1 市町村行動計画
市町村は、住民に最も身近な地方公共団体としての役割を踏まえ、次世代育成支援対策を総合的に、かつ、きめ細かく行えるよう、子どもと子育て家庭への支援に関連する施策及び事業を市町村行動計画に体系的に盛り込むことが必要である。
市町村行動計画に盛り込むべき事項としては、法第八条第一項において、(1)地域における子育ての支援、(2)母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、(3)子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、(4)子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、(5)職業生活と家庭生活との両立の推進、(6)その他の次世代育成支援対策の実施が掲げられており、こうした施策の領域を踏まえ、計画策定に当たるものとする。
計画の策定に当たっては、次に掲げる次世代育成支援対策として重要な施策を踏まえつつ、各市町村の実情に応じた施策をその内容に盛り込むことが必要である。
また、各施策の目標設定に当たっては、利用者等のニーズを踏まえて、可能な限り定量的に示す等具体的な目標を設定することが必要である。
なお、指定都市、中核市及び児童相談所設置市にあっては、行動計画策定指針において都道府県行動計画に盛り込まれている内容のうち、指定都市、中核市及び児童相談所設置市が処理することとされているものについては、適切に市町村行動計画に盛り込むことが必要である。
(1) 地域における子育ての支援
ア 地域における子育て支援サービスの充実
専業主婦家庭や母子家庭等を含めたすべての子育て家庭への支援を行う観点から、地域における様々な子育て支援サービスの充実が図られることが必要である。
このため、市町村は、次の(ア)から(ウ)までに掲げる児童福祉法第二十一条の九に規定する子育て支援事業(以下「子育て支援事業」という。)が着実に実施されるよう、必要な措置の実施に努めるとともに、次の(エ)に掲げる同法第二十一条の十一の規定による子育て支援事業に関する情報の提供、相談及び助言並びにあっせん、調整及び要請等を行うことが必要である。
さらに、市町村は、同法第二十一条の十の二の規定に基づき、乳児家庭全戸訪問事業及び養育支援訪問事業を実施する(ただし、その事務の全部又は一部を厚生労働省令で定める者に委託することができる。)よう努めるとともに、同法第二十一条の十の三の規定に基づき、母子保健に関する事業との連携及び調和の確保に努める必要がある。
また、これらの取組に際しては、親が障害を持つ家庭等についても適切に子育て支援サービスが提供されるよう、きめ細かな配慮が求められる。
(ア) 児童及びその保護者又はその他の者の居宅において保護者の児童の養育を支援する事業
(1) 厚生労働省令で定めるところにより、市町村における、原則としてすべての乳児のいる家庭を訪問することによって、i子育てに関する情報の提供、ii乳児及びその保護者の心身の状況及び養育環境の把握を行うほか、iii養育についての相談に応じ、助言その他の援助を行う事業(乳児家庭全戸訪問事業)
(2) 厚生労働省令で定めるところにより、乳児家庭全戸訪問事業の実施その他により把握したi保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童及びその保護者、ii保護者に監護されることが不適当であると認められる児童及びその保護者、iii出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦に対し、その養育が適切に行われるよう、これらの者の居宅において、養育に関する相談、指導、助言その他必要な支援を行う事業(養育支援訪問事業)
(3) 乳児又は幼児であって、市町村が児童福祉法第二十四条第一項に規定する児童に該当すると認めるものについて、家庭的保育者(市町村長が行う研修を修了した保育士又は厚生労働省令で定める者であって、これらの乳児又は幼児の保育を行う者として市町村長が適当と認めるもの)の居宅その他の場所において、家庭的保育者による保育を行う事業(家庭的保育事業)
(4) 保護者であってその乳児、幼児等の保育等に関する援助を受けることを希望するものと当該援助を行うことを希望する者(個人に限る。以下この(4)において「援助希望者」という。)との連絡及び調整を行うとともに、援助希望者の講習その他の必要な援助を行う事業(ファミリー・サポート・センター事業)
(イ) 保育所その他の施設において保護者の児童の養育を支援する事業
(1) 小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、児童福祉法施行令(昭和二十三年政令第七十四号)第一条の二で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業(放課後児童健全育成事業)
なお、放課後児童健全育成事業の実施に当たっては、教育委員会等と連携し、小学校や幼稚園を始めとする地域の社会資源の積極的な活用を検討しつつ、対策が必要な児童のすべてを受け入れる体制の整備を目標とした計画的な整備が必要である。また、その運営に当たっては、民間施設等の活用、高齢者を始めとする地域の人材の活用等、地域の実情に応じた効果的・効率的な取組を推進することが必要である。
(2) 保護者が疾病、疲労その他の身体上若しくは精神上又は環境上の理由により家庭において児童を養育することが一時的に困難となった場合において、市町村長が適当と認めたときに、当該児童につき、児童福祉法施行規則(昭和二十三年厚生省令第十一号)第一条の四に定める施設において必要な保護を行う事業(短期入所生活援助事業)
(3) 保護者が仕事その他の理由により平日の夜間又は休日に不在となり家庭において児童を養育することが困難となった場合その他緊急の必要がある場合において、市町村長が適当と認めたときに、当該児童につき、児童福祉法施行規則第一条の四に定める施設において必要な保護を行う事業(夜間養護等事業)
(4) 次に掲げる児童であって、その保護者の労働その他の理由により、家庭において保育されることに支障があるものにつき、保育所その他の施設、病院又は診療所(((イ))に掲げる児童にあっては、病院又は診療所)において、適当な設備を備える等により、保育を行う事業(市町村又はその委託を受けて当該保育を行う者が行うものに限る。)(病児・病後児保育事業)
((ア)) 疾病にかかっているおおむね十歳未満の児童(回復の過程にあるものに限る。)
((イ)) 疾病にかかっているおおむね十歳未満の児童(回復の過程にあるものを除く。)
(5) 家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳児又は幼児について、厚生労働省令で定めるところにより、主として昼間において、保育所その他の場所において、一時的に預かり、必要な保護を行う事業(一時預かり事業)
(6) 乳幼児であって、その保護者の労働その他の理由により、一月間に相当程度、家庭において保育されることに支障が生ずるものにつき、保育所等において、適当な設備を備える等により、保育を行う事業(市町村又はその委託を受けて当該保育を行う者が行うものに限る。)(特定保育事業)
(7) 幼稚園に在籍している幼児につき、当該幼稚園において、適当な設備を備える等により、教育課程に係る教育時間の終了後等に教育活動を行う事業
(ウ) 地域の児童の養育に関する各般の問題につき、保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行う事業
(1) (ア)の(4)に掲げる事業
(2) 厚生労働省令で定めるところにより、乳児又は幼児及びその保護者が相互の交流を行う場所を開設し、子育てについての相談、情報の提供、助言その他の援助を行う事業(地域子育て支援拠点事業)
(3) 幼稚園において、幼児教育に関する各般の問題につき、保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、その他必要な援助を行う事業
(ェ) 市町村における子育て支援事業に関する情報の提供、相談及び助言並びにあっせん、調整及び要請等の実施
