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自己点検・自己評価カテゴリー、下位項目 「評価の考え方」と「点検」 資料(データ)
V経営・管理過程
   
設置者の意思・指針
 設置者の意思は、教育理念・教育目的と合わせて、養成所の教育・研究活動の指針となるものである。設置者は、資格試験受験資格を付与する機関としての設立の意図を踏まえ、養成所をより発展させていくための主体的な指針を明示する必要がある。
 設置者の意思は、直接的には、設置者の命を受けた管理職にある者の経営・管理の考え方のもとに、経営・管理過程を通して実現される。したがって、管理職にある者は、養成所の組織体制、財政基盤、施設設備の整備、学生生活の支援、養成所に関する情報提供、養成所の将来構想、自己点検・自己評価体制について、どのような考え方に基づき、どのように経営・管理にあたるかを明確にする必要がある。経営・管理の考え方は、設置者が示す指針との一貫性がなければならない。
43養成所としての主体的意図を明記した文書
44経営・管理にあたって、管理職にある者の考え方を示した文書
 設置者の意思・指針と経営・管理にあたる者の考え方は、教職員に浸透していることが重要である。
<点検>
養成所の設置、教育理念・教育目的、教育課程経営、教育評価、および養成所の管理運営に関する管理者の考え方について、設置者の意思との一貫性をもって明示し、かつ、教職員はそれを理解しているか
45教職員が経営・管理にあたる者の考えをどのように理解しているかを示す資料
組織体制
 1)意思決定機関・意思決定システムの明確性
 養成所の経営・管理にあたって、明確な規定に基づいて意思決定機関・意思決定のシステムを組織する必要がある。規定の中には、養成所の経営・管理にあたる者の権限や、意思決定システムを構成する各組織の相互の役割機能を明示する必要がある。
46養成所の組織体制と意思決定システムを明確に規定する文書
 さらに、意思決定システムは、各組織やその構成員の意思や考え方を十分に反映するように、また決定事項等を周知するように整えることが必要である。
 また、この組織体制は、養成所の拡大、発展に伴って、柔軟に再構築されるものとして考えることが重要である。
47職務分掌を明記<した文書
 2)組織の構成と教職員の任用の考え方
 教育理念・教育目的を達成し、教育・研究活動の成果を収めるためには、養成所の組織体制を確固としたものにする必要がある。看護師等の養成成に最も適切と思われる教職員の組織をつくるために、それぞれの役割機能を明確にし、必要かつ十分な教職員を揃えることが重要である。
 教員の任用にあたっては、看護学の各専門領域を確実に指導できるように、看護教員養成課程等の修了者を任用すること、各領域毎に指導体制が整うように、適正配置を考えて教員を選考する必要がある。また、資格審査、任免、昇格等について明確である必要がある。これらは、授業科目を担当する非常勤講師の選定にもあてはまる。
 さらに、教員は授業を行うだけではなく、図書に関することや、後述する「学生生活への支援に関すること」に、多大な時間を割かなければならない現状がある。この点からも、教員の任用・配置においては、十分に検討する必要がある。
 また、養成所は、教育活動のみではなく経営管理、事務組織によって支えられ、成り立っていることから、管理職、事務職員についても、養成所の教育理念・教育目的を達成する観点から任用・配置が考慮される必要がある。
48組織の構成と教職員の任用の考え方を明示した文書
教職員の選考、資格審査、任免、昇格等に関する規定を明記した文書
講師選定の考え方を明記した文書
 3)教職員の資質向上についての考え方と対策
 各教員の専門性や教育的資質、管理・事務職員の資質をどのように維持・向上を図るかの考え方が明確である必要がある。また、教職員の倫理や福利厚生に関する規定についても明確である必要がある。
<点検>
組織体制は養成所の教育理念・教育目的を達成するために意思決定のシステムや権限、役割機能が明確であり、かつ組織構成員の意思の反映や決定事項を周知できるように整えているか
組織の構成と教職員の任用、および、教職員の資質の向上についての考え方と対策は、教育理念・教育目的を達成するために整合性をもっているか
49教職員の資質や役割機能を維持・向上するための考え方や対策を明示した文書
50教職員の倫理規定、福利厚生について明示した文書
財政基盤
 養成所の運営にとって、財政基盤は重要課題である。学生の教育にかかる費用のみならず、教員の教育的資質向上のための必要経費、学習・教育環境の整備費等、常に十分な財源を確保する必要がある。学習・教育が効果的に実施されるように、収入の基盤、支出の根拠が明らかであることが重要で、管理者は、どのようにして財政基盤を整えるかの基本的な考え方を明確にしておかなければならない。
 また、教職員が、自らの所属する養成所がどのような財政基盤に基づいて成り立っているかを十分に理解していることも重要である。さらに、教員は教育的観点から、事務職員は事務的な観点からの意見を養成所の経営・管理過程に反映できるようになっていることが必要である。
<点検>
養成所の財政基盤をどのように確保するかについて明確な考え方をもち、学習・教育の質の維持・向上につながるようになっているか
教職員は、養成所がどのような財政基盤によって成り立っているかを理解し、それぞれの観点から財政についての意見を経営・管理過程に反映できるようになっているか
51財政基盤の根拠を示す資料
52財政基盤についての教職員の理解状況を示す資料
施設設備の整備
 1)整備の考え方と計画性
 効果的に教育目的を達成するために、学習・教育環境を整えることは当然然である。指定規則の遵守にとどまらず、より良い環境の中で教育・学習が行われるようにする必要がある。そのためには、管理者がどのような考え方のもとに学習・教育環境を捉え、整えようとしているかが問われる。看護師等養成所として、規模の大小があっても、学習・教育環境において質的な格差がないように常に意識し、意図的、計画的に整備していくことが重要である。
 整備の考え方の中には、学生および教職員の活動が安全かつ快適であるかについても含む必要がある。
53施設設備の考え方と整備計画を示す資料
 2)看護学の発展や医療・看護へのニーズ、学生層の変化に対応する整備
 看護師等養成は、専門職を養成するのであるから、学習・教育環境として、特に専門図書・文献資料や、専門技術を習得するための機械器具等は、単に看護師等養成所の運営に関する指導要領に示されている数量の維持に止めるべきではない。看護学の発展や医療・看護へのニーズの変化に対応して、教育内容、教育方法も変化・発展していくので、可能なかぎり最新のものに更新、充実させる必要がある。
 さらに、専門技術を学習・教育するための機械器具等および実習室は、学生が自己学習時にも活用できるように整備しておく必要がある。また、通常の授業においても、学生層が多様化している傾向に対応し、指導方法の多様性が求められることから、学生が小グループで自由に討議できるような演習室の整備、自己学習できる部屋や情報機器の整備等、多様な学習・指導方法がとれるように施設設備を整備することも重要である。
54施設設備の状態を示す資料
→機械器具等の備品台帳等
 3)学生および教職員のための福利厚生の整備
 学習・教育活動には、学生にとっても、教職員にとっても、必然的に生活活動が伴う。こうした生活活動や学生間の交流、課外活動等が円滑に行えるように施設設備を整備することは、教育課程を通して、学生の人間性や社会性の涵養を支え、より豊かにする意味において重要である。
 職員にとっても職務が円滑に遂行できるように、施設設備の整備は欠くことができない。
 このような福利厚生のための施設設備は、養成所を取り巻く地域環境との関連から検討し、整備されることが望ましい。
<点検>
学習・教育環境について、管理者としてどのような考え方をもって整備しようとしているかを示し、その考え方に基づいて整備計画を立案し、実施しているか
看護の専門職教育に必要な施設設備を計画的に整備し、また、医療・看護の発展や学生層の変化に合わせて、整備・改善しているか
学生および教職員にとっての福利厚生の施設設備は、養成所が設置されている地域環境との関連から検討し、学生生活や教職員の職務が円滑に遂行できるように整備しているか
 
