審議会議事録  厚生労働省ホームページ

第7回目安制度のあり方に関する全員協議会議事要旨


1 日時 平成16年4月16日(金)10:00〜11:50

2 場所 厚生労働省専用第17会議室

 出席者
  【委員】公益委員 渡辺会長、今野委員、岡部委員、勝委員、
 中窪委員、古郡委員

労働者側委員 加藤委員、久保委員、中野委員、山口委員、
 横山委員

使用者側委員 池田委員、内海委員、川本委員、杉山委員、
 東條委員、原川委員

 配付資料

 資料1 第6回目安全協における論点

 資料2 平成7年における目安全協での論点について (PDF:112KB)

 資料3 女性比率の推移について

 資料4 パートタイム労働者比率の推移について

 資料5 公益委員見解の引上げ率及び第4表の賃金上昇率の推移

 資料6 第4表の計算方法についての論点

 議事内容

○会長
 ただいまから、第7回「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会」を開催いたします。事務局に人事異動がありましたのでご紹介をお願いいたします。

○事務局
 この4月1日付で参りました上岡です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○会長
 本日の全員協議会は、前回に引き続き「賃金改定状況調査のあり方」について検討を行います。前回の会議で、委員から質問のありました事項については事務局で調べてもらったようですので、その点を含めて配付資料の説明をお願 いいたします。

○事務局
 本日の資料は6点あります。ここでは資料No.1から資料No.5までについて説明いたします。また、ファイルについては、これまでの全員協議会での資料一式ですので、検討の中で適宜参照していただければと思います。
 資料No.1は、第6回目安制度のあり方に関する全員協議会における論点・意見について、事務局の責任でまとめたものです。それぞれの論点・意見について読み上げさせていただきます。
 「調査対象事業所の選定について」です。「最低賃金は全労働者に適用されるのだから、賃金改定状況調査でも対象を拡大し全労働者ベースで議論すべき。」「調査の対象を郡部、町村まで拡大してほしいと従来より主張してきたが、事務局の資料では短期間で集計をしているということもあり、なかなか難しい面もあるのかもしれない。」「最低賃金は地方の小さい企業に影響を与えるが、今の調査では賃金の動きの実態が細かく出ていないのではないか。もっと規模の小さい企業を調査すべきではないか。」こういった意見がありました。
 次に「賃金上昇率の計算方法について」です。現行の計算方法を見直す。つまり、一般、パート労働者の構成比変化を除去するといった意見です。「人件費変化を見るのであれば今の計算でもいいが類似労働者の賃金を見るのであれば、計算方法を改めるべきではないか。」「一般とパートは明らかに雇用形態が異なるのにそれを一緒に計算するのはおかしいのではないか。」「出した目安をきちんと説明できる資料でなければならないのではないか。今の資料は平均労務費を表しており、パート比率の変化を除去したほうが個別の賃金の変化をより表していると思う。」「個別賃金の決め方の情報がわかるといい。年齢構成が大きく変化すればそれも除去すべき。とりあえずそれが変化しているとは思えないのでする必要はないが。」「一般やパートの賃金が伸びているのに、構成変化によってマイナスになるのはいかがなものか。」「平均で賃上げ交渉をするときも労務構成を一定に揃えた上でアップを考えている。民間の交渉でも構成変化を除去してやっていると認識している。」「他の要因が大きく変化したらそれを除去するのが基本だと思う。一度方法を決めたら、今後、一般労働者が大幅に増えることがあっても同様の方法でやるべき。」こういった意見がありました。
 一方、「計算方法の変更には慎重であるべき」という意見についてです。「一般労働者の中で見ても年齢構成の変化の影響を受けている。そもそも一般とパートの構成比率の変化のみ取り上げるのはいかがなものか。」「本番の目安ですべきことと資料の議論を一緒にすべきではないのではないか。資料で目安が決まるわけではなく、諸事勘案し数字が出ている。パートについてもそれを勘案した上で結論が出ているのではないか。」「今まで行ってきた平均賃金方式を基本とし、他のことも勘案していくという方法のほうがわかりやすいのではないか。」「第4表については労務費を見ているのではなく実態を表しているもの。今は、低賃金労働者(パートタイム労働者)への置き換えが起こっているがそれは実態。」「個別の賃金を考えるというのも1つの考え方であるが、一方で経営的に考えると平均賃金という考え方もある。」「企業も分配するパイが決まっているので、あまり比率を細かく見ていくのは意味がないのではないか。男女比率は変わっていくかもしれないが。」こういった意見がありました。
 これは宿題ですが、「過去の経緯を調べるべき」という意見についてです。「かつては男女の比率を反映した数値と除去した数値を出していたがそもそもどうして男女構成比率を除去する数値を計算していたのか。」「今まで平均賃金でそれを信じてやってきた。今更、パートの構成比率の変化を除去しろというのも外の人からみればご都合主義と言われることを免れない。どうして、当時、そのことが議論されなかったのか、当時の議論を調べてその理由を提示して欲しい。」こういった意見がありました。
 「その他」として、「パートが増加すると伸び率が低めに出る傾向がある。逆にパートが減少すると伸び率が高めになり使用者側に不利になる。長期的にはプラスマイナスゼロではないか。賃金改定状況調査は賃金改定の状況だけでなく水準も見られるような資料に改善してほしい。」「個別の賃金がどうなったのかを見るというのと、全部まとめて平均でどうなったのかというのを見るのでは考え方が変わることになる。どのように整理するのか。」「現在の計算方法のみを参考にするのはおかしいという主張はもっともだが、パート構成比の変化を除去したものだけでみると、最低賃金を上げることにより更にパートタイムの比率が上がっていくという雇用の構造変化を促進させてしまわないか。平均と一般、パートそれぞれの賃金上昇率をバランスよく勘案すべきではないか。」「類似の労働者について、地域最賃は全労働者に適用されることから、全部で見るべきとの意見。ただし、判断するための資料としては、一般、パートの状況も見る必要があると思う。」「労側に有利とか使側に有利とかそういった議論ではなくどういう取扱いが国民に理解されやすいかという点で議論していく必要がある。」「類似労働者をどう捉えるかという論点が出されたが、三原則には通常の事業の支払い能力もある。この点から見て、どう評価すべきかという論点もある。」「データはできるだけ正確に取るべき。単純平均だけでなくクロスなども計算してはどうか。」「近年、目安は第4表にかなり近い数値でずっと決まってきているのでここできちっと議論したい。」「賃金改定状況調査の資料の整理の仕方として、事業所ベースのものと労働者ベースのものを分けて考えるべきでないか。」「3要素には通常の事業の賃金支払い能力もあるのだから、その視点からの資料も考えていただきたい。」こういった意見が前回出ております。
 資料No.2は、平成7年に取りまとめられた、目安制度のあり方に関する全員協議会における論点につき整理したものとなっております。この全員協議会は、平成4年12月に開かれた中央最低賃金審議会から付託を受け、18回にわたって検討が行われた協議会です。
 当時の議論を振り返ると、「問題の所在」の部分で、地域別最低賃金額と一般賃金額とを比較した場合に、格差が拡大していることが問題となっていたようです。資料No.2の別添1は、賃金構造基本統計調査で見たときの、地域別最低賃金額と一般労働者の賃金額との比率を見たものですが、比率の低下が見られております。
 (6)と(10)の部分ですが、昭和55年当時は37.5%程度だったものが、平成5年には34.6%となっているなど、比率の低下が見られていたといった状況があります。このように比率が低下してきた理由として、つまり最低賃金と一般賃金とで格差が拡大したということですが、その理由として就労日数の減少を中心とする労働時間の短縮効果が、地域別最低賃金の引上げに反映されていないのではないか、という意見があったようです。
 1頁の「主な議論」のところですが、そもそもの原因として地域別最低賃金の改定の目安を審議する際、重要な参考資料となっております一般労働者の賃金上昇率、つまり第4表ですが、そちらに労働時間の短縮効果が適切に反映されていないことから格差が生じているのではないかとの意見があったようです。この点について事務局で検証した結果、労働時間の短縮が反映されていないということは、格差拡大に影響しているという結論に達したようです。
 一方で、当時の賃金改定状況調査の第4表は、一般労働者の賃金上昇率だけを見たものとなっております。最低賃金の影響を最も受けると考えられます、パートタイム労働者の賃金の動向も反映させた形で上昇率を見るべきではないか、という意見もあったようです。
 これらの意見を踏まえて、「結論」の部分ですが、「一般労働者及びパートタイム労働者の全労働者について、賃金上昇率を求めることが適当ではないか。また、就労日数の増減が反映されるように賃金上昇率を算出することが適当ではないか」とされたようです。(2)「男女構成の変化」についてですが、「従来は、男女構成変化の影響が反映された賃金上昇率と、構成変化の影響を除去した賃金上昇率の2つが算出されていたわけですが、影響が反映された算出方法、つまり労働者全体で見てみるという算出方法のほうが適当ではないか」ということで整理されております。なぜこういった結論に達したかについては、当時の関係者に聞くなどいろいろ調べたのですがよくわかりませんでした。
 資料No.3は、「賃金構造基本統計調査」の10〜99人規模及び「毎月勤労統計調査」の5〜29人規模について、女性比率の推移を見たものになっております。注1)、注2)と注書きを付けている箇所は、その後の数字と接続しないということを意味しております。計の部分が、全体で見た女性比率ということになりますが、賃金構造基本統計調査で見ても、毎月勤労統計調査で見ても、どちらの場合で見ても安定した比率で推移している状況にあるように見えます。
 資料No.4は、パートタイム労働者比率の推移を見たものです。こちらも注書きを付けている箇所は、その後の数字と接続しないことを意味しております。「賃金構造基本統計調査」で、昭和63年以降についてその動きを見ると、昭和63年から平成3年ぐらいまでは、パート比率は安定的に推移していたのではないか。その後平成4年、平成5年に上昇が見られておりますが、その後平成8年ぐらいまでは大体12%ぐらいで安定している状況になっております。その後、再び上昇が見られておりまして、直近の平成15年には18.7%ということで、上昇傾向で推移している状況が見られているかと思います。
 資料No.5は、毎年の目安における公益委員見解について、引上げ率といった観点から、第4表の引上げ率の数字との関係を整理したものです。いちばん上の段は、公益委員見解についての引上げ率です。中段が、男女構成の変化による影響を反映した引上げ率、つまり男女を分けないで、全体で見たときの引上げ率になります。下段は、男女構成の変化による影響を除去した引上げ率となっております。男女構成の変化による影響を除去した方式については、昭和54年度から平成6年度まで行われております。
 なぜ昭和54年度から男女構成の変化による影響を除去した方式、つまりいちばん下の段のような方式でも試算するようになったのか、当時の資料等を探しましたが、この点についてはよくわかりませんでした。ただ、この表から見て取れることとしては、上段の率である公益委員見解の引上げ率と、真ん中の男女構成の変化による影響を反映した率と、いちばん下の除去した率を比較すると、いちばん上の率と、いちばん下の率、つまり男女構成の変化による影響を除去した数字と、公益委員見解での引上げ率の数字が非常に似通っている状況に見えます。
 こういうことで、昭和54年度から平成6年度までは、2つの数字が出されていたわけですが、構成比変化の影響を除去した数字、つまりいちばん下の数字のほうが、公益委員見解の中では重視されていたような状況にあったのではないかと考えられます。以上で説明は終わらせていただきます。

