別添 1
0.はじめに
<グランドデザインの目指すもの>
1.保健医療分野における情報化の理念と目的
<何のために情報化を進めるのか>
2.保健医療分野における情報化の現状
<情報化はどのように進んでいるか>
3.情報化によってかわる保健医療サービスの姿
<情報化を進めれば医療はどう変わるか>
4.保健医療分野の情報化の目標と課題
<情報化を進めるために何をするか>
5.今後の推進方策と関係者の役割
<どのように進めるか>
◯ 21世紀において日本はかつてない高齢社会を迎えているが、それに伴う疾病構造の変化を踏まえ、今後の医療の姿として予防から治療・リハビリ・在宅ケアまでを包含する、患者中心の包括的・全人的な医療が求められている。
◯ また、政府IT戦略本部が策定した「e−Japan重点計画」において、急速に進展する情報化社会に対応するため、保健医療分野の情報化を推進する戦略的グランドデザインを平成13年度(2001年度)早期に作成することとされている。
◯ そのため、情報通信技術を活用した今後の望ましい医療の実現を目指してこれまでも、保健医療分野の情報化について、平成6年(1994年)の保健医療情報システム検討会中間報告(以後「中間報告」と略す)、平成7年(1995年)の「保健医療福祉サービスの情報化に関する懇談会報告書」及び平成10年(1998年)改訂の「保健医療福祉分野における情報化実施指針」において議論がなされてきたところであるが、今般、情報技術の進展や社会状況の変化を踏まえ、情報化推進方策の見直しを行い、将来の方向性を示したグランドデザインを策定するものである。
◯ 今回のグランドデザインにおいては、平成14年(2002年)から概ね5年間を見据えた保健医療サービスにおける情報化計画を策定するが、保健医療サービスの「質の向上」と「効率的なサービスの提供」を大きな目的とし、達成のための道筋と推進方策を国民に分かりやすく示すこととする。
◯ 本検討会においては様々な個別課題について議論を進めているところであるが、これまでの検討結果を集約し、基本的な考え方を第一次提言として示すものである。
◯ 今後、本第一次提言を骨子とし、本年(2001年)できる限り早い時期に最終報告を取りまとめることとする。
1.保健医療分野における情報化の理念と目的<何のために情報化を進めるのか>
○ 我が国の医療は、誰でも最適の医療を受けられる医療提供体制の整備と国民皆保険制度の導入により、大きく前進し、全般的生活水準や公衆衛生の向上をはじめ、医療関係者の努力等とも相まって、世界最高の健康水準を達成するに至っている。しかしながら、さらに医療の高度化・専門分化等が進む中で、平等性を維持しつつ、より質が高く効率的な医療提供のための環境整備が課題となっている。
○ このような環境変化や社会ニーズの変化の中で、医療における情報化の推進は、従来ともすればへき地・離島での医療支援や、一部地域の取り組みと認識されがちであったが、今や医療全体の構造変革にも大きな影響を及ぼしうる課題であると認識すべきである。
○ 一般に情報化とは、情報のネットワーク化が実現されることにより、科学的、客観的データの蓄積が可能となると共に、大量の最新情報がリアルタイムに伝送、共有されることが可能となることであり、医療分野においては、診療情報の電子化・高速伝送・同時共有がなされ、最新医療情報の多方向アクセスが可能となることを意味している。これが医療に与える影響は多方面にわたるが、大別すれば、医療の質の向上、医療の効率的提供、という好ましい効果が期待できる。
○ 保健医療分野における情報化については、「情報の安全性の確保に留意しつつ、サービス利用者の立場から情報処理・通信の技術を活用して情報の高度利用を図ること」を理念とし、「保健医療サービスの質の向上」と「資源の有効活用による合理的・効率的なサービス提供体制の構築」を目的として進めることが適切であり、この理念、目的の意義はますます大きくなっている。
○ したがって、このような理念・目的を踏まえ、二十一世紀の情報化社会において、いかに医療の情報化を進めて行くかは極めて重要な課題である。今後の望ましい保健医療サービスの提供を実現するために、情報化の戦略的グランドデザインを明らかにすることが今求められているのである。
