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児童虐待防止対策(早期発見・早期対応)における論点事項に係る意見及び具体的施策等について

検討事項 指摘事項 委員から提出のあった論文等と具体的施策の例
1. 対応機関の機能、システム
   
(1) 児童相談所の体制
児童相談所、児童福祉司の必置規制の撤廃等
 ・ 児童相談所、児童福祉司の必置規制の撤廃については、虐待対応等における児童相談所の有する権限発動の役割や職員の質の確保等の観点からもその是非を慎重に検討することが必要。

中核市も設置可能化
 ・ 中核市における児童相談所の設置については、数が増え、住民の身近になるというメリットと、職員の専門性の確保が可能か、保護児童の入所措置にかかる広域調整が可能かといった課題も踏まえ検討。
地方分権改革推進会議「事務・事業の在り方に関する意見」
平成14年10月
児童福祉司等の増員、配置基準の改正
 ・ 児童相談所の相談業務における対応の強化を図るため、スーパーバイズ機能の強化や職員の増員が必要。
 ・ 心理判定員の増員。
 ・ 虐待等新たなニーズに対応した心理判定員業務や職名の見直し

児童相談体系の見直し
 ・ 虐待相談件数や緊急事例の増加等により、現在児童相談所が担うこととされている幅広い相談業務の全てに必ずしも対応しきれない現状にある。場合によっては、一部の業務を他の機関に委譲するなどにより、児童相談所の業務の重点化を図り、虐待対応に必要な体制を検討。

児童相談所の24時間、365日対応体制の整備
 ・ 虐待対応の緊急性を踏まえ24時間・365日対応が望ましいが、現時点においては地域の実情に応じた体制を整備。
平成13年度日本子ども家庭総合研究所チーム研究「児童福祉司に対するスーパービジョン等の実態に関する研究」(才村純)の結果を参考
(2) 児童相談所における相談、対応
児童相談所の早期介入における医師の関与
 ・ 早期に精神科医療の介入が必要な事例があるが、現実には関与できていない。児童相談所にクリニック機能併設というシステムも必要ではないか。
 ・ 子どもの診察、指導、親指導、職員へのスーパービジョン等を強化する観点から、児童相談所における医療機能を充実。

シェルター機能をもつ一時保護所の整備
 ・ 保護の場としては、混合処遇、個室がない、人的配置が不十分。
 ・ 一時保護所以外の多様な保護の場の設置などシェルタ−機能の強化とシェルタ−機関を支援する体制の整備
 ・ 一時保護所における混合処遇(被虐待、非行、不登校、障害児など)の改善や治療的関わりを強化。
平成14年度厚生労働科学研究「児童虐待に対する治療的介入と児童相談所のあり方に関する研究」(主任研究者 本間博彰)
 ・ 児童相談所における精神科医療と地域医療体制の充実
 ・ 常勤精神科医の配置は約1割、非常勤医の勤務時間は少なく、精神科医の関与は不十分。
平成14年度日本子ども家庭総合研究所チーム研究「児童相談所一時保護所に関する調査研究」(高橋重宏)の結果を参考
保護者との対立関係、職員に対する加害行為への対応
平成13年度日本子ども家庭総合研究所個人研究「児童虐待対応に伴う児童相談所への保護者のリアクション等に関する調査研究」(才村 純)
 ・ 児童相談所職員への親からの加害妨害は、平成10年度〜13年度上半期に352件、一時保護にまつわるものが過半数。
(3) 児童相談所職員の資格、研修
専門性、資質向上のための研修制度の充実
 ・ 子どもの虹情報研修センター等における実践研修の実施、専門相談等の充実や介入的ソーシャルワークの確立と普及。
 ・ 児童相談所職員の専門性の確保のため、地方自治体における福祉専門職の採用や専門職の中途採用、希望任用や人事ローテーションなど人事管理のあり方の見直し。

児童福祉司の教育体制の整備
 ・ 介入的ソーシャルワークの確立と普及
児童福祉司資格認定通信課程のあり方検討

施設職員等からの人材登用
平成14年度厚生労働科学研究「児童福祉分野における職員の専門性及びその国際比較に関する研究」(高橋重宏)の結果等を参考
平成12年度日本子ども家庭総合研究所チーム研究「児童相談所職員の現任研修等のあり方に関する研究」(才村純)の結果を参考
(4) 福祉事務所の体制、相談
相談体制等の強化
 ・ 家庭児童相談室に常勤職員がいるところはネットワーク活動が充実しており、常勤化の促進が必要。
平成9年度日本子ども家庭総合研究所チーム研究「家庭児童相談室の運営分析」(柏女霊峰)
平成12〜14年度日本子ども家庭総合研究所チーム研究「子ども家庭相談体制のあり方に関する研究」(柏女霊峰)
(5) 児童委員、主任児童委員
研修の充実
 ・ 市町村で機能を発揮するシステムづくりが必要。
 ・ 主任児童委員が児童虐待防止に関する活動を単独で行うことができるようにするなど、主任児童委員の積極活用。
 

