厚生労働省

  • 文字サイズの変更
  • 小
  • 中
  • 大


厚生労働省発表
平成20年8月8日



雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課
課   長  安 藤 よし子
課長補佐  高 橋 弘 子
電話03(5253)1111 内線7837、7834
夜間03(3595)3271

「平成19年度雇用均等基本調査」結果概要

< ポイント >

1 育児休業取得率が男女ともに上昇、
しかし男性は依然として低水準。




平成19年度 女性:89.7%、男性:1.56%
平成17年度 女性:72.3%、男性:0.50%



2 育児のための勤務時間短縮等の措置等を導入している事業所割合は約1割上昇し約5割に。利用可能期間も長期化傾向。

3 母性健康管理制度の規定状況は、均等法改正前後を比較すると大きく進展しているものの、平成19年度調査と平成16年度調査との比較では大きな変化はみられず、各制度の規定率は約3割。

ポイント1育児休業取得率が男女ともに上昇、しかし男性は依然として低水準。

育児休業取得率は女性89.7%、男性1.56%で、前回調査(平成17年度)に比べ女性で17.4ポイント、男性で約3倍と、男女とも大幅に上昇しているものの、男性の育児休業取得率は依然として低い(図1、参照III 2 育児休業取得者)。

図1 育児休業取得率の推移

図1 育児休業取得率の推移
育児休業取得率= 調査時点までに育児休業を開始した者(開始予定の申出をしている者を含む。)

調査前年度1年間の出産者(男性の場合は配偶者が出産した者)の数

※(参考)「子ども・子育て応援プラン」目標値
男女の育児休業取得率    男性 10%、女性80%

ポイント2育児のための勤務時間短縮等の措置等を導入している事業所割合は約1割上昇し約5割に。利用可能期間も長期化傾向。

育児のための勤務時間の短縮等の措置([1]短時間勤務制度、[2]育児のためのフレックスタイム制度、[3]始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、[4]所定外労働をさせない制度、[5]託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与、[6]育児休業の制度に準ずる措置)を導入している事業所は49.5%で、前回調査(平成17年度41.6%)より約1割上昇し、制度化が進んでいる。

また、制度導入事業所について、当該措置を最長で子が何歳になるまで利用できるかについてみると、法定の「3歳に達するまで」とする事業所が56.5%(同53.5%)と最も多いものの、「小学校就学の始期に達するまで」30.0%(同27.8%)や、「小学校入学から小学校3年生(又は9歳)まで」3.4%(同3.0%)、「小学校4年生から小学校卒業(又は12歳)まで」2.8%(1.3%)が占める割合も高くなっており利用期間は長期化傾向にある(表1、図2、参照II 育児のための勤務時間短縮制度等の措置の導入状況)。

表1 育児のための勤務時間短縮等の措置の有無、最長利用期間別事業所割合
図2 育児のための勤務時間短縮等の措置の有無、最長利用期間別事業所割合

ポイント3母性健康管理制度の規定状況は、均等法改正前後を比較すると大きく進展しているものの、平成19年度調査と平成16年度調査との比較では大きな変化はみられず、各制度の規定率は約3割。

男女雇用機会均等法は、事業主に対して、妊娠中又は出産後の女性労働者が健康診査等を受けるための時間を確保すること等母性健康管理の措置(母性健康管理措置)を講ずることを規定しているが、当該措置については、平成9年の法改正により努力義務であったものが義務化された(平成10年4月1日施行)。

事業所の母性健康管理制度の各措置の規定状況をみると、妊産婦が保健指導や健康診査を受診するために必要な時間を確保するための休暇の規定がある事業所の割合は30.6%(平成9年度17.2%、平成16年度37.7%)、妊娠中の通勤緩和の措置に関する規定については29.2%(平成9年度11.8%、平成16年度28.5%)、通常の休憩時間とは別に妊婦が休養や補食をとるための休憩に関する措置の規定については25.0%(平成9年度6.3%、平成16年度28.2%)であった。また、妊娠中又は出産後の女性労働者が、主治医等からその症状等について受けた指導事項を守ることができるようにするための措置(具体的措置の例:作業の制限、勤務時間の短縮、休業)に関する規定がある事業所の割合は32.9%(平成16年度調査37.0%)であった。