2.保健医療分野における情報化の現状<情報化はどのように進んでいるか>
○ 平成6年(1994年)の中間報告以降の、保健医療分野の情報化に係る技術革新の動向とそれを取り巻く状況の推移は大略以下の通りである。
<情報処理における技術革新>
○ また、診療情報については個人情報保護の観点から厳密な取り扱いが求められるが、ネットワークを利用して情報を安全に交換するための社会的基盤として、公開鍵インフラストラクチャ(PKI)などのネットワークセキュリティ技術の整備がはじまったところである。これによりデータの受け手はネットワークを介して受け取ったデータが間違いなく送り手本人からのものであることを電子的に確認できるようになる。
(高度情報通信インフラ(高度ネットワークシステム))
(文字、画像、音声情報の統合利用)
(オープンソースとオブジェクト指向プログラミング)
(マルチベンダー方式の普及)
○ さらに、業務ソフトなどをインターネット経由で配信し、貸し出すサービス(Application Service Provider :ASP)が開発され、医療施設ではインターネットを介して常に最新ソフトを手に入れられるだけでなく、オンラインでシステムのメンテナンスやサポートも受けられ、診療に専念できるようになるとともに、低コストでのシステムの管理、運用が可能となっている。
(携帯型複合情報端末(モバイルマルチメディア端末)、高性能パソコン)
(バーチャル・リアリティシステム)
(ICカード)
(用語等の標準化)
<医療の情報化をめぐる環境変化の現状>
○ 院内システムとしての電子カルテシステムについては、これを導入する病院・診療所が増加し、普及段階に入りつつあるものの、病院・診療所の機能分担、機能連携が求められる中で、診療情報の共有により、地域医療の向上を目指す医療機関相互のネットワーク構築という視点からは未だ普及レベルには達していない。
○ また、近年の医療技術の高度化・複雑化に対応するために各種の文献を幅広く収集し科学的に分析・評価を行って得られたものを活用して医療を行う「根拠に基づく医療」(Evidence−based Medicine:EBM)の推進が求められており、EBMの実践により、臨床に携わる医療従事者が、あらゆる診療の場で、最新かつ最適な医療情報に基づく治療を容易に行えるなど、医療の質のさらなる向上が期待されている。
○ このような医療の実践に医療の情報化は大きな役割を果たすものであり、臨床医が日常診療の中でEBMを実践できるよう、ネットワーク上で即座に参照でき、かつ治療方針決定の際の参考となる診療ガイドラインの作成支援を進めるとともに、ガイドライン作成の根拠となりうる、科学的根拠と認められた文献のデータベースについて早期整備を図ることが求められている。
○ 診療の情報の収集・分析については、診断群分類を用いた診療内容の調査事業が現在行われているが、傷病名のICD10コーディングの普及等の情報基盤の整備を進めることはこうした事業の推進にもつながるものである。
○ レセプト電算処理システムについては、平成11年(1999年)4月からすべての社会保険診療報酬支払基金の支部や国民健康保険連合会において磁気媒体によるレセプトを受け付ける体制が整備された。また、個々の医療機関の医事会計システムにおいてはすでに約7割(病院については9割以上)の医療機関において、コンピューター・システムが導入されている。したがってレセプト電算化が普及する下地はあると考えられるが、現状でレセプト電算化は十分進んでおらず、より「使い勝手」のよいシステムとすること等により、早急に推進・普及することが求められている。
○ ICカードについてはデータキャリアとしての役割は重要性を失いつつあるが、ネットワーク上の認証ツールとして電子カルテとの組み合わせが検討されつつある。
