別冊 |
1.医療における標準化の促進
2)システム・ハードの開発・改良
3)ソフト(コンテンツ)の充実
4)規制緩和
2)効果の検証
2)導入への補助
3)維持運営
2)医療提供者の理解の促進
情報化推進のアクションプラン |
1)5つのアクション
それぞれの達成目標と役割分担をアクションプランとしてまとめた。(別添 1)
2)6つの情報化の手段
6つの手段ごとに、「期待される効果」、「現状」、「目標」、「解決するべき課題」、「方策」を手段別アクションプランとしてまとめた。(別添 2)
・ 電子カルテをはじめとする医療情報システムでは施設内は勿論、施設を越えた情報交換・共有が重要であり、そのためには医療用語やシステムで処理を行うためのコードの標準化とデータの互換性の確保が不可欠である。
・ そのため、これらの標準化事業の推進とともに安定した維持管理体制を早急に確立する。 ・ また、診療報酬の請求・審査支払業務の効率化は医療における情報化の目的の一つであり、これらの用語・コードと診療報酬制度との整合性を早急に取ることとする。 |
| ||||||||||||||||||
平成13年9月30日現在 |
(標準化に対する信頼の確立、情報交換規約の標準化)
(診療報酬制度との整合性)
・ 特にレセプト電算処理システムに用いられる「傷病名マスター(コード)」の見直しについては喫緊の課題であり、平成13年度内に完了する。
1)情報化社会における情報の安全性の確保
−電子情報セキュリティ・個人情報保護・認証制度−
(個人情報保護)
(個人認証ならびに資格認証)
2)システム・ハードの開発・改良
(電子認証システムの構築)
(ICカード等の医療分野での活用)
・ 被保険者証をICカード化すると、個人情報のカルテ、レセプトへの転記を自動的に行うことが可能となり、また、オンラインで迅速に被保険者資格を確認するシステムへのアクセスカード※として活用でき、資格喪失後受診及びこれに伴うレセプトの返戻の減少による医療機関事務の効率化が可能となるため、これらの導入については早急に検討し結論を得る。
(ユニバーサルデザイン※への取組)
(レセプト電算処理システムのレベルアップ)
3)ソフト(コンテンツ)の充実
・ また、診断や治療にともなって発生する看護ケアの部分についても臨床研究を促進し、得られた最新の科学的根拠を整理・収集したガイドラインを作成し、広く医療関係者及び国民に提供していくこととする。
・ 最新の医学的知見や診療ガイドラインをデータベース化し、インターネット等の情報技術を応用して迅速に提供することにより、根拠に基づく医療を医師や看護師等が臨床の現場で実践できるような情報提供体制を平成15年度中に確立する。
4)規制緩和
これまでも、厚生労働省は、適時、規制の見直しを行ってきたが、技術の進歩と共に今後も迅速に対応することが必要である。
このような観点から、随時必要な規制の見直しを行うこととする。
・ 診療録等の施設外保存を認める通知の検討
・ 電子媒体に保存された診療録等の施設外保存カイドラインの作成
・ 情報技術を有効に活用した医療への取組が行われはじめているが、大部分が医療機関ごとの取組で、情報ネットワークをはじめとする情報技術のメリットが十分に生かされていない。
・ また、その効果についても医療の質の向上、患者サービスの向上、経済効果、経営の改善効果など多面的に検証する必要がある。 ・ さらに全体の医療費への効果、病院経営の改善効果など、より大規模な効果の測定する必要もありモデル事業等を通じて検証する。 |
1)情報化を有効活用した医療モデルの提示
・ 今後も引き続き、国による経済的な面での維持運営も考慮したシステムの開発や、他の医療機関への普及を積極的に進めていく必要がある。
2)効果の検証
・ また、医学用語やコードをはじめとする標準化についてはその実用性と効果をモデル事業で示し、標準的な技術の普及に努めることとする。
現在、計画中の医療の情報化に関するモデル事業は以下のものがある。
病診連携や医療機能分化、医療の地域偏在解消のため医療機関に電子カルテをはじめとする情報技術を導入し地域医療ネットワークを構築することにより、情報化が医療の質の向上、効率的医療提供体制整備、情報公開の推進等に有用であることを実証し、その効果とともに実現方法を広く公表することにより医療の情報化のあるべき姿を示す。
・ 医療材料におけるバーコードモデル事業(平成13年度より)
医療材料は多品種少量製品の上、技術革新が日々行われライフサイクルが短い(すぐに陳腐化する)という特徴があり、製品数は数十万品目にものぼる。そのため、従来から物流管理の困難さが指摘されており、過剰在庫を抱え有効期限切れとなる製品の発生や逆に欠品が発生するなど物流管理上多くの問題を抱えている。
これらの課題を解決するため、バーコードを活用した物流管理システムの有用性等を検証するためのモデル事業を行い、バーコード化推進方策検討のための効果測定を開始する。本事業により医療材料のバーコード化が大幅に推進され、電子カルテ、オーダリングシステム等との連携によりさらなる効率化が可能である。