母性健康管理制度の規定状況は、均等法改正前後を比較すると大きく進展しているものの、平成19年度調査と平成16年度調査との比較では大きな変化はみられず、各制度の規定率は約3割となっている(図3、参照I 3 男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理制度の規定状況)。

図3 母性健康管理制度の規定の有無別事業所割合

注:平成9年度は「妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置」は調査していない。

調 査 の 概 要

1 調査目的

雇用均等基本調査は、男女の雇用均等問題に係る雇用管理の実態を把握することを目的として毎年実施しており、平成19年度は、労働基準法に基づく母性保護制度及び男女雇用機会均等法に基づく妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)に加え、仕事と育児の両立に関する事項を把握することを目的として調査を行った。

2 調査対象

日本標準産業分類に基づく14大産業〔鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店,宿泊業、医療,福祉、教育,学習支援業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)〈家事サービス業、外国公務を除く〉〕に属する常用労働者5人以上を雇用している民営事業所のうちから、産業・規模別に層化して抽出した10,021事業所であり、そのうち、6,160事業所から有効回答を得(有効回答率61.5%)、集計した。

3 調査の時期

原則として、平成19年10月1日現在の状況について、平成19年10月1日から10月31日までの間に行った。

4 調査機関

厚生労働省雇用均等・児童家庭局 − 報告者

5 調査の方法

自計式郵送調査

6 調査事項

主な調査事項は、次のとおり。

(1)労働基準法に基づく母性保護制度(産前産後休業、育児時間、生理休暇)の規定状況、利用の際の賃金の取扱い、不就業期間の取扱い、利用状況

(2)男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理制度の規定状況、利用の際の賃金の取扱い、不就業期間の取扱い、利用状況

(3)育児のための勤務時間短縮等の措置の規定状況

(4)出産者、配偶者が出産した者の状況、育児休業取得率

調 査 結 果 の 概 要

I 母性保護制度・母性健康管理制度の状況

1 労働基準法に基づく母性保護制度の規定状況

(1)産前産後休業

[1] 休業期間

産前産後に関する休業期間の規定について、単胎妊娠(以下「単胎」という。)の場合は「法定どおり」(産前6週間産後8週間)とする事業所は93.5%(平成16年度95.7%)、「法定を上回る規定あり」とする事業所は5.0%(同4.0%)となっている。

産業別にみると、「法定を上回る規定あり」とする事業所の割合は、教育,学習支援業(16.2%)、金融・保険業(14.0%)、不動産業(10.1%)で高く、事業所規模別にみると、「法定を上回る規定あり」とする事業所割合は、規模が大きくなるほど高くなっている(500人以上規模で24.9%、100〜499人規模で11.8%、30〜99人規模で6.9%、5〜29人規模で4.2%)。

また、多胎妊娠の場合は「法定どおり」(産前14週間産後8週間)とする事業所は96.3% (平成16年度97.7%)、「法定を上回る規定あり」とする事業所は2.0%(同2.0%)となっている(表2、付属統計表第1表)。

表2 産前産後休業期間別事業所割合

[2] 休業期間中の賃金

産前産後休業期間中の賃金を「有給」とする事業所の割合は28.1%と前回調査(平成16年度)の28.1%と同割合であり、そのうち「全期間100%支給」する事業所は60.2%(同52.8%)と7.4ポイント上昇している。これを産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(82.3%)、金融・保険業(66.5%)で「有給」とする事業所割合が高い。また、事業所規模別にみると、500人以上規模で「有給」とする事業所が34.2%と高くなっている(表3、図4、付属統計表第2表)。