学生生活の支援
 学生生活の支援については、以下の4つの視点から捉える必要がある。
学生生活を支援する体制は、単に整えるだけではなく、実際に学生に活用され、学修の継続に貢献していることが重要である。
55どのように学生生活の支援体制を整えているかを示す文書
 1)学修継続への支援体制
 看護師等養成所に入学後、規定の教育課程を修了できずに、途中で学修を断念せざるを得ない学生も少なからずいる。背景には、経済的理由、心身の健康上の理由、家族・家庭生活に関連する時間的制約等が挙げられる。このような困難や制約を克服して、学生が学修を継続できるように、養成所は、教育的観点から、奨学金等の経済的支援体制、カウンセラーの配置等健康相談を受ける体制、教育課程経営において述べたように、可能な限り多様な単位履修の方法を整える必要がある。
56設定した支援体制がどのように機能しているかを示す資料、データ
 2)学習困難への支援体制
 看護学を学ぶ上で、基礎学力の不足の問題や、多くの科目が必修であることによる過重、臨地実習での人間関係形成の困難さを感じる学生も少なくない。このような学生に対して、養成所は支援体制を整える必要がある。  
 3)社会的活動への支援体制
 養成所に入学後、学生は看護学を学ぶことのみに専念するのではなく、より広い視野から自らの資質を高める活動や、社会的活動を通して社会の一員としての認識をもてるようになることも重要である。養成所は、学生が社会的活動へ積極的に参加できるように、教職員による支援・指導体制を整える必要がある。  
 4)卒業後の進路選択への支援体制
 卒業後の進路についての相談・指導体制も、充実したものにしておく必要がある。
<点検>
学生が入学後に学修を継続できる支援体制を多角的に、かつ学生が活用しやすいように整え、実際に学生生活の支援になっているか
 
