志望校に入ってから「幻聴」が
ZOOさん(17)の場合

中学の頃から、何となく体の調子が悪くて、ときどき、何のきっかけもなく、頭が痛くなったり、だるくなったりしては学校を休みがちだったんです。

高校は志望校に何とか入れたんですけど、自分がもってたイメージとは違っていたんです。プライドの高そうなのばかりで、全然なじめなかった。気のあう友達が1人か2人できればって思ってたんですけど、それがなかなかで……。

そうこうしてるうちに、いじめが始まったんです。クラスのみんなが僕をバカにして、悪口を言うようになった。廊下ですれ違いざまにこっちをチラ見しては、コソコソ何か言う。

おかげで授業に集中できなくなって、黒板の上にかかっている時計を見ては、針がなかなか進まないのにイライラしてばかりいました。

こんな状態だったから、成績もガタ落ちです。それでだんだんしんどくなって、学校にも行けなくなってしまったんです。

学校に行かないと、当然日中は暇なわけで、部屋にこもって、ゲームをしたりパソコンをいじったりしてたんです。そうしたらあるとき突然、知らない男の声が聞こえてきたんです。しかも、僕の悪口をあれこれ言っている……。

誰かいるのかと思って、周りを見回しても、誰もいない。完全に自分の頭の中から声が聞こえるんです。恐ろしさとイライラが押し寄せてきて、何が何だかわからなくなりました。

気がついたら、本棚のガラスが割れていて、腕に包帯が巻かれていた──。

母が部屋に入ってきたのに驚いて、僕が暴れたらしいんです。でも、そのときのことは、よく覚えていません。

全然眠れない日が何日も続いてたので、思わず「つらい……」と母親にもらしました。そうしたら、「病院に行ってみよう」って言ってくれて。それで、近くの精神科で診てもらうことになったんです。

最初は、「うつか、不安障害かも」って言われたんですが、しばらくして、「統合失調症」という病気だとわかりました。

学校は3カ月くらい休んだんですけど、合う薬が見つかって落ち着いたので、今は高校に戻っています。定期的にカウンセリングも受けながら、友達とどうつきあっていったらいいか勉強しています。

何か調子悪いなって思う日もまだあるんですけど、家族が支えになってくれるので、マイペースでやってます。