ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 子ども・子育て > 子ども・子育て支援 > 児童虐待防止対策・DV防止対策・人身取引対策等 > 児童相談所運営指針等の改正について(平成19年1月23日雇児発第0123002号) > 要保護児童対策地域協議会設置・運営指針 > 要保護児童対策地域協議会設置・運営指針 > 第3章 要保護児童対策地域協議会の運営

第3章 要保護児童対策地域協議会の運営

第3章   要保護児童対策地域協議会の運営
1. 業務
(1)  地域協議会は、要保護児童等に関する情報その他要保護児童の適切な保護を図るために必要な情報の交換を行うとともに、要保護児童等に対する支援の内容に関する協議を行う(児福法第25条の2第2項)。
(2)  地域協議会については、個別の要保護児童等に関する情報交換や支援内容の協議を行うことを念頭に、要保護児童対策調整機関や地域協議会の構成員に対する守秘義務が設けられており、個別の事例について担当者レベルで適時検討する会議(個別ケース検討会議)を積極的に開催することはもとより、構成員の代表者による会議(代表者会議)や実務担当者による会議(実務者会議)を開催することが期待される。
現在、市町村で取組が進みつつある児童虐待防止ネットワークについては、市町村の規模や児童家庭相談体制にもよるが、以上のような三層構造となっていることが多い。
   
【代表者会議】
・    地域協議会の構成員の代表者による会議であり、実際の担当者で構成される実務者会議が円滑に運営されるための環境整備を目的として、年に1〜2回程度開催される。
・    ネットワークを構成する関係機関の円滑な連携を確保するためには、各関係機関の責任者(管理職)の理解と協力が不可欠であり、実務者レベルにとどまらず、責任者(管理職)レベルでの連携を深めることで、関係機関等の共通認識が醸成されるとともに、実務者レベルで人事異動があった場合においても、責任者(管理職)の理解があれば、連携の継続性が保たれ、支援の質の低下を最低限に抑えることが可能となる。
・    会議における協議事項としては例えば次のようなものが考えられる。
[1]要保護児童等の支援に関するシステム全体の検討
[2]実務者会議からの地域協議会の活動状況の報告と評価

【実務者会議】
・    実務者会議は、実際に活動する実務者から構成される会議であり、会議における協議事項としては例えば次のようなものが考えられる。
[1]全てのケースについて定期的な状況のフォロー、主担当機関の確認、援助方針の見直し等
[2]定例的な情報交換や、個別ケース検討会議で課題となった点の更なる検討
[3]要保護児童の実態把握や、支援を行っているケースの総合的な把握
[4]要保護児童対策を推進するための啓発活動
[5]地域協議会の年間活動方針の策定、代表者会議への報告

【個別ケース検討会議】
・    個別の要保護児童について、その児童に直接関わりを有している担当者や今後関わりを有する可能性がある関係機関等の担当者により、当該児童に対する具体的な支援の内容等を検討するために適時開催される。その対象は、当然のことながら、虐待を受けた子どもに限られるものではない。
・    個別ケース検討会議の構成員も、地域協議会の構成員である以上、守秘義務が課せられているので、関係機関等の間で積極的な情報提供を行い、要保護児童に対する具体的な支援の内容等を検討することが期待される。
・    会議における協議事項としては次のようなものが考えられる。
[1]関係機関が現に対応している虐待事例についての危険度や緊急度の判断
[2]要保護児童の状況の把握や問題点の確認
[3]支援の経過報告及びその評価、新たな情報の共有
[4]援助方針の確立と役割分担の決定及びその認識の共有
[5]ケースの主担当機関とキーパーソン(主たる援助者)の決定
[6]実際の援助、支援方法、支援スケジュール(支援計画)の検討
[7]次回会議(評価及び検討)の確認
・    なお、各関係機関の役割分担や次回会議の日程等、個別ケース検討会議で決定した事項については、記録するとともに、その内容を関係機関等で共有することが重要である。
(3)  児童虐待への対応は、多数の関係機関が関与し、また、児童相談所と市町村の間の役割分担が曖昧になるおそれもあることから、市町村内における全ての虐待ケースに関して地域協議会において絶えず、ケースの主担当機関及び主たる援助者(キーパーソン)をフォローし、ケースの進行管理を進めていくことが必要である。こうした観点から地域協議会の調整機関において、全ケースについて進行管理台帳(別紙1参照)を作成し、実務者会議等の場において、定期的に(例えば、3か月に1度)、状況確認、主担当機関の確認、援助方針の見直し等を行うことが適当である。
(4)  市町村の規模や関係機関の多寡等によっては、幅広い関係機関を構成員とし、代表者会議や実務者会議への参加を通じて問題意識の共有や必要に応じ的確な対応を取るための体制の確保を図りつつ、個別ケース検討会議については、対象とするケースの性質に応じて参加機関等を選定することも考えられる。
例えば、教育関係機関については、代表者会議には教育委員会のみが出席し、会議において提供された情報については教育委員会から各小学校、中学校等に周知することとしつつ、個別ケース検討会議には、教育委員会に加え、検討の対象となるケースに直接関係する学校等の関係者を参加させるといった手法も考えられる。
また、地域協議会の対象は、虐待を受けている子どものほか、非行児童や障害児なども含まれることも踏まえ、虐待、非行、障害などの分科会を設けて対応することも考えられる。
(5)  個別ケース検討会議においては、関係機関が対応している事例についての危険度や緊急度の判断、子どもに対する具体的な支援の内容について検討を行うことが適当である。また、 個別ケース検討会議への個別の要保護児童等に関する情報の提供については、あらかじめ子どもや保護者の理解を得ておくことが望ましいが、その子どもの保護のために特に必要がある場合であって、これらの者の理解を得ることが困難であるときはこの限りではない。
(6)  地域協議会は、施設から一時的に帰宅した子どもや、施設を退所した子ども等に対する支援に積極的に取り組むことも期待されているところであり、児童相談所や児童福祉施設等と連携を図り、施設に入所している子どもの養育状況を適宜把握するなど、一時的に帰宅した際や退所後の支援の円滑な実施に向けた取り組みを実施することが期待される。
(7)  また、支援が必要であるにもかかわらず、連絡先等が不明となってしまった子どもや保護者等に関する情報を共有し、これらの者を早期に発見し、必要な支援を行うことも期待される。
 