表3 産前産後休業中の賃金の有無別事業所割合

図4 母性保護制度利用中に賃金支給がある事業所割合

図4 母性保護制度利用中に賃金支給がある事業所割合

(2)育児時間

育児時間に関する規定について、「女性のみ請求できる」とする事業所の割合は54.5%(平成16年度61.1%)であるが、「男女とも請求できる」とする事業所の割合は43.7%(同38.5%)となっている。また、1日に請求することができる時間を「法定どおり」(1日2回各30分、「1日2回各30分」の規定を前提に、労働者の請求により1日1回60分とする場合も含む。)とする事業所は93.8%、「法定を上回る規定あり」とする事業所は4.5%となっている。

また、育児時間中の賃金を「有給」とする事業所は36.1%(平成16年度40.2%)で、そのうち「全期間100%支給」とする事業所割合は67.4%(同62.8%)となっている。

「有給」とする事業所について産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(73.1%)、金融・保険業(70.2%)が高くなっている。また、事業所規模別にみると、500人以上規模で「有給」とする事業所が45.4%と高くなっている(表4、5、図4、付属統計表第3表)。

表4 育児時間の規定の内容別事業所割合
表5 育児時間中の賃金の有無別事業所割合

(3)生理休暇

生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所は42.8%(平成16年度44.7%)で、そのうち「全期間100%支給」とする事業所割合は70.0%であった。

「有給」とする事業所について産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(89.9%)、金融・保険業(81.6%)が高くなっている。また、事業所規模別にみると、500人以上規模で「有給」とする事業所が63.6%と高くなっている(表6、図4、付属統計表第4表)。

表6 生理休暇中の賃金の有無別事業所割合

注:平成16年度は「全期間100%支給」、「その他」は調査していない。

2 労働基準法に基づく母性保護制度の利用状況

(1) 産前産後休業の取得状況

[1] 産前休業

出産した女性が取得した産前休業の取得日数をみると、単胎の場合、「42日以内」の者が最も多く72.2%で、「43〜98日」が26.0%、「99日以上」は1.8%となっており、一人当たりの平均休業日数は42.1日(平成16年度38.2日)であった(図5)。

図5 休業日数別産前休業取得者割合

[2] 産後休業

出産後の産後休業の取得日数については、単胎の場合、「56日」の者が最も多く77.2%で、「57日以上」が12.9%、「42〜55日」は9.9%となっており、一人当たりの平均休業日数は54.5日(平成16年度57.9日)であった(図6)。

図6 休業日数別産後休暇取得者割合

(2)産後休業取得者の状況

産後休業を取得した女性労働者のうち、産後休業後育児休業を取得せずに直ちに職場復帰した者の割合は9.5%(平成16年度18.2%)であるが、そのうち、「原職」に復帰した女性は95.0%(同96.8%)、「原職相当職」に復帰した女性は4.2%(同1.8%)となっている(付属統計表第5表)。

また、「出産者あり」とした事業所のうち、産後休業後育児休業を取得せずに直ちに職場復帰した女性労働者がいた事業所は11.8%(同24.3%)であるが、そのうち、「原職」に配置した事業所は93.7%(同98.4%)、「原職相当職」に配置した事業所は5.4%(同0.6%)となっている。

原職以外(「原職相当職」又は「原職又は原職相当職以外」)に配置した事業所のうち、「全員、本人の希望」であった事業所は75.8%(同43.6%)であるが、「本人の希望でなかった者もいた」事業所は12.0%(同56.4%)であった(付属統計表第6表)。

(3)育児時間の請求

出産後も引き続き勤務している女性労働者のいた事業所のうち、育児時間の請求者のあった事業所割合は18.5%(平成16年度12.3%)であり、産業別にみると、不動産業(29.3%)、電気・ガス・熱供給・水道業(28.5%)、飲食店、宿泊業(28.4%)が比較的高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど、請求者のあった事業所割合が高くなっている(付属統計表第7表)。