養成所に関する情報提供
 1)教育活動に関する関係者への情報提供
 教育・学習活動は、養成所の教職員と、学生の学習活動を支援する関係者(保護者等)との協力によって推進される。したがって、このような関係者に対して、養成所の運営への協力や、学生が学習に専念するための支援が求められるように、養成所の経営・管理方針や学生の学習状況に関する情報を積極的に提供する必要がある。
57教育活動に関する関係者へ提供した情報に関する書類
 2)広報活動
 養成所がさらに発展するためには、その存在と活動内容を広く社会に知らせる必要がある。それは、入学希望者の開拓や地域社会との連携の点からだけではなく、看護師等を養成する機関としての社会的責任の点からも欠くことができない。したがって、広報活動の中には、養成所の一般的な案内だけではなく、養成所の自己点検・評価の結果等も含まれていることが望ましい。
<点検>
教育・学習活動に関する関係者(保護者等)への情報提供を行うことによって、その協力・支援を得ているか
広報活動は、看護師等を養成する機関として、その存在を十分にアピールし、かつ社会的説明責任を果たす内容と方法になっているか
58広報活動の内容と方法を示す資料
養成所の運営計画と将来構想
 1)年間の運営計画と評価
 養成所の運営は、設立の理念、教育目的、教育目標を達成するために、年間の運営計画に基づいて実施される必要がある。計画の中には、養成所として毎年定例のもの、その年に特有のもの等があるが、長期的展望、短期計画との整合性をもって計画・運営・評価する必要がある。
59養成所の運営に関する年間計画、短期計画、長期展望を明示した文書
→養成所案内等
 2)短期計画
 長期的展望を実現するためには、年間の運営計画を積み上げていくだけではなく、より短期の目標設定、計画を確実に行なっていく必要がある。短期計画は、年間の運営計画の実施結果や、社会的背景の状況により、適宜修正される必要がある。  
 3)中・長期計画
 各養成所は、現在置かれている状況や時代の変化に伴って、養成所に対する社会の要請の変化を常に意識する必要がある。そして、その存在を維持し、さらに発展していくためには、長期的展望をもち、養成所の将来構想を明確にしておく必要がある。
<点検>
養成所の運営においては明確な将来構想のもとに運営の中・長期計画、短期計画、年間計画を立案し、その実施・評価は将来構想との整合性をもっているか
 
