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−「平成12年度女性雇用管理基本調査」結果概要−


1 新規学卒者及び中途採用者の採用状況

 平成12年春卒業の新規学卒者又は中途採用者(過去1年間)を採用した企業割合は74.3%となっており、どちらも採用しなかった企業割合は25.7%となっている。
 新規学卒者を採用した企業割合をみると、四年制大学卒事務・営業系では「いずれの職種・コースとも男女とも採用」が43.8%と最も高く、次いで「いずれの職種・コースとも男性のみ採用」が38.0%となっている。
 一方、四年制大学卒技術系では「いずれの職種・コースとも男性のみ採用」が最も高く64.6%、次いで「いずれの職種・コースとも男女とも採用」が29.0%となっている。
 短大・高専卒と高校卒は共通した傾向がみられ、事務・営業系では「いずれの職種・コースとも女性のみ採用」(それぞれ67.5%、54.3%)が、技術系では「いずれの職種・コースとも男性のみ採用」(それぞれ59.9%、61.4%)が最も高くなっている。
 また、中途採用者については、「いずれの職種・コースとも男女とも採用」とする企業割合が最も高く49.5%となっている(第1図)。

第1図 採用区分、採用状況別企業割合(当該区分で採用した企業=100)

採用区分、採用状況別企業割合の図

 中途採用者を採用した企業の中で、いわゆる再就職女性(出産、育児期に一度就業を中断し、子育てが一段落したところで再就職する女性)を採用した企業割合は18.9%となっており、また、中途採用者として女性を採用した企業の中では、3年前と比べた再就職女性の採用が「増えた」企業が11.3%、「減った」企業が6.2%となった(第2図)。

第2図 再就職女性の採用状況

再就職女性の採用状況の図


2 コース別雇用管理制度について

(1) コース別雇用管理制度の導入状況

 コース別雇用管理制度を「導入している」とする企業割合は7.1%で、平成10年度と比べて0.1%ポイント上昇している。
 コース別雇用管理制度を「導入している」企業割合を産業別にみると、金融・保険 業が41.7%と最も高く、次いで不動産業の20.6%となっている。
 また、規模別にみると、規模が大きくなるほど導入割合が高く、5,000人以上規模で51.9%、1,000〜4,999人規模で39.9%となっている。
 平成10年度と比較すると、300人以上規模の企業では「導入している」とする企業割合は低下しており、逆に299人以下規模の企業での導入割合は上昇しているため、全体としては0.1%ポイントの上昇となった(第3図)。

第3図 産業、規模別コース別雇用管理制度導入企業割合(全企業=100)

産業、規模別コース別雇用管理制度導入企業割合の図

 さらに、コース別雇用管理制度の導入状況を初めて調査した平成元年度からの推移をみると、平成10年度までは企業規模を問わずに一貫して導入割合が上昇し続けていたが、平成12年度になって初めて、300人以上規模の企業での導入割合が低下する結果となった(第4図)。

第4図 規模別コース別雇用管理制度導入企業割合の推移(全企業=100)

規模別コース別雇用管理制度導入企業割合の推移の図


(2) コース別雇用管理制度の見直し状況

 過去3年間にコース別雇用管理制度の見直しをした企業割合は22.0%(第5図)で、その見直し内容としては、「コースの分割・統合」が43.5%と最も高く、次いで「コース転換の柔軟化」が36.1%となっている(第6図)。

第5図 コース別雇用管理制度の見直しの有無(コース別雇用管理制度あり企業=100)

コース別雇用管理制度の見直しの有無の図

第6図 コース別雇用管理制度の見直し内容別企業割合(MA.)
(過去3年間にコース別雇用管理制度を見直した企業=100)

コース別雇用管理制度の見直し内容別企業割合の図


(3) コース別雇用管理制度の導入企業のコース別採用状況

 コース別雇用管理制度を導入している企業のコースごとの新規学卒者採用状況をみると、「企画的業務に従事し、全国的規模の転勤のあるコース」において「採用あり」とする企業割合が57.0%で、このうち「男性のみ採用」とする企業割合が52.9%(平成10年度53.7%)と、「男女とも採用」とする企業割合の46.5%(同42.4%)を上回っている。
 一方、「定型的業務に従事し、転居を伴う転勤のないコース」においては、「採用あり」とする企業割合が79.8%で、このうち「女性のみ採用」とする企業割合が 61.4%(同60.8%)で、「男女とも採用」とする企業割合が35.0%(同 35.8%)となっている(第7図)。

第7図 コース別業務内容別採用状況(各コース採用あり企業=100)