(4)生理休暇の請求

女性労働者のいる事業所のうち、生理休暇の請求者のあった事業所割合は5.4%(平成16年度5.5%)であり、産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(19.2%)、情報通信業(19.2%)が、比較的高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど請求した者のあった事業所割合が高くなっている(付属統計表第8表)。

3 男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理制度の規定状況

(1)妊産婦の通院休暇

妊産婦が保健指導や健康診査を受診するために必要な時間を確保するための休暇(以下「妊産婦の通院休暇」という。)の規定がある事業所は30.6%(平成16年度37.7%)であった。産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(78.3%)、金融・保険業(73.0%)でその割合が高く、事業所規模別にみると規模が大きいほど規定を有している事業所の割合が高く、500人以上規模事業所で75.7%となっている。

規定について、その休暇の付与単位をみると、「必要に応じて」が55.8%と最も多く、「1日単位」18.1%、「時間単位」17.2%、「半日単位」4.6%の順となっている(表7、図7、付属統計表第9表)。

また、通院休暇の利用中の賃金を「有給」とする事業所は41.7%(平成16年度35.4%)で、そのうち56.5%(同54.9%)が「全期間100%支給」としている(表8、図8)。

表7 妊産婦の通院休暇の規定の有無、内容別業所割合
表8 妊産婦の通院休暇中の賃金の有無別事業所割合

図7 母性健康管理制度の規定の有無別事業所割合

図7 母性健康管理制度の規定の有無別事業所割合

図8 母性健康管理制度利用中に賃金支給がある事業所割合

図8 母性健康管理制度利用中に賃金支給がある事業所割合

(2)妊娠中の通勤緩和の措置

妊娠中の通勤緩和の措置に関する規定がある事業所は29.2%(平成16年度28.5%)であった。産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(84.2%)、金融・保険業(73.9%)で規定を有している事業所の割合が高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど規定を有している事業所の割合が高く、500人以上規模事業所では69.3%となっている。

規定の内容(複数回答)をみると、「勤務時間の短縮」が82.0%(平成16年度77.1%)と最も多く、次いで、「時差通勤」65.3%(同55.8%)となっている(表9、図7、9、付属統計表第10表)。

表9 妊娠中の通勤緩和の措置に関する規定の有無、内容別事業所割合

図9 妊娠中の通勤緩和の措置に関する規定の内容別事業所割合(複数回答)

図9 妊娠中の通勤緩和の措置に関する規定の内容別事業所割合(複数回答)

「勤務時間の短縮」の規定がある事業所について、1日の短縮時間をみると、「必要とされる時間」が44.1%と最も多く、次いで「30分を超え60分以内」42.8%、「60分を超える」8.3%、「30分以内」4.3%の順となっている(表10)。

表10 妊娠中の通勤緩和処置による勤務時間の短縮時間別事業所割合

また、勤務時間の短縮中の賃金については、「有給」とする事業所は41.9%(平成16年度34.3%)で、そのうち53.2%(同51.0%)が「全期間100%支給」としている(表11、図8)。

表11 妊娠中の通勤緩和措置による勤務時間の短縮中の賃金の有無別事業所割合

(3)妊娠中の休憩に関する措置

通常の休憩時間とは別に妊婦が休養や補食をとるための休憩に関する措置(以下「妊娠中の休憩に関する措置」という。)の規定がある事業所は25.0%(平成16年度28.2%)であった。産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(73.9%)、金融・保険業(63.7%)で規定を有している事業所の割合が高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど制度を有している事業所の割合が高く、500人以上規模事業所で58.3%となっている(表12、図7、付属統計表第11表)。

表12 妊娠中の休暇に関する措置の規定の有無、内容所事業所割合

休憩中の賃金については、「有給」とする事業所は48.2%(平成16年度39.8%)で、そのうち59.0%(同57.2%)が「全期間100%支給」としている(表13、図8)。