自己点検・自己評価体制
 1)自己点検・自己評価の組織
 自己点検・自己評価は、管理者のみが行うものではなく、また、できるものでもない。組織的、体系的に取り組む体制を整える必要がある。これは、養成所の全教職員が自らの所属する養成所の「教育の水準を維持・発展するために活動している」という認識の形成にもつながるものである。
 自己点検・評価には、資料(データ)収集、分析・解釈、課題の改善、教育理念・教育目的へのフィードバックという段階がある。自己点検・自己評価体制を整備するにあたっては、これらを効果的に行うことができるように組織編成をする必要がある。その上で、どのような活動を実際に行うか、組織としての活動、メンバー個々の活動を明確にしておく必要がある。
60自己点検・自己評価の組織体制を明示した文書
61自己点検・自己評価の活動を示した資料
 2)資料・データの収集、蓄積
 資料・データには、養成所が確実に収集、蓄積しているもの、教職員が個人の活動の中で蓄積しているもの、新たに作成からはじめなければならないもの等がある。「自己点検・自己評価のカテゴリー、下位項目」との関連で、資料・データをどのように収集していくか、意図的、計画的に行う必要がある。  
 3)資料・データの分析、解釈
 資料・データは、収集し蓄積するだけでは意味がない。分析し、課題や改善点を見出していくことが本来の意味である。したがって、自己点検・自己評価の過程では、資料・データを整えることでよしとしてはならない。さらに資料・データを分析・解釈し、課題、改善点を明確に抽出し、明示することが大切である。資料・データの分析・解釈は、専門的な知識を必要とし、管理・事務的な観点や、教育的観点、研究的観点等から、多角的に分析される必要がある。  
 4)課題や改善点への取り組み
 資料・データの分析によって課題や改善点を明確にしたならば、解決策についての検討を加え、計画策定に取り組まなければならない。課題や改善点の解決のための計画は、いつ、どのように取り組むか、取り組む手段、達成の時期等が明確である必要がある。これは、同時に教育理念・教育目的、教育目標へフィードバックし、これらの修正、維持、改善等の検討をすることを意味する。
 以上の過程と結果を踏まえ、養成所の質の向上に向けて、さらに自己点検・自己評価の過程を循環・継続していくことが重要である。
62自己点検・自己評価によって改善された教育活動を示した資料
 5)第三者評価、結果の公表
 自己点検・自己評価は、養成所の自らの意思で自らが行うものである。
しかし、主観的な視点にさらに客観的な視点を加えるならば、分析・解釈においても、課題の抽出においても、広い視野からの検討が可能になり、看護師等を養成する機関として、より確かな教育目的の達成につながるものと考える。
 第三者による評価は、現在、看護師等養成所を評価するための第三者評価機関が存在していないので、どのような第三者にどのような内容を依頼するか等、養成所自らが企画し行う必要がある。
 自己点検・自己評価結果の公表は、看護師等を養成する機関としての社会的説明責任を果たすものであるが、第三者による評価と同様に、いつ、どのような対象に、どのような方法で行う等は、各養成所が自ら企画するものである。評価結果を公表することによって得られるのは、養成所の発展を促す社会的反応だけではない。養成所にとって負の反応も返ってくることが推測される。しかし、養成所が教育機関という社会的存在であることを考えるならば、正負の反応を受け止め、自ら改善していく力をもつことが重要である。
<点検>
自己点検・自己評価の意味と目的を理解し、実際に自己点検・評価を行うための知識と方法を明確に持っているか
養成所の自己点検・自己評価体制を整え、運用し、その機能は、養成所のカリキュラム運営、授業実践にフィードバックし、養成所の教育理念・教育目的、教育目標を維持・改善するものとなっているか
63第三者評価や公表の考え方、計画を示す文書


