ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医療保険 > 平成18年健康保険法等の一部改正について > 平成18年度医療制度改革関連資料 > 高齢者医療制度 > “高齢者医療制度”についてご説明します。(高齢者医療制度に関する検討会) > 第2回高齢者医療制度に関する検討会(平成20年10月7日) > “高齢者医療制度”についてご説明します。

“高齢者医療制度”についてご説明します。

前回(第1回)の議論の概要

1.今回の改革の評価と今後の見直しの基本的な考え方・進め方について

これだけ批判を受けた以上、抜本的に見直すべきではないか。(岩本委員)

10年に渡る議論の中で、どこの意志決定で失敗したのかを検討しなければならない。(岩本委員)

「物語・介護保険」に書いたのだが、介護保険が提案されたときは8割以上の人が負担増に賛成した。それは、事務次官が本部長になり、当事者の意見を聞いた上で検討していったからだ。その先例を学ぶべきだったのではないか。(大熊委員)

長寿医療制度はスタートから6ヶ月が経過したが、どうしてうまくいっていない(とされる)のか、その失敗原因を分析すべきではないか。(川渕委員)

今の制度は改革以前と比べて悪いところばかりではなく、評価に値する点もある。制度は、直線的に進化するものでもないから、失敗したところは直し良いところは伸ばす方向に議論を重ねていけばいい。(権丈委員)

医療費を増やすべきであるこの国の現状と高齢者の医療費抑制の目標は矛盾する。現在の医療費の老若の比率の大きさを問題視するというのであれば、他国に比して少ない若人の一人当たり医療費を増やして高齢者医療費との差を小さくすべきではないか。それは救急、産科、小児医療を充実させたりすることにより可能である。(権丈委員)

政府で検討した際のメンバーに75歳以上のメンバーが一人しかおらず、当事者不在で、75歳以上の意見を聞く姿勢がなかったのではないか。(樋口委員)

高齢者医療確保法の冒頭で、医療費適正化が謳われており、介護保険法等と違い、高齢者に敬意を払っていないのではないか。(樋口委員)

高齢者医療制度については、これまで、さんざん議論をしてきたのだから、そんなに新しい抜本改革案はないだろう。(山崎委員)

2.年齢で区分することについて(制度の建て方、名称等

75歳で区切る理由は、75歳以上の高齢者の特性に応じた医療が必要との説明であったが、目新しい医療サービスがない。(岩本委員)

全国健康保険協会が導入した「リスク構造調整方式」が良いのではないか。(岩本委員)

介護保険も40歳で区切ったが、時間をかけていろいろな意見を聞いたので、理解が得られた。(大熊委員)

平成18年4月26日の衆議院厚生労働委員会の参考人質疑でも申し上げたが、年金が60(→65)歳、(高齢者)医療が75歳、介護が65歳で果たして整合性がとれるのかどうか。(川渕委員)

現行の長寿医療制度を廃止して、医療保険制度の一元化を求める意見もあるが、これが日本で実現可能かどうか。韓国やドイツの医療保険制度が一元化できた理由も含めて分析すべき。(川渕委員)

長寿医療制度において、若人の一人当たり老人医療費の負担が、過重にならないように、若人と高齢者の老人医療費負担割合を自動調整化できたことは、75歳で区切った長所と考える。(権丈委員)

新制度において、若人の一人当たり老人医療費の負担が、過重にならないように、若人と高齢者の老人医療費負担割合を自動調整化できたこと、および個人単位の加入にして保険料負担の水平的公平が改善されたことは、今回の改革の長所ということもできる。しかし、この長所は75歳で区切ったから可能となっている。75歳以上の独立した医療制度を設けることの弊害を鑑みれば、それら長所を犠牲にしててでも、前期高齢者の財政調整の仕組みを後期高齢者に拡大して65歳以上でリスク構造調整をする方が望ましいのではないか。もっとも、先に挙げた長所を享受しながら75歳で区切らないですむ方法があるのならば、その方がベターである。(権丈委員)

職業上の属性等を無視し、75歳で区切るのは問題ではないか。夫婦別れ、親子別れなどの世帯の分離を促している。(樋口委員)

後期高齢者は学問上の概念定義。後期高齢者と呼ばれた人の気持ちをもっと考えるべきではないか。(樋口委員)

障害認定者を長寿医療制度の被保険者とすることで厄介払いをしているのではないか。(樋口委員)

75歳という年齢で一律分離するのが最大の問題である。ただし、財政的に現役世代と高齢者の負担区分を明確化したのは良い面である。(宮武委員)

老人保健制度に対する不満を解決するために、各団体の主張の折り合いをつけて、今回の制度ができた。(山崎委員)

批判が強い中でも、制度の枠組みに対する議論は低調。関係者は、当面は現在の制度でいってほしいのが本音と思われる。(山崎委員)

医療保険制度の一元化は簡単ではなく、大変難しい問題である。(山崎委員)

75歳という年齢を下げて、介護保険と同様、65歳以上の人を対象とすればうまくいくのではないか、その場合には、リスク構造調整型と介護保険型の二つの考え方がある。(山崎委員)

前期財政調整についても、被用者保険の保険者については、財政力按分とする等あり方を検討すべきではないか。(山崎委員)