検討事項 指摘事項 委員から提出のあった論文等と具体的施策の例
2. 虐待の早期発見、通告、早期対応のシステム
   
(1) 虐待の早期発見、早期対応のための関係機関等の役割、連携、地域ネットワーク
市町村の役割強化
 ・ 介入的な対応を行う児童相談所と親に対して親和的で継続的な対応ができる市町村の役割の違いを明確にすることが必要。
 ・ 相談への動機がある場合は市町村で、問題意識がなく、強権的な介入が必要な場合は児童相談所が担うべき。
 ・ 児童相談所における相談事業のうち、障害相談、健全育成相談などは市町村や他機関での役割分担が考えうる。

市町村における虐待防止ネットワークと地域におけるネットワークの推進、ネットワーク間の連携強化(情報提供、調査協力義務)
平成14年度日本子ども家庭総合研究所チーム研究「児童相談の実施体制のあり方に関する市町村調査」(才村純)の結果を参考
 ・ 事例検討を行いながら支援を行う実務者ネットワークを推進することが必要。
 ・ 自治体の対応部署とコーディネイト機能を明確にすべき。家庭児童相談員の常勤化、児童家庭支援センターの機能拡充で地域支援のステーションを拡充できる。
 ・ 情報の提供に限らず調査、その後の支援について関係機関の協力援助を法定化する必要がある。ただし、守秘義務、個人情報保護の観点ですり合わせは必要。協力義務が法的に明確になると、自治体の個人情報保護条例の目的外利用の例外規定に該当する。
 ・ 協力しなければならないという条文に変えればそれでいいというのは疑問。それぞれの機関が安心して協力できるシステム、法律の作り方は考えていくべき。
 ・ 民間の場合は公的機関が保有する個人情報の問題と違う。むしろ、虐待対応マニュアルのような形で定めておくといった働きかけをする方が現実的で、虐待への認識を高めることにも繋がる。民間まで射程に入れた情報提供義務は法律には馴染まない。

保健所と市町村の機能・役割分担
 ・ 市町村の役割強化について検討を行う中で、保健所と市町村の役割分担についても検討

学校教育における虐待問題への対応
 ・ 在宅指導における学校との連携体制の構築。
 ・ 例えば、相談への動機がある場合は市町村で、問題意識がなく、強権的な介入が必要な場合は児童相談所が担うなど、児童相談所と市町村との役割分担を整理。

子どもが相談しやすい環境を作るための体制整備

各機関において対応要領を作成するなどの体制整備
「市町村児童虐待防止ネットワーク調査研究報告書」平成13年度、加藤曜子
(2)通告
通告義務の国民への周知の徹底

教師や医師等、発見しやすい立場にある者の通告義務の周知徹底

通報に係る免責規定、罰則義務
 ・ 通告に関する義務の範囲、免責や罰則規定の整備については検討。

通告に係る警察の協力体制、あるいは通告機関に警察を加える
 ・ 児童相談所の現体制では夜間の対応は困難、警察の協力が不可欠。
 ・ 警察は現に事件であれば検挙、要保護児童の児童相談所への通告、連携としての通報は行っている。
 ・ 夜間の連絡は児童相談所より警察になされているし、児童相談所から警察に要請することも可能。通告先に警察を加える必要性については疑問、連携の努力を各地で積み重ねていくことが必要。
 ・ 虐待防止法第10条に基づく援助要請で児童相談所と警察の連携関係の強化は現行法上も可能。

発見者の援助責任を規定
 ・ ネットワークをつくり、支援の連携体制が必要という認識で、通告する立場にある職種の人たちは支援に関しても努力義務があることを法律上明記する必要がある。
 ・ 複数の機関による継続的な家族支援を行うことになることから、援助に関する規定の整備に当たっては虐待防止の観点のみならず、守秘義務、個人情報の保護との関係などにも留意しながら検討。
 
