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17 仮訳

◆最終規則の要約(仮訳)
Dietary Supplements Containing Ephedrine Alkaloids Final Rule Summary
(http://www.fda.gov/oc/initiatives/ephedra/february2004/finalsummary.html)

 FDAは、エフェドリンアルカロイドを含む栄養補助食品(ダイエタリーサプリメント)が連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act:FD&C Act)に違反しているとして最終規則を公示した。理由は、表示されている使用条件下、あるいは表示がない場合は通常の使用条件下でこれらの製品が疾病・障害の不当なリスクがあるためである。エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品の多くは、ダイエット(減量)もしくは運動能力増強のために使われている。

 FDAの結論では、エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品は心臓発作、脳卒中、死亡など重篤な有害事象のリスクがあり、このリスクは当該製品を使用した時の利益を考えても許容しがたい。連邦食品医薬品化粧品法を改正した1994年の栄養補助食品健康教育法(DSHEA)の下にこの措置がとられた。

 DSHEAの下でFDAが栄養補助食品に対し措置を講じる権限が認められているのは特定の条件下であり、例えば以下のようなものがある;製品が重大なリスク(significant risk)を有する、不当なリスク(unreasonable risk)を有する、差し迫った危険(imminent hazard)がある、製造基準(GMP)に適合していない、根拠のない構造・機能強調表示をしている。本日FDAが公示した最終規則は、エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品に「不当なリスク」基準を適用している。

決定基準

連邦食品医薬品化粧品法の第402条(Section 402)(f)(1)(A)では、疾病・障害の「重大もしくは不当なリスク」の根拠が要求される。その製品が特定の個人に実際に害を及ぼしたとの証拠に対する要求はなく、充分なリスクの存在を裏付ける科学的根拠だけが要求される。
FDAの「不当なリスク」の立証は、製品に表示された使用条件下もしくは表示がない時は通常の使用条件下で、製品のリスクが利益を上回る場合に認められる。
「不当なリスク」は当該製品の利益に対するリスクの相対的重要性を表している。
エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品が不当なリスクを有するかどうかを考える上で、FDAは根拠として主に以下の3点を考慮した。1)エフェドリンアルカロイドに関してよく知られている科学的に確立された薬理作用、2) エフェドリンアルカロイドの作用に関して精査され科学文献、3)エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品の摂取によって生じたと報告された有害事象(公表された症例報告を含む)。
エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品が不当なリスクを有するかどうか評価するにあたり、リスクの重大性及びリスクを裏付ける根拠の全体的な質と説得力を検討した。次いで、利益の重要性及び利益を裏付ける根拠の全体的な質と説得力をリスクと比べて比較検討した。利益に関しては、一時的なものあるいはより良く感じるとかより良く見えるといった主観的尺度に頼る利益より、健康(特に長期)を改善する利益をより重視した。

評価(Evaluation)
エフェドラの薬理作用

FDAは、有効成分が同じ製品(合成エフェドリン製品など)や類縁成分(その他の交感神経興奮剤)を含む製品についての研究を検討した。エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品はこれらの製品と同様の薬理作用を持ち、したがって同様のリスクがあることを期待したものである。
エフェドリンアルカロイド及びその他の交感神経興奮剤に関する最良の科学的データ及び既知の薬理作用に基づけば、エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品は短期及び長期のリスクがある。
長期使用でもっとも顕著であったが、どの層においても血圧上昇がみられ、それが脳卒中、心臓発作、死亡などの重篤な有害事象のリスクを増大させている。心不全または潜在的冠動脈疾患の患者が短期的に使用した場合に有害事象のリスクを増加させるとの証拠もある。
エフェドリンアルカロイドは、大きな交感神経興奮剤グループのひとつであり、これらの化合物は血圧及び心拍数を増加させる。
こうした交感神経興奮作用は3つの懸念を増加させる:
潜在的冠動脈疾患の人など感受性が高い人々に心不整脈を起こす可能性がある。
うっ血性心不全患者に交感神経興奮薬を与えると死亡率が増加した。製品を約3ヶ月間使用するとこれらの有害作用がみられた。
血圧が上昇する。

エフェドラの安全性及び有効性に関して詳細な検討(peer-review)を行った科学文献

血圧上昇がエフェドリンアルカロイドによるものとの証拠がある。どの層においても(血圧が正常な人でも)血圧が相対的に上昇し、心臓発作、脳卒中、死亡のリスクを高める。多くの人は、冠動脈疾患や初期の心不全になっても、これらがあとになるまで顕著な症状を示さないため気が付かない。
成人の約4人に一人は高血圧である。そのうち31%はそのことに気付いていない。米国で高血圧症の人(診断の有無にかかわらず)が非常に多く、肥満の人も血圧が上昇していると考えられ、大きな懸念材料となっている。
公表されているダイエット用エフェドリンアルカロイド製品の使用に関する比較試験では、試験の設計が限られていたため脳卒中や心臓発作(血圧上昇による)、不整脈、心不全の増悪など最も重大なリスクの多くは検出できず、当該製品の安全面に関しての結果は得られなかった。
臨床データに基づけば、栄養補助食品中のエフェドリンアルカロイドは心拍数や血圧に関して他の交感神経興奮剤と同じか類似した作用を持つと期待できる。エフェドリンアルカロイドを含む製品を用いた比較臨床試験では、その典型的な交感神経興奮作用を確認した。これらの研究では、カフェインの相加作用とは独立したエフェドリンそのものによる血圧影響が示されている。
科学文献では、交感神経興奮作用を有する医薬品の多くは、うっ血性心不全患者に副作用(心不全及び突然死による死亡率の増加)を生じるとの証拠がある。この作用は比較的短期の試験でみられた。同様に、冠動脈疾患がある人は交感神経興奮剤の不整脈誘発作用への感受性がより高い。

有害事象報告(AER)

有害事象報告は不当なリスクの決定材料とはされていない。しかし、報告された有害事象の型は臨床研究にある既知の薬理作用や知見から期待されるリスクと一致する。
エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品は、その他の製品に比べてAERが多い。これらのAERが当該製品のリスクに関する臨床的及び科学的根拠を支持している点は重要である。
AERは栄養補助食品の検討において報告対象とはなっていないが、FDA他では数千のAERを詳しく検討し分析した。
AERの詳細な検討の結果、AERはエフェドリンアルカロイド含有製品の薬理作用と一致した。FDAは2,200あまりのAERを直接受け取り、また当該製品の販売最大手であるMetabolife Internationalから提出された16,000もの電話記録の提供を受けた。

結論
 多くの研究で、エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品は他の交感神経興奮剤と同様、血圧上昇及び心拍数増加が証明されている。これらの製品の使用者は、持続的な血圧上昇(死亡の可能性もある脳卒中や心臓発作のような重篤な疾病・障害など)を含むリスクがある。心不全増悪及び不整脈誘発作用による罹患率・死亡率の増加もみられる。不整脈誘発作用は通常、感受性の高い人だけに起こるが、血圧上昇による長期のリスクは健康な人にでも起こり得る。
 エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品の利便性がリスクに比べてより勝っているとはいえない。これらの製品には意味のある健康上の利益はない。利益に関して最良の臨床的根拠は減量である。しかし、そこでも証拠は幾分短期的な減量のみであり、体重超過や肥満に関係する心血管系のリスクや健康状態に影響を与えるとするには不十分である。
 運動能力増強、エネルギー増加、敏捷性など考えられる他の利便性についても科学的根拠を欠いており、リスクに比べれば些少な一時的利益があるのみである。

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