平成12年9月7日
労   働   省

廃棄物焼却施設解体工事におけるダイオキシン類による健康障害防止について(案)(回答)

概  要  廃棄物焼却施設解体工事について、解体工事に従事する労働者のダイオキシン類へのばく露防止を図るための緊急の対策を策定する。 (別添 廃棄物焼却施設解体工事におけるダイオキシン類による健康障害防止について(案)参照


御意見等の内容 件数 御意見等に対する考え方
 資料および審議過程を公開していただきたい。 2件  検討会は、個人情報も議論されることから非公開としたが、資料は公開しており、資料の中には、議事要旨も含まれている。
 周辺住民と環境に汚染を及ぼさない方策も併せて検討・策定すべきではないか。 1件  関係機関と連携して取り組んでいる。
 今回の事案の技術的原因及び管理・監督上の原因の徹底究明を行うべきではないか。 2件  引き続き究明に当たることとする。
 豊能郡美化センター解体工事で血液中のダイオキシン濃度が高くなった原因をしっかり解明して、防護対策に生かしていただきたいし、無害化することに目を向けたほうが良い。汚染された解体物を保管する場所も限りがある。 1件  今後検討したい。
 ばく露を受けた労働者の健康影響の追跡調査は行うのか。 1件  検討する。
 監督・責任体制の抜本的強化策を考えているか。 1件  今後検討したい。
 各地にこの問題の専門家がいない。事前に相談できる行政体制をつくることが望まれる。 1件  今後検討したい。
 作業者の血液中ダイオキシン類濃度の測定を行わせること。 1件  今後検討したい。
 遠隔方式等作業の無人化を検討すべし。 1件  今後検討したい。
 自粛要請により中断している現行工事の計画のまま再開させていただきたい。 1件  いずれの工事であっても、炉等の解体を行う限り、労働者の安全のため必要な措置として実施していただきたい。
 解体作業の定義が不明である。( 部分部分の施設を解体、たとえば排ガス処理装置の電気集塵機を解体してバグフィルターに取り替える工事も含まれるのか。「ゴミ焼却施設全体または機関施設の解体工事」にすべき。解体作業場が他と隔離できるときは、当該作業場のみを適用対象とすべきである。) 4件  本対策は、廃棄物焼却を主たる目的とする施設の解体工事のため策定したものであるが、小型の焼却炉の解体においても本対策に準じた対策を講ずることが望ましい。また、解体を伴う改修工事は対象となる。
 焼却炉内部の補修時の解体、炉内・EP・バグ等の関連施設の清掃時にも発生する可能性があり、それらを含んだ幅広い議論が必要である。 2件  補修時の解体作業は本対策により、また清掃作業は平成11年12月2日付け基発第688号等によって対処願いたい。
 フローの見直しをお願いする。 2件  原案どおりとするが、今後実態等をみて検討したい。
 本対策の実施のためには工期延長、工事費の増額が予想される。このためにも、施設管理者、解体工事事業者、関係行政機関が協議、連携して本対策を行うこととすべき。 3件  発注者及び関係機関にも協力要請を出すこととしている。
 作業環境測定等には経費が掛かる。工期を延ばせばゴミがたまるのが現実。時間とコストからの検討も必要である。 2件  今後検討したい。
 作業環境測定等のコストを誰が負担するのか。 2件  原則労働者の保護は事業者の責任であるが、今後検討したい。
 解体作業の自粛要請を継続すべし。 4件  緊急対策は必要である。
 全般的に安全優先の対策となっているのはよいが、溶断はすべて汚染物除後とするなど現実的でないところがある。 2件  これまでの原因調査の結果、ばく露経路は、3つの経路に特定されていたが、詳細なばく露実態、ガス化ダイオキシンの動きなど、なお、解明を要する部分もあることから、本対策は、安全優先の考え方に基づき、厳格なものとしている。御指摘のような観点からも、引き続き検討を加え、解体マニュアルに反映させていくこととしたい。
 解体作業の補助金支給期間を延長する等方法を講じるべきである。 1件  関係機関へ伝える。
 豊能郡美化センター汚染の原因究明及び公表まで、解体工事実施を禁止できるような制度をまず設けるべきである。 1件  困難と考えるが、今後の参考としたい。
 保護具に頼らず、作業環境管理を充実させるべきである。 1件  基本的には貴見のとおりであるが、解体という非定常作業では、保護具に頼らないでばく露防止を図ることは困難と思料する。
 化学防護服(JIST8115)のうち、送気式気密型(通称 加圧服)に伴う呼吸用保護具は、エアラインマスク又はプレッシャデマンド型空気呼吸器に該当しないため、同服は使用できなくなる。同服は安全性が高く長時間の作業にも適するものであるため、使用できるよう加えるべき。 3件  御意見を踏まえ、改める。
 保護具について、例示されていない物の中にも有効な物があるので、検討願いたい。(「陽圧形酸素呼吸器」等、エアラインフード形) 4件  検討したい。