自己点検・自己評価カテゴリー、下位項目 「評価の考え方」と「点検」 資料(データ)
VI入学
   
1入学者の選抜の考え方と教育理念・教育目的との一貫性
 教育理念・教育目的を実現するためには、教育理念・教育目的つまり教育方針を適切に反映した入学者選抜の方法を採択し、入学者を確保する必要がある。入学時のどの能力を重視するか、どの選抜方法(筆記試験−科目の設定、論文、面接−個人、集団、その他)が適切かが検討され、入学者選抜方針が示される。
 方針決定にあたっては、社会人入学生の増加等、受験生の動向を把握し対応することも重要である。また、入学者選抜は、準備、実施、採点、発表まで正確性、公平性が求められ、守秘義務を伴うことから、組織を編成し一貫した対応が必要である。
64入学者の選抜に関する考え方、選抜方法について記述した文書
→入学試験に関する規定、養成所案内、学生募集要項
65入学者状況
入学試験志願者数、受験者数、入学者数
66学生定員と在籍学生数の比率
67在籍学生の状況
→在籍学生数に対する一般試験入学生、社会人入学生、推薦入学生、編入学生の比率
68退学者、休学者、留年者数
選抜の公平性
 入学者選抜は、準備、実施、採点、発表の過程において公平性を保つことが、受験生や社会に対する責任である。組織された委員会が守秘義務を徹底し、入学試験問題の漏洩や採点における不正等が起こらないよう、教職員に対する周知徹底が管理上必要である。
選抜方法の妥当性
 入学者選抜方法と入学後の成績の推移等から、選抜方法の適切性についての評価を行う必要がある。また、教育理念・教育目的の実現に向けた教育活動を行うためには、学生定員と在学生数の比率が適正範囲であることが必要である。これは特に看護基礎教育に特徴的な演習や臨地実習における教育効果を高める観点から、重要である。さらに、在学生数に対する社会人入学生、編入学生の比率について検証することも必要である。
69選抜方法別の成績の推移
入学希望者開拓への取り組み
 18歳人口の減少や看護系大学の増加の中、教育方針にかなった入学者を獲得するためには、まず、受験生の動向や背景を把握、分析する必要がある。その上で、従来の募集範囲で同じ募集方法を継続するだけではなく、入学希望者本人、保護者等、地域の高等学校、さらに全国に向けて、それぞれのニーズにあった方法で教育理念や教育目標の特徴をアピールし、募集活動を積極的に行い、入学希望者の確保に取り組む必要がある。具体的には、募集要項の作成、ホームページの作成、受験生への説明会の開催等、受験生募集の方針・内容・方法について、組織的、計画的に検討し取り組む必要がある。
<点検>
教育理念・教育目的との一貫性から入学者選抜についての考え方を述べているか
入学者状況、入学者の推移について、入学者選抜方法の妥当性及び教育効果の視点から分析し、検証しているか
70学生募集に関する活動状況


自己点検・自己評価カテゴリー、下位項目 「評価の考え方」と「点検」 資料(データ)
VII卒業・就業・進学
   
進路選択の状況と教育理念 ・教育目的との整合性
 卒業時における進路選択状況は、学生が目指す看護職像を反映したものと捉えられる。したがって、看護師等養成所は教育理念・教育目的に応じた卒業生を養成しているかどうかを評価するために、進路選択状況を把握する必要がある。
 進路選択状況は就業状況と進学状況とに分けて捉えることができる。就業状況は、卒業生がどのような看護のフィールドを選択したかをあらわし、進学状況は、卒業生がどのような看護師等を目指しているかをあらわす。
 また、看護師等養成所は、卒業時に国家試験受験資格を付与していることから、一つの指標として、国家試験の合格状況の推移を把握し、分析することによって、養成所の教育の水準を維持できているかどうかの評価を行うことも必要である。
 さらに、卒業に至るまでの学生数の変動(留年、休学、退学、復学等)を把握することは、入学試験において養成所の求める学生を選抜できたかどうかの評価につながるため、入学時の学生数との比較において評価する必要がある。
71卒業時の学生の進学状況
保健師養成所、助産師養成所、大学編入
72卒業生の就業状況
73卒業生の進学状況
74国家試験合格状況
卒業時の看護実践能力および卒業後の活動状況の評価
 卒業時の学生の看護実践能力を把握することは、看護師等を養成する教育目的が達成できているかを評価することである。また、卒業後に、就職先での看護実践能力を把握することは、在学中の教育内容が看護の現場で必要とされる実践能力の基盤となりえているかを判断するための情報として重要である。
 したがって、卒業時の学生の看護実践能力と就業先での看護実践能力とを関連づけて評価することは、期待する卒業時の学生像が、実際との比較において妥当かどうかを検討し、教育目的の達成状況をより確実に把握する上で必要である。
 また、養成所が社会のニーズに応じた人材の養成を行っているかを長期的な観点から評価するためには、卒業生の活動状況を追跡し、把握した結果を統計的に整理しておく必要がある。
 以上の評価に必要な情報を把握するためには、具体的には卒業生の就業先との情報交換や調査の実施、同窓会との連携等を計画的に行う必要がある。
<点検>
卒業時の到達状況を捉える方法が明確であり、それを計画的に行っているか
卒業生の到達状況、就業・進学状況を分析した結果は、教育理念・教育目標と整合性があるか
卒業生の就業先での評価を把握し、問題を明確にし、教育を改善するために、就業先との情報交換や調査の実施等ができる体制を整えているか
卒業生の活動状況を把握し、統計的に整理し、教育理念・教育目標、授業の展開に活用しているか
75卒業時の看護実践能力を評価した結果と分析を記述する文書
76卒業生の状況に関して就業先へ依頼した調査の結果と分析を記述する文書
77卒業生の活動状況を記録する文書