(ア)から(ウ)までに掲げる子育て支援事業を始めとする地域における多様な子育て支援サービスに関する情報を一元的に把握し、保護者への情報の提供、ケースマネジメント、利用援助等を行う事業
イ 保育サービスの充実
保育サービスについては、子どもの幸せを第一に考えるとともに、利用者の生活実態及び意向を十分に踏まえてサービスの提供体制を整備することが必要であり、特に、待機児童が多い市町村においては、市町村保育計画等に基づき保育所受入児童数の計画的な拡充を図り、待機児童の解消に努めることが必要である。
こうした保育サービスの充実に当たっては、様々な規制緩和措置や民間活力を活用して、保育所、家庭的保育、認定こども園、幼稚園の預かり保育など多様な保育により量的に拡充するとともに、延長保育、休日保育、夜間保育、病児・病後児保育事業の充実により多様な保育需要に対応するなど、地域の実情に応じた取組を行うことが必要である。
また、保育サービスの利用者による選択や子どもの健やかな育成と子どもを預ける保護者の安心の確保の観点から、保育サービスに関する積極的な情報提供や、保育所保育指針等を踏まえた保育の質の向上、保育士の専門性向上と質の高い人材の安定的確保などを行うことが必要である。なお、質の向上に当たっては、保育所職員の研修体制の充実、地域の関係機関との積極的な連携・協力などの施策を盛り込んだアクションプログラムを策定し、市町村行動計画にもその内容を反映させることが期待される。
さらに、保育サービスの質を担保する観点から、サービス評価等の仕組みの導入、実施等についても取組を進めることが望ましい。
ウ 子育て支援のネットワークづくり
子育て家庭に対して、きめ細かな子育て支援サービス・保育サービスを効果的・効率的に提供するとともに、サービスの質の向上を図る観点から、地域における子育て支援サービス等のネットワークの形成を促進し、また、各種の子育て支援サービス等が、利用者に十分周知されるよう、子育てマップや子育てガイドブックの作成・配布等による情報提供を行うことが必要である。
また、地域住民の多くが子育てへの関心・理解を高め、地域全体で子育て家庭を支えることができるよう、子育てに関する意識啓発等を進めることが望ましい。
エ 児童の健全育成
地域社会における児童数の減少は、遊びを通じての仲間関係の形成や児童の社会性の発達と規範意識の形成に大きな影響があると考えられるため、すべての子どもを対象として放課後や週末等に、地域の方々の協力を得て、地域において児童が自主的に参加し、自由に遊べ、学習や様々な体験活動、地域住民との交流活動等を行うことができる安全・安心な居場所づくりの推進が必要である。
また、児童の健全育成を図る上で、児童館、公民館、青少年教育施設、学校等の社会資源及び主任児童委員、児童委員、子育てに関する活動を行うNPO、地域ボランティア、子ども会、自治会等を活用した取組を進めることが効果的である。とりわけ、児童の健全育成の拠点施設の一つである児童館が、子育て家庭が気軽に利用できる自由な交流の場として、絵本の読み聞かせや食事セミナーの開催等、親子のふれあいの機会を計画的に提供するとともに、地域における中学生・高校生の活動拠点として、その積極的な受入れと活動の展開を図ることが必要である。青少年教育施設は、青少年の健全育成に資する場として、自然体験活動を始めとする多様な体験活動の機会の提供等を行うとともに、地域における青少年の活動拠点として、その積極的な受入れと活動の展開を図ることが必要である。学校においては、教職員の自主的な参加・協力を得つつ、学校施設の開放等を推進することが望ましい。
さらに、このような社会資源を活用して、福祉部局と教育委員会が連携し、夏季及び冬季の休業日等における児童の居場所づくりにも配慮することが望ましい。
また、主任児童委員又は児童委員が、地域において、児童の健全育成や虐待の防止の取組等子どもと子育て家庭への支援を住民と一体となって進めることが必要である。
あわせて、性の逸脱行動の問題点等について、教育・啓発を推進することが必要である。また、いじめ問題への対応や少年非行等の問題を抱える児童の立ち直り支援、保護者の子育て支援並びに引きこもり及び不登校への対応においては、児童相談所、学校、保護司、警察、地域ボランティア等が連携して地域社会全体で対処することが必要であり、地域ぐるみの支援ネットワークの整備や個別的・具体的な問題に対して関係機関による専門チームを編成し、対応するための参加・協力体制を整備することが望ましい。
オ その他
アからエまでに掲げる施策を実施するに当たっては、地域の高齢者の参画を得る等、世代間交流の推進を図ることが必要である。
また、幼稚園の園庭・園舎を開放し、子育て相談や未就園児の親子登園等を推進することや各種の子育て支援サービスの場として学校の余裕教室等公共施設の余裕空間や商店街の空き店舗を活用することが望ましい。
(2) 母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進
母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進を図る観点から、保健、医療、福祉及び教育の分野間の連携を図りつつ、地域における母子保健施策等の充実が図られる必要がある。
また、計画の策定に当たっては、二十一世紀における母子保健の国民運動計画である「健やか親子二十一」の趣旨を十分踏まえたものとするとともに、母子保健推進員、愛育班等の地域に根ざした住民活動との連携等についても留意することが望ましい。
さらに、市町村保健センター等市町村において子育て支援の拠点となるべき基盤が適切に整備され、母子保健事業の推進に必要な保健師、管理栄養士等の人材が確保されることが必要である。
ア 子どもや母親の健康の確保
妊娠期、出産期、新生児期及び乳幼児期を通じて母子の健康が確保されるよう、乳幼児健診、新生児訪問、両親学級等の母子保健における健康診査、訪問指導、保健指導等の充実が必要である。
特に、親の育児不安の解消等を図るため、乳幼児健診の場を活用し、親への相談指導等を実施するとともに、児童虐待の発生予防の観点を含め、妊娠期からの継続した支援体制の整備を図ることが必要である。
また、こうした乳幼児健診等の場を通じて、誤飲、転落・転倒、やけど等の子どもの事故の予防のための啓発等の取組を進めることが望ましい。
さらに、妊娠及び出産の経過に満足することが良い子育てにつながることから、安全かつ快適であるとともに主体的な選択が可能であるなど、母親の視点からみて満足できる「いいお産」の適切な普及を図ることが重要であり、妊婦に対する出産準備教育や相談の場の提供等を行うことが望ましい。
イ 「食育」の推進
朝食欠食等の食習慣の乱れや思春期やせに見られるような心と身体の健康問題が子どもたちに生じている現状にかんがみ、乳幼児期からの正しい食事の摂り方や望ましい食習慣の定着及び食を通じた豊かな人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため、保健分野や教育分野を始めとする様々な分野が連携しつつ、「食事バランスガイド」等の食生活上の指針を参考に、乳幼児期から思春期まで発達段階に応じた食に関する学習の機会や情報提供を進めるとともに、保育所の調理室等を活用した食事づくり等の体験活動や子ども参加型の取組を進めることが必要である。
また、低出生体重児の増加等を踏まえ、母性の健康の確保を図る必要があることから、妊娠前からの適切な食生活の重要性を含め、妊産婦等を対象とした食に関する学習の機会や情報提供を進めることが必要である。
ウ 思春期保健対策の充実
十歳代の人工妊娠中絶、性感染症罹患率の増大等の問題に対応するため、性に関する健全な意識のかん養と併せて、性や性感染症予防に関する正しい知識の普及を図ることが必要である。
また、喫煙や薬物等に関する教育、学童期・思春期における心の問題に係る専門家の養成及び地域における相談体制の充実等を進めることが必要である。
エ 小児医療の充実
小児医療体制は、安心して子どもを生み、健やかに育てることができる環境の基盤となるものであることから、小児医療の充実・確保に取り組むこと、特に小児救急医療について、都道府県、近隣の市町村及び関係機関との連携の下、積極的に取り組むことが必要である。
