厚生労働省

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一般用医薬品販売制度の改正について

○はじめに・・・

近年、急速な高齢化の進展や生活習慣病の増加など疾病構造の変化、QOLの向上への要請等に伴って、自分自身の健康に対する関心が高い生活者が多くなっています。そのような中で、専門家による適切なアドバイスにより、身近にある一般用医薬品を利用する「セルフメディケーション」の考え方がみられるようになってきました。WHOによれば、セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」こととされており、一般用医薬品の適切な選択と適正な使用に資するため、医薬品の販売制度を見直すことが求められるようになってきました。

このような背景の下、医薬品販売の在り方全般について見直しを行うこととなり、平成18年6月に「薬事法の一部を改正する法律」が成立し、平成21年6月1日から施行されました。

[1]改正の趣旨

そもそも医薬品は、その本質として、効能・効果とリスクを併せ持つものであり、一般用医薬品でも、現に健康被害は発生しています。医薬品のリスクや効能・効果については、薬を見ただけでは分からないものであり、そのため、情報提供が不可欠になります。

現行制度においても、薬剤師等は、医薬品のリスクについて情報提供に努めることとされています。しかし、店舗での薬剤師不在等の実態があること、また、まれに重大な健康被害を生じるおそれのある医薬品も比較的リスクの低い医薬品も、一律の情報提供を求めていること等が指摘されていました。

加えて、薬学教育6年制の実施に伴い、薬剤師に求められる役割も変化していくものと考えられます。

このような背景を踏まえ、新たな制度を構築するに当たっては、「リスクの程度に応じた情報提供の重点化(メリハリ)と実効性の向上」、「一般用医薬品の販売にふさわしい、薬剤師以外の専門家の資質確保」を目指すこととなりました。

[2]リスクに応じた情報提供

リスク分類は、全面施行に先んじて平成19年4月1日より行われており、一般用医薬品を、(1)一般用医薬品としての使用経験が少ない等、安全性上特に注意を要する成分を含むもの(第一類医薬品)、(2)まれに入院相当以上の健康被害が生じる可能性がある成分を含むもの(第二類医薬品)、(3)日常生活に支障を来す程度ではないが、身体の変調・不調が起こるおそれのある成分を含むもの(第三類医薬品)、の3つの区分に分類しました。

現行の薬事法では、第77条の3第4項において「薬局開設者、医薬品の販売業者又は医療機器の販売業者、賃貸業者若しくは修理業者は、医薬品又は医療機器を一般に購入し、又は使用する者に対し、医薬品又は医療機器の適正な使用のために必要な情報を提供するよう努めなければならない。」とされており、リスクの程度にかかわらず情報提供については一律の扱いとされていました。しかし、新制度では、第一類医薬品については、販売時に薬剤師が書面を用いて適正使用のために必要な情報の提供を行わなければならないこととされ、第二類医薬品については、販売時に薬剤師又は登録販売者が、適正使用のために必要な情報の提供に努めなければならないこととされました。第三類医薬品については、販売時の情報提供は不要とされています。一方、購入者側から相談があった場合には、第一類医薬品は薬剤師が、第二類及び第三類医薬品は薬剤師又は登録販売者が応答することを義務づけております。

なお、リスク分類については、今後、新たな知見、使用に係る情報の集積により必要があれば区分の見直しが行われることも規定されており、既に見直しが行われている品目もあります。

[3]登録販売者制度

登録販売者に関する制度については、都道府県が行う試験の受験資格や出題範囲・問題数等の試験の実施に関する省令を平成20年の1月31日に公布し、本省令に沿って、各都道府県において試験が逐次実施されております。この登録販売者試験は、一般用医薬品の販売に即した内容、すなわち、医薬品の種類ごとに、主要な成分について、効能・効果、副作用など大まかな内容を理解しているかを確認する、実務的な試験内容とすることになっており、具体的には、(1)医薬品に共通する特性と基本的な知識、(2)人体の働きと医薬品、(3)主な医薬品とその作用、(4)薬事に関する法規と制度、(5)医薬品の適正使用と安全対策の5項目について、出題することとされています。

試験問題に関しては、都道府県間で難易度等に格差が生じないようにし、その内容についても一定の水準が保たれるようにするため、各都道府県は、国が作成する「試験問題作成の手引き」・「例題」に準拠して作成することとなっています。また、受験に当たってはいくつかの条件の満たすことが必要です。例えば、原則として、高等学校以上の学校卒業の学歴と薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下での1年間の実務経験といった要件があります。

[4]適切な情報提供のための構造設備と販売体制

一般用医薬品における情報提供は薬剤師又は登録販売者によって行われるものであり、薬局等における構造設備や販売体制を定めることで、積極的な情報提供及び相談対応時の情報提供を適切に行うことを担保することとされました。

構造設備については、情報提供を行う場所を設け、その場所で情報提供を行うこととしました。また、その情報提供を行う場所に併設する形で購入者が進入して直接手に取ることのないような構造を設け、その場所に第一類医薬品を陳列すること、同じくその情報提供を行う場所から一定の範囲内に指定第二類医薬品を陳列することなどが定められました。さらに、医薬品を販売しない時間帯は医薬品を陳列する場所を閉鎖することや、そのために必要な設備を備えることなども定められました。

販売体制については、第一類医薬品の相談を受けて対応する時間中は薬剤師を、第二類医薬品及び第三類医薬品の相談を受けて対応する時間中は、薬剤師又は登録販売者を常時置くこととし、それら専門家の勤務時間の総和が、薬局等の営業時間を上回ることとしました。また、情報提供に対応する時間を十分に確保するため、一般用医薬品を販売する時間帯が販売しない時間帯を上回ることなども定められました。

その他、このような販売体制の下で適切に業務を行わせるため、医薬品の販売に係る業務に関する指針や手順書を策定し、それらに基づいて業務を行うことなども規定されています。

[5]適切な情報提供のための環境整備

医薬品販売に関する環境整備については、例えば第一類医薬品であれば第1類医薬品というように、リスク区分を外箱等に表示すること、店舗等において当該店舗等の開設者の氏名又は名称、勤務する専門家の種別や氏名、緊急時の連絡先などの医薬品の適正な購入に資するための情報等を、見やすい場所に掲示すること等の規定が新たに盛り込まれました。さらに、購入者が店舗等において、誰が薬剤師で誰が登録販売者かを識別できるよう、に名札等で区別することも定められています。

○おわりに

本年6月1日より施行された制度改正を通じて、皆様がより安全にかつ安心して医薬品を購入できるよう取り組んでまいりますので、本制度改正の円滑な実施のため、ご協力をお願いいたします。

※制度改正の詳細な内容はこちらから→ → → → → 

※制度改正ポスター(ダウンロードは↓↓↓から。)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/poster.pdf

※制度改正リーフレット(ダウンロードは↓↓↓から。)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/leaflet.pdf

医薬食品局総務課

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