自己点検・自己評価カテゴリー、下位項目 「評価の考え方」と「点検」 資料(データ)
VIII地域社会/国際交流
   
地域社会と交流するための体制
 看護師等養成所にとって、地域社会は、ただ単にそこに在るものとしてではなく、意図的に関わり、形成するものとして捉える考え方が必要である。地域社会を静態的概念としてではなく、動態的概念として捉える考え方である。このことは、地域社会の側から養成所を見る場合にも当てはまる。地域社会と養成所は相互の関わりを通して発展していくという考え方が必要である。
 看護師等養成所は、養成所が設置されている地域社会の住民や団体、保健・医療・福祉施設等のニーズに応える一方、地域社会の人的・物的資源を活用する必要がある。養成所と地域社会との交流が双方にとって意味があるようにするためには、地域社会の関連する委員会に専任の教職員が参加する等の体制を整え、組織的に取り組む必要がある。
78地域社会と交流する委員会の議事録等
 1)地域社会への貢献とニーズの把握
 養成所の教育・研究活動を通した地域社会への貢献として、地域住民に対する健康や看護についての啓発・普及活動、看護師等養成所進学希望者への進路相談等が挙げられる。具体的には、公開講座や、教職員、学生によるボランティア活動等が考えられる。また、顕在するニーズへの対応だけではなく、潜在するニーズの掘り起こしも地域社会への貢献として重要である。そのためには、多角的にニーズを把握する方法をもつ必要がある。
79地域住民や施設と連携し健康や看護について啓発・普及活動になるような公開講座等の活動状況
80ボランティア活動の実施状況
81看護の日の行事としての実施状況
82看護師等養成所進学希望者への進路相談の実施状況
 2)地域社会における資源の活用
 養成所が設置されている地域社会は、養成所にとって重要な教育・学習環境である。地域社会の特徴を把握し、それが看護学実習やフィールド研究において活用されるならば、相互の関係はより密接になるだけではなく、地域社会の諸資源を含んだ教育課程を開発することも可能になる。また、これを養成所の独自性とすることができる。地域社会における資源の活用をどのように考えているかを明確にし、積極的に諸資源を活用する必要がある。
<点検>
社会との連携に向けて、地域のニーズを把握し、看護教育活動を通して地域社会への貢献を組織的に行っているか
養成所の教育活動について、地域社会のニーズを把握する手段、養成所から地域社会へ情報を発信する手段をもっているか
地域の特徴を把握し、地域内における諸資源を養成所の学習・教育活動に取り入れているか
83看護学実習やフィールド研究における施設提携・地域社会との連携状況
84地域社会における資源をどのように活用しているかを示す資料
国際交流のための体制
 1)学生・教員の国際的視野を広げるためのシステム
 看護師等養成所においても、国際的視野を広げるための教育は必要である。例えば、そのための授業科目を設定していることや、外国の文献が所蔵され、インターネットの活用が容易であること等、自己学習に適した環境を整えていることが必要である。
 また、卒業後に、海外での学習(勉学)や、技術協力、就労を希望する者に対して、適切な情報を提供できる体制を整えることも必要である。
85教育課程において国際的視野を広げる考え方を記述した文書
86国際交流を可能とする情報システムの設置及び活用状況
 2)留学生の受け入れ等に関する対応
 海外からの帰国学生の受け入れや留学生の受け入れについても、地域のニーズに応じて体制を整える必要がある。さらに、海外留学を希望する学生に対しては、英文での卒業関係書類や単位認定書類を発行する必要がある。
<点検>
国際的視野を広げるための授業科目を設定しているか
国際的視野を広げるための自己学習に適した環境を整えているか
海外からの帰国学生や留学生の受け入れ体制があるか
留学や海外において看護職に就くこと等を希望する学生に対応できる体制があるか
87留学生の受け入れ等に関する対応状況
帰国学生や留学生の受け入れ状況
英文での卒業関係書類