 本対策中の保護具の規格(JIS T 8115,8116,8117)の試験方法には、ダイオキシン類に対する標準試験液が規定されていないが、これを明確にすべきである。 1件  今後の課題としたい。
 保護具、保護衣が常に汚染されていないという基準を示していただきたい。 1件  エアシャワーは粉じんの除去に対しては有効である。保護具、保護衣は、洗浄等により汚染の除去を行うこと。
 空気圧縮機はオイルレス型を用い、空気清浄器を併用すべきである。 1件  検討したい。
 エアラインマスクに送気するコンプレッサーの基準を示して欲しい。 1件  JIS T8153の規格を満たすものを使用すること。
 化学防護服を着て、エアラインマスクを着用できるのか。 1件  可能である。
 化学防護服(T8115)の構造を満たすこと。」と明記したほうがよい。 1件  御指摘を踏まえ、改める。
 防護服・防護手袋・防護長靴については、作業の種類とダイオキシン濃度を考慮した保護具使用基準を設定すべきである。 1件  JIS T8115を参考に、個別のケースに応じて、適宜御検討願いたい。
 防護服は、‘常に汚染されていない状態のものを使用すること’が有害粉じんのハンドリング時には必要なので、‘使い捨てタイプ’の防護服を使用すべきだ。 1件  該当するJIS規格に合致していれば問題ない。
 化学防護服のうち開放型は使用可能か。 1件  開口部からの汚染が予想されるため望ましくない。
 サンプリング時の保護具着用は、焼却炉等の内部のサンプリング時のみでよい。 1件  安全優先の観点から原案どおりとしたい。
 サンプリングの際もエアシャワー等保護衣の汚染物除去設備が必要であるか。 1件  必要である。
 作業場内の出入口付近にエアーシャワー等の汚染除去設備を設置する場所を、より具体的に示していただきたい。 1件  作業場所と更衣室の間に独立した部屋として設置することが望ましい。
 エアシャワーを浴びる際のダイオキシン類ばく露対策を具体的に書くべきである。 1件  検討したい。
 うがい等のできる洗浄設備や、シャワー等の洗身設備を設置するのは、工場部、工場棟から出る場所で良いのか。それとも、ばく露しやすい単位作業場所には、すべて設置すべきか。 1件  作業終了後、直ちに使用できる場所に設置することが望ましい。この点から考えると、作業場所が離れた場所に点在している場合には個別に設置する必要がある。
 作業場所の空調及びスポットクーラーは、困難ではないか。 1件  作業場所の空調又はスポットクーラーと改める。
 ダイオキシン類の作業環境測定は施設管理者が行うべきではないか。 2件  一義的には元請け責任だが、施設管理者が測定することを妨げない。関係者間で十分に協議して決定してほしい。
 ダイオキシン類濃度に変えてばいじん濃度を測定することとしたい。 1件  粉じん濃度から換算することを排除するものではないが、目的はダイオキシン類濃度の把握にあり、原案どおりとしたい。
 ダイオキシン類の測定方法に、すぐ結果がでるポータブル測定器があるか。 1件  ないと承知としている。
 ガス状のダイオキシン類濃度の測定方法はあるか。 1件  平成12年5月環境庁大気規制局の「ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル」を参照願いたい。
 ガス状ダイオキシンの測定は溶断作業中のみとしていただきたい。 1件  実態等を調査の上、検討したい。
 ダイオキシン類以外の有害物の測定も必要ではないか。 1件  解体作業に当たっては、ダイオキシン類の対策のみならず、広く安全衛生対策を講ずべきことはいうまでもない。「6 汚染物除去作業」の本文は、貴見と同様の趣旨である。なお、解体マニュアル策定に当たっては引き続き検討したい。
 全てのサンプリング作業中(5分間〜)に作業環境測定が必要か。測定はB測定で行うのか。 1件  除去・解体工事の開始前、工事中、工事終了後の作業環境の状況を把握記録しておく趣旨であり、サンプリング作業中の測定は必要ない。その趣旨で修文する。測定個所については、汚染が最も高いと考えられるところなど、作業環境の変化をとらえるのに適当と思われる箇所で測定願いたい。
 サンプリングが困難な場所のサンプリングはどうするか。 1件  個別に相談願いたい。
 既に分析データがある場合、過去のデータを活用して良いか。 1件  該当する分析データで、現在の状態を示すものであれば使用しても良い。
 解体設備のダイオキシン類汚染調査において追加的サンプリングを要する「高濃度の汚染」の判断基準を示されたい。 8件  煤じん、焼却灰等の基準である3.0ng/gを目安としたい。
 ダイオキシン類の汚染調査のサンプリングに偏りがないようにするにはどうするべきか。 1件  サンプリングを行う設備内で最も汚染されている箇所を選ぶこと。
 ダイオキシン類の汚染調査において既に分析したデータに気温、湿度が欠落している。再分析が必要か? 1件  気温、湿度は最も基本的なデータであることから再分析を行うことが望ましい。
