従来、児童福祉法(昭和22年法律第164号)においては、あらゆる児童家庭相談について児童相談所が対応することとされてきたが、近年、児童虐待相談件数の急増等により、緊急かつより高度な専門的対応が求められる一方で、育児不安等を背景に、身近な子育て相談ニーズも増大している。
このような状況を踏まえ、「児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律」(平成16年法律第30号)及び「児童福祉法の一部を改正する法律」(平成16年法律第153号)により、児童虐待の定義の明確化や、国及び地方公共団体の責務等の強化、児童虐待の通告義務の範囲の拡大等が図られるとともに、児童家庭相談に応じることを市町村の業務として法律上明確にし、住民に身近な市町村において、虐待の未然防止・早期発見を中心に積極的な取組みを求めつつ、都道府県(児童相談所)の役割を、専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や市町村の後方支援に重点化する等地域における児童家庭相談体制の充実を図ることとされたところである。
児童相談所は、こうした法律改正の趣旨を踏まえ、児童家庭相談に応じる市町村に対して適切な支援を行うことはもとより、幅広い専門機関や職種との連携強化、司法関与の仕組みの有効活用等により、児童家庭相談に迅速かつ的確に対応するとともに、親子の再統合の促進への配慮その他の児童虐待を受けた子どもが良好な家庭的環境で生活するために必要な配慮の下、子どものみならず保護者も含めた家庭への支援に一層積極的に取り組むことが重要である。
児童相談所の運営及び活動については、従来より「児童相談所運営指針について」(平成2年3月5日児発第133号)により行われてきたところであるが、以上のような児童家庭相談を取り巻く状況の変化を踏まえ、今般「児童相談所運営指針」を別添1のとおり改正したので、この指針を踏まえつつ、地域の実情に応じて適正に児童家庭相談援助活動が実施されるよう、その内容をご了知いただくとともに、管内の市町村並びに関係機関及び関係団体等に周知を図られたい。
また、児童家庭相談援助に携わる職員は、援助に必要な態度、知識、技術を獲得し、子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護することが求められている。
このため、子どもの権利に関する基本的な法令である「児童の権利に関する条約」を別添2のとおり参考に添付するので、改めてその内容をご了知いただくとともに、管内の市町村並びに関係機関及び関係団体等に周知を図られたい。
なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言である。