表13 休暇中の賃金の有無別事業所割合

また、妊婦が休憩することができる環境整備のための設備がある事業所は53.3%(平成16年度44.9%)で、設備の内容(複数回答)としては、「休養室がある」が64.2%(同64.8%)と最も多く、次いで、「横になるための長椅子等を設置している」25.0%(同23.1%)、「作業場の近くに椅子を設置している」24.9%(同19.4%)の順となっている(表14、図10)。

表14 妊婦が休憩することができる設備の有無、内容別事業所割合

図10 妊婦が休憩することができる設備の内容別事業所割合(複数回答)

図10 妊婦が休憩することができる設備の内容別事業所割合(複数回答)

(4)妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置

妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置に関する規定がある事業所は32.9%(平成16年度37.0%)で、規定の内容(複数回答)としては、「勤務時間の短縮」が81.9%(同70.8%)、「休業」が64.4%(同55.7%)、「作業の制限」が60.6%(46.7%)となっている。産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(86.9%)、金融・保険業(72.1%)で規定を有している事業所の割合が高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど規定を有している事業所の割合が高く、500人以上規模事業所では78.0%となっている(表15、図7、11、付属統計表第12表)。

表15 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置の規定の有無、内容別事業所割合

図11 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置の内容別事業所割合(複数回答)

図11 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置の内容別事業所割合(複数回答)

「勤務時間の短縮」の規定がある事業所について、1日の短縮時間をみると、「必要とされる時間」が63.1%と最も多く、次いで「30分を超え60分以内」22.4%、「60分を超える」11.5%、「30分以内」2.5%の順となっている。

また、「休業」の規定がある事業所について、休業できる日数をみると、「必要とされる日数」が87.8%と最も多く、「22日以上」が5.7%で続いている。

「勤務時間の短縮」中の賃金を「有給」とする事業所は41.4%(平成16年度34.7%)で、そのうち49.1%(同47.2%)が「全期間100%支給」としている。また、「休業」中の賃金は「有給」とする事業所は33.6%(同26.1%)で、そのうち42.9%(同42.4%)が「全期間100%支給」としている(表16、図8)。

表16 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置による賃金の有無別事業所割合

(5) 母性健康管理制度の利用申請時に必要な書類

母性健康管理制度の利用にあたり書類による申請を必要とする制度をみると、「妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置」の「休業」とする事業所の割合が69.9%と最も多く、次いで「妊産婦の通院休暇」が65.5%、「妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置」の「勤務時間の短縮」が64.9%となっている。

「妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置」の「休業」の利用申請にあたり必要な書類の内容(複数回答)としては、「母性健康管理指導事項連絡カード」が30.3%と最も多く、次いで「医師の診断書」が28.6%、「事業所所定の申請書」27.1%となっている。

一方、「妊娠中の休憩に関する措置」については、書類による申請が必要とする事業所は56.2%で、不要とする事業所は40.8%と比較的書類による申請が不要とする事業所割合が高くなっている(表17)。

表17 母性健康管理制度の利用申請に必要な書類別事業所割合

(6) 妊産婦からの健康管理に関する相談体制

[1] 妊産婦からの相談担当者

妊産婦からの相談担当者(複数回答)については、「所属先(直属)の上司」とする事業所が最も多く48.9%(平成16年度48.4%)となっており、次いで「人事管理部門の担当者(機会均等推進責任者を含む。)」が25.2%(同34.8%)、「特になし」は34.2%(同34.2%)となっている(図12)。

図12 妊産婦からの相談担当者別事業所割合(複数回答)

図12 妊産婦からの相談担当者別事業所割合(複数回答)

注:平成16年度は「事業所提携の産婦人科医」は調査していない。

[2] 事業主が相談する者又は機関

事業主が相談する者又は機関(複数回答)は、「特になし」とする事業所が42.4%(平成16年度45.3%)と最も多いが、「産業医」(23.5%、平成16年度は28.2%)、「妊産婦本人の主治医」(17.5%、同20.1%)に相談する事業所が比較的多い。また、「労働局雇用均等室又は母性健康管理指導医」については前回調査(4.7%)に比べ16.6%と大幅に上昇している(図13)。