 汚染除去が確認できないときは、解体は手持ち工具等によることとなっているが、溶断によらないと実施できない場合もある。 1件  個別に相談願いたい。
 汚染除去作業に当たり、定期整備工事及び部分改造工事では分析結果を待って着工する工事期間が確保できない。 3件  いずれの工事であっても、炉等の解体を行う限り、労働者の安全のため必要な措置として実施願いたい。
 なお、汚染物除去作業は、サンプリングの分析結果を待つ必要はない。
 高圧洗浄は、作業現場が隔離されていない場合においては周辺の2次発じんの原因にならないか。 1件  原則として施設全体を第3管理区分とした措置を講じていただくこととしている。
 部分的な排ガス処理設備等の解体や、炉内補修工事で高圧洗浄が出来ない場合は、クリーンブラスト等の除去方法の採用を認められたい。 2件  既にそのような記述となっている(6(3)D)。問題あれば個別に御相談願いたい。
 高圧水洗浄の高圧とは、どのくらいの数値か。 1件  目的を満たすこと。一律の基準は設けられない。
 ダイオキシン類分析結果等を「幅広く開示する」としているが、開示する範囲はどこまでを予定しているか。 2件  関係事業者及びその労働者等を予定している。
 洗缶剤の商品名、メーカーを例示して欲しい。 3件  個別商品の紹介は差し控えたい。個別に御相談願いたい。
 解体なしに除染できない物は、一部解体してから除染して良いか。 1件  個別に御相談願いたい。
 汚染物を湿潤化した後の、クリーンブラスト(吹き付けブラスト+ブラスト吸引併用式)を認めて欲しい。 1件  湿式で粉じんの飛散防止措置が図られるならば差し支えない。
 乾式の汚染物除去方法を例示していただきたい。 1件  クリーンブラスト等が考えられる。
 構造物材料表面の露出の判定基準を示して欲しい。目視で良いのか。 2件  目視でも差し支えない。
 また、一律の基準は設けられない。ダイオキシンの十分な除去という目的を満たすものであれば差し支えない。
 解体作業において、改修工事個所の清掃、洗浄は、水を使用せずに乾式で汚染除去せざるをえないが、乾式では、部材の完全汚染除去は困難である。また、故障時は、不良部材をガス切断除去する短時間の緊急復旧機内作業もある。従って、機内改修工事は、汚染不完全除去部材の溶断、溶接の加熱作業をせざるを得ない場合がある。 2件  汚染物の溶断は原則認められない。具体的事案については、個別に御相談願いたい。
 粉じん飛散防止処理剤の商品名、メーカーを例示して欲しい。 2件  個別商品の紹介は差し控えたい。個別に御相談願いたい。
 溶断、溶接作業の場合、作業場所をシートで囲い、負圧状態とすることは、作業内容が多様化し、そのセッティングが困難ではないか。 1件  作業者のばく露防止の観点から不可欠な措置である。
 加熱しないで切断できる工法、工具を例示して欲しい。 1件  チェーンソー等が考えられる。
 研磨、打撃、チェーンソー、プラズマ切断機は材料を非加熱で切断できるか。 1件  プラズマ切断機は、明らかに加熱作業。他は非加熱であると思料する。
 排水の放流基準を教示願いたい。 3件  ダイオキシン類特別措置法における排水基準(10pg/l)及び自治体が定める基準を参考とされたい。
 「8 排気・排水・汚染物の処理」の関係法令に定める環境基準は、「排出基準」とすべきではないか。 1件  御意見を踏まえ、改める。
 排水中のダイオキシン類濃度を常時測定する測定器はあるのか。 1件  現時点では把握していない。
 密閉容器とは、具体的にどういうものを指すか。 1件  密閉できる容器で、ふたの内側にパッキング等が装着されているものが考えられる。
 「9 安全衛生管理体制」において化学物質管理に関して十分な知識を有する者とはどのような者が該当するか。 3件  第1種衛生管理者、衛生工学衛生管理者、労働衛生コンサルタント、特定化学物質作業主任者が含まれる。
 3日〜2週間程度の小規模改修工事及び故障時の緊急復旧工事において、その都度作業環境測定の実施、及び作業開始前届けをしなければならないか? 1件  日常のメンテナンスの範囲であれば必要ないが、これ以外のものについては届出を行うこと。
 都道府県環境部局及び廃棄物担当部局へも届出させること。 1件  御要望の趣旨を関係機関へ伝える。
 定期整備工事、部分解体工事も監督署への届け出が必要であるか。 1件  いずれの工事であっても、炉等の解体を行う限り、労働者の安全のため必要な措置として実施願いたい。
 その他(個別事案や本対策に直接関係のない事案) 22件  本件とは直接関係のない事項であるが、今後の解体作業マニュアル策定の参考とさせていただくこととする。
(注)同一の方から複数の御意見が提出された場合には、それぞれ1件として計上しています。

 担当課室:(労働省労働基準局安全衛生部化学物質調査課)

   御意見等をお寄せいただき、ありがとうございました。



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