○ 情報通信技術を活用した遠隔医療システムについては、平成9年(1997年)12月に初診及び急性期の疾患を原則として除いた上で認めるという規制緩和を進める通知により、遠隔画像診断システムの普及が期待されたがそれほど進展はしていない。しかし、従来のへき地・離島医療の支援というイメージから、専門分野における地域医療機関相互支援のツールとして、また在宅医療への応用という面などでの検討が進み、医療サービス提供の一形態として、認知されつつある。
○ 近年、国民の間でインターネットの利用が急速に進んでいるが、現在、我が国におけるインターネット普及率は37.1%(平成13年度(2001年度)版通信白書)となっており、国民の約3人に1人は、何らかの形でインターネットを利用していることになる。インターネットを利用した、医療機関自身による情報提供や患者同士の情報交換は進んでいるものの、一方で不正確な情報の流通や公的な医療情報提供の不在など、インターネット普及に伴う新たな問題も指摘されている。
<情報化を進めれば医療はどう変わるか>
「e−Japan重点計画」によれば、目指すべき高度情報通信ネットワーク社会の姿を「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活と、個性豊かで活力に満ちた地域社会が実現された社会」であり、「遠隔教育や遠隔医療などを普及することにより、地理的な制約や年齢・身体的条件に関係なく、すべての国民がインターネットなどを通じていつでも必要とするサービスを受けることができると同時に、様々なコミュニティへの社会参加等を行えるようになる」としている。ここでは、保健・医療分野の情報化が進んだ場合に期待できる社会の姿を述べる。
<医療サービスの質の向上が期待できること>
○ 遠隔診療が普及することにより、在宅医療を選択した患者は自宅にいながら画像伝送等によりかかりつけの医師の診察を受けることができ、安心して自宅療養ができるようになる。
○ 遠隔診断が普及することにより、高度医療を提供する医療機関から離れた地域に居住する場合であっても、地域の医療機関からレントゲン画像等の検査結果を高度医療機関に転送し、専門医による読影を受けることができる。
○ 電子カルテが導入された医療機関において、画面を医師と患者がともに見ながら診断し、十分な説明を行うとともに、患者の同意を得て診療を進めることが多くなっている。また、さらに一部の医療機関ではインターネットを通じて自宅からカルテを見られるようにする取り組みが始まっている。このように、電子カルテの普及により、インフォームドコンセントの促進、カルテ開示の促進等が期待される。なお、このような医師と患者における診療情報の共有は、生活習慣病が増加する中で、病名の告知等に対する自己責任の問題など十分な配慮の必要な事項を残しながらも、患者が積極的に治療に参加していく上で重要になってきている。
(医療の提供者からみた場合)
○ 電子カルテやオーダリングシステムを中心とする院内情報システムの整備により、院内のコミュニケーションのミスは少なくなり、過剰投与や重複禁忌等の医薬品投与ミスのチェックが可能になるなど、医療における安全性が向上する。また、電子カルテとクリティカルパス(疾病ごとの入院診療計画表)の連動により、画一的診療に陥らぬよう配慮すれば、処置、投薬、注射等の際の事故防止が期待される。
○ また、診療情報の共有により他の医療機関との間での患者の紹介・逆紹介が行いやすくなり、同様の検査の重複を減らすことも期待できる。
○ 電子カルテの導入により、過去の診療情報が随時整理・保存され容易に検索できるようになることから、治療データの蓄積と活用が容易になり、治験や臨床研究の推進に資することが期待される。
○ EBMに基づくガイドラインや文献データベースが整備され、インターネット等で提供されることから、医療現場においてこれを適時適切に参照し、最新の知見に基づく適切な医療を提供できる。
○ 電子カルテが導入された場合、各医療機関において医療情報が蓄積されるため、それらのデータを解析することにより医療のパフォーマンスの数値化や治療結果の客観的評価、さらにそれに基づく医療機関間の比較が可能となる。
