厚生労働省

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中国残留邦人等に対する「新たな支援策」について

社会・援護局援護企画課中国孤児等対策室

中国残留邦人等の方々に対して、従来、政府としては、帰国援護、定着・自立援護などの施策を行ってきましたが、以下のとおり平成20年4月より「新たな支援策」を開始いたしましたので、経緯と支援策の概要についてのポイントをまとめました。

中国残留邦人等とは

(中国残留邦人)

昭和20年当時、中国の東北地方(旧満州地区)には、開拓団など多くの日本人が居住していましたが、同年8月9日のソ連軍の対日参戦により、戦闘に巻き込まれたり、避難中の飢餓疾病等により多くの方が犠牲となりました。このような中、肉親と離別して孤児となり中国の養父母に育てられたり、やむなく中国に残ることとなった方々を「中国残留邦人」といいます。

(樺太残留邦人)

日ソ開戦時、樺太(千島を含む)には約38万人の一般邦人、また、約1万人の季節労働者が居留していました。開戦により樺太庁長官は、軍の要請と樺太の事態にかんがみ、老幼婦女子等を北海道に緊急疎開させることとしましたが、昭和20年8月23日、ソ連軍によりこうした緊急疎開が停止されました。

その後、集団引揚げが昭和34年までに行われましたが、様々な事情が障害となって樺太に残留(ソ連本土に移送された者を含む。)を余儀なくされた方々を「樺太残留邦人」といいます。

樺太地図

中国残留邦人等の方々が送ってきた人生

中国及び樺太に残留された邦人の方々は、戦後の混乱の中、肉親と離別するなどし、国外に残留を余儀なくされ、長年筆舌に尽くせないご苦労がありました。

ようやく日本に帰国されたときは、年齢を重ね中高年となっていたため、日本の教育も受けられず、日本語の習得には大変な困難があり、言葉が不自由なため就労も思うようにはいかず、安定した職も得られませんでした。

また、戦後の高度経済成長の時期には国外にいたため、他の日本人とは違いその恩恵を受けられませんでした。

このため、帰国後も懸命な努力をされましたが老後の準備が十分できず、多くの人は生活保護に頼って生活をしており、また、言葉が不自由なため、地域にもとけ込めない方々もおられました。

中国残留邦人等に対する新たな支援策について

このような中、平成19年1月に、当時の安倍内閣総理大臣から柳澤厚生労働大臣に、支援のあり方について指示があり、与党中国残留邦人支援に関するプロジェクトチームがとりまとめた「新たな支援策」をベースに、平成19年の臨時国会で衆議院・参議院とも各党各派の全会一致により改正法(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成19年法律第127号))が成立し、本年4月から新たな支援策が開始されました。

老齢基礎年金の満額支給

帰国前の公的年金に加入できなかった期間だけでなく、帰国後の期間についても、特例的に保険料の追納を認めるとともに、追納に必要な額は、全額国が負担することにより、満額の老齢基礎年金の支給を受けられるようにしました。

老齢基礎年金を補完する支援給付

中国残留邦人等のうち、約6割の方が生活保護を受給していたという状況を踏まえ、1の「老齢基礎年金の満額支給」に加えて、その方の属する世帯の収入の額が一定の基準を満たさない場合には、生活保護に代わって、支援給付を実施します。

支援給付の実施にあたっては、中国残留邦人等の置かれている事情にかんがみ、必要な配慮をし、懇切丁寧に行うこととしていますが、具体的には、支援給付の実施機関に、中国残留邦人等に理解が深く、中国語のできる「支援・相談員」を配置するなど、円滑な実施体制を整備してまいります。

支援給付の実施にあたって、生活保護と異なる主な点

(1)1の「老齢基礎年金の満額支給」が、確実に中国残留邦人等の老後の生活の安定に資するものとなるよう、支援給付の実施にあたっては、老齢基礎年金等の年金収入について月額66,008円を上限に、中国残留邦人等の収入とはみなさず、年金収入にそのまま上乗せする形で支援給付を実施する等の措置を取ります。

中国残留邦人等に対する新たな支援策のスキーム

(2)支援給付の開始にあたっては、生活保護の取扱いと異なり、その保有している資産についても弾力的に扱うこととしています。

(3)中国残留邦人等が子と同居されている場合であっても、支援給付を受けられなくなることがないように、子の収入認定の方法等について配慮することとしています。

地域社会における生活支援

地域における多様なネットワークを活用し、中国残留邦人等の方々が地域で生き生きと暮らし、地域社会に気軽に参加できるような仕組みを作ることを目的としています。

そのため、市町村が主体となって、身近な地域で日本語を学ぶ場や、中国語・中華料理教室などのこれらの方々の得意分野を生かしつつ地域住民の方々と交流を深められる場の提供、といった支援を行っていくこととしています。

中国残留邦人等に対する支援策

この他、中国残留邦人に対する支援策については「厚生労働省ホームページ→援護→トピッ クス(永住帰国した中国残留邦人、樺太残留邦人の皆様へ)」や「援護→中国残留邦人等への援護」などを、ご覧ください。

○お問い合わせ先

社会・援護局援護企画課中国孤児等対策室


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