2. 相談から支援に至るまでの流れ
個別の相談、通報から支援に至るまでの具体的な流れについては、地域の実情に応じて様々な形態により運営されることとなるが、一つのモデルを示すと以下のとおりとなる。(別添2参照)
   
【相談、通報受理】
・    関係機関等や地域住民からの要保護児童の相談、通報は事務局が集約する。
・    事務局は相談、通報内容を相談・通報受付票(別添3参照)に記録する。
・    事務局は、関係機関等に事実確認を行うとともに、子どもの状況、所属する集団(学校・保育所等)、親や子どもの生活状況、過去の相談歴等、短期間に可能な情報を収集する。

【緊急度判定会議(緊急受理会議)の開催】
・    緊急度判定会議を開催。相談・通報受付票をもとに、事態の危険度や緊急度の判断を行う。
・    緊急度判定会議は、事例に応じ参加機関を考え、随時開催する。電話連絡などで協議するなど柔軟な会議運営に心がける。
・    会議の経過及び結果は、会議録に記載し保存する。
・    緊急の対応(立入調査や一時保護)を要する場合は、児童相談所に通告する。
・    緊急を要しないが地域協議会の活用が必要と判断した場合は、個別ケース検討会議の開催や参加機関を決定する。

【調査】
・    地域協議会において対応することとされた事例については、具体的な援助方針等の決定するに当たり必要な情報を把握するため、調査を行う。

【個別ケース検討会議の開催】
・    緊急度判定会議(緊急受理会議)で決定した参加機関を集め、個別ケース検討会議を開催する。
・    個別ケース検討会議において、支援に当たっての援助方針、具体的な方法及び時期、各機関の役割分担、連携方法、当該事例に係るまとめ役、次回会議の開催時期などを決定する。
・    会議の経過及び結果は、会議録に記入し、保存する。

【関係機関等による支援】
・    援助方針等に基づき、関係機関等による支援を行う。

【定期的な個別ケース検討会議の開催】
・    適時適切に相談援助活動に対する評価を実施し、それに基づき、援助方針等の見直しを行うとともに、相談援助活動の終結についてもその適否を判断する。
 
3. 役割分担
個別事例ごとの関係機関等の役割分担については、それぞれの事例に関する個別ケース検討会議で決定するべき事項であるが、主なものは以下のとおりである。
 
 
   
【主たる直接援助機能】
・    日常的に具体的な場面で子どもや家族を支援する機関(者)
・    当然ながら、子ども、保護者ともに同じ機関が支援を行うことや、複数の機関が子どもや保護者に対して支援を行うことが考えられる。

【とりまとめ機能(個別ケース検討会議の開催等の事務的な作業を行う)】
・    主たる援助機関等から要請を受けて、個別ケース検討会議を開催する。(会議の招集の実務は地域協議会の事務局が行う場合もある。)
・    個別ケース検討会議で決定された支援の進捗状況についての連絡調整や情報の整理を行う。
・    主たる援助機関等のうち、最も関わりの深いものが、この機関となることも考えられる。

【ケースマネジャー機能(危険度の判断等を行う)】
・    事例全体について責任を負い、危険度の判断や支援計画を作り、進行管理を行う。
・    必要に応じて、立入検査や一時保護の権限を有する児童相談所と連携を図りながら対応することが適当である。

【役割の例】
 
4. 関係機関に対する協力要請
(1)  こうした要保護児童等に関する情報の交換や支援の内容に関する協議を行うために必要があると認めるときは、地域協議会は、関係機関等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる(児福法第25条の3)。
(2)  この協力要請は、地域協議会の構成員以外の関係機関等に対して行うことも可能であるが、この要請に基づき当該関係機関等から地域協議会に対し一方的に情報の提供等が行われる場合はともかく、今後の支援の内容に関する協議など、当該関係機関等と地域協議会の構成員の間で双方向の情報の交換等を行うことが見込まれる場合には、協力要請時に、守秘義務が課せられる地域協議会の構成員なることについても要請することが適当である。
(3)  なお、医師や地方公務員等については、他の法令により守秘義務が課せられているが、要保護児童の適切な保護を図るために、この規定に基づき情報を提供する場合には、基本的にはこれらの法令による守秘義務に反することとはならないものと考えられる。
(4)  また、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)においては、本人の同意を得ない限り、[1]あらかじめ特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないとともに、[2]第三者に個人データを提供してはならないこととされている。(個人情報保護法第16条及び第23条)
(5)  しかしながら、「法令に基づく場合」は、これらの規定は適用されないこととされており、児福法第25条の3に基づく協力要請に応じる場合は、この「法令に基づく場合」に該当するものであり、個人情報保護法に違反することにもならないものと考えられる。

ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 子ども・子育て > 子ども・子育て支援 > 児童虐待防止対策・DV防止対策・人身取引対策等 > 児童相談所運営指針等の改正について(平成19年1月23日雇児発第0123002号) > 要保護児童対策地域協議会設置・運営指針 > 要保護児童対策地域協議会設置・運営指針 > 第3章 要保護児童対策地域協議会の運営

ページの先頭へ戻る