(3) 子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備
ア 次代の親の育成
男女が協力して家庭を築くこと及び子どもを生み育てることの意義に関する教育・広報・啓発について、各分野が連携しつつ効果的な取組を推進することが必要である。
また、家庭を築き、子どもを生み育てたいと思う男女が、その希望を実現することができるようにするため、地域社会の環境整備を進めることが必要である。
特に、中学生、高校生等が、子どもを生み育てることの意義を理解し、子どもや家庭の大切さを理解できるようにするため、保育所、幼稚園、児童館及び乳幼児健診の場等を活用し、乳幼児とふれあう機会を広げるための取組を推進することが必要である。
イ 子どもの生きる力の育成に向けた学校の教育環境等の整備
次代の担い手である子どもが個性豊かに生きる力を伸長することができるよう、次のような取組により、学校の教育環境等の整備に努めることが必要である。
(ア) 確かな学力の向上
子どもが社会の変化の中で主体的に生きていくことができるよう、知識・技能の確実な修得と思考力、判断力、表現力等の育成が重要であることから、子ども、学校及び地域の実態を踏まえて創意工夫し、子ども一人一人に応じたきめ細かな指導の充実や外部人材の協力による学校の活性化等の取組を推進することが望ましい。
全国学力・学習状況調査の結果から、児童生徒の学力、学力と学習状況の関係等を分析・検証し、課題がみられる学校の改善に向けた取組への支援を行うことが重要である。
(イ) 豊かな心の育成
豊かな心をはぐくむため、指導方法や指導体制の工夫改善等を進め、子どもの心に響く道徳教育の充実を図るとともに、地域と学校との連携・協力により、農山漁村における長期宿泊体験活動をはじめとした多様な体験活動を推進する等の取組の充実が必要である。また、いじめ、少年非行等の問題行動や不登校に対応するために、専門的な相談体制の強化、学校、家庭、地域及び関係機関との間のネットワークづくり等も必要である。
(ウ) 健やかな体の育成
子どもの体力が低下傾向にあり、生活習慣の乱れや肥満の増加等の現代的課題が指摘されている現状を踏まえ、子どもが生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣、意欲及び能力を育成するため、優れた指導者の育成及び確保、指導方法の工夫及び改善等を進め、体育の授業を充実させるとともに、子どもが自主的に様々なスポーツに親しむことができる運動部活動についても、外部指導者の活用や地域との連携の推進等により改善し、また充実させる等、学校におけるスポーツ環境の充実を図ることが必要である。また、子どもに生涯にわたる心身の健康の保持増進に必要な知識や適切な生活習慣等を身に付けさせるための健康教育を推進することが必要である。
(エ) 信頼される学校づくり
学校運営協議会制度(いわゆるコミュニティ・スクール)の活用等により、地域及び家庭と学校との連携・協力を図ることや、地域の実情に応じた学校選択制の普及等、地域に根ざした特色ある学校づくりを進めることが望ましい。
また、指導が不適切な教員に対する人事管理を公正かつ適正に行うとともに、教員一人一人の能力や実績等を適正に評価し、それを配置、処遇、研修等に適切に結び付けることも重要である。
さらに、子どもに安全で豊かな学校環境を提供するために、学校施設の整備を適切に行っていくことも必要である。
あわせて、学校においては、児童生徒が安心して教育を受けることができるよう、各学校が、家庭や地域の関係機関・関係団体とも連携しながら、地域全体で子どもの安全を見守る環境を整備する必要がある。
(オ) 幼児教育の充実
生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼稚園・保育所・認定こども園を通じた幼児教育全体の質の向上に取り組むとともに、子どもの発達や学びの連続性を確保する観点から、幼児教育と小学校教育の円滑な接続を図ることが重要である。
また、幼児教育の充実のため、各地域の実情を考慮した幼児教育の振興に関する政策プログラムを策定することも必要である。
ウ 家庭や地域の教育力の向上
学校・家庭・地域がそれぞれの役割・責任を自覚し、連携・協力し、地域社会全体で子どもを育てる観点から、家庭や地域の教育力を総合的に高め、社会全体の教育力の向上を目指すことが必要である。
(ア) 家庭教育への支援の充実
都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等により、家庭の教育力の低下が指摘され、社会全体での家庭教育支援の必要性が高まっている。
教育の原点である家庭の教育力を高めるため、それぞれの家庭が置かれている状況やニーズを踏まえ、かつ、家庭教育の自主性を尊重しつつ、身近な地域において、子育てに関する学習機会や情報の提供、相談や専門的人材の養成などの家庭教育に関する総合的な取組を関係機関が連携して行うことが必要である。また、その成果を広く共有し、きめ細かな家庭教育支援が実施される必要がある。
さらに、早寝早起きや朝食を摂るなどの、子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成するための環境を整えることが重要である。
(イ) 地域の教育力の向上
子どもが、自分で課題を見つけ、自ら学び主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する力や、他人を思いやる心や感動する心等の豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力を備えた生きる力を、学校、家庭及び地域が相互に連携しつつ社会全体ではぐくんでいくことが必要である。
このため、地域住民や関係機関等の協力によって、学校と地域とのパートナーシップの下に地域で学校を支える体制づくりの推進、森林等の豊かな自然環境等、地域の資源を活用した農林漁業体験や自然体験などの多様な体験活動の機会の積極的な提供、世代間交流の推進及び学校施設の地域開放、総合型地域スポーツクラブの整備、スポーツ指導者の育成等子どもの多様なスポーツニーズに応える地域のスポーツ環境の整備を図ること等により、地域の教育力を向上させ、活力ある地域づくりにもつなげることが必要である。
また、地域における子育てに関連した様々な活動に学校の教職員が自主的に参加するよう働きかけることも望ましい。
エ 子どもを取り巻く有害環境対策の推進
街中の一般書店やコンビニエンスストア等で、性や暴力等に関する過激な情報を内容とする雑誌、ビデオ、コンピュータ・ソフト等が販売されていることに加え、テレビ、インターネット等のメディア上の性や暴力等の有害情報やインターネット上のいじめについては、子どもに対する悪影響が懸念される状況であることから、関係機関・団体やPTA、ボランティア等の地域住民と連携・協力をして、関係業界に対する自主的措置を働きかける必要がある。
また、携帯電話を通じて容易に接続できるインターネット上の有害情報や、インターネット上のいじめから子どもを守るため、子どもの携帯電話やインターネットの利用の実態を把握するとともに、子どもが利用する携帯電話におけるフィルタリング・ソフト又はサービスの普及促進等に努めることが必要である。
さらに、各種メディアへの過度な依存による弊害について啓発するとともに、子どもたちが有害情報等に巻き込まれないよう、地域、学校及び家庭における情報モラル教育を推進することが必要である。
(4) 子育てを支援する生活環境の整備
ア 良質な住宅の確保
住生活基本計画(平成十八年九月十九日閣議決定)に基づき、深刻な少子化の状況を踏まえ、子育て世帯を支援していく観点から、既存ストックを活用しつつ、市場では十分な量が確保されないファミリー向け賃貸住宅の供給を支援するなどの取組を推進することが望ましい。
また、子育て世帯の居住の安定の確保を図るため、小さな子どものいる世帯に対する公共賃貸住宅における入居資格の緩和や優先入居の実施等に積極的に取り組むとともに、子育て世帯の入居を受け入れることとしている民間賃貸住宅に関する情報提供を進めることが望ましい。
イ 良好な居住環境の確保
