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第10章 児童相談所の決定に対する不服申立てについて

第10章  児童相談所の決定に対する不服申立てについて

1. 行政不服審査とは何か
 児童福祉法上、児童相談所の決定としては、一時保護決定と入所措置決定などがある。これらは行政処分として裁判所への行政事件訴訟の対象となるほか、行政内部の不服申立てとしての行政不服審査の対象となる。
 行政不服審査については行政不服審査法に手続等が定められているが、もともと行政処分をした官庁に対して不服申立てをする「異議申立て」と、その上級官庁に対して不服申立てをする「審査請求」とがある。
 一時保護決定等の行政処分について、保護者等は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条(児童相談所長が行政処分を行った場合の都道府県に対する審査請求)又は第6条(都道府県が行政処分を行った場合の都道府県に対する異議申立て)に基づき不服申立てを行うことができる。
 行政処分をした時は、処分の相手方に不服申立先や不服申立期間を教示することが義務付けられている。
 異議申立期間は、一時保護がされたことを知ったときから60日以内である。
 一時保護は、保護者の同意の有無に関わらず、児童相談所長又は都道府県知事の判断により処分がなされる行為であり、当初の同意、その後の不同意により行政処分そのものの変更が要請されるものではないため、一時保護がされたことを知ったときから60日以内が申立期間である。
 異議申立権者は、一時保護した当時の保護者であり、親権者に限られず、親権者ではないが監護している親等も含む。
 入所措置決定に対する異議申立ても可能であるが、実例はあまり多くない。児童福祉法第27条の場合であれば、親権者は反対の意思を児童相談所に表明することによって引取りが可能となるので、親権者としては、反対意思を表明したにもかかわらず、引取りを拒絶された場合に、「引取拒否」という行政の事実上の行為に対して(すなわち当初の入所措置決定に対してでなく)異議申立てをすればよい。法第28条の場合であれば、まず家庭裁判所の承認に対して、高等裁判所に即時抗告するのが通例である(2週間以内)が、施設入所措置そのものは知事(児童相談所長)による行政処分であるから、入所措置決定に対する異議申立てを行うことも可能である(60日以内)。


2. 行政不服申立てにどう対応するか
 一時保護の正当性(必要性)の有無が判断される。判断の資料としては、一時保護実施当時の資料だけでなく、その後一時保護継続中に得た資料、例えば一時保護所での子どもについての検査結果や言動等に関する観察記録、あるいはこれと平行して児童相談所の児童福祉司が収集した家族に関する情報などが、資料として用いられる。
 審理に当たるのは知事部局の担当職員である。審理方法は、行政不服審査法に規定があり、原則として書面審査であるが、申立人の要求や審理担当者の職権によって、申立人や証人的立場の者の陳述を聴くこともある。
 児童相談所の職員としては、いずれにせよ資料を整え、一時保護の正当性(必要性)について明快かつ緻密な説明ができるよう準備しておくことが重要である。

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