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行動計画策定指針

○行動計画策定指針

(平成二十一年三月二十三日)

(国家公安委員会、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第一号)

次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号)第七条第一項及び第三項の規定に基づき、行動計画策定指針(平成十五年国家公安委員会、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第一号)の全部を次のように改正したので、同条第五項の規定により告示する。

行動計画策定指針

一  背景及び趣旨

1 背景

次世代育成支援を迅速かつ重点的に推進するため、平成十五年七月に次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号。以下「法」という。)が制定され、地方公共団体及び事業主が行動計画を策定することを通じて、次世代育成支援対策の推進を図ってきたところである。

その後、「少子化社会対策大綱」(平成十六年六月)、「新しい少子化対策について」(平成十八年六月)並びに「「子どもと家族を応援する日本」重点戦略」、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(以下「憲章」という。)及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(以下「行動指針」という。)(平成十九年十二月)などを踏まえ、施策が講じられてきたところである。

このうち、憲章においては、就労による経済的自立が可能な社会、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、多様な働き方・生き方が選択できる社会を目指すべきであるとされ、企業と働く者、国民、国、地方公共団体の関係者が果たすべき役割を掲げている。また、行動指針においては、憲章が掲げる三つの社会を実現するために必要な条件を示すとともに、各主体の取組を推進するための社会全体の目標を設定しているところである。

さらに、平成二十二年一月には、少子化社会対策基本法(平成十五年法律第百三十三号)に基づき、総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の大綱として「子ども・子育てビジョン」が閣議決定された。「子ども・子育てビジョン」では、子どもと子育てを応援する社会の実現に向けて、経済面の支援と保育サービス等の基盤整備とのバランスのとれた総合的な子育て支援を推進する一環として、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のための働き方の改革についても、平成二十二年度から平成二十六年度までの五年間を目途として目指すべき施策内容と数値目標を定め、目標の達成に向けて取り組むこととしている。

今後は、こうした目標の達成に向けた取組を含め、仕事と生活の調和の推進に向けた具体的な取組を進めていくことが必要である。

2  法の趣旨

法においては、次世代育成支援対策に関し、市町村にあっては、法第八条第一項の市町村行動計画(以下「市町村行動計画」という。)を策定することとされ、都道府県にあっては、法第九条第一項の都道府県行動計画(以下「都道府県行動計画」という。)を策定することとされている。また、国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が三百人(平成二十三年四月一日以後は、百人)を超えるものにあっては、法第十二条第一項の一般事業主行動計画(以下「一般事業主行動計画」という。)を策定し、その旨を届け出ることとされ、常時雇用する労働者の数が三百人(平成二十三年四月一日以後は、百人)以下の一般事業主にあっては、一般事業主行動計画を策定し、その旨を届け出るよう努めることとされている。さらに、国及び地方公共団体の機関等(以下「特定事業主」という。)にあっては、法第十九条第一項の特定事業主行動計画(以下「特定事業主行動計画」という。)を策定することとされている。

このため、主務大臣はこれらの行動計画の策定に関する指針(以下「行動計画策定指針」という。)を定めることとされている。

この行動計画策定指針は、市町村行動計画、都道府県行動計画、一般事業主行動計画及び特定事業主行動計画の指針となるべき、(1)次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項、(2)次世代育成支援対策の内容に関する事項、(3)市町村行動計画において、保育サービス、放課後児童健全育成事業その他主務省令で定める次世代育成支援対策に係る達成しようとする目標、内容及び実施時期を定めるに当たって参酌すべき標準、(4)その他次世代育成支援対策の実施に関する重要事項を定めるものである。

二  次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項

1  基本理念

次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。

2  行動計画の策定の目的

地方公共団体及び事業主(国及び地方公共団体の機関等を含む。)は、行動計画策定指針に即して次世代育成支援対策のための十年間の集中的・計画的な取組を推進するため、それぞれ行動計画を策定し、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標、実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期等を定めるものとする。

3  次世代育成支援対策の推進に当たっての関係者の連携・協働

次世代育成支援対策は、児童福祉、母子保健、商工労働、教育、住宅等の各分野にまたがるものであり、関係部局が連携して部局横断的に取り組む総合的な庁内の推進体制を整備することが重要である。その上で、国及び地方公共団体の間、市町村及び都道府県の間、市町村間並びに地方公共団体と一般事業主の間の連携等を図り、総合的な体制の下に推進されることが望ましい。

このため、行動計画には、それぞれの次世代育成支援対策の推進に当たっての関係者の連携の在り方について定めることが必要である。

また、地方公共団体と国との情報の共有化をさらに深めることが重要であり、次世代育成支援対策に関する情報を集約し、地方公共団体と国が相互に情報共有を図ることができる「少子化対策連携促進サイト」への参加、活用を図ることが期待される。

(1) 市町村内及び都道府県内の関係部局間の連携

市町村及び都道府県は、次世代育成支援対策の総合的かつ効果的な推進を図るため、例えば、首長を本部長又は責任者として少子化対策推進本部等を設置するなど全庁的な体制の下に、行動計画の策定やこれに基づく措置の実施を図ることが必要である。

(2) 国及び地方公共団体の連携

法第四条では、国及び地方公共団体は、相互に連携を図りながら、次世代育成支援対策を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならないこととされている。

次世代育成支援対策は、「働き方の改革による仕事と生活の調和の実現」と「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」を「車の両輪」として取り組むことが必要であることにかんがみ、国及び地方公共団体は、「仕事と生活の調和推進会議」や「次世代育成支援対策地域協議会」等の活用により、恒常的な意見交換を行い、連携・協力して地域の実情に応じた次世代育成支援対策の推進を図ることが必要である。

(3) 市町村及び都道府県の間並びに市町村間の連携

法第十条第一項では、都道府県は、市町村に対し、市町村行動計画の策定上の技術的事項について必要な助言その他の援助の実施に努めることとされており、小規模市町村への配慮を含め、適切に対応することが必要である。

また、市町村及び都道府県は、行動計画の策定に当たって、相互にその整合性が図られるよう、互いに密接な連携を図ることが必要である。

さらに、市町村行動計画の策定に当たっては、必要に応じて広域的なサービス提供体制の整備等、近隣市町村間での連携・協力の在り方について検討することが必要である。

(4) 国、地方公共団体等と一般事業主との連携

法第五条では、事業主は、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならないこととされている。

また、一般事業主は、一般事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施に関する援助業務を行う次世代育成支援対策推進センターによる相談その他の援助を活用することなどにより、適切な一般事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施に努めることが望ましい。

さらに、地方公共団体及びその区域内に事業所を有する一般事業主は、行動計画の策定に当たって、地域における次世代育成支援対策が効果的に実施されるよう、必要に応じて情報交換・意見交換を行う等密接な連携を図ることが必要である。

(5) 地域の事業主や民間団体等との協働

仕事と生活の調和の実現に向けた働き方の改革をはじめ、次世代育成支援対策は、それぞれの地域の企業、子育て支援を行う団体等が相互に密接に連携し、協力し合いながら、地域の実情に応じた取組を進めていく必要がある。

4  次世代育成支援対策地域協議会の活用

法第二十一条第一項では、地方公共団体、事業主、住民その他の次世代育成支援対策の推進を図るための活動を行う者は、地域における次世代育成支援対策の推進に関し必要となるべき措置について協議するため、次世代育成支援対策地域協議会(以下「地域協議会」という。)を組織することができるとされており、地方公共団体及び一般事業主は、行動計画の策定やこれに基づく措置の実施に当たっては、必要に応じて、地域協議会を十分に活用するとともに、密接な連携を図ることが望ましい。

なお、地域協議会の形態としては、例えば、次に掲げるものが考えられる。

(1) 市町村及び都道府県の行動計画の策定やこれに基づく措置の実施に関し、意見交換等を行うため、地方公共団体、事業主、労働者、子育てに関する活動を行う地域活動団体、保健・福祉関係者、教育関係者、都道府県労働局等の幅広い関係者で構成されるもの

(2) 一般事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施に関し、情報交換等を行うため、地域の事業主やその団体等で構成されるもの

(3) 地域における子育て支援サービスの在り方等について検討を行うため、地域の子育て支援事業の関係者等で構成されるもの

(4) 家庭教育への支援等について検討を行うため、教育関係者等で構成されるもの

三 市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に関する基本的な事項

1 市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に当たっての基本的な視点
(1) 子どもの視点

我が国は、児童の権利に関する条約の締約国としても、子どもにかかわる種々の権利が擁護されるように施策を推進することが要請されている。このような中で、子育て支援サービス等により影響を受けるのは多くは子ども自身であることから、次世代育成支援対策の推進においては、子どもの幸せを第一に考え、子どもの利益が最大限に尊重されるよう配慮することが必要であり、特に、子育ては男女が協力して行うべきものとの視点に立った取組が重要である。

(2) 次代の親づくりという視点

子どもは次代の親となるものとの認識の下に、豊かな人間性を形成し、自立して家庭を持つことができるよう、長期的な視野に立った子どもの健全育成のための取組を進めることが必要である。

(3) サービス利用者の視点

核家族化や都市化の進行等の社会環境の変化や国民の価値観の多様化に伴い、子育て家庭の生活実態や子育て支援に係る利用者のニーズも多様化しており、また、農林水産業等の個々の業種ごとの家庭の特性を踏まえることも必要であることから、次世代育成支援対策の推進においては、このような多様な個別のニーズに柔軟に対応できるように、利用者の視点に立った柔軟かつ総合的な取組が必要である。

(4) 社会全体による支援の視点

次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、国及び地方公共団体はもとより、企業や地域社会を含めた社会全体で協力して取り組むべき課題であることから、様々な担い手の協働の下に対策を進めていくことが必要である。

(5) 仕事と生活の調和の実現の視点

憲章においては、仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」とされている。

働き方の見直しを進め、仕事と生活の調和を実現することは、国民の結婚や子育てに関する希望を実現するための取組の一つとして、少子化対策の観点からも重要であり、憲章においても、社会全体の運動として進めていくこととされている。こうした取組については、地域においても、国及び地方公共団体や企業を始めとする関係者が連携して進めることが重要であり、自らの創意工夫の下に、地域の実情に応じた展開を図ることが必要である。

(6) すべての子どもと家庭への支援の視点

次世代育成支援対策は、子育てと仕事の両立支援のみならず、子育ての孤立化等の問題を踏まえ、広くすべての子どもと家庭への支援という観点から推進することが必要である。

その際には、社会的養護を必要とする子どもの増加や虐待等の子どもの抱える背景の多様化等の状況に十分対応できるよう、社会的養護体制について質・量ともに整備を進めることとし、家庭的な養護の推進、自立支援策の強化という観点も十分踏まえて取組を進めることが必要である。

(7) 地域における社会資源の効果的な活用の視点

地域においては、子育てに関する活動を行うNPO、子育てサークル、母親クラブ、子ども会、自治会を始めとする様々な地域活動団体、社会福祉協議会やベビーシッター等の様々な民間事業者、主任児童委員・児童委員等が活動するとともに、高齢者、障害者等に対するサービスを提供する民間事業者等もあるほか、子育て支援等を通じた地域への貢献を希望する高齢者も多く、加えて森林等の豊かな自然環境や地域に受け継がれる伝統文化等もあることから、こうした様々な地域の社会資源を十分かつ効果的に活用することが必要である。

また、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第四十八条の二及び第四十八条の三の規定を踏まえた児童養護施設等及び保育所の活用や、児童館、公民館、学校施設等を始めとする各種の公共施設の活用を図ることも必要である。

(8) サービスの質の視点

利用者が安心してサービスを利用できる環境を整備するためには、サービス供給量を適切に確保するとともに、サービスの質を確保することが重要である。このため、次世代育成支援対策においては、サービスの質を評価し、向上させていくといった視点から、人材の資質の向上を図るとともに、情報公開やサービス評価等の取組を進めることが必要である。

(9) 地域特性の視点

都市部と農山漁村の間の相違を始め、人口構造や産業構造、更には社会資源の状況等地域の特性は様々であり、利用者のニーズ及び必要とされる支援策も異なることから、次世代育成支援対策においては、各地方公共団体が各々の特性を踏まえて主体的な取組を進めていくことが必要である。

2  市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に当たって必要とされる手続
(1) 現状の分析

市町村行動計画及び都道府県行動計画(以下「市町村行動計画等」という。)については、地域の人口構造や産業構造等の地域特性、利用者のニーズの実情、サービス提供の現状やサービス資源の状況、更には子どもと家庭を取り巻く環境等の現状を分析して、それらを踏まえ策定することが必要である。

このため、次世代育成支援対策に関連する各種の資料を収集・分析し、その結果を計画の策定に活かしていくことが望ましい。

(2) ニーズ調査の実施

市町村は、サービス利用者の意向及び生活実態を把握し、サービスの量的及び質的なニーズを把握した上で市町村行動計画を策定するため、サービス対象者に対するニーズ調査を行うことが望ましい。

調査に当たっては、女性の就業率の高まりに応じて必要となるサービスの中長期的な需要を把握できる内容で行うことが望ましい。

また、都道府県は、ニーズ調査が円滑に行われるよう、市町村に対する助言やニーズ調査の共同実施をする場合の市町村間の調整等に努めることが望ましい。

(3) 多様な主体の参画と情報公開

法第八条第三項及び第九条第三項では、市町村及び都道府県は、市町村行動計画等を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとされていることから、計画の策定段階において、サービス利用者等としての地域住民の意見を反映させるため、公聴会、懇談会又は説明会の開催等を通じて計画策定に係る情報を提供するとともに、住民の意見を幅広く聴取し、市町村行動計画等に反映させることが求められる。

また、法第八条第四項及び第九条第四項では、市町村及び都道府県は、市町村行動計画等を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、事業主、労働者、その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされていることから、計画の策定段階において、地域協議会等を活用して事業主支援の方策の検討、事業主に求める支援策の検討、協働で実施をする施策の検討等を行い、説明会の開催等を通じて計画策定に係る情報を提供するとともに、事業主、労働者その他の関係者の意見を幅広く聴取し、市町村行動計画等に反映させることが必要である。

さらに、事業主、労働者、その他の関係者が主体となって、利用者の視点に立った評価指標を考える仕組みを誘導するなど、行動計画の策定段階からの多様な主体の参画を促進することも重要である。

加えて、法第八条第五項及び第九条第五項では、市町村及び都道府県は、市町村行動計画等を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表することとされており、広報誌やホームページへの掲載等により適時かつ適切に広く住民に周知を図ることが必要である。