図13 事業主が相談する者(機関)別事業所割合(複数回答)

図13 事業主が相談する者(機関)別事業所割合(複数回答)

4 男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理制度の利用状況

(1)妊産婦の通院休暇の請求

妊産婦がいた事業所のうち、妊産婦から通院休暇の請求があった事業所割合は15.0%であり、産業別にみると、運輸業(67.5%)、教育,学習支援業(27.2%)で割合が高い。事業所規模別にみると、500人以上規模の事業所(24.8%)において割合が高くなっている。

妊産婦のうち、通院休暇を請求した者の割合は1.2%であった。

また、請求した者1人あたりの平均請求回数は、4.1回となっている(付属統計表第13表)。

(2)妊娠中の通勤緩和の措置の請求

妊産婦がいた事業所のうち、妊産婦から通勤緩和の措置の請求があった事業所割合は7.7%であり、産業別にみると、運輸業(38.4%)、情報通信業(20.1%)、不動産業(19.3%)で割合が高くなっている。事業所規模別にみると500人以上規模事業所(14.9%)において、割合が高くなっている。

妊産婦のうち、通勤緩和の措置を請求した者の割合は「時差通勤」0.2%、「勤務時間の短縮」0.2%であった(付属統計表第14表)。

(3)妊娠中の休憩に関する措置の請求

妊産婦がいた事業所のうち、妊産婦から妊娠中の休憩に関する措置の請求があった事業所割合は7.7%であり、産業別にみると、建設業(15.1%)、教育,学習支援業(13.5%)で割合が高くなっている。

また、妊産婦のうち、休憩を請求した者の割合は0.2%であった(付属統計表第15表)。

(4) 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置の請求

妊産婦がいた事業所のうち、妊産婦から妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置の請求があった事業所割合は14.9%であり、産業別にみると、教育,学習支援業(50.6%)、医療,福祉(20.2%)で割合が高くなっている。事業所規模別にみると、500人以上規模事業所(22.2%)において割合が高くなっている。

また、妊産婦のうち、妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置を請求した者の割合は、「作業の制限」が0.8%、「休業」が0.7%、「勤務時間の短縮」が0.4%であった(付属統計表第16表)。

(5)母性健康管理指導事項連絡カードの利用状況

妊産婦がいた事業所のうち、母性健康管理指導事項連絡カードによる母性健康管理制度の利用申請者がいた事業所割合は2.8%で、事業所規模別にみると500人以上規模事業所(20.6%)において割合が高くなっている。

また、妊産婦のうち、母性健康管理制度を母性健康管理指導事項カードによって利用申請した者の割合は0.7%であった(付属統計表第17表)。

5 不就業期間の取扱い

(1)産前産後休業

昇進・昇格の決定にあたり、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、産前産後休業期間を「就業したものとみなす」事業所は33.4%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は5.5%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は20.4%であり、「特に決めていない」事業所は30.9%となっている。

昇給の決定にあたっては、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、産前産後休業期間を「就業したものとみなす」事業所は33.4%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は6.1%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は21.7%であり、「特に決めていない」事業所は29.6%となっている。

退職金の算定にあたり労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、産前産後休業期間を「就業したものとみなす」事業所は44.9%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は6.2%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は22.6%であり、「特に決めていない」事業所は20.2%となっている(表18、付属統計表第18表)。

表18 産前産後休業取得による不就業期間の取扱い別事業所割合

(2)育児時間

昇進・昇格の決定にあたり、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、育児時間を「就業したものとみなす」事業所は35.4%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は5.3%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は18.1%であり、「特に決めていない」事業所は33.2%となっている。

昇給の決定にあたっては、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、育児時間を「就業したものとみなす」事業所は36.1%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は5.5%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は18.6%であり、「特に決めていない」事業所は32.7%となっている。