住生活基本計画に基づき、子育て世帯が、地域において安全・安心で快適な住生活を営むことができるよう、住宅のユニバーサルデザイン化や子育て支援施設を併設した住宅の供給支援を行うことが望ましい。
また、特に大都市地域において、職住近接型の市街地住宅の供給と良好な住宅市街地の総合的な整備などにより、利便性の高い都心等での居住を希望する子育て世帯のニーズへの対応を図ることが望ましい。
さらに、室内空気環境の安全性を確保する観点から、シックハウス対策を推進することが必要である。
ウ 安全な道路交通環境の整備
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号)に基づき、駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路について、移動等の円滑化を推進することが望ましい。
また、事故の危険性の高い通学路において、歩道等の整備等、安全・安心な歩行空間の創出を推進することが望ましい。
エ 安心して外出できる環境の整備
(ア) 公共施設、公共交通機関、建築物等のバリアフリー化
妊産婦、乳幼児連れの者等すべての人が安心して外出できるよう、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく基本構想等を踏まえ、道路、公園、公共交通機関、公的建築物等において、段差の解消等のバリアフリー化を推進することが必要である。あわせて、妊産婦等への理解を深める「心のバリアフリー」のための取組等を行うことにより、ハード・ソフトの両面から一体的なバリアフリー化を進めていくことが望ましい。
(イ) 子育て世帯にやさしいトイレ等の整備
公共施設等において、子どもサイズの便器・手洗い器、ベビーベッド、ベビーチェア、ゆったりした化粧室、授乳室の設置などの子育て世帯が安心して利用できるトイレの整備や商店街の空き店舖等を活用した託児施設等の場の整備を推進することが必要である。
(ウ) 子育て世帯への情報提供
「子育てバリアフリー」マップの作成・配布や、各種のバリアフリー施設の整備状況等、子育て世帯へのバリアフリー情報の提供を推進することが望ましい。
オ 安全・安心まちづくりの推進等
子どもが犯罪等の被害に遭わないようなまちづくりを進めるため、道路、公園等の公共施設や住居の構造、設備、配置等について、犯罪等の防止に配慮した環境設計を行うことが必要である。
また、侵入による犯罪の防止を図るため、関係機関・団体と連携して、防犯性能の高いドア、窓、シャッター等の建物部品や優良防犯機器の普及促進を図ることが必要である。
(5) 職業生活と家庭生活との両立の推進等
ア 仕事と生活の調和の実現のための働き方の見直し
仕事と生活の調和の実現については、憲章及び行動指針において、労使を始め国民が積極的に取り組むことや、国や地方公共団体が支援することなどにより、社会全体の運動として広げていく必要があるとされている。
このため、地域の実情に応じ、自らの創意工夫の基に、次のような施策を進めることが望ましい。この際、都道府県、地域の企業、労働者団体、次世代育成支援対策推進センター、都道府県労働局、子育て支援活動を行う民間団体等と相互に密接に連携、協力し合いながら、地域の実情に応じた取組を進めることが必要である。
(ア) 仕事と生活の調和の実現に向けた労働者、事業主、地域住民の理解や合意形成を促進するための広報・啓発
(イ) 次世代育成支援対策推進法等の関係法制度及び一般事業主行動計画に関する労働者、事業主、地域住民への広報・啓発
(ウ) 仕事と生活の調和や次世代育成支援対策に取り組む企業や民間団体の好事例の情報の収集提供等
(エ) 研修やコンサルタント・アドバイザーの派遣
(オ) 認定マーク(くるみん)の周知、表彰制度等仕事と生活の調和を実現している企業を社会的に評価することを促進
イ 仕事と子育ての両立のための基盤整備
保育サービス及び放課後児童健全育成事業の充実、ファミリー・サポート・センターの設置促進等多様な働き方に対応した子育て支援を展開する。
(6) 子ども等の安全の確保
ア 子どもの交通安全を確保するための活動の推進
子どもを交通事故から守るため、警察、保育所、学校、児童館、関係民間団体等との連携・協力体制の強化を図り、総合的な交通事故防止対策を推進することが必要である。
(ア) 交通安全教育の推進
子ども及び子育てを行う親等を対象とした参加・体験・実践型の交通安全教育を交通安全教育指針(平成十年国家公安委員会告示第十五号)に基づき段階的かつ体系的に行うとともに、地域の実情に即した交通安全教育を推進するため、交通安全教育に当たる職員の指導力の向上及び地域における民間の指導者を育成することが必要である。
(イ) チャイルドシートの正しい使用の徹底
チャイルドシートの正しい使用の徹底を図るため、チャイルドシートの使用効果及び正しい使用方法について普及啓発活動を積極的に展開するとともに、正しい使用を指導する指導員を養成することにより、幼児の保護者等に対する指導・助言、情報提供等の充実を図るほか、チャイルドシートの貸出制度等を積極的に実施・拡充することにより、チャイルドシートを利用しやすい環境づくりを進めることが必要である。
(ウ) 自転車の安全利用の推進
児童・幼児の自転車乗車時の乗車用ヘルメットの着用を推進するとともに、現在、幼児二人同乗用自転車の開発に向けた取組が行われていることを踏まえ、少子化対策や子育て支援の観点から同自転車の普及が促進されるよう、貸出制度、助成制度等の導入や安全利用に係る情報提供等について検討することが必要である。
イ 子どもを犯罪等の被害から守るための活動の推進
子どもを犯罪等の被害から守るため、次の施策を講ずることが必要である。
(ア) 住民の自主防犯行動を促進するため、犯罪等に関する情報の提供を推進
(イ) 子どもを犯罪等の被害から守るため、関係機関・団体との情報交換を実施
(ウ) 学校付近や通学路等においてPTA等の学校関係者や防犯ボランティア、少年警察ボランティア等の関係機関・団体と連携したパトロール活動等の安全対策を推進するとともに、学校と警察との橋渡し役としてのスクールサポーター制度の導入を促進
(エ) 子どもが犯罪の被害に遭わないようにするための防犯講習の実施
(オ) 子どもの安全確保等のために活動する防犯ボランティア等に対する支援
ウ 被害に遭った子どもの保護の推進
犯罪、いじめ、児童虐待等により被害を受けた少年の精神的ダメージを軽減し、立ち直りを支援するため、子どもに対するカウンセリング、保護者に対する助言等学校等の関係機関と連携したきめ細かな支援を実施することが必要である。
(7) 要保護児童への対応などきめ細かな取組の推進
ア 児童虐待防止対策の充実
(ア) 関係機関との連携等
児童虐待による深刻な被害や死亡事例が生じることはあってはならないとの認識の下、福祉関係者のみならず、医療、保健、教育、警察等の関係機関を含めた地域全体で子どもを守る支援体制を構築し、相互に情報を共有することが必要である。特に、「子どもを守る地域ネットワーク」(要保護児童対策地域協議会)は、児童虐待の発生予防から保護・支援に至るまですべての段階で有効であり、NPO、ボランティア等民間団体の参加を得るとともに、単なる情報交換の場にとどまらず、個別のケースの解決につながるような取組が期待されていることから、その設置に努めなければならない。
また、同ネットワークが有効に機能するために、その運営の中核となる要保護児童対策調整機関に専門性を有する職員を配置するなどの機能強化を図ることも必要である。
なお、当該調整機関の職員を始めとする関係者の資質向上のため、都道府県等が実施する講習会等に参加することも必要である。
さらに、市町村は、出頭要求、立入調査又は一時保護の実施が適当と判断した場合は、都道府県知事又は児童相談所長に通知することや、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例について、都道府県の行う検証作業に参加・協力すること等を通じ、都道府県と連携した取組を進める必要がある。
(イ) 発生予防、早期発見・早期対応等