3 市町村行動計画及び都道府県行動計画策定の時期等

市町村行動計画等は五年ごとに、五年を一期として策定するものとされている。一回目に策定された市町村行動計画等(前期計画)については、平成十七年度から平成二十一年度までを計画期間としていることから、二回目に策定される市町村行動計画等(後期計画)については、前期計画に係る必要な見直しを平成二十一年度までに行った上で、平成二十二年度から平成二十六年度までを後期計画の期間(以下「後期計画期間」という。)として、平成二十一年度中に策定することが必要である。

4 利用者の視点に立った点検・評価のための指標の導入

後期計画においては、個別事業の進捗状況(アウトプット)に加え、個別事業を束ねた施策や計画全体の進捗状況(アウトカム)についても点検・評価することが重要である。

次世代育成支援対策の推進においては、利用者の視点に立った柔軟かつ総合的な取組が必要であり、このような取組を評価するため、利用者の視点に立った指標を設定し、点検・評価を行い、施策の改善につなげていくことが望まれる。

また、個別事業を束ねた施策の指標に関しては、住民に分かりやすく周知し、提供するためにも、地方公共団体の取組状況について比較が可能となるよう、共通の指標を設定することが望ましい。国では、共通の指標例を示すので、これを参考に、市町村及び都道府県において意識調査等に基づき設定することが望ましい。

5 市町村行動計画及び都道府県行動計画の実施状況の点検・評価及び推進体制

法第八条第七項及び第九条第七項では、市町村及び都道府県は、定期的に、市町村行動計画等に基づく措置の実施の状況に関する評価を行い、市町村行動計画等に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更することその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとされていることから、各種施策が利用者の直面している問題や課題の解消に役立ったか、満足できるものであったか等、利用者側の視点に立った点検・評価を実施し、その結果を毎年度の予算編成や事業実施に反映させる、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)を確立することが重要である。

この際、これら一連の過程を開かれたものとするため、地域における子育て支援事業の関係者や子育てに関する活動を行うNPO等が参画する場を設けることも考えられる。その際、地域協議会などを活用することも考えられる。

また、法第八条第六項及び第九条第六項では、市町村及び都道府県は、毎年少なくとも一回、市町村行動計画等に基づく措置の実施の状況を公表しなければならないこととされており、この計画の実施状況等に係る情報を広報誌やホームページへの掲載等により、住民に分かりやすく周知を図るとともに、住民の意見等を聴取しつつ、その後の対策の実施や計画の見直し等に反映させることが必要である。

6  他の計画との関係
(1) 保育計画等との調和

市町村行動計画等は、保育計画(児童福祉法第五十六条の八に規定する市町村保育計画及び同法第五十六条の九に規定する都道府県保育計画をいう。以下同じ。)、地域福祉計画(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第百七条に規定する市町村地域福祉計画及び同法第百八条に規定する都道府県地域福祉支援計画をいう。)、母子家庭及び寡婦自立促進計画(母子及び寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第十一条第二項第三号に規定する母子家庭及び寡婦自立促進計画をいう。以下同じ。)、障害者計画(障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第十一条に規定する都道府県障害者計画及び市町村障害者計画をいう。)その他の法律の規定により、市町村又は都道府県が策定する計画であって、次世代育成支援に関する事項を定めるものとの間の調和が保たれたものとすることが必要である。

なお、市町村行動計画等と盛り込む内容が重複する他の法律の規定により、市町村又は都道府県が策定する計画については、市町村行動計画等と一体のものとして策定して差し支えない。

(2) 市町村の基本構想との調和

市町村行動計画については、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第四項の基本構想に即したものとすることが必要である。

四 市町村行動計画を定めるに当たって参酌すべき標準

1  参酌標準について
(1) 意義

法第七条第二項第三号においては、市町村行動計画において、保育サービス、放課後児童健全育成事業その他主務省令で定める次世代育成支援対策に係る達成しようとする目標、内容及び実施時期を定めるに当たって参酌すべき標準(以下「参酌標準」という。)を定めるものとされている。

参酌標準は、各市町村において、女性の就業率上昇に伴う保育サービス等の潜在需要を把握しつつ、中長期的に達成されるべきサービス整備水準を勘案した上で、後期計画の目標事業量を適切に見込むために提示するものである。

(2) 性質

ニーズ調査等により把握した各事業の需要に基づき、次の2から10までに示す方法により、新待機児童ゼロ作戦(平成二十年二月二十七日厚生労働省策定)の目標年次である平成二十九年度に達成されるべき目標事業量(以下「平成二十九年度目標事業量」という。)を設定した上で、後期計画期間の目標事業量については、当該平成二十九年度目標事業量の達成を念頭に、現状のサービス基盤を踏まえつつ定めること。

また、2の平日昼間の保育サービス及び6の放課後児童健全育成事業に関しては、平成二十二年度が新待機児童ゼロ作戦の集中重点期間の最終年度であることを踏まえて、目標事業量を定めること。

2  平日昼間の保育サービス

平日昼間の保育サービスの平成二十九年度目標事業量については、三歳未満児と三歳以上児に区分の上、次の方法により設定すること。

(1) 就労形態別家庭類型ごとの潜在的サービス利用率の把握

ニーズ調査等により把握した共働き家庭、フルタイムとパートタイム家庭、専業主婦家庭、ひとり親家庭等の就労形態別の家庭区分(以下「就労形態別家庭類型」という。)ごとに、現に保育サービスを利用している家庭及び利用を希望している家庭を勘案した潜在的な保育サービスの利用率(以下「潜在的サービス利用率」という。)を算出する。

(2) 就労形態別家庭類型ごとの潜在家庭数の把握

就労形態別家庭類型ごとに、ニーズ調査等により把握した今後の就労希望を勘案した潜在的な家庭数(以下「潜在家庭数」という。)を算出する。

(3) 平成二十九年度目標事業量の把握

就労形態別家庭類型ごとの潜在家庭数に、就労形態別家庭類型ごとの潜在的サービス利用率を乗じて得た数を合算した数により、平成二十九年度目標事業量(定員数)を設定する。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を考慮し、現状のサービス基盤の状況も踏まえながら定めること。

3  夜間帯の保育サービス

2の平日昼間の保育サービスと同様の手法により、ニーズ調査等により把握した夜間帯の保育ニーズを勘案して、時間帯区分ごとに平成二十九年度目標事業量を設定すること。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を考慮し、延長保育事業、夜間保育事業及び夜間養護等事業で対応することを基本とし、現状のサービス基盤の状況も踏まえながら定めること。

4  休日保育

2の平日昼間の保育サービスと同様の手法により、ニーズ調査等により把握した休日の保育ニーズを勘案して平成二十九年度目標事業量を設定すること。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を念頭に、現状のサービス基盤の状況も踏まえながら定めること。

5  病児・病後児保育

2の平日昼間の保育サービスの平成二十九年度目標事業量(定員数)を病児・病後児保育の利用可能性がある者と捉えた上で、ニーズ調査等により把握した病児・病後児の発生頻度、サービスの利用実績及びサービスの利用希望を勘案して、平成二十九年度目標事業量を設定すること。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を念頭に、現状のサービス基盤の状況も踏まえながら定めること。

6  放課後児童健全育成事業

保育サービスとの連続性を重視し、ニーズ調査等により把握した次年度に就学予定の児童を有する家庭であって放課後児童クラブの利用を希望する家庭を勘案して、適切と見込まれる平成二十九年度目標事業量を設定すること。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を念頭に、現状のサービス基盤の状況も踏まえながら定めること。

7  一時預かり事業

ニーズ調査等により把握した一時的に未就学の子どもを第三者に預けた日数の実績に、今後の利用希望を加えたものを勘案して、適切と考えられる平成二十九年度目標事業量を設定すること。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を念頭に、現状のサービス基盤の状況も踏まえながら定めること。

8  地域子育て支援拠点事業

乳幼児とその保護者が、居宅より容易に移動することが可能な圏域内に一箇所以上設置することを平成二十九年度目標事業量と設定すること。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を念頭に、現状のサービス基盤の状況も踏まえながら定めること。

9  ファミリー・サポート・センター事業

市及び特別区にあっては、原則として一箇所以上の設置を平成二十九年度目標事業量と設定すること。

町村にあっては、住民の利用希望等を踏まえ実施の必要性を検討した上で平成二十九年度目標事業量を設定すること。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を念頭に定めること。

10  短期入所生活援助事業

宿泊を伴う預かりを必要とした日数の実績に基づき、ファミリー・サポート・センター事業等の他サービスによる対応の可能性も勘案しながら、適切と考えられる事業量を平成二十九年度目標事業量と設定すること。

後期計画期間の目標事業量については、平成二十九年度目標事業量を念頭に、現状のサービス基盤の状況も踏まえながら定めること。

五  市町村行動計画及び都道府県行動計画の内容に関する事項

1  市町村行動計画

市町村は、住民に最も身近な地方公共団体としての役割を踏まえ、次世代育成支援対策を総合的に、かつ、きめ細かく行えるよう、子どもと子育て家庭への支援に関連する施策及び事業を市町村行動計画に体系的に盛り込むことが必要である。

市町村行動計画に盛り込むべき事項としては、法第八条第一項において、(1)地域における子育ての支援、(2)母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、(3)子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、(4)子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、(5)職業生活と家庭生活との両立の推進、(6)その他の次世代育成支援対策の実施が掲げられており、こうした施策の領域を踏まえ、計画策定に当たるものとする。

計画の策定に当たっては、次に掲げる次世代育成支援対策として重要な施策を踏まえつつ、各市町村の実情に応じた施策をその内容に盛り込むことが必要である。

また、各施策の目標設定に当たっては、利用者等のニーズを踏まえて、可能な限り定量的に示す等具体的な目標を設定することが必要である。

なお、指定都市、中核市及び児童相談所設置市にあっては、行動計画策定指針において都道府県行動計画に盛り込まれている内容のうち、指定都市、中核市及び児童相談所設置市が処理することとされているものについては、適切に市町村行動計画に盛り込むことが必要である。

(1) 地域における子育ての支援

ア 地域における子育て支援サービスの充実

専業主婦家庭や母子家庭等を含めたすべての子育て家庭への支援を行う観点から、地域における様々な子育て支援サービスの充実が図られることが必要である。

このため、市町村は、次の(ア)から(ウ)までに掲げる児童福祉法第二十一条の九に規定する子育て支援事業(以下「子育て支援事業」という。)が着実に実施されるよう、必要な措置の実施に努めるとともに、次の(エ)に掲げる同法第二十一条の十一の規定による子育て支援事業に関する情報の提供、相談及び助言並びにあっせん、調整及び要請等を行うことが必要である。

さらに、市町村は、同法第二十一条の十の二の規定に基づき、乳児家庭全戸訪問事業及び養育支援訪問事業を実施する(ただし、その事務の全部又は一部を厚生労働省令で定める者に委託することができる。)よう努めるとともに、同法第二十一条の十の三の規定に基づき、母子保健に関する事業との連携及び調和の確保に努める必要がある。

また、これらの取組に際しては、親が障害を持つ家庭等についても適切に子育て支援サービスが提供されるよう、きめ細かな配慮が求められる。

(ア) 児童及びその保護者又はその他の者の居宅において保護者の児童の養育を支援する事業

(1) 厚生労働省令で定めるところにより、市町村における、原則としてすべての乳児のいる家庭を訪問することによって、i子育てに関する情報の提供、ii乳児及びその保護者の心身の状況及び養育環境の把握を行うほか、iii養育についての相談に応じ、助言その他の援助を行う事業(乳児家庭全戸訪問事業)

(2) 厚生労働省令で定めるところにより、乳児家庭全戸訪問事業の実施その他により把握したi保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童及びその保護者、ii保護者に監護されることが不適当であると認められる児童及びその保護者、iii出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦に対し、その養育が適切に行われるよう、これらの者の居宅において、養育に関する相談、指導、助言その他必要な支援を行う事業(養育支援訪問事業)

(3) 乳児又は幼児であって、市町村が児童福祉法第二十四条第一項に規定する児童に該当すると認めるものについて、家庭的保育者(市町村長が行う研修を修了した保育士又は厚生労働省令で定める者であって、これらの乳児又は幼児の保育を行う者として市町村長が適当と認めるもの)の居宅その他の場所において、家庭的保育者による保育を行う事業(家庭的保育事業)

(4) 保護者であってその乳児、幼児等の保育等に関する援助を受けることを希望するものと当該援助を行うことを希望する者(個人に限る。以下この(4)において「援助希望者」という。)との連絡及び調整を行うとともに、援助希望者の講習その他の必要な援助を行う事業(ファミリー・サポート・センター事業)

(イ) 保育所その他の施設において保護者の児童の養育を支援する事業

(1) 小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、児童福祉法施行令(昭和二十三年政令第七十四号)第一条の二で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業(放課後児童健全育成事業)

なお、放課後児童健全育成事業の実施に当たっては、教育委員会等と連携し、小学校や幼稚園を始めとする地域の社会資源の積極的な活用を検討しつつ、対策が必要な児童のすべてを受け入れる体制の整備を目標とした計画的な整備が必要である。また、その運営に当たっては、民間施設等の活用、高齢者を始めとする地域の人材の活用等、地域の実情に応じた効果的・効率的な取組を推進することが必要である。

(2) 保護者が疾病、疲労その他の身体上若しくは精神上又は環境上の理由により家庭において児童を養育することが一時的に困難となった場合において、市町村長が適当と認めたときに、当該児童につき、児童福祉法施行規則(昭和二十三年厚生省令第十一号)第一条の四に定める施設において必要な保護を行う事業(短期入所生活援助事業)

(3) 保護者が仕事その他の理由により平日の夜間又は休日に不在となり家庭において児童を養育することが困難となった場合その他緊急の必要がある場合において、市町村長が適当と認めたときに、当該児童につき、児童福祉法施行規則第一条の四に定める施設において必要な保護を行う事業(夜間養護等事業)

(4) 次に掲げる児童であって、その保護者の労働その他の理由により、家庭において保育されることに支障があるものにつき、保育所その他の施設、病院又は診療所(((イ))に掲げる児童にあっては、病院又は診療所)において、適当な設備を備える等により、保育を行う事業(市町村又はその委託を受けて当該保育を行う者が行うものに限る。)(病児・病後児保育事業)

((ア)) 疾病にかかっているおおむね十歳未満の児童(回復の過程にあるものに限る。)

((イ)) 疾病にかかっているおおむね十歳未満の児童(回復の過程にあるものを除く。)

(5) 家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳児又は幼児について、厚生労働省令で定めるところにより、主として昼間において、保育所その他の場所において、一時的に預かり、必要な保護を行う事業(一時預かり事業)