○会長
 資料No.1から資料No.5までを含めて、ご質問、ご意見等がありましたらお願いいたします。

○公益委員
 当時の経緯については、議事録に残っていないというお話でしたが、どうして昭和54年当時に男女構成の変化を除去する計算を始めたとお考えでしょうか、推測でも結構ですのでお聞かせください。

○事務局
 先ほどご説明させていただきましたように、昭和54年当時の経緯が残っておりませんので正確なことはわかりません。当時の一般労働者ですが、男性と女性の賃金格差を賃金構造基本統計調査で見てみますと、女性の賃金は男性の6割程度となっております。かなり大きな格差があり、6割という格差の下で男女構成が仮に変化すると、全体の賃金上昇率の計算結果に相当影響があり得るという状況だったと思われます。そのような状況の下で、影響を除去した賃金上昇率の計算結果を提示するようになったのではないかということも、一つの推測ではありますが考えられます。

○使側委員
 昭和54年度から平成6年まで、除去した数字も合わせて取っていたということですが、公益委員見解としてはいちばん下の段の数字を重視していたという説明がありました。それでも、反映した数値に平成7年以降は一本化したというのはどのようなことが考えられるのでしょうか。

○事務局
 これについても、平成7年に計算方法が変わったときに、どういう議論がなされたかということを調べてみたのですが、議論はなされていないということです。資料No.3ですが、労働者に占める女性比率がどのように推移してきたかを見ると、平成7年前後、女性の構成比率は非常に安定した動きを示しております。これは、わざわざ構成比変化を除去しても、あるいは除去しなくても、計算結果に大差がない状況だったということは見て取れると思います。
 なぜ除去方式をやめたかということについての直接の手がかりとなる資料は残されていないわけですけれども、除去してもしなくても結果に大差のない状況であったということはわかります。

○会長
 当時の委員の方はいらっしゃらないので、はっきりした記憶と記録が見いだせないようです。それで、資料No.3のような女性比率の推移表を見て、推論をいま事務局がしたわけですが、そういう理由のようです。

○労側委員
 2点ありまして、1点は、資料No.3と資料No.4の関係です。資料No.3で見ると、パートタイム労働者あるいは一般労働者とも女性比率は推移として低下傾向にあります。しかし、パートタイム労働者の比率そのものは全体的に上昇傾向を示しているわけです。この両者の関係をどう見るのかということです。
 2点目は、資料No.5で公益委員見解の引上げ率の平成14年のところです。これは解釈の問題ですが、平成14年の公益委員見解は、「引上げ額の目安を示すことが適当でない」という表現だったように解釈しています。本日の議論の上でですので、便宜的な扱いとしてそれをゼロという扱いにしたというふうに解釈してよろしいのですか。

○事務局
 2点目は、労側委員のおっしゃられるとおりです。0.0ということが公益委員見解として示されているわけではありませんので、そのように解釈していただいて結構です。
 1点目のところですが、一般労働者についてもパートタイム労働者についても、女性比率は低下しているわけです。女性が相対的に多いパートタイム労働者の割合が高まっておりますので、全体として見ると、ほぼ横ばいという状況になっております。直感的にはわかりづらい部分がありますので、具体的な数字で申し上げますと、平成3年と平成15年の状況を比較すると、一般労働者(賃構)が平成3年には34.20%だったのが、平成15年には31.16%、パートタイム労働者が平成3年には86.95%だったのが、平成15年には78.61%となっております。
 これを男女の数字で見ると、男性の一般労働者はこの間に50万人減っており、パートタイム労働者は20万人増えています。女性は60万人減っていて、パートタイム労働者は40万人増えています。女性全体で見ると20万人減っているという状況になっております。男性のパートタイム労働者は20万人増えていまして、女性は40万人増えていますが、パートタイム労働者に占める女性比率としては低下してしまうという状況が見られます。最終的に男女で見た場合、全体では横ばいになっています。女性比率が高いパートタイム労働者が相対的に増加したことが影響し、全体としては横ばいで推移している関係になっています。

