を対象とするとなっているわけですが、基幹的業務とはいえないものまでも対象としているということ、あるいは水準について、地域別最低賃金から14%程度高いところにとどまっているということで、本来産業別最低賃金に期待されている比較的賃金水準の高い労働者の不当な切下げによる競争の防止という機能が果たされておらず、役割的に地域別最低賃金と重複しているのではないかという問題があります。
 それから、労働協約の拡張適用による最低賃金につきましては、この役割もやはり公正な賃金決定であるということですが、役割的には、産業別最低賃金の労働協約ケースと重複しているということと、我が国の労使関係の実情から見て、なかなか実効が上がっていないというような問題があります。
 地域別最低賃金につきましては、一般的な賃金水準と比較して、最低賃金の比率などをみると、地域的に不均衡がみられまして、一般的最低賃金として適切に機能しているかという観点から問題があるのではないか。また、最低賃金の水準が生活保護の水準より低いという場合には、最低生計費の保障という観点、それから就労に対するインセンティブという観点から問題があるのではないかというような問題があります。
 さらに、最低賃金を取り巻く環境変化につきましても、産業構造についてみますと、産業のボーダレス化が進展している中で現在の産業別最低賃金が小さなくくりで設定しているということで、公正競争、あるいは公正な賃金決定という面において、存在意義が低下しているのではないかという問題があります。
 就業構造等につきましては、派遣、請負といった就業形態が増加する中で、その就業形態が異なっているというだけで、適用される最低賃金が区々となるという事態が生じている問題があるということです。時間当たりの雇用者の分布や年収階級等をみますと、分散が拡大しているということで、低賃金労働者の安全網として、最低賃金制度がその真価を発揮すべき時期にあるというご指摘があります。さらに、賃金制度につきましては、仕事給の導入や職務、職種など、仕事の内容を業績・成果に対応する部分が拡大しているという中で、最低賃金の決定について、そういった要素をどう考慮するかということも課題ではないかということです。
 労働組合の組織率が低下している中で、賃金決定が団体交渉でカバーされない労働者が増加しているということで、最低賃金制度の果たす役割は、ますます重要になってきているという認識です。
 次に今後の最低賃金のあり方についてですが、まず最低賃金制度の体系のあり方についてです。最低賃金制度の第一義的役割が「一般的最低賃金」ということで整理すると、まず地域別最低賃金については、「国内の各地域ごとに、すべての労働者に適用される最低賃金を決定しなければならない」と、法律的にそういうことを義務づけることを明確にするというのが一つです。
 産業別最低賃金のあり方についてですが、この報告書では廃止を含め抜本的な見直しが必要であるとされています。その中で、産業別最低賃金について、廃止すべきであるというご意見と公正競争ケースは廃止して、労働協約ケースについては、より有効に機能させるために見直しを行う。その際に、より大くくりの産業について設定するものに改め、基幹的労働者についてもその産業を代表するような職務に就く労働者に限定して設定するという形にすべきであるというご意見があります。いずれにしても、その際に罰則は不要ではないかということであります。
 労働協約の拡張適用方式につきましては、公正な賃金決定という意味で、労働協約ケースと役割的に重複しているということと、実効性も問題があるということで廃止しても差し支えないのではないかという整理です。
 次に安全網としての最低賃金のあり方についてです。決定基準について、現在3つの要素というのが法律上規定されています。「類似の労働者の賃金」について、低賃金労働者の賃金水準のみでなく、一般労働者の賃金水準も重視することが考えられるというご意見です。「支払能力」につきましては、個別企業の支払能力ではなく、生産性の水準や雇用の確保等という趣旨であることを明確化することが必要であるというご意見があります。
 水準につきましては、まず、地域別最低賃金の水準と地域の一般的な賃金水準との関係に不均衡があるということで、そういう不均衡については、見直しが必要であるということです。生活保護との関係については、最低賃金の水準が生活保護から直接リンクして決定されるということは、必ずしも適当ではないわけですが、最低生計費という観点、それから就労するしないということによる生活の支え、モラルハザードということから、少なくとも単身者についてみた場合に、実質的にみて生活保護の水準を下回らないようにすることが必要であるという整理です。さらに、最低賃金水準の見直しを行いつつ、例えば一定の年齢区分の者等を対象に減額措置を採用することが考えられるのではないかというご意見があります。地域別最低賃金の罰則につきましては、特に安全網としての実効性を確保するということからは、罰則を引き上げるべきであるということです。
 「その他」です。地域別最低賃金は現在、都道府県単位で設定しているわけですが、労働市場の実情をより反映した範囲で設定する方向で検討する必要があるというご意見があったということです。
 派遣労働者に対する最低賃金の適用では、派遣先の地域別あるいは産業別等の最低賃金を適用すべきであるという整理です。最低賃金の表示単位につきましては現在、運用上時間額表示ということが進んでいますが、法律上も時間額表示に一本化すべきというご意見があります。研究会報告につきましては、そういう形で取りまとめがなされているということです。
 さらに、資料No.6で最低賃金制度を取り巻く実情を踏まえまして、厚生労働大臣から労働政策審議会会長あてに、今後の最低賃金制度のあり方についての調査審議を求めるという諮問が4月8日になされています。この諮問を受けまして、4月12日に労働政策審議会の労働条件分科会におきまして、分科会に今後最低賃金部会を設置して、この制度のあり方についての審議を行っていくことが決められたということです。最低賃金部会につきましては、現在委員の人選を進めているところでして、できれば、今月中にも部会を立ち上げまして今後の最低賃金制度のあり方についてご審議いただき、でき得れば今年の秋頃までに答申をいただければと考えています。以上です。