児童虐待の発生を予防するため、健康診査や保健指導等の母子保健活動や地域の医療機関、医療関係団体との連携、乳児家庭全戸訪問事業等を通じて、妊娠・出産・育児期に養育支援を必要とする家庭を早期に把握するとともに、特に支援を必要とする家庭については、養育支援訪問事業等の適切な支援につなげることが必要である。
また、このような適切な支援や虐待の早期発見・早期対応を行うためには、市町村において児童福祉担当部局と母子保健担当部局が緊密な連携を図るとともに、医療機関と市町村の間で、効果的な情報提供・共有がなされるための連携体制の構築を図る必要がある。
さらには、虐待の早期発見等のため、主任児童委員・児童委員等を積極的に活用することも必要である。
イ 母子家庭等の自立支援の推進
母子家庭等が増加している中で、母子家庭等の児童の健全な育成を図るためには、母子及び寡婦福祉法等の規定を踏まえて、きめ細かな福祉サービスの展開と自立・就業の支援に主眼を置き、子育て・生活支援策、就業支援策、養育費の確保策及び経済的支援策について、地域の母子家庭等の現状を把握しつつ、総合的な対策を適切に実施していくことが必要である。
具体的には、子育て短期支援事業、母子家庭等日常生活支援事業、保育所の入所及び放課後児童クラブの利用に際しての配慮等の各種支援策を推進するとともに、市及び福祉事務所を設置する町村においては、国の基本方針に則して、母子家庭及び寡婦自立促進計画を策定する等により母子家庭等就業・自立支援事業や母子家庭自立支援給付金事業等を総合的・計画的に進め、母子家庭等に対する支援を充実させるとともに、就業支援の実施にあたっては、公共職業安定所等と十分に連携し、効果的な実施に努めることが必要である。
また、母子家庭の母の就業を促進するため、民間事業者に対する協力の要請や母子福祉団体等の受注機会の増大への配慮等、必要な施策を講ずるように努めることも重要である。
さらに、住民に身近な地方公共団体として、母子家庭等に対する相談体制の充実や施策・取組についての情報提供を行うことが必要である。
ウ 障害児施策の充実
障害の原因となる疾病や事故の予防及び早期発見・治療の推進を図るため、妊婦及び乳幼児に対する健康診査や学校における健康診断等を推進することが必要である。
また、障害児の健全な発達を支援し、身近な地域で安心して生活できるようにする観点から、保健、医療、福祉、教育等の各種施策の円滑な連携により、適切な医療及び医学的リハビリテーションの提供、在宅サービスの充実、就学支援を含めた教育支援体制の整備等の一貫した総合的な取組を推進するとともに、児童デイサービス事業を通じて保護者に対する育児相談を推進すること等家族への支援も併せて行うことが必要である。
さらに、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)等発達障害を含む障害のある児童生徒については、障害の状態に応じて、その可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加をするために必要な力を培うため、教員の資質向上を図りつつ、一人一人のニーズに応じた適切な教育的支援を行うことが必要である。
また、発達障害者支援センターにおける相談を紹介することが必要である。特に発達障害については、社会的な理解が十分になされていないことから、適切な情報の周知も必要であり、さらに家族が適切な育児を行えるよう支援を行うことも必要である。
保育所においては、障害児の受入れを推進するとともに、放課後児童健全育成事業においても同様に障害児の受入を推進する。
受入に当たっては、各関係機関との連携を図ることが必要である。
ア 地域における子育て支援サービスの充実
子育て支援に関するシンポジウムやセミナーの開催等により、地域全体で子育ての在り方を考えるための気運づくりや、子育て支援や児童の健全育成に資するための子どもの視点に立った人材の確保・養成及び質の向上に努めることが必要である。
また、特定の市町村において、単独では実施することが困難なサービスがある場合には、広域的な観点から、市町村間の調整を行うことが望ましい。
イ 保育サービスの充実
子どもの健やかな育成と子どもを預ける保護者の安心の確保の観点から、保育所保育指針等を踏まえた保育の質の向上、保育士の専門性の向上と質の高い人材の安定的確保などに努めることが必要である。なお、質の向上に当たっては、保育所職員の研修体制の充実、地域の関係機関との積極的な連携・協力などの施策を盛り込んだアクションプログラムを策定し、都道府県行動計画にもその内容を反映させることが期待される。
また、認定こども園の設置促進など地域や職場の実情に応じた取組を推進していくことが重要である。
さらに、区域内に待機児童が多い市町村を有する都道府県においては、市町村と連携を図りつつ、都道府県保育計画等に基づき保育所受入児童数の計画的な拡充を図り、待機児童の解消に努めることが必要である。
ウ 子育て支援のネットワークづくりc
子育て支援サービス等の質の向上等を図る観点から、子育て支援サービスの都道府県の区域におけるネットワークの形成を促進するとともに、子育て支援サービス等に関する市町村やNPO等の先進的な取組事例を収集し、情報提供する等の支援を行うことが望ましい。
エ 児童の健全育成
児童の健全育成の拠点施設である児童館が、子育て家庭の自由な交流の場や地域における中学生・高校生の活動拠点として、また青少年の健全育成の拠点施設である青少年教育施設が、地域における青少年の活動拠点としての役割を果たすことができるよう、計画的な施設の整備、体系的な研修や人材の養成、効果的な広報活動及び関係機関等の間の連携・協力体制の構築を図ることが必要である。
また、性の逸脱行動の問題点等について、教育・啓発を推進することが必要である。さらに、いじめ問題への対応や少年非行等の問題を抱える児童の立ち直り支援、保護者の子育て支援並びに引きこもり及び不登校への対応においては、児童相談所、学校、保護司、警察、地域ボランティア等が連携して地域社会全体で対処することが必要であり、地域ぐるみの支援ネットワークの整備や個別的・具体的な問題に対して関係機関による専門チームを編成し、対応するための参加・協力体制を整備することが望ましい。
母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進を図る観点から、保健、医療、福祉及び教育の分野間の連携を図りつつ、母子保健施策等の充実が図られる必要がある。
また、計画の策定に当たっては、二十一世紀における母子保健の国民運動計画である「健やか親子二十一」の趣旨を十分踏まえたものとすることが望ましい。
さらに、保健所等都道府県において子育て支援の拠点となるべき基盤が適切に整備され、母子保健事業の推進に必要な保健師、管理栄養士等の人材が確保されることが必要である。
ア 子どもや母親の健康の確保
安心して子どもを生み、健やかに育てることができる環境づくりの一環として、救急医療を必要とする未熟児及び妊産婦に対応するため、周産期医療ネットワークの整備を図る等周産期医療体制の整備を進めることが必要である。
また、様々な機会を通じて、誤飲、転落・転倒、やけど等の子どもの事故の予防のための啓発等の取組を進めることが望ましい。
さらに、妊娠及び出産の経過に満足することが良い子育てにつながることから、安全かつ快適であるとともに主体的な選択が可能であるなど、母親の視点からみて満足できる「いいお産」の適切な普及を図ることが重要であり、医療機関等に対する積極的な情報の提供等を行うことが望ましい。
また、出産を望みながらも精神的又は経済的な負担に悩む妊婦に対しては、市町村と連携を図りつつ、相談等の支援の充実を図ることが望ましい。
イ 「食育」の推進
「食事バランスガイド」等の食生活上の指針等を参考とした乳幼児期からの正しい食事の摂り方や望ましい食習慣の定着、食を通じた豊かな人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るとともに、母性の健康の確保を図るため、「食育」について地域社会全体で推進する必要があることから、保健分野や教育分野を始めとする様々な分野が連携しつつ、専門的・広域的観点からの情報収集及び調査研究を進め、効果的な情報提供の体制を整備するとともに、食に関する関係機関等のネットワークづくりを進めることが必要である。
ウ 思春期保健対策の充実
