ご挨拶 / MESSAGE

我が国の保健医療については、経済財政状況を踏まえつつ、医療技術の進歩などを積極活用しながら国民の健康を一層増進し、かつ急激な少子高齢化の進展にも十分対応できる持続可能なシステムとする事が求められています。また、この分野でのわが国の強みを活かした国際貢献も重要です。

このため、これまでより遥かに長い視野である20年後の2035年を見据えた保健医療政策のビジョンを明らかにするとともに、それを踏まえた短期・中長期の課題解決に向けた政策立案とその実行が必要と考えており、この度、「保健医療2035(にー・まる・さんごー)」策定懇談会を立ち上げさせて頂きました。

本懇談会構成員の皆様におかれましては、2035年に向け、いかに保健医療システムの役割を発展させていくのかという観点を基本に、前向きかつ建設的に、そして何よりも創造的な議論を行っていただければと思います。
自由な御議論を期待しますが、例えば、保健医療システムがより持続可能なものとなるよう、健康づくりや予防について、個人、医療機関、保険者、自治体等すべてのプレーヤーにインセンティブ付与の在り方や、医療の質の向上が結果として効率的・効果的な医療につながる方策、世界最高水準の我が国の医療モデルをグローバルに展開する戦略等について、幅広い御議論を頂きたいと考えております。

この懇談会では、平均年齢42.7歳という、次世代を担う30代から40代を中心とした、若手気鋭の有識者や、厚生労働省の職員等にお集まりいただきました。医療政策の専門家の方だけではなく、国際的な視点や民間の視点をもった方など、多様なバックグラウンドを持つ方にお集まりいただいております。皆様には、これまでにないメンバーで、従来の発想にとらわれることなく、官民の垣根、世代の垣根を越えた熱い議論を行って頂きたいと考えております。
構成員の皆様には御負担をおかけしますが、精力的に御議論頂き、6月中の取りまとめを目指して議論を進めて頂きたいと考えております。

先月、ダボス会議に参加し、世界各国の保健大臣、WHO、世界銀行等国際機関のトップ、ゲイツ財団等グローバルヘルス関連の民間機関の代表などと議論を重ねて参りました。今回のエボラ出血熱感染拡大の経験から、わが国の安倍総理が国連やランセット誌上で、わが国の保健外交戦略の中心としての位置付けを明らかにして来たユニバーサル・ヘルスカバレッジ(UHC)、つまり、すべての人が適切な価格で基本的な保健サービスを享受できることの推進の重要性を、参加者間で改めて再確認するとともに、今や各国が直面する共通課題である高齢化、生活習慣病の増加、医療費増大による財政問題などに関し議論を深める事が出来ました。取り分け高齢化先進国であるわが国が、どのようにして保健医療問題をその先陣を切って克服するかに関し、どの会議の場でも高い関心が示され、その帰趨について、世界が注目している事が良く分かりました。本懇談会での議論が、そうした世界の期待にも応えることとなる事を私は願っています。何卒宜しくお願い申し上げます。

厚生労働大臣 塩崎 恭久

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