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人を雇うときのルール

人を雇うときのルール

1 労働契約の締結

  1. (1)労働条件の明示
    労働契約を結ぶときには、使用者(※)が労働者に労働条件を明示することが必要です。 さらに、特に重要な次の項目については、口約束だけではなく、きちんと書面を交付する必要があります(労働基準法第15条)。
    ※使用者とは、事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいいます。
    • 契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)※
    • 期間の定めがある契約の更新についての決まり(更新があるかどうか、更新する場合の判断のしかたなど)
    • どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)
    • 仕事の時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、就業時転換〔交替制〕勤務のローテーションなど)
    • 賃金をどのように支払うのか(賃金の決定、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期)
    • 辞めるときのきまり(退職に関すること(解雇の事由を含む))
      ※労働契約を締結するときに、期間を定める場合と、期間を定めない場合があります。一般的に、正社員は長期雇用を前提として特に期間を定めず、アルバイトやパートタイマーなど短時間労働者は期間の定めがあることが多いです。
    これら以外の労働契約の内容についても、労働者と使用者はできる限り書面で確認する必要があると定められています(労働契約法第4条第2項)。
  2. (2)労働契約の禁止事項
    労働法では、労働者が不当に会社に拘束されることのないように、労働契約を結ぶときに、会社が契約に盛り込んではならないことも定められています。
    1. [1]労働者が労働契約に違反した場合に違約金を支払わせることや、その額をあらかじめ決めておくこと(労働基準法第16条)
      たとえば、「1年未満で会社を退職したときは、ペナルティとして罰金10万円」「会社の備品を壊したら1万円」などとあらかじめ決めてはなりません。これはあらかじめ賠償額について定めておくことを禁止するもので、労働者が故意や不注意で、現実に会社に損害を与えてしまった場合に損害賠償請求を免れるという訳ではありません。
    2. [2]労働することを条件として労働者にお金を前貸しし、毎月の給料から一方的に天引きする形で返済させること(労働基準法第17条)
      労働者が会社からの借金のために、辞めたくても辞められなくなるのを防止するためのものです。
    3. [3]労働者に強制的に会社にお金を積み立てさせること(労働基準法第18条)
      社員旅行費など労働者の福祉のためでも、強制的に積み立てさせることは、その理由に関係なく禁止されています。ただし、社内預金制度がある場合など、労働者の意思に基づいて、会社に賃金の一部を委託することは一定の要件のもと許されています。
  3. (3)採用内定について
    採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定取消しは解雇に当たるとされています。
    したがって、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上認められない場合は、採用内定取消しは無効となります(労働契約法第16条)。
    内定取消しが認められる場合には、通常の解雇と同様、労働基準法第20条(解雇の予告)、第22条(退職時等の証明)などの規定が適用されますので、使用者は解雇予告など解雇手続きを適正に行う必要があります。採用内定者が内定取消しの理由について証明書を請求した場合には、速やかにこれを交付する必要があります。

2 就業規則

常時10人以上の労働者を雇用している会社は必ず就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければなりません(労働基準法第89条)

【就業規則に必ず記載しなければならない事項(労働基準法第89条)】

  • 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務の場合の就業時転換に関する事項
  • 賃金に関する事項
  • 退職に関する事項

【就業規則の作成・変更をする際には必ず労働者側の意見を聴かなければなりません(労働基準法第90条)】

【就業規則の内容は法令や労働協約に反してはなりません(労働基準法第92条、労働契約法第13条)】

3 労働保険

  1. (1)雇用保険
    雇用保険は、労働者が失業した場合に、生活の安定と就職の促進のための失業等給付を行う保険制度です。事業所規模にかかわらず、①1週間の所定労働時間が20時間以上で②31日以上の雇用見込がある人を雇い入れた場合は適用対象となります。雇用保険制度への加入は事業主の義務であり、労働者は自分が雇用保険制度へ加入しているかどうか、ハローワークに問い合わせることも可能です。保険料は労働者と事業主の双方が負担します。
    雇用保険に関する各種受付はハローワークで行っています。
  2. (2)労災保険
    労災保険は、労働者の業務が原因でけが、病気、死亡(業務災害)した場合や、また通勤の途中の事故などの場合(通勤災害)に、国が事業主に代わって給付を行う公的な制度です。
    労働基準法では、労働者が仕事で病気やけがをしたときには、使用者が療養費を負担し、その病気やけがのため労働者が働けないときは、休業補償を行うことを義務づけています(労働基準法第75、76条)。しかし、事業主に余裕がなかったり、大きな事故が起きたりした場合には、迅速な補償ができないかもしれません。そこで、労働災害が起きたときに労働者が確実な補償を受けられるように、労災保険制度を設けています。 基本的に労働者を一人でも雇用する会社は適用され、保険料は全額事業主が負担します。パートやアルバイトも含むすべての労働者が対象です。労災保険の受給手続きはこちら
  3. (3)労働保険料について
    労働保険料(雇用保険・労災保険の保険料)の詳細については、こちら。

4 社会保険

  1. (1)健康保険
    健康保険は、労働者やその家族が病気やけがをしたときや出産をしたとき、亡くなったときなどに、必要な医療給付や手当金の支給をすることで生活を安定させることを目的とした社会保険制度です。病院にかかる時に持って行く保険証は、健康保険に加入することでもらえるものです。これにより、本人が病院の窓口で払う額(窓口負担)が治療費の3割となります。
    健康保険は、[1]国、地方公共団体または法人の事業所、あるいは[2]一定の業種(※)であり常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用となっており、適用事業所で働く労働者は加入者となります(パート、アルバイトでも、1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の分の4分の3以上あれば加入させる必要があります)。また、保険料は、事業主と労働者が折半で負担します。

    ※一定の業種・・・製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、媒介周旋業、集金案内広告工業、教育研究調査業、医療保険業、通信法同業など

  2. (2)厚生年金保険
    厚生年金保険は、労働者が高齢となって働けなくなったり、何らかの病気やけがによって身体に障害が残ってしまったり、大黒柱を亡くしてその遺族が困窮してしまうといった事態に際し、保険給付を行う制度です。
    厚生年金保険適用事業所は、健康保険と同様[1]国、地方公共団体または法人の事業所あるいは[2]一定の業種(※)であり常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用となっており、適用事業所で働く労働者は加入者となります(パート、アルバイトでも、1日または1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上あれば加入させる必要があります)。また、保険料は、事業主と労働者が折半で負担します。
  3. (3)保険料について
    社会保険の保険料、手続等の詳細については、こちら

5 障害者の雇用義務等

  1. (1)障害者雇用率制度
    障害者雇用促進法において、民間企業は、常時雇用する労働者の(法定雇用率:2.0%)に相当する障害者を雇用しなければなりません。詳細はこちら
  2. (2)障害者雇用納付金制度
    法定雇用率を達成していない企業(常用労働者100人超の企業)は、雇用しなければならない障害者数が1人不足するごとに1ヶ月当たり5万円の納付金を納付しなければなりません。一方、障害者を多く雇用する企業は超過1人につき1か月2万7千円の調整金などが支給されます。詳細はこちら
  3. (3)障害者への差別禁止 
    労働者の募集・採用、賃金、配置、昇進、教育訓練などにおける障害者に対する差別的取扱いが禁止されています。詳細はこちら
  4. (4)障害者への合理的配慮の提供 
    障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するために合理的配慮を提供することが事業主に義務付けられています。詳細はこちら

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