3.広域連合について

都道府県単位で運営し、保険者機能を強化するとのことであったが、広域連合の保険者としての積極的な活動が見られない。(岩本委員)

10月1日からスタートした「全国健康保険協会」では、都道府県ごとに政管健保の保険料率を決定することになるが、これで「国民すべからく平等に医療を受けられるかどうか」リスク構造調整のあり方が問われる。(川渕委員)

国民健康保険も都道府県単位の広域連合に発展させれば、今回の改革以前の制度よりも良い制度ができる。もっとも、広域連合の責任主体を明確にする等、組織そのものについては考える必要がある。(権丈委員)

長寿医療制度は、都道府県単位で運営することとした良い面がある。ただし、本来は全市町村参加の広域連合ではなく都道府県が直接に運営すべきではないか。(宮武委員)

75歳未満が対象になった市町村の国民健康保険についても、まず広域連合化を図り、75歳以上も75歳未満も同じ構造の制度にしてドッキングさせる、いわば二階建てに改造すれば75歳で別制度にした欠点を是正できる。(宮武委員)

広域連合は住民に見えない。これは、市町村との妥協の産物だからであり、都道府県が運営主体となるべきではないか。(山崎委員)

4.医療サービスについて

長寿医療制度には、家庭医をもつ、人生の最期の迎え方を自分で決める、などの良い面もある。ただ、これは、75歳になったら突然必要になる、という仕組みではない。(大熊委員)

他の国では、医療ではなく、ホームヘルプや住宅政策で受け止めている高齢者を、日本では「患者」にして、医療で扱っている。介護報酬が低いために介護職が足りず、本来医療でやらなくても良いもののために高齢者医療費が増大している。この状況を放置したのでは、根本的解決は図れないのではないか。(大熊委員)

同じ年金天引きの介護保険制度と違い、長寿医療制度は目新しい給付が無く、むしろ「制限医療」の色彩が強い診療報酬改定が行われたため、理解が得られなかったのではないか。(川渕委員)

イギリスでの家庭医をモデルとして、担当医を作ろうとしていることは理解できるが、家庭医の養成自体がまだできていないのではないか。(樋口委員)

スパゲッティ状態になりたくないというターミナルケアに関する国民的議論がせっかく成熟していたのに、それを無視したのではないか。(樋口委員)

5.保険料の算定方法・支払い方法について

長寿医療制度には、保険料の個人単位化など公平性の観点から良い面もある。この点は、女性たちが長いこと提言していたものである。(大熊委員)

高齢化により医療費が増えると、高齢者の負担も増えることをきちんとアピールしていなかったから、混乱を招いた。事実、厚生労働省高齢者医療制度等改革推進本部事務局編「医療制度改革の課題と視点〜解説・資料編」を見ると、「若年世代からの支援を行う場合」として、高齢者一人当たり保険料は現行制度6.4万円(平成11年度)から6.8万円に上昇すると試算している。その一方で保険組合は、加入者一人当たり保険料が1.5万円減少すると試算している。しかし、実際は総額3900億円の負担増となっており、これが現役世代の不信を招いているのではないか。(川渕委員)

天引きをする場合に、社会保険料控除の問題について、きちんと周知していない。(樋口委員)

現役並みの600万円の所得がある勤労者に対して、上限の50万円の保険料を賦課することはすれすれの所得層には勤労意欲を削減するものであり、問題ではないか。(樋口委員)

6.世代間の納得と共感の得られる財源のあり方について

高齢化で負担が増えることについて、国民が理解した上で、制度改革を行うべきではないか。(岩本委員)

制度をどのように変えるにしても、現役世代の支援は不可欠。その納得が得られる制度にすべき。(岩本委員)

いつも健保財政赤字と報道されるが、保険料率一定のもとでは医療費が増えれば赤字になるのは当たり前の話である。GDPに占める社会保険料の割合が日本は他の国に比べて低いこと、被用者保険の保険料率が低いことを国民共有の知識として議論の前提に置いても良いのではないか。(権丈委員)

改革前の老人保健制度、改革後の前期高齢者医療制度の財政調整では、国保・被用者保険の各保険者の老人加入率が全制度平均と同一であると仮定して、公平な負担を行っている。まずは、これら財政調整の仕組みを広く国民は理解した上で、制度の善し悪しを議論するべきではないか。(権丈委員)

税を多く投入して税による負担を大きくすれば、財政当局から口出しがしやすくなるので慎重に考えるべきである。ただし現状では、保険者が低所得者を抱えるというリスクは、税によって調整せざるを得ない側面がある。(権丈委員)

7.その他

与党の強行採決で決まったものであり、説明責任が履行されていないのではないか。(樋口委員)

制度の運営にあたり、事務ミスが多すぎるのではないか。(樋口委員)

制度運営で事務ミスが生じたのは、昨年10月、つまり制度開始のわずか半年前になって激変緩和措置が講じられ、自治体に大幅なシステム改修を求めたことにも原因があったと思っている。(権丈委員)

ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医療保険 > 平成18年健康保険法等の一部改正について > 平成18年度医療制度改革関連資料 > 高齢者医療制度 > “高齢者医療制度”についてご説明します。(高齢者医療制度に関する検討会) > 第2回高齢者医療制度に関する検討会(平成20年10月7日) > “高齢者医療制度”についてご説明します。

ページの先頭へ戻る