(3) 的確なリスクアセスメント手法、ケースマネジメント手法
相談業務における情報技術の活用
 ・ 児童相談所における児童虐待対応業務のIT化のモデル実施状況を踏まえ、さらなる活用策を検討。

子どもと家族のアセスメントの確立(支援内容の明確化と効果測定)
 ・ アセスメントの期間が現在も曖昧、ある程度の目安が必要でないか。
 ・ アセスメントや処遇は事例によってかなりの幅があるので、一律に一定の範囲を課すことは困難。
 ・ 子ども、親、家族への効果的な支援プランを作成し、実施するために必要な心理的、社会的アセスメント手法の確立に向けた研究及び実践を推進
 
(4) 自治体とNPO、民間団体等の連携
NPO等民間機関・個人との連携
 ・ 民間の力が発揮できるような援助が必要。
 ・ 民間団体の果たす役割や自治体との連携、民間団体の育成や支援のあり方について検討。
民間機関の育成
 ・ ネットワーク形成における民間機関の役割が弱い。
 

検討事項 指摘事項 委員から提出のあった論文等と具体的施策の例
3. 児童相談所の行政権限、裁判所の関与
司法や警察の積極的関与、関係機関の相互連携

行政権限の範囲の明確化

現行の司法制度の活用、司法関与の是非

性的虐待を受けた子どもについての司法手続上の配慮
 ・ 性的虐待の問題を扱う審判その他の手続きについては、子どもの心理的影響が大きいことから慎重な配慮を要する。
平成14年度日本子ども家庭総合研究所個別研究「児童虐待事例における法的対応の実態等に関する調査研究」(才村純)の結果を参考
(1)安全確認
通告から安全確認までの期間の明確化
 
(2)立入調査
立入権限の強化(事前、事後の司法審査)
 ・ 立入調査に関し、鍵を壊してでも確認する緊急性が認められる場合は、警察官職務執行法で対応が可能。同法による対応が想定されない場合に果たして裁判所が命令を出せるかについてはプライバシー保護との関係で疑問。
 ・ 立ち入り調査を拒否された場合で、長期のひきこもりなど警察官職務執行法での対応が困難なケースや虐待の高度な蓋然性あるケースについて、有効な対策を検討することが必要。
 
(3) 一時保護(虐待相談)
一時保護の期限設定や裁判所による事後的審査等の必要性
 ・ 行政機関の判断のみで行う親や子どもの同意のない職権一時保護は、子どもの権利条約9条1項に照らせば、人権の観点から審査する仕組みが必要。
 ・ 行政機関が強制的な親子分離を行うことで、児童相談所と親のトラブルが避けられず、親からの加害妨害が急増。
 ・ 一時保護した事例がすべて施設入所に至るわけではなく、28条とは異なる対応が必要。
 ・ 親が異議を唱える制度は行政機関への異議申立のみ。親の福祉的ケアのためにも運営適正化委員会など既存制度の活用を含め、親の異議申立手段の整備が必要。
 ・ 一時保護処分について、司法が審査することになれば、一時保護の緊急性が損なわれる可能性。
 ・ 現行制度は緊急性がある場合の行政権限を尊重した制度で、機能している。
司法が審査すると審査に時間がかかる場合もあり、緊急性を害する。
 ・ 一時保護の事後審査の問題については、28条の本案についての保全処分が制度化されれば、かなりの程度カバーされる。
 ・ 28条事案の一時保護は現行制度枠内で裁判所が事後審査している。また紛争性の高い事案や親側の問題が大きい事案は一時保護後直ちに返すのは難しく、継続した施設入所の方向、即ち、28条事案に限りなく近づく。現行制度での審査で行える。
 ・ 基本的な問題としては、子どもの権利条約第9条との関連、一時保護の迅速性と中立的判断の兼ね合いがある。
「児童虐待対応に伴う児童相談所への保護者のリアクション等に関する調査研究」(2002 才村純)
 ・ 児童相談所職員への親からの加害妨害の過半数は一時保護に絡むもの。
 ・ 親からの行政不服申立の7割以上が一時保護に関するもの。
(4) 親の意に反する施設入所 措置(児童福祉法第28条  措置)
申立権者の拡大

審判前の保全処分の法定化
 ・ 児童福祉法第28条措置にかかる審判前の保全処分については、28条措置の状態を仮に承認するような内容とするのか、多様な内容とするのか、慎重な検討が必要。
 ・ 児童相談所としては、審判前の保全処分に関する資料を裁判所に速やかに提出する必要がある。
 ・ 一時保護を行っているケースにおいても、親による強制引き取りなどの行動によって保護の安定性が確保できない実態がある。
 ・ 保全処分を法律で規定することで、保護者指導の実効性を持たせることが必要。