コース別業務内容別採用状況の図


3 配置について

(1) 部門別の配置状況

 部門別に配置状況をみると、各部門とも「いずれの職場にも男女とも配置」しているとする企業割合が最も高く、その割合が特に高い部門は「人事・総務・経理」が86.6%、「企画・調査・広報」が79.5%、「情報処理」が78.0%となっている。
 一方、「男性のみ配置の職場がある」については、「営業」が37.3%と最も高く、次いで「研究・開発・設計」が33.3%、「生産」が25.0%となっており、「女性のみ配置の職場がある」割合が高いのは、「人事・総務・経理」の10.5%となっている(第8図)。
 3年前と比べた女性の配置の状況が「増えた」とする部門は「生産」が15.2%と最も高く、次いで「情報処理」が14.9%、「研究・開発・設計」が14.2%となっている(第9図)。

第8図 部門、配置状況別企業割合(当該部門がある企業=100)

部門、配置状況別企業割合の図

第9図 3年前と比べた女性の配置の状況

3年前と比べた女性の配置の状況の図


(2) 配置転換の状況

 過去3年間に配置転換を行った企業についてその実施状況をみると、事業所内配置転換、転居を伴わない事業所間配置転換については、「男女とも実施」とする企業割合が76.4%(平成10年度80.4%)、63.6%(同62.2%)と最も高くなっている。
 一方、転居を伴う事業所間配置転換、海外への配置転換については、「男性のみ実施」がそれぞれ77.2%(同77.9%)、92.2%(同89.4%)となっている(第10図)。

第10図 過去3年間の配置転換の種類、配置転換の実施状況別企業割合
(該当する配置転換がある企業=100)

過去3年間の配置転換の種類、配置転換の実施状況別企業割合の図


4 昇進について

(1) 女性管理職を有する企業割合

 役職別に女性管理職を有する企業割合をみると、部長相当職は7.4%(平成10年度5.8%)、課長相当職は19.0%(同17.1%)、係長相当職は31.2%(同32.2%)となっている(第11図)。

第11図 役職別女性管理職を有する企業割合(全企業=100)

役職別女性管理職を有する企業割合の図

(注)平成10年度の数値は、今回新たに再集計したものである。

 産業別にみると、サービス業、金融・保険業において女性管理職を有する企業割合が高く、サービス業では部長相当職が13.5%(平成10年度9.7%)、課長相当職が26.6%(同23.4%)、係長相当職が38.0%(同40.0%)となり、金融・保険業では部長相当職が7.0%(平成10年度7.9%)、課長相当職が41.8%(同36.6%)、係長相当職が68.2%(同64.7%)となっている。(付表第1表)。
 規模別にみると、おおむね規模が大きくなるほど各役職とも「女性管理職を有する」企業割合が高く、5,000人以上規模では、部長相当職が23.8%(平成10年度19.0%)、課長相当職が75.8%(同65.8%)、係長相当職が74.4%(同74.3%)となっている(付表第1表)。


(2) 管理職に占める女性の割合

 役職別に管理職全体に占める女性の割合をみると、部長相当職では1.6%(平成10年度1.2%)、課長相当職では2.6%(同2.4%)と平成10年度と比べ上昇したものの、係長相当職では7.7%(同7.8%)と低下した。さらに、これを規模別にみると規模が小さいほど割合が高くなっている(第12図、付表第2表)。

第12図 役職別管理職に占める女性の割合(該当役職がある企業=100)

役職別管理職に占める女性の割合

第12−2図 役職別管理職に女性が占める割合の推移

役職別管理職に女性が占める割合の推移

 管理職に占める女性管理職の割合を3年前と比較すると、「変わらない」とする企 業割合が最も高いものの、「増えた」とする企業の割合は、部長相当職では2.4%、課長相当職では8.1%、係長相当職では16.5%となっている(第13図)。

第13図 3年前と比べた管理職に占める女性管理職の割合(該当=100)

3年前と比べた管理職に占める女性管理職の割合


(3) 女性管理職が少ない又は全くいない理由

 女性管理職が少ない(1割未満)又は全くいない役職区分が一つでもある企業についてその理由をみると、「必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」とする企業割合が43.6%(平成10年度51.5%)と最も高く、次いで「勤続年数が短く、役職者になるまでに退職する」35.4%(同36.9%)、「将来就く可能性のある者はいるが、現在、役職に就くための在職年数等を満たしている者はいない」29.8%(同32.9%)となっている(第14図)。

第14図 女性管理職が少ない又は全くいない理由別企業割合(MA.)
(女性管理職が少ない(1割未満)、全くいない役職が一つでもある企業=100)