自己点検・自己評価カテゴリー、下位項目 「評価の考え方」と「点検」 資料(データ)
IX研究
   
1教員の研究的姿勢の涵養
 大学は、学術研究の中心的機関であり、研究活動は実施すべき基本的活動として明確に位置づけられている。看護師等養成所における教員の研究活動は、大学のようには位置づけられていない。しかし、看護師等養成所の教員にも、下記の意味において研究活動は不可欠である。
 看護師等養成所は看護師等の看護基礎教育を担う教育機関である。
しかし、看護基礎教育の学問的背景である看護学は、発展過程にある新しい学問領域であり、体系化が進められている段階である。このような背景の中で、社会の期待・ニーズに対応しうる看護師等の養成を目指さなければならない。流動性のある環境の中で教育活動を行うためには、教育活動全般に対して批判的、創造的に取り組み、自らの専門性を探求し、常に新しい情報を取り込み、創意工夫した教授・学習活動を展開することが求められる。
 そのために、教員は、文献のクリティークを踏まえ、研究成果を活用する能力、および看護の事象、教育の事象について分析的に捉え、問題や課題を見出す能力をもつ必要がある。このような能力は、研究活動を通して培われるものである。特に、看護実践者を養成することに重点が置かれる養成所の教員には、看護実践について、常に研究的関心と、それを追究していく研究的姿勢が重要である。
88研究活動状況
紀要・研究業績の発行状況
教員の学会入会状況
学会発表状況
誌上発表状況
教員の研究活動の保障と評価
 1)研究活動の保障
 教員の研究活動は、養成所に研究活動の支援体制が整っていることによって保障される。まず、教員一人一人が研究に価値をおき、研究活動の意義を認め、教員相互で支援し合う文化を創り上げるとともに、設置者が研究活動を奨励し、時間的(研究時間の確保)、財政的(研究費の支給)、環境的(研究室・情報検索システム等物的環境)支援の具体的内容を提示する必要がある。
89教員に対する研究活動支援に関する状況
研究活動への時間的保障
研究費の確保・活用状況
研究環境状況
 2)研究活動の評価
 研究活動は教育活動へ還元すべきであるという視点から、その計画・成果について評価を受けるシステムを養成所内部にもつ必要がある看護学及び看護教育の研究そのものが学際的傾向があるため、自施設のみではなく、他の施設及び他の領域の研究者とのネットワークを積極的につくること、あるいは、学会・誌上発表を通して研究成果についての評価を受けること、他の研究者との交流・連携をもつこと、研究協力に関する依頼に対して積極的に関与することが重要である。
 これらの日常の活動を通して教員自らが研究的姿勢を涵養していくことは、視野の広がりと専門性を高め、教育活動の質の向上につながるものである。
<点検>
教員の研究活動を保障(時間的、財政的、環境的)しているか
教員の研究活動を助言・検討する体制が整っているか
研究に価値をおき、研究活動を教員相互で支援し合う文化的素地が養成所にあるか
90研究の協力状況
他校との研究ネットワークの状況
91教員の研究成果を示す資料


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