退職金の算定にあたり労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、育児時間を「就業したものとみなす」事業所は46.1%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は5.0%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は19.1%であり、「特に決めていない」事業所は24.2%となっている(表19、付属統計表第19表)。

表19 育児時間取得による不就業期間の取扱い別事業所割合

(3)生理休暇

昇進・昇格の決定にあたり、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、生理休暇を「就業したものとみなす」事業所は38.0%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は4.6%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は16.8%であり、「特に決めていない」事業所は32.9%となっている。

昇給の決定にあたっては、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、生理休暇を「就業したものとみなす」事業所は39.3%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は4.5%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は16.8%であり、「特に決めていない」事業所は32.6%となっている。

退職金の算定にあたり労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、生理休暇を「就業したものとみなす」事業所は51.3%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は3.6%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は14.4%であり、「特に決めていない」事業所は25.0%となっている(表20、付属統計表第20表)。

表20 生理休暇取得による不就業期間の取扱い別事業所割合

(4)妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置

[1] 勤務時間の短縮

昇進・昇格の決定にあたり、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置による勤務時間の短縮を「就業したものとみなす」事業所は29.7%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は5.8%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は11.9%であり、「特に決めていない」事業所は41.9%となっている。

昇給の決定にあたっては、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置による勤務時間の短縮を「就業したものとみなす」事業所は30.1%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は6.1%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は12.5%であり、「特に決めていない」事業所は41.8%となっている。

退職金の算定にあたり労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置による勤務時間の短縮を「就業したものとみなす」事業所は41.4%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は5.8%である一方、「不就業期間」として取り扱う事業所は12.4%であり、「特に決めていない」事業所は33.3%となっている(表21、付属統計表第21表)。

表21 勤務時間の短縮による不就業期間の取扱い別事業所割合

[2] 休業

昇進・昇格の決定にあたり、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置による休業を「就業したものとみなす」事業所は23.2%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は4.5%である一方、「不就業期間」として取扱う事業所は20.9%であり、「特に決めていない」事業所は39.7%となっている。

昇給の決定にあたっては、労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置による休業を「就業したものとみなす」事業所は23.1%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は5.3%である一方、「不就業期間」として取扱う事業所は22.3%であり、「特に決めていない」事業所は38.8%となっている。

退職金の算定にあたり労働者の出勤状況を考慮している事業所のうち、妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置による休業を「就業したものとみなす」事業所は31.2%、「一定割合を就業したものとみなす」事業所は6.4%である一方、「不就業期間」として取扱う事業所はそれぞれ25.5%であり、「特に決めていない」事業所は29.2%となっている(表22、付属統計表第22表)。

表22 休業による不就業期間の取扱い別事業所割合

II 育児のための勤務時間短縮制度等の措置の導入状況

育児のための勤務時間の短縮等の措置([1]短時間勤務制度、[2]育児のためのフレックスタイム制度、[3]始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、[4]所定外労働をさせない制度、[5]託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与、[6]育児休業の制度に準ずる措置)を導入している事業所は49.5%(平成17年度41.6%)となっており、産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業で94.1%、金融・保険業で86.2%と導入している事業所の割合が高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど導入している事業所の割合が高くなっている(500人以上規模で93.8%、100〜499人規模で82.4%、30〜99人規模で62.2%、5〜29人規模で45.3%)。

当該措置を導入している事業所において、最長で子が何歳になるまで利用できるかについてみると、「3歳に達するまで」とする事業所が最も多く56.5%(平成17年度53.5%)、次いで「小学校就学の始期に達するまで」30.0%(同27.8%)、「3歳から小学校就学前の一定の年齢まで」3.9%(同4.8%)の順となっており、「小学校就学の始期に達するまで」以上としている事業所割合は38.8%で、全事業所に対する割合では、19.2%となっている(前回調査の制度導入事業所に対する割合39.2%、全事業所に対する割合16.3% )(表1、図2、14、付属統計表第23表)。