28条申立事件の審理期間
 ・ 保護者が養育の改善を提案しているときに、その実効性が本当にあるのかどうか、保護者の改善の有無を見届けてから審判するという運用はできないか。
 ・ 判断が微妙な事案については時間をかける場合もあるが、保護者の改善状況を見極めるために審理期間を長くし、承認審判を出さないという仕組みには消極。

施設入所措置解除の際にも裁判所の判断が必要
 ・ 施設入所措置解除(退所、家庭復帰)に関して、一定のシステムをつくることは、保護者に対するケア、子どもに対するケアの充実につながる。
 ・ 保護者に返す時も裁判所の判断があれば、一定の条件を課し、目標を提示することで、入所後の保護者指導がやりやすくなる。
 
 ・ 入所段階で親権と子どもの福祉を比較考慮して承認している以上、一定期間後に再度、親子分離の必要性を判断することが必要である。また、再度審査があることが、親の改善への動機付けとなり得る。
 ・ 児童福祉法第28条の家庭裁判所の承認に基づく施設入所措置については、期限付きのものとするとともに、親の努力目標が示されることが効果的。
 ・ 児童相談所としては、再審査時の保全処分に関する資料を裁判所に速やかに提出する必要があるとともに、保護者に対するプログラムを充実させる必要がある。
 ・ 入所措置の期限をどの程度とするか、再審査の要件をどのようにするかについては、実例の分析等を踏まえて検討する必要がある。

不服申立制度の整備
 ・ 28条承認で入所したものについて行政訴訟で争うのではなく、児童福祉法、特別家事審判規則で争う立法は可能では。
 ・ 28条事件を甲類から乙類に変更することで、保護者の主張を受け止めることも可能になるという考えがある一方、乙類調停は夫婦など対等な当事者間での調整を予定しているので、児童相談所と親との関係にはなじまないという考えもある。
 ・ 行政法に基づく申立はどれくらいあるのか。また、措置を行うのは児童相談所であって、裁判所ではない。裁判所は28条に基づいて承認をするのみ。
「児童虐待対応に伴う児童相談所への保護者のリアクション等に関する調査研究」(2002 才村純)
 ・ 施設入所措置に関する行政不服申立は約2割。
(5) 保護者への指導
親に対するカウンセリングの受講命令に際しての司法関与
 ・ 保護者指導については、児童相談所において、知事勧告という現行制度を視野に入れた運用がなされているか、現行制度を十分使い切っているかどうかなど効果を見極めることが必要。
 ・ 裁判所が審判の理由中で親に対してカウンセリングの受講を求めることで、改善につながることが多いという実例もある。また、児童福祉法第28条措置の承認を認めた場合、保護者の態度は消極的ではあっても、同意するようになるといった調査もある。このように、保護者指導にかかる司法的関与は有効。だからといって全ての困難ケースに第28条を適用することは不可能。
 ・ 保護者指導にかかる司法的関与を検討するに当たっては、行政の勧告権限に対して司法が関与する類似の立法例が見あたらないことから、司法審査にふさわしい枠組みはどのようなものがあり得るのかを検討する必要がある。
 ・ 27条3号措置と並行して、2号の児童福祉司指導がとれることを入念的に明らかにすることは意味がある。

保護者に対する代理人制度の構築
 ・ 児童相談所は行政権限による摩擦を生じながら、保護者への支援機能も併せ持っている。裁判所がこの問題に積極的に関与するのが難しいなら、代理人制度が具体的方策として考えられないか。トラブル、混乱を緩和し、話し合いができる。
 ・ 親子を分離することは、双方に権利侵害性があるので、基本は親が持っている権利をどう保障するのか、例外的にどう制限するのかという話であり、当事者参加を前提にし、不可能な場合にどうするかという組み立てが必要。

保護者との対立関係、職員に対する加害行為への対応
 ・ 保護者の意向と行政機関の意向が対立する場合、保護者からアクセスできる仲裁的制度検討。(児童福祉審議会の意見聴取など)
 ・ 保護者が直接、行政機関と対峙するのでなく、緩衝的機能と支援的機能を期待できる手法の検討。
 