○会長
 その60万人減というのは、女性のパートタイム労働者ですか。

○事務局
 男性の一般労働者は50万人減っていまして、パートタイム労働者が20万人増えています。男性全体では30万人の減少となっています。女性の一般労働者は60万人減っていて、パートタイム労働者は40万人増えています。全体で見ると20万人減っている状況になっています。

○公益委員
 資料No.3の女性比率の統計ですが、賃金構造基本統計調査の場合には接続の問題があるということでした。毎月勤労統計調査の場合は、注を見ると接続上の問題ではないのですね。

○事務局
 調査対象事業所が若干変わっているようです。その関係で、平成元年と平成2年を単純には比較できないことになるかと思います。

○公益委員
 賃金構造基本統計調査の推定だと、女性パートタイム労働者だけを考慮して、女性比率の計を出しているのですね。

○事務局
 はい。

○公益委員
 ということは、昭和53年の36.78%というのは、女性比率が少し高めに出ている可能性がありますか。

○事務局
 そういうことになると思います。

○公益委員
 接続から見ると、毎勤のほうを見たほうが素直ですか。

○事務局
 はい。

○会長
 第4表の計算方法に関する議論が残されていますが、資料No.1から資料No.5までの状況調査のあり方についての議論はまだありますか。資料No.1では、いままでの主要な議論をまとめていただいてあるのですが、特にないようでしたら先に進めたいと思います。
 「改定状況調査のあり方」の中でも、第4表の計算方法について、目安制度の基本にかかわる点も含め、いろいろな切り口から意見がありましたので、改めて論点を整理し、順序立てて議論を進めたいと思います。これについても、いままでの論点を事務局で整理していただきましたので説明をお願いいたします。

○事務局
 会長からお話がありましたように、事務局で論点を整理いたしましたので、資料No.6を読み上げさせていただきます。第4表の計算方法の論点の整理の仕方としては、当然計算方法を議論する上では、その前提となる考え方や基本的事項が重要となるかと思います。そのような観点から論点ペーパーを整理しております。
 「「類似の労働者」をどう捉えるか。(従来は、中小事業場の一般労働者及びパートタイム労働者を参考としてきている。)」「目安を上げ幅で決定することにつきどう考えるか。水準を考慮すべきとの指摘についてどう考えるか。」「目安を上げ幅で決定するという立場に立った場合、「類似の労働者」の賃金の、どのような面を最低賃金の改定の参考とすることが適当か。<参考1>平成2年4月27日中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会報告(抜粋)。我が国においては、労使の交渉により賃金が毎年引き上げられるという慣行があり、最低賃金についてもこのような一般的な賃金水準の上昇を念頭に置きつつ、改正を行っていくべきである。<参考2>平成7年4月28日中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会報告(抜粋)。「パート労働者の賃金水準とそのウェイトの変化」が反映されるようにするため、一般労働者及びパート労働者の全労働者について賃金上昇率を求めることが適当である。」 「「第4表一般労働者及びパートタイム労働者の賃金上昇率」の計算方法をどのようにすべきか。現行の賃金上昇率の計算方式は、相対的に高賃金又は低賃金の労働者の構成比が対前年で変化すると、その影響で、計算の結果が変動するという特徴があることについてどう考えるか。<参考>昭和54年〜平成6年は男女構成比の変化を反映した方法及び除去した方法で計算。平成7年以降は男女構成比及び一般・パートの構成比の変化を反映した方法で計算。」 このようになっております。以上です。

○会長
 大きく分けて4つの論点が事務局から示されております。「類似の労働者」をどう捉えるかという問題については、賃金改定状況調査の調査対象労働者の問題ということです。これは、既にご案内のように、事務局から資料で説明がされていることです。いままでの調査対象については資料No.1にありましたように、調査対象事業所の選定についても議論がなされたところです。郡部、町村まで拡大してほしいという主張、あるいはもっと規模の小さい企業を調査すべきではないかという主張がなされています。
 資料No.1の1との関連で、資料No.6の最初の○印のところですが、「類似の労働者」をどう捉えるかという問題です。いままで出された論点以上に、こういう点を強調しておきたいというご意見がありましたら改めてお出しください。調査対象事業所の選定というのは基本的な問題ですので、最初にこれだけ取り出します。現行方式について、資料No.1で指摘されていることも含めて、改めてご主張がありましたらお伺いします。

○使側委員
 調査対象の事業所の選定というのは、技術的な問題もあって難しいと思いますが、最低賃金の持つ意味を考えたら、調査対象を郡部や町村にまで拡大したほうがいいのではないかと思います。

○使側委員
 調査対象の規模は、現行どおりでいいと思っております。小規模の企業、特に地方の小規模の企業に影響が大きいわけですから、そういう所の実態を反映したような資料にするべきだと思います。

○会長
 現行は、30人未満ということでやっています。

○使側委員
 30人未満で、変える必要はないと思います。

○労側委員
 「類似の労働者」をどう捉えるかという観点との絡みもありますが、労働者側としては「類似の労働者」の概念については、かねてより最低賃金の適用を受ける労働者全体であるということを主張してきた経過があります。その意味で、企業規模や雇用形態の違いで、これが「類似の労働者」だ、これ以下が「類似の労働者」だ、という形で線引きをすべきではないのではないかと考えております。
 したがって、企業規模が小さいほど賃金水準が低い、という統計的な傾向があるわけですが、そうした統計上の傾向をもって、小規模企業に働く労働者を「類似の労働者」と規定するべきではないと考えております。パートタイム労働者と一般労働者についても同様です。どちらも「類似の労働者」であるという点には変わりはないと考えております。
 こうした観点から、これまでも申し上げましたけれども、現実対応として、地方局が実施しております最低賃金に関する基礎調査との整合性をとるという意味でも、つまり地方局での審議はそれをベースにして審議しているわけですから、その最低賃金に関する基礎調査と同じ調査対象規模、100人未満規模に拡大したほうがよいのではないかと考えております。

○会長
 労使それぞれから、そういう基本的な見解が表明されたということで、この問題についてさらにご意見がなければ、2番目、3番目、4番目を込みにしてご意見を伺います。

○労側委員
 本日は7回目の全員協議会ということですが、既に6回までで労使双方からかなり意見が出されているので繰り返しになろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。2番目、3番目、4番目はそれぞれ関連があります。これまでの全員協議会でも見解を述べてきましたが、最低賃金の決定にとって大事なことは、いくら引き上げるかという上げ幅もさることながら、どのような水準であるべきかといった適正水準についての審議が大事なのだろうと考えています。
 ちなみに、「類似の労働者」の賃金との相対関係、つまり、賃金の比較をするとか、影響率の議論をするときには、上げ幅で議論するわけではなくて、当然ながら水準がベースとなるわけです。したがって、賃金改定状況調査など、目安審議のための資料としては、水準論議ができるような工夫、改善、付加的資料提示をお願いしておきます。
 3番目、4番目ですが、賃金水準の変化が適正に反映される資料が、参考資料としては望ましいのだろうと思います。ここでは、上げ幅で論点が整理されておりますので、上げ幅に着目した場合は、その年の賃金上昇傾向や水準の変化が適正に反映されるデータとすることが、審議資料としての信頼性が高まるのだろうと思っています。
 そうした観点から、一般労働者とパートタイム労働者の構成比変化が計算結果に与える影響が大きいことにより、その年の賃金水準傾向や水準変化が適正に反映されないのだということであれば、そうした計算方法は改められるべきだと考えます。したがって、一般労働者とパートタイム労働者の構成比変化が与える影響を除去した計算方法に見直すべきではないか、ということを申し上げておきます。