(6) 乳幼児であって、その保護者の労働その他の理由により、一月間に相当程度、家庭において保育されることに支障が生ずるものにつき、保育所等において、適当な設備を備える等により、保育を行う事業(市町村又はその委託を受けて当該保育を行う者が行うものに限る。)(特定保育事業)

(7) 幼稚園に在籍している幼児につき、当該幼稚園において、適当な設備を備える等により、教育課程に係る教育時間の終了後等に教育活動を行う事業

(ウ) 地域の児童の養育に関する各般の問題につき、保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行う事業

(1) (ア)の(4)に掲げる事業

(2) 厚生労働省令で定めるところにより、乳児又は幼児及びその保護者が相互の交流を行う場所を開設し、子育てについての相談、情報の提供、助言その他の援助を行う事業(地域子育て支援拠点事業)

(3) 幼稚園において、幼児教育に関する各般の問題につき、保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、その他必要な援助を行う事業

(ェ) 市町村における子育て支援事業に関する情報の提供、相談及び助言並びにあっせん、調整及び要請等の実施

(ア)から(ウ)までに掲げる子育て支援事業を始めとする地域における多様な子育て支援サービスに関する情報を一元的に把握し、保護者への情報の提供、ケースマネジメント、利用援助等を行う事業

イ  保育サービスの充実

保育サービスについては、子どもの幸せを第一に考えるとともに、利用者の生活実態及び意向を十分に踏まえてサービスの提供体制を整備することが必要であり、特に、待機児童が多い市町村においては、市町村保育計画等に基づき保育所受入児童数の計画的な拡充を図り、待機児童の解消に努めることが必要である。

こうした保育サービスの充実に当たっては、様々な規制緩和措置や民間活力を活用して、保育所、家庭的保育、認定こども園、幼稚園の預かり保育など多様な保育により量的に拡充するとともに、延長保育、休日保育、夜間保育、病児・病後児保育事業の充実により多様な保育需要に対応するなど、地域の実情に応じた取組を行うことが必要である。

また、保育サービスの利用者による選択や子どもの健やかな育成と子どもを預ける保護者の安心の確保の観点から、保育サービスに関する積極的な情報提供や、保育所保育指針等を踏まえた保育の質の向上、保育士の専門性向上と質の高い人材の安定的確保などを行うことが必要である。なお、質の向上に当たっては、保育所職員の研修体制の充実、地域の関係機関との積極的な連携・協力などの施策を盛り込んだアクションプログラムを策定し、市町村行動計画にもその内容を反映させることが期待される。

さらに、保育サービスの質を担保する観点から、サービス評価等の仕組みの導入、実施等についても取組を進めることが望ましい。

ウ  子育て支援のネットワークづくり

子育て家庭に対して、きめ細かな子育て支援サービス・保育サービスを効果的・効率的に提供するとともに、サービスの質の向上を図る観点から、地域における子育て支援サービス等のネットワークの形成を促進し、また、各種の子育て支援サービス等が、利用者に十分周知されるよう、子育てマップや子育てガイドブックの作成・配布等による情報提供を行うことが必要である。

また、地域住民の多くが子育てへの関心・理解を高め、地域全体で子育て家庭を支えることができるよう、子育てに関する意識啓発等を進めることが望ましい。

エ  児童の健全育成

地域社会における児童数の減少は、遊びを通じての仲間関係の形成や児童の社会性の発達と規範意識の形成に大きな影響があると考えられるため、すべての子どもを対象として放課後や週末等に、地域の方々の協力を得て、地域において児童が自主的に参加し、自由に遊べ、学習や様々な体験活動、地域住民との交流活動等を行うことができる安全・安心な居場所づくりの推進が必要である。

また、児童の健全育成を図る上で、児童館、公民館、青少年教育施設、学校等の社会資源及び主任児童委員、児童委員、子育てに関する活動を行うNPO、地域ボランティア、子ども会、自治会等を活用した取組を進めることが効果的である。とりわけ、児童の健全育成の拠点施設の一つである児童館が、子育て家庭が気軽に利用できる自由な交流の場として、絵本の読み聞かせや食事セミナーの開催等、親子のふれあいの機会を計画的に提供するとともに、地域における中学生・高校生の活動拠点として、その積極的な受入れと活動の展開を図ることが必要である。青少年教育施設は、青少年の健全育成に資する場として、自然体験活動を始めとする多様な体験活動の機会の提供等を行うとともに、地域における青少年の活動拠点として、その積極的な受入れと活動の展開を図ることが必要である。学校においては、教職員の自主的な参加・協力を得つつ、学校施設の開放等を推進することが望ましい。

さらに、このような社会資源を活用して、福祉部局と教育委員会が連携し、夏季及び冬季の休業日等における児童の居場所づくりにも配慮することが望ましい。

また、主任児童委員又は児童委員が、地域において、児童の健全育成や虐待の防止の取組等子どもと子育て家庭への支援を住民と一体となって進めることが必要である。

あわせて、性の逸脱行動の問題点等について、教育・啓発を推進することが必要である。また、いじめ問題への対応や少年非行等の問題を抱える児童の立ち直り支援、保護者の子育て支援並びに引きこもり及び不登校への対応においては、児童相談所、学校、保護司、警察、地域ボランティア等が連携して地域社会全体で対処することが必要であり、地域ぐるみの支援ネットワークの整備や個別的・具体的な問題に対して関係機関による専門チームを編成し、対応するための参加・協力体制を整備することが望ましい。

オ  その他

アからエまでに掲げる施策を実施するに当たっては、地域の高齢者の参画を得る等、世代間交流の推進を図ることが必要である。

また、幼稚園の園庭・園舎を開放し、子育て相談や未就園児の親子登園等を推進することや各種の子育て支援サービスの場として学校の余裕教室等公共施設の余裕空間や商店街の空き店舗を活用することが望ましい。

(2) 母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進

母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進を図る観点から、保健、医療、福祉及び教育の分野間の連携を図りつつ、地域における母子保健施策等の充実が図られる必要がある。

また、計画の策定に当たっては、二十一世紀における母子保健の国民運動計画である「健やか親子二十一」の趣旨を十分踏まえたものとするとともに、母子保健推進員、愛育班等の地域に根ざした住民活動との連携等についても留意することが望ましい。

さらに、市町村保健センター等市町村において子育て支援の拠点となるべき基盤が適切に整備され、母子保健事業の推進に必要な保健師、管理栄養士等の人材が確保されることが必要である。

ア  子どもや母親の健康の確保

妊娠期、出産期、新生児期及び乳幼児期を通じて母子の健康が確保されるよう、乳幼児健診、新生児訪問、両親学級等の母子保健における健康診査、訪問指導、保健指導等の充実が必要である。

特に、親の育児不安の解消等を図るため、乳幼児健診の場を活用し、親への相談指導等を実施するとともに、児童虐待の発生予防の観点を含め、妊娠期からの継続した支援体制の整備を図ることが必要である。

また、こうした乳幼児健診等の場を通じて、誤飲、転落・転倒、やけど等の子どもの事故の予防のための啓発等の取組を進めることが望ましい。

さらに、妊娠及び出産の経過に満足することが良い子育てにつながることから、安全かつ快適であるとともに主体的な選択が可能であるなど、母親の視点からみて満足できる「いいお産」の適切な普及を図ることが重要であり、妊婦に対する出産準備教育や相談の場の提供等を行うことが望ましい。

イ  「食育」の推進

朝食欠食等の食習慣の乱れや思春期やせに見られるような心と身体の健康問題が子どもたちに生じている現状にかんがみ、乳幼児期からの正しい食事の摂り方や望ましい食習慣の定着及び食を通じた豊かな人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため、保健分野や教育分野を始めとする様々な分野が連携しつつ、「食事バランスガイド」等の食生活上の指針を参考に、乳幼児期から思春期まで発達段階に応じた食に関する学習の機会や情報提供を進めるとともに、保育所の調理室等を活用した食事づくり等の体験活動や子ども参加型の取組を進めることが必要である。

また、低出生体重児の増加等を踏まえ、母性の健康の確保を図る必要があることから、妊娠前からの適切な食生活の重要性を含め、妊産婦等を対象とした食に関する学習の機会や情報提供を進めることが必要である。

ウ  思春期保健対策の充実

十歳代の人工妊娠中絶、性感染症罹患率の増大等の問題に対応するため、性に関する健全な意識のかん養と併せて、性や性感染症予防に関する正しい知識の普及を図ることが必要である。

また、喫煙や薬物等に関する教育、学童期・思春期における心の問題に係る専門家の養成及び地域における相談体制の充実等を進めることが必要である。

エ  小児医療の充実

小児医療体制は、安心して子どもを生み、健やかに育てることができる環境の基盤となるものであることから、小児医療の充実・確保に取り組むこと、特に小児救急医療について、都道府県、近隣の市町村及び関係機関との連携の下、積極的に取り組むことが必要である。

(3) 子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備

ア  次代の親の育成

男女が協力して家庭を築くこと及び子どもを生み育てることの意義に関する教育・広報・啓発について、各分野が連携しつつ効果的な取組を推進することが必要である。

また、家庭を築き、子どもを生み育てたいと思う男女が、その希望を実現することができるようにするため、地域社会の環境整備を進めることが必要である。

特に、中学生、高校生等が、子どもを生み育てることの意義を理解し、子どもや家庭の大切さを理解できるようにするため、保育所、幼稚園、児童館及び乳幼児健診の場等を活用し、乳幼児とふれあう機会を広げるための取組を推進することが必要である。

イ  子どもの生きる力の育成に向けた学校の教育環境等の整備

次代の担い手である子どもが個性豊かに生きる力を伸長することができるよう、次のような取組により、学校の教育環境等の整備に努めることが必要である。

(ア) 確かな学力の向上

子どもが社会の変化の中で主体的に生きていくことができるよう、知識・技能の確実な修得と思考力、判断力、表現力等の育成が重要であることから、子ども、学校及び地域の実態を踏まえて創意工夫し、子ども一人一人に応じたきめ細かな指導の充実や外部人材の協力による学校の活性化等の取組を推進することが望ましい。

全国学力・学習状況調査の結果から、児童生徒の学力、学力と学習状況の関係等を分析・検証し、課題がみられる学校の改善に向けた取組への支援を行うことが重要である。

(イ) 豊かな心の育成

豊かな心をはぐくむため、指導方法や指導体制の工夫改善等を進め、子どもの心に響く道徳教育の充実を図るとともに、地域と学校との連携・協力により、農山漁村における長期宿泊体験活動をはじめとした多様な体験活動を推進する等の取組の充実が必要である。また、いじめ、少年非行等の問題行動や不登校に対応するために、専門的な相談体制の強化、学校、家庭、地域及び関係機関との間のネットワークづくり等も必要である。

(ウ) 健やかな体の育成

子どもの体力が低下傾向にあり、生活習慣の乱れや肥満の増加等の現代的課題が指摘されている現状を踏まえ、子どもが生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣、意欲及び能力を育成するため、優れた指導者の育成及び確保、指導方法の工夫及び改善等を進め、体育の授業を充実させるとともに、子どもが自主的に様々なスポーツに親しむことができる運動部活動についても、外部指導者の活用や地域との連携の推進等により改善し、また充実させる等、学校におけるスポーツ環境の充実を図ることが必要である。また、子どもに生涯にわたる心身の健康の保持増進に必要な知識や適切な生活習慣等を身に付けさせるための健康教育を推進することが必要である。

(エ) 信頼される学校づくり

学校運営協議会制度(いわゆるコミュニティ・スクール)の活用等により、地域及び家庭と学校との連携・協力を図ることや、地域の実情に応じた学校選択制の普及等、地域に根ざした特色ある学校づくりを進めることが望ましい。

また、指導が不適切な教員に対する人事管理を公正かつ適正に行うとともに、教員一人一人の能力や実績等を適正に評価し、それを配置、処遇、研修等に適切に結び付けることも重要である。

さらに、子どもに安全で豊かな学校環境を提供するために、学校施設の整備を適切に行っていくことも必要である。

あわせて、学校においては、児童生徒が安心して教育を受けることができるよう、各学校が、家庭や地域の関係機関・関係団体とも連携しながら、地域全体で子どもの安全を見守る環境を整備する必要がある。

(オ) 幼児教育の充実

生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼稚園・保育所・認定こども園を通じた幼児教育全体の質の向上に取り組むとともに、子どもの発達や学びの連続性を確保する観点から、幼児教育と小学校教育の円滑な接続を図ることが重要である。

また、幼児教育の充実のため、各地域の実情を考慮した幼児教育の振興に関する政策プログラムを策定することも必要である。

ウ 家庭や地域の教育力の向上

学校・家庭・地域がそれぞれの役割・責任を自覚し、連携・協力し、地域社会全体で子どもを育てる観点から、家庭や地域の教育力を総合的に高め、社会全体の教育力の向上を目指すことが必要である。

(ア) 家庭教育への支援の充実

都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等により、家庭の教育力の低下が指摘され、社会全体での家庭教育支援の必要性が高まっている。

教育の原点である家庭の教育力を高めるため、それぞれの家庭が置かれている状況やニーズを踏まえ、かつ、家庭教育の自主性を尊重しつつ、身近な地域において、子育てに関する学習機会や情報の提供、相談や専門的人材の養成などの家庭教育に関する総合的な取組を関係機関が連携して行うことが必要である。また、その成果を広く共有し、きめ細かな家庭教育支援が実施される必要がある。

さらに、早寝早起きや朝食を摂るなどの、子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成するための環境を整えることが重要である。

(イ) 地域の教育力の向上

子どもが、自分で課題を見つけ、自ら学び主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する力や、他人を思いやる心や感動する心等の豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力を備えた生きる力を、学校、家庭及び地域が相互に連携しつつ社会全体ではぐくんでいくことが必要である。

このため、地域住民や関係機関等の協力によって、学校と地域とのパートナーシップの下に地域で学校を支える体制づくりの推進、森林等の豊かな自然環境等、地域の資源を活用した農林漁業体験や自然体験などの多様な体験活動の機会の積極的な提供、世代間交流の推進及び学校施設の地域開放、総合型地域スポーツクラブの整備、スポーツ指導者の育成等子どもの多様なスポーツニーズに応える地域のスポーツ環境の整備を図ること等により、地域の教育力を向上させ、活力ある地域づくりにもつなげることが必要である。

また、地域における子育てに関連した様々な活動に学校の教職員が自主的に参加するよう働きかけることも望ましい。

エ 子どもを取り巻く有害環境対策の推進

街中の一般書店やコンビニエンスストア等で、性や暴力等に関する過激な情報を内容とする雑誌、ビデオ、コンピュータ・ソフト等が販売されていることに加え、テレビ、インターネット等のメディア上の性や暴力等の有害情報やインターネット上のいじめについては、子どもに対する悪影響が懸念される状況であることから、関係機関・団体やPTA、ボランティア等の地域住民と連携・協力をして、関係業界に対する自主的措置を働きかける必要がある。