性に関する健全な意識のかん養を図るため、専門的・広域的観点からの情報収集及び調査研究を進め、効果的な情報提供の体制の整備を図るとともに、性に関する関係機関等のネットワークづくりを進めることが必要である。
また、喫煙や薬物等に関する教育、学童期・思春期における心の問題に係る専門家の養成及び地域における相談体制の充実等を進めることが必要である。
エ 小児医療の充実
子どもが地域において、いつでも安心して医療サービスを受けられるよう小児医療の充実を図ること、特に、休日・夜間における小児救急患者を受け入れる小児救急医療体制の整備を推進することが必要である。
オ 小児慢性特定疾患治療研究事業の推進
治療が長期間にわたり医療費の負担も高額となる小児慢性特定疾患について、小児慢性特定疾患治療研究事業を着実に実施することが必要である。
カ 不妊治療対策の充実
子どもを持ちたいのに子どもができない場合に不妊治療を受けるケースが多くなっていることを踏まえ、不妊に関する医学的な相談や不妊による心の悩みの相談等を行う不妊専門相談センターの整備を図るとともに、医療保険が適用されず、高額の医療費がかかる配偶者間の不妊治療への経済的支援を行うことが望ましい。
ア 次代の親の育成
男女が協力して家庭を築くこと及び子どもを生み育てることの意義に関する教育・広報・啓発について、各分野が連携しつつ効果的な取組を推進することが必要である。
また、家庭を築き、子どもを生み育てたいと思う男女が、その希望を実現することができるようにするため、地域社会の環境整備を進めることが必要である。
特に、若年者が自立して家庭を持てるようにするため、若年者、特に不安定就労若年者(フリーター)等に対し、意識啓発や職業訓練等を積極的に行うことにより、若年者の能力開発を推進し、適職選択による安定就労及びキャリア形成を支援することが必要である。
イ 子どもの生きる力の育成に向けた学校の教育環境等の整備
次代の担い手である子どもが個性豊かに生きる力を伸長することができるよう、次のような取組により、学校の教育環境等の整備に努めることが必要である。
(ア) 確かな学力の向上
子どもが社会の変化の中で主体的に生きていくことができるよう、知識・技能の確実な習得と思考力、判断力、表現力等の育成が重要であることから、子ども、学校及び地域の実態を踏まえて創意工夫し、子ども一人一人に応じたきめ細かな指導の充実や外部人材の協力による学校の活性化等の取組を推進することが望ましい。
また、高等学校においては、多様化する生徒の実情を踏まえつつ、高校生の学習成果を多面的・客観的に評価する取組を進めるとともに、その結果を高等学校の指導改善等に活用することなどを通じた教育の質の保証と向上を促すことが重要である。
(イ) 豊かな心の育成
豊かな心をはぐくむため、指導方法や指導体制の工夫改善等を進め、子どもの心に響く道徳教育の充実を図るとともに、地域と学校との連携・協力により、農山漁村における長期宿泊体験活動をはじめとした多様な体験活動を推進する等の取組の充実が必要である。また、いじめ、少年非行等の問題行動や不登校に対応するために、専門的な相談体制の強化、学校、家庭、地域及び関係機関との間のネットワークづくり等も必要である。
(ウ) 健やかな体の育成
子どもの体力が低下傾向にあり、生活習慣の乱れや肥満の増加等の現代的課題が指摘されている現状を踏まえ、子どもが生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣、意欲及び能力を育成するため、優れた指導者の育成及び確保、指導方法の工夫及び改善等を進め、体育の授業を充実させるとともに、子どもが自主的に様々なスポーツに親しむことができる運動部活動についても、外部指導者の活用や地域との連携の推進等により改善し、また充実させる等、学校におけるスポーツ環境の充実を図ることが必要である。また、子どもに生涯にわたる心身の健康の保持増進に必要な知識や適切な生活習慣等を身に付けさせるための健康教育を推進することが必要である。
(エ) 信頼される学校づくり
学校運営協議会制度(いわゆるコミュニティ・スクール)の活用等により、地域及び家庭と学校との連携・協力を図ることや、地域の実情に応じた学区の弾力化、総合学科、単位制高校や中高一貫教育校等特色ある学校づくり等の取組を進めることが必要である。
また、指導が不適切な教員に対する人事管理を公正かつ適切に行うとともに、教員一人一人の能力や実績等を適正に評価し、それを配置、処遇、研修等に適切に結び付けることも重要である。
さらに、子どもに安全で豊かな学校環境を提供するために、学校施設の整備を適切に行っていくことも必要である。
あわせて、学校においては、児童生徒が安心して教育を受けることができるよう、各学校が、家庭や地域の関係機関・関係団体とも連携しながら、地域全体で子どもの安全を見守る環境を整備する必要がある。
(ォ) 幼児教育の充実
生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼稚園・保育所・認定こども園を通じた幼児教育全体の質の向上に取り組むとともに、子どもの発達や学びの連続性を確保する観点から、幼児教育と小学校教育の円滑な接続を図ることが重要である。
また、幼児教育の充実のため、各地域の実情を考慮した幼児教育の振興に関する政策プログラムを策定することも必要である。
ウ 家庭や地域の教育力の向上
学校・家庭・地域がそれぞれの役割・責任を自覚し、連携・協力し、地域社会全体で子どもを育てる観点から、家庭や地域の教育力を総合的に高め、社会全体の教育力の向上を目指すことが必要である。
(ア) 家庭教育への支援の充実
都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等により、家庭の教育力の低下が指摘され、社会全体での家庭教育支援の必要性が高まっている。
教育の原点である家庭の教育力を高めるため、それぞれの家庭が置かれている状況やニーズを踏まえ、かつ、家庭教育の自主性を尊重しつつ、身近な地域において、子育てに関する学習機会や情報の提供、相談や専門的人材の養成などの家庭教育に関する総合的な取組を関係機関が連携して行うことが必要である。また、その成果を広く共有し、きめ細かな家庭教育支援が実施される必要がある。
さらに、早寝早起きや朝食を摂るなどの、子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成するための環境を整えることが重要である。
(イ) 地域の教育力の向上
子どもが、自分で課題を見つけ、自ら学び主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する力や、他人を思いやる心や感動する心等の豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力を備えた生きる力を、学校、家庭及び地域が相互に連携しつつ社会全体ではぐくんでいくことが必要である。
このため、地域住民や関係機関等の協力によって、学校と地域のパートナーシップの下に地域で学校を支える体制づくりの推進、森林等の豊かな自然環境等、地域の資源を活用した農林漁業体験や自然体験などの多様な体験活動の機会の積極的な提供、世代間交流の推進及び学校施設の地域開放、広域スポーツセンターの整備、スポーツ指導者の育成等子どもの多様なスポーツニーズに応える地域のスポーツ環境の整備を図ること等により、地域の教育力を向上させ、活力ある地域づくりにもつなげることが必要である。
また、地域における子育てに関連した様々な活動に学校の教職員が自主的に参加するよう働きかけることも望ましい。
エ 子どもを取り巻く有害環境対策の推進
街中の一般書店やコンビニエンスストア等で、性や暴力等に関する過激な情報を内容とする雑誌、ビデオ、コンピュータ・ソフト等が販売されていることに加え、テレビ、インターネット等のメディア上の性や暴力等の有害情報やインターネット上のいじめについては、子どもに対する悪影響が懸念される状況であることから、関係機関・団体やPTA、ボランティア等の地域住民と連携・協力をして、関係業界に対する自主的措置を働きかける必要がある。