○会長
 資料No.1の2の(1)の中で、前回の議論を整理したことを確認的におっしゃっていただきました。

○使側委員
 私どもも、前回までにほぼ意見は言ってまいりましたので、繰り返しになるかと思いますけれども一応申し上げておきます。2番目の、目安を上げ幅で決定することにつきどう考えるか、また水準はということですけれども、私どもからまず申し上げておきたいのは、「上げ幅で決定」となっておりますけれども、範囲としては上げ幅ではなくて「増減幅」でしょうということです。
 水準の話ですが、この目安決定についても、私どもとしても第4表だけではないですよ、いろいろなものを勘案しますと。これは、法に書いてあるとおり「類似の労働者」の状況、企業の支払い能力、そして生計費の全体を勘案しながら議論した結果として目安を今日まで出してきました。
 それを受けて、実際に決めるのは各地方最低賃金審議会でやっているということで、地方最低賃金審議会でも同じような要素を勘案しながら水準を決定してきているということであろうかと思います。したがって、現行どおりの考え方でよろしいだろうと思っています。これが2番目のところです。
 3番目の「類似の労働者」の範囲については、資料No.6に参考1と参考2ということで書いていただいておりますが、「類似の労働者」の範囲についても議論を経て、パートタイム労働者を含め、現在の計算に至っているのであろうかと思っております。平成7年においては、「パートタイム労働者の賃金水準とそのウェイトの変化」を反映させるようにするために、全体としての賃金上昇率、これも賃金増減率でしょうけれども、求めることが適当であるという結論に達した、という経緯があることは重く受け止めておくべきであろうと考えております。
 ここに付け加えますと、先ほど事務局からもお話がありましたように、当時の実際の議論は議事録に基づいてもわからないということでした。したがって、推測でしか物は言えないのですけれども、4番目にかかわってまいりますが、たぶんこのときに男女構成を除去するというやり方と、除去しないやり方の2つの表を作りつつ、実際の公益見解を見ますと、男女構成の変化を除去した形のものに重きを置いて結論を出されてきたのだろうというところは確認できるところであります。
 平成7年のときに除去する形を改めたわけです。そのときに、ほぼ男女比率は安定していたというお話でしたが、資料No.5で構成比を反映したものと、除去したものの数字が出て、公益見解を示したものが載っているわけです。その影響というのは、2つの出し方で変わってきているわけでして、必ずしもほぼ安定していたから全然影響はなかったというわけではなく、それなりの影響を受けていた中で、変化率の除去というやり方をやめたということをひとつ考えておかなければいけないことだろうと思います。
 パート比率の変化についても、当時でも多少ずつ上がってきています。それは、こういう数字で出したときには絶対影響があったはずですし、パート比率については、その後も、今日ほどこのような増加傾向になることが予測できたかどうかは別問題としても、少なくとも数字には相当程度影響するであろう変化がある、ということは予測できた中で、平成7年の除去するというやり方をやめて、全部含んで反映するという方式をとったということは重みをもって受け止めておく必要があるのであろうと考えております。私としては、今のやり方で続けるべきであると思っております

○労側委員
 平成7年にやめたのは、基本的にはパートタイム労働者を一緒に入れるということで決まったからやめた、というふうに理解しております。そのときの経緯を私は先輩から聞いております。確かにいろいろな議論がありました。ここで何回も紹介しておりますが、この前段での国を挙げての時間短縮という運動が進み、労働時間短縮の影響による時間あたり賃金の上昇が進んでいました。先ほど事務局から紹介がありましたように、まさにそういう状況の下で労働者側が強く主張した。その中で使用者側から、パートタイム労働者を含めるべきということがあり、ある意味で、私個人の意見では労働者側の選択ミスだったと思っております。損得勘定みたいなことがあって、パート比率よりも労働時間短縮のほうが有利に働くという気持を持った人もいたようです。これを批判するつもりはありませんし、その当時の労使が決めたことですから、そういう点では我々もそれを重く置いて、昨年もそうだったでしょうけれども、労側委員がパート比率を考慮した場合の試算を出したように、我々としてはこの数年間忸怩たる思いの中で、それだけで決まるものではないということで主張してまいりました。
 それでも、過去の経緯から第4表に大変重きをなしてこられました。そういう点では大変損をした、というのは言いすぎだとは思うのですけれども、きちんとした状況の中で、本来なら低いと言われているパートタイム労働者の人たちの賃金が上がったにもかかわらず、下支えをするという地方最低賃金審議会の目安の上げるのが少なかったというところに関して、本来の姿に戻すべきだ、それも水準をきちんとすべきだと思っております。
 先ほどの対象の範囲もそうなのですが、「類似の労働者」も一緒になってくると思うのです。法律に書いてあるとおり「賃金の低廉な労働者」が対象だと思っています。それでは何が低廉かというと、全体の中での、どの部分が低廉かということだと思うのです。地域であろうが、パートタイム労働者であろうがそれを逆に言えば格差が大変拡大したときに、日本の下請構造なり、地域の疲弊の中で大変厳しいところだけの変化を見ながら決めていくというのはいかがなものか。
 そうはいっても、技術的に全労働者を調べながら、その第何分位の低廉な労働者というのはどこで、その水準の変化がどうだということに関して、そこまで調べたり、詰めたりすることは大変困難だとは思っております。そういう点では、先ほど我々が言ったように、せめて基礎調査として100人未満の調査をしているのだから、その辺りの数字を使うべきだということを言ったと思っております。
 平成7年の経緯でなぜやめたかというと、パートタイム労働者を入れたからということと、現状、先ほど労側委員が言ったようなことが我々の総意ですけれども、その経緯を踏まえて、きちんとしたあるべき姿に戻していただきたいと思っております

○会長
 それぞれ労使から、これまでの議論も含めて基本的な見解が出されたと思います。公益委員の方も活発にご議論いただきたいと思います

○公益委員
 「類似の労働者」の賃金に与えるいろいろなファクターがあるわけですが、そのファクターが大きく変化したら考慮すべきである、というのが原則だと思っています。そのファクターが何であるか、というのは当然時代によって違うわけです。今の時代だと、一般労働者とパート問題というのが非常に大きいので、そこは十分考慮して考えるべきだと思います。
 私は、過去のことはわからないのですけれども、平成7年で男女構成の要因除去をやめて、パートタイム労働者と一般労働者を込みにして出すようにしたわけです。込みにするというのは、少しは考慮したということなのですが、なぜ、こんな中途半端なことをしたのか。構成比がものすごく大きく変わったのだったら、非常に標準的な方法でいえば、いろいろな所で使っているラスパイレスか何かを使って、ちゃんとルール化しておけばよかったのではないかという気持があります。
 少なくともパートタイム労働者の問題は、男女の問題で本日データをいただきましたけれども、資料No.3のデータを見ても、昭和53年からいま問題になっている平成6、7年までで、比率で4%ぐらい動いています。片方でパート比率を資料No.4で見ると、この変化のスピードのほうが大きいです。そういう点から考えても、どうしてもパートタイム労働者の問題は、個別賃金に与える大きな影響としては考慮せざるを得ないと思っております。
 このパートタイム労働者も、時代がどう変わるかわかりません。しばらくしたら、パート比率が安定する可能性もあります。もしかしたら契約社員みたいなのが増えて、一般労働者が増えてくる可能性があります。そうすると、将来こういう要因の影響が、引上げ率にプラスに効くかマイナスに効くかというのはわからないです。
 最後に言いたいことは、原則はちゃんと守ってほしいということです。「類似の労働者」の賃金に与えると考えられているファクターが大きく変化したら、マイナスに振れようがプラスに振れようが、それはきちんと考慮するということをいちばん重要な原則として、当面、現段階ではパート比率を考慮せざるを得ないのではないかと思っております。
 いろいろな計算方法があるわけですが、あまり凝らないほうがいいのではないか。普通に標準的にやっている、みんなが他の賃金を計算するような、非常に標準的な方法でやったほうが納得性が高いと思います。例を挙げると、先ほど言いましたラスパイレスみたいな方法でやるのがいいかなというのが私の個人的な考え方です。

