国立療養所
長島愛生園

National Sanatorium Nagashima-Aiseien

園長ご挨拶

長島愛生園について

長島愛生園では現在約200人の入所者が療養生活をおくっています。この方たちの病気の治療を行い、生活のお世話をすることが愛生園の役目です。ハンセン病そのものは完全に治っていて菌のある人はいませんが、後遺症のために目が見えなかったり、手・足の動きや感覚が鈍くなるなど何かの障害のある人がほとんどです。さらに高齢(平均年齢84歳)のため病気や体の不自由さが増しています。

故郷や家族のもとに帰ることができないのは、体の障害のためだけではありません。1930年に長島愛生園はハンセン病の患者さんを集めて治療する目的でできました。国が作った療養所は13ありますがその第1号でした。当時はよい治療法がありませんでしたが、1948年頃からよく効く薬があらわれ次第に治る人が多くなってきました。若くて障害の少ない人は退所しましたが、世の中のハンセン病に対する偏見・差別はあい変らずきびしく、ハンセン病であったことを隠して社会の中で生活しなければなりませんでした。外見で障害がわかるような人は、家族にまでも偏見・差別の被害がおよぶことを恐れて退所できませんでした。国もこの状況をなおすことができないままに40年あまりが過ぎ、1996年にようやく入所者が自由に社会に出ることができるようになりました。しかしそのときには平均年齢は70歳をこえていたのです。年齢や今もある偏見・差別のためにほとんどの入所者の皆さんは、ここで生涯を過ごすことになります。

このような不幸なことが今後起こらないようにすることが大切で、人権啓発活動に力を入れています。2003年8月長島愛生園歴史館を開館し、愛生園にのこる多くの資料を展示しハンセン病とそれを取り巻く問題についてわかりやすく説明しています。ぜひ一度おいでください。

園長 山本典良