また、携帯電話を通じて容易に接続できるインターネット上の有害情報や、インターネット上のいじめから子どもを守るため、子どもの携帯電話やインターネットの利用の実態を把握するとともに、子どもが利用する携帯電話におけるフィルタリング・ソフト又はサービスの普及促進等に努めることが必要である。
さらに、各種メディアへの過度な依存による弊害について啓発するとともに、子どもたちが有害情報等に巻き込まれないよう、地域、学校及び家庭における情報モラル教育を推進することが必要である。
ア 良質な住宅の確保
住生活基本計画に基づき、深刻な少子化の状況を踏まえ、子育て世帯を支援していく観点から、既存ストックを活用しつつ、市場では十分な量が確保されないファミリー向け賃貸住宅の供給を支援するなどの取組を推進することが望ましい。
また、子育て世帯の居住の安定の確保を図るため、小さな子どものいる世帯に対する公共賃貸住宅における入居資格の緩和や優先入居の実施等に積極的に取り組むとともに、子育て世帯の入居を受け入れることとしている民間賃貸住宅に関する情報提供を進めることが望ましい。
イ 良好な居住環境の確保
住生活基本計画に基づき、子育て世帯が、地域において安全・安心で快適な住生活を営むことができるよう、住宅のユニバーサルデザイン化や子育て支援施設を併設した住宅の供給支援を行うことが望ましい。
また、特に大都市地域において、職住近接型の市街地住宅の供給と良好な住宅市街地の総合的な整備などにより、利便性の高い都心等での居住を希望する子育て世帯のニーズへの対応を図ることが望ましい。
さらに、室内空気環境の安全性を確保する観点から、シックハウス対策を推進することが必要である。
ウ 安全な道路交通環境の整備
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき、駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路について、移動等の円滑化を推進するほか、生活道路において、都道府県公安委員会による信号機、光ビーコン等、道路管理者による歩道、ハンプ、クランク等の整備を重点的に実施し、生活道路における通過車両の進入や速度の抑制、幹線道路における交通の流れの円滑化等を推進すること等が必要である。
また、妊婦等に配慮した道路上の駐停車場所の確保等について検討することが必要である。
エ 安心して外出できる環境の整備
(ア) 公共施設、公共交通機関、建築物等のバリアフリー化
妊産婦、乳幼児連れの者等すべての人が安心して外出できるよう、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく基本構想等を踏まえ、道路、公園、公共交通機関、公的建築物等において、段差の解消等のバリアフリー化を推進することが必要である。あわせて、妊産婦等への理解を深める「心のバリアフリー」のための取組等を行うことにより、ハード・ソフトの両面から一体的なバリアフリー化を進めていくことが望ましい。
(イ) 子育て世帯にやさしいトイレ等の整備
公共施設等において、子どもサイズの便器・手洗い器、ベビーベッド、ベビーチェア、ゆったりした化粧室、授乳室の設置などの子育て世帯が安心して利用できるトイレの整備や商店街の空き店舗等を活用した託児施設等の場の整備を推進することが必要である。
(ウ) 子育て世帯への情報提供
各種のバリアフリー施設の整備状況等、子育て世帯へのバリアフリー情報の提供を推進することが望ましい。
オ 安全・安心まちづくりの推進等
子どもが犯罪等の被害に遭わないようなまちづくりを進めるため、道路、公園等の公共施設や住居の構造、設備、配置等について、犯罪等の防止に配慮した環境設計を行うことが必要である。
また、侵入による犯罪の防止を図るため、関係機関・団体と連携して、防犯性能の高いドア、窓、シャッター等の建物部品や優良防犯機器の普及促進を図ることが必要である。
ア 仕事と生活の調和の実現のための働き方の見直し
仕事と生活の調和の実現については、憲章及び行動指針において、労使を始め国民が積極的に取り組むことや、国や地方公共団体が支援することなどにより、社会全体の運動として広げていくことが必要とされている。
このため、地域の実情に応じ、自らの創意工夫の基に、次のような施策を進めることが望ましい。この際、市町村、地域の企業、労働者団体、次世代育成支援対策推進センター、都道府県労働局、子育て支援活動を行う民間団体等と相互に密接に連携、協力し合いながら、地域の実情に応じた取組を進めることが必要である。具体的には、都道府県労働局に設置されている「仕事と生活の調和推進会議」に積極的に参画する等により密接な連携を図ることが考えられる。
(ア) 仕事と生活の調和の実現に向けた労働者、事業主、地域住民の理解や合意形成を促進するための広報・啓発
(イ) 次世代育成支援対策推進法等の関係法制度及び一般事業主行動計画に関する労働者、事業主、地域住民への広報・啓発
(ウ) 仕事と生活の調和や次世代育成支援対策に取り組む企業や民間団体の好事例の情報の収集提供等
(エ) 研修やコンサルタント・アドバイザーの派遣
(オ) 認定マーク(くるみん)の周知、表彰制度等仕事と生活の調和を実現している企業を社会的に評価することを促進
イ 仕事と子育ての両立のための基盤整備
市町村と連携を図りつつ、広域的な観点から保育サービスの充実等多様な働き方に対応した子育て支援を展開する。
ア 子どもの交通安全を確保するための活動の推進
子どもを交通事故から守るため、市町村、保育所、学校、児童館、関係民間団体等との連携・協力体制の強化を図り、総合的な交通事故防止対策を推進することが必要である。
(ア) 交通安全教育の推進
子ども及び子育てを行う親等を対象とした参加・体験・実践型の交通安全教育を交通安全教育指針に基づき段階的かつ体系的に行うことが必要である。
また、地域の実情に即した交通安全教育を推進するため、交通安全教育に当たる職員の指導力の向上及び地域における民間の指導者の育成を図るとともに、地域における交通事故を様々な角度から総合的・科学的に調査・分析し、事故の発生要因等に応じた効果的な事故防止対策を策定することが必要である。
(イ) チャイルドシートの正しい使用の徹底
チャイルドシートの正しい使用の徹底を図るため、チャイルドシートの使用効果及び正しい使用方法について普及啓発活動を積極的に展開するとともに、正しい使用を指導する指導員を養成することにより、幼児の保護者等に対する指導・助言、情報提供等の充実を図るほか、チャイルドシートの貸出制度等を積極的に実施・拡充することにより、チャイルドシートを利用しやすい環境づくりを進めることが必要である。
(ウ) 自転車の安全利用の推進
児童・幼児の自転車乗車時の乗車用ヘルメットの着用を推進するとともに、現在、幼児二人同乗用自転車の開発に向けた取組が行われていることを踏まえ、少子化対策や子育て支援の観点から同自転車の普及が促進されるよう、貸出制度、助成制度等の導入や安全利用に係る情報提供等について検討することが必要である。
イ 子どもを犯罪等の被害から守るための活動の推進
子どもを犯罪等の被害から守るため、次の施策を講ずることが必要である。
(ア) 住民の自主防犯行動を促進するため、犯罪等に関する情報の提供を推進
(イ) 子どもを犯罪等の被害から守るため、関係機関・団体との情報交換を実施
(ウ) 学校付近や通学路等においてPTA等の学校関係者や防犯ボランティア、少年警察ボランティア等の関係機関・団体と連携したパトロール活動等の安全対策を推進するとともに、学校と警察との橋渡し役としてのスクールサポーター制度の導入
(エ) 子どもが犯罪の被害に遭わないようにするための防犯講習の実施
(オ) 子どもの安全確保等のために活動する防犯ボランティア等に対する支援
ウ 被害に遭った子どもの保護の推進
犯罪、いじめ、児童虐待等により被害を受けた少年の精神的ダメージを軽減し、立ち直りを支援するため、子どもに対するカウンセリング、保護者に対する助言等学校等の関係機関と連携したきめ細かな支援を実施することが必要である。
ア 児童虐待防止対策の充実