また、携帯電話を通じて容易に接続できるインターネット上の有害情報や、インターネット上のいじめから子どもを守るため、子どもの携帯電話やインターネットの利用の実態を把握するとともに、子どもが利用する携帯電話におけるフィルタリング・ソフト又はサービスの普及促進等に努めることが必要である。

さらに、各種メディアへの過度な依存による弊害について啓発するとともに、子どもたちが有害情報等に巻き込まれないよう、地域、学校及び家庭における情報モラル教育を推進することが必要である。

(4) 子育てを支援する生活環境の整備

ア 良質な住宅の確保

住生活基本計画(平成十八年九月十九日閣議決定)に基づき、深刻な少子化の状況を踏まえ、子育て世帯を支援していく観点から、既存ストックを活用しつつ、市場では十分な量が確保されないファミリー向け賃貸住宅の供給を支援するなどの取組を推進することが望ましい。

また、子育て世帯の居住の安定の確保を図るため、小さな子どものいる世帯に対する公共賃貸住宅における入居資格の緩和や優先入居の実施等に積極的に取り組むとともに、子育て世帯の入居を受け入れることとしている民間賃貸住宅に関する情報提供を進めることが望ましい。

イ 良好な居住環境の確保

住生活基本計画に基づき、子育て世帯が、地域において安全・安心で快適な住生活を営むことができるよう、住宅のユニバーサルデザイン化や子育て支援施設を併設した住宅の供給支援を行うことが望ましい。

また、特に大都市地域において、職住近接型の市街地住宅の供給と良好な住宅市街地の総合的な整備などにより、利便性の高い都心等での居住を希望する子育て世帯のニーズへの対応を図ることが望ましい。

さらに、室内空気環境の安全性を確保する観点から、シックハウス対策を推進することが必要である。

ウ  安全な道路交通環境の整備

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号)に基づき、駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路について、移動等の円滑化を推進することが望ましい。

また、事故の危険性の高い通学路において、歩道等の整備等、安全・安心な歩行空間の創出を推進することが望ましい。

エ  安心して外出できる環境の整備

(ア) 公共施設、公共交通機関、建築物等のバリアフリー化

妊産婦、乳幼児連れの者等すべての人が安心して外出できるよう、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく基本構想等を踏まえ、道路、公園、公共交通機関、公的建築物等において、段差の解消等のバリアフリー化を推進することが必要である。あわせて、妊産婦等への理解を深める「心のバリアフリー」のための取組等を行うことにより、ハード・ソフトの両面から一体的なバリアフリー化を進めていくことが望ましい。

(イ) 子育て世帯にやさしいトイレ等の整備

公共施設等において、子どもサイズの便器・手洗い器、ベビーベッド、ベビーチェア、ゆったりした化粧室、授乳室の設置などの子育て世帯が安心して利用できるトイレの整備や商店街の空き店舖等を活用した託児施設等の場の整備を推進することが必要である。

(ウ) 子育て世帯への情報提供

「子育てバリアフリー」マップの作成・配布や、各種のバリアフリー施設の整備状況等、子育て世帯へのバリアフリー情報の提供を推進することが望ましい。

オ 安全・安心まちづくりの推進等

子どもが犯罪等の被害に遭わないようなまちづくりを進めるため、道路、公園等の公共施設や住居の構造、設備、配置等について、犯罪等の防止に配慮した環境設計を行うことが必要である。

また、侵入による犯罪の防止を図るため、関係機関・団体と連携して、防犯性能の高いドア、窓、シャッター等の建物部品や優良防犯機器の普及促進を図ることが必要である。

(5) 職業生活と家庭生活との両立の推進等

ア 仕事と生活の調和の実現のための働き方の見直し

仕事と生活の調和の実現については、憲章及び行動指針において、労使を始め国民が積極的に取り組むことや、国や地方公共団体が支援することなどにより、社会全体の運動として広げていく必要があるとされている。

このため、地域の実情に応じ、自らの創意工夫の基に、次のような施策を進めることが望ましい。この際、都道府県、地域の企業、労働者団体、次世代育成支援対策推進センター、都道府県労働局、子育て支援活動を行う民間団体等と相互に密接に連携、協力し合いながら、地域の実情に応じた取組を進めることが必要である。

(ア) 仕事と生活の調和の実現に向けた労働者、事業主、地域住民の理解や合意形成を促進するための広報・啓発

(イ) 次世代育成支援対策推進法等の関係法制度及び一般事業主行動計画に関する労働者、事業主、地域住民への広報・啓発

(ウ) 仕事と生活の調和や次世代育成支援対策に取り組む企業や民間団体の好事例の情報の収集提供等

(エ) 研修やコンサルタント・アドバイザーの派遣

(オ) 認定マーク(くるみん)の周知、表彰制度等仕事と生活の調和を実現している企業を社会的に評価することを促進

イ 仕事と子育ての両立のための基盤整備

保育サービス及び放課後児童健全育成事業の充実、ファミリー・サポート・センターの設置促進等多様な働き方に対応した子育て支援を展開する。

(6) 子ども等の安全の確保

ア 子どもの交通安全を確保するための活動の推進

子どもを交通事故から守るため、警察、保育所、学校、児童館、関係民間団体等との連携・協力体制の強化を図り、総合的な交通事故防止対策を推進することが必要である。

(ア) 交通安全教育の推進

子ども及び子育てを行う親等を対象とした参加・体験・実践型の交通安全教育を交通安全教育指針(平成十年国家公安委員会告示第十五号)に基づき段階的かつ体系的に行うとともに、地域の実情に即した交通安全教育を推進するため、交通安全教育に当たる職員の指導力の向上及び地域における民間の指導者を育成することが必要である。

(イ) チャイルドシートの正しい使用の徹底

チャイルドシートの正しい使用の徹底を図るため、チャイルドシートの使用効果及び正しい使用方法について普及啓発活動を積極的に展開するとともに、正しい使用を指導する指導員を養成することにより、幼児の保護者等に対する指導・助言、情報提供等の充実を図るほか、チャイルドシートの貸出制度等を積極的に実施・拡充することにより、チャイルドシートを利用しやすい環境づくりを進めることが必要である。

(ウ) 自転車の安全利用の推進

児童・幼児の自転車乗車時の乗車用ヘルメットの着用を推進するとともに、現在、幼児二人同乗用自転車の開発に向けた取組が行われていることを踏まえ、少子化対策や子育て支援の観点から同自転車の普及が促進されるよう、貸出制度、助成制度等の導入や安全利用に係る情報提供等について検討することが必要である。

イ 子どもを犯罪等の被害から守るための活動の推進

子どもを犯罪等の被害から守るため、次の施策を講ずることが必要である。

(ア) 住民の自主防犯行動を促進するため、犯罪等に関する情報の提供を推進

(イ) 子どもを犯罪等の被害から守るため、関係機関・団体との情報交換を実施

(ウ) 学校付近や通学路等においてPTA等の学校関係者や防犯ボランティア、少年警察ボランティア等の関係機関・団体と連携したパトロール活動等の安全対策を推進するとともに、学校と警察との橋渡し役としてのスクールサポーター制度の導入を促進

(エ) 子どもが犯罪の被害に遭わないようにするための防犯講習の実施

(オ) 子どもの安全確保等のために活動する防犯ボランティア等に対する支援

ウ  被害に遭った子どもの保護の推進

犯罪、いじめ、児童虐待等により被害を受けた少年の精神的ダメージを軽減し、立ち直りを支援するため、子どもに対するカウンセリング、保護者に対する助言等学校等の関係機関と連携したきめ細かな支援を実施することが必要である。

(7) 要保護児童への対応などきめ細かな取組の推進

ア  児童虐待防止対策の充実

(ア) 関係機関との連携等

児童虐待による深刻な被害や死亡事例が生じることはあってはならないとの認識の下、福祉関係者のみならず、医療、保健、教育、警察等の関係機関を含めた地域全体で子どもを守る支援体制を構築し、相互に情報を共有することが必要である。特に、「子どもを守る地域ネットワーク」(要保護児童対策地域協議会)は、児童虐待の発生予防から保護・支援に至るまですべての段階で有効であり、NPO、ボランティア等民間団体の参加を得るとともに、単なる情報交換の場にとどまらず、個別のケースの解決につながるような取組が期待されていることから、その設置に努めなければならない。

また、同ネットワークが有効に機能するために、その運営の中核となる要保護児童対策調整機関に専門性を有する職員を配置するなどの機能強化を図ることも必要である。

なお、当該調整機関の職員を始めとする関係者の資質向上のため、都道府県等が実施する講習会等に参加することも必要である。

さらに、市町村は、出頭要求、立入調査又は一時保護の実施が適当と判断した場合は、都道府県知事又は児童相談所長に通知することや、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例について、都道府県の行う検証作業に参加・協力すること等を通じ、都道府県と連携した取組を進める必要がある。

(イ) 発生予防、早期発見・早期対応等

児童虐待の発生を予防するため、健康診査や保健指導等の母子保健活動や地域の医療機関、医療関係団体との連携、乳児家庭全戸訪問事業等を通じて、妊娠・出産・育児期に養育支援を必要とする家庭を早期に把握するとともに、特に支援を必要とする家庭については、養育支援訪問事業等の適切な支援につなげることが必要である。

また、このような適切な支援や虐待の早期発見・早期対応を行うためには、市町村において児童福祉担当部局と母子保健担当部局が緊密な連携を図るとともに、医療機関と市町村の間で、効果的な情報提供・共有がなされるための連携体制の構築を図る必要がある。

さらには、虐待の早期発見等のため、主任児童委員・児童委員等を積極的に活用することも必要である。

イ 母子家庭等の自立支援の推進

母子家庭等が増加している中で、母子家庭等の児童の健全な育成を図るためには、母子及び寡婦福祉法等の規定を踏まえて、きめ細かな福祉サービスの展開と自立・就業の支援に主眼を置き、子育て・生活支援策、就業支援策、養育費の確保策及び経済的支援策について、地域の母子家庭等の現状を把握しつつ、総合的な対策を適切に実施していくことが必要である。

具体的には、子育て短期支援事業、母子家庭等日常生活支援事業、保育所の入所及び放課後児童クラブの利用に際しての配慮等の各種支援策を推進するとともに、市及び福祉事務所を設置する町村においては、国の基本方針に則して、母子家庭及び寡婦自立促進計画を策定する等により母子家庭等就業・自立支援事業や母子家庭自立支援給付金事業等を総合的・計画的に進め、母子家庭等に対する支援を充実させるとともに、就業支援の実施にあたっては、公共職業安定所等と十分に連携し、効果的な実施に努めることが必要である。

また、母子家庭の母の就業を促進するため、民間事業者に対する協力の要請や母子福祉団体等の受注機会の増大への配慮等、必要な施策を講ずるように努めることも重要である。

さらに、住民に身近な地方公共団体として、母子家庭等に対する相談体制の充実や施策・取組についての情報提供を行うことが必要である。

ウ  障害児施策の充実

障害の原因となる疾病や事故の予防及び早期発見・治療の推進を図るため、妊婦及び乳幼児に対する健康診査や学校における健康診断等を推進することが必要である。

また、障害児の健全な発達を支援し、身近な地域で安心して生活できるようにする観点から、保健、医療、福祉、教育等の各種施策の円滑な連携により、適切な医療及び医学的リハビリテーションの提供、在宅サービスの充実、就学支援を含めた教育支援体制の整備等の一貫した総合的な取組を推進するとともに、児童デイサービス事業を通じて保護者に対する育児相談を推進すること等家族への支援も併せて行うことが必要である。

さらに、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)等発達障害を含む障害のある児童生徒については、障害の状態に応じて、その可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加をするために必要な力を培うため、教員の資質向上を図りつつ、一人一人のニーズに応じた適切な教育的支援を行うことが必要である。

また、発達障害者支援センターにおける相談を紹介することが必要である。特に発達障害については、社会的な理解が十分になされていないことから、適切な情報の周知も必要であり、さらに家族が適切な育児を行えるよう支援を行うことも必要である。

保育所においては、障害児の受入れを推進するとともに、放課後児童健全育成事業においても同様に障害児の受入を推進する。

受入に当たっては、各関係機関との連携を図ることが必要である。

2 都道府県行動計画

都道府県は、次に掲げる都道府県が実施する施策と併せて、各市町村の計画的な施策の実施を支援するための措置を含めて、子どもと子育て家庭への支援に関連する施策及び事業を都道府県行動計画に体系的に盛り込むことが必要である。

都道府県行動計画に盛り込むべき事項としては、法第九条第一項において、(1)地域における子育ての支援、(2)保護を要する子どもの養育環境の整備、(3)母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、(4)子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、(5)子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、(6)職業生活と家庭生活との両立の推進、(7)その他の次世代育成支援対策の実施が掲げられており、こうした施策の領域を踏まえ、計画策定に当たるものとする。

計画の策定に当たっては、次に掲げる次世代育成支援対策として重要な施策を踏まえつつ、各都道府県の実情に応じた施策をその内容に盛り込むことが必要である。

また、各施策の目標設定に当たっては、市町村行動計画も踏まえて、可能な限り定量的に示す等具体的な目標を設定することが必要である。

(1) 地域における子育ての支援

ア  地域における子育て支援サービスの充実

子育て支援に関するシンポジウムやセミナーの開催等により、地域全体で子育ての在り方を考えるための気運づくりや、子育て支援や児童の健全育成に資するための子どもの視点に立った人材の確保・養成及び質の向上に努めることが必要である。

また、特定の市町村において、単独では実施することが困難なサービスがある場合には、広域的な観点から、市町村間の調整を行うことが望ましい。

イ  保育サービスの充実

子どもの健やかな育成と子どもを預ける保護者の安心の確保の観点から、保育所保育指針等を踏まえた保育の質の向上、保育士の専門性の向上と質の高い人材の安定的確保などに努めることが必要である。なお、質の向上に当たっては、保育所職員の研修体制の充実、地域の関係機関との積極的な連携・協力などの施策を盛り込んだアクションプログラムを策定し、都道府県行動計画にもその内容を反映させることが期待される。

また、認定こども園の設置促進など地域や職場の実情に応じた取組を推進していくことが重要である。

さらに、区域内に待機児童が多い市町村を有する都道府県においては、市町村と連携を図りつつ、都道府県保育計画等に基づき保育所受入児童数の計画的な拡充を図り、待機児童の解消に努めることが必要である。