○ 保健事業実施主体と医療機関がネットワーク等を通じて情報共有が図れれば、過去の健診情報を診療の場で活用することができ、生活習慣病の予防および生活の質の向上などに寄与することが可能となる。
(医療の提供者からみた場合)
○ レセプト電算処理システムの導入や、診療報酬請求・審査支払のペーパーレス化の進展などにより、医療機関における医療費請求事務が効率化されるとともに審査支払機関の事務の合理化が図られる。
4.保健医療分野の情報化の目標と課題 <情報化を進めるために何をするか>
<保健医療情報システムの構築>
○ その普及推進のためには、電子カルテにもさまざまな段階があり一気に汎用システムを普及させるのは現実的ではないことから、医療機関のニーズを踏まえて固有の目的のための情報システムの導入を優先し、その後目的別に順次導入したシステム相互のネットワーク化により汎用的な標準化システムが開発されるようその推進策についてさらに検討を進めるべきである。
○ また、電子カルテを導入する医療機関は増加しつつあるが、地域医療連携という視点からは医療機関相互のネットワーク構築はほとんどなされていないのが現状であり、このようなネットワーク化を進めていく必要がある。このため、今後、地域の中で中核的な役割を担っていこうという医療機関を中心に周辺の医療機関を結ぶモデル事業などを通して課題を検討し、導入に向けての環境整備を進めるべきである。
○ さらに、日本医師会においては全国の医療機関の医療情報ネットワークシステムを構築中であり、地域医療連携の視点からも、その推進が期待される。
○ なお、電子カルテの普及のためには、病名等、診療情報に含まれる用語やコードの標準化を始め、必要な環境整備を今後とも進めていくことが不可欠であることは言うまでもないことであり、そのための積極的取り組みが望まれる。
(レセプト電算処理システム)
(遠隔医療)
(ICカード)
(電子商取引)
<保健医療情報システムにおけるコンテンツの充実>
○ 医療の質の向上のために必要とされるEBMの推進に当たっても、ガイドラインの作成や各種データベースの構築を図るとともに、医師がEBMに基づく最新の医学情報をインターネット上で検索でき、日常診療の場で参照できるように電子情報として提供することは、非常に有益である。
○ また、一般家庭でもインターネットから自分の病気に関する正確な医学情報を入手できるようにすることで、病気に対する理解が深まり、医師の十分な説明の下、患者自らが治療方針等を選択し、治療に積極的に参加できるようになり、治療効果が上がることが期待できる。
○ したがって、EBMに基づき最新医学情報を集約した診療ガイドラインを学会等において作成することや、その元になる臨床研究の推進を国の支援の下に進めるとともに、作成された診療ガイドラインやその元となる臨床研究文献をデータベースとして蓄積し、ネットワーク上で提供できる体制を、公平で中立な機関において構築すべきであり、そのための方策を早急に検討すべきである。
○ また、日常診療や臨床研究から得られる診療情報を一診療機関を越えてデータベース化しておくことは、新たな医学的知見を得るために重要であり個人情報保護に留意しつつ、その構築に向けて検討が進められるべきである。
○ その際、現在も利用されている既存の保健医療福祉関係のデータベースとのリンクなど、十分な相互活用が図れるよう留意することが必要である。
<高度情報通信社会における保健医療の基盤整備>
(保健医療情報の真正性の担保)
○ 真正性の保証は、システムのみで行うことは困難であり、システムと運用の組み合わせによって行うべきである。また、医療機関の規模によって、その方法は同一ではなく、各医療機関がもっとも適した方法を採用するべきである。
(情報セキュリティおよび個人情報保護)
(電子認証システム)
○ 患者情報にアクセスする資格(医師・歯科医師・薬剤師・看護婦等)を認証するシステムについては、技術面・制度面から検討を進め、平成15年度(2003年度)までに結論を得る必要がある。また、被保険者等の資格確認システムについても検討を進める。