図14 育児のための勤務時間短縮制度等の措置の導入状況

図14 育児のための勤務時間短縮制度等の措置の導入状況

III 出産者等の状況

1 妊娠中又は出産後に退職した女性労働者の割合

平成18年4月1日から平成19年3月31日に出産予定であった者に占める妊娠中又は出産後に退職した女性の割合は36.1%となっている。妊娠中又は出産後に退職した女性の退職時期をみると、出産前(妊娠中)に退職した女性は62.5%、出産後に退職した女性は37.5%であった。

2 育児休業取得者

(1)女性

出産した女性に占める育児休業取得者(平成18年4月1日から平成19年3月31日までの1年間に出産した女性のうち、平成19年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合をみると、89.7%と前回(平成17年度72.3%)より大幅に上昇した。

事業所規模別についてみると、規模が大きいほど育児休業取得率は高く(500人以上規模で94.0%(同87.3%)、100〜499人規模で93.3%(同79.0%)、30〜99人規模で87.6%(同76.9%)、5〜29人規模で65.3%(同58.5%)であり、また、育児休業取得率は全ての規模で上昇した。

(2)男性

男性について、平成18年4月1日から平成19年3月31日までの1年間に配偶者が出産した者のうち、平成19年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合をみると、1.56%と前回(平成17年度0.50%)より1.06%ポイント上昇した(表23、図1、付属統計表第24表)。

表23 育児休業取得率
育児休業取得率= 調査時点までに育児休業を開始した者(開始予定の申出をしている者を含む。)

調査前年度1年間の出産者(男性の場合は配偶者が出産した者)の数

働く女性の母性保護、母性健康管理に関する法律の概要

1 母性保護

(1) 産前産後休業(労働基準法第65条第1項及び第2項)

産前は女性が請求した場合に6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後は8週間、女性を就業させることはできない。ただし、産後6週間を経過後に、本人が請求し医師が支障ないと認めた業務については就業させることができる。

(2) 育児時間(労働基準法第67条)

生後満1年に達しない生児を育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分の育児時間を請求することができる。

(3) 生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置(生理休暇)(労働基準法第68条)

生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させることはできない。

2 母性健康管理

(1) 保健指導又は健康診査を受けるための時間の確保(男女雇用機会均等法第12条関係)

女性労働者が妊産婦のための保健指導又は健康診査を受診するために必要な時間を確保できるようにしなければならない。

(2) 指導事項を守ることができるようにするための措置(男女雇用機会均等法第13条関係)

妊娠中及び出産後の女性労働者が、健康診査等を受け、主治医等から指導を受けた場合は、女性労働者の申出に基づき、事業主は、その女性労働者が受けた指導を守ることができるようにするために、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じなければならない。

<指導事項を守ることができるようにするための措置>

[1] 妊娠中の通勤緩和

[2] 妊娠中の休憩に関する措置

[3] 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置

育児休業、育児のための勤務時間短縮等の措置に関する法律の概要

1 育児休業(育児・介護休業法第5条〜第9条)

労働者は、その事業主に申し出ることにより、子が1歳に達するまでの間(子が1歳を超えて休業が必要と認められる一定の場合は、子が1歳6か月に達するまで)、育児休業することができる。

2 育児のための勤務時間短縮等の措置(育児・介護休業法第23条及び第24条)

事業主は、1歳(子が1歳6か月に達するまで育児休業をすることができる場合にあっては、1歳6か月)に満たない子を養育する労働者で育児休業をしない者については、勤務時間短縮等の措置を、1歳(同上)から3歳に達するまでの子を養育する労働者については、育児休業に準ずる措置又は勤務時間短縮等の措置を講じなければならない。

<勤務時間の短縮等の措置>

[1] 短時間勤務制度

[2] フレックスタイム制

[3] 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ

[4] 所定外労働の免除

[5] 託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

また、事業主は、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者については、育児休業に準ずる措置又は勤務時間短縮等の措置を講じるよう努めなければならない。


トップへ