○公益委員
 カレンダーを見ますと、そろそろ目安の時期に入りつつあるような感じがいたします。計算方法を変えるという時間的な余裕があるのかどうか。平成7年の報告を変えるような、非常に重要な問題を含んでいる部分があるとすれば、相当大議論をしなければいけないという感じがします。そうすると、残念ながら目安の後に本格的な議論を詰めて行うという方法がいいのではないかと思います。

○会長
 これは、当初から5年ごとの見直しということで、次期5年に当たるのが平成17年ですので、平成16年中に一定の結論を得る予定ですね。

○事務局
 補足しますと、5年ごとの見直しですので、平成17年以降の目安制度をどうするかという議論を、いまここでしていただいているわけです。その議論の結果は、平成17年以降に反映をされるという枠組みになっております。平成16年の目安の審議の仕方をここで議論しているわけではありません。

○公益委員
 議論の時期についてはいろいろあると思うのですが、平成7年に男女構成比を除去したベースから除去しないベースになったというところでいろいろ議論があるわけです。私も、この辺の経緯は全くわからないわけですけれども、先ほどの事務局の説明によると、資料No.3で女性比率はかなり安定してきているということで、男女の構成比を考える必要がなくなったのではないか。女性の労働参加比率は安定してきて、むしろパート化という構造的な変化というものが大きくなったので、男女を一緒にしてベース化したのではないかと推測されるわけですが、その当時はパート比率がここまで構造的に変わるとは、たぶん予想できなかったのだろうと思います。そうすると、先ほど公益委員も言われたように、パートタイム労働者と一般労働者は労働の質も違うし賃金の質も違うわけですが、「類似の労働者」としてはパートタイム労働者と言うほうが最低賃金の「類似の労働者」としては関連性があるわけで、そうするとパートタイム労働者の賃金の伸びがきちんと反映されるような形で、先ほどラスパイレス指数という話が出ましたが、バスケットのウェイトの変化を除去する形に変えていくことが必要なのではないか。
 もちろん労働者側としては、先ほど公益委員が言われたように、例えば今後、パートタイム労働者が構造的に一本調子で上昇していくことに、危惧を抱かれているのはよく分かるわけですが、ただ、これも景気循環の要因とか、業務請負や派遣といった非正規労働者、これは一般労働者になるわけですが、そちらの比率が高まる可能性もあるわけです。パートタイム労働者が過去10年のトレンドでこれからも一本調子で高まっていくという危惧は当たらないのではないかという気がいたします。

○使側委員
 私どもの結論をまとめたわけではなくて、前回のようなことの延長の意見になるわけです。いま出ている意見の中で誤解してはいけないことが1、2あって、1つはパートタイム労働者と一般労働者の労働が違うとか、質が違うというお話がありましたが、私は違っていないと思います。なぜそう言うかというと、例えば電機産業でビデオの組立てなどをやっている所のパート比率は90%から95%と言われます。その95%になる前は60%時代もあったし、それが徐々に向上して現在の95%になっているわけです。したがって、作業自体がパートタイム労働者と一般労働者と、ビデオ組立てという職場において変わっているわけではない。変わっているのは、雇用の仕方が違っているだけなのです。
 その前には、若年労働者もしくは女性労働者をもっぱら採用した時代があった。それを熟練高年齢労働者に置き換えて、職場の合理化を図っていった時代があったわけですが、それだと雇用の柔軟性に欠けるのと、採用の難しさも考えて、そういう若年労働者でなくてパートタイム労働者の、いわゆる18歳から35歳ぐらいまで幅のあるような労働者の採用に変わってきた。
 要するに労務構成が変われば賃金に影響を与えるのは当然のことであり、いま言った若年労働者に置き換えるときにどういうことが起こったか。当然、ビデオ職場の平均賃金は、その職場だけを取って見れば大幅に下がったわけです。年輩労働者はどうなったかというと、定年や他社へ出向派遣されるなど、いろいろなケースで変わっていったのだろうと思います。
 新卒採用をするときに労務構成によって賃金が下がった問題と、パートタイム労働者に置き換えることによって賃金が下がる問題と、これはある意味で現象的に同じなのですが、片方は問題にしない。一般労働者の中のそういう下がる問題で、成果給の問題もそうだと思いますが、そういうことは別にしてパートタイム労働者の問題だけ、要するに雇用の仕方が置き換わったことだけを抜き出すのは、いかがなものかと思います。
 それと、先ほど使側委員が言ったように、平成7年のときの重みというのは、要はパートタイム労働者の変化、男女構成の変化を重視しようという考え方で、平成7年のときは変えたのではないか。というのはそれを含めてやるわけですから、それ以前は含めないやり方があったり、パートタイム労働者の場合は含めなかったわけです。そういう時代を経てきて、本来は含めてやるべきではないかという考え方に変えたのが平成7年であって、それを更に一部の労働者だけ除去してその部分だけ拡大するというのは、私は必ずしも公正ではないと思うし、考えるべき基本ということにはならないと考えている次第です。

○公益委員
 使側委員が言われた前半の件ですが、確かに年齢構成が非常に変わったときに賃金が変わるとか、今回、対象は中小企業ですから、私は年齢より勤続年数のほうが効くのではないかと思います。それが大きく変わったときに賃金に影響を与える。そういう点で、要因としてはパートタイム労働者だけではないのではないかというのは私も大賛成です。
 ただ、私が先ほど、今回はパートタイム労働者については考慮したほうがいいのではないかと申し上げたのは、たぶん年齢構成はそんなに変化していないという気持と、もう1つは、先ほども言いましたように、これだけ小さい企業の場合、賃金はフラットですので、年齢構成の影響はほとんどないということで、私は年齢のことを言わなかったのです。
 それと、今日はデータがないのですが、以前に見たデータでは、かなり勤続年数も安定していると私は思っているものですから、いちばん重要な原則は、賃金決定に大きな影響を与えるであろうファクターが大きく変化したら、考慮すべきだということです。現状だと、今回はたまたまと言ったらいいのでしょうか、雇用形態が多様化してきてパート比率が非常に大きくなってきたことは、とりあえずは考慮せざるを得ないと思って申し上げたので、そういう点では使側委員が言われた前半については私も賛成なのです。