ウ 子育て支援のネットワークづくりc

子育て支援サービス等の質の向上等を図る観点から、子育て支援サービスの都道府県の区域におけるネットワークの形成を促進するとともに、子育て支援サービス等に関する市町村やNPO等の先進的な取組事例を収集し、情報提供する等の支援を行うことが望ましい。

エ  児童の健全育成

児童の健全育成の拠点施設である児童館が、子育て家庭の自由な交流の場や地域における中学生・高校生の活動拠点として、また青少年の健全育成の拠点施設である青少年教育施設が、地域における青少年の活動拠点としての役割を果たすことができるよう、計画的な施設の整備、体系的な研修や人材の養成、効果的な広報活動及び関係機関等の間の連携・協力体制の構築を図ることが必要である。

また、性の逸脱行動の問題点等について、教育・啓発を推進することが必要である。さらに、いじめ問題への対応や少年非行等の問題を抱える児童の立ち直り支援、保護者の子育て支援並びに引きこもり及び不登校への対応においては、児童相談所、学校、保護司、警察、地域ボランティア等が連携して地域社会全体で対処することが必要であり、地域ぐるみの支援ネットワークの整備や個別的・具体的な問題に対して関係機関による専門チームを編成し、対応するための参加・協力体制を整備することが望ましい。

(2) 母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進

母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進を図る観点から、保健、医療、福祉及び教育の分野間の連携を図りつつ、母子保健施策等の充実が図られる必要がある。

また、計画の策定に当たっては、二十一世紀における母子保健の国民運動計画である「健やか親子二十一」の趣旨を十分踏まえたものとすることが望ましい。

さらに、保健所等都道府県において子育て支援の拠点となるべき基盤が適切に整備され、母子保健事業の推進に必要な保健師、管理栄養士等の人材が確保されることが必要である。

ア 子どもや母親の健康の確保

安心して子どもを生み、健やかに育てることができる環境づくりの一環として、救急医療を必要とする未熟児及び妊産婦に対応するため、周産期医療ネットワークの整備を図る等周産期医療体制の整備を進めることが必要である。

また、様々な機会を通じて、誤飲、転落・転倒、やけど等の子どもの事故の予防のための啓発等の取組を進めることが望ましい。

さらに、妊娠及び出産の経過に満足することが良い子育てにつながることから、安全かつ快適であるとともに主体的な選択が可能であるなど、母親の視点からみて満足できる「いいお産」の適切な普及を図ることが重要であり、医療機関等に対する積極的な情報の提供等を行うことが望ましい。

また、出産を望みながらも精神的又は経済的な負担に悩む妊婦に対しては、市町村と連携を図りつつ、相談等の支援の充実を図ることが望ましい。

イ 「食育」の推進

「食事バランスガイド」等の食生活上の指針等を参考とした乳幼児期からの正しい食事の摂り方や望ましい食習慣の定着、食を通じた豊かな人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るとともに、母性の健康の確保を図るため、「食育」について地域社会全体で推進する必要があることから、保健分野や教育分野を始めとする様々な分野が連携しつつ、専門的・広域的観点からの情報収集及び調査研究を進め、効果的な情報提供の体制を整備するとともに、食に関する関係機関等のネットワークづくりを進めることが必要である。

ウ 思春期保健対策の充実

性に関する健全な意識のかん養を図るため、専門的・広域的観点からの情報収集及び調査研究を進め、効果的な情報提供の体制の整備を図るとともに、性に関する関係機関等のネットワークづくりを進めることが必要である。

また、喫煙や薬物等に関する教育、学童期・思春期における心の問題に係る専門家の養成及び地域における相談体制の充実等を進めることが必要である。

エ  小児医療の充実

子どもが地域において、いつでも安心して医療サービスを受けられるよう小児医療の充実を図ること、特に、休日・夜間における小児救急患者を受け入れる小児救急医療体制の整備を推進することが必要である。

オ 小児慢性特定疾患治療研究事業の推進

治療が長期間にわたり医療費の負担も高額となる小児慢性特定疾患について、小児慢性特定疾患治療研究事業を着実に実施することが必要である。

カ 不妊治療対策の充実

子どもを持ちたいのに子どもができない場合に不妊治療を受けるケースが多くなっていることを踏まえ、不妊に関する医学的な相談や不妊による心の悩みの相談等を行う不妊専門相談センターの整備を図るとともに、医療保険が適用されず、高額の医療費がかかる配偶者間の不妊治療への経済的支援を行うことが望ましい。

(3) 子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備

ア 次代の親の育成

男女が協力して家庭を築くこと及び子どもを生み育てることの意義に関する教育・広報・啓発について、各分野が連携しつつ効果的な取組を推進することが必要である。

また、家庭を築き、子どもを生み育てたいと思う男女が、その希望を実現することができるようにするため、地域社会の環境整備を進めることが必要である。

特に、若年者が自立して家庭を持てるようにするため、若年者、特に不安定就労若年者(フリーター)等に対し、意識啓発や職業訓練等を積極的に行うことにより、若年者の能力開発を推進し、適職選択による安定就労及びキャリア形成を支援することが必要である。

イ 子どもの生きる力の育成に向けた学校の教育環境等の整備

次代の担い手である子どもが個性豊かに生きる力を伸長することができるよう、次のような取組により、学校の教育環境等の整備に努めることが必要である。

(ア) 確かな学力の向上

子どもが社会の変化の中で主体的に生きていくことができるよう、知識・技能の確実な習得と思考力、判断力、表現力等の育成が重要であることから、子ども、学校及び地域の実態を踏まえて創意工夫し、子ども一人一人に応じたきめ細かな指導の充実や外部人材の協力による学校の活性化等の取組を推進することが望ましい。

また、高等学校においては、多様化する生徒の実情を踏まえつつ、高校生の学習成果を多面的・客観的に評価する取組を進めるとともに、その結果を高等学校の指導改善等に活用することなどを通じた教育の質の保証と向上を促すことが重要である。

(イ) 豊かな心の育成

豊かな心をはぐくむため、指導方法や指導体制の工夫改善等を進め、子どもの心に響く道徳教育の充実を図るとともに、地域と学校との連携・協力により、農山漁村における長期宿泊体験活動をはじめとした多様な体験活動を推進する等の取組の充実が必要である。また、いじめ、少年非行等の問題行動や不登校に対応するために、専門的な相談体制の強化、学校、家庭、地域及び関係機関との間のネットワークづくり等も必要である。

(ウ) 健やかな体の育成

子どもの体力が低下傾向にあり、生活習慣の乱れや肥満の増加等の現代的課題が指摘されている現状を踏まえ、子どもが生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣、意欲及び能力を育成するため、優れた指導者の育成及び確保、指導方法の工夫及び改善等を進め、体育の授業を充実させるとともに、子どもが自主的に様々なスポーツに親しむことができる運動部活動についても、外部指導者の活用や地域との連携の推進等により改善し、また充実させる等、学校におけるスポーツ環境の充実を図ることが必要である。また、子どもに生涯にわたる心身の健康の保持増進に必要な知識や適切な生活習慣等を身に付けさせるための健康教育を推進することが必要である。

(エ) 信頼される学校づくり

学校運営協議会制度(いわゆるコミュニティ・スクール)の活用等により、地域及び家庭と学校との連携・協力を図ることや、地域の実情に応じた学区の弾力化、総合学科、単位制高校や中高一貫教育校等特色ある学校づくり等の取組を進めることが必要である。

また、指導が不適切な教員に対する人事管理を公正かつ適切に行うとともに、教員一人一人の能力や実績等を適正に評価し、それを配置、処遇、研修等に適切に結び付けることも重要である。

さらに、子どもに安全で豊かな学校環境を提供するために、学校施設の整備を適切に行っていくことも必要である。

あわせて、学校においては、児童生徒が安心して教育を受けることができるよう、各学校が、家庭や地域の関係機関・関係団体とも連携しながら、地域全体で子どもの安全を見守る環境を整備する必要がある。

(ォ) 幼児教育の充実

生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼稚園・保育所・認定こども園を通じた幼児教育全体の質の向上に取り組むとともに、子どもの発達や学びの連続性を確保する観点から、幼児教育と小学校教育の円滑な接続を図ることが重要である。

また、幼児教育の充実のため、各地域の実情を考慮した幼児教育の振興に関する政策プログラムを策定することも必要である。

ウ 家庭や地域の教育力の向上

学校・家庭・地域がそれぞれの役割・責任を自覚し、連携・協力し、地域社会全体で子どもを育てる観点から、家庭や地域の教育力を総合的に高め、社会全体の教育力の向上を目指すことが必要である。

(ア) 家庭教育への支援の充実

都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等により、家庭の教育力の低下が指摘され、社会全体での家庭教育支援の必要性が高まっている。

教育の原点である家庭の教育力を高めるため、それぞれの家庭が置かれている状況やニーズを踏まえ、かつ、家庭教育の自主性を尊重しつつ、身近な地域において、子育てに関する学習機会や情報の提供、相談や専門的人材の養成などの家庭教育に関する総合的な取組を関係機関が連携して行うことが必要である。また、その成果を広く共有し、きめ細かな家庭教育支援が実施される必要がある。

さらに、早寝早起きや朝食を摂るなどの、子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成するための環境を整えることが重要である。

(イ) 地域の教育力の向上

子どもが、自分で課題を見つけ、自ら学び主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する力や、他人を思いやる心や感動する心等の豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力を備えた生きる力を、学校、家庭及び地域が相互に連携しつつ社会全体ではぐくんでいくことが必要である。

このため、地域住民や関係機関等の協力によって、学校と地域のパートナーシップの下に地域で学校を支える体制づくりの推進、森林等の豊かな自然環境等、地域の資源を活用した農林漁業体験や自然体験などの多様な体験活動の機会の積極的な提供、世代間交流の推進及び学校施設の地域開放、広域スポーツセンターの整備、スポーツ指導者の育成等子どもの多様なスポーツニーズに応える地域のスポーツ環境の整備を図ること等により、地域の教育力を向上させ、活力ある地域づくりにもつなげることが必要である。

また、地域における子育てに関連した様々な活動に学校の教職員が自主的に参加するよう働きかけることも望ましい。

エ 子どもを取り巻く有害環境対策の推進

街中の一般書店やコンビニエンスストア等で、性や暴力等に関する過激な情報を内容とする雑誌、ビデオ、コンピュータ・ソフト等が販売されていることに加え、テレビ、インターネット等のメディア上の性や暴力等の有害情報やインターネット上のいじめについては、子どもに対する悪影響が懸念される状況であることから、関係機関・団体やPTA、ボランティア等の地域住民と連携・協力をして、関係業界に対する自主的措置を働きかける必要がある。

また、携帯電話を通じて容易に接続できるインターネット上の有害情報や、インターネット上のいじめから子どもを守るため、子どもの携帯電話やインターネットの利用の実態を把握するとともに、子どもが利用する携帯電話におけるフィルタリング・ソフト又はサービスの普及促進等に努めることが必要である。

さらに、各種メディアへの過度な依存による弊害について啓発するとともに、子どもたちが有害情報等に巻き込まれないよう、地域、学校及び家庭における情報モラル教育を推進することが必要である。

(4) 子育てを支援する生活環境の整備

ア 良質な住宅の確保

住生活基本計画に基づき、深刻な少子化の状況を踏まえ、子育て世帯を支援していく観点から、既存ストックを活用しつつ、市場では十分な量が確保されないファミリー向け賃貸住宅の供給を支援するなどの取組を推進することが望ましい。

また、子育て世帯の居住の安定の確保を図るため、小さな子どものいる世帯に対する公共賃貸住宅における入居資格の緩和や優先入居の実施等に積極的に取り組むとともに、子育て世帯の入居を受け入れることとしている民間賃貸住宅に関する情報提供を進めることが望ましい。

イ 良好な居住環境の確保

住生活基本計画に基づき、子育て世帯が、地域において安全・安心で快適な住生活を営むことができるよう、住宅のユニバーサルデザイン化や子育て支援施設を併設した住宅の供給支援を行うことが望ましい。

また、特に大都市地域において、職住近接型の市街地住宅の供給と良好な住宅市街地の総合的な整備などにより、利便性の高い都心等での居住を希望する子育て世帯のニーズへの対応を図ることが望ましい。

さらに、室内空気環境の安全性を確保する観点から、シックハウス対策を推進することが必要である。

ウ 安全な道路交通環境の整備

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づき、駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路について、移動等の円滑化を推進するほか、生活道路において、都道府県公安委員会による信号機、光ビーコン等、道路管理者による歩道、ハンプ、クランク等の整備を重点的に実施し、生活道路における通過車両の進入や速度の抑制、幹線道路における交通の流れの円滑化等を推進すること等が必要である。

また、妊婦等に配慮した道路上の駐停車場所の確保等について検討することが必要である。

エ 安心して外出できる環境の整備
(ア) 公共施設、公共交通機関、建築物等のバリアフリー化

妊産婦、乳幼児連れの者等すべての人が安心して外出できるよう、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく基本構想等を踏まえ、道路、公園、公共交通機関、公的建築物等において、段差の解消等のバリアフリー化を推進することが必要である。あわせて、妊産婦等への理解を深める「心のバリアフリー」のための取組等を行うことにより、ハード・ソフトの両面から一体的なバリアフリー化を進めていくことが望ましい。

(イ) 子育て世帯にやさしいトイレ等の整備

公共施設等において、子どもサイズの便器・手洗い器、ベビーベッド、ベビーチェア、ゆったりした化粧室、授乳室の設置などの子育て世帯が安心して利用できるトイレの整備や商店街の空き店舗等を活用した託児施設等の場の整備を推進することが必要である。

(ウ) 子育て世帯への情報提供

各種のバリアフリー施設の整備状況等、子育て世帯へのバリアフリー情報の提供を推進することが望ましい。

オ 安全・安心まちづくりの推進等

子どもが犯罪等の被害に遭わないようなまちづくりを進めるため、道路、公園等の公共施設や住居の構造、設備、配置等について、犯罪等の防止に配慮した環境設計を行うことが必要である。

また、侵入による犯罪の防止を図るため、関係機関・団体と連携して、防犯性能の高いドア、窓、シャッター等の建物部品や優良防犯機器の普及促進を図ることが必要である。

(5) 職業生活と家庭生活との両立の推進等

ア 仕事と生活の調和の実現のための働き方の見直し

仕事と生活の調和の実現については、憲章及び行動指針において、労使を始め国民が積極的に取り組むことや、国や地方公共団体が支援することなどにより、社会全体の運動として広げていくことが必要とされている。