女性管理職が少ない又は全くいない理由別企業割合の図


5 女性の活用について〜 ポジティブ・アクションの推進状況〜

(1) ポジティブ・アクションの推進状況

 過去の雇用慣行や性別役割分担意識などが原因で男女労働者の間に事実上生じている格差の解消を目的として行う措置、すなわち「女性の能力発揮促進のための企業の積極的取組(ポジティブ・アクション)」について、「既に取り組んでいる」とする企業割合は26.3%、「今後取り組むこととしている」企業割合は13.0%、「今のところ取り組む予定はないとする企業割合は34.2%である。
 「既に取り組んでいる」企業割合を規模別にみると5,000人以上規模企業では67.7%と最も高く、規模が大きい企業ほど企業割合が高くなっている(第15図)。

第15図 規模別ポジティブ・アクションの推進状況(全企業=100)

規模別ポジティブ・アクションの推進状況の図


(2) ポジティブ・アクションを推進することが必要と考える理由

 「既にポジティブ・アクションに取り組んでいる」又は「今後、取り組むこととしている」とした企業が、社内でポジティブ・アクションを推進することが必要であると考える理由では、「女性の能力の有効活用により、経営の効率化を図るため」とする企業割合が81.0%と最も高く、次いで「労働者の職業意識や価値観の多様化に対応するため」45.9%、「職場全体のモラールの向上に資するため」が31.7%となっている(第16図)。

第16図 ポジティブ・アクションを推進する理由(MA.)
(ポジティブ・アクションに既に取り組んでいるあるいは今後取り組むこととしている企業=100)

ポジティブ・アクションを推進する理由の図


(3) ポジティブ・アクションの取組事項

 「ポジティブ・アクションに既に取り組んでいる」とした企業の取組事項をみると、「性別により評価することがないよう人事考課基準を明確に定める」とした企業が66.9%と最も高く、次いで「女性がいない又は少ない職務について、意欲と能力のある女性を積極的に採用する」が46.2%、「女性がいない又は少ない役職について意欲と能力のある女性を積極的に登用する」が39.4%、「男女の役割分担意識に基づく慣行の見直し等、職場環境・風土を改善する」が37.6%となっている(第17図)。

第17図 ポジティブ・アクションの取組事項(MA.) (ポジティブ・アクションに既に取り組んでいる企業=100)

ポジティブ・アクションの取組事項


(4) ポジティブ・アクションに取り組まない理由

 逆に、「今のところポジティブ・アクションに取り組む予定がない」とした企業の理由としては、「十分に女性が能力発揮し、活躍しているため」が43.6%、「日常の業務が忙しいため対応する余裕がない」が25.4%となっている(第18図)。

第18図 ポジティブ・アクションに取り組まない理由
(今のところ取り組む予定がないと回答した企業=100)

ポジティブ・アクションに取り組まない理由


(5) 女性の活用に当たっての問題点

 さらに、女性の活用に当たっての問題点をみると、「女性の勤続年数が平均的に短 い」とする企業割合が47.1%と最も高く、次いで「家庭責任を考慮する必要があ る」が45.8%、「時間外労働、深夜業をさせにくい」が35.7%となっている (第19図)。

第19図 女性の活用問題別企業割合(M.A.)(全企業=100)

女性の活用問題別企業割合の図


6 女性の時間外・休日労働、深夜業の規制の解消に伴う女性雇用管理の変化についての考え方

 女性の時間外・休日労働、深夜業の規制が解消されたのは平成11年4月1日である。法施行前の平成10年度には「女性の時間外・休日労働、深夜業の規制の解消に伴い女性雇用管理が変わる」とした企業は6割程度みられたが、法施行後の今回の調査では「特に変わらない」とする企業割合が70.9%と最も高くなり、次いで「女性の時間外労働が増えた」が14.2%、「女性が配置される部署が広がった」が11.5%となっている。

第20図 女性の時間外・休日労働、深夜業の規制の解消に伴う女性の雇用管理の変化(M.A.)(全企業=100)

女性の時間外・休日労働、深夜業の規制の解消に伴う女性の雇用管理の変化の図


7 セクシュアルハラスメントの防止のための取組について

 「社内でセクシュアルハラスメントは起こりうると思うか」について、企業全体で起こりうると思わない」が38.5%と、「起こりうると思う」の25.1%を上回っている。
 規模別に見ると、5,000人以上規模の企業の70.2%が「起こりうると思う」と回答しており、1,000〜4,999人規模では54.6%、300〜999人規模では45.5%と続き、規模が大きくなるほど「起こりうると思う」の割合が高くなっている(第21図)。

第21図 セクシュアル・ハラスメントのおこる可能性(全企業=100)

セクシュアル・ハラスメントのおこる可能性の図

 また、「企業でセクシュアルハラスメントが起こったときに対応が困難と感じていること」については、「事実確認が難しい」とする企業が39.8%と最も高く、次いで「プライバシーの保持が難しい」37.1%、「相談を受ける際、留意点がわからない」が21.3%となっている(第22図)。

第22図 セクシュアル・ハラスメントの対応が困難と感じていること(M.A.)