○今野会長
 もう1枚、いちばん最後の資料に参考というのがありますけれども、これはいいのですか。

○前田賃金時間課長
 これは、今年の春季賃上げ状況について、現在の集計状況を参考までに配付したものですので、またご覧いただければと思います。

○今野会長
 それでは、ただ今の報告に関して、ご質問やご意見などがありましたら、よろしくお願いします。

○加藤委員
 ただ今の報告に関連いたしまして、1点ご意見を申し上げたいと思います。規制改革・民間開放推進3か年計画が閣議決定をされたこと、あるいはただ今ご報告にありましたように、最低賃金のあり方に関する研究会報告が取りまとめられて、報告・発表されたことなどが与える今年の地方での審議、とりわけ産業別最低賃金に関する審議への影響を心配しています。地方での審議が混乱することのないような十分なご対応をお願いしたいと思っています。最低賃金部会での検討は、まだ開始されていないわけでして、当然のことではありますが、現行制度のもとで円滑な審議が行われますように、厚生労働省並びに地方局はもとより公労使各側委員など、関係者のご対応、お取組みをお願い申し上げておきたいと思います。以上です。

○今野会長
 何かありますか。

○前田賃金時間課長
 今ありましたように、いずれにしましても制度の見直しにつきましては、これから部会で検討を始めていただくということでして、仮に今年に答申が出て、そのあと制度見直しを行うとしても、施行は2年くらい先になります。当然、今年度の地方における最低賃金の審議には現行制度の枠組みのもとで行われるということで、部会での見直しの審議とは切り離して行われるべきものであるということです。そういうことが、地方において整備されずに、審議が混乱することがないように、全国会議の場なども通じまして、地方局に徹底したいと思っていますし、さらに審議会あるいは部会の審議状況も、地方に逐次情報提供等をして混乱が起きないように配慮をしてまいりたいと考えています。

○今野会長
 ほかにありますか。

○須賀委員
 一つお願いがあります。今までの目安の関係なり、今報告のありました研究会以降の対応とちょっと違う部分です。実はいろいろな形で報道もされていますので、ご承知おきの方も多いのではないかと思うのですが、タクシー業界における最低賃金割れということが、特に北海道あるいは東北などいろいろな所で起きていますし、マスコミも特集を組んだりしているようであります。現に、私どもも北海道のメンバーと相談をして状況を調べましたところ、当該の産別とも連携を取っているわけですが、どうも最低賃金割れが起きてそれが放置されているようだという状況も聞いています。
 この原因は規制改革の流れによって、タクシー業界の新規参入が非常に容易になったということと、運賃がかなり自由競争的な枠組みで決まっていくようになったことです。これは消費者にとってはいいことなのですが、当該の車輌を運行している、つまりタクシーの運転手からしますと、石油価格が大幅に上がっていく中で、タイヤが値上りする、ガソリンあるいはLPも上がると。一方で、コスト引上げ要因ということからしますと、勢いコストの引下げをできるところはタクシーの運転者の賃金しかないという独特の構図があります。そのようにならざるを得ない状況はわかるわけですけれども、行きすぎた改革によって、最低賃金割れを起こすということについては、非常に問題が多すぎると考えています。これに対して、どういう状況認識を持っているのか、あるいはこれからそういう状況があれば、指導監督も当然必要になってくると思いますので、どのようなことをお考えになっているのかお伺いしたいということが一つです。
 また、これは各地方でもハイタクの関係の産業別最低賃金の新設を、いくつか手を挙げて要請しています。ぶら下がっているような状態にあるところもあります。新しく、同じような分野でトラック輸送の関係で新設をお願いしている地域もあるやに聞いています。したがって、そういうところにも影響を及ぼしかねないと思っています。これは地域での議論を待てばいい話なのですが、とりわけタクシーあるいは輸送業界に関する最低賃金の監督という意味で、少しお考えがあれば伺っておきたいと思いますし、この場を借りて是非いろいろな意味で各側委員のご協力をお願いしておきます。

○前田賃金時間課長
 タクシー運転手については、ご指摘のように地域において、そういう問題が生じているということで、従来から監督指導を行い、最低賃金法違反などがあった場合にはその是正を指導しているということでして、引き続き必要な監督指導に努めてまいりたいと考えています。特に、タクシー業界につきましては、今般各タクシー事業主に対して自主点検票を配付して、まず自主点検を実施していただく。さらに、そこから問題があると認められる事業場に対しては、監督指導を実施していきたいということで、今年度はそのような取組みを予定しています。
 さらに、労働環境の確保と事業の適正な運営の確保を併せて検討する必要があるということで、事業所管官庁であります国土交通省とも連携を図っていく必要があります。それぞれの施策を的確に実施していくために、今後国土交通省の関係者と厚生労働省の関係者からなる連絡調整会議を設置するとしたところです。こういった中でタクシー運転者の労働条件の確保に努めてまいりたいと考えています。
 それから、産業別最低賃金の審議につきましては、地方最低賃金審議会において、これまでの公労使で定められています審議ルールに則って適切に運営されていくべきものと考えています。以上です。

○今野会長
 ほかにありますか。よろしいですか。それでは、第18回中央最低賃金審議会を終了します。本日の議事録の署名ですが、加藤委員と内海委員にお願いしたいと思います。それでは、終わります。ありがとうございました。


(照会先) 厚生労働省労働基準局賃金時間課最低賃金係(内線5530)


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