このため、地域の実情に応じ、自らの創意工夫の基に、次のような施策を進めることが望ましい。この際、市町村、地域の企業、労働者団体、次世代育成支援対策推進センター、都道府県労働局、子育て支援活動を行う民間団体等と相互に密接に連携、協力し合いながら、地域の実情に応じた取組を進めることが必要である。具体的には、都道府県労働局に設置されている「仕事と生活の調和推進会議」に積極的に参画する等により密接な連携を図ることが考えられる。

(ア) 仕事と生活の調和の実現に向けた労働者、事業主、地域住民の理解や合意形成を促進するための広報・啓発
(イ) 次世代育成支援対策推進法等の関係法制度及び一般事業主行動計画に関する労働者、事業主、地域住民への広報・啓発
(ウ) 仕事と生活の調和や次世代育成支援対策に取り組む企業や民間団体の好事例の情報の収集提供等
(エ) 研修やコンサルタント・アドバイザーの派遣
(オ) 認定マーク(くるみん)の周知、表彰制度等仕事と生活の調和を実現している企業を社会的に評価することを促進
イ 仕事と子育ての両立のための基盤整備

市町村と連携を図りつつ、広域的な観点から保育サービスの充実等多様な働き方に対応した子育て支援を展開する。

(6) 子ども等の安全の確保

ア 子どもの交通安全を確保するための活動の推進

子どもを交通事故から守るため、市町村、保育所、学校、児童館、関係民間団体等との連携・協力体制の強化を図り、総合的な交通事故防止対策を推進することが必要である。

(ア) 交通安全教育の推進

子ども及び子育てを行う親等を対象とした参加・体験・実践型の交通安全教育を交通安全教育指針に基づき段階的かつ体系的に行うことが必要である。

また、地域の実情に即した交通安全教育を推進するため、交通安全教育に当たる職員の指導力の向上及び地域における民間の指導者の育成を図るとともに、地域における交通事故を様々な角度から総合的・科学的に調査・分析し、事故の発生要因等に応じた効果的な事故防止対策を策定することが必要である。

(イ) チャイルドシートの正しい使用の徹底

チャイルドシートの正しい使用の徹底を図るため、チャイルドシートの使用効果及び正しい使用方法について普及啓発活動を積極的に展開するとともに、正しい使用を指導する指導員を養成することにより、幼児の保護者等に対する指導・助言、情報提供等の充実を図るほか、チャイルドシートの貸出制度等を積極的に実施・拡充することにより、チャイルドシートを利用しやすい環境づくりを進めることが必要である。

(ウ) 自転車の安全利用の推進

児童・幼児の自転車乗車時の乗車用ヘルメットの着用を推進するとともに、現在、幼児二人同乗用自転車の開発に向けた取組が行われていることを踏まえ、少子化対策や子育て支援の観点から同自転車の普及が促進されるよう、貸出制度、助成制度等の導入や安全利用に係る情報提供等について検討することが必要である。

イ  子どもを犯罪等の被害から守るための活動の推進

子どもを犯罪等の被害から守るため、次の施策を講ずることが必要である。

(ア) 住民の自主防犯行動を促進するため、犯罪等に関する情報の提供を推進
(イ) 子どもを犯罪等の被害から守るため、関係機関・団体との情報交換を実施
(ウ) 学校付近や通学路等においてPTA等の学校関係者や防犯ボランティア、少年警察ボランティア等の関係機関・団体と連携したパトロール活動等の安全対策を推進するとともに、学校と警察との橋渡し役としてのスクールサポーター制度の導入
(エ) 子どもが犯罪の被害に遭わないようにするための防犯講習の実施
(オ) 子どもの安全確保等のために活動する防犯ボランティア等に対する支援
ウ 被害に遭った子どもの保護の推進

犯罪、いじめ、児童虐待等により被害を受けた少年の精神的ダメージを軽減し、立ち直りを支援するため、子どもに対するカウンセリング、保護者に対する助言等学校等の関係機関と連携したきめ細かな支援を実施することが必要である。

(7) 要保護児童への対応などきめ細かな取組の推進

ア 児童虐待防止対策の充実

児童虐待を防止し、すべての児童の健全な心身の成長、ひいては社会的自立を促していくためには、発生予防から早期発見・早期対応、保護・支援に至るまでの切れ目のない総合的な支援を講ずる必要がある。また、特に児童虐待による深刻な被害や死亡事例が生じることはあってはならないとの認識の下、福祉関係者のみならず、医療、保健、教育、警察等の関係機関を含めた地域全体で子どもを守る支援体制を構築し、相互に情報を共有することが必要である。

(ア) 児童相談所の体制の強化

児童虐待の防止は、その予防対策から虐待を受けた子どもの保護、そして、自立に至るまでの支援、更には親への指導等多様な機関が長期間にわたり支援していくことが必要である。このため、その中心である児童相談所が、一時保護所の機能も含め児童虐待に関するアセスメントを的確に実施する機能の充実を図るとともに、重篤なケース等について支援の過程を管理することを含めて十分な関わりを持つようにするための体制の強化を図ることが必要である。

(イ) 市町村や関係機関との役割分担及び連携の推進

児童相談所が児童虐待に十分に対応していくためには、児童相談所自体の体制を強化するのみならず、市町村や関係機関との適切な役割分担及び連携を推進していくことが重要である。このため、住民に身近な市町村の体制を整備するため、子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の設置促進や機能強化を図るための一環として、当該ネットワークの関係者に向けた専門性向上のための研修を実施する等の市町村の支援措置を講じるとともに、地域において専門的な知識及び技術を必要とする相談支援等を行い、保護指導者の委託先となる児童家庭支援センター等を積極的に活用していくことが必要である。

(ウ) 児童虐待による死亡事例等の重大事例の検証

児童虐待による死亡事例等児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例が生じた場合、当該事例について地域特性を踏まえた検証作業を行い、その結果に基づき必要な措置を講じることにより、このような死亡事例等の再発を防止することが求められる。

イ 社会的養護体制の充実

社会的養護体制の質・量ともに充実を図るため、(1)現に児童養護施設等へ入所している又は里親等に委託されている要保護児童の人数、(2)児童相談所で受理した相談等のうち、現に児童養護施設等へ入所等をしていないが、入所等を必要とする可能性のある児童の人数、(3)一時保護所で長期に保護されている児童の人数、(4)児童相談所における相談対応件数の推移、(5)要保護児童の保護等に関し、積極的に取り組んでいると考えられる他の都道府県の状況その他社会的養護を必要とする児童の人数の伸び等を把握するために適当と考えられる指標を勘案して、平成二十九年度までの必要量を念頭に、後期行動計画期間の必要量を定めること。

なお、一時保護所については、一時保護委託も含めて、社会的養護体制の整備量に見合う定員及び個別対応できる居室の確保等すべての児童が安心して生活できることのできる環境整備等を勘案して計画を作成する必要がある。

社会的養護体制の整備に当たっては、前記の必要量を見込むほか、次に記載する項目を参考とし、家庭的養護の一層の推進を図るとともに、権利擁護の強化や人材育成等も含め、ケアの質の確保を図るための体制確保について併せて進める必要がある。

(ア) 家庭的養護の推進

里親制度を充実し、里親委託を推進するため、新規里親の開拓、子どもを受託している里親に対する支援の充実を図ることが必要である。また、里親委託率については、地域の実情に応じ、現在の委託率より一定以上委託率が上がるよう、目標を設定する。

この際、児童相談所における支援の強化のみならず、里親支援機関等の地域資源の活用を図りつつ、進めることが必要である。

さらに、小規模住居型児童養育事業について、地域における普及の状況を踏まえつつ、家庭的養護の一形態として促進を図る必要がある。

(イ) 施設機能の見直し

心理的ケアや治療を必要とする子どもに対する専門的なケアや自立支援に向けた取組、継続的・安定的な環境での支援の確保、ケア単位の小規模化とそこにおける家庭的な養護、子どものプライバシーに配慮した生活環境の整備を推進する必要がある。

(ウ) 家庭支援機能等の強化

家庭支援機能の強化を図るためには、アで示したように、児童相談所の体制強化を進めるとともに、市町村や児童家庭支援センター等の関係機関との役割分担及び連携を推進する必要がある。この際、特に、児童家庭支援センターについては、児童相談所と連携し、その委託を受けて保護者指導を行うことや、市町村等関係機関に専門的・技術的助言を行うこと等の積極的な役割を担うことが期待されることから、その活用を図ることが求められる。

また、母子生活支援施設については、その特性を活かし、福祉事務所、児童相談所、婦人相談所等と連携し、母親と子どもの関係性に着目した支援を推進することが求められる。

(エ) 自立支援策の強化

施設を退所した者等に対し、自立を促す自立援助ホームの設置を推進する。この際、自立援助ホームについては、施設を退所する者等の数や地域の実情等を勘案し、当該地域における必要量を見込む必要がある。

また、これらの者が気軽に相談できる拠点を用意するなど社会的養護の下で育った子ども等が地域生活を送るために必要な支援体制の整備を推進する必要がある。

(オ) 人材確保のための仕組みの強化

社会的養護の質を確保するため、その担い手となる職員及びその専門性を確保するための研修体制の整備を進める必要がある。

この際、見込んだ必要量に見合った必要な人材育成を進めることができるよう体制を整備する必要がある。

(カ) 子どもの権利擁護の強化

子どもの権利擁護の強化を図るため、被措置児童等虐待に対する措置のほか、ケアの質の向上のための取組を進める必要がある。

このため、被措置児童等虐待に関する通告や子どもからの届出の受付、通告等があった場合の対応、被措置児童等虐待が起こった場合の適切な措置等に関し、ガイドラインを定め、都道府県においてあらかじめ対応について意識を共有するとともに、適切な対応を取ることができる体制を整備することが必要である。運用に当たっては、必要に応じてガイドラインの見直しや体制の見直しを適宜進める必要がある。

さらに、都道府県児童福祉審議会などの体制についても、実情に応じた適切な運用が図られるよう、体制を整える必要がある。

また、施設におけるケアの質の向上を進めるため、ケアの質に関しても監査できる体制を整備するとともに、施設における第三者評価の受審を推進することが必要である。

ウ  母子家庭等の自立支援の推進

母子及び寡婦福祉法等の規定を踏まえ、母子家庭及び寡婦自立促進計画の策定等により、母子家庭等就業・自立支援事業や母子家庭自立支援給付金事業等の母子家庭等施策を総合的・計画的に進めるとともに、市町村が実施する就業支援や生活支援が円滑に進むよう、市町村における母子家庭及び寡婦自立促進計画の策定状況や各種施策の取組状況等についての情報提供を行うなど、広域的な観点から市町村に対する支援を行うことが必要である。また、就業支援の実施にあたっては、公共職業安定所等と十分に連携し、効果的な実施に努めることが必要である。

さらに、母子家庭の母の就業を促進するため、民間事業者に対する協力の要請や母子福祉団体等の受注機会の増大への配慮等、必要な施策を講ずるように努めることも重要である。

エ  障害児施策の充実

市町村における保健、医療、福祉、教育等の各種施策が体系的かつ円滑に実施されるよう、専門的・広域的な観点からの支援を行うとともに、自立支援医療(育成医療)の給付、障害に応じた専門医療機関の確保等を通じ、適切な医療を提供することが必要であるほか、教育支援体制の整備を図る等の総合的な取組を進めることが必要である。

発達障害については、社会的な理解が十分なされていないことから適切な情報の周知も必要である。発達障害者支援センターについては、関係機関や保護者に対する専門的情報の提供や支援手法の普及が必要になっていることから、職員の専門性を十分確保するとともに、専門的情報や支援手法の提供を推進することが必要である。

また、特別支援学校については、特別支援教育教諭免許状保有率の向上を図る等専門性の向上に努めるとともに、在籍する児童生徒等への教育や指導に加えて、小学校、中学校等の教員の資質向上策への支援・協力、地域の保護者等への相談支援や小学校、中学校等における障害のある児童生徒等への教育的支援を行うことが必要である。

六 一般事業主行動計画の策定に関する基本的な事項

1 一般事業主行動計画の策定に当たっての基本的な視点
(1) 労働者の仕事と生活の調和の推進という視点

憲章においては、企業とそこで働く者は協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ、働き方の改革に自主的に取り組むこととされている。また、行動指針においては、社会全体の目標として、週労働時間六十時間以上の雇用者の割合、年次有給休暇取得率、男女の育児休業取得率及び第一子出産前後の女性の継続就業率等の数値目標が掲げられており、こうした目標を踏まえた取組が求められている。

(2) 労働者の仕事と子育ての両立の推進という視点

子育てをする労働者が子育てに伴う喜びを実感しつつ、仕事子育ての両立を図ることができるようにするという観点から、労働者のニーズを踏まえた次世代育成支援対策を実施することが必要であり、特に、子育ては男女が協力して行うべきものとの視点に立った取組が重要である。

(3) 企業全体で取り組むという視点

企業による次世代育成支援対策は、業務内容や業務体制の見直し等をも必要とするものであることから、企業全体での理解の下に取組を進めることが必要である。このため、経営者自らが、企業全体で次世代育成支援対策を積極的に実施するという基本的な考え方を明確にし、主導的に取り組んでいくことが必要である。

更に、企業によっては全国に事業所が存在し、事業所における職種の違いや、その地域の実情により、仕事と子育ての両立支援策への具体的なニーズは様々であることが想定されることから、一般事業主行動計画を企業全体として策定した上で、必要に応じて事業所ごとの実情に応じた効果的な取組を自主的に進めることが期待される。

(4) 企業の実情を踏まえた取組の推進という視点

子育てを行う労働者の多少、企業の業種又は構成割合の高い労働者の職種、雇用形態等の違い等により、仕事と子育ての両立支援策への具体的なニーズは企業によって様々であることが想定されることから、関係法令を遵守した上で、企業がその実情を踏まえ、効果的な取組を自主的に決定し進めていくことにより、社会全体の取組を進めることが必要である。

(5) 取組の効果という視点

次世代育成支援対策を推進することは、将来的な労働力の再生産に寄与し、我が国の経済社会の持続的な発展や企業の競争力の向上に資するものであることを踏まえつつ、また、個々の企業にとっても、当該企業のイメージ・アップや優秀な人材の確保、定着等の具体的なメリットが期待できることを理解し、主体的に取り組むことが必要である。

(6) 社会全体による支援の視点

次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、国及び地方公共団体はもとより、企業や地域社会を含めた社会全体で協力して取り組むべき課題であることから、様々な担い手の協働の下に対策を進めていくという視点が必要である。

(7) 地域における子育ての支援の視点

各企業に雇用される労働者は、同時に地域社会の構成員であり、その地域における子育て支援の取組に積極的に参加することが期待されていることや、地域において、子育てしやすい環境づくりを進める中で各企業にも期待されている役割を踏まえた取組を推進することが必要である。