・ 医療の情報化の最大の障害はシステムの導入費が高額であること、またその維持管理費がきちんと賄えるような運用や制度が整備されていないことにある。
・ 費用の負担の問題は今後医療の情報化を現在の医療提供体制の上でどのような位置づけとするか十分な議論を行い、早急に結論を得る必要がある。 |
1)システムの価格
・ 産業界としては、最近ではシステム開発の費用が情報機器の費用を大幅に上回っていることから、情報システムの標準化、オープンソース※の利用、Application Service Provider (ASP※)への移行などの技術の導入により、システム開発の費用の軽減を図り、全体としてのシステム導入費用の低減を図る。
・ 医療提供者側としては、各医療機関が標準的なシステムを使わずに、独自のシステムを開発しようとしたり、過度のプログラムの改変を行ったりすることがコスト増の一因であることを十分理解し、まず標準的システムの導入を検討するとともに、目的にあったシステムを選択して構築するマルチベンダ※化も考慮する。
(診療報酬点数表の電子化)
(医療界の取組)
・ 比較的小規模の医療施設等においては、医療従事者等が情報システムの操作(主にパソコンなどの基本的な操作)に不慣れである場合もあるため、操作説明や教育に費やす費用がシステム価格を高くする原因の一つになっている。今後、医療従事者へのシステム操作に関する教育を検討すべきである。
2)導入への補助
・ 現在、病院における電子カルテの普及率は1%程度と医療の情報化の黎明期ともいえる時代であり、医療情報システムの導入は費用が高く、リスクも大きいことから情報化の進展が阻まれている状況にある。しかし、他の産業の情報機器と同様、ある程度普及すればその後は急速に進展し、導入費用も低減して行くものと考えられる。
・ 従って、この黎明期に情報化へ積極的に取り組んでいる医療機関に対して過大なリスクや費用の負担を専ら負わせることを回避し、現在の局面を打開して医療の情報化を飛躍的に発展させるためには、産・官・学が協力して、現在情報化に取り組んでいる医療機関を支援していく必要があるものと考える。
・ 本検討会においても、現在の普及に弾みをつけるための導入促進策として、国による導入への補助、融資、優遇税制、診療報酬での対応など様々な提言がなされたが、政府としても医療の情報化推進を図るためにどのようなことができるのか、十分な議論を行い検討する。
3)維持運営
・ この維持運営費は毎年度生じるものであり、また医療機関としては将来の情報化の進展を見越して毎年減価償却も行わなければならない。
・ 当検討会でも指摘されたように、他の産業界では情報化投資の費用は情報化による効率化や収益の向上により、通常経費の中で賄うことが普通であるが、このように毎年生じるコストについては、医療ではその収入のほとんどが医療保険財政から賄われている状況にある。こうしたことから診療報酬での対応が必要との意見もあり、維持運営費のあり方について医療の情報化の推進を図るために、十分な議論を行い検討する必要がある。
(持続可能な医療の情報化の体制整備)
・ 比較的規模の小さい医療施設における情報化については、通常の診療業務の傍らで情報システムの管理、運営は困難であることから、システムの採用の際は維持運営の外部委託やApplication Service Provider (ASP)などの技術を採用することも考慮するべきであるが、サービス提供側もそれらの費用が医療機関にとって過大な負担とならないよう配慮するべきである。
・ 一方で、大規模な医療施設の情報システム等、システムが大規模かつ高度化してくると、その安全な維持管理のためには医療機関内にシステムに関する担当者やIT技術者を有することが必須となる。このことより今後医療機関内におけるIT技術者の資格や待遇の確立を図る必要がある。
・ 情報化を進めるに当たって、まず医療の利用者である国民に情報化のメリットを理解してもらうことが今後の医療の情報化推進には重要となってくる。
・ また、医療の提供者も情報化の目的を明確に認識する必要がある。 |
1)国民の理解の促進
・ 今後の情報システムにおいては、これらの国民の要求について十分応えられる必要があり、情報システムの整備においては、国民からの視点を踏まえたものであるとともに、医療情報自身か国民に分かりやすいものであることは勿論のこと、その情報がどこで、どのようにすれば得られるかを分かりやすくしなければならない。
(国民の医療情報に関する3つの要求)
2.自分が受けた診療情報
どのような治療を受けたのか、もしくは受けるのか
3.医学・医療情報
薬に関する情報や自らの病気の診断治療法など
・ このように、医療の情報化を進めるに当たっては、医療を受ける側である患者や国民の情報化についての正しい理解を促進することが重要となってくる。このため、情報化の意義・目的、患者の側からのメリットならびに利用に当たっての注意事項等患者の理解の促進を図るとともに、全ての国民が医療情報を正しく理解し利用できるような援助体制等の環境を整備する必要がある。
2)医療提供者の理解の促進
(臨床研修における情報化)