僕はいわゆる「おばあちゃん子」です。両親ともに働いていたから、祖母に甘やかされて育ちました。そのせいか、人見知りが強くて、高校までずっと男3人でつるんでて、ほかの同級生とはほとんどつきあわなかった。
女の子も苦手だったから、大学に入るまで彼女もいなかったですけど、別に学校が面白くなかったわけじゃなくて、成績はいいほうだったし、部活でも全国大会に出たりして、けっこう充実してたので、それはそれでいいって思っていました。
調子が悪くなったのは高2のころ。自分が将来、何をすべきかがわからなくて悩むようになったんです。このままでいいわけない、と思うんだけど、だからって、どうすればいいかもわからない。同じ軌道をぐるぐる回ってるだけで、一向に出口が見えなかった。
そのうちに、だんだんむなしくなってきて、何もできなくなっていったんです。
いわゆる、うつってやつです。高校には何とか通ってたけど、授業が耳に入らないし、くだらない話で盛りあがっている同級生を見ては「アホか」って。相変わらず3人でつるんではいたけど、彼らとも温度差を感じるようになっていった。
悩んだ末に、叔父に相談しました。母の弟なんですが、年が8歳しか違わないから、叔父というより兄さんって感じです。ひんぱんに会ってたわけじゃないけど、うちに親せきが集まると、僕の部屋に必ず寄ってくれて、2人で話すことがよくあったんです。
今は事業を興して成功してるんですけど、そういう意味でも親より信用できた。
叔父も高校時代すごく悩んだって聞いて驚きました。自分と違ってカッコよくて、悩みなんてあるように見えなかったから。それで、叔父が昔行っていたカウンセリングの先生を教えてもらったんです。
最初は構えましたけどね、その先生の本を読んでみたら、ためになることがいっぱい書いてあった。僕がずっともっていた劣等感は、どうやら高すぎるプライドの裏返しらしいとか。それで直接話してみたくなって、その先生のところに通うようになったんです。
今は自分の考え方のくせがわかったから、悩みながらでも一人でやっていける自信があります。カウンセリングを受けていたことは友達には話してないけど、彼女に言ってみたら、「自分を掘り下げるのはいいことだ」って。
最近知ったんですけど、カウンセリングってスポーツ選手とかは普通にやってるらしいんですよね。体を鍛えるのと同じで、「メンタル」も鍛えるって言うじゃないですか。僕が好きなスポーツ選手とかもやってるみたいだし、抵抗感もほとんどなくなりました。
カウンセリングって何か「自分と向きあって、成長していく」って感じがするんですよね。なので、これから大学でもっと、心理学とかカウンセリングの勉強に打ち込みたいと思っています。
※これらのエピソードは取材をもとに再構成したものです。特定の個人を示すものではありません。