○ 医学研究等のために、診療情報が二次利用される場合などにおいては、その取り扱いについて、国会で継続審議となっている個人情報保護法(案)の動向を踏まえ、関係者によるガイドラインを整備するべきである。
○ 診療情報の二次利用の問題は、情報に関わる権限(診療情報などのデータを入力する/閲覧する/利用することの正当性)という枠組みで十分に検討すべきである。
(医学情報の標準化)
(制度面での対応の検討)
○ 具体例としては、医療情報のネットワーク化の促進のため、カルテ情報の外部保存を可能にすることが求められており、その制度的な問題などについて早急に検討を進めるべきである。
(情報格差の是正)
(人材の育成)
(経済的基盤の整備)
○ 医療機関の情報化による効率化やコストダウンは、組織の変更や業務の流れの変更などを行ってはじめて現れるものであり、経営責任者のマネージメント能力が重要である。
○ ITを用いた効率化は行政システム(いわゆる電子政府)や公的な社会システムと一体になって実現するものであり、国民が公的データベースを自由に使用できる仕組みなどを含め、医療関連システムの全体的なIT戦略を継続的に見直していくことが必要である。
○ 情報化した場合の運営費は業務の効率化がもたらすコストダウンによってまかなうことができる場合もあるが、導入の際の初期投資の負担が医療施設の情報化の障害となっているため、融資や補助金などによって初期投資が容易になる方策を講ずるべきである。
○ ベンダーサイドにおいては導入の際の障害について検討し、ユーザーサイドにとって導入のインセンテイブとなるよう、使用しやすさの改善やコストダウンを図る必要がある。
○ 情報化が医療の質の向上や効率化に寄与することを明らかにしつつ、誰がその恩恵を受けるかという視点から論点を整理して、医療機関、医療保険者、患者、公的資金などで費用を分担する方法を引き続き検討すべきである。
○ 今後の推進方策については、このグランドデザインの主旨に則り、目標と課題に示された個別事項ごとに、官民の役割分担を明確にした年次ごとの実施計画表を作成し、引き続き保健医療情報システム検討会においてその実施状況についてフォローアップを行う。
○ その際、e-Japan重点計画の考え方にも示されている通り、民間主導という考え方のもと、政府は民間活力発揮のための環境整備を行うことを基本とし、民間の関係団体(学会・医師会等の医療関係団体・産業界)はそれぞれの役割において主体的に情報化の推進を図るものとする。
○ また、情報開示推進と個人情報保護の視点に立ってプライバシー保護に関するガイドラインや指針等を策定することを通じ、医療情報の利用法や流通の際のセキュリティに関する社会的コンセンサスの形成に努めるものとする。
保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン
(用語の解説)
項目 | 用語 | 用語の解説 | |
2.保健医療分野における情報化の現状 | 2-01 | 公開鍵インフラストラクチャ(PKI) (Public key Infrastructure) |
公開鍵証明書を発行管理する基盤システム。その証明書を利用してインターネット上で安全に情報をやりとりしたり、データの正しさを確認したりする。PKIには、公開鍵の正当性を保証する機関である認証局(CA)が必要で、機能として登録局(Registration Authority)、発行局(Issueing Authority)、および証明書失効管理機能が必要と考えられている。 |
2-03 | ソフトウェアのネット直販 | ソフトウェアをインターネット等で決済し、直接販売する方式。ネット上からダウンロードする場合と、CD-ROM等の製品版が別途送付される場合等がある。決済は、クレジットカード、電子マネー等の利用が考えられる。 | |
2-04 | ASPサービス (Application Service Provider) |
インターネット経由で、サーバー上におかれた業務ソフトなどのアプリケーションを利用できるサービス。顧客ユーザーはパソコンや携帯端末があれば、最新のアプリケーションを低コストで利用できる。 | |