セクシュアル・ハラスメントの対応が困難と感じていること(M.A.)の図


8 母性保護等について

(1) 産前産後休業制度の内容

 単胎妊娠の場合の休業期間を労働基準法に定めるとおりとする企業割合は97.5%、法定を上回るとした企業割合は2.3%となった。法定を上回るとする企業割合を規模別に見ると、5,000人以上規模が26.3%、1,000〜4,999人以上規模が15.6%、300〜999人規模が7.8%と、規模が大きくなるほど高くなっている。
 また、多胎妊娠の場合では法定どおりの企業割合が98.7%、法定を上回る企業割合は0.9%となっている(付表第3表)。


(2) 産前産後休業及び育児時間中の賃金の取扱い

 産前産後休業中の賃金を有給とする企業割合は17.4%であり、そのうち全期間100%賃金を支給する企業割合は57.6%となっている。
 また、育児時間中の賃金を有給とする企業割合が18.9%であり、そのうち全期間100%賃金を支給する企業割合は60.1%となっている(付表第4表)。


(3) 母性健康管理に関する制度の有無、賃金の取扱い

 母性健康管理に関する制度について、各制度を有する企業割合は、「妊娠中・出産後の通院休暇制度」が36.0%(うち44.3%が有給)、「妊娠中の通勤緩和措置」が33.1%(同41.8%)、「妊娠中の休憩に関する措置」が33.5%(同43.1%)、「妊娠障害休暇」が31.6%(同38.9%)、「出産障害休暇」が30.4%(同37.6%)となっている(付表第5表)。


(4) 女性労働者の妊娠・出産状況

 過去1年間に妊娠又は出産した女性がいた企業割合は29.1%となっており、そのうち、母性保護等の各措置を請求した女性労働者がいた企業割合は、「妊娠中・出産後の通院休暇」が24.9%、「育児時間」が19.1%、「妊娠中の通勤緩和」が10.5%、「妊娠障害休暇」が10.0%、「妊娠中の軽易業務転換」が9.9%、「妊娠中の休憩に関する措置」が8.5%、「出産障害休暇」が2.0%となっている(第23図)。

第23図 母性保護等の措置の請求者の有無別企業割合
(妊娠・出産あり企業=100)

母性保護等の措置の請求者の有無別企業割合の図


(5) 妊娠・出産、育児を理由とする退職者の有無

 過去1年間に妊娠・出産、育児を理由に退職した女性がいるとする企業割合は 17.5%となっており、そのうち、「妊娠中であって産前休業前に退職」した女性がいると回答した企業が74.9%、「産前産後休業期間中に退職」が10.9%、「育児休業期間中に退職」が8.9%、「産後休業又は育児休業終了後、復職して1年以内に退職」が17.5%となっている(付表第6表)。


(6) 母性保護措置等による不就業期間の取扱い

 産前産後休業、育児時間、通院休暇制度など、母性保護措置等による不就業期間について「昇進・昇格の決定」、「昇給の決定」、「退職金の算定」の際にどのように取り扱っているのかをみると、「何らかの形で労働者の出勤状況を考慮している」と回答した企業のうち、産前産後休業や育児時間についてはおおむね半数の企業が「就業したもの」とみなしており、妊娠障害休暇や出産障害休暇については3〜4割の企業が「就業したもの」とみなしている。
 「産前産後休業中」の「退職金の算定」は「就業したものとみなす」が54.5%と最も高く、「一定割合を就業したものとみなす」が6.4%、「不就業期間とする」が32.0%となっている(付表第7表)。


(7) 妊産婦の働きやすい環境作り

 妊産婦が働きやすい環境を作るために工夫していることについて、「医師等の指導がなくても労働条件に配慮している」企業が34.4%、「妊産婦が気軽に相談できる体制を整備している」が17.7%、「妊産婦が働きやすくするための職場の雰囲気作りに努めている」が17.1%となっている(付表第8表)。
 さらに、「妊産婦が気軽に相談できる体制を整備している」と回答した企業のうち、妊産婦の相談対応者は「人事労務担当部署の担当者」が65.5%、「所属先(直属)の上司」が57.0%、「産業医」が24.7%となっている(第24図)。

第24図 妊産婦からの相談対応者別企業割合
(妊産婦が気軽に相談できる体制を整備している企業=100)

妊産婦からの相談対応者別企業割合


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