II 結果の概要
第1部 食生活状況について
1.栄養や食事に対する関心
栄養や食事について「まったく考えない」または「あまり考えない」者の割合は、 男性の15〜29歳で約5割、30歳以上で約3割 女性の15〜19歳で約4割、30〜69歳で約1割、70歳以上で約2割 |
自分の健康づくりのために、栄養や食事について「よく考える」と回答した者の割合は、男性より女性の方が高かった(図1)。「まったく考えない」または「あまり考えない」者の割合は、男女とも若年層で高率だが、中高年層でも男性は3割、女性は1〜2割であった。
図1.自分の健康づくりのために、栄養や食事について考えることがあるか
2.食行動の現状
1日最低1食、きちんとした食事を2人以上で楽しく、 30分以上かけて食べている者の割合は、全体で67.9% 20歳代の男性で最も少なく半数 |
1日最低1食、きちんとした食事を2人以上で楽しく、30分以上かけて食べている者の割合は、男性が49.9%〜76.8%、女性が66.6%〜79.3%であった(図2)。この割合が最も少なかったのは、20歳代の男性で、1日最低1食、きちんとした食事を2人以上で楽しく、30分以上かけて食べている者は半数に満たなかった。
図2.1日最低1食、きちんとした食事を2人以上で楽しく、30分以上かけて食べている者の割合
外食頻度は20〜59歳の男性で高く、3割前後がほとんど毎日1回以上利用 |
外食頻度は、男性の20〜59歳で高く、3割前後がほとんど毎日1回以上利用していた(図3)。女性は、男性より利用頻度が低かった。女性において、ほとんど毎日1回以上外食する者の割合は、20歳代で高く、21.1%であった。
図3.外食の利用頻度(市販の弁当などの利用も含む)
男女とも、外食の利用頻度が高いほど、野菜の摂取量が少ない |
外食の利用頻度別に野菜の摂取量を比較した(図4)。男女とも、外食の利用頻度が高いほど、緑黄色野菜及びその他の野菜の摂取量が少なかった。
図4.外食の利用頻度別にみた野菜摂取量
男性では食事づくり(食品の買い物、調理)をほとんどしない者が7〜9割 30〜69歳女性では毎日2回以上食事づくりをしている者が6〜7割 |
食品の買い物や調理などの食事づくりの頻度をみると、男性では、年齢階級による差はみられず、食事づくりを「ほとんどしない」と回答した者が7〜9割であった(図5)。女性の30〜69歳では、毎日2回以上食事づくりをしている者の割合が6〜7割と高かったが、15-19歳(1.1%)と20-29歳(20.9%)の若年層や70歳以上(39.2%)の高齢者では低かった。
図5.食事づくり(食品の買い物、調理)の頻度
3.栄養や食事についての情報源
栄養や食事に関する情報源として多くあげられたものは、 男性は、テレビ・ラジオ(56.2%)、家族(46.0%)、新聞(32.8%) 女性は、テレビ・ラジオ(76.0%)、雑誌・本(55.3%)、友人・知人(45.9%) |
自分の健康づくりのために必要な栄養や食事に関する知識や情報をどこから得ているかについて、16の選択肢の中から複数回答してもらった(図6)。利用している情報源は女性の方が多く、逆に「特になし」と回答した割合は、男性(18.2%)の方が女性(6.1%)より高かった。
図6.健康づくりに必要な栄養や食事に関する知識や情報をどこから得ているか
利用したい情報源として多くあげられたものは、 男性は、テレビ・ラジオ(47.3%)、家族(33.4%)、新聞(31.5%) 女性は、テレビ・ラジオ(63.4%)、雑誌・本(46.9%)、友人・知人(29.4%)で 実際の情報源として多くあげられていたものと同じ |
今後、健康づくりのために必要な栄養や食事に関する知識や情報をどこから得たいかについて、16の選択肢の中から複数回答してもらった。利用したい情報源として多く選択されたものは、実際に利用している情報源と同じものであった(図7)。
図7.健康づくりに必要な栄養や食事に関する知識や情報をどこから得たいか
栄養や食事についてまったく考えない者は、 利用したい情報源も「特になし」が最も多く、男性63.0%、女性52.9% |