2-06 | マルチベンダ方式 | システム構成品(端末機器、周辺機器、通信機器など)ごとに異なるメーカー、ベンダの製品を採用する方式。別に、全てのシステム構成品(端末機器、周辺機器、通信機器など)を単一のベンダが提供する場合をシングルベンダ方式という。 | |
2-06 | ☆ベンダ | ユーザーに製品(ハードウエアやソフトウエア)を販売する際、その製品やシステムの動作等を保証するメーカーあるいは販売会社のこと。 | |
2-07 | ハードウェア | コンピュータ本体及びその周辺装置(キーボードなどの入力装置、モニターやプリンターなどの出力装置等)を構成する部品や機器の総称。 | |
2-08 | ソフトウェア | コンピュータが実行する処理手順をコンピュータが理解できる形式で表現したプログラム、及びそのプログラムの利用方法の総称。 | |
2-09 | マルチメディア技術 | 静止画、動画、音声、文字などの情報伝達手段となるものを複合的に扱う技術。従来は、コンピュータにおいても、文字や数字だけをデータ処理していたが、近年、情報処理技術の進歩によりマルチメディア技術の運用が可能となった。 | |
2.保健医療分野における情報化の現状 | 2-10 | ICカード | プラスチック・カードにIC(Integrated Circuit)を埋め込んだ情報記憶媒体。従来の磁気カードに比べて、記憶容量が大きく、セキュリティが確保できる。今後は、データカードとしての用途よりはネットワーク上での認証カードとしての機能が期待されている。 |
2-11 | 次世代ICカード | プラスチックカードに、新開発された超小型・高性能のICチップを埋め込んだ情報記憶媒体。従来のICカードに比べて、使い勝手及びアクセス速度の向上等が期待できる。外部との情報交換が非接触デ行える機能やアプリケーションを複数お互いに独立して実行できる管理機能を持っている。また、発行後の機能追加機能や互換性確保も期待されている。 | |
2-13 | ADSL (Asymmetric Digital Subscriber Line) |
既存の電話加入者回線を使って高速データ伝送をする技術。インターネット等で映像や動画像など大量のデータを取り出すとき、従来型のデータ通信では伝送速度が遅かったが、ADSLでは局から端末側へデータを送る下り回線とその逆の上り回線との通信速度を変えることにより実用的な高速化を実現するものである。概ね下り500kbps〜8Mbps、上り64kbps〜1Mbpsである。 | |
2-14 | CATV (Cable Television) |
同軸ケーブルや光ファイバ・ケーブルを使ってテレビの番組を分配する放送システム。ケーブルは放送局と視聴者が双方向に利用できるため、高速インターネット網の接続などに利用される。 | |
2-15 | 携帯複合情報端末 (マルティメディア端末) |
個人の情報を管理することを目的として開発され、インターネット等へのアクセスや動画の送受信などの機能拡張が図られた端末機器。端末には携帯情報端末(PDA、Personal Digital Assistance)や携帯電話が用いられる。 | |
2-17 | 広帯域のデータ通信 | 高速にデータ交換を行うことが可能な通信方法。たとえば、従来の携帯電話では9600bpsであったが、次世代携帯電話においては、約40倍の384kbpsによる通信が可能とされている。 | |
2-18 | モバイル端末 | 情報を持ち運ぶことを目的とした端末機器。携帯情報端末(PDA、Personal Digital Assistance)や携帯電話などが利用されている。 | |
2-19 | オブジェクト指向プログラミング | データ処理やシステム操作を、手続きの流れとしてではなく、「もの(オブジェクト)」同士の関係としてとらえる考え方に基づいて、プログラムを設計する手法。プログラムの設計者にとっては、既存プログラムの応用や再利用が容易になるため、生産性が向上するとともに、利用者にとっても、複雑な事象でも直感的に理解しやすくなる利点がある。 | |
