平成21年度厚生労働省第二次補正予算の概要(抜粋)
■雇用対策関連■
第1 雇用 5,984億円
<緊急対応> | ||
1. | 雇用調整助成金の要件緩和 | 78億円 |
2. | 貧困・困窮者支援の強化 | 703億円 |
3. | 新卒者支援の強化 | 2億円 |
4. | 緊急雇用創造の拡充 | 1,500億円 |
5. | 保育サービスの拡充等女性の就労支援 | 200億円 |
<成長戦略への布石> | ||
6. | 雇用・生活保障システムの確立 | 3,500億円 |
緊急経済対策関連
第1 雇用 5,984億円
<緊急対応>
1 雇用調整助成金の要件緩和 78億円
企業の雇用維持努力への支援を強化するため、雇用調整助成金の支給要件の緩和を平成21年12月から緊急的に実施する。
<具体的な措置>
○雇用調整助成金の「生産量要件」の緩和78億円
企業の休業・教育訓練・出向による雇用維持の取組を支援するため、雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金について、手当、賃金の4/5(大企業2/3)の助成(解雇等を行わない場合は助成率がそれぞれ9/10、3/4に上乗せ)を行うとともに、「生産量要件」について、現行要件(*)に加え、赤字の企業については、企業規模にかかわらず、「前々年比10%以上減」の場合も支給対象とする。
(*)生産量、売上高等の生産指標の最近3ヶ月の月平均値がその直前の3ヶ月又は前年同期に比べ原則5%以上減少している事業主。
2 貧困・困窮者支援の強化 703億円
求職中の貧困・困窮者が、再び「派遣村」を必要とすることなく、安心して生活が送れるようにするため、支援策を強化する。
<具体的な措置>
○実効ある貧困・困窮者支援(「第2のセーフティネット」)の確立703億円
(1)ハローワークのワンストップ相談機能の充実2.7億円
ハローワークに「住居・生活支援アドバイザー(仮称)」(新規)を263名配置し、第2のセーフティネットの各種支援制度についてのワンストップサービス(総合相談と実施機関への的確な誘導)を実施する。
(2)「住まい対策」の拡充 700億円
「住宅手当」や、空き社員寮等の借り上げによる「緊急一時宿泊施設」の設置等の継続的支援を拡充するとともに、福祉事務所等に配置する生活保護受給者を対象とする就労支援員を約2,500名増員(550名→ 3,050名)、住宅手当受給者を対象とする住宅確保・就労支援員を約1,250名増員(1,250名→ 2,500名)する等により、生活・就労支援を強化する。
3 新卒者支援の強化 2.5億円
来春以降厳しい求人情勢が見込まれる新卒予定の学生・生徒の就職支援を強化し、第2の「ロスト・ジェネレーション」をつくらないようにする。
<具体的な措置>
○新卒者の就職支援体制の強化
(1)「高卒・大卒就職ジョブサポーター」の更なる緊急増員2.5億円
ハローワークに就職支援の専門職である「高卒・大卒就職ジョブサポーター」を更に310名増員(618名→ 928名)し、未内定の新規学校卒業者等に対する担当者制による職業相談・職業紹介から職場定着までの一貫した就職支援を実施する。
○未就職卒業者の就職支援の強化
(1)新卒者体験雇用事業の創設(制度要求)
未就職卒業者を対象に1か月間の体験雇用(有期雇用)の機会を設けることにより、希望職種の選択肢を広げ、その後の正規雇用への移行を支援する。(体験雇用を受け入れた事業主に対して新卒者体験雇用奨励金(仮称)を支給(月8万円))
(2)「重点分野雇用創造事業(仮称)」の活用 (1,500億円の内数)
「重点分野雇用創造事業(仮称)」(後述)における未就職卒業者の雇用へ配慮する。
4 緊急雇用創造の拡充 1,500億円
成長分野を中心とした雇用創造を推進するため、先般策定した「緊急雇用創造プログラム」の拡充を図る。
<具体的な措置>
○「重点分野雇用創造事業(仮称)」の創設1,500億円
介護、医療、農林、環境・エネルギー、観光、地域社会雇用等の分野における新たな雇用機会の創出、地域ニーズに応じた人材育成を推進する。
○その他
(1)建設業新分野教育訓練助成金(仮称) 2百万円
中小建設事業主が、建設労働者の雇用を維持しながら、グリーン雇用等(農林、観光、介護など)建設業以外の事業に従事するために必要な教育訓練(OJTを除く。)を実施した場合、その実施経費の2/3を助成する。 また、当該教育訓練を行った期間に支払った賃金について、1人あたり日額 7,000円を上限として助成する(60日間を限度)。
(2)建設業離職者雇用開発助成金(仮称)(制度要求)
事業主が45歳以上60歳未満の建設業離職者を公共職業安定所等の紹介により、継続して雇用する者として雇い入れた場合に90万円(大企業50万円)を支給する。
5 保育サービスの拡充等女性の就労支援200億円
女性が働きやすい環境づくりのため、良質な保育サービス等の拡充に取り組む。
<具体的な措置>
○待機児童解消への取組 200億円
安心こども基金に200億円の積み増しを行い、待機児童解消のために、地域の余裕スペース(学校、公営住宅、公民館等)を活用して、
a.認可保育所の分園等を設置する場合(賃貸物件を含む)
b.家庭的保育の実施場所を設置する場合(賃貸物件を含む)
において、補助基準額及び補助率の引き上げを行う。
(参考)補助率の引き上げの内容
待機児童解消のための定員純増整備の条件に基づき補助率を適用する。
aの場合:国1/2、市町村1/4、設置者1/4 → 国2/3、市町村1/12、設置者1/4
bの場合:国1/2、市町村1/2 → 国2/3、市町村1/3
また、純増定員の算定においては、今回の取組による定員(受け入れ)枠も含めて合算できることとする。
○「育児・介護休業トラブル防止指導員」の設置28百万円
いわゆる「育休切り」等のトラブルを防止するための周知・指導や、個別の事案に関する相談対応を担当する「育児・介護休業トラブル防止指導員」(新規)を設置する。(都道府県労働局雇用均等室に計47名)
<成長戦略への布石>
6 雇用・生活保障システムの確立3,500億円
○雇用保険制度の機能強化 3,500億円
- 非正規労働者に対するセーフティネット機能強化の観点から適用範囲の拡大について検討を進める。
- 雇用調整助成金の要件緩和にあわせ、平成22年度からの失業等給付に係る国庫負担の引上げについては、雇用保険制度の安定的運営を確保するため、平成21年度第2次補正予算において対応する。
- 平成23年度以降については、平成23年度予算編成過程において検討し、安定財源を確保した上で、国庫負担を本則(25%)に戻す。これを雇用保険法の改正に盛り込む。