今後、健康づくりのために必要な栄養や食事に関する知識や情報をどこから得たいかについてたずねた結果を、自分の健康づくりのために栄養や食事について「よく考える」者と「まったく考えない」者で比較した(図8)。栄養や食事について「まったく考えない」者は「よく考える」者にくらべて、栄養や食事に関する知識を得たいと思う情報源が少なかった。
図8.栄養や食事に対する関心度の違いによる利用したい情報源の比較
4.意識している栄養成分
食品や料理の選択の際に意識している栄養成分についてたずねたところ、 男性は「特に意識しない」と回答した者が最も多く4割弱 若年女性は「エネルギー」、中高年女性は「食物繊維」、「カルシウム等ミネラル」、「塩分」が多かった |
食品や料理の選択の際に、意識している栄養成分を10の選択肢の中から複数回答してもらった結果の上位4つを表1に示した。男性では、60歳代以外のすべての年齢階級において「特に意識しない」と回答した者が最も多かった。40歳以上では「塩分」と「食物繊維」があげられていた。女性では、すべての年齢階級で「ビタミン」があげられていた。年齢による違いをみると、15〜29歳では「エネルギー」、30歳以上では「食物繊維」、「カルシウム等のミネラル」、「塩分」があげられていた。
表1.食品や料理の選択の際に意識している栄養成分(上位4つ)
年齢階級 | 男性 | 女性 | ||
15-19歳 | 特に意識しない | 43.80% | 脂質 | 35.10% |
カルシウム等のミネラル | 26.20% | エネルギー | 33.70% | |
エネルギー | 23.80% | ビタミン | 29.60% | |
ビタミン | 18.80% | 特に意識しない | 29.30% | |
20-29歳 | 特に意識しない | 42.00% | ビタミン | 43.60% |
ビタミン | 28.70% | エネルギー | 42.30% | |
エネルギー | 23.70% | 食物繊維 | 41.70% | |
カルシウム等のミネラル | 22.30% | カルシウム等のミネラル | 36.10% | |
30-39歳 | 特に意識しない | 38.50% | カルシウム等のミネラル | 49.00% |
ビタミン | 31.60% | 食物繊維 | 47.30% | |
エネルギー | 24.30% | ビタミン | 46.40% | |
カルシウム等のミネラル | 24.00% | 塩分 | 41.50% | |
40-49歳 | 特に意識しない | 35.20% | 食物繊維 | 55.00% |
ビタミン | 29.90% | カルシウム等のミネラル | 51.50% | |
塩分 | 27.40% | 塩分 | 50.00% | |
食物繊維 | 26.60% | ビタミン | 49.30% | |
50-59歳 | 特に意識しない | 37.80% | 食物繊維 | 63.20% |
塩分 | 33.00% | 塩分 | 60.10% | |
食物繊維 | 32.10% | カルシウム等のミネラル | 58.10% | |
カルシウム等のミネラル | 27.50% | ビタミン | 47.10% | |
60-69歳 | 塩分 | 40.30% | 塩分 | 61.80% |
食物繊維 | 40.00% | 食物繊維 | 60.10% | |
カルシウム等のミネラル | 34.40% | カルシウム等のミネラル | 59.70% | |
特に意識しない | 32.70% | ビタミン | 49.00% | |
70歳以上 | 特に意識しない | 38.50% | カルシウム等のミネラル | 46.20% |
食物繊維 | 37.50% | 塩分 | 45.90% | |
塩分 | 36.90% | 食物繊維 | 43.40% | |
カルシウム等のミネラル | 35.10% | ビタミン | 34.60% | |
全体 | 特に意識しない | 37.70% | 食物繊維 | 50.40% |