○使側委員
 私も使側委員の発言に大賛成なのですが、申し上げたいことは、例えば賃金構成が変わる可能性のあるファクターとしては、もう1つ業績というのがあります。これは企業間ということもあるし、1つの事業所でも一律に賃金を扱わなくなってきている。そういった傾向もある。これが長く続けば賃金構成全体として、平均賃金に影響を与えてくることもあると思います。
 年齢構成も、いま何が起こっているかと言えば、中小企業は人件費を中心としたコスト削減に血眼になっていますから、そういうことでないと仕事をもらえない。仕事がもらえなければ企業はやっていけませんから、企業を廃業するか倒産するかという方向しかないわけです。
 そういう中で何をしているかというと、良いか悪いかは別ですが、正社員を人件費の安いパートタイム労働者に変えることで一生懸命コストを下げている。年齢の高い熟練者から人件費の安い若者に変えていく動きで、全体として賃金を低めのほうに持って行く傾向があるわけです。そういうことも平均賃金変更の大きなファクターになると考えるわけです。
 ですからパートタイム労働者だけ考えればいいというのは、仮に今回、百歩譲ってパートタイム労働者の影響を除去するということになっても、また他のファクターで影響があるといえば、それも除去すべきだという議論になって、最低賃金の審議が非常に不安定になる。原則論だけが通るということでは決してないのではないか。公益委員が言われるように、これには大議論が必要だと思います。なぜ平成7年に決まったかもはっきり分かりませんし、こういうことを変えるには、先ほど労側委員が言われたようないろいろな利害得失も、良いか悪いかは別にして表面に出てくるわけです。
 それと時期というのがあると思います。例えば今の時期では年金問題で企業の負担が更に年々増えてくる。介護保険や健康保険もこれから見直しが始まり、保険料の問題に手を付けることが十分考えられる。というよりは、我々は反対していますけれども手を付けざるを得ない客観的状況にある。そういったことになっていて、これを上げるということは制度論はともかくとして実態に合うかどうかです。例えば、先ほど対象の問題が出ましたが、小規模の場合には支払い能力もあるわけで、支払い能力が低い所に賃金格差が出ている面も十分あるわけです。そういったことで原則論だけでは地方の事業主は説得できません。ですから、この大議論に必要ないろいろなファクターをひとつひとつ、もう少し丁寧に議論していくことが必要なのではないか。
 原則論でやれば簡単ですが、こういう厳しい状況の中で地方の中小企業主は、これによってどうなるかに注目するわけです。例えば適用範囲の拡大にしても、パートタイム労働者の影響の除去にしても、上がるということを直感的に感じるわけです。そういうデータもありますし、それは今の全体の事業主が考えている、コストをどうしようかというところに如実に影響があるわけです。そういったことを簡単に認める、あるいは我々が説得することはとてもできないわけです。そういうところも考慮していただきたいと思います。

○労側委員
 私は2つ申し上げたいのですが、1点は、確かに平成7年の全員協議会でなぜ決まったのかは分からないのですが、その重みは重みとしてあると思います。ただ、そうは言いつつも前々回ぐらいに私は申し上げたのですが、第1回の参考資料の中に、平成2年の全員協議会の専門委員会の中での議論として、影響率の問題が指摘されています。第1回の資料No.2の9頁の4ポツのところで、「ある程度の影響率を持つ水準に設定する必要がある」と明確に記載があります。そうすると、ここの検討の中で設定する必要があるときちんと言われているということは、これも重みがあると思っています。
 しかしながら、影響率の問題については、これも第3回の資料No.9で出ていますが、平成2年の4.5から14年の1.9まで大きく低下している問題があります。つまりこの間、最低賃金の「類似の労働者」水準に対する比率は、低下してきているということだろうと思います。そういうふうに考えると、平成2年のこの検討の重みというのも、やはり重視していただかなければならないというのが1点目の私の主張です。
 2点目は、それでは平成7年の議論の中でどういう議論だったのかということで、これも逐一読みますと、最低賃金と一般賃金との関係、格差の問題の中で、時間額の問題やパート比率の問題が検討されているようです。そうすると、ここは最低賃金と一般賃金との比率の問題ですから、むしろ上げ幅ではなくて水準そのものがどうなったか、あるいはどういう方向で動かしていくのかという議論が前提としてあって、その上でウェイト変化の問題が出てきたのではないかと思います。
 そういう意味から言うと、先ほどの影響率の問題も含めて、かなり下がり過ぎているという現状を含めると、今の決定方式をずっと続けることについては賛成しかねますし、最低賃金と一般労働者賃金の格差が更に拡大する傾向を強めますので、是非、そのあたりはご考慮をお願いしたいと思います。

○使側委員
 いまのお話ですが、この第4表の計算方法についての論点の3番目の参考1、平成2年の見解ですけれども、平成2年はどういう状況かというとバブルの絶好調のときです。ですから、こういうことも言えたのではないか。ちょっと状況が違うと認識すべきだと思います。
 それと、先ほども言いましたが、最低賃金というのは政策ではありますけれども、賃金ですから賃金の要素というのがあるわけです。支払うのは事業主であり、企業がなくなってしまったら支払う賃金もなくなってしまうわけです。ですから実態というものを、我々としてはよく考えなければならないと考えています

○会長
 実態のことですが、今日の資料No.6の論点の3番目で、平成2年のときに一般的な賃金水準の上昇を念頭に置くということですから、全体状況で込み込みにして計算をするという、一般賃金水準を見ながら最低賃金についても適正な水準を決めるということのように思います。平成7年も全労働者について賃金上昇率を求めると、雇用就業形態の違いを超えた一般的な、あるいは全労働者のという立場で検討されてきたことは資料にあると思います。
 そういう議論がされたときが平成2年、平成7年で、今日の資料No.4を見ると、調査対象の5〜29人規模でいくとパート比率が、平成2年に比べると10%以上、平成7年に比べると9%近くです。10%台から20%台の後半にパート比率が高まったということは、平成2年、平成7年当時の一般的な水準、あるいは全労働者の賃金との関係で最低賃金を考える状況から、実態が変化したのではないか。平成2年、平成7年当時の議論状況と、現在、我々がこういう調査から得られる前提事実が大きく変わった。
 先ほど使側委員が、年齢による労務構成の変化を一例として挙げられましたが、そういう他の要素を、これから厳密に検証しなければいけないと思います。少なくともパート比率のこれだけの顕著な増大というのを、最低賃金の決定に当たって、いま改めて考えてみることは私は必要なことだと思います。この審議会以外に、それを考える所がないわけですから、納得のいく方向で考えるべきだと思います。
 逆にお尋ねですが、資料No.4から出てくる平成2年、平成7年当時のパート比率の推移が、現在、我々が見ている調査対象事業の30人未満の同規模の事業では27.1%です。これだけの変化で、しかも一般労働者とパートタイム労働者との間には賃金比率で大体6割から7割くらいにしか届いていない人たちが、これだけ激増していることを、一般労働者とならしてしまっていいのかどうか。込み込みでして、最低賃金というものの水準を決定する今までの体制でいいのか。何らかの修正を加える必要はないのかというのが問題の発端だと思います。そういうことについては、いかがですか。

○使側委員
 1つは、資料No.4を見ると、例えば15%台を続けたのが平成10年から平成13年まであります。その後も18%です。これは賃金構造基本統計調査のほうの資料です。この最低賃金の上昇指数を見ると、パートタイム労働者の上昇の変化は、上昇の阻害要因になっていないのではないかと思われるのです。
 例えば指数で本の136頁に、「最低賃金額と一般賃金水準等との比較」があります。これは平成7年を100として地域別最低賃金の指数を出しているわけですが、そこからすると、いま申し上げた15%となった平成10年を見ると106.2、それから108.5ぐらいにずっと上がってきています。そういう要因が果たしてパートタイム労働者の上昇の要因なのか。例えば平均賃金が下がるとか、上がらないということが、どういう要因かということもはっきりしないと思います。だから最低賃金は、少なくともここ2年は目安は上がっていませんが、その前まではずっと上がってきたわけです。その前でもちゃんとパートタイム労働者は増えているわけです。
 平成3年からずっと不況が続いていて、その不況で一般労働者の賃金が下がっていることがありますし、いま二極分化傾向で、業績の良い企業と悪い企業がはっきり分かれているわけです。業績の良い企業の賃上げも5,000円とか3,000円ぐらいですし、引下げは1割ぐらいありますけれども、そこのところでは1万円とか1万5,000円という年間の額の減少がある。そういったいろいろな要因があって、必ずしもパートタイム労働者だからと決め付ける根拠はないのではないかと思っています。