2  一般事業主行動計画の計画期間

一般事業主行動計画は、経済社会環境の変化や労働者のニーズ等を踏まえて策定される必要があり、計画期間内において、一定の目標が達成されることが望ましい。したがって、計画期間については、各業の実情に応じて、次世代育成支援対策を効果的かつ適切に実施することができる期間とすることが必要であり、平成十七年度から平成二十六年度の十年間をおおむね二年間から五年間までの範囲に区切り、計画を策定することが望ましい。

3  次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標

一般事業主行動計画においては、各企業の実情を踏まえつつ、より一層労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備その他の次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標を定める必要がある。

目標については、育児休業の男女別取得率等の制度の利用状況に関するもの、仕事と子育ての両立が図られるようにするための制度の導入に関するもの等の幅広い分野から企業の実情に応じた目標を設定すべきものであるが、可能な限り定量的な目標とする等、その達成状況を客観的に判断できるものとすることが望ましい。

また、各企業における労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするための雇用環境の整備に関する取組の状況や課題を把握し、各企業の実情に応じ、必要な対策を実施していくことが重要であるが、この際、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長が定めた「両立指標に関する指針」を活用することも効果的であるとともに、「両立指標に関する指針」による評価の結果を目標として定めることも考えられる。

4  その他基本的事項
(1) 推進体制の整備

一般事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施を実効あるものとするため、まず、管理職や人事労務管理担当者に対し、その趣旨を徹底することが必要であるとともに、子育てを行う労働者を含めたすべての関係労働者の理解を得ながら取り組んでいくことが重要である。このため、各企業における次世代育成支援対策の推進体制の整備を図ることが必要であり、その方策として次のような措置を講ずることが望ましい。

ア 次世代育成支援対策を効果的に推進するため、人事労務担当者、労働者の代表等を構成員とした一般事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施のための社内委員会の設置等
イ  次世代育成支援対策に関する管理職や労働者に対する研修・講習、情報提供等の実施
ウ  仕事と子育ての両立等についての相談・情報提供を行う窓口の設置及び当該相談・情報提供等を適切に実施するための担当者の配置

また、各企業が一般事業主行動計画を策定する際に、同一業種の企業及び事業主の団体等と連携することにより、より効果的な取組を進めることも考えられる。

(2) 労働者の意見の反映のための措置

仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備に対する労働者のニーズは様々であり、必要な雇用環境の整備を効果的に実施するためには、こうした労働者のニーズも踏まえることが重要である。このため、労働者や労働組合等に対するアンケート調査や意見聴取等の方法により、次世代育成支援対策に関する労働者の意見の反映について、企業の実情に応じて工夫することが必要である。

(3) 計画の公表及び周知

一般事業主行動計画の策定義務のある事業主は計画の公表及び労働者への周知が義務とされ、一般事業主行動計画の策定が努力義務とされている事業主は、計画の公表及び労働者への周知が努力義務とされたところである。

一般事業主行動計画の公表により、事業主が、他の企業における取組事例を知ることができること、国民が事業主の次世代育成支援の取組について知ることができるようになり、また、就労希望者の企業選択に資すること、都道府県及び市町村が地域における次世代育成支援の取組を進める際に、地域の事業主の取組を知ることができ、円滑な連携を図ることが可能となることなどの効果が期待される。

このため、策定した一般事業主行動計画については、「両立支援のひろば」や自社のホームページなど適切な方法で公表するとともに、自社の様々な両立支援の取組やその実施状況を併せて公表する等その公表方法を工夫することが期待される。

また、策定した一般事業主行動計画に定めた目標の達成に向けて、企業全体で取り組むため、計画を企業内に周知し、企業全体で取組を推進することが重要である。

このため、策定した一般事業主行動計画については、全ての労働者が知りうるように書面の交付や電子メールによる送付など適切な方法で周知するとともに、啓発資料の作成・配布、研修・講習の実施等を併せて行うことが期待される。特に、次世代育成支援対策を企業全体で推進するという意識を浸透させるため、経営者の主導の下、管理職や人事労務管理担当者に対する周知を徹底することが期待される。

なお、一般事業主行動計画に基づき次世代育成支援対策を実施する場合、労働者の労働時間その他の労働条件の変更を伴うなど一定の場合には、就業規則、労働協約等に明記することが必要である。

(4) 計画の実施状況の点検

一般事業主行動計画の推進に当たっては、計画の実施状況を把握・点検し、その結果を踏まえて、その後の対策の実施や計画の見直し等に反映させることが期待される。

(5) 基準に適合する一般事業主の認定

法第十三条の基準に適合する一般事業主の認定及び法第十四条第一項の表示の制度を活用することにより、子育てしながら働きやすい雇用環境の整備に取り組んでいることを外部に広く周知することが容易となり、その結果、企業イメージの向上及び優秀な人材の確保、定着等を通じ、企業経営にメリットを生じさせることが期待できる。したがって、一般事業主行動計画を実施し、当該計画に定めた目標を達成した場合等に、認定を申請することを念頭に置きつつ、計画の策定やこれに基づく措置の実施を行うことが望ましい。また、当該認定を受けることを希望する場合には、法第十三条の厚生労働省令で定める基準を踏まえた一般事業主行動計画を策定することが必要である。

また、認定を取得した企業においては、他の企業の取組を促す観点からも、法第十四条第一項の認定を受けた旨の表示を積極的に活用することが期待される。

七 一般事業主行動計画の内容に関する事項

六の一般事業主行動計画の策定に関する基本的な事項を踏まえ、計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標並びに実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期を記載した一般事業主行動計画を策定する。

計画の策定に当たっては、次世代育成支援対策として重要なものと考えられる次のような事項を踏まえ、各企業の実情に応じて、必要な事項をその内容に盛り込むことが望ましい。

1 雇用環境の整備に関する事項
(1) 子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備
ア  妊娠中及び出産後における配慮

母性保護及び母性健康管理を適切かつ有効に実施するため、妊娠中及び出産後の労働者に対して、制度を積極的に周知するとともに、情報の提供、相談体制の整備等を実施する。

イ  子どもの出生時における父親の休暇の取得の促進

子育ての始まりの時期に親子の時間を大切にし、子どもを持つことに対する喜びを実感するとともに出産後の配偶者を支援するため、子どもが生まれて父親となる労働者について、例えば五日間程度の休暇を取得しやすい環境を整備する。具体的には、子どもが生まれる際に取得することができる休暇制度の創設や、子どもが生まれる際の年次有給休暇、配偶者の産後八週間以内の期間における育児休業の取得促進を図る。

ウ  より利用しやすい育児休業制度の実施

より利用しやすい育児休業制度とするため、その雇用する労働者のニーズに配慮して、その期間、回数等について、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号。以下「育児・介護休業法」という。)に規定する育児休業制度を上回る措置を実施する。

エ  育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備

育児休業を取得しやすく、また、育児休業後の就業が円滑に行われるような環境を整備し、育児休業の取得を希望する労働者について、その円滑な取得を促進するため、例えば、次に掲げる措置を実施する。

(ア) 男性の育児休業の取得を促進するための措置

「パパ・ママ育休プラス」の制度や専業主婦の夫でも育児休業を取得できることについての周知等、男性の育児休業の取得を促進するための措置を実施する。

(イ) 育児休業に関する定めの周知

労働者の育児休業中における待遇及び育児休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項について、労働者に周知する。取得する期間について当該労働者の業務を円滑に処理することができるよう、当該育児休業期間について当該業務を処理するための労働者の確保、業務内容や業務体制の見直し等を

(ウ) 育児休業期間中の代替要員の確保等

育児休業を取得する期間について当該労働者の業務を円滑に処理することができるよう、当該育児休業期間について当該業務を処理するための労働者の確保、業務内容や業務体制の見直し等を実施する。

(エ) 育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等

育児休業をしている労働者の希望に応じて、当該労働者の職業能力の開発及び向上等のための情報の提供、円滑な職場復帰のための講習、育児等に関する相談その他の援助を実施する。

(オ) 育児休業後における原職又は原職相当職への復帰

育児休業をした労働者について、当該育児休業後に原職又は原職相当職に復帰させるため、業務内容や業務体制の見直し等を実施する。

オ  短時間勤務制度等の実施

働き続けながら子育てを行う労働者が子育てのための時間を確保できるようにするため、子どもを育てる労働者のうち希望する者が利用できる制度として、次に掲げる措置のうち適切なものを実施する。

(ア) 三歳以上の子を養育する労働者に対する所定外労働の免除
(イ) 三歳以上の子を養育する労働者に対する短時間勤務制度
(ウ) フレックスタイム制度
(エ) 始業・終業時刻の繰上げ又は繰下げの制度
カ 事業所内保育施設の設置及び運営

子どもを育てる労働者が利用することができる事業所内保育施設の設置及び運営について、他の企業と共同で設置することも含め、検討を行い、実施する。

キ  子育てサービスの費用の援助の措置の実施

労働者からの委任を受けてベビーシッターを手配し、当該ベビーシッターに係る費用を負担するなど、子どもを育てる労働者が子育てのためのサービスを利用する際に要する費用の援助を行う。

ク  子どもの看護のための休暇の措置の実施

子の看護休暇について、一時間を単位とする取得を可能とする等の弾力的な利用が可能となるような制度等より利用しやすい制度を導入する。

ケ  勤務地、担当業務等の限定制度の実施

希望する労働者に対して、子育てをしやすくすることを目的として、勤務地、担当業務、労働時間等を限定する制度を講ずる。

コ  その他子育てを行う労働者に配慮した措置の実施

アからコまでに掲げるもののほか、子育てを行う労働者の社宅への入居に関する配慮、子育てのために必要な費用の貸付けの実施、子どもの学校行事への参加のための休暇制度の導入その他の子育てをしながら働く労働者に配慮した措置を講ずる。

サ  諸制度の周知

育児休業、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限及び所定労働時間の短縮措置の育児・介護休業法に基づく労働者の権利や、休業期間中の育児休業給付の支給等の経済的な支援措置等の関係法令に定める諸制度について、広報誌に記載する等、手法に創意工夫を凝らし労働者に対して積極的に周知する。

シ  育児等退職者についての再雇用特別措置等の実施

出産や子育てのために退職し、退職の際、将来、再就職を希望する旨を申し出た者を優先的に採用する再雇用特別措置や母子家庭の母の就業促進のための措置を講ずる。

(2) 働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備
ア 所定外労働の削減

子育て世代の男性を中心に、長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移していることから、所定外労働は、本来、例外的な場合にのみ行われるものであるという認識を深め、次のような所定外労働を削減するための方策等を検討し、実施する。企業内に安易に残業するという意識がある場合には、それを改善するための意識啓発等の取組を行う。

(ア) 労働時間等設定改善委員会をはじめとする労使間の話合いの機会の整備
(イ) 「ノー残業デー」や「ノー残業ウィーク」の導入・拡充
(ウ) フレックスタイム制や変形労働時間制の活用
(エ) 時間外労働協定における延長時間の短縮
イ  年次有給休暇の取得の促進

年次有給休暇の取得を促進するため、年次有給休暇に対する意識の改革を図り、計画的付与制度を活用するとともに、労働者の取得希望時期をあらかじめ聴取し、年間の取得計画を作成すること等職場における年次有給休暇の取得を容易にするための措置を講ずる。

ウ 短時間正社員制度導入・定着

短時間正社員制度については、個々人のライフスタイルに応じた多様な働き方の選択肢につながることからその導入・定着が図られることが期待される。

エ 在宅勤務等の導入

在宅勤務やテレワーク(情報通信技術(IT)を利用した場所・時間にとらわれない働き方)等は、職住近接の実現による通勤負担の軽減に加え、多様な働き方の選択肢を拡大するものであり、仕事と子育ての両立のしやすい働き方である点に着目し、その導入の推進を図る。

オ  職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識等の是正のための取組

職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識等の働きやすい環境を阻害する職場における慣行その他の諸要因を積極的に解消するため、管理職を含めたその雇用する労働者すべてを対象として、情報提供、研修等による意識啓発を行う。

2  その他の次世代育成支援対策に関する事項
(1) 子育てバリアフリー

多数の来訪者が利用する社屋等において、子どもを連れた人が安心して利用できるよう、託児室・授乳コーナーや乳幼児と一緒に安心して利用できるトイレの設置等の整備を行う。

また、商店街の空き店舗等を活用して、託児施設等各種の子育て支援サービスの場を提供する。

(2) 子ども・子育てに関する地域貢献活動
ア  子ども・子育てに関する活動の支援

地域において、子どもの健全育成、疾患・障害を持つ子どもの支援、子育て家庭の支援等を行うNPOや地域団体等について、その活動への労働者の積極的な参加を支援する。

イ  子どもの体験活動等の支援

子どもの多様な体験活動等の機会の充実を図るため、職場見学を実施すること、子どもが参加する地域の行事・活動に企業内施設や社有地を提供すること、各種学習会等の講師、ボランティアリーダー等として社員を派遣すること、子どもの体験活動を行うNPO等に対する支援を行うこと等に取り組む。

ウ  子どもを交通事故から守る活動の実施や支援

子どもを交通事故から守るため、労働者を地域の交通安全活動に積極的に参加させるなど、当該活動を支援するとともに、業務に使用する自動車の運転者に対する交通安全教育、チャイルドシートの貸出し等、企業内における交通の安全に必要な措置を実施する。

エ  安全で安心して子どもを育てられる環境の整備

子どもを安全な環境で安心して育てることができるよう、地域住民等の自主防犯活動や少年非行防止、立ち直り支援のためのボランティア活動等への労働者の積極的な参加を支援する。

(3) 企業内における「子ども参観日」の実施

保護者でもある労働者の子どもとふれあう機会を充実させ、心豊かな子どもをはぐくむため、子どもが保護者の働いているところを実際に見ることができる「子ども参観日」を実施する。

(4) 企業内における学習機会の提供等による家庭の教育力の向上

保護者でもある労働者は、子どもとの交流の時間が確保しにくい状況にあるとともに、家庭教育に関する学習機会への参加が難しい状況にあるため、企業内において、家庭教育講座等を地域の教育委員会やNPO等と連携して開設する等の取組により、家庭教育への理解と参画の促進を図る。

(5) 若年者の安定就労や自立した生活の促進

次代の社会を担う若年者の能力開発や適職選択による安定就労を推進するため、若年者に対するインターンシップ等の就業体験機会の提供、トライアル雇用等を通じた雇入れ又は職業訓練の推進を行う。