2-20 | ユースケース解析 | オブジェクト指向に基づいたソフトウェア開発の手法のひとつ。ユースケースとは、現実の社会事象・活動などを抽象化して表現するために、(1)だれ(アクター)が、(2)どこ(場面)で、(3)何のため(目的)に、(4)何をする(活動)のか ということを記述したプログラムの設計手法のこと。 | |
2.保健医療分野における情報化の現状 | 2-21 | モデリング | ユースケース解析の手法を用いて、社会事象をモデル化すること。 |
2-22 | バーチャルリアリティシステム | コンピュータグラフィックなどの技術を用いて架空の世界を構築し、その世界を現実のように知覚させる技術。バーチャルリアリティとは、仮想現実感、人工現実ともいう。 | |
2-23 | 3次元画像処理 | 三次元の立体的な事象を二次元の画面上で立体感をつけて表示するための画像処理技術。 | |
2-24 | レセプト電算処理システム | 通常の紙レセプトを、磁気媒体に収録したレセプト(磁気レセプト)でおこなうためのシステム。診療報酬請求事務等の業務量軽減、事務処理の迅速化を図ることが期待される。 | |
2-25 | データホルダー | 文字や数値、記号及び音声や静止画、動画などのデータを持ち運ぶことを目的とした携帯情報端末やICカード等の記憶媒体。 | |
2-26 | ネットワーク上の認証ツール | 通信のやり取りにおいて、通信相手が本人であるか、また医師などの資格をもっているかどうかを確認するための手段。 | |
3.情報化によって変わる保健医療サービスの姿 | 2-27 | 遠隔医療システム | 映像を含む患者情報の伝送に基づいて遠隔地から診断、指示などの医療行為及び医療に関連した行為を行う遠隔医療を実現するための設備や体制のこと。 |
3-2 | クリティカルパスシステム | 医療介入に必要な期間、実施する検査、治療、手術、看護などを時系列に整理し、また介入する医療従事者の職種別に示した治療計画書(または実績記録)のこと。これにより、医療従事者間及び患者との情報の共有の促進が期待できる。 | |
3-3 | オーダーエントリーシステム (オーダリングシステム) |
医師や看護婦などの医療従事者が、発生源において、検査指示、処置内容、薬剤処方など治療に関する必要な情報をコンピュータ等に入力し、検査部門、会計部門、看護部門等、各担当部門に伝達する病院管理業務の仕組み。入力された情報は、情報の迅速な伝連のみではなく、病院管理や診療実務、また研究や教育の面で様々に利用することが可能で、病院情報システムの基盤と考えられている。 | |
3-5 | ペーパーレス | 従来の紙による作業を電子化することにより、作業の効率化を図ること | |
4.保健医療分野の情報化の目標と課題 | 4-1 | フォーマット | 形式、様式 |
4-2 | 認証ツール | 通信のやり取りにおいて、通信相手が本人であるかどうか、医師などの資格をもっているかどうかあるいは本人が認めたものであるかを確認するための手段。 | |
4-2-2 | コンテンツ | 情報サービスの種類や内容のこと | |
4-3 | デジタルディバイド | 情報を持つ人と持たない人の間で、仕事や生活に差が生まれてしまうこと。情報格差と訳される。 | |
4-4-2 | 電子認証システム | 通信のやり取りにおいて、通信相手が本人であるかどうか、医師などの資格をもっているかどうか、あるいは本人が認めたものであるか等を電子的に確認し、認証する仕組み | |
4-5 | ユニバーサルデザイン | 地理的な制約や年齢、身体的条件に関係なく、全ての人が支障なく利用できることを考慮した設計手法 | |
4-6 | 情報弱者 | 地理的な制約や年齢、身体的条件によって、情報や情報を介したサービスへのアクセスが制限される人々 | |
4-7 | ベンダサイド | 情報システムを設計、構築、提供する業者側 | |
4-8 | ユーザーサイド | 情報システムを運営、管理、活用する利用者側 |