○使側委員
 これからのパートタイム労働者というのは、実際に60歳から65歳に定年を延ばせということもありますし、ここに来て男性の比率がすごく増えてきている。これを見ても女性は減っているのですが、これから団塊の世代も出てきますし、職業安定所などに行っても男性の60歳過ぎの方がすごく増えてきているのです。そういう実態からするとパートタイム労働者は増える、しかも必ずしも女性でなくて男性も増えてくる、年齢も高年齢のパートタイム労働者が増えてくるなど、単に男女だけの問題でなく、年齢的なものも絡まって、パートタイム労働者の内容が変わってくると思います。私は平成7年の、いろいろなものを加味したものを考えてやっていくという考え方は非常にいい考え方ではないかと思います。ですから、これの重みは十分に考えるべきだと思います。
 ただ、1つだけ申し上げたいのは、資料No.2に上昇率について書いてありますが、最近の実態は、いまお話があったように一般労働者は下がる、パートタイム労働者は少し上げようかなという傾向がありますから、必ずしも上げなければならないというところは、少し直したほうがいいのではないか。上昇率も下降率もあるわけですから、その辺だけは平成7年の内容は、必ず上げるということを前提に作られているのかなと、そこだけ少し疑問に感じます。他の数字の作り方は、平成7年のは十分に重みがあるのではないかと思います。

○使側委員
 ほとんど男性が増えたのではないかと私も思います。パートタイム労働者の女性比率が87.38%と78.61%で、10%近く減っているということは男性が増えている。パートタイム労働者の問題は女性問題というふうに昔から言われていましたが、そういう意味では最近は、いま使側委員が言われたように、女性の問題というよりは若いフリーターのような男性、また高齢者の男性もパートタイム労働者として働くケースが増えてきましたので、そういういろいろなケースがあるというのを1つ1つ切り分けて、どれぐらいの影響があるかを分析するのは大変難しいのかなと思います。
 先ほど公益委員も、ファクターが影響を及ぼすのであれば、時代によって変わるファクターはちゃんと影響度合いを考えなければいけないと言われましたが、それぞれ時代によって変わるファクターをそのたびに大議論して、皆さんと検討していくことはとても困難な気がします。平成7年のときにいろいろなことを考えて、結局、実態を表わす現状の賃金を示すことになったのも、いま使側委員が言われたように私もそれがいちばんいい方法なのかなと思います。いろいろ考えた末、長い目で見たときにはそれがいちばんいい。
 ただ、変更したときの理由が、今、ここで分からないというのは信じられないような気がします。こうやって議論していることも5〜6年経ったときに、あのときはどういう結論が出て、こういう理由で変えたということが記録されないのかと思うと、ちょっと心配になってきました。

○使側委員
 先ほど公益委員から、平成7年の改革のときに女性の比率は考える必要がなくなり、かつ、そのときにパートタイム労働者を入れて反映するようにした。この当時、パートタイム労働者はここまで増えることは予測できなかったのだろうというお話がありました。確かにここまで増えることは予測できなかったとは思いますが、ただし、1つ言えることは、この表4の数字が変わるだけの影響を十分に与えるということは、当然予測できたはずです。いまみたいに困難があるということは予測できなくても、さっきの男女比率もほとんど変わっていなくても、公益見解の目安水準は違っていますよね。やはり影響が大きく出るということだけは分かっているはずだと思っています。したがって、それはわかった上で、いろいろ考えて議論した上で出た結論なのだろうというのが1つあります。
 2つ目ですが、今後、パート比率がもっと増加していくことを使用者側としては危惧されているのではないかというお話でしたが、実はそうではないということを申し上げておきたいと思います。私どもは損得ということで言っているのではないのです。平成7年のときに全体を含めて反映しようと言ったことの議論の重みというものがあるのです。それが逆にここにきたときに、ある損得が生じたから変えるというのは、また結局変えるという話になって、それは非常に私どもとしては地方に説明しにくいと思っているわけです。
 今後のパート比率については、確かに今後の高齢者雇用の問題や、その他均衡処遇の問題等々いろいろあって、実際にパート比率はかなり高まっていますから、今後ともこれが高くなっていくか、または低くなっていくかは非常に不透明だろうと私は思っています。また、ここのところの不景気で、いわゆる正規従業員と言われる方たちの採用も手控えられてきましたから、これが今後どうなっていくか、別問題としてあるわけです。少なくともパート比率の動向については不透明なのだろうと思っています。
 3つ目ですが、いま、平成7年の決定はそれだけ重みがあると私は言いましたけれども、併せて、平成7年まで男女の構成比率を分けて、その変化率を除去してきた事実があることも認識していることを、3点目に申し上げておきたいと思います

○労側委員
 我々も損得のことより、きちんとした資料がほしいのです。先ほど使側委員が言われましたが、それは目安審議の話なのです。確かにいろいろな要素があるでしょう。だから、それは我々が要求したようにならないし、賃下げとか凍結事業所割合というのも、ある意味では大変な議論だったと思います。そういう点で第4表は賃金の改定変化をきちんと見るために、我々は水準も見られるような工夫をしながら変えていただきたいと言っているだけで、労務コストの変化を見るには、こういう資料でもそれはそうでしょうねと。でも水準を表わしたり水準が変化したりする資料も、きちんとしたものにしてほしい。むしろ4表は、賃金の変化をきちんと見れるようなものに改善してほしいということです。確かに我々も今、中小地場で零細企業も含めて大変に厳しい賃金闘争をしていますが、それはそれなりの労使なり、いろいろな要素の中で決められている。
 おっしゃられたことが一般労働者の問題なのか、ある意味で11万円前後の賃金の人の話と、20万円の人の話なのか、30万円の人の話なのかなのです。セーフティネットとしての最低賃金を、支払い能力としては大変でしょうけれども、生活ができない賃金では駄目だという我々の主張も一方であるように、そういう点ではいろいろな要素をきちんと議論する。それはきちんとやられてきたし、これからもやっていくべきだと思うから、4表本来の趣旨に沿った、きちんと見られる改善をしてほしいということを、我々は常に主張しているということです。

○公益委員
 何度も言って繰り返しですが、やはり変化に合わせるべきだと私は思っています。ですから労働市場が大きく変化したら、それは合わせるべきです。ただ、これは1つの社会ルールですから、拙速にしょっちゅう変えていたら混乱しますので、両者を睨んで適正な間隔を考えながら、時代状況に合わせて変えるというのが原則だと思います。
 そう考えると、将来何が起きるかわからないのです。先ほどパートタイム労働者に男性が増えてきたというお話がありました。例えばこんな現象もあるなと私が最近思っているのは、大手のスーパーを見るとパート比率が限界まで行っている。行くところまで行って、最近は正社員を契約社員化していく動きがすごく増えている。それがもし一般化すれば、先ほども少し言いましたが、一般労働者の賃金は平均すると下がるということがあり得るのです。
 例えば、ある状況でパートタイム労働者の賃金も下がった、でも一般労働者の構成比が大きくなれば平均賃金は上がってしまうのです。そのときに我々は、そのときの時代状況に合わせた「類似の労働者」の賃金を下がったと認識するのか、上がったと認識するのか。平均賃金でいくと上がったと認識してしまうのです。だから、いまここで想定されるのと全く逆の状況なのですが、そこを私などは、いま言ったような状況だと下がったと認識すべきだと思っているので、その辺の混乱が起きないようにしておきたいという気持があります。
 ただ、先ほどから言われているようにルールをガラッと変えると、いろいろな混乱が起きる可能性がありますので、それはそれで別途考えるべき要素としてはあると思います。ただ、ここで議論になっているのは、「類似の労働者」の賃金をどう把握するかという非常に技術的な問題ですので、そこだけに絞って、そういう点からすると労働市場の構造が変わったら、適宜、あまり混乱が起きないことを考慮しながら反映させていくべきだと思っています。