八  特定事業主行動計画の策定に関する基本的な事項

1  特定事業主行動計画の策定に当たっての基本的な視点
(1) 職員の仕事と生活の調和の推進という視点

憲章においては、仕事と生活の調和した社会の実現に向け、職場の意識や職場風土の改革とあわせ、働き方の改革に取り組むことが必要とされている。また、行動指針においては、社会全体の目標として、週労働時間六十時間以上の雇用者の割合、年次有給休暇取得率及び第一子出産前後の女性の継続就業率等の数値目標が掲げられており、こうした目標を踏まえた取組が求められている。

(2) 職員の仕事と子育ての両立の推進という視点

子育てをする職員が子育てに伴う喜びを実感しつつ、仕事と子育ての両立を図ることができるようにするという観点から、職員のニーズを踏まえた次世代育成支援対策を実施することが必要であり、特に、子育ては男女が協力して行うべきものとの視点に立った取組が重要である。

(3) 機関全体で取り組むという視点

特定事業主による次世代育成支援対策は、業務内容や業務体制の見直し等をも必要とするものであることから、それぞれの機関全体での理解の下に取組を進めることが必要である。このため、大臣や地方公共団体の長等の各機関の長を含め、機関全体で次世代育成支援対策を積極的に実施するという基本的な考え方を明確にし、主導的に取り組んでいくことが必要である。

(4) 機関の実情を踏まえた取組の推進という視点

各機関においては、その機関の任務、所在する地域等により、勤務環境や子育てを取り巻く環境は異なることを踏まえつつ、その機関の実情に応じて効果的な次世代育成支援対策に取り組むことが必要である。

(5) 取組の効果という視点

次世代育成支援対策を推進することは、将来的な労働力の再生産に寄与することを踏まえつつ、また、当該機関のイメージアップや優秀な人材の確保、定着等の具体的なメリットが期待できることを理解し、主体的に取り組むことが必要である。

(6) 社会全体による支援の視点

次世代育成支援対策は、家庭を基本としつつも、社会全体で協力して取り組むべき課題であることから、様々な担い手の協働の下に対策を進めていくことが必要であり、特に、職員の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするための環境の整備が強く求められている中で、特定事業主においては、率先して、積極的な取組を推進することが必要である。

(7) 地域における子育ての支援の観点

各機関に勤務する職員は、同時に地域社会の構成員であり、その地域における子育て支援の取組に積極的に参加することが期待されていることや、地域において、子育てしやすい環境づくりを進める中で各機関にも期待されている役割を踏まえた取組を推進することが必要である。

2 特定事業主行動計画の計画期間

特定事業主行動計画は、経済社会環境の変化や職員のニーズ等を踏まえて策定される必要があり、計画期間内において、一定の目標が達成されることが望ましい。したがって、計画期間については、各特定事業主の実情に応じて設定することができるものの、平成十七年度から平成二十六年度の十年間のうち、おおむね五年間を一期とし、おおむね三年ごとに見直すことが望ましい。

3  次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標

特定事業主行動計画においては、各特定事業主の実情を踏まえつつ、より一層職員の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な勤務環境の整備その他の次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標を定めることが必要である。

目標については、育児休業の男女別取得率等の制度の利用状況に関するもの、仕事と子育ての両立が図られるようにするための取組に関するもの等の幅広い分野から各機関の実情に応じた目標を設定すべきものであるが、可能な限り定量的な目標とする等、その達成状況を客観的に判断できるものとすることが望ましい。

4  特定事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施に係る手続
(1) 推進体制の整備

特定事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施を実効あるものとするため、まず、管理職や人事担当者に対し、その趣旨を徹底することが必要であるとともに、子育てを行う職員を含めたすべての職員の理解を得ながら取り組んでいくことが重要である。このため、各機関における次世代育成支援対策の推進体制の整備を図ることが必要であり、その方策として次のような措置を講ずることが必要である。

ア  次世代育成支援対策を効果的に推進するため、各部局における人事担当者等を構成員とした特定事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施のための委員会の設置等
イ  次世代育成支援対策に関する管理職や職員に対する研修・講習、情報提供等の実施
ウ  仕事と子育ての両立等についての相談・情報提供を行う窓口の設置及び当該相談・情報提供等を適切に実施するための担当者の配置
(2) 職員の意見の反映のための措置

仕事と子育ての両立を図るための勤務環境の整備に対する職員のニーズは様々であり、必要な勤務環境の整備を効果的に実施するためには、こうした職員のニーズも踏まえることが重要である。このため、職員に対するアンケート調査や意見聴取等の方法により、次世代育成支援対策に関する職員の意見の反映について、機関の実情に応じて工夫することが必要である。

(3) 計画の公表

法第十九条第三項では、特定事業主は、特定事業主行動計画を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないとされていることから、広報誌やホームページへの掲載等により適時かつ適切に公表することが必要である。

(4) 計画の周知

策定した特定事業主行動計画に定めた目標の達成に向けて、機関全体で取り組むため、計画を機関内に周知し、機関全体で取組を推進することが重要である。

このため、策定又は変更した特定事業主行動計画については、全ての職員が知りうるように書面の交付や電子メールによる送付など適切な方法で周知するとともに、啓発資料の作成・配布、研修・講習の実施等を併せて行うことが期待される。特に、次世代育成支援対策を機関全体で推進するという意識を浸透させるため、大臣や地方公共団体の長等の各機関の長等の主導の下、管理職や人事担当者に対する周知を徹底することが期待される。

(5) 計画の実施状況の点検及び公表

特定事業主行動計画の推進に当たっては、計画の実施状況を一括して把握・点検できる体制を整えた上で、各年度において、把握等をした結果を踏まえて、その後の対策の実施や計画の見直し等に反映させることが必要である。

また、法第十九条第五項では、毎年少なくとも一回、特定事業主行動計画に基づく措置の実施状況を公表しなければならないとされており、前年度の取組状況や目標に対する実績等について広報誌やホームページへの掲載等により公表することが必要である。

九 特定事業主行動計画の内容に関する事項

八の特定事業主行動計画の策定に関する基本的な事項を踏まえ、計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標並びに実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期を記載した特定事業主行動計画を策定する。

計画の策定に当たっては、次世代育成支援対策として重要なものと考えられる次のような事項を踏まえ、各特定事業主の実情に応じて、必要な事項をその内容に盛り込むことが望ましい。

1 勤務環境の整備に関する事項
(1) 妊娠中及び出産後における配慮

母性保護及び母性健康管理を適切かつ有効に実施するため、妊娠中及び出産後の職員に対して、次の制度等について周知する。

ア  危険有害業務の就業制限

イ  深夜勤務及び時間外勤務の制限

ウ  健康診査及び保健指導のために勤務しないことの承認

エ  業務軽減等

オ  通勤緩和

また、あわせて、出産費用の給付等の経済的な支援措置についても、職員に対して周知する。

(2) 子どもの出生時における父親の休暇等の取得の促進

子育ての始まりの時期に親子の時間を大切にし、子どもを持つことに対する喜びを実感するとともに出産後の配偶者を支援するため、すべての男性職員が取得できる子どもが生まれた時の配偶者出産休暇並びに妻の産後等の期間中の育児参加休暇及び育児休業等について周知し、これら休暇等の取得を促進する。

また、このような休暇等を取得することについて、職場における理解が得られるための環境づくりを行う。

(3) 育児休業等を取得しやすい環境の整備等

育児休業、育児短時間勤務又は育児時間(地方公務員においては「育児のための部分休業」をいう。以下同じ。)の取得を希望する職員について、その円滑な取得の促進等を図るため、次に掲げる措置を実施する。

ア  育児休業等の周知

男性も育児休業、育児短時間勤務又は育児時間を取得できることや、育児休業等の制度の趣旨及び内容や休業期間中の育児休業手当金の支給等の経済的な支援措置について、職員に対して周知する。

イ  育児休業等経験者に関する情報提供

育児休業、育児短時間勤務又は育児時間を実際に取得した職員の体験談をまとめた冊子の配布等を行うことにより、育児休業等を取得することのメリットを周知するとともに、育児休業等の取得を希望する職員の不安の軽減を図る。

ウ  育児休業等を取得しやすい雰囲気の醸成

育児休業、育児短時間勤務又は育児時間に対する職場の意識改革を進め、育児休業等を取得しやすい雰囲気を醸成する。

エ  育児休業を取得した職員の円滑な職場復帰の支援

育児休業を取得している職員が円滑に職場に復帰できるよう、当該機関等が発刊している広報誌等の送付を行うとともに、職場復帰に際して研修その他の必要な支援を行う。

オ  育児休業等に伴う任期付採用及び臨時的任用制度等の活用

職員から育児休業の請求があった場合に、部内の人員配置等によって当該職員の業務を処理することが難しいときは、任期付採用及び臨時的任用制度の活用を図る。また、職員から育児短時間勤務の請求があった場合に、当該職員の業務を処理するための措置として任期付短時間勤務職員の任用制度や、二人で一つの職を占める並立任用制度の活用を図る。

カ 公共的施設における雇入れの促進等

母子及び寡婦福祉法の規定に基づき、母子家庭の母等の公共的施設における雇入れの促進等を図る。

(4) 庁内託児施設の設置

小学校就学の始期に達するまでの子どもを育てる職員が利用することができる庁内託児施設の設置について検討を行った上で、適切な対応を図る。

(5) 超過勤務の縮減

超過勤務は、本来、公務のための臨時又は緊急の必要がある場合に行われる勤務であるという認識を深め、一層の縮減に向けた取組を進めていく必要があり、次に掲げる措置を実施する。国については、人事院の定める超過勤務の上限の目安時間を超えて勤務させないように努める。

ア  小学校就学の始期に達するまでの子どものいる職員の深夜勤務及び超過勤務の制限の制度の周知

小学校就学の始期に達するまでの子どもを育てる職員に対して、職業生活と家庭生活の両立を支援するための深夜勤務及び超過勤務の制限の制度について周知する。

イ  一斉定時退庁日等の実施

国においては、既に「国家公務員の労働時間短縮対策について」(平成四年人事管理運営協議会決定)に基づき、全省庁一斉定時退庁日が実施されているところであるが、国又は地方公共団体を問わず、各機関の実情に応じて、独自に定時退庁日を設定する等の更なる取組を行う。

ウ  事務の簡素合理化の推進

事務の簡素合理化について、業務量そのものの見直し、OA化の計画的な推進による事務の効率化、外部委託による事務の簡素化、事務処理体制の見直しによる適正な人員の配置及び年間を通じた業務量の平準化による更なる取組を推進する。

エ  超過勤務の縮減のための意識啓発等

超過勤務の縮減のための取組の重要性について、管理職を始めとする職員全体で更に認識を深めるとともに、安易に超過勤務が行われることのないよう意識啓発等の取組を行う。

オ  勤務時間管理の徹底等

職員の勤務状況の的確な把握、各機関の実情に応じた縮減目標の設定など、勤務時間管理の徹底を図る。

(6) 休暇の取得の促進

休暇の取得を促進するため、職員の休暇に対する意識の改革を図るとともに、職場における休暇の取得を容易にするため、次に掲げる措置を実施する。

ア  年次休暇の取得の促進

計画的な年次休暇の取得促進を図るため、各職場の実情に応じ、四半期毎等の年次休暇の計画表の作成及び職場の業務予定の職員への早期周知を図る等、年次休暇を取りやすい雰囲気の醸成や環境整備を行う。

また、人事担当部局においては、職員の年次休暇の取得状況を定期的に把握し、取得率が低い部署については、その管理職等からのヒアリングや指導を行う等の必要な取組を行う。

イ  連続休暇等の取得の促進

ゴールデンウィーク期間、夏季(七月から九月まで)等における連続休暇、職員及びその家族の誕生日等の記念日や子どもの学校行事等、家族とのふれあいのための年次休暇等の取得の促進を図る。

ウ  子どもの看護のための特別休暇の取得の促進

子どもの看護のための特別休暇について、職員に周知を図るとともに、当該特別休暇の取得を希望する職員が、円滑に取得できる環境を整備する。

(7) 転勤についての配慮

官署を異にする異動を命ずる場合において、それにより子どもの養育を行うことが困難となる職員がいるときは、その状況に配慮する。

(8) 宿舎の貸与における配慮

子育てをしている職員に対して、仕事と子育ての両立にも配慮した宿舎の貸与に努める。

(9) 職場優先の環境や固定的な性別役割分担意識等の是正のための取組/h6

職場優先の環境や固定的な性別役割分担意識等の働きやすい環境を阻害する職場における慣行その他の諸要因を解消するため、管理職を含めた職員全員を対象として、情報提供、研修等による意識啓発を行う。

2 その他の次世代育成支援対策に関する事項
(1) 子育てバリアフリー

外部からの来庁者の多い庁舎において、子どもを連れた人が安心して来庁できるよう、乳幼児と一緒に安心して利用できるトイレやベビーベッドの設置等を適切に行う。

(2) 子ども・子育てに関する地域貢献活動
ア  子ども・子育てに関する活動の支援

地域において、子どもの健全育成、疾患・障害を持つ子どもの支援、子育て家庭の支援を行うNPOや地域団体等について、その活動への職員の積極的な参加を支援する。

イ  子どもの体験活動等の支援

子どもの多様な体験活動等の機会の充実を図るため、職場見学を実施すること、子どもが参加する地域の行事・活動に庁舎内施設やその敷地を提供すること、各種学習会等の講師、ボランティアリーダー等として職員の積極的な参加を支援すること等に取り組む。

ウ  子どもを交通事故から守る活動の実施や支援

子どもを交通事故から守るため、地域の交通安全活動への職員の積極的な参加を支援するとともに、公務に関し自動車の運転を行う者に対する交通安全教育等の交通安全に必要な措置を実施する。

エ  安全で安心して子どもを育てられる環境の整備

子どもを安全な環境で安心して育てることができるよう、地域住民等の自主防犯活動や少年非行防止、立ち直り支援の活動等への職員の積極的な参加を支援する。

(3) 子どもとふれあう機会の充実

保護者でもある職員の子どもとふれあう機会を充実させ、心豊かな子どもをはぐくむため、子どもが保護者の働いているところを実際に見ることができる「子ども参観日」を実施する。

また、各機関におけるレクリエーション活動の実施に当たっては、当該職員のみだけではなく、子どもを含めた家族全員が参加できるように配慮する。

(4) 学習機会の提供等による家庭の教育力の向上

保護者でもある職員は、子どもとの交流の時間が確保しにくい状況にあるとともに、家庭教育に関する学習機会への参加が難しい状況にあるため、各機関内において、家庭教育講座等を開設する等の取組により、家庭教育への理解と参画の促進を図る。

改正文 (平成二二年六月二三日国家公安委員会、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第一号) 抄

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行の日(平成二十二年六月三十日)から適用することとしたので、同条第五項の規定により告示する。

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