食物繊維 | 28.70% | カルシウム等のミネラル | 49.00% | |
ビタミン | 28.00% | 塩分 | 47.70% | |
カルシウム等のミネラル | 28.00% | ビタミン | 44.00% |
血圧が高い者で、塩分を意識して食品や料理を選択している者は、 40歳以上の男性で約4割、40歳以上の女性で約6割 |
血圧が高い者(最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上)について、食品や料理を選択するときに塩分を意識する者の割合をみると、40歳以上の男性で約4割、40歳以上の女性で約6割であった(図9)。
図9.血圧の高い者で、食品や料理の選択の際に塩分を意識する者の割合
血圧の分類(日本高血圧学会 2000年)
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5.外食料理や加工食品の栄養成分表示
栄養成分表示が必要だと思う者の割合は66.9%であるのに対し、 栄養成分表示を見たことがあるのは、36.0% 見たことがある者のうち、 「いつも参考にする」または「時々参考にする」者は、76.6% |
外食料理や加工食品の栄養成分表示が必要だと思う者の割合は、男性59.1%、女性73.6%であるのに対し、栄養成分表示を見たことがある者の割合は、男性29.0%、女性42.0%であった(図10、図11)。栄養成分表示を見たことがあると回答した者に対して、栄養成分表示を参考にしてメニューを選ぶかをたずねたところ、「いつも」もしくは「時々参考にして選ぶ」と答えた者の割合は、男性62.4%、女性85.3%であった(図12)。
図10.栄養成分表示が必要だと思うか |
図11.栄養成分表示を見たことがあるか |
図12.栄養成分表示を参考にしてメニューを選ぶか
(栄養成分表示を見たことがある者=100%)
栄養や食事に対する関心が低い者では、栄養成分表示は活用されていない |
栄養や食事に対する関心と栄養成分表示の利用状況との関連をみると(図13)、栄養や食事についてよく考える者では「栄養成分表示をいつも参考にする」と「時々参考にする」の割合が高く、「ほとんど参考にしない」の割合は、栄養や食事に対する関心が低いほど多かった。
図13.栄養や食事に対する関心と栄養成分表示の利用状況
6.栄養バランスのとれたメニューの提供
栄養バランスのとれたメニューを提供している飲食店や食品売場、 職場の給食施設・食堂は少ないと考えている者は3割以上 |
身近な飲食店や食品売場、職場の給食施設・食堂などは、栄養バランスのとれたメニューを提供していると思うかをたずねたところ、「わからない」が最も多く33.8%、次いで「提供しているところは少ないと思う」30.8%、「半分くらいが提供していると思う」26.9%、「ほとんどが提供していると思う」8.5%の順であった(図14)。
図14.飲食店等で栄養バランスのとれたメニューを提供していると思うか
7.栄養・健康について自主的に学ぶ環境の整備状況
身近に栄養や健康について学ぶことのできるサークルがあると答えたのは、 男性6.1%、女性14.0% 現在もしくは過去1年間に参加したことがあるのは、男性2.3%、女性7.3% |
地域、職場、学校等に、健康や栄養に関する学習や活動を行う自主的な集まり(サークル)があるかをたずねた結果、「ある」と答えた者の割合は、男性4.2〜10.3%(平均6.1%)、女性3.6〜18.0%(平均14.0%)であった(図15)。
「ある」と回答した者に対して、参加したことがあるかをたずねた。「現在参加」もしくは「過去1年間に参加したことがある」者の全体に対する割合は、男性では0.9〜3.4%(平均2.3%)であった(図16)。女性では、40歳代以降で高かったが、ぞれでも全体の8〜12%に過ぎなかった。
図15.地域や職場に健康や栄養に関する学習や活動を行う自主的な集まりがあるか
図16.地域や職場における健康や栄養に関する学習や活動を行う自主的な集まりに参加したことがあるか