○会長
 いまの点に関連して私も1つ、ある程度計算技術的な問題として引っかかっているのは、最初のこの会議の場でも計算方式が出ましたが、両方上がるけれども構成が変化して出てきた数字が下がる。その下がった影響を低廉な労働者の最低賃金が適用される労働者が受けてしまう。そこが何とかしなければいけない問題ではないか。構成変化があまり著しくなければ緩慢な数字が出て、上がり下がりははっきりしないのですが、先ほど申し上げた私の認識から言うと、相当程度一般労働者から比べれば低い賃金層の比率が顕著な増加傾向にあったときに、いま言ったような計算が出てきてしまう。そこをどのように改善すべきかが、私には非常に引っかかっている問題なのです。

○公益委員
 それで、先ほど公益委員がラスパイレス方式をと言われましたが、物価指数などでラスパイレスを使う場合でも、あれは確か5年ごとに内容を変えています。なぜラスパイレスを使うかというと計算が楽であるということもあるでしょうが、別の方法としては、例えばパートタイム労働者と一般労働者の賃金上昇率をそれぞれ別々に計算して、それにそれぞれの労働者数のウェイトをかけて計算する方法も1つあるかなと思いますが、いかがですか。

○公益委員
 いまの点で私も公益委員が言われたように、バスケットのウェイトの変化を除去する形となるラスパイレス型計算や、あるいはそれぞれの伸び率の加重平均を使うかということは、大体似たような数字に実態的にはなると思いますが、これは技術的な問題ということで考えるべきものだと思います。
 もう1点、先ほど使側委員が言われたように、損得で考えないというのは全くそのとおりだと思っています。非常に重要なことでもあるわけで、そういった見通しを基にしてしまうと、議論全体がミスリードされてしまうという意味で全く賛成です。
 もう1つは、平成7年の構成変化というのは、重みを持って受け止めるべきということも賛同しています。だからこそ公益委員が言われたように、労働市場の構造変化が伸び率に影響を与えない形で、ラスパイレス型か賃金上昇率の加重平均かはこれから議論することになるかと思いますが、それぞれ考えていく必要があるかと思います。
 先ほどの発言で誤解を招いたようなのですが、パートタイム労働者と一般労働者で労働の質が違うと言ったのではなくて、真意としては雇用のあり方であるとか、あるいは賃金水準が6、7割低いとか、あるいは永続の労働が保障されていないといった意味で、質が違うということを付け加えさせていただきます。

○使側委員
 確認です。先ほど公益委員から、「類似の労働者」の賃金をどう把握するかということなので、反映させていくべきですと言われましたけれども、要するに委員のご意見は、一般労働者とパートタイム労働者の変化について、その変化率を除去するというご意見ですよね。先ほどから「反映する」と言われているので、誤解をされている方がいると思います。変化を除去するというご意見だということでよろしいですね。

○公益委員
 そういうことだと思います。

○会長
 「反映」という用語がおかしいのです。

○公益委員
 用語が逆なのです。

○会長
 公益委員がおかしいのではなくて、平成2年の「反映」というのは平均賃金方式ということでしょう。今までの目安賃金の全員協議会のペーパーから言えば、そういうことでしょう。

○公益委員
 そうすると、「反映しない」という言い方をしなければいけない。

○公益委員
 今までの流れからすると、そういう言い方なのです。

○公益委員
 もう1つ付け加えておくと、実は今日、いろいろ皆さんご議論になっているわけですが、1つは変化率を除去するのか除去しないのかという話があるわけですけれども、その前提としては、かつて男女で分けて数字を出していたように、今回、一般労働者とパートタイム労働者を分けるか分けないか。要するに個別賃金をやっているわけではないから、これは層別ですよね。層別にする必要性があるかないかというのがまず最初にある。その上で変化をそのまま見るのか見ないのかという話だろうと思っています。層別にするかどうかがいちばん重要な議論です。要するにパートタイム労働者と一般労働者とわざわざ分けるのか分けないのか。そこが変化率を除去するのかしないのか、除去する場合にはどういう計算方法があるのか、前段階としてもともとある議論なのだと最後に申し上げておきたい。

○会長
 計算方法は、いまのところまだ全然議論になっていません。

○公益委員
 1つだけ、これから正規従業員の中でもいろいろな報酬の支払い方が出てくるべきであるし、非正規従業員と言われる人たちの中でも根幹的な仕事をやる人もいるしフリンジの人がいてもいいし、本当は多様化すべきだと思っています。ただ、正規従業員と非正規従業員で2つに階層が分かれているというのが現実でしょうから、それを反映させるというのは、ある意味で自然だろうと思っています。
 今ごろになって申し訳ないのですが、ここで言う一般労働者とパートタイム労働者というのは、先ほど公益委員が言われたように契約社員であってもフルタイムで働いていれば一般労働者に入って、パートタイム労働者というのは労働時間のより短い人を言うと理解してよろしいのでしょうか。それと2つの調査が出ていますが、これは両方とも同じ意味で、一般労働者、パートタイム労働者という言葉を使っているのかを、確認の意味で教えていただければと思います。

○事務局
 公益委員の言われたような意味です。通常の労働者に対して労働時間の短いものがパートタイム労働者と定義されていて、「毎月勤労統計調査」「賃金構造基本統計調査」「賃金改定状況調査」のいずれも同じ定義となっています。

○公益委員
 4分の3とか、そういう基準ではない。

○事務局
 そこまでの基準はございません。

○会長
 大変活発にご議論いただきました。それぞれ損得で意見を言っているのではないという点は全員一致の議論ですが、具体的にこの計算方法でパートタイム労働者の雇用の構成変化を、どう最低賃金の水準を決める際の考慮要素にするか、という点では意見の隔たりが大きかったような気がします。
 本日の会合で合意を得ることはできませんでしたが、ご案内のように来月からは中央最低賃金審議会のもう1つの大きな役割である目安審議が始まることになります。本日の議論は一旦中断して、目安審議後の8月以降に持ち越すことにしたいと思いますが、よろしいですか。その間に目安審議と並行してということですが、どういうことができるのか公益委員のほうでも集中して、この問題について考えてみたいと思っています。そういうことで本日は、一旦、この議論を中断することにさせていただきますが、よろしいですか。

(了解)

○会長
 本日はここまでとして、次回の全員協議会について確認します。次回の全員協議会は目安審議が終わった8月以降になります。日時等については調整の上、追って事務局からご連絡します。事務局から何か連絡事項がありますか。

○事務局
 委員の方々とは既に日程の調整をさせていただいています。5月14日(金)、午前10時から17階の専用第21会議室において第14回の中央最低賃金審議会を予定しています。議題は「平成16年度地域別最低賃金額の目安について(諮問)」ということです。

○会長
 これをもちまして、第7回目の目安制度のあり方に関する全員協議会を終わります。本日の議事録の署名は山口委員、内海委員にお願いします。本日はありがとうございました。




(照会先) 厚生労働省労働基準局賃金時間課最低賃金係(内線5530)


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