(6)親権喪失
柔軟な親権制度の規定の必要性
 ・ 将来的には親権のあり方についての見直しの検討が必要。

親権の一部一時停止(親権の制限)
【親権の範囲に関して】
 ・ 施設入所中の子どもの監護、教育、懲戒について、施設長がとる措置の範囲が不明確。28条入所の場合、面会、通信の制限は規定されたが、それ以外、特に、医療行為については不明確。親権者の親権と施設長の親権代行権のどちらが優先するかなど、整理が必要。
 ・ 児童福祉法第28条措置の承認前の保全処分や期限付き承認を行うことで、実質的には、親権の一部一時停止につながる。
【一時停止に関して】
 ・ 現在の親権喪失と回復の制度はオールオアナッシィングで、親性の回復の仕組みには活用できない。親権の一時停止制度を設け、その間に何らかの努力義務を盛り込み、成果をみるシステムが必要。
 ・ 承認の期間を設けることには大きな意味がある。一時停止は、期間を設けた処遇プログラムを立てる効果が期待できる。
 ・ 親権の一部停止が子どもの監護を巡る問題であるなら、それは親権の中心なので親権自体の停止になる。家庭裁判所が判断を行うのは親子分離についての児童相談所からの承認をオーケーするかどうかだけ。親権喪失宣告事件は虐待親の親権を剥奪する手続きであり、監護権を一部切り出されて残る親権とは何かわからない、全部停止ではないか。全部一時停止の場合、親権喪失宣告事件には審判前の保全処分制度があり、親権喪失について最終的な審判を出す前に親権を停止し、かつ代行者を選任するという手続きができるので、対応できる。
公的機関による親権代行制度の創設
 ・ 親権喪失の際の後見人の候補がたてにくい現状がある。トラブルに巻き込まれるおそれもあり、なり手がない。私的後見でない制度が必要。
 ・ 現行制度では機関代表者として身分を喪失した後、機関の機能を活用することはできず、責任ある職務遂行はできない。また、戸籍への記載は問題がある。
親からの解除申立システム

子どもからの親権喪失申立権
 ・ 18才を超えた子どもについて、親族からの申立は可能であるが、親族が拒否する場合も多い。当事者である子どもを申立権者に加える必要がある。
 ・ 児童相談所長による親権喪失の申立は18歳未満の子どもの親についてしか認められていない。また、18歳以上の未成年者の親の親権喪失について、親族からの申立は可能であるが、親族が拒否する場合も多い。したがって、児童相談所長による申立権を認めることが必要。
 ・ 児童相談所長による申立を認める場合には、子ども本人の意思が尊重、配慮される仕組みとすることが必要。
 
(7) 面会、通信の制限
   
(8) 医療行為に関する保護者の同意
保護者が同意しない場合の対応
 ・ 精神保健福祉法に基づく医療保護入院は保護者選任事件として家庭裁判所で保護者を選任し、その人の同意で入院している。医療ネグレクトへの対応は一般に意思能力を欠く者に対する医的侵襲への対応であり、ここの議論に収まる問題かどうか。
 ・ 子どもの医療保護入院は親権者の同意が必要なため、保護者の順位変更を申し立てたりして切り抜けていることが多い。親権の一部を公的なところへ移すことができないか。
 ・ 施設入所中の子どもの監護、教育、懲戒について、施設長がとる措置の範囲が不明確。28条入所の場合、面会、通信の制限は規定されたが、それ以外、特に、医療行為については不明確。
 

検討事項 指摘事項 委員から提出のあった論文等と具体的施策の例
4.その他
児童虐待防止法に子どもの人権尊重の理念を盛り込む必要
児童虐待防止法に予防や援助、ケアについても規定すべき
関係機関を幅広く法律上に明記することが必要
児童虐待を親の権利、子どもの権利という視点で捉えることが必要
国による家庭への過剰な介入とならないよう、配慮が必要
行政機関、家庭裁判所等の各機関の特質や役割について相互理解
現在の制度による対応の可否について、多角的実証的な議論が必要
法律の定期的な見直し
 

検討事項 指摘事項 委員から提出のあった論文等と具体的施策の例
全般にわたる指摘事項
市町村の役割、機能強化についての検討(再掲)
市町村の役割、機能強化についての検討(再掲)
 ・ 児童相談所と市町村の役割を明確に使い分ける必要。
 ・ 児童相談所が担っている機能の多くは市町村に委譲できる。相談の動機がある場合は市町村で対応すべき。
 ・ 市町村の具体的な役割を法律で明確化
 ・ 市町村の保健機能と福祉機能の連携強化

児童虐待に関する継続的な検討の場の確保
 ・ 児童相談所の対応と司法制度の関連について、継続的な検討が必要。
 


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