児童虐待を防止し、すべての児童の健全な心身の成長、ひいては社会的自立を促していくためには、発生予防から早期発見・早期対応、保護・支援に至るまでの切れ目のない総合的な支援を講ずる必要がある。また、特に児童虐待による深刻な被害や死亡事例が生じることはあってはならないとの認識の下、福祉関係者のみならず、医療、保健、教育、警察等の関係機関を含めた地域全体で子どもを守る支援体制を構築し、相互に情報を共有することが必要である。
(ア) 児童相談所の体制の強化
児童虐待の防止は、その予防対策から虐待を受けた子どもの保護、そして、自立に至るまでの支援、更には親への指導等多様な機関が長期間にわたり支援していくことが必要である。このため、その中心である児童相談所が、一時保護所の機能も含め児童虐待に関するアセスメントを的確に実施する機能の充実を図るとともに、重篤なケース等について支援の過程を管理することを含めて十分な関わりを持つようにするための体制の強化を図ることが必要である。
(イ) 市町村や関係機関との役割分担及び連携の推進
児童相談所が児童虐待に十分に対応していくためには、児童相談所自体の体制を強化するのみならず、市町村や関係機関との適切な役割分担及び連携を推進していくことが重要である。このため、住民に身近な市町村の体制を整備するため、子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の設置促進や機能強化を図るための一環として、当該ネットワークの関係者に向けた専門性向上のための研修を実施する等の市町村の支援措置を講じるとともに、地域において専門的な知識及び技術を必要とする相談支援等を行い、保護指導者の委託先となる児童家庭支援センター等を積極的に活用していくことが必要である。
(ウ) 児童虐待による死亡事例等の重大事例の検証
児童虐待による死亡事例等児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例が生じた場合、当該事例について地域特性を踏まえた検証作業を行い、その結果に基づき必要な措置を講じることにより、このような死亡事例等の再発を防止することが求められる。
イ 社会的養護体制の充実
社会的養護体制の質・量ともに充実を図るため、(1)現に児童養護施設等へ入所している又は里親等に委託されている要保護児童の人数、(2)児童相談所で受理した相談等のうち、現に児童養護施設等へ入所等をしていないが、入所等を必要とする可能性のある児童の人数、(3)一時保護所で長期に保護されている児童の人数、(4)児童相談所における相談対応件数の推移、(5)要保護児童の保護等に関し、積極的に取り組んでいると考えられる他の都道府県の状況その他社会的養護を必要とする児童の人数の伸び等を把握するために適当と考えられる指標を勘案して、平成二十九年度までの必要量を念頭に、後期行動計画期間の必要量を定めること。
なお、一時保護所については、一時保護委託も含めて、社会的養護体制の整備量に見合う定員及び個別対応できる居室の確保等すべての児童が安心して生活できることのできる環境整備等を勘案して計画を作成する必要がある。
社会的養護体制の整備に当たっては、前記の必要量を見込むほか、次に記載する項目を参考とし、家庭的養護の一層の推進を図るとともに、権利擁護の強化や人材育成等も含め、ケアの質の確保を図るための体制確保について併せて進める必要がある。
(ア) 家庭的養護の推進
里親制度を充実し、里親委託を推進するため、新規里親の開拓、子どもを受託している里親に対する支援の充実を図ることが必要である。また、里親委託率については、地域の実情に応じ、現在の委託率より一定以上委託率が上がるよう、目標を設定する。
この際、児童相談所における支援の強化のみならず、里親支援機関等の地域資源の活用を図りつつ、進めることが必要である。
さらに、小規模住居型児童養育事業について、地域における普及の状況を踏まえつつ、家庭的養護の一形態として促進を図る必要がある。
(イ) 施設機能の見直し
心理的ケアや治療を必要とする子どもに対する専門的なケアや自立支援に向けた取組、継続的・安定的な環境での支援の確保、ケア単位の小規模化とそこにおける家庭的な養護、子どものプライバシーに配慮した生活環境の整備を推進する必要がある。
(ウ) 家庭支援機能等の強化
家庭支援機能の強化を図るためには、アで示したように、児童相談所の体制強化を進めるとともに、市町村や児童家庭支援センター等の関係機関との役割分担及び連携を推進する必要がある。この際、特に、児童家庭支援センターについては、児童相談所と連携し、その委託を受けて保護者指導を行うことや、市町村等関係機関に専門的・技術的助言を行うこと等の積極的な役割を担うことが期待されることから、その活用を図ることが求められる。
また、母子生活支援施設については、その特性を活かし、福祉事務所、児童相談所、婦人相談所等と連携し、母親と子どもの関係性に着目した支援を推進することが求められる。
(エ) 自立支援策の強化
施設を退所した者等に対し、自立を促す自立援助ホームの設置を推進する。この際、自立援助ホームについては、施設を退所する者等の数や地域の実情等を勘案し、当該地域における必要量を見込む必要がある。
また、これらの者が気軽に相談できる拠点を用意するなど社会的養護の下で育った子ども等が地域生活を送るために必要な支援体制の整備を推進する必要がある。
(オ) 人材確保のための仕組みの強化
社会的養護の質を確保するため、その担い手となる職員及びその専門性を確保するための研修体制の整備を進める必要がある。
この際、見込んだ必要量に見合った必要な人材育成を進めることができるよう体制を整備する必要がある。
(カ) 子どもの権利擁護の強化
子どもの権利擁護の強化を図るため、被措置児童等虐待に対する措置のほか、ケアの質の向上のための取組を進める必要がある。
このため、被措置児童等虐待に関する通告や子どもからの届出の受付、通告等があった場合の対応、被措置児童等虐待が起こった場合の適切な措置等に関し、ガイドラインを定め、都道府県においてあらかじめ対応について意識を共有するとともに、適切な対応を取ることができる体制を整備することが必要である。運用に当たっては、必要に応じてガイドラインの見直しや体制の見直しを適宜進める必要がある。
さらに、都道府県児童福祉審議会などの体制についても、実情に応じた適切な運用が図られるよう、体制を整える必要がある。
また、施設におけるケアの質の向上を進めるため、ケアの質に関しても監査できる体制を整備するとともに、施設における第三者評価の受審を推進することが必要である。
ウ 母子家庭等の自立支援の推進
母子及び寡婦福祉法等の規定を踏まえ、母子家庭及び寡婦自立促進計画の策定等により、母子家庭等就業・自立支援事業や母子家庭自立支援給付金事業等の母子家庭等施策を総合的・計画的に進めるとともに、市町村が実施する就業支援や生活支援が円滑に進むよう、市町村における母子家庭及び寡婦自立促進計画の策定状況や各種施策の取組状況等についての情報提供を行うなど、広域的な観点から市町村に対する支援を行うことが必要である。また、就業支援の実施にあたっては、公共職業安定所等と十分に連携し、効果的な実施に努めることが必要である。
さらに、母子家庭の母の就業を促進するため、民間事業者に対する協力の要請や母子福祉団体等の受注機会の増大への配慮等、必要な施策を講ずるように努めることも重要である。
エ 障害児施策の充実
市町村における保健、医療、福祉、教育等の各種施策が体系的かつ円滑に実施されるよう、専門的・広域的な観点からの支援を行うとともに、自立支援医療(育成医療)の給付、障害に応じた専門医療機関の確保等を通じ、適切な医療を提供することが必要であるほか、教育支援体制の整備を図る等の総合的な取組を進めることが必要である。
発達障害については、社会的な理解が十分なされていないことから適切な情報の周知も必要である。発達障害者支援センターについては、関係機関や保護者に対する専門的情報の提供や支援手法の普及が必要になっていることから、職員の専門性を十分確保するとともに、専門的情報や支援手法の提供を推進することが必要である。
また、特別支援学校については、特別支援教育教諭免許状保有率の向上を図る等専門性の向上に努めるとともに、在籍する児童生徒等への教育や指導に加えて、小学校、中学校等の教員の資質向上策への支援・協力、地域の保護者等への相談支援や小学校、中学校等における障害のある児童生徒等への教育的支援を行うことが必要である。